1 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:06:31.93 QiRrhyz/Q 1/83


「そんな訳で、よろしくな」

「……ちょっと待て、意味がわからない」

「そりゃそうだろう」

「何でお前と一緒に暮らさないといけないんだ?」

「それにはな……深い理由があって……」

「深い理由……?」



「私の家とお前の家、借金があるらしくてな。タダ飯喰らいを追い出したかったらしい」



「浅いにも程があるだろその理由」





元スレ
女「不本意ながら、今日からお前と一緒に暮らすことになった」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1243746391/

3 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:11:05.30 QiRrhyz/Q 2/83


「二人で協力して頑張れ、だとさ」

「いや、だって……どこに住めばいいんだよ」

「家は提供してくれるみたいだけど」

「そっちの方が高くつくだろ!?」

「うーん……ウチのお母さん凄い人だから。色んな知り合い居てさ」

「安く借りられる、ってことか……」

(凄い人なら借金しないで欲しいんだけどな)

「まあ、そんな長い期間じゃないみたいだから」




8 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:17:21.24 QiRrhyz/Q 3/83


「……ちょっとの間だけなんだな?」

「うん。何か色々と忙しくなるみたいだから、その間だけ」

「うーん……まあ、それならいいか。ちょっと面白そうだし」

「実は私、一人暮らしとかしてみたかったんだよねー」

「二人暮らしだけどな」

「そうなんだよ、お前さえ居なければ完璧だったのに」

「……………」




10 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:18:07.77 QiRrhyz/Q 4/83


「一応幼なじみだし、他の奴に比べたらマシだけどな」

「うーん……まあな。お前、俺しか友達居なかったし……」

「あはは!そうそう、ずっと男にばっかりくっついてたよね」

「その喋り方も俺の影響か……」

「うーん、それはどうだろ?よくわかんないや」

(出来ればもっと女の子らしく喋ってほしいんだけどな……)






12 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:20:02.26 QiRrhyz/Q 5/83


「本当は兄貴の家に行こうかと思ったんだけど、新婚だからさー」

「あー……そりゃ行けないわな」

「何でも、相手は元ニートで元メイドらしいぞ」

「どんな人生歩んでるんだよその人」



「あはは。まあ悪い人じゃないみたいだけど……あ、ここだここ」



「かなり、立派じゃないか……?」

「うーむ……恐るべし、ウチの母……」




17 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:24:52.97 QiRrhyz/Q 6/83


「広っ……」

「二人で住む広さじゃないな……」



「男、男っ!テレビがでっかいぞ!!」



「そういうとこしか見ないのかお前は」

「うわー、これなら何年でも暮らしたくなるなー」

「いや、それはちょっと……」

「あ、アレアレ!アレ何だ!?」

(人の話聞けよ……)




22 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:29:15.78 QiRrhyz/Q 7/83


「ベッド、ベッドがある!!」

「ベッドくらいで騒ぐなよ……」

「だって私の家はずっと布団だったんだぜ?私、これに憧れてたんだー」

「そんなもんなのか」



「えっへへー、ふかふか♪……あれ」



「どうした?」

「このベッド、かなりデカイんだけど……やっぱり高級品なのかな」

「……だ、ダブルベッド……じゃないか、それ……」

「…………何?そのダブルベッドって」




27 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:34:11.09 QiRrhyz/Q 8/83


「ふ……二人で寝るのか?」

「多分……そうだと思う…」

「な、何考えてんだ母さんは!可愛い娘にこんな獣と二人で寝ろと……?!」

「獣って何だよ獣って……いいよ、いざとなったらソファーで寝る」

「え?い、いいよ別に。昔は、ほら、二人で寝たりしただろ」

「急に下手になるなよ」

「べ、別にアレだぞ!?一緒に寝たい訳じゃないからな!!」

「……わかってるよ」

「わ、わかってんなら、いい」




32 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:39:32.41 QiRrhyz/Q 9/83


「で、まあ……家事は私がやる」

「俺はバイトに出て金を稼ぐ」

「こんな感じでやっていけば何とかなるだろ」

「……お前、家事出来るっけ……?」

「え?いや、まあ……料理はちょっと自信無いけど……」

「……………」

「だ、大丈夫だって。そのうち覚えるから」

(暫くは惣菜にしといた方が無難だな)




33 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:43:55.59 QiRrhyz/Q 10/83


「じゃあまあ……とりあえず任せるぞ」

「……あ、ああ。どんとこい」

「……因みに得意料理は?」

「女さんの三分クッキング、バリエーションは豊富!」

「カップラーメンは料理とは言わない」

「お……お湯に浸すのも出来る……」

「レトルトカレーも料理とは言わない」

「……ごめん、やっぱり料理だけ手伝ってくれ……」

「……了解」




36 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:48:54.82 QiRrhyz/Q 11/83


「うーん……何か、お米がびちゃびちゃしてないか……?」

「お前が水加減間違ったんだろ」

「や、やっぱりそうなのかな」

「因みに味噌汁も辛い」

「嘘っ!?………うわ、しょっぱ……」

「……………」

「しょ、精進します……でもほら、この野菜炒めは美味いだろ?」

「美味いな。……俺が作ったんだけある」

「あ、あれ?そうだっけ……あはは」




38 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:52:15.51 QiRrhyz/Q 12/83


「えーっと……お風呂、沸いたけど」

「空焚きしなかったか?」

「……最近はスイッチ式だろ。どっちから入る?」

「先に入っていいよ。後でのんびり入るから」

「あ、うん。……それじゃ先に入るね」

「おー」



(な、何か……今、変な会話してるみたいだったな……)




40 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 14:56:32.01 QiRrhyz/Q 13/83


「お、おお……シャンプーも高そうな奴だ……」

「ふぅー……何か疲れたなあ……」

(男と二人暮らし、か……)

(何かちょっと楽しみ……かも……)

「か、かも。だけどな!!飽くまで、かもだから!!」



(風呂でもうるさいなアイツは……鴨?)




42 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:01:26.39 QiRrhyz/Q 14/83


「……お待たせ。次どうぞー」

「……………」

「ん?……ははーん、さては私のパジャマ姿に見とれてるな?」

「いや……お前って着痩せするタイプなのかと思ってたけど」

「へ?」

「本当にペッタンコなんだな……」



「う、ううううるさいやい!馬鹿!Aで悪いか!」



(カップ数まで聞いてないんだけどな)




43 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:06:07.75 QiRrhyz/Q 15/83


「さ、先に言っとくけど。触ったりしたら、だ、駄目だからな」

「触らないっての」

「寝たふりして触るのも駄目だからな」

「触らないって言ってるだろ……」

「……じゃあ、いい。おやすみ」

「おやすみ」



(さ、触られたらどうしよう……)




44 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:12:14.55 QiRrhyz/Q 16/83


「……おはよう」

「触らないのかよ!」

「な、何だよ朝っぱらから……」

「べ、別に……たいしたことじゃないけど……」

「……それより、朝飯は?」

「あ、そっか……めんどくさいな……」

「母親のありがたさがわかるな、こういう時」

「いいから手伝ってくれよ、目玉焼きの作り方教えてくれる約束だろ」

(……卵焼きを作れるようになるまで、何日かかるかな……)




48 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:17:12.77 QiRrhyz/Q 17/83


「……焦げた……」

「強火でやり過ぎなんだよ」

「も、もう一回だ……もう一回……」



「焦げた……」

「…………」

「もう一回……」

「あれ、今何時だ?」

「へ?……………あ」



「遅刻遅刻!!朝飯は食パンな!!」

「一昔前の少女漫画かよ」




50 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:22:35.46 QiRrhyz/Q 18/83


「セーフ!!!!」

「間に合ったな……頬っぺたにジャムついてるぞ」

「え?あ……は、早く言えよっ」

「全力疾走してたもんだから、つい……」

「もう……あ、お前だってついてる」

「嘘だろ?」

「うっ……お前は本当に可愛くないな」

「暗に自分は可愛いって言ってないか」




51 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:27:59.66 QiRrhyz/Q 19/83


「じゃあ、俺はこのままバイトに行くから」

「え……あ、そっか。じゃあ頑張れよ」

「おー」



(ちぇっ……一緒に帰れると思ったのに……)

(あー……帰ったら洗濯とかしないといけないんだっけ……)

(何か、大変だよな……親元から離れるのって……)




54 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 15:33:16.70 QiRrhyz/Q 20/83


(私の下着と男の下着が絡み合って……何か複雑だな……)



「さて、今日は男も居ないし……私一人で料理を作らないとな」

「メニューは……簡単だし、カレーかな……」

「人参、玉葱、豚肉、ジャガ芋♪」

「カレールー♪」



「……ツッコミが居ないのって寂しいな……」




86 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:05:39.61 QiRrhyz/Q 21/83


「ただいまー……」

「お、おかえり」

「早速だが飯にしようぜ……腹減った」

「……あ、う、うん……」



「………何だこれ……」

「か、カレーだよ。見ればわかるだろ」

「…………カレールー入れすぎだろ」

「う……」

「はあ……」

(………………)




88 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:09:22.90 QiRrhyz/Q 22/83


「行ってきます」

「日曜の朝っぱらからどこ行くんだ?」

「別にー。何か用事がある訳じゃないよ」



「えーっと……ここだよな」

「今の時間だと兄貴は仕事かな……?」

ピンポーン

義姉「………………………はい」

(うっ……機嫌悪そう……)

義姉(私は低血圧なのに……)




90 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:14:04.64 QiRrhyz/Q 23/83


「あ、あのっ……料理を……」

義姉「料理……?」



「……という訳なんです」

義姉「大変ですね。相手が正常な味覚を持っている方だと」

「あ、兄貴は異常なんですか……」

義姉「鯉以上の悪食です。……さて、始めましょうか」




96 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:19:42.85 QiRrhyz/Q 24/83


「どうだ!これなら文句のつけようが無いだろ!!」

「うん……美味いな」

「だろ?いやー、兄貴もいい人を嫁さんにしてくれたよ」

「……だけどさ……」

「ん?」

「二日連続でカレーはちょっと……」

「仕方ないだろ、カレーしか教わらなかったんだから」




98 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:24:29.95 QiRrhyz/Q 25/83


「じゃ、おやすみ」

「うん」

(ふー……やっぱり一緒に寝るのって照れるよな……)

(私って結局、コイツのこと好きなのかな……)

(恋愛なんてしたことないからわかんないけど)



(何かぶつぶつうるさいなコイツ……)




100 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:29:03.96 QiRrhyz/Q 26/83


「男ー、帰ろうぜー」

「ああ、今行く」



「男さあ……恋愛って何だと思う?」

「え?」

「……何だよ、その顔は」

「いや……まさか女の口からそんな言葉を聞くとは思わなくて……」

「し、失礼な奴だな。私だって一応女の子なんだぜ?」

(女の子が『なんだぜ?』とかあんまり言わないと思うけどな……)




102 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:34:57.24 QiRrhyz/Q 27/83


「実はさあ……クラスの女子が、この間彼氏出来たらしくて」

「ふんふん。それで?」

「今日にはもう違う奴と付き合ってたんだよ」

「あー……居るな、そういう奴」

「しかも前の恋人の悪口ばっか言ってるし……恋愛って何なのかなー、って」

「うーん……そうだな……」




103 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:39:46.50 QiRrhyz/Q 28/83


「……うん。多分だけど、彼女達にとって恋人は高価なバックみたいなものなんだ。バックの中に何を入れるかなんて誰も考えない」

「…………」

「とりあえず見栄えがいいバックを選ぶ。内面は気にしない」

「……それで?」

「それを見せびらかしたり優越感に浸る為に買うんだからな。中に何が入ってるかなんて誰も触れようとしなくなってる」

(……………)

「で、ブームが過ぎたら惜し気も無く捨てて、『時代遅れ』と罵るんだよ」

「……うーん。それも、恋愛っていうのか?」

「多分な。……少なくとも、彼女達にとってはそうなんだろ」




105 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:45:06.68 QiRrhyz/Q 29/83


「バックの中身とか、性能にこだわるのは大体大人の女性だからな」

「なるほどねぇ……つまり私は大人の女性なのか……」

「え?」

「い、いや、別に!何でもない!!そ、それよりさ、今日の晩飯何がいい?」

「……鶏肉のから揚げかな」

「作れない」

「えー……」





109 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:50:44.45 QiRrhyz/Q 30/83


「わかったわかった。今度メールで姉さんに聞いとくよ」

「姉さん?」

「兄貴の奥さん。料理上手いんだぜ?」

「ふーん……メールで聞いただけで作れるのか?」

「私はもうアレだ、コックさんのレベル」



「えへへ、焦げちゃった」

「皿洗いでもしてろ見習いコック」




110 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 21:55:26.32 QiRrhyz/Q 31/83


「じゃあバイト行ってくるけど……大丈夫か?」

「え?大丈夫って……何が?」

「いや、最近疲れてるみたいだからさ」

「あはは!何言ってんだ、私の体力知ってるだろ?」

「……それもそうか。じゃあ行ってくる」

「おー。しっかり稼いでこいよ」



「……ふー……掃除しなくちゃ……」




112 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 22:00:31.33 QiRrhyz/Q 32/83


「ただいま……ん?」

「………スー……」

「寝てる……やっぱ疲れてるんだろうな」



「……ふゃっ!?今何時!?」

「22時前」

「ご、ごめん!すぐ夕食作るから!」

「いや、いいよ。洗濯とかもやるから、休んでろ」

「えっ……」

「疲れてるだろ、休め」

「………う……でも、さあ……」




113 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 22:06:12.79 QiRrhyz/Q 33/83


「……やっぱいいよ。私、やる」

「……無理しなくていいっての」

「無理なんかしてないって。男が洗濯したら私の下着で何するかわからないからな」

「お前なあ……」

「あはは、だから男こそ休みなよ。バイトで疲れてるだろ」

「でも」

「いいからいいから!早く寝ちゃえよ」




118 : 以下、名... - 2009/05/31(日) 22:12:04.15 QiRrhyz/Q 34/83


「……う、ひび割れ……」

「よし、食器洗いも終わったし……寝るかな」



「……グー……」

(コイツも疲れてるんだろうけど)

(ちょっとくらい……甘えたっていいよな、うん……)

ギュッ

「……おやすみ……」




162 : 1 - 2009/06/01(月) 01:10:39.74 2iWRimrVQ 35/83


「…………朝か……」

「お、おは、よー……」

「!? 今朝は早いな……」

「う、うん、たまには」

(う……何か恥ずかしくて顔が見れない……)

「……女」

「ふぇっ!?ななな、何だよ!」

「焦げてる」

「え?……あ……。それはそうと、食パンどこだっけ」

「結局今朝も食パンかよ……」




164 : 1 - 2009/06/01(月) 01:15:30.39 2iWRimrVQ 36/83


「大体、女の子と二人で生活なんて男の夢だろ?」

「女の子にもよるだろ」

「……何だよそれ。私じゃ不満だってのか?」

「いや、そういう訳じゃないよ。ただ、料理くらいは……と」

「じゃあ何か?料理が出来れば私は理想的な女の子なんだな?」

「うーん……まあ、好印象にはなるな」

「へ、へー……別に興味ないけど」



(……もっと早く言えよそういうの……)




166 : 1 - 2009/06/01(月) 01:20:20.96 2iWRimrVQ 37/83


「姉さーん!!料理を教えてくださーい!!」

ガチャッ



「あ」

義姉「……ふぇ……?」



「あ……う、わ……あ、あの、その……ごめんなさいっ!!」



義姉「ちょ、ちょっと待ってください!誤解です!」




169 : 1 - 2009/06/01(月) 01:25:03.63 2iWRimrVQ 38/83


「つまり……ゴキブリが出て、つい抱き着いていただけ……と」

義姉「……お恥ずかしい話ですが」

「いきなり入るお前が悪い」

「わ、悪かったって。それで、えっと……」

(料理教えてくれ、なんて言える雰囲気じゃないよな……)

「うーん……いいや、ごめん。出直すよ」

「……もう遅いし、送ってやるよ」



「なあ、兄貴ー」

「うん?」

「料理出来る女ってどう思う?」

「そりゃまあ理想だな」

「やっぱり……そうだよな……はあ」




170 : 1 - 2009/06/01(月) 01:28:46.39 2iWRimrVQ 39/83


「……誰でも出来る50のレシピ、か……」

「うーん……買っちゃおうかな……」

(料理の出来る理想の女の子……)

「あ、あの、……これください」



(……買っちゃったよ……)

「何か、ガラじゃないよな……こういうの……」




172 : 1 - 2009/06/01(月) 01:33:54.13 2iWRimrVQ 40/83


「……適量って何だよ適量って」

「その適量が知りたいからこの本買ったんだろ!」

「だから少々ってどれくらいなんだよ!?」



「……う、辛っ……」

「……何で私って、こうなんだろ……」



(こんなことなら、もっと家事を手伝っておくんだったな……)




174 : 1 - 2009/06/01(月) 01:39:00.79 2iWRimrVQ 41/83


「おいおい……洗濯物山積みだぞ……」

「あ、ご、ごめん……あはは」

「あははってお前……しっかり頼むぞ……」

「う、うん……ごめん……」

「とりあえず飯にしようぜ」

「あ、晩飯も……ちょっと失敗した……」

「……いや、それは仕方ないよ」

「えっ……そ、そうかな」

「元からあんまり期待してないからな」

(……………)




176 : 1 - 2009/06/01(月) 01:44:29.25 2iWRimrVQ 42/83


「おやすみ」

「うん、おやすみ」



「……はぁ……」

(……何かしんどいな)

(頑張れば頑張る程裏目、っていうか)

(……無駄な努力っていうか……)

(あぁあ、もう!こんなの……私らしくないよな)




178 : 1 - 2009/06/01(月) 01:51:09.74 2iWRimrVQ 43/83


「でさでさ、このテレビなんだけど」

「んー?」

「凄いんだぜ、ニュースとか天気とか見られるんだ!」

「うん……今や常識だよな……」

「科学の進歩だよな……凄い凄い!」

「やっぱり人の話聞かないのな」

「これ、私の家に持って帰っちゃいけないかな?」

「……駄目だろ……」




180 : 1 - 2009/06/01(月) 01:56:05.39 2iWRimrVQ 44/83


「アイス買ってきたぞアイス」

「アイス?何でまたいきなり」

「何か今日暑いからさ……ガリガリとハーゲンダッツどっちがいい?」

「落差のありすぎる二つだな……」



「で、どっちがいい?ガリガリだよな、ガリガリだろ?」



「……ガリガリでいいよ」

「えへへ、やったー♪」

(まあ、いいか……嬉しそうだし……)




183 : 1 - 2009/06/01(月) 02:01:11.78 2iWRimrVQ 45/83


「……………」

「何だよ?」

「……やっぱり悪いからさ、半分こにしないか?」

「いや、いいよ別に」

「遠慮しなくていいって。ほら、口開けろ」

「……いや、いいっての」

「ほら、食べろ、食べてくれよ!!」

「何でそんなムキになってんだよ?!」

「え、いや……別に……」

(間接……とかは別に、考えてない……断じて……)




185 : 1 - 2009/06/01(月) 02:06:32.76 2iWRimrVQ 46/83


「いただきます」

「う、うん……どうぞ」

「…………う……」

「な、何だよ……マズイならマズイって言えよ」

「美味いな……これは」

「……ほ、ホント?美味い?」

「うんうん、美味い」

「へ、へー……まあ当然だけどな……私が作ったんだし……」

(う……やば、これ……顔赤らむなあ……)




186 : 1 - 2009/06/01(月) 02:11:51.50 2iWRimrVQ 47/83


(今日は何作ろうかな……)

(うーん……肉じゃがとか好きかな、アイツ……)

「ま、いいか……作ってみようっと」



(む?何かちょっと楽しいな……)



「ひょっとして私ってコックさんに向いてたりするのか?!」

「痛っ!!……うー……指切った……」




211 : 1 - 2009/06/01(月) 08:37:03.91 2iWRimrVQ 48/83


「い、いや、駄目だって……そんな、いきなり……」

「まず、こ、告白して、デートして、手を繋いで、き……キスして」

「そ、そこからだろ?じゅ、順序がおかし……」

「だ、駄目だってば……やっ……」

ピピピピ!!!

(………例の如く夢オチか)




213 : 1 - 2009/06/01(月) 08:42:01.14 2iWRimrVQ 49/83


「大体、こんだけ一緒に居て手も握らないってどう思います?」

義姉「さあ……世の中にはいきなり来たメイドを雇った上に、襲わない人間も居ますから」

「はあ……」

義姉「……で、その人のことが好きなんですか?」

「え?!い、いや!そういう訳じゃなくてですね!」

義姉「好きでもない殿方に触れられたいのですか?痴女……という奴ですね」

「……そ、そんな……」

義姉「時には、素直になるのも大事かと思いますが」

義姉(……私の言えた義理ではありませんけどね)




279 : 1 - 2009/06/01(月) 21:11:46.19 2iWRimrVQ 50/83


「んー……今日もいい天気だな」

「そうだな、これくらいの気温がちょうどいい」

「洗濯物干すかな」

「……なあ」

「んー?」

「たまには、二人で出掛けてみないか?」

「……え……それって……」

(デート……だよな……)




281 : 1 - 2009/06/01(月) 21:16:38.80 2iWRimrVQ 51/83


「うわ……遊園地なんて何年ぶりだよ……」

「俺も全く来てないな……久しぶりに見ると楽しめそうだ」

「うん……何かちょっとワクワクしてきた」

「してきたも何もさっきから興奮しっぱなしだろ」

「あはは、まあねー」

(ワクワクよりドキドキの方が強いんだけどね……)




284 : 1 - 2009/06/01(月) 21:24:06.20 2iWRimrVQ 52/83


「お、おい……止めよう、止めようってば……」

「……怖いのか」

「こ、怖い訳ないだろ!!この私が、たかがおば、お化け屋敷くらいで……」

「じゃあ入ろうぜ」

「え、あ……うん……」



「きゃぁぁぁぁぁあ!!や、やだやだ来るなっ!!」

「……いや、あれ作り物……」

「もうやだもうやだぁ!早く出ようよぉ!!」

「お前が歩かなきゃ出られないんだが」

「やだ!お化けくるもん!!歩かない!!」

「…………」




285 : 1 - 2009/06/01(月) 21:30:34.55 2iWRimrVQ 53/83


「……………」

「……も、もういい……降ろして……」

「もう大丈夫なのか」

「う、うん……ご、ごめんな、おんぶまでさせちゃって……」

「気にすんなって。……あ、でも」

「ん……?」

「何で女の子背負ってるのに胸が当たらないんだ?」

「うるせぇぇぇぇえっっ!!!」




286 : 1 - 2009/06/01(月) 21:35:21.93 2iWRimrVQ 54/83


「うるさいよ!胸が無い女の子だって居るんだよ!!」

「……………」

「大体何で……何で巨乳ばっかり持て囃されるんだ!!」

「さあ……」

「胸が小さい方が軽いし、邪魔にならないし……最高じゃないか……」

「そうは言ってもなあ」

「……もういいっ!次行くぞ次!!」

「はいはい」

(……よし、いつものテンションに戻ったな)




289 : 1 - 2009/06/01(月) 21:43:20.60 2iWRimrVQ 55/83


「ジェットコースター、一時間待ちか……」

「まあ気長に待とうぜ」

「うん……そうだな」

(……周りカップルばっか……)

「…………ちょっと暑いな」

(いや……でも……)

(私たちも……恋人同士に見えるのかな……)

「……えへへ」

「……どうした?」

「え?う、ううん、何でもない……何でもないよっ」

(何か気持ち悪いなコイツ……)




297 : 1 - 2009/06/01(月) 22:30:18.05 2iWRimrVQ 56/83


「はー……歩き疲れたな」

「そろそろ帰るか?」

「お、おいおい!まだ観覧車乗ってないだろ?」

「あー、そうだな……行くか」

「うん。……その、話したいこともあるし」

「……………」

「……………」




298 : 1 - 2009/06/01(月) 22:32:56.38 2iWRimrVQ 57/83


「……観覧車も久しぶり」

「そうだな」

「…………でさ」

「うん」



「明日で終わりなんだってね。……この生活」



「……そうらしいな。俺も父親から連絡があった」

「…………ねえ、男」




301 : 1 - 2009/06/01(月) 22:36:48.57 2iWRimrVQ 58/83


「私との二人暮らしが終わるって聞いて……どう思った?」

「どういう意味だ?」

「悲しい、とか、嬉しい、とか……そういう意味」

「……女は?」

「……私は……」



「……切ないよ」




303 : 1 - 2009/06/01(月) 22:41:16.52 2iWRimrVQ 59/83


「出来れば、これからも一緒に居たい」

「私の料理食べてもらって、二人で一緒に寝て」

「……そんな生活が送りたい」



「……そんなのは無理だ」



「…………っ……」

「…………う、うん、そうだよね……」





307 : 1 - 2009/06/01(月) 22:46:17.06 2iWRimrVQ 60/83


「……変なこと言って……ごめん」

「……いや」

「そ、それよりほら!風景綺麗だよ!」

「…………」



(……綺麗、なんだろうな……)



(ぼやけちゃって……全然見えないけど……)




308 : 1 - 2009/06/01(月) 22:50:35.90 2iWRimrVQ 61/83


「……それじゃあ……バイバイ」

「今生の別れみたいに言うなよ。……また明日、学校でな」

「うん……じゃあな」

「ああ」



「……さて、と」

「明日に備えて、今日は早く寝るか……」

(……明日、言う……)




391 : 1 - 2009/06/02(火) 16:59:07.92 JadQVTeyQ 62/83


女母「女、入るよ」

「んー?はーい」



「……どうしたの?」

女母「いやあ、感想を聞いておこうかと思ってねえ」

「感想?……ああ、そういうこと」

女母「……どうだったんだい?」

「楽しかったよ。……それから」



「……幸せだった、凄く」




394 : 1 - 2009/06/02(火) 17:06:37.68 JadQVTeyQ 63/83


「というか、借金とかも嘘なんだろ?」

女母「ん?」

「前々から母さんは私と男をくっつけようとしてたじゃないか」

女母「そうだっけかねえ」

「そんなことしなくても大丈夫だよ」

女母「…………」



「私……本当は昔から、男のこと好きだったから」



女母「……そうかい。そりゃあよかった」




396 : 1 - 2009/06/02(火) 17:13:48.41 JadQVTeyQ 64/83


「お、おはよう……男」

「おはよう。……何だ寝不足か?」

「う。い、いや、そうじゃなくて……ホームルーム始まるまで、時間あるか?」

「あるけど」

「大事な話が、あって……」

「……わかった」




398 : 1 - 2009/06/02(火) 17:18:17.43 JadQVTeyQ 65/83


「私は、ほら。こんな性格だから、まどろっこしいのは嫌いなんだ」

「そんなのは百も承知だ」

「あはは。……だからさ、あんまりかわいらしいのは期待しないでくれよ?」

「……何の話?」

「頬を赤らめてとか、俯きながらとかそういうのは出来ない」

「……だけど、これだけは伝える」



「私は、男が好きだ」




402 : 1 - 2009/06/02(火) 17:24:44.37 JadQVTeyQ 66/83


「……………」

「……何か言ってくれよ」

「…………」

「いいよ。……断られるって、何となくわかってたから」

「……ありがとう、女」

(……………)



「それから……ごめん」




405 : 1 - 2009/06/02(火) 17:32:25.63 JadQVTeyQ 67/83


「……何謝ってるんだよ、馬鹿」

「いや……うん、そうだな……」



「私が悪いんだよ。分不相応って言うか……ガラにも無いことしちゃったから」



「じゃ、じゃあ、私……教室に戻るから」

「……ああ」




410 : 1 - 2009/06/02(火) 17:39:57.00 JadQVTeyQ 68/83


「……はあ……」

(断られるってわかってた……?)

(馬鹿じゃないの私……本当はちょっと、ちょっとだけ……)

(……期待してた……くせに…)



「…………っ……」




412 : 1 - 2009/06/02(火) 17:46:40.48 JadQVTeyQ 69/83


担任「ホームルームが始まる前に……皆に話がある」

「…………」

担任「男」

「……はい」

「…………男…?」

「……親の仕事の関係で……」



「……転校することになりました」




415 : 1 - 2009/06/02(火) 17:51:46.30 JadQVTeyQ 70/83


「……え……」

「……………」

(…………借金……仕事……)

(アレって……本当だったのか…?新しい仕事の為に転校するの……?)



(……じゃあ……さっきの、告白は?)



(……馬鹿か、私は)

(関係無いに……決まってるだろ……)




416 : 1 - 2009/06/02(火) 17:56:59.69 JadQVTeyQ 71/83


(……そうだ、関係無いのに……)

(まだ、チラつく……)

(……まだ……好きか嫌いか、言ってもらってない……)



担任「あー、という訳で……男は――」



(……止めろ……そうだ、止めろ……)

(これ以上、希望を持とうとするな……)

(それがきっと、正しいから)




420 : 1 - 2009/06/02(火) 18:03:38.68 JadQVTeyQ 72/83


(正しいん……だろうけど……)

ガタッ

「男」

「……どうした、女」



「私のこと……好き?」



「…………」

「……好きだよ」




424 : 1 - 2009/06/02(火) 18:09:21.10 JadQVTeyQ 73/83


「だから、待っててくれ」

「…………」

「迎えに来るから、待ってろ」

「……うん。……待ってる……」



「それからはまた……一緒に暮らそう」



「……今度は、無期限じゃなきゃ嫌だぜ?」

「ああ。今度は無期限……ずっと一緒に居よう」




431 : 1 - 2009/06/02(火) 18:16:17.69 JadQVTeyQ 74/83


「……何だ、お前も来てたのか」

「そういうお前もだろうに……何か、ここが落ち着くからな」

「あはは、私もだよ。すっぱり別れられないところが私達らしいよな」

「自分で言うなよ……」

「……なあ、いつ引っ越すんだ?」

「……明日」




436 : 1 - 2009/06/02(火) 18:22:22.92 JadQVTeyQ 75/83


「……そっか。明日、行っちゃうのか」

「ああ」

「明日からしばらく、会えないんだな」

「……そうなるな」

「じゃあ……今日だけ……」



「……今夜だけは、お前に甘えてもいいよな……?」




438 : 1 - 2009/06/02(火) 18:28:02.91 JadQVTeyQ 76/83


―二年後―

児童「せんせー、これわかんなーい」

「ええ?あー、駄目駄目。まず自分でやってみなさい」

児童「ええー」

「嫌だな、とか、苦手だな、って思ってた物が好きになったりするんだよ。意外に」

児童「例えばー?」

「そうだな……料理、とか?」




440 : 1 - 2009/06/02(火) 18:34:33.62 JadQVTeyQ 77/83


「女先生……女先生……至急、職員室に……」



「ありゃ?……私何かしたっけ……」

児童「どんな悪いことしたのー?あははー」

「沢山ありすぎて見当がつかないな……」

児童「……………」



「まあ、とにかく行ってくるか。……達者でな、お前たち」




444 : 1 - 2009/06/02(火) 18:38:47.93 JadQVTeyQ 78/83


「……あ……」

「やあ女先生、ご機嫌いかがですか?」

「お、おま……お前……」

「まさかお前が教師になるとは夢にも……あ、まだ研修生だっけ」

「馬鹿っ!!そんなことどうでもいい!!」

「あ、ああ……ごめん」

「遅いんだよお前!二年も待たせやがって!!」




448 : 1 - 2009/06/02(火) 18:43:15.67 JadQVTeyQ 79/83


「ま、まあ落ち着け……とりあえず」

「無理だ、お前には言いたいことが沢山あるんだよ!!」

「…………」

「……まあいいよ。それは後にしといてやるから」

「助かる」



「今、ここで……キスしてくれ」




450 : 1 - 2009/06/02(火) 18:47:39.35 JadQVTeyQ 80/83


「い、いや、ここ……職員室だし……」

「……もう、我慢出来ないんだよ」

「でもさ……」



「嫌だってんなら、今この場で押し倒すぞ」



「……相変わらずだな、お前…」

「いいから、早く……してくれ」




453 : 1 - 2009/06/02(火) 18:51:07.73 JadQVTeyQ 81/83


「……満足か?」

「まあ、とりあえずこの場はな」

「……………」

「……また、一緒に暮らせるんだよな」

「……そうだ」



「それも、これからは……」

「……ずっと、一緒に暮らせる」




456 : 1 - 2009/06/02(火) 18:54:47.32 JadQVTeyQ 82/83


「よーし、じゃあ今日は久々にアレを振る舞ってやろう!」

「先に言っとくが、仕事の後だぞ」

「え?……あ、う、うん……わかってるよ」

「…………で、アレって?」

「んん?決まってるだろ?」



「女さん特製の……手づくりカレー」




458 : 1 - 2009/06/02(火) 18:59:45.43 JadQVTeyQ 83/83


完結です。自分でも驚く程の低クオリティ。

読んでくれた人、保守してくれた人、いつもの絵師さん。ありがとうございました!

また機会があったらお会いしましょう!ノシ


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