489 : 以下、名... - 2019/10/15 21:51:55 yuN6bUJk 1/24

………………勉強合宿三日目夜 うかり荘

成幸 「急にハイテンションになってどうした、古橋」

文乃 「だ・か・ら! バーベキューなんだよ、唯我くん!」

文乃 「今さっき先生方がお話してるのを偶然聞いちゃったんだ!」

文乃 「明日の午前の講習が終わったら、先生方のカンパでバーベキューらしいよ!」

うるか 「!? それほんと、文乃っち!」

文乃 「ほんともほんとだよ~! 何でも、高級牛肉からブランド豚肉までそろえてくれてるみたいだよ~!」

成幸 「分かった分かった。そりゃ楽しみだけど、明日に取っておこうな」

成幸 (今さっき風呂場でとんでもないことがあったばかりのにもう立ち直りやがった……)

成幸 (ほんと食いしん坊だな、古橋は……)

理珠 「まったく、文乃とうるかさんは食いしん坊ですね」

成幸 「騒ぐのはそれくらいにして、今日のおさらいをやって早く寝るぞ」

文乃&うるか 「「はーい」」

成幸 (……にしても、先生方のカンパでバーベキューか。塾講師ってのも大変だな)

元スレ
【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1556892433/

490 : 以下、名... - 2019/10/15 21:52:31 yuN6bUJk 2/24

………………翌日 昼

真冬 「………………」

ブルルルン……プスプスプス……

真冬 「迂闊。やってしまったわね……」

真冬 (夏休みも終わりに近いからと有給を取って峠を攻めに……もとい、ドライブをしにきたけれど)

真冬 (まさかガソリンがこんなに減っていただなんて……)

真冬 (こんな峠道でガス欠なんて洒落にならないわ。どうしたものかしら……)

真冬 (夏休みとはいえ世間は平日。さっきから車も通りかからないし……)

真冬 「ん……?」

キャッキャ……ワーワー……

真冬 「……喧噪。近くに人がいるようね。キャンプかしら」

真冬 (恥を忍んでガソリンを譲ってもらうしかないわね)

491 : 以下、名... - 2019/10/15 21:53:01 yuN6bUJk 3/24

………………広場

ワイワイガヤガヤ……

成幸 「おー、さすがに大盛り上がりだな。先生方も太っ腹だなぁ」

文乃 「お肉がたくさんあるよ、唯我くん!」

うるか 「旅館の人がカレーも作ってくれてるみたいだよ!」

理珠 「あっちに冷やしうどんもあるみたいですよ!」

グイグイグイグイ

成幸 「わっ、わかったわかった。わかったから引っ張るなって……」

成幸 「食べ過ぎてお腹壊したりしないようにな。ほら、好きなもん取ってこい」

文乃&うるか&理珠 「「「はーい!!」」」

バヒューン!!!!

成幸 「だー、もう! 人がたくさんいるんだから走るなよー!」

成幸 「……って、もういないよ。まったく」

492 : 以下、名... - 2019/10/15 21:54:01 yuN6bUJk 4/24

成幸 「……はしゃいじゃってまぁ」

クスッ

成幸 「ま、今日の午前中まで目いっぱい勉強がんばってたしな。これくらいのご褒美があっても……――」

「――なーにひとりで呟いてんだ、こーはいっ」

ピトッ

成幸 「ひうっ!? 冷たっ!?」

あすみ 「にひひ、ほんといい反応してくれるよな、お前って」

成幸 「先輩……。やめてくださいよ、もう……」

あすみ 「悪い悪い。ほら、麦茶取ってきてやったから飲めよ」

あすみ 「散々子どもたちの引率してノドカラカラだろ、“先生” ?」

成幸 「引率って……。あいつらは俺と同い年ですよ」

成幸 「でも、ありがとうございます。たしかにノド乾いてたから嬉しいです」

あすみ 「ま、確かに引率の先生というよりは、娘たちに振り回されるパパって感じだったけどな」

成幸 「ぶっ……! だ、誰がパパですか! 変な事言わんでくださいよ!」

493 : 以下、名... - 2019/10/15 21:54:34 yuN6bUJk 5/24

あすみ 「にひひ。そういやそうか。お前はパパじゃなくて、弟なんだっけ?」

成幸 「へ?」

あすみ 「……なぁ? “成幸くん” ?」

成幸 「なっ……なんですか、いきなり……」

あすみ 「いや、べつに大したことじゃねーんだけどな。昨日から気になっちまってさ」

ニヤニヤ

あすみ 「お前と古橋、どうして姉弟ごっこなんかするに至ったのかが、さ」

成幸 「いや、本当に大したことじゃないですよ。お祭りの日に……」

成幸 「……!?」 ハッ


―――― 『大ありです 問題ないと思ってる時点で問題だらけです』

―――― 『あとで徹底的に補習です』


成幸 (あっ、あっぶねー!! 古橋に言うなって言われてるの忘れてたー!)

成幸 (危うく先輩に言ってしまうところだった……!)

成幸 (さすがあしゅみー先輩! 隙をつくのが上手い……!!)
   ※成幸くんが隙だらけなだけです。

494 : 以下、名... - 2019/10/15 21:55:14 yuN6bUJk 6/24

あすみ 「? ん、どうした、後輩?」

ニヤニヤニヤニヤ

あすみ 「なんか言えない事情でもあるのかー? んー?」

成幸 「い、いえ、べつに、そういうわけではないんですが……」

成幸 「っていうか、先輩、その……」

あすみ 「ん?」

成幸 「ち、近い、です……」

あすみ 「………………」 ニィ 「……ほーぅ、やっぱり先輩に迫られるのが好みか、後輩」

あすみ 「密室じゃなくて悪かったな」

成幸 「だ、だからあれは違うんですってば! もー!」

あすみ 「にひひ。ほんとにからかい甲斐がある奴だよな、お前って」

あすみ 「……で? 何で姉弟ごっこなんてすることになったのか、そろそろゲロっちまえよ」

成幸 「結局その話蒸し返すの!?」

あすみ 「えー、教えてくれないのかよー、後輩ー」

成幸 「ダメなんです! 話しちゃダメって言われてるんです!」

495 : 以下、名... - 2019/10/15 21:55:48 yuN6bUJk 7/24

あすみ 「へー……」 (話しちゃダメ、ねぇ……?)

あすみ (どうせ大した話じゃねーだろと思ってたけど、ここまで隠そうとするとはな)

あすみ (それに、口止めされてる? 古橋にか?)

モヤモヤモヤ……

あすみ (なんかわかんねーけど、それはちょっと……ムカつく)

あすみ 「ちぇっ、ひどいよなー、後輩は」 チラッ

あすみ 「人に無理矢理キスしようとしといて、そんなツレない態度を取るのな」

成幸 「なっ……!?」 (あ、あの写真は……カラオケボックスでの写真……!?)

成幸 「それどう見ても先輩が俺にキスしようとしてるじゃないですか!」

――――ガサッ

真冬 「……失礼。ぶしつけで申し訳ないのですが、もしよろしければ、ガソリンを分けてもらえないでしょうか」

あすみ 「……へ?」

成幸 「へ?」

真冬 「……? こ、小美浪さん? 唯我君?」

成幸 「な……な、なんでここに先生が!?」

496 : 以下、名... - 2019/10/15 21:57:20 yuN6bUJk 8/24

………………

あすみ 「へぇー」

ニヤニヤニヤ

あすみ 「峠を攻めに来たはいいけど、ガソリンの残量が少ないのを忘れていてガス欠、ですか」

真冬 「きっ、禁止! そう何度も言わなくてもいいでしょう、小美浪さん!」

真冬 「それに私は峠を攻めたりなんかしません! ちょっとドライブに来ただけよ!」

成幸 「ま、まぁまぁ。なんにせよ良かったですね。旅館の人にガソリンを分けてもらえて」

真冬 「その上、予備校の方にバーベキューにまで混ぜてもらってしまって……申し訳ないわ」


―――― 『ああ、一ノ瀬学園の先生ですか! 休暇中に生徒たちの様子を見に来るだなんて、熱心な先生ですね!』

―――― 『ぜひバーベキューに参加していってください! 生徒たちも喜ぶでしょう!」


真冬 (……予備校の先生にも盛大な勘違いをされてしまったわ。恥ずかしい……)

あすみ 「いやぁ、さすがは熱心ですね、真冬センセ?」

真冬 「や、やめなさいっ! 小美浪さん!!」

あすみ 「にひひひっ」

497 : 以下、名... - 2019/10/15 21:58:40 yuN6bUJk 9/24

成幸 「ど、どうどうどう。先生、落ち着いてくださいよ」

成幸 「それに先輩もあんまりからかわないでください」

あすみ 「へいへい。わかったよ」

真冬 「……オホン。当然、最初からずっと落ち着いているわ」

成幸 (どこがだよ……)

成幸 「ところで、こんな奥にいないで、せっかくのバーベキューですし、何か食べに行きましょうよ」

真冬 「不可。そんなことできないわ」

成幸 「? どうしてですか?」

真冬 「あなたたちがいるということは、ここにはあの子たちもいるのでしょう?」

成幸 「あの子たち……? ああ、古橋と緒方ですか? まぁ、いますけど……」

真冬 「このバーベキュー、勉強合宿の最終日、最後の息抜きだと聞いているわ」

真冬 「あの子たちも、せっかくがんばった最後の息抜きに、私の顔なんか見たくないでしょう?」

成幸 「先生……」

真冬 「だから私はお誘いの面目が立つ間くらいここにいるわ。こんな端にあの子たちも来ないでしょう」

498 : 以下、名... - 2019/10/15 21:59:10 yuN6bUJk 10/24

真冬 「……それに、まだあなたたちふたりに聞かなくてはならない話もあるし、ね」

ジロリ

真冬 「……さっきの話を詳しく教えてもらいたいのだけれど」

あすみ 「? さっきの話?」

成幸 「?」

真冬 「誤魔化そうとしたってそうはいきませんからね。さっき、とんでもないことを言っていたわね」


―――― 『人に無理矢理キスしようとしといて、そんなツレない態度を取るのな』

―――― 『それどう見ても先輩が俺にキスしようとしてるじゃないですか!』


成幸 「……!?」

あすみ 「あー……聞かれてたかー」

真冬 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

真冬 「……どういうことか、しっかり教えてもらうわよ」

499 : 以下、名... - 2019/10/15 22:00:27 yuN6bUJk 11/24

………………

文乃 「ふんふんふーん♪」

ムシャムシャムシャムシャムシャパクパクパクパクパクパク

文乃 「お肉も野菜もカレーもうどんもサイコー! やっぱり夏はBBQだね!」

文乃 「りっちゃんもうるかちゃんも楽しんでるみたいだし、先生方も粋なことしてくれるよねぇ」

文乃 「唯我くんも……って、そういえばさっきから見ないなぁ」

文乃 (先輩もいないし、ひょっとして……)

文乃 (……ふたりで、こんなときまで勉強してたりして)

文乃 「………………」

文乃 (あり得るなぁ……)

文乃 (勉強は良い事だけど、休むときはしっかり休まないとだよ)

文乃 (仕方ないなぁ……) クスッ (文乃お姉ちゃんがお肉でも持って行ってあげようかな)

文乃 「まったく、本当に……」

文乃 「手のかかる弟だなぁ、成幸くんは」

文乃 (さて、どこにいるのかな)

500 : 以下、名... - 2019/10/15 22:01:04 yuN6bUJk 12/24

理珠&うるか 「「………………」」 キョロキョロキョロ

文乃 「……? りっちゃん、うるかちゃん、どうかしたの?」

理珠 「あ、文乃。成幸さんを見かけませんでしたか?」

うるか 「見当たらないんだよねー」

文乃 「唯我くん? 偶然だね。わたしも探してたとこなんだよ」

文乃 (……ん? りっちゃんとうるかちゃん、うどんとカレーを持ってるけど、ひょっとして……)

文乃 「……ふたりとも、ひょっとしてそれ、成幸くんに持って行ってあげるのかな?」

理珠 「へっ? あ、いえ、べつに、その……」

アセアセアセ

理珠 「……そ、そうです。先ほどから見当たらないので、どうせ勉強でもしているのだろうと」

理珠 「うどん持って行ったら喜んでくれ――じゃなくて、食べるかな、と」 カァアアアア……

文乃 (おっ、乙女ーーーー!! 恋する乙女すぎるよりっちゃん!)

うるか 「べ、べつに成幸に喜んでほしいとかじゃないからね!」

うるか 「お腹空かせてたら可哀想だから、持って行ってあげるだけだかんね!!」

文乃 (こっちはこっちでテンプレ乙女ーーーー! ふたりとも可愛すぎるよ!)

501 : 以下、名... - 2019/10/15 22:01:42 yuN6bUJk 13/24

うるか 「……? ところで文乃っち、その大量のお肉は?」

文乃 「……へ?」

ハッ

文乃 「えっ、あ、いや、これは、その……」

うるか&理珠 「「………………」」 ジーーーーッ

文乃 (ど、どうしよう。成幸くんに持って行くつもりだったけど、この二人に知られたくないし……)

文乃 「も、もちろん自分用だよ。お肉美味しいから、いくらでも食べられちゃうね!」

うるか 「おー、さすが文乃っち。食べまくってんね」

理珠 「文乃ならフードファイターになれると思います。すごいです」

文乃 (ひ、人の気遣いも知らず、この子たちは……!)

文乃 「……ん?」

成幸 「……」

文乃 「あ、成幸くん。あんな茂みのほうで何やってるんだろ」

うるか 「? あ、ほんとだ」

理珠 「誰かと話しているのでしょうか。とりあえず行ってみましょうか」

502 : 以下、名... - 2019/10/15 22:02:32 yuN6bUJk 14/24

………………

真冬 「まさかとは思うけれど、あなたたち、不純異性交遊をしているのではないでしょうね」

成幸 「うぇっ!? な、なんでいきなりそんな話になるんですか!?」

あすみ 「いや、まぁキスだの何だのの話を聞かれてたらそうなるだろ」

成幸 「先輩はどっちの味方なんですかー!」

真冬 「……唯我君、きみは小美浪さんに無理矢理キスをしようとしたの?」

成幸 「してませんよ!」

真冬 「じゃあ、小美浪さん、あなたは唯我君にキスをしようとしたの?」

あすみ 「んー……」

ニヤァ

あすみ 「……まぁ、それを肯定してもウソにはならないかなぁ」

成幸 「先輩!? 何言ってんですか!」

真冬 「……! ふ、不潔! やはり不純異性交遊をしていたのね!」

あすみ 「えー、やだなぁ、センセ」 ムギュッ 「不純じゃないですよ?」

成幸 「うぺぇ!? な、何で抱きつくんですか、先輩!?」

503 : 以下、名... - 2019/10/15 22:03:21 yuN6bUJk 15/24

真冬 「!? 淫靡!! 離れなさい、小美浪さん!」 グイッ

成幸 「!?」

成幸 (ぎ、逆側から先生に……!?)

あすみ 「きゃー、センセったらだいたーん。先生も後輩に抱きつきたいんですか?」 グイッ

真冬 「か、からかわないでちょうだい! そんなわけないでしょう!」 グイグイ

あすみ 「どうだかなー?」 グイグイグイ

成幸 (り、両側から引っ張られて、やわらかいやら良い匂いやらで、何がなんだか……) フラフラ

文乃 「――成幸くーん? こんなところで何してるの?」

真冬 「!?」

シュバッ

成幸 「へ……? わっ……わわわっ……」 グラッ

あすみ 「……? のわっ……」

ドターーン!!!

文乃 「……? へ……?」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!! 「……本当に何をやってるのかな、きみは」

504 : 以下、名... - 2019/10/15 22:03:54 yuN6bUJk 16/24

成幸 「いてててて……」

成幸 「……ん?」

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

成幸 (……これはあくまで俺の推察だけれど)

成幸 (古橋たちの声が聞こえて、先生は慌てて俺の手を離して茂みに隠れて、)

成幸 (そのせいで先輩に一方的に引っ張られることになった俺は、そのまま先輩の方に引っ張られ……)

成幸 (結果として、先輩を押し倒しているような姿勢になってしまっている……のだろう)

文乃&理珠&うるか 「「「………………」」」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 「……ケダモノ」 ボソッ

成幸 「ち、違う! 断じて違うぞ! お前らは何か誤解をしている!」

理珠 「ほぅ。では成幸さんは、先輩を押し倒して何をするつもりだったのですか?」

成幸 「いや、べつに押し倒したつもりはないからな!?」

うるか 「成幸のヘンタイ! エッチ!」

成幸 「ストレートに傷つくからやめろ! 誤解だ!」

505 : 以下、名... - 2019/10/15 22:04:37 yuN6bUJk 17/24

あすみ 「……おい、後輩。とりあえず重いから、どけ」

成幸 「あ、は、はい!」 イソイソ 「すみません、先輩……」

成幸 (先生、いくら古橋と緒方に会いたくないからって、急に手を放さないでほしいよ……)

理珠&文乃&うるか 「「「………………」」」 ジトーーーーーッ

成幸 (おかげで変な誤解をされてるし、正直に話してしまいたいところだけど……)

真冬 「………………」 フルフルフルフル

成幸 (茂みからの視線がすごい……。これは、話しちゃダメなやつだよな……)

成幸 (さて、どうしたもんか……)

あすみ 「………………」 ハァ (……ったく。しゃーねぇ後輩と先生だな)

あすみ 「……お前ら、何か勘違いしてるみたいだが、お前らが考えてるようなことはないぞ」

あすみ 「つまずいた後輩がよろけただけだ。偶然、アタシを押し倒したようになっちまったけどな」

成幸 「先輩……」

うるか 「な、なんだぁ。それだけかぁ」 ホッ

理珠 「そ、そんなことだろうと思ってました」

文乃 「そうだよね。わたしはもちろん、そう思ってたよ、成幸くんっ」

506 : 以下、名... - 2019/10/15 22:05:54 yuN6bUJk 18/24

成幸 「お前ら、調子良いこと言うよなぁ……」

あすみ 「で、その食べ物、後輩のために取ってきてくれたんだろ?」

あすみ 「向こうのテーブルで食べるから、先待っててくれ。部屋に忘れ物があるんだ」

理珠 「分かりました! うどんもっと用意して待ってます!」

文乃 「肉も増やしておくね!」

成幸 「い、いや、それ以上はちょっと……」

うるか 「じゃ、待ってるねっ! 成幸! 先輩!」

トトト…………

あすみ 「……ふぅ。行ったか」 スッ 「出てきて大丈夫ですよ、真冬センセ」

真冬 「……感謝。うまく誤魔化してくれて助かったわ、小美浪さん」

あすみ 「ええ。後輩はアタシを押し倒した性犯罪者になりかけましたけどね」

成幸 「ぶっ……! 洒落にならんようなことを言わないでください!」

真冬 「……謝罪。急に手を放したのは申し訳なかったわ。ふたりともケガはないかしら?」

あすみ 「あれくらいでケガするようなヤワな身体はしてませんよ」

真冬 「そう……。よかったわ」

507 : 以下、名... - 2019/10/15 22:06:30 yuN6bUJk 19/24

真冬 「………………」

成幸 「……先生?」

真冬 「あの子たち、とても楽しそうね」

成幸 「へ……?」

理珠 「……」 うるか 「……」 文乃 「……」 ワイワイワイ

成幸 「ああ……」 クスッ 「ええ。勉強は大変そうでしたけど、でも、充実してましたよ」

成幸 「たくさん頑張ったから、今はすごく楽しいんだと思います」

成幸 「そう……」

あすみ 「せっかくなんだし、声でもかけてったらいいじゃないですか」

真冬 「迷惑。あの子たちは、大嫌いな私の顔などみたくもないでしょう」

成幸 「そ、そんなこと……」

真冬 「………………」

クルッ

真冬 「予備校と旅館の方に挨拶をして帰るわ。これ以上、あの子たちと接触するリスクは避けたいから」

あすみ 「あれ、先生? キスのことはいいんですか?」 ニヤァ

508 : 以下、名... - 2019/10/15 22:07:17 yuN6bUJk 20/24

成幸 「……!?」 (何でわざわざ蒸し返すんだ先輩!?)

成幸 (いや、間違いなく俺が困る様を見るためだろうけど!!!)

真冬 「………………」

成幸 「ち、違うんですよ先生! キスも何もないです! 俺と先輩はそういう関係じゃ……――」

真冬 「――……不問。キス云々のことは、とりあえずおいておくことにするわ」

成幸 「……って、へ?」

真冬 「あなたの帰りが遅くなると、またあの子たちが探しに来るわ。だから、仕方なく、よ」

ジロリ

真冬 「ただし、不純異性交遊は絶対に許しませんからね」

成幸 「先生……」

あすみ 「……だってさ、後輩?」 ニヤリ 「じゃ、不純じゃない交遊としゃれ込むか?」

成幸 「良い感じの話で終わりそうだったのに何でそう蒸し返すんですかー!!」

あすみ 「……とまぁ、後輩からかうのはこれくらいにして、と」

あすみ 「……真冬センセ」

真冬 「……? 何かしら?」

509 : 以下、名... - 2019/10/15 22:07:58 yuN6bUJk 21/24

あすみ 「あいつら、べつに先生のこと嫌ってなんかいないと思いますよ」

真冬 「っ……。何の根拠があって、そんなことを言うのかしら」

あすみ 「根拠と言われると弱いですけど……」

あすみ 「アタシも散々進路変えろって先生に言われましたけど、」

あすみ 「……アタシ、べつに真冬センセのこと嫌いじゃないですよ?」

真冬 「………………」

カァアアアア……

真冬 「……し、主観。客観性に乏しい、ただのあなたの感想だわ、それは」

あすみ 「ま、そりゃそうか」 クスクスクス……

真冬 「……失礼するわ。邪魔したわね。唯我君、小美浪さん」

トトトトト……

あすみ 「……結局何も食べずに行っちゃったよ。ま、緒方たちがいるなら仕方ないか」

成幸 「………………」 ニヤニヤニヤ

あすみ 「……あんだよ、後輩。その生暖かい目は」

成幸 「いや、先輩も優しいところあるなぁ、って……」 ニヤニヤニヤ

510 : 以下、名... - 2019/10/15 22:08:33 yuN6bUJk 22/24

あすみ 「ほーぅ。いい度胸だな、後輩」

あすみ 「今度真冬センセにあることないこと吹き込んでやろうか?」

成幸 「じ、冗談です! それだけは勘弁してください!」

あすみ 「……ったく。すぐヘタれるようじゃアタシに喧嘩売るのは百年はえーっての」

あすみ 「………………」

あすみ 「……なぁ、後輩」

成幸 「……? なんですか?」

あすみ 「いつか、センセと緒方たち、フツーに話ができるようになるといいな」

成幸 「………………」

成幸 「……はい、本当にそう思います」

成幸 (……本当に、いつになるか分からないし、そんなときが来るのかも分からないけど、)

成幸 (あのまっすぐな奴らと、まっすぐな先生が、一緒に笑い合えるような日がくれば、いいな)

おわり

511 : 以下、名... - 2019/10/15 22:13:47 yuN6bUJk 23/24

………………幕間1 「別腹」

うるか 「あ、センパイ! 成幸! 遅いよもー!」

あすみ 「悪い悪い。ちょっと手間取ってさ」

理珠 「先輩の分も取ってありますから、存分に食べてください」

成幸 「ああ、ありがとな……って……」

ドーーーーーン

成幸 「な、なんだこの肉の量は……」

文乃 「へ? 成幸くん、男の子だからたくさん食べるかなと思って、一人前+α取っておいたよ?」

文乃 「ちょっと多かったかな? じゃあ私も一緒に食べるね!」

うるか 「あれだけ食べてまだ食べるの文乃っち……」

文乃 「もちろん! お日様の下で食べるお肉は別腹だよねー!」 ムシャムシャムシャ

あすみ 「ツッコむ気も湧かねーな……」

おわり

512 : 以下、名... - 2019/10/15 22:14:20 yuN6bUJk 24/24

………………幕間2 「姉弟」

あすみ (……ん、そういや結局姉弟云々のこと後輩に聞きそびれちまったな)

あすみ (ったく。何が姉弟ごっこだよ。アタシは後輩が弟なんてご免だけどな……)

ポワンポワンポワンポワン………………

成幸(弟) 『あすみ姉ちゃん、受験頑張ろうな!』

成幸(弟) 『大丈夫だよ! 姉ちゃんなら絶対国立医学部受かるよ!』

成幸(弟) 『えへへ。姉ちゃんのために、対策プリントたくさん作ったからな』

成幸(弟) 『俺、姉ちゃんの作ってくれるご飯大好き! 姉ちゃんの料理は世界一だな!』

成幸(弟) 『いつもありがとな、姉ちゃん。姉ちゃん、大好きだよ!』

………………ポワンポワンポワンポワン

あすみ 「………………」 ハッ 「……あ、アタシは何考えて……ん?」

ツーーーーーポタッ……

あすみ 「な、何で鼻血が……」

おわり

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