―中学校―
教師「委員長」
委員長「はい?」
教師「今日から転校してきた子なんだ。学校の案内とかしてやってくれないか?」
雪少女「おはようございます!」
委員長「あ、はい!いいですよ!じゃあ、行きましょうか?」
雪少女「はい!よろしくおねがいします」
委員長「どこから案内しようかなぁ……よし、向こうから―――」
雪少女「あ……」
委員長「ひぃ!?」
委員長(な、なに……?手がすっごく冷たかった……)
元スレ
委員長「転校生がなんか冷たいんだけど」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320118070/
委員長「えっと……」
雪少女「ふふ」
委員長「な、なに?」
雪少女「いえ、貴女の手……すごく温かったから」
委員長「そ、そう?」
雪少女「はい」
委員長「……つめたっ!!」
雪少女「そ、そんなに冷たいですか?」
委員長「う、うん……冷え性?」
雪少女「んー……では、手袋します」
雪少女「はい。これで手を握っても大丈夫ですよ?」
委員長「そ、そうだね」
委員長(なんか変な子)
委員長「えっと、ここが音楽室で……」
雪少女「はい」
委員長「向こうが美術室」
雪少女「はい」
委員長「……」
雪少女「なんですか?」
委員長「いや、いつまで手を握ってればいいのかと」
雪少女「うふ……あのぉ」
委員長「はい?」
雪少女「私とお友達になってもらえませんか?」
委員長「え、うん。勿論だよ。むしろ私からお願いしたいぐらいで」
雪少女「うれしい!!ありがとうございます!!!」
委員長「ひゃぁぁぁぁ!!!!!だきつかないでぇぇぇ!!!こごえるぅぅぅ!!!」
雪少女「あ、ご、ごめんなさい……つ、つい……」
委員長(体温が低いとかそんな話じゃない……)
雪少女「……あ、の……大丈夫ですか?震えてますけど……」
委員長「う、うん……ちょっと……寒いだけ……」
雪少女「すいません……」
委員長「い、いいよ……大丈夫……だから……」
雪少女「……はぁ」
委員長(あ、ダメダメ!!転校初日で嫌な思いなんてさせちゃあ)
委員長「気にしないで!!私、寒いの苦手じゃないし!!」
雪少女「え!本当ですか!?」
委員長「うん!!もうね、裸で真冬を乗り切ろうと思ってるぐらいで!!」
雪少女「すごい!すごい!!―――やっとみつけた……私の理想の友達……うれしい」
委員長「えっと……」
雪少女「……えへへ」
委員長「あ、えと……抱きつきは……なしで」
雪少女「……あぅ」
―教室―
教師「転校生だ。みんなよろしくしてやってくれ」
「「はーい」」
雪少女「みなさん、よろしくお願いします!!」
「かわいいー」
「肌しろーい」
友「転校生レベル高いね」
委員長「ぅぅぅ……」
友「どうしたの?震えてるけど」
委員長「いや……気にしないで」
友「そう?」
委員長(結局、あれから二度も抱きつかれて……体の震えがとまんない……)
教師「席は委員長の隣な」
雪少女「はーい」
雪少女「よろしくおねがいします!」
委員長「う、うん」
友「よろしくね!」
雪少女「はい!」
友「委員長とはもう仲良くなれた?」
雪少女「はい。委員長さんはいい人です」
友「だよね。まあ、少しお人よしな面もあるけど」
雪少女「うふ……私の理想のお友達です」
委員長「あ、ありがとう……」
友「私、委員長とは幼馴染なんだ。これからよろしくね」
雪少女「はい!」
委員長「あ!握手は―――」
友「きゃぁ!?―――冷たい?!」
雪少女「す、すいません!!手袋忘れてました。――はい、握手」
友「あ、うん……」
―1限目 数学―
教師「では、ここの問題を――」
雪少女「はい!!」
教師「お、元気だな。よし、転校生」
雪少女「5です!!」
友「おぉ。すごい」
委員長「う、うん」
雪少女「ふふーん」
教師「……全然違う」
雪少女「あぅ」
友「どっからその答えが……」
委員長「自信満々で答えるところがすごいね」
友「うん」
―2限目 国語―
教師「では、この漢字の読みを―――」
雪少女「はい!!」
教師「あ、はい。じゃあ、君」
雪少女「はい!……め、しん、です!!」
教師「……『目深』はまぶかと読むんだ」
雪少女「そ、そうですか……また一つ、かしこくなりました……」
友「ど、どんまい!」
委員長「う、うん!」
雪少女「ありがとうございます」
友「(ねえ、もしかして……)」
委員長「(しっ!!)」
―3限目 世界史―
教師「14世紀から16世紀初めにメキシコで栄えた王国はなんていうか。わかるやつ」
雪少女「はい!」
委員長「ちょ!?大丈夫?」
雪少女「はい!」
友「……」
教師「じゃあ、答えてみて」
雪少女「ユダ王国です!!」
委員長「あちゃー」
友「はぁ……」
教師「全然、違う」
雪少女「バカな!?」
―4限目 英語―
教師「明日、アナタの家に遊びに行ってもいいですか?―――これを英文にしてください」
雪少女「はい!!」
委員長「え?」
友「あ、いやいや、これはノートに書けばいいから」
雪少女「トゥモロー……ユー……」
委員長「もう黙って!!」
雪少女「むぐ!?」
委員長「きゃ!?つめたい!?」
雪少女「あ、そんな急に口を塞ぐから……霜焼けになりますよ?」
委員長「霜焼け?!」
教師「はい。そこ、静かに」
委員長「す、すいません」
雪少女「ごめんなさい」
―昼休み―
友「ごはんたべよう!」
委員長「うん。あ、一緒に食べよう!」
雪少女「あ、はい」
委員長「どうしたの?元気ないね」
雪少女「いや……なんか、委員長さんに恥ずかしいところばかりを見せてしまったようで」
委員長「ううん。間違いは誰にだってあるよ」
雪少女「委員長さん……やさしい……♪」
委員長「きゃぁぁ!!!腕に抱きつかないで!!」
雪少女「あ、うっかり」
友「わざとでしょ、今のは」
雪少女「えへ」
委員長「うぅ……ホットのお茶でも買ってくる……」
委員長「……ただいま」
雪少女「おかえりなさい」
委員長「ところでどうして、そんなに……冷たいの?」
雪少女「え?あ、いや……私、普通の人より体温が低くて」
友「平熱は?」
雪少女「んー……マイナス……」
委員長「マイナス?」
雪少女「あ、いえいえ。27度です」
友「低いな……大丈夫なの?」
雪少女「私の住んでいた地域では普通でした」
委員長「どこに住んでたの?」
雪少女「ヒマラヤ……」
友「ヒマラヤ?」
雪少女「いえ!平山市です」
委員長「ど、どこ?」
雪少女「うぅ……」
友「(ちょっとかわってるね)」
委員長「(ほら、可愛い人はなんか天然だって言うし)」
友「(そ、そうなの?)」
委員長「(多分)」
雪少女「あの……なんのお話を?」
委員長「あ、ううん!なんでもないよ!」
雪少女「そう、ですか?」
友「あ、つぎ体育だ。急いで食べなきゃ」
委員長「そだね」
雪少女「体育……」
―更衣室―
雪少女「……」
委員長「どうしたの?さっきから体操服を眺めてるけど」
雪少女「あの。ブルマーじゃないんですか?」
委員長「ブルマー?」
雪少女「はい」
委員長「いや。短パンにジャージだよ、普通は」
雪少女「ブルマーがよかった……」
委員長「なんで?」
雪少女「ほら……生足がこう……」
委員長「鼻の下伸びてるから」
雪少女「委員長さんだけでもブルマーに……ここにありますから!!」
委員長「や、やめてよ……」
雪少女「にがしません……」
委員長「ひぃぃ!!」
―グラウンド―
雪少女「うーん……外はいいですねー!」
友「ジャージなしって寒くないの?」
雪少女「むしろ服を着てるぶん暑いです」
友「えぇ……」
委員長「変なの」
教師「じゃあ、今日は持久走をするからな」
「「えー」」
友「かったるいのはいやなんだけど……」
委員長「そう?走ってるだけだから私は好きだな」
友「単調な作業が好きだもんね」
雪少女「よーし!がんばって42.195キロをめざしますよー!!」
―15分後―
雪少女「ひぃ……はぁ……」
委員長「あ、大丈夫?」
友「無理しなくてもいいから」
雪少女「す、すいません……わ、たしにペースをあわせ、ごほっ!ごほっ!!おぇ」
委員長「う、うん……気にしなくてもいいよ。ゆっくり行こう、ね?」
雪少女「いいんちょうさん……好き♪」
委員長「ぎゃあ!!?抱きつかないで!?」
雪少女「あらら」
委員長「折角、良い感じに体が熱くなってたのに……」
友「体温あがらないんだ。運動しても」
雪少女「え、ええ……そうなんです。不思議ですよねー」
委員長「うぅ……寒いからちょっとペースあげる」
雪少女「あ、まってくださいよぉ!」
―更衣室―
「疲れたねー」
「ほんとほんと」
友「ふう……」
委員長「あ、私トイレ」
雪少女「あの、私も」
委員長「一緒にいこっか」
雪少女「はい」
友「じゃあ、私荷物持って行っとくよ」
委員長「ありがとう。ごめんね」
雪少女「お願いします」
友「あいよー」
―トイレ―
委員長「ふんふーん」
ガチャ……バタン
雪少女「……ここ、トイレ?」
雪少女「椅子みたい……」
バタン
委員長「はぁ~♪」
雪少女「……あの!!」
委員長「んー?どうしたの?」
雪少女「ここ、水が溜まってますよ!?」
委員長「は?」
雪少女「こ、このままおしっこしたら……えと……大変なことに……」
委員長「どういうこと?」
雪少女「うぅ……実家のトイレじゃないと……これは……」
委員長「ねえ、大丈夫ー?」
雪少女「委員長さーん」
委員長「うわぁぁぁ!!!上からのぞかないでよ!!!」
雪少女「あ、すいません」
委員長「まったく」
雪少女「じー」
委員長「こら!!」
雪少女「す、すいません!!つい!!」
委員長「全くもう……」
ジャー……
委員長(悪い子じゃないんだろうけど……)
雪少女「あ、あれ!?委員長さん、でちゃったんですか!?」
委員長「うん?早くしたほうがいいよー」
雪少女「……わ、わかりました!!」
委員長「……?」
雪少女「―――す、すいません。お待たせしました」
委員長「どうかしたの?」
雪少女「い、いえ……まあ、他の人のおしっこで溶けるかなぁって」
委員長「どいうこと?」
雪少女「な、なんでもないです」
委員長「なら、いいけど」
雪少女「ところで次の授業は?」
委員長「えっと、美術だね」
雪少女「あ、じゃあ美術室に?」
委員長「うん」
雪少女「じゃあ、急ぎましょう!」
委員長「手袋!!」
雪少女「おっと……はい」
委員長「よ、よし……行こう」
「きゃぁぁあ!!!!なにこの便器!?!?凍りついてる!?!?」
―6限目 美術―
教師「では、今日はこの木を彫刻刀で掘ってください」
「「はーい」」
教師「指などを切らないように気を付けてくださいね」
友「うーん……どんな風に掘ろうかな……」
委員長「むずかしいよね」
雪少女「ふん!ふん!!」
委員長「ご、豪快だね……危なっかしいほどに」
雪少女「そうですか?こう、インスピレーションが浮かんで来ちゃって……ふん!ふん!!」
委員長「あ、あぁ……なんか怖い……」
友「そんな過保護にならなくても……」
委員長「だ、だって……」
雪少女「ふん!!ふん!!―――いた!?」
委員長「ほら!!大丈夫!?」
雪少女「あ、だ、だいじょうぶです!!」
委員長「みせて!」
雪少女「うぅ……」
委員長「つめたっ……!!―――結構、ざっくりいってるなぁ」
雪少女「あ、あのそれ以上、素手で触ってると火傷しちゃいますよ……?」
委員長「先生!!」
教師「どうしたの?」
委員長「保健室に連れて行きます」
教師「指を切ったのね。いいわ、おねがい」
委員長「ほら、いこう」
雪少女「は、はい……」
友「……」
友「ん……?」
友「なんだ……落ちた血が光ってる……」
友「つめたい……凍ってる?」
―保健室―
委員長「失礼しまーす」
委員長「誰もいない……仕方ないね」
雪少女「あの……もう、私に触れない方が……」
委員長「水で傷口を洗わないとね?」
雪少女「はい……」
委員長「そこの水道で洗って。その間に消毒液とか準備するから」
雪少女「はい……」
委員長「えっと……あった、あった」
雪少女「……」
委員長「ほら、ベッドのとこに座って」
雪少女「はい」
委員長「染みるかもしれないけど、我慢してね」
雪少女「……」
委員長「あとは、ガーゼと包帯を……」
委員長「はい、できた。―――痛くない?」
雪少女「はい……」
委員長「なに?包帯の巻き方が下手とか言いたいの?」
雪少女「委員長さん……手……」
委員長「あ……こ、これくらい平気だよ」
雪少女「ごめんなさい……こんなに赤くなって……痛い、ですよね?」
委員長「少しだけだから」
雪少女「初日から……すいません……」
委員長「いいよ。気にしないの」
雪少女「委員長さん……」
委員長「まだ、痛い?もう少し、ここにいる?」
雪少女「はい……」
委員長「うん。じゃあ、あと少しだけいよっか」
雪少女「でも、授業は……?」
委員長「いーって。一回ぐらい欠席しても」
雪少女「委員長さん……」
委員長「んー?」
雪少女「……」
委員長「なによ?」
雪少女「き、訊かないんですか?」
委員長「なにを?」
雪少女「わ、私が何者か……」
委員長「訊いたら、教えてくれる?」
雪少女「……」
委員長「言いたくないことをわざわざ訊いたりしないよ、私は」
雪少女「委員長さん……」
委員長「友達、だもんね?」
雪少女「ともだち……」
委員長「違った?」
雪少女「い、いえ!!そ、その通りです!!」
委員長「ふわぁぁ~」
雪少女「そろそろ、戻ります?」
委員長「もういいや。あと10分だし」
雪少女「そうですか」
委員長「うん……ちょっとねちゃおっと」
雪少女「……」
委員長「……」
雪少女「…………んー」
委員長「なに顔を近づけてるの?」
雪少女「え……」
委員長「……」
雪少女「あ、ほら……こういうときは……なんか、顔を近づけたくなるっていうかぁ」
委員長「ふーん」
雪少女「あははは」
―教室―
友「あ、お帰り」
委員長「ごめんね。また荷物を」
友「それはいいけど、大丈夫だった?」
委員長「うん」
雪少女「こ、この通り」
友「そっか」
委員長「さてと、帰る準備でもしようかなぁ」
友「だねー」
雪少女「あ、あの……」
「委員長ー、ちょっといいかなー?」
委員長「なにー?」
雪少女「あ……」
友「ねえねえ」
雪少女「はい?」
友「これ……貴女の血なんだけど」
雪少女「!?」
友「なんでか凍ってるんだよね。しかも解けないし」
雪少女「そ、それは……」
友「どうしてなの?」
雪少女「えと……」
友「雪女……とか?」
雪少女「ななな、なにをいっておりますか!!ゆ、雪女なんていいい、いるわけないじゃないですか!!」
友「分かりやすい……」
雪少女「も、もう……ま、漫画の読みすぎですよ!」
友「そ、そう?」
雪少女「はい!!」
友「……」
雪少女「……あぅ」
委員長「じゃあ、また明日ね」
友「また雑用?」
委員長「まあね」
雪少女「お疲れさまです」
委員長「さよなら」
雪少女「はい」
友「バイバーイ」
雪少女「……」
友「ん?」
雪少女「あの……」
友「な、なに……そ、そんなに見つめないでよ……」
雪少女「なんでもしますから黙っていてくださいね!!お願いします!!」
友「は??」
雪少女「約束ですよ!!」
友「う、うん……」
―翌日―
委員長「おはよ!」
雪少女「あ、おはようございます!」
委員長「どうかした?」
雪少女「な、何もきいてません?」
委員長「なにが?」
雪少女「い、いえ、何も聞いてないなら……いいんです」
委員長「ん?」
雪少女「……」
友「おーっす!!」
雪少女「……!?」
委員長「おはよう!」
友「うん!おはよ!」
雪少女「……あ、さ、さきにいきます!!」
委員長「あ……どうしたんだろう?」
―昼休み―
委員長「ごはん食べよ!」
友「うん」
雪少女「……」
委員長「ほら、こっちきなよ」
雪少女「……わ、私……食堂で食べます!!」
委員長「え……」
友「どうしたんだろう?」
委員長「……」
友「変な子だね」
委員長「そうだね……」
委員長(昨日と態度が一変してる)
委員長(嫌われるようなことしたかな?)
―数日後 教室―
「あの子、あんまりしゃべらないよね」
「うん。何考えてるかわかんないよね」
雪少女「……はぁ」
委員長(まずい……孤立し始めてる……)
委員長(なんとかしないと……)
委員長「ねえ」
雪少女「……な、なんですか!?」
委員長「あ、えと……転校初日以降、まともに喋ってくれないくなったから……なんでかなって」
雪少女「……」
委員長「ねえ……どうしたの?」
雪少女「……本当は知ってるんですよね?」
委員長「何が?」
雪少女「……その優しさが辛いんです!!うわーん!!」
委員長「えぇ!?なんで泣くの?!」
雪少女「わたしのことなんて、放っておいてください!!」
委員長「ちょ!!待ってよ!!」
委員長「なんなの?」
友「ん?あの子、泣きながら真珠を落としていったけどなんかあったの?」
委員長「真珠?」
友「ほら」
委員長「本当だ。綺麗……」
友「最近、なんか暗いよね」
委員長「うん……」
友「大丈夫かな?」
委員長「……私がなんとかするよ」
友「おお」
委員長「委員長として!――そして、あの子の友達として!!」
友「カッコいいな」
―数ヵ月後 12月 終業式―
教師「じゃあ、みんな体には気を付けてな」
「「はーい」」
委員長「……」
雪少女「……はぁ」
委員長(なんの進展もないまま、明日から冬休みか……)
委員長(もう完全に浮いちゃってるしなぁ)
委員長(みんなも半ば腫れものみたいに扱いだしたし……)
委員長「……はぁ」
友「帰ろうよ!」
委員長「う、うん」
友「そうだ。明日のクリスマスイヴは暇?」
委員長「……嫌なこと訊かないでよ……クリスマスイヴ……?」
友「うん。で、次の日はクリスマス!――毎年恒例のお泊り会、するっしょ?」
委員長「……そっか。それいい!!」
CM
委員長「……ねえ!!」
雪少女「……ひゃい!?」
委員長「明日、暇?」
雪少女「あ、あしたですか……ど、どうして?」
委員長「毎年ね、私の家でお泊りしてクリスマスパーティしてるんだけど、貴女もこない?」
雪少女「……」
委員長「……彼氏、いるの?」
雪少女「……いません」
委員長「なら、いいよね?」
雪少女「でも、ご迷惑じゃあ」
委員長「いつも二人だから、そんなことないよ」
友「一緒にパーティしようよ」
雪少女「……えっと……はい」
委員長「よかった」
雪少女「……」
―通学路―
友「プレゼントどうしよっかなぁ」
委員長「ふふ、いつも迷うよね」
雪少女「……プレゼント?」
友「クリスマスプレゼントに決まってるじゃない」
雪少女「はぁ」
委員長「知らないの?」
雪少女「……すいません」
委員長「クリスマスには仲良しの人にプレゼントをあげる習慣があるの」
雪少女「そうなんですか?」
友「というか、なんで知らないの?」
雪少女「えっと……こっちの文化に馴染みがなくて」
委員長「……こっちて」
友「……?」
雪少女「し、しってるくせに……」
委員長「じゃあ、私こっちだから」
友「じゃあ、明日は……」
委員長「夜の6時から!」
友「おっけー!」
委員長「バイバーイ!!」
雪少女「さ、さよなら……」
友「さてと、明日朝の10時に駅前ね」
雪少女「……え?」
友「クリスマスプレゼント、一緒に選ぼう」
雪少女「でも……」
友「いや?」
雪少女「い、いえ……」
友「なら。約束」
雪少女「……はい」
友「……」
―委員長宅―
委員長「プレゼントはどうしようかなぁ」
ピリリリ
委員長「はーい、委員長だよー」
友『明日、10時に駅前!!』
委員長「プレゼント選び?」
友『そそ』
委員長「いいよー」
友『じゃあ、遅れないようにしてね』
委員長「りょうかいっす」
友『でわでわ~』
委員長「……プレゼント選びか」
委員長「まぁ、相手の欲しいものわかるしいいけど」
―翌日 駅前―
雪少女「……」
委員長「……あれ?」
雪少女「い、委員長さん!?」
委員長「どうしたの?」
雪少女「あの……呼ばれたので……」
委員長「そうなんだ」
友「おっはよー」
委員長「結局、朝から遊ぶのね」
友「その方がいいじゃん?」
委員長「ま、そうかな」
雪少女「……」
委員長「さ、いこ!」
雪少女「あ……はい」
―ショップ―
友「私、向こうみてくるー」
委員長「もう勝手に……」
雪少女「……(キョロキョロ」
委員長「あ、ダメダメ」
雪少女「え?」
委員長「ほら、手」
雪少女「あの……」
委員長「迷子になるよ?」
雪少女「そ、そんな子どもじゃないです!!」
委員長「一緒に選ぼうか」
雪少女「は、はい」
委員長「どれもかわいいねー」
雪少女「そ、そうですね」
委員長「あ、これいいかも」
雪少女「なんですか?」
委員長「ほら、白ウサギの置物」
雪少女「かわいい……」
委員長「これ、貴女のプレゼントでいいかな?」
雪少女「えぇ!?」
委員長「どうしたの?」
雪少女「そ、そんな高価なもの……悪いです」
委員長「500円なんだけど」
雪少女「い、いいんですか?」
委員長「もちろん!」
雪少女「……あの、どうして私に構ってくれるんですか?」
委員長「え?」
雪少女「知っているんですよね……私のこと」
委員長「何の話?」
雪少女「わ、私が……その……人間じゃないって」
委員長「はい?」
雪少女「ゆ、雪女……だって……」
委員長「ゆきおんな?」
雪少女「はい……」
委員長「意味がわかんないけど」
雪少女「え?」
委員長「え?」
雪少女「あの……聞いたんじゃないんですか?」
委員長「誰から何を?」
友「決まったのー?」
雪少女「この人から、私が雪女だって」
友「何の話だ」
委員長「いや、何もきいてないけど?」
雪少女「え?ほ、本当に?」
委員長「うん」
友「何の話?」
雪少女「そ、そうなんですか……お母さんは人間はすぐに言いふらすって言ってたのに……」
委員長「よくわかんないけど。雪女ってどういうことなの?」
友「雪女?」
雪少女「わ、私……てっきり正体がばれたかと思って……それであの……嫌われたんじゃないかって」
委員長「ちょっと待って。貴女、雪女なの?」
雪少女「は、はい」
友「えー?!!」
雪少女「いやいや、貴女は気が付いてましたよね!?」
友「あ、いや……別に思いつきで言っただけなんだけど」
雪少女「なんですと……?」
委員長「雪女……だから体が冷たいのね?」
雪少女「そ、そうです……」
委員長「でも、今までずっとお昼とか誘ってたんだし、嫌ってないってわからなかった?」
雪少女「そ、それは……委員長という立場上仕方なくやっているんだと」
委員長「な……」
雪少女「だから、その……なるべく負担をかけまいと避けてたんですが」
委員長「………」
雪少女「ご、めんなさい」
委員長「……ねえ」
雪少女「は、はい」
委員長「じゃあ、私のこと好き?」
雪少女「え……」
委員長「嫌いじゃない?」
雪少女「も、もちろん……だって、委員長さんは優しいし……き、きらいになんて……」
委員長「よかったぁ……ぐすっ……ほんとうにぃ……」
雪少女「い、委員長さん!?ど、どうしたんですか!?」
友「ずっと気にしてたんだよ?貴女に嫌われたかもしれない。何かしたんじゃないかって」
雪少女「委員長さん……ごめんなさい……私……知らずに……」
委員長「いいの……嫌いじゃないなら……それで」
雪少女「はい……」
友「じゃあ、プレゼント選んじゃおう」
委員長「うん」
雪少女「……」
委員長「どうかした?」
雪少女「いえ……どれがいいか迷います」
委員長「なんでもいいよ?貴女の気持ちがこもっていればね」
雪少女「私の気持ち……あ、じゃあ、手作りでもいいですか?」
委員長「え?今から?」
雪少女「はい!!」
委員長「ま、間に会うなら」
雪少女「がんばります!!」
委員長「う、うん」
―夜 委員長宅―
友「ではー、女だらけのクリスマスイヴがはじまりましたー」
委員長「いえーい」
友「来年こそはこの会が開かれないことを切に願いながらカンパーイ!!」
委員長「ねえ、あの子は?」
友「……いないね」
委員長「どうしたんだろう……手作りのプレゼントにするっていってたけど」
友「間に合わなかったのかな?」
委員長「まあ、そのうち来るよね」
友「家も教えたしね」
委員長「それじゃあ、お先に」
友「うん!」
委員長「カンパーイ」
友「すやすや……」
委員長(もう1時だ……)
委員長「はぁ……やっぱり、嫌われてたのかなぁ」
雪少女『ご、ごめんくださーい』
委員長「え!?」
雪少女『あ、あけてくださーい』
委員長「ベランダから声が……」
ガラッ
雪少女「すいません、遅くなりました」
委員長「遅すぎるよ!」
雪少女「ごめんなさい」
委員長「もう来ないかと思ったじゃない」
雪少女「これ……掘ってたら時間かかって……」
委員長「な、なにこれ……私の氷像!?」
雪少女「は、はい……八分の一サイズです」
委員長(気持ちは嬉しいけど……)
雪少女「……」
委員長「これ、どうやって作ったの?」
雪少女「え!?」
委員長「やっぱり氷を削って?」
雪少女「い、いえません……」
委員長「なんで?」
雪少女「すいません……企業秘密です」
委員長「……?」
雪少女(氷がなかったからおしっこで代用したなんて絶対に言えない)
委員長「まあいいか。ありがとう。私の為にがんばってくれたんだもんね」
雪少女「はい、がんばって出しました」
委員長「出した?」
雪少女「あ、いえ……なんでもありません!!」
委員長「変なの。ほら、こっちきて。お腹すいたでしょ?」
雪少女「―――はぁ、お腹一杯」
委員長「あ、これ。メリークリスマス」
雪少女「あ、白ウサギ♪」
委員長「大事にしてね?」
雪少女「はい!末代まで受け継がせます」
委員長「そこまで大事にされると恥ずかしいね」
雪少女「えへへ……かわいい」
委員長「……」
雪少女「な、なんですか?」
委員長「暖房、あついでしょ?」
雪少女「そ、そんなことは……」
委員長「こっちきて」
雪少女「は、はい」
―空き部屋―
雪少女「あ♪」
委員長「ここなら涼しいでしょ?」
雪少女「でも……委員長さんが寒いんじゃあ」
委員長「大丈夫。厚手の服とか着てるし、重ね着してるから」
雪少女「委員長さん……」
委員長「隣、座ってもいい?」
雪少女「はい」
委員長「……これから、もっと学校でもお喋りしようね?」
雪少女「……はい」
委員長「もう、嫌だからね?避けられるの」
雪少女「……はい」
委員長「……」
雪少女「……」
委員長「……なに?」
雪少女「……あ、いえ……」
委員長「そういえば、保健室で顔近づけてきたことがあったよね?」
雪少女「……あ」
委員長「……あの続き、しよっか?」
雪少女「え?!いや……だめです!!」
委員長「別にいいじゃない。女同士ならノーカンでいいし」
雪少女「いや……あのときは、その……考えなしにしようとしただけで……」
委員長「ほら……」
雪少女「あ……だめ……」
委員長「……ん」
雪少女「んむ……」
委員長「……」
雪少女「……」
―翌朝―
友「ふわぁぁ~」
友「あれ?いない……?」
友「おーい!!」
雪少女「……」
友「うわぁ!?」
雪少女「……どうしたいいのでしょうか?」
友「なに?」
委員長「……」
友「おはよ。どうしたの俯いて?」
委員長「……」
友「ほら、顔あげなよ」
委員長「……あ」
友「……ど、どうしたの?その唇……なんか……腫れあがって……」
委員長「うるふぁい」
友「で、どうしたらそんな唇だけ霜焼けに?」
雪少女「……それは」
委員長「……別にいいでしょ」
友「ははーん……じゃあ、私トイレー」
雪少女「あ……トイレは……」
委員長「……責任取ってよね?」
雪少女「え……?」
委員長「これからずっと友達でいてくれないと、許さないからね」
雪少女「……はい……そんな責任の取り方ならいくらでも……」
委員長「……ふん」
雪少女「……委員長さん……」
友「きゃぁぁぁぁ!!!!便器が凍ってるぅぅぅ!!!!」
委員長「……前言撤回」
雪少女「そ、そんな!?!あぅ……だから近代トイレはいやなんですぅ!!」
おわり。