1 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:07:51.31 ZzM6qvjN0 1/28


お人形さん。

私はお人形さん。
いつもは人間だけど、二人っきりの夜はお人形さん。

抵抗すれば出来るのかもしれません。
だけど、悲しませたくない、笑顔を奪いたくない
ただ喜んでもらえれば、私は良かったからだと思います。


今日もその時間がやってきました。
慌しく重い音を響かせ階段を駆け上がってきます。


そして勢いよく扉を開けました。




3 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:12:25.08 ZzM6qvjN0 2/28


「はぁーはぁー……ただいまぁ~」

「今日はちょっと遅くなっちゃったよ」

「だってね――」

一方的に話し続けるお姉ちゃん。
その間、私は相槌もしません。
ただひたすらお姉ちゃんの目を見つめているだけです。

お姉ちゃんは今日学校であったこと、部活のこと、楽しかったこと
満面の笑みで喋り続けます。


5 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:15:53.84 ZzM6qvjN0 3/28


「あー、また後ろ髪縛ってる」

「ほらこれでオッケー」

お姉ちゃんが私の短いポニーテールの紐を取りました。
髪を降ろせばお姉ちゃんそっくりです。

「あぁ……やっぱりかわいい」

「かわいいよういー……」

「髪、整えてあげるね」


8 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:21:02.01 ZzM6qvjN0 4/28


お姉ちゃんが丁寧に髪を梳いてくれます。
使う櫛はいつもお姉ちゃんの櫛です。
お姉ちゃんに髪を梳かれると、とても気持ちよくなります。

お姉ちゃんはいつもいつも、かわいいかわいいと言いながら
髪を梳いてくれるので私も満更でもありません。

髪を梳いている時の顔は真剣に見えつつ、とても無邪気です。

そんな顔を目で追いかけます。
とても近くに顔があるのでちょっと顔が赤くなっちゃいますね。


10 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:23:55.45 ZzM6qvjN0 5/28


「ういーできたよぉ」

「えへへ~私そっくり」

どうやら整え終わったようです。
お姉ちゃんの大きな瞳にうっすら映る私は、お姉ちゃんそっくりです。

「あぁ……うい……ういぃ……」

「かわいいよ……何でこんなにかわいいのぉ」


12 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:28:28.73 ZzM6qvjN0 6/28


お姉ちゃんは目を輝かせ、子供のようにはしゃぎます。
そしてそのまま私に頬擦りをしてきました。

「うい……ういぃ……」

ぎゅっと体を抱きしめ、ひたすら頬を合わせてきます。

「はぁ……はぁ……」

何十回も頬擦りをしたためでしょうか、とても興奮しているようです。

そんな興奮を落ち着かせるためでしょうか
お姉ちゃんはひたすら私の体にしがみ付いています。



18 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:33:12.63 ZzM6qvjN0 7/28


「ういー、ちゅーだよぉ」

お姉ちゃんは、私を軽く押し倒してきました。

いつものように頬擦りの後はキスをしてきます。

最初はおでこに何回も何回もキスをします。
おでこばかりだとくすぐったくてしかたないですね。

そしてそのままなぞるようにおでこから鼻、頬へ唇で伝い
今度は頬に何回も何回もキスをします。


21 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:38:03.29 ZzM6qvjN0 8/28


「はぁはぁ……ういぃ」

見上げるお姉ちゃんの表情は恍惚としています。

薄目で私の名前を呼ぶと
そしてそのままお姉ちゃんの唇が私の唇に覆いかぶさりました

私の頬は、お姉ちゃんの両手で軽く添えられています。
お姉ちゃんは目を閉じてキスに夢中みたいです。

私も目を閉じ、今はこの時を楽しみました。



22 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:42:57.63 ZzM6qvjN0 9/28


あれからどれくらい時間が立ったのか分かりませんが
何十分も、何時間もキスをしている感覚でした。

「よかった……よかったようい~」

ようやく唇を離したお姉ちゃんは喜悦の声を上げました。
そしてそのまま次は私の服に手をかけます。

「うい~次はお着替えだよ」

「今日はどんな服がいいかな~」


23 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:47:31.72 ZzM6qvjN0 10/28


私は家に帰ってきてから着替えてませんので制服のままです。
そんな制服をお姉ちゃんは脱がしていきました。

「今日はこれがいいかな~?」

寝ている私の体に合わせるように服を置きます。

「ん~これじゃないな~」

「これはどうかな~」

「あ、これがいいかも!」

何回かの試行錯誤でようやく決まったようです。


25 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:53:33.37 ZzM6qvjN0 11/28


「ああ~やっぱりかわいいぃぃ……」

お姉ちゃんは喜色満面で抱きついてきました。
こんなに喜ばれると、こっちも嬉しいですね。

「ねっねっ、ご飯食べよう、ご飯」

「私持ってくるから待っててね」

キッチンには事前に私が用意していた夕食があります。
本当は出来立てがいいのですが……仕方ありません。


27 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 20:59:32.27 ZzM6qvjN0 12/28


「お待たせ~」

お盆にご飯を乗せて戻ってきました。

「今日も美味しそうなご飯ですよ~」

「はーい、食べさせてあげる~」

お姉ちゃんは唇にスプーンを押し付けるので私はゆっくり薄く口を開けます。
と同時にスプーンが突っ込まれ、ご飯の味が口の中へ広がります。

「美味しいかなー美味しいよねー」

自分で言うのもあれですけど、今日も出来栄えはばっちしです。

「私も食べる~」

ガツガツ美味しそうに食べているので私はとても嬉しくなります。


28 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:04:54.63 ZzM6qvjN0 13/28


「美味しかったねー」

「片付けてくるから待っててね~」

また駆け足で二階へ下りていきました

適度にお腹がいっぱいになり少し眠気が出てきます。
早く寝たいけど次はお風呂の時間です。

ぼーっと待っていたらお姉ちゃんが戻ってきました。

「さあ次はお風呂入ろう!」


32 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:09:05.87 ZzM6qvjN0 14/28


お風呂場まではお姉ちゃんが負ぶってくれます。

「ついたーー。はぁはぁ」

「じゃあ脱がすね~」

一枚一枚ゆっくり丁寧に脱がしてくれます。

「出来たよ~」

「じゃあ入ろう~」


33 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:16:08.92 ZzM6qvjN0 15/28


まずお姉ちゃんは私の髪をシャワーで濡らしました。

そして次はシャンプーを手に取り、私の髪をワシャワシャと洗ってくれます。
やっぱりお姉ちゃんに洗ってもらうのは気持ちがいいねですね。

十分泡立たせた後シャワーでキレイに洗い流してくれます。
はい、凄いさっぱりします。

「リンスもしっかり付けるよ~」

リンスが髪に付くととても良い香りが鼻の奥まで広がります。
満遍なく髪に付けてくれた後またシャワーでキレイに洗ってくれました。

「えへへ、これで髪の毛はキレイだね」


34 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:20:55.29 ZzM6qvjN0 16/28


「次、体洗ってあげるね」

お姉ちゃんはボディソープを手に取りよーく泡立たせて、手で背中を洗ってくれます。
少しこしょばゆいような、気持ちいいような感触です。

つるつる背中を伝う感覚はクセになってしまいます。


36 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:24:07.41 ZzM6qvjN0 17/28


もちろん背中だけでなく、お姉ちゃんは全身を洗ってくれます。

「はーいこっち向いて~」

私を正面に向かせると、次は腕から洗い出します。
右腕から肩、首や鎖骨を通って左腕へつるつるつるつると滑らせます。

腕は十分になった後次は足です。

太ももからふくらはぎ、足首、つま先、丹念に洗ってくれます。

つま先や足の裏は、手だとくすぐったくてつい身震いしてしまいます。


37 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:29:01.12 ZzM6qvjN0 18/28


「さあ、最後はここだよ~」

お姉ちゃんが手に新しいボディソープを足しています。
そんな光景を見ていると胸の鼓動がどんどん高鳴ります。

手で洗ってくれていた時からドキドキしっぱなしでしたけど
もう今は最高潮に達しようとしています。

胸に触れなくても分かるぐらいの高鳴り……治まって!

「えへへ、洗っちゃうよ~」



38 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:32:57.12 ZzM6qvjN0 19/28


お姉ちゃんの手が私の胸に触れた途端、一瞬ビクッと震えますが
お姉ちゃんは気にせずにどんどん手を滑らしていきます。

胸から円を描くようにくるくる回し、十分に泡立たせます。
そのまま流れるようにお腹へ行き、またくるくる回しました。

凄いですね。天にも昇る気持ちと言えばいいのでしょうか。
私の表情も、さっきのお姉ちゃんみたいに恍惚としているのでしょうか。
もう何も考えられない気分です。


お姉ちゃんは一番入念に洗ってくれました。


39 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:35:00.06 ZzM6qvjN0 20/28


「あーい、出来たよ~」

あ、終わったようです。危なく意識が飛びそうでした。

「流すね~」

何か、気分が一新としますね。

「私も洗っちゃうから、先に湯船につかっててね」

お姉ちゃんが私を抱えてくれて湯船に入れてくれました。

「ふんふふん~」


40 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:40:25.06 ZzM6qvjN0 21/28


「ほーい、終わったよ~。私も入るーー」

ザブーンっと勢いよく飛び込むお姉ちゃん。
いつも言ってたんだけどなぁ、飛び込んじゃダメって。

「あー気持ちいいかなー気持ちいいよねーー」

うん!気持ちいいよ。極楽極楽……。

そのままさっき喋り足りなかった分を話してくれました。
私はお姉ちゃんの目を見て、ひたすらうんうんと思います。

そうやって何十分か経ったので出ることにしました。
少しのぼせちゃいそうです。


42 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:43:10.39 ZzM6qvjN0 22/28


「あーーさっぱりしたねえ」

「体、拭くからね~」

お姉ちゃんはポンポンと丁寧に体を拭いてくれます。
そしてその後パジャマを着せてくれました。

これで後は寝るだけです。
今日も楽しい一日が終わりそうです。
明日も楽しい一日でありたいですね。


43 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:48:52.99 ZzM6qvjN0 23/28


「さあ、もう寝よう~。眠たいよ~」

お姉ちゃんは、おっきなあくびと背伸びをして目を擦りました。
私も眠いから寝ようね。

「ベッド行こう~ベッド」

またお姉ちゃんに負ぶってもらいお姉ちゃんの部屋へ行きます。
そしてそのまま抱きつかれた状態でベッドへ倒れこみます。

「着いたーーー」

「それじゃあ寝ちゃうよ~~」

うん、二人して抱きついたまま眠っちゃいます。
お姉ちゃん、お休みなさい。


44 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 21:56:04.42 ZzM6qvjN0 24/28


朝起きればいつも通りです。

いつものように私が先に起きて朝ご飯の用意とお弁当の用意。
適度な時間になったらお姉ちゃんを起こします。

お姉ちゃんはいつものように一度では起きず
何度も呼ぶことで起きます。

ほら、のそーっと起きました。大きなあくび……眠たそうですね。

お姉ちゃんは寝ぼけ眼で洗面台へ行き、タオルを渡す私。
今日もキレイに寝癖が付いてて笑う私と照れるお姉ちゃん。
歯を磨いている間にお姉ちゃんの髪を櫛で梳いてあげます。

鏡越しで「ありがと~」とお礼を言われました。
「どういたしまして」 でも歯を磨きながら喋っちゃダメだよってね。


45 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 22:01:49.28 ZzM6qvjN0 25/28


鏡の中のお姉ちゃんと目が合ってニッコリ笑顔。

その後はリビングへ行ってご飯を食べます
そして二人で「いただきます」の挨拶。

「今日もおいしいねー」なんて言ってくれます。
お姉ちゃんのために頑張ってますから。

そしていつものように二人で登校します。
お喋りしながら和気藹々と。

学校に着けば名残惜しいけど少しの間お別れ。

教室へ行くと梓ちゃんや純ちゃんが待っていて
三人でいつものようにお喋りします。


47 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 22:05:31.11 ZzM6qvjN0 26/28


そんなこんなでいつものように学校も終わり帰り支度へ。
二人に挨拶して帰りを急ぎます。

途中でスーパーへ寄って食材を確保です。ついでにアイスも。
両手に袋を抱え家へ。

洗濯物や洗い物、掃除を済ませて夕飯作りです。
今日もお姉ちゃんの好きなものです。
作り終えたらもうこんな時間。
後30分もしないうちにお姉ちゃんは帰って来るでしょう。


48 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 22:10:00.21 ZzM6qvjN0 27/28


私はいつものように自分のベッドに座ります。

今日も少し心臓がドキドキします。
またいつものようになるからですね。

今日も楽しいでしょうか。

いえ――昨日も、一昨日も
初めての時もだったから……今日だって……。


49 : 以下、名... - 2010/08/29(日) 22:13:26.71 ZzM6qvjN0 28/28


高鳴る鼓動を抑えつつ来る時まで待ちます。

何分かじっと待っていると
「ただいまー」と大きく元気な声とともに階段を駆け上がってくる音。

ほら来ました。

さあいつものように目を瞑って
後はお姉ちゃんに身を任せましょう。


だって私は――






――お姉ちゃんの「お人形さん」だから。





                                  おしまい


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