京子「いやー娯楽部のトランプでボロ負けしてさー。罰ゲームで誰かに『好きです』って言うハメになっちゃたんだよねー」
綾乃「…え、え?」
ちなつ「元々京子先輩の考案した罰ゲームじゃないですか……」ヒョコ
京子「いやー言いだしっぺが負けるとは」ヘラヘラ
結衣「変な事に付き合わせてごめんな、綾乃。京子の奴、『綾乃に言う』って聞かなくて」ヒョコ
綾乃「……ぇ」
京子「そりゃそうでしょ! こういうのは『有り得ない相手』に言いに行くから面白いんだよっ!」
綾乃「」
元スレ
京子「ビックリした?実はバツゲームでしたー!」綾乃「…え?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314527287/
ちなつ「何ですかその美学……」
京子「ホラ、変にリアルな相手だと変な感じになリかねないでしょ? 『有り得ない相手』なら最初からウソってわかるからいいんだよ!」
綾乃「」
あかり「確かに杉浦先輩、京子ちゃんのウソの告白に合わせて相手してくれたもんね」
結衣「京子の大根芝居に付き合ってくれてありがとな、綾乃」
綾乃「あ、あは……」
ちなつ「正直杉浦先輩がこういうのに付き合ってくれると思ってませんでした」
京子「ちぇー。それにしてもどこからウソって気付かれてたのかなー」
ちなつ「だから最初からですよ……京子先輩のあの大根っぷりはなかったです…」
綾乃「」
京子「くっそー。やっぱり罰ゲームだと身が入らない! ちなつちゃん相手なら演技じゃないけどねっ」ダキッ
ちなつ「もーっ!くっつかないでください!」ポカスカ
綾乃「…」
京子「にしてもさー」
結衣「ん?」
京子「綾乃、告白されて照れる演技上手かったなー」
綾乃「!!」ドドキッ
あかり「確かに上手かったねー。陰から見ててなんだかこっちまで照れちゃったよ!」
結衣「確かに少しだけ、人の告白を覗いてるような気分になったな」
ちなつ「京子先輩が大根じゃなかったら完璧ですけどねー」
京子「むー。私のオスカーばりの演技をっ」
綾乃「あ、あは…」
京子「……ホント、綾乃のは演技じゃないみたいだったよ」ニコッ
綾乃「っ!?」
京子「余りにも綾乃の照れた顔が真に迫っててさー」ニコニコ
綾乃「歳納、京子……?」
京子「私もつい『このまま演技じゃなくしちゃおっかなー』なんて、思っちゃったり」
綾乃「あ、あの、歳納京子…わた…・・」フルフル
京子「なーんちゃって!」パッ
京子「そんなことになったら見てたみんなもビックリだよねーなんて思ったわけさ!」ヘラヘラ
綾乃「……ぇ」
あかり「あー、あかりそれ知ってる!『逆ドッキリ』って言うんだよね!」
結衣「確かにそうなったらビックリだけどな…」
綾乃「……っ」
京子「~♪」ニコニコ
結衣「じゃ、部室帰るか。綾乃、ホントにありがとな」
ちなつ「はい。そう言えばトランプとか出しっぱなしですよね」
京子「綾乃、まったねー」
綾乃「あ、うん……」
あかり「あ、待ってよー」タッタッタッ
---
綾乃「……」テクテク
(『このまま演技じゃなくしちゃおっかなー』なんて)
綾乃「……!」ブンブン
(こういうのは『有り得ない相手』に言いに行くから面白いんだよっ!)
綾乃「……」ハァ
京子「ねー、綾乃ー」スタスタ
綾乃「っ!?」
綾乃「と、歳納京子、娯楽部に、帰ったんじゃ…」ドキドキ
京子「いやーちょっと忘れ物というか~」
綾乃「全く、そそっかしいわね…」ドキドキ
京子「いやお恥ずかしい」ヘラヘラ
綾乃「……あれ? あ、あなたさっき何か持ってきたっけ?」
京子「ううん。手ぶらー。忘れたって言っても私が忘れたのは物じゃなくてさー」
綾乃「……?」
京子「綾乃に、聞き忘れた事があって」ニコッ
綾乃「…っな、なによ?」
京子「なーんか、今日の綾乃調子おかしくなかった? ってさ」
綾乃「そ、そうかしらっ?」ドキッ
京子「うん。だってさー、綾乃、いつもだったら自分が罰ゲームのダシに使われたって知ったら怒るでしょ?」
綾乃「……っべ、別に…そんな事…」
京子「そうかなー? ちなつちゃんも言ってたじゃん。綾乃がこういう遊びに付き合ってくれると思わなかったって」
綾乃「わ、私だって、そのくらいのジョーク、理解する器量があるわよ……」ドキドキ
京子「ふーん」
綾乃「な、何よ」
京子「いやー、残念だと思ってさ」ニコッ
綾乃「!?」
京子「いやー、私はてっきり」
京子「綾乃は私のウソに付き合って照れてる演技をしてるんじゃなくて、」
綾乃「!?」
京子「『私の告白に本当に照れてて』、」
京子「『それがウソだって分かったから元気なくしてる』んじゃないかと」
京子「思っちゃったんだよねー」
綾乃「……っ!!」
京子「恥ずかしいなぁー。本当に恥ずかしい!」
京子「自意識過剰にも程があるよ私ぃー」ニコニコ
京子「何考えてるんだろうね私」ニコニコ
綾乃「…・・ぁ」
京子「んー?」
綾乃「…さ、さっきの、『残念』って、どう、いう……」
京子「そのまんまの意味だよー。『綾乃が私の告白に照れてくれたのかと思ったのに残念だなー』って」
京子「ま、私の恥ずかしい早とちりだけどね。あー残念だったー」ヘラヘラ
京子「綾乃ナイス演技! ドキドキだったよ!」ニコニコ
綾乃「……」ボソ
京子「ん?今度はどしたのー?」
綾乃「演技、じゃ……」
京子「何ってー?」ニコニコ
綾乃「演技、じゃ、なかった……」
綾乃「演技じゃ、なかったら、どうしてたの……」
京子「え?綾乃が本当に照れてたら?」
綾乃「……」コクン
京子「うーん。その時の事は考えてなかったなー」
京子「『それがありえない相手』として綾乃を選んだわけだしさー」ニコニコ
綾乃「……っ」
京子「有り得ないだろうから。綾乃はそうならないって思ったから、選んだんだ」
綾乃「……そう」
京子「うん」
綾乃「……」
京子「あははは! ウソだよ綾乃ー!」パッ
京子「私くらいになると、想定外の状況に対しても策をめぐらせておくものなのさ」
綾乃「……!」
京子「だから、もし綾乃が本当に照れたらどうするかも、考えてたよ」ニコッ
綾乃「……どう、したの……」フルフル
京子「ん?聞きたい?」
綾乃「……」コクン
京子「とりあえず、その場はやり過ごすよ」
京子「周りに娯楽部のみんながいるからね」
京子「『罰ゲームでしたー。ビックリだったでしょー』とか何とか言ってさ」
京子「気付かないフリとか、するかもね」
京子「『綾乃演技うまーい』とか言ったりして」
京子「それで、その後二人になって聞いてみるよ」
京子「『ねーさっきの本当に演技だったのー?』って」ニコニコ
綾乃「……」ゾクッ
京子「そんな感じ。私が想定してたのはさ」
綾乃「……そ、そう……」
京子「……そーだよ」
綾乃「……うん……」
京子「……」
綾乃「……」
京子「……」ソワソワ
綾乃「……?」チラッ
京子「……ツ……」
綾乃「……ツ?」
京子「ツッコんで、よ……」
綾乃「…へ」
京子「『それは今やってる奴じゃーん』って突っ込んでよー!!」ガバッ
綾乃「わ、わ、歳納京子?」
京子「そーしないとホントに私がヤな奴みたいだろーっ!!」ゼーゼー
綾乃「な、ど、わ……」
京子「し、知ってるんだよ綾乃がホントに照れてた事くらいー!」バンバン
綾乃「ちょ、歳納京子ッ!?」
京子「か、顔真っ赤にしやがってー」カァッ
綾乃「な、なん、ちょ……」
京子「こっちだって勇気いったんだぞこのやろー! 白状しろよぉ!」
綾乃「歳納京子……」
京子「い、今更しらばっくれるなよ~」ハーハー
綾乃「……うん、照れて、た……歳納京子に『好き』って言われて、嬉しくて……ビックリして……」ポロポロ
京子「わ、わ、泣くなよー!」
綾乃「だって……だって……」
京子「さ、さすがのミラクルな私も泣くのは想定外なんだよねー」アセアセ
綾乃「……じゃぁ、本心、なの?さっき言ったのは、本心で、好きって言ってたの?」
京子「だ、だからそう……恥ずかしいから改めて言わせるなよ~……」
京子「にしても綾乃が顔真っ赤になった時はこっちがビックリした!」ヘラヘラ
綾乃「……だ、だって嬉しかったんだもん……」
京子「いやーいいもの見せてもらったな~」ニヤニヤ
綾乃「か、からかわないでよっ!」カァッ
京子「へっへーん」
綾乃「歳納京子…」メラッ
綾乃「……あれ? でも、なんで」
京子「んー?」
綾乃「なんで、わざわざ罰ゲームにして、告白したの?」
綾乃「歳納京子なんでしょ?提案したの」
京子「……あ、う、うん、まー、ねー…」アセアセ
綾乃「……なんで?」
京子「イヤ、ホラ、罰ゲームって事にしとけば、フラれてもオッケーというか、何て言うか」
綾乃「……つまり?」
京子「ほ、保険……?」テヘッ
京子「わー! ぶつことないだろぉー!」
綾乃「今のはさすがに怒るわよ! なんで自分だけ安全地帯から闘おうとしてるのよヘタレ!」
京子「ヘ、ヘタレとかいうなー!」
綾乃「じゃなかったら臆病者。何としても自分が傷つかないようにしてるじゃない。私には恥ずかしい思いさせといて」
京子「……や、てっきりフラれるかと思ってたからさー」
綾乃「……」メラッ
京子「な、なんでそこで怒るんだよー!」
綾乃「なんでそういうところは鈍いのよっ!」
京子「え、何、どういう……」
綾乃「なんでもないっ!」
京子「……それにさー、告白して、ダメで、綾乃と友達でもいられなくなったらヤじゃん……」
綾乃「……」ペシ
京子「いて」
【次の日 娯楽部部室(茶道室)前の廊下】
京子(よーし、ここからが勝負だ私!)カッ
京子(いかに自然に娯楽部のみんなに『私たち、付き合いました話』を切り出すか!)
京子(こういうのは初日にズバッと言っちゃえばいいんだ!臆するな私!)
京子(いざっ!)ガラッ
結衣「おー京子来たか」
ちなつ「遅いですよ京子先輩」
あかり「まーまー。」
京子「いやーごめんごめん」テヘヘ
京子(よし!今言うぞっ!)
京子「そ、そういえば昨日さー」クワッ
結衣「あ、上手く行ったのか京子」
京子「へっ!?」
ちなつ「へっじゃなくて、杉浦先輩ですよ」
あかり「あれから、二人でお話ししたんでしょ?」
ちなつ「告白、上手く行ったんですか?」
京子「あ、ああ、えぇーっ!?」
結衣「……もしかしてお前、ばれてないとでも思ってたのか……」
京子「えぇっ!?」
ちなつ「罰ゲームに『告白』とか言い出した時点で『うわー』って思ってましたよ……」
京子「えええぇっ!?」
結衣「お前のは大根芝居だって言っただろ」
京子「ちょ、え、えぇ~」
あかり(やっぱりあれで自然のつもりだったんだ…罰ゲームの提案…・・)
京子「ちょ、ちょ……」
ちなつ「陰から見てる時、笑っていいやら焦っていいやらでした」
あかり「あかりは応援してたよー!」
結衣「京子は小さい時から肝心な時に臆病だったからな」
ちなつ「根がヘタレなんですよヘタレ」
京子「へ、ヘタレって言うな……」ドンヨリ
あかり「あかりは応援してたよっ!」
結衣「ま、上手くいってよかったな」
ちなつ「ホントです」
京子「……あ……こ、これはつまり……」プスプス
京子「逆ドッキリ!?」クワッ
結衣「違うだろ」ビシ
おしまい
【おまけ 生徒会室】
千歳「ホント、上手くいってよかったなぁ綾乃ちゃんと歳納さん」ホワーン
綾乃「ち、千歳が知ってるのは絶対おかしいでしょうっ!?」ガガーン
櫻子・向日葵「??」
おしまい
これ大好きなんだけど8年も前のやつなのか…