――放課後、教室内
男子「気をつけ~れぇ~」
ざわざわ……
女子「じゃぁね~女~」
女「うん、じゃぁ」
女子B「また明日~女ちゃん~」
女「ん、また」
男子B「よお女、今日他の女子とか連れてゲーセン行くんだけど遊ばない?」
女「悪いね、懐が寒くて」
男子C「おいおい……またBの奴ふられてやがんぜ」ヒソヒソ
男子D「そりゃそうよ。女ちゃんには先客が居るからな」ヒソヒソ
女子C「ちょっとB!!遊びにいくんでしょ?早くしてよ~!」
女「悪いね、はは」
男子B「ま、まぁしょうがねぇよ。それじゃまた機会があったらな!」
女「……はぁ」
元スレ
女「女になってもう一年か」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314373023/
男子C「よぉB。また失敗したのか?」ニヤニヤ
男子D「残念だったな。女ちゃんには友という夫が居るからな」
男子B「……お、女は付き合ってるとは言ってねぇ」
男子D「ムリダナ」
男子C「ああ、あの二人の雰囲気を鑑みてみろぉ~、まるで熟年夫婦のような寄添い方だ。ありゃ完全にプゥラァトォニィック!だな
男子B「……付き合ってると決まったわけじゃない」
男子D「はは、Cが弄りすぎるからBがスネちまったぜ?」
男子C「目をつけた女が悪かったのサ」
――放課後、下駄箱
女「……」
友「よぉ」
女「おお、帰るか」
友「だな」
友「ん?髪型変えたのか?」
女「伸びてきたからな、まとめることにした」
友「似合ってんじゃんよ、ポニーテールだよな」
女「何が“似合ってる”だ。コッチは恥ずかしくて今すぐにでも部屋に閉じこもって、布団カバーに包まりたいね」
友「そんで枕カバーに紅潮した顔を埋めるんですねわかります」
女「ニヤニヤするな気色悪い」
友「まぁまぁ、そういうなよ、せっかくの凛々しい顔が台無しだぜ」
女「くさい」
友「なんでよ、ケッコーいい科白だと思っていたんだが」
女「お前な、三枚目ってのは天性の才能みたいなもんだ。そうじゃない奴が無理に演じようとすると、それはそれは気色悪いものになる」
友「ふーん」
女「わかったか」
友「わからん」
女「……はぁ、そうか」
女「夏休みでボケたか」
友「それはないぜ」
女「パンはパンでも食べられないパンはなんだ」
友「パンツだな、アレを良く口に含む輩が居るが、何もわかっちゃあいない。パンツってのは鑑賞物だ。食物ではない」
友「またパンツを被るなんて輩も居るが、そいつらはただの変態性欲者どもだな。パンツというのはあらゆる角度から、素晴らしいアングルで視認できるが、それは設計の優秀さが生み出した偶然の産物だ」
友「生理品として完成され、偶然の産物で出来た代物だ。あの大まかな三角から生み出される様々なバリエーションを見れば、その設計の優秀さが見て取れるだろ?」
女「……」
友「そんな冷たい視線を向けないでくれよ。結構俺の心ってガラスのハート♡なんだぜ?」
女「顔を近づけるな気持ち悪い」
友「まぁそういうなって、まだ語ることが色々あるんだよ」
妹「そういうのは男子だけでやってくれませんか」
友「おお、妹ちゃんじゃないか。今日も可愛いね」
妹「姉さん、そんな変態豚の側にいたら妊娠してしまいますよ」
女「彼はホモじゃないから安心するといい」
妹「姉さんは姉さんでしょう。何言っているんですか」
友「おいおまッ、美少女の甘い匂いを密かに楽しんでいたのに妨害するというのか。妹ちゃん!」
妹「変態の側に置いて置けませんからね、さあアッチへ行ってください。そして逝っちまいやがってください。氏ねじゃなくて死ね」
――帰り道、街道
友「あんまりだよぉ、えぐっ、えぐっ」
女「ほら、妹があまりに辛辣にしすぎるから本当に泣いちゃったぞ」
妹「いいですよ変態家畜犬畜生の涙なんて、汚れた下水道よりも不衛生ですから、悲しくなるはずがありません」
妹「さぁ姉さん帰りましょう、私たちの愛の巣へ」
女「おまえはいったいなにをいっているんだ」
友「愛の巣……ふむ。……んー……ぉぉ。おっほっほ……ふ、ふひひ」
妹「超必殺!ドロップアウト・インパクトキック!!!!」
友「んほぉ!!!いいれしゅうううう!!!もっとおおお!!!!!」ギシギシアンアン
妹「これだけ踏んでもまだ生きてやがる。まるでゴキブリですね。ゴキブリは女の敵です」ギシギシ
友「おほぉ♡もっと踏んでくださいいいいいいっ!!!!」
女(苦笑いで見守るしかない……)
男「やぁ女ちゃん。今日も賑やかでなにより」
女「あ、先輩」
妹「このッ……!このゲスがッ……!」ガシガシギシギシ
友「おっほぉッ♡そこッ♡そこぉぉぉ~♡」
男「は、ははは……」
女「ええ、いつもどおりです(棒)」
女「先輩も帰りで?」
男「ああ、今日は早めに帰れるんだ」
女「有能な人は頼りにされますからね」
男「それは皮肉かい?」
女「はは、まさかそんな」
男「ごめんごめん。冗談だよ」
妹「……」ムカッ
友「……ああ、先輩。こんばんわッス」
男「やぁ友君。今日も全開だね」ニコ
女「黒縁に変えたんですか?」
男「ん。そうだね」
友「いいッスね!似合ってます」パンパン
妹「私の近くで汚れを叩かないでください」
妹「姉さん、前から気になってたんですが、何者なんです?」ヒソヒソ
女「ん?あぁ、知り合いだよ。先輩」
妹「出合って、さほど経っていないのに馴れ馴れしくありませんか?なにやら厭らしい目的とか――」
女「はは、そりゃないよ」
友「……ふぅ、今日もいい天気ッスね……」
男「そうだね」ニコニコ
妹「なにより、あの顔に貼り付けたような笑顔。心底イラッとくる顔です」ヒソヒソ
女(いやぁ、先輩は悪い人じゃない)
女(何せ境遇が同じだからなぁ)
男「ん?どうしたの?」
女「いえ。なんでも」
男「っと、それじゃ僕はこっち」
友「俺はこっちっと」
女「それじゃ、また」ペコッ
妹「また~」(やっとこれで姉さん二人きり)
女「……さて、帰るか。普通に」
妹「手を繋いで――」
女「却下」
妹「何故ッ……!何故そんな残酷なッ……うっ」
女「嘘泣きも効かんぞマイシスター」
妹「……OTL」
――家・リビング
女「母さんと父さんはまた遠出してるだろうな」
妹「まぁいつもの事ですよ、信頼の証です」
女「まぁ、なんていうか……これが、普通?だからなぁ……うん。変だと思ってはいけない」
妹(さて……今日こそ二人でお風呂を)
女「入らんぞ」
妹「……最初から斬るなんて」
女「いつものことだ。先に入っちゃいな」
妹「……昔はよく二人で入ってたじゃないですかァーッ!」
女「さすがにこの年になって、二人で入るのは無い」
妹「そ、そんな真顔で」
女「妹よ。巣立ちの時がきたのだ」
妹「私は姉さんが居なければ助走すらすることが出来ません!!!」
女「そんなことを言ってる場合では……ん?」Prrrr.....
友≪もしもしもしもしぃッ!?≫
ピッ
女「……」
妹「……姉さん?」(む、無表情だ……こういう時は姉さんが一番怒っている時だ……)
妹(あの豚……もう完全に今日のフラグが折れたじゃない……)
Prrrr.....
女「はい」
友≪大変なご迷惑をおかけした事を、深くお詫びいたします≫
女「んじゃ明日奢れ。な?」
友≪畏まりましたお嬢様。ところでお嬢様。折り入ってお願いがあるのですが≫
女「取引内容による」
妹(嗚呼、姉さん。麗しい容貌を持ちながら、どうしてそんな歪な喋り方なのですか)
妹(これではまるで男のよう……ああ気色悪い)
妹(でもそんな所も魅力……)
女(さっきから妹の視線が俺を刺しつづけているが……いつものことだ。うん。いつものこと)
友≪今日新作の格ゲーを買ったのですが、対戦相手が居ないのです≫
女「ふむ」
友≪そこでお泊りにきて頂きたいのですが≫
女「親の許可」
友≪取ってあります≫
女「報酬内容は?」
友≪秘蔵本数冊≫
女「具体的な数を示せ」コソコソ
妹「……?姉さん?」
友≪さ、三冊でどうでしょう≫
女「無理だな。その程度では妹を説得する際に使う労力と見合わん」
友≪す、すっげぇ面白いゲームの新作なんだよ……い、今にも発狂しそうなんだよォッ!!!≫
女「落ち着くんだ。五冊」
友≪な、何が五冊だ!高校生の財布の事情を考えてくれ!予約していたゲームを買ったばかりなんだぞ!バイトしていない男の収入を――≫
女「それが人にモノを頼む態度かね友君」
友≪サー!申し訳ありませんでした!サー!≫
妹「……」推理中......
女「ふむ……そうだな。ではこうしよう。今すぐとは言わんでいい。まずは三冊だ。後に六冊」
友≪お、お言葉ですが一冊ほど増えては≫
女「口答えする気かね。こちらはすでに暗号を解読されかねん状況で通信しているのだ」
友≪サー!申し訳ありません!サー!≫
女「……とりあえず。それで手をうちたまえ」
友≪りょ、了解≫
女「こちらもコントローラーを積み込み次第、敵をかく乱しつつ目的地まで向かう。合流先で会おう」
友≪御武運を!≫
ピッ
女(さてどうするか。ひさしぶりの補給だ。これを逃したらまたしばらくは無いだろう)
女「……」ソォー......
妹「こんな時間にどこへ行くというんです?」
女「なに、ちょっとした散歩だ」
妹「散歩ですか、若い女子高生が夜の街を徘徊するなんて、不埒ですよ?それは姉さんもわかっていると思うのですが」
女「友人に勉強を教えてくれと頼まれたんだ」
女(だ、ダメだ……あまりに状況が悪すぎる。背水の陣なんてもんじゃないぞ……)
妹「……思うに。電話の相手は……あの犬畜生では?」
女「違うなぁ。クラスメイトのFだよ」
妹「……」ギロッ...
女(ま、まずいぞ)
妹「姉さん……私は嘘が大ッ嫌いなんです……特に大事な人からの嘘は……ねぇ……」
女「お、落ち着くんだマイシスター。話すと長いんだ。だから落ち着け?な?」
妹「……」ゴゴゴゴ......
女「……出来れば、こんな汚い手は使いたくなかった……!!」サッ
妹「……えっ?」
女「こうして抱きしめれば、私がどれだけ妹を愛しているか判るだろ?」ギューッ......
妹「ね、姉さん!?」
妹「あばあばっばっばっばっばばばば」(つ、ついにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!?)
女(ね、念には念を……!!)
妹「ね、姉さん?」
女「妹……。目を閉じて……」
妹「は、はい……♡」
女(すまないマイシスター……しかたないことなんだ)
妹(キッキきっきっきききキスきききき……)チュッ...
妹(キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!)
ボフンッ……
妹「ふぇぇ……」バタンキュー
女「こんな汚い手は使いたくなかった……ッ!額にキスなんてッ……」グッ
女「しかし妹よ、私も(俺も)女なのだ(男なのだ)……こればかりは許してくれ!」
女(……念のため、耳元でつぶやいておこう)
女「埋め合わせは、必ずするから」ボソッ...
妹「ふにゃぁぁぁ……///」
女(……これが戦争か。悲惨なものだ……)
Prrrr...
友≪こちら本部≫
女「こちら女。目標撃破。迎えを寄こしてくれ」
友≪了解。場所は公園。チャリで先に待ってるぜ≫
女≪ラジャ。通信終わり≫
ピッ
――夜 公園
友「待っていたよ」ギュッ
女「ああ、凄まじい前線だった」ギュッ
友「こうしてガッチリ握手できるだけ、幸いというもんだ」
女「だな」
友「……っと、乗れよ。夜ならヘーキだぜ」
女「バランスが心配だな」
友「二人乗りぐらい余裕だよ、しっかり腹に腕回してれば落ちやしない」
女「信じてるからな」
友「ビビッてんの?」
女「ん、んなわけあるか」
友「ヘーイ!ビビッテテルー!ヘー(ry」
ポカッ
友「いてぇ、なんだよ!」
女「うるせぇ、さっさと出しやがれ」
友「わかった!膣内(なか)で出すぞ!」
女「うるせぇヒナニー野朗」
友「面白いんだぜ?」
女「アニメは見ない」
友「そうか。残念だ」キコキコ
女「しかし今日は星が良く見えるな」
友「俺はみえねぇ」
女「ふっふ。お前はせっせと俺の為にこぎ続けるのだ」
友「酷いッ……!こんなの奴隷じゃないッ……!でも感じちゃう……ッ!」ビクンビクンッ
女「おッ、おまッ!しっかり運転しろよ!!!」
友「へっへ、涙目になってやがりやすぜこの小娘はよぉ」
女「気持ち悪いからやめんか」
友「どうしてやりやしょうか。ハッハ!戦場では勝ったものが官軍だ!!お楽しみといこうぜ!!!」
友「……ふむ。ヒャッハーするシチュエーションも中々絵になるなお前」
女「やめんかーッ!」コソコソ
キコキコ……
友「……先輩とは仲いいのか?」
女「やぶからぼうだな」
友「いや、なんとなく」
女「あー、なんとなくか」
友「うん」
女「えっとな、あの人俺と同じなんだわ」
友「そうなのか、え?」
女「え?」
友「男……ってことは先輩、元女の子!?」
女「ああ、ずっと前のいつだったか。登校中に知り合ってな」
友「kwsk」
女「聞いてもつまらんぞ」
女「まぁあれだ、遅刻しそうになって急いでいたら、ぶつかって――というアレだ」
友「だいたいわかった。脳内保管余裕ですた」
友「……なるほどな、あー」
女「ん?」
友「どっか中性的と思ったら、そういうことだったのか」
女「だな」
友「寒くないか?」
女「これから寒くはなるだろうな……」
友「そうかい。しっかり捕まってろ、飛ばすぞ」
女「ああ、頼むよ」ギュッ
――友の家
友の母「あらあらこんな遅くにごめんなさいねぇ」
女「いえ。私も余裕があったので。何しようかって」ニコニコ
友の父「母さん母さん。こんな時間に我が息子が美少女を連れ込む理由とはなんだ」ヒソヒソ
友の母「それは貴方~そういうことでしょう」ヒソヒソ
女(相変わらず奔放な一家だな……)
友の姉「ん?おお、女ちゃんじゃないか。こんばんわ」
友「姉ちゃん帰ってたのかよ」
友姉「なんだその態度は。女ちゃんも大変だな」
女「そんなことないですよ、はは」
友姉「おい弟。何もするんじゃないぞ」
友「HAHAHA」
友姉「何かあったら直ぐに私を呼んでくれよ、そこの愚弟を叩いてやるからな」
女「ど、どうも」
友父「何か食べてきたのかい?」
女「あ、いえ」
友母「軽くお泊りするんだから、食べさせるわよ。ささ女ちゃん、まずはご飯よ」
女「すみません」ペコペコ
友「もう十年以上の付き合いなんだから、そんなこと一々――」
ポカッ
友「なんで姉は一々叩くんですかね……」
姉「愚弟は叩き直すべし」
――食事後、友の部屋
友「何やってんだ?」
女「……いや、やけにお前の部屋にしては整理がつきすぎている」
友「……」
女「ふむ……此処はどうかな」
友「ま、待て!!!」
ガサゴソ……
女「なんだコレは?言ってみろ?ん?」
友「さ、サー!ひ、秘蔵本でありますサー!」
女「私に提出された報告書に、これは乗っていないのだが……虚偽かね」
友「さ、サー!!誓って虚偽ではないことを誓いますサー!!」
女「何故虚偽ではないと言えるのかね」
友「そ、それは報告書の作成の際、“とっておきの秘蔵本”というセンテンスで組まれていたからでありますサー!」
女「つまり“嘘”は吐いていないと」
友「そうであります!さ、サー!」
女「友よ、同志よ、ゲーム機を貸しているのだぞ」
友「そうでありますサー」
女「何が言いたいのか判るだろう?小細工はやめろというのだ」
友「も、申し訳ありませんサー」
女「これは私が没収しておく、いいな」
友「そ、そんな……」
女「言い訳は聞かないぞ。これは没収だ」
友「お、お前!黙っていれば調子に乗りやがって!」ガシッ
女「離すんだな」
女「ようクマ吉。お前が女子を覗いているところの証明となるシャッシーンを大公開されてもいいのかね」
友「な、なんて卑怯な……」
女「わかったら肩から手をどけるんだな」
友「そ、それは必死の思い出手に入れた一冊なんだよ……血と涙がつまってるんだよぉ……」
女「……しかし約束は約束だ。裏切り者には容赦せん」
友「じゃ、じゃあお前も裏切ったぞ!!!」
女「ん?」
友「お、お前が女なってちまって混乱していた初期の頃、誰が人としての尊厳を捨ててアレやナニを用意したと思っているんだ!!」
友「しかもその際の報酬で、お前は「俺に少しだけでも良い思いをさせてくれる」と言ったじゃないかッッ!!」
友「それを無かったことにし、恥ずかしがって何もさせてくれなかった……!お触りの一つもだ……!!」
女「あ、アレはお前の姉さんがやったことで」
友「う、うるせぇ!!どんな惨めな思いをしてきたか……どんな地獄を垣間見てきたか……お前にわかるか!!!」
友「そうだ!!いまこそその時の着けを払ってもらうからな!!」ガシッ
女「お、オイ冗談だろ?」
友「うるせーッ!!お宝本まで奪われ、無いものを根こそぎ奪うってなら、こっちだって容赦しねぇーッ!!」バタンッ
女(べ、ベッドに押し倒される……!?だ、ダメだこれフラグだって!!って、ていうか半ば錯乱してるんじゃないか!?)バサッ
女「お、オイ友落ち着くんだ!!落ち着け!!お前は女の子が好きなんだろうが!!!」
友「やかましい!!このまま大人しくしやがれ!!!!」
女(て、手が!!!)
姉「成敗!!!!!」
友「ぎにゃあああああああああああッ!!!」
女「……」ハァ、ハァ......
姉「無事かな?」
女(毎度この人には助けられるな……)
姉「まったくこの愚弟は……もっとシバく必要がありそうだな」
友「あばばっばっばっばばばばっばっば」
姉「まぁいい。この馬鹿は私が見ているから、お風呂に入ってきなさい」
姉「服は私のお下がりだが、いいかな」
女「だ、大丈夫です」
姉「……ふ」
女「えっと……なんですか?」
姉「いやいや何でもない。さあさあ早くお風呂に入ってくるといい」ニコニコ
女「あ、えと、はい」
友「お、己女……いや、男よ……この屈辱忘れあばばばばっばっばば」
――風呂
女「……はぁ、一時はどうなることかと」シャー......
ガラッ
女「……ん!?」
姉「なんだ、そんな顔をして」
女「お、お、お姉さん!?」
姉「女同士だ。驚くことはないよ」
女(み、見るな見るな俺!!!!)
姉「どうして避けるんだ?そんなに恥ずかしいのかな?」
女「あ、いや、その」
姉「シャワー借りてもいいかな、湯船に浸かる前だ」
女「あ、えと、はい」
姉「……ありがとう、女ちゃんもどうだ?」
女「あ、いや、えっとですね」
姉「いいからいいから」
ザブー......
姉「いやぁ風呂はいい。一日の疲れが癒える」
女(……か、顔が熱い……)
姉「どうした、顔が真っ赤だぞ?上せたかな?」
女「あ、いえ、大丈夫です」
女(しかし馴れない……今までなんとかごまかしてきてるけど、こんな真正面から女体を見るのは……)
姉「ふふ、そんなにジロジロして、興味があるのか?」
女「あ、いや」
姉「君だって成長する」
女(……胸のことか。なんか最近言われるとちょっと痛くなってきたな)
姉「ふむ」ふにゅ
女「ふゃぁッ!?」
姉「美乳だな……形もいいし……揉み心地が違う……」ふにゅふにゅ
女「な、なにを!?」
女(い、いかん!イカん!!)
女(忘れていた……姉弟だってことを……)
女「あ、はは、私そろそろ上がりますね!」
グイッ
姉「もう少しゆっくりしていくといい。女同士の裸の付き合いだ」
女(どんな付き合いだよ!!!)
女「い、いやぁそろそろ本当に上せちゃうかなぁって、はは」
姉「まぁそういうな」ガバッ
女(せ、背中に胸が……)
姉「今日は冷えるからな。温まらないと」
女「あ、いや、本当にあの、上せてしまいますよ!」
女(て、手が這ってる!!這ってるっての!!!あらぬところにッ……!)
女「お、お姉さん、お、落ち着いてくださいって!!」グイグイ
女(は、離れない……そりゃ腕力で負けるよな……どうするくそっ!実際得してるような無いような気分だが、貞操を此処で捨てる気はないぞ!!!)
姉「肌もすべすべしているね。弟には勿体無いな」さわさわ
キュッ、ジャー......
女「つ、冷ッ」
姉「ぬるま湯にするんだよ。上せてはいけないからね」
女(や、やる気満々じゃねぇか!勘弁してくれえええ)
女「み、水の、水道代の……」
姉「ウチは少し裕福なんだ。これくらいなんとも無いよ」フゥー...
女(み、耳に吐息が……///)
女「ふにゃぁ……」
姉「良い反応をするね。小さい頃から見てきたけれど、女ちゃんは本当にお人形みたいだな」さわさわ
女(ま、まずい!あ、足が動かない……!お姉さんの足が絡んでるせいで……ッ、くそ!)
女(男だろ……!夢見る女の子(仮)だろ……!なんの為に性別は女として生きていくって決めたんだ……!!!)
姉「だんだん温度が優しくなってきたね、この辺でいいかな」キュッ
女(ま、まずいッ!!!絶対防衛線に手が……!!!!)
姉「だんだん良くなってきたんじゃないかな」はむっ
女(み、耳!耳を甘噛みするなあああッ///)
――リビング
女「……はぁ、はぁ///」
友「どうした?真っ赤っかじゃん」
女「うるせぇ!!こっちは貞操の危機だったんだよ!!!」
女「っと……とにかく、てめぇの姉弟は揃って変態しかいないのか!!!」
友「姉ちゃんはバイだ。これ豆知識ナ」
女「貴様……」
女「……おじさんとおばさんは」
友「二人なら夜の散歩にいったよ(棒)」
女「……頭が痛い。良い人なのに……」
友「別にいいだろ、仲がいいことは良いことだ。もしかしたら弟か妹が生まれるかもナ」
女「そのアイスよこせ!!!」
友「あ、お前!!俺の食いかけだぞ!食いかけなんだぞ!!!」
女「知るか!!!」パクッ......モグモグ
女「ッ……いってぇ……」
友「そんないっぺんに食べるからだ」
女「つぅぅぅ……」
友「あーあー泣くなって」
女「おまえ……俺がどんな目に合ったか……考えろっての……」
友「女になって涙腺も緩くなっちまったか」
女「……てめぇ、叩くぞ!」ムカムカ
友「お、落ち着けっての」
――風呂
姉「……」
姉「フラれたな」フッ
――友の部屋
女「はぁ……明日どんな顔でお姉さんに挨拶すればいいんだか」
友「普通にいいじゃね。姉ちゃん潔いぞ、そういうとこ」
女「お前そんなにアイス食って腹壊さないのか」
友「ガリガリ君は別腹ですサー(棒)」
友「パジャマ姿のお前なんてそういえば、久しぶりにみたな」
女「……はぁ、ちょっとぶかぶかしてるな、腕が裾の長さで少し隠れちまう」
友「髪降ろしてるのも、可愛いな。さすが黒髪ロング」
女「髪長いのって大変なんだぞ、俺が短く切りたいって、その方がラクだって言っても妹が言うこと聞かないからな」
友「そんな風に無防備にしてると、また俺に襲われるかもだぜ」
女「なわけあるか、あの時はさすがにちょっとやりすぎただけだ。普段のお前ならチキンで何もできまい」
友「うぐぐぐ……」
女「お人好しだしな」
友「ぐぬぬぬ……」
女「ようし寝るか」バサッ
友「おいそこ俺のベッドです」
女「お前も寝ればいいじゃないか
友「それは本気で言ってるのか?」
女「ああ、いいよ別に」
女(もう疲れた……とりあえず寝よう。とにかく、柔らかいベッドで)
友「zzzZ」
女(……寝れない)
女(……キチンと背を向けているところが、コイツらしいな)クスクス
女(起こさないように……そっとベッドを降りないと)
女(……うわっ、月ってこんなに眩しかったか?)
友「……んん゛……ん゛?」
女「なんだ、起きちまったか」
友「……お前こそ起きてたのか、んー……眠い」
女「寝ればいいだろ、起こしたのは悪かったよ」ニコ
友「……んー……綺麗だな」
女「ああ、確かに今日は月がやけに綺麗だな」
友「違うよ」ゴシゴシ
女「そんな風にすると、目が痒くなるぞ」
友「あースマン。サンクス。……綺麗なのはお前だよ……ふわあぁぁぁ。眠ィ」
女「……寝ぼけてんのか、ほらほら早く寝ろって。俺が寝かしつけてやるぜお坊ちゃん」
友「子守唄でも歌ってくれんのか……」
女「馬鹿なこと言ってないで、さっさと目閉じろって」
友「りょーかーい……あれ、ベッドの端に座ってるって事は寝ねぇの?」
女「お前をわざわざ寝かしつけてやる為に起きてんだよ。感謝しな」
友「悪い……zzzZ」
女「寝るの早ッ……」
友「zzzZ」
女「黙ってれば、かっこいいんだけどな。女子も言ってたぞ」ボソッ
女「……あーぁ、明日は寝不足かなぁ」
女(……静かだな)
女(深夜なんだし、当然か)
友「zzzZ」
女「ふぁぁぁ……ボーッとしてたらようやく眠気が……おやすみ……俺……」ムニャムニャ
バサッ
女(……あれ、枕ってこんなにゴツゴツしてたっけか。まぁいいや)
――次の日
姉『おーい愚弟!!朝だぞ起きないと遅刻だ!!!!)
姉『本当に遅刻するぞー』
ガチャ……
姉「遅刻するぞ……って」
女「……スー……スー」
友「zzzZ」
姉「……なるほど。そういうことか」
姉「おい弟!!!起きろ!!!」ガシッ
友「な、な、なに……?なんだ……?え?」
友「お、女……?」
女「……ん、んん?」ゴシゴシ
姉(ああ、寝癖で散らかっているのにも関わらず、美しい髪だ)
姉(ではなくて)
姉「ハードな運動の後の早朝はキツいかもしれないが、朝だ。学校だぞ」
友「……!?俺の遅刻アンテナがビンビンに反応しているだと!?」
友「おい男!じゃなくて女!!!急ぐぞオイ!!!」
女「お、じゃなくては、はい!!!」
姉「もうご飯は出来ているからね、女ちゃん」
女「あ、えっと、えと、はい」
姉「いいよ。急いでね」
――登校
妹「姉さん!髪!髪が!!!」
女「か、髪がどうしたっていうんだ」
妹「女性として恥です!!さ、こちらに頭を向けて!」シュッシュ
友「女は大変だなぁ(棒)」
女(てめぇ他人事みたいに)
友「男は気楽だぜぇ~♪」スタスタ
女「あ、待ちやがれ!!!!」
妹「姉さん!何があったのか確り後で説明して貰いますからね!あ、あとそんな汚い言葉を――」
――飛んで昼の教室
女「悪いね」
妹「いえ。姉さんに不健康な食事はして欲しくないですから」ニコニコ
妹「帰ったらキッチリ昨日のこと話して貰いますからね」ニコ
女「う、うん」
女子群「女ちゃーん!はやくー!」
女「うーん!そいじゃな、マイシスター」ボソッ
妹「また後で」ニコニコ
女子「妹ちゃん良い子よね」
女「ははは、ほんとに」
女「ん?友がいないね」
女子「ハッハーン。やっぱ夫の動向は気になるぅ?」
女「そ、そんなんじゃないよ。はは」
女子B「確かCが友をどっかに呼び出してたとかなんとか」
女子「え、ウソ?それマジ?」
女子B「マジっていうか、なんていうか、さっき耳に入った根拠の無い噂みたいなもんだしなぁ」
女「友とCって仲良かったの?」
女子「うーん。どうなんだろ。むしろCは男子Bと良く一緒に居るような感じがしたけど」
女「……そうなんだ」
女子「やっぱ気になる?」ニヨニヨ
女「そ、そんなんじゃないって」
女(Cと友が……?まさかなぁ……)
女(まぁそうだったとしても、俺になんの関係があるっていうんだろ、一々反応して馬鹿馬鹿しいなぁ)
――校舎裏
友「ぁ~眠い」
友(しかし女の奴、柔かったな)
友(うーん襲っちまった姉ちゃんの気持ちがわからんでも……いやいや相手は“男”だから!)
友「俺はなんでもない、うん」
友(しかし、こんなところに呼び出しって……まさか“告白”!?)
友(俺のモテ期キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!って……んなわけあるかい)
女子C「あ、え、えっと、き、来てたんだ。早いね///」
友「んぁ?おおCか。なんだ?CDでも貸して欲しいのか?」
女子C「え、えーっと、そういうんじゃないんだけど……」
友「っつかお前ちょっと髪の色大人しくなった?金だったのにさ」
女子C「え、え?えっと、金の、方がよかった……かな」
友「んー……俺はどっちかっていうと落ち着いた色がいいかなぁ」ボーッ
友(女が茶髪……アリか?うーん……アリそうで無いな。やっぱアイツはあの黒髪あってこそ)
女子C「……ねぇ友?」ムッ
友「あ、あぁすまんすまん、それで、何の用?」
女子C「え、えっと!私!!!」
友「お、おう」
友(な、なんか張り切ってるな。金でも貸して欲しいのか?)
女子C「アンタのことがマジで好きなの///」
友「……」
女子C「……」
友「……リアリィ?」
女子C「ま、マジ……」ハァ、ハァ......
友「あー……えーっと……なんていうか」
女子C「好き!?嫌い!?」
友「え、えぇ!?」
女子C「どっち!!!」
友「よ、寄るなって!怖いから!」
女子C「あ、ごめん……」シュン...
友「……」
友(……なんか、どうしていいのか……わっかんねぇ……)
女子C「……へ、返事……今すぐはダメだったら、明日……でいいよ。その、またねっ」バッ
――放課後、昇降口
友「ってことがあったんだけど」
女「あん?」ムカムカ
友「お、おいどうしたんだよ……ヤケにご機嫌斜めじゃねえかよ」
友「真剣に悩んでてさ……」
女「あーそうかよ!はいはいリア充はいいですねー青春してますねー(棒)」
友「お、おいだからなんだって言うんだって」
女「うるせぇ!今日の俺はなんだか知らんがムカついてしかたねぇんだよクソッタレ!F×△k!!!」
友「お、おい女!?」
友「まさか生ry」
ポカッ
友「いってぇぇぇぇ(泣)」
友「ふん!てめぇのことなんざテメェで解決するん だ な ! !」プンスカ
友「そんなほっぺ膨らませちゃって~」ドスンッ
友「マジ殴りかよぉ~……いっつぅぅぅ……」ヒリヒリ
女「今日は一人で帰ってくれ。秘蔵本もいらん」スタスタ
友「お、おい女!」
……。
友「……なんなんだよクソッ……」
――図書室
女(……なんだっていうんだよ)
女(……人居ないな。よし)
バサッ
女(こんな風にソファに雑魚寝出来るのは、放課後の特権だぜ……)
女「……つまんねぇ天井」
女(ホントどうしちまったのかな……これってもしかして女の体からくる精神的影響とかいう奴なのか)
女(やっぱこええな……女子ってのは……何考えてるのか未だに判らん)
男「やれやれ、それが女子高生のすることかい。雰囲気台無しな事になってるじゃないか」
男「それと図書館でそういうのはよくないよ。女ちゃん」
女「せ、先輩」
男「知らなかったっけか。僕が図書委員だってこと」
女「そう、ですね。今日始めて知りました」
男「ハハ、そんな“今にも敬礼します”――なんて、そんなに気張らなくてもいいよ」
男「ただ、ソファは“座る”ものだから、雑魚寝はよくない」
女「き、気をつけます」ストン
男「うん、そうやって座ってた方が様になってる」ニコ
男「あー……あと股は閉じておいた方がいいよ」
女「す、すみません///」
男「ははは、女の子は大変?」
女「そうですね、大変です」
女「先輩はどうですか?」
男「僕はそうだなぁ、むしろラクになったかな」
女「楽に?」
男「うん。多分もともと男向きの性格だったからかもね。むしろ男になって良かったと思ってるんだ」
男「毎日充足してるしね」ニコ
女「男向き……」
男「女ちゃんは暇なのかな」
女「え、えっと、そうですね、暇つぶしの為にここに居ます」
男「それじゃあ、まったく盛り上がらない図書室は暇なんだ。僕の話でも聞き流してくれないかな」
女「聞かせてください」
男「ありがとう。そうだね、僕は――男向きだったと思う」
男「簡単に言うとね、女の子は或る意味“普通”っていう基準で、生きていけないんだよ」
女「生きていけない……?」
男「よいしょっと。僕も座って話そう」ニコ
女「ははは」ニコ
男「つまりね、女性っていうのは元来“特別扱い”される生き物なんだ。対して男性というのは、“平均的”に一定の生活基準に、ずらーっと並ぶことが出来る」
男「モテる男の子たちはモテて、本当に何も無い無難な生活を送る層も居る。もっとマイナスな生活をする層だっている。これが男の“普通”だ」
男「生きようと思えば“そう”生きれる。僕はそこに感謝してるんだ。そこに居れば殆ど何も“起こらない”からね」
男「でも女の子は違う。一見集団を作って、そこに基準に従うみたいな感じで、しかもそれが“普通”みたいな感じだけど、そうじゃないんだよ」
女「はぁ……」
男「ちょっと難しいかな」
男「男はね、基本的に頑張れば自分の意思で物事を決められるんだ」
男「でも女の子は感情が先に来るから、完全に自分をコントロールするには強い精神力が居る」
男「それで、集団を作るっていうのも、その根底には“特別”っていう言葉があるんだよ」
男「自分だけは。自分は。そういうのがあるんだ。まぁ逆にその“不安定”さがあるから、出産の痛みにも耐えられるんだろうね」
女「それは男も変わらないんじゃないかなと」
男「そうかもだけど、それが量として男女では差があるんだよ。それに脳と体は別々の存在だ。それぞれが影響し合う」
男「僕はだから、自分のハマる型になることが出来て、良かったと思ってるんだ」
男「女ちゃんは、男に戻りたい?」
女「そんなのもう叶いませんよ、戻ることなんて」
女「本当に世界がひっくり返ったんですから」
女「だって性転換のことを知っているのは、もう友と俺、そして先輩だけですよ」
女「何事も無く一年過ごせたというだけで、もうそれがどれだけ異常かって……戻りませんよ。腹括りました」
男「そっか」
女「はい」
男「後悔はないんだね」
女「ええ、慣れちまえばどうってことないです」ニコ
男「強いね、僕は用済みみたいだ」
女「え?」
男「普段と“雰囲気”がちょっといびつになっていたからね、どうしたんだろうって」
女「ああ……ええっと」
男「はは、余計なお節介だったかな」
女「あ、いえ、大丈夫です」
男「――今日入った本っていうのはソレかな、後輩君」
後輩「あッ……えっと」ビクビク
女「……ん?女子生徒?……じゃなかった。男子の制服着てんじゃんか」
後輩「……えっと、そうで……す。今日の、……どうぞ」
男「ん、ご苦労様。心配してたんだ。戻ってこないから」ニコ
女(ってヤバい!もしかしてさっきまでの会話聞かれてた!?)
男「大丈夫、性転換の所は聞かれてないみたいだよ」ヒソヒソ
女「どうして?」ヒソヒソ
男「僕はしっかり見えていたからね、廊下の方も」ヒソヒソ
後輩「えっと……えっと」ビクビク
女「え、えーっと、女です」
後輩「せ、先輩……えっと」
男「予想と違った?」
後輩「は、はい……その、容姿端麗で色彩兼備だって……」
男「ああ、本当に色とりどりだよ」ニコ
女(な、なんかムカつくなぁ)
後輩「その、そういう、人なんですか」
男「ん、ぶっきら棒な喋り方だけど、良い人だ」
後輩「……こ、後輩、です。よろしくお願いします。え、えっと」
女「女でいい。よろしく」ニコ
後輩「えっと……」
男「ただの握手だ」
後輩(……お、女の人の手だ……)
ぎゅっ
女「よろしく」
後輩(……本当に綺麗だな、それになんかカッコイイな……)
後輩「お、女先輩」
女「なに?」
後輩「よろしく、おねがい、です」
女「はははっ!よろしく」
男「ね、友達なんて簡単にできるだろう?」
後輩「は、はい……」
男「ちょっとのことなのさ。ちょっとね」ニコ
女「先輩ありがとうございます。なんか吹っ切れました」
男「そっか。もっと上等な話をすればよかったかな」ニコニコ
女「それじゃ」
男「またね」
後輩「さようならー……」
後輩(凛々しいってこういう事なんだよな……)ポー
男「一目惚れかい?」
後輩「ひぅぇッ!?え、え、えっと、ととと」
男「はは、落ち着いて」
後輩「ひ、ひとめ、め、めぼれ……一目惚れ……」
後輩(顔が熱い……)
男「その気持ちは大事にしないとね、でも彼女は難しいよ」
後輩「……やっぱり僕に魅力が無いからでしょうか」
男「そういうことじゃないかな、彼女にはもう一人しか見えてないみたいだし」
後輩「……」
男「でも僕はどっちも応援するし、どっちも応援しない。後輩君に初歩的なことは教えてあげられるけど、それだけだ」
後輩「先輩……」
男「……さ、まだ教え切れていない箇所があるよね。続きといこう」
後輩「は、はい」
――自宅
女「……」
妹「なるほど、ゲームをしただけ……本当ですね」
女「ああ」
妹「良かったー。それと姉さん。そういう雑魚寝は行儀が悪いと何度言ったら……」
女「ごめん」
妹「……姉さん、どうかしました?」
女「なんでもないよ……考えてる」
妹「何をですか?」
女「夕飯のこと」
妹「今日はカレーです♪」
女「そっか、期待してる。手伝おうか?」
妹「いいですよそんな、すぐに出来ますから」ニコ
――女の部屋
女(……携帯で連絡入れた方がいいのか)
女(……なんでこんなにためらう必要あんだよクソ、やるんだよ!)
Prrr......
友≪もしもしもしもしィッ!?≫
女「よう」
友≪……なんだ、切らねーのか≫
女「お、おう」
女「昇降口のことは……その、悪かった」ペコッ
友≪……なぁ、お前今頭下げた?≫
女「え?」
友≪その様子だとマジで頭下げたんだなwwwwwww≫
友≪誰も居ないのに頭wwwww下げてwwっうぇっうぇwwww≫
友「と、とにかくすまんかった」イラッ
友≪いいよいいよ、気にしてねーって。お前にも色々あるんだカルシウムが足りないとか≫
女「はぁ!?」
友≪あっはっはっは!!ほら調子戻った≫
女「あ……」
友≪どうよ俺の特効薬♂≫
女「気持ち悪いですね」
友≪辛辣すぎるよぉ……ふぇぇぇ……≫
女「気持ち悪い」
友≪……でだ、さっきのことだけど≫
女「さっきか?」
友≪細かいツッコミはしないでください(泣)≫
女「あ、あぁ」
友≪その、俺告白されたじゃん?≫
女「ああ……そうだったな」
友≪で、でさ、明日なんだよ期限が。どうしようかって≫
女「断ればいいだろ」
友≪断るのか?≫
女「だ、だって好きじゃねぇんだろ、だったら相手のことも考えてキッパリ断るべきだろ」
友≪うーん……≫
女「な、なんだよ。もしかして女子Cの奴のこと好きなのか?」
友≪そういうんじゃないけどさ……俺、人生で初めて女の子に告白されたんだぜ!?≫
女「み、耳元で叫ぶなって」キーン
友≪さっきからずっと興奮止まなくてさ……いやぁ、俺って男として終わってなかったんだって≫
女「そ、そうか」イライラ
女(あ、アレ、なんで俺イラついてんだ?喜んでやるべきだろうが、あいつ彼女欲しがってたし)
友≪あはは、でさ、女子Cってチッとケバかったんだが、最近化粧とかナチュラルになってきてんじゃん?≫
女「そうだな、なんか落ちついてきたっていうか、大人しくなってたなアイツ」
友≪でさ、そんな感じだから俺も意外と“アリ”かなぁ~って……≫
妹「ねぇさぁーん!ご飯ですよぉーッ!」
女「あ、スマン。飯だわ、切る」
友「お、おう?」
――リビング
妹「誰と電話してたんですか?」
女「あの畜生豚」
妹「あー、あの犬畜生ですか……ってえええ!?」ガチャッ
女「妹、箸をそういう風に使うんじゃないよ」
妹「あ、えっと、すみません」シュン
妹(おかしい……あの豚のことを“畜生豚”なんて呼ばないのに……何かされたんだろうか)
妹「姉さん?」
女「ん」モッキュモッキュ
妹(ハムスターみたいだよぉ///じゃなくて)
妹「えっとですね、友先輩から何かされました?」
女「……なーんにも」モグモグ
妹「……そう、ですか」
妹(私の思い違いでしょうか……ならいいんですけど……)
女「……」ボーッ
カシャッ
女(あ……箸が)
妹「姉さん?大丈夫ですか?本当に」
女「少し、眠いんだ。先にお風呂使ってもいいかな」
妹「あ、そうだったんですか。お疲れ様です」ニコ
女「うん」ニコ
妹「服は出しておきますから」
女「いや、私が出すよ。いい」
妹「そうですか」
女「妹に頼りっきりはよくないし、私の家事のスキルが下がっちゃうからな」
妹「そうですね……それじゃ、ゆっくりしてます」
女「ああ」
――風呂上り
女「……着信?……友か」
女(どうしてだろう。アイツの話をこれ以上聴きたくないような気がする)
女「だからって電話してきてるんだから、きちんと返事は返さないと」Prrr.....
友≪飯終わった?≫
女「んああ、お前は?
友≪食った。でさ、話の続きなんだけど≫
女「……ああ」ドンヨリ
友≪意外と化粧薄くても可愛いじゃん?だから一回くらい青春してみようかなって思ってるんだ≫
女「そうだな、恋人ができたら青春謳歌できるなぁ」
友≪だろだろ!?お前も彼女……じゃなかった、彼氏できるといいな!!≫
女「なんだ、もう決めたのか」ボソボソ
友≪ああ!俺やっぱ付き合うことにするわ!萎えた学校生活なんてごめんだぜ!!≫
女「……」
友≪ん?もしもし?もしもしもしもしィ?男ぉー?≫プツッ
ツーッ...ツーッ...ツー……
女「……なんで、なんで俺……――泣いてんだよ」
――友の家
友「切れちまった……なぁーんか最近変なんだよなぁアイツ」
友「と、とりあえずこれで俺のリア充ライフは確立されたわけだ……!うひょおおおおおおお!!!」
友「ぃぃぃやったぁぁぁぁ!!!俺の人生は晴れ時々大荒れ!いいね!良い人生だよおおおおお!!!!」
友「いぃぃぃやっほぉぉぉぉ!!!!!!」
姉「静かにしろ」
ボコッ
友「ぎゃふん」
姉「……おい起きろ愚弟」
友「い、いっつ……な、なんだよ」
姉「お前、女ちゃんは乙女だということを忘れるなよ」グッ
友「な、なんだよ……まさかさっきの話聞いてたのか!?」
姉「だからなんだと言うのだ。とにかくそういうことだ」
友「ん、んでそんな怒ってんだよ……わけわかんねぇ」
姉「判らんだろうな」
――女宅
女「……馬鹿じゃねぇの。なんで俺がこんなことで泣く必要があんだよ」
女「……はぁ、先輩の言ってたことってこれか?でもなんで俺が反応しなきゃなんねーんだよ」
女「……そうか、アイツかっこいいもんな。見た目だけ」
女「いや、きっと違うな、あいつのああいう所に女子Cは惹かれたんだ。それは間違いない」
女「アイツと一緒に居るとまず退屈しないからな。その代わり毎日振り回される日々になるが」
女「……あー涙とまんねぇよ。なんだよコレ……ひっく」
女「めんどくせぇ……ひっく、俺が何かしたってのかよ……なんで俺が女にならないとならねーんだよ……ひっく」
女(……腹をくくったんじゃないのか、俺)
女「……寝よう。寝れば解決するんだから」
――次の日
妹「姉さん、元気無いですね」
女「……寝すぎかもな」
妹「寝すぎはあまり体に良くないですよ。何事も適度にしておくのが一番です」
女「マイシスターは私への愛情を異性に向けるべきだな……」
妹「もうそんなこと!……って本当に元気ないですね」
女「ん?あぁ、そうだな、そうかな」
妹「……姉さん」
女(今日は合流しなかった。アイツと登校してるんだろうか)
女(そのことを考えると胸焼けが起きたみたいに苦しくなる。よそう。考えるのは)
――教室
女子D「どしたん女、元気ないぞ?」
女「ん?あぁ、そう、かな……そうだよね、うん……うん」
女子B「さっきからずっと頷くだけなんだよぉ」
女子「……ふーん。やっぱアイツのことかな」
女子B「アイツって、友のこと?」
女子「……」ボーッ
女子「うん、多分ね」
女子B「確か女子Cが彼氏が出来るとか喜んでたけど」
男子B「なぁ女、今暇?」
女「ふぇ?」
女子「ん?」
女子B「まぁ~だこりてないのあの男。しっつこいわね」
男子B「来て欲しいんだ」
女「……ぁー、あぁ、うん」
男子B「おお、んじゃ屋上にいこうぜ」
女子(こっからじゃ話し声が聞こえない……)
女子B「あの二人屋上に行くみたいよ」
女子「はぁ!?あんなのと二人っきりなんて女が危ないわよ」
女子B「今は昼休みだから、向こうで約束でも取り付けるんじゃないかしら。今の女じゃ何してもおかしくないかもね」
女子「と、とにかく叩いてでもあの子のボケを直さないと」
男子C「おっと、人の恋路は邪魔するもんじゃないぜ」
男子D「同じく」
女子「あんたら……!」
男子C「悪いね、だが安心しろよ。アイツは“正当な方法”で告白するから、多分」
男子D「だろうな、多分」
女子B「多分って……あの金髪野朗によ!?」
男子C「買収されてんだよ。悪く思うなって」
男子D「同じく」
女子「……アンタ達サイッテー」
男子C「誰だって青春したいんだろうよ」
男子D「ああそうだろうな。誰だって青春したいんだろうな、HAHAHA」
――屋上
女(空が青いな。雲が白いな。俺の心は空っぽだ)
女(……これが唯識か)
男子B「でさ、アイツ付き合うんだってな」
女「みたいね」
男子B「……」ゴクリ
男子B「と、とりま時間が無いからさ、今日校舎裏に来てくれよ」
女「……うん」
男子B「……へ、へへ、OK。んじゃ放課後」
女「あぁ……」
――放課後
女子「はぁ、はぁ、邪魔ねぇあいつら」
女子B「でもなんとかすり抜けたわね」
女「……」ボー
女子「ちょっと!ちょっと女!?」
女子「待ちなさいっての!」ガシッ
女「……ぁ」
女子B「大丈夫?」
女「うん」
女子「なんで了解したのよ。あいつ校内で変な噂が飛び交ってんだよ?」
女子「頭のキレてるアンタなら、判ってると思ってたんだけど」
女「……ぁ、えと、なんか」
女子B「女子ちゃん……」
ポーン......≪2年×組の女子さん……女子Bさん……放送室まで来てください……先生がお呼びです……≫
女子B「あいつらそういえば放送部員だった……!!」
女子「卑怯な……、絶対何かあるわよ女、行かない方がいいって!」
女「……ぇ、ぇと」
女「……あれ、友?」
友『あははは!!!でさ~』
女子C『はははは、本当に~?』
女「……ごめん、私行くよ」
女子「あ、ちょっと!!!……」
女子B「行っちゃった……」
女子「絶対何かあるわよ……くそっ」
女子B「でも証拠も何もないじゃない?あの子変なところで義理堅いから……」
女子「ああいうのは凝り固まった悪い方の考え方っていうのよ」
男「その通りだね」
女子「……あ、先輩」
男「やぁ、女子ちゃん」
女子B「女子の知り合い?」
女子「う、うん。図書委員で世話になってて」
男「……大丈夫だよ」
女子「大丈夫?」
男「うん、任せて。でもその為には君達の協力がちょっと必要かな」ニコ
女子B「協……力?……」
――放課後、教室内
女子「――その話って本当ですか?」
男「うん」コクリ
女子B「だとしたら、女ちゃんがああなってるのって、意図的なものってことじゃ」
男「そうだね、二人とも魅力があるからね。普通とは違う感じの」
男「男子B君と、女子Cちゃんは、改めて言うけど組んでるんだよ、二人で密約を交わして」
男「二人ともアレでかなり頭が回るみたいでね、心理戦なんて仕掛けてるのさ、色恋の毒というのは恐ろしいね」
女子B(ど、毒舌なんだなぁ)
男「おかげで友君は仮想の恋人に狂喜しているし、女ちゃんはどんどん日常を剥がされて、無防備になっていってる」
男「それで、もう友君の方には後輩を派遣してるんだけど」
後輩「はぁ、はぁ、つ、伝えてきました」
女子「……可愛い」
女子B「かわいいー」
男「見込みどおり。足が速いね。あとは女ちゃんに電話を入れるだけだ」
男「女子ちゃん、彼女の電話番号を教えてくれないかな。仕上げだ」ニコ
――校舎裏
男子B「……ここじゃなんだ、もっと移動しようか」
女「……なんの用?」
男子B「ちょっと遊ぼうかなって」
男子B(想定外だな……まぁ幸い、女子Cの奴から連絡が回ってきただけでも善しとしようか)
男子B「喉とか乾いてない?ここからだったら公園が静かで良さげ」
女「そこでいいよ……」
男子B(良い感じに感情に振り回されてるな。純情な女ほど扱い易いもんはないな)
――
女(どうしちまったんだが、なんか体に負けてないか?)Prrr......
女(電話だ……)ピッ
女「もしもし」
男≪や、女ちゃん≫
女「先輩」
男≪少し伝えないといけないことがあってね、君の友達の女子ちゃんから電話番号を教えてもらったんだ≫
――教室内
後輩「……」
女子「私女子。よろしくね」
女子B「同じく女子Bです。後輩君よろしくね♪」
後輩「よ、よろしくです……」
女子「にしても先輩、突然一人にしてくれないかって」
女子B「きっと考えがあるのよ。任せましょう」
後輩(先輩……実践で経験を積めと言われても……)
後輩(いきなり二人を相手するのは……いや、けれどこの試練を乗り越えないと女先輩と対等になれないということじゃ)
後輩(が、頑張って話を盛り上げないと)
――廊下の隅
男「思春期の女の子ほど、危うい体も無いからね。“私”がそれを一番良く知っている」
女≪……どういうことですか≫
男「君は敵に調査され、弱点を発見され、その弱点を突かれ、今にも敵の手に堕ちんとする国みたいなものだよ」
男「自分でも違和感を感じなかったのかい?」
――公園
男子B(長いな……まさか先手を打たれてるのか?)
男子B(だとしたらマズい。すでに知られていたら、警戒される場合がある……下手に電話を早くやめるようにも仕向けられない)
男子B「……」
女「……確かに、なんか“いつも通り”にいかなくなっているような」
男≪いいかい、君は“女の子”なんだ。男の時と同じ気構えで、同じような精神状態を維持できるわけないだろう≫
男≪体に心が馴れてきているんだよ。年相応の女の子の心になるように≫
女「……なるほど」
男≪今まで以上に気張っていないといけない。それこそ後ろから討たれるっていうくらいにね≫
男≪女の子は、精神を曖昧に保っていると、すぐに淘汰される。しっかり意識するんだ。自分はどんな人間なのかを≫
男≪色恋に関しては、特に≫
女「……それで」
男≪本題だ。直ぐ終わる。君は仕向けられている。男子B君と付き合うように。意図的に≫
女「それでどうすれば」
男≪もうここまでくれば解るんじゃないかな≫
女「……騙されるな」
男≪そう。君の想い人は、彼じゃないはずだ≫
男≪そして、友君もまた、常に“そう思考”するように、彼から頻繁に心理的誘導を受けていたみたいでね≫
女「凄いですね……」
男≪女の子の頃のしぶとさがまだ残ってたみたいなんだ。はは≫
男≪今そっちに友君が向かってる。後はどうするか、君が自分で考えるんだ≫
男≪そこからはプライベートだからね。僕が関わるのは野暮ってものだ≫
女「ありがとうございます。先輩……」
男≪いいよ。君は友達だから≫ニコ
女「それじゃ」
男≪うん。切るね≫
ツーッ......ツー...
女(……)パンッ
女「ちょ、ちょっと強くほっぺ叩きすぎたかな……んまぁいい。征くか」
――教室
男「やぁ」
後輩「先輩」
男「あとは二人に任せて、僕たちは帰ってしまおう」
男「二人とも悪かったね、つき合わせてしまって」
男「後輩君は前から予定をつけてもらっていたんだけど」
女子「い、いいですそんな///」
男「ふふっ」ニコ
女子B「あらあら……」
後輩「?」
――街道
友「……はぁ、はぁっ、はぁ!!!」
友「……こりゃ雨が降るかァ!?傘……そうだ、コンビニ!」
友「今月の小遣いなんて気にしてる場合じゃねぇ!!!」
友(……あの後輩って奴の話が本当なら、俺は馬鹿野朗だぜ……モノホンのさ)
――校門前
男「……雨が降りそうだ。二人は傘ある?」
女子「じ、実はなくて」
女子B「私もなんです、あはは」
男「後輩君、傘は?」
後輩「あ、あります。一応……予備の折畳みが」
男「それじゃ僕と女子ちゃんは同じ方向だから、よろしくね」
後輩「あ、あの」
男「ん?」
後輩「し、信じてくれたんでしょうか。見ず知らずの一年の言葉を」
男「彼は純朴だからね、今頃走り抜けている頃だ」
男「さぁ行こう、女子ちゃん。こんな男と傘を共にするようになってしまうけれど」ニコ
女子「か、構わないです……、むしろ嬉しいです……」
女子B「ホントにこっちの大きい方使っていいの?」
後輩「はい。明日返してくれれば構いません」
――公園
男子B 「でさ、ついでだし俺らも付き合おう……みたいな」
男子B(……可能性は低いけど、もしもの時は無理やり……)
女「悪ぃけどお断りだな」
男子B「……へ?」ポカーン
女「俺はお前みたいな中途半端な奴と付き合いたくなんかないね」
男子B「お、女?」
女「特にさ、小ざかしい手を使うような奴は一番嫌いなんだよ」
男子B(な、なんだ?なにがどうなってんだ?)
男子B「えぇーと……その、猫かぶり……」
女「おうよ、学校でのアレは猫被ってんだよ。こっちが本来の俺だ歩く生殖器野朗」
男子B「あ、歩くせ、せいしょ!?」
女「そんなセンテンスも口にできねぇとはとんだ半端者だな、あの馬鹿なら一秒間にパンツをギリ3回は連呼できるぞ」
女「どこまでも中途半端な真性包茎野朗には、それ相応の女が居るだろうさ」カーッペッ
男子B「お、女のイメージが……崩れていく……」あばばばばば
女「今までの俺は少しどころじゃないくらい腑抜けてたけどよ」
女「よーやく本来の俺だ。好きな部位はおっぱいよりふともも、AVよりはエロ本」
女「パンチラは邪道、妄想で透視することこそが男の嗜み……」
男子B「な、なんだよくそっ、俺が騙されてたのかよっ」
女「平和で静かに学校生活を送りたいなら、二度と関わらないことだな。こういうことも起こさないことだ」
男子B「な、なにを」
女「俺って学校で人望あるだろ?清楚で綺麗な優等生だからなァ。俺がひとたびお前に何かされたって言ったら、おまえ学校でどういう扱いを受けることになるやら」
女「きっと色々根も葉もない噂が流れるだろうな」
男子B「た、たかが一人でそんなことが起きるわけねぇだろ!!!」
Prrrr....
女「どうかな」ニコニコ
ピッ
友≪おいこの糞野朗、俺は知ってるからな!!!!!!!!!!≫
女「色んな意味で学校の有名人である奴と、優等生が同時に同じことを口にしたら?」
女「穏便に済ませたいんだよ。な、わかるだろ?どうすればいいのかなんて一つしかない」
男子B「……約束だからな!!!」
女「あぁ、守るよ」
女(なるほど、確かに潔いな)
友「女ぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
女「お、遅かったな変態」
友「い、いきなりなんだっていうんだよ」
女「社会の窓開いてんだよ、閉めろって露出魔」
友「っと、で、どこだ?糞野朗はどこだ?俺の純情踏み躙った野朗はどこだああああ!!!」
女「閑静な住宅街で叫び声を上げるなって、変人だけどそれ以上いったら狂人にランクアップだぞ」
友「……っと、す、すまん」
女「一応先輩に連絡入れとくか」
――
男「終わったみたいだね」
女子「終わったんですか?」
男「うん。スムーズにいったみたいだ」
――公園
女「……はぁー。疲れた」
友「乙カレイ」
女「おお、ゼロのコークとは判ってる」プシュ、ゴクゴク
友「そういやこの公園のベンチに、こうやって二人で座るのは久しぶりな感じだ」
女「そういえばそうだな、待ち合わせくらいにしか使ってなかったし」
友「……雨だな」
ポツポツ......ポツ......ザー......
カシャッ
友「雨が降ったら傘をさす」
女「そうだな」
女「ただコレ、二人には少し小さい」
友「へーきさ。んじゃ帰ろうぜ」
――帰り道
女「なぁ」
友「なんだ」
女「お前さ、右側がめっちゃ濡れてる」
友「そりゃそれが男の役目だからな」
女「何言ってんだよ風邪ひくぞ馬鹿か」
友「馬鹿は風邪をひかん」
女「こっからだったら俺ん家が近いから、ついでだから泊まってけ」
友「服は?」
女「父さんのがあるからな、妹はなんとかなる」
友「お色気ですか」
女「一発だぞ」
友「それを、傷ついた俺にも恵んで欲しいもんだぜ」
女「考えんこともない」
友「え?」女「なんでもねーよ」
友「もう一回!もー一回言ってくれ!!!」
女「言うかアホ!とりあえず家についたら妹に言う言い訳を考えろや」
友「サー、イエス!サー!!」
女「おーおーうるせぇ」
友「平常運転だと言ってくれ」
女「はいはい
――女の家
妹「なるほど……わかりました。まぁ、今回ばかりはいいでしょう」
妹「私も鬼じゃありません、しかし!!!」
友「ふひっ!?」
妹「姉さんに手をだしたら、どうなるか。わかりますよね」ニコ
友「は、はは、そりゃもう、わかってますって……」
女「さっさとシャワー浴びて着替えてきな」
友「そいじゃ早速借りてきます!」ドタドタ
――夕食
女「連絡は入れたのか?」
友「おう」
友「ってわけで泊まるわ」
姉『そうか……良かった』
友「ん?」
姉『なんでもない。ゆっくりしてきなさい』
友「いやぁ珍しく愚弟とか言われなかったわ」ヘラヘラ
妹「……」ギロッ
友「はっはっは……すみません」シュン
女「ははは(棒)」
女(妹がキチンと料理を用意してくれただけでも、良かったな……)
――就寝
妹「まだ起きてるというんですか」
女「あ、あぁ、ゲームするからな!」
友「お、おうよゲームするからな」
妹「……」ジー
友「ってかお前の妹ああやって胸元に抱き枕を抱きしめてないと寝れないタチか?」ヒソヒソ
ドゴォ
友「おうふ」
妹「ふん!おやすみなさい!!!」ドタドタ
女「友……無茶しやがって」
友「勝手に殺すな」ヒョコッ
女「あ、生きてた」
友「風呂は?」
女「入ってくるよ。お前はリビングで適当にしててくれ」
友「りょーかい」
――
女「……どうした?」
友「……」ジー
友「お前……なんか変わった?」
女「なにがだ?」ゴシゴシ
友「ミョーに女々しくなったというか……艶が増したというか……んんん?」
女「っと、こんな風にしちゃいけないんだったな」ポンポン
友「どした」
女「髪は優しく扱えだと、妹が」
友「綺麗だもんな、お前の髪」
女「どうも」チョコン
友「……今日は深夜アニメ鑑賞会だ!!!オーイェ(ry」ぽかっ
女「夜なんだから静かにしろ」
友(……良いにおいがするな、コイツのにおいだ)チラチラ
女「んだよ」
友「なんでも」
女「気味悪い」
友「悪かったな」
TV「舞浜シャイニングオーシャンパンチ!!!!」
友「どうだ?」
女「なんかロボットがカクカクしてるな」
友「回を増すごとに動きが良くなってくぜ」
友「クーッ、このスケルトンを基調にした未来チックなデザインは男のロマンをくすぐるぜーッ」
女「まぁ、判らんこともない」
……。
友「今週のアニメも最高やったね」
女「……よし寝るか」
友「寝るのか」
女「他にやることあったか?」
友「うーん……ネェナ!」
女「だろ?妹起こさないように二階行くぞ」
――女の部屋
友「相変わらず女子の部屋とは思えんシンプルさだな」
女「悪かったな」
友「さぁーって下着タンスを調べないと……」ぽかっ
女「……」ビキビキ
友「自重します」
女「よろしい」
友「……でもよぉ」
女「電気消すぞ……ってなんだよ」
友「俺さ、純情踏み躙られてるんだよ、恋しいんだよぉ」
女「……せっかくしいた布団が意味無いだろ」
友「そんなこと言うなよぉ、昨日も一緒だったじゃんかよぉ……」
女「……はいはいわかったから寝ろ!もう寝なさい!!」
――
女(背を向けるのは一々律儀だなコイツ)
友「……」
女「……まだ起きてるか?」
友「おう」
女「……」
友「……結局俺の青春はリセットかぁ……」
女「……」
友「……はぁ」
女「なぁ」
友「ん?」
女「彼女欲しいんだっけ?」
友「そりゃもう、飢えに餓えてますよ」
女「しょうがねぇな、んじゃ俺がなってやるよ」
友「マジで言ってんの?」
女「こんな時に嘘吐いてどーすんだっての」
友「……んんん」
女「んだよ、嫌なら嫌って言えよ」
友「嫌じゃねぇけど、けどさ」
女「けど?」
友「なんていうか、女の子として見れないというか」
女「……」
男『そう。君の想い人は、彼じゃないはずだ』
女「こっち向け」
友「?」
女「なんで俺からなんだよ」ゴニョゴニョ
女「そういうのは普通男の側からだろ……」ゴニョゴニョ
女「んっ……///」
友(……や、柔らかい……なんて柔さだこれは)
女「ほらどうだ」
友「すみませんでした。今までの自分を殴りたくなりました」
女「ようやく俺の魅力に気づいたか」
女「ったくおっせぇな///」ブツブツ
友「真っ赤っかッスね」
女「お前もな」
友(か、掛け布団でぎゅっと口元を覆い隠している……な、なんという破壊力だ)
女「?」
友「よ、よし、も、もう一回いいかなー」チラッチラッ
女「……す、好きにすればいいだろ」
友「……」
女「んんっ……///」
友(……これはヤバい。ヤバい。脳みそが蕩ける……柔い、柔すぎる……)
友「いやぁ、ちゅっちゅするだけでも僕ぁ一生分の幸せを得た気分です」
女「摂取過剰になるな、これからは」ボソボソ
友「ああああかわえええええ!!!」
女「う、うわッ!!だ、抱きつくなって!!」
友「もー辛抱たまらん!!かいぐりさせろ!!」
ナデナデギューギュー
女「お、落ち着けって!お、おい!」
友「嗚呼、今の俺には見える。ヴァルハラが……」カイグリカイグリ
友(姉さん、貴方の言うお人形さんと言う言葉、本当にハマってます……)
バサッ
女「ふ、布団の中はあちぃ!」
友(突き放されるだけで、この物悲しさ……)
友「是が非でも離さんぞ!!」ギュー
友「いやぁ、このこうやって胸元に置いておくと安心しますね」
女「これじゃ俺が子供みたいじゃねぇかよ!」
友「いやいや、愛玩に似てるから気にするなって、あー癒しだ」ナデナデ
女「……髪がボサボサになるわ」
友「そいじゃ手で梳きましょう」サラサラ
女「……はぁ、もういい」ポン
女「お前の胸板、案外気持ちいいな」
友「うほっ」
女「やめんか気色悪い」
友「鍛えてますから」
友「というわけでキスするか、そうしよう、な!」
女「唐突だな」
友「かまわん!やるからな!するからな!」
女「んん……」
女(なんか体制がキツいな、首に手を回せばラクになるかな……お、良い感じだ)
友(も う 何 も 考 え ら れ ん )
女「んんっ……ちゅっ……ちゅぅっ」
女(……!?こ、コイツ舌を……!……ま、いいか。)
女「んぐっ……ちゅ……ちゅっ……んぅ」プハァッ
友「……ど、どうだった?」
女「ど、どうって……」ティッシュティッシュ……
女「なんていうか、その」ゴシゴシ
女「あ、はい。これで口元拭け」
友「おおサンキュー」ゴシゴシ
女「……と、とりあえずさ、俺このままでいいの?」
友「ん?首に腕回したままの密着状態でってことか?俺は一向に構わんッ!むしろずっとこうしていよう!そうだそうしよう!な!」
女「体の筋肉攣らないか?大丈夫?」
友「こんぐらいで攣るような男じゃない」
女「そうかよ、んじゃお構いなく」
友「つまりこのまま寝転んじまえば攣るわけがないんだよ」ゴロン
女「なんだ結局攣るんじゃないか」
友「どんな奴だって、あの体制でジッとしてたら攣るわ!」
女「静かにしろって、さっきから」シー...
友「す、すまん」
友(か、髪が顔にかかってくすぐったいな)
女「ん?どうした?」
友「い、いやなんでもない」(髪をかきあげる仕草とかヤバいでしょう殺す気ですね)
女「おお、こりゃいいベッドだ。質が違いますよ」ペトン
友「あばっばっばっばっば」
女「?」
友「お、おま、おまっ、そういうのは卑怯というあsdふぉいnwspj1」
友(仰向けの状態で乗っかかられ、しかもそれから倒れ密着とかもう色々ヤバい死ぬ氏ぬじゃなくて死ぬ)
女「ほ、ほんと大丈夫か?」ギュー
友「ア:w添いfdン:アspdjファs:d歩fじゃsd:おjwdf」
女「お、おい!」
友「お、落ち着くんだ、よぉし、深呼吸……」
女「なんかトトロの腹の上みてぇだな。腹は出てないが」
友「……なんか疲れがドッと押し寄せてきたぜ」
女「あ、もう4時だってよ、ははは」
女「おー、心像の音が聞こえる」ピト
友「いやぁ昼と夜が逆転しちまうなこりゃ。明日が土曜でよかった」
女「んじゃもうちょっとこうしてるのか?」
友「そだな、そうしよう」
女「……」
女「こりゃ妹が知ったら発狂モンだろうな」
友「俺が見合う男になりゃいい」
女「……期待三分の一分の五くらいはしとく」
友「おう、信じろって」
友「……どれ、暇つぶしにほっぺでも弄るとしようかな」ムニムニ
女「おむぅあぇにゃにをひゅるのか」
友「ぶふwwwこれはwwwいいwwwほれほれwww」
女「……この野朗、てめぇ。ってうわぁにゃひぃをぉひゅるんだひゃめんかーっ」
友「やーらけぇなぁ、うん。おっほっほ」ムニムニ
女「……」ムスー
友「そ、そんな顔しないでくださいよ」
女「力加減をしっかりしていたところは評価してやる」
友「いや、あんまりにお肌が綺麗だったからこねくりまわしてやりたくなったんですよ」
女「……髪なんて弄ってどうすんだよ」
友「手梳きです」
女「……あー切りてぇ」
友「切らないでくださいお願いします!!!!」
女「シーッ......」
友「切らないでくださいお願いします!!!」ヒソヒソ
女「……わかったよ。切らん」
友「綺麗だからさ」
女「髪が?」
友「全部」
女「……欲張りだな」
友「お前が完璧すぎるのが悪いんですよ、そういう星の下に生まれたと想って諦めてください」
女「そんな勝手な……んじゃ俺からも」
友「なんなりと」
女「てめぇ俺以外の“女”と仲良くすんじゃねぇぞ!」
友「嫉妬ですか」
女「俺の嫉妬は凄いぞ、多分」
友「さっき誓った」
女「足りねーんだよ」
友「誓ってそのような不貞は働きません」
女「……ホントか?ホントのホントか?」
友「だからホント」
女「や、破んなよ?ホントに、泣くからな、ホントに」
友「うん。しないよ、だから泣くなって」
女「……ティッシュ」
友「はい」
女「……もう空が明るいな」ゴシゴシ
友「寝る?」
女「……寝たら妹がきちまうよ」
友「別に妹ちゃんにシバかれるくらい、馴れてるさ」
女「イヤだ」
友「……なんでさ」
女「なんか気にいらん」
友「わかったよ、はいはい」
女「……少し寝よう、アラームかけて」
友「妹ちゃんは?」
女「今日はゆっくり寝てる、10時くらいまでは寝るように言っておいたから」
友「そっか」
友「おやすみなさいだ」
女「んっ」チュッ
女「ああ、おやすみ」
ピーッピーピーッ
友「……zzzZ」
女「……朝か」
女(9時……ギリギリだな)
女「おい、おい友、友って」
友「あ、あと10分……20……」
女「伸びてんじゃねーか……。おい起きろって」
友「……ぁー、ん?ん?あぁ、えーっと」
女「おはよう」
友「……ぇー、ぁー、おはよう」ゴシゴシ
女「シャワー浴びてきなよ。服は昨日のがあるから」
友「お、おう」
女「さて、妹を起こさないようにいかないと」
友「そうだな……」
――リビング
友「ふぃー……」
女「あ、簡単な飯作っといたから、食って待ってて」
友「そっか、お前もシャワーだな」
女「うん
――
女「……さてどうするか」
友「何がだ?」モシャモシャ
女「今日どうすっかなぁって」
友「そういやすることなぁいなぁ」
女「ものを食べながら喋るんじゃねーよ行儀悪い」
友「さーせん」
女「ごろごろしてるのもいいんだがな」
友「どうすっか」
――
妹「おはようございます」
妹「……」ギロ
友「は、ははは。おはよう妹ちゃん!」
女「まぁまぁ、お前友達と遊びにいくんだろ?」
妹「あ、はい。わざわざ服を準備しなくても……」
女「良いって良いって、飯も用意しておくからシャワー浴びてきなよ」
――
女「さて、妹も家を出発し、12時になったが」
友「やることねぇな」
女「おう」
友「とりあえず、ほい」パンパン
女「なんだ膝を叩いて、パーカッションか?」
友「座れって」
女「……唐突だな。ま、まぁいいけど」
友(しかしこうやって抱きしめていると判るが、細いな)
友(この体からあのパンチが出るとは思えねーなぁ)
女「なんだよジロジロと」
友「いや、どうやったらその体からあのエネルギーが出るのかと」
女「そりゃ、アレだ。気合だよ」
友「……なるほどわからん」
女「知らねぇよ俺だって」
TV『では次の情報を――』
女「……そういえばさ、俺が女になっちまった時のことって――」
――回想。一年前、入学式を終え、少しずつ知り合いと友達が増えてきた頃
男(女)「うぃ~授業だりぃ~」
友「の割りには成績いいなお前」
男「俺はやる時はやるからな」
友「勉強教えてくれよぉ」
男「自分でやれよ」
――放課後
男「なんだかんだで明日教えることになっちまったなぁ」
男「あーめんどくせぇ」
男「さて、帰るか」
――帰り道
男(……今日はやけに体が重いな、疲れてるのか?)
――自宅
妹「お帰りなさい、兄さん」
男「あぁ……」
妹「元気ないですね。早めに寝たほうがいいですよ」
男「そうする……」
――次の日
女「……あれ、朝か」
女「こんな早い時間に起きて、何してろっていうんだよ……」
女「とりあえず寝癖治そう……」
――
女「……」ボケー
バシャバシャ......
女「……ん?」
女「んん?」
女「無い」
女「……俺のアレでナニが、無い……だと?」
女「それになんか、背が、縮んだような」
女「……」
女「すぅー……はぁー……」
女「……」ピト
女「あるようで無いな」
女「よし、とりあえず整理するんだ」
女「俺は起きたら女になっていた」
女「……ってえええええええ!?」
女「……どういうことだ、どうなってるんだ」
女「そうだ、部屋。部屋に行けばわかるかも知れない」
――女の部屋
女(タンスの中身も女物で染まっていた……)
女「……見た目変わってないと想ってたけど」
女「どーなってんだ……」
――
女「……」
妹「あれ?“姉さん”どうかしたの?」
女「はぅぁ!?」
妹「ど、どうしたんですか?」
女「い、いやなんでもない……お、おrじゃなくて、わ、私先にシャワー浴びてくるねーあははははは(棒)」
妹「?」
妹(寝起きの姉さまも可愛いなぁ……)
――
女「……あぁ、あぁ、女だ……」
女(事実を否定しようがない……夢でもない……)
女「……しかし長いな、女ってのは面倒なもんだ」
女(肩にかかるくらいで、これだけ面倒なんだから、妹なんかは苦労してんだろうなぁ)
女「……はぁ、とりあえず学校だ」
女(妹があの様子で、部屋の様子を鑑みると、……まぁ、大丈夫だろう)
――学校
友「( ゚Д゚)ポカーン」
女子「おはよー女ちゃん」
女「お、おはよう」
女子B「大丈夫?なんか硬い感じがするけど」
女「そ、そうかな。ハハハ」
友「(゚Д゚)」
女(……なんだ、友の奴ずっとこっちを見てるぞ)
女「こっちみんな」
友「お前ちょっと来い!!!」
女「おうわッ!?」
――
友「お、お、おまっ、お前、あ、あの“男”だよな!?」
女「お、おう」
友「ど、どうなってんだ?他の連中に聞いても頭の心配されるだけだし……」
女子達『ハァ?あんた何言ってんのよ。女ちゃんは女ちゃんでしょ可愛いわよね」ガヤガヤ
友「……」
男子達『死ね。氏ねじゃなくて死ね!』
友「な、なぜだ同志!!!」
男子達『女子と仲良く会話しているだけでリア充なんだよ!!!』ウワーン
友「( ゚Д゚)」
――
友「な!?おかしいだろ!?!?」
女「お、俺に訊かれても……俺だって、状況をまだ全部飲み込めてないんだよ」
友「なぁおい!ホントどうなってんだって!!!」
女「ば、バカそんな強く肩を掴むなって!ゆ、揺らすなって!」
友「ホントどうなってんだよおおお!!!!」
女「お、俺は男の時と違って、体がもろくなってんだよおおお!!!」
男子達『……』ギロ
友「ほぇ?」
男子達『貴様……そんなところで何をしている』
男子1「決まってる!あの体制は間違いなくキスだ!!女ちゃんの頬を見てみろ!紅潮している!!!」
女「は、はぁ!?」
男子2「許すまじ!!裏切り者には死を!!鉄槌を!!!メギドの劫火(ひ)を!!!!」
友「な、何が、何がどうなってんだよおおおおおお!!!!!!!!」
男子達『逃がすな追えええええええええええ!!!!!!!!!』ドタドタドタ......
女子「災難だったわね」
女「……あー、えっと」
女子B「ホントあの男子達ってどーしようも無い連中よねー女ちゃん一緒にご飯食べよー」
女「あ、あぁじゃなくて、そうね、はは」
女子&女子B「?」
女(しゃ、喋り方を変えるのって苦労するな……)
――
男子達『反逆者には死を!!ギロチンを!!串刺しにして晒してやるのだ!!!!!』
友「ひいいいいいいいいいいいっ!!!!!!」
――なんやかんやあって放課後
女「……ふ、疲れた」
友「……ひ、ひぐぅ゛ぅ゛ぅ゛……」
女「と、友!?大丈夫か?」
友「い、生き地獄を見た……」
女「お、お前とり合えず怪我見せてみろよ」
友「ず、ずま゛ん゛……」
――
友「色々持ち歩いているんだな」
女「妹に言われてるからな、これでいいだろ」
友「ありがとう友よ!!!」
女「あ、あぁ」
友「……」
女「な、なんだよ」
友(……今まで良く見てなかったから気づかなかったけど、コイツ滅茶苦茶可愛いんじゃ――)
友(い、いかんいかん。こいつは男だぞあの……)
女「と、友?どうした?顔が真っ赤っかだぞ?」
友(た、たとえ良い匂いがしても……)
女「お、お前熱でもあるんじゃないか」ピト
友(て、手の平が滅茶苦茶柔らかくても……!!)
友(か、髪がさらさらで、鳥の濡れ羽色でも……!!は、肌が真っ白に透き通っていても――!!!)
女「と、友!?」
友「うわあああもういやあああああああ!!!!!」ドタドタ
女「お、おい!?」
――
男子群『よぉ』
友「ひ、ひぃ!?」
男子群『見てたぜ……?』
友「ま、まて!話せばわかる!!お前ら!同志じゃなかったのか!?」
男子群『今日の友は明日の敵だ。悪く思うな!!!!』
友『ぎにゃああああ゛゛゛!!!!』
女「狩る側が狩られる側に変わってやがる……」
女「……と、とりあえず帰ろう……今後のことを考えないと……」ブツブツ
――自宅
Prrrr....
友≪もしもしもしもしぃッ!?≫
女「ったく相変わらずうるせぇな。もしもしでいいんだよ」キーン
友≪なるほど……女になぁ≫
女「だからさ、今度からはなるべく女と接するようにしないと」
友≪女ちゃーんってか、はは≫
女「……しょうじき、俺だって混乱してて何がなんだか」
友≪……まぁいいって、困ったことがあったら、俺に言えよ≫
女「すまんな」
友≪いいっての≫
――ある日
女「な、なぁ」
友「何?」
女「こ、困ったら手伝ってくれるって言ってたよな」
友「お、おう」
女「じゃあさ、手伝ってくれよ」
友「何を?」
女「か、買い物」
友「なんだ買い物か、荷物を持てってか?いいぜ!ただしただと言うわけにはいかん」
女(ちっ……やっぱりか)
女「で、何が望みだ」
友「そうだなぁ……俺さ、女の体って触ったこと無いんだよ」
女「……お前まさか!?」バッ
友「そのまさかだ」
女「か、勘弁してくれよ!!!いくらなんでもそれは……」
友「なんだ、それじゃあいかん」
女「……い、今の俺じゃあ無理な量なんだって、親友」
友「……じゃあいいじゃないか、お前だってわかるだろ?俺の気持ちが!純粋な好奇心が!!!」
女「その好奇心は欲望に塗れて汚いけどな」
女「……」
女(別に平気だろう)
女「いいよ、ただし限度があるからな」
友「よしそれで手を打とう」ニヤニヤ
女「このド変態が」
友「褒め言葉として受け取っておこう」
――
女「……買い物も済んだな」
友「いやぁ、疲れたなー」チラッチラッ
女「……まぁ約束だ」
友「そんな身構えんでも……」
友(……ふむ、肢体は本当に訊いたとおり柔らかいんだな)
女「……///」
友(……では失礼して――)
女「あああああもう無理だ!!触るな!!!」
ぽかっ
友「ってぇぇぇぇッ!!!お前約束と違うだろ!!!」
友「まだ腕と足しか触ってない!!!」
女「なんか知らんが気持ち悪いわ!不快!!くるな去れ!!この変態が!!!」
友「……おのれ、あの荷物がどれだけ重かったか貴様にわかるか!?」
女「しょうがねぇだろ前と勝手が違うんだよ!!!」
友「勝手が違うっていってもさ、約束したじゃないか(泣)!」
女「うぐっ……」
友「そんな、こんなのあんまりだぞ!!」
女「なんと言われようと俺は触らせんからな!!!」
友「ちくしょおおおっ!!!」
――時間戻ってリビング
友「どっちもどっちだな」
女「まぁ、なんていうか、そうだな」
友「よし、良い時間だし俺はもう帰るよ」
女「そっか」
友「また月曜な」
女「そうだな、また月曜に」
友「んじゃ」
女「気をつけろよ」
友「おう」ニッ
――友の家
友「ただいまー」
姉「お帰り」
友「……」
姉「ん、どうかしたか?」
友「い、いや、いつものお叱りが無いかなぁと」
姉「お前を責める理由がない」
友「そ、そっか」
姉「……ほら、上がりなさい」
友「お、おう」
――女の部屋 食後
女「……」ポケー......
女「……星が綺麗だな」Prrrr....
女「ん?もしもし」ピッ
男≪やぁ、どうだい調子は?≫
女「いいですね」
男≪そっか、それはよかった≫
女「それで、なんですか?」
男≪うん、友君とはどうなったかなって≫
女「……えっと、なんていうか」
男≪いやなら良いんだよ?≫
女「え、えっと、おかげさまで……」
男≪ははは、そっか。よかった。じゃ、それだけなんだ≫
女「そ、そうですか」
男≪うん。それだけさ。おやすみ≫
女「……」
女「そっかぁ、俺もついに女として生きていくんだよなぁ」
女(……服とか選ばないといけないんだろうか、やべぇ俺何着ていいのかわかんねぇ)
女(やっぱ常に自分で努力しておかないと、友には飽きられるだろうか)
女「あ゛ーッ!わからん!寝るッ!!!」
――月曜日、朝
友「おーい!!」
妹「チッ、またきやがったか豚め」
友「女ぁぁぁッ~」
女「わ、な、なんだッ?」
妹「姉さんに抱きつくのキャンセラーキックッ!!!!!!」
友「オウフ……」
女「お、おい平気か?」
妹「なんだかコイツ最近、姉さんとスキンシップが多い気がするんですが?」
女「は、ははは」
妹「何もないですよね」
女「し、知らないなぁ私は……ハハハ(棒)」
友(……怨むぞ、女の奴……)ガクリ
妹「さ、汚らわしい下等生物は此処に置いておいて、いきましょう姉さん」
女(すまない友……俺も自分の命が惜しいんだ……。すまないッ……)
――昼 教室
女子B「で、女子は結局男先輩のことどー思ってるのよぉ~」ニヤニヤ
女子「ばッ///そんなんじゃないって!///」
女子D「あはは~」
女「……」モグモグ
女子「そ、そうだ。女!あんたどうなったのよ!」ヒソヒソ
女「ど、どうって」
女子B「私も知りたいなぁ~」
女「なんていうか……」
女子「なんていうか?」
女子B「……」ゴクッ
女「……///」
女子「マジかぁぁぁッ!!」ガタッ
女子B「キマシタワー」
女「だ、だから、その、ち、違う……くはないが、あーなんていうかその///」
――食堂
男子達『……そうか、では貴様も卒業だ』
友「え?」
男子達『俺たちが標的とするのは、あくまで中途半端なキャッキャウフフをしている連中だ。不貞を働いている主人公補整の連中だ』
男子達『だが今のお前はようやく身を固めた。俺たちが出る幕ではない』
男子達『その女子を大事にしてやるんだ。浮気でもしたら無論断罪だ。俺たちは一途を信条にしているのだからな』
友「た、隊長……みんな……」
男子達『もう戻ってくるなよ』
友「お、おう!!!」
――
女子「そうかぁ~私も乗り遅れないようにしないとなぁ」
女子B「ん?」ニヨニヨ
女子「な、なんでもないわよ」
女子「まぁ、もともと熟年夫婦だったんだし、なんだかようやくって感じだけどね」ニコ
女「そ、そうかな」
女子B「しっかしあの友とくっ付くのはどう見ても違和感ありまくりなんだけど……しっくりくるっていうか」
女(アイツなにやってんかなぁ)
――放課後 下駄箱
友「うぃーっす」
女「お、おう」
友「学校だぞまだ」
女「そ、そうだったね、ははは」
友「んじゃ帰るか」
女「うん」
――図書室
後輩「……」
男「見ていてつらい?二人のこと」
後輩「……なんていうか、こう、胸の奥がくすぶるというか」
男「まだ“付き合ってる”段階だよ。君の努力次第だ」
男「ただし君は一人であの友君と立ち回らないといけない。それでも戦う勇気があるなら、そうするといいんじゃないかな」ニコ
後輩「……出来るでしょうか」
男「それを僕に訊いてるようでは、まだまだかもね」
後輩「うぐっ……」
男「ははは、ゆっくりしているとあのまま結婚しちゃうかも知れないね」
後輩「や、やります!ぼ、僕男らしくなってみせます!!!!」
男「ははは、じゃあまずは自分の殻を全部壊さないとだね」
後輩「や、やりますよ!僕は絶対!女先輩を振り向かせてみせます!!」
男(僕もすっかり男になってしまったようだ)
男「それじゃ後輩君。後は頼んだよ」
後輩「はい。さようなら」
男「図書委員頑張ってね」
――校門
女子「……」
男「や、おまたせ」
女子「あ、こ、こんにちわ」ペコ
男「そんな風にしなくても大丈夫さ、いこう?」
女子「は、はい///」
――帰り道
女「て、手を繋ぐのか」
友「嫌か?」
女「い、嫌じゃないけれど……その」
友「俺だって恥ずかしくなるさ、痛みわけだ」ぎゅっ
女「お、おぃ///」
子供「ママーアノフタリコイビトサンナノー?」
母「うふふ、そうみたいね」
子供「ワタチモカレシホシー」
母「きっと出来るわ」ニコニコ
友「……」
女「な、なんか手汗が凄いぞ。大丈夫か」
友「お、おおおおう、へ。へ。平気ですよ↑ッ!?」
女「おいおい、ホントに大丈夫かよ……」
友「そ、そういうお前こそ、な、なんか馴れてるじゃねぇか?ん?」
女「うるせぇ、こっちだって恥ずかしいんだよ」
友「じゃあ離せばいいだろ」
女「離すわけないだろうが、なに言ってんだコイツ」
友「……」
女「な、なんだよ」
友「……いい娘(こ)を彼女にしたもんだぁ(泣)」
女「な、なんだよ気色悪い」
友「というわけで俺ン家につきました」
女「唐突だな」
友「というわけで玄関にあがります」
女「お邪魔しまーす」
女「あれ、誰もいないのか」
友「ああ、姉ちゃんはまだ帰ってこねえよ」
女「ふーん……」
友「はいお茶」
女「すまん」ゴクゴク
友「……やべぇ何しようか考えてたけど忘れた」
女「なにやってんだよ」
友「とりあえずギューって抱きしめていいっすか」
女「なんですか唐突に」
友「こう、抱擁成分が不足してるんだよ、思い出したら禁断症状ががっがgっがっががががsd」
女「わ、わ、な、なんだ来るなって!来るな!!!」
友「逃がさん!!!」ガシッ
女「な、何をする!離せ!このっ!」
友「そうか俺のこと嫌いですか」
女「卑怯だな、恥を知れ俗物」
友「まぁそういわないでください」
女「順序ってものを知らんのかお前は」
友「だってよぉ~ぉ、思わせぶりな態度されてさぁ~何も出来ないってさー、すごーく辛いんだよぉーぉ(棒)」
女「……なんかムカつくがわかったよ。わかった。とりあえず大人しくしろ、な?」
友「大人しくしました」
女「よし、それでいい」チョコン
友「やっぱシックリ来るわ」女「コクピットかなにかかお前は」
女「……で、アニメ鑑賞会ですか」
友「はい」
女「はいって……で、今日は何見るんだ」
友「でーぶいでーがあるからさ、ちょっと昔の奴でも見ようかなと」
女「ふむ」
ピッ...キュィィィィッ
女「ところで友」
友「なんだよ」
女「あごを頭にのせるな。ゴリゴリして痛い」
友「いいじゃないか。抱き心地最高なんだよショウガナイ。ショウガナイナ」
女「俺はしょうがなくないんだが、ん?」
友「まぁまぁ、怒るなって」
女「……っと、それに首も重くなるわ」
友「わ、悪い」
女「いいよ別に、で、何見るんだ?」
TV『エウレカアアアッ』
友「やっぱエウレカは神やでぇ」
女「なんかスタイリッシュだな、空をすべるところとか」
友「だろ?かっけーんすよ」
女「かっけーっすね」
友「そうでしょ?」
女「おお、なんか黒いのが白くなった」
友「……」
女「?」
友「いかん思い出したら泣けてきた……」
女「お、おい何泣いてんだ、えっとティッシュは?」
友「あ、あった」ゴシゴシ
TV『チェリブロッサ♪チェリブロッサ♪』
女「歌がいいな」
友『王道+αこれ最強。豆知識ナ」
――
友「うおおおお!(泣)」
女「おいおい、お前意外と涙もろいのな」
友「うるせぇ、よかったなぁ、二人ともよ゛がっだな゛ぁ゛……」ゴシゴシ
女「でも確かにいいアニメだった」
女「意外と万人受けしそうだよな、原案が洒落ているし、ロボットSFなところを覗けば王道なプロットだし」
友「そうなんだよぉ、そうなんだよぉ(泣)」ゴシゴシ
女「って気がつけばもう夕方か、早いな」
女「姉さんはまだ帰ってこないんだな?」
友「そうみたいだ、ん?」Prrr....
ピッ
姉≪今日は友人の家に泊まる。夕ご飯は冷蔵庫にあるからそれを食べてくれ≫
姉≪じゃあな≫
ピッ
友「よし泊まれ」
女「命令かよ」
女「それにおじさんとおばさんはどうなんだって」
友「父さんは出張、母さんはくじ引きであたったとか言ってミニ旅行中だ」キリッ
女「で、出来すぎている」
友「だが事実だ」
女「……妹は……」ピッ
妹≪あ、姉さん?今日友達の家に――≫
女「なんかこえぇ、トントン拍子で物事が進みすぎているぞ」
友「神の思し召しだ……ザーメン」
女「おいコラ」
友「感謝します」キリッ
女「真顔でシモネタいってんじゃねぇよ」
友「というわけで、飯をさっさと平らげてしまおう」
女「お、おう」
――食後
友「よしどうするか」
女「そうだな、夜の散歩でもいこうぜ。お泊りとくればコレだ」
友「何処いくか」
女「海とかどうだ?ここからだったらチャリで海岸沿い突っ走ればすぐだろ」
友「おー、そうだな。んじゃ夜風に当たりに行きますか」
女「向こうに花火あるからな、割り勘でやろうぜ」
友「奢らなくていいのか?」
女「お前にはまだ秘蔵本“三冊”の未納物があるからな」
――夜 閑散とした海岸沿い
キコキコ......
女「ハイヨーもっと飛ばせー」
友「お、おい!立つなって!!!」キコキコ
女「うるせーもっと飛ばせースピード感がねぇー!!」
友「これは酷い下僕の扱い!訴訟するぞオイ」
女「ヒャッハー、飛ばせー!!」ペシペシ
友「痛い痛い」キコキコ
――海岸沿いのコンビニ
友「よし花火ゲット、バケツゲット」
女「あそこにお手洗いがあるな、お、水道もある」
友「んじゃ水汲んでやるか」
女「おう」
――海辺
バチバチバチ......
女「……」
友「……」
女「ビームサベール!!!」ブンブン
友「おまッ、危ないからやめろって!おい、貴様、反撃するぞこの野朗!」バチバチ
女「あっつッ!?この野朗ならば二刀だ二刀!!!」ブンブン
友「あっちッ、あっちぃ!!お、落ち着くんだ。もうやめよう」
女「意外とチャンバラ面白かったんだけどな」
友「あ、安全なのにしよう、そうだ、線香花火の耐久レースだ、そうしようぜ
――線香花火
友「負けたら今日一日言うこと訊けよ、な?」
女「んじゃ俺が勝ったら……どうしてやろうか」
友「……」
女「そうだな、それじゃ――」
女「そうだな、一日下僕ってのも面白いかもな」ニヨニヨ
友「……oh……今の子供はなんてことを考えるのでしょう!」
女「“一日好きにする”ってのもどうかと思うがね」
――
女「ム。なかなか粘りやがる」
友「へっへっへ、この程度でこの俺がやられるとでも思うなよ?」
――
女「無風なだけあって、なかなか落ちないな」プルプル
友「へ、へへ、もうすぐお前を好きにしてやるぜ」プルプル
女「きめぇ、俺が勝ったら一日たっぷりとボロ雑巾のように扱ってやろう」プルプル
友「へへ、へへへ……」プルプル
女「へへへ……」プルプル
――
バチチチッ......
女(ま、マズいこちらの火種が……!!)
友(……勝ったな)
女(いかんいかんコイツに一日好きにされるなんて、嫌なことしか想像できん……)
女(勝てば官軍……勝てば官軍……)フッ
ポトッ
友「うあああああああああああッ!!!!!!」
女「よっしゃああああああああああああ!!!!!!」
友(ど、どういうことだ。無風だったはずだ……それにあの状況、どう見ても俺の勝ちだったはずだ)
友(ま、まさかコイツ……なんかズリィことしてるんじゃ)
女「あン?なんだその目は。今日からお前は一日 下☆僕 なんじゃなかったか?ん?」
友「お、おのれ……卑怯なッ(泣)」
女「約束は破るなよ……へっへっへ」
友「くっ、こんなのは勝負じゃねぇ!」
女「勝負というのは勝ったものが我が物顔で負けた相手を蹂躙するということだよ、それを理解するんだな」ファーハッハッハ
友「……くそっ」
女「では早速、どうしてやろうかなぁ~」
女「そうだな、とりあえず……」
友「お、俺は聞かんぞ。何もしないからな」
女「……貴様」
友「お、お前だって時々約束破るだろうがッ、おかえしだ」
女「なッ、それは俺の貞操の問題にかかわっていたからだろう!」
友「うるせぇ!それは差別というものだ。平等なんだから、そうなんだよ」
女「……おのれ、俺は男ではないんだぞ」
友「関係ないね、というわけで調子に乗り続けているお前にはお仕置きをするべきだと確信した」
女(こ、コイツがお仕置きなんて言うとどう考えても卑猥な言葉にしか聞こえない……)
友「そのまさかだ」
女「マジかよ!?お、俺は簡便だね!く、くんじゃねぇ、その手はなんだ!?」
友「ふっひっひ、思春期の男子を怒らせると恐ろしいということを、その身に存分に刻んでやろう……」
女(何かないか!?なにか!?)
女「あった!食らえ!!!」
友「おまッ!花火は卑怯だろうッ!アチッ!?アチチッア父チッ@あ」うぃfq:spどfjかs:d」
――そんなこんなで公園に戻ってきた二人
友「軽くヤケドするかと思ったわ」
女「ごめん……」
友「まぁいいけどさ、時間もだいぶ潰せたみたいだしな」
女「ああ、そうみたいだ」
友「……そうだ」
女「ん?」
友「忘れちまってたわ、これやるよ」
女「……なんだこのボロボロの箱は」
友「なんかずっと前に買っておいて、お前に渡すの忘れてたやつだわ」
女「……ネックレスか?」
友「安モンだけどな」
女「いいじゃん、かっこいいぞコレ」
友「いやぁ、渡せてよかったわ。着けてみ」
女「おう」
女「どやぁ」
友「うん、いいんじゃね」
女「いやぁ悪いね、俺ファッションとかぜんぜんわからんから」
友「別に判らなくてもいいと思うが」
女「いいのか?」
友「あぁ、Tシャツでだらだら格ゲーしてるのが俺たちには割りに合ってるよ。無理して着飾んなくて良い」
女「ホントに?」
友「ほんとだよ、それに俺だって、お前が突然洒落込んでもどう評価していいのかとかわからないし」
女「そうか……」
女「そろそろ帰って寝よう。疲れた」
友「そうだな」
――友の部屋
女「寝間着持ってきておいて良かったわ」
友「んじゃさっそく対戦な」
女「お前いつもそのキャラ使うな」
友「へっへ、慣れてるのが一番なのさ」
――
女「なんかさ」ピッピッピ
友「ん」ピッピ
女「ずっとやってると飽きるな」
友「まぁな」
女「なんかないかな」
友「やめるか?」
女「ってか寝ようぜ」
友「そうだなぁ、いい加減遊び疲れた」ファァァ......
友「よしよし、きたまえ女クン」ポンポン
女「へぇへぇ今行きますよ」ゴソゴソ
友「電気消すぞー」
女「ぉー」
女「しかし馴れないな」
友「そうか、俺もう慣れちった」
女「……そうか」
友「……恥ずかしがっちゃって~へっへっへ」
女「うるせぇ」
女「でさ、聞きたいことあるんだけど」
友「おう」
女「お前、本当にこれでいいのか?」
友「なにがだ」
女「結構というか、かなり異常だと思うぞ、俺」
友「知らん。男が女になって、好きになっただけだ。大して変わらん」
女「おい、大してどころじゃないと思うんだが」
友「そんなもんだろ」
女「なにが」
友「すげぇ仲の良い友達が居て、ふとソイツが女だったらと想像する。そうすると大体結婚するならコイツ。と思うだろ」
女「あーそんな妄想したような」
友「で、俺は幸運にもそうなったわけだ。後悔する理由がないね」
女「ほっぺほぉひぃねるな(怒)」
友「いやいや弄らずに居られない頬だろ常識的に考えて」ポヨン
女「んにゃっ」
女「しかしだな、今ならまだ間に合うかもしれんぞ」
友「そういうなよ。それにお前だって悪い気はしないんだろ」
女「お前を思うからこそだ阿呆」
女「俺はこの手のことには未だに慣れてない、気苦労をかけるかもしれんし」
友「んなもん気にすんなよ」
女「そうか」
友「そうだぜ。細かいことを一々気にしてたら、それに足を引っ張られるぞ」
女「あぁ、なんかすまん」
友「いいって、夜はそういうこともある」
女「お前らしくない科白だ」
友「ちょっとくらい格好つけさせてくれよ」
女「んじゃ。キャーカッコイイ☆」
友「ハッハ、もっと褒めたまえ」
女「……なんか空しくね」
友「あぁ……おとなしく寝た方がいいな」
女「そうだな」(布団をかけなおして友にくっつく)
友「……」
女「どうした」
友「もし」
女「もし?」
友「俺が女になってたら、同じことになってたかなぁ。とか」
女「……わからん」
友「わからんって、結構今傷ついたぞ」
女「豆腐メンタルめ」
友「俺はナイーブなんだぞ結構、これでもよう」
女「知らん。無かった事を妄想してもしかたないだろ」
友「けどよ、気になるじゃん」
女「……はぁ、まぁ、お前がとびきりの美少女だったら考えんことも無いかな」
友「なんだよソレ」
女「そういうことだよ」
友「……じゃあ変顔になってたら見捨てるのか」
女「見捨てはしないが、恋愛対象としては微妙だな」
友「おお……ズバッとくる」
女「……俺が仮にそうなってたとしても、そうだったろうさ」
女「この体に感謝するべきなのか、そうでないのか」
友「おいおい」
女「まぁ、今はしてるよ」
友「まぁって……おまえ」
女「め、めんどくせぇな///」
友「なんだ照れ隠しだったんですか?そうなんですね?」
女「うるせぇくんじゃねぇ」ギシギシ
友「あんあん」
女「ウワァー」
友「ふひひ、そんな子にはおしおきだ」グィグィ
女「ふぇふぇんひゃひょのふぁか~!(怒)」(やめんかこのバカ~!)
友「なぁ」
女「んん……い、今ちょっと力入ってたろ……」ヒリヒリ
友「真面目な話、どうなってたと思う」
女「な、なんだよ急に」
友「どうなってたと思う」
女「そ、それは」
友「なぁ、ためらうってことは……」
女「し、知らん。どうなってたかなんて知らん!」
友「……」
女「しょ、しょうじき持余してるんだよ。こういうのなんて初めてだしさ……だから同じように初心を思い出せって言われても、困る」
友「……すまん」
女「今だって、さ。整理をつけないで、頭の隅にやってるから落ち着いてるだけであって、今すぐに錯乱してもいいくらいなんだぞ」
女「……///」
友「なんとなくでいいんじゃないか」
女「そうか?」
友「そんなもんだろ、整理なんてつけなくていいよ。そのうち分かってくる」
友「その時に俺を好きじゃなかったら、俺に別れたいって言えば良い。俺はそれでいいよ」
女「なんかドライなんだな。意外と」
友「そうじゃねぇ。それがお前にとって一番だろ、俺はそれがいいって言ってるんだ」
女「……そ、そうか」
友「こう思えるってことは、そういうことだろう。それでいいじゃんかよ」
女「お、おう……」
友「なんだ急に畏まっちゃって」
女「い、いや、お前意外と達観しているなと」
友「なんだソレは、まるで俺が今までおバカちゃんだった。とでも言うというのか!」
女「いや実際そうだし」
友「うおっ……なんて切れ味だ。俺の心が引き裂かれた!」
女「おうおうそのまま引き裂かれちまえ」
友「なんて奴だ!血も涙もない!!!」
女「HAHAHA」
友「……はぁ」
女「……どうした、ネタが切れたか」
友「うん」
女「うんって……。そうだな、お前ばっかりだと、なんかその、アレだ」(友の上に乗っかる)
友「?」
女「し、しかたないから俺から切り出してやる」
友「顔真っ赤だな」
女「う、うるせーっ」プイッ
友「でもやっぱり綺麗だな。お前」
友「あのヒョロヒョロとは思えん……いや、ヒョロヒョロだからこんなに細いのか?」
女「一人で議論してんじゃねぇよ」
友「おおそうだ、手出してみ」
女「ん?あ、あぁ」
ピト
女「ぴと?」
友「手の平合わせ。これ一回やってみたかったんだよ」
女「……手でけぇな」
友「小さいなー」(手を握る)
女「な、なんだ」
友「握っちゃだめか」
女「いや、そういうわけじゃないが」
友「どうよ」
女「意外とゴツゴツしてないな」
友「お、そうなの」
女「あぁ、毎日コマンド入力してるから、手の新陳代謝が上がって――」ゴニョゴニョ
友「なるほどわからん」
友「なぁ女」
女「?」
友「見えてる」ニコ
女「……何がだよ……って!!」
友「いやぁ眼福でした」
女「って、ッテメェ!」ペシペシ
友「おー痛い痛い(^ω^)」
女「か、片腕だけだと、こうも威力が落ちるのかッッ」
友「ではその片腕もふさいでしまおう!な!」
女「ぉうぁッ!?」(友に倒れこむ)
友「これでパンチは使えまい!」
女「なんて卑怯な奴なんだ(棒)」
友「しかし眼福できなくなっちまったのが残念だな」
女「まだこっちには攻撃範囲が残っている」
友「ではその攻撃範囲も埋めてやろう」
女「んッ……」
女「ぷはっ……い、いきなりだな」
友「イヤだった?」
女「そ、そういうんじゃないけど……」
友「……」
女「んんっ///」
友「……なぁ」
女「な、なんだ?」
友「今度、どっか遠出しようぜ」
女「お、おう。何処行くんだ?」
友「そうだなー、これから考える」
友「……」
女「……」
女「ど、どうした?」
友「エロいな」
女「……どうも」ボソッ
友「ははは、かわいい奴め」
女「……」
友「……」
女「……スー……スー……」
友「また明日だな」(掛け布団を直す)
友「……寝よう」
女「……」
友「……」
――
女「……寝たか」
女(なんだか体が重いんだよな、友は重いなんて顔していないが……)
友「zzzZ」
女(良い顔して寝てやがる)
女(……うう、なんだコレ)
女(とりあえず寝よう)
――次の日
女子「どしたん女、なんか体の調子悪いの?」
女子B「なんだか元気ないねー」
女(……なんだろう、この感じ)
女「多分寝不足かな」
女子「寝不足かぁ~」
女子B「どんな理由で寝不足なのかなぁ~」ニヤニヤ
女「ははは、はは……」
女子「ホントにだいじょーぶ?」
――
男子「どうした友、調子悪いのか?」
友「んー……なんかなぁ、女の奴が元気ないみたいで」
男子「惚気ですねわかります」
友「うるせぇ」
男子「そうだな、生理とかじゃないのか」
友「わかんねぇ、そんなこと言ってなかったけど」
男子「女子はそういうの隠すぜ」
友(いや……アイツはきちんと言うタイプだ、そういうのは)
友「わからん」
男子「大変だな」
――昼休み
後輩「先輩?大丈夫ですか?なんか顔色悪いですよ?」
男「ん?あぁ、なんでもないよ」ニコ
後輩「そうですか……ならいいんですが」
男「ああ後輩君。僕ちょっといかないといけない場所があるんだ」
後輩「?」
男「ちょっとね」ニコ
――教室
女「……ん、メール?誰からだ?」Prrr...
男『屋上に来てくれないかな。話があるんだ』
女(……なんとなく、嫌な予感がする)
女「……っと」
女子「ん?どうした?」
女「ちょっと屋上にいってくる」
女子B「風に当ってくるの?平気?」
女「うん、ちょっと当たってくるだけだよ。気分は良いよ」
友「……」
友(アイツ本当に大丈夫か?)
――屋上
男「……やぁ、大丈夫?」
女「か、階段のぼるだけで疲れちまいました……ご、ご老体の気持ちが分った気がしますよ」ハハ
男「……実はね、僕もなんだか体の調子が悪いんだ」
女「せ、先輩も?」
男「あぁ、熱も出ていない。これは……」
女「……まさか、俺たちが性転換した時のと同じって、そう言いたいんですか?」
男「……察しがいいね、そういうこと」
女「で、でもなんか突然ですね」
男「……この症状が出たってことは、多分。明日にはまた変わってると考えていいかも知れない」
女「可能性的に、ですか」
男「そういうこと。仮に予測が外れても、そう意識しておけば無くす物も少ないから」
女「どうして、こういうことが起こるんでしょう」
男「わからない。僕も必死に考えてるんだけどね。原因はわからない」
女「……」
男「受け入れるしかないんじゃないかな、と僕は思ってるんだ」
男「多分、これは僕や女ちゃん。いや、多分この世の中で天才と言われている人たちでも判らないと思う」
男「なぜか。それは天才といっても、きちんと下地になるものがあるから、判断できる、考えることが出来たから」
男「今回はそれがゼロだ。突然難しい問題をスラスラと解きだした神童も、その周りには学びがあった」
女「……」
男「今日中に、今の自分としてやり残しておいたことを済ませるといいかも知れない」
男「確実に明日、そうなるとは言えないけど、その確立は高いはずだから」
――放課後、昇降口
友「なぁ」
女「……」
友「大丈夫か?」
女「ん、あぁ、大丈夫」
友「……熱は無いんだろ?」(女の額に、自分の額をくっつける)
女「そうだな、熱はないよ」
女「成長痛か何かだろう」
友「……ホントか?」
女「逆に訊くが、それ以外に思いつくか?」
友「新手の病気とか……」
女「免疫が無いから、今頃ベッドでもだえ苦しんでるかとっくに逝ってるんじゃないかと思うぞ」
友「むむむ……」
女「ほら、行こう。帰ろう」
友「お、おい引っ張るなって」
――図書室
女子「あ、あの、先輩」
男「ん?あぁ、こんにちわ」ニコ
後輩「ど、どうも」
女子「きょ、今日は帰らないんですか?」
男「……」(物悲しい顔で窓の外を見ている)
後輩「……先輩、先に帰ってもいいですよ」
男「だけど……」
後輩「いいですって、たまには休んでください!サボってる連中の代わりに仕事をいつもこなしているの、先輩じゃないですか」
後輩「たまには僕にも、それを担がせてください」
男「……ごめん」
後輩「いいですって!さっ」
男「そうだね、それじゃお言葉に甘えることにするよ」ニコ
女子(やったあああ、先輩と帰れるぞーっ)
男「女子ちゃん」
女子「は、はぃっ!」
男「……帰ろっか」
女子「は、はい……」
女子(なんだか元気が無いな……)
――公園
女「……」(ブランコに座って俯いている)
友「コーラ飲む?」
女「……いや」
友「そ、そうか」ゴクゴク
女(なにか遣り残したこと……か)
友「なぁ、本当に大丈夫か?ん?」(女の両頬に触れ、顔を近づける)
女「……ああ、平気だ」
友「何か悩んでるのか?相談してみろよ」
女「……」
女(隠すよりは、マシか)
女「ああ、それなんだが――」
――
友「ま、また性別が変わるかもだぁ!?」
女「し、静かにしろって」
友「……だから今日一日調子悪そうだったのか」
女「あ、あぁ。まだ可能性なんだが、そうなる確立は高い」
友「次はどうなるんだろうな」
女「お前な……次になったら、俺はまだこの事を覚えているとは限らない、お前だってそうだぞ」
友「……そ、そうか」
友「どうにかならないのか?」
女「ならんよ」
友「……そうか
女「なんだろうな、かなり重大なことなんだが、実感が無い」
女「明日には俺が男に戻るかも知れない、それかこのままかも知れないな」
友「……」
女「いや、まだ一回めだから、本当にそうなるか分らないかも知れない」
女「変な病気を持っているのかも知れないし、お前とは幼馴染じゃ無くなってるかも知れないな」
友「どうしてそう思うんだ?」
女「まだ一回しかこういうのは経験していないからな、二回目以降で大体どういう仕組みなのか分らんでもないが」
女「……まぁとにかく、明日は未知数ってことさ」
友「俺とお前が、付き合っていたってことも無くなるかも知れないってことか?」
女「そういうことになるな」
友「アッサリ言いやがるな……」
女「今泣いて慌てるのは得策じゃないだろ、冷静になって出来ることをするだけだ」
友「これが男の生活から女の生活にシフトしたもののふの肝っ玉か……」
女「見直したか?」(力無く友の顔を見上げる)
友「あぁ、もちろん」
女「……なぁ、今日はうちに居てくれないか」
――女子の家の前
男「ねぇ、女子ちゃん」
女子「は、はい」
女子(こ、告白フラグ!?これ!?)
男「……突然だけど、君は僕のことが好きなのかな」
女子「え、ええええっと、その、うーんと……はい///」
男「そっか。でもごめん」
女子「え……」
男「……気持ちはうれしいけど、僕は今はまだ、恋人を作る気はないんだ」
女子「え、えっと」
男「……好いてくれるのはうれしいけれど、ごめんね」
女子「あ、ははは。ははは!い、いえいいです!こっちが勝手に好きになってただけで、先輩は、何にも悪くありませんって!」
男「……」(俯き、寂しげに頭を下げる)
女子「あああ先輩、えっとですね、まだ恋人はいないですよね」
男「え、えっと。そうだね」
女子「ならそれを聞けただけでいいです」ニコ
男「……ごめん」
女子「そんな謝らないでください!そ、それじゃまた明日!」
男「そうだね、また……いつか」
女子(せ、先輩にはフラれちゃったけど、恋人は居ないんだって。まだ機会はあるわッ、がんばれ私!)
男(……帰ろう)
――女の家
妹「ね、姉さん大丈夫ですか?」
女「ほらな……良い子だろ?」ボソボソ
友「な、なんか逆に申し訳なくなるが」ボソボソ
妹「気分悪いんですか?」ピト
女「そ、そうなんだ。少し。友に診てもらってたから、このまま上がるね」
妹「で、でも」
妹「……そ、そうですね、何か必要ですか?」
女「いや、いいよ。寝かせてもらうだけだから」
――友の部屋
女「……んん」
友「大丈夫か?」
女「寝転ぶと、だいぶ楽になるな」
友「そうか……」
友「なぁ、本当に病気か何かじゃないのか?」
女「同じ感覚なんだよ。経験した奴には良くわかるタイプのな」
友「そうか……これから色々しようって時に、ついてねぇよな」
女「……したいならしてもいいんだぞ」
友「……」
女「もう最後のチャンスかも知れないぜ。俺は体が弱ってるし、丸め込もうと思えば出来るはずだ」
女「それに俺だって構わない。偶には良い思いさせてやりたいしな」
友「……お前さ、バカにしてるのか」
女「……何がさ」
友「俺はずっと、良い思いしてるよ。こんな良い女の子が彼女になったんだ。その時から、短いかも知れんが、多分一生分の良い思いをしてるよ」
友「それに」(寝ている女のベッドの傍で膝をつき、片手を優しく握る)
友「こんな状態で、する気なんか起きねぇよ阿呆。神様に次も女の子でありますようにって願っとけ」
友「そうしたら、明日から獣なみにがっついてやるよ」
女「この変態」ペシ
友「……なんだ、ぜんぜん力入らねぇのか」
女「あぁ……」
女「悪いな」
友「いいって」
女「……おい、友」
友「ん?」
女「キスしてやる、面貸せ。病気は移らんだろ」
友「……お、おう」
――友の家
姉「……なんだ、元気が無いな」
友「……」
姉「女ちゃんに何かあったか?」
友「なんもねぇよ」
姉「じゃあなんだ」
友「……夜のプロレスをしてきたんだよ」
姉「いくら付き合っているとはいえ、そうやって言われると癪に触るな……って」
姉「本当に大丈夫か?」
友「……とりあえず、今日は飯はいらん」
姉「お、おい弟……」
――友の部屋
友「……アイツがあんなに泣き散らすなんてな」
友「何か出来ないのか」
女『……ホントはよぉ』
友『あぁ』
女『……今のままがいいんだよぉ……くそったれ……』(目の端から涙が零れだす)
女『わけわからんもんに、わけわからん仕打をされて、やっと落ち着いたんだ、なのに。くそっ……なんなんだよぉ』
友『……』
女『こんなのってねえよな。かなり辛かったんだぜ、結構……』
女『それなのによ、ひっ……っく、くそ、……』(上半身を持ち上げ、自分のももの上に当たる部分を右手で叩きながら)
友『泣いとけ、今は』(女を優しく抱きしめる)
女『ひぅっ、っく……』
友『……』
女『……もういい。すまん』ゴシゴシ
友『おう』
女『……もっと「いやだよぉ!友と離れたくないよぉっ!」って泣いて欲しかったか?』
友『その方がお前らしいよ』(頭を優しく撫でる)
女『……あぁ、これ以上居ると』
友『そうだな。それじゃ、俺帰るよ』
女『ごめん』
友『いや、その方がいいよ。それじゃ、また明日』
女『……ネックレス』
友『ん?』
女『そこの机の引き出しに入ってるんだ。とってくれないか』
友『あぁ、……はい』
女『ありがとう』ニコ
友『……んじゃな』
女『あぁ……気を、つけて』
――
友「……」
友「……もう、こんな時間か」
友「……起きていれば、何かが変わる、かも」
――男の家
男「……時間だ」
自分の腕に巻かれている腕時計を見つめ、つぶやく。
男「……父さん、母さん。貴方達が遺したものはあまりに大きかったようですよ」
男「時間逆行機と、その誤差の修正機。こんな不完全なものを動かすからだ」
男(……父と母は、時間逆行者。家に残っている父と母の遺産がそれを物語っていた)
男(理由は不明だ。なんらかの為にこちらに戻ってきたらしく、ここ日本に滞在しながら何かをしていたらしい)
男(だが僕が女であるその前の前、男で合ったときの時代。小学校六年生の時にそれは起きた)
男(世界線のズレを修正する機能が狂った)
男(おかげで父と母は交通事故で両者死を迎えるという結末に変わり、僕は一人こんな世界に放り出された)
男(二人はこの数枚の日本語で書かれた紙片だけを遺し、逝ってしまった)
男(僕はこの紙片だけを頼りにして、今日まで生きてきた)
男(内容は逆行機と修正機の“おおまかな”設計図と、想定されるある程度の事に対するマニュアルのようなものだった)
男(ただ逆行機は戻ることが出来ない。多分胡散臭い関係者か何かだったんだろう)
男(最後はこの紙片を最終的には焼却処分することと、修正機の誤差をある程度直すようにすること)
男(責任だけを押し付けて、大人たちは逝った。貴方を愛しています。なんて、書き遺して)
男(……その修正機のせいで、世界はだんだんと変化していくようになった)
男(最初は2年。一年半。そして今年で一年だ。どんどん変化のタイミングが速くなっている)
男(紙片には、いずれ僕の周囲に同じような存在が現れたら、それに接触しろと書かれていた)
男(それが、彼女。いや、彼か?女ちゃん……男君。まぁ、この際どっちでもいいのかも知れない)
男(僕はとにかく必要な知識を吸収し、変わるのを安定させ、さっさとこんな不気味な装置を手順を踏んで破壊し、この事を忘れたい)
男(……そろそろ女ちゃんに協力を頼む頃だろうか)
――0:00
腕時計から光が発せられ、バチバチという火花を飛び散らし、男の意識は飛んだ。
ピピピ......ガチャ
男「……体が変わってない。なんとか基礎だけは直せたのか」
男(女ちゃんのような存在が出るということは、つまり修正機がどんどん狂っていっているということ)
男(本来は一人専用のものを、無理やり二人用にするからだ……)
男(こうして直していくと、気味が悪い。自分の子息はやってくれるとでも、信じていたんだろうか)
男(そのせいで反抗期がまったく起きないな)
――女の部屋
目が覚めた。
体は軽い。
昨日までの意識は残ってる。
体を触って確認する。
女「……変わって、ない?」
女「……よ、喜ぶべき。だよな」
コンコン
?『姉さん、朝~』
女「……ん?」
女「あ、あぁ、すぐ行くよ」
――
女(まさか……俺じゃなくてコイツが変わってるとはな)
弟「どうかしたの?」
女「い、いや、なんでもないよ……弟」
弟「はは、姉さんボケてるのかい?俺今日部活だから速いんだって」
弟「ほら、早く食べよう?」
女(スラリとしたイケメンになっているところは、前の優等生美少女な妹と同じだな)
女(ちょっと待てよ、容姿が変わっているとはいえ、性格はどうなってるんだ?)
女「な、なぁ弟。お前、好きな人出来たか?」
弟「はは、それがまだ出来なくてさ」
弟「姉さんみたいな人がいいなぁ~」
女「ははは、早く見つけるんだぞ(棒)」
女(そ、そうだ友!友の奴は……)
――
弟「それじゃ行ってくるから、弁当はテーブルにある奴ね!いってきまーす」
女「あ、あぁ、行ってらっしゃい……」
携帯をとりだし、友を呼び出す
Prrr...
?≪も、もし、もし、ももあ@sfりw;spfj;≫
女(ん?妙に声が……)
友≪お、女かッッ!?≫
女≪おうわッ!?と、友か。ど、どうした≫キーン
友≪お、俺の体が……!!≫
女(……な、なんかそんな気はしたんだ)
女「経験者が言ってやる、落ち着け。な?」
――朝 街道
友「よ、よぉ」
女「お、おう」
友「おぉ、変わってないのな、お前」
女「おめでとう、今日から君も俺と同属だ!!」
友「ふざけんじゃねぇ!こっちは朝から姉さんに襲われそうになってたんだぞ!なぜか!!」
女「HAHAHA、まぁいいや、記憶が引き継がれただけでも感謝しようぜ、な」
友「お、おう」
女「ほら、夢じゃねえぜ」
首のネックレスをつかんで女体化した友に見せた
友「……マジかよ」
女「ようこそ、俺は君を歓迎しよう!」
友「……とすると、俺もあの苦行の日々を……」
女「まぁ安心しろ、俺が色々見てやっから」
友「うおおお……(泣)」
女「しかし……気に入らんな」
友「ん?な、なんだよ」
女「お前身長高いな」
友「そういや、なんか目線が大して変わってないなぁと思ったんだ」
女「姉さんは?」
友「姉さんは……変わってないな、ただ俺の方が身長少し高いってくらい」
女「そういうのって結構重要だったりするから、感謝した方がいい。天に感謝だ」
友「お、おう」
――学校
女子「おはよー」
女「お、おはよー」
女子B「相変わらず仲良いわね」ニヤニヤ
友(い、違和感あるなコレ)コソコソ
女(じきに慣れる。今はとにかく力まないで普段通りのお前で過ごせばいい)コソコソ
友(お、おう)コソコソ
――昼休み 屋上
友「づ、づかれだ……」
女「はいよ」
友「おぉ、飲み物ありがたい」
女「先輩にお前を話さないとな」
友「……き、緊張するな」
男「やぁ、女ちゃん。ん……“彼女”は友君……というよりは、さんかな」
女「せ、先輩も変わってないみたいで」
男「うん。友さん、これからよろしく」
友「あ、はい、よろしくッス」
男「それで話っていうのはね――」
――放課後・教室
女「まさかだな」
友「あぁ」
女「お前信じてる?」
友「なんかこういうことが起こると、大して驚かなくなるな」
女「でも良かったな。これでやっとどうすればいいのか分ってきた」
友「勘弁してくれよ……ってことは俺ら、その機械一台に振り回されてたってことだろ?」
女「らしいな」
女「とにかく今回の出来事で起動する為の修理の方法を完成させたみたいだから、これから何度もテストするってさ」
友「その度に性転換に耐えなきゃならんのか」
女「いいじゃねぇか、テスト繰り返していけば誤差も縮まってくるってさ」
友「……はぁ」
男『とにかくどうすればいいのかわかったから、あとは修正していくだけ』
男『君たちがその時、男として生きるのか、女として生きるのかは、今から考えておいた方がいい』
女『選べるんですか?』
男『選ぶというより設定するといった方が正しいけどね。僕はいい加減この繰り返しには疲れちゃったから、ペースを上げて研究しようと思う』
男『自信は無いけど、社会人になる前には修正機能を直して逆行機と修正機を処分することにするよ』
友『選ぶ……ですか』
友「んなこと言われてもなぁ」
女「まぁまぁ、これから一緒に考えていけばいいさ」
友「……おう」
女「ま、これから大変だろうけど、頼りにしてるぜ」
友「おう、そうだな。これからもよろしくな、相棒」
それから俺たちは、何度も性転換したりなかったりした。
一時は男同士であったこともあったし、俺が男に、友が女になったりもした。
たまに修正が失敗して、先輩自身が女になってしまったりと、騒がしい高校生活が過ぎていった。
女(♂)「……お、お前友か?」
友「今度はお前が男かよ」
男(♀)「いやぁ、僕自身が変わってしまうとはね。原因を調べて対処しないと……」
そうしてそのまま受験が始まって、俺たちは勉強に集中することになった。
勉強は大変だったが、こちらには天才児の先輩が居たから、二人そろって同じ4年生の大学に進学した。
先輩は頭が無論良いので、国内有数の名門校に入学し、それを後輩が追っていった。
クラスメイトの連中はそれぞれフリーターになったり、進学したり就職したりと、それぞれの道を歩んでいった。
そして大学という強い武器を手に入れた先輩はハイペースで研究を進め、ついにその時が来た。
その時の性別は、俺が男で、友も男だった。先輩は変わりない。
男「……それじゃ、僕はこのままで居るけど、君たちはどうする?」
女(♂)「……それは」
友「どうする?」
女(♂)「うーん……この年になるまで散々考えてきたけどさ」
友「おう」
女(♂)「俺は女でいいかな。それでいいや」
女(♂)「女になる時が多かったし、そっちの方の生活に慣れちまったからな」
友「いいのか?」
女(♂)「今更それをお前が訊くのか?」
友「へっ、そうだな」
男「……それじゃ、創めるよ。この最後の機動と同時に、逆行機も修正機も量子レベルで消え去る仕組みになってる」
男「時間は三人をまとめて“あの時”の高校二年に飛ばされ、歴史も確定してそれ以降変化することもない」
男「同時に世界線も大きくずれ、この世にタイムマシンなんてものは相当時間がたたないかぎり、開発されなくなる」
男「証拠も残らない。ただし、記憶は僕と男君。友君には引き継がれていってしまうけれどね」
女(♂)「忘れるのはもったいないですよ。案外楽しかったですし」
友「あぁ、それにほかの人とちっとばかし長生きしてるようなもんだしな」
男「ふふ。それじゃ、また後で会おうね。二人とも」
再設計された修正機と逆行機の機能を併せ持つ腕時計は、緑にまぶしく輝いて雪のように散った。
その瞬間、意識が飛んだ。
目覚めるのは夜遅く、それぞれが、それぞれのベッドの上で覚醒するとのことだった。
――春 女の部屋
もう何度も繰り返してきた、けれど最後で最初の目覚めだ。
時間を確認する。夜の1:00だ。
自分の体を触って確認する。
なんだか久しぶりの感じだ。目線も懐かしい。
この長くて面倒くさい髪もだ。
女「もしもし」
友≪もしもしもしもしィッ!?≫
女「こら深夜だぞ!静かにしろって」キーン
友≪公園で待ってるぜ相棒!≫
女「あぁ、先輩も呼ぶか?」
――深夜の公園
男「みんな無事みたいだね、これで長かった傍迷惑な親の問題は終わりだ。ありがとう」
女「い、いえ、なんだか楽しかった数年間でしたし、な?」
友「そうだなー、色々あったもんなー」
男「でもこれからが本当の僕たちの人生だ。これからはもう未来にしか時間が進まない」
男「一分一秒が永遠に帰ってこないからね、二人とも」
女「そうですね」
男「それじゃ、僕は徹夜続きで疲れたから、明日学校で」ファァ......
友「おやすみなさいッス~」
男「おやすみ~」
女「……戻ってきたな」
友「あぁ、振り出しだ」
女「なんかさ」
友「おう」
女「夜空、綺麗だよな。星がいっぱいだ」
友「桜も咲いてるからな」
女「なぁ友、色々大変で何もできなかったが」
友「あぁ」
女「好きだ」
友「俺もだ」
女「……今年の夏は予定でいっぱいになりそうだな」
友「そうだな、ずーっと前に約束したからな」
女「さ、帰ろう。また明日だ」
友「おう!また明日な!!!」
――次の日
妹「じゃあ姉さん、いきましょう」
女「そうだね、いこうか」
――
友「姉さん!いってくる!」
姉「あぁ、行って来い愚弟」
友(そっか、俺そういえばまだ“愚弟”だったもんな……)
――教室
女「おはよー」
女子「あ、おはよう!」
女子B「おはよー」
友「おはようおまいら、今日も一日が始まるぜ!!!」
男子「リア充は氏ね」
友「そ、そんな……」
男子「……末永く氏ね」
その他男子「おぉおはよう」
友「す、末永く?……おぉおはよう!」
友「……よぉ!おはよー」
女「おはよう」ニコ
女子「あらあら」
女子B「うふふ」
男子「爆発爆発爆発爆発」
――放課後 図書室
男「……」
後輩「先輩?何か良いことがありました?」
男「ん?あぁ、あったよ」ニコ
男「……すごく、良いことがね」ニコ
後輩「そ、そうですか……」
男(……女子ちゃんか。悪くないかもしれない)
――放課後 昇降口
友「ずっとやりたかったんだけどさ」
女「なんだ」
女を勢い良く抱き寄せ、そのままキスをした。
女「……お、お前他の奴が見てるだろうが!」ヒソヒソ
友「いやぁ~、これでやっと青春してるってヒシヒシと感じるわぁ~!よっしゃぁ~!!!」
女「う、うれしいのは分ったから静かにしろっての!!」
――帰り道
友「夕焼けが綺麗だよな」
女「あぁ、これまたなんだか新鮮だな」
友「引っかかってたものが無くなったからな」
女「こうやって手を握って堂々と歩くのも久しぶりだ」
友「だな」
友「なぁ女」
女「なに?」
友「今言うけどさ」
女「あぁ」
友「卒業して落ち着いたら籍でも入れるか」
女「あーそうだな、そうするか」
友「ただ妹ちゃんをどうするかだな」
女「あいつなら納得してくれるよ、優しい子だからな」
友「……そういえばそうだったな、ホント良い子だよな」
女「俺は褒めないのな」
友「そんな、綺麗で可愛くて最高だよ!!!」
女「なんかとりあえず並べた感がすげぇ」
友「あ、愛してます!愛してますから!!」
女「……証明してくれないと信じれんなぁ」
友「そんなぁ」
女「まぁアレだ、俺ン家につくまで姫様抱っこな、そうすれば認めんこともないな!」
友「……」ぐぬぬ
女「HAHAHA、早くしたまえ君」
友「さ、サー!」
女「そのまま一生俺を離すんじゃないぞ、これは絶対命令だからな」
友「な、なんていう羞恥プレイだ……!」
女「はっは、まぁ頑張りたまえ友君。“私”は一向に構わんからな」
友「な、なんて鬼畜なッ!!!」
お わ り
988 : 以下、名... - 2011/08/29(月) 02:02:42.86 G7qJORX30 183/183
書ききれなかった脳内妄想
・先輩の父と母の目的は、未来の知識を持った子孫を過去に遺すこと。
因みに持って何かするのではなく、持たせるだけでいいってこと。
未来はテロが過激になってて、核戦争やべぇな時代だったのでタイムマシンで逃げてきた。
ただしこれは独断の判断で、核発射されるギリギリから飛んできたので見切り発車
もし子孫が変なことに使わないかとか、そういうの無視した見切り発車で、生まれたばっかの先輩と“三人”で逆行した
だから最後、先輩と女、友の三人が無事にタイムリープできた。
・先輩がめちゃくちゃ頭いいのは試験管ベイビーの為。
良い遺伝子と良い遺伝子をかけあわせて成功した唯一のベイビーちゃん
ちなみに父さん母さんの遺伝子を元にしてます
・ちなみにこの世界ではもともと男は同性愛の可能性を秘めていることが論文で発表されているので
女同士の時とか男同士の時比較的周囲が騒がなかったのも、そういう教育がいきわたっているため、同性愛に寛容な世界です。
しょうじき人間の意識って肉体に引っ張られている感じがするので、そういうの踏まえて書いてみた。
精神だけで考えると、男とか女って結構些細な問題だと思ったから。