1 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:14:04.00 CcGhAh+80 1/50


「久しぶり、だね」

「…来てくれたのね」

「元気にしてる??」

「って言うのも、変か」

「ええ、おかげさまで、元気よ」

「あれからもう2年に、なるんだね」

「早いわねえ」

「君の好きだった花を買って来たよ」

「あら、ありがとう」

「よく覚えていてくれたわね」

「この香り、大好きなの」





元スレ
男「あの日言えなかった、君への想いを」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1282911244/

3 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:17:19.18 CcGhAh+80 2/50


「あと、これ」

「和菓子??」

「このお菓子、おいしいんだってさ」

「ここに置いとくね」

「ありがとう」

「でもあなたって、そんなまめな人だったかしら」

「…」

「私とデートしてくれた時は、いっつも気の利かない人だったけれど」

「…」

「責めてるんじゃないわよ」

「ただ、おかしくって」




5 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:20:27.07 CcGhAh+80 3/50


「あの頃は、二人でよく一緒に出かけたよね」

「2年も前だけれどね」

「楽しかったよ」

「私もよ」

「君と付き合ってた3年間は、最高の思い出だったよ」

「…うん」

「でももう、あの頃には戻れないんだね」

「…仕方ないわよね」

「ごめんね」




6 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:25:06.64 CcGhAh+80 4/50


「来るのが遅くなって、ごめんね」

「まったくだわ」

「本当は、もっと早く会いに来たかったんだけど」

「ここ2年、ずっと会社のプロジェクトが忙しくって」

「付き合ってた時も、よくそう言ってたわね」

「真面目な人だもの、仕方がないわよね」

「それに、ここに来るのがつらかったから」

「正直な人ね」

「あの頃もっと、時間を作って、たくさん会って」

「君との時間を大事にしていれば、よかったと思うよ」

「そうね」




7 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:32:17.24 CcGhAh+80 5/50


「そういえば、僕らが初めてのデートで行った水族館ね」

「来月取り壊されるんだってさ」

「あら、残念ね…」

「思い出がなくなるみたいで、ちょっと寂しいよ」

「…でも、思い出が消えるわけじゃないわ」

「ペンギン、可愛かったよね」

「あなたって本当に、可愛いものに目がないんだから」

「でも本当は君の方が可愛いよって、言いたかったんだけどね」

「勇気が足りなかった」

「言わなくって正解だったわね」




8 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:38:43.18 CcGhAh+80 6/50


「僕が初めて君に好きだって伝えられたのは、次のデートだったかな」

「気合い入れて、店とか予約してね」

「すごく頑張ってくれたよね」

「緊張したけど、そうやって頑張ってくれたことが嬉しかったわ」

「飲めもしないワインとか頼んでね」

「あなた、すぐに赤くなったわよね」

「お酒、弱いくせに無理するからよ」

「もう時効かな」

「何が??」




9 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:47:03.62 CcGhAh+80 7/50


「あのデートプランね、本当は友達に考えてもらったんだ」

「そうなの」

「でも、そんなに大したことじゃないわね」

「それだけじゃない」

「君のお母さんにも、考えるの手伝ってもらったんだ」

「え」

「友達と、君のお母さんが仲良かったみたいだから」

「それは…初耳だわ」

「君の好きな食べ物、店の雰囲気、言葉遣い」

「どんな服装で行くべきか、待ち合わせはどんなふうに、奢るべきか割り勘か…」

「いっぱい聞いたんだ」

「ごめんね」

「恥ずかしいわ」

「お母さん、あなたに変なこと言ってないでしょうね」




10 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 21:53:52.48 CcGhAh+80 8/50


「最初のデートは、自分で決めちゃって、空回った気がしたから」

「そんなことないのに」

「マンボウ可愛かったわよ」

「どこで『好き』って言うかまで、決めてたんだ」

「え」

「あ、さすがにこれは、君のお母さんには相談してないからね」

「…そう」

「自分でちゃんと考えたんだけど…」




11 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:02:15.96 CcGhAh+80 9/50


「でも予定通りうまく言えなくって」

「…」クスクス

「だから帰り際、あんな風になっちゃって…」

「駅前で叫んでくれたわね」

『す、すごい好きだから!!』

「あはは」

「…」クスクス

「その日にちゃんと言えてよかったよ」

「そういう問題??」

「こっちはすごく恥ずかしかったんだから」




12 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:07:35.17 CcGhAh+80 10/50


「あれでなんか吹っ切れて、緊張せずに君と付き合えていけたな」

「そうね」

「下の名前で呼べるようになって」

「そうそう」

「手もつなげるようになって」

「歩道側を歩いてくれるようになったし」

「君の好みもわかっていったね」

「あなたの好みは分かりやすかったけれどね」




13 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:26:57.00 CcGhAh+80 11/50


「僕は、手をつなぐの、すごく好きだった」

「そう」

「君の体温が感じられて」

「体温高いのよ、私」

「知ってるでしょ」

「それに君の小さい肩に、僕の肩がぶつかるのも好きだったな」

「距離が近く感じられたわね、確かに」




15 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:33:29.76 CcGhAh+80 12/50


「君は意外とシンプルなものが好きだったよね」

「そうね」

「可愛らしいものや、カラフルなものはそんなに好きじゃなかったね」

「そういうものが好きだったのは、あなたの方でしょ」

「そういうところは、なんか、さばさばしていたというか」

「悪かったわね」

「あ、でも悪い意味で言ったんじゃないよ」

「そういうところも素敵だった」

「ある意味気楽に、一緒にいれたからね」




16 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:40:43.49 CcGhAh+80 13/50


「あなたはひっつくのが好きだったわね」

「それに、ベタな恋愛が好きだった」

「そこは少し私とは合わなかったけど、でも楽しかったわ」

「最初の頃は、初々しかったなあ」

「お互いにね」

「一日中部屋でゴロゴロしてた時も、あったね」

「テレビつけて、ベッドでずーっとひっついて、ね」

「ちょっと距離が近すぎて恥ずかしいこともあったけど」




17 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:44:47.77 CcGhAh+80 14/50


「やっぱりデートって緊張するから、ああいう感じが僕には合ってたんだろうな」

「うんうん」

「のんびりするのは、私も好きだったわ」

「こんな僕と一緒にいてくれて、本当にありがとう」

「お礼なんて言わないで」

「私も楽しかったのよ」

「私の方こそ、ありがとうと言わせて」




18 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:49:20.97 CcGhAh+80 15/50


「あれ、覚えてるかな」

「あれって??」

「あの、プラネタリウム」

「ああ、大学の頃の??」

「君に告白した、プラネタリウム」

「もちろん覚えてるわ」

「最近、あの頃のことばかり、思い出すんだ」

「プラネタリウムというか、あの頃のことを、ね」

「5年くらい前かしらね」




19 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 22:59:44.11 CcGhAh+80 16/50


「君と出会って」

「大学で知り合ったのよね、私たち」

「少しずつ話すようになって」

「大学の頃のあなたは、星の話ばかりしてたわね」

「私もあなたにつられて天文サークルに入っちゃったけど」

「星のことばかり話す僕は、君にどう思われているんだろう」

「そうやって、僕は人と接する方法を、覚えていったのかもしれないな」

「少しずつ、君が興味を持つような話の振り方ができるようになっただろう??」

「私のおかげね」

「君のおかげだ」

「うふふ」

「ふふ」




20 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:05:26.64 CcGhAh+80 17/50


「あのときも言ったけれど、僕は君を見て一目惚れしてしまって」

「うん」

「なんとかして同じ天文サークルで活動できないかと、毎日頭を悩ませたよ」

「うふふ」

「おかしかったなあ、あの頃のあなた」

「ちょっとずつ、君が星に興味を持つようにいろいろ細工したんだけれど」

「全部お見通しだったわ」

「でも、あなたのそんな一生懸命さに惹かれたのも事実よ」




21 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:15:54.25 CcGhAh+80 18/50


「星座占いの、詳しい奴とかを教えてみたり」

「天文雑誌を目につくように置いたり」

「うふふ」

「カラオケでは意識して、星の出てくる歌を歌ってたっけ」

「そうだったわね」

「君が天文サークルに入ってくれたときは、すごく嬉しかった」

「大学に行けば、授業が終われば、君と一緒にいれるんだから」

「うふふ」

「毎日が楽しかったな、本当に」

「私も楽しかったわ」

「刺激的だった、というか、ね」




22 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:29:39.28 CcGhAh+80 19/50


「それにしても、よく勇気を出して告白できたと思うよ」

「でも、その時『好き』だとは言ってくれなかったわね」

「『付き合ってください』」

「ただ一言が、とても大変だった」

「周りにお客さんがいたのに、ね」

「聞かれてないか、本当にドキドキしちゃって」

「恥ずかしくって返事どころじゃなくて…」

「でも頑張ったんだ、僕なりに」




23 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:37:53.54 CcGhAh+80 20/50


「君は真っ赤になって、すごく時間が経って」

「プラネタリウムはとっくに終わったのに、2人残って」

「だいぶ経ってから、小さくうなずいてくれて」

「舞い上がっちゃったなあ」

「だから恥ずかしかったんだってば」

「待たせて悪いとは思ったけど…仕方ないじゃない」

「あの緊張感は、一生で一番じゃないかな」

「大げさねえ」

「まあ私も、同じようなものだけれど」



24 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:43:05.06 CcGhAh+80 21/50


「あの後のことは、あんまり覚えてないんだ」

「自分が、世界で一番の幸せ者だと思ってて」

「君の言葉も耳に入ってなかったくらいだから」

「私は覚えてるわよ」

「とっくに明るくなったプラネタリウムから出るとき」

「受付のお姉さんがこっちを見ながらにやにやしてたんだから」

「恥ずかしいったらなかったわ」




25 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:50:44.56 CcGhAh+80 22/50


「まだ、若かったな」

「今でも十分若いじゃない」

「若くて、青くて」

「…」

「世間のことなんか全然わかってなくて」

「自分の幸せで、精一杯だった」

「君のことより、自分のことで精一杯だった」

「人生で初めての、告白だったから」




26 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/27(金) 23:57:47.67 CcGhAh+80 23/50


「私だってそうよ」

「あなたの告白を聞いて、舞い上がってたんだから」

「本当に起こったことなのか信じられなくて」

「何度ほっぺをつねってみようと思ったか」

「人生で初めてだからね、告白されたのは」

「初めてどうし」

「青春ってやつね」

「…」

「自分で言ってて恥ずかしくなったわ」




27 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:02:46.44 UV9AvrFZ0 24/50


「君に言ったことがあったよね、僕の一番好きな星の話」

「ええ、覚えてるわ」

『北極星』

「いつも人を導く、夜空の中心にいる北極星が好きで好きで、そして」

「君を、僕の北極星だと言ったことも、覚えてるかな」

「もちろん」

「とってもクサイ台詞だったけれど、私には大切な言葉だったわ」




28 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:09:54.22 UV9AvrFZ0 25/50


「あれは、とっさの思いつきだったけれど」

「だからこそ僕の本心が出たと思うんだ」

「星に例えるあたりが、あなたらしいと思ったわ」

「北極星ってね、一年中ずっと頭の上に輝いていて」

「しかもほとんど動かないだろ」

「理想、高嶺の花、夜空の中心」

「君と同じだと思ったんだ」

「その話は、もう聞いたわ」




30 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:20:30.55 UV9AvrFZ0 26/50


「あの頃の僕の生活の中心は君だった」

「ずっと近づきたいと、手を伸ばしてた」

「いつだって、すぐに会いたいと思っていて」

「会えば離れたくないと思っていた」

「でも北極星は、数千年ごとに別の星に変わるのよ」

「…」

「あなたの北極星は、今は誰なのかしらね」

「…」

「ふふ、意地悪なこと、聞いちゃったわね」




31 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:28:42.87 UV9AvrFZ0 27/50


「北極星は、もう輝かなくなってしまった…」

「…」

「なんて言うと、違うかな」

「でも、そんな気分なんだ」

「…」

「いや、ごめん」

「この話はやめよう」

「もう」




35 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:39:59.52 UV9AvrFZ0 28/50


「あなたって本当に優柔不断なんだから」

「…」

「私に告白してくれたくせに、他の女の子ばっかり見ていたわ」

「あの頃、君以外に好きな人なんていなかったよ」

「自分はずっと一途だって、思ってた」

「本当かしら」

「あれからも、君のことを忘れたことなんてなかったよ」

「…本当かしら」




36 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:44:08.22 UV9AvrFZ0 29/50


「ごめん、話があっちこっちにいってるね」

「…」

「最近思いだしたんだ」

「何を??」

「君は、僕の前で泣いたことは、なかったよね」

「そうね」

「今思うと、すごく強い女性だったんだなって感じるよ」

「そんなんじゃないのよ」




37 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:52:40.53 UV9AvrFZ0 30/50


「涙は女の武器っていうじゃない」

「その武器を使って、可憐な女性を演じたくはなかったのよ」

「…」

「ただ自分らしく素直でいただけ」

「別に泣くのを我慢していたわけでもないのよ」

「それに、それを言うなら、あなたはずいぶん涙腺の緩い人だったじゃない」




38 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 00:59:00.24 UV9AvrFZ0 31/50


「君と違って、僕は泣いてばかりだったね」

「映画を見ては泣き、ドラマを見ては泣き…」

「けんかしたとき家で泣いたこともあった」

「それは知らなかったわ」

「泣き虫だったなあ、僕は」

「それだけ感情が豊かなのよ」

「でもそれは、君と付き合ってからだよ」

「私のせいだって言うの??」

「君のおかげだ」

「はいはい、私のせいね」




39 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:10:25.70 UV9AvrFZ0 32/50


「今は桜が満開だね」

「きれいでしょう」

「君が、2番目に好きだった花」

「そうそう」

「ここは交通の便が悪いけど、景色は最高だね」

「でしょう」

「私は毎日、桜が見れるのよ♪」

「…桜、か」

「2年前の今頃は、雨が多かったね」

「…」

「桜が散ってしまったのも、今年より早かった気がするな」

「そうね…」




40 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:18:09.26 UV9AvrFZ0 33/50


「2年前のあの日、君に会えていれば、言いたかったことがあるんだ」

「…」

「聞いてくれるかな」

「あの日言えなかった、君への想いを」

「…」

「あの頃僕は、どうしようもないくらい幸せで」

「…」

「君が好きで、君への想いでいっぱいで」

「…」

「でも、仕事との両立に悩んでいて」

「…」

「どうしようもないくらい、どうすればいいのかわからなかったんだ」

「…」




41 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:22:38.46 UV9AvrFZ0 34/50


「よく喧嘩もしたわね」

「…」

「たいていは私が怒ってた」

「私との時間をもっと大切にしてよって、ね」

「…」

「仕事のことはわかってるの」

「私のことを好きでいてくれてるのも、理解してたの」

「…」

「でも『付き合う』ということが、あなたの負担になってるように思ったのよ」




43 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:31:00.76 UV9AvrFZ0 35/50


「君が僕をどう思っているのか、心配だった」

「恋人ではあったけれど、本当に僕のことを好きでいてくれてるのかなって」

「…好きだったわ、とても」

「あの日待ち合わせに、3時間も遅れてしまって」

「もちろん君はいなくて」

「…」

「いつも待ち合わせにルーズだった僕に、いい加減愛想を尽かせてしまったんだと思った」

「…仕事、だったんでしょう」

「怒ってないわよ」

「本当にごめん」

「…」




45 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:37:55.05 UV9AvrFZ0 36/50


「あの日、僕は君に結婚を申し込もうと思っていたんだ」

「っ!!」

「指輪も買ってあったんだ」

「…」

「本当は早く会社を出るつもりだったんだけど、帰る寸前に問題が…」

「いや、やめよう。また僕は言い訳してるね」

「…」

「とにかく、結婚を申し込んで、君の正直な気持ちを聞きたかった」

「困った顔をされたら、冗談で済ませようと思ってた」

「でも僕は、一生君の傍にいたいと、本気で思ってたよ」

「…」

「…嬉しい」




47 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:41:49.64 UV9AvrFZ0 37/50


「今更、だけれど」

「2年も前の気持ちだけれど」

「今日、言おうと思ってた」

「ありがとう」

「あの日、言えないままにしてしまったから」

「あなたのせいじゃないわ」

「私も悪いのよ」

「ごめんね」

「…ごめんね」




48 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:47:48.75 UV9AvrFZ0 38/50


「その前の日、喧嘩してたわよね、私たち」

「…」

「だから、てっきり別れ話かと思って、待ってたの」

「…」

「待つのはつらかった」

「あなたがなかなか来ないから、さらにつらかったわ」

「…」

「そして、結局あなたは来なかった」

「…」




50 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:52:10.07 UV9AvrFZ0 39/50


「もう少し早く来れていたら、ってあなたは自分を責めるでしょうね」

「…」

「でも、あなたは悪くないの」

「仕方なかったの」

「運命だったの」

「…」

「自分を責めないでね」




54 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 01:58:19.13 UV9AvrFZ0 40/50


「あのさ」

「ん」

「僕、今度ね」

「うん…」

「…結婚することになった」

「!!」

「そ、それは…」

「…おめでとう」




56 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:04:20.88 UV9AvrFZ0 41/50


「君に、報告しておきたくて」

「律義ね」

「だから今日、来たんだ」

「…律義ね」

「でも、結婚するからって」

「君のことを忘れたわけじゃないんだ」

「わかってる」

「君のこととは全然違う話で」

「わかってるわよ」




58 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:09:09.81 UV9AvrFZ0 42/50


「上司の娘さんでね」

「…」

「まあ、お見合い結婚なんだけれど」

「僕にはもったいないくらいのいいお嬢さんで、ね」

「よかったわね」

「今年の夏、結婚することになった」

「本当におめでとう、ね」

「ごめんね」

「謝る必要なんか、ないじゃない」

「…」




61 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:14:03.11 UV9AvrFZ0 43/50


「結婚、か」

「…」

「どんどんあなたが、遠くに行ってしまうような感じだわ」

「…」

「少し寂しいけれど、あなたが幸せでいてくれたら、私…」

「…」

「…」グス

「…」

「幸せに…なってね…絶対」グス




64 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:20:37.22 UV9AvrFZ0 44/50


「また、ここに来るよ」

「うん」

「今年は少しでも、この桜が長く咲いていればいいな」

「そうね」

「君にもこの景色が、よく見えるだろうから」

「そうすればこの気持ちも、少しは安らぐかしらね」

「ここに来ると、本当に君と話しているような気分になるよ」

「私もよ」

「…」

「…」




65 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:25:07.76 UV9AvrFZ0 45/50


「じゃあ、僕はもう、行くね」

「うん」

「また来年、ここに来るよ」

「君の、命日に」

「ええ。また来年ね」

「さよなら」

「さよなら」


★おしまい



68 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:29:37.57 UV9AvrFZ0 46/50


見てくれたありがとうございました
ID:hSURgWV40にバレたのはショックだったが、やっぱわかりやすかったかなorz

よろしければこちらもどうぞ
http://hamham278.blog76.fc2.com/



69 : 以下、名... - 2010/08/28(土) 02:33:05.49 O89NhMTX0 47/50


>>68
女は死?


70 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 - 2010/08/28(土) 02:43:24.96 UV9AvrFZ0 48/50


>>69
2年前、男が約束に遅れたため(突っ込んだ車により)事故死
ショックで葬儀も出ず1年前の命日も墓参りせず
というイメージですが、まあ好きに想像してください


34 : 以下、名... - 2010/08/28(土) 00:36:54.28 hSURgWV40 49/50


女の墓前、男の独白なんてオチはやめてくよ


72 : 以下、名... - 2010/08/28(土) 02:47:47.71 hSURgWV40 50/50


大層乙であった
ネタバレごめんね


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