9 : 以下、?... - 2019/07/26 22:05:22.418 HSYdB2ls0 1/43

ロリ「……」

女騎士「生き残りか!? 家族はどうした?」

ロリ「……やけた」

女騎士「っ、すまない。私たちがもう少し早く来ていれば」

ロリ「……」

女騎士「おいで、私たちと行こう」

ロリ「……」

女騎士「嫌なのか? ここにいても……もう、ここには暮らせないぞ。さあ」

ロリ「おはか」

女騎士「ああ、そうか。そうだな、作ってあげないとな……」

元スレ
ロリ「お姉ちゃん、あのね・・・ママって呼んでもいい?」女騎士(33)「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1564145934/

11 : 以下、?... - 2019/07/26 22:28:56.196 HSYdB2ls0 2/43

ロリ「きしさま、おかえりなさい」

女騎士「ああ、ただいま。ふぅ」

ロリ「……」

女騎士「何度も言っただろう? ここは君の家だ、もっと寛いでいいんだ」

ロリ「きしさま」

女騎士「姉さん、だ」

ロリ「……おねえちゃん」

女騎士「どうした? 何かして遊ぶか?」

ロリ「おねえちゃん、おなかすいた」

女騎士「……はっはっは! そうだな、夕飯にしよう! 今夜は西の通りのバルに行こう、あそこは豚が美味い」

ロリ「お、おねえちゃん」

女騎士「ん? ははあ……遠慮することなんかない、何か食べたいものがあるんだろう?」

ロリ「……」

女騎士「はは、首を振ってばかりでは分からないぞ。そら、何が食べたい?」

ロリ「お、おねえちゃんと、ごはん」

女騎士「うん、一緒に食べような」

ロリ「んんー……」

女騎士「何だ何だ、違うのか?」

ロリ「いっしょに、あの……ふたりで、たべたいの」

女騎士「うん、二人で食べよう。さ、君も外套を」

ロリ「んんー!」

女騎士「あ、おい、そんなに引っ張って、どう……あー、二人だけで?」

ロリ「……えへへ!」

女騎士「そうか、なるほどな!……そうか、なるほどな」

12 : 以下、?... - 2019/07/26 22:33:06.113 HSYdB2ls0 3/43

ロリ「うぅ」

女騎士「ど、どうだ?」

ロリ「おいしくない」

女騎士「はっはっは!」

ロリ「うぅ……」

女騎士「はぁ……あ、おい。もう食べなくていい、やっぱり外へ」

ロリ「あぐ、う、むぐう」

女騎士「お、お腹壊すぞ?」

ロリ「むぐ……おねえちゃんの、りょうりだもん。はむ」

女騎士「……」

ロリ「あむ、もぐっ」

女騎士「はむ、ムシャ……もぐもぐ、はぐっ」

ロリ「おねえちゃん」

女騎士「んぐ……ん?」

ロリ「ありがとー」

女騎士「どういたしまして!」

13 : 以下、?... - 2019/07/26 22:42:29.527 HSYdB2ls0 4/43

騎士団長「どうかね?」

女騎士「はい、毎日スクスクと育っています。火傷も日に日に薄くなってきて、この分なら目立つ跡にはならないかと」

騎士団長「……征伐の話だ」

女騎士「は、申し訳ありません、つい」

騎士団長「何時頃になる?」

女騎士「3年あればどうにか、と言った所でしょうか」

騎士団長「それ以上は、難しいか」

女騎士「古参層の減った今、育成にまで回せる手は限られていますので」

騎士団長「いつ目覚めるか分からんが、この10年で確実に来る。時間は限られておるのだ」

女騎士「はい!」

騎士団長「頼むぞ、紅眼戦斧の乙女」

女騎士「……若いのに広めてるの、団長ですか?」

騎士団長「はてな?」

14 : 以下、?... - 2019/07/26 22:49:42.059 HSYdB2ls0 5/43

ロリ「えいっ、やあ!」

女騎士「はは、勇ましいな」

ロリ「いさまし?」

女騎士「強そうってことだ」

ロリ「えへへー」

女騎士「でも君は刃なんて持たなくていい。盾は刃を捨てる為、だ」

ロリ「?」

女騎士「私の居た家の家訓でな……いや、もう私とは関係のない人たちだがな、はははは」

ロリ「たてはやえばを」

女騎士「刃を、捨てる為。沢山の大切なものを貰ったが、その中で一番だ。父と呼んでいた人から何度も聞かされた」

ロリ「たては、やいばをすてるため……」

15 : 以下、?... - 2019/07/26 22:58:29.845 HSYdB2ls0 6/43

新人騎士「おい、あれ!」

新人騎士「うお、戦斧! 紅眼戦斧の乙女だ!」

新人騎士「紅眼戦斧様ー! 麗しきそのお顔を一目、一目!

女騎士「……はは、励んでいるかー?」

新人騎士「そりゃもう! オーガくらいなら俺一人でも十分ですよ!」

新人騎士「俺はキマイラを仕留められるぞ!」

新人騎士「クラーケンだって海の藻屑です!」

女騎士「ははは、頼もしいな。では一つ実践稽古と行こうか」

新人騎士「お、お願いします!」

新人騎士「馬鹿野郎、俺が先だ!」

新人騎士「私が先約だ、これは譲れない!」

女騎士「ははは、はっはっは」

17 : 以下、?... - 2019/07/26 23:08:27.395 HSYdB2ls0 7/43

女騎士「立て」

新人騎士「ひ、ぃ」

新人騎士「もう無理ぃ……」

新人騎士「……ぐぅ」

女騎士「立て!!」

新人騎士「ひゃいい!」

新人騎士「う、うう」

新人騎士「げほっ」

女騎士「おい真ん中のお前、立てるのに何故もう無理などとほざいた」

新人騎士「ご、ごめんなさ、ぎゃ!」

女騎士「ほう、少しはハンサムになったな。何故もう無理などとほざいた」

新人騎士「……」

女騎士「ふん」

新人騎士「……あぐっ!?」

女騎士「次は鼻か? アゴか?」

新人騎士「か、勝へないと思ったからでふ」

女騎士「勝てなければ戦わないか、っ」

新人騎士「あぐっ」

女騎士「戦わなければこうして死ぬまで殴られる! もう無理か!」

新人騎士「た、戦えまふ!」

女騎士「もう無理だろう腰抜け!」

新人騎士「戦えまふ!」

女騎士「剣も盾も地面に捨てて戦える訳ないだろう! 死にたいのか!」

新人騎士「死にたくなひ! 戦えう!」

女騎士「構えろ! まとめて来い!」

18 : 以下、?... - 2019/07/26 23:23:45.726 HSYdB2ls0 8/43

騎士団長「励んでいるな」

女騎士「やはり男は強いものです、あっという間に腕を上げていく」

騎士団長「貴君の話だ」

女騎士「……先達に鍛えて貰った恩を、返しているだけです」

騎士団長「大槌のも、長弓のも、厳しかったからな」

女騎士「お陰で今も生きていられます」

騎士団長「やはり、3年かね」

女騎士「励んではいますが、どう尽くしてもその位はかかります。でなければ無駄死にをします」

騎士団長「そうか、ありがとう。時に貴君の拾った……」

女騎士「あの子の事も、そろそろ期限ですか」

騎士団長「騎士団という所は規律規律でどうにも、な。引退したお歴々とも相談したが」

女騎士「そう、ですか」

騎士団長「ああいや、筋さえ通っていればという、そういう話だ。何処か話の分かる商家の養女にして、夜は恩返しに騎士様の手伝いをしている、と。こういう具合ならまぁ大丈夫だろうと」

女騎士「……! あ、ですが、そんな商家は」

騎士団長「時に、貴君の宅の近くに騎士団と親交の深いパン屋があるのだが」

女騎士「……何と手際の良い。もしかして」

騎士団長「人を守る為に騎士になった人ばかりだ。多分、代々な」

19 : 以下、?... - 2019/07/26 23:32:02.034 HSYdB2ls0 9/43

女騎士「今帰ったぞ」

ロリ「おかえりなさいー」

女騎士「お、お、お? どうしたんだそれ?」

ロリ「えへへ、なんでしょーう?」

女騎士「おいおい……まさかこれ、君が? 小父さんたちに習って?」

ロリ「うん! おねえちゃんおめでとう!」

女騎士「ははは、なんだおめでとうって」

ロリ「おねえちゃん、たんじょうびだもん! おめでとう!」

女騎士「ああ、そっか……すっかり忘れていたな、はっはっは! ありがとう、すごく嬉しい!」

ロリ「たべてー!」

女騎士「いただきます。はむ、うん、これは絶品だ! 世界一のパン屋になれるぞ、私が請け負おう!」

20 : 以下、?... - 2019/07/26 23:42:00.277 HSYdB2ls0 10/43

女騎士「手筈通り、1部隊は正面で待機。2部隊は側面へ移動、合図の後強襲。3、4部隊は周囲の警戒だ」

古参騎士「おい」

女騎士「む?」

古参騎士「風上から獣臭がする」

女騎士「ハウンドか?」

古参騎士「分からん。だが鉄臭さはない」

女騎士「ふむ……」

古参騎士「俺は3、4部隊に回る」

女騎士「ああ、それがいい。馬鹿どもが浮き足立っていたら躾けておいてくれ」

古参騎士「あいよ」

21 : 以下、?... - 2019/07/26 23:47:06.585 HSYdB2ls0 11/43

新人騎士「な、何が来るんすか」

新人騎士「キ、キ、キマイラとか?」

新人騎士「クラーケンかも! ひぃい……」

古参騎士「期待を裏切らねぇなあお前ら。森にクラーケンが出るかよ」

新人騎士「だって……」

古参騎士「ほら、構えてろ。合図だ」

新人騎士「!」

新人騎士「こここ、来れられるなら来てみてやがれ!」

古参騎士「何言ってんだお前。ほら肩の力は抜け、今は細く長い集中だ」

新人騎士「すぅー……はぁー……」

新人騎士「すぅー……はぁー……」

新人騎士「すうぅー……はあぁー……」

古参騎士「ちゃんと仕込まれてんねぇ、大したもんだ」

22 : 以下、?... - 2019/07/26 23:54:46.715 HSYdB2ls0 12/43

トロル「ウゴォ!?」

女騎士「……」

トロル「ォ、オ」

女騎士「……ふんっ」

トロル「……」

女騎士「よし、討伐完了。荷車だ」

古参騎士「お疲れさん」

女騎士「ああ、さっきは助かった。ありがとう」

古参騎士「子守なんて退屈な事、もうやらせるなよ?」

女騎士「どうだった」

古参騎士「良い面構えしてやがったなあ、半人前の癖に」

女騎士「彼等も騎士だからな」

古参騎士「嬉しそうじゃねえか」

女騎士「私も騎士だからな」

23 : 以下、?... - 2019/07/27 00:01:01.512 ElsUzZ830 13/43

町娘「きゃー! 紅眼戦斧さまー!」

女将「いやーん! 紅眼戦斧ちゃーん!」

親父「うおー! 紅眼戦斧の乙女よォー!

女騎士「はっはっは」

新人騎士「くそぅ……」

古参騎士「泥だらけでも、俺が英雄様だって顔しろぃ」

新人騎士「でも滑って転んでなんて……」

古参騎士「格好悪くても胸張れ。暗い顔してちゃ怪我したのかって民が不安になるだろ」

新人騎士「……はいっ」

女騎士「はっはっは」

古参騎士「見ろ、アイツなんか下手な笑顔貼り付けてるだろ」

新人騎士「苦手なんだなあ」

24 : 以下、?... - 2019/07/27 00:07:31.155 ElsUzZ830 14/43

女騎士「何が紅眼戦斧の乙女だ!」

新人騎士「荒れてるなぁ」

女騎士「飲め!」

新人騎士「ありがとうございます!」

女騎士「こんな三十路女が……乙女なんぞと……」

新人騎士「酔ってるのかなぁ」

新人騎士「照れてるのかなぁ」

女騎士「飲め!」

新人騎士「ありがとうございます!」

女騎士「お前も!」

新人騎士「ありがとうございます!」

古参騎士「顔真っ赤じゃねぇか、うはは」

女騎士「飲め!」

古参騎士「はいどーも、御返杯だ」

女騎士「んぐっ、んくっ、んくっ……ふはぁーあ」

古参騎士「大丈夫かおい」

女騎士「飲め!」

古参騎士「荒れてんなぁ」

25 : 以下、?... - 2019/07/27 00:11:46.753 ElsUzZ830 15/43

女騎士「ただーいまーぃ」

ロリ「おねえちゃん!?」

女騎士「はっはっは、英雄様のご帰還だあ」

ロリ「お、おかえりなさい……だいじょうぶ?」

女騎士「うん、君がいればなんだってヘーキら」

ロリ「ちょ、苦しいってばー、もー」

女騎士「はっはっは、離さないぞー」

ロリ「おねえちゃんったら、えへへ!」

女騎士「……なぁ」

ロリ「うふふ、んー? なにー?」

女騎士「修道院とかなら、友達いっぱい出来たかも知れないなぁ」

ロリ「おねえちゃん?」

女騎士「孤児院だって、本当はそんなに悪い所じゃないのかも知れないし」

ロリ「……」

26 : 以下、?... - 2019/07/27 00:16:10.573 ElsUzZ830 16/43

女騎士「私は、私は寂しかったのかもなぁ……独りぼっちで戦う道を選んだのは私なのに、なのに寂しくて、独りぼっちになった君を、巻き込んだのかなぁ」

ロリ「……」

女騎士「ごめんなぁ、君の、君はもっと幸せになって、なるべき、なってほしいのに、わ、私は……」

ロリ「おねーえちゃん?」

女騎士「……ぐすっ」

ロリ「わたし、おねえちゃんのこと、だいすき」

女騎士「う、うう」

ロリ「えへへ」

女騎士「うっ」

ロリ「ふふ」

女騎士「うぅ~……!」

ロリ「よしよし。しょーがないですねー」

27 : 以下、?... - 2019/07/27 00:21:30.378 ElsUzZ830 17/43

ロリ「おはようお姉ちゃん! ほらほら、朝だよ!」

女騎士「ああ、おはよう」

ロリ「今日は小父さんが新しいパン教えてくれたんだ! ほらこれ!」

女騎士「おお、焼き立てのいい香りだ。中に具が入っているのか? いただきま」

ロリ「行儀悪いよ騎士様ー? ほら着替えて! 顔洗って! ほんとに手のかかるお姉ちゃんなんだから!」

女騎士「はっはっは、冷めない内に食べなくてはな」

28 : 以下、?... - 2019/07/27 00:24:06.684 ElsUzZ830 18/43

ロリ「いただきます」

女騎士「いただきます」

ロリ「ね、どう? どう?」

女騎士「うん、絶品だ! 世界一の」

ロリ「パン屋になる、私が請け負おう!」

女騎士「……取られてしまったな」

ロリ「お姉ちゃんそればっかりなんだもん」

女騎士「本当に美味しいんだもん」

ロリ「もう……えへへ」

女騎士「はっはっは」

29 : 以下、?... - 2019/07/27 00:28:28.300 ElsUzZ830 19/43

ロリ「お姉ちゃん、今日は?」

女騎士「ああ、いよいよ煮詰まってきてな。これからはかなり遅くなる」

ロリ「そっか……」

女騎士「何、ほんの少しの間だけだ。先に寝ててくれ」

ロリ「ううん、待ってる」

女騎士「寝ーてーてーくーれー」

ロリ「……お姉ちゃん、無理してない?」

女騎士「今が無理のし時なんだ」

ロリ「……うん」

女騎士「すまないな」

ロリ「騎士様、だもんね」

女騎士「ああ」

ロリ「……」

女騎士「すまないな」

30 : 以下、?... - 2019/07/27 00:48:27.691 ElsUzZ830 20/43

騎士団長「観測班の報告から推測するに、やはりかなり近いな」

女騎士「装備の発注と修繕は?」

新人騎士「後2日で全て整います」

女騎士「怪我人」

新人騎士「皆万全の状態です」

女騎士「支援」

新人騎士「地方貴族達から金貨1袋ほど、計8袋です」

女騎士「……ふぅ」

騎士団長「上にも事の重大さが伝わっている様で何よりだ。知っての通り、これまでにない間隔での征伐となる。まだ新人と己では思っているかも知れないが、貴君らは騎士だ」

新人騎士「……」

女騎士「……」

騎士団長「我が騎士団は民を守る盾だ。今一度その事を胸に刻み、備えておいて欲しい」

伝令「報告です、居場所を確認しました! 東部城壁より北東の丘、その洞窟の中です」

騎士団長「間違いないか?」

伝令「はい、記録の通りの体躯と翼、爪。間違いなく、ドラゴンです」

31 : 以下、?... - 2019/07/27 00:51:40.409 ElsUzZ830 21/43

ロリ「おかえり、お姉ちゃん」

女騎士「まだ起きてたのか。ただいま」

ロリ「おかえりって言いたいもん」

女騎士「はっはっは、いつもありがとうな」

ロリ「……」

女騎士「うん?」

ロリ「今日、一緒に寝ようよ」

女騎士「大きくなったと思っていたが、やっぱりまだまだ子供だな」

ロリ「子供だもん」

女騎士「はっはっは」

ロリ「えへへ」

32 : 以下、?... - 2019/07/27 00:54:01.036 ElsUzZ830 22/43

ロリ「お姉ちゃん、まだ起きてる?」

女騎士「……もう寝たよ」

ロリ「そっか」

女騎士「ああ」

ロリ「……おやすみなさい」

女騎士「おやすみ」

35 : 以下、?... - 2019/07/27 00:56:59.972 ElsUzZ830 23/43

ロリ「お姉ちゃん」

女騎士「……」

ロリ「何処かに行っちゃわないでね」

女騎士「……」

ロリ「私、独りぼっちはもうやだよ?」

女騎士「離さない」

ロリ「そっかぁ。よかったぁ」

女騎士「……」

ロリ「……」

36 : 以下、?... - 2019/07/27 01:03:56.985 ElsUzZ830 24/43

ロリ「おはよう、お姉ちゃん!」

女騎士「おはよう」

ロリ「わっ、どうしたのお姉ちゃん?」

女騎士「うん? 何だ、何処かおかしいか?」

ロリ「なんか、なんて言うか」

女騎士「どうした、そんなに目を白黒させて」

ロリ「紅眼戦斧の乙女……」

女騎士「……君だけは言わないでいてくれると思っていたのになぁ」

ロリ「だって、なんか、すっごく綺麗なんだもん」

女騎士「ぷ、はっはっは! そうかそうか、ありがとう」

ロリ「あ。もしかしてー、今日?」

女騎士「ああ」

ロリ「そっ、か」

女騎士「行ってきます」

ロリ「……行ってらっしゃい!」

37 : 以下、?... - 2019/07/27 01:13:49.243 ElsUzZ830 25/43

警備兵「東区、北区、避難終わりました」

古参騎士「了解。引き続き避難誘導願います」

警備兵「はっ!」

女騎士「寂しいものだな」

古参騎士「いつもの賑わいを知ってるとな」

女騎士「守れるだろうか」

古参騎士「弱気だな」

女騎士「……こ、紅眼戦斧のとは言え、乙女だからな」

古参騎士「何だ、自分でも言ってみたかったんじゃねえか!」

女騎士「……」

古参騎士「最後かも知れねぇもんな」

女騎士「守ろう」

古参騎士「守ろう」

警備兵「全区、避難終わりました。どうか、ご武運を!」

古参騎士「了解。有事の際に備えた配置へ願います。ありがとな兄ちゃん」

女騎士「感謝する」

38 : 以下、?... - 2019/07/27 01:22:25.860 ElsUzZ830 26/43

伝令「爆薬、設置完了しました。目標は未だ眠っています」

伝令「1、3部隊、配置に着きました」

伝令「2、4、5部隊、配置に着きました」

伝令「6部隊、配置に着きました」

騎士団長「……ありがとう。これより、第82次国家脅威征伐を開始する! 点火ァー!!」

39 : 以下、?... - 2019/07/27 01:28:45.620 ElsUzZ830 27/43

新人騎士「……」

古参騎士「へへっ」

ドラゴン「ぐるるぁ……」

新人騎士「うわぁ!」

古参騎士「くそったれ! 射掛けろ、針山にしてやれー!」

ドラゴン「おぉーーーーん!」

新人騎士「ひぇえ、大迫力だ」

古参騎士「おう、お前も肝が座って来たなぁ!」

40 : 以下、?... - 2019/07/27 01:34:16.751 ElsUzZ830 28/43

女騎士「出過ぎるな!」

中堅騎士「硬すぎです、ってば!」

ドラゴン「ぐる、ぐるるる」

中堅騎士「あっ」

新人騎士「退け、退けぇー! 」

ドラゴン「ぐ、ぐる、ごあぁ!」

新人騎士「ひ……あ、ぁあー!? あ゛あ゛あ゛あ゛!
!」

41 : 以下、?... - 2019/07/27 01:38:53.940 ElsUzZ830 29/43

古参騎士「あの高さなら火も届かん、立て直せー!」

新人騎士「負傷者を後方に!」

女騎士「くそっ、もうこんなに……!」

騎士団長「降りてくる! 陣形、組めー!」

古参騎士「陣形、組めーい!!」

ドラゴン「ぐるるるぁ!!」

42 : 以下、?... - 2019/07/27 01:43:50.903 ElsUzZ830 30/43

女騎士「はぁ、はぁ、ごほっ」

ドラゴン「るるるぅ……」

古参騎士「っだらぁ !」

ドラゴン「ぐるるぁ!」

新人騎士「シッ!」

ドラゴン「がうるる」

女騎士「おぉおお!」

ドラゴン「ぐるるぅるらぁー!」

女騎士「あっ、が……! ぎ、ひぃ」

騎士団長「今助ける!」

女騎士「はっはっは! うぐ、はははははっげほ、げほ!」

古参騎士「離しやがれぇ!」

騎士団長「トカゲの化け物が!!」

新人騎士「このっ、このぉ!」

43 : 以下、?... - 2019/07/27 01:48:44.124 ElsUzZ830 31/43

ドラゴン「ぐ、る、ごぁああ!」

女騎士「うぁ゛あ゛あ゛あ゛!?」

ドラゴン「ぐぅるるる……がぁ! がるるぁ!」

騎士団長「ぐっ!?」

古参騎士「ぉ、お……!!」

ドラゴン「るる、くるるぅ」

新人騎士「あ、ああ、ひぃ……」

ドラゴン「くるぅ、くるるるぅ……」

新人騎士「たす、助け、て」

ドラゴン「ぐるるる」

女騎士「おい、げほっ、かは……紅眼戦斧の、ステーキは、はぁ、はぁ、美味い、か」

44 : 以下、?... - 2019/07/27 01:52:01.753 ElsUzZ830 32/43

ドラゴン「ぐるるぅ……」

新人騎士「え? い、まだ、生きて」

女騎士「答えろ、私の左手は、美味いか……」

ドラゴン「ぐる、ぐ、るるる」

新人騎士「助け、て……いま、助けてさしあげます!」

ドラゴン「ぐるるるる、ごぁああー!!」

45 : 以下、?... - 2019/07/27 01:58:06.468 ElsUzZ830 33/43

女騎士「焼け! 焼け!! 」

ドラゴン「ぎゃるるるぁ!? がるるぁあ!!」

女騎士「あ゛あ゛あ゛!? ぐっ、ふ、ははははは!!」

ドラゴン「がぅがるるぁ! ぎゃう、ごぁあ!」

新人騎士「この、離せぇ!」

女騎士「まだ、ごほっ! 戦える、私はぁ! うぐ、げほ!」

新人騎士「くたばりやがれ、化け物めぇー!!」

ドラゴン「がぅるるるぐるるぁあー!!」

47 : 以下、?... - 2019/07/27 02:03:09.932 ElsUzZ830 34/43

ドラゴン「……ぁ、ぐる」

女騎士「……、っ!」

ドラゴン「が」

女騎士「……」

新人騎士「……」

ドラゴン「……」

女騎士「ぁ、だ」

新人騎士「……」

女騎士「だぃ、82次、こ、あ……? ぁ、ぅ……」

新人騎士「! だ、第82次国家脅威征伐、完了ぉー!」

48 : 以下、?... - 2019/07/27 02:06:33.559 ElsUzZ830 35/43

ロリ「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」

医者「離れて」

看護婦「さ、こっちへ」

ロリ「お姉ちゃん! お願い、お願いします! お姉ちゃんを助けてください! お姉ちゃぁん!!」

医者「分かってるとも。こんな英雄を死なせてたまるか……!」

49 : 以下、?... - 2019/07/27 02:09:59.244 ElsUzZ830 36/43

古参騎士「騎士団長殿は頭を焼かれたのですかな? あ、元からか。ははは」

騎士団長「貴君は上段から叩き潰されたのかね? あ、元からか。ははは」

古参騎士「ははは!」

騎士団長「ははは!」

古参騎士「だーっはっはっは!」

騎士団長「わーっはっはっは!」

古参騎士「あいててて……!」

騎士団長「あいたたた……!」

看護婦「何やってるんですか貴方たち」

50 : 以下、?... - 2019/07/27 02:17:26.935 ElsUzZ830 37/43

古参騎士「何せベッドから動けないと暇なもんで」

騎士団長「仕方なく遊んであげているという訳ですよご婦人」

看護婦「早く自宅療養になってくれないかしら」

新人騎士「団長殿、ただいま戻りました」

騎士団長「おお、待ち侘びたよ貴君。さ、ご婦人もご相伴に」

看護婦「あら、素敵な」

騎士団長「良いケーキだろう? 瑞々しさ美しさと言ったら貴女の様」

看護婦「素敵なお方。貴方も騎士様でいらっしゃるの?」

新人騎士「え、俺!? お、おれ、おれお」

古参騎士「……」

新人騎士「! お、俺様が街を救った騎士様だい!」

看護婦「あらやだ、街を救ったのは紅眼戦斧様よ。嘘吐きな方に興味ありませんわ」

新人騎士「えぇ……」

古参騎士「バカ」

51 : 以下、?... - 2019/07/27 02:21:40.711 ElsUzZ830 38/43

ロリ「ねえ、お兄さん。こんな小父さんたちどうでもいいから早くお姉ちゃんに」

新人騎士「ああ、はいはい。じゃ、ケーキここに置いて置きますからね団長殿」

騎士団長「ああ、ありがとう」

新人騎士「あんまり喧嘩して看護婦さんに迷惑かけんで下さいねー! 騎士団の名に泥が付きますのでー!」

騎士団長「……」

古参騎士「へへへっ」

騎士団長「騎士団の規律はどうなっているのかね」

古参騎士「代替わりの時期って事じゃねえですかねぇ」

52 : 以下、?... - 2019/07/27 02:25:37.314 ElsUzZ830 39/43

新人騎士「妹さんをお連れしましたー!」

女騎士「ああ、開けてくれ」

新人騎士「あの、本当にお会いになるんですね?」

女騎士「ああ、驚かない様にとだけ伝えて欲しい」

ロリ「……」

新人騎士「そういうことだから、ね。ゆっくり深呼吸して……大丈夫そうかい?」

ロリ「う、うん」

新人騎士「じゃあ……」

女騎士「久しぶり、というのも変か。ははは」

ロリ「うそ」

新人騎士「……外しますね」

53 : 以下、?... - 2019/07/27 02:35:11.152 ElsUzZ830 40/43

ロリ「お姉ちゃん」

女騎士「初めて会った時、君もこんな風に火傷を負っていたな。覚えているか?」

ロリ「お姉、ちゃん」

女騎士「自慢の髪もチリチリだ、ははは」

ロリ「お姉ちゃん!」

女騎士「ああ、左腕は食わせてやったんだ。食い意地の張ったドラゴンでな、牙に突き刺してあっちこっち振り回されて大変だったん」

ロリ「っお姉ちゃん!!」

女騎士「……ごめん」

ロリ「違うよぅ、謝らないでよぅ……!」

女騎士「……ごめんなさい」

ロリ「何で!」

女騎士「な、何でって」

ロリ「何で、お姉ちゃんは泣かないの!? 泣いてよ! 痛かった、苦しかったって! 辛い時は辛いって言ってよぅ!」

54 : 以下、?... - 2019/07/27 02:35:31.157 ElsUzZ830 41/43

女騎士「あ、ぅ……は、ははは。か、敵わないなぁ」

ロリ「お姉ちゃん……」

女騎士「う、うぅ……くっ、ぅ、うぁあ……うぅ、ぅぁああ゛あ゛あ゛……!」

55 : 以下、?... - 2019/07/27 02:45:24.594 ElsUzZ830 42/43

女騎士「騎士は引退だ」

ロリ「そっか」

女騎士「盾も持てないし、自慢の戦斧も片腕じゃな」

ロリ「うん」

女騎士「これからは紅眼の乙女とでも呼ばれるかもな、はっはっは」

ロリ「お姉ちゃんはね」

女騎士「……うん」

ロリ「街のみんなを守った凄い騎士様なんだよ」

女騎士「そっか」

ロリ「お姉ちゃんがいなかったらー……」

女騎士「いなかったら?」

ロリ「やっぱり、それでも街を守る為にもっと沢山の人たちが戦ったと思う。ドラゴンもやっつけられてたと思う」

女騎士「ああ、きっとそうだな」

ロリ「でもお姉ちゃんがいてくれたから、今日も明日も、私はパンを焼けるんだ」

女騎士「……そっかぁ」

ロリ「えへへ」

女騎士「はっはっは」

56 : 以下、?... - 2019/07/27 03:01:00.438 ElsUzZ830 43/43

女騎士「盾は刃を捨てる為、だな」

ロリ「あ、前にも言ってた家訓」

女騎士「む、君に話した事があったか?」

ロリ「酔っ払ってる時にちょっとだけね。ねぇ、どういう意味なの?」

女騎士「……騎士は、民に刃を振るわせない為に戦う。戦いに巻き込まない為に戦う。兵にしない為に戦う。平和な世で、筆や楽器や、パン生地を持ってもらう為に、な」

ロリ「……」

女騎士「そしていつか、いつか本当に戦う必要のない日々が訪れたら……皆が刃を捨て、盾も捨てられる日が来る。そんな世界を作る為に私は盾を取っている」

ロリ「へー」

女騎士「ま、私はもう盾も刃も持てないしな。長年連れ添ってきたが、この辺りでこの家訓ともお別れかな」

ロリ「じゃあまた新しいの考えようよ、私たちの家訓! ……ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは騎士を辞めるんだよね?」

女騎士「ああ、第二の人生の幕開けだ。これから何をしようかな、花屋さん……なんて柄じゃないかもしれないが、花を育てたりするのは結構」

ロリ「辞めるんだったらさ、もう騎士団の規律なんかも関係ないんだよね?」

女騎士「? うん」



ロリ「お姉ちゃん、あのね……ママって呼んでもいい?」

女騎士「ママか、ああいいぞ。私で良ければ」

おわり

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