魔王(♀)「え?」
側近「まあもうすぐ夏コミも近いですから今頃追い込んで」
魔王(♀)「え、ちょいちょい」
側近「え?」
魔王(♀)「ご、ごめんその、同人誌って……なに?」
側近「ええ、知らないんですか?同人誌っていうのはかくかくしかじか」
魔王(♀)「ふーん、まあそういう書物があるのね……へえ」
魔王(♀)「え?」
魔王(♀)「いやだからなんで勇者がそんなもの書いてるの……?」
元スレ
魔王(♀)「くっく……、勇者一行の様子はどうだ……?」 側近「同人誌書いてますね」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1564233411/
勇者『ここまでだな魔王』
魔王(♀)『くっ……!』
勇者『何か言い残すことはないか……?』
魔王(♀)『次生まれ変わるなら、お前とは敵同士ではいたくない』
勇者『なぜだ…?』
魔王(♀)『だ、だって…、勇者…貴様がそんなにイケメンでかっこいいだなんて…し、知ってたらわたし…わたし…』
勇者『ま、魔王……お前…』
魔王(♀)「いやなんだよこれ」
側近「なにって、勇者が前回のコミケで売ってた『いちゃいちゃ魔王退治1』ですけど」
魔王(♀)「喧嘩うってんのか……」
側近「もともと勇者はこの業界で有名な絵師ですから」
魔王(♀)「絵師ってなによ……、いやけど、だからって魔王討伐の最中にこんなもん描かんと、もっと真剣に私に挑んできなさいよ」
魔王(♀)「この間、私がコテンパンにしたからその現実逃避のつもりかしら」
側近「いやむしろ、その一件で構想が膨らんだんだと思うんですよね」
魔王(♀)「はあ?何言って……、ん?きゃああ!!」
側近「ん?どうしたんですか、魔王様」
魔王(♀)「そ、そ、、その勇者の描いた本…、な、なんか後半のページ…え、え?……、な、なんで私と勇者が…!」
側近「ん?ああ…、18禁ですからね、、そりゃありますよ。スケベシーンくらい」
魔王(♀)「はああ!?」
側近「これ見ると勇者はいちゃラブが好きみたいですね。作画も原作よりですし、ほら見てくださいよ、この魔王様の表情とか。とてもアマチュアの仕事とは」
魔王(♀)「いやもう見せなくていいからっ!っていうか何こんなエッチな本描いて、頭おかしいんじゃないの、勇者!だれがこんなもの見るっていうのよ!」
側近「え?けどこの同人誌めっちゃ売れてますよ?」
魔王(♀)「ええ!?売れてる!これが!?」
側近「ええ、この手の本読むのが趣味の人間の間では、飛ぶように売れてますし。そういえばこの間、四天王のマギラスさんも使う用と保存法で2冊買ったって言ってました」
魔王(♀)「アイツ頭おかしいのかっ!?」
側近「今頃、勇者は、イチャイチャ魔王退治2を執筆中でしょうね。みんな楽しみにしてると思います」
魔王(♀)「まじかよ…、え?いやちょ、ちょっと待ってよ。勇者がこんなもんに力入れてたら、アイツらの他のメンバーもあきれてるんじゃあ」
側近「え?いや、ほかのメンバーも同人作家ですよ」
魔王(♀)「あ……?」
側近「例えば、ほらこれ、武道家の前作の同人誌ですけど……」
武道家『くっ、魔王、なんて強さだ……!』
魔王(♀)『ふふ……、なんてたわいのない男……、たっぷり虐めてあげるわ』
武道家『な、なにをするつもりだ……、や、やめ……あんっ♡』
魔王(♀)『うふふ……、男のくせにかわいい声あげて……、ココ、もうすごいことになって…情けない男ね、ほんと。あんたみたいなのは、足でしごくので十分ね』
武道家『な、ちょ……あっ♡やめ…、けど、あっ、すごっ♡、ああっ』
魔王(♀)「アホかぁ!」バシイイン!
側近「あー、ちょ、もう何してんすか、床にたたきつけないでくださいよ魔王様」
側近「武道家はドMで、自分が敗北して魔王様にオモチャにされたりイタズラされたりする作品をよく描いてるんですよね」
魔王(♀)「アイツそんな変態だったのかっ!ふだん熱血キャラみたいな感じなのにっ」
側近「人の性癖は自由ですからね、ほら、後半のほうの赤ちゃんプレイもなかなかですよ? 魔王様のこと、ママって呼んでますからね。絵のほうも勇者に負けず劣らずなかなか」
魔王(♀)「わ、わーわーいいからっ見せなくていいからっ!」
側近「え?なに恥ずかしがってるんですか、魔王様?たかだか絵ですよ? それとも、アレですかね?こういうHなやつ、経験なくて苦手な感じなんですか?」
魔王(♀)「は、はあああ!?な、なに?なにいっとんお前!?わ、わたしが何年生きてると思っとん!?経験とかは豊富だけど!?けど、自分を描いた絵でそういうプレイ見せられるのが腹立つから見たくないだけで恥ずかしがってるわけじゃないんだけどっ!?」
側近「ふーん、そうですか……」ゾクゾク
側近「(やっぱ魔王さまにセクハラするの最高に楽しいな…)」
側近「じゃあ次は魔法使いが描いてる同人誌ですけどね、これもなかなか」
魔王(♀)「いやもういいから大体状況わかったから」
側近「いや見ましょうよ。ちゃんと全員のみないと」
魔王(♀)「いやいいって、もう、わかったって」
側近「ふーん、そうですか、わかりました」
側近「……ま、なんていうか、男とかと…そういう…経験ないから…恥ずかしいのかな…魔王様、子供ぽいしな……」ぼそっ
魔王(♀)「あ……?おま、いまなんつった?」
側近「いえ……別に……なんも言ってないですけど」
魔王(♀)「………」
側近「………」
魔王(♀)『ほらほらほらほらっ!孫くらいの見た目の子に大事なところ足で踏まれる気持ちはどうなのっ!ねえ、どうなのお爺ちゃん!!』
魔法使い『ああっ、ああああっ、き、気持ちいいでしゅうっ!♡もっと、もっともっと』
バシイイン!
側近「魔法使いはドMで、自分が敗北して、見た目孫くらいの女の子にアソコを足蹴にされる同人誌をよく」
魔王(♀)「武道家と性癖まる被りじゃねーかっ! Mしかいねーのかあそこのパーティ!そこはせめて性癖の設定くらいずらせよっ!」
側近「けど、武道家や魔法使いの同人誌もよく売れてますけどね。四天王のゴリアテさんとレバニラさんも使う用と保存用に2冊買ってるって」
魔王(♀)「うちの幹部もどうなってんだっ!」
側近「正直、魔法使いは作画は古臭くてアレなんですけど、ベテランだけあって構図とかうまいんですよね。ほら、このページのアングルとかなかなか」
魔王(♀)「あーあーいいから見せなくていいからもうわかったから」
側近「いやいやそういわずに見てくださいってほら、このシーンえっろ! ほらほらっ…魔王様が魔法使いの魔法使いを丹念に」ムラムラ
魔王(♀)「い、いや言わなくていいから見ないから」
側近「いやそういわずに」
魔王(♀)「み、みないって言ってるでしょ!」
側近「見るんだっ!!」
魔王(♀)「!!??」
側近「はあ、もう仕方ありませんね。最後、戦士の同人誌行きましょうか」
魔王(♀)「いや、もういいわ。別に同じようなもんでしょ、大体わかったし」
側近「え?ここまで来てやめるんですか、みるの」
魔王(♀)「いや、そもそも別に勇者一行の同人誌を読んだってなんの得にも」
側近「逃げるんだ」ぼそっ
魔王(♀)「あ?」
側近「えっ」
魔王(♀)「いや別にって何…?、逃げるんだ?とか言わなかった?言ったっしょ?」
側近「………ん?何が?……ん?どしたんすか?」
魔王(♀)「………」
側近「………」
戦士(魔王(♀))『も、もしかしてわ、わたしたち!?』
魔王(♀)(戦士)『い、入れ替わってる!?』
………
戦士(魔王(♀))『はあ、はあ……ま、まさか初めての相手が自分自身の肉体、だなんて…』
戦士(魔王(♀))『な、なにこれ……こんなこん棒みたいなのを、わ、私の体に私が入れる…ですって……?どうやって挿れたら……』
魔王(♀)(戦士)『よ、四つん這いになればいいのか…?け、けど、お、オイラ……、これから自分自身に犯されることになるとは……!』
魔王(♀)(戦士)『魔王を倒すために鍛えぬいてきた自分の肉体なのに…、こ、こんなことに使われるなんて』
戦士(魔王(♀))『ああっああっ、戦士戦士っ!わたし、もうっ!』
魔王(♀)(戦士)『魔王っ魔王っ!!オイラっオイラ』
ビリビリビリビリビリイイ!!
側近「あ、あああ!な、なにしてんすかっ!」
魔王(♀)「あ、アホかあ!なによコレ!アイツ頭おかしいじゃないのっ! 意味わかんないし、読んでて吐き気してきたんだけどっ!!」
側近「戦士、絵はクッソ下手なんですけど、発想は神なんですよね。奇抜というか。私は戦士の同人誌が一番のお気に入りですかね。コミケ行く時間はないですけど、ちょいちょい通販で買ってます」
魔王(♀)「お前も買ってんのかよっ!!」
魔王(♀)「はあ、なんか頭痛くなってきた」
側近「あれ、魔王様どこ行くんですか…?顔色悪いですし、休まれたほうが」
魔王(♀)「うん、いいわ。急いで済ませたいし行ってくる」
側近「え、行くってどこに」
魔王(♀)「その、コミケとかいうの」
側近「え……?」
その後 8月コミケ
勇者「ふう、今回のイチャイチャ魔王退治2は俺と魔王とのいちゃラブ度MAXで力作だわ…、正直完売だろうな」
武道家「はっ、俺の同人誌だって負けてないぜっ!今回は魔王からの授乳コキに18p使ったからなっ」
魔法使い「ひひひ…、ワシを忘れてもらっては困るのお……、今回の作品は魔王を孫に見立ててのドMプレイをさらに開拓したわい。やっぱ足じゃな」
戦士「ふひひ…、オイラ、オイラ…、今回はふたなりで攻めてみた…ふひい」
勇者「ふふ…、みんなやるじゃあないか…、それじゃあ、今回はだれが一番自分の同人誌を売れるか勝負と行こうじゃないかっ」
武道家「おう、望むところだぜっ」
ざっ
勇者「ふ、どうやら最初の客が来たようだなっ、いらっしゃいませー!」
魔王(♀)「………」
勇者一行「!!??」
勇者「え、ちょ……まじ、まじで?」
武道家「おいおいおいおいおい……」
魔法使い「な、なんということじゃ」
戦士「ふ、ふひいい!」
魔王(♀)「そろいもそろってアホづらして…どうやら驚きを隠せないよう…」
勇者「も、もしかして魔王のレイヤーさんですかっ!やっべ、すっごい似てますねっ」
武道家「しゃ、写真とらせてもらっていいですかっ!」
魔王(♀)「ええ……?」
パシャ!パシャ!
魔法使い「カメラ持ってきてよかったわいっ!魔王にも似とるが、うちの孫そっくりじゃなっ、ひひっ」
戦士「ふひひっ、エッッッ!エッッッ!」
魔王(♀)「……………」
勇者「いやあすみませんね、うちの仲間が…、なんか顔色すぐれませんけど大丈夫? あっよかったら、これ1部どうですか?僕が書いたんですけど」
勇者「イチャイチャ魔王退治2ってタイトルなんです。よかったら」
魔王(♀)「………」
魔王(♀)「そうね……、まあ、正直もうあきれ果てて、とりわけ欲しくもないけど………、一応来たことだし、………もらっとくわ」
勇者「そうですか、ありがとうございま」
魔王(♀)「お前ら4人の命」
勇者「え?」
ぐっしゃああ!!
………
側近「あれから勇者一行、教会で蘇生はされたみたいですけど……、魔王様への恐怖で同人誌は描いてない模様です」
魔王(♀)「ああそう……、まあ、あんなセクハラ同然の本、次描いて売りにだしたらもっとひどい方法でぶっ殺してやるわ」
側近「ってあれ……、さっきから何描いてるんですか?」
魔王(♀)「え、あっ、ちょ、ちょっと見ないでよっ!」
側近「ええ……、それまさか」
魔王(♀)「ふん………、まあ、ばれちゃ仕方ないわ。人間どもの戯れにちょっと付き合ってあげようと思ってね、わたしも描いてるのよその同人誌ってやつを……」
側近「ええ……」
側近「内容は…、なんですかこれ。先代魔王を題材にした伝記ですかこれ…? けどこれって同人誌とはちょっと違うんじゃあ」
魔王(♀)「馬鹿ね、最後のほうにちゃんとイラストと四コマとかを入れるわよ。わたしも小さいころ、四天王やってた頃にお絵かきならやったことあるしね」
側近「(うわあ、やっべ。くそ下手やん……)」
側近「Gペンとか使ってなにイキッてんだろ……、困るなあ糞素人が」ぼそ
魔王(♀)「あ、お前いまなんか言った?……まあ、いいわ。これを完成させて次のコミケで売るわよ、お前も売り子で来なさい」
側近「ええ…?」
側近「うそお、クッソ恥ずかしいですわそんなん…、知り合いとかにあったらつらいわまじで」
魔王(♀)「あ?おまえいまなんか言った?」
側近「いえ、別に……」
魔王(♀)「さあ、締め切りまであとがないし、追い込むわよっ!」
側近「(まあ、どうせ売れないだろうな…)」
魔王(♀)が描いた同人誌は、冬コミで鉢あった勇者一行に無理やり1部ずつ売りつけて4部売れた。
おわり