1 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:08:44.89 t4OY+IrUO 1/32


今日、俺は懐かしい場所へと来ていた。もう、何年も帰って来ていない故郷の

「………ただいま」

実家では、相変わらず人の顔を覚えないバカ犬が門番をしていた

「どうしたの?元気ないね。向こうでの生活に疲れちゃった?」

そして、実家の隣には………俺の初恋相手の家が今も変わらずあった

「ん………この町はいつ来ても変わらないよな」

実家に荷物を置いた俺は、初恋の相手との思い出の場所へ来ていた

「そうね。昔からなぁ~んにも変わらないね」

海の見える小高い丘へ。彼女に会い、約束を果たす為に………



2 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:10:28.49 t4OY+IrUO 2/32


「五月蝿く蝉が鳴く山があって、潜ればサザエや鮑が沢山捕れる海があって………」

「ふふっ。都会と違って、人も慌ただしくないしね。男がこっち出て、もう何年だろ?」

「………本当、昔を思い出すよ」

「ふふふ。まだ昔を思い出して懐かしむほど、そんなに歳は取ってないつもりだけど?」

「………約束を……お前との約束を思い出してさ」

「そか。私との約束………覚えててくれたんだ」

「……まあ、思い出したってのは嘘で、ずっと覚えてはいたんだが」

「ふふふ、そっか……なんか嬉しいな!!」


3 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:15:26.04 t4OY+IrUO 3/32


そう、あれはもう二十年も昔。まだ俺が何も知らないバカな小学生で………

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「おい!早く行こうぜ!!」

男友「おー!!今日はどうする!?」

「あ、男ちゃん待ってよ~!!!」

「ついてくんなブス!!」

「ブ、ブスじゃないもん!!!」


4 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:20:41.68 t4OY+IrUO 4/32


「うっせえ!!家が隣同士ってだけで、ついてくんな!!男はなカッコ悪くて女なんかと遊べるか!!」

男友「そうだそうだ!!トロい女は帰れ!!」

「ひどーーい!!!絶対着いてくんだから!!!」

「や~だね~!!!行こうぜ!!」

男友「おう!!いつもの秘密基地か?」

「だな!!どっちが早く着くか競争な!!よーいドン!!」

男友「あ、いきなりとかきたねえ!!絶対負けねえぞ!!」

「ま、待って~~!!二人とも早いよ~~!!」

「ま……待ってよ~………ぐすっ」


6 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:25:26.39 t4OY+IrUO 5/32



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「あの後……大変だったな。お前が迷子になって……夜になっても見つからなくてさ」

「ふふ。そうそう!懐かしいな~」

「親達が必死になって探して、けど、結局見つけたのは俺でさ。まさか、あの滝の裏の秘密基地にいるとは思わなかったよ。よく分かったよな」

「へへーん、凄いでしょ!苦労して探したんだから!って、まぁ、迷子になってたら、偶然見つけただけなんだけどね」


7 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:29:54.60 t4OY+IrUO 6/32


「本当……男ちゃんが見つけてくれた時、凄く嬉しかった」

「あの時……泣きながら秘密基地にいたお前を見つけた時さ」

「うん」

「まぁ、お前を守れるのは俺だけなんだって。ガキの癖に……いや、ガキだからこそ、そう思えたのかな」

「ふふふ、そっかそっか」

「で、思わず、これからはずっと俺が守ってやる!!とか恥ずかしい事言ったりしてな」

「男ちゃんからの、最初のプロポーズだよねwww」

「………」


9 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:32:32.04 t4OY+IrUO 7/32


「その言葉を聞いてさ。私も男ちゃんに、ずっとって事は、私をお嫁さんにしてくれるの?とか聞いちゃってwww」

「お前にさ、お嫁さんにしてとか言われて、よく分からずにOKの返事したらさ。お前……すごい喜んでキスしてきたっけな」

「私のファーストキスだったんだぞ♪」

「俺にとっての初めてのキスだったが……不思議と、嫌な気はしなかったな」

「そっかそっか♪」


10 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:36:55.42 t4OY+IrUO 8/32


「それから何年かしてさ。俺達が中一になった頃………」

「うん」

「ちょうどGWに入った頃だよな」

「……中一の…GW……」

「あの頃からだよな、お前の態度がおかしくなりだしたのは」

「…………」


12 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:41:18.18 t4OY+IrUO 9/32


「それまではさ、相も変わらず、どこへ行くにも一緒でさ」

「そう……だったね」

「最初のうちは友達なんかにも冷やかされたりしたけど、俺とお前が一緒にいるのが当たり前になっててさ」

「うん。その頃には、誰も冷やかしたりしなくなってたね」

「だからさ、あの時のお前の態度……かなり傷ついたんだぞ?」

「………」

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15 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:49:05.78 t4OY+IrUO 10/32


「男ちゃん、起きて~!!」

「も、もうちょっと寝かせて……」

「だぁ~め!!今日は図書館で一緒に勉強するって約束でしょ!!」

「え~……明日でいいじゃん……」

「ダメです~!休みが終わったらすぐに中間テストなんだよ!!」

「テスト………」

「テストで良い点とらないと、付き合っちゃダメってうちのお父さんに言われたの忘れたの!!??」

「そ、そうだった!!起きる起きる!!」ガバッ

「きゃあ!!」


17 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:53:36.87 t4OY+IrUO 11/32


「ななな、何て格好で寝てるのよ!!」

「ん?寝る時はいつもTシャツにトランクスだろ」

「もう!!レディーの前で……とにかく、早くズボン履きなさいよ!!」

「はいはいwwwって、女興奮し過ぎwwww鼻血出てるぞwww」

「え?あ……本当だ……」

「俺のパンツ姿に欲情したかwwww」

「バ、バカ!!そんな訳あるはずないでしょ!!とにかく着替えなさい!!」

「はいはいwwww」


18 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:55:20.53 t4OY+IrUO 12/32



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「その次の日からだよな。妙にお前がよそよそしい態度をとりだしたのは」

「………」

「俺、悩んだんだぞ?何か怒らせる事したんじゃないかって」

「……ごめんね?」

「まぁ、今となってはな………」

「…………」


19 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 17:59:50.32 t4OY+IrUO 13/32


「でさ、GWが明けた頃、突然お前から別れ話されてさ」

「………うん」

「頭の中真っ白になったよ。自分の言いたい事だけ言って、家に引きこもるんだもん」

「………ごめん」

「それからまた付き合いだすまでの一ヶ月、必死にお前を説得してさ」

「うん」

「必ずお前を幸せにするからとか青臭い事まで言ったっけ」

「ふふ。そうだね」

「俺と付き合ってる時、お前は幸せだったか?俺はお前を幸せに出来てたか?」

「うん!もちろん!!付き合ってる時も……そして今でも、私は男ちゃんに幸せにしてもらってるよ!!」

「…………」


21 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:01:51.29 t4OY+IrUO 14/32


「ふぅ………それにしても暑いな」

「そりゃ夏ですから♪」

「夏……なんだよな」

「………うん」

「あの日も……こんな暑い夏の日だったな……」

「うん………」

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26 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:04:56.33 t4OY+IrUO 15/32


「男ちゃん、今日はどうする?高校受験控えてるけど、たまには息抜きする?」

「え!?珍しいな女がそんな事言うなんて!!」

「だぁ~って、暑すぎるんだもん!!こんなんじゃ勉強できないし!!」

「まぁ、確かに………」

「ね、プール行こう、プール!!」

「今から?」

「もちろん!!はい、決定~www」

「はあ………まったく」


27 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:09:11.24 t4OY+IrUO 16/32


「おっす!風邪引いたんだって?おばさんから聞いたぞwww」

「へへへ……うっかりねwww」

「昨日、ずーっとプールに入ってたから身体冷やしたんだろwww」

「しかも、帰りにアイスだジュースだと散々人に奢らせて!罰が当たったんだwww」

「う、うっさい!うっさいうっさい!!大切な彼女が風邪引いたってのに、バカにしに来た訳!?なら帰ってよ!!シッシッ」

「あははwwwゴメンゴメンwww」


28 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:10:16.60 t4OY+IrUO 17/32


「ほら、お見舞いwww女の大好きな桃………の缶詰だけどwww」

「うわぁ~!!ありがとう!!!」

「食べるか?」

「うん!!!」

「風邪引いてるくせに、食欲だけはあるんだな………」

「う、うっさい!!」

「じゃ、おばさんに言って缶詰開けてもらうから待ってろ」

「は~い♪」


29 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:14:18.10 t4OY+IrUO 18/32


「ほら、おばさんに言って開けてもらったから。食え」

「あ~ん」

「自分で食え!!」

「私は病人なの!!早く食べさせて!!あ~~ん」

「まったく………ほら、あ~ん」

「ん……おいひい♪」

「それは何より」

「次~!あ~ん♪」

「はいはい………」


30 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:18:58.24 t4OY+IrUO 19/32


「おーっすwww」

「あ……お、男……ちゃん……」

「ビックリしたぞ、急に入院するからwww」

「うん……ごめんね?」

「別に謝る事じゃないよwww」

「うん………あ、今起きるね……」コホッ

「ああ、いいよいいよ!横になってる方が楽ならそのままで!」

「うん……ありがとう」コホッ


31 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:22:36.42 t4OY+IrUO 20/32


「あれ?女、腕に青痣があるぞ?」

「え!?」ササッ

「ま~た何処かにぶつけたんだろwww女は昔っからトロいからなwww」

「う、うん、そうそう!私ってドジだからwww」

「気をつけろよ?www」

「は~い♪」


32 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:25:49.10 t4OY+IrUO 21/32


「そだ!ほい、お見舞いの桃缶www」

「あ~桃缶!!ありがと~!!」

「食べさせてやるから、食べるか?」

「う~ん……さっきご飯食べたばかりでお腹空いてないからいいやwww」

「そか。じゃ、ここに置いておくから。後で食べろよ」

「うん♪」


34 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:28:22.41 t4OY+IrUO 22/32


「それにしても暑いな。クーラー効いてないのか?病院のくせに!!」

「ま、夏ですからwww」

「だな。夏だから仕方ないか!夏休みが終わったら、あっという間に高校受験だな。今のうちに勉強して、少しでも周りに差をつけないとな!」

「………うん」

「まぁ、入院してても勉強はできるし、大丈夫か。そういや、女は何で入院したんだ?」

「えっと……それは……あ!そうだ!!この前女友ちゃんがお見舞いに来てくれてね!!」

「おお!」

「旦那とは相変わらずラブ×2?とか言われてwww」

「ちゃんとラブ×2だって言っといた?」

「ふふふ、もちろんwww」


36 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:32:26.08 t4OY+IrUO 23/32


「おーっす!今日もお見舞いに……え……?お、女……?」

「あはっ……男ちゃんだ……」

「な、何だよこれ?どういう事だよ!?女……やつれて……」

「へへへ……ちょっと具合悪くなっちゃって……あのね、男ちゃん。実は私、2年前から白血病になっちゃってて……」

「白血病??何それ……」

「病気にね……弱い身体になっちゃうんだ……」

「病気に…弱い身体……?」

「この前のプールで風邪ひいちゃって……そのまま肺炎に……ゲホゲホ」

「む、無理にしゃべらなくていいから!!」


37 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:33:47.32 t4OY+IrUO 24/32


「ううん、ダメ。今言っておかないと……多分、私明日には……」

「な、何言ってんだよ!!」

「男ちゃん………私からの最後のお願い……」

「何だよ最後って!!ふざけんなよ!!聞きたくねぇよ!!」

「お願い……聞いて……ゴホッゴホッ」

「わ、わかったから!話聞くから!!もうしゃべるなよ……」

「ふふふ……言ってる事矛盾してるよ……」


42 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:37:42.63 t4OY+IrUO 25/32


「あのね、私の事は忘れて……?」

「何言ってんだよ……忘れる訳ないだろ!!」

「だよね……うん、やっぱり今のは無し……私だって忘れられちゃうの嫌だもん……」

「あのさ、そんな事より、どうしたら女が良くなるか……」

「それは……もう無理だよ……私にはわかる……」

「でもさ……」

「男ちゃん……私との最後の約束……お願い、私の事……忘れないで……?」

「もしこの先……男ちゃんに好きな人が出来てもさ……」

「何言ってんだよ!俺が好きなのは女だけだよ!!」

「ふふ………ありがとう……」


43 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:40:00.99 t4OY+IrUO 26/32


「それと………もし、男ちゃんが……いい人見つけて……結婚する時はさ……ちゃんと私に……紹介してね……?」

「なら!!早く元気になれよ!!そしたら自分で鏡見ればいいだろ!?」

「ふふふ……また男ちゃんにプロポーズされちゃった……嬉しいな」

「何度だってプロポーズするから!!元気になれよ!!また一緒に笑おうよ!!」

「男ちゃん………愛してる………」


~~
~~~
~~~~
~~~~~


46 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:44:31.62 t4OY+IrUO 27/32


「お前が逝ってから十年とちょっと」

「…………」

「グダグダと生きて来たけどさ。俺にも、守ってやりたい彼女が出来た」

「………そっか」

「今度、その彼女と結婚する事になった。それで、お前との最後の約束を果たしにきた」

「………おめでとう!!」

「お前の代わりって訳じゃないけどさ。彼女を幸せにしてみせるよ」

「うん!きっと男ちゃんなら幸せにできるよ!!で、その彼女ってのはどこかな?もし、変な女だったら、どんな事してでも別れさせてやるんだからwww」

彼女「男くん!!」


47 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:46:39.47 t4OY+IrUO 28/32


「へ~……なかなか美人じゃない。私程じゃないけど」

彼女「お話は終わったかな?」

「ああ。待たせてごめんな」

「てか、何となく私に似てない??」

「女。これが今度結婚する彼女だ」

彼女「これとは何よこれとは!!………はじめまして女さん。彼女っていいます。お話は男くんからよく聞いてます」

「どうせろくでもない話でしょうけど……」


48 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:47:18.35 t4OY+IrUO 29/32


彼女「今度、私達、結婚する事になりました。今日は、そのご報告とお許しをいただきに参りました」

「ダメ!男ちゃんは私のものなんだから!!絶対に許さない!!」

彼女「男くんと初めて会った時から男くんの心の中には女さんがいて」

「当たり前じゃない!だって私達愛し合ってるんだもん!!」

彼女「私、そんな男くんを好きになって……けど、なかなか振り向いてくれなくて……」

「当然よ」

彼女「何とか付き合えるようになっても、男くんの心は女さんでいっぱいで………どんなに頑張っても女さんには勝てないみたいで……」

「当たり前ね」


51 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:51:25.34 t4OY+IrUO 30/32


彼女「私、気がついたんです。亡くなった方にはどんな事をしても勝てないって」

「…………」

彼女「だから、それならいっそ、男くんだけじゃなく、男くんの中にいる女さんも愛しちゃおうって」

「な……!?」

彼女「だから!女さんもひっくるめて、男くんをもらいます!!ふふふw」

「ななな、何言ってるの!?」

彼女「これからも……よろしくお願いしますね!」

「…………ふん」


52 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:52:32.95 t4OY+IrUO 31/32


「さて。女との約束も果たしたし。戻るとするか」

彼女「はい!」

「あ………」

彼女「どうしたの?」

「ちょっと忘れた事が!先に車に戻ってて」

彼女「うん」

「………お見舞い……じゃなくてお供えだな。もし、あの世に行ったら……また食べさせてやるからな」コトッ

「じゃ、また来るよ」

「…………バーカ。私が好きなのは、桃缶じゃなくて桃だっての……」

「…………幸せになってね、男ちゃん」


54 : 以下、名... - 2011/07/20(水) 18:53:53.36 t4OY+IrUO 32/32


~2年後~

オギャー オギャー

「う、産まれたか!?」

彼女「ふふっ。元気な女の子ですって」

「そ、そうか!!よくやった!よく頑張った!!」

彼女「名前はどうするの?パパさん♪」

「お、俺が……パパか///そうだな~……名前は……」

『今度は、娘として幸せにしてね、男ちゃん♪』

「え………?」

彼女「どうしたの?」

「………いや、何でもない。そうだな、この子の名前は……」

~おしまい


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