1 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 14:46:39.90 rgukCDDK0 1/204


「ちがうよーおしっこガンマン大会だよー」

「え? だから我慢でしょ? 私トイレ近いのでそういうのは……」

「もうー、わからないかなー」

「つまりはね、こういうことだよ!」

チャキ

「み、水鉄砲……はっ、まさか!?」

「ばーん!」

ピョロロロロロ ジョボジョボ

「……つめたっ!」

「はい! あずにゃんは死にました!」

「……なに……これ」

「私はおしっこガンマンだよ!」

「ふ、ふああああああああ!!!」




元スレ
梓「おしっこ我慢大会ですか……」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1304833599/

7 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 14:50:25.72 rgukCDDK0 2/204


ガチャ

「お、やってるなー」

「梓もやろうよ! おしっこシューター」

「え、おしっこシューター?」

「おしっこシューターもってないの?」

「えー、しらないの~?」

「はっ、まさか! それって!」

「おしっこシューターはおしっこシューターだよねーりっちゃん」

「そりゃ知ってるよなー」

「はいです! 全国で女子高生を中心とした一大ブームを巻き起こしてるというあのおしっこシューターですか!」

「あぁ、タカラ◯ミーから好評発売中だ」




14 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 14:54:38.83 rgukCDDK0 3/204


「へぇ……実は初めて見るんですよね。わぁ、おもしろそうです」

「楽しいわよ~?」

「あずにゃんもやろうよ!」

「で、どうやって使うんですかコレ?」

「ほら、上についた給水口あるでしょ? ここから自分のおしっこを補充するんだよ」ヌギヌギ

「みてて……んっ、こうやってアソコをあてがって…………ふあ……」

チョロロロロロ ジョボボボボ……

「お、今日の唯のおしっこは綺麗だなー」

「まさに黄金銃だな。強そうだ」

「へっへー、これで負けなしだよー」シャキン

「唯ちゃんかっこいい!」

「ばーん!」

「きゃー、つめたーい♪」


「なるほど……構造はふつうの水鉄砲と同じなんですね、ふむふむ」



17 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 14:59:00.83 rgukCDDK0 4/204


「興味でた?」

「はい。やってみたいです」

「でも梓ちゃんの分のシューターがないわ……」

「うーん、どうしようか」

「あ、じゃあ私帰りにあずにゃんと買いにいくよ。私のシューターのメンテも兼ねてね」

「そうだな。梓お金あるか?」

「あ、はい。どれくらいあれば買えますか?」

「一番安いので1000円ちょっとだから大丈夫大丈夫」

「シューター選びは先輩にまかせなさい! ふんす」

「それじゃあお願いします!」





24 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:05:42.66 rgukCDDK0 5/204


「でも売ってるかなぁ。いまとくに人気絶頂だし」

「確かになー」

「私の家からも余ってるのもってきてもいいけど」

「大丈夫大丈夫。私の知り合いのお店には置いてあるから」

「そうか、よかった」

「楽しみです♪」


「……」ニヤッ

「……クク」

「……フフ」

「えへへ~♪」


「~♪」


28 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:10:33.58 rgukCDDK0 6/204



【ホビーショップ一文字】


とみ「あら唯ちゃん、またきたの?」

「あ、おばあちゃーん!」

「どもです。ご無沙汰してます」

とみ「おやおや、あずにゃんさんも一緒なのかい」

「今日はあずにゃんのシューターを買いに来たんだー。あと私のシュー太のメンテも!」

とみ「それじゃあ預かるからねぇ」

「うん」

とみ「シューター選びはあずにゃんさんがするのかい?」

「あー……でもよくわからないので」

「私があずにゃんに合ったシューターを選んであげるよ」

とみ「なら心配ないねぇ」

「あずにゃん! おしっこシューターのコーナーはこっちだよ! きてきて!」

「へー、いろんなのが置いてあるんですねー」キョロキョロ


29 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:17:23.05 rgukCDDK0 7/204



「これがスタンダードモデルだよ。安くて使いやすいから人気!」

「唯先輩がもってるのとおんなじですね」

「私のはこっから少しだけカスタムしてるけどね」

「でもね。本気でやるならこういったすでに出来上がったフルスペックシューターを買うよりも」

「自分でパーツごとに選んで組み立てたほうがいいんだよ」

「え?」

「ほら、パーツがならんでるでしょ?」

「フレーム、グリップ、マガジン、サプレッサー、リアサイト、フロントサイト、セイフティー、トリガー、バレル」

「それにチャージシリンダー等の周辺パーツも充実してるからね」

「……?」

「まぁ、おいおいわかるようになるよ」

「……なんか、難しそうです」

「澪ちゃんなんてオタクだからパーツごとにオーダーメイドしちゃうんだって!」

「お金かかりそうですね」


31 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:25:03.66 rgukCDDK0 8/204



「あずにゃんは手もちっこいし力もないから、やっぱりスタンダードモデルかなぁ」

「とりあえず普通のでいいです」

「決まりだね。おばあちゃーん! これ試射していいー!!?」

とみ「はいはい、そんなおっきな声ださなくても聞こえてるよ唯ちゃん」

「じゃああずにゃん行こ!」

「試し撃ちできるんですか?」

「うん! 地下にあるんだよ」

「へぇ」


【試射室】

「なんか本格的なんですね……こういう部屋テレビでみたことあります」

「向こう30M先の的を狙うんだよ」

「遠くないですか? まずこんな水鉄砲じゃそこまで……」

「のんのん」

「まずはおしっこを補給するよ」



34 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:34:21.83 rgukCDDK0 9/204



 再び唯先輩がパンツをおろして試射用シューターの給水口に秘部をあてがう。

 その後チョロチョロという水音と共に中のシリンダーが満たされていく様子が見える。


「さっきだしたからあんまりでないや。まぁいっか♪」

「じゃあみててね」

「チャキン!」

「セイフティー解除!」


 セイフティーを外すカチャリという小さな音。そして、とたん唯先輩の表情が一変した。

 いつものゆるさなどかけらも残っていない。鋭い目付き、すこし歪んだ口元。

 ライブ演奏のときとはまたなにか違う、ただならぬ気配を彼女は纏う。

 その時私は直感的に理解した。彼女は、平沢唯はただの女子高生ではないと。


「ばーん!」

 掛け声とともに唯先輩がトリガーをひいた。

 そしてその後の光景に、私は絶句するのだった。


35 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:41:27.18 rgukCDDK0 10/204



 銃口から放たれた黄金の水の塊は、私が部室で浴びたのとは比べ物にならないほどの勢いで宙を駆ける。

 それはほとんど一瞬の出来事だった。

 なにが起きたのかわからない。

 遠くからバスリという紙の破ける音がした。
 

「……あずにゃん、びっくりするのはわかるけどこっちばっか見てないで、ちゃんと的をみてよ」

「へっ? あ、はい……」

 視線をターゲットへと移す。


「!」

「ね? おもしろいでしょ?」

 
 そこにあったのは大きな穴があき無残な姿へと変貌したターゲット。
 
 おしっこの臭いが鼻孔をくすぐる。
 

「おしっこシューターは、パワーをセーブしなかったら鉄砲みたいな威力になるんだよ~」
 


36 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:45:16.27 rgukCDDK0 11/204



「す、すごいです!」

「でしょ?」

「かっこよかったです!」

「でしょ?」

「私にもできますか?」

「うん。はい、次はあずにゃんの番」

「わぁ……」

 唯先輩からシューターを渡される。

 中におしっこが入っているため、ズシリとした重さが手に伝わってくる。

 いよいよだ。

「これ……ほんとに撃っちゃっていいんですか?」

「うん、けど的にむかってだよ!」

「はいです」

「じゃあ両手でしっかり握って~、シューターを目の高さまでもってきて~」


38 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:52:33.28 rgukCDDK0 12/204



「……」ブルブル

「怖くないよ。トリガーを引く瞬間はすっごくきもちいんだから」

「でも……」

「じゃあ私も一緒に握ってあげる。それなら安心でしょ?」

「……はい、お願いします」


 唯先輩の手をが私の手の上に覆いかぶさってくる。
 
 とてもやわらかくて温かい……


「えへー、あずにゃんとの初めての共同作業~」

「ち、近いです」

「ほら。しっかり前みて! いくよ!」

「はい!」



 深呼吸をした後に、トリガーにかけた人差し指におもいっきり力を込めた。激しい反動が体を揺さぶる。

 それが、私の人生を狂わせた、はじめてのショットだった……


42 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 15:59:04.43 rgukCDDK0 13/204



30分後 【店内】

「すごいですすごいです!」

「もー、あずにゃんはしゃぎすぎー!」

とみ「おやおや、終わったのかい?」

「うん! あずにゃんったらすごいよ! はじめてで的のド真ん中ぶち抜いたんだから!」

とみ「へぇ、それは才能豊かだねぇ……」

「いやー、それほどでもないです、えへへへ」

「ううん! 謙遜しなくてもいいよ! ほんとにすごいことなんだから」

「にしても楽しいもんですね! ちょっとおしっこ臭くなっちゃうのが難点ですけど」

「それがいいんじゃん。ショットのあとにあたりにただようアンモニア臭は生を実感させてくれるよ」

「そんなもんですかね」

とみ「どれにするかきめたかい?」

「あ、えっと。いま試射室でつかったのとおなじモデルを……」

とみ「はいありがとね。お代は1260円」

「んーっと。あったかな……ありました! お釣りください」チャリチャリ


45 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:06:13.14 rgukCDDK0 14/204



とみ「お買い上げありがとうねぇ」

「おばあちゃんはメンテナンスもしてくれるから、なにかあったらここに持ってくるといいよ!」

「はい!」

「あ、それでおばあちゃん私のシュー太は?」

とみ「あーはいはぃ、できてるよ。いつもの調整で良かったんでしょ唯ちゃんは」

「うんありがと! わーいシュー太ー綺麗になってよかったねー」スリスリ

とみ「バレルの痛みがすごかったんだけど、唯ちゃん無茶なつかいかたしてないかい?」

「そうでもないよ?」

とみ「そうかい、ならいいんだけど……それと……」

「?」

とみ「唯ちゃん、よければあずにゃんさんも」

「?」

とみ「ほら、このポスターみてちょうだい」


「……あぁ、おしっこガンマン大会のエントリー! 今日あずにゃんに言おうとしてたやつだ!」


48 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:15:39.23 rgukCDDK0 15/204



「大会の日時は来月頭ですか」

「場所はウチの高校だよ! ポスターはってあったよ!」

「ほんとだ……全然興味なかったんで知りませんでした」

「参加しようよ!」

「でも……どんな競技があるんでしょう。的当て?」

「さぁ」

とみ「参加するかい? エントリー数にも限りがあるみたいなのよ」

「うーん……でも私まだはじめたばっかですし……」

「記念参加でもいいじゃん!」

「そうですね」

「はーい、ってことで参加しまーす!」

「がんばって練習します」

「私と特訓する?」

「とりあえず最初は一人で試行錯誤しながらやってみます」

「そか」


51 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:21:45.68 rgukCDDK0 16/204



【公園】


「ここなら広いし練習できそう」

「まずは補給だね。おしっこしなくちゃ」スルスル

「えっと、ここにあてがって……」

「んっ……あ……でちゃう……」

チョボボボボボ ジョロロロ

「ん……」

「あ、ちょっと溢れちゃった、あわわどうしよ。手にかかっちゃう」

「そいや唯先輩がいってたな。出しすぎるとおもったら予備弾倉にストックすればいいって」

「ん……ちょろちょろっとね。あは、いい感じだ」


 「ママーあの人公園でおしっこしてるー」

 「しっ、見ちゃいけません///」


「……」



53 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:27:19.61 rgukCDDK0 17/204



「いいや、気にしない気にしない。子供のおもちゃとは違うんだから」

「んーなんか的になるものないかなー」キョロキョロ

「よし、あの木にしようかな」

「……しっかり目標を見据えて……両腕を安定」

「い、いくぞー……」

「発射ぁ!」カチッ


ピョロロロ……


「あ、あれれ……どうして」

「なんで勢いよくでないんだろう」

「どこか壊れた? んー、銃口になんかつまってるとか?」ジー

ピュルッ ピュー

「うにゃあああっ、顔にー」アタフタ

「ひいいいっ臭いよー」



57 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:31:23.31 rgukCDDK0 18/204



「あはは、あんた何してんの」

「!」フキフキ

「梓ももってるんだ?」

「じゅ、純!!! みてたの!?」

「へー、スタンダードモデルねー……ぷぷ。素人臭」

「な、なによぅ」

「いやー、初々しいなーとおもってさ。てか銃口のぞくとか……ぷぷぷー」

「純もやってるんだよね? おしっこシューター」

「当然じゃん。ていうかいまから始めるとか梓遅れすぎ」

「……むう」

「あ! ってことは私のこともしらないんだ?」

「え?」

「ふふ……この鈴木純様のことをしらないなんて」

「えっ、えっっ」



64 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:37:35.65 rgukCDDK0 19/204



「シューターハンターの純様と出会った不幸を呪いな」

「は?」

少女「しらないの? 純お姉ちゃんはこの辺一帯を仕切る才能あるおしっこガンマンなんだよ」

少女2「お姉ちゃんとの勝負にまけたら容赦なくシューターをまき上げられちゃうの!」

少女3「シューターハンター、初心者キラー純様の異名は伊達じゃないよ!」

「誰!?」

「私の子分たちってとこかな」

「ってことは純ってすごいの?」

「うん、私に勝てるやつなんてこの辺りにはいないよ」

「……」

「さてと梓」

「!」

「買ったばかりで浮かれてるところ悪いけど、あんたのシューター。もらっちゃうから」

「!!」

「あんたにここでおしっこガンマンファイトを申し込む!」


68 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:42:37.06 rgukCDDK0 20/204



「おしっこガンマンファイト……?」

「ルールは多種多様。今回は私のきめたルールで戦ってもらおうかな」

「は?」

「だってここ私の支配下の公園だし」

少女「さすが純お姉ちゃん姑息!」

少女2「初心者相手にも容赦なし!」

「ほんとに負けたら巻き上げられちゃうの?」

「それがここでのルールだから」

「友達からも?」

「この世界に情けなんてないんだよ」

「……わかった」

「腹括ったようだね。じゃあルールを決めようか」

「うん」

「どうしよっかなー……あ、そうだ!」

「向こう50M先にある木みえる? あれに付いてる実をどちらがより多く撃ち落とすか」


70 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:47:59.72 rgukCDDK0 21/204



「え……ちっちゃくて見えないよ」

「ふふふ……なら当たるまで撃ちまくるしかないね」

「……」

「さて、おしっこを補給するよ」ヌギヌギ

ジョボボボボボボボボボwww

「うん……」ヌギヌギ

チョロロロロ…

「ふふ……」

(どうしよう……あんまりでなかった)

「あんたそんだけでいいの? それじゃせいぜい4、5発しか撃てないけど?」

「しかたないじゃん……でないもんはでないんだから」

「教えてあげる。いつどこでもおしっこができるように膀胱管理をするのもガンマンの仕事だよ」

「えっらそうに」

「さて、木の下で子分に落とした木の実をカウントさせるからあんたは私の横にならびな」

「……」


73 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 16:56:40.94 rgukCDDK0 22/204



(圧倒的実力の差に畏れ慄きな)

「さぁ! あの時計の針が三時をさしたら同時に開始」

「……わかった」イジイジ

「……セーフティは忘れずちゃぁんと外さなきゃだめだよ梓君……くくく」

「うるさいなー」

「……くるか」

「……」

 目をつぶって少しだけ集中。

 相変わらず心地の良いシューターの重さ。

 今回は試射室での30Mとは比べものにならないほどの距離だ。正直点にしか見えない。

 だけど、あたるわけなんてないと思いつつ、すこし気分は高揚している。不思議だなぁ。

 あぁ、私、たったこれだけですっかりシューターの虜になっちゃったんだ。

 待ち遠しい。このかたい引き金を早く弾きたい。あの反動をもう一度この手に……。


 そっと目を開く。視界の右端に映る大時計の針が午後三時を指し示した。
 


76 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:02:14.42 rgukCDDK0 23/204



「おっしゃー!! いけええ!!」

 ピュッピュッという音と共に、純のシューターから黄色い水弾がいくつか飛び出していく。

 それは風をかき分け、目標の木へと迷うことなくまっすぐに進んでいく。

 しかし、どれも目標に着弾はせずに、すんでの所でそれていったようだ。


「くっそー、やっぱ遠いかー」

「……」

「なにあんた。撃たないの? 舐めてる?」

「待って」

「セイフティーはずすの手こずってるとか? ぷぷ」

「違うってば」

「ならお先に私がたたき落としちゃうから!!」


 純はどんどん弾を撃ち放つ。しかしどれも当たっていないのだろう。

 子分の少女たちが頭の上で大きな×をつくっている。



80 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:09:03.74 rgukCDDK0 24/204



「キー! くやしー」

「……」

「はやくうちなよ。あんたどうしてじっと観てるだけなの」

「……集中、してるから」

「は?」

「風……もうちょっと、もうちょっとおさまれば」

「えっ……」

 
 まだ西から吹く風がやかましい。これでは弾は大きく左にそれ、木まで到達するのは難しいだろう。

 直感的だが、私にはそれがわかっていた。

 シューターを構えていると、妙に冷静になるのはなぜだろうか。

 全能感? 出会ったことのない得体のしれない感覚が、いまはまだ引き金をひくべきではないと教えてくれる。

 隣では純がやけになってカチカチカチカチと無駄撃ちを繰り返す。
  

 馬鹿だなぁ……。 


84 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:15:50.35 rgukCDDK0 25/204


「バンバン! バンバン!」

「あたれあたれー!」

「バンバンバンバン!」

カチッ カチッ

「あ、あれ……嘘、弾切れ!?」

「……純」

「チッ……でもね梓、あんたが当てない限りは私の負けではないんだよ! わっはっは!」

「……そうだね」

「ちょっと、人と話すときは顔をみろって習わなかった?」

「純……この勝負、私の勝ちかもしれない」

「は? まだ一発も撃ってないくせになにいってんの。気でも違った?」

「だって……風が……やんだから」


 瞬間、チャンスを見逃さずトリガーを引く。

 手に伝わる重たい反動。すこしだけ顔にしぶきがかかり不快だった。

 解き放たれた直径5センチにも満たないおしっこの弾丸は、静寂に包まれた公園を切り裂いてまっすぐ飛んでいく……。


88 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:21:14.69 rgukCDDK0 26/204


「なっ……!!」

「……いけ……」

「いけええ!!」

 木に着弾。葉が舞い散り、おおきく揺れる。

 その直後、遠くで少女たちが腕で大きな◯を描いた。


「……」

「……あたった」

「……ちょ、ちょっとまって梓!!」

「?」

「いまさ、弾が異常なほど収束してなかった!?」

「?」

「だってあんたのシリンダーの中! 空っぽじゃん! 4、5発分はあったようにみえたんだけど!!」

「……あぁ、そういえばそうだね。なんでだろ」


90 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:27:09.90 rgukCDDK0 27/204



「なんでだろって……ふ、ふつーのモデルだよねそれ!?」

「うん。1200円くらいで買ったよ」

「……そんなに威力がでるなんて……ありえない」

「で、勝ったわけだけど。約束通り一発あてたよ?」

「ま、まちなって! あんたずるしたでしょ!」

「してないよ」

「おかしいおかしいおかしい! 初心者が50Mも先の的あてれるわけないじゃん!」

「そんな勝負ふっかけるなんて純のほうがずるくない?」

「……」

「……」

「……敗者は勝者にシューターを渡す……これが私のルール」

「いらないよそんな臭いの」

「ちゃんと洗ってるし!」

「いらないってば……それよりさ」

「なんかいい特訓方法おしえてよ! 私今度のおしっこガンマン大会にでるんだぁ!」


93 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:32:39.96 rgukCDDK0 28/204



「嘘……でるの?」

「うん」

「……わかった。いまのあんたじゃおそらく勝ち進められない」

「だろうね」

「私が基本から叩き込んであげる。この純様が」

「うん、なんでもいいから知織がほしいな」

「でもね、並大抵のことじゃ大会参加なんて無理だよ」

「えっ?」

「……私は今年が初参加だけど、アレはどうも魔窟らしい……」

「そうなんだ。なんかお気軽射撃フェスティバルっぽいイメージだったんだけど」

「とりあえずまずは体力づくりから! はい、公園10周!」

「えー、もっと撃ちたいんだけど」

「おしっこないじゃん」

「……そうだった」

「一日に撃てる量なんてそうそう限られてるんだから無駄にしない様にね」


95 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:37:52.84 rgukCDDK0 29/204



その晩

「そういえばおしっこシューターの説明書よんでなかったな」

「なになに」

「……なるほど、おしっこの濃度や質、鮮度で威力が変わるんだ」

「だからがぶがぶ飲んでだした薄いおしっこじゃあんまり意味ないってことかぁ」

「じゃあこのストックしてるおしっこも数日したらゴミ弾になるってことね」


「シューターにはさまざまなタイプがあります」

「自分にあったシューターを使い、たのしいおしっこガンマンライフをお過ごしください」

「へぇ」

「そういや他の先輩たちもやってるんだよね」

「みんなうまいのかな」

「……」

(試射室の唯先輩かっこよかったなぁ……)

「っと、誘ってくれた唯先輩に恥かかさないためにもうまくならなきゃ!」


96 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:44:42.44 rgukCDDK0 30/204


「家でできることは弾道イメージトレーニングと膀胱管理、筋トレ、メンテナンスくらいかぁ」

「……集中集中」

「…………」

「……」

「……だめだ、シューターにちゃんとおしっこいれないとなんかやる気でない」

「でるかな……んっ……」

チョロッ……

「でたでた!」

「ってこんだけかー……」

「いいや……バーン!!」

ピュッ  バコン! 

「うわわわわわ、パソコンがふっとんだ!!!」


 『室内での仕様はお控えください』



おしっこガンマンあずにゃん 第一話:了


103 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:53:03.21 rgukCDDK0 31/204



第二話 『大会開幕』



「あれから一ヶ月弱、なんやかんやで私は鍛えまくった」

「おしっこに明け暮れる毎日」

「梓の成長は目を見張るもので、あっという間に私なんか相手にならなくなった」


「いや、純のおかげだよ! ありがとう!」

「いやいや、梓さんには敵わないッスよ」

「さて、いこうか! おしっこガンマン大会! 待ちに待った日がついにやってきた!」

「大丈夫。私たちならそこそこの線までいけるよ」

少女1「がんばってください梓さん」

「うん」

少女2「絶対勝ち進んでくださいね!」

「ありがとう。いい子分をもったもんだよ」


「ほら、いくよ」


107 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 17:57:52.32 rgukCDDK0 32/204



「と、その前によらなきゃだめなとこがあるの」

「ん?」

「先言ってて! 高校でまた会お」

「おっけー」



【ホビーショップ一文字】


とみ「いよいよこの日がきたねぇ……」

「はい!」

とみ「あずにゃんさんがシューターを手にとって一ヶ月。どうだい調子は?」

「楽しいです! 毎日充実してます!」

とみ「そうかい、そりゃよかったわよぉ」

「それで最後のメンテナンスと、念のため予備弾倉を買いに来たんですけど」

とみ「あら、唯ちゃんもさっきメンテナンスにきたのよ~」

「へぇ。負けてらんないです!」


108 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:03:36.53 rgukCDDK0 33/204



とみ「ところであずにゃんさん」

「はい?」

とみ「これの使い勝手はどうだい?」

「そうですね……いい感じかと、よく手に馴染みますし」

とみ「そうかいそうかい。ほかのタイプもすすめてみようかとおもったけどいらないお世話みたいだねぇ」

「どもです」

とみ「さてと、これでばっちり」

「ありがとうございます」

とみ「うちのお店からのエントリーだからがんばってね!」

「……! そ、そうですね! おばあさんの顔をたてるためにも勝ち進んでみせます!」

とみ「あずにゃんさんも唯ちゃんと一緒でいい子だねぇ」

「はは……照れますよ」


(……やるぞー! やってやるー! やってやるです!)





110 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:12:08.01 rgukCDDK0 34/204


【桜ヶ丘高校】


「爽やかな秋晴れ、なんとも良いおしっこガンマン大会日和ですね」

「みなさん昨日の晩はよく眠れたでしょうか?」

「今朝のおしっこはどうでしたか?」

「さぁ、それでは選手宣誓!」


「はい!」

「私たちは! おしっこガンマンシップにのっとり!

「正々堂々と戦い抜くことを!」

「誓います!」


「ではこれより第55回おしっこガンマン大会を開催いたします!」

ピュー!

 和先輩が壇上から空に向かってシューターを発砲した。

 それは涼しげな秋風にのり、私たち選手一同の頭上へとふりそそぎ、火照った体を冷やしてくれる。

 私は柄にもなく高揚していた。これから先にあんな地獄が待ち受けているともしらずに……。


116 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:17:36.07 rgukCDDK0 35/204




……


「あー、いたいた梓」

「あ、純!」

「ついにはじまったね」

「種目についての説明がないんだけど」

「それについては校内アナウンスで通達するらしいよ」

「ふーん。じゃあそれまでどうしよっかな」

「教室でダベってようよ」

「にしても参加者いっぱいいるね」

「うん。あ、そうだ、情報通の純様が手ごわい参加者の解説してあげるよ」

「べつに必要ないけど……」

「なーんでよー。どうせ時間あるんだからいいじゃん。あんたライバルの情報ほしくないの?」

「わかったわかった聞かせて聞かせてめんどくさいなぁもう」

「♪ じゃあまずはあそこに座ってお茶飲んでる金髪の人!」


119 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:26:20.24 rgukCDDK0 36/204



「ムギ先輩?」

「琴吹紬。通称『ゴールデンシューター』」

「?」

「みて、あの金ピカの装甲と右腕につけられた巨大なアームガトリング」

「うわぁ……あれもおしっこシューターなの?」

「形はかなり特異だけどね。一応認められてるみたい」

「なんかすごい金にものを言わしてるような……」

「見た目だけじゃなくて威力もすさまじいよ。発射速度毎分1200発なんだって!」

「ずるくない!?」

「その分おしっこの消費も早いし一発あたりの威力もたかがしれてるけどね」

「でも、あんなので射撃勝負したら勝てないよ」

「そんときは公平になるようにオーソドックスなのが支給されるんじゃないかな」

「ムギ先輩は要注意だな……」

「対戦相手にならないことを祈るしかないね」


124 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:32:57.97 rgukCDDK0 37/204



「次はあっちで談笑してる二人組」

「あっ! 律先輩と澪先輩!!」

「あの二人はヤバい」

「そうなんだ……」

「律先輩、田井中律。通称『早撃ち二丁拳銃の律』」

「ほんとだ二丁もってる」

「スピード勝負であの人に勝てるガンマンはなかなかいないよ」

「へぇ」

「他にもワープスピードとか、早撃ちカチューシャとかいろいろ異名があるみたい」

「律先輩ってすごいんだ……」

「去年公園のなわばり争いで一度戦ったことあるけど射撃の腕もかなりいいよ」

「ふーん、へぇー」

「……」

「次澪先輩ね」

「うん」


126 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:38:37.70 rgukCDDK0 38/204



「秋山澪。通称『孤高のスナイパー闇を照らす凶星』」

「なにそれ」

「ファンクラブの間ではそう呼ばれてるんだって」

「あー、たしかにおっきい銃もってるね。あれスナイパーシューターなんだ! はじめてみた!」

「うん! 実はね、昨年度の全国スナイパー大会での優勝者は澪先輩なんだよ」

「嘘! すごい!」

「その射撃精度はすさまじく、一度狙いをつけたターゲットは絶対に逃さないんだって」

「へぇー」

「澪先輩が打ち立てたシューターでの超長距離狙撃の記録1230Mはまだだれにもやぶられてないよ」

「かっこいいー」

「おそらく狙撃部門ではあの人がぶっちぎりだろうね」

「私が勝てる相手っているのかなぁ」



132 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:45:31.52 rgukCDDK0 39/204


「さて次は……ひらさ」


ピンポンパンポーン

「あ、放送だ。はじまるのかな」

 『……』ガサガサ

 『…………』ガサガサガサガサ


「?」


 『あ、えー……お集まりのみなさん』

 『ただいまより、おしっこガンマン大会の予選を開始します!』


「予選……? そんなの聞いてないけど」

「どうしたんだろ」


 『…………』 ガサガサ ガー

 『えーでは、まず予選の内容といたしまして』

 『校内のみなさんでつぶし合ってもらいます』


137 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 18:54:43.85 rgukCDDK0 40/204



「えっ」

「いまなんて……」

 『無事勝ち残った8名のみが本戦へと駒を進めることができます』

 『では、ご武運を』

 『なお、今大会における、負傷死傷においては大会運営委員会は一切の責任をとらないものと致します』


 放送が途絶えると同時に突如地鳴りがした。

 慌てて窓の外を見る。

 壮観だった……桜ヶ丘高校の周りを巨大な壁がせり上がり囲んでいく。

 私たちはすでに完全にここに閉じ込められたようだ。いつのまにあれを用意したのか検討もつかない。

 しかしこの異様な光景にほとんどの参加者たちは首をかしげている。

 その様子をみる限り、どうやらこれは恒例行事……というわけではなさそうだ。

 当然だ。だいたい全く意味がわからない。なぜ私たちがつぶしあわなければならないのか。

 つぶしあいとはどういう意味なのか。

 仮にこのシューターで直接撃ちあうのだとしたら……。
 


141 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 19:04:47.31 rgukCDDK0 41/204



「あ、梓……どうする?」

「わからない……とりあえずはまわりと距離をとって……」

「やばいって。絶対こんなのへんだって!」

「わかってる! けどもし直接うたれたら一溜まりもないんだから」

「いまはここを無事に脱出することを考えよ?」

「シューターで人を撃つなんて……そんなの本気でする人いるの?」

「……もし、この参加者500人超のここで撃ち合いがはじまったら……」



 一階からおぞましい金切声が鳴り響いた。

 それを皮切りに明らかに教室の空気が凍りついた。

 誰かが撃たれたんだ……。

 同じ教室にいる数名みんながそう思っただろう。

 
 
 


143 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 19:11:39.64 rgukCDDK0 42/204


「わ、私……みてくる!」

「だめ! 動かないほうが……」


 一階はどうなっているのだろう。だんだん悲鳴が大きくなってきた。

 おそらくもう始まっている。唯先輩たちは無事だろうか。


「わ、私は帰るからな! こんなところにいられるか!!」

「わたしも! 帰る!!」


 教室にいる私と純以外の参加者たちは、居ても立ってもいられないのか廊下へと勢い良く飛び出していってしまった。

 だがおそらく簡単に逃げられやしない……あの壁をよじ登ることは不可能だ。

 考えたくはないけど、脱出するには……やはり……。


「あずさ~~~」

「純……セイフティー解除」

「うそでしょ~~~」

「自分の身をまもるには、シューターだけが頼りだよ」


205 : 忍法帖【Lv=1,xxxP】 - 2011/05/08(日) 22:42:26.62 rgukCDDK0 43/204


「そ、そうだ! 澪先輩たちに守ってもらえば!」

「!」

「ほら、私ら仲いいしさ。さすがに後輩うったりはしないでしょ?」

「たしかに」

「さがしにいこう! ついでに憂と憂のお姉ちゃんも!」

「うん! 危険を犯してでも合流する価値はありそう」



その頃

【屋上】

「……」

「いやー絶景絶景! まさかこんなことになるなんてなーははは」

「笑い事か!」

「いやー悪い悪い。そんな怖い顔するなってー」

「いったいコレはなにがどうなってるんだ……」


209 : 忍法帖【Lv=1,xxxP】 - 2011/05/08(日) 22:50:13.55 rgukCDDK0 44/204



「校庭でもドンパチはじまってるな。うわ、どんどん倒れてく」

「あぁ……地獄絵図だ」

「さて、この状況は澪しゃんの得意分野じゃないの?」

「えっ」

「狙いたい放題じゃん! ほれババーンっと!」

「……」

「おそらく勝ち残らなきゃでられないんだぞ? ならやるしかないって」

「……」

「ここからなら反撃をうけることもなく一方的にやれる!」

「……だけど」

「澪。この大会、尋常じゃない自体になってることは気づいてるだろ?」

「……うん。わかってるよ」

「大丈夫大丈夫。弾あててもちゃんとパワーセーブすればたいした怪我はしないって」

「知ってる。ただのおしっこだもん」

「……8人。何としても残る」


210 : 忍法帖【Lv=1,xxxP】 - 2011/05/08(日) 22:56:29.52 rgukCDDK0 45/204



「律?」

「……私はさ、この大会の優勝賞金が絶対に必要なんだ」

「……聡か」

「大金があればあいつの足の手術ができる……」

「なんとしても、あいつにもう一度サッカーをやらしてやりたいんだっ!!」

「あぁ……私だって律に協力するさ……約束したもんな、うん」

「ありがと、澪」

「……観測手、たのめる? ここですこしでも数を減らしておこう」

「!! ありがと!」ダキッ

「き、気持ち悪い抱きつくなー!! それとお前はここに続く階段の警備もちゃんとするんだぞ!」

「わかったわかった。澪の背中はこの早撃ちカチューシャ様にまっかせなさい!」

「……ふふ」


……





214 : 忍法帖【Lv=1,xxxP】 - 2011/05/08(日) 23:02:39.51 rgukCDDK0 46/204



「どこにいるんだろう」タッタタタ

「梓~~~、まってよ~~」

「ここでも銃撃戦のあとが……あ、大丈夫ですか!」

参加者「 」

「くさっ」

「顔にあびて失神してるみたいだね」

「こんな臭いおしっこはじめて……」

「ね、ねぇ梓……なんか向こうから足音しない……?」

「えっ」

ガショーン ガショーン

「こ、こっち近づいてくる!!!」

ガショーン ガショーン

「あ、あの金ピカの装甲は!!!」

「……!!」


219 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:08:03.04 rgukCDDK0 47/204



 臭気の中からのろのろと現れた影。
 
 それはよく見慣れた金髪と、特徴的な眉毛の持ち主。

 まごう事無き、『ゴールデンシューター』のムギ先輩だった。


「あらあら、うふふ、梓ちゃんこんなところにいたのね」

「む、ムギ先輩!! ご無事でしたか!」

「うん!」

「……」

「いやー、よかったよかった。ホっとしました」

「これから一緒に行動しましょう! 三人いれば」

「まって梓!」

「!」

「…………」







221 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:14:49.86 rgukCDDK0 48/204



「……先輩ですよね?」

「……なにが?」

「じゅ、純どうしたの? はやく向こう行ってムギ先輩と合流……」

「ここにいる人たちをみんなやったのって……」

「!」

「……」

「え、む、ムギ先輩がここに倒れてる人たちをやったんですか!?」

「……だとしたら?」

「……同じように、私たちもやるんですよね?」

「……」

「な、ま、待ってよムギ先輩がそんなことするわけないじゃん!」

「じゃあ先輩の体中に付着した返り尿は何さ」

「……」

「ご丁寧にシューターを撃ちぬいて破壊してるんだよ!」

「それが手っ取り早いの。むしろそれしか無いわ」


224 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:22:35.15 rgukCDDK0 49/204



「だって、このガトリングで」

 ガシャリという音と共に、巨大なアームガトリングの銃口がこちらを向く。

 頭が真っ白になった。一体全体どういうわけなのか、理解が追いつかない。
 
 そしてそのままムギ先輩はとても悲しそうな目をして呟いた。


「殺しちゃうのは可哀想だから……」


 その言葉が届く前に私は純の裾をひきよせ、身を翻していた。

 直後、私たちがいた場所を通り過ぎる雨のようなおしっこの弾丸。

 ムギ先輩のガトリングが尿を吹いたのだ。 ……間一髪だった。
 
 動かなかったらそのまま全身おしっこまみれ、いや威力によってはあっという間に失神していたかもしれない。




226 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:26:59.19 rgukCDDK0 50/204




「ちょちょちょちょ! ぎゃあああ」

「ムギ先輩!! どうして!!」

 
 体とは裏腹に頭はいまだに冷静さを取り戻せないでいる。

 ムギ先輩は極めてのんびりした動作でこちらを見ると、再び巨大な銃口をつきつけた。


「くッ!!」

 
 純をつかんだまま、すぐ側の教室へと飛び込む。

 また間一髪のところで回避に成功。バサササという音が背後から聞こえてくる。

 床や壁がムギ先輩のアンモニア臭のキツイおしっこで染められたようだ。


「梓ちゃん、どうして逃げるの?」

「やめてください! 私たちは敵じゃないんです!」

「そうかしら? たった8人しか残れないのよ? なら出会った人から倒していくのはセオリーかと私は思うんだけど……」

「……こ、後輩なんですよ!!」


232 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:33:16.90 rgukCDDK0 51/204



「……先輩だとか、後輩だとか」


 ムギ先輩がぽわぽわした顔をしぼってこちらへ近づいてくる。


「おしっこガンマンの世界を舐めないほうがいいわ……!!」

「なっ」ゾクッ

「あへあへあへあへww」

「純! しっかりして! パ二クってる場合じゃない!!」


 抵抗しなくちゃ……いくらムギ先輩のといえど、他人の尿で全身を陵辱されるのは耐えられない。

 私は震える手でホルダーから銃を引きぬく。すでにセーフティは解除してある。

 やるしかない……やるしか!!


「梓ちゃん、震えてるわ。無理しないでいいのよ? さぁ、その銃を私に頂戴?」

「誰がッ!! 私は唯先輩とも約束したんです! 必ず勝ち残るって!!」

「私に勝てる気でいるのね……残念……」


233 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:41:39.88 rgukCDDK0 52/204



「!」

「……シューターを持ってまだ一ヶ月でしょ? 馬鹿にしてるわ」

「そ、それは……やってみないと」ガタガタ


 手の震えがおさまらない。

 人にシューターを向けるのがこんなに怖いことだとはおもわなかった。

 そんな私にムギ先輩は言葉でおいうちをかける。


「シリンダーは大丈夫? ストックはある? 銃身は? ちゃんと正面に構えてる?」

「う、うわああああっ」

 
 勢いに任せて発砲。

 いつも練習で撃ってるのとは違って、とても弱々しく小さな水の塊がムギ先輩向かって宙を舞う。


「……なにそれ」

  
  私の決意の弾丸は、虚しくも金ピカの装甲をまとった手の甲でパシリと軽くはじかれてしまったのだった。
 


235 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:49:58.29 rgukCDDK0 53/204



「やれやれね。でも梓ちゃん、これで覚悟ができたでしょ?」

「あっ……あっ……」

「梓……」

「撃っちゃった……私、撃っちゃった……」

「……撃っていいのは、撃たれる覚悟のある人だけよ!」


 三度目のインサイト。何度みても恐ろしい銃口だ。一体どれだけ弾があるのだろう。

 あぁ、もう追い詰められている、これ以上は逃れられない。


「お、おたすけぇ~!!」

「……くっ」




239 : 以下、名... - 2011/05/08(日) 23:53:15.81 rgukCDDK0 54/204



「大丈夫。苦しくないわ。ただちょっと臭くて気が遠くなるだけ」

「そんなの……耐えられないです!!」

「わがままね。でもダメよ。あなたはここにくるには力不足だった。ただそれだけ」


 ムギ先輩がニヤリとした表情を浮かべる。

 トリガーを引く気だ。

 何かいおうとした瞬間、眼前がわずかにフラッシュした。


「あっ」

「ひっ」


 言葉は出てこず、情けない声とともに反射的に目をつぶる……。


「……」

「……あれ?」

  
 二、三秒たった。しかし私に尿弾は降り注いでいない……。 これは……?


249 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:00:13.18 9OH5HvL40 55/204



「梓! 梓!! いつまで目ぇつぶってんの!」

「はっ!」

 
目を見開くと足もと数メートル手前が水びたしになっていた。

 尿だ。


「外した……? でもなんで!?」

「前前!」

「!」


 そこには私が会いたかった人。

 ふんわりとした栗色の髪をなびかせ、銃口をしっかりとムギ先輩につきつけた唯先輩の姿があった。


「やっほーあずにゃん。ぎりぎりせーーーふ!」

「唯先輩!!」

「唯ちゃん、どういうつもり。私のバレルに撃ちこんで狙いをずらすなんて」

「可愛い後輩をまもっただけだよ!」


252 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:06:41.96 9OH5HvL40 56/204



「……邪魔しないで?」

「のんのん。あずにゃんは私と同じ場所からのエントリーだからね。仲間も同然なのさ!」

「そう、唯ちゃん、残念だわぁ」

「唯先輩逃げて!!」

「ん? 逃げる~~? えへへ。あずにゃんこそ早く逃げなよ!」


「ちょっとここは戦場になるよ!」


 唯先輩はそう言い放つと容赦なく金色のおしっこの弾丸をムギ先輩にむかって何度も撃ち込んだ。

 ドピュンドピュンという重たい音が教室内に響き渡る。

 しかしムギ先輩はそれら全てを体中にまとった装甲でふせぎきり、すぐさま右腕の兵器ともいえるシューターで反撃する。

 唯先輩は軽やかな身のこなしでそれらを回避し、蹴飛ばして倒した机の後ろに逃げこむ。
 

 あっというまに狭い教室で銃撃戦がはじまった。





262 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:12:02.55 9OH5HvL40 57/204



「や、ヤバいヤバい! まきこまれる~~~~!!」

「で、でも唯先輩をおいては……」

「いいよ。私がムギちゃんをとめるから」

「うふふふふふ~」ババババババ

「んもう! 乱射しすぎ! どんだけおしっこあるの!」

「どうせ一発一発に威力はでないから、古いおしっことガトリングは相性がいいの~!」 

「!」

「もしかしてあの背負ってる箱にはおしっこがたくさんつまってるんですか!!?」

「……だね。アレ、貯尿タンクみたいなもんだよ」

「当たり~。これがガトリングと連結してるの。だからいちいちチャージもしなくてすむの~~」ババババババ

「ず、ずるいです!!」

「さすがだねムギちゃん!」

「ありがと~。さぁ、唯ちゃん、そんなとこに隠れてないででていらっしゃ~い」


265 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:16:00.28 9OH5HvL40 58/204



「うあわわわわあ」

「純は落ち着いて。私たちも反撃するよ!」

「でもこんなにおしっこが雨あられってるのにぃ!!」

「その隠れてる机もどんどん削れていくわよ~」ニコニコ

ババババババ ババババババ


「……このままじゃこっちがフリだね。よし、あずにゃん逃げないなら私に力を貸して!」

「えっ」

「わわわわ私もお手伝いしますうう」

「私が一瞬隙をつくりだす。だからその間にムギちゃんの顔を狙って撃って!」ヒソヒソ

「え~~~顔をですか!?」

「顔にはさすがに装甲まとってないからね! 正面からならそこしか狙うところないよ!」

「わ、わかりました!」

「はい!!」


271 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:21:34.24 9OH5HvL40 59/204



「こそこそしてないででていらっしゃい」

「みんなまとめてハチの巣にしてあげる~~♪」

ババババババ

 なおもムギ先輩は連射をやめる気配はない。

 唯先輩が鋭い目でムギ先輩を見据えている。

 一体どうやってあの人から隙を奪うのだろうか。

 私と純は一挙一動を見逃さないように神経をすり減らして事態の展開を待った。


「ききたいんだけどさ。あ、ムギちゃんのほうね」

「なぁに?」ババババババババババババ

「ちょっとうるさい! きこえないよ」

「しかたないじゃな~い♪」ババババババババババババ

「なんでムギちゃんはこれに出場したのかなって」

「……それはね」ババババババババババババ


276 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:28:15.22 9OH5HvL40 60/204



「それは……?」

「教えられないわ~~~うふふふふふ」ババババババ

「そっか、じゃあ!」

 
 唯先輩はふっと微笑むと、窓に向かって発砲した。

 ガラスがけたたましい音をたてて砕け散る。


「そんなので気をひくつもり? あはは唯ちゃんっておろか……ガッ」

 
 窓の遥か向こうからなにかが突然飛来し、ムギ先輩の横っ面を吹き飛ばした。

 衝撃でガトリングの照準は私たちから完全に外れ、天井、床とありもしないほうをおしっこでそめあげる。
 

「むぎゅううっ!!! いったーい!」 


「その隙は!!」

「逃さない!!」 
  



281 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:32:55.30 9OH5HvL40 61/204


 
 おいうちをかけるようにムギ先輩の顔面に向かって同時に発砲。直撃。


「きゃあああっしみる~~~」

「よし! あたった!」

「いまだあずにゃん! 逃げるよ!」

「えっ」

「こんだけやれば十分! いまはとにかくムギちゃんから遠ざかる!」

「とどめとかささないんですか!」

「それだとこっちももはや無傷ではすまないからね! ムギちゃんみたいなのは相手にしないのが一番!」


「え~ん、まってよ~~、うう、くさ~い」


 ムギ先輩が必死に顔を拭いている間に私たちは教室をあとにした。

 はやく落ち着ける場所にいきたい。
   
 唯先輩にはききたいことがたくさんあるから。




282 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:37:59.62 9OH5HvL40 62/204




【屋上】


「あ! 澪先輩に律先輩!!」

「おっす梓! さっきは危なかったじゃん」

「……よ」

「澪ちゃんさっきはありがと~。おかげで切り抜けられたよ」

「いや、合図をきめておいて正解だった。ムギには悪いけど……」

「どういうことなんですか?」

「んとね。あずにゃんたちが向こう側の校舎の廊下でムギちゃんに襲われてる時私たちたまたまここにいてさ」

「もう合流してたんですか」

「そりゃあね。というよりいい場所を先にとるのはセオリーだから」

「たまたま唯がきたってわけ」

「そんでさ、あずにゃんが襲わてるのがこっからでもみえたから、急いで助けにいったの」

「はぁ……」




287 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:42:54.20 9OH5HvL40 63/204



「よかったねー」

「どうもありがとうございました!」

「だれ?」

「えっ、こないだ縄張り争いしたなかじゃないですか~~」

「えっ? 忘れた」

「じゃあ窓ガラスが割れたあと飛んできたあれは」

「あぁ、私の尿弾だ。唯が合図をおくったら狙撃するようにあらかじめ決めていたんだ」

「こ、こんな距離からあそこまで正確に狙えるんですか!?」

「……? ま、まぁ……」

「だろ~、えっへん」 

「なんでお前が偉そうなんだ」

「さて、このあとどうしようかな」

「お腹すきましたね」

「そうなんだよね! どっかにご飯あるのかなー」

「えげつねぇな……」


289 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:46:42.98 9OH5HvL40 64/204



「えげつないって?」

「これ、つまりは8人に減るまで高校からでられないってことじゃん?」

「……あっ」

「そうか……食べ物が」

「こんな手の込んだことするんだ食料もどこかにあるはず。けどさ、それって力で奪い合いするしかないんだよな」

「……」

「はいはい! じゃあ私が探しに行ってきます!」

「唯でだいじょうぶか? いや、実力のこといってるんじゃないけど」

「うーん……でも私は室内戦には向かないし」

「私いこうか?」

「だ、だめ! お前はもしものときのための私の護衛だ」

「へいへい。寂しいのね」

「わ、私がいきます!」

「私いきません」


292 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:51:24.43 9OH5HvL40 65/204



「あずにゃんくる?」

「はい!!」

「またムギちゃんに遭遇するかもしれないけど」

「うっ……」

「てかさ、なんで梓はムギと交戦してたの?」

「ムギ先輩は……なぜだかシューターを破壊してまわってました」

「……」

「私は制止を呼びかけましたが……どうにも話をきいてくれなくて」

「うーん、まぁ人それぞれ参加目的は違うからなぁ」

「たしかに、みんな仲良しこよしとはいかない。私たちもいつ道を違えるかわからないし」

「え~~! 一時的な協力ってことですか!?」

「ま、8人ならここにムギと憂ちゃん加えても余裕はあるわけだけどさ」



297 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 00:56:03.59 9OH5HvL40 66/204



「そういえば憂は……参加してるんですか?」

「あぁ憂ならいまは……」

「校内を縦横無尽に駆けまわって数を減らしにかかってるよ」



「おねえちゃ~~ん!!」バシュバシュバシュ

「みてみて~~~!」バシュバシュバシュ

参加者「なんだこいつ!! 化物なの!?」

「あたらないよ~! どこ狙ってるの~!? 」

「さぁ、早く尿の海にしずみなよ!! 二十人目ぇ!!」ドキュウン


参加者「うぎゃああああっ」



「……憂って強いんだ、知らなかった」

「うん! 私と同じくらいの力量はあるからちょっとやそっとじゃやられないよ」

「恐るべし平沢姉妹……さすが『桜ヶ丘の生んだオルトロス』と呼ばれるだけはある」



300 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:02:05.49 9OH5HvL40 67/204



「一見なにも考えて無いように見えて、実は冷静に戦局をみてる姉。もちろん腕はピカイチ」

「そして、圧倒的な火力とスピードをもって敵を制す憂」

「じつにおそろしい姉妹だ……」

「純はものしりだね」

「でも憂は少々トリガーハッピーだからなぁ……すぐ弾切れしちゃうし……」

「ていうか明らかに唯先輩たちは対人経験ありますよね。どういうことなんですか?」

「んーっとそれは……」

「私たちも梓がこれをはじめる前にいろいろあってな……」

「遠い目されてもわかりません」

「ま、お前が気にすることじゃない。とりあえずいっておいで」

「はい」

「おまかせあれ! 制圧してきます!」

「実力者はほかにもまだいるとおもう。気をつけろよ」

「ふんす!」


303 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:07:49.34 9OH5HvL40 68/204




「……いったか」

「いいのか? 唯たちをやらなくて」

「え!!?」

「……あぁ」

「唯達がこのまま一緒に本戦に進むと私たちにとっては確実に障害になる」

「ちょ、ちょちょい! 何いってるんですか!? 仲間割れはやめましょうよ!!」

「……あ、そういえば残ったんだった、誰さんだっけ?」

「消せばいいだろ、後で」

「え~~~!?!?」

「とにかく、律がいいっていうなら私はこのまま唯たちも利用してここを勝ち抜く」

「いいよ……仮に唯や憂ちゃんと本戦で相まみえることになっても、負けやしないさ」

「自身あるんだな」

「いや、負けれないんだよ。絶対に……!」

「……唯たちは、どうして参加したんだろう」


308 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:16:52.88 9OH5HvL40 69/204




【東校舎3F】


「唯先輩はどうしてエントリーしたんですか?」

「んー、それはね。どうしてだとおもう?」

「さぁー、力試しとか?」

「それもあるかも」

「賞金ですか? たしか何千万かもらえるんですよね?」

「それもある」

「一番の理由教えてくださいよ」

「えへ~、内緒だよ!」

「え~、それじゃ付き合わされてる私ってなんなんですか」

「人にはたくさん秘密があるもんなんだよ!」

「似合いません、そういうキャラ」

「あーんあずにゃんのいけずぅ~」


310 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:28:05.97 9OH5HvL40 70/204



「さてどこへ向かいましょうか」

「んー、まずは職員室とか? 和ちゃんってどこにいるだろ」

「あ、食べ物ならけいおん部にありますよね」

「あー、そっか! あずにゃん頭いいー」

「でもすでに占領されていたり……」

「大丈夫大丈夫。私が壊滅させてあげる」

「すごい自信ですね」

「ふふん。私ちょっと腕にはおぼえがありまして!」

「それて澪先輩がいってたいろいろですか?」

「まぁね」

「教えてくださいよ~」グリグリ

「いやんあずにゃんやめてぇ~」

「そうだ、なら戦うコツとかもっと伝授してください」

「ほえ?」


313 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:34:22.77 9OH5HvL40 71/204



「どこを狙ったらいいとか、あるでしょ?」

「あー、うん。じゃあまずはセーフティレベルを下げようか」

「えっ、威力を上げるってことですか? 危険じゃなかと……」

「ううん。それが身を守るためなの」

「でも……」

「例えば、シューターをもってる手に紙くずをぶつけてもなにも変わらないよね?」

「……」

「だけどそれが紙くずじゃなくて石ころだったら?」

「痛いと思います」

「うん、痛いね。おもわずシューター落としちゃうかも」

「……」



>>311
まだ序盤かもしれん……あうあうあー


316 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 01:38:02.21 9OH5HvL40 72/204



「力を奪うのが一番安全な勝利だよ。だけどどんな方法をとるにしても必ず大なり小なり痛みはついてくるの」

「自分が大怪我したくなかったら先に相手を傷つけろってことですか?」

「うーん……そうだね。それが賢い生き方だよ」

「唯先輩にそんなこといわれるとはちょっと意外でした」

「あんまり間に受けなくてもいいよ。ただの……経験則だから」

「唯先輩……」

「とにかく、もうあずにゃんもムギちゃんをうってるんだから。いまさらごちゃごちゃいうのは無し!」

「……ですね。私、戦います」

「……大丈夫?」

「大丈夫ですよ」

「補給した?」

「はい。さっきしました。でも次のために早めに水分補給しておしっこを生成したいです」

「おっけー、じゃあ行こうか! けいおん部!」


325 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:00:22.83 9OH5HvL40 73/204

……



ジョロロロロ

 くっきりしたピンク色の亀裂から勢い良く噴射する黄金の水。
 
 それはシューター内にとりつけられたシリンダーをだんだんに満たしていく。

 勢いが強すぎて跳ね返ったきた分が、うっすらと生えた恥毛をわずかに湿らせた。

 最後の一滴まで余すことなく出し切るように、お腹の下に力をこめ、ピクリピクリと体を小刻みに揺らす。

 ポツポツと溢れる聖なる雫はいつか凶悪な弾となり向かい来る敵を討つのだろう。

 それをしりつつも、放尿という快楽に身を包まれた彼女は、頬をほんのりと赤く蒸気させシューターを愛おしそうに撫でる。



327 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:02:49.43 9OH5HvL40 74/204




「ねー終わった~?」


 遠くから補給を急かす声がする。早くパンツを上げて戻らなくては。

 パンツの汚れが少しきになった。



「うん、いまいく~!」


 絶対に勝ち残って見せる。強い思いを胸にし、乱れたスカートをただしながら信代は仲間が呼ぶ方へと駆けていった。




334 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:08:58.54 9OH5HvL40 75/204



姫子「おそいってー」

信代「がはは、ごめんごめん。おもったよりドバドバーってでて!」

いちご「……下品」

姫子「ほらいくよ。ここでぼんやりしてたらまた交戦になる」

いちご「……動くのめんどくさいし」

姫子「でもアレがきたら今度こそ壊滅するよ?」

信代「……そうねぇ」

姫子「あれってたしか唯の妹だっけ」

いちご「しらない。けど似てた」

姫子「結構やられちゃったからなー」


「でねーりっちゃんたらおかしいんだよー……あ!」トコトコ

「て、敵です!!」


姫子「くっ……あれは……唯!!!」

「姫ちゃん! いちごちゃん! 信代ちゃん!」


336 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:15:32.79 9OH5HvL40 76/204



「たしか……唯先輩のお友達でしたね」

「うん」

姫子「なに唯、やる気?」チャキ

信代「……がはは、三対二で勝てると思うなぁ」

いちご「……無謀」

「うう、どうするんですか唯先輩。数ですでに不利なんですけど」

「でもやるしかないね、見逃してくれるって感じでもなさそうだし」

姫子「……そうだね。唯とそっちの子には悪いけど、ここでリタイアしてもらう!」

いちご「そう、けいおん部は先に潰しておく」

「! や、やってやるです!!!」

「あずにゃんは信代ちゃん。あのおっきい子」

信代「へぇ。そのちっこい子が相手かぁ、私も舐められたもんだ」



338 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:21:44.15 9OH5HvL40 77/204



「えう、私大丈夫ですかね……体格差がありすぎるような」

「大丈夫。スピードならあずにゃんが上だよ。相手の銃口はちゃんと見て動くんだよ」

「はいです」


 戦いの火蓋はあっというまに切って落とされた。

 まずは唯先輩が素早い動きでホルスターから銃を引きぬいて正面に発砲。

 
 私はすぐさま狭い廊下から教室へと戦闘の舞台を移す。

 私が入ったと同時に私の相手も巨体を揺らしながら飛び込んできた。

 唯先輩……そちらは頼みます。


信代「がはは、ちっこいの。私とタイマンはろうだなんていい度胸だねぇ」

「……」

信代「さぁ、たっぷり可愛がってあげるから!!」

「私は逃げない! たとえあなたを傷つけることになっても勝ってみせます!」

信代「笑わせてくれるね!!」


345 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:30:22.90 9OH5HvL40 78/204


 
 小さな体と大きな体。

 相反する二人の戦いはまずは私からの攻撃ではじまった。

 さきよりも威力をあげたおしっこを相手の顔面めがけて発射。

 反動が腕全体を伝い体を揺さぶる。シューターの威力と反動は比例するようだ。
 

「いけええ!!」

信代「ふんっ」

  
 しかし意外にも軽やかな動きで回避されてしまう。


「くぅ」

信代「初心者さん? 誰に教わったかしらないけど狙うなら頭じゃなくてここだよ」


 そういって彼女は自身の大きな胸を指さす。

 ぶるんと揺れる無駄な脂肪が印象的であり、また少し不快だった。


信代「人間の頭は的にするなら小さすぎる。けどここなら仮に外しても体のどこかには当たる」


352 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:39:02.95 9OH5HvL40 79/204



「ッ!」

信代「唯?」

「そうですよ。私にシューターを教えてくれたのは唯先輩です」

信代「がはは、唯は相変わらず甘ちゃんだねぇ」

「……?」

信代「去年の大会で私は唯と争ったのさ」

「えっ」

信代「もちろん去年度は今年度みたいな狂ったルールじゃなかった」

信代「お互いに身体にマーカーをつけてそれを狙い撃つだけのくだらないお遊戯」

「……」

信代「威力は極限まで抑えたただのおしっこの掛け合い。でも唯はそれでもなかなか撃てなくてねぇ」

信代「どうせ頭を狙えってのも、すぐに相手を楽にしてあげれるとかそんなんでしょ」

「……」




353 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:45:31.99 9OH5HvL40 80/204



信代「甘い甘い。それじゃあ今年は予選突破すらできないよ」

信代「それと、さっき私はまず狙うべきは胸っていったね? けどそれは本気で相手を仕留めたい時の話」

「……!?」

信代「でもね、相手をいたぶりたいときまず狙うべきは」

信代「足もとだよ!!」


 突然の発砲。

 私は馬鹿だった、なぜ悠長に相手の話に耳を傾けていたのだろうか。

 吹き出した黄金水の弾丸は一度床に激突したあと飛散し、細かな粒となって私の足元を急襲する。

 




356 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:48:40.89 9OH5HvL40 81/204



「うわああっ」ビシャビシャ

信代「足は! 非常にやっかいだ!」

信代「人間の全てをささえる部分にしては外傷に弱く! また神経がおおく通っている! ほんの少しの傷でその機能を停止!」 

「あぐ……いったぁ……」

信代「ふん。一応は直撃は避けたようだね」

「……いたぶるって!?」

信代「唯に去年の借りをかえすのさ」

「ってことは唯先輩のことを甘ちゃんとかいいつつ負けたんですか」

信代「……」イラッ

信代「あんたを戦闘不能にして唯の目の前で蹂躙する」

「!?」

信代「後輩思いの唯のことだ。泣きながら何度も頭を地につけて謝りつづけるだろうさ」

信代「申し訳ございませんあずにゃんを助けてくださいおねがいします信代様ってね!!」

「!!」




360 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 02:56:49.89 9OH5HvL40 82/204



信代「情けなく泣きじゃくる唯の顔を見ながら飲む酒はきっと最高の味がするだろうね」

「そんなことさせません!」

信代「なら勝ってみなよチビ子!」

信代「まぁ無理だろうね。あのお馬鹿な唯の弟子なんてたかがしれてる」

信代「しかもスタンダードタイプを使ってるって!? がははは、初心者丸出しウケる~~」

「ぐっ……!!」

「唯先輩を馬鹿にすることはこの私が!!」

「許さないよ!!」

 
 突如真横で聞き慣れた声がした。

 そして大きな銃撃音。


信代「チィ! また来たか化物ぉ!!」

「お姉ちゃんをバカにしないで~~~!!」バンバンバンバン

「な、なに!? なんなの!?」




365 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 03:06:01.39 9OH5HvL40 83/204




 突然私をのけものにしてはじまってしまった銃撃戦。

 教室を縦横無尽に飛び回り多角的に相手を攻め立てる憂こと平沢オルトロスの片割れ。

 雄叫びをあげながらその体躯には似あわない小さなシューターで迎え撃つ信代先輩。

 ふたりのおしっこの飛沫を全身にあびながらぽつんと虚しく立ち尽くす私。

 
 唯先輩……優秀なあなたの妹がきました。私、正直言うとココには不要みたいです。

 役に立てなくてすいません。しかし、どうしたらいいんでしょうか。


信代「おちろ! おちろ蚊トンボが!!」

「くっ、なんて堅いの。何発浴びせても倒れやしないよ!」

信代「がはは、セルフ装甲鉄壁の信代とは私のことだ!」


「が、がんばれ憂……」


367 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 03:14:27.05 9OH5HvL40 84/204




「そういえば唯先輩は……」

 
 ちらと廊下を方に視線を配る。
 
 どうやらもうさっきの場所にはいないようだ。

 一対二で無事でいるのだろうか。


「梓ちゃん! 何ぼーっとしてるの! 撃って撃って!」

「は!」


 我に帰った私は攻撃を開始する。

 グリップを両手でしっかり握り、かたいトリガーを強く引く。

 この一ヶ月でずいぶん見慣れた色の液体が元気に飛び出した。



信代「ぐあっ、さすがに二人同時は……!!」

「逃さないよ!!」


424 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:18:34.27 9OH5HvL40 85/204



信代「こしゃくな!」

「梓ちゃん! 足に火力を集中! この人はボディにはほとんどダメージ通ってないよ!」

「う、うん!」
 

 いわれた通りに足元を狙い続ける。

 しかし足も相当な肉厚なのでほんとうにダメージになっているのかも甚だ疑問だ。

 
信代「ふん、オルトロスの片割れと言えどそんな火力のでないシューターじゃ何をやっても無駄さ」

「そんなことないもん!」


 憂はひたすらに撃ち続ける。

 撃ち切っては装填し、また連射。

 このペースだと相手が力尽きる前に弾がなくなってしまうのではないかと不安になった。

 信代先輩は全身におしっこを浴びながら不敵な顔で反撃してくる。


425 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:27:46.06 9OH5HvL40 86/204


「憂! なんでそんなにバカスカ撃ってるの!」

「えへへっへへへ、ふふふ、おねいちゃ~~~~!!!」ババババババ

「唯先輩のいってたトリガーハッピーってこれか!」

 
 どうも憂は一度攻撃をはじめるとハイになってしまうようだ。


「憂! もっと効果的な射撃が……!」

「うひひひっ、おねいちゃ~~~~ん」ババババババ

信代「がははl、あんたは姉とセットじゃないとろくに戦えやしないようだね……」


 やがてカチッカチッという乾いた嫌な音が憂のシューターから聞こえてくる。


「なんでっ!! どうしてもう撃てないの!!! まだまだやれるのにいい!」

「……」



427 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:35:23.56 9OH5HvL40 87/204



信代「結局私の全身をずぶぬれしただけで終わったわねぇ」

信代「さっき交戦したときはもうちょっと強かった気がしたんだけど」

「あのときは……」

「?」

「お姉ちゃんのおしっこと私のおしっこをブレンドしてたから……」

信代「なるほどね。合点がいった」

「ど、どうするの! 私のシューターじゃもうどうしようもないよ」

信代「さて、尿遊びはおしまいだよ子猫ちゃんたち」

「……くっ」

「お姉ちゃ~ん……」メソメソ

「あんたほんとなにしにきたの。来てくれたときはほんと頼もしかったのに」

「お姉ちゃ~ん……」メソメソ

「泣いてる場合じゃないでしょ!」

信代「あはは、怖がらなくても大好きなお姉ちゃんと同じところに送ってあげる」


429 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:45:05.43 9OH5HvL40 88/204




「や、やらせるもんか!」

信代「あんたも懲りないねぇ。今までさんざん撃ってきたけどそれも全部ダメージなし、どんな気分?」

「だ、だって……」

信代「そんなちんけな尿弾じゃ私の鉄壁の肉体には傷ひとつつけられないよ」

「くそぉ……」

信代「もっと怖がりな! あんたらの恐怖した顔を唯にみせつけてやる!!」

 
 私たちが負けたら唯先輩はどんな顔をするだろう。

 悲しむのかな。怒るのかな。

 どうして唯先輩はこの人を私に押し付けたんだろう。

 この体格差だと勝ち目なんてありっこないよ……。

 たしかにスピードは私が上だろう。だけど肝心の攻撃が通らないなら、ダウンを奪うことはできない。



430 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:49:59.57 9OH5HvL40 89/204



 攻撃……そういえばなぜ今の私のシューターからはちっぽけな弾しかでないのか。

 初めて唯先輩と撃ったとき、公園で純と勝負したとき、家で軽く遊んだときはあんなに強力な弾がでたのに……。 

 あのときと今ではなにが違うのか……。

 思い出せ……思い出すんだ私……。


「…………」

信代「祈りはすんだかい」

「……」


 ふと脳裏に笑顔がよぎった。
  
 それは間違いなく私の大好きなあの人のくったくのない笑顔。

 心にポっと火が灯った。

 手をつつまれた感覚が蘇る。静寂の中での全能感が蘇る。心のやすらぎが蘇る。





432 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 13:55:50.14 9OH5HvL40 90/204




『あずにゃん、シューターがどうしておしっこを弾にするかわかる?』

『わかりません』

『あずにゃんのおしっこはね、あずにゃんなんだよ! あずにゃんのすべてが濃縮されてるの』

『えっ……』

『毎日どんなもの食べてるーとか、何時に寝たーとか、年齢や身長体重、あらゆる要素が複雑にからみあってその時のおしっこを形成するの』

『……』

『つまりおしっこがつまったシューターもね、あずにゃんの一部も同然なんだよ』

『えっと……それは』

『あずにゃんのおしっこを通してシューターはあずにゃんの心に応えてくれる。絶対に。だからおしっこシューターを信じてあげて?』

『はぁ……』

『不思議だよねー』

『……そうですね』



 


437 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 14:02:25.85 9OH5HvL40 91/204




 そうだった。

 これは私、私の全て。

 自身を否定したら、そこが力の天井になってしまう。

 唯先輩、ありがとうございます。もう私、迷いません。


「……」

信代「くっくっく。がははははははは!!!」

「……」

信代「恐怖で言葉もでないかい!!」

「……」

信代「もういい! あんたはここで終わんなよ!!」


 無言のまま、スッと銃口を相手に向けた。不思議とシューター重みは感じなかった。

 自分でも驚くほどに集中している。

 今はこの全能感に身をまかせてみよう。その先にどんな未来がまちかまえていたとしても。


441 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 14:10:44.98 9OH5HvL40 92/204




信代「な……あんた、急に、雰囲気が……!!」ゾクッ

「梓ちゃん……!?」

「……」


 止まった世界の静寂の中で、私は引き金を引く。

 不思議と指に重さを感じることがなかった。

 それはまさしく、シューターが私と一体化した瞬間。 

 
 まっすぐに相手の顔面めがけて飛んでいく水風船のようなサイズにまで収束した尿弾。

 この距離では絶対不可避の速度。なんとなく、勝利を確信した。
   

信代「おぎゃああああああっ」


 水の弾ける音とともに世界にざわめきがもどり、次に聞こえてきたのはその断末魔の叫び声だった。

 
信代「くせええええっ、おええっ、ぐぅおおおっがはっああああ」




442 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 14:17:58.96 9OH5HvL40 93/204



信代「うごおおおおっあああががああ」

「……臭いでしょ?」

信代「おうぇええええっ、なんなのよおおおお」

「……」

信代「ま、まさかこんな初心者に゙……このわたじが!!!」

「梓ちゃん……いまの……」

「うん」

(間違いない……お姉ちゃんと同じショット……)


 勝った。私にとっての初勝利。あぁ、やっと一息つける。

 そして安堵と共に地べたに腰を下ろそうとしたその瞬間。

 やつがまた教室に飛び込んできた。


「みんな~おしっこが入ったわよ~~~♪」ババババババババババババ

信代「ぎゃああああっ」

「ッ!! またムギ先輩ですか!」


446 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:07:39.94 9OH5HvL40 94/204



「梓ちゃん、さっきは臭い目にあわせてくれたわね。お礼はきっちりするから~」

「け、結構です!!」

「信代ちゃんはさっさと降参してね」

信代「ぐごごごご、誰が……げふ」

「どっちみちそのダメージじゃもう戦うのは無理よ。視界が確保できてないんでしょ?」

信代「うぐ……私は、負けられな……うがああああああ」

「……残念ね」

信代「ウゴオオオオオオオオオオオオ!!」

「なら私が……そのシューターと一緒にとどめをさしてあげる……」ガコン

「!」

 
 突如ムギ先輩の胸部装甲が左右に展開した。

 中から現れたのは大型の内蔵マシンガン。よくみればあれもシューターだ!



449 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:13:05.73 9OH5HvL40 95/204



 右腕のガトリングに加え、更に倍ほどに数を増やしたおびただしい量の弾丸の雨が信代先輩を襲う。

 信代先輩その巨体をもってしても、傍からみれば嵐に巻き込まれた子犬のようにしか見えなかった。

 たちまち姿勢をくずし、けたたましい音をたてて倒れこむ信代先輩。

 ムギ先輩は少し悲しそうな、だけど満足気な顔をして彼女を見下ろしていた。


「な……戦争でもするつもりですかムギ先輩は!」

「……かもしれないわね」

「……」

「狂ってるです。もはや個人レベルの火力じゃないです」

「……」

「……逃げよう梓ちゃん」

「うん、一度砲門がこっちを向けばあっというまにハチの巣だ」




450 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:17:54.24 9OH5HvL40 96/204



「……シューターさえ置いていけば見逃してあげる」

「どうしてそこまでシューターを執拗に狙うんですか」

「だって傷つけたくないじゃない。シューターさえ壊せばほぼ脱落でしょ??」

「でも、シューターは持ち主の身体の一部も同然です! それを破壊するなんて」

「やっぱり梓ちゃん……知ってしまったのね」

「えっ」

「遠目ではよく見えなかったけど、さっきの特大の尿弾も梓ちゃんが撃ったんでしょ?」

「……えぇ」

「そこまで力をつけているなら、もう容赦はできないわ」

「くっ……」

「逃げられないの……」

「全火力をもってあなたを倒し、その危険なシューターを破壊するわ。憂ちゃんもよ」

「唯先輩と約束したんです……無事勝ち残るって!」


 
 


453 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:24:43.12 9OH5HvL40 97/204



「唯ちゃんもおしおきが必要ね。後輩にこんな危険なことをさせるなんて」

「ムギ先輩もノリノリですすめて来たじゃないですか」

「それはごめんなさい。けどまさかあなたがここまで力をつけると思ってなかったの」

「せいぜい公園でキャッキャして終わる程度だとおもってたわ」

「それはどーもすいませんね!」

「謝るついでに!」

「?」

「これでもくらえです!!」


 ムギ先輩めがけて特大6cm級の尿弾を発射。

 反動でシューターが額にコツンとぶつかった。


「あたれーーー!!」

「甘いよ梓ちゃん。それじゃあ私は倒せないわ~~」
 


454 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:31:03.32 9OH5HvL40 98/204




 胸部の次はふくらはぎの側面についた小さなコンテナのハッチが展開した。

 そこから突然発射されたのはミサイルのような物体。しかしそれもよくみればおしっこだ!

 左右2発同時に放たれたおしっこのミサイルは私の尿弾に直撃し、空中で爆散。

 あたり一面におしっこの飛沫が撒き散らされた。

 
「そ、そんな……相殺された!!?」

「ふふ、対唯ちゃん戦を考慮して急遽とりつけた迎撃ミサイルユニットが役に立ったわ」

「……!」

「さて、梓ちゃん。自分のシューターのシリンダーをのぞいてみて?」

「ッ!」

「チャージなんてさせないわ」

「どどど、どうしよう梓ちゃん」

「まずい……もう撃てても小さい弾だけ……」


455 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:38:38.27 9OH5HvL40 99/204



「終わった……」

(ここまでか……!!)

「…………」

「あれ……」

「……運がよかったわね梓ちゃん」

「は?」

「もうすぐ電力が切れちゃうの。私のシューターや装甲は莫大な電力が必要だから……」

「……」

「充電しにいくからどいてくれる?」

「えっと……」

「ここであなたを倒して電力をすっからかんにしたら唯ちゃんにやられちゃうもの」

「ゆ、唯先輩はどうなったんですか?」

「理科室で戦っていたわ。向こうももうすぐ決着がつくかも」

「あなたは漁夫の利を得にきたんですか?」

「なんといってくれてもいいわ。だってこれが私の任務だもの」


457 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 15:45:37.75 9OH5HvL40 100/204



「次あうときは、味方であってほしいと願います」

「なら勝ち残ることね」

「……」

「それと最後に一つ忠告よ」

「えっ」

「唯ちゃんには気をつけて」

「は……?」


 意味がわからなかった。

 どうしてムギ先輩が私たちを狙ってくるのか、なぜ唯先輩を警戒しなければならないのか。

 一体この戦いはなんのために存在するのか。おしっこガンマンとは。シューターとはなんなのか。

 戦いの疲労でうまく回らない頭で必死に考えても、まだ答えはでそうにない。

 いまはただ勝ち残ることだけを考えよう。大切な先輩や友人たちの言葉を信じて……。



第九話 『戦慄の美少女ガンマン信代』  おわり



463 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 16:04:14.49 9OH5HvL40 101/204



フルアーマー琴吹紬

武装

右腕部大型おしっこガトリング
・右腕にとりつけられた巨大なガトリングガン。
 貯尿タンクと接続されているため、基本的にはリロードなしで撃ち続けることができる。
 また外部シリンダーにより新鮮で高威力な弾を装填することもできる。

胸部大口径内蔵おしっこマシンガン
・口径は非常に大きく高火力。
 貯尿タンクと接続されているため、リロードなしで撃ち続けることができる。
 
眉部おしっこマシンキャノン
・主に接近戦での牽制に使われる。

脚部迎撃用おしっこミサイルユニット
・対高火力ガンマン相手にとりつけたミサイルユニット。

背部おしっこロケット砲
・背負った貯尿タンクをそのままロケットとして撃ち出す。
 しかし使用後は一気に弾切れをおこしてしまうため、使う機会はすくない切札。


514 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 21:40:46.67 9OH5HvL40 102/204



【屋上】


「もうすぐ日没だ……」

「さすがに日が暮れると戦闘はおさまるだろうね」

「そうあってほしいけど……」

「大丈夫大丈夫。どっちみち私らはここに陣取ってる限りなにもありゃしないさ」

「そうだよね。で、あと何人くらい残ってるんだろうね」ムシャムシャ

「さぁ。だけど長くてもあと二日ほどで終わるだろうな。食料だって限りがある」モグモグ

「いやーしかしやっかいなことになりましたよね」モグモグ

「ほんとに8人になるま高校を出られないなら……」ムシャムシャ

「シューターでやられる前にみんなお腹すいて倒れちゃいますよ」ガツガツガツガツ

「……」

「純ちゃん……だからこうして食料を囲い込んだんだよ」

「えっ」

「空腹で自滅してくれるなら撃たなくてすむしねー弾をどれだけ確保できるかもわかんないし」


516 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 21:46:03.54 9OH5HvL40 103/204



「飲み物なら水道水がありますけど」

「私水道水飲むとお腹壊すんだ」

「あー、わかる。なんか学校の水ってまずいよな」

「そうなんですか」

「いい物食べていい物飲んだら、特上のおしっこがでるんだよ」

「栄養バランスも火力に関係してくるしね」

「とりあえず明日に備えて寝ましょうか」

「んじゃ見張りは順番交代ってことで」

「わかりましたおやすみなさい! zzz」

「じゅ、純ちゃん……」

「ちょっと純、あんたほんとここでリタイアさせてあげようか」

「zzzz」

「お姉ちゃんまで……」

「わかった、みんな先寝ていいぞ。最初の2時間は私と律が担当する」

「えー」


517 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 21:50:34.92 9OH5HvL40 104/204


一時間後


「……」

「……ふぁ~あ」


「すぴー、すぴーzzz」

「ぐごごごご……zzz」

「すぅすぅ」

「んぐー……ぐごー……zzz」


「……ムギのやつ、どうしてっかな」

「さぁ? 元気に暴れまわってるんじゃないか」

「ちょっと偵察いってきていい?」

「何言ってるんだ。電気なんてついてないから真っ暗だぞ」

「闇討ちは私らの得意分野じゃん」

「……だめだ。お前はここに残って階段の見張り」

「ちぇっ」


520 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 21:56:12.53 9OH5HvL40 105/204



「……」

「……」

「……あのさ」

「?」

「もう……一年も立つんだな」

「あぁ……」

「はじめて人を撃ったとき、澪はどうだった」

「……別に」

「泣いた?」

「別に!」

「そっか」

「律こそどうなんだ」

「あー、私は……泣いたのかもな、あと結構その後ひきずった」

「……ふーん」

「梓は強いよ。今日がはじめてだってのに、全く心が折れてない」


521 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 21:59:53.00 9OH5HvL40 106/204



「梓か……強敵になるかもな」

「本戦、どんなルールだと思う?」

「去年は……32人でトーナメントしたよな」

「私二戦目敗退だった」

「私も」

「唯が準決勝敗退だっけ」

「それでも……去年と今年じゃ全然違う」

「あぁ……賞金額だって10倍だ!」

「だからその分、油断はできないな」

「澪は考えすぎじゃないか?」

「どうだろ、とりあえずおしっこしてくる」

「ん」


522 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:05:47.25 9OH5HvL40 107/204



「……ん、でそう……」

チョロ、チョロロロロ

「……暗くて色がよくわからないな」

「エリザベス、私のおしっこおいしいか?」

「うん澪ちゃんおいしいよ(裏声)」

「はは、そっか。明日も頑張ろうな」

「……よし!」


「変わった趣味してるのね」

「!!」

「大丈夫よ。他言はしないから。こんなの知られたら『闇を照らす凶星』の名折れだものね」

「和! どうしてここに!」

「そんなにあからさまに警戒しないで頂戴。傷つくわ。ただ仲間にいれてほしくて来たの」

「律はどうした!! あいつが階段の見張りをしてたはず!!」

「……寝てるんだけど」


528 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:13:09.71 9OH5HvL40 108/204



「ぐごー……」

「り、りつ……こんな局面で眠気に負けるなよ!」

「で、私もここに居ていいかしら?」

「……和は、ムギと交戦したか?」

「ええ。生徒会の仲間がほとんどやられちゃったわ」

「……」

「だめかしら」

「いや……拒む理由はないけど……」

「先に言っとくわね。私の目的は優勝して弟たちの学費を捻出すること」

「!」

「だからこんなところで落ちるわけにはいかないの」

「ここにきたということは……やはりムギがネックなのか」

「そうね。それに四方八方敵だらけ。さすがに参ったわ」

「わかった。そのかわり協力もしてもらう」

「当然ね。あくまで一時的な協定」


529 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:17:42.48 9OH5HvL40 109/204



「わかった。じゃあ引き続き私と見張り番だ」

「いいわよ。私たち以外にまともに見張りができそうな子なんてほかにいなさそうだし」

「……」

「ぐごーーー」

「ぐーぐー」

「にゃむにゃむ……」

「すぅすぅ」

「ずぴーーー」


「えっと……二人で交代してやろうか」

「……そうね」



……




532 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:24:25.53 9OH5HvL40 110/204




 おかしな夢をみたような気がする。

 確か、私は唯先輩とシューター……いやシューターではないかもしれない何かを構えた状態で向き合っていて、

 ただひたすらに喉がカラカラだった。

 唯先輩の表情はわからない。その場所がどこだったかもわからない。

 けどひどく印象的だったのは、そのあとすごく身体が熱くなったということだ。
 


「おきようよー、あずにゃーん。朝だよぉー」

「……すー」

「ねー、りっちゃんもう偵察いったよー。私たちもいこー?」ユサユサ

「ん……あ、おはようございます」

「もう、あずにゃんったら寝すぎー」

「す、すいません……昨日はとても疲れてて」

「かもねー、あ、おはよう♪」ギュウ

「んにゃ……!? もう」


534 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:29:45.18 9OH5HvL40 111/204



「唯先輩よく眠れました?」

「ちょっと寒かったけど疲れはとれたよ! あ!あずにゃん抱いて寝たらよかったかな!」

「冗談はほどほどに、今日のプランはどうなってるんですか」

「律と澪が偵察からもどったら、一度校内の数を減らしに戦力を半分動員するわ」

「わ! 和先輩!」

「みんな同じ反応するのね。悲しいわ」

「ごめんなさい……」

「よし! 今日も私がんばっちゃおうかなー」

「……が、がんばってね。で、みなさん弾とか大丈夫ですか?」

「まぁこんだけあれば。あとは飲み物のんでなんとか継ぎ足していくしかないね」

「梓ちゃんは?」

「私は大丈夫。ほら、私ってトイレ近いでしょ? ちょっと飲むだけですぐおしっこでる」

「ふーん便利だね。でもおもらししないでね?」

「しませんし!!」


537 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:35:22.69 9OH5HvL40 112/204



ガチャ

「うーっす帰還!」

「あ、りっちゃんたちもう戻ってきた」

「少しだけ数減らしてきた」

「あと何人いるかわかる?」

「どうだろう……倒れてる人の数から判断すると、もう100人きってるんじゃないかな」

「たった一日で500人が100人までへっちゃったんですか?」

「ムギ先輩がけっこう減らしてくれてそうですね……」

「と憂……」

「えへへ。今日もがんばるよ」

「とりあえず朝飯くったら行動開始だ」

「部隊分けは、ここに残るのが私と和、それと純ちゃんと憂ちゃん」

「えっ、私と唯先輩と律先輩の三人が掃討部隊ですか?」

「憂ちゃんはストックの弾がもうすこし貯まるまで待機だ」

「私は一応白兵戦向きだからなー、ここで留守番よりあってるかも」


538 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:40:14.52 9OH5HvL40 113/204



「私はここから援護、といいたいところだけどさすがに向こう側の校舎をつかう人は昨日一日でいなくなったな」

「あっちの廊下は澪ちゃんに狙われ放題だもんねー」

「校庭もほとんど姿がみえないってことは」

「のこりは私たちの階下、もしくはプールとかですか」

「どこへ行くとしても交戦は避けられないわね」

「もっとみんなして潰しあってくれませんかねー」

「とりあえずお姉ちゃんがんばってね」

「うん! 良い報告をまってなさい!」

「やってやるです!!」

「よし! ここは任せたぞ澪!和!憂ちゃん!鈴木さん!」

「違います鈴木です! あ、鈴木であってましたがんばってください」




……





540 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:46:40.23 9OH5HvL40 114/204




【3階】


「うぅ……ひどい臭い」

「ここでも激しい戦いがあったみたいだな」

「床がびしょびしょです」

「またムギちゃんかな……」

「さすがに三対一なら勝てる……よな?」

「ムギ先輩は昨日の段階でかなりストックも消費してるはずです」

「だけど油断はできないよ。一体何を隠し持ってるかわかったもんじゃないからね」

「ですね。機能も隠し武器に苦戦させられましたし」

「くそームギが仲間だったらもっと楽にすすめられたのにな」

「あ、なんかムギちゃんの話してたらお茶のみたくなってきた、ムギちゃーんお茶いれて~なんつて」


「呼んだ?」


「!!」


542 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:52:01.71 9OH5HvL40 115/204



「ま、また神出鬼没な!」

「おいムギぃ! お前なんで私たちも攻撃してくるんだよ!!」

「ごめんなさい。でもしかたないの」

「いいよりっちゃん。理由はひとそれぞれ」

「ま、まぁそうだけどさ……」

「……」

「ムギ先輩……私も一つ聞きたいことがあります」

「なぁに?」

「ムギ先輩のシューターは……なんというか独特ですよね。私たちのとはベースから違うというか」

「!」

「あ! さてはムギ違法改造だな!」

「ち、違うわ! ちゃんと申請を出してクリアしてるもの!」

「なんでもいいよ。で、戦う? こっちは三人だけど」

「ううん。唯ちゃんたちとは本戦で戦うことにするわ」

「えっ」


544 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 22:56:27.87 9OH5HvL40 116/204



「もうだいぶ数も絞れたしね、あともう人踏ん張りで本戦だもん」

「ここで唯ちゃんたちとやりあって共倒れになるのは得策じゃないの」

「……だね」

「これから私は階下を殲滅するわ。だから唯ちゃんたちにはこのフロアをお願いしていい?」

「おいおい、一人で行く気かムギ」

「うん。私なら大丈夫」

「つってもなー」

「私が倒れたら倒れたでりっちゃん達は嬉しいんじゃないの?」

「それは……そうかもしんないけど、なんだかなー」

「ガンマン精神に反するってやつですか?」

「あ、そうそうそれ。なんか気持ち悪いんだよ。人の力に頼って勝ち残るのって!」

(純に聞かせてやりたい……)

「じゃありっちゃんはムギちゃんと一緒にいって!」

「私と唯先輩がこのフロア頑張りますので」

「……おっけ! いくぞムギ! あんまり乱射して私にあてんなよ!」


547 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:04:41.87 9OH5HvL40 117/204



「うふふ~、初めての共闘よ~」

「じゃあいくよあずにゃん!」

「はい!」


 

……



 精神を集中。慣れたもんだ。

 シューターと体を一体化することさえうまくいけば、昨日の力をいつでも引き出せる。

 これならきっと信代先輩みたいな例外をのぞけば一発でKOできるだろう。

 まだ唯先輩ほど切り替えはうまくいかないけど、それでも手に余る力だ。

 本当にこんな力を一介の学生である私がつかっていいのだろうか。 

 
 思いを巡らせながら、私は見つけた敵を次々と撃ち倒していく。

 高揚感の中にある一抹の不安。反動が脳髄までいちいち響き渡るようだった。

 


551 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:25:18.21 9OH5HvL40 118/204




「えーい! ばーん!」

「……」バシュッ バシュッ

「あずにゃん、もっと元気よくいきましょう!」

「といってもですね。人を撃ってその元気はどうかとおもいますよ」

「そっかなー。ばーーん!!」

「もうそろそろこのフロアは終わりそうですね。律先輩たちと合流しましょうか」

「だね」

「……」

「なに? 私の顔になんかついてる? は! まさか返り尿でべったりとか!?」

「い、いえ……唯先輩はほんと元気でなによりですねって……」

「えへ♪」


 『唯ちゃんには気をつけて』

 あの言葉がずっとひっかかっている。たしかに唯先輩と本戦でぶつかることになったら、私にとってはかなりの壁になるだろう。

 しかし、それ以外の意味も孕んでいるのではないのか……先程の唯先輩を見ていると、そう思えてしかたなかった。


552 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:34:01.67 9OH5HvL40 119/204




……


「っしゃあ! ラスト! いただきぃ!」

参加「きゃああああぅ」バタリ

「はぁ……はぁ。すっかり弾切れだわ……」

「……これで終わったか!?」


「おーい! りっちゃーん、ムギちゃーん!」

「お、唯に梓! そっちも終わったんだな!」

「うん! これで残ったのは」

「けいおん部の五人と憂、純、和先輩のはず……です」

「やったー!」


ピンポンパンポーン


「!」



555 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:39:47.86 9OH5HvL40 120/204




  『まずはおつかれと言っておく。そしておめでとう』


「ちきしょー! 高見の見物かよ」

「ねぇどこから放送してるの!」

「放送室にも職員室にもそれらしい人はいませんでしたしね」


 『まずは全員講堂へと集まってもらおう』

 『そこで本戦の説明を待て』ブツン


「……本戦か」

「ついにだね」

「……いやいや、今回ははえーって」

「たしかに去年みたいにいろんな競技を何度もやらされるよりかは早かったけど」

「こんなの横暴です!」

「……とにかくいきましょう?」

「ですね。澪先輩たちもきっとむかってるはずです」


556 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:46:45.48 9OH5HvL40 121/204



【講堂】


「やっほーきたよー」

「ふー疲れた疲れたー、どっこいしょっと」

「もうへとへと」ガシャン

「おつかれ。ムギも一緒だったか」

「……」

「……」

「ムギちゃんを睨んじゃだめだよ。戦いだったんだから仕方ないよ」

「そうですよ。もうめちゃくちゃな潰し合いはおしまいなんですから」


「そのとおり!」


「だれ!?」

「舞台の上だ!」

「あなたは!!」


560 : 以下、名... - 2011/05/09(月) 23:56:50.42 9OH5HvL40 122/204



さわ子「みんなお疲れ様ー」

「なんださわちゃんか」

「わーさわちゃーん」

さわ子「なんだって何よ」

「あの、なぜ先生が……」

さわ子「まぁいいじゃない。追々説明するわね」

「先生も、なにか関係してるんですか?」

さわ子「そうね、大会の運営に関わってるわよ。だってこの学校の教師だもん」

「でさぁさわちゃん。なんで今回は予選からこんなにえぐい戦いだったんだ?」

さわ子「それに関してだけど……謝らなきゃいけないことがあるの」

「え?」

「……これは実は予選ではない。ですよね?」

さわ子「ご名答。さすが生徒会長ね」

「どどど、どういうこと!?」

「だましたのかよ!」


561 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:01:06.30 GnS3XZev0 123/204



「じゃあ優勝賞金ってのは……嘘?」

さわ子「大丈夫よ。総額をみんなで山分けしなさい」

「……そっか」ホッ

「じゃあみんな優勝!? やったー!」

さわ子「と、浮かれる前に」

「?」

さわ子「賞金はまだだせないわ。その前にやってほしいことがあるの」

「ほえ?」

さわ子「これからあなたたち8人はヘリに乗ってとある島へ移動してもらうわ」

「島!?」

「なにするの? バカンス?」

さわ子「ま、そんなところね」

「……」

さわ子「校庭までもう迎えにきてるはずよ」

「質問があります」


564 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:09:31.96 GnS3XZev0 124/204



さわ子「なに?」

「私たちが倒しちゃった人たちは……」

さわ子「大丈夫よ。ちゃんと治療班がいるから」

「良かった……」

「自分が一番めちゃくちゃやっといてそれかよ」

「まぁ参加者も危険は承知できてるんだ。しかたないだろ」

「実力の世界ですもんね。弱い方がわるい!」

「そゆこと~」


さわ子「さぁヘリに乗りに行くわよ」

「私ヘリコプターはじめてです」

「すっごく高いとこ飛ぶんだよ! 怖くておしっこ漏らしちゃだめだよ?」

「もらしませんし」




568 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:19:07.37 GnS3XZev0 125/204




 二日間における戦いは意外にもあっけない形で終わった。

 こんなあっというまに大会が終わるとは思ってなかったので、すこし拍子抜けだ。

 それでもかなり疲れがでたのか、何人かは座席でうとうとしている。
 
 唯先輩と私は律先輩の事情をきいて、優勝賞金の一部を手術のお金として提供することを決めた。

 感謝しきれない、と何度も頭をさげられてしまった。

 
 これから私たちはどんな島へ連れていかれるのだろうか。
 
 やってほしいこととはなんだろうか。

 期待と不安を胸に、私はそっとまぶたを閉じた。



「んみゅ……あずにゃ……zzz」

「……zzzz」



第20話『大会終了』



574 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:36:05.86 GnS3XZev0 126/204




【とある島】


「おお! 唯! ビーチがあるぞ!!」

「わぁ~! 綺麗な海~!」

「に不釣合いな建物が……」


 ヘリで上空から見た感じだと島は直径3kmも無いだろう。

 海に囲まれ、自然の多いのどかな島だ。

 しかし、その中央にはどう考えてもそぐわない巨大な灰色の建物が群居している。


「あの……ここは?」

さわ子「とりあえずヘリポートに降りるわね」


 一行をのせたヘリはポートのある建物を目指して飛ぶ。

 あれが別荘で、ここで季節外れの合宿をする……というわけではなさそうだ。

 不安が胸をよぎる。まわりは海や森の美しさに魅せられ、完全に浮かれきっているようだ



580 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:42:38.77 GnS3XZev0 127/204




さわ子「さぁ降りて! 私についてきなさい!」

「先生、ここは……」

さわ子「質問はあとあと!」

「アイスたべたい」

「しりませんよ」

「うひょー! なんかセレブになった気分」

「このおっきな建物はなんなんだろうね」

「とにかく中はいろーぜぃ!」

「……」キョロキョロ

「どうしたの?キョロキョロして。落し物でもした?」

「え、ううん……ただ、豊かな自然を眺めてただけ」

「そ。ならいいけど」

「なんか眠気がとれないな……」

「私も~、早くベッドで寝たいよー」



582 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:50:14.48 GnS3XZev0 128/204




【F号棟内】

ホール


「中も広いんですね」

「たくさんテレビがあるね」

「テレビじゃなくてパソコンだろー?」

「先生。いい加減話してくれませんか?」

さわ子「……そうね。じゃあ話さしてもらおうかしら」

「ほえー」

さわ子「あなたたちをココに連れてきた理由。それはね」

さわ子「みんなシューターをだしてくれる?」

「えっ」

さわ子「ここは、シューターをはじめとするありとあらゆるおもちゃを研究する巨大施設なの」

さわ子「と、これはタカラ◯ミー社の秘密なんだけど」

さわ子「実はあなたたちのシューターにはそれぞれ小さなメモリーカードが入っているのよ」


584 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 00:58:29.10 GnS3XZev0 129/204



「メモリーカード?」

さわ子「そう。すべてのシューターに入っているわ」

「なんのために?」

さわ子「シューターをシューターたらしめるため。情報を記憶してるの」

さわ子「そして使用者のおしっこの質とかを一瞬で解析して反映するのよ。読み取り機っていったほうがいいかしら」

「わぁ! 高性能なんだね!」

「でもそんなの全然しりませんでした」

さわ子「言ったでしょ。企業秘密だって」

「で、それを回収するんですね。私たちの個人情報がたんまりつまったカードを」

さわ子「正解! 強いガンマンのデータを集めて次の商品開発の参考にするってわけ」

さわ子「わざわざこんなところまで連れてきてごめんね。ここでしかそのメモリーカードは開発してないの」

さわ子「けど学校でシューターだけ回収なんていってもあなたたちは納得しないでしょ?」

さわ子「だってあなたたちが手に持つそれはもはや体の一部も同然だものね?」

「だね!」


586 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:04:59.75 GnS3XZev0 130/204



さわ子「渡してくれる?」

「まぁ私の情報を渡すだけで賞金がもらえるなら全然かまわないけど」

「そうだな」

「いいですよー」

さわ子「それじゃあこの箱にシューターをいれてくれる? 取り外すにも特殊な装置がいるからシューターごと持って行くわ」

「後で戻ってくるんですよね?」

さわ子「それはもちろん。解析が終わりしだい解散よ。それまではここでバケーションでも楽しみなさい」

「そういうことなら。どうぞ」ガコン

「ういっと!」ガコン

「ほいほい。また後でねシュー太」ガコン

「最強ガンマンの私の情報をよりよい商品開発に役立ててください!」ガコン

「私のデータなんて役に立つのかしら」ガコン

「エリザべス……しばしのお別れだ」ガコン

「……どうぞ」ガコン


592 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:10:35.04 GnS3XZev0 131/204



「……あの、私は」

さわ子「ムギちゃんは……そうねぇ」

「これ全部外せばいいですか……?」

さわ子「じゃあ特別についてきてもらおっか」

「……」

「えー、ムギちゃんいいなー」

「それより遊びにいこうぜ!」

さわ子「今日はもう遅いから明日にしなさい」

「そうだぞ」

「あの、寝るところはあるんですか?」

さわ子「ちゃんと個室を用意しているわ。ご飯もすぐもっていくわね」

「やった! お腹ぺこぺこ!」

「はぁ、これでやっとゆっくりできる~」

「何をいってるあずにゃん! 今夜はトランプ大会だよ!」

「えー……さっき眠いっていってたじゃないですか……」


598 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:22:41.28 GnS3XZev0 132/204







「よっしゃあ! いちぬけた!」

「えーりっちゃん今私の手札みてたでしょー!」

「んなわけねー」

「やれやれ、ババ抜きごときでムキになるなんて」

「お姉ちゃんは負けず嫌いだから」

「それより、ムギ先輩おそくないですか?」

「そういえば晩ご飯もきませんでしたね」

「きっとあの金ピカのを全部外すのに手こずってるんだよ」

「なーんか改造しまくってたっぽいしな。」

「そもそもアレってシューターなのか?」

「シューターらしいですよ。全部でいくつ使ってるかはしりませんけど」

「いまごろムギちゃんはさわちゃんに脱がせ脱がせいやーんな感じになってるの!?」

「装甲外すプレイってどんなんですか」


601 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:28:34.76 GnS3XZev0 133/204



「まってても仕方ないしもう寝るか」

「そうですね。なんだかんだで10時まわってますし」

「明日は早起きして海いきたいな」

「でも水着もってねー」

「この時期もう寒くないですか?」

「いや泳ぐんじゃなくてその……な!」

「作詞だね! かっこいー!」

「てか最近練習全然してませんし、ギターの存在すら忘れてました」

「あの音楽狂の梓ですら虜になるおしっこシューター……バカ売れして当然だな」

「ですね……もっと早く知りたかったです」

「学校には持ってきちゃだめって決まりだったからねー」

「あの日は持ってきてたじゃないですか」

「いやー、学校帰りにおばあちゃんとこでメンテしてもらったほうが楽だからさー」

「もうみんな寝なさい。疲れてるでしょ。特に唯と梓ちゃん」

「はい。じゃあ私部屋もどります」


603 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:34:13.51 GnS3XZev0 134/204



「あずにゃん一緒に寝ようよ~~」

「えぇ……」

「お姉ちゃん私じゃだめなの!?」

「いやー、あずにゃんとちょっとおしっこシューターについて色々語りあいたいからね」

「なんせ私とあずにゃんはいわば師弟関係にあるから!」

「まぁ……いいですけど。夜更かしはヤですよ?」

「ああ~ん、じゃあ澪たんは私とぉ~」

「うるさい」ゴチン

「ひどい゙っ」

「あはは、みなさん浮かれすぎですよ。ガンマンたるものいかなる場面でも冷静に振舞わなくては」

「そういえば純ちゃんってほぼ何もしてないのにたくさんお金手にはいるんだよね」

「えへっ! 役得だね! も、もちろん律先輩にいくらか渡しますけど!!」

「それじゃあみんなおやすみ。お疲れさま」

「おやすみ~~!」

「おやすみなさいです」


607 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:41:52.56 GnS3XZev0 135/204



【梓の使用する部屋】


「ねぇあずにゃん。電気消すよ?」

「はい」

「それではお隣りお邪魔しま~す」モゾモゾ

「むぐ……もっとそっと寄ってください」

「ここからは私とあずにゃんだけの秘密の時間!」

「そういうのいいんで」

「えー。冷たいなぁ」

「唯先輩はどうしてシューターに興味をもったんですか?」

「んー、おばあちゃんにすすめられた。流行ってるから唯ちゃんもやってみない?って」

「おばあちゃんってあのホビーショップの?」

「うん! どうも私才能があるみたいで~でへへ」

「そうですね。唯先輩は正直強いと思いますよ」

「あずにゃんの師匠だもん! 当然当然!」


608 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:47:09.23 GnS3XZev0 136/204



「もし本戦があったとしたら、私唯先輩と戦ってたんですかね」

「どうかなー、トーナメントならあずにゃん勝ち上がってこれる?」

「うーん……純にしか勝てそうにないです」

「だよねぇ……やっぱ経験の差っておおきいよ」

「でもほんとにシューターに出会えてよかったです」

「たのしい?」

「やみつきですね。とくにトリガーを引く瞬間とか、的に当てたときの興奮とか」

「人を撃つのは?」

「それはちょっと……うーん」

「あずにゃんはいい子だね」ナデナデ

「もうっ。やめてください……子供じゃないんだから」

「はいはい。ごめんね、さぁ寝ようか」

「はい……おやすみなさい……唯先輩」

「おやすみ……」




610 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 01:54:41.82 GnS3XZev0 137/204




 モゾモゾ ガサガサ


 んっ。なんだろう……。


「……」


 あ、唯先輩……こんな時間にトイレかな?

 
「……」


 どうしたんだろう。なんだか歩き方が変だ。

 妙にキリっとしてるというか。らしくない。


「……」

ガチャン

 でていっちゃった……。まぁいいかすぐ戻ってくるでしょ。寝よ。


 そう思い再び目を瞑ろうとしたした瞬間、夜の闇を破るけたたましいサイレンの音が建物中に響き渡った。 


616 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:01:57.44 GnS3XZev0 138/204



「なに!? なんなの!」
 
 すぐに飛び起きる。

 背汗がすごい。

 ここ最近ずっと感じていた言い表わせない嫌な感じ。

 予感が現実となったような、そんな恐怖が体中を駆け巡る。


「唯先輩……もどってこない!?」

「唯先輩!」


 着の身着のままドアを開け外へでる。

 そしてすぐさま窓越しに飛び込んできた景色に私は思わず肝を冷やした。

 
 真夜中を照らす赤い光、火事だ。

 隣の棟から火の手が上がっている。それも尋常じゃない勢いで。

 隣の棟……そう、そこはF号棟。私たちがシューターを預けた場所だった。

 どうしよう、どうしよう。頭がうまく働かない。そういえば、唯先輩は!? 


620 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:07:33.75 GnS3XZev0 139/204



「唯先輩! どこ行ったんですか!」

 
 唯先輩のすぐ後に飛び出したはずなのにもう姿が見えない。

 どこ……どこへ行ったの?

 とにかく私も避難しなくては、あの火の勢いだ、ここも直に……そういえば澪先輩達は……。

 
「澪先輩! 律先輩! 火事です! 起きてください!」ドンドン 

 
 しかし中から返事はない。

 こんなに大きな音でカンカンとサイレンが鳴り響いているのにまだ寝ているとは考えにくい。

 一体何が起きているの。

 どうして私はひとりなの。


「あ……ムギ先輩とさわ子先生は……もしかして隣の建物にいるのかも……」


 想像しただけで血の気がひいた。


626 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:12:20.88 GnS3XZev0 140/204




「助けに……いかなきゃ」


 逃げ遅れているかもしれない。

 危険かもしれないが、ここは絶海の孤島。外から消防隊が助けがくることはない。


 それに、シューターも気がかりであった。

 あれは短い間とはいえ、私と苦楽を共にした大事な大事なものなのだ。


「いこう……確か連絡橋は二階だったよね……」


 
 小走りで真っ暗な廊下を駆けていく。 

 相変わらず唯先輩どころか人の気配すらしない。

 なんとも不気味な建物だ。



「唯先輩……ムギ先輩……!!」




629 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:17:34.39 GnS3XZev0 141/204



「……ハァ、はぁ」

 非常時にエレベーターは動かないようになっているらしい。
 
 階段を駆け下り、二階連絡橋に到達。

 すでにこちらまで少し煙がかかっているが、向こう側へと一気に走って渡り切る。


「けほっ……大丈夫。まだ火はここまで来てない」


 
 たどりついたF号棟のホールで、

 私はここ数日ですっかり見慣れた、金色の悪魔と再開した。





634 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:25:44.86 GnS3XZev0 142/204




「ム、ムギ先輩……?」


 信じたくはなかったが、この火災の原因は彼女だった。

 狂ったように四方八方にフルバーストで尿弾をばらまき続けている。

 火力も尋常ではない。

 パソコンのモニターや、よくわからない機械達を容赦なく撃ちぬき、爆発炎上。

 煙ごしに破壊の限りをつくす彼女の姿は、高校でやり合ったときとは比べものにならないくらい恐ろしく、凶悪に映った。

 
「ムギ先輩……何、やってるんですか……?」


 私が呼びかけてもまるで気にすることなく砲撃を続ける。


「ムギ先輩!! 火事なんです! わからないんですか!!」


 ようやく声が届いたのか、彼女は視線だけをこちらに送ってきた。

 怒りと憎悪にまみれた鋭い視線。

 それだけで背筋が凍りついた。


637 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:33:23.65 GnS3XZev0 143/204


 
「梓ちゃん……」

「ムギ先輩! どうしてこんなことを!」

「梓ちゃん……平気?」

「はっ?」

「よかった……」

「な、なんのことですか!」

「いまは詳しく説明してる時間はないの! 早くここを破壊して!!」

「えっ、えっ!」

「あ! 梓ちゃん後ろ!!!」


 とっさに振り向いた。
 
 煙で良く見えないが連絡橋の真ん中に人の影がある。しかしシルエットだけでわかる。

 それは間違いなく、私が探していたあの人。

 手になにか持っている。なんだろう。シューターみたいな……。


 突然小さくフラッシュ。直後、腹部にとても熱いものを感じた。


640 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:39:36.70 GnS3XZev0 144/204




「うっ……なっ」

「梓ちゃん!!」

「ど、どうして……」

「少し外しちゃった」

「唯先輩!! なんで!」

「あずにゃんは失敗作だからね」

「失敗作!? なんのことです!」

「完璧なガンマンにはなれなかったってこと」

「和先輩!」

 
 唯先輩のさらに後ろから現れた和先輩。

 もちろん手にはシューターを構えている。

 しかし唯先輩のも和先輩のも見慣れた型とはちがい、フレームからバレルまで全ておかしな形をしている。


「どういう……ことです」


645 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:45:50.68 GnS3XZev0 145/204




 たずねる以外、何も言葉がでてこない。

 お腹の横をかすめた怪我の痛みが全身を駆け登ってくる。

 しまった。今私、丸腰だ……。

 このまま二人に撃たれたらひとたまりもない。頭ではわかっていても恐怖で足が動かない。


「ふふ、ムギ! もう無駄な抵抗はやめなさい」

「……ッ!」

「マスターデータはすでにあの方がお持ちよ。そこのパソコンを破壊してもなにも意味はないわ」

「なんですって!」

「あずにゃん。私ね。ガンマンになるんだ」

「ガンマン……?」

「ガンマンになっていっぱいいっぱい人を殺すの!」

「はっ?」

「ちょっと唯! あんた何勝手にべらべらと」

「いっぱいいっぱいだよ! それが私たちの幸せ、野望! 生きる意味!」


647 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:51:27.86 GnS3XZev0 146/204



「チッ……まだ完全な洗脳とはいかないようね」

「洗脳!?」

「シューターにはメモリーカードが入ってるって言ってたでしょ?」

「は、はい」

「それは依存性を誘致して、使用者を洗脳する特殊な電波を発していたの」

「えっ」

「それは微々たるものだけど、少しずつ少しずつ人の心を蝕んでいく」

「じゃ、じゃあムギ先輩は!」

「その前にうけとって梓ちゃん」


 ムギ先輩が何かを放ってくる。

 受け取った瞬間になにかすぐわかった。シューターだ。


「琴吹ホビーで開発したシューターよ。もちろん、人体には無害」

「琴吹ホビー……?」




652 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 02:59:40.23 GnS3XZev0 147/204



「タカラ◯ミーのライバル会社よ。うちの系列でもあるの。シューターにおけるシェアは極わずかだけどね」

「じゃあムギ先輩がシューターを破壊してまわってたわけって……」

「裏からの情報で、タカラ◯ミーの陰謀を知ったの」

「やめなさいムギ。陰謀だなんて、これは国家レベルでの機密軍事作戦よ」

「ど、どういうことです」

「シューターをつかった軍事産業」

「!」

「そ! たくさん流行らせて、競わせて、優秀なガンマンを育ててみんなみんな兵隊さんにしちゃうの! 私みたいに!」

「去年の大会の優勝者はいまはどこかの戦地に送られたと聞いているわ」

「……あら、情報通なのね」

「なめないでよ」




654 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:03:59.33 GnS3XZev0 148/204



「どうしてもっと早く教えてくれなかったんです!」

「ごめんねでも」


「もうおしゃべりは飽きたよ」

「!」

「ねぇあずにゃん。それ、試してみたくてうずうずしてない?」

「えっ」

「洗脳とかさー、依存とかそんなの関係なしに、人って撃ってみたくなるもんなんだよ」

「新しいおもちゃって遊んでみたくなるもんなんだよ」

「……」

「かっこいいねあずにゃんのシューター。いったいどんな弾がでるんだろうね」

「……だめですよ」

「撃ってみたい。ねぇ撃ってみたいよね?」

「そんなことないです」

「じゃあ無理やり撃たせてあげる。ばーん!」


657 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:11:45.88 GnS3XZev0 149/204




 再び唯先輩の銃口がフラッシュ。

 無邪気な掛け声とは裏腹に、飛来してくる弾には狂気と明確な殺意がこもっているように感じた。

 直撃するとまずい……。

 打撲や擦り傷ではすまないかもしれない。

 
 私はほぼ無意識的に、体をおもいきり横に逸らし回避行動をとっていた。


「くっ、危な……ッ!」

「あははっ! うまく避けたね! さっすがぁ!」

「ちょっと唯。失敗作とはいえ、殺しちゃだめよ。いろいろ使い道はあるんだから」

「わかってるわかってる~」

「やめてください……やめましょうよこんなこと!!」

「ダメよ。もう引き返すことはできないの」

「おしっこの力は偉大でしょ? とくにおしっこテクノロジーの分野では日本は世界のトップを走っているのよ」

「完璧なおしっこシューターと、完璧なおしっこガンマンがたくさんいれば……戦争の歴史が変わるわ」



661 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:18:46.03 GnS3XZev0 150/204



「そんな……子どもじみた理想で!」

「しかたないじゃない。大人っていつまでたっても子供心は忘れないもの」

「世界征服って。誰もが一度は夢見ることじゃない?」

「……何をいっても無駄なようです」

「梓ちゃん。私が二人の相手をするからここは逃げて!」

「でも……」

「逃さないよ~あずにゃ~ん」

「唯先輩……」

「いまおもいっきり撃ったんだけどさ。すごいよこれ!」

「いままのシューターなんて比べものにならないよ!」

「電気? 火薬かな? 私馬鹿だからどんな仕組みかわからないけど初速から火力まで段違い!」

「ふふ、気に入ってくれたようね。それがタカラ◯ミーの次世代おしっこシューターよ」




666 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:23:36.55 GnS3XZev0 151/204



「あ、あんなイカレた性能のシューターにどう対抗すれば……」

「大丈夫。梓ちゃんのそれも負けず劣らずの性能だから」

「でもこんなので撃ったら傷つけちゃいます!」

「梓ちゃんならできるわ」

「セーブして……戦えってことですか、あの唯先輩相手に」

「えへへへ~♪」

「お願いよ。唯ちゃんはただシューターに操られているだけ」

「シューターを破壊して、しばらく電波から遠ざければ元にもどる可能性はあるの」

「ほんとですか!」

「和ちゃんは私が救って見せる。約束するから」

「ふふ……私を救うですって? バカげてるわ」

「……大丈夫。信じて。あなたを、あなたの先輩たちを」

「……ムギ先輩」

「唯ちゃんを信じて。あの子は必ず元に戻る」

「わかりました……私、やってみます!!」


669 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:29:47.72 GnS3XZev0 152/204



 
その頃


【A号棟屋上】


さわ子「やるじゃない。洗脳されたフリをしてシューターを奪いかえしにくるなんて」

「……先生」

さわ子「でもだめよ澪ちゃん。先生に銃口をむけちゃ」

「……」

さわ子「りっちゃんも! 学校で習わなかった?」

「ふざけるのはいい加減にしてください」

さわ子「うーん、でも私はどうしたらいいの?」

「ここから私たちを逃がして、みんなを元に戻してください」

さわ子「それは私一人じゃ無理ね、だいたいもうデータは私の手元にないもの」

「じゃあどこにある!」

さわ子「んーっとねぇ……内緒!」


674 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:38:45.11 GnS3XZev0 153/204



「私は気は長くない」

さわ子「あら怖いわぁ。澪ちゃんって兵隊になったら絶対大活躍してたのにもったいない!」

「私たちは戦う兵器じゃない。人間だ」

さわ子「だからこっそり兵器に仕立てあげようかとおもったのにぃ」

「ムギが手当たり次第にシューターを壊しまわってたのにはやっぱり意味があったのか」

さわ子「あの子はほんと厄介だったわ」

さわ子「私たちの居場所をつきとめるためにあなた達にも素性を隠して暗躍してたんだもの」

「なるほどな。カードには発信機、盗聴器的な機能も備わってるとみた」

「それでムギは何も言えなかった……? バレたらそこで終わってしまうから?」

さわ子「せいか~い♪ まぁこっちは泳がせてあげてたんだけどね」

さわ子「私たちとしても琴吹ホビーの技術の結晶とも言えるムギちゃんのアレは生で調べたかったし」

さわ子「そしたらやっぱり反撃されちゃった……クスン」

「おい、いい加減にしろよさわちゃん。だいたいあんたは何者なんだ」

さわ子「え~私? それはねぇ……」




676 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:46:08.57 GnS3XZev0 154/204




 「おやおや山中技術顧問。こんなとこで油を売ってるんですか」


「!」

「後ろ! いつの間に!」バッ

さわ子「あ、ど~も~」


 「全く、派手にやってくれたねぇあの子は。せっかく巨額の私財をなげうって作った施設が台なしだよ」

 「唯ちゃんの素直さを見習ってほしいもんだねぇ」


さわ子「といってもムギちゃんのシューターにはそもそも洗脳カードが入ってなかったので……」

 
 「おや、そりゃそうだねぇ。おほほ。年をとるとなんでもすぐ忘れるから困るわぁ」


「なんだこのばあさん」

「……この人……どこかで」

 
 


679 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 03:53:33.54 GnS3XZev0 155/204



さわ子「もう島を出発なされたかと」


 「いいえぇ。孫同然の可愛い子たちを放って一人島をでるなんてできませんよぉ」

 「それにあの子の成長もまだ生で見てないしねぇ」


さわ子「そういえば唯ちゃんとは長い付き合いでしたね」

「さわちゃん、ちゃんと理解できるように教えてくれ」

さわ子「……」

「こちとらセーフティはとうに外してある。まずはこのばあさんから撃ってもいいんだぞ?」


 「近頃のもんは気が短いもんだねぇ。あたしらがもっと若いころは」ブツブツ


「あなたが、全て仕組んだ人ですか?」


 「そうだねぇ。あんまり気はすすまないんだけど」


「なにをいまさら! 詫びる気があるなら最初からするな! いますぐ全て元に戻せ!!」



682 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:00:00.42 GnS3XZev0 156/204



 「それは……無理よ」


 ヒュっという風を切る音と同時に、突然老女が律の視界から消えた。

 おどろいた律は左右をキョロキョロと見渡す。しかしどこにもその姿は見当たらない。


「律! 上だ!!」

「えっ」


 澪の声で見上げた遥か上空にはただ一つ満月。そしてその黄金の輝きの中にある黒い影。

 それはまごう事無き、先ほど目の前にいた老女のもの。


「嘘……だろ?」


 その影は空中でシューターを引きぬく。そして刹那、砲撃。

 その放たれたあまりに強大な弾丸を見て、律は一瞬月が落ちてきたのかと錯覚した。


「でかい! よけろ!!」

さわ子「ちょ、会長! 本気だしすぎ!! わたしまで巻き込まれちゃいますよ!」


687 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:07:27.97 GnS3XZev0 157/204



  巨大なエネルギーの塊がA号棟の屋上部を吹き飛ばす。

 間一髪で隣の屋上へと逃げ延びる律とさわ子。

 しかしそこに澪の姿はなかった。


「澪!! 無事か!!」


 返事はない。律たちがいた場所は土煙と瓦礫に覆われている


さわ子「あなたは人の心配してる余裕はないわよ~?」

「ッ!」

さわ子「私もガンマンの端くれ。いまは教師の裏で、タカラ◯ミーの軍事開発部門技術顧問って役職についてるけどね」

「さわちゃん!!」

さわ子「怒ったってダメよ。さて会長、この後どうします?」

「会長……そうだ! ばあさん! あんたは何もんなんだ! 一体いまの攻撃はなんだ!!」
 
 「……あたしかい? あたしはタカラ◯ミーの創業者……。シューターの生みの親にして、自称世界最強のガンマン」


とみ「一文字とみっていうんだよりっちゃんさん」


689 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:16:09.45 GnS3XZev0 158/204



……


【F号棟】

ホール


「あきらめて降伏しなさいムギ! もう弾も残ってないんでしょ」コツコツ

「ハァ……はぁ」

「にしても大したもんねその装甲。新型のショット10発浴びてようやく壊れるくらいの強度なんて」

「く……なんて威力」

「このシューター。やっぱり最高よ。使いやすさ、威力、反動、連射性能、どれをとっても従来の2倍のスペックをたたき出しているわ」

「そういうの……ずるいと思う」

「そうかしら? 戦争はいつの時代を見ても飛躍的に技術の進歩を促してきたものよ?」

「もちろんこんな危険な物一般には流通なんてしないわ。あくまで局所的に、戦地で使うくらいね」

「……そんなこと、させないんだから……」

「そのボロボロの装甲でまだ戦う気?」

「く……もう、体力が」


693 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:24:59.54 GnS3XZev0 159/204



「あなたはよくやったわ。一人で頑張りすぎよ」

「結果がでなきゃ……意味ないじゃない」

「そう? ここを壊しただけで私たちの計画は向こう数ヶ月は停滞するんだから、それだけでも大きな成果だとおもうけど」

「でもそれじゃ意味ないじゃない!!」

「……むきにならないで」

「それに私たちを倒したところで、結局あなたの会社がとってかわるだけでしょ?」

「そんなことない」

「いいえ、一企業が世界の波に逆らうなんてできっこないわ」

「琴吹ホビーは、裏表なにもない健全な経営を目指します」

「理想よ。シューターは玩具ではなく殺人兵器。これは言い逃れもできない事実」

「力という底なし沼にはまった人間は、自力では決して這い上がることはできないわ」

「そのために私が、梓ちゃんがいる!!」

「やってみなさい。ちっぽけな二人で世界を救い上げることができるならね」

「ま、あなたはここで終わるわけだけど」チャキ


696 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:34:49.94 GnS3XZev0 160/204



「まだよ……琴吹ホビーの技術は並じゃないの!!」

「えっ」


 カチャリという乾いた音とともに紬のまとっていた装甲がパージを開始した。

 ガコンガコンと激しい音をたてて紬を抑えつけていた重金属が床へと落下する。

 そして最後に紬は右腕を隠すように装着した大型ガトリングも取り去り、
 
 その中で貯尿シリンダー、装填の中継役となっていた琴吹製純正シューターを強く手に握り、

 身軽となった体で和のもとへ一直線に走っていった。


「パージ……! 速い!! くそっ」


 和が迫り来る紬めがけて何度も砲撃を繰り返す。

 しかし、紬は圧倒的速度をもってそれをぎりぎりのラインで回避し、さらに距離を詰める。


「いくらそれの威力が高くても! あたらなければどうということはないわ!!」

「!」

 


698 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:42:48.82 GnS3XZev0 161/204




「ならっ! モード変換! 拡散!」

 
 バレルを右向きに回す。

 次に銃口から出てきた弾は視界を埋め尽くすほどに細かく拡散し、無防備な紬に降り注いだ。

 

「きゃああああっ」

「あはははははは! そういうの猪突猛進っていうのよムギ!」


 してやったりと思っているのだろうか。

 涙が浮かぶほどに高笑いする和。 


「さぁて止めにもう一発……」


 しかし和の視界に映ったのは倒れこむ紬の姿ではなく、ただひたすらに金の髪をなびかせ突撃してくる彼女の姿だった。


「な、そんな……なぜ倒れないの!」

「和ちゃん! 覚悟!!」


700 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 04:52:56.05 GnS3XZev0 162/204




 大きく床を蹴り、一気に紬は距離をつめる。

 そして狼狽している和のシューターの先に自らの銃口をぶつけ、発砲。

 べキャリという嫌な音とともに和のシューターのバレルからフレーム部が吹き飛んだ。

 そのまま弾は勢いをやや弱め、和の胸部に直撃。


「……ッ!」


 いくら弱まったとはいえ、いまだボクサーの渾身のストレートほどの威力をとどめる尿弾をモロに受けた和は、

 何かを発することもできずに血反吐とともにその場に倒れこんだ。


「……和ちゃん……シューターは壊したよ。あとは、もうゆっくりしていいんだよ」

「斉藤……あとは、よろしく……むかえに……き」


 和の拡散砲をもろにうけ、紬の全身からはおびただしい赤い液体が滴り落ちる。

 しかし紬は自身の体の奥底からくる全能感に満たされ、その表情はどこか満足気であった。

 やがてふらつくひざを折り、紬はぼやけた闇へと堕ちていった。


703 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 05:02:53.16 GnS3XZev0 163/204



【B号棟屋上】


 ばあさん。どこ行きやがった。

 律はこちらにむかって発砲を繰り返すさわ子を視界の端に捉えながらも、行方をくらましたとみを執拗に捜索していた。

 
「あのばあさんはヤバイ……なんとか、私がひきつけねーと」

さわ子「おい、てめぇなんであたしのこと無視すんだコラ」

「さわちゃんはシューター構えたら性格変わっちまうし、ほんとどうなってんだ」

「澪は無事なのか!? 他のメンバーはどうなってる」

さわ子「おいデコっぱち!」

「うるせぇ! あんたなんてほとんど相手にならねぇって!」

さわ子「っていうのはこれ受けてからにしやがれええ!」

 
 さわ子の暴力的な尿弾が律の体の横を通り抜ける。

 やはり性能はかなり高いようだ。


「っぶねー。さすがに当たったら耐えれないな。おいさわちゃん! 生徒相手になにしてくれんだ」


705 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 05:14:03.52 GnS3XZev0 164/204



さわ子「しるかああ! もう生徒でもなんでもねー! 操り人形にならないならここで死にやがれええ!!」

「本気かよ! っと、危ね!」

 
 さわ子は容赦なく教え子へ殺意のこもった弾を撃ちこむ。

 彼女の放つぼわりとした尿弾はみためとは裏腹にかなりの火力で、それた弾は森に着弾し木々の枝葉を吹き飛ばし地面をえぐる。


「こりゃあやられる前にやるしかないか!」

「へへ、相変わらずドラムスティックよりしっくりくるや」

 
 律は両手に構えたシューターでまずはさわ子に小火力の牽制攻撃をしかける。

 しかしどれもこれもかわされ、または撃ち落される。


「腕はそれなりか……あとは……!」

「さわちゃん! 私に勝てても迫る年波にゃ勝てないぜ」

さわ子「あ゙ーー? ぬぁ~~~んだとーー!!」バビュンバビュン

「へへ、ガンマンはいつでも冷静沈着に。それが絶対の条件だ」

さわ子「うるせー! てめぇはさっさと澪ちゃんとおんなじ所逝きやがれ!!」


706 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 05:19:12.23 GnS3XZev0 165/204



 澪……

 ピクッ


「やめろ……いまは考えるな……私」

さわ子「残念だったなぁ! てめえの幼なじみは一撃でおだぶつだ! 塵になったんだよ!!」

「う、うるせぇ……澪が簡単に死ぬもんか」

さわ子「会長のフルムーンシュートをモロにくらったんだ! 生きてるはずがねぇええ!!」

「黙れ!!」

さわ子「どうしたぁ! 動きが鈍ってるぞ!!」

「くっ」


 激昂した一瞬の隙をつかれた。

 右肩に直撃をうけ、思わず手放してしまったシューターが宙を舞う。


さわ子「くっくっく。いてぇだろ。打撲じゃすまねぇよなぁ!!?」

「うが……いっつ……」



709 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 05:34:37.17 GnS3XZev0 166/204



 なんだこの痛みは……まるで砲丸でもぶつけられたみたいだ。ちくしょうめ。

 律はいままで経験したことのない痛みと恐怖で内心毒づく。

 どうやらさわ子の方が一枚上手だったようだ。

 彼女は激昂することで力を高めるタイプのガンマンで、

 表面上では熱く燃え上がっているが、頭ではいたって冷静に大局を見つめることができる。

   
「……なんだよ、折れてんのかこれ!?」

さわ子「あっはっはっは。二丁拳銃のてめぇが一丁になるってことは、もう戦力は半減以下だな」

「かもな」

さわ子「なーに笑ってやがる」

「いや……なんか、私やばくなると笑っちゃうタイプで」

さわ子「そういえば説教してるときもよく笑ってたな」

「なぁさわちゃん。生徒と教師の間柄じゃん。そのよしみということでここは一つ」

さわ子「答えはノーだ」

「じゃあハンデくれよハンデ! ほら、私もう左手しかシューターもってないし」


710 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 05:45:17.76 GnS3XZev0 167/204



さわ子「んー?」

「な? な? 10秒だけ10秒だけでいいから!」

さわ子「まぁ少しくらい遊んでやっても」

「ほらもう右手とかぷらぷら。ぶら~ん」

さわ子「そりゃ可愛そうに。じゃあ次は左手な」

「んでさぁもうこれ全然動かな……いわけねぇだろ」

 
 さわ子が律の左手に狙いをつけた瞬間に、律は右手で腰の後ろに装着したシューターを手に取り、

 さわ子の腹部めがけて発砲。

 その尿弾はまっすぐ綺麗に飛び、容赦なくみぞおちをえぐる。


さわ子「ぐぉへっ……」

「へへ」

さわ子「でんめぇ……」

「スティックでもシューターでも、予備は持っておくもんだぜ。とくに私みたいなバトルスタイルの人間はな」

さわ子「……やる、じゃねぇか……げほっ」ガクッ


737 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 11:42:25.67 GnS3XZev0 168/204



「……さわちゃん、自首するんだ。頼む、してくれ」

さわ子「なんだと……」

「まだやりなおせる」

さわ子「知った風な口を!!」

「お願いだよさわちゃん……さわ子先生!」

さわ子「……」

「愉快で、優しかった先生に戻ってくれねーか……」

さわ子「教師は……世を忍ぶ仮の姿……」

「じゃあ私らとすごしたあの学校生活は偽物だったっていうのかよ!」

さわ子「……」

「ッ……!」

さわ子「りっちゃん、見事よ。あなたはいつもいつもチャラけたふりして冷静だった……ゲフ、ゲホ」

さわ子「私の見立てが甘かったようね。まぁここまで勝ち残ってるんだもの、強くて当然か……」

「……」

さわ子「前線を退いたらあっという間に弱くなるものなのね……たったこんだけのダメージで、もう体が動かないもの」


744 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 11:53:59.66 GnS3XZev0 169/204



さわ子「さぁとどめをさしなさい。私だってガンマン。ガンマンシップに則った戦いをしたつもりよ」

「……」

さわ子「お願い、最後は人殺しの兵器をつくる研究者ではなく、誇り高きガンマンとして死なせて」

「……何いってんだ、こうなりゃどっちも救えねぇ人殺しだぜ」

さわ子「りっちゃん、かっこ良くなったわね。去年と比べると、顔が引き締まったというか、垢抜けたというか」

「経験ってのは、人を加速度的に成長させる、それがよくわかったよ」

「でもさぁ、これはいくらなんでもあんまりじゃねぇか。こんなことをしてガンマンの高みへ駆け上がるなんて私はごめんだ」

さわ子「優しいのね」

「いいや、澪以上に根は臆病なだけさ」

さわ子「そう……ならもう言うことはないわ」


 そうつぶやくとさわ子は自身のこめかみにシューターをあてる。

 コツリという軽い音がする。

 引き金を絞ったら間違いなく致命傷を負うだろう。


「バッ!さわちゃん!! 死ぬ必要がどこにあんだよ!!」 


746 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:03:05.59 GnS3XZev0 170/204




 律はほとんど反射に近い恐ろしい速さで射撃した。

 もちろん狙いはさわ子のシューターだ。

 パワーをおさえて放たれた尿弾は正確に的中し、さわ子の手からシューターが吹き飛ぶ。


さわ子「……なぜ」

「忘れんなって。私が早撃ちカチューシャ様だぞ」

さわ子「すごいわね……どっちみち私なんかじゃ、はなから敵わなかったのかも」

「自責……あんた、悩んでたんだろ。ほんとにこれでいいのかって!」

さわ子「……」

「だったら自殺なんて馬鹿げたことする前にやることがあんだろ!!」

さわ子「……」

「生徒に説教させるなよ!」

さわ子「……」

「自殺するくらい自分を責める前に! まずはみんなの未来に貢献してみせろ! あんたはそれができる人間だろ!!」

さわ子「……かもね」


747 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:11:14.73 GnS3XZev0 171/204



さわ子「すこし、考える時間を頂戴。大丈夫、逃げたりしないから」

「……信じるよ、さわ子先生のこと」

さわ子「……ありがと」

「全国からシューターをリコールするんだ」

さわ子「私一人の権力じゃどうにもできないけど」

「だからさ、今から私があの会長をなんとかする!! 説得して、そうなるように動いてもらうんだ」

さわ子「一筋縄じゃいかないわよ」

「任せろって! いままでピンチは何度もくぐり抜けてきた!」

さわ子「……ふふ、頼もしいわね」

さわ子(やり直しか……こんな歳からできるのかしら)

さわ子(調子いいわよね。さんざん人をひどいめにあわせてきて……はは……)

さわ子(全部終わったら自首も、しなくっちゃ……)



……




749 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:19:34.38 GnS3XZev0 172/204




【G号棟】

屋上部


 私と唯先輩は、戦いの舞台を連絡橋から屋上へと移していた。
 
 広々した場所でやり合いたい、それが唯先輩の希望だったから。

 私だってそっちのほうが都合がいい。
 
 ムギ先輩が破壊の限りをつくした隣の建物は依然炎でおおわれいる。

 赤い光に照らされた唯先輩の顔が、すこし怖かった。


「あずにゃ~ん♪ やっと相まみえるときがきたんだね」

「……ですね」

「こんな可愛い後輩といまから全力でやれるとおもうと、ドキドキがとまらないよぉ……えへへ」

「……おしっこしていいですか。いまこれに詰まってるのはだれのか知らないおしっこなんで」

「ん。いいよ~あずにゃんのおしっこするとこ見せてー」

「わかりました」



751 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:30:15.07 GnS3XZev0 173/204



 こんな状況でおしっこをすることになるとは、少し前までなら考えもつかなかっただろう。

 私はひとまずシューターを下において、女の子らしい水色の下着に手をかけゆっくりと下ろしていく。

 例によってあそこに触れる部分には小さい染みができていた。おねしょというほどではないが夜寝るといつもそう。

 私の膀胱管理とやらはまだうまくいってないようだ。

 シューターを両手で拾い上げ、幼い秘裂にそっと給水口をあてがう。

 ひんやりとした感触に、すこし身震いしてしまった。


「ほほぉ! あずにゃんは一度しゃがんでからおしっこするんだね! 可愛いなぁ」

「うるさいです」

「はやくしゃーしてよしゃー、ん、じょぼぼぼかな?」

「……ん」

 
 勢いよく噴き出る私の全てがつまった水。

 淫猥な音をたて、臭いをたちこめさせながらシリンダーを徐々に満たしていく。
 
 見られてる、おしっこするとこ唯先輩に見られてる。

 放尿の快感もあいまって、すこしだけ頬が蒸気した。


752 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:39:11.41 GnS3XZev0 174/204




「終わった?」

「ええぇ」


 きっちりとキャップをしめる。

 たっぷんたっぷんに満たされたシューターが光を受けギラリと光る。

 まるで私が引き金をひくのをいまかいまかと待ちかまえているように見えた。


「……セイフティ解除」

「うん! そうだね! それでいいよ!」

「……戦うまえに一つたずねていいですか?」

「んぅ?」

「また、みんな仲良く暮らせますよね?」

「……さー、わかんない!」

「そうですか…………いま、助けてあげますから、唯先輩」

 
 轟々と燃える炎を背景に、私と唯先輩の戦いがはじまった。


754 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 12:46:13.22 GnS3XZev0 175/204




 まずは牽制のつもりでトリガーを指をかけ、そのまま発砲。

 ケタ違いの威力を孕んだ尿弾が唯先輩にむかってまっすぐ飛んでいく。


「わぁ! それがあずにゃんのだしたてほかほかおしっこ!?」

「あたって!」


 思いも虚しく、唯先輩は軽やかに身を横に振り回避する。

 と同時に私の足元ににむかってとびっきりの尿の塊を発射。


「くっ」


 私は真後ろに大きく跳躍して事なきを得る。

 一メートル手前は唯先輩のおしっこでコンクリートがえぐれている。


「なんて威力!」

「えへへ。シュー太二号はお利口さんだね。反動もすくないし、エネルギー効率もいいみたい!」


757 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:05:51.56 GnS3XZev0 176/204




「それはよかったですね」

「あずにゃんはどう?」

「こっちもなかなか……」

「いい感じですよ!!」

 
 声を荒げトリガーを引く。

 ずしんとした重たい衝動。

 いくら反動が軽くなったとはいえ、放出するおしっこエネルギーの総量自体が跳ね上がっているのだ。

 闇夜を切り裂きながら突き進む弾丸。

 回避運動を妨害するために間髪入れず二度三度と連続で撃ちこむ。


「いいね! それだよそれ! やるかやられるか、己の判断力と身体能力だけにたよった危険な駆け引き!」

「この瞬間こそ、私は『生』を実感するよ」


 唯先輩は笑いながら、私の弾丸を撃ち落とす。

 轟音が響き渡り、おしっこの飛沫が四散する。


758 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:12:04.40 GnS3XZev0 177/204



「ふ、当たらないとイライラするよね」

「!」

「でも教えたでしょ? どんなときでも心は冷静に、だよ」

「しってます」


 狙いをつけて砲撃。


「はい外れ」

「唯先輩におしえてもらったこと、全部実践していままで戦ってきたんです!」


 繰り返し砲撃。


「んー、これも当たってやれないなぁ」

「くっ!」

「次はこっちの番かな?」


759 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:17:09.80 GnS3XZev0 178/204




 唯先輩の鋭い眼光がこちらを捉える。

 間違いなくシューター狙いではなく、私の体そのものを撃ちぬく気だ。


「血の海に沈めてあげる~」


 おぞましいほどの満面の笑顔で速射する唯先輩。

 いくつもに連なった殺意の弾が私の小さな体を切り裂こうと飛来する。


「よけなきゃ!!」


 左足に力をいれてそのまま真横に跳躍。

 すんでのところで回避はできたが、次に迫りくる弾が肩口をかすめる。

 シャツが破け、肩が露出する。すこし血が滲んでいる。


「あっ」

「お~ごめんよぉ。一発で楽にしてあげたかったんだけどあずにゃんがよけちゃうから」

「……」


761 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:21:56.47 GnS3XZev0 179/204



「ほらほら! 踊りなよあずにゃん!!」


 声を荒げながら唯先輩は残弾をまるで気にすることなく撃ち続ける。

 このまま撃たせ続けて弾が切れたら。私の勝ちだ!

 補給なんてさせるもんか!


「つッ」


 だからいまは凌ぐだけ。

 腕を、足を、頬を、脇下を弾がかすめ飛んでいく。

 とても体中が熱い。

 傷も熱をもち、隣の炎はさらにそこを焼き焦がすようだ。


「もうすぐ、もうすぐ尽きるはず」


 しかしそんな願いは一瞬のうちにして闇夜に葬られてしまうのだった。

 唯先輩がのこり少ないシリンダーを軽くのぞき込みながら口元をつりあげる。
  


763 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:28:14.94 GnS3XZev0 180/204




「ブレードモード展開」


 そうつぶやくと、駆動音とともに唯先輩のシューターのまわりの大気が振動する。

 なんだアレは。

 残り僅かなおしっこが銃口から噴出しまっすぐに伸び、収束。

 みるみるうちに刃のような形を成形する。

 そしてそれはそのまま重力に逆らい続け、銃先で形を保ったままあらたな武装となる。


「おしっこシューターブレード」

「タカラ◯ミーが新規に開発した特殊バレルによって実現可能になった近接用最終兵器だよ」

「嘘……」

「これはおしっこを切り離す必要がないからね。刃が削れないウチはほとんど無消費で使える」

「ど? かっこいいでしょ」


 ブォンという風切り音と共に唯先輩がブレードをその場で鋭く振り回す。

 想像を絶した機能だった。


766 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:36:36.36 GnS3XZev0 181/204



「それで私は切り裂くんですか?」

「私のおしっこ大好きでしょ?」

「……」

「剣と銃ならこっちの方が有利です!」

「どうかな」

 
 照準をあわせてトリガーを引く。
 
 尿弾は月の光をとりこんで宙を駆ける。

 しかし唯先輩は左右に避ける様子もなく、ただ接近するのを見守っている。


「!?」

「ふふ」

 
 直撃するわずか手前、唯先輩は大きくブレード振り、尿弾を完全に切り払う。


「なっ!」

 


767 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:42:32.82 GnS3XZev0 182/204



「軽いねぇ」

「弾丸を切り払った!?」

「おしっこシューターブレードは攻防一体」

「……」

「さぁ、そろそろ終わりにしようよ!!」

「この距離からでは撃ちぬけない……ならば!!」

「いくよあずにゃん!!」


 力に飲み込まれた唯の黒い陰が、コンクリートを蹴り猛スピードで梓へと肉薄する。


「ッ!! 唯先輩!!!」

 
 梓はそれめがけて何度か発砲するが、全て軽くいなされる。


「あずにゃんあずにゃん! 可愛いあずにゃん!!」


 唯が狂気にも似た笑顔を浮かべた次の瞬間。繰り出されたブレードによる鋭い突きが梓の腹部を貫いた。 


769 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:50:05.30 GnS3XZev0 183/204



「あ……ッ……ぁあ……!!! く、唯せんぱ……」


 おびただしい量の鮮血が闇夜を舞う。どうみても致命傷だ。

 しかし私の体はまだ動いていた。

 決して攻撃を回避できかったわけではない、私はただ、自身を囮にしただけだ。

 力を振り絞り唯先輩の腕を、体をつかみ、引き寄せる。

 おしっこの刀身がさらに深く突き刺さり身をえぐる。


「うぁあああっ!! ……ッ!!」

「あずにゃ……ん?」


 唯先輩は私の命を顧みない行動に驚いて、身を強ばらせる。

 そのままお腹にささったシューターに自分のシューターの銃口をおしあてすぐさま発砲。

 身を裂くような痛みとともに唯先輩のシュー太二号は粉々に爆散した。






770 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 13:55:13.72 GnS3XZev0 184/204




……


「あずにゃん、臭い」

「……」

「おしっこまみれだよ。シュー太、爆発しちゃった」

「……」

「あずにゃん。痛い?」

「……」

「すごいねあずにゃんは。びっくりだよ」

「……」

「いい子いい子……」ナデナデ

「……」

「血、とまらないね。かわいそうに」

「……」

「あれ、おかしいな……」


771 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:01:22.75 GnS3XZev0 185/204




「わぁ見て! 綺麗なお月様だよ!」

「あ! ヘリもきた! おーい!」

「こ と ぶ き って書いてあるよあずにゃん! ムギちゃんと何か関係があるのかなぁ」

「ねぇあずにゃん! あずにゃんあずにゃん!」

「……」

「あずにゃん! 今度のおやすみに一緒に遊園地いこうよ!」

「……」

「ねぇあずにゃん……返事してよー……」

とみ「終わったのかい唯ちゃん」コツコツ

「あ! おばあちゃん! あのね! あずにゃんがこんなとこで寝ちゃったの!」

とみ「おやおや、それは寒いだろうに」

「あれ? なんでこんなとこにいるんだろう。てか何してたんだろうあれ?」

とみ「……唯ちゃん。そうなのね。……強力すぎる洗脳チップも問題だねぇ」

「おばあちゃん? あ! 今度の演芸大会あずにゃんと一緒にでるからね! たのしみにしてて!」


774 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:08:25.57 GnS3XZev0 186/204



とみ「もういいのよ唯ちゃん。あんたはよく頑張った」

とみ「だから、あずにゃんさんと一緒におやすみなさい」チャキ

「えっ」

とみ「壊れた兵隊さんには用はないんだよぉ……」



……



 スコープを覗き込む。化物が唯にシューターを向けているのが映る。

 あいにく向こうまで駆けつけることはできない。

 私、秋山澪はすでに満身創痍だ。あの攻撃に巻き込まれて、体中を瓦礫に引き裂かれてしまった。

 そのまま足は埋もれて動かないし、体の半分以上の感覚がすでにない。

 かろうじで左腕と首が動くだけ。耳もほとんど聞こえない。砂埃で目がかすむ。


「だがまだ死んでない……」





777 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:14:36.85 GnS3XZev0 187/204



 すさまじい激痛の中、腕一本でライフルを抱え、地面を這って行く。

 そして絶好の狙撃ポイントを見つけ出す。

 スコープが指し示す距離はおよそ700M。

 とっさに呟いた。 


「無理だ」


 たしかに私は1200Mのエイムに過去成功している。

 しかしそれは決して一発勝負ではない、コンディションも最高の時の記録。

 いまはどうだろうか。こんなボロボロの体で、さらに風も強い。

 私の経験や、私をとりまく全てが、このスナイピングは不可能だと告げていた。


「でも……唯が……このままだとみんな……」





780 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:23:18.39 GnS3XZev0 188/204




 諦められなかった。

 スコープ越しに不安げな唯の顔と、とみの悪意にみちた笑顔がみえたとき。
 
 心の奥底に闘志の炎がくすぶった。

 
「チャンスは一度きりだ……」

「早く……早くしなければ唯がいまにも撃たれてしまう」


 すぐさま照準の計算を始める。

 風速、風向き、湿度、温度、空気抵抗。ささいな計算ちがいから弾は大きくそれてしまう。
  
 弾丸も一定ではない、おしっこの密度や量、鮮度など、さまざま要素が複雑にからみ合って軌道は大きく変わる。

 またトリガーの絞り方一つでもかなりの質量変化をもたらす。

 この痛みに震える指で正しく引くことができるだろうか。


「ここからだと、かなりポインターが標的から遠のく……」 




782 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:33:27.04 GnS3XZev0 189/204



 
 深呼吸をする。激痛がはしる。

 おそらく器官もおおきく損傷してるのだろう。
 
 しかしかまいやしない。

 私は一度頭の中で組み立てた計算式をスッパリ忘れて、

 次は感覚で照準を探りだす。


「大丈夫。間違いない」


 自分の長年の直感を信じることにした。スコープ内の十字は対象の遥か左上を指し示す。

 もう時間はない。
 
 私は自分のいままでのスナイパー人生全てを駆けてトリガーを引く。

 撃発。
 

 
  


786 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:40:17.28 GnS3XZev0 190/204



 おしっこの弾は想像通りの速度と膨らみで飛沫を散らしながら闇夜を切り裂いて飛んでいく。

 唯、いま行くぞ。願いをこめた弾はさらに加速し爆進する。

 
 だめだ、血を流しすぎた。

 頭がぼんやりとしている。だんだん意識が途切れ出す。

 どうやら着弾を見届けることはできそうにない。

 しかしトリガーを引いた時点で確実な手応えはあった。

 それはもう、間違いなく。


「……ふふ」


 黄金の月下に照らされがら、私はそのままズシャリと崩れ落ちた。






787 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:44:33.81 GnS3XZev0 191/204



……


「ねぇおばあちゃん……どうして、どうして急に倒れちゃったの?」

とみ「か……ク……」パクパク

「どうしたの? お眠?」

とみ「や、やってくれる……この私に直撃させるなんてねぇ」

「痛いのー? 痛いの痛いのとんでけー!」

とみ「グ、触らないで!!」

「ひぅっ!」

とみ「私は……まだ……」ヨロヨロ


「そこまでだぜ、ばあさん」

「あーりっちゃん!!」

「唯……!! 梓!!」

「あずにゃんねー、もう寝ちゃった……」

「えっ……ッ! ……ちっくしょう!!!」


789 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 14:51:22.45 GnS3XZev0 192/204



とみ「なぜ……邪魔を!!」

「ふざけるな! こんなことをしてなんになるんだよ!!」

「りっちゃんこわーい」

「唯をもとにもどせ! 梓をもとにもどせ! みんなを返してくれ!!」

とみ「グ……まさか、あの距離から狙ってくるとはおもわなかったわ」


「澪に撃たれたのか」

とみ「見事だわ……急所をはずして、私は行動不能にだけ陥らせる」

とみ「瀕死重症とは思えない神がかったエイム……やはり、あの子も最強のデバイスとして……ガフッ」

「そうか。あんたらの野望はここで終わりだ」

とみ「く……」

「向こうの空を見ろよ、ムギをここまで連れ込んだのが仇になったな」

とみ「!」

「おーい! おーい! 手をふってよー! わーい! ヘリコプターがいっぱい!!」

「自分たちだけが上手く事を運べると思うなよ」


793 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 15:00:26.89 GnS3XZev0 193/204



「あんたを拘束する」

とみ「!」

「国を巻き込んだタカラ◯ミーの陰謀は世に明るみになるんだ」

とみ「……しかしそれでも人の欲望はとまらないわ、一度手に入れた力を手放すことなんてできやしないの」

「力か……確かに悪用したら恐ろしいなコレは。だけどよ、そのためにガンマンシップを設けたんだろう?」

とみ「……!」

「良心はどこかにあったはずだ。ホビーショップを営むやさしい老人と、軍需産業で幅を利かせる闇の商人」

「どっちがほんとのあんたの顔なんだ」

とみ「……」

「大会を仕組んだのも、シューターを流行らせたのも! シューターを用いた戦争をうみだしたのもあんたなんだろ」

とみ「……そうよ」

「なんで去年と今年で種目をかえた」

とみ「人をだんだん……恐怖にならしていくため」

「毎年参加することでだんだん人を撃つ抵抗を削ぎとっていくってわけか。人が生まれ持った戦闘本能の刺激」

とみ「全ては最強の軍隊をつくりあげるため……洗脳チップもその一環にすぎないのよ」


796 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 15:06:36.39 GnS3XZev0 194/204



「ムギに謝らなきゃなんねぇな」

とみ「……」

「ねーなんの話してるの~?」

「唯。帰ろう。私たちの街へ」

「え? うん! 当然だよ」

「あとの処理は警察やムギんとこに任せよう」

とみ「……」

「あんたも止血しといたほうがいい。死なれちゃ困るからな」

とみ「……そうだねぇ」

「終わった……終わったぞ澪、梓……ムギ」

「……」

「なんか私とてもひどいことをしたような気がするの。ねぇこの心の震えはなんだろう」

「……唯」

「あずにゃんを見ていると……なんだか涙がとまらない、どうして……私は、何……?」

「いいんだ。唯、いまは忘れて眠っていい。眠れ。お前の心が潰れてしまう……」


801 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 15:14:31.12 GnS3XZev0 195/204



 
 迎えのヘリにのって燃え盛る島から一行は脱出した。
 
 タカラ◯ミーのシューターはすぐに全国的に回収されるだろう。

 しばらくは新聞やニュースが話題に尽きることはないだろう。

 
「……みんな」

「?」

「いや……なんでもねぇ」

「難しい顔してりっちゃんへんなのー! に合わないよ」

「唯は元気だな」

「うん! 私は元気ビンビンだよ! でもね、ちょっと頭が痛いかな」

「そういえば、梓と……何か話せたか?」

「えっ」

「……覚えてないか」

「うーん……うーん……あ! なんかね光がピカーってなる前にあずにゃんに『ずっと大好きです』って言われたよ!」

「でもどんな顔だったかは覚えてないや……笑ってたかな、あれ? ていうかいつの話だったっけ?」  


803 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 15:21:45.26 GnS3XZev0 196/204



「澪ちゃんはどこ? ムギちゃんは? 和ちゃんも憂も純ちゃんもいないよ?」

「うん……ほかのに乗ってる、はず」

「そうなんだーみんな一緒に帰れたら楽しいのにな!」

「みんな一緒にか……」

「大丈夫さ。また、やりなおせる」

「さわちゃんだって、あのばあさんだって……たぶん」

「いつからでも心は育て直すことができるさ」

「だから唯……お前、強く生きろよ」

「ほえー?」

「強く、強く……」


 じわーっとした眠気と疲れが襲いかかってきた。

 目を覚ましたらすべて夢だったらいいのに。
 
 そう願いあたしは目をつぶる。となりでは唯が窓から朝焼けをながめキャッキャとはしゃいでいた。

 ヘリは駆動音をまきちらし、薄い雲のかかった空をまっぷたつに割りながら、私たちの街へと飛んでいく。 



861 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 21:47:40.39 GnS3XZev0 197/204



エピローグ

【桜ヶ丘病院】

【中野梓様】


「大丈夫? 起きれる?」

「あ、はい大丈夫です」

「だいぶ顔色がよくなったわね」

「まぁまだお腹のドデカイ傷は癒えませんけど」

「唯ちゃんに……全部教えてないの?」

「だめですよ。唯先輩を悲しませたくありません。だってあれは唯先輩の意思じゃありませんから」

「唯ちゃん。梓ちゃんが目覚めるまでの一ヶ月間、ずっとつきっきりだったのよ」

「そうですか……唯先輩らしいですね。で、ムギ先輩は平気なんですよね?」

「うん! 私は大丈夫! ピンピンしてるわ!」



866 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 21:52:49.82 GnS3XZev0 198/204



「にしても驚きですよ~、まさか琴吹ホビーからの刺客だったなんて」

「なんか、しらなかったとは言え色々ご迷惑おかけしました」

「いいの。おかげでタカラ◯ミーの野望は打ち砕くことに成功したから!」

「あっという間にリコールされましたよね」

「謝罪会見もすごい人だかりでした。あ、はい梓ちゃんケーキ! あ~ん♪」

「い、いらないって! 唯先輩みたいなことしないで」

「唯先輩のは素直にたべるくせにー」

「ちがうもん! べつに意味はないの! いまはお腹すいてないし、それにいろいろまだ食事制限かかってるし」

「うふふ」

「で、唯先輩は? さっきまでそこら辺でゴロゴロしてたのに」

「お姉ちゃんはいまは澪さんのお見舞いにいってるよ」

「澪先輩。まだ歩けないのかな」

「しばらくは無理だろうねー。けどあの人には律先輩がついてるし!」

「そうよ。りっちゃん今回はお手柄だったわ。倒れてる梓ちゃんたち止血してヘリまで運んだりしたのよ」




868 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:00:15.12 GnS3XZev0 199/204



「なんか感謝してもしきれないなー、律先輩なのに……」

「素直になりなよ」

「それと澪ちゃんと一緒に行われた弟さんの手術もうまくいったみたいだし」

「いやー大金を支援するってきもちいいね! わはは!」

(今回ほんと純ちゃんは何もやってないからなぁ……)

「なに憂その顔、なんか文句ある?」

「う、ううん! 純ちゃん偉い偉い!」アセアセ

「あなたたちふたりは洗脳が浅かったの?」

「はい、おそらくお姉ちゃんはとみおばあちゃんのところにメンテナンスにいくたびに洗脳効果を増強されていたのかと」

「憂は自分でメンテナンスしてたんだっけ」

「うん。私は人にはあまり触らせたくないタイプだから」

「ほ、私も危なかったかも……よかった洗脳されなくて」

「うーん、あのね。あの後調べたんだけど、梓ちゃんのシューターにも強力な洗脳電波をだすチップが埋めこまれていたわ」

「えっ、でも私は」

「洗脳されてないものね。使用期間が短かったのかなって思ったけど、どうも違うみたい」


870 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:06:54.70 GnS3XZev0 200/204



「どういうことでしょう」

「きっと梓ちゃんはそもそも洗脳がほとんど効かなかったんじゃないかしら」

「?」

「あー、わかる。催眠術って常日頃から色々ぶつくさ考える人はかかりにくいらしいよ。あと慎重な人とか」

「!」

「唯ちゃんがかかりやすくて、梓ちゃんや澪ちゃん、りっちゃんがかからなかったのはそういう理由かもしれないわね」

「律先輩ってそんなに色々考えてますかね……全然イメージできない……」

「つまり! 天然な人はかかりやすいってのが私の持論! えっへん! だから私には関係のない話だね!」

(そっか、和ちゃん……お姉ちゃんと同レベルなんだね……)

「でも一般的なのは純が言ったとおりだけどさぁ」

「なんかの雑誌で催眠術は頭がよかったり芸術センスがあるちょっとずれた人のほうがかかりやすいって書いてあったよ」

(なんにせよあてはまるよね……くすん)

「つまり私のことを失敗作っていったのは……」

「言葉の意味から考えると、梓ちゃんは催眠にほとんどかかってなかったって事じゃないかしら」

「たしかに向こうとしてはそんなやつが潜り込んできたら都合悪いですよね」


871 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:12:26.19 GnS3XZev0 201/204



「そういや私たちずっと寝てたからほとんど何があったかしらないんだよね」

「今度まとめて聞かせてあげる」

「お姉ちゃんもだんだんよくなってきたし。もう心配はないよね!」

「うん……ほんとよかった」

「お姉ちゃんずっと梓ちゃんにつきそってたんだよー」

「それもう何度も聞いたってー」

「えへへ。どうして照れてるの」

「もー」

「よし! それじゃあみんなで澪ちゃんのとこ行こ!」

「梓の車椅子は私がおしてあげる」

「い、いいよ。ぜったい純はふざけるから」

「なんでわかった!」

「純ちゃんは何が起きても全然変わらないね」クスクス

「ばかにするなぁー!」



872 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:18:40.74 GnS3XZev0 202/204



「あ、ここだここ。純ストーップ!」

「ほいほい」

「なんだか中すごく騒がしいね」

「なにやってるんだろ……」

コンコン ガチャリ

「澪ちゃんお見舞いにきたよ」


「がんばれー! がんばれー!」 ガキン ガキン

「ッ……! 唯には負けたくない」

「いっけぇ!! 和ちゃんのふきとばせー!」 バコォーン!

「NO! 私のモラシエルが!」


「な、なにやってるんですか?」

「あ! あずにゃん見て見て! 琴吹ホビーが開発したいま女子高生をはじめとする若い人たちの間で大流行してるおもちゃだよ!」

「?」

「ベンブレードって言うんだよ! 一緒にやろうよ!」


880 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:24:22.72 GnS3XZev0 203/204


「べ、ベンブレード?」

「こうやってね」ヌギヌギ

「うーん”……」ミチミチ

「ほい! うんちをこのシューター、あ! シューターっていってもあのシューターの事じゃないよ!」

「ベンブレード用のシューター! これにセットして」

「唯! リベンジマッチだ!」

「今度はまけないわ!」

「っしゃあ梓! お前もそこでうんちして次の戦いの準備してろ!!!」

「はっ!?」

「いっくよー! ゴーーー! シューーーゥ!!」

ギュイイイイン ガキンガキン!
ベチャベチャベチャベチャ ペチョ…

「……なに……これ。な、なんか飛び散って……ていうか顔にかかったんですけど……」

「ベンブレードだよ!」

「ふ、ふああああああああ!!!」

THE END


897 : 以下、名... - 2011/05/10(火) 22:36:50.64 GnS3XZev0 204/204


みなさん長いあいだお付き合いありがとうございました
それとこのSSにでてくるタカラ◯ミーと実際のタカラトミーは全然関係ありませんので悪しからず


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