私が寮の自室で目を覚ますと、隣で後輩が寝息を立てていた。裸で。
薄い毛布に身をくるんでいた。
私は、ベッドから転げ落ちた衝撃で覚醒したが、落下のそもそもの原因はこの後輩に違いない。
ベッドを後輩が占領していて、私は押し出される形で落下したのだ。
元スレ
後輩「先輩、女の子じゃダメですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338651212/
デジタル時計がチープに時を刻んでいた。
現在時刻は午前5時。
空はまだ、薄墨を延ばしたように暗かった。
昨日の晩は酒を飲んだ。その他の事を思い出そうとすると、宿酒の頭痛が邪魔をする。
私は後輩と何をしたのか。いや
後輩に何をしたのか。
部屋の中はまだ薄暗かったが
私がベッドからの落下で
覚醒していたことも手伝って
後輩の寝顔は鮮明に見える。
後輩の小さな唇は、殊更に艶めかしかった。
普段二人でいる時も、そんな風に感じたことはなかったのに。
何故だか、愛おしくみえた。
私は後輩の側に近づいてみることにした。
ふわり、と甘い匂いが鼻をつく。ような気がした。
後輩の吐息が私の頬をくすぐった。
私は、何だか急に照れ臭くなって
顔を背けそうになったが
思っていたよりも長い睫毛に気を取られて
後輩の顔を見つめ続けた。
私は、はっとした。
何故後輩が、こんなにも可愛らしく見えるのか。
私とこの子は、放送部の先輩と後輩。
ただそれだけの関係だ。
それ以上の感情は、抱いていない筈だった。
それが、どうにもおかしい。
昨日の晩、一体私はこの子に何をしたんだ?
「…ん、んぅ」
後輩が喉の奥から小さな声を発した。
その声に、一瞬背筋が震えた。
私はこの声を覚えている。
鼓膜に焼き付いたあの熱っぽい声だ。
脳を支配する鈍痛をかき分けて
記憶が蘇る
「や、やっちまった。私…」
思わず、独り言を呟いてしまった。
そうだ、やっちまった。のである。
たちまち、後輩の寝顔が心臓を締め付けて
私は顔を背けてしまった。
見ていられなかった。
セッ○スをすると
相手のことを好きになってしまう。
というのは多くのティーン誌に伝わる俗説だが
それは女の子同士といえど例外ではないらしい。
今わかった。
まさか、酒の勢いに任せて
後輩を食ってしまうとは。
節操なさすぎだろ…私。
この女学院では女の子同士の情事は
よく聞く話だけれども
酒に酔ってセッ○スだなんて
なんというか、花がなさすぎる!
ああ、マジでゴメン。後輩。
だんだんと思い出してきた。
昨日はOBの先輩がバイトをしている
コンビニで缶チューハイを買い込んだ。
帰り道に偶然君と会って
君が私の部屋に来たいというから
招き入れたんだ。
色んな話をした。主にマイクの話だったような気がする。
テレビを見ながら缶チューハイを飲む私を
君はおっさん呼ばわりして
私はそれにちょっと腹を立てて、君に無理やり飲ませた。
そうしたら、たちまちのうちに顔が真っ赤になって
突然君が抱きついて来た。
いや、まてよ。
君から抱きついてきたということは
この責任は君にあるんだよ?
私は悪くないよ。うん。
君が薔薇の香りのシャンプー使ってるのがいけないんだよ?
君が耳元で「いいよ…先輩」ってタメ口聞くから、お仕置きしようとしただけなんだ。
だから私は悪くない!
私は心の中で、後輩に向かって語りかけた。自己正当化の為に。
だがそれも
「んんっ…先輩…駄目です…」
という後輩の寝言の前には
全くの無意味だった。
めちゃくちゃ可愛かったし。
一度奪ってしまった唇は何故
こんなにも愛おしくみえるのか。
こういう関係も悪くない。
まあ、この学校じゃよくあることだし。
さて、二度寝をしよう。
後輩と向かい合うように、私はベッドに潜り込んだ。
あの夜、私は先輩とセッ○スをしました。
先輩は酔っていて、少し乱暴なセッ○スでいた。
先輩は週末になるとお酒を飲みます。
先輩の後をつけているうちにわかったことです。
だからそれを見計らって、先輩の部屋にお邪魔したんです。
お酒のせいにしてしまえば
後腐れがないかなって
そう思ったんです。
好きな人のストーカーをしちゃう女なんて
きっと重たい女なんだろうな。
そう思ったんです。
でも、一度でいいから
先輩に優しくして欲しかったから。
だから、私なりに工夫しました。
別に、先輩の恋人になりたいだなんて
思ってないです。私。
お酒の勢いで気づけばヤっちゃってた。
くらいの認識でいいんですよ?先輩。
だから、抱きしめながら「おはよう」
だなんて
やめてください。
おわり