………………帰路
只野 「もうすぐ夏休みですね」
古見さん 「………………」 コクリ
只野 「今年の夏休みも、お友達と色々できたらいいですね」
古見さん 「………………」 コクコクコク
只野 「そっ……そのときは、その……僕も、誘ってくれたら、嬉しいです」
古見さん 「!」 カリカリカリ……
古見さん [はい。ぜひお誘いさせてください。]
古見さん [只野くんも、誘ってくださいね。]
只野 「! は、はい!」
只野 (い、生きてて良かった……) ジーン
只野 「……ん?」
古見さん [どうかしましたか?]
只野 「いや、あそこにいる二人連れ、瞳と笑介くんじゃないですか?」
古見さん 「!?」
元スレ
【古見さんは、コミュ症です。】 なじみ 「これも秘密です。」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1554483100/
………………
笑介 「………………」
瞳 「もー、笑介くん。いつまでそんな仏頂面してるの」
瞳 「しょうがないじゃん。先生から夏休み前のレクの企画任されちゃったんだから」
瞳 「笑介くんは副級長なんだから、しっかりしないとダメだよ」
笑介 「………………」 ←そもそもお前に勝手にやらされたんだという顔
瞳 「………………」
瞳 「……それもそうだな(イケボ)」
笑介 「!?」
瞳 「やっと分かってくれた、笑介くん? よかったよかった(フツボ)」
笑介 「………………」
プイッ……スタスタスタ……
瞳 「あっ……」
瞳 「……ふーん、私に押しつけて帰っちゃうんだ?」
笑介 「………………」
瞳 「へー。ふーん。なるほどー?」
ピッピッピッ……
笑介 「……?」
瞳 「あ、もしもし? 笑介くんのお母さんですか?」
!?
瞳 「今日、笑介くんと一緒に色々と決めなくちゃいけなくて……」
瞳 「なので、今からお家にお邪魔してもい――」
――パシッ……ピッ
笑介 「………………」
瞳 「……うん。私が家に行くのは絶対イヤだよね?」 ニコッ 「じゃ、ファミレスにでも行こっか」
笑介 「………………」
………………物陰
只野 「………………」 (だ、大丈夫なのかあれはー!?)
只野 (笑介くん、瞳に振り回されてるんじゃ……)
オロオロオロ……
只野 「笑介くん、怒ってないですかね。大丈夫かな……」
古見さん 「………………」
カリカリカリ……
古見さん [大丈夫ですよ。]
只野 「え?」
古見さん [あんなに楽しそうな笑介は、久しぶりに見ました。]
古見さん [キャンプのときも思いましたけど、瞳ちゃんは本当にすごいですね。]
只野 「楽しそう、ですか……?」
笑介 「………………」 ムスッ
只野 (いや、怒ってるようにしか見えないけど……)
………………ファミレス
瞳 「で、どうしよっか。レクの時間、何かやりたいことある?」
笑介 「………………」
瞳 「サッカーとか?」
笑介 「………………」
―――― 『笑介くん。……もしかして ボール怖いの?』
―――― 『笑介くんがそんな風になってくれたら、私のおせっかいなんてもういらないね。』
―――― 『ラァーーーーーーッ!!』 ドムン
―――― 『まだまだゴールは遠いね。笑介くん。』 パァン
笑介 「………………」
瞳 「うんうん。すごくやりたくなさそうだね」
瞳 「じゃあ代案出して、笑介くん?」
!?
笑介 「………………」
笑介 「………………」
瞳 「……あ、私ちょっとドリンクバー取ってくるね」 タタタタタ……
笑介 「………………」
タタタタ……
瞳 「お待たせー。思いついた?」
笑介 「………………」
瞳 「………………」
笑介 「………………」
瞳 「……うーん、何も思い浮かばない? じゃあ、こうしよっか」
笑介 「……?」
瞳 「今から笑介くんの家に行って、代案が思い浮かぶまで私が笑介くんの部屋に居座る」
!?
笑介 「………………」
瞳 「うんうん。それがイヤなら、さくっと考えちゃおっか?」 ニコッ
………………少し離れた席
只野 「………………」
只野 「……ねえ大丈夫!? 本当に笑介くん怒ってない!?」
古見さん [大丈夫です。楽しそうですよ?]
只野 「ほ、本当ですか……?」
只野 (古見さんの言葉を疑うつもりはないが……)
笑介 「………………」 ムスッ
只野 (うちの妹の言動も相当アレだし、あれ絶対怒ってるでしょ!?)
只野 「ど、どうしよう……。兄として謝りに行った方が……」
古見さん 「!?」
カリカリカリ……
古見さん [邪魔をしてはダメです。]
只野 「へ? 邪魔って……」
古見さん [だって……] カリカリカリ…… [笑介と瞳ちゃん、デート中ですよ。邪魔できないでしょ?]
只野 「で、デート!?」
古見さん 「………………」 ニヨニヨニヨ
只野 (古見さん、めちゃくちゃニヤニヤしてる……。めずらしい……)
只野 「古見さんも冗談言うようになったんですね。瞳と笑介くんじゃ全然釣り合わないですよ」
古見さん 「………………」 ガーーーーン
ズーーーン
只野 「え? あれ? 古見さん?」
古見さん 「………………」 ズズズズーン
只野 (沈んでる!? なんかヘンなこと言ったか、僕!?)
只野 「ご、ごめんなさい、古見さん。僕、何か気に障るようなこと言いましたか……?」
古見さん 「………………」 ジーーーッ
古見さん [……笑介は、確かに無口で無愛想でぶっきらぼうです]
古見さん [瞳ちゃんが活発でいい子で、只野くん自慢の妹さんなのは重々承知していますが、]
古見さん [どうか、弟と瞳ちゃんの仲を引き裂かないであげてください。]
只野 「………………」
只野 (……どうしよう。古見さんが何を言っているのか分からない)
只野 「いや、逆ですよ!? 瞳なんかじゃ笑介くんには釣り合わないって言ってるんですよ!?」
!?
古見さん 「……!!」 フルフルフル
古見さん [笑介はそんな大した弟じゃありませんよ。]
只野 「いやいやいや、笑介くんめちゃくちゃイケメンですからね!?
只野 「顔だけじゃなくて行動もイケメンだし、無口なのもクールでイケてるし……」
古見さん [瞳ちゃんはとても活発で、弟を引っ張ってくれています。]
古見さん [何より可愛いです!] フンスフンス
古見さん [私は、将来瞳ちゃんが義理の妹になってくれたらとても嬉しいです!]
只野 (古見さんの考えがとんでもないところまで飛躍している!?)
………………
ワーワーギャーギャーギャー……
瞳 「……あー、なんかごめんね?」
笑介 「………………」
瞳 「うちのお兄ちゃんさー、細やかで気遣いできるくせに、ときどき周り見えなくなるからさ」
笑介 「………………」
瞳 「少しは笑介くんくらいクールになってくれたらいいんだけど」
瞳 (ほんと、バカな兄だなぁ。私たちのことつけてること忘れて騒いじゃうんだから……)
瞳 (ま、硝子さんみたいな美人さんと一緒なら、テンション上がっちゃうのも無理ないかな)
笑介 「………………」
瞳 「もし将来、うちの兄が笑介くんの義理の兄とかになっちゃったらごめんね?」
笑介 「………………」 フッ
瞳 「!?」
瞳 「笑った!? いま笑ったよね、笑介くん!!」
笑介 「………………」 プイッ
瞳 「へぇ~……なるほどねぇ?」
笑介 「………………」
瞳 「笑介くん的にもアリなんだ? うちのお兄ちゃん」
瞳 「ふーん……?」
笑介 「………………」
瞳 「でもさ、笑介くん」
瞳 「もしも万が一、お兄ちゃんと硝子さんが結婚するようなことになったら、」
笑介 「?」
瞳 「……私たち、義理の姉弟みたいになっちゃうのかな?」
!?
瞳 「そうしたら、今よりもっと一緒にいなくちゃいけないね?」
!?
笑介 「………………」
瞳 「あはは、そんなイヤそうな顔しなくてもいいじゃない。傷つくなー」
笑介 「………………」
瞳 「でも、安心してね、笑介くん」
瞳 「笑介くんのコミュ症が治るまでは、私が一緒にいてあげるから」
!?
笑介 「………………」
瞳 「もしそれがイヤならさ、」
ニコッ
瞳 「さっさと、コミュ症治しちゃおうね」
おわり
………………幕間1
瞳 「あ、もしずっと私に構ってもらいたいならコミュ症治さなくてもいいけどね?」
笑介 「!?」
瞳 「っていうか、早く代案出さないと本当に笑介くん家行くからね?」
笑介 「!?」
………………幕間2
只野 「いや、でもやっぱり、笑介くんみたいなイケメンに妹はもったいないような……」
古見さん [どうしてですか。瞳ちゃん、とても可愛いじゃないですか。]
只野 「………………」 ←議論は平行線だが妹が褒められて少し嬉しい。
古見さん 「………………」 ←弟がイケメンというところが本気で理解できない。
おわり