女「ふぅー、ノドかわいちゃった」
女「オロナミンC飲もうっと!」ゴクゴク
女「ぷはーっ! おいしかった! 全部飲んじゃった!」
男「それ……オロナインH軟膏じゃない?」
女「あーっ!!!」
女「いっけなーい! オロナミンCと間違えてオロナイン飲んじゃった!」
元スレ
女「いっけなーい! オロナミンCと間違えてオロナイン飲んじゃった!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553790363/
女「どうしよう、あたし死ぬの? 死んじゃうの?」
男「死にはしないと思うけど……本来飲むもんじゃないからなぁ、オロナイン」
女「ううう……許せない!」
女「これというのも、オロナミンとオロナイン、名前が紛らわしいのがいけないのよ!」
女「大塚製薬を訴えてやる!」
裁判所――
裁判長「これより裁判を開廷します」
女「はーい!」
男「裁判所なんてはじめて来たからワクワクするよ」
裁判長「それでは原告から、言いたいことを言って下さい」
女「遠慮なく!」
女「えーと、あたしはさっきオロナミンCと間違えてオロナインを飲んじゃいました!」
女「これというのも名前が似てるからです! だから賠償金を100万ぐらいよこしなさい!」
裁判長「では続いて被告、どうぞ」
弁護士「えー、ご覧の通り、オロナミンCは炭酸飲料、オロナインH軟膏は軟膏です」
弁護士「普通、間違えません」
裁判長「その通りですね」
女「くぅ……反論できない」
裁判長「勝負ありッッッ!!!」
女「あーあ、負けちゃった」
男「裁判所始まって以来のスピード決着だったらしいね」
男「こうなったら次は、オロナインが飲んでも大丈夫かどうか調べよう」
男「えーっと、成分の欄は……」
1g中にクロルヘキシジングルコン酸塩液(20%)を10mg含有します。
男「クロルヘキシジングルコン酸塩液ってなに?」
女「さあ、クロルヘキシジングルコン酸塩液なんて聞いたことない」
男「どうすればクロルヘキシジングルコン酸塩液のことが分かるかな?」
女「そうだ! 博士ならきっとクロルヘキシジングルコン酸塩液を知ってるよ!」
博士「おお、お前たちか。よく来たのう」
男「博士、クロルヘキシジングルコン酸塩液について教えて下さい!」
女「お願い!」
博士「クロルヘキシジングルコン酸塩液か……こりゃまた厄介な問題を持ち込んできたのう」
博士「よかろう、ではさっそくワシが開発したスーパーコンピュータに入力しよう」
博士「すぐ答えが出るぞ」
ウイーン ガガガガガ バリバリバリバリバリ ドドドドドド
ウインウインウインウインウイン ガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーン
ドドドドドドドドド ウイーン ズガガガガガガガガ ウイーン
バチバチバチバチバチバチ ボボボボボボボボ バババババババババ
ピカーッ!!!
博士「……出る!」
『ワカリマセン』
博士「どうじゃ、画期的じゃろう! 分からないことはちゃんと分からないと答えるのじゃ!」
男「すげー!!!」
女「すごーい!!!」
男「だけど結局、クロルヘキシジングルコン酸塩液の正体は分からなかったな」
女「今のところ、体に不調はないけど……ちょっと不安」
女「あ、そうだ! だったらオロナミンCを飲めば相殺できるかも!」
男「なるほど、飲んでみろよ!」
女「うん!」ゴクゴク
女「ぷはーっ、元気ハツラツゥ!」
女「……ん?」ボコボコ
男「どうした?」
女「なんだかお腹の中で、なにかが暴れてるの!」ボコボコ
男「な、なんだって!?」
女「どうしよどうしよ、全然おさまらない!」ボコボコ
男「は、博士! どうしましょう!?」
博士「うむ、こういう時は……」
博士「スーパーコンピュータにどうすればいいのか聞くんじゃ!」
男「なるほど!」
女「医療までカバーしてるんですね!」
ウイーン ガガガガガ バリバリバリバリバリ ドドドドドド
ウインウインウインウインウイン ガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーン
ドドドドドドドドド ウイーン ズガガガガガガガガ ウイーン
バチバチバチバチバチバチ ボボボボボボボボ バババババババババ
ピカーッ!!!
博士「……出る!」
『ワカリマセン』
博士「どうじゃ、分からないからちゃんと分からないと答える! 素晴らしいコンピュータじゃろう!」
男「すげー!!!」
女「すごーい!!!」
男「じゃ、お医者さん行こっか」
女「うん」
医者「えっ、オロナミンCとオロナインを飲んでしまった!?」
女「はい」
医者「それはまずいことをしましたなぁ」
女「どうしてですか?」
医者「オロナミンCとオロナインH軟膏はともに大塚製薬のエースです」
男「たしかに」
医者「いわば、永遠のライバルなのです」
女「ライバル……!」
医者「そのライバル同士が、同時に飲み込まれてしまうと――」
医者「互いに競争し合い、共に進化してしまうのです」
女「つまり、今私の胃袋ではオロナミンCとオロナインが進化してるってこと?」
医者「おっしゃる通り! ダーウィン・ストマックというわけですな」
医者「おそらく二つとも、すでに生命体のような存在になっているはず」
女「えーっ!?」
男「どうすればいいんでしょう!?」
医者「打つ手は一つしかありませんな」
医者「産むのです」
女「分かりました!」
女「いっけーっ!!!」
オロナミーン オロナイーン
男「なんか出てきた!」
男「産まれたぞ……!」
オロナミンC「……」
オロナイン「……」
男「大丈夫か?」
女「うん、あたしは平気だけど……」
オロナミンC「オロナイン……」
オロナイン「なんだ」
オロナミンC「決着つけようぜ……どっちが大塚製薬のエースなのかよォ!」オロロロロロ…
オロナイン「望むところだ!」オロロロロロ…
オロロロロロロロロロロロロ…
男「ぐっ……なんというオロ気……ッ!」
女「戦いが始まる! どっちが勝つかまるで予想できないわ!」
博士「だったらワシに任せなさい」
博士「スーパーコンピュータにどっちが勝つのか聞くんじゃ!」
男「おおっ!」
女「勝敗予想まで出来るのね! 競馬のこと聞いたら大儲けできそう!」
ウイーン ガガガガガ バリバリバリバリバリ ドドドドドド
ウインウインウインウインウイン ガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーン
ドドドドドドドドド ウイーン ズガガガガガガガガ ウイーン
バチバチバチバチバチバチ ボボボボボボボボ バババババババババ
ピカーッ!!!
博士「……出る!」
『ワカリマセン』
博士「どうじゃな、分からなければ正直に答えるんじゃ! エラーなどでごまかしたりはせん!」
男「すげー!!!」
女「すごーい!!!」
医者「さすがスーパーコンピュータ……」
超高速の攻防は無数の火花を生み、火花は儚く散っていく。
まるで季節外れの花火大会のような様相。
オロナミンCが微笑む。
「やるじゃねえか」
オロナインも口元を緩める。
「貴様こそな」
互いに分かっていた。決着の刻が近いことを。
周囲の人間も分かっていた。次の激突で決まることを。
スーパーコンピュータだけがただ一台、こう呟いていた……。
『ワカリマセン』
しかし、その時であった。
女「やめてーっ!!!」
オロナミンC「!」
オロナイン「!」
激突の寸前、二人を産んだ女が戦いに割って入ったのだ。
女「二人とも、もうやめて!」
オロナミンC「お袋……」
オロナイン「母上……」
女「あなたたちは二人とも、あたしが産んだ我が子なの!」
女「あなたたちがこれ以上傷つく姿なんて見たくない!」
女「まして、どちらかが死んじゃうなんて、絶対……」ウッウッ…
オロナミンC「分かった……戦いはやめようぜ」
オロナイン「うむ、親不孝をするのは私の望むところではない」
女「二人とも……!」
『見テ下サイ、全テ私ノ計算通リデス!』
博士「おおっ! こうなることを読んでいたとは!」
男「すげー!!!」
医者「さすがスーパーコンピュータ……」
オロナミンC「だけどさ、お袋」
女「ん?」
オロナミンC「誰が大塚製薬のエースかっていうのは、きっちり決着をつけときたいんだ」
オロナイン「ああ、こういう選択を委ねるのは卑怯かもしれんが、母上が審判をしてくれないか」
オロナイン「母上の決定なら我々もいさぎよく従う」
女「うん、分かった」
女「今日のあたし、裁判したり出産したり喧嘩を止めたり、とっても忙しかったから……」
女「動き回って汗をかいた時にはやっぱりポカリ!」グビグビ
勝者、ポカリスエット!!!
― 完 ―