女「あ」
男「ん?」
女「肩にカメムシついてるよ」
男「え!? うわっ、マジだ!」
男「キモイキモイキモイ! うわああああああっ!!!」バッバッ
女「だらしない……カメムシ一匹にそんなにあたふたしちゃって」
男「たしかに……」
元スレ
男「なぜ大人になったら虫が気持ち悪くなってさわれなくなったんだろう?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553597962/
男「そういや、こないだ会社で残業してたらこんなことがあったんだ」
男『パソコンのモニターに蛾が……うわぁぁぁぁぁっ!』バッバッ
同僚『蛾ぐらいでそんなビビるなよー』
OL『男さんって虫苦手なんですね』クスクス
男「もうパニックになっちゃってさ」
女「あんたがそんなに虫が嫌いなんて知らなかった」
男「いや……子供の頃はそんなことなかったんだ」
男「子供の頃はカメムシだろうが蛾だろうが、素手で余裕でさわれたし」
男「むしろ虫好きで、4年2組のファーブルだなんて呼ばれてたのに……」
男「いつの間にか虫が気持ち悪くなって、さわれなくなってた」
男「なぜ大人になったら虫が気持ち悪くなってさわれなくなったんだろう?」
女「いつかチコちゃんに叱られるで取り上げられそうな疑問ね」
男「お前、今ハマってるもんな」
男「じゃあ、番組に出演してるつもりで答えてくれよ」
女「んー、そうねえ」
女「虫ってパッと見カッコイイけど、よく観察すると顔とか形とか結構グロテスクじゃない?」
女「大人になるとそれに気づいちゃって、さわれなくなる……みたいな感じかと」
男「絶対ボーっと生きてんじゃねえよっていわれそう」
女「うるさい」
男「でもまあ……大人になるにつれて虫ってそんなにいいもんじゃねえなって思うようになったのはあるかも」
男「毒やバイ菌持ってたり作物荒らしたり、害虫も多いしさ」
女「虫が気持ち悪くなるのはある意味、成長の証なのかもね」
男「いや……だけど!」
女「?」
男「俺、あの頃の輝きを蘇らせたい!」
男「もう一度、少年の心を取り戻したい!」
女「どうするつもり?」
男「決まってるだろ、もう一度虫をさわれるようになるのさ! さっそく特訓だ!」
LV1 アリ
男「……」
カサカサ…
男「ま、これは余裕」ムンズッ
女「さすがにね」
カサカサ…
男「にしても、こうして働きアリを眺めてると結構面白いな」
男「せっせと餌運んでる奴もいれば、どこ向かってるのか分からない奴もいたり」
女「働きアリって結構サボってるのも多いらしいね」
男「ちゃんと餌運んでるけど、バカなのか効率悪いコースを歩いてるアリもいる……まるで俺だな」
男「いつまでもいつまでも見てられるよ……」ボケーッ
女「ちょ、ちょっと……最近疲れてるんじゃないの?」
LV2 カマキリ
男「次はカマキリいってみようか」
女「うん」
男「まあ、こいつは真ん中の棒みたいになってるとこをつかめば……」
ムンズッ
女「よくできました」
女「そういえばカマキリって……」
男「?」
女「お腹にハリガネムシって寄生虫が寄生してることがあるらしいね」
女「水につけると、腹からウネウネしてるのが出てくるんだってさ」
男「うげえ……やめろよ! 一気に気持ち悪くなってきた!」
LV3 バッタ
ピョンッ ピョンッ
男「バッタともなると、だいぶ虫度が上がってきたな」
女「虫度って何」
男「同じ緑色だし、カマキリみたいなもんだけど、奴みたいにつかみやすい場所がないな……」
男「……」
女「LV3ともなると、ためらっちゃう?」
男「ああ……なかなかタイミングがつかめない」
女「そうだ、あれよ! 仮面ライダーだと思えばいいのよ!」
男「そうか、なるほど!」
男「うおおおおっ! ライダーキック!」
ムンズッ
男「よし、バッタも克服だ!」
ピョンッ
男「わっ、顔に飛んできたぁ!」
女「できてないじゃん」
LV4 カブトムシ
男「ここで昆虫の王様の登場か……」
女「頑張って!」
カサカサ…
男「昔はこのツノ一本フォルムが男らしくてかっこよかったけど、今見ると結構気持ち悪いよな」
男「特に裏返ったところなんて……」
女「余計なこと考えない!」
男「よし、いくぞ!」
ムンズッ
男「硬いおかげで、そこまで気持ち悪さはないな」
女「やったぁ! カブトムシもクリア!」
男「いよいよ次がラスト! ラストは――」
LV5 ゴキブリ
ガサゴソ…
男「こいつにしよう」
女「うう……」
女「ねえ、いくらなんでも難度がハネ上がりすぎてない?」
女「四天王の一人目を倒したら、いきなり大魔王と勝負するくらいの感じなんだけど」
男「といってもラストに相応しいのはこいつしかないだろ。やるしかない!」
ガサゴソ…
男「この黒さ、素早さ、燕尾服みたいなフォルム……なにもかもが気持ち悪い。まさに奇跡だ」
女「ゴキブリもそんな褒められ方しても嬉しくないだろうね」
男「だが、俺はこいつを越えて、少年の日の思い出を取り戻す!」
男「いざ、エーミール!」ガバッ
ガサゴソ…
男「速ッ!」
男「今さら気づいたけど、そもそもゴキブリを素手で捕まえること自体が難しい!」
女「新聞紙で叩くのですら避けられたりするしね」
男「このっ! このっ! このっ!」
ガバッ ガバッ ガバッ
男「そこか!」
ムンズッ
男「……」
男「やったぁぁぁぁぁ!!!」
女「ひええ……ホントにやっちゃった」
男「栄光(ゴキブリ)をこの手につかんだぞ!」グッ
グチュッ
男「……あ」
男「あああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
女「早く手ぇ洗ってきて!!!」
ジャー…
男「……」フキフキ
女「大丈夫?」
男「ああ……大丈夫だ」
男「もはやカメムシ如きにあたふたすることはない……」
男「それどころか、俺は虫に目覚めた!」
男「これからもっともっと修行して、虫嫌いを完全に克服してやる!」
女「ま、まあ……頑張って」
<会社>
男「……」カタカタ
カサカサ…
OL「キャーッ、ゴキブリ!」
同僚「ちょこまか動き回りやがって!」
男(……俺の出番だ!)
男「よっ」
ムンズッ
男「もう大丈夫」
OL「え!?」
同僚「お前……ゴキブリ素手でつかめるのかよ!」
男「まあね」
男「つかめるだけじゃないぞ」
男「この通り、撫でることもできるし……よしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」ナデナデナデ
男「なんだったら口でも……」
男「愛してるよ」チュッ
OL「え゛」
同僚「え゛」
男「さあ、お外で逃がしてあげるからね~。かわいいゴキブリちゃん」
……
……
女「ふーん、どんな虫でもさわれるようになったんだ。すごいじゃない!」
男「ああ、だけど……」
女「?」
男「会社では気持ち悪がられて、みんなに無視されるようになったよ……」
女「触らぬ虫に祟りなしなのかもね」
おわり
女の子だけど虫愛ずる姫君、しまいに蚕の幼虫どこからか入手して御満悦、だけど成虫になったのをずっと見つめてたらゾワッときて、その後一切の虫がダメになったとか
ワイ今でも割と平気…だけどタヒにかけでのたくってんのはちとダメになったな
なお「バカの壁」の人、養老孟司さん言うところの「虫眼」は今でも割と利く…と思う
ちなワイ東京生まれ、当時は東京23区内でも山手線外ならいくらもそんなトコあった、ザリガニやハゼ釣り、虫やカエル捕りとかもしてたし