2019年3月31日――
母「元号ー!」
元号「なに、お母さん?」
母「明日はもう4月1日だけど、平成の次の名前考えてあるんでしょうね?」
元号「ちゃ、ちゃんと考えたよ……自分のことだもん」
母「ならいいけど、あんたは毎回毎回ギリギリになってバタバタするから……」
母「後で決めてなかったって泣きついても、お父さんもお母さんも助けないからね!」
元号「大丈夫だよ!」
元号(全然考えてなかった……どうしよう)
元スレ
母「元号ー!平成の次の名前考えた?」元号「ちゃ、ちゃんと考えたよ……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553185526/
元号「今は……昼の12時か」
元号「4月1日までにはまだ12時間もある!」
元号「元号は漢字二つの組み合わせだから、一文字につき6時間も考えられる!」
元号「なーんだ、楽勝じゃないか。焦って損したよ」
元号「12時間もあるんだから……ちょっとぐらいゲームしたって大丈夫だよな」
元号「だって一時間ゲームしても、11時間残るんだから、一文字5時間半も考えられる!」
元号「決めた! 一時間だけゲームしよっと!」
元号「いけっ! いけっ!」ピコピコ
元号「あー、やられたー!」チュドーン
元号「くそー、もう一回!」ピコピコ
元号「うーん、ダメか!」チュドーン
元号「またやられた、今日は調子が悪いな!」
元号「……ん?」
元号「いつの間にか3時になってる! まずい……一時間だけのはずが」
元号「だけど、まだ9時間もあるし……」
友「おーい、元号! 野球しようぜー!」
元号「!」
友「今日は天気いいし、絶好の野球日和だぜ!」
元号「ごめん、今日は……」
元号「いや、待てよ? 一時間だけ野球しても、残りは8時間ある……」
元号「一文字につき4時間も考えられるじゃないか! その方がキリいいし、そうしよう!」
友「どうしたー?」
元号「やるやる! やっぱり僕も仲間に入れてー!」
元号「せりゃー!」カキーンッ
友「よっしゃ、ホームランだ!」
元号「へへっ、どんなもんだい!」
元号「!」ハッ
元号「おい、今何時!?」
友「今? 6時だけど」
元号「なんだってぇ!?」
元号「僕、帰る!」ダッ
友「お、おいっ!」
元号「どうしよう、三時間も野球やっちゃった……」
元号「4月1日まで6時間しかない……」
元号「いやでも、一文字につき三時間かけられるし、それだけあれば変な名前にはならないはず!」
元号「今からちゃんと考えよう! 今から本気出す!」
元号「一文字目はどうしよっかなー……」
元号「久しぶりに天にしよっかなー、いやいや文も捨てがたいな」
元号「んー……悩む」
元号「ふと思ったけど、僕の部屋ってゴチャゴチャしてて汚いな」
元号「気分転換もかねて、部屋の片づけをしよう!」
元号「あ、これはアルバム!」
元号「懐かしいなー、これは僕がまだ大化だった頃の写真だ! 抱いてるお母さんも若い!」
元号「これは天平感宝の時の写真! 大昔には四文字だった頃もあったよなー」
元号「永久なんて時もあったっけ。こっちは久安、これは安元の時の写真……」
元号「これはたしか……天保の頃かな? すごい飢饉があったんだよな……」
元号「僕も色々あったなぁ……」ペラペラ
元号「あー、面白かった!」パタン
元号「ところで、今何時だ?」
元号「ゲ! 9時になってる! もう3時間しかない!」
元号「どうしよう、どうしよう! 僕のバカバカバカバカバカ! アルバムなんか見るから!」
元号「ダメだぁ……焦るとろくな名前を思いつかない! “ああああ”なんかにしたら絶対怒られる!」
元号「日が変わるまであと一時間しかない……!」
元号「いや、待てよ?」
元号「なにも次の名前は4月1日になったとたん、発表するわけじゃないんだ」
元号「まあ、朝の8時ぐらいまでは考えてても大丈夫なはず」
元号「そう考えると、まだ1+8で9時間もあるじゃない!」
元号「なーんだ、心配して損した!」
元号「ふぁぁ……眠くなってきちゃった」
元号「元号決めるのは6時間もあればできるから……3時間くらいなら寝れるな」
元号「よし、今から3時間だけ寝て、夜の2時に起きよう」
元号「一度起きたら、あとは朝まで寝ずに次の名前を考えるんだ!」
元号「これでいける!」
元号「じゃ、おやすみー。ぐぅ……」
チュンチュン… チュチュン…
元号「!」ガバッ
元号「あれ……外が明るい……?」
元号「今何時だ!?」
元号「朝の5時!? しまった、寝すぎたァ!」
元号「どうしよう、どうしよう、どうしよう~~~~~~~~~~!!!」
父「どうしたんだ、朝っぱらから」
母「近所迷惑よ」
元号「お父さん、お母さん!」ドタバタ
父「?」
母「?」
元号「まだ次の名前全然決まってないんだ! 助けてぇぇぇぇぇ!!!」
父「なにい!?」
母「もう、やっぱり! 発表当日朝になってからいうなんて!」
元号「ごめんなさぁぁぁぁぁい!!!」
父「……この名前なら大丈夫だろ」
母「ええ、問題ないでしょ」
元号「間に合ったぁ……」
母「ったく、あんたは! いつもいつもギリギリまで次の名前決めてないんだから!」
母「しばらくはたっぷり家の手伝いしてもらいますからね!」
元号「ひええ、そんなぁぁぁ……!」
母「じゃ、行ってらっしゃい」
父「しっかり平成の次の名前を発表してくるんだぞ!」
元号「うん、行ってきまーす!」
タタタッ…
果たして、元号君の次の名前はなんという名前なのだろうか――
― 終 ―