古泉「いやぁー風邪をひいてしまいました…まぁ一週間は安静とのことなのでゆっくりしていましょう」
これが、始まりであった。
元スレ
古泉一樹が不登校になったようです
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1225725427/
~一週間後~
古泉「まぁ、風邪も治ったので行くとしましょう」
古泉「授業が、かなり進んでるようですね…困ったものです…」
~部活にて~
キョン「転校したのかと思った。」
このキョンのなにげないジョークは古泉の心を切り裂いた。
~次の日~
古泉「雨、ですか…」
古泉は母親が仕事のため家を出た後、電話に手をかけ学校の電話番号を打ち込んでいた。
古泉「まぁ、ぶり返したら嫌なので安静にしていますか…ぷぷっ…アッハッハッハ」
古泉は、普段見ることの出来ない10時台のテレビを新鮮な気持ちで見ているのであった…
そして夕方…
高校生「ワイワイガヤガヤ…」
通学路の近くにある古泉の家は、夕方になると帰宅する高校生の声が聞こえてくるのであった。
古泉「楽しそうですね…僕も明日は学校に行きましょう」
そして夜になり、携帯電話を見ると、涼宮ハルヒからメールが来ていた。
ハルヒ「ちょっと古泉君!!これ以上休んだら罰金よ罰金!!明日は来なさいよ!」
古泉「んふっ…いい友達を持った物です…」
古泉は明日の学校に希望を抱き、眠るのであった。
そして朝、いつものように通学路を歩いていると、
長門「古泉一樹」
長門有希であった。
古泉「おはようございます長門さん。なんでしょう?」
長門「あなたが休むと涼宮ハルヒの状態が不安定になる。理由は多分気まぐれ。でも休まないで。」
授業中、古泉は長門の言葉を思い出していた。
古泉「なぜ長門さんは、気まぐれを私にわざわざ伝えたんでしょう?」
古泉「もしかして…あれが長門有希なりの心配だったのですか?…んふっ…」
古泉は学校を休めば、心配してもらえることに快感を覚えていた。
そして昼休み。
転校してきたこともあってクラスからすこし浮いている古泉は、いつも一人で昼食を食べるのであった。
古泉「今日も一人で昼食、ですか…」
古泉「まぁ静かなのはいいことです」
そういいつつも、グループから離れ一人で昼食を取るのは、なかなか辛いのであった。
古泉「この視線が…クソッ…」
さらに学校をしばらく休んでいた古泉は、さらに注目の的になっているのであった。
そして部活。
古泉が教室に入るとメンバーはそろっていた。
みくる「ヒェー!」
キョン「こらっハルヒ!!」
ハルヒ「覚悟しなさぁい!あっ古泉君!久しぶりね!早速会議を始めるわよ!!」
会議中、涼宮ハルヒは自分の世界に入ってるのであろう、私語をしようが一人でしゃべっていた。
キョン「おいっ古泉」
古泉「なんでしょう」
キョン「お前…クラスに友達いないのか?…あんなお前初めて見たぞ…」
古泉の一人飯は、かなり有名になっているのであった。
古泉こそ気づかなかったが、辺りをキョロキョロしながらカバンの中にある弁当を凄い勢いでかきこむその光景は異様な物であった。
古泉「いやぁ、あれはたまたまですよ。友人が休みだったので」
キョン「そうか…せめて弁当ぐらいカバンから出せよ」
古泉「あっはは…」
古泉は、家では誰の目も気にせず昼食を取れることを思い出していたのであった…
そしてその次の日から、古泉は1日、また1日と休みがちになるのであった。
最初の方は涼宮ハルヒから心配するメールも来ていたのだが、最近はめっきりなくなってしまった。
そして、来週にテストが迫っていた。
古泉「テストですか…これは出ないと、マズいですね…」
そしてテストの日。
案の定、わかるはずもなく酷い点数であった。
古泉「クソッ…学校なんて…」
古泉は部活を無断で休み、一目散に帰るのであった。
その次の日から、古泉は学校を休み始めた。
家でぐうたらするのは快感である。
しかし、夜になると罪悪感がこみ上げてくるのであった。
古泉「今日も…休んでしまいました…明日は…いやでも…クッ…」
季節は夏に向かっていた。
古泉が休みはじめて2ヶ月がたっていた。
古泉「明日は終業式…よし。明日キチンと出て、夏休み明けからは絶対に…」
そして終業式。
A「だれだよあいつw」
B「しるかw」
古泉「やはり、もう…僕の居場所は…」
古泉は終業式が終わるとすぐに帰り、明日から学校が休みなことに感謝していた。
そして一方、
ハルヒ「夏といえば海よ!みんなで海に行きましょう!」
みくる「うっ海ですか…ヒェー!」
キョン「ゴクリ…ハルヒにしては名案だな。メンバーはどうするんだ?」
ハルヒ「もちろんSOS団よ!拒否権は無いわよ!」
長門「…ペラリ…」
みくる「あっあの…同じクラスの友達もいいですか?海に行きたいって行ってたので…」
ハルヒ「鶴屋さんのこと?もちろんいいわよ!!みんなで盛り上がるわよ!!!」
キョン「おいまて、古泉はどうするんだ?」
ハルヒ「もちろん誘うわよ!これでまたリラックスして夏休み明けから学校に来るかもしれないでしょ。」
キョン「お前案外いいやつだな…」
ハルヒ「なっなによ!!バカキョン!!パチーン」
みくる「ヒェー!!」
曖昧サンセンッ~♪
ピッ
古泉「久しぶりにメールが…」
古泉「!!!涼宮ハルヒからです!!!…夏休みに海??」
古泉「皆さんこんな僕を誘ってくれるとは…」
古泉「もちろんいきますっと…」
古泉「皆さんと会うのも久しぶりです…なんですかこう…緊張します…」
そして当日。
古泉は駅前からすこし離れたコンビニで息を落ちつかせていた。
古泉「駅前にいけば皆さんが…ドキドキしてきました…」
古泉「よしっ!!」
古泉「やぁ皆さん!お久しぶりです。」
ハルヒ「あっ古泉君だわ!」
キョン「久しぶりだな。死んだかとおもったぜ。」
みくる「お久しぶりです。古泉さん」
長門「…カチカチ…」
鶴屋「やぁっ!古泉君!」
ハルヒ「じゃあみんな揃ったことだし行くわよ!!!!」
古泉「皆さん…」
クラスに居場所は無かったが、ここにはまだ居場所があった。
行きの電車の中、色々な事を喋った。古泉の知らない事ばかりであった。長門が最近ケータイ小説にはまっていること、谷口が入院したこと、朝倉が戻ってきたこと…
それを今知れたことに、古泉は感謝した。
誘ってくれなければ、一生知らなかったかもしれなかった。
キョン「ところで古泉、夏休みが明けたらウチのクラスで昼飯を食べないか?谷口が入院して、国木田と二人なんだよ」
古泉「もちろんです!ご一緒させていただきます。」
ハルヒ「着いたわよ!!」
そして海。
一同「ワーワーキャーキャー!!」
キョン「ほいっ!」
鶴屋「まだまださっ!」
みくる「ヒェー!」
ハルヒ「でぇい!」
古泉「ふんっもっふ!!!!」
古泉「んふっ…やはりビーチバレーは盛り上がりますね。」
しかし古泉は何か自分が知っているSOS団ではない気がした。
その答えがすぐ近くにあった。
鶴屋さんこと鶴屋晴美だ。
鶴屋がSOS団に以前より溶け込んでるのである。
聞けば、最近は部活にも顔を出してるらしい。
古泉「困り…ましたね」
しかしそんな不安もすぐに晴れた。
鶴屋「ほらっ古泉君も早く!次はビーチフラッグっ!!」
鶴屋がSOS団に溶け込んで何故不安になったのであろう?
むしろ歓迎するべきである、谷口ならいざしれず、鶴屋なのである。
古泉「今いきます!!」
古泉「SOS団も…一段と楽しくなりそうですね…んふっ…」
長門「古泉一樹」
長門有希にふと呼び止められた。
古泉「なんでしょうか?長門さん」
長門「夏休み明けから学校に来ないと大変なことになる。気をつけて。」
古泉「はあ…」
ハルヒ「古泉君~はやく!!」
古泉「はい!!!」
そしてビーチフラッグ
みくる「ドサッ!ヒェー!!」
キョン「朝比奈さんが転けたぞ!…ビン!!」
ハルヒ「いただきっ!!」
古泉「負けませんよっ!!」
そんなことをしながら、楽しい時間は過ぎて行った…
古泉「楽しい1日でした…」
古泉「早く夏休みが明けて欲しい物です」
昨日とは、打って変わっている古泉一樹がそこにいた。
そして、矢のように夏休みは過ぎていった。
カラオケ、バーベキュー、鶴屋宅での飲み会、花火…
同じクラスからは、アドレス変更はでさえ一切こなかったが、SOS団からは夏休み中毎日絶えずにメールが来たのであった。
そして、明日は始業式。
古泉「教室に…入りましょう…」
古泉「!!!!」
そこには、古泉の席が無かった。あるのはニヤニヤ笑う男子とスイーツと、後ろに持ってかれた机…
古泉「クッ…僕にはSOS団があります…負けません!!」
そう、古泉一樹はイジメの対象になっていたのであった。
それもそうである。 しばらく休んだかと思えば、夏休み明けにいきなり顔を出すのだ。
キーンコ~ン…
古泉「予鈴です。席に付きましょう………ッ!!!!」
ガタンッ!!!
男子「ハハハハハハハ!!!!」
座ろうとした瞬間に、イスを引かれていた。
さすがにこれには温厚な古泉もキレた。
古泉「やめろ!!!」
男子「やめろだってwwwwプゲラ」
古泉「クソッ…」
古泉は、小学校時代にイジメていたたかし君のことを思い出していた。
古泉「たかし君に…悪いことをしてしまいました…」
イジメられてわかる、イジメられた側の気持ち。
古泉「とにかく…我慢です…そうだ!!部活の時にSOS団の皆さんに相談しましょう!!」
~昼休み~
古泉「キョンさんのクラスへ行きましょう」
男子「おいコラ古泉」
古泉「(また…)なんですか?」
男子「ちょっとツラ貸せや」
古泉「忙しいのでお断りします。」
男子「いいからこいや!!!」
古泉「いい加減……うわっ!?!?」
力ずくで引っ張られる。古泉でも手がだせなかった。
この時古泉は、役に立たない自分の超能力を恨んだ。
目が覚めたら、校舎裏で壁に座りながらもたれかかる自分がいた。
古泉「ここは…イテッ」
体が痛い。
ようやく思い出した。集団で殴られた後、カツアゲされたのである。
財布の中身はもちろん無い。
古泉「汗水流しつバイトして稼いだお金が…」
携帯は無事であった。
メールが三件、着信が一件。
キョンからだった。メールを返した。
古泉「すいません…今日はいけませんっと…」
そしてまたしゃがみこんだ。
古泉「僕が…何をしたんですか…」
涙が溢れてきた。
???「……一樹」
古泉「ヒッ!?」
長門「古泉一樹」
長門有希が上から覗きこんでいた。
長門有希がいた。
なぜこんなところにいるのだろう?
だが今はどうでもいい。
古泉「…長門さん?」
長門「拭いて」
古泉「え???」
長門「涙が出ている」
知らない間に目から涙がこぼれていた。
古泉「わっ…」
袖で焦って拭き取る。
古泉「ありがとうございます…」
泣いている姿を見られた羞恥心はなぜか無かった。
長門「大丈夫?」
古泉「はい……でもなぜここに長門さんが???」
長門「廊下で引きずられていくあなたを見た」
古泉「…」
長門「何があったかは聞かない。でも私でよければ話を聞く」
古泉「長門さん…」
長門「待って。ケガをしている」
よく見ればあざがたくさんある。今になって痛んできた。
古泉「あはは…では保健室に…」
長門「閉まっている」
古泉「え?」
当たりを見渡すと夕方であった。
古泉はそれほど痛めつけられていた。
じゃあなぜ長門有希はここにいるのだろう。
当たりを見渡せばしばらくそこにいた痕跡がある。
待ってくれていたのである。
それを確認する体力はもう無かった。
古泉「そう…なんですか…」
家にも帰りずらい。
親に心配を掛けたくない。
長門「きて」
古泉「えっ??」
長門「このままだと化膿する。私の家に救急セットがある。ついてきて」
古泉「申し訳ありません…」
二人とも帰路では無口であった。
しかし体力を使いきった古泉にはありがたかった。
そしてマンションについた。
キョンから長門一人暮らしをしている、とは聞いていたが予想以上のマンションである。
ロビーに見覚えのある人物がいた。
朝倉だ。
そこには買い物袋を手にした朝倉がいた。
朝倉「あっ有希と古泉君だ!…どうしたの!?そのケガ!?」
古泉「あはは…」
長門「ちょうどいい。あなたもきて」
朝倉「えっ、ええ…」
聞けば朝倉も同じマンションらしい。
なるほど。だからロビーにいたのか。
とりあえず落ち着いてから話をしましょう、と言った感じで朝倉も話はしなかった。
そして長門の部屋に着いた。
質素な部屋である。
長門「座って」
古泉「失礼します…」
長門「朝倉涼子、お願い」
朝倉「はいはいっと…とりあえず消毒するわね…染みるけどガマンしてね」
古泉「はい…」
一通り消毒が終わった。
朝倉「ふぅ!終わり!」
古泉「手間かけてすいません。ありがとうございます…」
長門「古泉一樹の心拍数が落ち着いたので話を始める。古泉一樹、明日から学校にきてはいけない」
古泉・朝倉「えっ…」
長門「個人的に私も夏休み明けから登校するとどうかなるかと思っていた。私の考えが甘かった。明日から学校へ来るとあなたは死ぬことになる」
古泉「まさか…」
長門「私達はあなたを失いたくないと思っている。信じて」
朝倉「古泉君…」
信じたかったが信じにくい話であった。
登校すると自分が殺されるのである。
古泉「それは…不登校になれってことですか?」
長門「世間ではそう言っている」
古泉「私は…SOS団はどうなるんですか!?学校に来れないなんて…部活が私の居場所なのに!?!?!?」
つい声を荒げてしまった。また涙がこぼれる。
朝倉「大丈夫。大丈夫よ古泉君」
朝倉が手を握ってくれる。
また涙がこぼれる。
古泉「うう…」
長門「進級、進学の話はまたゆっくり日を新ためてはなそう。SOS団の部室は移動が決まっている。」
え??
そんな話は聞いたこともない。
長門「私の家がSOS団の部室になる。放課後はここで集まることにする。あなたもきて」
学校にはいけないがSOS団の部活には参加できるのだ。古泉は心から安堵した。もともと学校側から認可されてるのかも怪しい部である、この際場所は関係ないだろう。
古泉「でも涼宮さん達が…」
長門「大丈夫。安心して」
長門なりになにか考えがあるのだろう。深く問い詰めはしないことにした。
そこまで考えて、古泉は気を失った。
朝倉「わっ!!」
長門「大丈夫。体力を消耗しただけ。布団を用意して」
朝倉「なんだ。はいはいっと♪……でも、有希って案外優しいのね…」
長門「…」
夢を見た。
どんな夢かははっきり覚えていない。
しかし楽しい夢であることは確かだった。
色も覚えている。桜色の夢…
古泉「わっ!!ここは!?」
思い出した。昨日長門の家に行ってから…思いだせない。
髪が顔にあたる。
朝倉「おはよーございますー起きてますかー」
朝倉涼子であった。
朝倉からその後のことを聞いた。実際気を失ったらしい。
朝倉「朝ご飯出来てるからきてね」
いい匂いがしていた。
長門も待っていた。
長門「おはよう。朝ご飯食べて」
噂に聞いていたカレーではなく、目玉焼きにウインナー、パンと言う朝ご飯らしい朝ご飯であった。
どうやら朝倉が作ってくれたらしい。
朝倉・古泉・長門「いただきます」
昨日のことを思い出しながら食べていた。本当に長門と朝倉には言葉では表せないぐらい感謝しなければならない。
そういえば、
あれ…学校は…
そうだ。今日は土曜日だ。
長門「今日は私の家に居て」
古泉「へっ?」
朝倉「まぁまぁ♪昼になったらわかるから♪」
古泉「はあ…」
朝倉がマンガとパソコンを自室から持ってきてくれた。
SOS団の部室にパソコンは必要、らしい。
マンガを読みながら時間をつぶしていると、インターホンが鳴った
ピンポーン…
ピピピピピンポーン!
ドンドンドンドン!
???「…~!!…き~!!!」
朝倉「きたきた♪」
ガチャリ
ハルヒ「ここがnewSOS団部室ね!!素晴らしいわ!!!」
両手に買い物袋ぶら下げた涼宮ハルヒであった。
ハルヒ「古泉君!!元気そうでよかったわ!!」
古泉「涼宮さん!」
ハルヒ「古泉君!人生は長いわ!私はこんなだから、うまく言えないけど…私達と一緒に頑張りましょう!」
どうやら、事情はもう知っているらしい。
古泉「涼宮さん…で、その袋は???」
ハルヒ「有希から聞いてなかったの!?みんなでたこ焼き作るわよたこ焼き!!もうすぐみんな来るわ!!」
聞けば、僕を元気づけるために、朝倉と長門が企画してくれたらしい。また二人に貸しが一つ増えてしまった。
朝倉「さぁみんなが来るまでに用意するわよ~古泉君も手伝って!」
それぞれ役割分担して、用意を始める。僕はプレート、飲み物、食器などの用意。
ハルヒ、朝倉は材料を切ったりしている。
二人とも以前より仲がよくなったようだ。
長門は相変わらず本を読んでいる。長門らしい。
そしてしばらくすると、キョン、みくる、鶴屋が来た。
キョン「よっ古泉」
みくる「古泉さん…」鶴屋「やっ!古泉くん」
古泉「皆さん…」
キョン「湿っぽい話はナシだ。さぁ食うぞ!!」
古泉「はい!」
みくる「もう食べれません~ヒェー!!」
長門「ジュウジュウ」
ハルヒ「ロシアンルーレットって知ってる!?あれやるわよ!!」
キョン「消しゴム入れたの誰だ!!オエッ」
鶴屋「酒だ酒!!!!!もっともってこい!!!」
昨日のことなんてすっかり忘れていた。それぐらい楽しいのである。昨日とは違う涙も出た。笑い涙だ。
同じ涙でもこれほど違う。
僕には友達がいる。不登校でも構わない。
そして夕方。
一同「くったくったぁー!!!!!」
もう入らない。
はちきれそうだ。
そのあたりのあとかたずけが大変だったのは言うまでもない。
キョン「さて…みんなそろそろおいとまするか。一緒に帰ろうぜ。古泉」
古泉「はい。…長門さん、朝倉さん、お世話になりました」
朝倉「いえいえ♪またうちにもきてね」
長門「…」
古泉「…ではまた。」
長門「また月曜日にここで。古泉一樹」
以前のようにまた微笑む自分がいた。
一同「バイバーイ!!!」
帰り道、みくる、鶴屋とは別れ涼宮ハルヒとキョンと帰っていた。
ハルヒ「さぁて!月曜日の活動は引っ越しね!!」
古泉「頑張りましょ…あっ」
古泉は、自分は登校できないことに気がついた。
キョン「お前は長門家でのパソコン配線、模様変え等をまかせる。あと冷たいコーヒーよろしく」
古泉「はい…!!」
ハルヒ「てことだから古泉君!!月曜日は大変よ!!じゃあ私はここで!」
走りさる涼宮ハルヒ。
ふと足を止める。
ハルヒ「古泉君。月曜日、絶対きなさいよ!!!来なければ死刑よ!!」
そう言うとまた走りさってった。
キョンはヤレヤレ、と言った顔をしている。
キョン「ぷっ…素直じゃない奴だな…ハハハ」
二人で笑いあった。
そして月曜日。
親と話をし、在籍日数を稼ぐために休学届けはださないことにした。
古泉「暇ですね…」
古泉「バイトでもしますか」
古泉「コンビニなどどうでしょう」
古泉「んふっ…思い立ったら吉日、早速電話しますか」
プルル…
古泉「もしもし、アルバイトをしたいのですが」
店長「はい!高校生ですか?」
古泉「ウッ…」
ブチっ
古泉「困りましたね…学校へ行かないのに高校生アルバイトと言うのも変な物です」
古泉「アルバイトは諦めましょう」
古泉「そうだ!今日の部活の時に長門さんに今後のことについて聞きましょう」
そしていざ部活へと長門家に向かった。
キョン「遅いぞ」
古泉「やぁ皆さん。お揃いで」
そして一通り長門家の改造を終えた後、長門に質問した。
古泉「これから僕は、どうすればいいでしょうか」
長門「…あなたはどうしたい」
古泉「私は…漠然と大学へ行きたいと思っています」
古泉「しかしこのままでは卒業出来ません」
長門「わかった。心配しないで。今は高校を卒業しなくても大学に入学できるシステムがある」
古泉「そうなんですか」
長門「とりあえず勉強をして」
僕は勉強は嫌いではない。
古泉「さてと…」
家に着いた後、机に向かい数学を開いた。
古泉「…わからない」
それもそうである。古泉は不登校なのだ。
古泉「困りましたね…」
古泉「涼宮さん…いや長門さん!いや…そうだ!上級生の鶴屋さんに聞きましょう!」
古泉「明日の夕方勉強を教えてくれませんか…と」
送信
古泉「今日は寝ましょう。朝になるとメールが来てるはずです」
古泉「…」
古泉「しまったクラナドを見ないと…不登校の醍醐味ですね…んふっ」
チュンチュン
古泉「…」
古泉「朝…ですか」
時計を見ると一時であった。
古泉「昼でしたか」
新着メール一件
古泉「おっと、鶴屋さんからメールです。何々…放課後長門家で待つ、ですか」
古泉「よし。そうと決まれば五時ぐらいに長門家に向かいますとしましょう」
古泉「長門家と言うことは長門さんも勉強をしたい、と言うことでしょうか。いや、私の監視が目的…?」
古泉「今日は部活は無しのハズですし…」
古泉「とりあえず向かいましょう」
…
古泉「うわっ!?」
???「だーれだっ」
古泉「その声は…鶴屋さんですか」
鶴屋「あったりぃ!ちょうどいいや!一緒に行こうよ!…でもいきなりどうしたのっ??勉強なんて…」
…
鶴屋「なるほど…高卒認定か…ってことは学校辞めちゃうのっ???」
古泉「いずれは…そうなるでしょう」
鶴屋「寂しくなるなぁ!ケラケラ…てっか!みんなと一緒の所に進学しちゃいなよ!!」
この鶴屋と言う女、いつも元気である。
古泉「!!!」
肝心な事を忘れていた。
進学先だ。北高の生徒は大体VIP大学へ進学する。
VIP大学の偏差値は高くもなく低くもなく…といったところだが、不登校の古泉には高い壁である。
鶴屋「私はVIP大学を受けるつもりだよっ」
古泉「!!」
古泉「(SOS団の皆もこぞってVIP大学に進学する可能性が高い…)」
古泉「僕もVIP大学を受けるつもりです」
自然と口が動いていた。
鶴屋「おっ!じゃあめがっさ頑張りなさい!!」
そしてその後、長門家で勉強をした後、夕食(カレー)を食べ、帰路につく古泉であった。
古泉「僕の道はまだ終わった訳ではない…」
季節は冬へと向かっていた。
古泉が学校へ行かなくなり、3ヶ月が経っていた。
クラスでは古泉はもう「不登校古泉」として扱われているのであった。
出席をとる時も、古泉が飛ばされ始めていた。
しかし古泉は腐らずに勉強を続けている。
古泉「ふぅ…休憩です」
古泉「めっきり寒くなってきましたね…コタツの中でのアニメ…ふふっ」
古泉一樹は、アニメとパソコンにどっぷりはまっていた。
古泉「ヨロシクノキワミアーwwwっと…」
古泉「!!!!…こんな生活をつづけてたらダメですね…」
古泉「久しぶりにランニングでもしましょう」
時計は、午後7時になり、辺りも暗くなり始めていた。
タッタッタッ…
通りがかった公園に、見覚えのある人影があった。
古泉「あれは…朝倉涼子と長門有希??なぜこんなところに…」
朝倉「もう消しちゃいましょうよ、古泉一樹を♪」
古泉「!!」
長門「だめ。彼も一人の人間。彼にも人生がある」
朝倉「でもこれ以上男子の暴力抑制プログラムが持たないわよ?有希」
長門「多少プログラムに障害が出ても構わない。ただ古泉一樹を傷つけてはいけない」
朝倉「有希は優しいわね♪わかったわ♪」古泉「長門さん…」
ガザっ
朝倉「誰!?」
古泉「マズい!タタタ…」朝倉「誰かいたと思ったんだけど…」
長門「…」
古泉はその晩、パソコンを捨てた。
古泉「こんなものっ!」
バキバキ
古泉「はぁはぁ…僕は優しい人達を裏切るわけには行かない!」
古泉は、その日から毎日五時間勉強した。休みの日は八時間した。苦ではなかった。
そうして、キョン達が二年生の秋を迎えた…
~学校の帰り道~
キョン「修学旅行も終わって、そろそろ受験勉強シーズンだな」
ハルヒ「あぁーまた忌まわしい受験勉強が始まるのね…」
キョン「まぁそう言うな。ハルヒは志望校はどうするんだ?」
ハルヒ「VIP大学よ!そうよ!SOS団皆でVIP大学に進学してSOSサークル作るわよ!!!決まり!!」
キョン「ムチャ言うなよ…」
ハルヒ「私が作るったら作るの!!」
みくる「ヒェー!!」
長門「…」
長門有希は、涼宮ハルヒが世界の中心であり、神のような存在である事を知っている。
長門「(涼宮ハルヒは皆がVIP大学に行くことを望んでいる…)…よかった」
ハルヒ「有希??なんか言った?」
長門「別に」
世界は+に周り始めていた。
古泉「…よし」
勉強の甲斐あって古泉は秋の高卒認定に一発合格した。
古泉「電話しなきゃ…」
プルル…
古泉「長門さん!受かりましたよ!」
長門「…なぜ私に?」
古泉「長門さんは私の命の恩人なので当たり前です。本当に…感謝しています」
長門「…ばか」
その夜は、SOS団皆でお祝いをした。しっちゃかめっちゃかになったのは言うまでも無い。ただ、皆終始笑顔であった。
~一方~
組織A「古泉一樹には失望した」
組織A「古泉一樹に宿っていた超能力が去年から無くなってしまったのだ。そして涼宮ハルヒの観察を怠り自分勝手に行動している」
組織B「では…行動に移すのですね」
組織A「うむ…古泉一樹には悪いが、組織の規約違反の罪で…消えてもらおう」
古泉母「一樹くん~?準備できた??」
古泉「お待たせしましたっと(??いつもと呼び方が違う…まぁいいか)」
ブロロ…
古泉「(ついに僕は今退学届を学校に提出してきた…僕の未来の為に…)」
古泉母「ねぇ一樹くん…約束ってどんな意味だと思う??」
古泉「えっ…(いきなり何を…)約束は、約束でしょう?」
古泉母「違う。そんなことは聞いていない、約束を破ってない??」
古泉「え…(お母さんじゃない!?)」
古泉母「ヤクソクヲヤブッタモノハシヌ、キソク」
キキーッ!!!!
ドン!!!!!!!
古泉「くっ…」
多少の擦り傷はあるが、体は無事のようだ。
辺りの風景には見覚えがあった。
閉鎖空間だ。
古泉「閉鎖空間…!」
組織「ここは閉鎖空間。お前と私しか居ない」
古泉「なっ…お母さんをどこへやった!!」
組織「無事だよ…お前が死んだらの話だがな!!!」
目の前に迫る凶器。刃渡り25センチはあるだろう。
古泉「(終わった…)」
???「~υυЁЫеёжзЮзууοξδ」
組織「なにぃっ!?」
チィン!!
閉鎖空間となった現実の病院の影から何かが飛び出し、凶器をはじいた。
目の前に銀髪の制服を着た少女の後ろ姿が見えた。
ーー長門有希だ。
古泉「…長門さん!!なぜここに!?」
長門「閉鎖空間と現実世界の情報結合を一部解除した。あなたを助けにきた。今のあなたでは勝てない。」
組織「団の一味か…貴様も八つ裂きにしてやる!!」
古泉「くっ…どうすれば…」
長門「あなたは念じていて」
古泉「でも僕にはもう…」
長門「大丈夫」
古泉「…はい!!」
長門有希と組織との死闘が始まった。
長門有希と組織が凄まじい戦闘を繰り返している。
時には閉鎖空間のオブジェとなった車やビルを盾などにしている。
僕は長門有希を援護することができなかった。
攻撃を避けるだけで精一杯なのだ。
組織「ちょこまか逃げやがって…女からだ!!シネ!!!」
古泉「長門さん!!」
振り向いた時には
凶器は長門の背後から腹までを貫通していた。おびただしい量の血が溢れている。
古泉「遅かった…」
長門「ポケット」
古泉「え?」
長門「見て」
最初は誰のどのポケットかわからなかった。だがすぐに気づいた。自分のポケットになにか入っている。
ーーナイフだ。
ナイフであった。
奴の持っているナイフと同じものが入っている。
古泉「えっ…」
何がなんだか解らず。長門の方に顔を向けた。
だが長門は気を失ったのか目を閉じている。
組織「終わりだ…」
長門がこのナイフで何をしろと言うのはわかっている。しかし足が震えるのだ。
僕は組織の任務で人を殺めたこともある。
そのときは悲しみしか後には残らなかった。
しかし今は恐怖が自分を支配している。
組織「手間取らせやがって…次はお前だ…古泉一樹」
タッタッタッタ
奴が向かってくる。
古泉「このままじゃ……このまま僕が死ねば…誰一人に恩返し出来ない!!終われれないんだ!!!!ウオオオオ!!!」
グサッ
組織「な…んだと…」
ナイフは奴の心臓をひとつきにしていた。
組織「がぁ…あ」
古泉「やった…やったぞ…」
組織に勝利したのである。
古泉「僕は…まだ終わらなかった…ハッ!!」
血まみれの少女が横たわっているのに気がついた。
古泉「長門さん!!!」
古泉「長門さん!長門さん!!!」
長門「生きていた…よかった…」
古泉「僕は大丈夫!!それより長門さんが!!!!」
長門「大…丈夫。今情報プログラムは修正しはじめている…すこし痛むだけ」
古泉「よかった…」
古泉は自分の手に握られているナイフに気が付いた。
古泉「長門さん…これは??」
長門「組織が使っていた武器の情報を解析して古泉一樹のポケットに複製をコピーした」
古泉「なぜそんなことを…」
長門「私が留めを刺しても意味がない。あなたが自分の敵を自分で倒さなければ意味が無い」
長門「でも大丈夫…あなたはやっぱり強い人間だった。」
古泉「長門さん…あなたって人は…」
ウィーン!!
機械的な音が鳴り響いた。
古泉「!?」
その音は自動ドアが開く音であった。
ウィーン
キコキコキコ
車椅子に乗った谷口であった。
谷口「ワワワ定期検診~~♪」
谷口「ウオ!?!?!?……すまん……ごゆっくりィ!!!!!」
シャアーーー
彼は長門を抱えこむ僕を勘違いしたのであろう。
彼は猛スピードで車椅子をこいでいった。
古泉「あはは…」
長門「ユニーク」
古泉「さて…」
古泉「組織の一味を殺してしまった…これからどうすればいいんでしょう…」
長門「大丈夫。組織も所詮プログラム。ほかのメンバーもしばらくは手を出してこないはず」
古泉「もし…また襲われたら??」
長門「また…私が守る。それに…あなたには力がある」
古泉「…わっ!?」
古泉の体には超能力が再び宿っていた。
もう古泉は、弱い古泉では無くなっていた。
古泉「さて…おはようございます」
時計はもう昼の一時ではなく朝の7時であった。
古泉「よし…」
長門古泉と組織の戦いから一年がたっていた。
あれからは組織も古泉に干渉することをやめたようだ。
余談だが、鶴屋さんはVIP大学に進学し、朝比奈さんは留年した。(多分涼宮ハルヒが望んだのであろう)
そして、センターも無事終わり明日はついにVIP大学の受験日。
古泉「今日は勉強はやめておきましょう。ちょっと散歩しますか」
川原にきた。
古泉はふと思い出した。
古泉が学校に最後に行った日に、長門有希とここを歩いたことを。
古泉「(懐かしいな…)」
古泉「!!」
見覚えのある制服姿があった。
長門有希だ。
古泉「おーい!!長門さぁーん!!」
長門「…古泉一樹」
古泉「奇遇ですね。どうしてここに?」
長門「考え事をしていた」
宇宙人も考え事ぐらいはするのだろう。
古泉「そうですか…」
腰を降ろした。
長門「明日は受験日」
古泉「はい…」
長門「明日は私の力ではどうすることもできない。手助けもできない。でもあなたなら大丈夫と…信じている」
古泉「まかせてください。みんなで、大学でSOSサークルをやるて約束しましたから」
長門「古泉一樹」
古泉「はい?なんでしょう。」
長門「…大学生になってもまた私の家に遊びにきてほしい」
古泉「…はい!!」
朝になった。
今日はついにVIP大学の受験日だ。
例年通り一段と寒い。
皆とは駅で待ち合わせをしている。
ふと手の中を見る。長門がくれたお守りだ。
古泉「よしっ!……皆さん。お待たせしました」
キョン「よう」
ハルヒ「きたわね!」
みくる「さ…さむいです…」
長門「…」
朝倉「今日も寒いわね♪」
キョン「じゃあ、そろったことだしいくか」
ハルヒ「今日1日に全力をだしましょう!!!あとは運よ。がんばるわよ!!!みんな!!!」
一同「オー!!」
始まった。
あとは今までがんばってきた力を振り絞るだけだ。
…
そして、テストが終わった。
古泉「ふぅ、っと」
坂道を登る。
春先にもなると、朝に着かさねた上着が暑い。
上着を脱いだ。
辺りはすっかり春。桜が咲き、青々とした葉が咲き初めている。
また、日本中の人間の新しい生活が始まる季節。
出会いと別れの季節でもある。
春は「夢の始まり」なのである。
坂を登りきった。
そこでふと似たような光景を見たことがあるような気がした。
古泉「(いわゆるデジャブでしょうか?…まぁいいか…)」
古泉「あっいた」
もう制服姿ではない、すこしおどけて見えた六人の元へかけていく。
古泉「やぁみなさん!古泉です。」
キョン「おそいぞ」
ハルヒ「きたきた!」
みくる「こんにちは。古泉さん」
朝倉「きたわね♪」
鶴屋「今日はめがっさあったかいね!校舎案内は任せなっ!」
長門「…おはよう。古泉一樹」
古泉の新しい生活が始まった。
ー終ー
初SS&ノロマ、設定ミス、携帯すまんかった。
見てくれた人、保守してくれた人ありがとうな!