男「なんだよ!」
女「なによ!」
友「おい二人とも、喧嘩はよせって……」
男「このっ!」ドンッ
女「きゃっ!」ドサッ
ガツッ!
シーン…
友「お、おい……倒れたまま動かないぞ」
男「大丈夫、気を失ってるだけだ」
友「やばくねーかそれ」
元スレ
男「大丈夫、気を失ってるだけだ」友「やばくねーかそれ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1552040647/
男「なんで?」
友「なんでって……意識がないってことは脳みそにダメージいってる可能性あるし……」
男「じゃあ話しかけてみるか」
男「おーい!」
友「大丈夫かー!」
シーン…
友「やばい、全然起きないぞ」
男「大丈夫、反応がないだけだ」
男「反応がないだけなら、いずれ起きる」
友「いやいやいや、んなことないだろ!」
友「とりあえず、息してるのか確認しようぜ!」
男「分かった」
シーン…
友「やべえ、口も鼻も微動だにしてない……」
男「大丈夫、呼吸してないだけだ」
友「呼吸してないだけって……やばいだろ!」
男「呼吸してないだけなら、睡眠時無呼吸症候群の可能性もある」
友「どう見ても睡眠じゃないだろこれ!」
男「とにかく、鼓動を確認してみよう。心臓さえ動いてれば問題ない」
シーン…
友「動いてないぞ!」
男「大丈夫、心臓が止まってるだけだ」
友「早く救命処置しないと!」
男「分かった、分かった」
男「起きろ」
バシッ!
友「殴るのかよ!?」
男「これが一番手っ取り早いんだ。起きろ」
バシッ! バシッ!
シーン…
友「強く殴りすぎだろ! 出血してるぞ!」
男「大丈夫、血が出てるだけだ」
友「もっと他の方法を――」
男「仕方ない、もっと強く殴るか」
友「ちょっ」
男「起きろ、起きろ、起きろ」
バキッ! ドカッ! バキッ!
ボキッ!
ブラーン…
友「首が変な風に曲がっちゃったぞ!」
男「大丈夫、首が折れてるだけだ」
シーン…
友「どうすんだよ、どうすんだよぉ!?」
男「……」
友「さっきまではまだ助かる可能性あったけど、これじゃもう絶望的だ……」
男「大丈夫、諦めるだけだ」
男「こんなこともあろうかと、スコップを持ってきていてよかった」
男「ほら、お前も手伝え」
友「なにするつもりだよ?」
男「こうするんだ」
ザクッ ザクッ ザクッ
友「まさか……」
男「大丈夫、穴を掘ってるだけだ」
男「あとは気を失ってるこいつを……穴に放り込む」ドサッ
友「あくまで気を失ってるって言い張るのね」
男「上から土をかけてしまえば……」パッパッ
男「これでよし」ペタペタ
友「これでよしって……これ完全な死体遺棄じゃねーか!」
男「大丈夫、埋めているだけだ」
男「さ、車に乗って帰ろう」
友「帰るって……いいのかよ、本当に!?」
男「大丈夫、逃げるだけだ」キュルル…
ブロロロロ…
ブロロロロ…
友「……なぁ」
友「これからどうすんだよ? 彼女が行方不明になったって知れたら俺ら絶対疑われるぞ」
友「特にお前は恋人だったんだし……」
男「今日俺らは彼女と会ってないと言い張るしかないだろうな」
友「言い張るしかないって……それでどうにかなるのかよ!?」
男「大丈夫、ほとぼりが冷めるのを待つだけだ」
ブロロロロ…
男「……」
友「……」
まぁ~…… てぇ~……
友「ん?」
友「おい、なんか後ろから『待て』って聞こえなかったか?」
男「大丈夫、幻聴が聞こえてるだけだ」
ブロロロロ…
友(後ろを……)クルッ
友「ゲッ!?」
女「待ぁ~~~……てぇ~~~……」ドドドドドッ
友「ひ、ひいいいっ! 死んで……埋めたはずの彼女が走ってきたぁ! メチャクチャ速いぞ!」
男「大丈夫、追いかけてきただけだ」
女「追いついたわ……」
女「ドアを開けなさい、開けなさい、開けなさい」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
ピシッ…
友「なんつうパワーだ!」
男「大丈夫、窓にヒビが入っただけだ」
女「逃がさないわ!」ババッ
友「完全に回り込まれた! 通せんぼされたァ!」
友「ど、どうしよ!? とりあえず停車した方が――」
男「……」
男「大丈夫、アクセルを踏んで轢くだけだ」グンッ
ブオオオオオオッ
ドゴォンッ!!!
女「ぐぶっ!」
ドザァッ
キキィーッ!
友「やりやがった……こりゃ今度こそ死んだだろ……」
男「大丈夫、最高速度でハネ飛ばしただけだ」
ムクッ
女「ふふふ……やるじゃない」
友「ひいいっ!? まだ生きてるの!?」
男「やはりな……」
男「念のため、ショットガンを持ってきておいてよかった」ジャキッ
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
女「ぐおおおおっ!!!」
友「や、やりすぎだァ!」
男「大丈夫、体に穴があいただけだ」
女「このぐらいなら……すぐ治るわ」シュゥゥゥゥ…
友「ウソだろォ……!? レンコンみたいになってた体が元通りに……!」
男「……」カチッカチッ
男「ちっ、弾切れか」
女「さあ、二人とも……観念なさい。まとめて地獄に送ってあげるわ」ザッザッザッ
友「どうすんだよ、どうすんだよォ!?」
男「大丈夫、今までのことを正直に話すだけだ」
女「私はこの通り、呼吸もしてるし、心臓も動いてる!」スーハースーハードクンドクン
女「どうして私を生き埋めにしたのか……きちんと説明してもらうわ!」
男「分かった、説明しよう」
男「実はかくかくしかじか」
友(本当に正直に話しちゃったよ……)
男「……というわけだ」
女「なーんだ、それだけのことだったの!」
友「……へ」
女「たったそれだけのことで、こんなに怒ってしまってごめんなさい」
男「俺こそ殴ったり、地面に埋めたり、車で轢いたり、ショットガンで撃ったりしてごめん」
女「私が愛してるのはあなただけよ!」
男「大丈夫、俺も愛してるのは君だけだ」
ギュッ…
友「……」
男&女「あ」
女「って、謝るなら彼にも謝らないと!」
女「私たちのケンカに巻き込んじゃってごめんね!」
男「スコップで穴掘らせたり、一緒に逃げたり、散々な目にあわせちゃったな」
男「本当にすまなかった!」
友「大丈夫、どんなことがあろうとも俺はお前達の友人でいるだけだ」
おわり