1 : 以下、?... - 2019/03/06 21:41:12.917 QN2oVIV60 1/33

大男「お客さん」

「なーに?」

大男「お会計10万円になります」

「そんな……ビール一杯飲んだだけなのに……!」

大男「ああ、たしかに“一杯”飲んでくれたな、在庫の分のビールまで全部!」

大男「しかも、ビールだけじゃない! 高級酒のボトルも全部空けやがって!」

「あれれ、そうだっけ?」

元スレ
大男「お会計10万円になります」女「ビール一杯飲んだだけなのに……!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1551876072/

7 : 以下、?... - 2019/03/06 21:45:00.823 QN2oVIV60 2/33

大男「あんたを止めようとした、俺の手下は半殺しにされたし……」

手下「…………」ピクピク…

「あっ、ごめんなさーい!」

大男「はじめての客だからおまけしてやるけど、はっきりいって10万でも安いくらいだ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」

「今すぐATMでお金おろしてきます!」

8 : 以下、?... - 2019/03/06 21:47:35.513 QN2oVIV60 3/33

「あーあ、またやっちゃった……私っていつもこう……」ガックリ…

大男「…………」

大男「やっぱATMはいい」

「え?」

大男「それよりもう夜も更けてきた、家まで送っていくよ」

「いいんですか?」

大男「ああ、このまま追い出して外でまた暴れられても困るしな」

手下「大男さん、相変わらず女に甘いんだから……」

11 : 以下、?... - 2019/03/06 21:50:30.706 QN2oVIV60 4/33

― マンション ―

「ここが私の部屋よ」

大男「ほう、結構いいマンションに住んでるじゃねえか」

「うん、それなりに稼ぎはあるから」

大男「ってことは部屋も当然キレイってわけだ?」

「う……それは……」

ガチャッ

14 : 以下、?... - 2019/03/06 21:53:20.329 QN2oVIV60 5/33

グチャッ…

大男「!?」

大男「――きったねえ! なんだこの部屋!?」

「部屋で一人でお酒を飲んでると、こうなっちゃうの……」

大男「この光景だけ見ると、虎かなんか飼ってるのかって思っちゃいそうだぜ」

大男「しかし、よく苦情が来ないな?」

「幸い、このマンションは防音がしっかりしてるから……」

15 : 以下、?... - 2019/03/06 21:57:26.486 QN2oVIV60 6/33

「他には会社でも……」


課長『いいじゃないか、一杯だけ飲もう』

『いえ、私は……』

課長『俺の酒が飲めねえってのか!?』

「じゃあ一杯だけ……」

……

『……あら?』

課長『ひ、ひいいい……許して下さい……!』


「こんなこともあったりして……」

大男「こりゃだいぶ重症だな……」

16 : 以下、?... - 2019/03/06 22:01:05.504 QN2oVIV60 7/33

「私、バーに通うくらいだし、お酒は好きなの」

「だけど、こんな酒乱じゃうかつに飲めないし、人付き合いもままならなくて……」

大男「…………」

大男「だったら病院行こう」

「!」

大男「病院に行けば、きっとあんたの酒乱の原因が分かるさ」

「でも……」

大男「悪いところがあって病院行くのは決して恥ずかしいことじゃねえ。俺も一緒に行ってやるから!」

「分かった……行ってみる!」

17 : 以下、?... - 2019/03/06 22:04:20.865 QN2oVIV60 8/33

― 病院 ―

医者「えー、精密検査の結果、身体に全く異常はありません」

医者「むしろ、この検査結果だとお酒にはだいぶ強いはずなんですがねえ」

医者「なんで酒乱になってしまうのか……」

「そうですか……」

大男(異常がないのはなによりだけど、結局原因は分からないままか……)

18 : 以下、?... - 2019/03/06 22:08:05.769 QN2oVIV60 9/33

大男「とりあえず、禁酒するしかねえな」

「うん……」

「だけど、私一人暮らしだから、寂しくなるとついつい飲んでしまうの……」

大男「家族はいないのか?」

「うん、幼い頃、父と別れてから、親戚の家を転々として今では一人ぼっち……」

「父との記憶も全然ないわ。今はどこでどうしてるのか……」

大男「そっか……」

19 : 以下、?... - 2019/03/06 22:10:03.242 QN2oVIV60 10/33

大男「だったら、毎晩うちに来いよ。お安くしてやるぜ」

「え、でも、お酒飲んだらまた……」

大男「なぁに、うちはソフトドリンクだってあるんだぜ?」

大男「うちでパーって騒いでいきゃ、家に帰っても寂しいってことねえだろ」

「大男さん……ありがとう……」

21 : 以下、?... - 2019/03/06 22:14:32.441 QN2oVIV60 11/33

― バー ―

大男「ほら、ウーロン茶だ」

「…………」グビッ

「わぁっ、おいしい! これなら酒乱になる心配はないわね!」

手下「もう暴れないで下さいよ~」

「分かってるってぇ~」

アハハハハ… ウフフフフ…

22 : 以下、?... - 2019/03/06 22:17:01.801 QN2oVIV60 12/33

酔客「おう、姉ちゃん」

「は、はい?」

酔客「さっきから見てるけどよ、全然酒飲まねえじゃねえか」

「私は下戸なので……」

酔客「バーにいるのに、酒飲まねえってのは礼儀違反じゃないのかい?」

酔客「酒飲んで、俺といいことしようぜ~」

「や、やめて……!」

大男「お客さん」ズイッ

酔客「ひっ!?」

大男「うちの店は下戸でもウェルカムです」パキポキ

酔客「す、すみませんでした……」

23 : 以下、?... - 2019/03/06 22:19:28.257 QN2oVIV60 13/33

「ありがとうございました……」

大男「なに、俺はみんなに楽しく過ごして欲しいだけさ」

「大男さんって見た目は粗暴そうだけど、中身は誠実なのね」

大男「褒められてるのか、それって……」

「ご、ごめんなさい!」

「ところで、大男さんはどうしてこの店を?」

大男「俺は……元々ぼったくりバーで雇われてたんだ」

「え……」

24 : 以下、?... - 2019/03/06 22:22:46.912 QN2oVIV60 14/33

大男「法外な値段を請求して、俺が出ていって睨みつけるだけで客はみんな金を払っちまう」

大男「だけど、ある日バカらしくなって辞めた」

大男「そして、俺はぼったくりなんかしない、みんなが明るく楽しく飲めるバーを開店することにしたんだ」

「そうだったんだ……」

「いつかあなたとも楽しくお酒を酌み交わしたいな」

大男「俺なんかと飲んだって全然面白くないぜ?」

「そんなことないって」

大男「いずれにせよ、あんたの酒乱が治ってからだな」

「うふふっ、そうね! 早く治さないと……」

25 : 以下、?... - 2019/03/06 22:25:03.603 QN2oVIV60 15/33

スタスタ

「やっと会社終わった! 今日もバーに行こうっと!」


「あの……君……」


「はい?」

26 : 以下、?... - 2019/03/06 22:27:01.387 QN2oVIV60 16/33

紳士「君は……」

「なにかご用ですか?」

紳士「もしかしたら、君は私の娘ではないのかね?」

「ええっ!?」

紳士「よろしければ、身分証明できるものを見せ合いたいのだが……」

「は、はい!」

28 : 以下、?... - 2019/03/06 22:30:03.539 QN2oVIV60 17/33

紳士「間違いない……君は私の娘だ」

「あなたが……お父さん……!」

紳士「会いたかったよ……」

「私も、私もよ!」

紳士「それではさっそく、私の自宅へ――」

「あ、できれば先に寄りたいところがあるんだけど……」

紳士「ああ、いいとも」

29 : 以下、?... - 2019/03/06 22:33:14.956 QN2oVIV60 18/33

― バー ―

大男「へぇ~、まさに運命の再会ってやつだな」

「うん!」

紳士「面影があったから声をかけたのですが、こんなに美しく成長していたとは……」

「美しいだなんて……」

紳士「どうか、お前を手放してしまったことは許して欲しい」

「もちろん! また父娘としてやり直しましょう!」

30 : 以下、?... - 2019/03/06 22:36:25.966 QN2oVIV60 19/33

「それじゃ大男さん、今日はこの辺で!」

紳士「後は父子水入らずで過ごさせていただきます」

手下「毎度ー!」

大男「…………」

手下「いやー、よかったですねえ。彼女、親父さんと再会できて」

大男「おい」

手下「はい?」

大男「ちょっと出かけてくるから、店番頼む」

31 : 以下、?... - 2019/03/06 22:40:32.918 QN2oVIV60 20/33

― 父の家 ―

紳士「美しく成長したねえ。死んだ母さんにそっくりだ」

「ありがとう」

紳士「ところで、子供の頃、私と暮らしてた時のことは覚えてるかい?」

「ごめんなさい……それが全然覚えてないの」

紳士「そうか……どうりで。ならば、好都合だ」

「え?」

紳士「だって、あの頃のことを覚えてたら、私を見たらすぐ逃げ出すはずだからなァ!!!」

33 : 以下、?... - 2019/03/06 22:43:39.283 QN2oVIV60 21/33

紳士「ほら、酒を飲め!」グイッ

「うっ!」ゴボッ

紳士「もっともっとぉ! 酔い潰してやる! あの頃のようになァ!」

「ガバッ、ゴボッ、ゲボッ!」

紳士「ふひひひひ……! 泥酔した我が子を好き放題するのはこの世で一番の快楽だァ!!!」

(この光景……思い出した!)

34 : 以下、?... - 2019/03/06 22:46:47.710 QN2oVIV60 22/33

(私は子供の頃、こいつに酒を毎晩無理矢理飲まされて、その後……!)

(あまりに嫌な思い出だから、今まで封印されてたんだ……!)

紳士「おっ、そのツラ、ようやく思い出したようだな」

紳士「あの時は失敗だった……近所の奴に通報されて、お前と引き離されてしまったからな」

紳士「だが、もう逃がさんぞ! たっぷり可愛がってやる!」

「や、やめっ……」

紳士「ほら、飲めよぉ! ぐでんぐでんになるまでよォ! そしたらたっぷり楽しんでやるゥ!」

「ひいいっ……!」

35 : 以下、?... - 2019/03/06 22:48:35.434 QN2oVIV60 23/33

ピンポーン…

紳士「!」

「た、助けて!」

紳士「無駄だ、外にはなにも聞こえねえよ」

紳士「たとえ警察が来たって、あのドアをこじ開けることはできねえ!」

紳士「さあ、酒を飲め! 酔っ払って俺の人形になるんだァァァ!!!」

36 : 以下、?... - 2019/03/06 22:51:24.129 QN2oVIV60 24/33

ガチャガチャ

紳士「?」

メキメキ…

紳士「え?」

「ドアが力ずくで……」

紳士「バカな! あのドアは頑丈に作ってあるんだ! できるわけが――」



メキメキメキメキメキ… ドカァンッ!!!

38 : 以下、?... - 2019/03/06 22:54:24.936 QN2oVIV60 25/33

大男「お邪魔するぜ」ズイッ

「大男さん!」

紳士「お前はさっきの……! どうしてここに!?」

大男「これでも客商売してるんで、人を見る目にゃ自信があるんだよ」

大男「さっきバーで見たお前の目、ありゃ実の娘を愛してる目じゃなかった」

大男「ただの欲情したオスの目だった」

紳士「くっ!」

「大男さんっ!」ダッ

大男「もう大丈夫だからな」

39 : 以下、?... - 2019/03/06 22:58:21.390 QN2oVIV60 26/33

紳士「何しに来やがった! ヒーローを気取ったつもりか!?」

大男「ヒーロー? 俺は代金を請求しに来ただけだ」

大男「この女が欲しかったら……お会計10万円になります」

紳士「ふざけるなっ! なんで実の娘を手に入れるのに金を払わなきゃならんのだ! ぼったくりだ!」

大男「払えないんなら……体で払ってもらうことになりますねえ」パキポキ

紳士「おのれ……!」

40 : 以下、?... - 2019/03/06 23:01:11.305 QN2oVIV60 27/33

紳士「くそぉぉぉぉぉ!!!」

ガンッ!

大男「…………」

「きゃっ!」

紳士「このっ! このっ! このぉっ!」

バキッ! ドカッ! ゴッ!

大男「…………」

紳士「び、ビクともしない……」

42 : 以下、?... - 2019/03/06 23:04:35.212 QN2oVIV60 28/33

大男「本当は10万発ぐらい殴りたいとこだが――」

紳士「あ、あわわ……」

大男「一発で勘弁しといてやるよ。ただし、とびきり重いヤツをなァ!」


ドゴォッ!!!


紳士「ぎゃばぁぁぁぁぁっ……!」ドサッ…

44 : 以下、?... - 2019/03/06 23:08:07.183 QN2oVIV60 29/33

大男「ケガはないか?」

「うん……ありがとう」

「だけど、せっかく父に再会できたのに……こんな人だったなんて……」グスッ…

大男「…………」

大男「こいつはあんたの父親でもなんでもねえ。ただのクズだ」

大男「きっと今までも大勢の女をここに連れ込んで、ひどい目にあわせてきたんだろう」

大男「通報して、ブタ箱にブチ込んでもらおう。そしたらもう、こんな奴のことは忘れちまえ」

「うん……」

46 : 以下、?... - 2019/03/06 23:11:21.042 QN2oVIV60 30/33

― バー ―

大男「さ、飲みな。こういう時は飲むのが一番だ」

「お酒? でも、また暴れたら……」

大男「暴れたら、俺が止めてやるさ。さ、飲むんだ」

「うん……いただきます」チビ…

「…………!」

「おいしい……」

手下「あれ、酒乱にならない?」

「どうしてだろ……」

47 : 以下、?... - 2019/03/06 23:14:13.914 QN2oVIV60 31/33

大男「多分……あんたが酒乱になる原因は、さっきのクズ野郎が原因だったんだ」

大男「酒を飲まされると、子供の頃のトラウマがよみがえって暴れちまったんだ」

大男「だが、トラウマの元凶であるあいつはもうぶっ飛ばしてやった。だから――」

「酒乱も治ったってわけね……」

「大男さん、本当にありがとう!」

大男「礼をいわれることなんかねえ。俺はただお客に当然のサービスをしただけさ」

48 : 以下、?... - 2019/03/06 23:18:21.734 QN2oVIV60 32/33

「あ、そうだ!」

大男「ん?」

「今の私なら、もう酒乱にならないし、あなたとお酒を酌み交わせるじゃない!」

「ぜひ一緒に飲みましょ!」

大男「あ、いや、俺はまだ仕事中だし――」

「……お願い」

大男「分かったよ、じゃあ飲ませてもらうよ」

「それじゃ私たちのこれからの仲を祝って、カンパーイ!」

大男「乾杯!」

ゴクッ ゴクッ

49 : 以下、?... - 2019/03/06 23:20:15.911 QN2oVIV60 33/33

「おいしい! ねえ、大男さ――」

大男「…………」

大男「ボクは大男です! よろしくお願いします!」シャキーンッ

「あらら……?」

手下「大男さんは酒飲むとこうなっちゃうんですよ。“逆酒乱”とでもいうべきかな」

「これは……治せるのかなぁ?」







―おわり―

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