【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」【前編(上)】
~時は現在に戻って11月23日~
ー教室ー
海老名「ねぇ結衣?何か知ってるの?」
結衣「あうあうああぁ…いやそのえっと…」
蓮「………」
優美子「何だし!?」
葉山「なあ、雨宮。実は小耳に挟んだんだが…君が総武高に来た理由って…」
蓮「………」
海老名「………」
結衣「うぅー…」
優美子「………」
戸部「え?何?隼人くんも何か知ってる感じ?何?あの前歴の真逆って何?ねぇ隼人くーん」
葉山「その…家庭内暴力から逃げるために転校してきたって話、本当なのか?」
蓮「………」
ざわっ・・・ざわざわ・・・ざわざわざわわわざわわ・・・
戸部「えっ……」
結衣「………」
海老名「………」
優美子「………」
蓮「ああ、そうだよ。毎日ボコボコにされるからさ。施設で保護されて一時的な避難という形でここに来たんだ」
戸部「ええぇ…そりゃないっしょ…マジかよ…」
結衣「れんれん…」
優美子「………」
葉山「そっか…こんなとこで聞く事じゃなかったよな。すまない」
蓮「いいんだ。あんまり気にされても逆に困るぐらいだ」
葉山「雨宮、お前ってすごいんだな」
蓮「そうでもない。今は逃げる事しか出来ない臆病者だ。仲間を置いてまで…」
戸部「つかマジ!?マジなの雨宮くんそれマジ?ないっしょーぉマジないわーぁだから初日の顔ボッコボコだったん…?」
蓮「マジだよ」
海老名「大変だったんだね…」
蓮「まあ怪我するとか日常茶飯事だから。大した事じゃない」
結衣「うぅ~!れんれーん!」
結衣「つらかったよね!?大変だったよね!?痛かったよね!?でもね!私たちがいるから大丈夫だよ!」ナデナデ
蓮「ありがとう結衣」
戸部「あぁー!つかマジごめん雨宮くん!何かほら、俺色々さぁアレだったっしょーぉ…?」
蓮「気にするな」
戸部「雨宮くんかっけぇわーぁ…」
優美子「…っ!」ガタッ
葉山「………」
戸部「ちょ優美子?どこいくん?ちょ!おーい!」
ガラララッ
ざわざわ・・・家庭内暴力ってマジかよ…ざわわ・・・えっじゃああの前歴の噂は…?
ざわわわ・・・誰かのでっちあげじゃねーの…?ざわざわ・・・ひでぇ事するよな…
ざわわ・・・確かに最初来た時の彼って顔傷だらけだったよね…ざわざわわ・・・前歴って嘘…?
蓮「………」
葉山「雨宮、気が進まないかもしれないが優美子を追いかけてやってくれないか?その方がいいと思うんだ」
蓮「ああ、わかった」タタッ
ガラララッ
八幡(暴露は済んだ。後はお前にしか出来ない事だぞ葉山)
葉山「みんな聞いてくれ!」
ざわ・・・
葉山「雨宮についての悪い噂があるのは俺も知ってた。同時に家庭内暴力の被害を受けて転入してきた事も。本当の事を言うべきだったのに黙ってたせいで雨宮に悪い事をしたよ…」
葉山「皆にも悪かったと思ってる。雨宮は一時的にここに来ただけだから、噂が流れてるうちにいなくなるんなら放っておけばいいんじゃないかとそう思って何も言わずにいたんだ」
葉山「でも…それじゃ雨宮にとって、この学校での良い思い出は何もなかった事になる。それどころか避難してきた先で辛い思いをさせられたって事になる」
葉山「それはよくない事だと思うから。それに皆も雨宮を誤解したままで、悪い噂に踊らされたままじゃ絶対に後悔すると思ったんだ」
葉山「そりゃいつか雨宮が来た事を忘れてしまうかもしれない。だけど事実を知った上でなら少なくとも悪い噂に踊らされた情けない愚かな自分を悔やむ事はなくなると思う」
葉山「こう思うのは俺のエゴだよ…エゴなんだ。だけど、だからこそ皆にも似たような後悔をもたせたくないんだ」
葉山「例の悪い噂を流した犯人がこの中にいるなんて俺は思いたくない。そもそもどこから出た噂かわからないしな。だから…犯人探しのような事はしないつもりだ」
葉山「あいつと話してみればわかる。あんな噂はでっち上げだってわかるほどのいいヤツだってね。皆、俺の話を黙って聞いてくれてありがとう」ニコッ
戸部「……おつかれ!隼人くーん!」
葉山「ああ」
海老名「なんか喉渇いちゃったし、たまにはジュースでも飲みにいかない?皆でぞろぞろと」
結衣「いいねぇ~!じゃあたしミルクティ!」
葉山「………」チラッ
八幡「………」ウムウム
ざわざわ・・・ざわざわざわ・・・ざざざわざわわ・・・
戸塚「すごかったねえ八幡」
八幡「ああ、そうだな」
戸塚「これで蓮の悪いイメージが変わるといいね」
八幡「まあな。せっかくクラスの大将があんな臭いセリフ堂々と吐いたんだからな。そうでなくちゃ報われない」
戸塚「ほあ~…」
八幡「ん?どした?」
戸塚「いや…八幡が葉山くんを良く言うなんて珍しいなって思って」
八幡「まあ…たまにはな。たまーにだけな」
ー校舎 屋上ー
優美子「………」
蓮「やあ」
優美子「…何しに来たし」
蓮「葉山が行ってくれって言うから来た」
優美子「はぁ…?そういうの普通言う?」
蓮「言わないんじゃないかな」
優美子「じゃ言うなし」
蓮「言ったものは仕方ない」
優美子「何それ…」
蓮「…寒いな」
優美子「じゃ帰れし」
蓮「あのさ」
優美子「何だし…」
蓮「その何々"し"って口癖?」
優美子「は?だったら何だし!?」
蓮「いやボケならわかりづらいしつまんないなと思って」
優美子「ボケてねーし!」
蓮「そっかし」
優美子「無理に真似すんなし!」
蓮「してみるし」
優美子「うざいし!」
蓮「そうかなし?」
優美子「あーもう!何なん!?」
蓮「し、付けなかったなし」
優美子「バッカじゃないの!?」
蓮「頭いいし知識の泉だし」
優美子「嘘つけし!」
蓮「前の学校で学年トップだったし」
優美子「えっマジ!?」
蓮「マジだし」
優美子「そういやあんた授業で意味わかんない問題答えてたし…」
蓮「マジだし」
優美子「つか何?もういいっしょ?どっか行けし」
蓮「行かない」
優美子「し、付いてないし」
蓮「付けない。葉山が優美子と話してやってくれっていうから。話したい」
優美子「何をだし…」
蓮「さあ?何でもいい。話題なんか何でも。それが青春するって事だろ?」
優美子「何言ってんの?そういうのキモいんですけど」
蓮「きもいのも青春だ」
優美子「わけわかないし」
蓮「三浦さん」
優美子「なによ…」
蓮「何で教室出てったんだ?」
優美子「………」
蓮「俺に悪いと思ったのか?」
優美子「………」
蓮「突っかかっておきながら実は悲劇の少年でしたって知らされてどうしていいかわからなくなった?」
優美子「あんたって…やなやつ」
蓮「やなやつって言われたの初めてだ。新鮮でいいな」
優美子「バッカじゃないの」
蓮「頭いいし知識の泉だし」
優美子「………」
蓮「………」
優美子「家庭内暴力ってDVってやつだよね?やっぱり…嫌なもの?」
蓮「さあ?」
優美子「さあって…あんた自覚ないわけ!?」
蓮「皆が思うほどにはないかもしれない」
優美子「はっ…やっぱあんたバカだわ」
蓮「そうかな?」
優美子「大馬鹿だよ」
蓮「怪我なんてしょっちゅうしてるしな。別に命を取られたわけじゃないから平気だ」
優美子「ちょ…命って…」
蓮「怪我で済むうちなら何て事はない」
優美子「いやいやいや!あんた頭おかしいんじゃないの!?DVだよ!?家庭内暴力だよ!?普通じゃないんだよ!?」
蓮「そうか?でも俺にとっては普通の事だから。普通じゃないと言われてもその普通がわからないな」
優美子「…そっ…んな…の…」
蓮「三浦さんはDVされる人の気持ちがわかるって事?」
優美子「…わかんないよ…あーしにはわかんない…でも想像は出来るよ。想像までならね…きっと痛くてしんどくてたまんないんだろうなって事ぐらいすぐ想像できる…」
蓮「………」
優美子「なのにあんたは平気な顔であーしにDVなんて大した事ないみたいに話してる…もうわけわかんない…あんた何なの…?」
蓮「雨宮蓮です」
優美子「名前なんか聞いてないし…はぁ…」
蓮「あだ名はれんれんです」
優美子「ほんとバカじゃん…?ふふっ」
蓮「………」
優美子「ね、雨宮」
蓮「ん?」
優美子「ごめんなさい」ペコリ
蓮「………」
優美子「酷い態度取ったり酷い事言ったりしてごめん……」
蓮「オッケー許す」
優美子「…へっ?」ポカーン
蓮「許した」
優美子「あんたって何か不思議なやつだよね」
蓮「よく言われる」
優美子「言われてんだ?あははっ」
蓮「………」
優美子「ね、雨宮」
蓮「うん」
優美子「あーしもさ…その、あれ…」
蓮「どれ?」
優美子「蓮って呼ぶから」
蓮「わかったよ優美子」
優美子「は!?あんたがあーしを呼び捨てにするのは許してないし!」
蓮「まあそういうなよ優美子」
優美子「あーもう!なんかテンポ狂うなあんたって!」
蓮「えっ狂ってるかな?俺のチン」
優美子「テンポ!テンポ!」
蓮「あぁ。テンポか」
優美子「…蓮ってやっぱおかしいわ」
蓮「まあな」
ー屋上の扉前ー
海老名「これでれんれんもグループ入りかな?」ヒソヒソ
結衣「だねだね~」ヒソヒソ
戸部「でもあれっしょ?ヒキタニくんと青春してからあっちがメインなんっしょ?」
葉山「戸部、声でかい抑えろ」ヒソヒソ
海老名「私的にはぁ、これまでいなかったメガネ系男子の登場でさらなるカップリングに深みとバリエーションがっ!!」
結衣「ちょ!姫菜だめだって!ここじゃだめー!」
戸部「隼人くん聞いた?今のセリフ。やばくね?ムラっとこね?」
葉山「ああ。来るな。考えちゃうな」
海老名「あっはぁ~!キマシタワー!!!」
結衣「ちょっと!姫菜!ほんとにだめだよ!だめだってバレちゃうってばぁ!!」
戸部「なぁ隼人くん。マジやばくね?今のセリフ来ちゃってね?」
隼人「ああ。来てるな。何がダメなのか想像膨らんじゃうよな」
ガチャ
優美子「ちょっとあんたら!うっさいんだけど!?」
蓮「勢揃いだな」
結衣「見つかっちゃったよぉ…もう姫菜ったら!」
海老名「うはっ!うはっ!ウボァー!!!」
優美子「あーはいはい。海老名いい加減、擬態しろし」
戸部「隼人くん。やっぱやばくね?結果的にやばくね?」
葉山「そうだな。良いもの見れたな記憶領域に永久保存だ」
戸部「つか隼人くんちょいキャラ変わってね?」
ー放課後 奉仕部部室ー
八幡「てなわけで最初の一手は無事に完了したわけだ」
雪乃「なるほどね。葉山くんへの罠というのは考え過ぎだったみたいね」
八幡「まあな。その罠がどうって前に昨日の夜に片付いたんだ」
雪乃「そう。ごめんなさいね…」
八幡「なんで謝る?」
雪乃「いえ…私は何の役にも立てていなかったから」
八幡「そんな事ねぇよ。これから関わる事だってあるはずだ」
雪乃「あら、優しい言葉かけてくれるのね珍しい。これも雨宮くんのおかげかしら?」
八幡「そうかもな」
雪乃「…ほんと人が変わったようだわ…」
八幡「まあな」
雪乃「だったらもう…あなたが奉仕部に来る意味はなくなってしまったわね」
八幡「そりゃどういう…」
雪乃「ここへ来た理由、忘れたわけではないでしょう?」
八幡「………」
雪乃「あなたはかけがえのない友人を得た。これはもう更生と見ていいと思うのだけれど」
八幡「確かにな。けどまだだ」
雪乃「まだ?それはどういう意味?何に対してなのかしら?」
八幡「あいつは一ヶ月そこらで元いた場所に帰る。その後…俺はまたぼっちだからな」
雪乃「そう…。よほど寂しいのね」
八幡「ああ、寂しい。先を考えると寂しい」
雪乃「そんなに素直な比企谷くんなんて今しか見れないでしょうね」
八幡「ああ、多分そうだな。俺自身、そうだと思える」
雪乃「本当に羨ましいわ…」
八幡「なあ、雪ノ下」
雪乃「それは無理よ」
八幡「まだ何も言ってないんですけど?」
雪乃「私は……」
ガララララッ
結衣「やっはろー!ゆきのーん!」
雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん」
結衣「ヒッキーもやっはろー!」
八幡「おう」
結衣「いやぁ~それにしても良かったよね~れんれん!」
八幡「そだな」
結衣「あとは何が残ってるのかなあ?」
八幡「事はこれからだ。やっと最初の一手が終わっただけ。これから噂の消滅に向けてさらに手を打つ」
雪乃「そうね。あなたが打った手は噂の方向性を別の方向へすげ変えただけにすぎないものね」
八幡「そうだな。だがこれで蓮の希望する状態に大きく近付けた」
結衣「そっか~そっかぁ~」
八幡(こいつ何の話してるかそもそもわかってないんじゃかろうか)
結衣「あ、そういえばさゆきのん!明日から修学旅行だよね!どっか一緒に見て回ろうよ!」
雪乃「そうね。クラスは別だけどそれぐらいの時間はあると思うわ」
結衣「楽しみだなぁ~宮城!」
八幡「そういや修学旅行だったか…すっかり忘れてたなっつーか何で宮城?あと時間の進みがやたら遅く感じるのは気のせいか?気のせいじゃないなここ数日色々起こりすぎてるから」
雪乃「あらいい事じゃない。人はそれを充実している、と呼ぶのよ」
結衣「そっか~充実かぁ~」
八幡(こいつに至っては充実ってどういう意味だろう?とか考えてそうですらある)
八幡「あ、そうだ」
結衣「なになに?ヒッキー」
八幡「蓮のことは一先ず置いといてだ。次は海老名さんの件を考えねばならん」
雪乃「そうね。あちらの方はどうするつもりなのかしら?」
八幡「わからん」
結衣「諦めるのはやっ!?」
八幡「だってよ。戸部の告白を防げって結構ハードル高い案件だぜ?俺らのいないとこでしれっとされたらそこまでだしな」
雪乃「そうね」
結衣「でもさぁ…告白したいって事…そんなにしちゃいけない事なのかなぁ?」
雪乃「………」
八幡「しょうがねえだろ。それがあの2人の希望なんだから」
結衣「でも…さすがに戸部っちかわいそだなーって…」
八幡「まあな…。でも、だから俺は最初に言っておいただろ?修学旅行中はどうにかする、だけどその後のことは諦めてくれって」
八幡「とにかく修学旅行中の告白を防ぐ事、これが目下最優先の案件だ。修学旅行が終われば後は知らん。さすがにその先もずっと止め続けろなんて無茶な話だ」
雪乃「その通りね」
結衣「そっかぁ…戸部っち…」
八幡「なんでお前がそんなにへこむんだよ?別にお前が告白しようってわけじゃねんだから」
結衣「ひぇえっ!?それは!まあ…そうだけど…」
八幡「それともなに、誰かに告白したいの?」
結衣「ひぇえええぇぇえ!?いいいやっそそそそれはっ!」
雪乃「…はあ…あなたって人は…」
八幡「んだよ…俺なんか悪い事言ったか?普通の会話じゃねえか。流れ的によ」
雪乃「由比ヶ浜さん紅茶淹れるわ。落ち着きなさい」
結衣「あ、うん!ありがとゆきのん!………ヒッキーのバカ!」
八幡「んだよ何で雪ノ下へのお礼から俺への攻撃なんだよ?とんでもねぇ曲がり方で一撃飛ばすなよ」
結衣「ふんだっ!」
雪乃「ふふふっ」
八幡(さて…どうしますかねぇ…あ、いっけね。蓮うちに誘ってみるの忘れてた…)
ー夜 平塚静宅ー
平塚「君はカレー&コーヒーショップでも始めたらどうだね?」
蓮「それだけで勝負出来るご時世ですかね?」
平塚「いや、君の腕ならいけると思うぞ!何なら私が投資しようじゃないか」
蓮「まだまだ勝てそうにない人が屋根裏の下にいるので止めておきます」
平塚「どこの誰の事だ?ところで雨宮。少し小耳に挟んだんだが…例の噂よりDVの話の方がことの外大きくなったようだな」
蓮「え?そんなにですか?」
平塚「ああ、そんなにだ。すでに学校内で知らないやつはいないと言っていいレベルだ。たった1日でだぞ?一体どんな手段を取った?」
蓮「さあ?俺に聞かれても」
平塚「葉山が悪い意味で何かするのではと思って身構えていたのだがな。取り越し苦労に終わってしまったようだし。やはり教師の立場からでは視野に限界があるよ」
蓮「あいつはもう大丈夫だと思いますよ」
平塚「何が大丈夫なんだ?」
蓮「青春してたらしいので」
平塚「そうか!ははっ!青春してたから大丈夫か?あははっ!」
平塚「まあ何にせよ流れが変わってよかったな。さて、明日から修学旅行だ。くれぐれも寝坊するんじゃないよ。いいね?もう寝たまえ。おやすみ」
蓮「おやすみなさい静さん」
ピロリン…
モルガナ「携帯呼んでるぞ?」
蓮「チャットか」
双葉【おーいリーダー生きてるか!?】
真【まだしっかりあなたの現状把握出来てないんだけど】
竜司【そうだぜ!可愛い子いたか!?】
杏【またそれ?】
蓮【いるぞ】
杏【話に乗った!?】
竜司【まじかよ!どんなタイプの子だ!?】
蓮【ゆるふわおっぱいぶるんぶるん】
春【えっ?】
蓮【ぐっふっふ~なメガネ女子】
双葉【んっ?】
蓮【金髪ビッチな見た目のギャル】
杏【はっ?】
竜司【おいおいおいおい!うらやましいなコノヤロー!】
祐介【なんだか見覚えある特徴の女子たちだな。1人を覗いて】
真【黙って】
モルガナ「なあ…なんかマコトのチャットだけ怖くねえか?」
蓮「気のせいだろ」
~11月24日~
ー修学旅行 宮城県へ向かう新幹線車内ー
戸塚「くぅ…くぅ……はち……まぁん……」スヤスヤ
八幡(冷静になれ八幡。彩加が隣ですやすや寝ながら俺を呼んでいるがそれは夢の中の俺を呼んでいるのだ。あれ?ちょっと待って?ってことは俺が彩加の夢にお邪魔しているのか?ちくしょうガッデムふざけんな!俺と変わりやがれ夢幡!)
蓮「落ち着け八幡」
八幡「んん何がっふ!?俺なんか喋ってたか!?」
蓮「何も喋ってないが考えてる事は丸わかりだった。俺も彩加の夢にお邪魔したい」
八幡「ナチュラルに心を読むな!こえぇから」
蓮「八幡が勝手に心の内を朗読してただけ」
八幡「ええ何その朗読会…。こわい」
結衣「はぁー疲れたぁ。ここ座っていい?」
蓮「うん」
八幡「あっちは盛り上がってたな?」
結衣「うんもう疲れたよぉ…お腹すいたなぁ…あ、れんれん何食べてるの?」
蓮「濡れカツサンドだ」
八幡「うぇえ何それ…」
結衣「へぇ~いいなぁ~美味しそう!」
八幡「えっ?そんな反応しちゃう?」
蓮「まだあるからあげるよ。ほら」
結衣「いいの?!わーい!いっただっきまーす!はーむっ」
八幡「うぇ……」
結衣「うんまい!」テーレッテレー
結衣「やだ何これ超おいしー!」
蓮「それはよかった」
八幡「うめぇのかよ…」
蓮「八幡もどうだ?」
八幡「俺はいいよそんな得体のしれないもん…」
蓮「おい八幡」
八幡「えっ何?メガネが名探偵小学生のコテリンメガネな感じになってるダテのくせにこわい」
蓮「見た目で判断するな。文句があるなら味わってから言え」
八幡「ぬぐぅ……わかったよ一個くれ」
蓮「ほら」
八幡「…濡れてる」
蓮「濡れカツサンドだからな」
八幡「見た目はカツサンドだな」
蓮「濡れカツサンドだからな」
八幡「何で濡れてんだよ…」
蓮「濡れカツサ」
八幡「もういいもういいわかったわかった。よし…頂きます……あーんむ………んぉ!?」
蓮「どうだ?」
八幡「うんまい!!!」テーレッテレー
結衣「おいしーよね!?」
蓮「そうだろそうだろ」
戸塚「いいなぁ…」
八幡「おっふ…もぐ。しゅまん、彩…加。もぐもぐ…起こしちまって、もぐもぐ…」
蓮「話すなら食べてからにしろ。彩加、食べるか?」
戸塚「え?いいのぉ?」
蓮「もちろんだ。ほら」ニコッ
戸塚「わーい!じゃあ遠慮なく…」
蓮「寝起きで食べられるか?あーんしてやろうか?」
戸塚「むっ!?もう、蓮ボクを子供扱いしないでよっ!失礼しちゃうなぁ!」
蓮「ゆっくり食べるんだぞ彩加」
戸塚「わかったよぉ。頂きます……あーむ………んっ!?」
蓮「どうだ?」
戸塚「うんまい!!」テーレッテレー
八幡「うっめーもぐもぐ。よなこれもぐもぐ」
結衣「ほんともぐもぐおいしもぐもぐ」
蓮「良かった」ニコッ
優美子「つかあんたらさっきから何?うっさいんだけど?」
八幡・結衣・戸塚「もぐもぐもぐもぐ」
蓮「静かじゃないか?」
優美子「いやいや、その前がうるさかったって話。で何やってたん?」
蓮「濡れカツサンド試食会だ」
優美子「えっ!?濡れカツサンドぉ!?あの渋谷駅で雨の日にしか買えないヨンジェルマンの雨限定の濡れカツサンド!?」
蓮「ああ…もぐもぐ。そのもぐもぐ濡れカツサンドだよもぐもぐもぐ」
優美子「ちょ…一口!一口だけちょうだい!蓮!お願い!お願い!」
蓮・八幡・結衣・戸塚「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
優美子「お願い誰か!一口でいいから!ほんと!お願い!お願い!」
蓮・八幡・結衣・戸塚「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
優美子「お願い!何でも一つ言う事聞いたげるから!ほんと一口だけ!お願い!お願い!」
蓮・八幡・結衣・戸塚「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
優美子「待って!完食は待って!お願い!お願いぃぃ!」
蓮・八幡・結衣・戸塚「ごちそうさまでした」
優美子「くぅぅ………ヨンジェルマンの濡れカツサンドぉ……」グスン
蓮「闇鍋缶ならあるよ」
優美子「いらねえっつの!」
ー宮城 判官森ー
ツアーガイド「というわけで、こちらにあの源義経が祀られているんです」
結衣「へー!源さんかー!」
八幡「源さんって…知り合いかよ」
蓮「………」
戸塚「ヨシツネさんってどんな人だったんだろうね?」
蓮「かっこよくて強いやつだよ」
八幡「何そのざっくりした返しは…つかヨシツネに興味あるのか?」
蓮「ああ。大好きだ。お世話になりっぱなしだし」
八幡「世話に?お前たまにわけわからん事言うよな」
蓮「そうか?じゃ、俺ちょっとお参りしてくるからさ」
八幡「おう。後でな」
蓮「お前も行くんだぞ?」
八幡「……おうよっ!」
ー源義経 墓前ー
蓮「………」
八幡(わざわざ花まで買って…つか掃除道具一式まで持つって本格的すぎない?それはともかくじーっと見続けて何分だ?相当好きなんだなこいつ)
蓮「…これからもよろしく頼む」ボソッ
八幡「ん?何か言ったか?」
蓮「お礼の言葉さ」
八幡「そうか。もういいのか?」
蓮「いや、むしろこれからだ。まず掃除する」
八幡「えっ。マジだったの?」
蓮「お供え物持っといてくれ」
八幡「お、おう…」
八幡(あれから最低でも30分はかけて蓮は黙々と掃除をした。途中で管理してるらしいじいさんに怒られたが、蓮がヨシツネについて熱く語りながら掃除する様を見ていつの間にかじいさんは号泣してた)
八幡(蓮はまるで実在する義経に世話になったかのような話ぶりだった。やれ八艘飛びはさいつよだの命中率が高ければチートだから仕方ないがそのバランスがいいだの)
八幡(ヨシツネ禁止縛りにしてもエフェクトを見たいがために呼んでしまうだの、何より呼んだ時の二刀を構える姿がかっこいいだの)
八幡(ヨシツネを語る口も尊敬というか敬愛を含んでいるようで。本当に助けられた事があるかのような印象を受けるほど熱かった)
八幡(そして気が付くと周りには誰もいなかった。そう、ガイドは俺たちの存在を忘れ、あろうことか教師や生徒たちまでもがバスでとっととどっか行っちまいやがったのだ)
八幡(そうした流れの後、俺は蓮と2人で近くの食堂で飯を食う所だ)
蓮「カツカレーはまだか」
八幡「いやいや、他に言う事あるだろ?」
蓮「………親子丼でも良かったかな」
八幡「そこじゃねえよ」
蓮「……月見そばが良かったかな?」
八幡「メニューから離れろよ。つか同意求めんなよ」
蓮「…あ、そっかそっちか…」
八幡「そうそうそっちだよ」
蓮「猫用のメニューがないよな」
八幡「そこでもねえよ!!!」
蓮「モルガナ出てきていいぞ」
モルガナ「はぁー!腹減ったぜぇ」
八幡「その猫っていっつも一緒だよな?つか腹減ってんのか」
蓮「なんで猫用メニューがないんだろうな」
八幡「そりゃ普通ねえだろうよ…」
モルガナ「失礼しちゃうよなぁ」
八幡「猫用メニューがある食堂なんか聞いた事ねえよ…あると思う方が失礼だろ…」
蓮「…ん?」
モルガナ「…んん?」
八幡「ん?」
蓮「八幡、お前もしかして…」
店員「はーいおまたせしました。極太カツのルーひたひたカレーセットのお客様?」
蓮「俺です」
店員「はいこちらです。親子丼のお客様こちらですね~。ごゆっくりどうぞ」
八幡「どもー」
蓮「食うか」
八幡「だな」
モルガナ「フーフーしてくれ」
八幡「はーうまかった。つかお前見た目の割に結構食うよな」
蓮「これから食べ放題高級バイキングも行ける」
八幡「それもうファイターだよ。飯と戦うだけの戦士だわ」
蓮「かっこいいか?」
八幡「はははっ。かっこいいんじゃねーの?」
蓮「次どこ行く?」
八幡「どこも何も…あいつらと合流しないとやばいだろ?寝るとこもないんだぜ?」
蓮「それもそうだな。じゃあ合流しに行くか」
八幡「とりあえず由比ヶ浜あたりにかけてみるわ」
蓮「何をぶっかけるんだ?」
八幡「お前なにいってんだ電話だよ電話!」
ーはちまん通話中ー
八幡「…はい、すいません…はい。はい行きますはい」
蓮「怒られてたな」
八幡「よりによってメール打ってる最中に着信来るとは…。そのまま出ちゃったよ。つか平塚先生にバレてた…」
蓮「そうか。で、どういう感じで合流するんだ?」
八幡「どうにかして仙台駅まで来いってよ」
蓮「そっか。遠いな。寄り道しよう」
八幡「そうだな寄り道を…いや待て何でそうなる?!」
蓮「判官森から仙台駅ってなかなかの距離みたいだぞ?ほら」
八幡「…うーわほんとだ…つかお前スマホ使いこなしてんな」
蓮「普通じゃないか?それよりタクシーとか使うと金がかかるし少し歩かないか?」
八幡「そりゃ歩くっきゃねえだろうけどよ…とりあえず出るか。すいませーんお勘定」
店員「はーい」
八幡(うーん…こいつといると店員にすら普通に対応出来てしまう。なぜだ)
蓮「甘い物が食べたいな」
八幡「お前マジか!?」
蓮「別腹だ」
八幡「別すぎるわ!お前の腹はカートリッジか何かかよ!?」
蓮「お、それ面白いな。やるな八幡」
八幡「ああどうもありがとよ!」
スタスタスタスタ……
蓮「アウェーカップゲーラップゲーラッアウゼー♪ヒーガーヘーイヘーファイヤー♪」
八幡「おい、暗くなってきてるぞ。やばくないか?」
蓮「そうだな。まあどうにかなるだろ」
八幡「このまま行けば一関ってとこに着くはずだけどよ。交通止まってるかもしんないんだぜ?」
蓮「そうなのか?」
八幡「田舎ってのは交通機関にゃ早めの時間制限あるもんだからな」
蓮「そうかもな。まあそうなったら遊び明かして昼に仙台だな」
八幡「ポジティブなのか何も考えてないのかわからんなお前は」
蓮「考えてるさ」
八幡「嘘つけ」
蓮「本当だ。例えば…」
八幡「…??」
蓮「お前はパレスを知ってるんじゃないか?とかな」
八幡(パレス?城か?ホテルの名前か?つか何の話をしてるんだこいつは。でも…)
蓮「………」
八幡(真っ直ぐ視線を飛ばしてくる。その割に相手を射抜くような視線。これは普通の友達に向けるような視線じゃない事ぐらい俺でもわかる)
蓮「なんてね」
八幡「お、おう…」
蓮「さ、歩こう歩こう」
八幡「ああ…」
蓮「にゅうカマーの曲いいんだよな」
八幡「………」
八幡(蓮…。聞きたい。聞けない。どうしたらいい)
蓮「結構寒くなってきたな」
八幡「………」
八幡(蓮には間違いなく何かある。隠し事が。でもこいつの事だからそれを俺には言わない。言えないのだろう。でも…でも俺の求めるホンモノは…)
八幡「…蓮」
蓮「ん?」
八幡「お前、俺に何か隠してるな?」
八幡(俺の求めるホンモノは互いに隠し事なんか持たない)
蓮「どうしてそう思う?」
八幡(例えそれはエゴだとわかっていても。知りたいんだ)
八幡「さっきの質問。ありゃなんだ?どういう意味でどういう意図だ?」
八幡(やっと見つけた友達だからこそ、知りたいんだ)
蓮「ただの質問だよ。知っているのかどうかっていうだけの」
八幡(例えここで俺のことを否定されてもいい。それでも俺はホンモノだと信じたい)
八幡「そりゃ嘘だろ。明らかに明確な意味のある質問って感じしたぜ?」
八幡(押し付けなのはわかってる。身勝手な我儘なのもわかってる。でもしょうがねえじゃねえか。抑えられないんだから)
蓮「そうか?なら…そうなんだろうな」
八幡(やっと出来た友達なんだ。だからしょうがねえじゃねえか。俺は俺を止められない)
八幡「どういうつもりだよ?茶化すには遅いタイミングだぜ」
蓮「そうだな。じゃあ…」
八幡(何が飛び出すかわからない。次の瞬間には絶交だ、と言われるかもしれない。そうだとしても知りたいんだ。友達の事を)
蓮「怪盗団って知ってるか?」
八幡「あ…はあ?まあそりゃ知ってるよ。あんだけ世間騒がせば」
蓮「俺は怪盗団と関わった事があるんだ」
八幡「…は?」
蓮「俺が元いた学校。秀尽学園。怪盗団の最初のターゲットになった学校。そこに俺はいた」
八幡「そうか…で?何があった?」
蓮「わからない」
八幡「はあ?」
蓮「色々起こりすぎて…わからなくなった」
八幡「いや…何言ってんだお前?」
蓮「さっきの質問はね、怪盗団に関係する質問なんだ」
八幡「パレスつったか?それがどう関係すんだよ?」
蓮「パレス。知らないんだな?」
八幡「知らねえ…ってちょっと待て」
蓮「………」
八幡「お前もしかして…俺が怪盗団の一味じゃないか疑ってんのか!?」
八幡(自分の勘の良さが恨めしい)
蓮「いや違う」
八幡「嘘つけよ!今の流れなら絶対そうじゃねえか!」
八幡(別に裏切りではない、わかってるのに口が止まらない)
蓮「だから違うって」
八幡「違わねえだろ!…くっそ…あんまりだろ…あんまりだろぉ……」
蓮「…なあ八幡…」
八幡「うるせえ!もうしゃべんな!………くっそ!」ダダダッ
蓮「八幡!!」
ツカツカツカツカ…
八幡(なんだよ…何なんだよ!よりによって悪党と思われてたのかよ!影で!)
八幡(欲しがり続けた結果がこれかよ?!これがホンモノなんかよ!?)
八幡(あんまりだ…これまでずっとぼっちだった。何を言われても当然だと思ってた。でも平気なわけじゃない!!)
八幡(これはあんまりだろが!!!)
八幡「くそがぁーーーーーーーーーーーーッッッl!!!!!!!!」
八幡「はあっ……はあっ…はっ……はあっ……ふう……」
蓮「おい八幡」
八幡「ひぇあぁっ!?」
ー一関駅ー
蓮「何驚いてるんだ?行き先同じなんだからこうなるだろ」
八幡「…ぐうぅっ……///」
蓮「ここが駅か。ちょうどいい。そこ座れよ。話そう」
八幡「話す事なんかねぇ」
蓮「ある」
八幡「ねえよ!」
蓮「ある。聞け。俺はこのままお前と変な形で仲違いしたくない」
八幡「………」
蓮「いいから座れって」
八幡「電車来るまでだからな」
蓮「いいやうちに帰るまでだ」
八幡「そんな言われても電車に乗っちまえば聞く耳持たねえ」
蓮「いや、持てるさ。俺たちは友達だからな」
八幡「…つかお前…何で息切れてねえの…?」
蓮「ほぼ毎日ジム行ってたからな。おかげですでに900超えの500超えだ」
八幡「何その数字。血圧?」
蓮「八幡」
八幡「…何?」
蓮「別にお前を怪盗団だと思ってるわけじゃない」
八幡「………」
蓮「ただ単にパレスって言葉に覚えがないかを聞きたかっただけなんだ。勘違いさせたなら謝る。すまない」
八幡「………」
蓮「改めて聞くが覚えはないんだな?」
八幡「ねえよ」
蓮「そうか。じゃあ妙な空間に行ったことは?見たことは?」
八幡「今がそうだよ」
蓮「八幡。茶化すな」
八幡「うるせーな。ねえよ」
蓮「八幡。俺を見ろ」
八幡「んだよ」
蓮「いいから俺の方を向け」
八幡「……何だよ」
蓮「いいからこっち向けよ。ちゃんと話したい」
八幡「このままでも出来る」
蓮「雑談がしたいんじゃない。ちゃんと向き合ってしっかり話したい事なんだ」
八幡「………」
蓮「八幡」
八幡「わかったよ…。ほら、これでいいだろ。で?」
蓮「改めて聞くが、妙な空間に行った事は?」
八幡「……ない」
蓮「例えば普通の道を歩いてて、いきなり気味の悪い場所に立ってた事は?」
八幡「歩いて…は、ない」
モルガナ「………」
蓮「じゃあ……言葉にすると”異世界”としか思えないような場所に突然切り替わってたってことは?」
八幡「…………ある」
モルガナ「!?」
蓮「それは千葉でか?」
八幡「…いや」
蓮「場所は?」
モルガナ「………」
八幡「………渋谷」
~時は大きく遡って6月某日~
ー渋谷ー
八幡「最悪だ…」
八幡(たまには東京行きたいって小町が言うから付いては来たものの…)
八幡「はぁ…帰りてぇ…」
小町「お兄ちゃん!109だよ!とりあえず行こう!」
八幡「109より119にしないか?緊急帰り隊を要請する」
小町「はぁ?何言ってんのこのゴミぃちゃんは。いいから行くよ!」
八幡「何もあんなリア充の魔窟に行かなくても服とか買えるだろうに…」
小町「わーかってないなぁお兄ちゃんは!目で見て選ぶ事にショッピングの楽しさはあるのに」
八幡「ショッピング?けっ。どうせ俺を見たリア充共がショッキングのあまり通報し始まるに決まってる」
小町「あーもーうっさいなぁ……あ!あれクレープ屋さんじゃん!いこ!?」
八幡「クレープより帰って布団にくるまれたい」
小町「いちいちうっさいなぁ!小町と一緒なのに何が不満なの!?あ、今の小町的にポイント高い☆」
八幡「どこらへんが?どこらへんに高い要素ありました?そのポイント使って帰ろうぜ」
小町「はあ…これだからゴミぃちゃんは。そんなんだからゴミぃちゃんなんだよゴミぃちゃんは!」
八幡「うるせー」
小町「じゃここにいていいから。小町クレープ買ってくるから!」
八幡「ちょ…待てよこんなとこにぼっちを置き去りにするんじゃありません妹よ!…いっちまった……」
八幡(にしても何だこの人の多さは…別に渋谷じゃなくてもいいだろが)
八幡(ららぽとかららぽとかあるだろららぽとか)
八幡(はーぁ…でもまあ…小町も楽しそうだしなぁ…ちょっとは合わせてやるか…せっかくだし)
八幡(何より後が怖いしな………ん?)
??「……つまり、やつが縄張りだと思っている場所。それは渋谷全体だ」
八幡(うわぁ高身長の超イケメン。ああいうのいるんだな)
?「渋谷全体って…どんだけよ!?」
八幡(ビッチそうだなー。三浦と似た雰囲気だけど…やっぱ本物ギャルは違うな)
????「にゃーにゃーにゃあーにゃー」
八幡(なんで猫?)
??「どのみち行ってみるしかねーだろ?早いとこ行こうぜ!」
八幡(うるさそうな金髪だな)
????「にゃにゃ!にゃあー!」
八幡(おお。なんか猫がつっこんでるように見える。やるな)
?「ここで起動するのまずいんじゃない?」
八幡(何する気だよ。自撮りか何かですか)
??「大丈夫だって。道端のゴミが消えても誰も気にしねえよ!行くぜ!」
八幡(ゴミって。まあ人ってのはそういうもんだよな。こうして意識して見てない限りは………ん?)
ぐにゃああああぁぁぁぁ…………
八幡「…………えっ?」
~時は現在に戻って11月24日~
ー一関駅ー
モルガナ「………」
蓮「…その時どうした?」
八幡「どうも。つかこんな話どうでもいいだろ」
蓮「聞かせてくれ」
八幡「こんなイカれた話」
蓮「いいから」
八幡「………」
蓮「聞かせろ」
八幡「変なやつらを見てたらそのまま妙な場所にいた。瞬き一つでそうなった。意味がわからなかった」
蓮「続けて」
八幡「ATM人間…?みたいなやつらがうろついてた。さすがに異常な事はわかってるからすぐ小町を探した。でもいなかった」
モルガナ「………」
蓮「それから?」
八幡「それからは…しばらくその辺にいた。小町が向かった方をずっとうろうろしたり。で、気付いた時には元に戻ってた」
蓮「その場所で何か見たか?何かというか誰かを」
八幡「なんか変な格好した連中が4~5人109の方に走ってった」
蓮「…そうか」チラッ
モルガナ「………」ウンウン
八幡「…もういいのか?」
蓮「ああ」
八幡「何なんだよ…つかこんなバカな話聞いて何になるんだよ」
蓮「………」チラッ
モルガナ「………」コクコク
蓮「俺もそこにいたから」
八幡「…へっ?」
蓮「俺もそこにいたんだ。いつの間にかよくわからない気持ち悪い赤黒い空と暗い雰囲気の渋谷になってた」
八幡「おま……そうだ確かに赤黒い雰囲気だった…つかマジかよ…」
蓮「マジだ」
八幡「お前はどうしたんだ?どうやって帰った?」
蓮「さあ?走り回ってただけでいつの間にか戻ってた」
八幡「そうなのか…そういやお前…見覚えあるような…ないような…」
モルガナ「………」
蓮「話してくれてありがとう八幡」ニコッ
八幡「なんだよ急に」
蓮「いや。絶望してますって顔して走ってったからさ。このまま絶交を言い渡されるんじゃないかとちょっと寂しかったから」
八幡「そんな顔してたの?俺?」
蓮「してた。そのまま消えるんじゃないかと不安になるぐらいだった」
八幡「ねえよ…」
蓮「なあ八幡」
八幡「んだよ」
蓮「俺が嫌いか?嫌になったか?」
八幡「…別に。そんなんじゃねえから」
蓮「じゃあ今お前はどう考えてるんだ?」
八幡「………そうだな……」
八幡「俺は無駄に独占欲が強いらしい」
蓮「なんだそれ?」
八幡「うっせ。しょうがねえよ。だってお前以外に友達なんて出来た事がないんだから。だからお前が誰かと仲良くするのは…何か変な気分になる」
蓮「お前ホモか?」
八幡「ちっげーから!!!」
蓮「そうか。困るとこだった」
八幡「そういうんじゃなくって…ほら、なんつーの?友達の友達は他人とかさ、ギクシャクするだろ?そういう事だよ」
蓮「わからないでもないな」
八幡「とにかく、なんだ……お前の事を理解してやりたいと思うし、同時に俺の事も理解してほしいと思っちまうんだよ」
蓮「なるほど」
八幡「本当の友達なら隠し事はしないはずだ。俺はそう思い込んで…それをお前に押し付けた。それはすまん。謝る」
蓮「そうか」
八幡「でさ…お前、俺に隠し事してるだろ?」
蓮「八幡はどうだ?」
八幡「俺は…何もない。隠すような事なんて」
蓮「そうか…」
八幡「…な?嫌なやつだろ俺って。自分にはそうしたものがないからってさ、相手のは知りたがるんだよ。これじゃフェアじゃねえよな…」
蓮「……」
八幡「わかっちゃいるんだよ。自分がどれほど傲慢で我儘で狡猾な理想を求めて押し付けているのかって事。それでもな…やっぱ…不安なんだよ」
八幡「特にお前は…その…俺の唯一の友達だからよ…。例え一ヶ月しか付き合わねえとしたって…それでも俺は…」
蓮「確かに俺は一ヶ月そこらで去る」
八幡「………」
蓮「でもそこで俺たちの関係が終わると思うのか?」
八幡「…思わねえ」
蓮「なら心配する事はないだろ?俺だって八幡とは友達でいたい。そして取引を終えたい」
八幡「取引…」
蓮「ああ。この取引が終われば、俺たちは晴れて親友なんだから」
八幡(自分がみっともない)
八幡(自分と同じ目に遭ったかもしれないから蓮はああいう質問をしただけだ)
八幡(こいつは何も悪くない。悪いのは俺だ。勝手に色々考えて)
八幡(初めて出来たまともな友達。その友達とのまともな付き合い方を知らない。わからない)
八幡(自ら選んだはずの”1人でいる事”。それで得た教訓は、蓮という本物の友達の前では何ひとつ役に立たなかった)
八幡(たぶん人ってこういう時に泣きたいと思うんだろう)
八幡(どうにもならない感情。どうにも出来ない不甲斐なさ。そんな自分の至らなさを現在から過去へ押し流すためのシステムが涙)
八幡(それが素直に出来りゃ何の苦労もねえ)
八幡(俺、ほんと良い友だちを持ったな…)
八幡(だからこそ言わなきゃならない。伝えなきゃならない)
八幡(その言葉を)
八幡「蓮。この取引、終わりにしよう」
ー夜 仙台駅ー
平塚「で?何か言い分はあるかね?」
蓮「あります」
八幡「ないっす」
平塚「そうか。では2人とも、歯を食いしばりたまえ。教育のファーストそしてセカンドだあぁぁぁ!!!!」
ズドッ!
蓮「ん?」
ドゴッ!
八幡「ぐっほおぅぁっ?!!!?」
平塚「…全く。仲が良いのはわかっているが、それにしても限度があるだろう?修学旅行は旅行ではない。集団行動という教育の過程だぞ。わかったら早く乗りたまえ。ホテルへ向かうぞ」
蓮「はい」
八幡「…いてぇ…」
ーホテルへ向かうタクシー車内ー
平塚「ところで君たち、晩御飯はまだなんじゃないか?」
蓮「はい」
八幡「食いました」
平塚「どっちなんだ…まあいい、せっかくだから仙台名物の牛タンでも一緒にどうだね?」
蓮「ゴチになります」
八幡「結構です」
平塚「……どうした?何かあったのかね?」
蓮「はい」
八幡「何も」
平塚「…はあ…。私の力が必要か?」
蓮「いいえ」
八幡「いいえ」
平塚「そこは揃うんだな…」
ーホテル ロビーー
平塚「君たちの荷物はすでに部屋だ。2人とも同室だったな。後はのんびりやりたまえ。青春を、な。ではな」
蓮「はい」
八幡「………」
戸塚「あ、はちまーん!!れーん!」
八幡「…よう」
蓮「やあ彩加」
戸塚「2人ともどこいってたの?心配したんだよ!?由比ヶ浜さんも八幡に連絡取れないってばたばたしてたし」
八幡「…別に。疲れたし部屋行くわ。じゃ後でな戸塚」
戸塚「えっ……?」
蓮「………」
戸塚「…なんか、あったの…?」
蓮「これも青春だ」
戸塚「??」
ーホテル 部屋ー
八幡「はあ」ドサッ
八幡(みんな風呂か?誰もいない。1人ぼっちの部屋。これが俺の普通。普通バンザイ)
八幡「眠いな…」
八幡(さらば、青春。ただいま、ぼっち)
コンコンコン
八幡「………」
コココン
八幡「………」
ガチャッ
結衣「ヒッキーいる?あ、寝てる」
八幡「………」
結衣「ねぇヒッキー起きて?ねぇ。ヒッキーねぇねぇヒッキーてばぁ」
ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ
八幡「ええいうっとうしい!」
結衣「あーやっと起きたぁ」
八幡「あんだけ体揺らされりゃ嫌でも起きるわ」
結衣「あのね大変なのヒッキー!」
八幡「明日にしてくんね?俺もう疲れて疲れて」
結衣「だーめ!だめだってばぁ!戸部っちが姫菜呼び出ししちゃったの!ヒッキーどうしよ!?」
八幡「……うわあ……」
ーホテル 大浴場ー
蓮「ふーぅ」
戸塚「広いお風呂っていいよね~」
蓮「いいな」
戸塚「………」ジーッ
蓮「はぁ……」
戸塚「………///」
蓮「どうした?」
戸塚「うぇっ!?いや…その…蓮って体すごいなと思って///」
蓮「そうか?」
戸塚「うん!かっこいい体してるなぁ…触っていい?ってやだよね!?ごめん!」
蓮「いいぞ」
戸塚「えっいいの?じゃあちょっとだけ…///」
蓮「どうだ?」
戸塚「すごく硬い…///」
蓮「それだけか?」
戸塚「すごく盛り上がってる…///」
蓮「他には?」
戸塚「もっもう大丈夫だよ!ありがとう…えへへ///」
蓮「そうか」
戸塚「蓮って何かスポーツやってるの?」
蓮「いや、何も」
戸塚「やってないのにそんな体してるの!?」
蓮「まあな」
戸塚「すごいなあ…トレーニングしてるとか?」
蓮「ずっとジムに通ってるよ。ほぼ毎日行けるだけ行ってる」
戸塚「そっかぁすごいなぁ!でもお金かかっちゃうんじゃないの?」
蓮「920万あるからまだまだ周回に耐えれる額だ」
戸塚「あははっ。蓮って時々よくわかんないけど面白い事言うよね」
蓮「そうか?彩加は鍛えてるのか?」
戸塚「うん!これでもテニス部部長だからね。走ったりしてるよ。でも…蓮みたいな質の高い筋肉ってボクにはつかなくて…」
蓮「一緒にトレーニングするか?」
戸塚「えっ?いいの!?」
蓮「ああ」
戸塚「どんなメニューやってるの?」
蓮「ランニングマシンでひたすら走った後にベンチプレスひたすら上げた後に木人形をひたすら殴り続けて時間が余ったら自宅に帰ってひたすら懸垂した後に天井の梁に足を掛けてひたすら吊腹筋したりだな。もちろんメニューこなす前にプロテインぐびぐび飲むぞ。湿ったプロテインは必須だ。いちいち買うのが面倒になるから俺の場合はショッピング出来るようになったと同時にプロテイン100個買う。そうすると湿ったプロテインを買い忘れるというミスを犯しても湿ッテインが切れてても普通のプロテインがあるから素の数値しか上がらないクソトレーニングにならず損した気分になる事がないからな」
戸塚「………」
蓮「やるか?」
戸塚「うん、やめとくね!」
ーホテル 由比ヶ浜たちの部屋ー
結衣「ほらほら入って入って!」
八幡「おう…お邪魔します…」
海老名「あ、比企谷くんはろはろ~」
優美子「なんでヒキオくんの?しっしっ」
八幡「ウェルカムドリンクとぶぶ漬け同時に出された気分だな」
結衣「何言ってるの?とにかく入ってよほら」グイグイ
八幡「わかったわかったから」
優美子「つかヒキオ、あーしレモンティ」
八幡「あん?」
海老名「優美子ー?比企谷くんは私のお客さんなの。いい?」
優美子「…わかったから。ごめんって…じゃあーしちょっと出てるから…」
結衣「ごめんね優美子あとでね」
優美子「はいはい…」
八幡「追い出しちまってよかったのか?」
海老名「うん。元々優美子にはこの件言ってないから」
八幡「そうなのか。で?戸部の呼び出しがあったんだって?」
海老名「うん。この後ホテル屋上でって」
八幡「まじか…思ってたより早かったな」
結衣「早くなんかないよ!私ずーっと姫菜と一緒にいて戸部っち寄せ付けない感じで頑張ってたんだからね!?」
八幡「え?そうだったの?」
海老名「そうだよ。比企谷くんに助けてほしいなって思う場面何度もあったけど………ぐふふっ…比企谷くんはれんれんに夢中だったから…ぐふふふっ」
八幡「おう…そうか、悪かったな。で、呼び出しを断れなかったと?」
結衣「もー!ヒッキーがいたらこうならなかったのに!」
海老名「結衣?比企谷くんだって修学旅行を楽しむ権利があるんだから。そういう事言っちゃいけないの」
結衣「あう…そっかそうだよね…ごめんねヒッキー?」
八幡「いやまあ…いいんだけどよ…」
八幡「で、どうしたいんだ?キャンセルするぐらい楽勝だろうが」
結衣「うん呼び出し断っちゃおうかって思ったんだけど…」
海老名「戸部くんがね、その話をした時にタイミング悪く周りでれんれんと比企谷くんの話になってね。あいつらまだかー!?って。行方不明のままです~ってなって、そこからバタバタだったの」
海老名「で、平塚先生の連絡が一回だけ比企谷くんに繋がって以降は何回電話しても電池切れてるだかで繋がらないから、先生だけ仙台駅に向かうってなってね」
海老名「で、私たちはどうしようか何しようかってざわざわしてる間に戸部くんどっか行っちゃってね。それでキャンセルするタイミングがなくなっちゃったの」
八幡「すんません。ほんっとすんません」
結衣「2人で何してたの?てかどこいってたの?」
八幡「まあ…普通だよ」
海老名「ふーつーうー?」ニヤニヤ
八幡「とにかくそっちをどうするかだよな?約束の時間までどれぐらいあるんだ?」
海老名「もう一時間ぐらいかな」
八幡「それなら余裕だろ。海老名さんは布団に寝て」
結衣「ちょ!?ヒッキー姫菜に何する気!?」
八幡「はあ?」
海老名「ここでまさかのフラグ回収が…私だったなんてっ……優しく…してね?」
結衣「~~~~っ///バカバカバカバカバカ!ヒッキーのばか変態きもい信じらんない!」ポカポカポカポカポカ
八幡「いたいいたいたいたいたいったたたたた!!やめろ!違う!変な想像するな!仮病使うって事だ仮病を!」
海老名「仮病ね?まあ普通はそう思うよね。結衣…いやらしい子」
結衣「そんな事ないもん!ヒッキーの言い方が悪いきもい変態!」
八幡「うっさいなぁ何なのこの子は…。とにかく今日は寝込んで仮病使っとけよ。それで回避だろ」
結衣「あそっかなるほどね!」
八幡「はぁー…」
結衣「……?」
海老名「ちょっと心苦しいけど…そうしようかな」
結衣「そうする姫菜?」
八幡「解決だな。じゃ俺は部屋戻るわ…ほんと歩き疲れてねむ」
結衣「あ、ヒッキーちょっと待って」
八幡「なんだ?」
結衣「うーん…」
八幡「んだよ」
結衣「なんか元気なくない?」
八幡「………」
結衣「なんかあったの?」
八幡「…なんもねえよ。疲れてるだけだ。海老名さんの心配してろよ。じゃあな」
結衣「もう!ヒッキー!?」
ー同時刻 ホテル 大浴場ー
戸塚「蓮はいつまで入ってるの?ボクのぼせちゃいそうだからそろそろ上がるね」
蓮「まだ入ってるよ」
戸塚「そっか。じゃあ後でね」
蓮「ああ」
葉山「お、戸塚くん上がり?」
戸塚「うん。ごゆっくり~」
戸部「うぃーっす」
蓮「ん?葉山に戸部くんか。よく来た」
葉山「何だか君は風呂場の管理人か何かのようだね」
戸部「つか雨宮くんすっげー体!めっちゃ鍛えてるっしょ!?」
蓮「まあな」
葉山「確かに筋肉質だな。スポーツやってたりしたのか?」
蓮「いや。時間があればほぼ毎日ジムに行ってたぐらい」
戸部「ジム!?すっげーそういうとこ行くとか男子力高いわぁー!」
蓮「まあな」
葉山「はははっ。何だよ男子力って」
葉山「はぁー…でかい風呂はいいよなぁ。で、集団行動無視してどこ行ってたんだ?」
蓮「ヨシツネの墓碑を掃除したりしてた」
葉山「え?あのままずっとあそこにいたってことか?」
蓮「そうだ。気がついたら誰もいなくなってて八幡と2人ぼっちだった」
戸部「パネェわーぁ雨宮くんマジパネェわー」
葉山「ああいうとこって興味ある人間にとっては何時間でもいられる場所なんだろうな」
蓮「ヨシツネはかっこよくて強いからな。興味持つのは当たり前だ」
戸部「雨宮くんって武将とか好きなん?」
蓮「武将だけじゃなくて色んなやつが好きだ。お世話になってるし」
葉山「お世話?八百万の神がどうとかって事か?生きてる間は超自然的なものに守られ導かれる加護とかそういう?」
蓮「まあそうだな。力をくれる存在だからな。尊敬も敬愛も恐れもしてるよ」
戸部「ほあ~何かわかんねーけどすっげーなぁ雨宮くんわぁ!他にどんなんが好きなん?やっぱ神?」
蓮「そうだな…個人的にはアリスが大好きだ」
葉山「アリス?そんな神いたっけ?」
戸部「さぁ?」
蓮「アリス以外は正直言って上位であればあるほど使えない。デザインはかっこいいと思うけどな。ルシファーなんかどこで使えっていうんだって思うレベルだった」
葉山「ルシファーって偉い悪魔とかじゃなかったか?」
戸部「使えねーの?」
蓮「あとそうだな、ついムラムラくるのはスカアハとキュベレだな」
戸部「何それ?エロいん?エロいん?」
葉山「知らないなぁ」
蓮「でもな、スカアハに至っては活躍させようとすると後ろ姿ばかりで見ててつまらないんだ。けどキュベレの場合は後ろ姿もエロい。カメラの視点が途中で止まりさえしなければ舐め回すように見たかった…」
戸部「後ろ姿エロいっていいよな!後ろ姿美人っているっしょ!」
葉山「確かにそうだな。雨宮は美人タイプが好みなのか?」
蓮「どうだろう…正直アリスが一番好きだな。でも見た目ならアメノウズメも捨てがたい。あれは絶対に美人だ。あと腰回りがエロい」
葉山「アメノウズメは聞いた事ある気がするな」
戸部「どこにうずめるん?何をうずめるん?」
蓮「あとデザイン的にマーラ様には畏怖を示す」
戸部「なんかごっつそうな響きっしょぉ」
葉山「そうだね。名前だけでもこう、何か攻める感じがある気がするな」
蓮「マーラ様は特に車輪がいい。車輪から頭へのあのなだらかな曲線…と思いきや禍々しくも気高いフォルムに男は憧れるもんだ」
戸部「よくわかんねぇけどすごそうっしょ」
葉山「そうだなすごそうだな」
戸部「他には?」
蓮「あとは…個人的にだがアラハバキはムカつく」
葉山「アラハバキも聞いた事ある気がするな」
戸部「どんな感じなん?」
蓮「とにかくムカつくんだあの土偶野郎。せっかく育てた射撃アルセーヌが…。あいつは大嫌いだ使おうとも思わないな。いくら便利でも」
葉山「よっぽど嫌いなんだな」
戸部「つか神とかを便利って言っちゃうとか雨宮くんやっぱパネェっしょお!」
葉山「にしても本当に良い体してるよな雨宮は」
戸部「確かに確かに。ジムで何して鍛えてるん?」
蓮「彩加に聞いてくれ」
葉山「戸塚くんにか?一緒に鍛えてるのか?」
蓮「いや。ついさっき全く同じ話を彩加にしたからな」
葉山「ははっ。そういう事か」
戸部「つか雨宮くんってどうなん?彼女とかぁそんなんどうなん?」
葉山「そうだな。モテそうだよな雨宮は」
蓮「どうだろう?モテないな」
戸部「いや~モテるやつのオーラ出てるっしょ~お?」
葉山「俺もそう思うな。雨宮くんの周りはどんな女の子がいるんだ?」
蓮「どんな…?そうだな…同級生に先輩後輩あとまあお姉さん達がちらほら。葉山こそモテるだろ?」
戸部「そりゃそうっしょ葉山くんマジエースだから!」
葉山「うーん…どうかな」
蓮「葉山は最高で何股した事あるんだ?」
葉山「えっ」
戸部「えっ」
蓮「えっ」
葉山「そもそも股掛け自体したことないんだが…」
蓮「ないのか?」
葉山「ああ。誰でもそうそうないと思うぞ…?というか雨宮、もしかして…君にとってそれが普通なのか?」
戸部「雨宮くんって…そうなん?実はそうなん!?」
蓮「俺たち青春だよな」
葉山「いやそんな一言じゃ逃げ切れてないぞ。それで最高何股して女の子泣かせたんだ?」
戸部「どうなんどうなん!?そのへんどうなん!?」
蓮「泣かせた数なら葉山の圧倒的勝利じゃないか?」
葉山「そんな数で競いたくないし勝てた所で微妙だぞ…」
戸部「どうなんどうなん!?雨宮くんの話聞きてーわぁ!んでんで!?最高で何股なんよぉ!?」
蓮「9股だけど」
葉山「えっ」
戸部「えっ」
蓮「えっ」
戸部「きききききききゅきゅききゅ9股ぁーーー!?」
葉山「マジなのか!?雨宮くん君はマジなのか!?」
蓮「うんまあ。1周目じゃ無理だったけど2周目やってみたら9股出来ちゃった」
戸部「何を1、2周やったん!?つか何したらそこらで9人も落とせるんスか!?マジっすか雨宮さん!?」
葉山「マジなのか雨宮さん!?ガチなのか雨宮さん!?」
蓮「うんまあ。要領を掴んでからは意外と簡単だった。スケジュール管理と金策が面倒だったけど」
戸部「マジっすか!?マジっすか!?雨宮さんマジっすか!?」
葉山「すげえよ雨宮さん!どうやったらそんなにホイホイ落とせるんだ雨宮さん!?」
蓮「別に落としたくてそうしてるわけじゃないんだけど…」
戸部「てことはあっちが勝手に惚れてるって事ッスか!?マジすか雨宮さん!?」
葉山「どうやるんだ!?何をしたら本命を落とせるんだ!?教えてくれ雨宮さんお願いだお願いします!」
蓮「まず選択肢を間違えない事だ。あと毎日占いを使って、チャットはなるべく中を見ない。今日この子と会うと決めていたなら尚更見ちゃダメだ。色んな相手から送られて来るけど、その中の文を見ると心がチクリと痛んでつい会いに行ってしまったりするからオススメしない」
戸部「占いチャット!?占いチャットがモテモテのコツっすか!?」
葉山「チャット出来ない相手が本命って場合はどうしたらいいんだ!?雨宮さん教えてくれ!」
蓮「チャットが出来ない相手か。そういう相手の場合は直接面と向かって話すしかない。密室でデスクを挟んでしっかり座って小一時間で勝負を決めるんだ」
戸部「小一時間!?雨宮さんにかかれば小一時間で完了なんすか!?」
葉山「小一時間だと!?相手が小一時間も面と向かってくれないかもしれない!そういう場合はどうしたらいいんだ雨宮さん!?」
蓮「ちょっと自分の弱みを見せるといい。あ、具合悪い死にそう…でも今はあなたとしっかり話さないと…。みたいな演出をちょいちょい使うんだ。途中で相手が激昂してきても冷静に対処しろ。俺は退かないがお前はあきらめるのか?という意思と強気の態度。そして絶対に大事な仲間を守るんだというような決意を持って語り合うべきだ」
戸部「トーク!?トークっすか!?弱みのトークって何すかそれ!?もう意味わかんねぇよこれが雨宮さんかぁ!!」
葉山「弱みか!弱みだな!?相手の弱みにつけこむ感じだっけ!?違うか!?俺の弱みか!?それとも!?え!?どうしたらいいんだ雨宮さん!?」
蓮「のぼせそうだからそろそろ上がるよ。じゃあまた」
大浴場の男子生徒全員「雨宮さん待ってくれえぇえーーーーーーーーー!!!!!!!!」
ーホテル ロビーー
雪乃「………」ソワソワ
蓮「宮城限定、牛タンパンさん」
雪乃「ひゃっ?!」ビクッ
蓮「買うのか?」
雪乃「びっくりした…いきなり話しかけないでちょうだい。全く不審者はこれだから」
蓮「買わないならどいてくれるか?」
雪乃「え?あなた…買う気なの?」
蓮「もちろん。ちょっとどいてくれ」
雪乃「ダメよ。あなたみたいなぼんやりした男に買われるんじゃパンさんが泣いてしまうわ」
蓮「お土産だから」
雪乃「あらそうお土産なのね。なら仕方ないわね。誰もが皆パンさんを欲しがるのは当然の事だものね」
蓮「そうなんだ。だからちょっとどいてくれるか?」
雪乃「どのパンさんを買う気なのかしら?別に興味はないのだけれど。あなたのチョイスに興味あるわけではないのだけれど。何を買う気なのかがちょっとだけ知りたいだけなのだけれど」
蓮「そうだな…すいません店員さん。パンさん全種類10個ずつください。いえ、持って帰りません配達でお願いします」
雪乃「ちょっとあなた!何やってるの何やってるの!?何やってるの!?」
蓮「え?お土産買っただけだけど」
雪乃「そうじゃなくって何でそんな買い方するの!?何やってるの!?何やってるの!?」
蓮「えっと10人にそれぞれの種類をあげたいなと」
雪乃「何よそれ羨ましいわ!ほんと羨ましいわバカなの!?あなたバカなの!?あなたちょっと………バカなの!?」
蓮「ひどいなぁ。じゃあ送り先はこれでお願いします。はい10万円」
雪乃「ちょちょちょちょちょっと!ちょっとねぇちょっとちょっと待ってって!!ちょっと聞いてって!!」
蓮「なに?」
雪乃「いい?パンさんというのは誰もが欲しがる愛おしいキャラクターよ。でもね、それをこの場で独占して良いものではないの!それもわからないの!?」
蓮「雪ノ下さんは買う気なかったみたいだから。それともパンさんファン?」
雪乃「そ………ちが………いや………そうよ!だったら何!?好きなのだけれど!?好きなのだけれど!?パンさんすごい好きなのだけれど!?」
蓮「じゃあ…はいこれ」
雪乃「えっ」
蓮「あげるよ。牛タンパンさん」
雪乃「ありがとう」ホクホク
蓮「どういたしまして」ニコッ
雪乃「雨宮くんいい人ね」
蓮「何かジュース飲む?おごるよ」
雪乃「ええ、では宮城限定パンさんセクシーソーダを」
戸部「………雨宮さんパネェっすわ……」
葉山「やばいやばいやばいやばい股に入れられてしまう彼女が股に入れられてしまうやばいやばい」
蓮「雪ノ下さんとこうした時間を過ごすのは初めてだな」
雪乃「ええそうね。クラスも違うのだから仕方ない事だわ」
蓮「ところでどうして奉仕部に?」
雪乃「それはまあ…流れ、かしらね」
蓮「流れね。じゃあ奉仕部にパンさんがないのはどうして?」
雪乃「それは平塚先生に取り上げられてしまったからよ…」
戸部「奉仕部ぱねぇ」
葉山「置いてたのか」
蓮「そっか。じゃあこの牛たんパンさんが来たから寂しくないね?」
雪乃「えぇ…ほんとに///」ウットリ
蓮「喜んでもらえて嬉しいよ」ニコッ
雪乃「ありがとう///」ニコッ
戸部「雪の女王がはにかんだ!」
葉山「俺は今、奇跡を目撃している」
相模「葉山くぅ~ん!!」
戸部「うぉあ!?びっくりしたぁ!?」ビクッ
葉山「チッ……やぁ相模さん。どうしたのかな?」
相模「あのねジュース買いにきたら2人して角で何かこそこそしてるから何かなって思ってぇ」
葉山「そうなんだ?じゃ俺たちはこれで」スタタタ
戸部「ちょ隼人くーん置いてかないで欲しいっしょーお!」タタッ
相模「あっ待って葉山く………………チッ。……あれ?雪ノ下さん」
雪乃「チッ。何かしら?」
相模「舌打ちした?今」
蓮「知り合い?」
相模「…あんた転校生の…」
蓮「雨宮です」
相模「…あっそ。それじゃ」タタタッ
雪乃「………」
蓮「誰?仲悪いのか?」
雪乃「そのうちわかるわ…嫌という程にね。そろそろ部屋に戻るわ。今日はどうもありがとう、雨宮くん」
蓮「ああ。おやすみ」
雪乃「おやすみなさい」
蓮「………」
雪乃「……こほん…」
蓮「……?」
雪乃「お~や~す~み~ぃ…」フリフリ
蓮「腹話術?上手だね。パンさんの声可愛いよ」
雪乃「……パンさんありがとう…じゃあまた///」タタタッ
蓮「コーヒーぬるくなってる」
ーホテル 大浴場ー
八幡「はぁー………やっぱでかい風呂っていいよなぁ…」
八幡(こんな広い風呂なのにぼっちとか。ほんと俺ってぼっち属性)
八幡(あのまま戻っても寝れる気がしなかったしな…つか疲れ取るにはやっぱ風呂だし)
八幡(…はぁ)
八幡「取引、不成立ぅ~商談決裂~ぅ」
八幡(あーあ)
八幡(あれで良かったんだよな)
八幡(それにしてもぼっちってやっぱ大変だよな。良くやったよ俺)
八幡(今日は自分を褒めてやりたい。小町にも褒めてもらいたい。戸塚にも…)
八幡(戸塚か。ちょっと悪い事したな。何で彩加って呼んでくれなくなったの?)
八幡(そう言われたらどうしよう…何て答えよう…)
八幡(やっぱり人に近づくのが怖いからだ)
八幡「なんて言えねぇな…」
八幡(蓮の…雨宮の噂の消滅はほぼ決まりのようなものだし)
八幡(残すは海老名さんの件か。それが終わったら…もうしばらく奉仕部離れようかな…)
八幡(でもなぁ…することないしな…)
八幡(かといってあの部室ですることあるかっつーと何もねぇよな)
八幡(どうして俺はあそこに行くんだろうか?いつもいつも)
蓮『八幡、お前は1人じゃない。周りを良く見てみろ。お前を受け入れてる場所がある。それは1人じゃない事の証明なんだ』
八幡(証明、ねぇ…)
八幡(受け入れてる場所…どこそこ?あ、家か。家だな)
蓮『孤独を装うな。八幡にとっての”1人でいる事”は選択肢の一つじゃない、ただの消去法で残ったものだろ?何を選ぶか悩むほどの選択肢があるのにどうしてそれを取るんだ?』
八幡(うっせーな。俺はお前と違って器用じゃねんだよ)
八幡(誰もが皆…お前みたいに自分に正直で青春に素直なわけじゃない)
蓮『このまま振り返らずにホテルに戻るなら、お前は後悔する。自分から俺に歩み寄った事を。でもそれはしていい後悔だ。俺はその先で待ってる。それが青春ってやつだと思うから』
八幡(待つ……何をだよ)
八幡(雨宮の周りにちらつく闇…。陽乃さんに借り作っちまったし、今さら投げ出せない)
八幡(その件だけは取引が破談になったとはいえ、一度決めた事だ。最後までやってやろう)
八幡「はあ……このお湯全部飲んだら死ねるかな…?野郎が入った湯なんかで死にたくはねえなぁ…」
ーホテル外のコンビニー
優美子「あ」
蓮「あ」
優美子「何してんのあんた」
蓮「ホテルの売店が閉まってたからここまで買い出し」
優美子「あっそ。ごくろーさん」
蓮「優美子は?」
優美子「時間つぶし」
蓮「なんでそんな事してるんだ?」
優美子「うっさいな。女子には色々あんのよ」
蓮「そうか。じゃあな」
優美子「ちょいまち」
蓮「またない」
優美子「待てっつってんでしょ!あんた自分に正直すぎない!?」
蓮「それが青春だ」キリッ
優美子「それ何かの決めゼリフ?つまんないんだけど」
優美子「つか面白い話しろし」
蓮「わかった」
優美子「素直じゃん。はよしろし」
蓮「優美子のすっぴんって面しr」
優美子「ぶっ殺されたいの!?」
蓮「とっておきの思いつきだったんだが」
優美子「とっておきなのに思いつきってどういう事?つかあーしイジんなし」
蓮「イジられたいくせに」
優美子「ねーから」
蓮「ほんとはちょっとあるだろ?」
優美子「ねーから!」
蓮「じゃ葉山が優美子をイジりたいって言ったら?」
優美子「………///」
蓮「うーわきもちわるい顔」
優美子「は!?は!?女子に向かってキモいとかありえねーし!」
蓮「ありえるんだこれが」
優美子「ありえねーし!」
蓮「はははっ」
優美子「笑いごっちゃねーし!」
蓮「優美子の話はほんと面白いな」
優美子「んなもんしてねーし!」
店員「あのーお客さん。静かにしてもらえます?」
蓮「すいません。ちゃんと言っておきますから」
優美子「は!?は!?ちょ!?はあ!?」
蓮「はいはいどうどう」
優美子「なだめんなし!」
店員「あの、もう帰ってもらえますか?」
蓮「すいません今すぐ帰します。じゃ俺は買い物あるからまた」
優美子「はあ!?ちょっふざけんなし!なんであーしが悪い感じになってんのよ!?」
店員「どっちも帰れや」
ーホテル近く コンビニの外ー
蓮「追い出されてしまった」
優美子「マッジありえねーーーーーし!!!!」
蓮「そうやってぎゃいぎゃい言うから」
優美子「ふざけんなし!なんであーしのせいになってんの!?」
蓮「はははは」
優美子「笑えねーし!」
蓮「コンビニ他にないかな?」
優美子「ねーし。この辺ちょっと見てみたけどここしかないし。あきらめな」
蓮「しょうがない」スッ
優美子「………」
蓮「………」
優美子「手あげて何してんの?」
蓮「タクシー停めようかと」
優美子「あんたほんと変なやつ」
蓮「よく言われる」
優美子「褒め言葉じゃねーし」
蓮「それもよく言われる」
優美子「ぐぬぬ」
蓮「その反応もよく見る」
優美子「ぬああああっぁっぁあぬぁぁぁあーーー!!」イライラジタバタイライラジタバタ
蓮「あっ」
優美子「何よ!?」
蓮「せっかくタクシー止まりかけたのに…優美子の奇行を見て通り過ぎてった」
優美子「ふぅーーーーーっざけんなし!!!」
蓮「しょうがない諦めるか…」
優美子「ったく!何なん!?あんた何なん!?」
蓮「ホテル戻って出前取ろう」
優美子「はあ?あんた飯食ってないの?」
蓮「ホテルでは食べられなかったから」
優美子「はあ…ちょっと待ってろし」
蓮「??」
優美子「ほら」
蓮「くれるのか?」
優美子「うん」
蓮「ありがとう」ニコッ
優美子「う、うん………なんだ、笑った顔いい感じじゃん…」
蓮「もぐもぐ……このカレーまん微妙だな…もぐ」
優美子「…文句あんなら返せーーーーーー!!!!!!」
ーホテル 部屋ー
戸塚「すう……すう……」
八幡(戸塚はすでにおやすみタイムか。つか寝るのはえぇな)
八幡「さて、俺ももう寝るか…疲れたしな…」
ガチャッ
戸部「いやーまーじすごかったなぁ雨宮さんは!」
葉山「そうだな。最初は一瞬疑ったが嘘って様子を微塵も感じられない余裕のオーラだったしな。あれは間違いない本物だろう」
戸部「あんれ?ヒキタニくんじゃね?どこ行ってたん?」
葉山「そういえば雨宮さんと一緒じゃないなんて珍しいよな。どうしたんだ?」
八幡「…今日は色々起こりすぎてな。さすがに疲れてこれから寝るとこだ。っつーか何?雨宮さんて…」
戸部「いんやーまじパネェから雨宮さんは!ヒキタニくんもレクチャー受けてみた方がいんじゃね!?」
葉山「そうだな。雨宮さんのススメは確かだと思うな」
八幡「ああそうかよ。じゃ俺もう寝るから」
戸部「うぉっすヒキタニくんお疲れ~!」
葉山「お疲れ比企谷」
戸部「いやーしっかしどうすっべかなぁ…さすがに緊張してきたぁ」
葉山「そろそろ時間か。なあ、一度改めるのもいいんじゃないか?」
戸部「え?改めるって?」
葉山「だから…その…。ほら、雨宮さんにレクチャー受けてから実行する…とかさ」
戸部「あぁーなるほどぉ!さっすが隼人くーん!」
葉山「そうだろ?じゃあ延期でいいんじゃないか?」
戸部「せっかくのアドバイスだけど隼人くん。それねぇから」
葉山「えっ?」
戸部「俺、もう決めてっから。覚悟も何もかも。だから俺、もう行くよ」
葉山「お前…なんかキャラが」
戸部「俺こんなチャラい感じだけどさ。海老名さんにはガチなんだわ。それに雨宮さんの…何?姿勢っつの?生きる姿勢?自分に正直な感じ?ああいうの見て、俺だって!って思ったんだよ」
葉山「…あれは彼だから出来る事であって…」
戸部「んな事わかってんよ。でもよ、俺もう引き下がるつもりねえから。例え約束の場所に来てくれなくてもいい。待ち続けっから」
葉山「戸部………だが…」
戸部「んじゃ、行ってくるわ!」
ガチャッ…バタン
葉山「…比企谷…起きてるよな?」
八幡「………あぁーもう…」
ーホテル 屋上ー
戸部「………」
葉山「そっか仮病か…だったら何でそれ先に戸部に言わなかったんだよ?」ヒソヒソ
八幡「言うタイミングじゃなかっただろ…」ヒソヒソ
葉山「詰めが甘いなんて比企谷らしくないじゃないか」ヒソヒソ
八幡「うるせーなぁ」ヒソヒソ
ーホテル 屋上の扉前ー
葉山「どうする気だ?」ヒソヒソ
八幡「どうもこうも…つか何であいつ某大佐みたいに風に吹かれて街を見下ろしてんの?人がゴミのようだとか言うと目がやられるんじゃないの?」ヒソヒソ
葉山「そういうのいいんだよ。どうするんだ?」ヒソヒソ
八幡「…しゃーない。海老名さんが体調悪いらしいって聞いたって事にしようぜ。それしかねえだろ」ヒソヒソ
葉山「それもそうか」ヒソヒソ
雪乃「あなたたち何してるの?」
八幡「えっ!?」
葉山「うぉ!?」
ーホテル外 コンビニ前ーー
蓮「わかったか?それほどカレーは奥が深いもので」
優美子「わかったから…もうわかったから…あーしが悪かったから…」
蓮「いや優美子は悪くないよ。それでカレーっていうのは」
優美子「こいつにとってカレーって地雷なの…?そんなんわかりっこねーし…………ん?」
蓮「で、たまにこう相手のためを思ってやるとなぜか激辛になってしまうほど難しいもので」
優美子「………と、戸部!?」
蓮「だから寝かせればいいってものじゃ……とべ?」
優美子「あれ!戸部じゃない!?」
蓮「とべカレー?聞いた事ないな…興味深い」
優美子「バカ!上!上!!ホテルの上にいるの戸部じゃね!?」
蓮「ん?上…?」
ーホテル 由比ヶ浜たちの部屋ー
海老名「………」
結衣「どしたの?姫菜」
海老名「うん…何か悪いなぁって」
結衣「でも…これしかないんでしょ?」
海老名「そう、なんだけど…でも…」
ベエェェェェェ!!!!
結衣「??優美子の声っぽくない?」
海老名「そうだね。戻ってきたのかな?開けてあげよ」
ガチャッ……ドカッ!!
優美子「ぷるぁ!?」ドタン
結衣「ひゃっ!?…優美子!?どうしたの!?何があったの!?」
海老名「うーん。結衣が開けたドアに正面衝突したんじゃないかなーって」
蓮「大変だ」
結衣「え?れんれん?どしたの慌てて」
蓮「戸部が飛ぶ」
ーホテル 屋上の扉前ー
八幡「え…何でここに?」
雪乃「まだ寝れそうにないからちょっと風に当たりに来たのだけれど。あなた達は何してるの?」
葉山「それは…」チラッ
雪乃「あれは…戸部くん?…ということは」
八幡「察したか。さすが雪ノ下」
雪乃「避けられなかったという事なのね?」
葉山「微妙に違う」
八幡「そうだな微妙に違う」
雪乃「ならどういう事情なのか教えてもらわないとわからないのだけれど?」
八幡「えっとだな…」
ーはちまん説明中ー
雪乃「なるほど。戸部くんはその仮病の知らせを知らないままあそこにいるというわけなのね」
葉山「ああ」
八幡「困った事に本人は告白する気満々だ」
雪乃「そう…なら今すぐ伝えてしまいましょう。海老名さんの体調がと言えば……あら?下から誰か来るわね」
八幡「由比ヶ浜か…おいおい、あれ海老名さんじゃねえか!?」
葉山「まずい!止めないと!」
結衣「ヒッキー!戸部っちは!?」ハァハァゼェゼェ
海老名「比企谷くん!戸部くんは!?」ゼェゼェハァハァ
八幡「おう?いや、世界に君臨する闇の王かの如く下界を見下ろしたままだが…」
結衣「はあ?!何それ!意味!わかん!ないし!大丈夫!なの!?」ゼハァゼハァ
八幡「落ち着けお前の方が大丈夫か?何か様子がおかしいな。どういう状況でここに来たか説明しろ」
海老名「戸部っちが飛ぶっち!」ゼェハゼェハ
八幡「………はい?」
ーえびな説明中ー
八幡「三浦と…?はあ、そうなのか」
葉山「それなら心配する事じゃないよ2人共。戸部はああして姫菜を待ってるだけだから」
海老名「えっそうなの?」
結衣「なぁんだ良かったぁ…」
八幡「………」
葉山「しかし優美子と雨宮さんか。面白い組み合わせだな。どんな話するのかその場にいてみたい。それでその2人は?」
結衣「あーえっと…」
海老名「優美子は結衣のドアバーンであえなく一撃死。それでれんれんが介抱してるよ」
八幡「ドアバーンて…」
葉山「じゃあちょっと見に行った方がいいのかな?」
蓮「その必要はない」
八幡「………」
雪乃「あら。重たそうな荷物を背負って大変ね、雨宮くん」
優美子「重くないし」
結衣「れんれん!優美子おんぶして登ってきたの!?あの階段を!?」
蓮「ああ」
海老名「すっご…」
葉山「さすがだ雨宮さん」
八幡「………」
蓮「久しぶりだな、八幡。ホテルに着いたぶりか」
優美子「とりあえず下ろせし…」
蓮「大丈夫なのか?」
優美子「うん…もう鼻血も出てないし…てか戸部は?」
葉山「戸部なら大丈夫だよ。ああして街を見下ろしてるだけなんだ」
優美子「そか。つか何であんたらここにいたの?てっきり戸部が飛び降りる気なのかと思ってた」
葉山「それはだな…」
八幡「三浦。お前は部屋に戻っててくれないか?」
葉山「どうしてだ?」
結衣「そうだよどうして優美子だけ?」
八幡「事情を知らない人間がいると何が起こるかわからない。だから事情を把握してる人間だけここに残るべきだ」
優美子「事情ってなんの?ねぇ隼人?」
葉山「それは……」
戸部「うぃっす!」
八幡「………そりゃそうだよな。こんだけ騒げば…」
葉山「………」
雪乃「………」
結衣「やっはろー…」
優美子「戸部なにしてんのあんた」
蓮「うぃっす」
海老名「あ…ははは…」
戸部「つーか何々?皆してよぉ!夜景でも見たくなったん?」
八幡「ちょっとこっち来い」
戸部「いたたた引っ張んなってヒキタニくーん!」
葉山「どうする…」
雪乃「今から仮病というのはさすがに無理があると思うわ」
結衣「どうしようどうしよう…」
海老名「………」
優美子「ねぇ隼人…何なの?」
蓮「葉山。教えてくれるか?俺はともかく、優美子は戸部が屋上から飛ぶんじゃないかと本当に心配でここまで来たんだ。知る権利があるはずだ」
葉山「………わかった…こんな状況だ、仕方ない…。ざっくりした説明なるが…どうにか理解してくれ」
ーホテル 屋上ー
八幡「いやーなかなかの高さだな」
戸部「はぁ。何なのよぉヒキタニくん?俺これからすっげー大事な勝負の時なんだけど?」
八幡「勝負?ケンカでもすんのか」
戸部「いんや?でも勝負みたいなもんだかんな」
八幡「勝負ねぇ…もしかして誰かに告白でもする気か?」
戸部「お!?すっげーなヒキタニくんよくわかんなぁ!?」
八幡「まあ…屋上でする事つったら青春イベント………」
戸部「だよなだよなぁ。校舎裏とかなぁ」
八幡「青春、か」
戸部「どしたん?」
八幡「戸部。お前、フラれるかもしんないぞ」
戸部「んなもんわーってるっしょ。だから勝負なんだよ」
八幡「フラれたらどうする気だ?」
戸部「ダメだった時の事なんて考えてねぇよ」
八幡「お前…本当にそれでいいと思ってるのか?誰に告白するつもりか知らねぇが、その相手とギクシャクしちまうことは目に見えてるんだぞ?」
戸部「………」
八幡「悪い事は言わない。考え直せ。別に告白するなって言ってるんじゃない。今じゃなくていいんじゃないか?って話だ」
戸部「…ヒキタニくんさぁ」
戸部「誰かをマジで好きになった事ある?あるならわかるだろ?」
戸部「俺な、この通りチャラくてよ。軽い感じじゃん?でもな、彼女に対する気持ちはマジなんだよ」
八幡「………」
戸部「誰にも邪魔させねぇし邪魔されたくもねぇ。例えそれが隼人くんでもな」
八幡「…………はあ。そうかよ…………なぁ」
戸部「あん?」
八幡「ちょっと時間くれるか?」
戸部「はあ?何のだよ」
八幡「うっせーな整理の時間だよ」
戸部「うっはははっ!俺が整理する時間っつーんならともかくヒキタニくんがかよ?悪いがそれは出来ねぇ。相手はすぐそこにいっから」
八幡「…ちょっ…待てって…」
スタスタスタ…
ーホテル 屋上の扉前ー
葉山「……というわけなんだ…」
優美子「…そか…」
結衣「うん…」
海老名「…あはは、何かごめんね?何か……」
蓮「何も謝る必要はない」
海老名「でも…」
優美子「そう。海老名が謝る事じゃないし」
雪乃「その通りよ」
結衣「………」
蓮「葉山」
葉山「…何だい?」
蓮「この仲間が大事なんだな?」
葉山「……ああ…」
蓮「この仲間たちがお前の居場所なんだな?」
葉山「そうだ…」
蓮「どうしても守りたい居場所なんだな?」
葉山「守り…たかった……」
優美子「…隼人…」
結衣「れんれん…もう、いいから…」
海老名「ごめん…」
戸部「海老名さん!ちょっとこっち来てくんねっかな?」
海老名「……うん」
スタ…スタスタ……
ーホテル 屋上ー
八幡(まず間違いなく戸部はフラれる)
蓮(戸部くん自身、それなりの覚悟はあるだろう)
八幡(だが他は?)
蓮(彼らの環境を大事に思っているのは)
八幡(戸部だけではない)
戸部「来てくれてありがとう、海老名さん」
海老名「うん…」
葉山「………」
雪乃「…タイムアップ、ね…」
結衣「そんな…」
優美子「………」
八幡(だから海老名さんはあんな依頼を出してきたんだ)
蓮(中心人物である葉山を巻き込んで)
八幡(だから彼はああも苦悩していたんだ)
蓮(大事な居場所をなくしたくない、その手に掴んでおきたい)
八幡(三者の願いはたった一つだ)
戸部「俺……俺は………」
海老名「…うん」
葉山「くそっ……くそぉ……っ…」ギリッ
雪乃「………」
結衣「うぅう………」
優美子「………」
八幡(戸部をフラレないようにし)
蓮(かつ彼らのグループの関係性を保ち)
八幡(海老名さんとも仲良いままにしておく)
蓮(となると方法は…)
八幡・蓮(一つしかない……!)
戸部「俺っ…俺!!」
海老名「………」
戸部「お…………っれ…!?」
海老名「……?」
スタスタスタ……ザッ
八幡・蓮「あなたの事が好きでした。俺と付き合ってください」
~11月27日~
ー朝 八幡宅ー
八幡「………」ポケー
小町「お兄ちゃん」
八幡「………」グテー
小町「お兄ちゃんてば!!」
八幡「お?何だ妹よ。寝るか?」
小町「さっき起きたばっかで何言ってんだか」
八幡「………」ボケー
小町「………」
八幡「………」グター
小町「ああもう鬱陶しいなぁ!どうしたの何があったの!?言ってみ!」
八幡「何だどうしたいきなり大声だして」
小町「どうした?じゃないよ!どうかしてるのはそっちだよ!」
八幡「まあな」
小町「まあなって…ちょっと?ちょっとお兄ちゃんてば!」
八幡「気をつけて行くんだぞ。じゃ俺も学校行くか」
小町「ちょっと!?」
ー通学路ー
八幡(あの日)
八幡(戸部の告白の日)
八幡(俺と雨宮蓮は)
八幡(1人の女子に同時にフラれた)
八幡(その結果にて、彼らの問題は一応の収束を得た)
八幡(そして俺と雨宮蓮を残し全員が部屋に戻った後、俺は彼に和解と取引の再開を求めた)
八幡(彼の答えは)
蓮「おはよう八幡」
八幡「おはよう蓮」
八幡「なぁ」
蓮「ん?」
八幡「なんであの屋上の時、俺と同じ方法を取ったんだ?」
蓮「んー。何となく」
八幡「何となくであれかよ…」
蓮「ああ。葉山から概要だけ聞いたんだけど」
八幡「概要だけであんな事に思い至るもんか?」
蓮「至るわけない。だから葉山に詰め寄った」
八幡「なんて?」
蓮「あきらめるのか?って」
八幡「…………………それだけかよ?!」
蓮「ああ。そしたら葉山が本音を晒した。そこから頭をフル回転」
八幡「マジかよ…にしたってああいう思考はなかなか出てこねえもんだと思うが…」
蓮「八幡をトレースした。お前ならああいう方法になるんじゃないかと思って」
八幡「えっ……」
蓮「上手くいってよかった」ニコッ
八幡「………すげぇな…お前……」
蓮「そういえば修学旅行あっという間だったな」
八幡「ん?ああ、そうだな。正直それどころじゃなかったしな」
蓮「そうか?」
八幡「どこの誰だよ?今日も明日もヨシツネ参りだって息巻いてたのは」
蓮「俺だな」
八幡「行きたいって言うだけならまだいい。実際行ってんだからなお前は!!」
蓮「行ったな。だけど1人じゃない。お前も付いてきたろ?」
八幡「まあ…そうだけどよ」
蓮「共犯だ」
八幡「共犯ねぇ…おかげでしばらく平塚先生に目をつけられそうなんだが?」
蓮「誰かが見てくれるっていうのは悪い事じゃない」
八幡「そんなもんかねぇ…」
蓮「そんなもんだ」
ー教室ー
ガラララッ
ざわざわ・・・ざわわ・・・ざわ・・・ざわわん・・・
葉山「やあ、おはよう雨宮さん」
蓮「おはよう葉山」
結衣「れんれんやっはろー!」
蓮「ゆいゆいやっはろー」
優美子「…おはよ」
蓮「おはよ」
戸部「雨宮さん!ちーっす!」
蓮「ちーっす」
海老名「れんれんはろはろ~」
蓮「ひめひめはろはろ~」
八幡「………」
戸塚「おはよう、八幡!」
八幡「おう。おはよう彩加」
八幡(この空気なら上出来だよな。こうして見るとカースト上位も悪くない)
前編 完
続き
【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」続【中編】