1 : 以下、名... - 2018/03/14 19:12:11.16 ghrAB3FF0 1/21


●全20レス(予定)
●キャラ曲解・崩壊注意
●加藤さんは聖女で悪女

元スレ
【わたモテ】モテないし教えてもらう【かともこ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521022330/

2 : 以下、名... - 2018/03/14 19:13:56.75 ghrAB3FF0 2/21


お母さんは、とても、綺麗な人でした。


華やかな世界で、きらびやかに装い、たくさんのひとの目を惹いていました。


そしてその世界で、お母さんはお父さんと出会いました。





お父さんは、お母さんとわたしを、せいいっぱい愛してくれました。


ほんの短い間だけだったけれど ―


思い出の中でも、写真の中でも、お父さんはいつも笑っています。





お母さんは今も、お父さんの分まで、わたしをせいいっぱい愛してくれています。


愛するということは、その人のためにすること。


自分が好かれるためにすることではありません。





・・・お母さんは、とてもとても厳しくて、そして優しい人でした。

3 : 以下、名... - 2018/03/14 19:14:29.49 ghrAB3FF0 3/21


お母さんはけして怒りません。でも、こうと決めたらけしてひるがえしません。


わたしに好きにさせてくれるけど、好き勝手はけしてさせません。


そうしてわたしにいろんなことを教え、いろんなことができるようにしてくれました。




わたしにお父さんがいないこと、お母さんがひとりで育ててきたこと。


そしてお母さんが、華やかだけれどうつろな世界で生きてきたことを、


わたしが負い目に思わないように・・・




わたしはそれを、嬉しく思っていました。


そして、お母さんを困らせるまいとも思いました。


わたしもせいいっぱい、お父さんとお母さんを、愛したかった。


だからわたしは ―




「いい子」に、なったんです。

4 : 以下、名... - 2018/03/14 19:15:32.99 ghrAB3FF0 4/21


 キーン コーン カーン

  キーン コーン ・・・



「・・・・・・」

「・・・・・・」



 … トン トン トン   シュッ シュ キュッ 。



「・・・・・・おおっ」

「・・・・・・・・」



  シュ シュ シュ   ポン ポン ポン …



「お、お、お」

「・・・ふふっ」



・・・ シ ュ ッ 。



加藤「はい、できあがり」

5 : 以下、名... - 2018/03/14 19:16:50.29 ghrAB3FF0 5/21


黒木「うわー・・・」キラキラキラ

加藤「どうかな? うまくいったと思うんだけど」

黒木「す、すごい。 クマがぜんぜん見えなくなった!」

加藤「ふふ、かわいくなったよ、黒木さん」

黒木「(やっぱり普段は可愛くないのか)」ブスッ

加藤「普段の黒木さんもかわいいけどね?」

黒木「(見透かされた?!)」ドキッ!

加藤「それじゃ、黒木さんの番ね」

黒木「あ、うん」・・・シュ


ボフ ボフ グリ グリ


黒木「あ、あれ? あれ・・・」

加藤「強すぎるみたいだね」

黒木「そ、そうなのかな。 もう一度・・・」シュッ

岡田「明日香ー、なにやって・・・」ガラッ

加藤「あ」 黒木「げ」 岡田「え」





岡田「あははははははははっ!!!」

6 : 以下、名... - 2018/03/14 19:19:51.84 ghrAB3FF0 6/21


加藤「もう、茜ったら」

岡田「あは、あははっ、ご、ごめんっ!」ゲラゲラゲラ

黒木「(この凸ッパチめ・・・)」ブスッ

岡田「は、はは・・・ メイクのしかた、教えてやってた、のか?」

加藤「うん。 黒木さんからお願いされたの」

岡田「へえ? 意外だな」

黒木「クマを消せるメイク、ずっと知りたくって・・・」

岡田「・・・そうだったのか。 やっぱ、そう思ってたんだな」

黒木「(雑誌読んでやってみても、、うまくいかなくかったし・・・)」



(あ、あれ? あれれ・・・ もこっち、ごめんね)

(うぎゃあああああああ!!)



黒木「(ゆうちゃんにやってもらったら、えらいことになったし)」

加藤「わたしがずっとやってあげてもいいんだけどね?」ニコッ

岡田「またそうやって、すぐ世話焼きたがるんだからなあ」

黒木「・・・・・・・・・・・・」



(・・・なんで、なんだ??)

7 : 以下、名... - 2018/03/14 19:21:15.40 ghrAB3FF0 7/21


(加藤さん、なんでこんなに、わたしのことかまってくれるんだろ?)

(誰にでもやさしい人みたいだけれど)


加藤「だって、黒木さんの顔いじるの楽しいんだもん」

岡田「嫌だったら嫌って言えよ、黒木?」

黒木「・・・あ。 嫌じゃない、よ」

岡田「明日香って、けっこうすぐ調子に乗るからな」

加藤「もう、茜ったら。 でも・・・」

黒木「・・・・・・・・・」ジーッ


(・・・ま、どうせ、また荻野の差し金かな)

(『友達になってくれ』とでも吹きこまれたんだろうな)


(そうでもなけりゃ、わたしなんかにかまってくれるはずもないか)

(きれいで優しくて成績もいい、こんな完璧超人様が)


加藤「ほんとうに嫌だったら、言ってね? 黒木さん」

黒木「え」

加藤「いえ・・・ きっと、気づくようにする。あなたに言われる前に」

黒木「あ、えと、だから、ほんっとうに、嫌じゃないですっ!!」

加藤「ふふ。 ・・・ありがとう、ね」

8 : 以下、名... - 2018/03/14 19:22:06.76 ghrAB3FF0 8/21


 キーン コーン カーン

  キーン コーン ・・・


加藤「・・・・」

黒木「・・・・」


 シュ シュ ポン ポン

  ・・・ シ ュ ッ 。


加藤「はい、どうぞ」

黒木「ありがとう」


シュ シュ シュ


加藤「上手になってきたね」

黒木「・・・ほんとうに、ありがとう」

加藤「ううん・・・ ねえ」

黒木「・・・なに?」

加藤「やっぱり、教えてくれない?」




「茜と根元さん、どうやって仲直りさせたのか」

9 : 以下、名... - 2018/03/14 19:23:02.33 ghrAB3FF0 9/21


黒木「・・・う・・・」

加藤「どうしても、ダメ?」

黒木「べ、べつに、わたしはなにも」

加藤「『なにも』ってのは、ウソでしょ」

黒木「・・・」

加藤「あなたと話をしたあと、茜はやっと根元さんに自分から声をかけた」

加藤「そしてふたりで話をして、あっというまに仲直りしちゃった」

黒木「・・・・・・・」

加藤「いったい、何を話したの?」

黒木「それは・・・」

加藤「茜も、根元さんも、どうしても教えてくれないの」

黒木「・・・・・・・・・」

加藤「なんでなのかなあ」

黒木「・・・別に、たいしたことじゃ」

加藤「メイク、落とすね」

黒木「・・・はい」



 シュッ シュッ シュ

キュッ キュッ キュ ・・・

10 : 以下、名... - 2018/03/14 19:23:48.30 ghrAB3FF0 10/21


加藤「・・・」シュ シュ

黒木「・・・」ジーッ

加藤「ね、黒木さん」・・・シュ



「やっぱり、わたしって、話しかけづらい?」



黒木「・・・え」

加藤「あ、ううん。 黒木さんがどうって、ことじゃないの」

加藤「前からずっと、言われてることなの。 みんなから・・・」



[ あ、その・・・ 加藤さんに言うほどのものじゃ、ないです ]

[ 明日香は上品すぎるからなあ。 お高くとまってるわけじゃないけどさ ]



加藤「いつも、そうなの。 みんなわたしを、嫌いじゃないんだろうけど」

黒木「・・・・・・・・・」

加藤「でもいつも、遠ざけようとする。 仲良くしてくれてるのは、わかるけど」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「踏みこんだ話をしようとすると、みんないつも、一歩引いちゃう」

加藤「悪気じゃないのは、わかってる。 わかってるんだけど・・・」

11 : 以下、名... - 2018/03/14 19:25:42.89 ghrAB3FF0 11/21


黒木「(・・・・・わたしの、バカ)」

加藤「なんで、なのか、なあ・・・」

黒木「(バカ、アホ、クズ。 死ね、クソゲス野郎)」

黒木「(なにが荻野の差し金だ。 恥を知れ、くそったれ)」



ようやくわかった。 …いつも、気づくのが遅い。

なんで加藤さんが、ぼっちのわたしと仲良くしようと思ったのか。


加藤さんも、ぼっちだったんだ。


きれいすぎるから。 優しすぎるから。

まわりの人と、違いすぎるから・・・



加藤「ごめんね黒木さん、変なこと言って」

黒木「・・・・・・・・・・」

加藤「はい、落としたよ。 じゃあ」

黒木「加藤さん」ガタッ



ツカ ツカ ツカ

 ・・・ ガ ラ ッ 。

12 : 以下、名... - 2018/03/14 19:26:25.25 ghrAB3FF0 12/21


加藤「黒木さん? どこに・・・」

黒木「・・・ついてきてください」

加藤「えっ?」

黒木「教えて、あげますから」


ツカ ツカ ツカ


加藤「え。 ま、待って」

黒木「・・・」ツカツカツカ

加藤「待って、黒木さん」・・・タタッ



 タ ッ 。



加藤「あ、あれ。 どこ・・・」

黒木「加藤さん」ツカ ツカ ツカ

加藤「あ、こっち?」

黒木「わたしが頼んだんです」

加藤「え?」



ツカ ツカ ツカ ツカ

13 : 以下、名... - 2018/03/14 19:27:20.99 ghrAB3FF0 13/21


加藤「(は、速い? 黒木さん・・・)」

黒木「私が、頼んだんです。 岡田さんと、ネモ・・・とさんに」

加藤「・・・え」

黒木「絶対話さないで、って。 どこの誰にも、絶対言うなって」

加藤「な・・・」

黒木「あんなこと教えたって知られたら、わたし」



「今度こそ、この学校に、いられなくなるから」



加藤「なっ・・・!? 黒木さん!」

黒木「・・・・・・・・・」ツカツカツカ

加藤「待って、黒木さん! 待って!」タタタタッ!




ツカ ツカ ツカ ツカ

タッ タッ タッ タ ・・・




加藤「は、はあ、はあ、はあ・・・」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・・」

14 : 以下、名... - 2018/03/14 19:28:35.94 ghrAB3FF0 14/21


加藤「(・・・こ、ここ、どこ? 追いつくのに夢中で、気づかなかった)」

黒木「・・・・・・・・・」

加藤「(この校舎に、こんな場所があったなんて・・・)」

黒木「・・・ここなら、誰も、めったに来ない」スッ


・・・ カ  カ カ カ カ ッ 。


加藤「(・・・スマホ?)」

黒木「岡田さんは、根元さんのことを怒っていた」カ カ カ カ

黒木「なぜ、声優を目指してるってことを、教えてくれなかったのかって」カ カ カ

加藤「・・・うん」

黒木「だからわたし、教えてあげたんです。 岡田さんに」カ カ ・・・

黒木「根元さんが、声優を目指してるって言えなかった理由」 カ ッ!


・・・ ス ッ 。


加藤「イヤホン?」

黒木「聞いてください」

加藤「う、うん」・・・ゴクリ



【こらー! 待ちなさーい!】 【だーだ? だあー!】

15 : 以下、名... - 2018/03/14 19:29:25.64 ghrAB3FF0 15/21


加藤「えっ???」

黒木「・・・知ってます、よね」

加藤「あ、うん。 でも・・・」

黒木「今度はこっちを」 カ カ ッ 。



【―― ! ―――――・・・!!】



加藤「!・・・・・・・・・・・・」

黒木「・・・」

加藤「・・・・・・な・・・・・」

黒木「・・・」

加藤「・・・なに・・・これ・・・なに・・・」

黒木「同じ人です」

加藤「・・・・・・・・え・・・・・・・・」

黒木「同じ人の声なんです。 わかりませんか」

加藤「・・・うそ・・・そんな、まさか・・・・」


【―――― ?! ―― 、―――!】


加藤「・・・・う・・・そ・・・・」

16 : 以下、名... - 2018/03/14 19:32:32.66 ghrAB3FF0 16/21


・・・ ・・・ ・・・



[ ・・・明日香。 ]



お母さん。


[ 明日香。 友達は、選ばなくてはいけませんよ ]



お母さん・・・



[ いい友達は一生の宝物。 悪い友達は、一生の毒になるんですからね ]



・・・お母さん、ごめんなさい。 明日香、悪い友だち、つくっちゃった。



【―― ! ―― ! ―― ! ~~~~~!!】



悪いこと、教えてもらっちゃった・・・ 明日香、悪い子になっちゃったよ・・・




【――――――――――――――――・・・♡】

17 : 以下、名... - 2018/03/14 19:33:30.24 ghrAB3FF0 17/21


 キーン コーン カーン

  キーン コーン ・・・


加藤「・・・・」

黒木「・・・・」


 シュ シュ ポン ポン

  ・・・ シ ュ ッ !


加藤「うん、完璧」

黒木「・・・そう、かな」

加藤「もうわたしは、黒木さんに教えなくって大丈夫だね」

黒木「そっか・・・」

加藤「・・・でも」 ニ コ ッ 。


「黒木さんは、きょうもまた、わたしに教えてくれるんだよね」


黒木「・・・・・・・・・・・・」

加藤「約束通り。 誰にも言ってないよ。 茜にだって、根元さんにだって」… ニ コ リ




「お母さん、わたしの携帯、チェックしてるの。 だから・・・・・」

18 : 以下、名... - 2018/03/14 19:34:10.18 ghrAB3FF0 18/21


【――――――。 ――――・・・】



加藤「・・・・・わあ・・・・・・」

黒木「・・・・・・・」

加藤「これ、なんて、言うの?」

黒木「・・・『百合』、です」

加藤「・・・百合? 女の子同士のことを、そういうの?」

黒木「男同士は『薔薇』っていってて、そこからきたみたいです・・・」

加藤「・・・・・すごい・・・・・」



【・・・――! ――――、――――・・・】



加藤「・・・・・・・・」ジーッ

黒木「・・・・・・・・」ジーッ

加藤「わあ。 こんなことまで・・・」ジーッ

黒木「・・・(近い! 近いよ!!)」ジーッ・・・



(肌キレイだよ、いいにおいだよっ!! なにこれ、すんごくいいにおい?!)

(見える!胸もと見えてる! もっともっと!)

19 : 以下、名... - 2018/03/14 19:37:20.42 ghrAB3FF0 19/21


加藤「・・・・・・・・・」・・・ジーッ

黒木「(あ、あとちょっと! あとちょっと下!!)」ハアハア

黒木「(さわっちゃう? さわってもいいのかな?!)」ハアハアハア

黒木「(いいよね?! 女の子同士なんだし! ちょっとだけなら!!)」・・・ソーッ

加藤「黒木さん」

黒木「は、はいいいっ!?」ビクッ!

加藤「大きい声出したら聞こえちゃうよ、もう。 ・・・こないだのも、見せて」

黒木「・・・こないだ? あ・・・」

加藤「うん。 『おねショタ』だっけ? お姉さんと、男の子の」

黒木「は、はい」・・・カ  カッ

加藤「・・・・・・・・・・・」

黒木「・・・えっと・・・」カ カ カ カ

加藤「(・・・きれい)」ジーッ


(・・・切れ長の、大きな眼。 まっ黒い瞳。 すいこまれそう・・・)


加藤「(黒木さん。 あなた、さっき、見てたよね?)」

加藤「(わたしのここ、じーっと。 ふふふ・・・)」



・・・ ク ス ッ 。

20 : 以下、名... - 2018/03/14 19:38:21.00 ghrAB3FF0 20/21


加藤「(黒木さんって、そう言う趣味なのかもね。 内さんも、そう言ってたし)」クス クス

加藤「(今日は香水変えてみたんだけど、気づいてくれたかな? ふふふふっ)」クス クス クス …

黒木「待ってて。待って、あとちょっと・・・」カカカカカ

加藤「(とがったあご、細い首。 小さな肩、まっすぐな手足。 まるで・・・)」


黒木さん、まるで男の子みたい・・・


[ お父さん、明日香、弟がほしいの ]

[ はは、お母さんに相談しないとなあ ]


黒木「・・・・・・・・・・・」カカカ・・・

加藤「(いやがらなかった、よね。 黒木さん、何しても)」

加藤「(手をさわっても、顔いじっても・・・・)」ペ ロ リ 。


(誰にも言わないよね? きっと、そうだよね? ねえ、黒木さん)

(だから、ちょっとだけ。 ちょっとだけなら、いいよね・・・?) ス ・ ・ ・



  ― ス ッ 。



黒木「よっしゃ。 はい、加藤さん」

加藤「きゃわあ?!」

21 : 以下、名... - 2018/03/14 19:39:57.58 ghrAB3FF0 21/21


黒木「きゃわ?!」

加藤「あっ、あ、あ・・・・」ドギマギ

黒木「か、加藤さん?」

加藤「な、なんでもない。なんでもないの・・・」アセアセ

黒木「・・・?? まあ、これ、こないだの・・・」

加藤「・・・あ、ありがとう、ね。 黒木さん・・・」ドキ ドキ ドキ・・・



【――――? ――――・・・!】


(・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・)


【――――?!――、――、――・・・】


(・・・黒木さんの、バカ。 わたし、もう、戻れない)


【――!――!――! ・・・~~~~!!!】


(戻れなくなっちゃったよ、バカ・・・)






【――――――――――――・・・ ♡】



※おしまい※


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