1 : 以下、?... - 2019/02/18 21:20:05.582 Mb8/4zFc0 1/38

課長「えー、今日からしばらくの間、入社することになったキートン山田君だ」

キートン山田「よろしくなのである」

「よろしく」

OL「はいはーい、よろしくー!」

後輩「よろしくお願いします!」

課長「キートン君、君の席はあちらということで」

キートン山田「分かったのである」

元スレ
課長「今日から入社したキートン山田君だ」キートン山田「よろしくなのである」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1550492405/

2 : 以下、?... - 2019/02/18 21:22:27.795 Mb8/4zFc0 2/38

キートン山田「ここはどのような部署なのであろうか」

「うちは食品メーカーなんだけど、ここは年寄り向けの健康食品なんかを扱うセクションでね」

キートン山田「友蔵を相手にするような部署か」

「そそ、友蔵!」

「ジジババは舌衰えてるからなに食ったって一緒だし、体にいい成分入れときゃ、喜んで買う!」

「しかも同じもんが売れ続けるから、今ある商品をきっちり営業しときゃいい」

「新しいこと考える必要はないし、難しいこともなーんもないから、ま、気楽にやってよ」

3 : 以下、?... - 2019/02/18 21:25:36.717 Mb8/4zFc0 3/38

課長「えーと、そろそろ毎年恒例の社内コンペなんだけど……」

「いつも通り、俺が適当になんか考えときますよ」

課長「そうかい……頼むよ」

キートン山田「社内コンペとはなんなのだろうか」

「ん、ああ、年に一度行われる社内での企画発表会だよ」

「社長のお眼鏡にかなえば企画した食品が商品化されるけど、ま、マジで取り組むもんじゃないさ」

「どうせ、よその花形部署が優勝持っていっちゃうんだから」

「たしか去年はこんにゃく詰め合わせた≪こんにゃくおせち≫を提案したっけ」

「もちろんコンペではドベ! アッハッハ!」

キートン山田「そりゃそうだろう」

4 : 以下、?... - 2019/02/18 21:29:22.568 Mb8/4zFc0 4/38

課長「じゃあ、部課長会議に行ってくるから……」


OL「フンフ~ン、キレイにならなくちゃ」ヌリヌリ…


後輩「……」フゥ…



キートン山田「なんとバラバラな部署であろうか」

「でしょ? やっぱキートンさんもそう思う?」

「なにせやりがいのない部署だから、みんなこうなっちゃうんだよねえ」

6 : 以下、?... - 2019/02/18 21:31:42.021 Mb8/4zFc0 5/38

後輩「あ、あの……先輩」

「ん?」

後輩「今度のコンペ、ボク、自分なりに企画を考えてみたんですけど……」

「企画ゥ? 生意気にんなもん考えてるヒマあったら、ちゃんと仕事覚えろよ!」

後輩「す、すみません」

「ったく、お前はいつも空回ってんだよ! 余計なことすんな!」

後輩「はい……」

「あ、すみませんね、キートンさん。変なとこ見せちゃって」

キートン山田「別にかまわないのである」

7 : 以下、?... - 2019/02/18 21:36:12.838 Mb8/4zFc0 6/38

昼休み――

後輩「……」

後輩「ハァ……」

キートン山田「まるで山根を見ているようだ」

後輩「! キ、キートンさん!」

キートン山田「私でよかったら、相談に乗るのである」

後輩「キートンさん……」

後輩「実は……」

8 : 以下、?... - 2019/02/18 21:39:16.373 Mb8/4zFc0 7/38

後輩「ボク、会社を辞めようと思ってるんです……」

キートン山田「ほう」

後輩「うちの課は……みんなバラバラで……」

キートン山田「確かにそうだ」

後輩「先輩は仕事はできる人なんですけど、ボクのことなんかまるで眼中になくって」

後輩「やることなすこと、いつも否定されてばかりで……」

後輩「近頃はボク、なんのために会社にいるのかなぁ、と思うようになってきて……」

キートン山田「辞めるのであれば止めはしまい」

キートン山田「しかし、今のまま辞めたのでは、悔いが残るのではあるまいか」

後輩「え……」

9 : 以下、?... - 2019/02/18 21:43:13.731 Mb8/4zFc0 8/38

キートン山田「たとえばの話だが、私は1990年からちびまる子ちゃんのナレーションを務めてきた」

キートン山田「当然、辛かったこともある」

キートン山田「しかし、それらを乗り越えたからこそ、今の私があると信じているのである」

キートン山田「継続は力なり、というではないか」

後輩「……!」

後輩「そうですね、キートンさん」

後輩「ちびまる子ちゃんのナレーションのようにズバッといわれると、なんだか心地いいです」

後輩「ボク、もうちょっとだけ頑張ってみます!」

キートン山田「その意気である」

10 : 以下、?... - 2019/02/18 21:45:05.075 Mb8/4zFc0 9/38

後輩「よーし……」

後輩「今月はどの商品が売れてるかなっと……」

後輩「先輩、外回り行ってきます!」

「おう」

後輩「ボク、もうめげたりしませんから!」タタタッ

「なんだあいつ……?」

キートン山田「……」

11 : 以下、?... - 2019/02/18 21:48:46.902 Mb8/4zFc0 10/38

OL「フンフ~ン」ヌリヌリ

キートン山田「また化粧か。ずいぶんと化粧好きな女なのである」

OL「な、なによ、いきなり!」

キートン山田「お前はなぜ化粧をするのだ」

OL「決まってるでしょ? キレイになっていい男を捕まえるためよ!」

キートン山田「残念ながら、それは不可能だろう」

OL「どうしてよ!」

キートン山田「今のお前は化粧のしすぎで、顔面の主張が激しくなりすぎている。まるでみぎわさんである」

OL「なんですってぇ!?」

12 : 以下、?... - 2019/02/18 21:51:37.211 Mb8/4zFc0 11/38

キートン山田「しかし」

OL「!」

キートン山田「過剰な化粧をやめれば、とし子ちゃんくらいにはなれるのではなかろうか」

OL「そ、そうかしら……?」

OL「キートンさん、あなたおじさんのくせに口説くのがうまいのね」

キートン山田「年の功というやつだ」

OL「ちょっとお化粧を薄めにしてこよっと!」

14 : 以下、?... - 2019/02/18 21:54:27.958 Mb8/4zFc0 12/38

OL「……どう?」

キートン山田「おお、城ヶ崎さんのようではないか」

OL「ホント!?」

キートン山田「だが、今のままではいい男を捕まえるのはやはり無理であろう」

OL「……どうして?」

キートン山田「私が考えるいい女というのは、仕事中に遊び呆ける女ではなく」

キートン山田「自分の責任をきっちり果たせる女だと思うからだ」

OL「!」ガーン

15 : 以下、?... - 2019/02/18 21:56:02.462 Mb8/4zFc0 13/38

OL「……そうね」

OL「その通りだわ、キートンさん」

OL「あたし、今まで典型的な腰かけOLやってたけど……仕事にも本気で取り組んでみる!」

キートン山田「そうすればきっと素敵な男性が現れるであろう」

16 : 以下、?... - 2019/02/18 21:58:20.128 Mb8/4zFc0 14/38

後輩「課長、この見積もりを見て下さい!」サッ

課長「うむ……」


OL「お電話ありがとうございます! はい、例のデータですね……」テキパキ



「……?」

(あいつら、急にやる気出してきたな。OLさんは厚化粧やめて、かえって美人になったし)

(いったい何があったんだ?)

「キートンさん……もしかして、何かやった?」

キートン山田「ご想像にお任せする」

「ほら、やっぱり何かしたんだ!」

17 : 以下、?... - 2019/02/18 22:01:33.683 Mb8/4zFc0 15/38

「すごいな、キートンさん! 一体どんな手品を使ったんだよぉ~」

キートン山田「特別なことは何もしていない」

「うちの課のガンだったあの二人を、あんな劇的ビフォーアフターするなんて!」

キートン山田「何をいうか」

「え?」

キートン山田「ガンはお前であろうが」

「――な、なんだと!?」

18 : 以下、?... - 2019/02/18 22:04:42.194 Mb8/4zFc0 16/38

「俺のどこがガンだってんだよ!?」

キートン山田「与えられた環境に不平不満を持ちつつも、自分からそれを変えようとはせず」

キートン山田「いつも周囲を見下し、傍観者を気取り、自分だけは違うという顔をし続ける」

キートン山田「なんとぐうたらで、卑怯で、根性の捻くれた男だろうか」

キートン山田「まさに、まる子と藤木と永沢の悪いところを寄せ集めたような男である」

「好き放題いいやがって……!」

「もう一回いってみろ!」

キートン山田「お前はまる子、藤木、永沢以下である」

「ぐ、ぐぐっ……!」

20 : 以下、?... - 2019/02/18 22:08:24.230 Mb8/4zFc0 17/38

「そうだよ、俺だって、俺だってっ……! 最初はっ……!」

「この課に配属された当初は、あれこれ新しいことをやろうと努力したさ!」

「だけど、結局どれも実らなくて、いつしか腐っちまったのさ……」

「頑張ったって無駄じゃないかって……」

キートン山田「腐るにはまだ早いのではないか」

「え……」

キートン山田「おそらく昔のお前は、自分の理想を叶えるには力不足だったのだろう」

キートン山田「しかし、社会人として経験を積んだ今のお前ならば、実現できるのではあるまいか」

「……!」

21 : 以下、?... - 2019/02/18 22:10:36.588 Mb8/4zFc0 18/38

「俺に……できるかな?」

後輩「できますよ、先輩!」

OL「うんうん! あたしも協力する!」

「……二人とも」

キートン山田「今のお前には仲間がいるではないか」

「うん……」

「よーし、この閉塞感ある部署に、俺たちで風穴あけてみるか!」

22 : 以下、?... - 2019/02/18 22:13:23.694 Mb8/4zFc0 19/38

課内会議――

課長「今度の社内コンペに出す企画は出来たかね? 一応出さなきゃいけない決まりだから……」

「課長、その件ですが、もっとじっくり企画を練りたいと思います」

課長「どうして?」

「なぜなら今回の社内コンペ、本気で商品化を狙いに行くからです!」

課長「えっ!?」

後輩「ボクもやると決めました!」

OL「あたしも頑張ります!」

課長「……嬉しいよ。君たち、やっとやる気になってくれたんだね」

課長「君たちがそのつもりなら、私も上司として全力で君たちをサポートするよ!」

「はいっ!」

キートン山田「後半へ続く」

25 : 以下、?... - 2019/02/18 22:19:13.639 Mb8/4zFc0 20/38

「今日は一日大した予定はない……」

「いつもだったら、適当に雑務をして過ごすとこだけど」

「外回りして爺さん婆さんに、どんな食品が欲しいか需要調査しに行こう!」

後輩「はいっ!」

「本当ならネットで意見集めるのが手っ取り早いけど、爺さん婆さんはそんなの使えないし」

「生の声を聞くってのが大事だからな!」

後輩「ええ、それにネットだと相手が何歳かも分かりませんしね」

キートン山田「ネット上では誰かが誰かを演じるなど日常茶飯事である」

26 : 以下、?... - 2019/02/18 22:22:31.904 Mb8/4zFc0 21/38

「あのー」

老人「なんだね?」

「私、食品メーカーの者なんですが、ご意見をうかがってもよろしいですか?」

老人「どうせヒマだし、かまわんけど……」

「なにかこういう食品欲しいなーって要望はございませんか?」

老人「んー、そうだなぁ……」

…………

……

27 : 以下、?... - 2019/02/18 22:25:23.109 Mb8/4zFc0 22/38

一週間後――

「ふぅ、だいぶ意見が集まったな」

後輩「ええ、なにか新商品のヒントになればいいんですけど……」

「じゃあこれ、資料としてまとめてくれる?」

OL「はいはーい!」カタカタ

「うおっ、はやっ!」

後輩「今まで気づかなかったけど、OLさんのアシスタント能力はすごいですね!」

「そうか、この子も元々このくらいの能力は持ってる子だったんだ……」

キートン山田「まさに宝の持ち腐れである」

「その通りですね、キートンさん!」

28 : 以下、?... - 2019/02/18 22:29:05.266 Mb8/4zFc0 23/38

OL「出来たよー!」

「おおっ!」

後輩「早い! しかも分かりやすい!」

キートン山田「さっそく見てみようではないか」

OL「意外と多いのが……“散歩しながら食べられるお菓子みたいな食べ物が欲しい”って意見ね」

「ウォーキングが流行ってるっていうからなぁ」

「一休みした時にウエハースみたいなのを食いたいって気持ちは分かる」

後輩「お年寄り向け携帯食ですか……いいかもしれませんね!」

「うん、企画はこの方向性でいってみよう!」

29 : 以下、?... - 2019/02/18 22:31:39.217 Mb8/4zFc0 24/38

会議――

「というわけで、俺たちが考えたのは≪お年寄り向け携帯食≫です」

「ヘルシーなのはもちろん、柔らかめにして、お年寄りでも食べやすいというのをコンセプトに……」

OL「いいセンいってると思う!」

課長「ふむ、悪くないね」

(そう、悪くはない。悪くはないんだが、これで熾烈な社内コンペを勝ち抜けるかというと――)

キートン山田「パンチ不足なのである」

「!」

30 : 以下、?... - 2019/02/18 22:34:26.696 Mb8/4zFc0 25/38

キートン山田「たしかに爺さんや婆さん向けの携帯食というアイディアは面白い」

キートン山田「が、今のままでは社内コンペで社長の気を引けるかというと、厳しいであろう」

「ええ、その通り」

(さすがキートンさん、ズバッといってくれるぜ)

後輩「じゃあ、どうすれば? 味を刺激的にするとか?」

OL「バカ、そんなことしたら、お年寄りは買わないでしょ! あくまで健康食品なんだし!」

「包装を派手にしても、かえってイメージ悪くなるだろうしなぁ……」

「うーん……」

31 : 以下、?... - 2019/02/18 22:37:29.757 Mb8/4zFc0 26/38

ワイワイ… ガヤガヤ…

(もう二時間ぐらいやってるが、全然いいアイディアが出ない……)

課長「少し……休まないかね?」

「そうですね、そうしましょう」

キートン山田「ではここらで、私が友蔵のように一句詠もうではないか」

後輩「一句?」

キートン山田「結論が 出ない会議も また楽し キートン心の俳句」

後輩「たしかに……こんなに白熱した会議は初めてですから!」

課長「お見事!」

OL「ていうか、それ川柳じゃない?」



「――それだ!」

33 : 以下、?... - 2019/02/18 22:41:08.844 Mb8/4zFc0 27/38

後輩「先輩?」

「そう、俳句だよ!」

「携帯食を俳句の短冊みたいな形にするんだよ!」

「で、備えつけの黒蜜とかで俳句を書けるようにして、詠んだらそのまま食べられる的な!」

OL「……いいかも!」

課長「おおっ、面白いかもしれんね!」

後輩「キャッチコピーは『俳句を食べて、健康になろう』なんてのはどうでしょう?」

「それいただき!」

「よし、このアイディアを土台に、企画を練っていこう!」

キートン山田「まさか友蔵のおかげで突破口が開けるとは」

キートン山田「爺さんが聞いたら泣いて喜ぶであろう」

34 : 以下、?... - 2019/02/18 22:44:03.629 Mb8/4zFc0 28/38

日数を重ね、アイディアは徐々にまとまっていき……

「――できた!」

後輩「やりましたね!」

OL「間に合ったわねー」

課長「うむ、この企画書なら、他の部署とも渡り合えるよ!」

「ええ……俺たちの意地、見せてやりましょう!」

キートン山田「はてさて、どうなることやら」

35 : 以下、?... - 2019/02/18 22:46:47.459 Mb8/4zFc0 29/38

社内コンペ当日――

課長「それじゃ、行ってくるよ」

「ふぅ~、こんなマジなプレゼンするの久々だから、緊張するなぁ」

後輩「先輩なら大丈夫ですよ!」

OL「肝心なところで噛まないでよね!」

キートン山田「当たって砕けてこい」

「できれば砕けたくないですね、キートンさん……」

36 : 以下、?... - 2019/02/18 22:49:54.305 Mb8/4zFc0 30/38

パチパチパチパチパチ…

進行役「では次の課、どうぞ!」

社長(この課は、いつも一夜漬けで考えたような雑な企画を挙げてくるだけ……)

社長(どうせ今回もそうだろうし、聞き流しておくか)


「……コホン」

「えー、我々がこのたび提案いたしますのは年配向けの、俳句を詠んで食べられる携帯食、です」

「名づけて、≪おいしい俳句≫!」


社長「……ほう」ピクッ


…………

……

37 : 以下、?... - 2019/02/18 22:53:17.423 Mb8/4zFc0 31/38

「……」ザッ

OL「……どうだった!?」

後輩「どうでした?」

「コンペ通ったよ! ≪おいしい俳句≫がマジで商品化される!」

OL「すごい!」

後輩「やったぁ!」

課長「君のプレゼンがよかったからだよ」

「いや、俺が詰まった時の課長のフォローがなかったらどうなってたか……」

キートン山田「人間やればできるということである」

38 : 以下、?... - 2019/02/18 22:55:24.525 Mb8/4zFc0 32/38

やがて――

「いよいよ、≪おいしい俳句≫の発売日だな!」

後輩「売れるといいなぁ~」

OL「もし売れなかったら、あたしたちどうなるの?」

課長「かなり冒険した商品だから、売れない可能性も高いよねえ……」

後輩「本当にどうなっちゃうんでしょ……」

「さすがにクビってことはないと思うけど……」

ドヨーン…

キートン山田「みんな揃って山根のような男どもだ」

41 : 以下、?... - 2019/02/18 22:58:40.764 Mb8/4zFc0 33/38

しかし、皆の不安をよそに、≪おいしい俳句≫は大ヒットした。

“俳句を詠んで食べられる”というのが、年配だけでなく若者にも受け、
動画サイトには俳句を詠む若者たちの動画が相次いで投稿された。

それを受け、すぐさま若者向け≪おいしい俳句≫も作られることになるのであった。

まったく世の中なにが受け入れられるか分かったものではない。



誰にも相手にされていなかった社員たちが、ヒット商品を生み出したのである。

43 : 以下、?... - 2019/02/18 23:02:09.688 Mb8/4zFc0 34/38

「おい、聞いたか!? うちの課が社長賞もらえるんだってよ!」

後輩「本当ですか!?」

OL「やったーっ!」

課長「うちの課が社長賞だなんて、初めてのことだよ。みんな、よくやってくれた」

「キートンさん、これもあなたのおかげだ!」

キートン山田「そんなことはない」

「いや……あなたが来なきゃ、俺たちどうなってたか……」

「これからも一緒にヒット商品を生み出していきましょう!」

キートン山田「残念ながら、それはできないのである」

「……え?」

44 : 以下、?... - 2019/02/18 23:05:59.380 Mb8/4zFc0 35/38

キートン山田「元々私は本業の糧になるかと思い、無理をいってこの社に入社していたのだ」

キートン山田「まもなく去らねばならない」

「そうだったんですか……」

キートン山田「しかし、君たちならもう大丈夫である」

キートン山田「これからも、仲間たちと年寄りのために素敵な商品を作り続けて欲しいものだ」

「……はい!」

後輩「ボクも先輩に続きます!」

OL「あたし、キートンさんみたいな素敵な男性と知り合えるよう、頑張る!」

課長「本当にありがとうございました」

キートン山田「では、さようならである」

「さよなら……キートンさん!」


…………

……

45 : 以下、?... - 2019/02/18 23:09:15.379 Mb8/4zFc0 36/38

それから――

編集者「貴重なお話を、どうもありがとうございました」

「面白い本にして下さいね」

編集者「ええ、≪おいしい俳句≫誕生秘話! これは絶対ヒットしますよ!」

「アハハ……だといいんですけど」

(さてと……今日はもう帰るか)

46 : 以下、?... - 2019/02/18 23:12:07.414 Mb8/4zFc0 37/38

スタスタ…

「……!」

「……あ」

キートン山田「あ」

「お久しぶりです、キートンさん! 俺です!」

キートン山田「久しぶりである」

「もしかして、ちびまる子ちゃんの収録の帰りですか? ちょっと飲んでいきません?」

キートン山田「かまわないのである」

47 : 以下、?... - 2019/02/18 23:15:55.528 Mb8/4zFc0 38/38

キートン山田「ほう、本が出版されることになったのか」

「ええ、≪おいしい俳句≫の開発エピソードを、大手出版社さんがぜひ本にしたいって……」

「……って、これで売れなかったら、大恥ですけどね。アハハハ……」

キートン山田「大丈夫、必ず売れるのである」

「どうして?」

キートン山田「なぜなら――」

キートン山田「重版へ続く」






おわり

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