1 : 以下、?... - 2019/01/14 21:11:07.095 ZqynraSW0 1/34

「コーヒー飲む?」

「ああ、もらおうかな」

「砂糖とミルクは?」

「どっちもいらない。ブラックでいい」

「それだと苦くない?」

「……」グビッ

「うん、コーヒーはブラックに限るな」

「かっこつけてるだけでしょ?」

元スレ
男「コーヒーはブラックに限るな」女「かっこつけてるだけでしょ?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1547467867/

15 : 以下、?... - 2019/01/14 21:14:19.850 ZqynraSW0 2/34

「そんなことないよ」

「俺たち≪対宇宙特別防衛隊≫は、宇宙という闇(ブラック)に挑み続ける仕事だ」

「だからこそ、コーヒーもブラックで飲み、気を引き締める必要があるんだ」

「私は砂糖もミルクも入れさせてもらうわ」サッサッ

ビービー… ビービー…

「!」

「サイレンだわ!」

『XD-4P地区にエイリアン出現! 繰り返す、XD-4P地区にエイリアン出現!』

「出撃だ!」

「のんびりコーヒー飲んでるヒマもないわね」

24 : 以下、?... - 2019/01/14 21:17:09.090 ZqynraSW0 3/34

XD-4P地区――

エイリアンA「キュイイイイイイイッ」ビビビビッ

ズガァァァァァン!!!

エイリアンB「キュイイイイキュイイイイイ」ビビビビッ

ドゴォォォォォン!!!



「あいつらね……」

「人の星で好き勝手しやがって……」

27 : 以下、?... - 2019/01/14 21:20:08.595 ZqynraSW0 4/34

「数は?」

「全部で10体ってところ」

「よし……それぐらいなら俺らだけでやれるな。後続を待つまでもない」

「いくぞ! 光線銃を構えろ!」

「うん!」

31 : 以下、?... - 2019/01/14 21:23:12.038 ZqynraSW0 5/34

「喰らえッ!」バシュッ

エイリアンA「キュイイ!?」ズガァンッ


「こっちよ!」バシュッ

エイリアンB「キュイィィィ!」ズガァンッ


「よし、二体倒した!」

「どんどんいくわよ!」

36 : 以下、?... - 2019/01/14 21:26:11.143 ZqynraSW0 6/34

エイリアンC「キュイィィィィ!」ビビビビッ

ドゴォォォォォン!!!

「おっと!」サッ

「そこだ!」バシュッ

エイリアンC「ギュイイィ!」ズガァンッ

「三体目撃破!」

「残りが全部、こっちに向かってくるわ!」

バシュッ… バシュッ… バシュッ…

40 : 以下、?... - 2019/01/14 21:30:06.873 ZqynraSW0 7/34

エイリアンD「ギュイイィィィ……」ドサッ…

「よし!」

「今のでラスト?」

「ああ、10体目だ」

「ったく、こんだけ忙しくて命がけなのに給料安いし、うちってホントブラック企業よね」

「何百年も前に流行った言葉らしいな、それ」

「うん、労働条件が悪い組織を指す言葉だったんだって」

46 : 以下、?... - 2019/01/14 21:32:35.548 ZqynraSW0 8/34

「ブラック企業……結構じゃないか」

「俺たちが宇宙の脅威と戦ってるから、地球の人達は平和に暮らせるんだからさ」

「まーたかっこつけちゃって。あんただってもっと給料欲しいでしょ?」

「かっこつけてなんかいないよ。本心さ。俺は今の給料で十分だよ」

「はいはい」

「それより、司令官にエイリアン殲滅の報告に行こう」

「了解しました、男殿!」

47 : 以下、?... - 2019/01/14 21:35:15.600 ZqynraSW0 9/34

司令官「うむ、ご苦労だった。下がっていい」

「はいっ!」

「はいっ!」

「さて、もう一杯コーヒー飲もうかな」

「やっぱりブラック?」

「もちろんさ」

「かっこつけちゃって、もう」

50 : 以下、?... - 2019/01/14 21:40:19.337 ZqynraSW0 10/34

それからしばらくして――

「司令官直々に緊急の呼び出しだなんて、なんだろう?」

「只事じゃなさそうな雰囲気だったわね」

ザッザッザッ

「失礼します!」

「失礼します!」

司令官「さっそく、任務を申し渡す」

「緊急事態とのことですが……?」

司令官「悪名高き宇宙人、≪エビル星人≫の次のターゲットが地球になったらしい」

「なんですって?」

「“宇宙のならず者”の異名を欲しいままにしてる連中ね」

司令官「うむ、奴らが地球に降り立ったら、甚大な被害が出ることだろう」

51 : 以下、?... - 2019/01/14 21:42:21.017 ZqynraSW0 11/34

司令官「当然、我々も戦艦を出して宇宙空間で応戦するが、おそらく劣勢になる」

司令官「そこで、君たちには我々が戦ってる隙に、エビル星人の戦艦に侵入して」

司令官「敵の司令官――“エビル帝王”を抹殺してもらいたい」

司令官「これが今回の任務だ」

「了解(ラジャー)!」

「了解(ラジャー)!」

53 : 以下、?... - 2019/01/14 21:45:15.474 ZqynraSW0 12/34

「あーあ、とんでもない任務ね。敵の戦艦に乗り込んで親玉の首を取れだなんて」

「だが、戦艦の力では勝るエビル星人に勝つにはそれしかない」

「奴らに目をつけられ絶滅させられた星だってある。これは地球存亡を賭けた戦いなんだ」

「分かってるわよ」

「まだ時間あるし、コーヒー飲む?」

「ああ、ブラックでな」

「まーたかっこつけちゃって」

54 : 以下、?... - 2019/01/14 21:48:23.396 ZqynraSW0 13/34

作戦開始――

司令官「エビル星人の戦艦が来たぞ!」

司令官「撃て、撃てぇーっ!!!」

砲撃手「全砲門、最大出力!」


バシューンッ バシューンッ バシューンッ バシューンッ バシューンッ

ズガァァァァン… ドゴォォォォン… ドグワァァァン…



司令官(……頼むぞ!)

55 : 以下、?... - 2019/01/14 21:50:41.508 ZqynraSW0 14/34

「始まったわ……」

「戦艦同士が派手にやり合ってる隙に、ここから侵入できそうだ」

「いくぞ!」

「オッケー!」


タタタッ… タタタッ…

56 : 以下、?... - 2019/01/14 21:53:43.336 ZqynraSW0 15/34

タタタッ…

エビル星人A「!?」

エビル星人A「なんだオマエタチハ!?」

「……」バシュッ

エビル星人A「グワッ!」ズガァンッ

「……」バシュッ

エビル星人B「ウギャ!」ズガァンッ

57 : 以下、?... - 2019/01/14 21:57:57.507 ZqynraSW0 16/34

(帝王はどこだ?)

エビル星人C「侵入者ダ!」ビビビビビッ

バチッ!

「しまった!」

「このっ!」バシュッ

エビル星人C「グエェ!」ズガァンッ

「俺としたことが、光線銃を破壊されてしまった……!」

「あなたは退却して! 帝王は私が何とかするから!」

「いや……」

60 : 以下、?... - 2019/01/14 22:01:44.562 ZqynraSW0 17/34

「ストッキング貸してくれ!」

「いきなりなにいってんの!?」

「いいから!」

「分かったわよ、もう……」ヌギヌギ

「こんなものどうするの?」

「このストッキングに、光線銃の残骸やそこらの破片を詰め込むんだ」

61 : 以下、?... - 2019/01/14 22:03:35.022 ZqynraSW0 18/34

「できた!」ヒュンヒュンッ

「なにそれ?」

「簡易的な武器だ。ブラックジャックっていうらしい」ヒュンヒュンッ

「これでもかなりの殺傷力を誇る」

「そんなんでエビル星人と戦うの? かっこつけてるだけでしょ?」

「いいや、俺は本気だ」

「バッカじゃないの? 自殺行為よ!」

「やってみなきゃ分からないさ」

63 : 以下、?... - 2019/01/14 22:05:12.658 ZqynraSW0 19/34

「いくぞ、エビル星人!」ヒュヒュンッ

バキッ! ドカッ! ドゴッ!

「グオォ!」 「ウゲェ!」 「ギャア!」

「どうだ?」

「や、やるじゃない……」

「どうやらエビル帝王はあの部屋にいるようだ。乗り込むぞ!」

「うん!」

64 : 以下、?... - 2019/01/14 22:10:04.094 ZqynraSW0 20/34

エビル帝王「なんダ!? なぜ地球人がここニ!?」

「エビル帝王、お前を倒しに来た!」

「あんたさえ倒せば、指揮系統は崩壊するわ!」

エビル帝王「フン、地球人如きに俺を倒せるわけないだろウ!」

エビル帝王「死ネッ!」ビビビビビビッ

ズガガガァァァァァン!!!

「ぐっ!」

「今までのエビル星人とは比較にならないパワーだわ!」

65 : 以下、?... - 2019/01/14 22:12:16.104 ZqynraSW0 21/34

「喰らえッ!」ヒュヒュンッ

ドガッ! バキッ!

エビル帝王「……フン」

エビル帝王「痛くも痒くもなイ!」ビビビビビビッ

ドゴォォォォォン!!!

「あぐっ!」

(やはり、こんな武器が通じる相手じゃないか……!)

66 : 以下、?... - 2019/01/14 22:15:01.531 ZqynraSW0 22/34

「くっ!」ジャキッ

エビル帝王「撃たせるカ!」ビビビッ

ドォォォォォン!!!

「きゃあっ!」

カランカランッ

エビル帝王「頼みの綱の銃は転がっていったナ……」

エビル帝王「まず、メスからトドメを刺してやル!」

67 : 以下、?... - 2019/01/14 22:17:46.514 ZqynraSW0 23/34

「いいや……ナイスパスだ!」サッ

エビル帝王「ナ!?」

エビル帝王「コイツ……!」

「遅い!」

「出力最大で直撃させる!」バシュッ!

ズバババババッ!!!

エビル帝王「グオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

エビル帝王「グ……俺としたことガァ……!」

70 : 以下、?... - 2019/01/14 22:22:14.661 ZqynraSW0 24/34

「やったぁ!」

「よく攻撃を喰らうふりして、光線銃をパスしてくれた!」

「あんたもよく私の狙いに気づいてくれたわね!」

エビル帝王「ククク……」

「!」

エビル帝王「俺を倒さなけれバ……地球人は絶滅だけは避けられたかもしれなイ……」

エビル帝王「しかし、これデ……地球人は確実に絶滅すル……」ガクッ

「……死んだ」

「今のはどういう意味だ?」

「ただの強がりでしょ。意味なんてないわよ」

71 : 以下、?... - 2019/01/14 22:25:26.583 ZqynraSW0 25/34

ゴゴゴゴゴ…

「!」

「!」

「な、なんだ!? エビル帝王の死体からものすごいエネルギーが!」

「逃げるわよ!」

タタタタッ… タタタタッ…

72 : 以下、?... - 2019/01/14 22:28:41.644 ZqynraSW0 26/34

司令官「一体どうなっているのだ!?」

観測員「エビル帝王の死体の質量が急速に増大し、ブラックホールが形成されつつあります!」

観測員「どうやら、自分が死んだらそうなるよう、仕掛けを施していたようです!」

「死なばもろともってわけ!? なんて奴なの……!」

「申し訳ありませんっ!」

司令官「いや、こんなことになるなど、到底予測もつかなかったことだ……」

「このままいくとどうなるんだ?」

観測員「地球はおろか、太陽系全てがあのブラックホールに飲み込まれてしまうでしょう……」

73 : 以下、?... - 2019/01/14 22:31:33.531 ZqynraSW0 27/34

司令官「何か手はないのか?」

観測員「あれはいわゆる自然発生する純粋なブラックホールではありません」

観測員「ブラックホール内部に飛び込み、核(コア)を破壊できれば、消滅させることは可能です」

観測員「ただし、成功確率は12.15%、飛び込んだ者の生存確率はさらに低く……」

司令官「うむう……」

「やります」

司令官「え」

「ブラックホールを消滅させる任務、俺にやらせて下さい!」

「ちょっ!」

75 : 以下、?... - 2019/01/14 22:36:13.204 ZqynraSW0 28/34

「なにいってるの! 私たちはもう十分働いたでしょ! なんであんたが……!」

「しかし、並の隊員じゃ、無駄死にするだけだろう。俺が行かなきゃ……」

「バカよ! ブラックホールに飛び込むなんて! かっこつけてるだけでしょ!?」

「ああ……その通りだ」

「地球を……いや、君を守るため……俺はかっこつけたいんだ」

「うう……バカ……!」

76 : 以下、?... - 2019/01/14 22:39:25.095 ZqynraSW0 29/34

「行ってもいいよな?」

「行きなさいよ……! バカにつける薬はないもの……!」

「だけど……」

「?」

「必ず帰ってきて……。約束して!」

「ああ、約束する!」

「司令官、この任務、俺が志願します!」

司令官「うむ……頼んだぞ!」

78 : 以下、?... - 2019/01/14 22:43:03.641 ZqynraSW0 30/34

ギュゥゥゥゥゥン…


観測員「ブラックホールへの突入を確認!」


……


観測員「……ブラックホール消滅!」

観測員「どうやら、核(コア)を破壊できたようです!」

司令官「おお、やってくれたか! さすがだ!」

観測員「しかし……彼の生存反応は確認、できません……」

司令官「……そうか」

「バカ……」

81 : 以下、?... - 2019/01/14 22:48:46.929 ZqynraSW0 31/34

一年後――

(あれから……あっという間に一年が経った)

(私は≪対宇宙特別防衛隊≫で死に物狂いで働いた)

(彼の死を忘れたかったから? いいえ、そうじゃないわ)

(地球を平和にしておかなきゃいけないから――)

(いつでも彼が帰ってこれるように――)

84 : 以下、?... - 2019/01/14 22:52:02.410 ZqynraSW0 32/34

「……」コポコポ…

「……」グビッ

(すっかりコーヒーをブラックで飲むのも慣れちゃったわね)

(だけど、なかなかあの人のようにはいかないわ。今日も苦戦しちゃったし)


ザッ…


「――!」ハッ

86 : 以下、?... - 2019/01/14 22:54:26.304 ZqynraSW0 33/34

「やぁ」

「……!」

「やっぱり……やっぱり帰ってきた!」

「ブラックホールは壊せたものの、その影響でまた違う空間に飛ばされちゃってね……」

「遠回りになったけど、やっと帰ってこれたよ」

「えぇっと……ただいま!」

「お帰りなさい!」

87 : 以下、?... - 2019/01/14 22:57:12.702 ZqynraSW0 34/34

「さっそくコーヒー入れるね! ブラックでいいんでしょ?」

「あ、それなんだけど……」

「本当は俺、砂糖とミルクが入ってる方が好きなんだ……」







~END~

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