魔法使い「魔王を倒して、やっと世界も平和になったねー」
勇者「そうだな」
魔法使い「魔族に破壊された家や建物もだいぶ復興してきたし」
勇者「うん、やっと新しい時代が始まるんだ」
勇者「これからは戦いのためじゃなく、平和に剣や魔法を使う時代が来るんだ」
魔法使い「だけどさ世界が平和になったら、魔法はともかく、剣なんて使い道ないでしょ?」
勇者「そんなことないぞ」
魔法使い「そうなの?」
勇者「なんだったら、水晶で俺の一日を見てみるといい」
魔法使い「よーし」ボワァァァァ…
元スレ
魔法使い♀「世界が平和になったら剣なんて使い道ないでしょ?」勇者「そんなことないぞ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1549709342/
ボワァァァァ…
勇者「すぅ、すぅ……」
~
魔法使い「寝てるね」
勇者「そろそろ目覚ましの魔法具が鳴る頃だな」
ジリリリリリリリ!
勇者「……ん」
勇者「うっせえ!」ズバッ
~
勇者「ほら、いきなり役に立った」
魔法使い「斬っちゃってるじゃん!」
勇者「ふんふ~ん」トントントン
~
勇者「この通り、料理もできる。なかなかの包丁さばきだろ」
魔法使い「これはまあ分かる」
魔法使い「けど、結局包丁の代わりしかできないでしょ?」
勇者「……甘いな」
勇者「よっと」クルッ
勇者「ふんふーん」コトコト…
テキパキ テキパキ
~
勇者「切る以外にも、焼いたのをひっくり返したり、スープを混ぜたり、色々できるぞ」
魔法使い「素直にそれ専用の道具買えよ……」
魔法使い「ていうかさ」
勇者「ん?」
魔法使い「あんたが使ってるのって魔王を倒した剣だよね? 血とかついてんじゃないの?」
勇者「それが魔王の血がいい隠し味になるんだよ」
魔法使い「え゛」
勇者「冗談だよ、冗談。ちゃんと洗ってるって」
魔法使い「いつの日か魔王の血で闇堕ちなんてしないでよ……」
勇者「ル~ルル~♪」ジョリジョリ
勇者「……」シーハーシーハー
~
勇者「ヒゲを剃ったり、歯クソをほじくるのにも使える」
魔法使い「怖い怖い怖い怖い怖い!」
勇者「大丈夫だってー」
魔法使い「いつか絶対顔面切ったり歯茎に突き刺したりすると思う」
勇者「……ん」
勇者「背中かくか」ボリボリ
~
勇者「孫の手として使って、背中をかくこともできる」
魔法使い「だから危ないっつうの!」
魔法使い「ていうか、歯クソほじった後洗ってないよね!?」
勇者「んー、今日は他の靴を履くか……」
勇者「……」グイグイ
~
勇者「靴べらにだってできる」
魔法使い「あーもう、カカト切っちゃいそうで怖いよ」
勇者「とまぁ、この通りだ」
勇者「平和になった世の中でも、これだけ剣の使い道はあるってことだ」
魔法使い「うーん、納得いったようないってないような」
勇者「だったらこれからは水晶じゃなく、直に俺を見てみるか」
勇者「平和になった世での剣の使い道、教えてやるよ!」
魔法使い「はいはい、ぜひご教授下さい」
勇者「ここらへん、草がボーボーに生えてるな」
魔法使い「手入れが行き届いてないんだね」
勇者「誰かさんみたいだな」
魔法使い「オイ」
勇者「だったらぁ……」
勇者「とりゃああああああああああああっ!!!」
ズババババッ ズバババババッ ズバババババッ
勇者「あっという間にキレイな芝生に」
魔法使い「おおっ、ここらへんはさすが勇者!」
勇者「もし雨が降ったら……」
魔法使い「?」
勇者「こうして頭上で振り回すことで、全ての雨を防ぐことができる!」ブンブンブンブンブン
魔法使い「あんた以外にできないでしょ、それ!」
魔法使い「ていうか、普通の傘買え傘!」
スタスタ
勇者「道が二つに分かれてるな」
魔法使い「どっち行く?」
勇者「こういう時には――」
パタッ
魔法使い「左に倒れたね」
勇者「剣を倒して行き先を決められる」
魔法使い「これ別に剣じゃなくてもよくない……?」
勇者「さて、右に行くか」
魔法使い「剣に従えよ!」
勇者「あとは杖代わりにしたり」コツコツ
魔法使い「杖つくような年じゃないでしょ」
勇者「子供とチャンバラごっこする時にも使える」ブンブン
魔法使い「危ないっつうの!」
魔法使い「……あのさ。ネタがないからって無理しないでいいんだよ」
勇者「無理なんか……してない!」
魔物「グオオオオオオオオオッ!!!」ガバァッ
勇者「むっ!」
魔法使い「魔物!?」
魔法使い「魔王は倒したのに、こんな人里近くに出るなんて……!」
勇者「まだまだ世界は平和になってないってことか……ここは任せてくれ!」
魔法使い「頼んだよ、勇者!」
勇者「オラァッ!!!」
ドゴォッ!
魔物「グギャアッ!」
魔法使い「殴るのかよ!」
おわり