関連
根暗「触手魔術なんて……」【1】
根暗「触手魔術なんて……」【2】


426 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:53:06.66 XU1xGDs4O 290/656

【森の小屋】
チュンチュン
根暗「……むぅ、朝か」ファア


根暗「おはよう、お爺ちゃん」

触手爺「ん」

根暗「今日も部活の朝練だから、早く出るね」

触手爺「ん」

根暗「僕は部長だからね! 遅れるわけにはいかないんだ」エッヘン

触手爺「ん」ナデナデ

根暗「こ、子供扱いしないでよ……」

触手爺「フッ」

根暗「お爺ちゃん…………今日はよく喋るね」

触手爺「あぁ」

根暗「……あっ、今日は収穫の日か」

触手爺「ん」

根暗「だから機嫌が良いんだ。 今日は研究会休んで早めに帰ってくるよ」

触手爺「いや」

根暗「一緒に……収穫したいな」シュン

触手爺「ん」ナデナデ

根暗「ははは、じゃあ早く帰ってくるね」

触手爺「……根暗、気を付けてな」

根暗「うん! いってきます」

根暗(本当に今日はよく喋るな)

427 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:53:41.96 XU1xGDs4O 291/656

【魔術学園食堂・昼休み】
僕っ娘「何! 今日は研究会を休むだって!?」

根暗「え、あの……駄目、かな?」

僕っ娘「駄目ではないが……午後からの授業、僕は何を心の支えに耐えれば良いんだ」

オタク「デュフフフ、僕っ娘殿は大袈裟でござるな」

ポニテ「嫌、多分ガチで言ってるわよ」ハァ

僕っ娘「理由を言え! また、3Pをしに行くのか!!」

オタクポニテ(3P?)

根暗「今回はさ、3Pじゃないよ」

オタク「その3Pとは一体……」

ポニテ「あんた、僕っ娘というものがいながら何してんの?」ギロリ

根暗「いや、あの……その」ビクビク

僕っ娘「3Pじゃないなら、何だ?」

根暗「家の手伝いを……しないと行けなくて」

僕っ娘「家の手伝い?」

428 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:54:14.20 XU1xGDs4O 292/656

【根暗の通学路】
秀才「つまり、住んでいる小屋の裏にある畑の収穫を手伝うために早く帰らないといけないってことか」

根暗「そういうこと」

僕っ娘「……僕達も手伝うことにしたわけだが、秀才が何でいるんだい?」

秀才「何で僕っ娘は僕達に俺をいれてくれないんだい?」

秀才「そもそも、昼食も呼んでくれたら良かったのに」

根暗「魔法薬研究会の文化祭についての打ち合わせが目的だったから……その、呼んでもつまらないかなと」

オタク「秀才がいてもつまらないとは……根暗も言うようになったでござるな」デュフフフ

秀才「」

根暗「そういう意味じゃないよ」オロオロ

ポニテ「秀才君がいようがいまいがどっちでも良いから、それより根暗が通ってるゲートはまだなの?」

秀才「」グスン

根暗「もうちょっと……あ、ここ入ったところ」

秀才(ここって路地裏じゃないか)

僕っ娘「……こんなところにゲートがあったとは、知らなかったな」

根暗「ゲートを越えたら、その、すぐだから」

429 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:54:43.60 XU1xGDs4O 293/656

【森の小屋】
ポニテ「……何だかすごいボロい小屋ね。 あぁ、農具置き場?」

根暗「ぼ……僕の家」シュン

秀才(本当に隔離されて暮らしているんだな)

僕っ娘「ポニテ、僕の髪乱れてないか? 服、汚れてないか?」ドキドキ

ポニテ「大丈夫だけど……どうしたの?」

僕っ娘「義祖父様に会うのに失礼があったらいけないだろう?」

ポニテ「はいはい、そうね」

ギィ

触手爺「……」ギロリ

オタク(……この人が)タラリ

ポニテ(何だか凄い睨まれてる)

僕っ娘(根暗とそっくりだな)

秀才(……ふむ)

根暗「魔法薬研究会の皆と僕の友達の秀才も収穫を手伝ってくれるって」

触手爺「ん」

根暗「ありがとう。 小屋にある道具好きに使って良いってさ」

ポニテ(今ので何が伝わったの?)

430 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:55:09.94 XU1xGDs4O 294/656

【農場(小屋の裏)】
ポニテ「農場広い! これ、一人で耕したんですか?」

触手爺「ん」ニョロン

秀才「なるほど、触手魔術を使って耕したんですね」

触手爺「ん」ニョロン ニョロン

ポニテ「……触手を使ってどんどん人参を抜いてる」

根暗「ふふふ、僕のお爺ちゃんは凄いでしょ」フンス

ポニテ(根暗はお爺ちゃんっ子なのね)

秀才「ほぼ、自給自足の生活を送っているんだな……肉とかはどうするんだ?」

根暗「この森は動物が多いから、人参とかを放っておくとね」ポイッ

ダダダダダダダダダ

大猪「ブォオオオオオ!!」ダダダダ

根暗「向こうから来てくれるんだ」ニョロン

大猪「」ギュウ

根暗「お爺ちゃん、猪捕まえたよ」

触手爺「ん」

根暗「解った、血抜きをしてくるね」

ポニテ(だから、どうして伝わるの?)

431 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:55:38.86 XU1xGDs4O 295/656

グイグイ
根暗「ひゃっ! ……僕っ娘か。 どうしたの?」

僕っ娘「血、血抜きに行く前にちゃんと僕を紹介してくれないか?」ドキドキ

根暗「そ、そうだね……」

根暗「お爺ちゃん……彼女が前に話した僕の恋人の……」

僕っ娘「僕っ娘と言います! 御孫さんを僕にください!!」

根暗(何言ってるの!?)///
僕っ娘(何を言ってるんだ、僕は)///

触手爺「……」スタスタスタ

ガチャン

僕っ娘(小屋の中に戻ってしまった)ズーン

ガチャン

触手爺「ん」つ袋

僕っ娘「あの……義祖父様、これは?」

袋の中≪魔法薬の素材≫パンパン

僕っ娘「なっ! 凄い! 貴重な素材もある!! なっ! このキノコは前から欲しかった……良いんですか?」キラキラ

触手爺「ん」

僕っ娘「義祖父様……」キラキラ

ポニテ「僕っ娘、良かったね」

根暗「……血抜きに行ってくるね」ムス

オタク(……自分の祖父にも嫉妬するか)

432 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:56:12.76 XU1xGDs4O 296/656

【森の湖】
根暗「……」ドスドス

大猪「」

オタク(逆さに吊らした大猪を刺触手で刺してるな)

オタク「根暗……最近おかしいぞ?」

根暗「何が?」

オタク「……風来坊と戦った記録を見させて貰った」

根暗「……向こうから仕掛けてきた」

オタク「あぁ、悪いのは風魔術家だ」

オタク「だが、俺が知っている根暗はあんな戦い方をする奴でも、出来る奴でも無かった」

根暗「正直……あんまり、覚えてないんだ」

オタク「……」

根暗「僕っ娘が奪われて、頭の中に血が昇って……何だか……」

「触手に支配された気分になった」

433 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:56:39.50 XU1xGDs4O 297/656

【農場】
僕っ娘「義祖父様の為に頑張るぞ!」スポンスポン

ポニテ「あんまり無理しちゃ駄目よ? あんた、体力無いんだから」

僕っ娘「うぉぉおおお!」

ポニテ「聞いてないし」ハァ

秀才(僕っ娘とポニテは収穫に夢中になってるな。 オタクは血抜きについていったか)チラ

触手爺「……」ニョロン ニョロン

秀才(聞くなら今しかないか)

秀才「お爺さん……少しお話し良いですか?」

434 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:57:35.53 XU1xGDs4O 298/656

オタク「触手魔術は強力な魔術だ」

根暗「……うん」

オタク「だが、四大元素家が一級危険魔術に定めた理由は単に強いからというわけでは無い」

根暗「……?」

オタク「触手魔術は……世界を征服仕掛けたことがある」

『その魔術師はある魔術を用いて世界征服を目論んでいた……いや、実際に世界の3割りは征服された』

根暗「世界の3割りを支配した魔術……」

オタク「あぁ、それが触手魔術だ」

オタク「その触手魔術師は愛する者の病気を治すために世界手に入れようとした」

根暗「病気を治すため……どういうこと?」

オタク「不治の病だったんだが、誰かが治療方法を隠しているという被害妄想に取り憑かれていたらしい」

根暗「そんな……おかしな話が」

オタク「自分の祖父に嫉妬しているお前も十分おかしいよ」

オタク「世界を征服しようとしたイカれた男もお前と同じことを言ったんだ」

オタク「触手に支配された気分になった、とな」

オタク「火魔術家はその言葉を受けて触手魔術を研究したが、魔術が行使されるまでの機構が全く解らなかった」

根暗「どういうこと?」

オタク「根暗が操っている触手が何処から来たのか解らないってことだ」

オタク「他所から召喚したわけでもなく、小さな触手を急成長させたわけでもない」

オタク「……そんなわけの解らない存在(触手)に支配されて暴走されたら危険と見なすしか無いだろ?」

根暗「お、オタクは……その、僕のことを……」

オタク「俺はお前を守りたい」

根暗「……」

オタク「だから、根暗……頼むから、触手に負けないでくれ」

435 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:58:21.47 XU1xGDs4O 299/656

【農場】
秀才「触手魔術が世界を征服しかけたという話は……本当ですか?」

触手爺「……」

秀才(教えてくれないか……)

触手爺「何処まで知っている?」

秀才「!?」

秀才「触手魔術が世界の3割りを支配したこと、それが原因で一級危険魔術に指定されたこと……そして」

「根暗が世界を征服しかけた男の細胞から作られたホムンクルスだということ」

触手爺「……ん」

秀才(小屋の中で話そうと言うことか?)

436 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:59:05.91 XU1xGDs4O 300/656

【森の小屋】
秀才「……」

触手爺「……どう思った?」

秀才「四大元素家には正直憤りを感じました。 根暗に対しては……だから何だ、と思いました」

触手爺「?」

秀才「彼がどのような存在でも、俺は彼の一言に救われた……その事実は変わりませんから」

触手爺「……」

『お爺ちゃん、新しい友達が出来たんだ』

『秀才って言って色々な事が出来るヤツで……いや、きっと出来るようになったヤツなんだろうけど』

『とっても良いヤツなんだよ!』

触手爺「……そんなに古い話じゃない」

秀才「……?」

触手爺「私の事だからね」

秀才「私のこと? ……世界を征服しかけた魔術師は貴方なんですか?」

触手爺「……ん」

437 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 08:59:50.20 XU1xGDs4O 301/656

『きっとこの街なら彼女の治療法が見つかる』

『何で見つからないんだ?』

『何で、何で見つからない』

―誰かが隠しているのか?

『誰が隠している?』

―解らない、でも誰かが隠している

『それなら……どんな手を使ってでも探して、聞き出すしか……ないよね?』ニョロン

438 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 09:00:19.06 XU1xGDs4O 302/656

秀才「触手に支配された……ですか?」

触手爺「ん」

触手爺「四大元素家に敗れ、この森に監禁されている」

秀才「……貴方はもう支配されてないんですか?」

触手爺「……愛を失った」

触手爺「あの子と畑が全てだ」

秀才「……そうですか」

439 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 09:00:56.04 XU1xGDs4O 303/656

【農場】
僕っ娘「……はぁはぁ」

ポニテ「張り切りすぎよ……あんた」つ水

僕っ娘「ありがとう……やっと帰ってきたか」

根暗「う、うん、遅くなってごめんね」

オタク「少し根暗と語り合ってきたでござる」

根暗「……秀才とお爺ちゃんは?」

僕っ娘「ん? 小屋の中にいるぞ」

ガチャ

触手爺「……」

秀才「根暗……血抜きは終わったのか?」

根暗「う、うん……秀才は何してたの?」

秀才「お爺さんに野菜を育てるコツを教わってたんだ。 家でやってみたくてね」

触手爺「ん」

僕っ娘「それより、根暗」

根暗「……何?」

僕っ娘「が、頑張って収穫したんだが……褒めてくれないのか?」ウワメ

根暗「えっと、ありがとう」ナデナデ

オタク「見せ付けてくれるでござるな」

ポニテ(私も頑張らないとな)チラ

オタク「どうしたでござるか?」

ポニテ「な、何でもない!」プイッ

440 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 09:01:28.68 XU1xGDs4O 304/656

オタク「さて、それじゃあそろそろ帰るでござるよ」

根暗「僕っ娘、家まで送るね」

僕っ娘「送り狼にでもなるつもりかい?」

根暗「あ、あぅ」///

僕っ娘「冗談さ」クスクス

ポニテ「……私も誰か送ってくれないかな~」チラチラ

オタク「秀才、一緒に帰るでござる」

秀才「ん? あぁ、かまわないぞ」

ポニテ「」

触手爺「……君達」

オタク僕っ娘秀才ポニテ「!?」

触手爺「これからも根暗と仲良くしてやってくれ」ペコ

441 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 09:06:13.92 XU1xGDs4O 305/656

【帰路】
秀才「根暗のお爺さん良い人だったな」

オタク「そうでござるな~」

秀才「……あの人が」

オタク「どうしたでござる?」

秀才「いや、何でもない」

オタク「あの人が世界を征服しかけたなんて、信じられないか?」

秀才「!?」ピタ

オタク「あまり嗅ぎ回るな……次は忘却薬ではすまんぞ?」ギロリ

秀才「……なぁ、オタク。 火魔術家は何がしたいんだ? 」

秀才「何で四大元素家は根暗を作ったんだ?」

451 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:12:56.38 VFkBaPLqO 306/656

【生徒会室】
生徒会長【3-Bの生徒。 魔術学園の生徒会長。 体が弱く、すぐ吐血する】

生徒会長「皆、もうすぐ文化祭だ。 今年はクラスだけではなく部や非公式だが、研究会の催し物の申請が来ている」

生徒会長「去年より、店舗数が多くなり運営する生徒会の責任は重大だろう……」

副会長【2-Aの女子生徒。 クールな生徒会副会長。 吐血した生徒会長の回収係り】

書記【3-Cの男子生徒。 字が綺麗という理由で生徒会長にスカウトされた】

会計【1-Cの男子生徒。 数学が得意という理由で生徒会長にスカウトされた】

生徒会長「だが、僕達なら乗り越えられると信じてい……ゲボォ」トケツ

書記「惜しかったな、もう少しで言い切れたのに」

会計「惜しかったですね」

副会長「私は会長を連れて保健室に行ってから、文化祭に参加する部活関連の催し物の内容を聞いてきます」

副会長「書記先輩と会計君は各クラスの催し物の確認をお願いします」

書記会計「へいへい」

452 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:13:22.84 VFkBaPLqO 307/656

【保健室】
養護教諭「……また、吐いたのか?」

生徒会長「先生……すみません」

養護教諭「謝ることじゃ無いけどよ……発散はちゃんとしているか?」

生徒会長「はい。 たまに風来坊に付き添って貰って行ってます……」

養護教諭「もう一回検査を受けた方が良いかも知れないな。 うちの父に紹介文頼んでやるよ」

生徒会長「ありがとうございます」

養護教諭「……今日はもう帰るのか?」

生徒会長「いえ、今から副会長と合流して生徒会の仕事を……」

養護教諭「そうか……本当は帰さないといけないところだが、好きにすれば良い」

453 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:13:54.69 VFkBaPLqO 308/656

【美術部】
副会長「……」

腐女子「えっと……こうですか?」

美術部長「いや、筆はこう持った方が色合いを調整しやすいよ」ギュッ

腐女子(ぶ、部長の手が私の手を掴んでる)アワワワ

副会長「……イチャついているところ失礼」

腐女子「ひっ!?」

美術部長「ん? あぁ、副会長さんか。 文化祭についてかな?」

副会長「えぇ、今年も展覧会をされるのか確認に来ました」

美術部長「勿論、そのつもりだよ。 今年は各自大好きなモノというテーマで描いて展示しようと思っているんだ」

副会長「なるほど。 では、展示する作品が揃ったら教えてください」

副会長「美術部には前科がありますから」ジロ

腐女子「!?」ビクッ

美術部長「安心してくれ、僕の目が黒いうちは如何わしい絵を展示なんてさせないさ」

ガラガラ
生徒会長「失礼します。 あぁ、副会長、やはりここにいたか」

副会長「会長、体の具合はもうよろしいので?」

生徒会長「あぁ、大丈夫だ。 美術部での用事は終わってしまったのかな?」

副会長「えぇ、この通り」つメモ

生徒会長「大好きなモノか……楽しみにしてるよ、美術部長」

美術部長「あぁ、最高の作品を仕上げて見せる」

454 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:14:40.87 VFkBaPLqO 309/656

【理科室】
コンコン
僕っ娘「副会長か。 文化祭の話かな?」

副会長「僕っ娘の一人ぼっち研究会が申請してくるとは思わなかった」

僕っ娘「今は4人だ。 後一人入会させれれば正式な研究会として申請できるんだがな」ハァ

副会長「顧問の先生もいないとね」

生徒会長「ん? 副会長は僕っ娘さんと仲が良いのかい?」

副会長「えぇ、たまに話す程度ですが」

僕っ娘「本人の前で言うか?」

副会長「では、魔法薬研究会の催し物の確認は任せよう。 僕は……いたいた、根暗君、少し良いかな?」

根暗「ひゃ、ひゃい!!」

生徒会長「土中生物釣り上げ部の催し物について話をしたいんだが」

根暗「えっ、あの……文化祭のですか?」

根暗(秀才はクラスの催し物の準備、オタクは家の会合、召使いはお嬢さんに呼ばれたし……ぼ、僕一人で説明するしかない)オロオロ

生徒会長「焦らなくて良い。 ゆっくり、君達のやりたいことを聞かせておくれ」ニコ

根暗「あの、……えっと、ですね」

455 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:15:15.18 VFkBaPLqO 310/656

副会長「作成した魔法薬の販売か……検査などにかけても良いかな?」

僕っ娘「あぁ、かまわない。 サンプルを前もって渡そう」

副会長「それより先に販売リストを提出して欲しい」

僕っ娘「あぁ、明日の昼休みにでも渡しに行くよ」

副会長「……向こうはもう少しかかりそうだな」チラ

根暗「それで、その、釣り上げた生物を……あの、魚拓……じゃないや、墨でその記録して……」

生徒会長「なるほど、魚拓みたいな感じで記録しているんだね」ニコニコ

僕っ娘「すごい優しい顔で話を聞いてくれるんだな。 ただの病弱生徒会長では無いということか」

副会長「……」ギロ

僕っ娘「……口が過ぎた。 すまない」

根暗「それを展示出来たら……良いなと」

生徒会長「何処で展示したいとかあるのかな?」

根暗「あの、出来れば、理科室で……魔法薬研究会と兼任してる人が……その、多いから……その」

生徒会長「それなら、同じ教室が良いね。 壁に記録したモノを展示して机で魔法薬の販売って感じかな?」

根暗「そ、そそ、そうです」

456 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:15:47.72 VFkBaPLqO 311/656

根暗「生徒会長先輩……良い人だった。 すごいちゃんと話を聞いてくれた」

僕っ娘「そうか……良かったな」

根暗「ぼ、僕っ娘……その、ポニテさんは?」

僕っ娘「クラスの方の準備をしている」

根暗「C組は何するの?」

僕っ娘「メイド喫茶だ」

根暗「なっ!」

僕っ娘「フフ、今僕が着ているのを想像しただろ?」

根暗「えっと、あの……うん」///

僕っ娘「可愛い奴め。 で、B組は何するんだい?」

根暗「あの、その……し、執事喫茶」

根暗「な、何か被っているね……ハハ」

僕っ娘「……根暗が執事?」

『ご、ご主人様、申し訳ありません。 その、大事なお皿を割ってしまって……』

『またかい? 君は仕方ないな』サワサワ

『や、止めてください。 他の使用人たちに見られてしまいます』オロオロ

『止めるわけ無いだろ? これはお仕置きなんだからね』

『あっ……あぅう』

僕っ娘「良い!!」グッ

根暗「!?!?」

僕っ娘「……なんなら今からそういうプレイを」ハァハァ

根暗「さ、ささ、採取に行ってくるね」オロオロ

457 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:18:36.26 VFkBaPLqO 312/656

【2-C】
ポニテ「おかえりなさいませ、ご主人様」

無口「……」

ポニテ「おかえりなさいませ、ご主人様」

無口「……」

ポニテ「ちゃんと続いて言いなさいよ!?」

秀才「無口さん、折角メイド服似合うんだから頑張ってくれないかな?」

無口「……セクハラ」

秀才「えっ、今のセクハラ!?」

ポニテ「セクハラ店長のことはほっといて良いからちゃんと声出す!」

秀才「セクハラ店長じゃないよ!」

無口「お黙りくださいませ、セクハラ店長」

ポニテ「その調子よ!」

秀才「泣くぞ? そろそろ泣くぞ?」

459 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:20:29.97 VFkBaPLqO 313/656

【2-D】
会計「すみません……もう一回言ってもらえますか?」

おさげ「ですから、私達のクラスは……」

召使い「お嬢様ブロマイドの販売だ!!」

メイド「販売っすね」

お嬢「販売しますわ」オーホッホッホッ

会計「2-Dは今年は不参加……と」

召使い「コラァ! 舐めてんのか1年坊主!!」クワッ

会計「ひっ!」

お嬢「召使い、ガラが悪いですわよ?」

召使い「し、失礼しました」

「召使いってたまに口悪くなるよな」「水魔術家の使用人なのにな」「捨て子で拾われたって噂聞いたわよ」

メイド「言いたいことがあるならはっきりと言うっすよ」ギロ

お嬢「と・り・あ・え・ず! D組は私のブロマイドを販売しますわ!!」オーホッホッホッ

会計「はいはい、報告しておきますね」ハァ

460 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:23:12.71 VFkBaPLqO 314/656

【屋上】
三編み「……大好きなモノを描くか」

三編み(根暗先輩……)

三編み「描くなんて……出来ないよね。 でも、大好きなんだ……根暗先輩」ハァ

丸眼鏡「……根暗が好きなのか」

三編み「えっ、あっ……丸眼鏡さん」

三編み「今の、その、聞いてた?」

丸眼鏡「聞いた」

三編み「……えっと、あの」アタフタ

丸眼鏡「貴女に聞きたいことがある」

丸眼鏡「腐女子について」

三編み「……そう、貴女なのね」ジッ

丸眼鏡「……腐女子は何でこんな絵を描いた」つ絵

絵≪美術室の風景画≫

三編み「そこが彼女の居場所だから」

丸眼鏡「居場所? 部活の活動場所と言う意味?」

三編み「……貴女には、説明しても解らないかも知れない」

461 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:23:55.63 VFkBaPLqO 315/656

【魔術学園付近・森の中】
根暗(ポニテさんはメイド喫茶で忙しいから、僕が採取に来たわけだけど……)

メモ≪アウルベアの耳毛、オークの睾丸、サラマンダーの鱗≫

根暗「……ポニテさんの採取より難易度高い」

根暗「これは……期待されてる」グッ

根暗「……オークって何処にいるんだろう」キョロキョロ

ドガァァアアン

根暗「ば、爆発音!?」オロオロ

462 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:25:16.96 VFkBaPLqO 316/656

【学園付近・洞窟】
オークA「」プスプス

風来坊「ハハハハ! ド派手だな、生徒会長!!」

生徒会長「爆破魔術!」

オークB「ギャン!!」バァン

オークC「ウガァ!!」ブンッ

生徒会長「おっと、爆破魔術」スッ

オークC「ギャアッ!!」バァン

ガサガサ
根暗「……えっ、何この惨状」ビクビク

風来坊「おっ! 根暗じゃねぇか!」

根暗「ふ、風来坊先輩……何してるんですか?」

風来坊「生徒会長の発散に付き添っててな」

根暗「はっ、発散ですか……えと、それはどういう……」

生徒会長「魔力過剰症という病気でね」フウ

463 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:27:07.29 VFkBaPLqO 317/656

根暗「魔力過剰症……ですか」

生徒会長「あぁ、生まれつき魔力を作成する量が異常なんだ」

生徒会長「歳を重ねることに作成量が増えていっているんだ」

根暗「吐血もそれが原因なんですか?」

生徒会長「……あぁ、体内の魔力量が許容範囲を越えるとね」

風来坊「だから、たまに俺が付き添って魔力の発散をしてんだよ」

根暗「……風魔術家からの仕事ですか?」

風来坊「あん? ちげぇよ。 ただ、友人として付き添ってるだけだ」

生徒会長「彼とは1年生の時からの付き合いでね」ハハハ

根暗「な、なるほど」

生徒会長「根暗君は何をしているんだい? 土中生物釣り上げ部の活動かな?」

根暗「いえ、魔法薬研究会として薬の材料を……」

生徒会長「おぉ、そうだったな。 君の活動は両方とも興味深い」ニコリ

根暗「あの、その……ども」テレテレ

464 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:29:17.27 VFkBaPLqO 318/656

風来坊「発散ついでに付き合ってやろうぜ?」

生徒会長「そうだ、良かったら同行させて貰おう」

根暗「あの、その……もう結構手伝って貰えたと言いますか」アセアセ

風来坊「ん? オークの睾丸は十分あるな」ヒョイ

根暗「あの、メモ返して……欲しいです」オロオロ

生徒会長「風来坊、弱い者虐めは止めろ」ハァ

風来坊「こいつは弱くねぇよ。 俺より強いからな」バンバン

根暗「イタッ! 背中、叩かないで、ください」

生徒会長(風来坊が認めるとは……)ホウ

風来坊「おっ! アウルベア狩るのか? 面白そうだな」ハハハ

465 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:31:50.07 VFkBaPLqO 319/656

アウルベア「ウガァアア!!」グググッ

風来坊「良いね! 力比べが捗るじゃねぇか!!」グググッ


根暗「……肉体強化してるんですよね?」

生徒会長「いや、自前の怪力だろうね」

根暗「す、すごい」ビクビク

生徒会長「そんな彼に自分より強いと言わせた君も十分すごいと思うけどね」クス

根暗「……えっと、あの先輩は何で、そのあの……そんな病気なのに生徒会長をしているんですか?」

生徒会長「……」

「僕はね、もう長くないんだ」

466 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:32:19.80 VFkBaPLqO 320/656

【四大元素家火魔術家本拠地・武家屋敷跡】
オタク「厄介なことになったな……」

優等生「……まさか、魔術刑務所から死刑囚が4人も脱獄するとは」

ボウズ「……」

オタク「魔術刑務所から脱獄など出来るのか?」

優等生「外部からの協力があれば可能かと……」

優等生「お館様曰く、魔壊連合が手引きしたのではないかと」

ボウズ「魔壊連合ですか?」

オタク「魔術を用いた犯罪組織だったか」

優等生「……えぇ、文化祭に参加してる場合では無くなりましたね。 私達も捜索に加わらなければ」

オタク「はぁ、根暗に申し訳無いな」

467 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/02 22:32:49.50 VFkBaPLqO 321/656

【学園近郊】
「あれがターゲットです」

「あの子の心臓を持ってきたら報酬を払うと?」

「えぇ、協力していただいただけでも、皆さんは自由を手に入れれるというわけです。 悪い話じゃないでしょ?」

「凶悪犯の皆様にとっては」

殺人鬼「……」

黒マント「えぇ、そうですね」

人食家「心臓以外は……食べて良いのかな?」

串刺し「早い者勝ちか~ よ~し、負けないぞ♪」

「文化祭の日に作戦を決行します」

473 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:30:59.04 Rt12qu9MO 322/656

【2-C】
秀才「ついに来たぞ!」

僕っ娘「文!」メイド

ポニテ「化!」メイド

無口「…………祭」メイド

クラス一同「文 化 祭 だーーーー!!」

「うぉお! 女子のメイド可愛いな」「萌えか? これが萌えなのか?」「無口さん、こっち向いて!」

キャーキャー ガヤガヤ ドンドンパフパフ

僕っ娘「……さて、僕はB組に行ってくるよ」

ポニテ「根暗に見せに行くのね」

僕っ娘「それもあるが……B組は執事喫茶なんだよ」

ポニテ「……執事喫茶」ゴクリ

ポニテ「私もついていこうかな~、オタクが最近休みがちだから心配だし」

僕っ娘(根暗の執事服)ハァハァ
ポニテ(オタクの執事服)ドキドキ

474 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:31:32.07 Rt12qu9MO 323/656

【2-B】
委員長「……ふぅ、これで準備万端だな」シツジ

根暗「う、うん……へへ、楽しみだね」シツジ

委員長「しかし、残念だったな……オタク君が」

ガラガラ

僕っ娘「根暗! 見てくれ! 似合うか……良い!!」グッ

根暗「えっ、あの、ありがとう。 僕っ娘も良い感じだよ」

ポニテ「あれ? オタクは?」

委員長「彼なら今日も休みだそうだ」

ポニテ(……一緒に回ろうと思ってたのに)ズーン

根暗「い、委員長さん……あの、理科室にいってきて良いかな?」

委員長「ん? あぁ、部と研究会の準備もあるんだったな。 シフトの時間には戻ってきておくれよ」

根暗「う、うん。 行こう、僕っ娘」

僕っ娘「あぁ、早く二人っきりになろう! 早く二人っきりになろう!!」ハァハァ

ポニテ「根暗に何する気よ」ハァ

476 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:32:53.33 Rt12qu9MO 324/656

【生徒会室】
生徒会長「今年も無事始まったな」

副会長「会長……体調はどうですか?」

生徒会長「心配してくれてありがとう。 大丈夫だよ」

生徒会長「ところで、書記君と会計君は?」

副会長「お二人は……」

書記『折角の文化祭だ! 大好きな会長とデートしてこいよ』

会計『一緒に見回りに行きましょうとでも言えばホイホイついてきますよ』

副会長「いらない気を使われて何処かに行きました」ハァ

生徒会長「そうか。 出来れば、皆で回りたかったんだが……」

副会長「み、見回りなら……私がついていきます」///

477 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:33:20.04 Rt12qu9MO 325/656

【理科室】
僕っ娘「……根暗がクラスに帰ってしまった」ハァ

召使い「シフトの時間になったんだ、しょうがないだろ?」

僕っ娘「何で召使い君が理科室にいるんだい?」

召使い「土中生物釣り上げ部の活動を説明するために、一人は理科室にいることになったんだ」

僕っ娘「なるほどね」

召使い「根暗から魔法薬研究会の催し物も手伝える範囲で手伝えと言われている。 何かあれば気軽に言ってくれ」

僕っ娘「ククク、刃を向けられた君にそんなことを言われるとは」

召使い「友人の彼女でお嬢様の御友人ならば手出しはしないさ」

召使い「おさげが交代しに来るまではここにいさせてもらう」

僕っ娘「はいはい、お茶ぐらいは出してやるよ」

僕っ娘(ポニテ、早く交代に来ないかな。 根暗と早く回りたい)

478 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:34:49.76 Rt12qu9MO 326/656

【美術室】
ポニテ(……はぁ、オタクと回りたかったな)

三編み「あっ、お姉ちゃん見に来てくれたんだ」

ポニテ「まぁね、あんたの大好きなモノって何? 私かな?」ニヤニヤ

三編み「うん、お姉ちゃんは大好きだよ……皆さん、大好きだから」

三編み作≪水魔島で過ごした夏≫

ポニテ(……一緒に過ごした全員が描いてる)

ポニテ「……根暗だけ描くわけにはいかないものね」ボソッ

三編み「何か言った?」

ポニテ「何でもないわよ。 ……それより、あれはどうしたの?」

丸眼鏡「……」ジー

腐女子作≪美術部の部員≫

丸眼鏡「……」ジー

腐女子「……あ、あの」オロオロ

三編み「始まってすぐに来て、ずっと腐女子さんの絵を見つめてるの」コショコショ

ポニテ「へ、へぇ」

丸眼鏡「なるほど、私は嫉妬しているのか」

腐女子「……へ?」

丸眼鏡「納得した。 クラスの催し物に戻る」サッ

丸眼鏡(……彼女の居場所となろうともしなかったくせに)

丸眼鏡(彼女の大好きな人達に嫉妬しているのか)

腐女子「ま、丸眼鏡」

丸眼鏡「?」

腐女子「……見に来てくれて、ありがとう」

丸眼鏡「貴女を監視するのは私の仕事。 感謝されることではない」

480 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:35:25.65 Rt12qu9MO 327/656

【廊下】
根暗『ごめん、僕っ娘と回る約束を……』

召使い『ん? 悪いがお嬢様とメイドと回る約束をしてしまってな』

おさげ『兄と回るので』ポッ

ポニテ『はぁ? 何であんたと回らないといけないの?』

丸眼鏡『誰?』

秀才「全員に断れた……せめて、根暗のクラスに遊びに行かせて貰おう」

【2-B】
委員長「お帰りなさいませ、ご主人様」

根暗「お帰りなさいませ……あっ、秀才。 来てくれたんだ」

秀才「あぁ、特にやることも無かったからな」

委員長「それは有り難い。 席に案内させていただこう」

秀才(委員長、執事服似合うな)

委員長「二名で良いんだね?」

秀才「ん? いや、一人だが?」

根暗「へ? でも、あの……後ろに」

秀才「後ろ?」

無口「……」チョコン

秀才「……いや、別々で」

無口「……」v

委員長「二名様、ご案内です」

秀才(ええぇぇぇぇ!!)

482 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:36:04.92 Rt12qu9MO 328/656

【職員室】
校長「それでは、見回りの確認は以上としよう」

校長「生徒と共に楽しむのも教師の勤めであるが、生徒を守るのが優先である。 不審者を見付けたらすぐに報告し、対処するように」

教師s「はい!!」

校長「それでは、解散!」

教頭「……ん?」ガチャガチャ

陸上顧問「何してるんですか~、教頭先生?」

教頭「……ドアが開かん」

教師A「そんな馬鹿なことが……本当だ」ガチャガチャ

校長「……体育教師」

体育教師「はっ! 皆さん、退いてください」ムキムキムキムキ

体育教師「フンヌッ!!」バコーン

ドア「……」ピキーン

教師B「た、体育教師先生のマッスルインパクトでも傷1つ付かない」

校長「結界魔術……それもかなり高度なモノが張られておるな」

教頭「教員が全員職員室に閉じ込められた……生徒たちが危ない!」ギリ

483 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:36:41.16 Rt12qu9MO 329/656

【屋上】
「職員達は私の結界で職員室に閉じ込めました。 学園自体にも結界を張ったので出入りは出来ないでしょう。」

串刺し「破られたりは~?」

「時間が経てば自動的に解けますが、破られることはまずないでしょう 」

「内部から破るのはまず不可能。 外部からなら解けなくも無いですが余程の天才で無ければ、学生が結界を解くのは不可能です」

黒マント「大した魔術です。 そろそろ、貴方が何者か教えてくださっても良いのでは?」

「知る必要は無いでしょう? 皆さんは自由を、私は核となる心臓を得る……それだけの関係です」

黒マント(核となる?)

殺人鬼「違いない。 必要以上に関与したくねぇのはお互い様だ」

人食家「……もう始めて良い? お腹空いたよ」

「目的の心臓まで食べないでくださいね?」

人食家「それ以外の心臓なら食べて良い?」

「ご自由に……何人の生徒が殺されようと私には興味の無いことです」

放送部長「……」コソコソ

放送部長(怪しい奴がいると思ってつけてみたら……これは洒落にならないわね)

メイド「そうっすね」

放送部長「!?」

メイド「火魔術家の連中はいないし、水魔術家と風魔術家で協力して対処したいっすね」

放送部長「……有り難い申し出ね。 なるべく、被害を出さずに奴らを排除するわよ」

放送部長「私が生徒達を体育館に誘導するわ。 貴女はご主人様達に報告してきて」

メイド「全校生徒を誘導なんて出来るんっすか?」

放送部長「学園アイドルがライブをするって言ったら、皆が体育館に集まるわよ☆」ウィンク

メイド「ふざけてる場合じゃあ……いや、任せたっす」

484 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:37:19.51 Rt12qu9MO 330/656

【廊下】
秀才「……」ドヨーン

無口「……」モキュモキュ

秀才(この子は何で着いてくるんだ!?)

秀才(当たり前のように奢らされるし、当たり前のように買えと要求してくるし)

無口「…………報酬は十分受け取った」

秀才「ほ、報酬? 無口さんは何を言っているんだ?」

無口「火魔術家の目的」

秀才「!?」

無口「知りたいんでしょ?」クス

秀才「……君は一体、何者なんだ」

アナウンス≪はっあーい☆ 皆の学園アイドル、放送部長よ!! 今から体育館でライブをするから生徒の皆集まって♪ 良い席は早い者勝ちよ!≫

秀才「話はライブの後にしよう」

無口「……」

秀才「……何で俺は当たり前のようにライブに行こうとしてるんだ?」ハッ

無口「……」クスクス

秀才(……今のアナウンスを聞いた瞬間、ライブに行くことが当たり前のように感じた……洗脳魔術? 違うな、これは)

秀才「魅了魔術……か」

485 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:38:01.14 Rt12qu9MO 331/656

【理科室】
お嬢「あら、ライブとは素敵ですわ。 召使い行きますわよ」

召使い「はっ! お嬢様、真の学園アイドルが誰なのか教えに向かいましょう」

僕っ娘「根暗、ライブを見てから他を回ろうか」

根暗「う、うん……ライブ楽しみだね」

メイド「やっぱり魅了魔術使だったっすか」

お嬢「メイド、何処に行ってらしたの? 早くライブに行きますわよ」

メイド「お嬢、そんなモノ見ている場合じゃないっす」

丸眼鏡「水のお嬢、ここにいたか」

お嬢「あら、丸眼鏡さん……何かご用でして?」

メイド「私が説明するっす」

486 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:40:50.96 Rt12qu9MO 332/656

【職員室前】
秀才「……これは魔方陣? 結界魔術か」

秀才(何があったが聞きに職員室に来たが……職員達が閉じ込められているとしたらヤバいな)

無口「……解ける?」

秀才「いや、無理だ。 解き方自体は解るが僕には技術が無い……結界魔術に詳しく手先が器用な人間がいないと……」

「どうやら、僕の出番のようだね」

秀才「美術部長先輩!?」

美術部長「顧問の先生が顔を出さないから気になって来たんだが……緊急事態のようだね」

美術部長「僕の家系は結界魔術を研究している。 後、手先の器用さには自信がある……任せてくれ」ニコ

秀才「解りました……一緒にこの結界を解きましょう!」

487 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:42:03.88 Rt12qu9MO 333/656

【理科室】
丸眼鏡「私が風読み術で敵の位置を占う……各自、向かってほしい」

召使い風来坊「おう!」

メイド「了解っす」

僕っ娘「僕達はどうしたら良いんだい?」

丸眼鏡「今回の件には風魔術家と水魔術家で対処する」

お嬢「僕っ娘と根暗さんは私と一緒に体育館に避難しましょう。 体育館の防衛は私がしますわ」

僕っ娘「解った」

根暗「……待って」

丸眼鏡「何か?」

根暗「僕も……戦う」

風来坊「……ほう」ニヤ

召使い「根暗……」

丸眼鏡「……敵の狙いは君かも知れない」

根暗「それでも……僕には戦う意味があるんだ」ガクガク

根暗「怖いけど……守りたいモノがあるんだ」キリ

メイド「結界を張った男は話が終わると何処かに消えてしまったすから敵は四人……」

メイド「お嬢が体育館の防衛、丸眼鏡が指揮をするなら、根暗を入れて此方も丁度4人っす」

丸眼鏡「……守りたいモノか」

丸眼鏡「それは魔術社会より大切なのか?」

根暗「うん、比べものにならないくらい」

丸眼鏡「……解った。 君にも戦ってもらおう」

488 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:42:31.74 Rt12qu9MO 334/656

【保健室】
黒マント「居ませんね」

黒マント(保健室によく居ると聞いたのですが……)

メイド「何してるんっすか?」

黒マント「いえ、少し怪我をしてしまいましてね」

メイド「嫌いなタイプっすね」

メイド「平然と嘘を言う男は嫌いっす」

黒マント「おやおや、これは手厳しい」クスクス

メイド(養護教諭は土中生物釣り上げ部の顧問だったっすね。 ……狙いは根暗っすか?)

【生徒会室】
人食家「ここにも居ないな」

書記「……誰だ、あいつ?」←机の下

会計「解らないです。 ……でも、明らかに危険人物ですね」←机の下

人食家「居ないな、さっさと心臓抉りだして他は美味しく……ヒヒヒ」

書記会計(見付かったらヤバい!!)ビクビク

書記「会計、お前は探求系の一族だったよな?」ガクガク

会計「書記先輩もそうですよね?」ブルブル

書記会計(何とかやり過ごさないと……)

人食家「さっさと、見付けないとな。」

「―生徒会長っていう子を」

会計「……」ピタ

書記「……」ピタ

489 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:43:51.79 Rt12qu9MO 335/656

『君は字が上手いな?』

『魔術には関係無い才能だって? 東洋の陰陽師は札に文字を書いて魔術を行使するらしい』

『君にだって似たような魔術が出来るかも知れないじゃないか』

『君は計算が早いね』

『魔術には関係無い才能だって? 数字を使った魔術はこの世にはたくさんある。 その魔術理論を組み立てるのに役に立つかも知れないだろ?』

生徒会長『かも知れないだけだろって? 十分じゃないか』

生徒会長『君達の未来には無限の可能性があるんだ、君達の才能が活かせる未来が訪れることを僕は信じてるよ』

490 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:45:04.48 Rt12qu9MO 336/656

「「待てよ」」

人食家「ん?」

書記「会長の所には……行かせない」ガクガク

会計「あぁ、俺達死にましたね。 先輩」ブルブル

人食家「大丈夫、君達はオイラのお腹の中で生き続けるよ」グゥ

書記会計「ヒーーーーーー!!」ガクブル

「待ちな」

風来坊「俺の方が……美味そうじゃないか?」ニヤ

書記「風来坊!」
会計「風来坊先輩!!」

人食家「え~、君は固そうだな」

491 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:46:53.69 Rt12qu9MO 337/656

【先日学園付近・森の中】
生徒会長「僕はね、もう長くないんだ」

根暗「……へ?」

生徒会長「恐らく、後半年ほど経てば僕の体は魔力量に耐えられず破裂してしまうだろう」

根暗「……」

生徒会長「それを知った時……僕が生きられない未来に生きる皆の少しでも役に立ちたいと思ったんだ」ニコ

根暗「へ? それが、生徒会長をされてる理由ですか?」

生徒会長「……吐血して何時も迷惑をかけてるけどね」クス

根暗「そ、そんなことありません」

生徒会長「ふふ、ありがとう」

「―良い文化祭にしようね、土中生物釣り上げ部の部長さん」

根暗「は、はい!」

492 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:49:03.33 Rt12qu9MO 338/656

【現在・廊下】
生徒会長「げほっ……ごほっ……こんな時に、くるとは」トケツ

生徒会長「……副会長さん、僕を置いて逃げてくれ」

副会長「嫌です! 死んでも離れません!!」ハァハァ

「君の無尽蔵に魔力を作る心臓がいるらしいんだ」

串刺し「まぁ、俺は良く解ってないんだけどね」

串刺し「でも、報酬くれるらしいんだよね。 だから、さっさと渡してくれない? てか、死ねよ。 うん、よし、死ね!」トン

生徒会長(持ち手の長いトンカチで空間を叩いた?)

シュン

副会長(叩いた所から黒い釘? 会長を守らなきゃ)ギュ

副会長(私……死ぬのかな?)

「死なせない」ニョロン

串刺し(俺の黒釘が止められた?)

根暗「この人は死なせない」

串刺し「どうせもうすぐ死ぬんだろそいつ? 良いじゃんか少しぐらい早まるぐr」ニョロン ギュッ ドスン

副会長(触手で床に叩き付けた!)グッ

根暗「もう、何も喋らないでくれないかな?」

串刺し「娑婆は久しぶりなんでね、少しぐらいはしゃがしてくれよ~」

493 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/03 23:49:35.90 Rt12qu9MO 339/656

【2-D】
殺人鬼「……よぉ」

召使い「……」

殺人鬼「久し振りだな、召使い」

召使い「……何でお前がここに居るんだよ」

「―親父」

498 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:05:48.46 5DTZp73YO 340/656

【生徒会室】
人食家「……ゲホ、ウグ……ゲボ」ハァハァ

風来坊「何だ? あんたの実力はそんもんか?」

風来坊(試しに腹部に蹴りを入れたら踞るとは……こいつ、大したことねぇのか?)

人食家「お、オロロロロロロロ」

風来坊「きたねぇな、吐いてんじゃねぇよ ……テメェ、何吐いてんだ?」タラリ

人食家「何って見て解らないかい?」

肉ゴーレム「ァ……ア……ァ……」

人食家「今までオイラが食べて来た人達だよ」

風来坊(……約10人分の肉塊で作られたゴーレムか)

風来坊「悪趣味な魔術を使うじゃねぇか?」

人食家「悪趣味なんて酷いな。 君も仲間入りするのにさ」

肉ゴーレム「ア……ァ……アァ!!」ブンッ

風来坊「おっと……おせぇよ」ブンッ

肉ゴーレム「」

風来坊「大口叩く割には大したことねぇな」

「オロロロロロロロロロロ」

肉ゴーレムA「ア……ァ……アァ」
肉ゴーレムB「ア……ァ……ァア」
肉ゴーレムC「ァ……アァ……ァ」

風来坊「一体、何人の人を食べやがった?」

人食家「君は人生で何回食事をしたか覚えているのかい?」

風来坊「獣化魔術」ガルルル

499 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:06:52.31 5DTZp73YO 341/656

【職員室前】
美術部長「……ここを書き換えれば良いんだね?」

秀才「はい、そしたら奥の術式を弄れるようになります」

美術部長「あぁ、本当だ。 なるほど、順番に解錠していかないとこの魔方陣は解けないのか」

秀才「えぇ、かなり複雑な魔方陣ですので慎重にお願いします」

美術部長「……誰にもバレずにこんなものを職員室のドアに書くなんて」

秀才「恐らく、転移魔術の応用で魔方陣をドアに転写したのかと」

美術部長「そんなこと可能なのか?」

秀才「……出来なくは無いかと。 前準備が必要ですが」

美術部長(……職員の中に敵がいる可能性まで考えてるのか? まだ、2年生だというのに大した男だ)

500 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:07:20.99 5DTZp73YO 342/656

【2-D】
キンッ

殺人鬼「斬りかかること無いだろう?」フウ

召使い「斬りかからないわけがないだろ」ギロ

召使い「病気の母さんを放ったらかしにして、武器作成魔術に酔いしれ」

召使い「挙げ句の果てに一般人で試し斬りだ? 許せるわけないだろが!!」水サーベル

殺人鬼「……あいつは死んだか?」

召使い「あぁ、死んだよ! あんたが捕まって……すぐにな!!」ブンッ

キンッ

殺人鬼「そうか」水刀

召使い「そうか、じゃねぇ!!」

キンッ キンッ キンッ

501 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:07:49.35 5DTZp73YO 343/656

【数年前とある家・庭】
キンッ キンッ キンッ

息子(召使い)「……はぁはぁ」

(殺人鬼)「今日はこのぐらいにするか?」

息子「まだまだ!」水サーベル

「……息子、それじゃあ駄目だ」

息子「おら!!」ブンッ

パキン

息子「折れちゃった……」シュン

「息子よ、お前は家系の血筋を継ぎ、武器作成魔術の適性を持っている」

息子「じゃあ、何で親父みたいに折れない武器が作れないんだよ」

「それは心構えが出来てないからだ」

息子「心構え?」

「武器は人を傷付けるモノだ。 危険なモノなんだ」

息子「そんなことぐらい知ってる」

「じゃあ、それを扱う人間にはどんな心構えが必要だと思う?」

息子「……た、戦う勇気?」

「ハハハ、それも必要かも知れないな」ナデナデ

息子「笑うなよ! 撫でるなよ!」

「それを扱う人間に必要なのはぶれ無い心だ」

「人を殺せるモノを扱うんだ。 無闇に振り回して周りを傷付けては武器作成魔術師失格だ」

「何より、雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れんぞ」

息子「……」

「大切なモノを決して見失わない心が必要なんだ」

502 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:08:20.25 5DTZp73YO 344/656

【現在・2-D】
パキン

召使い「……はぁはぁ」水サー/ベル

殺人鬼「何本目だ?」

召使い「うるさい」

殺人鬼「相変わらず、心構えが出来て無いようだな」

召使い「うるさい!」

殺人鬼「雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れんぞ?」

召使い「うるせぇ! お前が言うな!!」水サーベル

殺人鬼「あぁ、確かに俺にはもう言う権利は無いな」フッ

503 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:09:01.09 5DTZp73YO 345/656

【数年前とある家】
「二人とも……また、こんな泥んこになるまで」ウフフ

「洗濯を頼む」

「はいはい……どうしたの膨れて?」

息子「また、俺の武器だけ折れた」ブス

「うふふ、まだお父さんは越えられないのね」

「……すぐ越えれるさ」

息子「ふんっ! 本人が言うな」

「うふふふ……ごほ、ごほ」

「大丈夫か?」

「大丈夫よ……気にし……」バタン

息子「母さん? 母さん!?」

504 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:09:27.68 5DTZp73YO 346/656

【現在・2-D】
召使い「……はぁはぁ」

殺人鬼「今ので丁度20本目か?」水刀

召使い「……何で刀は折れない、今のあんたに大切なモノなんてあるのか?」

殺人鬼「さぁ……どうだろうな」

殺人鬼「召使い、21本目は作らないのか?」

召使い「…………」

殺人鬼「もう一度言う」

殺人鬼「雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れない」

殺人鬼「大切なモノを決して見失わない心を持て」

召使い「……何がしたいんだよ」

505 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:10:00.64 5DTZp73YO 347/656

【数年前とある家・庭】
「どうした? 構えないのか?」

息子「母さんがあんな状態なのに稽古するのかよ」

「当たり前だ。 この世の全てのモノを断てる武器を魔術で作り出すこと……それが我が家の悲願だからな」

「休んでる暇なんか無い」

息子「……親父の大切なモノって、母さんのことだと思ってた」

「……」

息子「母さんより、一族の悲願の方が大切なんだな」ダッ

「……」

506 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:10:47.71 5DTZp73YO 348/656

【数年前・病院】
「あら、来てくれたの?」

息子「……うん」

「父さんと喧嘩した?」ウフフ

息子「……何で母さんは笑えるんだ! 親父はこんな時でも稽古して」

「私がね、お願いしたの」ナデナデ

息子「……何を?」

「貴方の代で悲願を果たしてみせてって」

息子「……」

「そんな我儘の為に一生懸命になるなんて、可愛い人だと思わない?」

息子「……母さんの病気は治らないの?」

「魔術の力では無理ね。 現代医学の力では治るらしいけど……一般医者は魔術師を治療したがらないわ」

息子「何で?」

「回復魔術が彼らの仕事を奪ったからよ」

息子「そんなの逆恨みじゃないか」グッ

「私の可愛い息子。 そんな怖い顔をしちゃ駄目。 何かを恨むんじゃなくて、誰かを愛して行動出来る人になってほしいな」ナデナデ

タッタッタッタッタッ

ナース「はぁはぁ……母さん」

「あら、ナースさん。 どうかされました?」

ナース「貴女の旦那様が……一般人を斬り逮捕されました」

息子「えっ!?」

「……そう」

507 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:11:45.43 5DTZp73YO 349/656

【現在・2-D】
召使い「……何故、斬りかかってこない?」

殺人鬼「親の情けだ。 21本目が出来るまで待ってやる」

召使い「……大切なモノ」ボソッ

殺人鬼「……少しは成長したかと思ったが相変わらず感情に流されているな」

召使い「……俺の大切なモノ」

殺人鬼「結局、俺とお前は変わらないということだ」

召使い「……」

殺人鬼「殺人鬼の子は所詮殺人鬼か」

『自分が何者か何て、周りに決められたく無いのでしょ?』

召使い「……違う」

508 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:12:24.69 5DTZp73YO 350/656

育ての親が褒めてくれた
執事『少々、気が荒いが真っ直ぐな芯を持っているよ……召使いは』ナデナデ

同僚が慰めてくれた
メイド『召使いが殺人鬼なら私は化け物っすよ』

友人が相談に乗ってくれた
根暗『……召使い君はどうしてお嬢さんを守りたいの?』

産みの親が願ってくれた
『 何かを恨むんじゃなくて、誰かを愛して行動出来る人になってほしいな』

大好きな人が命じてくれた
お嬢『この水魔術家のお嬢には過ぎ足るものと言われるほどの男になって魅せなさい!!』

509 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:13:54.74 5DTZp73YO 351/656

召使い「俺は母の息子で」水
「魔術学園の生徒で」水か
「土中生物釣り上げ部の部員で」水かた
「お嬢様の使用人が一人」水刀

召使い「召使いだ!!」チャキン

殺人鬼「そうか……」

召使い「……親父、最後に教えてくれ。 何故、一般人に手を出した?」

殺人鬼「……ただの試し切りだ」

召使い「そうか……ならば、俺はあんたを斬らないといけない」

召使い「あんたの……息子として」ザッ

殺人鬼「おう、この殺人鬼を斬ってみせろ!!」ザッ

510 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:14:26.13 5DTZp73YO 352/656

『何を土下座なんてしてるんですか?』

『そんなことしたって魔術師なんて治療しませんよ』

『お得意の魔術で解決したら良いでしょ?』

『魔術では治せない病気? 知りませんよ、都合の悪い時だけ頼ってきて』

『我々を軽視している回復魔術師には良い薬になるんじゃないですか?』

『貴方の奥さんが死んだらね』

『ハハハハハハハハハハハハ』

『…………』水刀

『な、何をする気だ! 一般人に手を出したらあんたは』

『大切な人を見失ってまで……魔術師を続ける気は無い』チャキン

ザンッ

511 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:15:01.02 5DTZp73YO 353/656

ザンッ
召使い「……」水刀

殺人鬼「……」水/刀

召使い「……何で、そんな良い顔で斬られてんだよ。 クソ親父」

殺人鬼「何で、だろうな」ヨロ

殺人鬼(殺人鬼には……過ぎた願いだろうか?)

殺人鬼(息子には……誰も憎まずに……生きて欲しいなんてよ)

殺人鬼「じゃあな……クソ息子」バタン

召使い「あばよ……クソ親父」

512 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:15:41.59 5DTZp73YO 354/656

【体育館】
放送部長「今日は私のライブに来てくれて……ありがとう!」

ワーワー キャーキャー ガンバッテー ウォォォオ!

放送部長「次の歌は今この会場に来れない仲間の為に歌います!」

放送部長「その仲間達は大切なモノを守るために一生懸命です! その仲間達はより良い未来を掴む為に一生懸命です!!」

放送部長「そんな大切な仲間にこの歌を届けたいから……一緒に盛り上がってくれますか?」

ウオオオオォォォォオオオオオ!!

放送部長「ありがとう! じゃあ、最後まで一緒に盛り上がろう!!」

放送部長(御主人様、風来坊……頑張って)グッ

513 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/04 21:18:00.60 5DTZp73YO 355/656

【生徒会室】
風来坊「……はぁはぁ、まだ吐けるか?」ニヤ

人食家「うわぁ……オイラが食べて来た人間全員分のゴーレムを倒すとは恐れ入った」パチパチ

風来坊「その割には余裕じゃねぇか?」

人食家「……オイラはグルメでね、人間以外も食べるのさ……オロロロロロロロ」

肉ゴーレムE≪オーク グリフォン 大蜘蛛≫

人食家「人外肉ゴーレムステージ! スタート!!」

風来坊「……クソが」ガルルル

風来坊(本体を叩ければ良いが……肉ゴーレムどもに守られてやがるな)

528 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:12:50.10 92ovig/LO 356/656

―悪魔のような男と呼ばれた男がいた

その男は複数の獣化魔術を同時に使い、まさしく悪魔のような姿になることが出来た

何故、そのようなことをしたのか?

黒マント「―私はね、悪魔になりたいんですよ」

メイド「……」

黒マント「恐ろしくて声も出ませんか? 羊の角に蝙蝠の翼、獅子の脚に蛇の鱗を纏いし腕……ははは、恐れを成してもしょうがないですね」

メイド「なんつうか……ゆるキャラみたいな見た目っすね」ポリポリ

黒マント「なっ!?」

黒マント「この私の姿が……ゆるキャラだと?」

メイド「ええ、結構愛らしい姿っすよ。 うんうん」

黒マント「悪魔のような男とまで呼ばれたこの黒マントをこけにしたんです……楽に死ねると思わないでくださいね?」ギロ

メイド「―悪魔ね」

メイド「どれだけ、獣化魔術を組み合わせても出来るわけがないっすよ」

メイド「お馬鹿なゆるキャラさん」クス

黒マント「貴様!!」ブンッ

メイド「―悪魔化術」

529 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:13:28.59 92ovig/LO 357/656

【魔術学園・廊下】
生徒会長「……はぁはぁ、ようやくおさまったか」

副会長「早く逃げましょう」

生徒会長「……君は体育館に非難してくれ」

副会長「会長も一緒に……」

生徒会長「僕が体育館に行ってしまったら、たくさんの生徒を巻き込んでしまう」

副会長「でも」

生徒会長「それにね、僕には行かないといけないところがあるんだ」

副会長「……私もお供します」

生徒会長「会長命令だ……頼む、非難してくれ」

副会長「……生きて、帰ってきてくれますか?」

生徒会長「あぁ、約束する」

生徒会長(生徒会室に書記君と会計君が待機していたな……)

530 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:14:07.63 92ovig/LO 358/656

【体育館前】
お嬢(……皆さん、大丈夫かしら)

ガサガサ

お嬢「誰!?」

「あ、あの……」

お嬢「あら、貴女でしたか? どちらに行かれるおつもりで?」

「……お花を詰みにいこうかと」

お嬢「体育館の中にお手洗いはありますわよ?」

「……ごめんなさい。 胸騒ぎがして……その、私」

お嬢「何となく察しがついてるみたいね。 今、校舎の中は危険な状況ですわ。 体育館の中で大人しk」

「そんな、危険な校舎の中に根暗先輩はいるんですよね?」

お嬢「……」

「忠告……感謝します」サッ

お嬢「行ってはいけませんわ! 待ちなさい!!」

531 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:14:49.23 92ovig/LO 359/656

【生徒会室】
風来坊「はぁはぁ……ここまで生徒会室を汚しちまったら、生徒会長に怒られるな」

人食家「おや、君も生徒会長と知り合いなの? 居場所を教えてくれたら見逃してあげるよ?」

風来坊「居場所なんざ知らねぇよ。 知っていても教えねぇけどな」

人食家「じゃあ、さっさと君を食して探すとするか」

人食家(とは言ったものの中々倒れてくれないんだよな? 何かを待っているようにも見えるな……)

人食家「オロロロロロロロ!!」

風来坊「……何だよ、こいつは」

人食家「勿論、オイラが食べたものだよ」

人食家「名付けて! 最強生物カレーゴーレム!!」

カレーゴーレム「ウダァアァァア!!」

風来坊「ふざけた名前つけやがって……何を煮込んだらそんな醜悪な姿になるんだよ」

人食家「ふざけた名前なんて酷いな。 オイラ、真面目に名付けたのに」

人食家「それにさ、こいつを吐き出したのは君に敬意を払ったからだよ」

風来坊「敬意だ?」

人食家「恐らく君はこの学園で一番強い学生なのだろう」

人食家「そんな君に対する敬意さ」

532 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:15:29.18 92ovig/LO 360/656

風来坊「くくく……ははははははははは」

人食家「何が可笑しいんだい?」

風来坊「俺がこの学園で一番強い? ちげぇよ、全然ちげぇ」

風来坊「この学園には素性を隠してる奴等がわんさかいやがるからな」

風来坊「本気でやりあえば俺より強いヤツなんて何人もいるだろうよ」

風来坊「……それに、少なくとも俺より強いヤツを二人知っている」

人食家「そのうちのどちらかが駆け付けてくれるのを待ってるのかな?」

風来坊「まぁな……たく、本当は駆け付けないで逃げて欲しいんだが、そういうヤツだからしょうがない」

人食家「よく解らないけど……なんだか厄介そうだな」

カレーゴーレム「ウダァアァァア!!」

「―爆破魔術」

カレーゴーレム「アァァ……」バァン

533 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:16:10.57 92ovig/LO 361/656

人食家「なっ!? カレーゴーレムが爆発した?」

風来坊「……おいおい、本当に来たのかよ。 狙われてるのはお前なんだから逃げた方が良いんじゃねぇか?」

生徒会長「僕は生徒会長だぞ。 学園で好き放題する輩を放置して逃げれると思うか?」

人食家「なるほど、君が生徒会長か? そちらから来てくれるとはありがたい」オロロロロロロ

カレーゴーレムA~F「ウダァアァァア!!」

人食家「オイラはもう腹ペコさぁ、さっさと終わらそう!!」

カレーゴーレムA~F「」バァン

人食家「何!?」

生徒会長「あぁ、さっさと終わらせよう」

風来坊「そうだな」ブンッ

534 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:16:51.13 92ovig/LO 362/656

生徒会長「書記君と会計君が心配で来たんだが……まさか、君が追い詰められていたとはね」

風来坊「うるせぇ。 会計と書記はちゃんと非難させたから安心しな」

生徒会長「それはありがとう。 しかし、僕のせいでこんな事態になるとは……」

風来坊「お前のせいじゃねぇ。 お前を狙ってる奴等が悪いに決まってんだろ」

535 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:18:15.56 92ovig/LO 363/656

【廊下】
串刺し「ん~ 君、強いね♪」ニヤニヤ

根暗「……はぁはぁ」

串刺し(幾ら黒釘を打ち込んでも触手で受け止められるんだよね~)

串刺し「いや~、これは打つ手なしかな?」

根暗(……打つ手が無いのは僕の方だ)

根暗(こいつが使う魔術は金槌で叩く予備動作がいる分、普通の攻撃魔術より隙がある……でも)

串刺し「ほい! ほいっ! ほい、ほい!!」トンットンッ……トンッ、トンッ

根暗「……くっ!」ニョロン ギュッ

串刺し「ありゃま、また掴まれたか」

根暗(大きな予備動作を利用してフェイントを仕掛けてくる……)

串刺し「ねぇねぇ、君は攻めてこないの? 俺ばっかり攻めて申し訳無いな~」トンッ……トンットンッ……トンッ

根暗(挑発……無理に攻め手に転じたら串刺しにされる)ゾクッ

串刺し(……察しがいい子だね。 でも、何時までも受け続けれるかな?)ニヤニヤ

根暗(今まで闘ってきた人達は自分の長所を活かした闘い方をしてきたけど……こいつは短所を上手く使っている)

根暗(……どうやったら勝てるんだ?)

―解っているだろ?

根暗(どうやったら……)

―身を任せれば良い

根暗(……)

―触手の赴くままにヤツを殺せば良い

536 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:18:52.23 92ovig/LO 364/656

ザクッ

根暗「くっ!?」

串刺し「ありゃりゃ、足に刺さっちゃったね? 次でお仕舞いかな?」クスクス

根暗「……貴方は何者? なんで、生徒会長を狙うんだ?」ハァハァ

串刺し「理由か? 脱獄して自由を得るためかな」

根暗「……脱獄した後はどうする?」

串刺し「そうだね……手当たり次第く・し・ざ・しにしていくかな♪」

根暗「な、何のために!?」

串刺し「この世が憎いからさ」

537 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:29:17.12 Bq5LMvO70 365/656

根暗「……この世が憎い?」

串刺し「あぁ……俺の妻は病気だった」

串刺し「魔術の力では治せない……医学の技術じゃないと治せない病気だったんだ」

根暗「……」

串刺し「しかし、医者達は妻を治すのを拒んだ……何故だか解るかい?」

根暗「解らない……」

串刺し「妻が魔術師だったからだ! 回復魔術のせいで仕事と立場が脅かされた医者達は妻を治さなかった!!」

串刺し「だから! 俺は! この世が憎い!!」

538 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:29:48.30 Bq5LMvO70 366/656

根暗「……僕にも好きな人がいる」

根暗「だから、貴方に共感できる部分がある……それでも、死んだ奥さんはそんなこと……」

串刺し「ん? ちょっと待ってくれ! これは俺が人を殺す理由じゃないな」

根暗「へ?」

串刺し「あっ!? これ、別の男が犯罪を犯した理由だ。 間違えちゃった」テヘペロ

串刺し「さて、真面目に君の問い掛けに答えよう」

串刺し「なぜ、人を殺すのか?」

串刺し「ある男は答えた。 妻を治さなかったからだ」

串刺し「感情論だらけのくだらない理由だね」

串刺し「ある男は答えた。 それは、食べるためだ」

串刺し「なるほど、食べるために生を奪うのは生物として正しいだろう」

串刺し「ある男は答えた。 悪魔に近付きたかったからだ」

串刺し「夢を追いかける姿勢は実に素晴らしい」

串刺し「そしてある男が今答える」

―単なる趣味さ

539 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:30:28.16 Bq5LMvO70 367/656

根暗「趣味……?」

串刺し「お年寄りが釣りしたり、盆栽したり、囲碁うったりするのと一緒だよ」

串刺し「俺が人を殺すのは、俺が君を殺す理由はね」トンッ

根暗(足が痛い……上手く触手を操れない……)

根暗(僕は……死ぬのか?)

バキンッ
「ハーハッハッハッハッ」

根暗「へ?」

串刺し「何者だ?」

三編み仮面「我輩は愛の使者! 三編み仮面だ!!」シャキーン

根暗「……三編みさん?」

串刺し「おー、ヒーローのご登場か? 男として胸アツ展開だね♪」トンッ……トンットンッ

三編み仮面「……根暗先輩、私が時間を稼ぐんで這ってでも逃げてください」バキン バキン

根暗「な、何を言ってるの? 僕は良いから、逃げて。 君には闘う理由なんて……」

三編み仮面「あります!」

三編み仮面「……好きなんです」

三編み仮面「好きなんです。 先輩のことが」

根暗「へ、あの……僕には……」

三編み仮面「解ってます。 僕っ娘先輩とのこと……それでも、好きなんです」

三編み仮面「だから、先輩は私が死んでも守r」グサッ

串刺し「よく言った! じゃあ、本当に死んじゃおうか♪」

540 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:31:26.36 Bq5LMvO70 368/656

―頭の中が整理できない

何か絵を見ているかのように視界にはリアリティーが感じられない

それでもはっきりと三編みさんの胸を黒い釘が貫いたのが見えた

バタリと倒れる三編みさん

「最初から……してれば良かった」

541 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:33:07.53 Bq5LMvO70 369/656

串刺し「何か言ったかい? え~っと、根暗君だっけ?」

根暗「僕が……」ボソボソ

串刺し「ありゃま、まだ現実が捉えられないか?」

根暗「……してれば良かったんだ」ボソボソ

串刺し「良いことを教えてあげよう。 恐らく君は勘違いしていたんだ」

串刺し「今の日常が青春学園コメディーのようなものだって」

「あるいは青春群衆劇のようだと思っていたかな?」

「まさかジュブナイルだなんて気取っては無かったよね?」

串刺し「良いことを教えてあげよう。 人生というものは残酷で滑稽な喜劇に過ぎないんだよ♪」クスクス

542 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/10 23:33:37.45 Bq5LMvO70 370/656

根暗「うるさいなぁ」ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

―僕が最初からこいつを殺すつもりで闘ってたら良かったんだ

547 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/16 08:54:47.52 bdUSfEYyO 371/656

【魔術学園・屋上】
秀才(文化祭から一週間が経った)

秀才(美術部長先輩と結界を解いた時には既に全てが終わった後だった)

秀才「……はぁ、無力なものだな」

秀才(俺がもっと早く結界を解けていれば……三編みさんは死ななかったのだろうか)グッ

オタク「昼休み、屋上で一人たそがれているとは……ナルシスト臭いでござるな」

秀才「……根暗は?」

オタク「今日も休みでござる。 ポニテでさへちゃんと登校しているというのに……困ったヤツでござるな」ヤレヤレ

秀才「最後に会ったのは三編みさんの葬式か?」

オタク「……あれからずっと閉じ籠もってるみたいでござる」

秀才「監視は続けてるんだな」

オタク「それが火魔術家の役割だからな」

秀才「……」

オタク「気に入らないか?」

秀才「あぁ、気に入らないよ」

548 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/16 09:19:15.67 bdUSfEYyO 372/656

【食堂】
風来坊「おい! 丸眼鏡!!」

丸眼鏡「……何?」モキュモキュ

風来坊「生徒会長が何処にいるか知らねぇか?」

丸眼鏡「……詳しくは知らない」モキュモキュ

風来坊「詳しくは?」

風来坊「今後も狙われるかも知れねぇから、四大元素家が管理する施設に入れられたと聞いたが?」

丸眼鏡「それは正しい情報。 しかし、私は生徒会長が何処の施設にいるのかは知らない」

丸眼鏡「生徒会長は火魔術家が管理している施設に入った」

風来坊「じゃあ、オタクに聞いてくる」

丸眼鏡「聞いたが答えてくれなかった」

風来坊「お前が?……何か気になったことがあったのか?」

丸眼鏡「風来坊が知りたがると思ったから」

風来坊「らしくねぇな? 悪いもんで食べたか?」

丸眼鏡「……生徒会長は風来坊にとって魔術社会より大切な存在だと仮定した」

丸眼鏡「私には魔術社会より大切なモノが無い……だからこそ、貴方の大切なモノを尊重すべきと感じた」

丸眼鏡「おかしい?」

風来坊「……おかしくねぇよ」

風来坊(今回の件で何か思うところがあったのか?)フム

550 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:33:12.46 gM+OgWZ30 373/656

【2-C】
ポニテ「……さぁ、今日の授業もお仕舞いね。 僕っ娘、研究会に行こう!」

僕っ娘「あぁ……」

僕っ娘(痩せ我慢して……どう接したら良いんだろう)ハァ

ポニテ「どうしたの? 最近根暗が休んでるからってテンション低くない?」

僕っ娘「いや、それもあるが」

ポニテ「早く来たら良いね……私も聞きたいことあるし」

僕っ娘「聞きたいこと?」

「ポニテさんはいらっしゃるかしら?」

ポニテ「はいはーい、いるよ」

お嬢「……」ドゲザ

ポニテ「なっ!?」

召使い「お嬢様、いきなり何を!?」

メイド「……」

お嬢「ごめんなさい。 私が三編みさんをちゃんと止めておけばこんなことにはなりませんでしたわ」

ポニテ「止めて!!」

お嬢「……ですが」

ポニテ「ポニテの為に泣いてくれる人
の土下座なんて見たくないよ」クス

お嬢「……ポニテさん」ポロポロ

お嬢「私……彼女の絵が……好きで、絵を一生懸命描いてる姿が……頭から離れなくて」ポロポロ

ポニテ「ありがとう。 あの子の為に泣いて、ありがとう」ギュ

551 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:33:52.37 gM+OgWZ30 374/656

【理科室】
ポニテ「というわけで、根暗君に会いに行ってくる!!」

オタク「いや、どういうわけでござるか?」

ポニテ「お嬢を見て思ったの、言いたいことが……聞きたいことがあるならやっぱり自分から行くのが一番良いって」

僕っ娘「あぁ、君の好きにしたら良い」

ポニテ「あら、根暗の家に一人で行くなんてって嫉妬しないの?」ニヤニヤ

僕っ娘「今日だけは見逃してやる。 君こそオタクと二人っきりで研究会なんて、と嫉妬しないでおくれよ?」ニヤニヤ

ポニテ「オ、オタクのことなんて何とも思って無いんだからね!」

オタク「ツンデレ乙」デュフフフ

ポニテ「うるさい!」キック

オタク「あふん」

ポニテ「……ごめんね、付き合わせて


僕っ娘「僕は君を親友だと思っている。 空元気ぐらい、幾らでも付き合ってやるさ」

ポニテ「ありがとう。 いってきます」

僕っ娘オタク「いってらっしゃい」

552 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:34:37.13 gM+OgWZ30 375/656

【秀才・帰路】
秀才(……根暗の家に寄ってみようか)フム

無口「……」

秀才(流石に一週間だからな。 行ったところで何と声をかけて良いか解らないが……)ハァ

無口「……」ツンツン

秀才「ひゃいっ!?」

秀才「無口さん、何時から!?」

無口「……ひゃい」クスクス

秀才「笑わないでくらたまえ!」///

無口「ひゃーい」

秀才「返事として使わないでくれたまえ!!」///

無口「……お茶」ユビサシ

秀才「……へ? お茶?」

喫茶店≪店名・死なばもろとも≫

秀才「……また、俺にたかりに来たのか?」

無口「用があるのは貴方」

秀才「確かに聞きたいことはあるが……はぁ、解った」

553 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:35:19.46 gM+OgWZ30 376/656

【死なばもろとも店内】
机≪コーヒー×2、イチゴパフェ≫

無口「……」モキュモキュ

秀才「火魔術家の目的について教えてくれるんだったかな?」

無口「……」コクン

秀才「……四大元素家の目的は魔術社会の維持だと聞いたが、火魔術家は違うのかい?」

無口「……方向性の違い」

秀才「……なるほど、どう維持するかの違いってことか」

無口「……」コクン

秀才「しかし、解らないな……火魔術家だけ他の三家と違う方向で維持しようとしてるのか?」

無口「……風魔術家は退魔の家系でありながら、占術の家系でもある」

秀才「……水魔術家は退魔の一族であると共に資産家として有名だったか」

無口「……もう辿り着いた?」

秀才「土魔術家は解らないが……火魔術家だけ退魔のみで今の地位にいると言いたいのか?」

無口「……」コクン

秀才「つまり、退魔系統の魔術家の立場を保ちつつ魔術社会を維持するのが火魔術家の目的ということか」

無口「……」コクン

秀才「……待て、火魔術家は錬金術が出来るんじゃないか?」

無口「あのホムンクルスのこと?」

秀才「……あぁ、根暗の話だ」ムス

無口「ホムンクルスを作るのは違法」

秀才「あぁ、知っている。 人工的に人間を作るなんて……」

無口「昔、その禁忌を犯した魔術師を火魔術家が捕らえた」

秀才「……話としては面白い」

554 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:35:48.99 gM+OgWZ30 377/656

無口「今回の件も火魔術家が黒幕」

秀才「学園祭の話か?」

無口「……」コクン

秀才「魔術学園を襲って何の特がある」

無口「生徒会長の確保」

秀才「生徒会長の確保? ……待て、それじゃあまるで」

無口「学園を囚人達に襲わせ、それを理由に狙われていた生徒会長を自分達の施設に入れることが目的」

秀才「そんな……」

無口「オタクと優等生が文化祭を休んだ理由は?」

秀才「……もしも、俺が火魔術家ならばオタクと優等生は休ませずに生徒会長確保に協力させる」

無口「……若達はまだ火魔術家の本当の目的を知らないとすれば?」

秀才「それを言い出したら何でも有りだろう?」

無口「解ってる癖に」クスクス

秀才「君は何がしたいんだ? どうしてそんな話を俺にする?」

555 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:36:15.31 gM+OgWZ30 378/656

「君に探して欲しいんだよ」

秀才「……何者だ?」

優男「土の若……と言えばどういう立場か解るかな?」

秀才「……探して欲しいって何を?」

優男「火魔術家の悪巧みの証拠……と言えば良いかな」

秀才「悪巧みね……退魔系統の魔術家の立場維持は悪巧みなのか?」

優男「その為に世界を征服する存在を作っているとしたら?」

秀才「それが根暗だって言いたいのか!?」ガタン

優男「かも知れないね」

秀才「そんなことが……」

優男「今度は火魔術家だけで倒せるように兵器も作っているようだし」

秀才「……兵器?」

優男「ある男の心臓を核とした兵器だ。 どんな形式のモノかは解らないけどね」

秀才(……生徒会長先輩)

優男「勿論、強制はしない」

秀才「……仲間を、オタクを裏切るようなことは出来ない」

優男「ならば、この話は無かったことにしよう」

「―そうやって何時までも蚊帳の外で指を咥えていれば良い」

556 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:37:19.52 gM+OgWZ30 379/656

無口「……始末しないの?」

優男「あの男は暫く泳がせる。 放っておいても勝手に調べ出すだろうからね」

無口「……」ムス

優男「そんなに殺したかったのかい?」

無口「彼は優しい」

優男「それが殺したい理由か……相変わらず歪んでいるな」

無口「……」プイッ

優男(好意を持った相手を殺したくなるか……理解でき無いね)ヤレヤレ

優男「君は秀才君の監視をお願いする。 今回の件を火の若に伝えようとしたら始末してくれ」

無口「……」コクン

優男「僕は若様に今回の件を報告してくるよ。 本当の土の若様にね」

557 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:37:47.24 gM+OgWZ30 380/656

【森の小屋】
コンコン

ポニテ「根暗君、いませんか?」

ガチャ

触手爺「……」

ポニテ「あっ、お爺さん」

触手爺「……」ブンブン

ポニテ「いないんですか…… 何処にいるか知ってます?」

触手爺「……」ユビサシ

ポニテ「森の中?」

触手爺「……籠っている」

ポニテ「森の中に……ですか?」

触手爺「……」コクン

ポニテ「ありがとうございます。 探してきますね!」

触手爺「……ん」つ笛

ポニテ「何ですか、これ?」

触手爺「……助けに行く」

ポニテ「あぁ、危なくなったら吹きますね」

触手爺「……」コクン

ポニテ「それでは、いってきます」

触手爺「……」ノシ

558 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:38:33.14 gM+OgWZ30 381/656

【森の中】
ポニテ「根暗くーん! 根暗くーん!」

ポニテ「……何処にも居ないな。 ん?これは……血の臭い」

魔物の死骸山「」プーン

根暗「……呼んだ?」ウツロ

ポニテ「あんた……何してるの?」

根暗「探してるんだ」

ポニテ「へ?」

根暗「本気の僕を殺してくれる存在をね」ニタ

ポニテ「……何で?」

根暗「僕のせいで三編みさんは死んだ……その責任を取るには僕も死ぬしか無いだろう?」

根暗「ただ、自ら命を断つなんてことは僕っ娘やお爺ちゃんの手前出来ない」

根暗「だから、本気の僕を殺せる存在を探してるんだ」

ポニテ「……それが三編みへの罪滅ぼしになると本気で思ってるの?」

根暗「……」

559 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:39:02.52 gM+OgWZ30 382/656

ポニテ「……まぁ、良いわ。 私はあんたに聞きたいことがあってきたの」

根暗「聞きたいこと?」

ポニテ「三編みはさぁ……あんたにおもいを伝えて死ねたの?」

根暗「……あぁ、三編みさんの想いはしっかり伝わった」

ポニテ「そう……なら、良かった」

ポニテ「三編みが死んだのは確かにあんたのせいなのかも知れない」

根暗「……」グッ

ポニテ「それでも……あの子言ってたんだ」

『大好きな人には笑っていて欲しいんだもん』

ポニテ「……あんたが思うように罪滅ぼししたら良いよ」

根暗「……ポニテさん」

ポニテ「何?」

根暗「ありがとう……僕はもう迷わない」ポロポロニカッ

ポニテ「泣くか笑うかどっちかにしなよ」クス

560 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:39:28.57 gM+OgWZ30 383/656

【魔術学園・2-B】
オタク「……やっと来たでござるか」

根暗「うん……心配かけてごめん」

オタク「もう、大丈夫でござるか?」

根暗「うん……大丈夫」

根暗「僕はもう迷わない」ニッコリ

561 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/06/17 22:40:23.82 gM+OgWZ30 384/656

(僕の大切なモノを奪うものがいるならば)

(命を奪うのを躊躇しない)

「僕はもう迷わない」

584 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:22:04.68 smtXDAcTO 385/656

「ねぇ、実は弱いんじゃない?」

「負けてるところしか見たこと無いよね?」

「本当に退魔の一族なのかな……」

「登場した時点で敗北フラグでござるよ」デュフフフ

「強気なのは態度だけなんだよ、きっと」

「負け犬の癖に強がって」

「「「はははははははははははは」」」

―うるせぇ

【不良の家】
不良「うるせぇ!!」

チュンチュン

不良「……夢かよ」ハァハァ

585 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:22:42.79 smtXDAcTO 386/656

不良「クソッ!どいつもこいつも舐めやがって」

雷博士「不良君、口調が悪いよ」

不良「アウルベアに負けたからって俺が弱ぇことにはならないだろうが!」

雷博士「アウルベアに勝てる人達よりは弱いことになるんじゃないかな?」

不良「あ、相性ってもんが……」

雷博士「アウルベアは雷耐性は無かったはず……」

不良「うるせぇよ! クソ親父!!」

雷博士「はぁ、朝食中にクソとか聞きたくないな。」

雷博士「全く、アウルベア狩りなんて退魔家系に任せておけば良いものを……」

不良「…………」

雷博士「まさか、不良君はまだクラスの皆に嘘をついてるのかい?」

「うちは探究家の家系だというのに……」

不良「うるせぇよ!!」

586 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:23:24.12 smtXDAcTO 387/656

【入学初日】
不良「俺は不良、雷魔術家の長男で……」

DQN「雷魔術!?」
ヤンキー「スゲー、退魔の花形じゃんか」

「不良君って強いのかな?」「何か、見た目も怖いし……」「やっぱり退魔の家なの?」

不良「いや、俺の家は……」

「雷魔術の家系なのに探究家の家系なんてあり得ないだろ」

不良「……決まってんじゃねぇか!うちは根っからの退魔の家系だ!! 舐めてっとぶっ飛ばすぞ!!」

587 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:24:48.99 smtXDAcTO 388/656

【公園】
不良「……今更言えるわけねぇじゃんか」ハァ

少女「……」ジー

不良「あんな嘘つかなかったら……はぁ……」

少女「嘘吐きは、メッ!なんだよ!」ユビサシ

不良「あぁん? 何だテメー?」

少女「私?私、少女!」

不良「いや、名前が知りたいわけじゃなくて……ウゼーな、向こう行け」シッシッ

少女「レディーを手で追い払うなんて、ジェントルマンの風上にもおけないんだよ!」

不良「悪いが紳士のつもりはねぇよ」

少女「むー、お父様が男児たるもの皆紳士を目指すって言ってたよ」

少女「………………おねえちゃん?」

不良「男だ!!」

少女「おにいさん、面白い~」

不良「馬鹿にしてんじゃねぇよ!」ビリビリビリ

少女「…………」

不良(フン、びびったか)

少女「……綺麗」

不良「はぁ?」

少女「こんな綺麗な電気を出せるなんて」

「―おにいちゃんはすごい魔術師なんだね!!」

不良「お、おぉ、まぁな」ドヤ

588 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:25:26.15 smtXDAcTO 389/656

【魔術学園・屋上】
DQN「おら!良いからさっさと出せよ?」

ヤンキー「不良が黙ってる内に出した方が利口だぜ?」

不良「……」ポケー

男子生徒「止めてよ~、晴天の元、景色の良い屋上で昼休みの団欒をBGMにカツアゲするのは止めてよ~」

DQN「うるせぇ、良いから出せよ!」

ヤンキー「昨日、お小遣い日だったんだろ?」

男子生徒「へ? いや、明日だけど……」

DQNヤンキー「……へ?」

DQN「ふ、不良が……お小遣い日を間違えた……だと」タラ

ヤンキー「全校生徒のお小遣い日を網羅した男と呼ばれた不良が……」

不良「……」ポケー

男子生徒「何かあったのかな?」ヒソヒソ

ヤンキー「朝からずっとボケーとしてんだよな」

DQN「落ちてるモンでも食ったんじゃねぇか?」

男子生徒「いや、流石に不良君でも拾い食いなんてしないでしょ」

ヤンキー「だよな……って、普通に話してんじゃねぇよ!」グイッ

男子生徒「止めてよ~、鼻息を荒くして、獣のような目で僕を見つめながら胸ぐらを掴むの止めてよ~」

ヤンキー「鼻息荒くねぇよ! そんな目で見てねぇよ!」

DQN 「マジでどうしたよ? 不良」

不良「……ガキってどういう話したら喜ぶんだろうな?」

ヤンキーDQN「はぁ? ガキ?」

男子生徒「やれやれ、これは面倒事に首を突っ込んでしまっているようだね」フゥ

ヤンキー「お前は何なんだよ! マジで!!」

589 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:25:56.71 smtXDAcTO 390/656

【公園】
不良「そんでよ、カツアゲしてる奴等をまとめてぶっ飛ばして俺は言ってやったんだ」

少女「……」ワクワク

不良「一昨日来やがれ!三下どもめ!!ってな」

少女「不良にぃちゃん、かっこいい」キラキラ

不良「まぁな! 俺ぐらい強くなると、弱いやつを守るのは義務みたいなもんだからな」

少女「ふふふ、じゃあ少女も守ってもらわないと」

不良「おう、しょうがないから守ってやるよ」ナデナデ

少女「わーい!!」

ナース「少女ちゃん、病院に戻る時間ですよ~」

少女「あっ……ごめん、不良にぃちゃん」

不良「良いから早く行け、また来てやっから」

少女「うん! 明日から検査だから……次に外出出来るのは3日後かな」

不良「へいへい、じゃあな」

少女「レディーとの約束はちゃんと守らないとなんだよ」

590 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:26:32.71 smtXDAcTO 391/656

【魔術学園・2-D】
ヤンキー「……不良、お前最近ぬるくなったな」

不良「……おぉ」ボケー

DQN「なぁなぁ、久しぶりにカツアゲしに行こうぜ! 今日は誰がお小遣い日なんだ?」

不良「さぁな」ボケー

不良(少女……検査大丈夫かな?)

バァン!

DQN「いい加減にしろよ」シュウ

「何? 喧嘩?」「DQNのやつ教室で魔術使ったぞ」「何か最近噛み合って無かったもんね」ザワザワ

不良「ド、DQN、いきなり何すんだよ」

ヤンキー「不良よ、お前こそいきなりどうしたんだよ?」

不良「……俺は別にどうもしてねぇよ」

DQN「だったら行こうぜ? カツアゲ! 万引き! やりたい放題しにいこうぜ?」

不良「……そういうの、もう飽きたんだわ……俺」

ヤンキー「……はぁ、もういい。 行こうぜ、DQN」

「探究家のヤツなんてこんなもんだ」

不良「!?」

DQN「あれ? 俺らが知らないと思ってたのか?」

ヤンキー「ちょっと調べれば解るんだよ、バーカ」

DQN「まぁ、お小遣い日調べてきたり何かと便利だったからツルんでやってたけどな」

「お前みたいな雑魚はもういらねぇよ」

591 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:27:12.45 smtXDAcTO 392/656

【魔術学園・屋上】
「不良君って本当は探究家の出身らしいよ」

「え? ずっと嘘ついてたってこと」

「確かに退魔家にしては弱すぎるもんな」

「あふんw アウルベアにやられてあふんwww」

不良「…………強くなりてぇな」

優等生「おい、そこのガラの悪い男」

不良「あぁん? 何だよ」

優等生「1つ貴様に伝えないといけないことがあってな」

不良「て、テメェは優等生!?」

優等生「む?俺の名前を知ってるのか?」

不良「当たり前だろ? 狩りモノ競争で」

優等生「あぁ、瞬殺されていたのは貴様だったな」

不良「鼻につく言い方だな」ギリ

優等生「負け犬の遠吠えなど俺の耳には届かん。 用件に移らせてもらって良いか?」

不良「て、テメェ!!」

「少女にはもう近づくな」

優等生「以上だ」

不良「はぁ? 何でお前にそんなこと言われないといけないんだ!?」

優等生「詳しくは話せないが、彼女は我々の監視下にある。 貴様みたいな男に付きまとわれると迷惑だ」

不良「…………嫌だって言ったら?」

優等生「負け犬に生えた最後の一本を引き抜くことになるだろうな」

不良「俺は……負け犬じゃねぇ!!」ビリビリ

カーカーカー

不良「………………クソッ」ボロボロ

不良(優等生は魔術を使わなかった……使うほどの価値が俺にはねぇのか?)

不良「クソッ!クソッ!クソが!!」

593 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:27:52.59 smtXDAcTO 393/656

【不良の家】
不良「……」ガチャ

雷博士「不良君…………おかえり」

不良「……おぉ」

雷博士「晩御飯にしようか……お風呂はしみそうだね」

不良「……なぁ、クソ親父……探究家は退魔家に勝てねぇのか?」

雷博士「ん?」

不良「子供の頃からずっとそうだ! 雷魔術使いの癖に! 攻撃特化の魔術を受け継いで来たのに……何でうちは探究家なんだよ!!」

不良「探究家何かじゃ、何も守れねぇ!!」

雷博士「…………ゲートが出来たお陰で、遠く離れた街を一瞬で行き来することが出来るようになった」

雷博士「回復魔術の進歩で救えなかった命を救えるようになった」

雷博士「錬金術師が作る道具は人々の生活には今や欠かせないモノだ」

雷博士「確かに目の前で暴漢に襲われてる人は助けれないかも知れない」

雷博士「アウルベアだって倒せないかも知れない」

雷博士「悔しい思いをたくさんするだろう。 それでも耐えて、魔術を探究しなければいけないんだ」

不良「……何でだよ?」

「未来を守るためさ」

雷博士「不良君には居ないのかい? 明るい未来を贈りたい人は?」

不良「………………今日はもう寝る」

雷博士「おやすみ、不良君」

594 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:29:37.70 smtXDAcTO 394/656

【公園】
不良「…………何て言おうか」

不良(優等生が言う通り、俺がいたら少女に迷惑なのかも知れねぇな……悪いことも散々してきたしよ)ハァ

中年「何か悩みごとかい?」

不良「あ? 何だテメェ……」

中年「ただのオジサンだよ……気前の良いね」つ札束

不良「なっ! 何だこの大金……俺にくれるのか?」

中年「その代わり……頼みたいことがあるんだ」

中年「私の娘を……少女を助け出してくれないか?」

不良「少女を助け出す?」

中年「あぁ、実は少女は特殊な体質でね……あの病院の検査が必要と言って私から娘を奪ったんだ!!」

中年「きっと人体実験をされているに違いない!!」

不良「なっ! マジかよ!?」

中年「少女が公園に来たら、楽しい所に連れてってあげるとでも言ってこの倉庫に連れてきてくれ」つメモ

不良「…………これは前金だよな?」ニヤ

中年「あぁ、成功報酬もはずましてもらおう」ニヤ

不良「よっしゃ! 任せろ!!」

595 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:30:03.51 smtXDAcTO 395/656

少女「……あれ?居ないな……不良にぃちゃん! 不良にぃちゃん!」キョロキョロ

優等生(不良はちゃんと言い付けを守ったか)コソコソ

少女「……ん?何これ?」

メモ『少女へ 退院できたら遊園地とか、動物園とか楽しいところに行こうぜ! 不良より』

ナース「あれ? 少女ちゃん、何時ものおにいちゃんは?」

少女「今日は忙しいみたい……ほら」つメモ

ナース「あら、本当ね。 ん?後ろに何か書いてるわね……○△倉庫?」

優等生(○△倉庫……確か、魔壊組織の武器庫になってると噂が…………)

優等生「アイツは馬鹿なのか」ダッ

596 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:33:54.74 smtXDAcTO 396/656

【○△倉庫】
中年「生徒会長は火魔術家に取られちまったからな」

ゴロツキ「彼女で本当に兵器が完成するんですかね?」

中年「生徒会長ほど出はないにしろ、彼女も魔力過剰症患者だ……まぁ、失敗しても利用価値はあるだろうよ」

ガラガラガラ

不良「……よぉ」

中年「おぉ、不良君だったかな? 連れてきてくれたかい?」

不良「いや、駄目だった。 不良にぃちゃんみたいな不審者にはついて行けないってよ」ヘラヘラ

中年「……嘘だね?」

不良「嘘ついてんのはお互い様だろ?」ビリビリ

中年「やれやれ、これだからガキは嫌いだ」クイッ

ゴロツキ「硬化魔術……オラァ!!」ダッ

不良「そう簡単にやられるかよ……雷撃魔術!」ビリビリ

ゴロツキ「…………」

不良(……効いたか?)

ゴロツキ「何だ今の? マッサージか?」ナグリ

不良「ぐはっ! ら、雷撃魔術!!」ビリビリ

ゴロツキ「効かねぇよ!!」ケリ

不良「雷撃……ま、じゅつ……」ビリ

ゴロツキ「無駄だって言ってんだろ?」フミ

不良「ぐぁっ!?」

中年「おいおい、殺すなよ。 不良君、もう一回チャンスをあげよう。 オジサンは気前が良いからね」

中年「少女を此処に連れてこい」

不良「…………断る」

中年「おいおい、弱いくせに無理しない方がいいよ? ほら、殺されちゃうよ?」ナイフ

不良「……それでもな、約束したんだよ」

不良「守ってやるって約束したんだよ!!」

597 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:34:46.77 smtXDAcTO 397/656

中年「オジサンぐらいの歳になると耳が遠くてね……聞こえないんだよ。 負け犬の遠吠えなんてね」

ジュゥゥウウウウウ

ゴロツキ「何だ!?」

不良(倉庫の扉が溶けた……!?)

中年「ヤレヤレ、真打ち登場かい?」

「歳を取るとは嫌なもんだな、中年」

「俺にはしっかり聞こえたぞ、無様で騒がしい」

優等生「負け犬の遠吠えがな」ギロリ

ゴロツキ「何じゃ、テメェ!!」ダッ

中年「ゴロツキ、迂闊に近付くな……って遅いか」ハァ

優等生「熱源魔術……」ジュゥウウ

不良(ボクシングみたいな構えだな……)

優等生「ヒートブロー!」ドン

ゴロツキ「アベシ!!」

優等生「汚物共、消毒してやる」グッ

中年「この歳でヒデブ……なんて叫びたくないからね、今回は退散させてもらおうか」シュイン

優等生「……転移魔術? いや、何らかの道具を使ったのか」

不良「お前、マジで強いんだな……クソ、結局俺じゃあ守れねぇってことか……」

優等生「あぁ、貴様では守れなかった」

「だが、俺達で守った」

不良「はぁ?」

優等生「負け犬……遊園地の約束、守ってやれよ」スタスタ

不良「…………鼻につく野郎だ」

598 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/04 20:36:15.08 smtXDAcTO 398/656

【魔術学園・校舎裏】
ヤンキー「オラ! さっさと出せよ!」

DQN「もう、お小遣いもらってんだろ?」

「止めてよ~……って、あれ? 不良君は?」

ヤンキー「あんな奴知るか!」

DQN「雑魚とつるむのは止めたんだよ」ヘッ

「ふーん、じゃあ、君達に用は無いや」

ヤンキーDQN「はぁ? 何言ってんだ」

[ヤンキー君、DQN君、カツアゲなんて絶対にやってはいけないよ?]

ヤンキー「良いからさっさと……あれ? 俺達なんてことしてんだ……」

DQN「あぁ、俺達どうかしてた……悪かったな」

「いや、良いんだよ」

(雷博士の息子である不良君に近付く為にいじめられてあげてたけど……)

「世の中上手く行かないもんだね」トホホホ

優男「若様、あまり学内で魔術を使うのは良くないかと……」

「うん、優男君……今後気を付けるよ」

優男「解っていただけたら良いのです……土の若様」

606 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:20:45.33 GDjnAwTK0 399/656

【魔術学園・屋上】
丸眼鏡「……そちらは落ち着いた?」

オタク「あぁ、ようやくな。 本当はもっと早く集まりたかったんだが……」

お嬢「仕方がありませんわ……魔術犯罪については火魔術家が管轄ですもの」

オタク「どうやら、死刑囚達の脱獄には魔壊連合の手引きがあったらしい……職員室に書かれた魔方陣と同じ系列の魔方陣が刑務所の壁に書かれていた」

丸眼鏡「……ところで、生徒会長はどうしている?」

オタク「やけに気にかけるな」

丸眼鏡「特殊体質者の保護は本来水魔術家の管轄では?」

オタク「…………」

お嬢「……生徒会長さんの件に付きましては、私も説明していただきたいのですが」

オタク「……魔力過剰症については専門的に研究している一族が我らが傘下にいる」

丸眼鏡「だが、水魔術家に話を通すのが筋ではないか……火の若よ」

お嬢「…………若様」

オタク「それは……」

「何かやましいことでもあるのでは? 火の若様」

607 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:21:25.74 GDjnAwTK0 400/656

オタク「……四大元素家の後継ぎの会合に貴方の席は無い、優男」

優男「では、用意してください。 なんせ、私は土の若様の代行で伺ったのですから」

丸眼鏡「ならば、事前に申請し他の参加者に認可されてから来るべき」

優男「なるほど、ごもっともです。 次回からそうさせていただきますね」

オタク「次回から土の若に参加してもらえればその手間は減る」

優男「ははは、そんなに目の敵にすること無いじゃないですか」

オタク「顔を出した理由は察しがつく」

お嬢「……第一級危険魔術家について、ですわね」

優男「えぇ、今回の件で彼等……いえ、彼の危険性については充分露見したかと」

オタク「根暗が串刺しを殺したのは正当防衛だ……抵抗せずに殺されれば良かったとでも言うのか?」

優男「正当防衛? そうは言い切れないのでは? 彼には避難するという選択肢もあったのですから」

オタク「……」

丸眼鏡「待て、その件で火の若のみを責めてもらっては困る」

お嬢「……丸眼鏡さん?」

丸眼鏡「死刑囚の討伐を依頼した私にも責任の一端はある」

優男「えぇ、貴女らしく無い判断でしたね」

丸眼鏡「しかし、あの場においてその判断は正しかった」

「根暗は戦うべくして、戦った」

優男「……はぁ、まぁ良いでしょう。 それより風の姫君、腐女子の監視を怠らないでくださいよ」

優男「彼女の友人が死んだんでしょ? ククッ、なら、禁忌に手を出してしまうかも知れませんからね」

お嬢「貴方は何で笑いを堪えるように……そんな、ことを……」グッ

丸眼鏡「あぁ、解っている。 それでももし、そんな事が起こってしまったら」

「―私が腐女子を処分する」

608 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:22:29.45 GDjnAwTK0 401/656

【魔術学園付近・ラブホ】
根暗「…………あの、えと、その」オロオロ

メイド「結構、装飾とかこってるんすね~」キョロキョロ

腐女子「フヒヒヒ、男二人でのご利用は禁止と書いてあります! つまり、これはご利用しようとした人達がいたという証拠……フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

根暗「ふ、二人とも、早くその3Pして……あの……」

メイド「3Pしたいんっすか? エロエロっすね、根暗は」

腐女子「根暗先輩の触手オ○ニーとか見たいです! 是非に! 是非に! 是・非・に!!」

メイド「いや、それは流石に引いちゃうぜ? 腐女子ちゃんよ」

腐女子「サーセンw マジサーセンwww」

根暗「さ、3P会議しようって、呼び出したのは、その、二人でしょ」アセアセ

メイド「いやぁ、根暗をからかうのが楽しくて」

腐女子「弄られ役受けな根暗先輩は俺得!!」

609 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:23:09.46 GDjnAwTK0 402/656

メイド「さて、真面目な話をするっすか」

根暗(本題に入る前にどっと疲れた……)

腐女子「そうですね……あの、ですね」

メイド「あ~、腐女子は黙ってるっす。 私が聞いてやるからよ」

メイド「根暗……死刑囚を殺したのは自分の意思か?」

「それとも、触手に操られてやったんすか?」

根暗「…………」

メイド「重要なことなんっすよ」

根暗「ぼ、僕の意思で……だと思う」

メイド「言い切れないようならダメっすね」ジト

根暗「……三網みが目の前で……その頭の中が熱くなって」

メイド「はぁ……大体解ったすよ。 今回はしゃーないが、あまり暴走するなっす」

根暗「でも、その……ぼ、僕は間違ったことはしてない」

腐女子「人を殺して正しいなんて有り得ません!」

根暗「!?」ビクッ

腐女子「人が……本当の意味で生き返ることなんて……無いんですから」グッ

根暗「……ごめんなさい」

メイド(死霊術士だからこそ……すかね)

腐女子「メイド先輩、安心してください」

メイド「あっ、私の言いたいこと解っちゃったすか?」

腐女子「はい、彼女は自分の愛する者のために死にました」

根暗「…………」

腐女子「そんな彼女の尊い死を私の魔術で汚すことはしません」キリ

腐女子「私の……初めての……友人だったの……ですか……ら」ウルウル

メイド「よく、言ったす。 ……よく、耐えたっす」ギュ

根暗(……本当は腐女子さんは死霊術を使ってしまいたいのかな?)

根暗(でも、そうしたら誰も幸せにならないことを理解してるから耐えてるのか……)

根暗(僕は……)

『―僕が最初からこいつを殺すつもりで闘ってたら良かったんだ』

根暗(僕は……最低だ)

610 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:24:18.43 GDjnAwTK0 403/656

【魔術学園・2-B】
根暗「……」ポケー

オタク「……」ポケー

根暗(触手に負けないようにするにはどうしたら良いんだろう)

オタク(生徒会長のこと、家に帰ったらもう一度父上に聞いてみるか……教えてくれないだろうが……)

委員長「二人も入れてくれるよな?」

根暗オタク「ふぇ?」

委員長「二人も私に入れてくれるよな?」

根暗「い、委員長さん! いきなり、へ?何の話?」

オタク「2穴責めとか割りとハードな趣味をお持ちでw」デュフフフ

委員長「2穴責め? 何を言ってるんだ? 生徒会選挙の話に決まっているだろう」

根暗「へ? せ、生徒会選挙?」

オタク「あぁ、そう言えば朝礼でそんなこと言ってたでござるな」

根暗「委員長さん、り、立候補するんだ」

委員長「あぁ、この学園の在り方には少し思うところがあってね。 より良い学園作りをしてみたいんだ!」キリ

オタク「委員長殿は真面目でござるな」

根暗「そ、そこが良いとこだと……あの、思うけど」オドオド

委員長「ありがとう! 二人とも清き1票をy」

「その二人が君に投票することはないさ」

委員長「き、貴様は…… 秀才!!」

秀才「Exactly! 俺だ!!」

オタク「およよ? 秀才も立候補するのでござるか?」

秀才「あぁ、俺が生徒会長になったら……土中生物釣り上げ部の部費を」フフフ

オタク「はーい! 拙者は秀才にいれるでござる!!」デュフフフ

委員長「不純だ!!」

秀才「清くても汚くても1票は1票なのさ」ドヤ

委員長「き、君はそんな甘言に騙されないよな?」

根暗「うーん」

秀才「部長、何を迷う必要がある?」

根暗「だって、秀才が生徒会長になったら忙しくて土中生物釣り上げ部に来にくくなるかもって……」

根暗「部費が上がるより、秀才の参加頻度が……その、上がる方が……その、嬉しいな……なんて」

秀才「根暗、そういうところだぞ! 君は本当にそういうところだぞ!!」カー

オタク「根暗の人タラシスキルが上がっていくでござるよ」デュフフフ

委員長「とにかく! 負けないからな、秀才!!」

秀才「あぁ、俺は負けられない」

オタク(負けられない?)

611 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:25:18.83 GDjnAwTK0 404/656

【魔術学園・中庭】
僕っ娘「たまには外で食べるのも良いものだな」

根暗「う、うん……あの、僕っ娘、そのね」

ポニテ「僕っ娘、食事中なんだから根暗の膝の上から降りなさい」

僕っ娘「嫌だね。 ほら、根暗、卵焼きを僕の口に運ぶんだ」アーン

根暗「う、うん……あーん」つ卵焼き

オタク「2人羽織りみたいでござるな」デュフフフ

ポニテ「行儀が悪いってレベルでも、バカップルってレベルでも無いわね」ハァ

「ー私は普段の授業や行事を通してより退魔家と探求家が理解を深めることが重要だと思います!」

ポニテ「あれ? あんた達のクラスの委員長さん?」

オタク「街頭演説w ワロタww」

委員長「我が校の三大行事である運動会、文化祭、魔術技会のうち運動会、魔術技会は明らかに退魔家を優遇した運営になっており」

根暗「い、委員長さんの思うところって……」

オタク「退魔家と探求家の差別問題……だったでござるか」

ポニテ「言われるほど、探求家を軽視してるつもりは無いんだけどね」

僕っ娘「それは君達が退魔家の人間だから言えることだ」フンッ

ポニテ「僕っ娘?」

オタク「退魔家優遇の時勢に探求家が思うところがあるのは同然でござるよ」

僕っ娘「おい、根暗! 箸が止まっているぞ! 次はそのソーセージを……」

根暗「……」ゴゴゴゴゴゴ

僕っ娘「……どうした?」ゾクッ

委員長「探求家が活躍出来る場面をより増やし、お互いを理解を深めていく事が……拍手ありがとうございます」

不良「……良いこと言うな」パチパチパチ

ポニテ「ふ、不良がいる!」

僕っ娘「君、そんな怖い顔したら嫌いになっちゃうよ」

根暗「…………うん」シュン

オタク(不良が僕っ娘にしたことを思い出してか。 ……不安定だな)フム

僕っ娘「む? 止めろ、ブロッコリーを僕の口に運ぶな」

根暗「す、好き嫌いは、良くないよ」アーン

僕っ娘「むー」アーン

612 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:25:55.82 GDjnAwTK0 405/656

「―俺が生徒会長になったあかつきには食堂、図書館、体育館など皆さんの生活に関与する施設の改善を進めます」

オタク「おっ、今度は秀才が演説を始めたでござる」

ポニテ「へぇ、秀才も立候補するんだ」

僕っ娘「知らなかったな」

根暗「お、同じクラスなのに!?」

僕っ娘「僕は君以外の男に関心が無いからね」ドヤ

オタク「ポニテ殿は拙者以外の男子に関心が無かったからでござるか?」デュフフフ

ポニテ「ふぁっ!?」///

オタク「冗談でござるよw ちょ、止めて、肉体強化しながら拳を握らないで! あ、謝るk…あふん」

秀才「まず、食堂については並ぶスペースについての問題が浮上している。 これに対しては床にシールでラインを付けるという簡易的な対策と机の配置の改善で対処しようと考えている」

秀才「また、図書館の魔導書の雑多な管理についての苦情については図書委員と協力して対処。 それとこれを機に魔導書をランク分けして整理し、見易いよう表を作成して……」

オタク「秀才、本気でござるな」イテテ

ポニテ「皆の要望を汲み取り、実現可能な対処方法を示しているわね」

僕っ娘「 これは残念ながら委員長が不利かも知れないね」

根暗「…………」ジー

僕っ娘「ん? 根暗? 今度はどうした?」

根暗「いや、あの……あれ」

副会長「清き1票をよろしくお願いいたします」

僕っ娘「あぁ、彼女も立候補しているのか?」

ポニテ「まぁ、副会長をやったから次は会長って気持ちも解るけど……」

副会長「……清き1票をよろしくお願いいたします」

オタク「敗色濃厚でござるな……」

根暗「……」

613 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:26:38.75 GDjnAwTK0 406/656

【生徒会室】
会計「副会長先輩、ポスター作ってきましたよ」

書記「副会長、ほら、看板作ったぞ? 襷もな」

副会長「……うん、ありがとう」

会計「書記先輩、副会長先輩大丈夫ですかね?」ヒソヒソ

書記「他の候補者に気圧されてるみたいだな」ヒソヒソ

副会長「なぁ、二人とも……」

会計書記「「ファイ!!」」

副会長「……私に会長の意思を継ぐ権利など有るのだろうか」

「私に清き1票を入れて貰う権利なんて……あるのだろうか」

書記「……知らねぇよ」

会計「ちょっ!書記先輩!?」

書記「俺はあの人が必要としてくれたから此処にいた。 テメェは今勝つ気あんのか?」

副会長「……」

書記「帰るぞ、会計。 どうやら、俺らは必要とされてないらしい」

会計「……副会長先輩、出来る事があったら呼んでくださいね」

614 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:27:36.67 GDjnAwTK0 407/656

副会長「……生徒会長」

『そんな所に立っていたら危ないよ』

『……ほっといてください、私は要らない人間なんです』

『……』

『兄が家を継ぐから私なんて要らなかったんです。 私なんて誰も必要としてくれない。 私なんて生きてる意味がない。 私の未来に価値なんて……』

『―君を副会長に任命する』ギュッ

『へぇ?』

『明日は早く登校して一緒に校門で挨拶運動をしてくれ。 昼休みは風紀の乱れが無いか見回りをしよう! 』

『放課後は会議だ! 僕達しか解決出来ない問題が山のように待っている!!』

『そ、そんないきなり、そんなこと言われても……』アセアセ

『未来とはいきなりやって来るものさ、だからこそ価値があるのかも知れないね』

生徒会長『君の未来は無価値なんかじゃないさ』ニコ


副会長「…………私の未来には本当に価値があるんでしょうか」ポロポロ

615 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:28:20.06 GDjnAwTK0 408/656

【魔術学園・校門】
風来坊「副会長に清き1票を!!」

根暗「ふ、ふふ、副会長にき、清きいっぴょんぴょん!」///

風来坊「いっぴょんぴょんってなんだよ! ちゃんと言え!!」

根暗「ひゃい!」オロオロ

副会長「…………あなた達は何をしているの?」

風来坊「おぉ! やっと来たか! 助太刀してやるぜ」ニカッ

副会長「必要ない。 私は辞退する」

風来坊「はぁ!?」

副会長「何故、あなた達が私を支援してくれたのかは解らないけど……悪かったね」

根暗「ふ、副会長に清き1票をお願いいたします!!」

副会長「……今の話を聞いてなかったの?」

根暗「副会長に清き1票をお願いいたします!!」

副会長「止めて!」

風来坊「嫌だね」

副会長「はぁ?」

風来坊「俺らは生徒会長が治めるこの学園が好きだったんだ。 その意思を継げるのはテメェしかいねぇよ」

風来坊「俺らの為に副会長、お前には勝って貰うぜ?」

副会長「な、何て勝手な……私にあの人の意思を継ぐなんて……」

「出来ます」

根暗「で、出来ます」ジッ

副会長「…………私は副会長を経験し、他の候補者より生徒会の業務内容を熟知しております」

副会長「登校中の皆さん、私、副会長に清き1票をお願いいたします!!」

根暗「……」ニッ

風来坊「おう! 俺らも声出すぞ!!」ニカッ

根暗「副会長に清きいっぴょんぴょんを……あぁ~」///

副会長「全く……締まらないね」クス

616 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:29:01.28 GDjnAwTK0 409/656

【魔術学園・図書室】
副会長(秀才君の演説内容が気になって見に来たが……確かに改善の余地がある)

秀才「おや?」

副会長「……やぁ」

秀才「調子はどうかな、副会長さん」

副会長「あなたは絶好調のようね、秀才君」

秀才「あぁ、明日が選挙当日だからね」

副会長「……」

秀才「……俺はどうしても負けられない理由がある」

秀才「生徒会長にならないといけない理由があるんだ」

副会長「そう……」

秀才「だから、副会長さん」

「漫然と生徒会を続ける為に立候補しているなら辞退してくれ」

副会長「……」

秀才「俺が生徒会長になったら君を副会長に推薦する。 それで問題無いんじゃないか?」

617 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:29:35.38 GDjnAwTK0 410/656

【先日・図書館】
秀才(……この文献にも第一級危険魔術家の詳細は無いか。 火魔術家についての情報も……)

秀才「…………停滞してる場合じゃ無いというのに」

優男「聞いてくれたら、答えてあげるよ♪ 第一級危険魔術家のこと」ニッコリ

秀才「…………」ペラペラ

優男「無視するなんて酷いな」

秀才「貴方から聞いたところで根拠がない」

優男「そこまで信用できないかい?」

秀才「……貴方達に協力する気は無いと言っただろ? 失礼する」スタッ

「特例文庫」

秀才「……」ピタ

優男「学内に保管されながらも一般の生徒には公開されていない書物……噂ぐらいは聞いたことはあるかな?」

秀才「参考にはさせて貰う……」スタスタ

優男「確か、生徒会長には閲覧許可が……と、行ってしまったか」クスクス

618 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:30:32.06 GDjnAwTK0 411/656

【魔術学園・講堂】
委員長「確かに私自身は退魔家の出身です、だからこそより探求家を理解出来る機会が欲しいと思っています。 具体的には……」

副会長「…………」

『漫然と生徒会を続ける為に立候補しているなら辞退してくれ』

副会長(委員長さんはちゃんと志を持って立候補している)

副会長(秀才君も負けられない理由があると言っていた……)

副会長(私はやはり、辞退した方が……)

「……前の生徒会長よりはまともだな」ボソッ

副会長「」

「吐血してばっかだったもんね」クスクス

619 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:31:31.21 GDjnAwTK0 412/656

副会長『……生徒会長なんて止めて安静にしていた方が利口なんじゃ無いですか?』

生徒会長『確かにそうかも知れないね』

生徒会長『君にだから言うけどさ』

『僕はね、死ぬのが怖いんだ』

副会長『へ?』

生徒会長『自分が消えてなくなるのがどうしようも無く怖いんだ』

生徒会長『勿論、未来ある皆の役に立ちたいって言うのも本音だよ』

生徒会長『でもね、せめてね……誰かの想い出の中で生きたいんだ』

『楽しかった学園生活の想い出の中でね』

620 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:32:19.81 GDjnAwTK0 413/656

放送部長「次は副会長さんの演説です」

副会長「…………」

ザワザワザワザワ

副会長「私は、皆さんに忘れてほしくない人がいます」

副会長「その人は体が弱く」

副会長「その人はその癖行動的で」

副会長「その人はことあるごとに血を吐いて皆さんに迷惑をかけたかも知れません」

副会長「……でも、その人は誰よりも、皆さんの未来を信じていました」

副会長「自分が生きられない未来を生きる皆さんの少しでも役に立ちたいと思っていました」

副会長「そんな、生徒会長がいたことを忘れて欲しくないから……私は此処にいます」

副会長「彼の事が大好きだから、此処にいます」

副会長「他の候補者と比べれば不純な動機かも知れません」

副会長「それでも、皆さんの未来に役立てる生徒会長に成りたいから……あの人みたいになりたいから」

「不純な私に清き1票をください!!」

621 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:32:53.03 GDjnAwTK0 414/656

【魔術学園・屋上】
カーカーカー
秀才「……ふぅ」

副会長「此処にいたのね」

秀才「おや、これは新生徒会長様……敗者を嘲笑いに来ましたか?」

副会長→新会長「……何であんなことしたの?」

秀才『えー、私、秀才が生徒会長になったあかつきには全校生徒をカピバラにします』

ドッ

秀才『以上! 不純な彼女に清き1票を!!』

新会長「私に同情でもした? 負けられない理由があったんでしょ?」

秀才「……君の想いを踏み台に出来なくなった、それだけだ」

秀才「俺は天才だからね、手段を選ぶ余裕があるのさ」ノシ

新会長「……貴方の目的って特例文庫?」

秀才「……」ピタ

新会長「……私は生徒会長。 困っている生徒を見過ごすわけにはいかないの」クス

新会長「ついてきなさい。 私の権限で見せれる範囲で見せてあげる」

秀才「……支持率9割り超えの生徒会長は言うことが違うな」

622 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/10/05 16:33:24.70 GDjnAwTK0 415/656

【魔術学園・生徒会室】
新会長「書記、資料に誤字があります。 再度、作成しなおしてください」

書記「ちょっ、少し休憩をだな」

新会長「会計、図書室の文庫のリストアップ、分別作業はまだ終わらないのですか?」

会計「ひ~~~~~!!」

書記「呼び戻されたと思ったら、クールな女に戻ってやがった」

会計「でも、そんな新会長も……素敵」///

書記「この、マゾフィスト!」

新会長「口より手を動かしなさい。 食堂の改善、図書室の整理、行事の見直し、私達がすべきことは山のようにあるのよ」

コンコン

新会長「はい、何方?」

「あの、私も生徒会に入りたいんですけど……その、私みたいなのでも役に立てますか?」

『…………私の未来には本当に価値があるんでしょうか?』

新会長「えぇ、勿論」ニッコリ


続き
根暗「触手魔術なんて……」【4】

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