関連
根暗「触手魔術なんて……」【1】


245 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:04:16.10 Dv+fxQIUO 165/656

【水魔島・海岸】
根暗「な、夏だ!」

秀才「海だ!」

オタク「水着だ!!」

秀才オタク「ひゃっほーい!!」

根暗「うぅ、二人ともテンション高いな……」

ポニテメイド「ひゃっほーい!!」

僕っ娘「こっちもテンション高いな」

三編み「私も来ても良かったのでしょうか?」

お嬢「三編みさんでしたっけ? ポニテさんの妹ならば、大歓迎ですわ」

僕っ娘「ふむ、良いところだな。 これなら薬の材料がたくさん取れそうだ」

召使い「お嬢様、バーベキューの準備をしてきます」

お嬢「あら、召使いも遊んで良いのよ?」

召使い「いえ……私は……」

246 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:05:28.30 Dv+fxQIUO 166/656

根暗「ぼ、僕も手伝う!」フンス

お嬢「根暗さん!?」

召使い「ん? いや、結構だ……客人にやらせるわけにはいかない」

根暗「召使い君、ずるいよ……僕知ってるんだ」

根暗「バーベキューは準備が一番楽しいって!」ドヤ

召使い「はぁ?」

根暗「いや、やったことは無いけど、お爺ちゃんが言ってて……その、やる機会があればやってみたいって」

お嬢「あらあら、客人にここまで言われてしまったら断れませんわね」

召使い「……解った、根暗も手伝ってくれ」

根暗「う、うん」

247 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:06:17.78 Dv+fxQIUO 167/656

ポニテ「ビーチバレーしよう!」

メイド「良いっすね、ボール取ってくるっす」

秀才「おいおい、君達……俺とオタクのタッグに勝てると思ってるのか?」

オタク「そうでござる! 二人合わせて根暗親衛隊でござるよ!!」

メイド「オタク様ってやっぱりホモなんっすか?」

ポニテお嬢「なっ!?」ガーン

オタク「し、親衛隊と言ってもそういうのではなく……な、秀才」

秀才「……あぁ、オタク。 俺は友達止めない安心しろ」ドンビキ

オタク「秀才!!」

僕っ娘「オタク……僕の目の前で根暗親衛隊を名乗るとは良い度胸だ」ギロリ

オタク「い、今までにない気迫を感じるでござる!!」ダッ

僕っ娘「逃げたぞ! 追え!!」

ポニテ「女の良さを教えてやる!」
お嬢「ホモを治して差し上げますわ!」

オタク「そもそも、ホモじゃないでござる!!」

248 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:07:27.77 Dv+fxQIUO 168/656

根暗「~♪」カチャカチャ

召使い「……そんなに楽しいか?」

根暗「う、うん……こういうの初めてだから」

召使い「初バーベキューか」

根暗「そ、それだけじゃ無くて」

根暗「海を見るのも……島に来るのも……皆で夏休みを過ごすのも……全部が初めてで……その……」

召使い(こいつは社会から隔離されていたんだったな)

根暗「……召使い君は楽しくないの?」

召使い「……どうして、そう思う」

根暗「何と言うか……思い詰めた顔してるから」

召使い「……お前には関係ない話だ」

根暗「そ、そうだよね」

召使い「昼に間に合わなくなる……手を動かせ」テキパキ

根暗「うん……」カチャカチャ チラッ

召使い「……」テキパキ

根暗「……」カチャカチャ チラッチラッ

召使い「……」テキパキ

根暗「……」チラッ カチャカチャ チラッチラッ

召使い「何故そうも気にする! 俺が困っていてもお前には関係無いだろ!?」

根暗「ひっ、あの、その……病院で助けて貰ったから……お礼を……」

召使い「……なるほど、そういう奴なんだな」ハァ

根暗「ごめんね、聞いたところで解決案も何も出せない癖に……鬱陶しくて……その」

召使い「……不安なんだ」

根暗「へ?」

召使い「俺が執事さんのようにお嬢様を守っていけるのか……不安なんだ」

249 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:08:07.03 Dv+fxQIUO 169/656

メイド「お疲れ様っす」

お嬢「流石に捕まえれなかったですわ」

メイド「ポニテとオタク様はまだ追いかけっこしてるっすね」

メイド「……それより、どうして召使いのこと根暗に任したんっすか?」

お嬢「私じゃ、何で悩んでるか聞き出せないから」

お嬢「私は主で、貴女は同僚……他の皆様とはあまり面識がありませんわ」

メイド「オタク様には対抗心燃やしてるっすしね」

メイド「消去法で言ったら根暗が妥当ということっすね」

お嬢「完全な消去法ってわけでも無いのですわ」

250 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:08:58.50 Dv+fxQIUO 170/656

【2-B教室前】
お嬢(若様を誘って下校デートしますわ♪)

お嬢(……ん?中から声が)

「でも、やっぱり良いや」・

「同人誌……今は好きなんでしょ?」・

「最初は嘘でも……本当になることもあるって解ったから……もう良いんだ」ニコ・

お嬢(……今日は一人で帰りますわ)クス

【水魔島・海岸】
お嬢「根暗さんは人の在り方を否定されない方だから……」クス

251 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:09:36.66 Dv+fxQIUO 171/656

根暗「無理だと思うよ」キッパリ

召使い「なっ、何だと!?」

根暗「ひっ、だって……だって……」

召使い「……俺にはお嬢様を守れないってことか」

根暗「いや、そうじゃない」

根暗「執事さんのようには守れないって……ことで……」

召使い「どういうことだ?」

根暗「守るってことは、その相手のことを大事に思うってことで、どう大事に思ってるかで……変わると思うんだ」

根暗「た、例えば、僕はオタクのことも僕っ娘さんのことも大事に思ってるけど……同じ対応はしないし」オドオド

召使い「……どう大事に思うかで変わるか」フム

根暗「……召使い君はどうしてお嬢さんを守りたいの?」

252 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:10:26.51 Dv+fxQIUO 172/656

【路地裏】
ポツポツポツポツ
「何だ、あの小汚い小僧は?」

「知らないの? 最近取り潰された魔術一家の一人息子よ」

「あぁ、魔術で一般人を殺した殺人鬼一家か……おっかないな」

「あんな子供でも魔術が使えるんだ。 関わらないにこしたことは無いよ」

―殺人鬼の子は殺人鬼さ

ザーザーザーザー

男の子(寒いな……このまま死ぬのか? 殺人鬼にはお似合いの最後か……)

お嬢「……」つ傘

男の子「……」

お嬢「風邪引きますわよ? 私のお屋敷にいらっしゃい」

男の子「殺人鬼なんて拾ってどうするんd……って止めろ!額を触るな!!」

お嬢「角が無いですわ? 何処が鬼なのかしら」ペタペタ

男の子「止めろ! 同情で助けられても迷惑だ! どうせ何時か俺を人殺しの息子だって追い出すんだろ!!」

お嬢「そうかも知れませんわね」

男の子「なっ!?」

お嬢「自分を殺人鬼と諦めているなら私は何時か追い出しますわ」

「だから、代わりなさい」

お嬢「追い出されないような男に! 私に必要とされるほどの男に!」

お嬢「この水魔術家のお嬢には過ぎ足るものと言われるほどの男になって魅せなさい!!」

お嬢「自分が何者か何て、周りに決められたく無いのでしょ?」ニコ

253 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:11:27.21 Dv+fxQIUO 173/656

召使い「……俺はお嬢様に認めれたくて」

根暗「あの……召使い君? 大丈夫、かな?」

召使い「あぁ、大丈夫だ。 そっち持て、一緒に運ぶぞ」

根暗「う、うん♪」

召使い「……ありがとな」ボソッ

根暗「……ん?えっ、何?」

召使い「何でもない」

根暗「……どういたしまして」

召使い「なっ!?」

根暗「へ、へへへ」

召使い「お前……ははは」

254 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:12:22.31 Dv+fxQIUO 174/656

オタク「いやー、美味しかったぜござるよ」

僕っ娘「お嬢……本当にお金は良いのか?」

お嬢「勿論ですわ」

僕っ娘「流石に申し訳ないんだが……」

お嬢「で、でしたら、次の私の誕生会に友人代表枠で来てほしいですわ」ドキドキ

僕っ娘「あ、あぁ、それぐらいならお安いご用だ」

根暗「オタク……ちょっと……」ツンツン

オタク「どうしたでござる?」

根暗「あそこの岩影まで一緒に来てくれないかな?」

オタク「……ほ、ホモには興味ないでござるよ」ビクビク

根暗「ほも?」

255 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:14:15.49 Dv+fxQIUO 175/656

オタク「何の用でござるか?」

召使い「……」ドゲザ

オタク「いや、本当に何だよこれ!?」

召使い「若様! どうか、私に肉体強化魔術を教えてください!!」

オタク「召使い……急にどうしたんだよ?」

召使い「……お嬢様を守りきれる男になりたいんです! 執事さんの代わりとしてではなく……俺だから必要とされる男になりたいんです!!」

根暗「色々、話してたら……そのやっぱり接近戦を強化していくのが良いってことになって……」

オタク「で、召使いは肉体強化魔術をどれぐらい使えるんだ」

召使い「全く使えません!」

オタク根暗「はぁ!?」

オタク(おいおい、肉体強化魔術使えないのに病院で戦いきったのか? 一般人相手だから怪我させる可能性がある水サーベルは使えないだろ?)

根暗(僕の触手を肉体強化魔術を使わずに斬ってたの?)

召使い「お恥ずかしい限りです」

オタク根暗(こいつ、化け物か!?)

256 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:15:00.23 Dv+fxQIUO 176/656

「話は聞かせてもらった!!」

オタク根暗「き、貴様は……ポニテ」

ポニテ「そうよ! 私よ!!」

ポニテ「私も召使い君の特訓に協力させて貰うわ」

召使い「……お、おう、どうも」

秀才「…………スタンバってたのに」ズーン

オタク(Exactryが浮かばず、そうよで乗り切るとは……ポニテは男前だな)

257 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:15:48.70 Dv+fxQIUO 177/656

【次の日・早朝】
ポニテ「ほら! ほら! ペースを落とさない!! 一定の強化具合と速度を意識する!!」

召使い「お、おう!」

ポニテ「返事はハイだ! 私のことは教官と呼べ!!」

召使い「ハイ! 教官!!」

根暗「な、何で……僕まで……」

オタク「肉体強化魔術は使えて損は無いでござるよ」

秀才「土中生物釣り上げ隊の活動でも役に立つかも知れないしな」


三編み「ほら! 皆さん! 喋ってないでしっかり走ってください!!」

オタク根暗秀才「はい! 副教官!!」

258 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/24 23:17:00.52 Dv+fxQIUO 178/656

僕っ娘「何をやっているんだ、彼らは?」パタパタ

メイド「熱血ポニテ教官と男ばかりの秘密の特訓……っすね」

お嬢「皆さん、頑張って! 若様! 特に若様!!」

メイド「お嬢、堂々と若様と呼んだら怒られるっすよ?」


召使い「……はぁはぁ」

根暗「召使い君、大丈夫?」

―今は必要とされてなくても、若様や執事さんのようになれなくても

俺は俺としてお嬢様に認められる男になる……だから

召使い「今はこれで良い!!」

ポニテ「ほら、二人とも喋る元気があるなら走れ!!」

召使い根暗「ハイ! 教官!!」

270 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:43:16.82 iEjOMgQiO 179/656

【水魔島】
三編み(……あの島には何があるんだろう)カキカキ

お嬢「……あら、三編みさん。 絵を描かれるのね」

三編み「はい、美術部に所属してまして……コンクールに出品する作品をと……」

お嬢「ここからの景色は綺麗ですものね」

三編み「はい……とても」

お嬢「お邪魔して悪かったですわ」

三編み「邪魔なんて……他の皆さんは?」

お嬢「メイドは別荘の掃除、僕っ娘とポニテさんは薬の材料を探しにいかれました。」

お嬢「退屈ですわ。 三編みさん、描き終わったら一緒にお茶でもしませんこと?」

三編み「良いですよ。……あれ?男性陣は?」

お嬢「………………馬鹿をやりにいかれました」ハァ

271 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:44:04.35 iEjOMgQiO 180/656

【水魔島・内陸部】
根暗「番号! 1!!」

オタク「2!!」

秀才「3!!」

召使い「4!!」

根暗「これより、土中生物釣り上げ隊の活動を開始する!」

オタク(根暗があんなにもハキハキと)

根暗「今回の標的はツチノコだ!!」

オタク「ツチノコ……でござるか?」

召使い「あぁ、この島には多く分布しているんだ」

召使い(と、話した途端根暗が豹変したのには驚いたな)

秀才「ツチノコ……何時もの標的よりはかなり小さいな?」

根暗「故に今回は協力はしない! 各自、自分の持てる力の全てを使ってツチノコを釣り上げてくれ!!」

オタク「なるほど、つまりはツチノコ釣り対決ってことでござるな?」デュフフフ

秀才「俺が君達に負けるとは思えないが……」フッ

召使い「この島を知り尽くしている俺に挑むとは……ハンデは入らんのか?」

根暗「一番、大物を釣り上げた人は負けた人達に命令する権利を与えます!」

「「「勝つのは俺だ!!」」」

272 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:44:53.47 iEjOMgQiO 181/656

【水魔島・別荘内】
お嬢「ねぇ、馬鹿でしょ?」

三編み「えぇ、馬鹿みたいですが……皆さん、楽しそうで」クス

お嬢「あら、今の笑顔……誰を思って浮かべたのかしら?」

三編み「……へ?」

お嬢「恋する乙女の笑みに見えましたので」クス

三編み「こい?……ここここ、恋なんて! 別に根暗先輩のことなんて何とも思っていません!! 」

お嬢「あらあら、ベタな返しですわ」

三編み「あぅ……」

お嬢「確かに根暗さんは魅力的ですものね」

三編み「……弱いのに、とても強い方だと思います」

メイド「根暗が弱いね~……お嬢様、お茶をお持ちいたしました」

三編み「メ、メイド先輩……聞かれてたんですか?」

メイド「盗み聞きは使用人の仕事なんっすよ?」

メイド(……使用人じゃないのに盗み聞きしてる人もいるっすけどね)

ポニテ(薬の材料を一旦別荘に置きに来たら……聞いてしまった)コソコソ

ポニテ(妹と親友……どっちを応援したら良いんだよ!!)ウガー

273 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:45:48.17 iEjOMgQiO 182/656

【水魔島・内陸部】
秀才「……こんなものか?」

秀才(ツチノコはアルコールを好む習性がある。 流石に別荘にある高そうなワインを餌にすることは出来ないが……)

秀才「活性化魔術!」

果実「ドロドロ」

秀才(果実の糖に集まった酵母菌を活性化してアルコールを作らせれば誘き出せるだろう)

オタク「デュフフフ、イカ臭いでござる」ボオォ

オタク(ツチノコはスルメを焼く臭いが好きと聞いたことがある。 こうして、イカを焼いてればそのうち寄ってくるだろう)

召使い(と、言った感じに文献によるツチノコの知識を元に作戦を立てるだろう)

召使い(しかし、俺は知っている……ツチノコは実は……泳ぐのが好きなんだ)ドヤ

召使い(この時期なら、土の中より湖に浮いている可能性の方が高い)

ツチノコ「ツチー♪」プカーン

召使い「これは俺の一人勝ちだな」ニヤリ

274 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:47:15.11 iEjOMgQiO 183/656

根暗「……む、かかったか?」

触手「ニュルニュルニュルニュル」

スポンッ

ツチノコ「ツチー!」

根暗「ふふふ、大漁♪ 大漁♪」

ツチノコs「ツチー!」「ツチー……」「ツッチ!」

根暗「……一番大きいのだけ連れて帰って、後は逃がそうか」

275 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:48:49.69 iEjOMgQiO 184/656

僕っ娘「……何だあれは? 大量のツチノコが逆さ吊りにされている」

根暗「ん?……あっ、僕っ娘さん」ニコニコ

僕っ娘「やっぱり君か……こんなに大量に捕獲して」ヤレヤレ

根暗「後でちゃんと逃がすよ」

僕っ娘「ならば一匹僕にくれ……ツチノコの体液は魔法薬に使える」チョコン

根暗「い、良いよ」

根暗(……何で隣に座ったんだろ?)

僕っ娘(僕は何で隣に座っているんだろう?)ペタペタ

根暗(何で触れてくるんだろう)

僕っ娘(何で僕は彼に触れていたいんだろう……)

僕っ娘(僕は彼が好きなんだろう……でも、恐いんだ)

『惚れ薬の効果がきれてしまったのよ』

僕っ娘(この気持ちも……惚れ薬の効果のように何時か消えてしまうのでは無いかってね)ジッ

根暗「……どうしたの?」

僕っ娘(この気持ちは今だけのものかも知れない……なら、付き合ったって意味は無い……告白したって価値は無い)ジリッ

根暗「……僕っ娘さん、顔が近いよ?」

チュッ

(それなのに、僕はどうしてこんなことをしてしまったのだろうか?)

276 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:51:06.99 iEjOMgQiO 185/656

オタク「さて、今回のツチノコ釣り対決! 勝者は…………秀才!!」

秀才「Exactry! 俺だ!」

召使い「俺が、負けた……だと」

秀才「これは俺の予想なんだが……召使いは湖に浮いているツチノコを狙ったんじゃないか?」

召使い「」ギクッ

オタク「ツチノコが湖にいるでござるか?」

秀才「あまり知られてないが、ツチノコは自ら出る体液を洗い流す為に水に浸かるんだ……そうしないと体液が邪魔して皮膚呼吸が出来なくなるからね」

秀才「ただし、それは成長途中の未熟なツチノコだけにある習性だ。 成長しきったツチノコは体内の気袋という器官に空気を溜めることが出来るから水には浸からない」

召使い「そうだったのか……」

秀才「実体験に頼ることは悪くない……しかし、それと知識を組み合わせないと宝の持ち腐れだ」キリ

召使い「……くっ、完敗だな」

オタク「……それにしてもまさか」チラッ

根暗「」ポケー

オタク「根暗が手ぶらで帰ってくるとは思わなかったでござる」

秀才「さて、何をしてもらおうかな?」ククク

277 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:52:27.10 iEjOMgQiO 186/656

【水魔島・別荘】
僕っ娘「……」ズーン

ポニテ「……あんた、布団に潜り込んで何やってんの?」

僕っ娘「また……やってしまった。 根暗に……」ズーン

ポニテ「何やったの? 逆レイp」

僕っ娘「違うよ!!」ガバッ

ポニテ「うわっ! びっくりした」

僕っ娘「そんなことじゃなくて……き、キスしてしまった」

僕っ娘「根暗に媚薬を飲ませて襲ったのは知的好奇心だった。 男に媚薬を飲ませたらどうなるかって程度のね」

僕っ娘「でも、今回のは違う……僕は……僕は……」

ポニテ「僕っ娘……付き合っても無いのにいきなりキスするなんて卑怯だよ」

僕っ娘「……へ?」

ポニテ「あんたが恋愛下手なのは知ってる……でもね、物事には順序っていうのがあるんじゃない?」

僕っ娘「いきなり、どうしたんだ? 君は何時もはそんなこと言わないじゃないか」

ポニテ「何よ? 思ったこと言って悪い?」

ポニテ(根暗が妹の想い人だと思うと)

ポニテ「両親が離婚したからって言うのを理由に逃げてるだけでしょ!」

僕っ娘「!?」ダンッ

ポニテ「……」

僕っ娘「き、君だけには……そんな言われ方をされたくなかった」ポロポロ

ポニテ「……」

僕っ娘「……」ダッ

ポニテ(……私もこんなこと言いたくなかったのに)

278 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 00:54:52.00 iEjOMgQiO 187/656

根暗「」ナデナデ

ツチノコ「ツチ~♪」

オタク「あれからずっとツチノコを撫で続けてるでござるな」

召使い「何かあったのだろうか?」

秀才「ふっ、どうやら……ここは俺の出番のようだな」

オタク「何か策があるのか、秀才?」

秀才「俺に策が無かった時があったか?」

召使い「これは頼りになる。 で、その策とは?」

秀才「……ツチノコ釣り対決の勝者として命じる」

オタク召使い「……はぁ?」

秀才「二人でショートコントをして根暗を笑わして来い」

オタク召使い「はぁ!?」

279 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:05:49.41 iEjOMgQiO 188/656

根暗「」ナデナデ

オタク召使い「ショートコント! ツチノコ釣り」

オタク「あぁ、全然ツチノコ釣れないな! 全然ツチノコ釣れないな!」

召使い「良いですか、若様? ツチノコ釣りのコツは足の裏に神経を集中して土が盛り上がってるところを探すんです」

オタク「それ、タケノコ狩りのコツやないかーい!」

お嬢「うわぁ……ですわ」

メイド「見てる方が罰ゲームっすね」


根暗「」ナデナデ
オタク「」ナデナデ
召使い「」ナデナデ

秀才「……くっ、こうなったら」

秀才「時が解決してくれるのを待とう!!」キリッ

280 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:07:30.70 iEjOMgQiO 189/656

秀才(しかし、気になるのは召使いやお嬢さんがたまにオタクを若様と呼ぶことだな……)

秀才(様付けで呼ぶと言うことは、オタクにはある程度の地位があるということか?)

秀才(病院での事件の時も何か知っているようだったし……ふむ)

メイド「……秀才、世の中には関わらない方が良いことがあるっすよ?」

秀才「……悪いな、根暗とオタクが関与している時点で俺に無関係ではないんだ」

メイド「根暗とオタクが何者かも知らないくせによく言えるっすね」

秀才「何者か? ……それは知っている」

秀才「俺の友人だ……大切な友人なんだ」ニコ

僕っ娘「…………友人か」ボソッ

281 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:08:18.15 iEjOMgQiO 190/656

『あんた、また本読んでるの?』

『あんたが調合してくれた痛み止の薬、すごい効いた!ありがとう!』

『こんな時間まで薬の研究? 家に帰りたくない? ……はぁ、じゃあどっか寄ってく?』

『僕っ娘! この前見つけたクレープ屋行こうよ! どうせ、今日も家に帰りたくないんでしょ?』

僕っ娘(両親が離婚して、家に帰りたくなくて、放課後毎日のように理科室に籠ってた)

僕っ娘(そんな僕を気遣って、何も聞かずに遊びに連れていってくれたのは……彼女だったな)

283 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:09:46.49 iEjOMgQiO 191/656

ポニテ「……」

三編み「お姉ちゃん、何かあったの?」

ポニテ「何でもな……いや、僕っ娘と喧嘩した」

三編み「何だ……そんなことか」ホッ

ポニテ「そんなことって……」

三編み「だって、どうせ仲直りするんでしょ?」

三編み「お姉ちゃんと僕っ娘さんは親友なんだから」

ポニテ「……なら、早い方が良いわね」ダッ

284 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:11:47.39 iEjOMgQiO 192/656

僕っ娘(冷静に考えれば、ポニテの言う通りだ……僕は両親の離婚を理由に逃げていただけだ)

僕っ娘(恋心から逃げてる癖に……根暗を求めるなんて確かに……卑怯だな)

僕っ娘ーーーー!!ダダダダダ

僕っ娘ーーーーーーー!!ダダダダダダ

僕っ娘ーーーーーーーーーー!!ダダダダダダ

ガチャ

ポニテ「はぁはぁ……」

僕っ娘「ポニテ……その、さっきは感情的になって……その……」

チュッ

僕っ娘「!?」

ポニテ「っぷは。 ……ね、いきなりキスされたら困るでしょ?」ニコ

僕っ娘「…………君ってやつは」

285 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 01:12:16.71 iEjOMgQiO 193/656

根暗「」ナデナデ
オタク「」ナデナデ
召使い「」ナデナデ

秀才「君たちは何時までそうしているつもりなんだい?」

290 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:36:50.96 d/gBDf3CO 194/656

【水魔島・別荘】
ポニテ「……眠い」

ポニテ(昨日はテンションが上がって、僕っ娘と徹夜で話してしまった)

僕っ娘『ちゃんと逃げずに向き合うよ、根暗と!』

ポニテ(と言っていたが……三編みに悪いことしちゃったな)ハァ

お嬢「あら、ポニテさん……今起きられたの?」

ポニテ「おはよう……皆は?」

お嬢「メイドと召使いは花火の買い出しに行きましたわ」

ポニテ「あぁ、今晩やるんだっけ?」

お嬢「えぇ、楽しみですわね」

ポニテ「三編みはどうせ絵を描きに行ってるとして……他の3人は?」

お嬢「根暗さんを追いかけてますわ」

ポニテ「はぁ?」

お嬢「追いかけてらっしゃるの」

291 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:39:31.47 d/gBDf3CO 195/656

【先刻・別荘】
僕っ娘「おはよう」ファア

お嬢「あらあら、大きな欠伸ですこと」

僕っ娘「昨晩はポニテと夜通し語り合っていてね」

お嬢「……私も呼んでくだされば良かったのに」ズーン

僕っ娘「ご、ごめん……それより、根暗を知らないか?」

お嬢「最近、人の居場所ばかり聞かれてる気がしますわね」

お嬢「根暗さんなら、広間にいらっしゃいますわ」

僕っ娘「ありがとう」

292 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:40:02.09 d/gBDf3CO 196/656

【別荘・広間】
オタク「~♪」ダンス
秀才「~♪」ダンス

根暗「……」ナデナデ

オタク「~♪」モットダンス
秀才「~♪」モットダンス

根暗「……」ナデナデ


オタク「~♪」スゴイダンス
秀才「~♪」スゴイダンス

根暗「……」ナデナデ

ツチノコ「ツチー♪」

オタク「……はぁはぁ、駄目でござるな」

秀才「万策尽きたな……根暗、本当に何があったんだ」

根暗「……」ポケー

お嬢「何をしてますの?」

オタク「あぁ、お嬢か? 根暗が中々正気に戻らないから色々試してたんだ」

秀才「クッ、俺の躍りにもっとキレがあれば……」

お嬢「秀才さんのことを賢いと思っていた私が愚かでしたわ」

オタク「こうなったら最終手段でござる! 僕っ娘殿!!」

僕っ娘「な、何だい?」

オタク「根暗に熱いキッスをするでござるよ!!」バーン

僕っ娘「なっ!?」
根暗「!?」///

秀才「なるほど、白雪姫の如く根暗も甦るかも知れないな」

お嬢「根暗さんは別に仮死状態ではありませんわよ?」

オタク「細かいことはこの際ナッシングでござる! 大抵の物語はキスしてりゃあ解決するでござるよ!」

僕っ娘「……根暗、話したい事があるんだが」

根暗「あの、えっと……ごめん!」ダッ

僕っ娘「」

オタク「根暗が逃げたでござる」

僕っ娘「……ごめんって何だよ」ボソッ

僕っ娘「ごめんって何だよ!! ふるにしたってもっとちゃんとふってくれ!!」

僕っ娘「オタク! 秀才! 捕まえるぞ!!」

オタク「いつぞやの逆でござるな」

秀才「はぁ、状況が変わっただけでも良しとしよう」ヤレヤレ

293 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:42:15.62 d/gBDf3CO 197/656

【現在・水魔島・森】
オタク「はぁはぁ……厄介でござるな」

秀才「あぁ、まるで猿だ」

根暗「……」プラーン

オタク(尻尾のように触手を生やして、木に登り逃げ回るとは……)

オタク「秀才! 策は無いでござるか?」

秀才「正直、お手上げだ。 広い森の中を尻尾触手を駆使して立体的に逃げているからな」

秀才「根暗は予想以上に森に慣れている」

オタク「……森の中で暮らしていたからな」ボソッ

秀才「……?」

オタク「何でもないでござる」

294 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:43:09.80 d/gBDf3CO 198/656

僕っ娘「……見失ってしまったか」フゥ

『……ごめん!』

僕っ娘「ははは、ふられたと言うのに僕は何故追いかけてるんだか……しつこい女は嫌われるだろうに」

僕っ娘「ははは……はは……」ポロポロ

ポニテ「何を勝手に諦めてんの?」

お嬢「ポニテさんに聞きましたわ……まだ、ちゃんと告白はしていないのでしょ?」

僕っ娘「……二人とも」

ポニテ「根暗は私達が捕まえる」

お嬢「だから、僕っ娘。 貴女は安心して言いたいことをまとめていたらいいんですわ」オーホッホッホッ

295 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:44:17.33 d/gBDf3CO 199/656

オタク「見失なったでござるな」ハァハァ

秀才「あぁ、誘き出す手を考えるか」

オタク「……うーむ」

秀才「……なぁ、オタク」

オタク「何でござるか?」

秀才「根暗は僕っ娘のことどう思ってるのだろうか?」

オタク「……解らないでござる」

秀才「……はぁ、丸く収まれば良いんだが」

296 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:45:35.43 d/gBDf3CO 200/656

三編み(……もう少しで描き終える。 ふふ、コンクールに出す前にお嬢先輩にお見せしよう)

ガサガサガサ

三編み「……ひっ」ビクッ

三編み(熊とかだったらどうしよう……)ビクビク

根暗「……あっ」ヒョコ

三編み「……根暗先輩!」///

根暗「ど、ども」ニョロニョロ

三編み「はい……どうも」

三編み(尻尾みたいなのが生えてる……)カワイイカモ

297 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:48:15.96 d/gBDf3CO 201/656

女?「さ~て、誰を人質にしようかしら♪」

男?「……」ブスー

女?「ちょっと、あんたも真面目に考えなさいよ」プンプン

男?「だってよ……一級危険魔術家なんて言われて期待してたのによ」

男?「どっから見ても雑魚じゃねぇか。 楽しめそうにねぇ」ハァ

女?「この戦闘馬鹿め! とりあえず、確実に根暗君を誘い出せる人質を捕まえるわよ。 怒られたく無いでしょ?」

「風魔術家の後継ぎ様にね」クス

298 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:49:29.06 d/gBDf3CO 202/656

三編み「私で良かったら、話を聞きますよ」

根暗「へ?」

三編み「先輩に相談にのってもらったお礼です。」

根暗「お礼なんて……僕は君に酷いことを……」

三編み「姉が私を頼ってくれるようになりました。 それだけで十分ですよ」ニコ

根暗「……実はね、好きな人がいるんだ」

三編み「そうなんですか」

299 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:50:13.41 d/gBDf3CO 203/656

『オタク君には秘密にしてくれ。 何、気が付かない方が悪いんだ』

最初は凄くムカついた

『一族が代々引き継いできた秘伝薬を……守らないとね』

次に気高い人だと思った

『ねぇ、君 ……息が荒いよ?』

少し変態だと思った

『彼女には……惚れ薬を渡してはいけない』

それでも優しい人だと解ってるから

根暗『……彼女は傷付けさせない』

いつの間に僕は……彼女を守りたいと思っていたんだ

『だって君は、本当は……全部嘘だなんて思ってないのだから』

そんな彼女が僕のことをしっかり見ていてくれたのが嬉しくて

根暗『ありがとう。 僕は……君のこと、好きだ』

告白したんだけど……

300 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:51:32.36 d/gBDf3CO 204/656

根暗「……返事が貰えなくて」

三編み「……」グッ

根暗「三編みさん、大丈夫?」

三編み「それは……もう、ふられたってことじゃないですか?」

根暗「そう思ってたんだけど……昨日、その……いきなりキスされて」

三編み「…………」ポロポロ

根暗「み、三編みさん!?」アセアセ

ガサガサガサ

ポニテ「根暗……あんた、人の妹泣かしてんじゃないわよ!」

根暗「ひぃっ!」

ポニテ「無傷で僕っ娘のところまで連れていくつもりだったけど……気が変わった」

ポニテ「二、三十発殴ってから連れていく」ゴゴゴゴゴ

ザッ

三編み「先輩! ここは任せてください!!」

根暗「三編みさん?」

三編み「根暗先輩はちゃんともう一回告白するべきです。 お姉ちゃんは私が食い止めるから……早く」

根暗「三編みさん……ありがとう!」ダッ

ポニテ「……あんた、馬鹿ね」

三編み「好きな人には笑ってて欲しいんだもん」ダー

301 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:52:20.72 d/gBDf3CO 205/656

【水魔島・別荘】
根暗「……はぁはぁ」

お嬢「貴方は次に僕っ娘さんの場所を尋ねますわ」

根暗「僕っ娘はどこ……はっ!」

お嬢「オーホッホッホッ、どうせ私は誰が何処にいるか教える係りですわよ」フンッ

根暗「そんな、意地悪言わないで」

お嬢「だって、貴方は私の友人を傷付けたんですもの」プイッ

根暗「……彼女にちゃんと伝えたいことがあるんだ。」

お嬢「…………はぁ、僕っ娘は岬で待ってますわ」

根暗「ありがとう!」

302 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:55:17.45 d/gBDf3CO 206/656

ガチャ

召使い「ただいま、戻りました」

メイド「疲れたっす……へぇ」

お嬢「あら、ちょうど良いところに」

お嬢「オーホッホッホッ、愛の告白を盛り上げますわよ!!」

メイド「……暑さでで頭がやられたっすか?」

召使い(お嬢様がオタク様にじゃないよな)オドオド

303 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 21:56:30.54 d/gBDf3CO 207/656

【水魔島・岬】
僕っ娘「……僕から話して良いかな?」

根暗「……うん」

僕っ娘「……僕はね、君が好きらしい」

僕っ娘「何時から好きなのかは正直解らない」

僕っ娘「何時まで好きでいられるのかも解らない……惚れ薬のように何時かこの気持ちが無くなってしまうかも知れない」

僕っ娘「それでも君が好きだ!」

根暗「……」

僕っ娘「君が僕のことを好きって言ったのが、友達としてというのは解っていr」ギュウ

根暗「……勘違いしてる」

僕っ娘「なっ、君はいきなり……何を……」

根暗「僕が僕っ娘を好きと言ったのはね」

ヒューーーー ドン!!

304 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 22:01:13.03 d/gBDf3CO 208/656

お嬢「フフフ、友達の告白を応援する為に打上花火を上げる……青春ですわ」オーホッホッホッ

メイド「お嬢、逆に邪魔じゃないっすか?」

召使い(お嬢様が告白する訳じゃなくて良かった)

ヒューーーー ドン!!

三編み「たまやーーーー!!」

ポニテ「急に大きな声だして……びっくりするじゃない」

三編み「ひぐっ……えっぐ……たまやーーーーーー!!」

ポニテ(この娘……こんなに強かったんだ)ナデナデ

305 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 22:03:06.45 d/gBDf3CO 209/656

オタク「節介でござるな……先に花火始めたでござるよ」

オタク「一旦、別荘に戻ろうぞ。 秀才」

秀才「…………オタク、何か聞こえないか?」

オタク「……?」

秀才(激しい風の音が聞こえたような気が……)

306 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/26 22:04:45.66 d/gBDf3CO 210/656

「キャー、愛の告白を聞いちゃったわ! 流石の私でもこれは照れてしまう」

放送部長「そんなにこの娘のこと大切なんだ」

僕っ娘「」グッタリ

根暗「僕っ娘を返せ……」

放送部長「ごめんなさいね、ご主人様の命令なの☆」

根暗「僕っ娘を返せ!!」ニョロンニョロンニョロンニョロン

放送部長「なっ! こんなに大量の触手を出せるなんて聞いてないわよ!! 」アセ

放送部長「風乗魔術!!」ビューン

根暗(僕っ娘と放送部長が浮いた? ……でも)

根暗「逃がさない!!」ニョロンニョロンニョロンニョロン!!

ザンッ

根暗(触手が全部斬られた!)

「良いねぇ。 見た感じ雑魚かと思ったが……久し振りに疼いちまったよ」

風来坊「……よう、にいちゃん」

風来坊「ド派手に殺し合わないかい?」ニカッ

根暗(何だ、この大きな団扇を持った大男は……)

放送部長「風来坊……私達の命令は人質を連れて帰ることよ」

風来坊「良いじゃねぇか……少しぐらいよ」

根暗「……逃がさないって行ってるだろ?」ギロリ

風来坊(くぅ~、良い殺気だ)ウズウズ

放送部長「根暗君、可愛い彼女を救いたかったら、あの島まで来なさい」

放送部長「私達のご主人様が用があるのはあ・な・た! ……ちゃんと来たら彼女に被害は加えないわ」

風来坊「じゃあな! 根暗! 絶対来いよ!! 待ってるからな!!」ビューン

根暗「待て! 返せ!!」

根暗「僕っ娘!!!!」

311 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:16:31.87 CMGjtfZ0O 211/656

【とある島・屋敷寝室】
僕っ娘「……ここは何処だ?」ウトウト

僕っ娘「確か……昨日、僕は……」

『僕が僕っ娘を好きと言ったのはね』

僕っ娘「うにゃ~~~! そうだ! 両想いだったんだ!!」バタバタ

放送部長「それよりも、思い出さないといけないことがあるんじゃないの?」ハァ

僕っ娘「なっ!部屋に入るときはノックぐらい……貴女は3年の放送部長さん?」

放送部長「そう! 歌って踊れる学園アイドルこと放送部長よ☆」ウィンク

僕っ娘「……うわぁ」

放送部長「その反応は流石に傷付くわ」

僕っ娘「それで、その学園アイドルが何で僕を誘拐なんてしたんです?」ジトー

放送部長「誘拐された自覚があるなら、もう少し取り乱して欲しいわね」

僕っ娘「……根暗が助けに来てくれますからね。 取り乱すだけ無駄です」

放送部長「……朝御飯を用意したわ。 事情は食べながら説明して上げる」

【船の上】
根暗「……」

召使い「根暗……もうすぐ、島に上陸出来る」

根暗「うん……召使い君……ありがとう」

312 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:17:06.86 CMGjtfZ0O 212/656

【昨晩・別荘前】
根暗「はぁはぁ……皆」

オタク「……根暗」

お嬢「事情は解っておりますわ」

根暗「え?」

お嬢「先程、これが届きましたの」つ手紙

手紙≪人質を返して欲しければ、根暗一人で我々がいる島に来い 風魔術家後継ぎより≫

秀才「風魔術家の後継ぎが根暗に一体何の用があるんだ」ギリ

オタク「……」

根暗「行ってくる……」

メイド「今から行くつもりっすか?」

根暗「……止めないで」

メイド「風魔術家の後継ぎ様は女性っす。 急がなくてもエロい展開は無いっすよ」

根暗「メイドさん……今、ふざけてる場合じゃ」

メイド「こんな暗い中、海を渡って相手の島に乗り込むのは危険っす」

メイド「守りたいんでしょ?」ジッ

根暗「……解った」

召使い「船の準備をしておく、一緒に戦えないんだ……せめて送らせてくれ」

根暗「ありがとう……」

ポニテ(……僕っ娘)

313 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:17:35.65 CMGjtfZ0O 213/656

【現代・とある島・屋敷食卓】
僕っ娘【2-Cの生徒。 魔法薬研究会会長。 魔法薬の研究をしている一族出身】モキュモキュ

放送部長【3-Dの生徒。 自称学園アイドルの放送部部長。 代々風魔術家の世話係りを務めてきた家系の出身】

丸眼鏡【1-Aの女子生徒。 占術を扱う一族の出身と名乗っているが、風魔術家の後継ぎ。】モキュモキュ

放送部長「ご主人様、風来坊は?」

丸眼鏡「何処かに行った」

放送部長「またですか? 困ったものですね」

丸眼鏡「問題ない。 有事には帰ってくる」

僕っ娘「……そろそろ、僕が拐われた理由を話してくれないか」

丸眼鏡「……その前に謝罪したい。 この度は巻き込んでしまい、すまない」

僕っ娘「……」

丸眼鏡「……標的にとって君が一番大切な存在と判断した」

放送部長「根暗君を誘い出すには貴女を拐うのが一番良いと思ったのよ」

僕っ娘「なっ……それは否定できないな、何せ僕達は両想いの仲だからな」///

丸眼鏡「話を続ける。 私達には触手魔術の危険性を測る必要性がある」

僕っ娘「何のために?」

丸眼鏡「次世代会議のため……」

314 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:18:36.10 CMGjtfZ0O 214/656

【水魔島・別荘】
お嬢「若様、風魔術家の目的は……」

オタク「恐らく、次世代会議の準備だろう」

メイド「次世代会議……てなんっすか?」

お嬢「メイドには話していませんでしたね」

オタク「次世代会議……四大元素家の後継ぎが集り、魔術社会の次なる方針を決める会議だ」

お嬢「会議の議題は魔術関連機関の改善、魔術犯罪の防止について……他にも色々ございますが」

オタク「一級危険魔術家への対処も議題にあるんだよ」

メイド「それで、根暗の危険性を測るために僕っ娘を誘拐したってことっすね」フム

オタク(何故、根暗だけなんだ? この島にはもう一人一級危険魔術家の者がいるというのに)チラ

メイド「なんっすか?」

コソコソ
秀才(……根暗が一級危険魔術家?)

315 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:19:04.03 CMGjtfZ0O 215/656

【とある島・屋敷食卓】
僕っ娘「……なるほど、色々質問したいことはあるが納得しておこう」

丸眼鏡「理解してくれて感謝する」

丸眼鏡「……巻き込んだ詫びだ。 聞きたいことには出来る範囲で答えよう」

僕っ娘「ん? そうか。 じゃあ、何で根暗なんだ?」

僕っ娘「一級危険魔術家は根暗の触手魔術家だけじゃないんだろ?」

丸眼鏡「……私は風読み術という占術が使える」

僕っ娘「風読み術?」

放送部長「物事の成り行き、行き着く方向性を占う魔術よ」

僕っ娘「なるほど、それでその術がどうしたんだい?」

丸眼鏡「根暗の将来を占った結果……彼は一級危険魔術家で」

「魔術社会を崩壊させる可能性がもっとも高い事が解った」

316 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:19:34.44 CMGjtfZ0O 216/656

【とある島・岬】
風来坊「……来たか」ニタ

【とある島・屋敷食卓】
丸眼鏡「……来た」

僕っ娘「何故、解る? それも風読み魔術か?」

丸眼鏡「似たようなもの。 風が私に教えてくれた」

僕っ娘(……ただの中二病じゃないよな?)

僕っ娘「それで、根暗をどうするつもりだい? 危険性を測ると言っても身体測定する訳じゃないんだろ?」

丸眼鏡「全力で戦っているところをみて判断する」

僕っ娘「全力を出させるほどの相手がいるのかな?」フフン

丸眼鏡「いる」

317 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:23:54.90 CMGjtfZ0O 217/656

【とある島・海岸】
根暗「……」ザッザッザッ

根暗「……」ピタッ

風来坊「よぉ! 会いたかったぜ」

ニョロン! ニョロン! ニョロン!ニョロン!

風来坊「おいおい、挨拶も無しかよ? いきなり手足ふん縛られるとは」

根暗「……僕は君に用はない」ニョロン シャキン

風来坊(先が刺みたいになってる触手? 触手には種類があるのか)ホウ

風来坊「感心している場合じゃないわな……ふん!!」スポンスポンスポンスポン

根暗(触手を引き抜いた!?)

風来坊「オラァ! 」ザンッ

風来坊「……おぉ、刺の部分は結構固いんだな? 斬れないわけじゃねぇが」ニカッ

風来坊「自己紹介が遅れたな……俺は風来坊。 魔術学園3-Bの生徒で……風魔術家の用心棒みたいなもんだな」

風来坊「お前も名乗れよ、一級危険魔術家さんよ」

根暗「……2-B組の根暗。 別に一級危険魔術家として来たわけじゃない」

根暗「ただ、好きな人を助けに来ただけだ」ニュルン

風来坊「良い名乗りだ!!」

風来坊(今度は触手を鞭として使ってきやがったが……案外攻め手が多いな)

根暗(怪力と大団扇が厄介だな……触手を容易く斬るとは)クッ

318 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:24:50.85 CMGjtfZ0O 218/656

【とある島・屋敷食卓】
水晶≪ただ、好きな人を助けに来ただけだ≫

僕っ娘「なぁ! これ録音出来ないのか? 録画出来ないのか!?」

丸眼鏡「勿論、記録している」

僕っ娘「僕にも分けてくれ!!」

丸眼鏡「かまわんが……どうして?」

放送部長「乙女心ってやつですよ、ご主人様! いいなー、私も言われてみたい」キャー

僕っ娘「ふふふ、根暗は普段はオドオドしているが不意にあぁいうことを言ってくるからな」

丸眼鏡「……私には解らん」フム

319 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:25:48.97 CMGjtfZ0O 219/656

【とある島・海岸】
風来坊(2本の触手で素早く鞭打ちか……確かに厄介だが、目が馴れた斬れるな!)ザンザン

根暗「……くっ!」

風来坊「そして、お前は手を地面に着いたままと……終わらせて貰うぜ?」

ニュルン ギュッ

風来坊「……なっ!?」

根暗「上手くいったよ……秀才」

320 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:26:19.97 CMGjtfZ0O 220/656

【船出前・水魔島】
秀才「根暗……これを受け取ってくれないか?」ウトウト

根暗「秀才……これは?」

秀才「俺が考えられる限りの触手魔術を用いた戦術だ。 役に立たないかも知れないが……」

根暗「ありがとう……目の下、凄いクマだよ?」クス

秀才「ついてはいけないが……お前は一人で闘ってるわけじゃない」

秀才「お前の戦いは俺の戦いだ」ニコ

321 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:26:54.26 CMGjtfZ0O 221/656

【現在・とある島・海岸】
根暗(鞭打ち攻撃で相手の意識を前に向けさせ、後からこっそり生やした触手で首を締める)

根暗(これなら……いける)グッ

風来坊「今、勝った気になったろ?」ポイッ

根暗(大団扇を捨てた?)

風来坊「面白かったぜ、根暗よ。 だから、特別に本気出してやるよ」

風来坊「―獣化魔術」

322 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:27:37.24 CMGjtfZ0O 222/656

根暗(頭がグルングルンと回る)

根暗(意識が定まらない……)

根暗(風来坊がいきなり熊のような姿に変わって、首に巻き付いた触手を引き抜いた……)

根暗(地面に手を着いた僕に突進して来て……その後、どうなったんだっけ?)

ドサン

323 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:28:20.13 CMGjtfZ0O 223/656

【とある島・屋敷食卓】
放送部長「……エグい。 熊化してる風来坊の突進顔面に食らったわね」

丸眼鏡「2メートルほど吹き飛ばされたか」

僕っ娘「根暗……根暗!!」

丸眼鏡「……この程度ならば危険視するほどでも無い」

僕っ娘「何だよそれ……君達の勝手な事情で戦わされて……死んだらどうするんだ」

丸眼鏡「……その場合は誠心誠意の謝罪と必要限の損害賠償を」

僕っ娘「ふざけるな! 人の命と魔術社会……どっちが大切なんだ!!」

丸眼鏡「魔術社会に決まっている」キッパリ

放送部長(……)

324 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:28:54.53 CMGjtfZ0O 224/656

【とある島・海岸】
風来坊「生きてるか? 死んでるか?」

根暗「」

風来坊「……思ったよりは楽しめたぜ? 思ったよりはな」

風来坊「あばよ」

「待て」

根暗「返せ……僕っ娘を返せ……」

根暗「僕っ娘を返せ……」

風来坊「……これ以上やるなら、本当に殺しちまうぜ?」

根暗「返せ……返せ……返せ……返せ……」

風来坊「聞いちゃいねぇk ……」ゾクッ

根暗「僕っ娘を返せ」

風来坊「何だよ……その姿は……」

325 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:29:23.71 CMGjtfZ0O 225/656

―昔、一人の触手魔術師によって世界は征服されそうになった

その魔術師は額より触手の刺を鬼の角のように生やし

背中から左右に4本ずつ腕のような触手を生やし

腰から尾のような触手を生やし、何千人という魔術師を相手に虐殺の限りを尽くした

その姿に恐れをなした人々は彼をこう呼んだ

―触手鬼

326 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/27 21:30:12.80 CMGjtfZ0O 226/656

風来坊「」

根暗「僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ」

タッタッタッタッタッタッ

僕っ娘「止めろ!」ギュッ

根暗「僕っ娘……」

僕っ娘「やり過ぎだ……殺しちゃ駄目だ……」

根暗「僕っ娘……無事で良かった…………もう離さない」ギュッ

僕っ娘「」ゾクッ

根暗「……」スー スー

僕っ娘(気を失ったか)

僕っ娘「なぁ……君は僕が止めなかったら」

「本当に殺すつもりだったのかい?」

335 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:16:01.17 HA/0qw/wO 227/656

根暗「僕っ娘……好きだよ」

―あぁ、僕も君が好きだ

根暗「だから、君をもう離さない」

―え?

根暗「離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない」

ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン

336 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:16:41.16 HA/0qw/wO 228/656

【水魔島・別荘】
僕っ娘「うわぁ!! ……夢か」ハァハァ

僕っ娘(あれから一週間経ったが……同じ夢ばかり見てしまう)

僕っ娘(根暗は……僕のことを懸命に助けようとしてくれたのに)

僕っ娘(……僕は彼を恐がっている)

僕っ娘「顔洗って来よう……」

僕っ娘「……」ピチャピチャ

僕っ娘(タオル、タオル……)ゴソゴソ

丸眼鏡「はい、タオル」つタオル

僕っ娘「あぁ、ありがとう」

僕っ娘「……」

丸眼鏡「……」

僕っ娘「何でいるんだい!?」

337 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:17:20.01 HA/0qw/wO 229/656

【水魔島・森の中】
根暗「……はぁ」

根暗(あれから、僕っ娘と少しぎこちなくなってしまった)

根暗(僕っ娘を奪われたくないと思ったら……頭が熱くなって……)

根暗(というより、風来坊先輩、大丈夫かな? 良く覚えて無いんだけどこ、こここ、殺して無いよね)オドオド

風来坊「よぉ!」

根暗(イキテター!)ビクッ

根暗「ふ、ふふふ、風来坊先輩、その先日は、あの、頭に血が登ってですね」アタフタ

風来坊「呼び捨てで良いよ。 殺り合った仲だろ?」ニカ

風来坊「それよりも、根暗」

風来坊「もう一回」

風来坊「や ら な い か ?」

根暗「……」ガクブル

338 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:18:07.55 HA/0qw/wO 230/656

【水魔島・別荘食卓】
お嬢召使いメイド「……」ポカーン

放送部長「何これ、美味しい! 朝からこんなに美味しいもの食べてるのあんた達? 三編みさん、おかわり!!」

三編み「は、はい……」

お嬢「……放送部長先輩?」

放送部長「はぁい! そうよ! 歌って踊って、勝手に朝御飯を食べちゃったりもするドジッ娘学園アイドル……放送部長よ☆」ウィンク

オタク「うぉぉおお! 放送部長タソ!! 放送部長タソ!!」キタコレ

お嬢「若様!?」

秀才「皆、おはよう……あれ?何この状況?」

ドダバタドダバタ

僕っ娘「敵襲ーーーー!!」

丸眼鏡「敵のつもりも襲うつもり無い」

ドダバタドダバタ

根暗「ほほほほ、掘られる!!」

風来坊「掘らねぇよ」

メイド「第2のホモが現れたっすね」

オタク「第1のホモは俺じゃないよな?」

ドンチャン カッテニタベルナ ギャーギャー ホラレルー ワーワー

ポニテ「皆、おはよう。……何この状況?」

秀才「悪い、俺にも解らない」

339 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:19:44.47 HA/0qw/wO 231/656

【水魔島・別荘食卓】
お嬢「……お詫びをしに来た?」

丸眼鏡「あぁ、君達の貴重な夏休みを1日奪ってしまってすまなかった」

ポニテ「何で、そのお詫びが森で根暗を強姦未遂して、朝飯を強奪するになるのよ」

風来坊「してねぇよ」

放送部長「肝試しの準備で忙しくて、ちゃんとご飯食べてなかったのよ」ゴメーンネ☆

オタク「肝試しでござるか?」

丸眼鏡「あぁ、楽しみを奪ったお詫びに準備させていただいた。 良ければ参加してほしい」

召使い「貴様らのことなど信用出来るわけが」

お嬢「良いですわよ」

召使い「なっ! お嬢様!?」

お嬢「ただし……僕っ娘がかまわないなら」

僕っ娘「……良いよ。 彼等は嘘をつくようなことはしないだろうからね」

丸眼鏡「ありがとう。 では、前回の島で今晩待っている」

僕っ娘「……ところで森を何してたんだい?」

根暗「あの、これ……次の薬の素材……足りないって言ってたから」つ花

僕っ娘「なっ!? 全く君は! そういうところだぞ!! そういうところだぞ!!」///

ポニテ(そういうところが好きなのね)クス

オタク(何時もの調子に戻ってきたな)

340 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:20:34.69 HA/0qw/wO 232/656

【とある島・海岸】
放送部長「はっあーい☆ 司会進行を務める放送部長よ」ウィンク

放送部長「今回は二人一組に分かれて、島の中央にあるお屋敷に向かってもらうわ」キラッ

ポニテ(テンション高いわね)

僕っ娘(頑張って準備したんだろうな)

放送部長「屋敷に着くのが一番遅かった組には……罰ゲームが待ってます♪」

秀才「罰ゲームか……これは負けるわけにはいかないな、根暗!」

僕っ娘「君は勿論、僕と組むよな?」
根暗「うん」

秀才「負けるわけにはいかないな、オタク!」

お嬢「若様、組みませんこと?」
オタク「あぁ、話したいこともあるしな」

秀才「召使い!」

召使い「俺は今回は不参加で」ブルブル
メイド「何びびってんすか? さっさと行くっすよ」

ポニテ(オタクが取られた……)ズーン
三編み「お、お姉ちゃん、 商品目指して頑張ろう!」

秀才「ペアがいないんだが」

放送部長「ガンバッ!」

秀才「いや、ガンバッじゃなくてd」

放送部長「それでは肝試しスタートです♪」

341 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:21:09.65 HA/0qw/wO 233/656

【とある島・メイド&召使いペア】
メイド「不気味っすね……幽霊とかいそうっすね」ニシシ

召使い「幽霊とか言うな! せめておばけと言え!」

メイド「相変わらずそう言うの苦手っすね。 おばけとか幽霊とかゾンビとか怨霊とか」

召使い「止めろ! 言うなってば」

メイド「化け物も……苦手っすか?」

召使い「……あぁ、苦手だ」

メイド「じゃあ、私も苦手ってことっすね~」ニシシ

召使い「お前は化け物じゃないだろ?」

メイド「一級危険魔術家なんて皆化け物みたいなもんっすよ」

召使い「……一級危険魔術家だとか知るか。 お前は俺の同僚だ」

召使い「一緒にお嬢様に仕えて、お嬢様をお守りする仲間だ」

召使い「怖がるわけがないだろ?」ニッ

メイド「そうっすか。 ……ところで召使い」

召使い「……何だ?」

メイド「足元に死体があるっすよ?」

召使い「~~!!」

死体「うぅ……」モゾモゾ

メイド「おぉ、死体が動いたっす」

召使い「」キゼツ

342 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:21:46.38 HA/0qw/wO 234/656

【とある島・根暗&僕っ娘ペア】
僕っ娘「根暗、彼処の木の実も取れるか?」

根暗「う、うん、任せて」ニョロン

僕っ娘「水魔島も素材が多かったが、この島にも珍しい素材が多いな」

僕っ娘「むっ! 根暗、次はあの苔だ! あの苔を取ってくれ!!」キャッキャッ

根暗(……可愛いな)

死体「うぅ……」モゾモゾ

根暗「邪魔をするな」ニョロン ボキッ

死/体「」ドサドサ

僕っ娘「根暗、遅いぞ! 早く取ってくれ」

根暗「ごめん、今採取するね」

343 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:22:35.86 HA/0qw/wO 235/656

【とある島・ポニテ&三編みペア】
ポニテ「ギャー! グロい! キモい! キモい! グロい! ギャーーーー!!」

三編み「お姉ちゃん、おいてかないで」ハァハァ

死体s「「「あぁ……うぁ……」」」ヨタヨタ

三編み(驚かしては来るけど、襲っては来ないな……ん?)

三編み「お、お姉ちゃん! あれ!!」

ポニテ「何よ!!!!」

死体漢「あぅあー」パンパン
死体男「アァー!!」

ポニテ「ギャーーーー! 死体がホモセッ●スしてる!!」

三編み「……」つスケッチブック

ポニテ「あ、あんた……何する気?」

三編み「お姉ちゃん……芸術って醜さの中にあるのかも知れない」ペン シャキーン

ポニテ「三編み! 帰ってきなさい!!」

344 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:24:39.23 HA/0qw/wO 236/656

【とある島・オタク&お嬢ペア】
オタク「……これは死霊術か」

お嬢「根暗さんの情報を手にいれた分、風魔術家が管理している一級危険魔術家の情報を提示しているのでしょう」

オタク「律儀なもんだな。 しかし、死体を操る術か……他の一級危険魔術よりは危険性が低く感じるが」

お嬢「倫理的な視点から見れば、十分危険な魔術ですわ」

オタク「なるほど、単に戦闘力だけで一級危険魔術は決められているわけじゃないんだな」

お嬢「魔術社会の崩壊を招く魔術……ですからね」

オタク「そんなに危険な魔術か……ん?」

死体漢「あぅあー」パンパン
死体男「アァー!!」

オタク「危険だな……」
お嬢「危険、ですわね」

345 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:25:11.62 HA/0qw/wO 237/656

【とある島・屋敷】
丸眼鏡「首尾はどうだ? 腐女子」

腐女子【1-Aの生徒。 風魔術家の管理下にある一級危険魔術家死霊術家の出身】

腐女子「丸眼鏡の言う通り、視覚的恐怖だけ与えてるよ」フヒヒヒ

丸眼鏡「そうか。 楽しんで貰えれば良いが……」

放送部長(死体のホモセッ●ス見て楽しめたら末期ね)

丸眼鏡「さて、そろそろ私も出よう」

放送部長「あら、ご主人様、どちらにお出掛けに?」

丸眼鏡「驚かせる役を腐女子にだけやらせるわけにもいかん。 私も驚かせてくる」ギュッ

放送部長(天冠を装着しただけ!?)

丸眼鏡「行ってくる」キリッ

346 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:26:12.54 HA/0qw/wO 238/656

【とある島・秀才(ボッチ)】
秀才「何なんだ! 本当に何なんだ!!」

「フン!フン!フン!フン!」「アァーー!!」「ウホッ」「アァーー!!」「ヤラナイカ!!」

秀才(見渡す限りの死体同士のホモセッ●ス……)ウプッ

秀才「俺には……手を出して来ないよな?」ビクビク

ガサガサ

秀才「ひぃっ!!」

丸眼鏡「がぉーーー!!」

秀才「……」

丸眼鏡「がぉーーー!! 食べちゃうぞ!!」

秀才(…………そう言えば、オタクが言っていたな)

347 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:27:25.33 HA/0qw/wO 239/656

【夏休み前・屋上】
オタク「秀才……この世で最も尊い感情とは何でござるかな?」

秀才「いきなりどうしたんだ? ベタだが愛情とか友情とかじゃないか?」

オタク「なるほど、秀才らしい模範解答でござるよ」

秀才「鼻につく言い方だな。 ……お前は何だと思うんだよ?」

オタク「拙者は……」

「―萌えだと思うでござる」

348 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:28:04.19 HA/0qw/wO 240/656

【現在・とある島・秀才(ボッチ)】
秀才(これが……これこそが萌えなのか?)

丸眼鏡(……黙っているが、怖がっているのか?)

秀才(普段はクールな女の子が必死に声を出しながら怖がらせようとしてくる……も、萌えた!!)鼻血ツー

丸眼鏡(何で満面の笑みで鼻血を垂らしているんだ)ビクビク

349 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:29:21.40 HA/0qw/wO 241/656

【とある島・屋敷】
秀才「はぁはぁ……やっと着いたか」

お嬢「遅かったですわね、秀才さん」

メイド「召使いを背負ってきた私より遅いとか」プークスクス

三編み「……」カキカキ

ポニテ「こら! そんな絵を描くのは止めなさい!!」

僕っ娘「結局、何も出なかったな」

根暗(死体は全部僕が処理したからね……)

秀才「罰ゲーツは俺か……」

放送部長「はーい☆ その通り! 秀才君にはペアと公開キッスをしてもらおうと思ったんだけど……一人だから」ニヤ

死体漢「うぁう……」

放送部長「彼としてもらいます☆」

秀才「いや、それは無理だろ? 流石にそれは駄目だろ……え、皆、止めて……助けて」

アァーー!!

三編み腐女子「……」カキカキカキ

ポニテ「三編み、描くの止めなさいって……増えてる!?」

350 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/28 15:30:07.86 HA/0qw/wO 242/656

【夏休み最終日・船の上】
僕っ娘(色々なことがあった夏休みが終わろうとしている)

僕っ娘(肝試しの後も寝込んだ秀才君を元気付けたり、何かに目覚めた三編みちゃんを正気に戻そうとしたりと濃厚な日々を過ごしていった)

ポニテ「」ドヨーン
召使い「」ドヨーン
オタク「」ドヨーン

秀才「何で君達は宿題が終わってないんだ」

お嬢「さっさと手を動かすのですわ」

三編み「……」カキカキカキ

メイド「いや、三編みちゃんはもう手を動かすなっす」

根暗「……僕っ娘」

僕っ娘「何だい?」

根暗「2学期もよろしくね」

僕っ娘「あぁ、此方こそ」

359 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:33:44.75 ZUFvaWN0O 243/656

【魔術学園・屋上】
お嬢「2学期が始まりましたわね」

オタク「あぁ……」

丸眼鏡「……」

オタク「土の若は今回も欠席か?」

お嬢「始業式の放課後に行う定例会……結局、今回も全員出席とはなりませんでしたわね」

丸眼鏡「火の若、水のお嬢……貴方達は土の若と会ったことがあるのか?」

オタク「無いな……影武者とは会ったことがあるが」

お嬢「この学園に通っていることは確かなようですが……」

オタク「……では、今回はここまでだな」

丸眼鏡「待て、見せたいものがある」つ水晶

360 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:34:16.56 ZUFvaWN0O 244/656

【理科室】
僕っ娘「ポニテは採取に行ってしまったな」

根暗「う、うん……というより、君が行かせたよね?」

僕っ娘「オタクは会合があるとか無いとか言っていたな」

根暗「う、うん、言ってたね」

僕っ娘「つまり……僕達は二人っきりということだ」ズイッ

根暗「……あの、その……そうなるね」

僕っ娘「なぁ……あのお茶を飲まないか?」クスッ

根暗「え、あ、あぅ……」///

361 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:34:43.84 ZUFvaWN0O 245/656

コンコン
僕っ娘「…………はぁ、客人だ。 根暗、お預け」

根暗「……うん」シュン

ガチャ

腐女子「……邪魔してサーセン」フヒヒヒ

メイド「どうもっす。 根暗を借りに来たっすよ」

根暗「ぼ、僕?」アセアセ

僕っ娘「僕の根暗に何の用だい?」ムッ

メイド「束縛し合うカップルは長続きしないっすよ?」

腐女子「四大元素家に対抗して私達も開こうかと思いましてね」

「第一回一級危険魔術家集会をね」

362 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:35:11.17 ZUFvaWN0O 246/656

【図書館】
秀才(……一級危険魔術家なんてどの本にも載ってない)ペラペラ

秀才(以前、先生に最強の魔術を聞いたことがあるが……)

『最強って言われたら迷うが……私が推すのは世界を征服仕掛けた男が用いた魔術かな?』

『それはね……触手魔術』

教師『……あっ、すまない。 今の話は聞かなかったことにしてくれ』

秀才(口止めをされたな……)

秀才(その後授業で一人の魔術師によって征服されそうになったと習ったが用いられた魔術には触れられなかった)

秀才(特殊な魔術だとは思っていたが……四大元素家に監視されるほどとは)

優等生「自習か……秀才?」

秀才「優等生…………なぁ、一級危険魔術家という言葉を聞いたことがあるか?」

優等生「一級危険魔術家……初耳だな」

363 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:35:44.89 ZUFvaWN0O 247/656

【学園付近・喫茶店】
メイド「じゃあ、サクッと第一回一級危険魔術家集会を始めるっすよ」

腐女子「うぇーい、パフパフ」

根暗「き、喫茶店ではもう少し静かに……その……した方がいいと」

根暗「そ、そもそも、この会議は何なの?」

メイド「簡単に言うと魔術社会から処分されないように私達側も努力しようって会議っす」

根暗(割りと真面目な会議なんだな)ホッ

メイド「第一回の議題はこの会議の名前をちゃんと決めるっすよ」

根暗「えっ、ちょっと……えっ、待って」

腐女子「待ってほしいです、メイド先輩」

腐女子「根暗先輩とは初対面だからちゃんと自己紹介させてください」

メイド「それもそうっすね。 じゃあ、会議を始める前に自己紹介するっすよ」

根暗(……真面目な会議じゃないのかよ)

364 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:36:32.59 ZUFvaWN0O 248/656

腐女子「それでは言い出しっぺの私から」

腐女子「私は1-Aの腐女子といいます! 四大元素家風魔術家に管理されている死霊術使いです」

根暗(この前の肝試しは彼女の魔術だったのか)

腐女子「好きなものは……フヒヒヒ、BLです」

根暗「BL?」

腐女子「そうです! B&Lです! 最近では学園内ベストカップリングを脳内で組み合わせるのにはまっていて、今日はその結果を書いてきました!」つメモ

メモ≪1位根暗×オタク 2位召使い×オタク 3位不良×ヤンキー&DQN≫

根暗(BL? ×? 何のランキングなんだろう……?)

メイド「はい、次は私が自己紹介するっすよ」パンパン

メイド「私は2-Dのメイドっす。 水のお嬢の下に仕えている一級危険魔術家悪魔化術家の出身っすね」

根暗「悪魔化術?」

腐女子「風来坊先輩の獣化魔術の悪魔版だと考えたら解りやすいですよ」

根暗「な、なるほど……」

メイド「好きなことは……お嬢のお世話をする事と召使いに嫌がらせすることっすね 」

メイド「次は根暗の番っすよ」

根暗「ひゃいっ!!」

根暗「ぼぼ、僕は2-Bの根暗で、その触手魔術家の出身で……四大元素家火魔術家に管理……されてるのかな?」

腐女子「疑問系なんですね」

根暗「……自覚が無いんだ。 それに、オタクは友達だから」

腐女子「……ホモダチですか」

メイド「勝手に代えんな」

腐女子「サーセン」フヒヒヒ

365 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:37:02.31 ZUFvaWN0O 249/656

【図書館】
秀才(……結局、何も解らなかったな)

優等生「秀才、調べものは終ったのか?」

秀才「優等生、まだ帰ってなかったのか?」

優等生「俺にもしないといけないことがあってな」

優等生「……秀才の家は退魔の一族ではないよな?」

秀才「あぁ、俺の家は魔力循環機構を研究している探究家の家系だが……それがどうした?」

優等生「ならば、あまり危険なことに首を突っ込まない方がいい」

秀才「……それは無理な話だ」

優等生「確かにお前は回復魔術や多種多様な属性の魔術を使える」

優等生「本来、どの魔術に対しても適性を持たない家系の出身者とは思えないほど優秀だ」

優等生「しかし、魔術と共に戦い方を受け継ぐ退魔の家系と戦うほどの実力は無い」

優等生「これ以上深入りしたら……死ぬぞ?」ギロ

366 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:37:46.92 ZUFvaWN0O 250/656

秀才「……一緒に戦おうと言ってくれた男がいるんだ」

優等生「……」

秀才「本当に最後まで一緒に戦ってくれたんだ」

秀才「死ぬのは怖いさ。 あぁ、怖いとも!」

秀才「それでもな、根暗が戦うなら俺は最後まで付き合わないといけないんだ」キリッ

優等生「……それは根暗が化け物だとしてもか?」

秀才「そんな比喩表現」

優等生「比喩表現なんかじゃない」

優等生「……彼は」

367 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:38:24.26 ZUFvaWN0O 251/656

【理科室】
僕っ娘「……」ムスー

ポニテ「あんた……頬を膨らませてどうしたの?」

僕っ娘「根暗が寝取られた」

ポニテ「はぁ?」

僕っ娘「きっと今頃如何わしい場所に連れ込まれて、二人の手によって根暗の敏感なところを……」

ポニテ「大丈夫でしょ」

僕っ娘「3Pしてるんだ! 3P!!」バンバン

ポニテ「ていっ!!」パシン

ポニテ「正気に戻った?」

僕っ娘「ボクハショウキニモドッタ」

ポニテ「駄目そうね……」ハァ

368 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:38:53.75 ZUFvaWN0O 252/656

【学外・喫茶店】
メイド「会議の名前は3P会議っで良いっすよね。 3P会議で」

根暗「いや、それは流石に……」

腐女子「触手でヤりたい男選抜会議が良いです」

根暗「それは却下で……」

メイド「じゃあ、3Pすね。 誘いやすいじゃないっすか? よ、根暗! 3Pしようぜ……みたい感じで」

根暗「誘いにくいよ! すごく誘いにくくなってるよ?」

腐女子「じゃあ、私の案でいきましょう! イかせましょう!」

根暗「……それなら、まだメイドさんの案の方がましだけど」

腐女子「なぁんと!?」

メイド「じゃあ、3P会議で決定っす」

根暗(……もうどうにでもなれ)

メイド「さて、次は会議を今後行っていく場所についてっすね」

根暗「……場所?」

腐女子「話す内容が内容なので……」

根暗「な、なるほど……」

根暗(やっと真面目な話になってきたな)

メイド「会議名にちなんでラブホでするっす」

腐女子「異議なーし」

根暗(……僕っ娘のいる理科室に帰りたい)

369 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:39:30.26 ZUFvaWN0O 253/656

【学外・喫茶店前】
メイド「ふぅ、話したっす。 満足したっす」

腐女子「えぇ、私も満足です」

根暗(……お茶代、僕持ちか)ハァ

腐女子「……良いですね、同族がいるって」

根暗「へ?」

腐女子「社会から除け者にされて、監視されて生きてきましたから……その、お二人と出会えて嬉しかったです」

メイド「……私も嬉しかったんすよ? 根暗と出会えた時」

メイド「お嬢や召使いのお陰で一人ではなかったすけど……たまに強烈な孤独感が襲ってくるんっす」

メイド「また、地下室に閉じ込められて……2度と出れないんじゃ無いかと思うと」ブルブル

メイド「だから、嬉しかったんすよ。 同じ境遇の二人に会えて」ニコ

メイド「だから、根暗。 また、3Pしてほしいっす」

根暗「うん……3Pしよう」

ドサッ

僕っ娘「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

根暗「」タラリ

僕っ娘「君のことだから、襲われて無理矢理やられたんだとは思うが……」

僕っ娘「今の言葉はいただけないな?」つ媚薬

根暗「あの……僕っ娘……そのね」アセアセ

僕っ娘「僕の家に行こうか?」

僕っ娘「誰がご主人様(こいびと)か思い出させてあげるよ?」クククククク

腐女子「メイド先輩……この展開は狙い通りですか?」フヒヒヒ

メイド「狙い通りっすよ」フフフ

370 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:40:19.64 ZUFvaWN0O 254/656

【図書館】
秀才「そんな……そんなことが許されるのか!?」

優等生「触手魔術は稀少な魔術でもある。 保持するためには仕方ないだろう?」

秀才「……四大元素家に倫理を語る資格が無いことが解った」

優等生「倫理……魔術社会の善悪を決めるのは今や四大元素家だ」

秀才「違う……善悪というものは一人一人が作るものだ」

優等生「……議論するだけ無駄だな」つ忘却薬

秀才(恐らく瓶の中身は忘却薬か? 図書館は一階……肉体強化して窓から出て、沼魔術で足止めすれば逃げられr)

ドンッ

秀才「後から……だと?」

秀才(しまった……もう一人いたのか)バタン

371 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:40:54.43 ZUFvaWN0O 255/656

優等生「……ボウズ、ご苦労」

ボウズ「……」ペコ

ボウズ【1-Bの生徒。 古くから四大元素家火魔術家の武術指南役を務めてきた肉体強化魔術の家系の出身】

優等生「……後は忘却薬を飲ませるだけ……待てよ、これは」ガサガサ

ボウズ(秀才先輩のポケットからメモ?)

優等生「書記魔術……忘却薬を飲まされることを予期して話した内容をメモしていたのか」

ボウズ「この男は何者なんです? 土魔術家の間者の可能性は」

優等生「……無いな。 頭の良い一般人だ」

優等生「忘却薬を飲ませる。 ボウズ、作業が済んだら秀才を保健室に運んでおいてくれ」

ボウズ「……」コクン

372 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:41:43.49 ZUFvaWN0O 256/656

【保健室】
秀才「……頭が痛いな」

養護教諭「起きたか……もう暗いから、さっさと帰りな」

秀才「もう少し、心配してくださいよ。 先生」

養護教諭「俺がここで働いているのは可愛い妹に変な虫がつかないか見張るためだ」

養護教諭「他の生徒には関心が無い」

秀才(……そう言えば、おさげさんと兄妹だったな)

秀才「それでは……失礼します」

秀才(……頭が痛いが)

(覚えているぞ!!)

373 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:42:25.14 ZUFvaWN0O 257/656

【一学期・2-C】
僕っ娘「秀才、僕と根暗が二人でテスト勉強出来るように計らってくれたら、好きな薬を調合してやろう」

秀才「ほう、良いだろう」

ポニテ「何、買収されてるの? まぁ、私も協力するけどさ」

僕っ娘「とは言っても、どんな薬でも調合できるわけじゃないがな」

秀才「……忘却薬を無効化する薬とか、作れるか?」

僕っ娘「あぁ、作れるが……何でそんな薬を?」

秀才(この前の病院での事件を深く追求したら、忘却薬を使われるかも知れないからね)

秀才「ただの知的好奇心さ。 契約は成立だな」

【現在・秀才帰路】
秀才「……少し、真実に近付いたな」

秀才(根暗がどんな存在だとしても……俺が守る)キリ

374 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/29 12:47:55.20 ZUFvaWN0O 258/656

【屋上】
水晶≪僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ≫

丸眼鏡「……これでも火の若は根暗は危険性が低いと?」

お嬢「……」

オタク「……触手魔術の危険性は理解した」

オタク「だが、それが根暗の危険性と言うわけではない」

丸眼鏡「……どう意味?」

オタク「火炎魔術を使えても、人に向かって放たなければ傷付けない」

オタク「肉体強化が使えても、人を殴ならければ怪我をさせない」

オタク「例え、触手魔術に魔術社会を崩壊させる力があっても……俺がこの火の若がそうは使わせない」

オタク「根暗の友としてな」

384 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:41:53.21 6cpIP3GUO 259/656

【魔術学園・2-D】
お嬢(……根暗さんのあの姿)

『僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ』

お嬢(若様には悪いですが……私には化け物に見えてしまいましたわ)ハァ

メイド「お嬢」

お嬢「何かしらメイド……きゃっ」ドン

おさげ「いたっ!」

メイド「おさげに当たりそうっすよ?」

お嬢「当たる前に教えてくださらない? 全く……おさげさん、申し訳ありません」

おさげ「いえ、私も考えことしてまして……すみません」

オサゲー

お嬢「考えこと?」

オサゲーー

おさげ「えぇ……兄のことを」

養護教諭「おさげ! 何があった無事か!?」

メイド「い、今の悲鳴を聞いて駆け付けて来たんっすか?」

養護教諭「お嬢さんよ、うちのおさげにぶつかるとは良い度胸じゃねぇか? あぁん?」

お嬢「ひっ!」

召使い「待ってください! ぶつかったのはお互い様でしょう?」

おさげ「そうだよ、お兄ちゃん」

養護教諭「おさげ! 怪我してないか? 足擦りむいたりしてないか? 頭痛くなったりしてないか?」

お嬢「……何ですのこの人は」

メイド「重度の……シスコンっすね」

385 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:43:51.73 QvaT7vbuO 260/656

おさげ「お嬢さん、本当にうちの兄がごめんね」

お嬢「気にしてませんわ。 妹想いの良いお兄さんですね」

おさげ「うん、優しいお兄ちゃんなんだけど……はぁ」

メイド「どうしたんっすか?」

おさげ「さっきみたいに私が少し怪我しただけでも大騒ぎするの」

おさげ「私は回復魔術は得意なのに……」

メイド「なるほど、うちの召使いみたいなもんっすね」

召使い「なっ! 俺は彼処まで酷くないぞ?」

お嬢「同じようなものですわ」

召使い「お、お嬢様……」ガーン

おさげ「シスコンに効く薬でもあれば良いんだけどね」ハハハ

お嬢「良ければ僕っ娘に聞いてみましょうか?」

メイド「お嬢、おさげは冗談で言ってるんっすよ? そういうのを察しないから美人の割りに友達が少ないんっす」

召使い「メイド! 口が過ぎるぞ!!」

お嬢「良いんですわ。 メイド、美人の癖に友達が少ない理由を教えていただき感謝しますわ」

メイド「自分で美人とか言うところも要因っすね」

召使い「メイド! 追い討ちをかけるな!!」

おさげ「ははは……そうだよね。 そんな都合の良い薬無いよね」ハァ

386 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:45:22.81 QvaT7vbuO 261/656

【理科室】
僕っ娘「あるぞ」

お嬢おさげ「な、なんだってーーー!!」

僕っ娘「近親相姦を避ける機能として、似た遺伝的形質を持つ人間を避ける機能があるんだが、魔法薬でその機能を強化するモノがあってだな……」

おさげ「魔法薬ってすごい!!」

僕っ娘「そ、そうか? ふふふ、そう言われると気分が良いな」

召使い「本当に上手くいくのか?」

僕っ娘「疑われて一気に気分が悪くなった」

お嬢「召使い! 謝罪しながらスクワット100回ですわ!!」

メイド「召使い! ファイト!!」

召使い「」

僕っ娘「そこまで調合も難しく無いし、あの姉妹で試してみようか」

387 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:46:47.06 QvaT7vbuO 262/656

【美術室】
三編み(さっきの僕っ娘先輩からの差し入れ美味しかったな♪)

腐女子「三編みちゃん、筆が止まってるけどどうしたの?」

三編み「何でもないよ……ここの色合いはもう少し現実味があるものにした方が良いかな?」

腐女子「生々しい方が個人的には好きだね。 このア●ルに入ってる触手とかリアルで良いと思う」フヒヒヒ

三編み「ありがとう。 そこは一番こだわったんだ」アハハ

美術部長(彼女達は何を描いているんだ)ウェッ

ガラガラ

ポニテ「三編み、いる? ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」

三編み「何? また、僕っ娘さんと喧嘩した……」ガタガタ

ポニテ「そうなのよ! 最近、私が根暗と話す距離が近いだけで怒るから……どうしたの?」

三編み「……さい」

ポニテ「はぁ?」

三編み「お姉ちゃん……臭い」シッシッ

ポニテ「」

388 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:50:32.65 QvaT7vbuO 263/656

【美術室前】
僕っ娘「どうだ? 効果覿面だろ?」

お嬢「僕っ娘、喧嘩しているからって……」

僕っ娘「何のことだが」フン

メイド「何で腐女子がいるっすか?」

腐女子「三編みちゃんに誘われて、美術部に入ったんですよ」フヒヒヒ

メイド(美術部長先輩……可哀想)

おさげ「これなら、シスコンの兄を撃退出来るかも知れません」グッ

お嬢「そこまで嫌でしたのね」

僕っ娘「では早速、おさげの兄にも……」

「そうか……あんたの薬のせいか」ゴゴゴゴゴゴゴ

ポニテ「僕っ娘!!」

僕っ娘「なっ!? 僕の根暗に触れるのが悪いんだ!!」

ポニテ「糸屑取ってあげただけじゃない!!」

おさげ「この薬、美味しいです」ゴクン

僕っ娘「なっ! 何で君が飲んでいるんだ!?」

おさげ「へ?」

僕っ娘「飲んだ方が家族を臭がるんだ。 兄に飲ませないと意味無いだろ?」

おさげ「……あ」

389 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:51:04.99 QvaT7vbuO 264/656

【理科室】
根暗「……?」

召使い「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「根暗、ドアの前に立ち止まって何してるでござるか?」

根暗「えっと……召使いが……その……」

召使い「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「……何でござるか? これ」

根暗「解らない……でも、すごい悲しい顔をしてる」フンッフンッ

オタク「いや、何で根暗もスクワットを!?」

根暗「だって、何か……その、一人でしてたら可哀想じゃん」フンッフンッ

召使い「申し訳ありません、ありがとう、申し訳ありません」フンッフンッ

根暗「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「……何の儀式だこれは」ハァ

390 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:51:52.86 QvaT7vbuO 265/656

召使い「……と言うわけだ」

オタク「なるほど、それは災難だったな」

根暗「……はぁはぁ、疲れた」

召使い「もうすぐお嬢様とその他が帰ってくる」

召使い「恐らく、俺達は養護教諭捕獲作戦に駆り出されるぞ?」

根暗「なるほど」

オタク「なるほど」

養護教諭「なるほどな」

根暗オタク召使い「」

養護教諭「面白そうな話をしてんじゃねぇか?」

391 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:52:50.69 QvaT7vbuO 266/656

【美術室】
僕っ娘「さて、どうやって飲ませるか? おさげさんならば警戒されずに飲ませれると思っていたが」

おさげ「ごめんなさい……」シュン

お嬢「解除薬は無いのですの?」

僕っ娘「1つ用意していたが、ポニテに取られてしまった」

ポニテ「もう臭くない? ねぇ、もう臭くない?」

三編み「……うん、大丈夫だよ」スンスン

腐女子「フヒヒヒ、GLもいけるんですよね! サーセン!!」ハァハァ

タッタッタッタッタッ

召使い「お嬢様!」ハァハァ

お嬢「召使い、どうしましたの?」

召使い「そ、それが薬のことが養護教諭先生にバレてしまいまして」

おさげ「そんな……」

召使い「今、オタクと根暗が捕まえようと追いかけています」

お嬢「召使い、貴方もすぐに追うのです! 捕まえられなかったら……謝罪スクワット500回!!」

メイド「それを校庭の真ん中でしてもらうっす」

召使い「……行って参ります」グスン

392 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:54:17.30 QvaT7vbuO 267/656

【校舎裏】
オタク「……養護教諭先生、追い詰めたでござるよ?」

根暗「はぁはぁ、スクワットの後に……追いかけっこは……辛い……」

召使い「謝罪スクワットはもう嫌だ」グッ

養護教諭「追い詰められた? 人目に着くところで教師が生徒に手をあげるわけにはいかんだろ?」スッ

オタク「デュフフフ、拙者達に勝てるでござるかな?」

召使い「土中生物釣り上げ隊新入隊員、召使い!!」

オタク「土中生物釣り上げ隊副隊長、オタク!!」

根暗「ど、土中生物釣り上げ隊隊長、根暗!!」

オタク「我ら、土中生物釣り上げ隊四天王に……あふん」

養護教諭「……ガキ共、あんまり大人を舐めんなよ?」

根暗召使い「副隊長ーーー!!」

養護教諭「ガキの割りには強い方かも知れないが……ガキはガキだな」

養護教諭「ここの教師になる資格知ってるか?」

養護教諭「生徒5人以上が暴動を起こしても、5分以内に鎮圧出来ることだ」ギロ

召使い「う、うぉぉおおお!!」シャキーン

養護教諭「水のサーベルか……危ないモノ振り回すなよ」ドンッ

召使い「うぉぉおお……あふん」バタッ

根暗「し、新入隊員ーーーー!」

養護教諭「残るはお前だけだな……隊長さんよ」

根暗「……先生、オタクの話をちゃんと聞いてなかったでしょ?」

養護教諭「何?」

根暗「……僕達は、土中生物釣り上げ隊四天王だ」キリ

養護教諭「……四天王?」

グチャ

養護教諭「クソッ……そういうことか? お前らはこの魔術が準備出来るまでの時間稼ぎだったわけだな」

養護教諭「沼魔術なんて渋い魔術を使うな……秀才」

秀才「Exactly!俺だ!!」

根暗「せ、先生の敗因は妹にばかり執着して他の生徒をちゃんと見ていなかったこと……だと、あの、思います」オドオド

養護教諭「はぁ、勝った奴がオドオド喋ってどうする」

養護教諭「だが……お前の言う通りだな」

393 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:55:04.94 QvaT7vbuO 268/656

『養護教諭、今日から君はおさげの兄だ』

『養護教諭、私達は忙しい。 おさげの面倒を頼んだぞ?』

『兄として、おさげをしっかり守ってやってくれ』

394 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:55:34.93 QvaT7vbuO 269/656

養護教諭「……両親ともに回復魔術を極めた医者でな、忙しくて殆ど家に居なかった」

養護教諭「俺は何時もおさげの面倒を任されていた

養護教諭「そのうち、俺が家族でいれる理由が……おさげの面倒を見れるからだと思うようになった」

根暗(……家族でいれる理由?)

養護教諭「おさげといれるように強くなり、おさげを守れるように強くなってきたつもりだったが……根暗、お前の言う通りだな」

養護教諭「生徒に言われちまうとは……俺が間違ってたよ」フゥ

395 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:56:11.21 QvaT7vbuO 270/656

根暗「せ、先生はおさげさんを守る為だけにそんなに強くなったんですか……?」

養護教諭「……」

根暗「ぼ、僕は間違って無いと、その……思います」

根暗「先生は負けただけで……間違ってはない、と思います」

根暗「誰かの為に強くあろうとすることが間違ってる何て……その、哀しいから」

養護教諭「……ありがとう、根暗」

養護教諭(妹以外の生徒にも……もっとちゃんと目を向けるべきだな)ハァ

396 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:56:57.23 QvaT7vbuO 271/656

「お兄ちゃん……」

養護教諭「おさげ……今まで悪かったな」

おさげ「お兄ちゃん……何で、お兄ちゃんを臭く感じないの?」ポロポロ

養護教諭「……」

おさげ「……お兄ちゃんは」

養護教諭「……俺はお前の本当の兄ではない」

養護教諭「俺は子供が出来なかったおさげの両親に養子として引き取られた」

養護教諭「跡継ぎとして回復魔術を叩き込まれたが、引き取られてすぐにおさげが産まれて……俺は用済みとなってしまったわけだ」

おさげ「……」

養護教諭「俺が家族でいるために……おさげを愛し、お前を守ろうと決めた」

養護教諭「結局、自分の為にやっていたに過ぎないな」

397 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 08:59:26.09 QvaT7vbuO 272/656

おさげ「……それでも、お兄ちゃんが私を守ってくれたことには変わらないでしょ?」ギュ

秀才(沼の中で抱き合っている……)

おさげ「ありがとうね、お兄ちゃん」

養護教諭(……何だ、心配しなくても彼女はちゃんと俺を家族と思ってくれているじゃないか)フフフ

おさげ「ところで……本当の兄妹じゃないんだよね」ハァハァ

養護教諭「ん?あぁ……そうだが?」

おさげ「じゃあ、もう我慢しなくて良いよね?」ハァハァ

養護教諭「」

召使い「イタタタ……これはどういう状況だ?」

お嬢「召使い、ご苦労様」

お嬢「どうやら、おさげさんの悩みといいますのは」

僕っ娘「大好きな(異性として)お兄ちゃんがシスコンで、これ以上近付かれるのは辛い……と言うことだったらしい」

養護教諭「止めろ! おさげ!! 沼の中に手を突っ込んでそんなところを……アァ」///

根暗「オタク……この学園の女子には変態しかいないのかな?」トオイメ

オタク「……否定できない」トオイメ

398 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 09:00:06.01 QvaT7vbuO 273/656

【翌日】
養護教諭「オタク、お前は火魔術を使える状況なら俺と対等以上に戦えるだろう」

養護教諭「だが、使えない状況の場合動きに無駄が多い。 火魔術が使えない場合に補う何かを身に付けろ」

オタク「解ったでござるよ!」

養護教諭「召使い、単純な武術だけならお前が一番この中で強い。 」

養護教諭「だが、感情的になりやすく動きが単純になる傾向がある……どんな時でもまず落ち着け」

召使い「はい! ありがとうございます」

養護教諭「根暗、お前はそもそも型と言うものが出来てない。 触手との組み合わせも考えて型を作ってみろ」

根暗「は、はい」

養護教諭「秀才は……えっと、うん、頑張れ」

秀才「扱い雑すぎません!?」

僕っ娘「……何だあれは」

お嬢「土中生物釣り上げ部……らしいですわ」

僕っ娘「……土中生物と関係無い特訓してないか?」

メイド「そもそも、部の申請には部員5人と顧問が必要っすよね」

ポニテ「顧問は養護教諭先生として……部員は根暗君、オタク、召使い君、秀才よね」

秀才「マネージャー……水!」

おさげ「はい」ニコ

土中生物釣り上げ部設立!!
≪部長・根暗、副部長・オタク、部員・秀才&召使い、マネージャー・おさげ、顧問・養護教諭≫

406 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:17:53.13 B460DfoHO 274/656

三編み「遂に……出来たね」

腐女子「あぁ、私達の努力の結晶だね」フヒヒヒ

同人誌≪土中生物釣り上げ部合同同人誌≫

三編み「腐女子ちゃんが描いた召使い×オタクすごいよ」

腐女子「いやいや、三編みが描いた根暗総受けシリーズの方が読み応えがあって良いよ」フヒヒヒ

美術部員A「私としては秀才触手姦が良いなぁ」←♀

美術部員B「私はね~……」←♀

ワイワイ

美術部長(……もう嫌だ、この美術部)←♂

407 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:18:57.80 B460DfoHO 275/656

【3-D】
美術部長「……はぁ、どうしたものか」

放送部長「ありゃりゃ、美術部長。 どうしたの?」

美術部長「放送部長……実は美術部が大変なことになっていてな」

放送部長「良かったら話聞くわよ? この歌って踊って、お悩み相談も出来る学園アイドル! 放送部長がね☆」ウィンク

美術部長「ははは、君は何時でも元気だな」

美術部長「……実は最近、新しい部員が入ってきてね。 その子の影響で美術部の方向性がおかしな方に」

放送部長「ありゃりゃ、まぁ、何処の部にもトラブルメーカーっていうのはいるものね」

美術部長「全くだ……はぁ、腐女子には困ったものだ」

放送部長「腐女子? その腐女子ってもしかしてBLが大好きで、実はGLもいけてフヒヒヒって笑うあの腐女子?」

美術部長「あぁ、そうだが……知り合いか?」

408 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:19:31.50 B460DfoHO 276/656

【食堂】
放送部長「よろしいのですか?」

丸眼鏡「……」モキュモキュ

机の上≪大盛カツカレー、豚骨ラーメン、鶏の照焼、シーザーサラダ、他3点≫

丸眼鏡「……ゴクン。 大丈夫、私なら全部食べきれる」

放送部長「昼食の話ではありません! 腐女子の話です!!」

丸眼鏡「声が大きい。 腐女子が美術部に入りたいと申請してきたから許可を出しただけ」

放送部長「どうして……あまり、自由にすべきではないと思います」

丸眼鏡「……火の若曰く、危険な力を持っていてもそれを使わなければ良いらしい」

丸眼鏡「ならば、腐女子がそれを使えない状況を作れば良い」

放送部長「それが美術部への入部を許可したわけですか」

丸眼鏡「そう」

放送部長(……人との繋がりを持てば死霊術を使いにくくなるということか?)

丸眼鏡「私は風読み術の結果に従ったまで……食事に戻っていいか?」

放送部長(……あくまで占いの結果なのですね)ハァ

409 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:20:14.06 B460DfoHO 277/656

【美術部】
ガラガラ
美術部長(……はぁ、部活に行くのがここまで憂鬱になるとは)

美術部長「なっ!?」

美術部員A「どんなもんよ!!」

腐女子「うわぁ!パネェです!! 」

三編み「彫刻でリアルにこんな[Pー!]が[Pー!]している養護教諭先生を作り上げるとは……流石です!!」

美術部長「……君達は何をしてるんだ?」

美術部員B「私だって負けてないわよ!!」

腐女子「す、すごい……墨だけで風来坊の暴れん棒が生徒会長の目安箱に投函されてるのを表現している」

美術部員A「や、やるわね……美術部員B」ゴクリ

美術部長「いや、本当に何をしているんだ! ちゃんと部活をだな!!」

三編み「そうですね。 では、今日はヌードデッサンをしましょう!」

美術部長「……ヌードデッサン」タラリ

女子部員A「ということで……」

女子部員B「美術部長……」

腐女子「脱いでください」フヒヒヒ

イヤァーーーーーーー!!

410 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:20:55.63 B460DfoHO 278/656

【風魔術家のお屋敷】
丸眼鏡「……ふむ」

放送部長「ご主人様、何を見ているんですか?」

丸眼鏡「腐女子に美術部で行ったことを報告するようにと伝えたんだが……」

絵≪美術部長の痴態≫

丸眼鏡「…………自由を与えすぎたかも知れない」

放送部長「……美術部長、可哀想に」ナム

411 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:24:21.44 B460DfoHO 279/656

【美術部長の家】
美術部長「……」ドヨーン

美術部長(このままでは本当に美術部が崩壊してしまう。 何とかしなければ……)

美術部長「……はぁ、気晴らしに絵でも描くか」

美術部長(何を描こうか……抽象画も良いな。 果物のスケッチも良いが……)

美術父「……また、絵を描いているのか?」

美術部長「父さん……」

美術父「魔術師に絵など不要だと何時も言っているだろ?」

美術部長「……父さんには関係無いだろ」

美術父「全く、絵の練習をするぐらいならしっかり魔術の鍛練をだな……」

美術部長「魔術師に必要なくても、僕には絵が必要なんだ!!」バンッ

美術父「……フンッ、もう知らん。 好きにしろ」

412 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:26:02.01 B460DfoHO 280/656

【3-D】
美術部長(……はぁ、昨晩はあまり寝れなかった)

放送部長「大丈夫? 大分お疲れのようだけど……」

美術部長「あぁ、心配してくれてありがとう……少し絵を描きすぎてね」

クラスメイト「ねぇねぇ、美術部長君」

美術部長「何だい? クラスメイトさん」

クラスメイト「美術部長君も……こういう絵を描くの?」ドキドキ

同人誌≪土中生物釣り上げ部合同同人誌≫

美術部長「」アングリ

放送部長「うわぁ……うわぁ……」

美術部長「こ、ここ、これを何処で手に入れた!?」

クラスメイト「えっ?購買近くで美術部の人たちが販売してたよ」

美術部長「な、何しとんじゃ!!」ダッ

放送部長「……鬼の形相だったね」

クラスメイト「うん」ビクビク

413 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:26:31.49 B460DfoHO 281/656

【2-D】
お嬢「……うわぁ、ですわ」

メイド「お嬢、なに読んでるんっすか?」

お嬢「若様が表紙に載っていたから買ってみたのですが……うわぁですわ」

メイド「……あぁ、腐女子達が描いてたヤツっすね」

お嬢「メイド……貴女は腐女子さんとは仲が良いの?」

メイド「まぁ、同族だとは思ってます」

お嬢「えっ! メイドもBLが好きn」

メイド「そういう意味じゃ無いっす」

414 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:27:26.48 B460DfoHO 282/656

【第一回3P会議後】
僕っ娘「今晩は帰れないと……いや、眠れないと思ってもらおう」

根暗「は、はい……」ドキドキ

メイド「僕っ娘と根暗は仲良いっすね」

腐女子「……」

メイド「腐女子……どうしたっすか?」

腐女子「私は……丸眼鏡にあまり人と関わるなと命じられておりまして」

腐女子「この会議への参加も……頼み込んで何とか許可が貰えて……何と言うか」

腐女子「少し……羨ましいです」

メイド「そうっすか……」

【現在・2-D】
お嬢「……止めた方が良くなくて?」

メイド「良いんじゃないっすか? 本人が楽しいなら」

メイド(腐女子、良かったっすね)

415 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:33:01.81 B460DfoHO 283/656

【購買前】
腐女子「まいどあり!」

三編み「ありがとうございます!!」

腐女子「もう少しで完売だね!」

三編み「うん♪」

三編み「……ねぇ、腐女子ちゃん」

腐女子「何? どうしたの?」

三編み「腐女子ちゃんは今楽しい?」

腐女子「……うん、楽しいよ。 三編み、美術部に誘ってくれてありがとうね」

コラァーーーーーーー!!

美術部長「……はぁはぁ、やっぱりお前らか」

三編み「ぶ、部長……一冊買われますか?」アセアセ

腐女子「どぞどぞ」つ同人誌

ビリビリ

三編み「」

腐女子「」

美術部長「この際だ、はっきり言っておこう……美術部はなBLモノの同人誌を描く場所じゃない!!」

三編み「ぶ、部長の言い分も解りますが……ここまでやることは」

美術部長「これ以上、美術部の邪魔をしないでくれ」

腐女子「じゃ、邪魔なんか……」

美術部長「いいか、腐女子……美術部にはな」

「お前の居場所なんて無いんだ!!」

腐女子「……」ダッ

416 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:34:03.38 B460DfoHO 284/656

三編み「部長……言い過ぎです」

美術部長「……三編みちゃん、何で彼女を美術部に引き入れたんだ?」

三編み「彼女が……寂しそうだったから」

美術部長「寂しそうだった?」

三編み「夏休み、ひょんなことから知り合って、仲良くなったんです」

三編み「二学期に入ってもう一度語り合いたいと思って彼女の教室に言ったんですが……」

417 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:35:21.15 B460DfoHO 285/656

【先日昼休み・1-A】
三編み(……腐女子ちゃん、いるかな?)キョロキョロ

腐女子「……」ボー

三編み(一人で空を眺めてる……?)

三編み「腐女子ちゃん、何してるの?」

腐女子「み、三編み……だっけ?」

三編み「覚えててくれたんだ。 それで、何してたの?」

腐女子「空を見ていたの……私は誰とも関わったらいけないから」

三編み「……どういう意味?」

腐女子「……詳しくは話せない。 でも、私は居場所を求めたらいけないの」

三編み「……そんなこと無いよ」

腐女子「事情も知らないくせに勝手なこと言わないで」

三編み「むっ」チョコン

腐女子「……何で前に座るの?」

三編み「私の大好きな先輩が言っていたんだ、自分が嫌なことに正直になることが強さだって」

三編み「私は腐女子ちゃんを放っておくのが嫌になった」

三編み「腐女子ちゃんが嫌がっても、誰かが邪魔してきても、私は腐女子ちゃんを一人にしない」

三編み「無理矢理でも居場所を作ってみせる」

丸眼鏡「……」

腐女子「何で、そこまで……」

三編み「私は強く在りたいの! だから、腐女子ちゃんも一緒に強くなろ」ニコ

腐女子(……自分の嫌に正直に、か)

腐女子「……私、本当は……居場所が欲しい」

三編み「任せて! う~ん、やっぱり部活とか始めるのが良いかな?」

三編み「……あっ!美術部に来ない?」

418 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:36:47.77 B460DfoHO 286/656

【現在・購買前】
美術部長「……彼女に事情があるのは解ったが、それでも美術部としての活動を邪魔してることには変わらない」

「誰が邪魔してるって?」

美術部員A「腐女子ちゃんが入部してから毎日楽しんだけど?」

美術部員B「あの子、想像力豊かだから話しててインスピレーション湧くのよね」

美術部長「……」

三編み「部長を悪者扱いする気はありません。 仰ってることももっともだと思います」

三編み「確かに、美術部には腐女子ちゃんは要らないのかも知れません」

三編み「それでも、腐女子ちゃんには美術部が……居場所が必要なんです!!」

『魔術師に必要なくても、僕には絵が必要なんだ!!』

三編み「お願いします……彼女から居場所を奪わないでください」

美術部長「……」

三編み「迎えに行ってきて……良いですか?」

美術部長「……駄目だ」

三編み「部長!!」

美術部長「僕が……行ってくる」

419 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:38:49.62 B460DfoHO 287/656

『死霊術使いだって』

『気持ち悪いよな?』

『死体愛好家だったりするんじゃねぇ?』

『気持ち悪いヤツ』

『シッシッ、向こう行け! 死臭が移る』

『この世にお前の居場所なんて無いんだ』

420 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:39:24.54 B460DfoHO 288/656

【屋上】
腐女子(どうせ……私には居場所なんて無いんだ)

腐女子「……私なんて」

美術部長「腐女子、ここにいたのか?」

腐女子「部長……美術部の邪魔をしてすみませんでした」

美術部長「全くだ。 先程も言ったが美術部は同人誌を描く場所ではない」

腐女子「はい、本当に……すみません……もう、ほうっといて下さい……私には居場所なんて……最初から無いんですから」

美術部長「だからさ」

「風景画を描いてみないか?」

腐女子「……へ?」

美術部長「自分が気に入った風景を順番に描いていくんだ。 描けば描いた分だけ自分の世界が広がっていく」

腐女子「でも、私、そんなの描いたことないです」オロオロ

美術部長「じゃあ、僕が教える。 君の好きな風景を、君の隣で僕も一緒に描こう!」

美術部長「君が好きだと思った景色は間違いなく君の居場所なのだから」ニコ

腐女子「私も……居て良いんですか?」

腐女子「私も……皆さんと居て良いんですか?」ポロポロ

美術部長「酷いことを言って悪かった」

「一緒に描こう……君の居場所をね」

421 : ◆Q6fo44/dLk - 2016/05/30 22:42:02.80 B460DfoHO 289/656

【風魔術家のお屋敷】
丸眼鏡「……ふむ」

放送部長「ご主人様、また腐女子の絵を見てるんですか? 目が腐りますよ?」

丸眼鏡「いや、今回は男の絵ではない」

放送部長「え? これは……教室ですかね? あぁ、美術室ですね」

放送部長「あの子……何でこんな絵を描いたんでしょう?」

丸眼鏡「解らない」

丸眼鏡(だが、この絵を持ってきた時の腐女子の顔が……)

腐女子『丸眼鏡、描いた絵を持ってきたよ』

丸眼鏡(どうしても、私の頭から離れない)

丸眼鏡「……私は間違っているのだろうか」ボソッ


続き
根暗「触手魔術なんて……」【3】

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