エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」【1】
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」【2】
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」【3】
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」【4】
Ⅳ号戦車「ドゥルルルルルルン……!?」 エリカ「貴女の名は」【後半】

195 : 以下、名... - 2018/02/02 15:46:05.37 O55nFjZnO 735/872






まほ「――なるほど、短期転校、か」

エリカ「はい」

まほ「……他に誰を呼ぶか決めたのか?」

エリカ「いえ……」

エリカ「赤星の所の連中と、うちの連中は全員来てくれるとのことでしたが……」

まほ「うちからは4台出せる」

まほ「マウスやエレファントは輸送が間に合わないが……」

エリカ「あれだけの戦力を持っていけたら上等かと」

まほ「……赤星はどうしている?」

エリカ「赤星車のメンバーや私の戦車のメンバーに色々説明してくれてます」

まほ「そうか」

まほ「……エリカ」

エリカ「はい」

まほ「……これは西住まほ一個人として、西住みほの姉としての言葉だ」

まほ「ありがとう」

まほ「……これで、あの子の力になってあげることができる」

エリカ「隊長……」

まほ「これは隊長としての言葉じゃないと言ったはずだぞ」

エリカ「はっ、し、失礼しましたっ」

196 : 以下、名... - 2018/02/02 15:52:59.91 O55nFjZnO 736/872


まほ「……エリカ」

エリカ「……はい」

まほ「意外だったか、私の口からあんな言葉が出てきたのが」

エリカ「あ、いえ、その……」

まほ「……いいんだ」

まほ「黒森峰隊長として、そして西住流後継者として、似つかわしくないことを言った」

まほ「その自覚はあるし、普段なら口にしていない」

まほ「……表面上でも、甘い考えで学校全体に影響を及ぼしかねないことをしたことを諌めていたかもしれない」

エリカ「……」

まほ「それも私だ。隊長として、チームのためを想い、心を鬼にして厳しく振る舞う」

まほ「紛れもなく、それも私」

まほ「だが――みほのことを心から心配しているのも、また事実だ」

エリカ「隊長……」

まほ「……責任があるというのは大変なことだ」

まほ「シンプルには生きられなくなる」

197 : 以下、名... - 2018/02/02 15:57:17.12 O55nFjZnO 737/872


まほ「いや――責任は関係ないのかもしれないな」

まほ「それなりに心が成熟してきた人間なら、きっと誰だってそうだ」

エリカ「……」

まほ「人間とは非常に複雑で不思議なものだ」

まほ「一言で評するなど出来ようはずもない」

まほ「私が戦車一筋で自戒的な誰より厳しい隊長というのは間違いではない」

まほ「だがそれが100点満点の真実というわけでもない」

まほ「私だってもっと距離を詰め、フランクなチームにしたいと思うこともある」

まほ「では『西住まほは現在の黒森峰戦車道チームを変えたがっている』までいくかと言われるとそうでもない」

まほ「……人間は複雑で多角的だ」

まほ「一方向から見るだけでは、分かったつもりになれるだけで、その人のことを何も分からない」

まほ「どれだけ多面的に見たって、見落としている面が出てきたりする」

まほ「大洗に行き成長したみほもそうだし、こうしてみほのために他校と手を取るエリカの今の姿だってそうだ」

まほ「私には知りもしなかった、とても素敵な一面だ」

エリカ「す、素敵だなんてそんなっ……///」 テレテレ

198 : 以下、名... - 2018/02/02 16:06:37.55 O55nFjZnO 738/872


まほ「……」

まほ「人には色んな面があるし、一言で表すことは出来ない」

まほ「それでも敢えてエリカを一言で表すなら、『真面目で純粋過ぎる』だと、今は思う」

エリカ「純粋……ですか……?」

まほ「ああ」

まほ「黒森峰戦車道に対する憧れや、その隊長・副隊長という存在に求めるもの」

まほ「どこまでも純粋で、悪く言えば悪意のない偏見に満ちてしまっている」

エリカ「そ、そんなことは……」

まほ「そして真面目が故に、その水準に満たない弱さを許せない」

まほ「他者に対しても、自分に対しても」

エリカ「……」

まほ「みほへのあたりの強さも、きっとそういうことなんだと思っている」

エリカ「それは……」

まほ「だが……一口にソレを治せとは言わない」

まほ「その真面目さと純粋さが、今のエリカの強さを築き上げたのも事実だ」

まほ「長所でもある部分を捨てろとは言えない」

まほ「だから――もう少しだけでいい。心にゆとりを持って欲しいと思う」

エリカ「ゆとり、ですか……」

まほ「ああ」

まほ「闇蜘蛛に寛大になれ、と言っているわけではない」

まほ「負の側面を見て、即座に駄目だと切り捨てないでほしい」

まほ「角度を変えれば、そこは長所の可能性もある」

まほ「……私では、西住流の規範に縛られて、異なる角度を取り入れられないことも多い」

まほ「そのスキルが高いみほに敗れたこともある」

まほ「……エリカはまだ、ただの一門下生だ」

まほ「そのことを活かして、広い視野で世界を見てほしい」

199 : 以下、名... - 2018/02/02 16:16:37.58 O55nFjZnO 739/872


エリカ「私に、出来るでしょうか……」

まほ「あまり難しく考えることはない」

まほ「そんなに複雑なことでもないさ」

まほ「……例えば、ダージリン」

まほ「エリカはダージリンをどう思っている?」

エリカ「いけ好かない上品ぶった格言女、ですかね……あと紅茶」

まほ(思った以上にボロクソだ……)

まほ「そんな女、こんな緊急事態に頼れると思うか?」

エリカ「う、それは……」

まほ「大方赤星が言い出したのだろう」

まほ「赤星はダージリンを評価しているからな」

まほ「……ケイのようなノリが出来るタイプでもないし、かといって私やカチューシャのような振る舞いが出来るタイプでもないからな」

まほ「ダージリンのようなトップになりたいと思ったんだろう」

エリカ(だから最近癪に障るトークが多いのか……)

200 : 以下、名... - 2018/02/02 16:22:00.18 O55nFjZnO 740/872


まほ「どちらのダージリンも、嘘偽りなくダージリンだ」

まほ「赤星から見た『頼りになってジョークも言える優雅な戦車乗り』としてのダージリンも」

まほ「エリカから見た『クソいけ好かない格言がウザい癪に障る紅茶女』としてのダージリンも」

エリカ「……」

エリカ(そこまで言ったっけ……)

まほ「どちらの側面もダージリン」

まほ「一方向だけ見て盲信することも、一方向だけ見て遠ざけるのも、勿体無いことだと思う」

エリカ「……」

まほ「みほを遠ざけるのもそう」

まほ「……私を崇拝するのもそうだ」

エリカ「隊長……」

まほ「視野を広げて、客観的に私を見て、自分だけの戦車道を見つけてくれ」

まほ「……私の劣化コピーなんか目指さなくていい」

まほ「その道の先は、10連覇を逃したうえに2年連続王座を逃す無能の将だ」

エリカ「そ、そんなことは……!」

まほ「事実だ」

まほ「……だが、違う角度で見れば、私にだって歴代隊長に勝る点があると思っている」

まほ「だから、一方向だけ見て盲信せず、きちんと私を見た上で、見習える点だけを見習ってほしい」

まほ「来年黒森峰の手に名誉をもたらすのは、お前なのだから」

エリカ「隊長……」

まほ「それに私だってエリカがハンバーグ吐き出すとか知らなかったからな、人間は本当に多面性を持っている不思議なものだ」

エリカ「折角めちゃくちゃいい話風だったのに!!!」

201 : 以下、名... - 2018/02/02 16:31:32.77 O55nFjZnO 741/872


まほ「あとは、ほら、あれだ」

まほ「助っ人ならアンツィオとか頼みやすいだろう?」

エリカ「あー確かに」

エリカ「気兼ねはいらない感じしますね」

まほ「それに、義理人情に厚く頼りになる」

まほ「ああ見えて、安斎は戦車乗りとしてはピカイチだからな」

エリカ「まあ、隊長が評価するだけはある技術は持ってますね……些か甘い所がありますけど」

まほ「モチベーターとしては優秀だし、実は悩みを相談したこともある」

エリカ「!?」

まほ「口は固いし、真剣に悩みを共有してくれるからな」

エリカ「た、確かにそんな気はしますけども!」

まほ「だがこういう策謀系の相談をアンツィオに出来るか?」

エリカ「絶対無理ですね」 スッパリ

まほ「即答だな」

まほ「だがその通りだ」

まほ「合同練習やらで色んな面を見てきたからこそ、そう言える」

まほ「こういう相談は安斎でなくダージリンだと」

まほ「……だが、決して安斎を無能と思っているわけではない」

まほ「駆けつけてさえくれたら、存分に役立ってくれるだろう」

エリカ「そうですかあ?」

エリカ「腕はともかく、戦車がアレじゃあ……」

まほ「その“アレ”でマジノを倒したのが安斎達だ」

まほ「……物事を多角的に見た上で評価をすることで、一律で無能・有能とレッテルを貼るだけでなく、適材適所を見極められるようになる」

まほ「……まだ難しいかもしれないが、心に留めておいてくれ」

エリカ「……はい」

202 : 以下、名... - 2018/02/02 16:34:44.93 O55nFjZnO 742/872


まほ「さて、それじゃあ残りの1輌のメンツはエリカに任せるとしよう」

エリカ「えっ」

エリカ「きょ、今日中には最終確定メンバーを連絡しないと書類の関係もあるんですけど……」

まほ「だからこそだ」

まほ「私は信頼が厚いという側面もあるが、逆らえないような存在であるという一面が悲しいがある」

まほ「私が言ってしまえば、不本意ながら参加せざるを得なくなる者も出てくるだろう」

まほ「こんなリスキーな闘いに、そんな形で巻き込まれる人間はなくしたい」

まほ「それに、立場を使って参加させる形になってしまえば、それこそ黒森峰単位での助っ人になってしまうからな」

エリカ「かといって、私なんかじゃ……」

まほ「出来る」

まほ「エリカなら、出来る」

まほ「……最近のエリカは、以前よりいい顔で輪の中にいるようになった」

まほ「今のエリカになら、出来る」

まほ「それに、来年からはエリカが皆を率いるんだ」

まほ「こんな所で躓いていられないだろう?」

エリカ「……っ」

エリカ「はいっ……残りのメンバー集め、おまかせ下さいっ……!」

203 : 以下、名... - 2018/02/02 16:37:36.88 O55nFjZnO 743/872







直下「へえ……短期転校ねえ……」

エリカ「……無理にとは言わないわ」

エリカ「リスクだって大きいし」

小梅「同調圧力とかには屈してほしくないよね」

直下「ところで、何で私なの?」

エリカ「……あんたは比較的色々軽いヤツだから」

直下「え、それ褒めてる?」

エリカ「半々よ」

エリカ「黒森峰らしからぬ軽さとか、自覚の薄い感じとか、正直前から気に入らないポイントだったし」

直下「うわあハッキリスッパリ」

エリカ「……でも、そういう世間体とか黒森峰らしさに固執してないあんただから頼めるの」

直下「気に入らない相手なのに?」 ニヤニヤ

エリカ「……そうね」

エリカ「今でもムカつくことはあるわ」

エリカ「でも――嫌いってわけじゃない」

小梅「わお」

エリカ「許しがたいラインというのはある」

エリカ「でも――そのラインが高すぎたのも、今は認めているから」

エリカ「あんたはあんたなりに2年間頑張ってきた」

エリカ「私はそれを、同じ部屋で見続けていたのよ……」

エリカ「だから、今なら分かるわ」

エリカ「あんたは隊長や私、他校の隊長連中ほど強くない」

エリカ「だけど――決して弱くなんてない」

エリカ「それに、形は違えど、戦車道には真剣」

エリカ「だから、しがらみに縛られてないこともあって、頼みたいのよ」

エリカ「……力を貸して」

204 : 以下、名... - 2018/02/02 17:08:06.67 O55nFjZnO 744/872


直下「……まァ、全国大会じゃ履帯壊されていいとこなかったしなー」

直下「ここいらでちょっとくらい目立っておくのも悪くないかな」

エリカ「あんた……」

白星「私達もいますよ」 バーン

エリカ「あ、アンタ達……」

黒星「もう聞いてるかもしれませんけど……私達は皆、力をお貸ししますよ」

逸見車砲手「へへ……皆にばっか、いい格好はさせられないもんね」

ジェイド「直下さんの搭乗員は三年生で予備校の授業が有り参加できないようでしたし……力を貸しますよ」

ブロッケンJr「へっ、寄せ集めチームでもやれるってことを教えてやるぜ」

エリカ「……本当にいいんでしょうね」

エリカ「勝てたらいいけど、負けたら恐らく相当惨めな日々が待ち受けてるわよ」

直下「やる前から負ける後のことを考えるアホはいないって」

ジェイド「シュトロハイム先輩も、謹慎じゃなきゃ駆けつけようとしてたみたいですしね」

エリカ「あんたら……」

エリカ「あの子のために、そこまで……」

小梅「……まあ、私はみほさんのためっていうのが大きいし、少なからずそれもあるだろうけど……」

小梅「皆、みほさんのためじゃなくて、エリカさんのために、力を貸してくれるんだよ」

エリカ「え……?」

205 : 以下、名... - 2018/02/02 17:17:57.25 O55nFjZnO 745/872


黒星「元副隊長のみほさんにもお世話にはなりましたけど……」

白星「引っ込み思案な人だったから、交流は少なかったし……」

逸見車操縦手「まあ、逸見さんも交流多くはなかったけどさ」

逸見車装填手「でも、そばにいて、力にはなってあげたいって思ったんだ」

直下「ハンバーグ吐き出してから、なんか憎めなくなったしね」 ケラケラ

エリカ「あ、あんたねえ……!」

ブロッケンJr「お前は自分を顧みず西住みほを助けたくて……」

ブロッケンJr「俺達はそんなお前を助けてやりたい」

ブロッケンJr「そこに何の違いもありゃしねえだろうが!!」

エリカ「違うわよ!」

エリカ「ったく……バカね……ほんと……」

206 : 以下、名... - 2018/02/02 17:20:22.25 O55nFjZnO 746/872


エリカ「……」

エリカ「焼肉」

小梅「え?」

エリカ「きっちり勝って、焼肉で打ち上げをするわよ」

直下「え、おごり~?」

エリカ「ええ」

白星「うそ、ほんと!?」

エリカ「……それで貸し借りはなしよ」

小梅「もー、貸し借りなんかじゃないからいいのに」

小梅「……まあ、素直に受け取っておこうかな」

小梅「皆も盛り上がってるし」

エリカ「……ふん」

小梅「楽しい焼肉の席になるといいね」

エリカ「……そのためには、絶対勝つわよ」

小梅「うん……」

エリカ「ほら、そうと決まれば準備をするわよ!」

エリカ「今夜発たないと間に合わないんだからね!」

207 : 以下、名... - 2018/02/02 17:46:21.33 O55nFjZnO 747/872


ダージリン「それじゃあペコ、通信をお願いするわ」

オレンジペコ「はい」

ダージリン「秋の日の、ヰ゛オロンのためいきの」

オレンジペコ「ポール・ヴェルレーヌですか」

ダージリン「船漕ぐ浦の朱の鳥」

オレンジペコ「悲報島殺人事件ですね全然関係なくないですか」

ダージリン「冗談よ」

ダージリン「……サンダースもプラウダもまともに読んでくれそうにないから小粋なジョークでも仕込もうかと」

オレンジペコ「やめてください真面目に読みそうな知波単あたりが混乱したらどうするんですか」

ダージリン「…・…それは……困るわね……」

オレンジペコ「深読みして迷走しかねませんからね……」

208 : 以下、名... - 2018/02/02 17:47:29.32 O55nFjZnO 748/872


エリカ「……熱い紅茶ですね」

まほ「ああ」

まほ「だが、紅茶を熱くさせたのは、お前だよ、エリカ……」

エリカ「隊長……」

ティーパックマン「紅茶はHOTに限るぜ!」

エリカ「誰だ今の」

209 : 以下、名... - 2018/02/02 17:51:45.87 O55nFjZnO 749/872


アンチョビ「よーし行け行け行け行け~!」

アンチョビ「私達の壮行会で盛り上がりすぎて遅れましたじゃシャレにならないぞー!」

ペパロニ「屋台置いてまで来るなんて、マジっすねー」

アンチョビ「当たり前だ!」

アンチョビ「……私は、大洗の連中が好きなんだ」

アンチョビ「こんな形で、あの子達の夢を奪わせてたまるか!」

ペパロニ「気負いすぎない方がいいんじゃないっすかー、撃墜とか出来る戦車じゃないんですし」

アンチョビ「おまえなー!」

カルパッチョ「撃墜は名門校に任せて、私達は私達に出来ることをしてたかちゃんを救えばいいんです」

アンチョビ「そうだそうだ」

アンチョビ「サンダースは気合十分らしいし、プラウダも風格を見せつけて多分今頃カチューシャは優雅に飯でも食べてるだろうしな」

アンチョビ「私達は弱くない、いや強い!」

アンチョビ「だがプラウダ達と同じ土俵に上がることはない」

アンチョビ「同じ土俵に偏るより、私達にしか出来ない形で協力する方が大事なはずだ!」

ペパロニ「おおー、なんかそれっぽい」

カルパッチョ「さすがです」

アンチョビ「だろー?」

ペパロニ「ドゥーチェ! ドゥーチェ!」

アンチョビ「はーっはっは!」

ペパロニ「ドゥーチェ! ドゥーチェ!」

カルパッチョ「ちょ、狭いんだからあまり動きは……」

カルパッチョ「って、前、前! 操縦桿から手を離さないで~!」

210 : 以下、名... - 2018/02/02 17:53:43.44 O55nFjZnO 750/872


絹代「紅茶って飲んだことないんだよなあ……」

絹代「……」

絹代(でも闘いに行くって聞いてたのに、紅茶ってどういうことだろう……)

絹代「……」

絹代(まあ、行けば分かるか)

絹代(様々な可能性を考慮した結果、どうあれ突撃するしかないもんな!)

211 : 以下、名... - 2018/02/02 18:01:44.38 O55nFjZnO 751/872


アキ「お茶会、楽しそうだよ?」

ミカ「刹那主義には賛同できないね」

アキ「助けてあげようよお」

ミカ「……」

アキ「ねえミカったら~」

ミカ「……黒森峰」

ミカ「この件には、黒森峰が噛んでいるそうじゃないか」 ポロローン

アキ「もー、なんだかんだで調べてるんじゃん」

ミッコ「……ん? 黒森峰って……」

アキ「うっ……ハンバーグを吐き出して戦車を倒す……」

ミカ「……刹那主義には賛同できないね?」

アキ「そうかも……」

ミッコ「……でもあのヤバいヤツがいるところに恨まれたくもないような……」

ミカ「……」

アキ「……」

ミッコ「……」

ミカ「……」 ポロローン

218 : 以下、名... - 2018/02/16 12:14:30.10 0xPhTGs8o 752/872


まほ「これを」 スッ

エリカ「……なんですかこれ」

まほ「大洗の制服だ」

まほ「一応短期転校扱いだからな、きちんと着たほうがいいだろうとのことだ」

エリカ「多分ほとんど着てみたい、くらいの軽いノリですよそれ……」

まほ「……幼いときから、黒森峰の制服に袖を通すものだと思っていた」

エリカ「そりゃあそうですよ」

エリカ「私だって、黒森峰ではない隊長は想像がつきません」

まほ「……昔は、私もみほに対してそう思っていたよ」

エリカ「隊長……」

まほ「まったく、人生とは分からないものだな」

まほ「それなのに、今はこうしてみほと同じ他校の制服に袖を通している」

まほ「……分かりきっている人生より、こうして予想のつかない人生の方が、いいのかもしれないな」

エリカ「隊長……」 タパタパタパ

まほ「どうしたエリカ滝のように鼻血が」

エリカ「いえあのまさかここで着替え始めるとはいえなんでもないですありがとうございます」 タパタパタパ

まほ「?」

219 : 以下、名... - 2018/02/16 12:26:30.05 0xPhTGs8o 753/872


エリカ「それにしても、よく間に合いましたねこの制服」

まほ「そんな恥ずかしそうに脱ぐなら別室で脱いでもいいぞ……?」

エリカ「あ、大丈夫です照れ臭いですがこの場で脱ぎます」

まほ「そ、そうか……」

エリカ「急遽参戦が決まった奴らの分まで入っていたし……」

まほ「ああ、宅配便じゃなくて、先回りした聖グロの機動部隊が宅配してくれたんだ」

エリカ「へえ」

まほ「早めに現地近くに陣取っていたらしくてな、近づく私達に対して差し向けてくれたんだ」

エリカ「まあ、到着がギリギリになりそうな連中もいますし、出欠確認兼ねて差し向ける方がいいか……」

まほ「今回の騒動を表面上取り仕切っているしな」

エリカ「ひょ、表面上って……」

まほ「裏では誰よりみほ達を助けたがってダージリンを動かした奴がいるんだろう?」 フフ

エリカ「……あっ、そ、そろそろ着きますし、ちょっと休みましょう!!」

エリカ「ここからが本番ですし!」

まほ「ああ、そうだな」 フフ

220 : 以下、名... - 2018/02/16 12:28:12.55 0xPhTGs8o 754/872




エリカ「ちょっと赤星!」

エリカ「これ間に合うんでしょうね!」

小梅『足回り弱いから思ったより時間かかっちゃった……』

直下『ギリギリのギリをついたのがいけなかったんじゃ……』

エリカ「ど、どうしましょう隊長!?」

まほ『やむを得ないな』

まほ『拡声器を取ってくれ』

エリカ「た、隊長……?」

まほ『待ったーーーーーーーーーーーーー』


221 : 以下、名... - 2018/02/16 12:45:11.31 0xPhTGs8o 755/872


みほ「あ……」

小梅『あ、こっち気付いたみたい!』

エリカ「危うく間に合わないところだったわ……」

小梅『見て見てエリカさん、こっち見てるよ!』

小梅『みほさんがこっち見てる!!』

エリカ「だから何よ!!」

小梅『エリカさんがなんとしても救いたかったみほさんがこっち見てるよ!!!』

小梅『よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! きゅんきゅんきゅい!!』

エリカ「ちょっとは黙って移動できないの履帯ぶっ壊すわよ!!」

逸見車操縦手「お、落ち着いて逸見さん……」

222 : 以下、名... - 2018/02/16 12:47:47.59 0xPhTGs8o 756/872


みほ「お姉ちゃん……」

小梅『状況確認、みほさんの口の動きから、隊長のことを思わず口にした模様!』

直下『こちらでも確認、あの口の動きは恐らく「お姉ちゃん」かと!』

エリカ「あんたら、何がしたいのよ……」

小梅『どうしよう、呟いてもらってないっぽいよエリカさん!!』

直下『あれだけ必死に助けようとしているのに呼ばれてないよ!!』

エリカ「うっさいわね!」

エリカ「仕方ないでしょ、隊長は姉妹なんだから!」

小梅『んっふっふー』

エリカ「何よ気持ち悪い」

小梅『仕方ないって言ったよね~』

小梅『当たり前、じゃなくて、仕方ない、って』 ウププププ

エリカ「……っ!」

小梅『やっぱ仕方がないって自分を納得させてはいるけれど、呼ばれないとショックだよね』

エリカ「ち、違うわよ、そんなんじゃ――!」

223 : 以下、名... - 2018/02/16 12:53:06.35 0xPhTGs8o 757/872


小梅『降りちゃえ降りちゃえ』

エリカ「は?」

小梅『書類を見せつけるために隊長が降りるでしょ?』

小梅『一緒に降りなよ』

エリカ「な、そんなこと――」

まほ『……ふっ』

まほ『行くぞエリカ』

エリカ「た、隊長!?」

まほ車通信手『ああほら、隊長出ちゃったよエリカちゃん!』

エリカ「う、うう~! もう!」 ガチャッ

224 : 以下、名... - 2018/02/16 12:55:06.64 0xPhTGs8o 758/872


まほ「大洗女子学園、西住まほ」

エリカ「同じく、逸見エリカ!」

エリカ(やば、今声裏返ったかも……)

まほ「以下18名、試合に参戦する」

まほ「短期転校の手続きは済ませてきた」

まほ「戦車道連盟の許可も取り付けてある」

みほ「お姉ちゃん……」

エリカ「……」 ドキドキドキ

みほ「ありがとう……」

エリカ(いやいいわよ別に期待していたとかそんなわけじゃないわけだしああでもムカつくわ助けに来てあげたってのにコイツは) イライラモヤモヤ

225 : 以下、名... - 2018/02/16 12:57:16.91 0xPhTGs8o 759/872


ケイ『私達も転校してきたわよ!』

ナオミ『今からチームメイトだから』

アリサ『覚悟なさい』

典子「サンダースが来たぁ!!」

まほ「……」

みほ「お姉ちゃん、これ……」

エリカ「……」

エリカ(戦車から降りたけど、これまだまだ眺めてないといけないのよね……)

エリカ(微妙に何していればいいか持て余すわ……)

231 : 以下、名... - 2018/02/25 02:06:10.88 mPWkhxDCo 760/872


エリカ「……あ、どうやらアンツィオも間に合ったみたいですね」

まほ「ああ」

まほ「……なんだかんだで安齋もみほのことは気にかけていたようだしな」

エリカ「あの豆戦車で役に立つんですか?」

まほ「使いようだ」

まほ「……弱い戦力を有効活用する技術に関しては、安齋から見て盗んだ方がいいかもな」

エリカ「そうは言っても、うちに弱い戦力なんてありませんが……」

エリカ「ですが、隊長がそう言うなら……」

カルパッチョ『カバさんチームのたかちゃーん』

エリカ「うわっ、何あれ恥ずかしい……」

小梅「エリカさんもアレやったらよかったのに」

エリカ「それ言うためだけにわざわざ戦車から出ないで」

232 : 以下、名... - 2018/02/25 02:20:47.79 mPWkhxDCo 761/872


ダージリン『増援は私達全部で22輌だって言ったでしょ! 貴女の所は6輌!!!』

絹代『すみません、心得違いをしておりました!』

エリカ「ホントにあのアホの化身が役に立つんですか?」 ハァー

まほ「そう言うな」

まほ「アレでいて、ただの阿呆というわけでもない」

エリカ「そうですかあ……?」

まほ「ただの阿呆には隊長など務まらない」

まほ「……それに、制服はダージリンが揃えたと言っただろう?」

エリカ「ええ」

まほ「22輌分も用意したと思うか?」

エリカ「……それは……」

まほ「……おそらく、制服は6輌分だけ揃えられたんだろう」

まほ「普通は、そこで気が付く」

エリカ「……普通じゃないくらいアホという可能性も……」

まほ「……」

まほ(ありえない、とまでは言えないな……)

233 : 以下、名... - 2018/02/25 02:34:09.23 mPWkhxDCo 762/872


まほ「まあ……分かって連れてきたんだと思いたいな……」

エリカ「……それはそれで何がしたいかよくわかりませんが……」

まほ「……私達は遠方だし、出せる人員も限られていた」

まほ「所謂補欠を連れてくる余裕などないほどにな」

まほ「……ある程度の名門であればあるほど、そうだっただろう」

まほ「アンツィオも資金繰りに人員を割かないといけない時期らしいしな」

エリカ「つまり……補欠を連れてきてくれたと……?」

まほ「決勝の応援に遅刻したアンツィオの例もある」

まほ「寝坊せずとも、エンストなどで遅れてしまったり、病気や怪我、土壇場で怖気づくなど様々あるだろう」

まほ「数が足りない状態で試合するくらいなら、知波単の雑兵であれど居る方がずっといい」

エリカ「そうですか?」

エリカ「エキシビション見る限り、居ないほうがマシなケースもあるような……」

まほ「既にみほは知波単学園の駄目な部分を身をもって体験している」

まほ「仮に知波単率が上がったとしても、失敗されたら困る要には起用せず、上手く活用するだろう」

まほ「……素人の肉壁が思わぬ貢献をすることは、私達がよく知ってるだろう?」

エリカ「うぐっ……それはまあ、確かに……」

234 : 以下、名... - 2018/02/25 02:44:34.12 mPWkhxDCo 763/872


まほ「……勿論、真偽はどうかわからないが……」

まほ「一見ただの阿呆のようでも、実は表に出さないだけで彼女なりに気を使いサポートしてくれようとしている可能性はある」

まほ「心得違いと言っていたのも、気を使わせまいとする彼女なりの優しさなのだろう」

まほ「……これも、阿呆という一側面からしか見てないと気付けない、彼女の素敵な」

エリカ「……隊長は、いいところばかりを見ようとしすぎですよ」

まほ「……そうかもしれないな」

まほ「エリカのことを評価しすぎていたり、な」

エリカ「え、あ、その」

まほ「ふふ……冗談だ」

まほ「だが――過大評価じゃないことを、この試合で証明してくれるんだろう?」

エリカ「……!」

エリカ「勿論です」

エリカ「それに……そのため以外にも、負けられない理由がありますから」

エリカ「もし無様を晒すようなことがあったら、戦車の砲撃をお尻で受けて尾てい骨粉砕骨折してもいいです」

まほ「よくわからないが万が一を考えてそううことを言うのはやめた方がいいと思うぞ……」

235 : 以下、名... - 2018/02/25 02:53:11.74 mPWkhxDCo 764/872


アキ「なんとか受け入れられてよかったねー」

ミッコ「ここまで来て乱入認めません、とか言われたら困ってたもんなー」

ミカ「乱入許可……それは戦車道において本当に大切なことなのかな?」 ポロローン

アキ「大切だよ!」

アキ「っていうか、こんなところにまだいていいの?」

アキ「作戦会議があるんじゃあ……」

ミカ「それは本当にた――」

アキ「いせつだよ!!」

アキ「もう、ちゃんと聞いてこないと駄目でしょ!」

ミッコ「ミカは人見知りだもんなあ……」

ミカ「ミッコにはあまり言われたくないね」

ミッコ「何なら代わりに行ってこようか?」

アキ「珍しい……どういう風の吹き回し?」

ミッコ「いや、ここ居るよりは、作戦会議に出る方が絶対気が楽だなって」

ミカ「……?」

ミッコ「いやだって、隊長会議なんだよね」

ミッコ「でも、ハンバーグ発射する子って、隊長じゃなかったはず」

アキ「そっか……この辺にいるとハンバーグで戦車倒しちゃう子にばったり会いかねないけど、隊長しかいない参戦会議の席なら安全なんだ!」

ミカ「……!」

ミカ「仕方がないね、いってくるよ」 ポロローン

ミッコ「こいつ……」

236 : 以下、名... - 2018/02/25 02:55:08.31 mPWkhxDCo 765/872




みほ「ではこの通り、三個中隊の編成で行きたいと思います」

ミカ「……」

エリカ「……」

ミカ「……」

ミカ(おるがな)

241 : 以下、名... - 2018/03/01 03:01:29.89 KlKcApYjo 766/872


エリカ(しっかし、まあ……)

エリカ(錚々たるメンツが集まったもんね、改めて……)

エリカ(いけ好かないけど、実力は確かな連中ばかりだわ……)

エリカ(正直、これなら簡単に負ける気はしない……)

エリカ(とはいえ……目下の問題はあの謎の急降下爆撃)

エリカ(作戦決定権をある程度こっちらで握れたらいいのだけど……)

「……」

「なあ、何でちょこちょこ副隊長が混じってるんだ?」 ヒソヒソ

柚子「ノンナさんは、カチューシャさんから離れるって発想がそもそもないみたいで……」 ヒソヒソ

柚子「黒森峰の人も、多分そうじゃないかなあ……」

「全く、これだからくっつくしか能がない金魚のフンは……」 ブツブツ

柚子(桃ちゃん、相変わらずブーメラン遊びが上手いなあ)

242 : 以下、名... - 2018/03/01 03:32:02.75 KlKcApYjo 767/872


みほ「西住まほ選手、ケイさん――」

エリカ(よし、まずは中隊長に隊長がなったわ)

エリカ(……ややこしい字面ね……)

エリカ(まあとにかく、これである程度指示が出せるようになる)

エリカ(隊長が中隊長に選ばれるのは当然といえば当然だけど、地味に助かるわ)

エリカ(隊長の右腕たる私の発言力も少しは上がるだろうし)

まほ「大隊長はみほだな」

エリカ「……」

エリカ(相変わらずどこか抜けたセンスだったり、ポワポワしてるけど……)

エリカ(それでも強いことは、もう嫌ってほど知っている)

エリカ(……果たしてこれだけのメンツをどうさばくのか、見せてもらうわ)

243 : 以下、名... - 2018/03/01 03:40:11.21 KlKcApYjo 768/872


アンチョビ「作戦はどうする?」

エリカ「!」

ダージリン「行進間射撃しかないんじゃないかしら」

エリカ(あの子がどうするのか見たいけど、でも、島田流と戦うなら……)

ダージリン(……全然聞いてないわね……)

エリカ「楔を打ち込み浸透突破でいくべきよ!!」

エリカ(西住流の凄さを見せつけてほしいっ……!)

みほ「えっと、ひまわりチームを主力として、朝顔とたんぽぽが側面を固めてください」

エリカ「!?」

みほ「連携が取れる距離を保ちつつ、離れすぎないよう注意して下さい」

一同「「「「オーケイ」」」」

エリカ「……」

エリカ(らしくない……)

エリカ(奇手奇策でもなければ、力強さも感じない、普通の戦法……)

エリカ(そりゃ、いつも追い込まれてからが強いタイプだけど……)

エリカ(急造チームだからって、無難なことしてるんじゃないの……?)

244 : 以下、名... - 2018/03/01 03:52:33.84 KlKcApYjo 769/872


ダージリン「それで、ここからが肝心なのだけど……」

エリカ(ほぅ)

ダージリン「作戦名はどうする?」

エリカ(このクソ紅茶女……)

エリカ「そんなのどうでも――」

アンチョビ「三方向から攻めるんだから、三種のチーズピザ作戦!!」

エリカ「!?」

まほ「ほう……三方向という点を綺麗に絡めてるな……」

カチューシャ「ビーフストロガノフ作戦がいいわ!!」

カチューシャ「玉ねぎと牛肉とサワークリームの取り合わせは最高よ!」

エリカ(またこいつらは……今後命がかかるかもしれないってのに……)

エリカ(……)

エリカ(でも……コイツラはコイツらで真面目に考えてるし、下手をすると私よりも技量があるのよね……)

エリカ(隊長も人間は多面的って言っていたし、こういう側面があるからって不真面目なわけでも真剣じゃないわけでもない……)

エリカ(……ならば……)

ダージリン「フィッシュアンドチップスアンドビネガー作戦と名付けましょう」

エリカ「……グリューワインとアイスワイン作戦!!」

まほ「エリカ……」

まほ(そうか……真面目すぎる故にこういう場から常に距離をおいていたのに……)

まほ(そうやってワイワイ出来るようになったんだな……)

まほ(それはそれとして)

まほ「好きな食べものと作戦は関係ないだろう」

エリカ「……はい……」

エリカ(空気を読み間違えた……) ショボン

245 : 以下、名... - 2018/03/01 03:55:30.83 KlKcApYjo 770/872


カチューシャ「じゃあ何がいいのよ」

まほ「……ニュルンベルクのマイスタージンガー作戦はどうだ?」

エリカ「……????」

エリカ(ニュル……なんて? オイスターシンガー作戦……?)

まほ「これは三幕からなるオペラで……」

「長いッッッ」

まほ「……大隊長、決めてくれ」

エリカ「わ、私は素敵だと思いますよ非常に知的って感じですし!」 アセアセ

ケイ「多分だけどフォローすればするほどダメージになってるわよ」

246 : 以下、名... - 2018/03/01 04:05:53.84 KlKcApYjo 771/872


みほ「コッツン作戦で」

みほ「相手を突き出して、えいってやる作戦なので」

エリカ「何よソレ、迫力ないわねえ」

まほ「それでいこう」

エリカ「えっ」

エリカ「……」 ズーーーーン

アンチョビ(なんかめちゃくちゃ凹んでるなあ)

アンチョビ(継続の連中も最初にカンテレの音怒られてからずっと隅っこに座ってるだけだし……)

アンチョビ(これから試合だっていうのに、大丈夫なのかな……)

みほ「パンツァー・フォー!」

エリカ(私の意見にはツッコミすらくれなかったのに……やっぱり隊長にとって一番大切なのは……) ズーーーーン

ミカ「……」

ミカ(早くカンテレ弾きたい……黒森峰の人達早く行ってくれないかな……) ズーーーーン

アンチョビ(大丈夫なのかなあ)

250 : 以下、名... - 2018/03/06 03:46:35.44 FjwRHXZ8o 772/872





エリカ「はあ……」

エリカ(あの子の凄さはいい加減認めてるけど、それでも隊長の寵愛を受けてる事実はこたえるわね……)

エリカ(悔しいわ……) ギリ

『頂上に敵はいないみたいだよー』

カチューシャ「だったらすぐに取るべきよ!」

まほ「大隊長の判断を乞う」

エリカ「……」

エリカ(上下関係は絶対だから大隊長のあの子に指示を乞うのは妥当なんだけど……)

エリカ(あの隊長が下についてる姿、なんだろう、モヤモヤするものが……)

みほ「罠かもしれませんから、十分警戒して下さい」

エリカ(罠なうえに、警戒してもどうしようもないのが降ってくるっての)

みほ「退路を確保しつつ散開しながら前進、敵に遭遇した場合は無理しないようお願いします」

まほ「有利だが、包囲分断される危険性がある」

まほ「他のチームとの連携が取れなくなるかもしれない」

エリカ「……」

エリカ(さすがの隊長も、山頂にとんでもないものぶち込まれて大爆発は想定してないようね……そりゃそうよね……)

251 : 以下、名... - 2018/03/06 03:53:26.63 FjwRHXZ8o 773/872


カチューシャ「M26なんて登るの遅いし、ここは行くしかないわよ!」

ノンナ「取れれば戦術的に優位に立てますね」

エリカ「……」

エリカ(取れないから困ってるんだけど、それはさておき……)

エリカ(ホイホイ外に出て修理を始める自動車部の連中がこっちにいるときは焦ったけど、あのチビッコの言う通り、M26は登るのが遅い)

エリカ(黒森峰の決勝の時のように少しでも早く登らないといけないなんて焦る必要はないし、今回は比較的遅い戦車も多い)

エリカ(無理してポルシェティーガーが悲鳴をあげて、山頂で突然メンテナンスなんてことになる恐れは少ないのが幸いね)

まほ「確かに優位だが、わざと山頂をあけているのかもしれない」

エリカ(おっしゃるとおりです隊長)

カチューシャ「だーいじょうぶよ!」

カチューシャ「あなた、なんだかんだ言って妹のこと信じてないのね!」

カチューシャ「ノンナなんてどれだけ私のことを信じているか」

カチューシャ「私が雪を黒いと言えばノンナも黒いって言うくらいよ!」

カチューシャ「ね?」

ノンナ「はい」

エリカ「私だって隊長がカラスは白いと言えば葉隠覚悟になるくらいの気持ちでいるわよ!」

小梅「そうだよ、実際に隊長が戦車と言えば戦車になってハンバーグを吐き出せるくらいなんだから!」

まほ「……信じるのと崇拝するのは違う」

カチューシャ「うう……」

エリカ「うう……」

小梅「ふふ……」

エリカ「何笑ってんのよぶっ飛ばすわよ」

252 : 以下、名... - 2018/03/06 04:21:21.68 FjwRHXZ8o 774/872


まほ「確かに試合が長引くと経験が多い相手が有利だ」

エリカ(経験なら隊長の右に出る者なんて早々いませんよ!)

小梅(……とか思ってるのに流れが流れだから黙ってるんだろうなあ)

まほ「……序盤で戦果を挙げておきたい」

まほ「行くか」

エリカ「はいっ」 キリッ

小梅(めちゃくちゃ気合入ってる……)

直下(忠犬だなあ……)

カチューシャ「さあ行くわよ、203高知よ!」

エリカ「……」

エリカ(はい、っつっちゃったけど、どーしよう……)

253 : 以下、名... - 2018/03/06 04:37:33.61 FjwRHXZ8o 775/872


カチューシャ「ちょっとニーナ!!」

ニーナ「スミマセーーーン!!」

エリカ「……」

エリカ(まあ、ノロマが多いおかげで、今のところポルシェティーガーも無理をしてはいない……)

エリカ(このまま謎の爆撃にやられたとしても、きっと、死者は出ない)

エリカ(私の目的は……それで達せられる……)

エリカ(……)

エリカ(……ま、でも、あれよね)

エリカ(私の願いはそうだとしても、Ⅳ号の願いは、きっと――)

エリカ「……この勝負、絶対勝つわよ」

逸見車操縦手「ふえ?」

逸見車砲手「どーしたンですかいきなり……」

エリカ「負けっぱなしなんて、王者黒森峰として許せないから、大洗を廃校にさせるわけにはいかないって話よ」

逸見車通信手「?」

逸見車装填手「勿論、そのつもりですけど……」

エリカ「……」

エリカ(私だって、Ⅳ号として過ごした日々のせいで、ちょっとくらい愛着はある)

エリカ(もしもⅣ号に魂というものがあるなら、きっとⅣ号は私の何万倍も大洗に愛着があるはず)

エリカ(借りっぱなしはキライなのよ)

エリカ(私の願いのため散々入れ替わったんだもの)

エリカ(アンタの願いも叶えないとスッキリしないわ)

エリカ(だから……私は、別にこのまま負けたってよかったけど、でも――)

エリカ(この試合に勝って、大洗を存続させるまでしてやるわよッ……!)

254 : 以下、名... - 2018/03/06 04:58:56.95 FjwRHXZ8o 776/872


エリカ(さて、とはいえどうしよう……)

エリカ(隊長なら、あの砲撃でも冷静に対処してくれると信じたいけど、でも……)

エリカ「……」

テンテレテンテンテンテレテレテレ

エリカ「ちょっと、何よこの音」

逸見車通信手「着信音……?」

エリカ「ったく誰よ、緊張感ないわね!!」

逸見車通信手「わ、私じゃないよ」

逸見車砲手「ちゃんとマナーに……」

エリカ「じゃあ誰よ!」

逸見車操縦手「あ、あのさ……」

逸見車操縦手「その……」

エリカ「何よ指差して」

エリカ「……」

エリカ「ゲエーッ、私のポケット!?」

エリカ「こ、こんな曲入れた覚えないわよ!」

逸見車装填手「……赤星さんが入れたんだろうなあ」

エリカ「は?」

逸見車通信手「ほんとだ、この番号赤星さんだし……」

逸見車砲手「ご丁寧に着信時の動画も入ってるし、着ムービーってやつかなこれ」

逸見車装填手「前進ピカピカした逸見さんがエレクトリカルパレードに合わせて横移動してる動画……」

逸見車通信手「こわっ……」

エリカ「あのアマ……」

255 : 以下、名... - 2018/03/06 05:03:31.71 FjwRHXZ8o 777/872


ピッ

エリカ「何考えてんのよこのバカ!!」

小梅『わわ、声が大きいよ逸見さん!』

エリカ「何なのよあの気色悪い動画は!」

小梅『えへへ、気合い入れて作成したんだ』

エリカ「褒めてないわよ……!」

小梅『気に入らなかった?』

小梅『あのエリカトリカルパレード、イツミーランドの目玉の予定だったのに』

エリカ「破産してしまえそんなクソランド」

256 : 以下、名... - 2018/03/06 05:13:15.90 FjwRHXZ8o 778/872


小梅『まあでも、これくらいしないと、試合中にケータイとか見てくれなさそうだし……』

エリカ「当たり前でしょうが」

小梅『だからやったんだよ』

エリカ「あのねえ、言いたいことがあるなら通信手に――」

小梅『それじゃ駄目だよ』

エリカ「……なんでよ」

小梅『……だって、あんまり沢山の人に話したくはないみたいだし』

エリカ「……」

小梅『大洗を助けに行くだけが目的なら、あんな風に考え込んだ顔してないよね』

小梅『……助けることだけが目的なら、きっとまほ隊長を盲信してドンと構えてたと思うし』

小梅『他にも何かしないことがあるなら、言ってよ』

小梅『手伝うから』

260 : 以下、名... - 2018/03/14 03:47:19.67 1UDQVU0Wo 779/872


エリカ「……」

エリカ「どうせ信じちゃくれないわよ……」

小梅『……それでも、話してみてよ』

小梅『例えそれがどれだけ荒唐無稽で信じがたいことだとしても、私はエリカさんを信じるよ』

小梅『……その内容が信じられなかったとしても、ここまで必死になってたエリカさん自体を信じる』

小梅『そのくらいの気持ちがなきゃ、こんなこと、最初から付き合ってないしね』 フフ

エリカ「……」

エリカ「……勝手に誤解して軽蔑されたくないから先に言うわ」

小梅『?』

エリカ「別に相手の誰かと癒着をしているだとか、そういうことじゃあないわよ」

小梅『え、うん。エリカさんは、そういうの、嫌いそうなのは知ってるけど……』

エリカ「そのうえで、言うわ」

エリカ「……私には、次の大学選抜チームの一手が分かってる」

小梅「…………え?」

エリカ(大洗連合軍の戦力を考えると、真っ先に潰したいのは間違いなく私達ひまわり)

エリカ(あのクソデカイ爆撃の射程に203高地が入っていることを思うと、砲撃があるのは間違いない)

エリカ「とんでもない大爆発が引き起こされるわ」

エリカ「……キューポラから体を出してたら間違いなく命を落とすレベルのやつが、ね」

261 : 以下、名... - 2018/03/14 04:10:53.95 1UDQVU0Wo 780/872


小梅『そんな……』

直下『そ、そんなものを、高校生相手に……?』

エリカ「……っと、あんた達も聞いてたわけ?」

エリカ「……」

エリカ「信じられないでしょ、私の言ってることなんて」

エリカ(私自身……あれだけ色々重なってなきゃ、多分信じられなかったもの……)

小梅『まあ、信じがたいけど……』

小梅『うん、でも、信じるよ』

小梅『その話の内容云々よりも、私はそこまでして話してくれたエリカさんのことを信じる』

エリカ「……小梅……」

ブロッケンJr『へっ、元から俺らはお前のために来てるようなモンだしな』

直下『しょうがないなあ、信じるよ』

エリカ「あんた達……」

小梅『それに、エリカさんがこういう場面でそんなジョークを言える人間とも思えないし』

直下『確かに、あのカチカチに固まった頭でそんなこと思いつくとも思えないよね』

エリカ「あんた達……」

262 : 以下、名... - 2018/03/14 04:14:34.42 1UDQVU0Wo 781/872


小梅『でもどうするの?』

小梅『……深刻な顔をしてた理由は、大体わかったけど……』

小梅(命を落とす、って言ってたし……)

小梅『それ、もう、解決してるの?』

エリカ「……」

エリカ「まだよ」

エリカ「確かに、この面々なら誰も死なずに終われるだろうけど……」

エリカ「でも、それじゃあ、勝てない……」

小梅『……じゃあ駄目だよね』

小梅『私は、みほさんも、助けたいもん』

小梅『今度は私が、助けたいもん』

エリカ「……」

エリカ「言っておくけど、私に便利な予知能力があるとは思わないで頂戴」

エリカ「もう未来は見えないし、あれこれ試して未来をカンニングなんて出来ないわよ」

小梅『……そっか』

小梅『それじゃあ、確実にどうにかする方法なんて、ないんだね……』

エリカ「……ええ」

263 : 以下、名... - 2018/03/14 04:44:01.61 1UDQVU0Wo 782/872


エリカ「……」

小梅『でも、確実じゃないやつなら、何かしらあるんでしょ?』

エリカ「……えっ?」

小梅『あれ、違った?』

小梅『私の知ってるエリカさんなら、誰よりストイックで勉強家なエリカさんなら、そうだと思ったけど』

小梅『確実に上手くいくわけじゃなくても、それでも何かを考えつける』

小梅『そして表に見えなくても、何度もトライアンドエラーができる』

小梅『そんなエリカさんは、私から見たら、十分凄い人だよ』

エリカ「……」

小梅『だから、教えて』

小梅[私はどうしたらいいの?]

264 : 以下、名... - 2018/03/14 05:03:35.34 1UDQVU0Wo 783/872


エリカ「それは、その……」

エリカ「……」

エリカ(あるには、ある……)

エリカ(でも……これは……)

小梅『……あるんだね、策』

小梅『黙るでもなく適当にスラスラ言うでもなくその反応、あるにはあるんだ』

小梅『……成功率を気にして言い淀むタイプじゃあないよね、エリカさん』

エリカ「……うっさいわね」

小梅『……私、ろくでもない役どころなんでしょ』

エリカ「……」

小梅『それでもいいよ』

小梅『みほさんとエリカさんを救えるなら、何だってやる』

小梅『パンを尻にはさんで右手の指を鼻の穴に入れて左手でボクシングをしながら「いのちをだいじに」と叫ぶことだって出来る』

エリカ「やらなくていいわよ」

小梅『エリカさんだって全裸で校内を爆走してたんだもの、私だってそのくらい』

エリカ「あーあーあーあーあーあ!!!聞こえない!!!!!!!!!」

265 : 以下、名... - 2018/03/14 05:25:33.36 1UDQVU0Wo 784/872


エリカ「……まあ、そんな恥ずかしいことしたら、ネットで一生言われると思うわよ」

小梅『大変そう』

エリカ「……でも、今頭にある作戦を実行しても、下手したら同じくらいずっと言われるわ」

エリカ「ここまでわざわざ来てくれたのに、何も出来ず無様な形で舞台から下ろしてしまう」

エリカ「……それに、これは決勝のあの子達を思い出して出てきたアイデアだし、西住流としてもみっともない行為になってしまうわ」

小梅『もう、エリカさんったら』

小梅『私達はフツーの女の子なんだよ』

小梅『良くも悪くもエリカさんみたいに西住流に入れ込めてないし、ネットで言われるのは辛いよ』

エリカ「……」

小梅『……でも、フツーの女の子だから、ちょっと短絡的にだってなるの』

小梅『どうせ晒されてるなら変わらない、なんて言ってみたりね』

小梅『それにさ、無様に舞台を降りるだけでいいんでしょう?』

小梅『なら、やるよ』

小梅『ううん。むしろやらせて』

エリカ「……でもアンタ、みほと一緒に闘いたいんでしょう?」

小梅『……そうだね』

小梅『ただ一緒のチームで戦うってだけじゃなくて、本当に、隣に立って闘いたかったよ』

小梅『でも――それ以上に、エリカさんとみほさんが隣に立って戦う姿が見たいかなって』

266 : 以下、名... - 2018/03/14 05:30:32.19 1UDQVU0Wo 785/872


小梅『だから、そのためなら――やるよ、私』

小梅『派手に散るよ』

ブロッケンJr『へっ、仕方ねえな』

直下『ちょっとはいいとこ世間にアピールしたかったけど、しょうがないかあ』

小梅『今度、何か美味しいハンバーグでもご馳走してよ』

エリカ「……っ」

エリカ「バカね」

エリカ「今度、なんて曖昧なこと言わないわ」

エリカ「今夜食うわよ!」

エリカ「祝勝会で、うまいハンバーグを!」

エリカ「……」

エリカ「ありがとう、小梅」

小梅『……!!!』

エリカ「作戦を伝えるわ」

小梅『今、ありがとうって!! 小梅って!!!』

小梅『エリカさんもう一回!! 今度はちゃんと動画取るし録音するから!!!』

エリカ「作戦伝えるっつってんでしょーが感謝の言葉返しなさいアホ!!」

272 : 以下、名... - 2018/03/21 05:17:58.72 XLod00Eio 786/872


直下『あーあ、損な役回り引いちゃったなあ』

小梅「今日のネットニュース、勝っても負けても見るの怖いよねえ」

直下『あー、まとめブログで好き勝手叩かれそうでムカつくー』

小梅「まあ、しょうがないよ。普通、わざと即やられるように動いてるなんて思わないだろうし」

小梅「……」

小梅(誰かは絶対にやられないといけない威力がやってくる、かあ)

小梅(怖いなあ、格好つけるんじゃなかったかも)

小梅「……」

小梅(でも……)

小梅「エリカさんの、お願いだもんなあ……」

273 : 以下、名... - 2018/03/21 05:30:33.06 XLod00Eio 787/872


エリカ(最初にあのクソでっかいのをブチこむなら、当然ターゲットは重戦車)

エリカ(機動力のせいで外そうものなら、せっかくの切り札が無駄になる)

エリカ(ここは確実に戦力を削ぎ、また奇襲による戦果によってこちらのパニックを促進したいはず)

エリカ(戦力を確実に削ぐなら隊長か、プラウダのノンナあたりを狙ってくるだろうけど……)

エリカ(外した時のリスクが大きい)

エリカ(あの二人は狙われた直後に瞬時に切り替えて反撃の手を考えそうな怖さがある)

エリカ(でも……悔しいけど、私や他の連中にはそんな技量はない)

エリカ(洒落にならない爆発で襲われ、友軍が撃破され、次は自分だとなったら、途端に浮足立ってしまう)

エリカ(自分が狙われただけなら「大丈夫だ」の一言で事態を収められる隊長でも、私達木っ端が揃ってパニックに陥ったらどうにもできない)

エリカ(大学選抜があのクソデカボンバーを有効活用するなら、少しでも多くの獲物を――それも出来れば重戦車を倒したいはず)

エリカ(ならば餌を与えてやればいい)

エリカ(格好の獲物としかいいようがない位置に、黒森峰の重戦車という美味しい餌を二つぶら下げておく)

エリカ(これならば――――)

274 : このスレッドは戦車戦のシーンはふんわり適当にお送りしておりますので各々都合よく解釈して下さい - 2018/03/21 05:32:09.49 XLod00Eio 788/872

1507565485-274


275 : 以下、名... - 2018/03/21 06:09:09.63 XLod00Eio 789/872


エリカ(きた――――ッ!)

カチューシャ「何なのよぉ!!」

エリカ(アホ丸出しのチビッコ隊長は体を出してたみたいだけど、何とか無事!)

『あー、こちらひまわり』

『上から飛んできたっぽいぞ』

エリカ(ここまでは想定内)

エリカ(あとはこのパニックを最低限の犠牲で乗り越えるッ)

『すっごく大きいやつだと思うけど、気のせいかな』

『気のせいじゃありませぇん!!』

エリカ(あのアホはパニックになってるのか逆に冷静なのか……)

エリカ(まあ、平常運転か)

276 : 以下、名... - 2018/03/21 06:14:15.74 XLod00Eio 790/872


エリカ(……赤星からの最後の通信は、「射点につきました」か……)

エリカ(多分、二人とも――)

ズドォォォォォォン

エリカ(一発目を耐えていたとしても、もう――)

小梅『パンター1号車、撃破されました!』

直下『2号車行動不能!』

エリカ「……」

エリカ(……ごめん……)

エリカ(他の誰が分かって無くても、私だけはアンタらの頑張り、しっかり覚えておくから……)

まほ『3発目が来る前に前進しろ!』

エリカ(今は、アイツラがくれた命を守って、ここを切り抜けるッッ)

277 : 以下、名... - 2018/03/21 06:20:14.64 XLod00Eio 791/872


エリカ「前方の敵、攻撃開始!」

まほ「後退ッ!」

『勿体無いけど戻るぞっ』

エリカ「……」

エリカ(酷いひっくり返り方……赤星、怪我とかしてなきゃいいんだけど……)

『駄目だ、戻れ戻れェ!』

『あれ、これって……』

柚子『包囲されてる……っ!』

まほ「……」

まほ「後方からの半包囲、上から謎の砲撃」

まほ「しかも前からは敵本体」

エリカ(隊長……お願いしますッ……)

エリカ(悔しいけど、私一人じゃあの砲撃はどうにもできそうにありません)

エリカ(どうか、この状況を、なんとか……!)

まほ「……」

まほ(不安そうな顔だな……)

まほ(安心しろ、まだ慌てるような時間じゃない) フルフル

まほ「前方斜面をこのまま降りる」

まほ「中隊全速前進、たんぽぽと合流するぞ」

278 : 以下、名... - 2018/03/21 06:25:01.39 XLod00Eio 792/872


カチューシャ「見てごらんなさい、私には当たらないわよっ!」

エリカ(アホか当たったら大惨事なんだっつーーーーの!!!)

エリカ(これだからガキは嫌なのよすぐ調子のって!)

エリカ「……って……」

エリカ「隊長、あのチビッコ隊長の車輌が……!」

まほ「狙われている、か……」

まほ(どうするか……)

まほ「む?」

クラーラ『カチューシャ様、お先にどうぞ』

クラーラ『それでは、ごきげんよう』

エリカ「あいつ日本語喋れたの……って――」

カチューシャ『クラーラ!?』

エリカ「まさか、あのロシアン……」

クラーラ『カチューシャ様、一緒に戦うことができて、光栄でした』

エリカ「……」

エリカ(そこまで言われるほどの存在、か……)

279 : 以下、名... - 2018/03/21 06:29:23.38 XLod00Eio 793/872


エリカ「隊長、またプラウダの連中が……!」

まほ「……」

まほ「非情な言葉になるが……正直、助かる」

まほ「カチューシャは実際この先必要になる」

エリカ「……」

エリカ(隊長、あのガキのことをそこまで……)

エリカ「って、あのブリザードのノンナまで!?」

エリカ「あの馬鹿、自分がどれだけの戦力かの自覚を――」

まほ「……させてやれ」

まほ「これが、ブリザードのノンナなりの敬愛であり、闘いなんだ」

まほ「私達に出来るのは、その想いを背負い、倒れる彼女の分まで前に進むことだけだ」

まほ「……勿論、彼女の分だけじゃない。赤星達の分も、だな」

エリカ「……はい」

まほ「……」

まほ「カチューシャ、何をしている」

カチューシャ「…………ッ」

カチューシャ「撤退、するわよっ……!」

280 : 以下、名... - 2018/03/21 06:38:10.81 XLod00Eio 794/872


エリカ「……」

エリカ(半数が犠牲になったけど、死人は出ていないはず……)

エリカ(ブリザードのノンナを失ったのはヤバイけど、あの強烈なパーシングを道連れにしてくれた……)

エリカ(良くはないけど、最悪でもない……だけど……)

エリカ(あの砲撃を、どうすれば……)

ヴヴヴヴヴ

エリカ(ケータイ……バイブってことは、メール……?)

エリカ(こんな時に……)

エリカ(でも、あの子も試合中に敢えてメールで作戦やり取りしてたこともあるっていうし、見ないわけにはいかないわよね……) ピッ

281 : 以下、名... - 2018/03/21 06:39:19.75 XLod00Eio 795/872


From:赤星

件名:無事だよ!

本文:戦車は無事じゃないけどね!笑

ドロップ・アウトしたら連絡できなくなるから、皆怪我はないってことだけ取り急ぎ報告しておくね!

282 : 以下、名... - 2018/03/21 06:46:53.51 XLod00Eio 796/872


エリカ「赤星……よかった……」 ホッ

エリカ(あ……添付ファイルが……)

エリカ(車内の連中の写真……?)

エリカ(よかった、ちょっと薄汚れてるけど、大怪我はしてなそうね……)

ヴヴヴヴヴ

エリカ(っとと、直下からも……)

エリカ(よかった、こっちも無事みたい……)

エリカ(それにしても、なんでどいつもこいつも真顔で座って……)

エリカ「……!」

エリカ(座っている位置が不自然……)

エリカ「あ、ああ~~~~~~っ!」

エリカ「これは――――Lの陣形ッ!」

283 : 以下、名... - 2018/03/21 06:51:56.20 XLod00Eio 797/872


エリカ(通信傍受などを警戒する為作られた、黒森峰独自の通信手法……)

エリカ(座り方で意図を伝える斬新な通信……)

エリカ(西住流にも黒森峰にも憧れていたし……そういうの、なんだかすごく格好いい気がしてたから……)

エリカ「フフ……わかっているわよ」

エリカ(Lの陣形は 最後まで望みを捨てずに戦え! だったわね!!)

エリカ「バカね……言われなくても、この程度で音なんてあげるつもりはないわよ」

エリカ(あの子のため、アンタ達のため、そして何より私自身のため――最後まで足掻き続けてやるっての!)

284 : 以下、名... - 2018/03/21 06:55:20.77 XLod00Eio 798/872


エリカ「……大隊長」

みほ『ひゃ、ひゃいっ!』

エリカ「ビクビクしないで頂戴」

エリカ「……クソむかつくけど、アンタに頼むわ」

エリカ「こっちはようやく振り切ったけど、どうこう策を弄せるような余裕がない」

エリカ「私にもそうだし、隊長やチビ――カチューシャもそう」

エリカ「だから――」

エリカ「アンタが何とかしなさい」

エリカ「……アンタなら、出来るでしょう?」

エリカ(クソむかつくけど――それでも、諦める方が数倍むかつくから)

エリカ(今だけは、クソ忌々しいアンタに賭けるッ)

290 : 以下、名... - 2018/04/18 23:25:28.92 F5vkVy/u0 799/872


ミカ「~♪」

アキ「もう、さっきまでは借りてきたネコ状態だったのに、急に元気になるんだから」

ミッコ「まあ、気持ちはわかるけどなー」

ミッコ「ただでさえ知らない人ばかりだったのに、ハンバーグで戦車潰す人間まで居たんだし」

アキ「もー、仲良くしとけば色々プラスになったかもしれないのにー」

ミカ「……それは本当に必要なことかな???」

ミッコ「しかし、このメンツであの砲撃の主を探し当てる、ねえ……」

ミカ「……あくまで敵の捜索がメイン」

ミカ「とはいえ、私達で撃破に向かうのもいいかもしれないね」 ポロローン

アキ「ええ、無茶だよそんなの~」

ミカ「……ふふ」 ポロローン

ミカ(適当に役に立って、相打ちになってここを出られたら上出来、かな……)

291 : 以下、名... - 2018/04/18 23:48:32.81 F5vkVy/u0 800/872


エリカ(……しかしあの砲撃……)

エリカ(威力的にシュトゥルムティーガーが最有力候補だと思ってたけど……)

エリカ(それにしてはロケット推進音がなかった)

エリカ(……とすると……)

エリカ「まさか……カール自走臼砲……!?」

逸見車操縦手「ええ!?」

逸見車砲手「あれって使用可能車輌なの……!?」

エリカ「サンダースのバカどもがやりかねないから調べたときはまだ競技中だったけど……」

逸見車通信手「でも、多分それであってると思う!」

逸見車通信手「逸見さんが言うより若干先に、みほさんの所の通信手から通信入ってたし!」

逸見車通信手「あとサンダースの人達も逸見さんより早くその結論に至――」

逸見車通信手「いたっ、いたたたた!」

エリカ「いちいちどちらが早かったなんて言う必要ある?」 ギリギリ

逸見車通信手「め、目がマジで怖いよ!!」

292 : 以下、名... - 2018/04/19 00:01:06.07 KuYcTXM40 801/872


逸見車砲手「まあまあ……」

逸見車砲手「最近逸見さん弄られキャラとしてやってるみたいだからっていう気遣いなんだし……」

エリカ「小さな親切大きなお世話の例文にできるレベルで巨大なお世話よ」

逸見車操縦手「それにしても、カールって聞いてすぐさまカール自走臼砲が連想できるんだから、黒森峰ってすごいよね」

エリカ「はあ? このくらい普通でしょ」

逸見車装填手「いやあ、普通は『カール』って聞いたらお菓子が出てこないかなーって」

エリカ「あのねえ……素人じゃないんだから……」

エリカ「大体お菓子のカールであの爆発とか非現実的にも程があるでしょ」

逸見車通信手「でもハンバーグで戦車倒すような人もいるし……」

エリカ「あーあー聞こえない。あーあーあー」

293 : 以下、名... - 2018/04/19 00:12:34.69 KuYcTXM40 802/872


エリカ「それにしても……」

エリカ「いくら相手を見つけるのが再優先とはいえ、あの連中で大丈夫なのかしら」

エリカ「全員豆戦車だし……」

エリカ「戦闘になったら為す術もなく蹂躙されるわよ」

逸見車通信手「……でも、意外と何とかするかもよ」

逸見車操縦手「確かに、アンチョビさん達って、何かやってくれそうなものを感じるよね」

エリカ「そう?」

エリカ「そりゃまあ、たまにハッとするような作戦は立ててるけど……」

エリカ「結局毎回うちと練習試合する度にスペック差の前に屈してたじゃない」

逸見車砲手「あと、継続の人達も、伊達に私達を追い込んだわけじゃないって感じの練度だよね」

逸見車操縦手「逸見さんのハンバーグ射出がなきゃ負けててもおかしくなかったもんね」

エリカ「忘れろアノ時のことは」

294 : 以下、名... - 2018/04/19 00:20:45.38 KuYcTXM40 803/872


逸見車通信手「それに、大洗の子たちも凄いよね」

逸見車通信手「あの二人、確かマウスを倒した人達だし」

逸見車通信手「それに、あの大洗の副将までいるんだよ?」

逸見車通信手「きっと何とかなるって」

エリカ「……気持ちはちょっとだけ分かるけど、向こうの副隊長って期待できない置物よ」

逸見車砲手「え、そうなの?」

逸見車砲手「でもすごい賢そうな顔してたけど……」

エリカ「顔だけよ、あんなやつ」

エリカ「少なくとも知性なんてひとっつも無いわ」

エリカ「口先だけで煽ることしか出来ない哀れな存在よ」

エリカ「不意をつれるとすぐテンパルし、平気で和を乱すし、役職がそもそも向いてないのよあの子は」

逸見車操縦手(ツッコミ待ちかな……)

295 : 以下、名... - 2018/04/19 00:36:18.23 KuYcTXM40 804/872


エリカ「まあ敵の位置情報はわかったし、なんとか強力な戦車を送るより他手はないわ」

エリカ「あの小隊じゃ倒せないのは火を見るよりも明らかだもの」

逸見車通信手「うーん、そうなのかなあ」

エリカ「当たり前でしょ」

エリカ「どんぐり小隊とカールってだけでも絶望的な差があるのに、絶対護衛ついてるのよ」

エリカ「その戦力差はひっくり返せる域を越えてる」

エリカ「まだ人間がワニと素手ゴロした方がマシなほどよ」

逸見車砲手「そこまで言わなくても……」

エリカ「いーや言うわ」

エリカ「私達は王者よ、客観的に戦力差を見れなくてどうするの」

エリカ「もしあの貧弱な小隊がカールをぶっ倒そうものなら、ワニと素手でだって闘ってやるわよ」 フン

逸見車装填手「す、すごい自信だ……」

逸見車砲手「万が一のことを考える気0なんだ……」

エリカ「やる前から駄目だったときのことを考えるヤツなんていないわよ」

逸見車通信手(そうかな……)

299 : 以下、名... - 2018/04/26 06:40:25.73 U6aQRrUN0 805/872


まほ「カール自走臼砲を撃破、か……」

アンチョビ『代わりに継続が撃破されちゃったけどなー』

まほ「いや、上出来だろう」

まほ「……さすがはエリカが奇策に出ねば倒せなかった相手、か」

アンチョビ『いやー、全て終わったらピザでも振る舞って労ってやらないとなー』

まほ「そのためにも、気を引き締めて勝利で終わらなくてはな」

まほ「まもなくたんぽぽと合流する」

エリカ『……』

まほ「……どうしたエリカ、大人しいが……」

まほ「先程の砲撃でどこか不調でも発見されたか?」

エリカ『いえ……』

エリカ『ワニと闘うならどう闘うべきかをちょっと……』

まほ「……」

まほ「よ、よくわからないが、噛む力に対して口を開く力は大したことがないと聞くし、口を押さえつけることが求められると思うぞ」

アンチョビ(あ、答えるんだ……)

300 : 以下、名... - 2018/04/26 06:46:49.78 U6aQRrUN0 806/872


絹代「西住さん」

絹代「わが校は2輌も戦列を離れてしまい、誠に申し訳ございません」 ペコリ

みほ「いえいえ……」

カチューシャ「うちはカチューシャだけになっちゃった……」

ダージリン「大丈夫」

ダージリン「まだ貴女が残ってるわ、カチューシャ」

カチューシャ「わ、わかってるわよ!」

絹代「……」

絹代「知波単は2輌撃破されたのに対し、黒森峰も2輌……プラウダに至っては3輌も……」

玉田「おおっ、つまり我々はプラウダ以上であり、あの黒森峰にも並んだということでは!?」

カチューシャ「は???」

エリカ「あ?」

301 : 以下、名... - 2018/04/26 07:27:35.41 U6aQRrUN0 807/872


アンチョビ「お、おいおい……」

アンチョビ「そういう言い方はよくないぞ……」

ダージリン「でもその理屈だと、1輌も撃墜されていない私達とアンツィオ高校、そして大洗が三強ということになりますわね」

アンチョビ「さ、三強!?」

アンチョビ「三強か……」

ペパロニ「なんかかっこいい響きっすね姐さん!」

カチューシャ「今すぐ被撃墜数を増やしてあげようかしら!?」

エリカ「いいわね、あんなクソ戦車、秒でぺちゃんこにしてやるわ!!」

アンチョビ「な、バカバカ、こっち向けるな~っ!」

ケイ「ウチも撃墜されていないけど、履帯やられたり知波単ズを守りそこねたりはしちゃったもんね~」

ダージリン「こんな格言を知ってる?」

ダージリン「ヤツは四天王の中でも最弱」

ケイ「ワオ、四天王にしてくれるのね。エキサイティング!」

アリサ「意味わかりません隊長ッ」

まほ「大隊長、脱線著しい上に不快感故に連携に難が出かねない。何とかしてくれ」

みほ「え?」

みほ「ええと……」

みほ「……」

みほ「すみません、私の責任です……」

沙織「諦めて全部責任背負って終わらせようとしないでみぽりーーーーーん!!」

302 : 以下、名... - 2018/04/26 07:31:51.43 U6aQRrUN0 808/872


みほ「でも……実際私のせいで、これだけ被害が出たようなものだから……」

まほ「定石通りやりすぎたな。らしくもない」

みほ「……」

エリカ「まったく……準決勝でもだけど、不利になるまで本領発揮しないのは悪いクセね」

まほ「みほの闘いをすればいいんだ」

みほ「……!」

ケイ「ここからの作戦は? 大隊長」

みほ「局地戦に持ち込んで、個々の特性を活かしチームワークで戦いましょう」

エリカ「急造チームでチームワークぅ?」 プップクプー

エリカ(ほんっと、甘ったるい考えが大好きねえ……)

まほ「急造でもチームはチームだ」

エリカ「……」

まほ「互いに足りないものを補うしかない」

エリカ「……」

逸見車操縦手(誰かエリカさんのメンタルケアっていう必要なのに今足りてないポジション埋めてくれないかな……)

303 : 以下、名... - 2018/04/26 07:37:57.68 U6aQRrUN0 809/872


エリカ「……」

逸見車操縦手「わ、わあ、遊園地跡だあ、興奮するなあ」

エリカ「……」

逸見車砲手「……」

逸見車装填手「そのトークは絶対違うって……」 ヒソヒソ

逸見車通信手「ええと、アンツィオの人達ジェットコースターのレールに乗ったんだって!!」

逸見車操縦手「へ、へえ! すごい!」

逸見車装填手「便利なGPSになるかも!」

エリカ「……」

逸見車装填手「……」

逸見車砲手(……き、気まずい……)

逸見車操縦手(こういう沈黙を平気で生むし時折キレ出すし、やっぱり逸見さんって面白い人ではあるけど怖さもあるなあ……)

まほ『……撃て』

エリカ「撃て……」

逸見車砲手(て、テンションが低い……!)

逸見車通信手(もう急造チームの誰でもいいから何とかしてえ~!)

逸見車操縦手(年単位でチーム組んでても話が盛り上がらないことくらいあるもんなあ……)

逸見車装填手(隊長、こういう気まずい空気を察して和ませたりは絶対してくれないしなあ……)

304 : 以下、名... - 2018/04/26 07:44:28.20 U6aQRrUN0 810/872


エリカ「……」

エリカ(隊長に怒られた……だって実際急造チームなのに……) シュン

カチューシャ「……4輌しかいないみたいね」

カチューシャ「私達を引きつけておくだけみたいだけど、どうする?」

まほ「……分かった、いこう」

まほ「エリカ、頼む」

エリカ「!!!!!!!!!!!!!」 パァァァァァァ

エリカ「はいっ!!!!!!!」

逸見車通信手(隊長相手のときだけちょろすぎてちょっと見ていて心配になるなぁ……)

305 : 以下、名... - 2018/04/26 07:46:49.79 U6aQRrUN0 811/872


エリカ「んふっ……んふふふふふふ!」

逸見車操縦手(こわい……)

逸見車装填手(きもい……)

エリカ「オッケーですよ隊ッッ長!!」 ダパパパパパ

逸見車通信手「うっきゃーっ、滝のような鼻血がっ」

逸見車操縦手「うえっ、ちょ、かけないでえっ!」

エリカ「ほらそんなこと気にしないでちゃんと前見てドリフトしなさいドリフト!!」

エリカ「大学生がなんぼのもんじゃーい!!よ」

逸見車砲手(久々にハンバーグ吐き出すわけでもないのに狂った姿を見ている気がする……)

306 : 以下、名... - 2018/04/26 07:56:20.87 U6aQRrUN0 812/872


エリカ「そらそら、バンッバン落とすわよ!!」

逸見車操縦手「元気だなー逸見さん……」

逸見車操縦手(ちょっと引くわ……)

逸見車砲手「さっきまでは頭上の砲撃に怯えてたのにねえ」

エリカ「うるさいわね」

エリカ「飽きたのよ、ビクビクしながらトラウマの砲撃に背を向け逃げ出すような真似は」

エリカ「それにねえ……今の私はさっきまでの私とは違う」

エリカ「守りたくて、守らなくちゃいけなくて、一人で闘ってたときとは違う!」

エリカ「仲間の犠牲という大きすぎるものに応えなくちゃいけないプレッシャーがあったさっきまでとは!」

エリカ「私は……私は隊長に『エリカ、頼む』と言われたのよ!」

エリカ「私は、信頼と共に言われたのよ!!」

エリカ「エリカ、頼む――って!」

エリカ「強すぎる故に何でも一人で出来てしまうような隊長が、頼むって私に……」

エリカ「大事な決勝戦ですら完全には頼ってくれなかった隊長が、あの時守りにいくことが出来なかった私なんかに……頼むって……」

エリカ「こんな、こんな私によ!」

エリカ「黒森峰という最高峰から逃げ出して弱小校でエースを張り大学選手に選ばれただけのヤツらには分からないでしょうね!」

逸見車砲手(私達にもそこまでテンション上がる理由はいまいちわからん)

311 : 以下、名... - 2018/05/11 05:23:48.47 /f890eT80 813/872


エリカ「ふうー……」

逸見車砲手「わあ、やった!」

逸見車操縦手「あの大学選抜相手に撃墜数ゲット!!」

エリカ「ふっふっふ」

エリカ「隊長に信頼し託されたらこんなものよ!」 ドヤッ

エリカ「まっ、継続が異常だったとはいえ、あの大学選抜相手にこうもやれる私達はやっぱりすごいってことね」

エリカ「プラウダの連中をもってしてもブリザードのノンナしか撃墜数を稼げなかったんですもの」

エリカ「やはり胸を張って黒森峰のナンバー2を名乗るべきね」

逸見車通信手(知波単から撃破の報告来たことは黙っていよう……)

312 : 以下、名... - 2018/05/11 05:52:44.20 /f890eT80 814/872


エリカ「……隊長がチャーフィーの動きに仕組まれたものを感じると言ってたけど……」

エリカ「見事なまでに包囲されてやがるわね……」

逸見車砲手「うっ、めちゃくちゃいっぱいいる……」

逸見車操縦手「1体倒したところで包囲に大きな穴開けられないし、と、とりあえずこっちが撃墜されないようにしないと……」

逸見車通信手「確かに私達までやられたら本当に終わりだけど、でもどうするの!?」

逸見車装填手「このままだと、他の皆は――」

エリカ「……ッ」

エリカ(くそっ、さすが大学選抜……)

エリカ(このままじゃここでほとんどの戦車がやられる……)

エリカ(そうなったら本当に終わりよ……!)

エリカ(何か……何でもいいから打開策を……)

ゴロゴロゴロゴロ

エリカ「……ん?」

観覧車先輩「」 ゴロゴロゴロゴロ

エリカ「」

逸見車砲手「……なに、あれ……」

逸見車装填手「さあ……」

逸見車通信手「うわっ、こっち来た!!!」

エリカ「はあ!? ちょ、逃げるわよ!」

エリカ「他の連中と合流!!!」

エリカ「こ、こんなところであんな意味わかんないものにぶつかって白旗上げましたなんてことになったら一生の恥よ!」

逸見車通信手(でもハンバーグ吐き出す生身の人間にやられるよりはマシだよなあ……)

エリカ「ちょっと何よその目は」

313 : 以下、名... - 2018/05/11 05:58:51.84 /f890eT80 815/872


みほ『相手以上にこちらが分散するので、見えない仲間の把握に心がけてください』

エリカ「……急造チームに本当にチームワークを求めるわねえ……」

逸見車通信手「でも意外となんとかなるんじゃない?」

逸見車通信手「隊長クラスの人大勢いるし……」

逸見車通信手「皆協調性あって、自分で判断もできるから柔軟性もあるし……」

エリカ「……協調性ある?」

エリカ「あの格言紅茶馬鹿や傲慢ちき幼児体型に突撃チンパンジーに」

逸見車通信手「……判断力があって柔軟性があるからそのへんは、こう……」

逸見車砲手(協調性……無い人の方が多いかもなあ……)

314 : 以下、名... - 2018/05/11 06:03:56.85 /f890eT80 816/872


エリカ「ったく……ようやく観覧車もいなくなったわね」

逸見車通信手「バイバイ観覧車先輩~」

エリカ「ちょっと、大洗のアホなノリに感染しないでよみっともない」

逸見車通信手「あはは……駄目?」

エリカ「駄目に決まってるでしょ」

エリカ「黒森峰はもっとこう、ピリピリとした緊張感に包まれてなきゃいけないのよ」

エリカ「そんなんじゃ、これからのプランFで何一つ戦果をあげられないわよ」

エリカ「あの脳天気な連中はあてにならないし、こっちがバシバシ戦果を上げなきゃいけないんだからね!!!」

315 : 以下、名... - 2018/05/11 06:15:52.39 /f890eT80 817/872


エリカ「……」

逸見車砲手「……」

エリカ「……」

逸見車操縦手「……」

エリカ「……」

逸見車装填手「……全然撃墜数増えないね」

エリカ「し、仕方ないでしょうが」

エリカ「こういうのはタイミングとかの問題も……」

逸見車通信手「あ、大洗の人達や、よりにもよって知波単の人達まで撃墜報告あげてきてる……」

エリカ「な、なんですって!?」

エリカ「ええい、探せ! 獲物を探すのよ!」

エリカ「あんな連中に負けてられないわ!!」

逸見車通信手(人間が小さいなあ……)

逸見車装填手(最初はあんなに殊勝だったのに、すっかりいつもの人間性の低い逸見さんになっちゃったなあ……)

逸見車通信手「っと、どうやら向こうのセンチュリオンが出てきたらしいよ!」

エリカ「……!」

エリカ(センチュリオン……現代最強のニンジャ戦法を使う島田愛里寿、ね……)

エリカ「相手にとって不足はないわっ……!」

逸見車通信手(どこにいるかもまだふわっとしか分かってないのにもう倒す気でいるとか、不足してるのは計画性じゃないかな……)

316 : 以下、名... - 2018/05/11 06:54:13.36 /f890eT80 818/872


逸見車通信手「……えっ?」

エリカ「今度は何!」

逸見車通信手「嘘……」

逸見車通信手「各所からドンドン撃破されたって報告が来てる……」

エリカ「なんですって!?」

逸見車通信手「さっきまでは圧倒的に優位に立ってたはずなのに、たった一台のセンチュリオンで、ここまで……」

エリカ「……」 ゴクリ

逸見車砲手「……」

逸見車砲手(目の色が変わった……みほさん達の命運がかかってるもんねえ)

逸見車砲手(追い込まれてる時の方が強いのかも、なんて)

逸見車砲手(……みほさんもそうだから、口にしたら怒られそうだしいわないけど)

エリカ「……」

逸見車装填手(どうしたんだろう、さっきから何を考え――)

エリカ「センチュリオンに挑むのは一旦中止」

エリカ「それより、どこか適当な連中と合流するわ」

エリカ(クソッ、なんで一瞬でひっくり返されそうになってるのよ……!)

322 : 以下、名... - 2018/06/21 03:09:52.56 7UtrLC770 819/872


カチューシャ「くっ……」

カチューシャ「どーなってるのよ、次から次へとやられてるじゃない!」

エリカ「無事!?」 ザッ

カチューシャ「!」

ナカジマ「黒森峰の……!」

カチューシャ「当たり前でしょ!」

カチューシャ「カチューシャが簡単にやられるわけないじゃない!」

エリカ「……」

エリカ「わからないでしょ」

エリカ「通信聞いたでしょ、あのサンダースが一瞬で全滅したのよ」

カチューシャ「……」

エリカ「まあ何にせよ無事で良かったわ」

エリカ「……癪だけど、今の状況じゃアンタらと合流出来るにこしたことはなかったからね」

カチューシャ「ふん、そうでしょうそうでしょう」

カチューシャ「なにせ黒森峰を破ったプラウダの隊長なんだからね!」 フッフーン

エリカ「……」

エリカ(確かにチビッコもそうだけど、ソレ以上に……) チラリ

ナカジマ「はは、頼りにしてるよーカッチャン」

エリカ(狂った程の整備技能を持つ自動車部……)

エリカ(あのサンダースの連携すら敗れる相手に勝つには、一瞬でも相手の虚を突く必要がある……)

エリカ(まっとうな戦車乗りとは違うアプローチにすがるしかない……)

エリカ「……」

エリカ(……こんな、邪道みたいな手に頼るはめになるなんてね……)

カチューシャ「……って、アンタ“ら”ってなによ」 ムスッ

ルクリリ「はっはっは」

ルクリリ「このルクリリ、聖グロの誇る秘密兵器として、その期待に応えてさしあげますわっ!」

エリカ「……」

エリカ(いたのか……アレは別にどうでもいいや……聖グロの連中気に入らないうえに隊長格と比べて大分落ちるし……)

324 : 以下、名... - 2018/06/21 03:23:46.01 7UtrLC770 820/872


ナカジマ「それで、どうするの」

ナカジマ「アンツィオの人達からも連絡が途絶えたけど」

ルクリリ「どうやらセンチュリオンが暴れまわってるらしいけど……」

カチューシャ「……」

カチューシャ「センチュリオンは遭遇しない限り無視するわよ」

ルクリリ「え?」

カチューシャ「……知波単とか、集団で挑んで返り討ちにあったって報告が入ってるわ」

カチューシャ「所詮知波単だからっていうのはあるだろうけど……」

カチューシャ「まともに連携の練習もしてないカチューシャ達で簡単に勝てる相手とは言えないわ」

カチューシャ「……それに、向こうにはサンダースが三人がかりでやられた中隊長三人組がいる」

カチューシャ「最悪の事態は、その両方が健在なこと」

エリカ「……随分弱気な考えなのね」

カチューシャ「勿論負けるつもりなんてないわよ」

カチューシャ「でもね、ノンナが教えてくれたの」

カチューシャ「勝てないなんて許せないし屈辱的だわ」

カチューシャ「だけど――何にも残せず舞台を去るなんて許されない」

カチューシャ「カチューシャは、未来に繋ぐために散ったノンナ達の分も戦う責任がある」

カチューシャ「……私の手で万が一にも終わらせられないなら、そのバトンを繋がなくちゃならないの」

325 : 以下、名... - 2018/06/21 04:10:38.21 7UtrLC770 821/872


カチューシャ「……センチュリオンと中隊長三人が同じくらい厄介だとして」

カチューシャ「万が一だけどカチューシャ達が全滅するとするでしょ」

カチューシャ「……センチュリオン相手だと、どれだけ抵抗したところで、倒せなくちゃほとんど意味がないわ」

ナカジマ「確かに、履帯とか一部を壊しても直されたらおしまいだもんねえ」

エリカ「いや、アンタらが異常なのよ……普通試合中にあそこまで直せないからね?」

カチューシャ「まあ、それでも直されるリスクは大きいわ」

カチューシャ「よしんば直されなかったとしても、後から対峙する人間がどこがおかしいか瞬時に見抜いてくれなきゃいけない」

カチューシャ「勿論カチューシャになら余裕だけど!」

カチューシャ「……まあ何にせよ、何もダメージを与えられないよりマシとはいえ、そこまで効果は見込めないわ」

カチューシャ「その場合、このカチューシャが率いているのに全滅するような相手がほぼ無傷で相対しちゃうのよ」

カチューシャ「もうそうなれば一巻の終わり」

カチューシャ「……だけど、中隊長の場合はそうじゃない」

エリカ「……白旗を上げさせたら修理復帰は出来ない、か」

カチューシャ「ええ」

カチューシャ「三体揃ってはじめて強力なコンビプレーで立ち回れるみたいよ」

ナカジマ「サンダースの最後の通信でそんなこと言ってたねえ」

カチューシャ「逆に言えば、一体でも落とせばその戦力は大幅に落ちる」

カチューシャ「……勿論完勝を目指しにいくわ」

カチューシャ「でも――最悪の場合、一輌を落とせればいい」

ナカジマ「その小さなキズで、中隊長という強敵は瓦解する、かあ」

ナカジマ「カッチャン、賢いなー」

カチューシャ「だーかーらー、そのカッチャンっていうのと子供扱いをやめなさいよ!」 プンスコ

326 : 以下、名... - 2018/06/21 04:26:13.03 7UtrLC770 822/872


エリカ「厄介といえば、搭乗員の技量の差で若干落ちるとは言え、T28も十二分に警戒対象だったけど……」

逸見車通信手「そういえばいつの間にか落ちてましたね」

ルクリリ「……それならダージリン様がなんとかしてくださった」

エリカ「あの紅茶格言馬k……ダージリンが?」

ルクリリ「言いとどまるの大分遅くない?」

カチューシャ「……ダージリンは自分達の白旗と引き換えにT28を落としたそうよ」

エリカ「……あの女が自己犠牲なんて……」

ナカジマ「私としては、エキシビションでカッチャンが身を挺してダージリンさんを庇ったことにも驚いたけどねー」

カチューシャ「あれはそうするのが最善だったし、あっちがフラッグなうえに身を挺したら即座に勝てると分かってたからよ」

カチューシャ「その後どうなるか分からなかったら身を挺したりなんてしてないわ」

カチューシャ「このカチューシャが脱落したら不利になるのは目に見えてるんだから!」

エリカ「……」

エリカ(そう……遠くの地で、最終決戦よりも前に強敵を倒したところで、勝ちに即座に繋がるわけじゃない……)

エリカ(……だから、ずっと、隊長の傍にいたんだ……)

エリカ(隊長の傍でなら、隊長の勝利に直接貢献出来るような気がしたから)

エリカ(……決着をつけてくださる隊長から離れた場所では、どれだけ奮起してもどれほど効果があるのか実感しにくかったから)

327 : 以下、名... - 2018/06/21 04:41:04.82 7UtrLC770 823/872


エリカ「……」

エリカ(カチューシャは、成長してるのね……)

エリカ(相変わらず腹立つクソチビではあるけど……)

エリカ(……今なら、良いところも見ることが出来る……)

カチューシャ「サンダースからの最後の通信を信じるなら、そろそろかち合うはずよ!」

エリカ「……」

エリカ(ノンナの姿を見て軟化した、ってところかしらね……)

エリカ(……少しだけ、それも分かるわ……)

エリカ(私だって――――)

ナカジマ「!」

ナカジマ「発見したよ!」

ルクリリ「3輌ってことは――」

カチューシャ「体当たりでもいいから、センチュリオンとの合流を阻止するわよ!」

エリカ「言われなくてもそのつもりよ!」

エリカ(別個でもヤバいっていうのに、合流なんてさせられないッ)

エリカ(センチュリオンの出現報告的に、明らかに合流に向かってるし、猶予は無――――)

ドンドン
 ガンッ ギャインッ

シュポッ

ルクリリ「ああっ、クソォ!!」

エリカ「なっ――!?」

エリカ(体当たりもよけられたうえに、1輌落とされた?!)

エリカ(こ、これが大学トップクラスの実力――――――ッ!)

328 : 以下、名... - 2018/06/21 04:46:53.52 7UtrLC770 824/872


ナカジマ『……このままじゃあ追いつけないから、パワー出すよ!』

ナカジマ『スリップでついてきてね、よろしくぅ!』

エリカ『……スリップするのか???』

カチューシャ「スリップストリームね!」

エリカ「……」

逸見車砲手「スリップストリームって分かる?」

エリカ「わ、わかるわよ! あったりまえでしょ!!」

逸見車装填手「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うけど」

エリカ「わかってるけどピンときてなかっただけよ!!」

逸見車通信手「こっそり聞いてあげようか?」

エリカ「やめろ!!!!!」

329 : 以下、名... - 2018/06/21 04:58:21.43 7UtrLC770 825/872


ルミ「そんなんじゃいつまで経っても追いつけないよーノロマさん達ぃ~」

エリカ「……」

エリカ「なんだろう、猛烈にナメられてるような予感が……」

逸見車装填手「おお、さすがナメることのスペシャリスト……」

エリカ「おい」

逸見車砲手「他人は平気で見下すくせに、自分や黒森峰へのディスには敏感なだけあるよね……」

逸見車通信手「荒れてるスレとかで勝手に深読みして勝手にキレるタイプかあ……」

逸見車操縦手「シャドーボクシングにならないようちゃんと操縦してあげるのが同じ戦車に乗る私達の役目なのかもね」

エリカ「アンタらほんと最近私のこと馬鹿にしてるわよね? ねえ?」

337 : 先制したり追加点入れたり思ったよりテレビにかじりつきそうで申し訳ない - 2018/07/03 04:21:37.41 KTvtY1U90 826/872


カチューシャ『……それで、アンタはこれでいいの?』

エリカ「……は?」

エリカ「何よ今更」

カチューシャ『カチューシャはカチューシャのことを信じているし、カチューシャのことを信じてくれたノンナ達のことも信じてる』

カチューシャ『私は自分の判断を信じて、自分にやれることをやるわ』

カチューシャ『だからここは、自分の命に替えてでも誰かを落とすつもり』

カチューシャ『……でも別に、ムリに付き合えとは言わないわよ』

エリカ「……え?」

カチューシャ『カチューシャのことは他の誰よりノンナが理解してくれてるように』

カチューシャ『ミホーシャと、それに西住まほのことを、誰より分かってるのはアンタ』

カチューシャ『……あの二人のために、どうするのが最善なのか』

カチューシャ『それと、自分自身がどうしたいのか』

カチューシャ『それだけを考えて行動しなさい』

ナカジマ『お二人さん、お喋りしてると舌噛むよ!』

カチューシャ『二番手は私がつくわ、コバンザメは最後尾について、やりたいようにやればいいわ!』

エリカ「コバンザ……私のことかこの野郎!!!!!」

338 : 以下、名... - 2018/07/03 04:42:56.29 KTvtY1U90 827/872


ナカジマ『ツチヤ!』

ツチヤ『はいはい!』

ツチヤ『エンジン規定はあるけど、モーターはないもんねぇっ』 ポチー

エリカ「うわっ」

逸見車操縦手「ひえーっ、なにあれ!」

逸見車通信手「ね、ねえどうするの逸見さん!」

エリカ「……」

エリカ「私は……」

339 : 日本おしかった・・・ - 2018/07/03 04:59:23.35 KTvtY1U90 828/872


エリカ(私は……どうしたかったんだろう……)

エリカ(あの娘を助けたい?)

エリカ(勿論そうだ。今回は、そのために……)

エリカ(……いや、でも、それだけじゃない……)

エリカ(成長したのはアンタだけじゃないってことも見せつけたいし、今度こそ隊長を守りたい)

エリカ(隊長と一緒に戦いたい……)

エリカ(ううん……あの娘と、隊長と、3人で……)

エリカ(……)

逸見車装填手「い、逸見さん……?」

エリカ「……ふふ、馬鹿ね」

エリカ「あれはもう……二度とは叶わないただの夢なのに」

340 : 以下、名... - 2018/07/03 05:19:24.85 KTvtY1U90 829/872


エリカ「……どうするも何も、さっきと一緒よ」

エリカ「あの二人と協力して、体当りしてでも絶対止める」

エリカ「それだけよ!」

逸見車操縦手「……いいの?」

エリカ「……いいのよ」

エリカ「あの二人の横に並び立てる実力は、今の私にはない……」

逸見車装填手「そ、そんな、ことは……」

エリカ「いいのよ」

エリカ「いいの」

エリカ「だからって、諦めたわけじゃないもの」

エリカ「……いつか絶対並び立ちたい」

エリカ「だからこそ――ただ尻尾振ってついていくだけじゃ駄目なのよ……ッ」

345 : 以下、名... - 2018/07/23 00:43:24.27 pjnV+iJf0 830/872


ずっと、遠くから見てるだけだった。

ずっと、届かない背を老い続けるだけだった。

空っぽの土台に、憧れだけを積み上げて。

何とかしがみついた場所は、空っぽの私には分不相応で。

――待っててください、隊長!

待っててもらえるような存在になれなかった。

間に合えるような存在にもなれなかった。

隊長の役に立つことも出来ない、少し目立つだけの雑兵。

所詮私は、あの人に憧れ、あの娘に嫉妬する、ただの凡人だったんだ。

346 : 以下、名... - 2018/07/23 01:15:38.69 pjnV+iJf0 831/872


Ⅳ号戦車になってわかった。

私はあの娘にはなれない。

……あの娘の代わりになるなんて、最初から無理だったんだ。

それに、私じゃあの娘に敵わない。

認めたくはなかったけれど、どうしようもなく大きな才能の壁がある。

腐っても西住流の血だ、邪道に行ってもその才能は揺らいでいない。

……隊長は、最初から全部分かっていたのだろう。

あの娘の幻影を追っても、あの娘と張り合っても、私に先などないって。

だからずっと言われていたのに。

お前の戦車道を見つけろと、言われていたはずなのに。

結局私は、空っぽのハリボテのままだった。

349 : 以下、名... - 2018/07/23 01:30:47.34 pjnV+iJf0 832/872


だけど、それでも。

エリカ(それでも、私は――――)

貴女の後ろをついていきたい。

貴女の右腕になりたい。

貴女の右腕として、あの娘と張り合っていたい。

エリカ「今ッ!」

金魚のフンと罵られようとも。

自分がない空っぽの存在と嘲られようと。

それでもこれが、目指し焦がれて歩んできた道。

無謀だろうが、虚ろだろうが、誤っていようが、無様であろうが、それでも――――

エリカ「ッてぇ!!!」 ズドムッ

350 : 以下、名... - 2018/07/23 01:34:25.54 pjnV+iJf0 833/872


逸見車操縦手「うーん、見事にやられたなあ」

逸見車砲手「それでも何とか1輌は倒せてよかったわ」

エリカ「……」

逸見車通信手「……やっぱり、この程度で満足してちゃまずい、かな?」

逸見車装填手「……結局今回も、隊長の援護行けなかったもんね……」

エリカ「……いいわよ」

逸見車通信手「ふえ?」

エリカ「これで十分」

エリカ「きっとこれが――分相応なんだわ」

逸見車砲手「逸見さん……」

エリカ「何も、隊長の隣で、隊長と一緒に戦うだけが右腕の仕事じゃない」

エリカ「……前と違って、ちゃんと右腕の仕事を成し遂げられたんだもの」

エリカ「満足よ。私は」

351 : 以下、名... - 2018/07/23 01:46:32.27 pjnV+iJf0 834/872


逸見車装填手「……おお……」

逸見車砲手「なんだか逸見さんが……」

逸見車操縦手「つきものとれた、みたいな顔してる……」

逸見車通信手「逆に怖い……」

エリカ「アンタラね……」

エリカ「言っておくけど、今回はこれで満足ってだけで、今後はもっとバシバシ上を狙うわよ」

エリカ「少しでも隊長のお役に立てるようにするんだからね!」

逸見車砲手「ひえ~っ」

逸見車通信手「うう、隊長もあと半年で引退なのにぃ」

エリカ「……それでもよ」

エリカ「まあ、情けない話だけど、私にはその道しか知らないし――」

エリカ「何より、あの人のために動いているときが、一番楽しい」

エリカ「あの人の力になりたい――って、思うんだから」

352 : 以下、名... - 2018/07/23 01:54:51.47 pjnV+iJf0 835/872


逸見車砲手「ひゃー、愛ですなあ」

逸見車通信手「こりゃ来年また私達苦労しますねぇ」

エリカ「う、うっさいわね!」

逸見車操縦手「まあ、でも仕方ないから付き合ってあげますか」

逸見車装填手「前より付き合いやすくなったしねえ」

逸見車砲手「実際、隊長の腰巾着が板についっちゃってるしね、私らも」

エリカ「腰巾着じゃなくて右腕って言いなさいよ!」 プンスコ

エリカ「……」

エリカ「不満があれば……」

エリカ「来年の再編成で、別の車輌に行ったっていいんだからね……」

353 : 以下、名... - 2018/07/23 01:57:53.23 pjnV+iJf0 836/872


逸見車面々「…・………」

逸見車面々「ブフッ」

逸見車装填手「あっはっは、なにそれ」 ゲラゲラゲラ

逸見車操縦手「ガラじゃなさすぎるよっ」 ゲラゲラゲラ

エリカ「ッさいわね!」

エリカ「自分がかなり情けないこと言ってるって自覚してるから、一抜けするチャンスをあげたんでしょうが!」

逸見車砲手「いやいや、付き合うってば」

逸見車操縦手「今更他っていうのもねー」

逸見車装填手「それに、私達だって腐っても西住流だもん」

逸見車通信手「そうそう、隊長のお役に立ちたいって気持ちは持ってるんだから」

エリカ「ったく……」

354 : 以下、名... - 2018/07/23 02:20:04.53 pjnV+iJf0 837/872


エリカ(腐っても西住流、か――)

何処まで行っても、やっぱり貴女を追うことはやめられない。

どれだけ割り切ろうとしても、あの娘と張り合うことをやめられない。

二人に依存せず、自分だけで成り立てる、確固たる道を見つけられたらよかったのに。

エリカ(そうね。例え、望んでた形じゃないとしても)

それでも、そうやって歩いてきた道だから。

だからこそ、ここまでやって来れたのだから。

このままずっと、この道を歩んでやる。

本物には遠く及ばないハリボテの実力で、いつか空っぽの土台を満たしてやる。

エリカ(これが、私)

それが――今の私の、自分自身が歩みたいと思った戦車道だ。

355 : 以下、名... - 2018/07/23 02:23:37.84 pjnV+iJf0 838/872


カチューシャ「ちょっと、何ぼんやりしてるのよ」

エリカ「……クソチビ……」

カチューシャ「カチューシャは小さくないわよっ!」

エリカ「はいはい……」

エリカ「まあ確かに、いつまでもここに居てもしょうがないわね」

エリカ「さっさと移動しましょ」

エリカ「隊長の勇姿を見逃しちゃうわ」

カチューシャ「……」

グイッ

エリカ「っ!」

エリカ「ちょっと、急にスカート引っ張らないでよ!」

エリカ「ストンと落ちたらどうするのよ!」

カチューシャ「どうするって……爆笑しながら写真を撮るけど」

エリカ「このガキ」

356 : 以下、名... - 2018/07/23 02:27:28.23 pjnV+iJf0 839/872


カチューシャ「カチューシャは疲れてるのよ」

カチューシャ「それに、黒森峰の番犬風情が頭が高いのも気に入らないわ」

カチューシャ「肩車しなさい」

エリカ「……」

エリカ「はあ~~~~~???」

エリカ「遊園地で疲れた四歳児までよ、そんなワガママが通るのは!」

逸見車通信手「まあ、でもここは遊園地ではあるしね」

逸見車砲手「逸見ママ……」

逸見車操縦手「今夜のおかずはハンバーグよ、はぁと」

逸見車装填手「口から出して来そうでやだー」 クスクス

エリカ「アンタら~~~~!!」

357 : 以下、名... - 2018/07/23 02:30:52.83 pjnV+iJf0 840/872


カチューシャ「光栄に思いなさい」

カチューシャ「カチューシャはそれなりに認めた相手にしか肩車をさせてあげないんだから」

エリカ「はあ?」

エリカ「ったくどれだけ傲慢なのかしら」

エリカ「大体アンタなんかに褒められたって嬉しくないわよ」

逸見車通信手「と、言いながらもしゃがむんだ……」

逸見車装填手「めちゃくちゃ嬉しそう……」

逸見車砲手「笑顔を隠せてないよね……」

逸見車操縦手「常に叩かれっぱなしで、全然褒めてもらうことなかったもんねえ……特に他校からは……」

エリカ「アンタらそういう陰口はせめて聞こえないようにやりなさいよ全部聞こえてるわよコラ」

逸見車砲手「じゃあまた逸見の森復活させる?」

エリカ「やめろ」

逸見車通信手「種籾を植えようか……たねも見エリカさんが、やがて立派な逸見の森になるように……」

エリカ「…………っ!」

カチューシャ「ちょ、ちょっと! カチューシャを投擲武器にしようとしないでよっ!!」

358 : 以下、名... - 2018/07/23 02:39:37.27 pjnV+iJf0 841/872


エリカ「ったく……」

カチューシャ「……」

カチューシャ「まあ、でも、少しはマシになったんじゃない」

カチューシャ「ただキャンキャン吠えてしっぽ振るだけの犬じゃなくなったみたいだし」

エリカ「何よソレ」

カチューシャ「少なくとも、虚栄にしか使ってなかったその首輪、前よりは立派に見えるわよ」

エリカ「……はあ?」

エリカ「もうちょっとわかりやすく言いなさいよ」

カチューシャ「そうね……」

カチューシャ「ほんのちょっぴりだけ、ノンナみたいになったわねってことよ」

カチューシャ「肩車をさせてもいいくらいにね」

エリカ「!」

カチューシャ「まあ、射撃の腕は足元にも及ばないし、人間性から忠誠度まで本当に比べるべくもないけれど」

カチューシャ「言うならば超絶劣化ノンナね」

カチューシャ「ノンナをSSR腹心とするならNの腹心くらいにはなれたわよ、よかったわね」

カチューシャ「課金したら出てこなくなるレベルの存在とはいえ、ようやく比べてあげてもいいくらいにはなったわ」

エリカ「このままパワーボムにでも移行してやろうか」

377 : 以下、名... - 2018/12/25 22:19:22.90 cNUWCSvW0 842/872


カチューシャ「……それにしても……」

カチューシャ「意外と乗り心地が悪くないわね……」

カチューシャ「体幹がしっかりしてるからかしら」

エリカ「ふん、これでも黒森峰の未来を背負う副隊長よ」

エリカ「体力だって必要だし、ボクササイズで体を引き締めてるんだから」

カチューシャ「ふーん……」

カチューシャ「まるで戦車に乗ってるみたいな安心感は確かにあるわね」

エリカ「だ、だだ、誰が戦車よ!」

カチューシャ「うわあっ、ちょ、暴れないでよ危ないでしょ!!」

378 : 以下、名... - 2018/12/25 22:26:44.84 cNUWCSvW0 843/872


エリカ「んなことより隊長達よ!」

エリカ「……勝ってくれると信じてはいるけど……」

エリカ「あっ、やった! パーシング撃破!」

カチューシャ「……ふふん、カチューシャ達が一輌落としておいたおかげね!」

エリカ「はあ? 私の功績が一番大きいでしょ」

エリカ「……」

エリカ(あいっかわらず、理解を超えた動きをするわね、あの娘も……)

エリカ「……っ」 ズキッ

エリカ「……?」

エリカ(何かしら、今の……少し頭が……)

379 : 以下、名... - 2018/12/25 23:07:36.09 cNUWCSvW0 844/872


エリカ「……」

エリカ「ここで急旋回」 ボソ

カチューシャ「?」

エリカ「……」

カチューシャ「……ほんとに急旋回したわね」

カチューシャ「読んでたわけ? やるじゃない」

カチューシャ「まあ! 勿論カチューシャだって読めてたけど!」

エリカ「……」

エリカ(いや、読めてたっていうか……)

エリカ(デジャヴ?)

エリカ(なんだか、細かい動作一つ一つが頭に浮かぶっていうか……)

エリカ「……」

エリカ「あ……」

エリカ(浮かんでくる映像、全部戦車視点……ってことは……)

エリカ(Ⅳ号のときの記憶……?)

380 : 以下、名... - 2018/12/25 23:11:20.12 cNUWCSvW0 845/872


エリカ(いや、でも、私がⅣ号になってたとき、ここまで来られなかったわよね……)

エリカ「……」

エリカ(あ、でも……)

エリカ(今の時間のⅣ号と入れ替わっていた私が居るのは確かなわけで……)

エリカ(未来が変わった今、あのⅣ号はどうなってるのかしら)

エリカ(少なくとも未来が変わる前は、あの中に私がいたはずだし、Ⅳ号の魂は入ってなかったはずだけど……)

エリカ(……こーいうSF的なの、正直さっぱりなのよね……)

エリカ「…………」

エリカ「ねえ、パラレルワールドとか詳しかったりする?」

カチューシャ「は?」

エリカ「……なんでもないわ」

381 : 以下、名... - 2018/12/25 23:13:59.18 cNUWCSvW0 846/872


エリカ「……」

エリカ(そういえば、今までは、戦車の中に私が居るときは、常にその時間でも入れ替わりが起きてたのに……)

エリカ(今回は起きないのね)

エリカ(……これが最後だからってことかしら)

エリカ(まあ、大洗も救えたんだろうし、十分よね……)

エリカ(Ⅳ号の中に居たおかげで、色々なことを知れたし……)

エリカ「……っ」 ズキッ

エリカ(また頭痛……まったくなんだってのよ……)

エリカ「…………あれ?」

エリカ(Ⅳ号の中に入って、色々知って……)

エリカ(知ったはずよね……)

エリカ(私……何を見て、何を知ったんだっけ……?)

382 : 以下、名... - 2018/12/26 00:54:43.81 JaX/Ez/c0 847/872


エリカ「……?」

エリカ(何……何なの……なんだか、頭にモヤがかかって……)

エリカ(何か大切なことを学んだ気がするのに……)

エリカ(イマイチ思い出せない……?)

カチューシャ「……」

カチューシャ「どうかした?」

エリカ「……」

カチューシャ「まったく、あの忠犬がご主人様の試合に集中しないなんて」

カチューシャ「よほどのことがあったのね」

エリカ「な、しゅ、集中してないなんてことは……」

カチューシャ「……」

カチューシャ「あのさ」

カチューシャ「噂で聞いただけだし、違ったらスルーでいいんだけど」

カチューシャ「それ、戦車みたいな奇行してたことと関係があるわけ?」

エリカ「っ!!」

383 : 以下、名... - 2018/12/26 02:35:15.91 JaX/Ez/c0 848/872


エリカ「な……」

エリカ「……」 ジロリ

小梅「何かこっち睨んでるけど、私じゃないからね!?」

カチューシャ「言っとくけど、諜報活動が得意なのは聖グロだけじゃないんだから」 フフン

小梅「ほら、冤罪」

小梅「その情報はあんまり漏らさないようにしてたんだから」

エリカ「……悪かったわよ」

小梅「そりゃあ、他の情報は逸見の森で積極的に流してたけど……」

エリカ「気になるけど聞きたくないわね何流してたのか……」

直下「生理重くてすぐ不機嫌になるからそのへんの情報は皆で共有してたよね」

小梅「森の仲間達総出でチェックしてたらそのへんすぐ分かるもんねえ」

エリカ「物量を活かしたストーカー行為ほんとやめなさいインターネットじゃないんだから」

384 : 以下、名... - 2018/12/26 02:37:20.64 JaX/Ez/c0 849/872


カチューシャ「……特別に、話してあげるわ」 コソ

エリカ「……?」

エリカ「何よ、急にヒソヒソと……」

エリカ(……顔が近い……肩車のせいでただでさえ密着してるのに……)

エリカ(ブリザードのノンナがここにいなくてよかったわ……)

カチューシャ「……カチューシャも、昔、似たようなことがあったのよ」

エリカ「………………は?」

385 : 以下、名... - 2018/12/26 02:41:14.84 JaX/Ez/c0 850/872


カチューシャ「とは言っても――カチューシャにその記憶はないわ」

カチューシャ「でもね」

カチューシャ「ノンナが記録をつけてたのよ」

エリカ「……はあ……」

カチューシャ「身長が3ミリ伸びた気がして、確認するためにノンナに聞いたところ……」

カチューシャ「毎日記録をつけてるっていうから見せてもらってたんだけど」

エリカ「え、毎日記録付けてるの? 身長の?」

エリカ「アンタのとこの副官、どうかしてるんじゃないの?」

カチューシャ「ちょっと、ノンナを馬鹿にすると許さないわよ!」

カチューシャ「大体、どうかしてる具合で言うと、アンタも大概なんだからね」

エリカ「はあ~??? 私の隊長への想いはもっとピュアネスですぅー!」

小梅(試合佳境なのに、何か楽しそうだなあ二人とも……)

386 : 以下、名... - 2018/12/26 03:18:41.54 JaX/Ez/c0 851/872


カチューシャ「まあとにかく、つけてた記録を見せてもらってたんだけど……」

カチューシャ「結構細かく記録がつけられてて、懐かしむように読み漁っちゃったのよね」

カチューシャ「そしたら、書いてあったのよ」

カチューシャ「……1年くらい前に、私が何かおかしくなったって」

エリカ「今でも十分おかしいでしょ」

カチューシャ「そこには色々調べた結果が記されていたわ」

カチューシャ「どうやら私がまるで戦車みたいになったって書いてあった」

エリカ「く、苦し……あ、足を首に絡めるなっ……おえっギブ! ギブ!」 バンバン

小梅(何喋ってるのかあんまり聞こえないけど楽しそうだなあ……)

387 : 以下、名... - 2018/12/26 03:32:49.38 JaX/Ez/c0 852/872


カチューシャ「……おかしなことに、そのあたりの記憶、まったくないのよ」

カチューシャ「私には勿論、ノンナにもね」

エリカ「……え?」 ケホッ

カチューシャ「そのあたりの記憶が、どーにも皆朧げなのよね」

カチューシャ「ノンナなんて、思い出せないことを悔やんで柱に何度も頭を打ち付けてたわ」

カチューシャ「そのせいで校舎の柱が一本砕けて大変だったんだから」

エリカ「あんたんとこの副官こそ体が戦車で出来てンじゃないの?」

388 : 細かいところにミスが出てるけど脳内修正してもらえると助かるなって… - 2018/12/26 04:00:18.41 JaX/Ez/c0 853/872


カチューシャ「だからまあ、アンタが戦車っぽくなったって聞いて、少し気になってたのよ」

カチューシャ「……カチューシャに何が起きてたのか、何か知るヒントになるかもって」

エリカ「……私は……」

エリカ「…………」

カチューシャ「……その調子じゃあ、アンタももう、忘れつつあるみたいね」

カチューシャ「プラウダの工作員を総動員しても全然分からないし、まったくどうなってるのかしら」

エリカ「忘れる……」

エリカ「……そんな馬鹿な……」

エリカ「だって、あんなに強烈な……」

エリカ「強烈な……」

エリカ(あれ……何があったんだっけ……?)

389 : 以下、名... - 2018/12/26 04:09:49.52 JaX/Ez/c0 854/872


エリカ「……」

エリカ(何か……学んだはずなのに……)

エリカ(とても大切な何かを……)

エリカ(なのに……思い出せない……!?)

エリカ「そんな……」

ワァァァァァァァ

小梅「すごいすごい、すごいね!」

エリカ「えっ?」

小梅「えっ、見てなかったの?」

小梅「隊長がものすごく格好良く単独でパーシング倒してたのに……」

エリカ「はああああああああああ!?」

エリカ「うっそ、そんな大切なシーンを私は……!」

エリカ「ぐあーっ、録画っ、誰か今の映像に残してないの!?」

カチューシャ「だあもう! キョロキョロしないで、カチューシャが上に乗ってるのよ!」

390 : 以下、名... - 2018/12/26 04:34:10.79 JaX/Ez/c0 855/872


エリカ「はぁ……」

エリカ「残りの勇姿だけでもしっかり目に焼き付けておこ……」

エリカ「……」

エリカ(しっかしほんと、ムカつくくらい完璧な連携だわ)

エリカ「……」

エリカ(でも、どうしてかしら)

エリカ(前ほど嫉妬に狂わない……)

エリカ(何故かは分からないけど、受け入れたうえで、爽やかな感じで乗り越えたいって気持ちになってる……)

エリカ「…………」

エリカ「ひっ!」 ビクン

カチューシャ「どーしたのよ」

エリカ「え、あ、な、なんでもないわっ」

エリカ(な、なんでかしら……空砲の奇策を見たら、おしりがジンジンと痛くなってきた……)

391 : 以下、名... - 2018/12/26 04:55:46.13 JaX/Ez/c0 856/872


エリカ「……」

エリカ「勝ったのね……」

エリカ「……よかった……」

カチューシャ「ふうん……」

カチューシャ「……Ⅳ号を見て、そう言うのね」

エリカ「えっ?」

エリカ「あ、いや、その……」

カチューシャ「いいんじゃない。何故か気になる戦車ができるの、気持ちは分かるもの」

カチューシャ「……カチューシャも、かーべーたんのこと、不思議と他人と思えないし」

エリカ「……」

カチューシャ「多分、何かしら大きな転機を迎えた戦車乗りには、そーいうのがあるんじゃないの」

カチューシャ「カチューシャも、かーべーたんが気になるようになった、記憶朧げな時期くらいから、隊長として急成長出来たもの」

エリカ「いや、他人と思えないもなにも、あんたとCV-2じゃあ高さが全然違……」

カチューシャ「首に足絡ませたまま全体重後ろに傾けるわよ」

392 : 以下、名... - 2018/12/26 04:58:33.87 JaX/Ez/c0 857/872


エリカ「……」

エリカ(よくわからないけど……まあ、いいわ)

エリカ(考えても分からないのに、考えたってしょうがないもの)

エリカ(今はただ――)

エリカ(胸に感じる暖かさに身を委ねて、素直に喜ぼう)

エリカ(隊長の勝利と、そしてあの娘達の道が途切れなかったことを)

小梅「あは……」

小梅(やったね、エリカさん……)

小梅(らしくない大喜びしちゃって……)

小梅(でも、いじるのはやめておいてあげよ)

小梅(……本当に……誰より願ってたもんね……)

小梅(おめでとう、エリカさん……!)

393 : 以下、名... - 2018/12/26 05:07:13.11 JaX/Ez/c0 858/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

394 : 以下、名... - 2018/12/26 05:24:33.20 JaX/Ez/c0 859/872


あの後――結局私は、あの娘と何か話すでもなく帰路についた。

あの娘がいろんな人に囲まれていたというのもあるし、

隊長とのやり取りを邪魔したくないというのもあった。

それに、何か大切なことを忘れたような感覚に陥って、

不思議と涙がこぼれ落ちていたというのもある。

とにかく――そんなこんなで、大洗女子学園の生徒としての一日は終わった。

あとは、これまで通り、黒森峰の逸見エリカとして精進するのみ。

隊長の右腕となれるよう、自分の足でしっかりと自分が選んだ道をゆく。

そしていつかは、胸を張って、隣に歩けるような存在になる。

そう思っていたのに――

エリカ「あああああ……なんで隊長ドイツにいいいいいい……!」

395 : 以下、名... - 2018/12/26 05:30:22.30 JaX/Ez/c0 860/872


エリカ「いやおめでたいことだけども! だけども!!」

エリカ「あああああああ……胃が痛い……」

エリカ「まだまだ教わりたいことがあったのに……」

エリカ「ううう……私の在学期間だけ全部V逸の暗黒期とか絶対イヤよ……うう……」 キリキリ

小梅「そのときはネットで延々一緒に叩かれようね」

エリカ「おわーーーーーーっ!」

小梅「わっと……ほんと驚かせると反射的に手が出るのよくないよ……」

小梅「もう慣れたからスウェーで回避できるようになったけど」

エリカ「……も、もしかして聞いてた……?」

小梅「まあね」

小梅「夏くらいから、何か独り言多くなってるし」

エリカ「う……なんでか分からないけど、くせになっちゃってるのよね……」

小梅「……やっぱり不安?」

エリカ「べ、別にそんなことないわよ」

小梅「もう……私にくらい本音を話してくれてもいいのに……」

小梅「そうやって抱え込むと、いざV逸見さんとか影で言われ始めた時潰れちゃうよ?」

エリカ「まあまあリアルにネットで将来使われそうな蔑称スラスラ挙げるのやめてくれない?」

396 : 以下、名... - 2018/12/26 05:37:07.10 JaX/Ez/c0 861/872


小梅「まあ、今の黒森峰、新体制以降で色々大変な時期だもんね」

小梅「隊長がいなくなってから、無限軌道杯復活しちゃったし」

エリカ「他校は隊長まだ残ってるとかほんっっと勘弁してほしいわ」 キリキリキリ

小梅「でも大洗は替わったらしいし……」

エリカ「それが特に不可解なのよ」

エリカ「なんでまたあの娘じゃなくてあのクソ無能片眼鏡に……」

小梅「ソレ、この前も言ってたけど……」

小梅「あの頭良さそうな人、そんなに無能なのかなあ」

エリカ「……」

エリカ(何故かは自分でも分からないけど、あいつは無能って感覚が刻まれてるのよね……)

397 : 以下、名... - 2018/12/26 05:48:32.63 JaX/Ez/c0 862/872


小梅「でもほら、諦めたらそこで試合終了だよ」

小梅「それに戦力だって、うちはトップクラスなんだから」

小梅「あふれる武力で返り討ちにしてあげようよ」

小梅「例えばほら、くまのぬいぐるみを人質に取るとか……」

エリカ「奇策も奇策じゃないの!」

エリカ「それに、ボコ――あのクマ、ボコボコにされるのがアイデンティティなのよ」

エリカ「あれを人質に取っても喜ばれるだけだわ」

小梅「わあ、詳しい」

エリカ「……そんなことないわよ」

エリカ「ちょっとググったら出てくる程度の知識しかないから」

小梅「ふう~ん、なんでググったのかなあ」 ニコニコ

エリカ「…………うるさい」

398 : 以下、名... - 2018/12/26 05:54:24.83 JaX/Ez/c0 863/872


小梅「でも、みほさんと同じあのクマさんを愛好してる島田愛里寿ちゃんは……」

エリカ「……ああ、そういえば、あの試合の時一瞬止まってたわね……」

小梅「本人はコメントを控えてたけど、あれってやっぱり、そういうことだよね」

エリカ「……まあ……」

エリカ「本人も無自覚の内に、何か思い入れがあるとかしたんじゃない」

エリカ「知らないけどさ」

エリカ「……物にも魂はあると思うし」

エリカ「何かそう考えると、無実のボイテクを撃ったりできなかったんでしょ」

小梅「……」

エリカ「……何よその顔は」

小梅「いやあ、エリカさんが、物にも魂が宿るなんてロマンチックな考え方をするなんて……」

エリカ「あーーーーもう、その顔ムカつくのよ」

エリカ「さっさと行くわよ、試合始まっちゃうし」

小梅「ふふっ……そうだね」

399 : 以下、名... - 2018/12/26 05:58:12.35 JaX/Ez/c0 864/872


みほ「あ……」 バッタリ

エリカ「……」

小梅(う、うわー……)

小梅(私個人としてはこのままお茶でもしたい顔ぶれだけど……)

エリカ「……」

小梅(隊長になったばかりでピリこいてる状態だと無理だよねえ……)

みほ「……」

小梅(み、みほさんも萎縮しちゃってる……)

小梅(どうしよう、ここはいっちょ小粋な腹話術で場をなごませるべきかな……)

小梅(水没後談笑相手が枕くらいしかいなかったときに培った一人芝居芸なら、きっとこの空気も――)

エリカ「小梅」

小梅「ひゃいっ」

エリカ「悪いんだけど、先に言っててもらえる?」

エリカ「ミーティング、はじめておいて」

小梅「え、でも……」

エリカ「……お願い」

小梅「……」

小梅「うん、わかった」

小梅「みほさん。それじゃあ、またね」

みほ「あ、うん……」

400 : 以下、名... - 2018/12/26 06:06:49.99 JaX/Ez/c0 865/872


みほ「え、えと……」 オドオド

エリカ「……」

エリカ「言いたいことがあるのならハッキリ言えば? 大洗の隊長サン」

エリカ「……ああ、“元”でしたね」 ハン

みほ「……えっと……」

エリカ「かといって……」

エリカ「副隊長、と呼ぶつもりはないわよ」

エリカ「それこそとっくに“元”って感じだし」

みほ「うう……」

エリカ「……とはいえ……」

エリカ「名字は名字で、隊長とかぶるから呼びたくないのよ」 ハァ

401 : 以下、名... - 2018/12/26 06:10:54.91 JaX/Ez/c0 866/872


エリカ「言っておくけど、私はこのまま終わるつもりはないわよ」

エリカ「どこまでだって隊長の背中を追いかけるし、いつかは西住流を極めてみせる」

エリカ「……アンタとだって、ずっと戦って、そしてねじ伏せ続けるつもりよ」

みほ「エリ……逸見さん……」

エリカ「……だからまァ……なんていうか……アンタの呼び名がないと不便なのよ……」

エリカ「黒森峰の元副隊長でもなく、大洗の元隊長でも副隊長でもなく」

エリカ「そーいった肩書を全部取っ払ったアンタという個人相手に、勝ち続けるつもりだから」

みほ「……うん……」

みほ「私も……」

みほ「今は、戦車道が、とても好きだから……」

みほ「ずっと続けていきたいし……逸見さんとも、その……」

402 : 以下、名... - 2018/12/26 06:17:49.12 JaX/Ez/c0 867/872


エリカ「……アンタは入学当時から有名だったし……」

エリカ「引っ込み思案なアンタにかわって、隊長がアンタのことを紹介してたわよね」

みほ「そ、そうだっけ……」

エリカ「そうよ」

エリカ「だから私は……アンタのことを何も知らないのよ」

エリカ「……何故だか、すぐ傍でずっと戦った間柄みたいに感じるのに」

みほ「え……?」

エリカ「……なんでもないわ」

エリカ「とにかく、肩書抜きの素のアンタのこと、私はアンタの口から一度も聞いたことがないの」

エリカ「だから、その、聞かせてくれない?」

エリカ「生涯を賭けてぶっ倒さないといけない相手の名前を」

エリカ「……これから、貴女を、なんて呼べばいいのかを」

エリカ「……ほら、数年越しだけど、自己紹介しなさいよ」

エリカ「小梅が待ってるんだから、早く教えなさい」

エリカ「貴女の名は?」

403 : 以下、名... - 2018/12/26 06:21:07.68 JaX/Ez/c0 868/872


みほ「あっ……」

みほ「みほ……西住みほ……」

みほ「好きなものはボコで、えっと……」

みほ「……みほって、呼んでほしいな、なんて……」

みほ「……」

みほ「逸見さんとも、今度こそ本当に、お友達になりたいから……」

エリカ「……フン」

エリカ「今まで友達じゃなかったってのは、腹立たしいけど、まあ事実だからいいわ」

エリカ「仲良し小好しをする気はないけど……」

エリカ「楽しく戦術の話をしたいって思わせるくらいの凄さ、見せつけなさいよ」

エリカ「……みほ」

みほ「…………!」 パァァァァ

404 : 以下、名... - 2018/12/26 06:24:45.57 JaX/Ez/c0 869/872


エリカ「とりあえず、互いに勝ち進んでからね」

エリカ「事前に話しすぎると談合とか疑われかねないし」

みほ「あ、うん、そうだよね」

エリカ「……全部終わったら、Ⅳ号の中ででも話さない?」

エリカ「何故か分からないけど……あんたのⅣ号、見てるとどこか懐かしい気持ちになるのよ」

みほ「……?」

みほ「よく、わからないけど……」

みほ「エリ……逸見さんと一緒に、Ⅳ号でおしゃべりできるのは、すごく嬉しい……」

みほ「Ⅳ号にも、感謝しないと、かな」 アハハ

405 : 以下、名... - 2018/12/26 06:37:38.58 JaX/Ez/c0 870/872


エリカ(……下の名前で呼び合いたい、か……)

エリカ(小梅といい、みほといい、些細なことに拘るわよね)

エリカ(まあ、私も人のこと言えないけど……)

エリカ「……そういえば……」

エリカ「私も、自己紹介は隊長にだけ向けてしてたっけ……」

エリカ「真横にいたアンタはたまたま聞いてたかもしれないけど……」

エリカ「言ってなかったわよね」

エリカ「西住流の猿真似でしかなかった、黒森峰のプライドが高い副隊長候補」

エリカ「もしくは副隊長か」

エリカ「……そんな存在じゃあない、素の私のこと、アンタには、一切見せてなかったものね……」

みほ「……うん……」

みほ「これから……その、いっぱい知っていきたいな……」

みほ「何が好きかとか、戦車道以外の部分も……」

みほ「それに……戦車道の部分でも、もう目をそらさず、真正面から向き合いたい……」

エリカ「……そうね」

みほ「だから、その……」

みほ「私にも、教えてください」

みほ「好きなこととか、戦車道のこととか……」

エリカ「……仕方ないわねえ」 フン

エリカ「耳の穴かっぽじって、その小さい脳みそにしっかり刻みつけなさい」

みほ「うん……」

みほ「今度はしっかり、1から全部、刻みつけるから」

みほ「だから、その……できれば、お友達として、下の名前で呼びたいなって思うんだけど……」

みほ「なんて、呼んだらいいかな……」

406 : 以下、名... - 2018/12/26 06:38:28.21 JaX/Ez/c0 871/872

 





みほ「貴女の名は」






fin.

407 : 以下、名... - 2018/12/26 06:39:57.39 JaX/Ez/c0 872/872

くぅ疲。

映画のパロなのに、ここまで無駄に引っ張ってしまって申し訳ないです。
長期間お付き合いいただきありがとうございました。
細かな部分にミスがありますが(呼称とか)脳内補完していただけたら幸いです。
また何かスレを立てることがあれば、そのときはもっと手早く畳めるようがんばります。

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