1 : 以下、名... - 2016/10/11 03:06:30.38 wZbFQbAfo 1/872


エリカ「――――――っ!」 ガバッ

エリカ「……」

エリカ「夢……」

エリカ「……」

エリカ「もう、1年にもなるっていうのに……」

エリカ「……」

エリカ(……もう、1年にもなるのね)

エリカ(下段ベッドの主がいなくなって、下が無人になってから)

エリカ「…………」

元スレ
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476122790/

2 : 以下、名... - 2016/10/11 03:08:33.48 wZbFQbAfo 2/872


【注意】
・映画『君の名は。』のネタバレがほんのりあるかもしれません
・地の文も少しですがあります
・戦車は火砕流の中だって突き進むように、多少の矛盾点があってもこのスレは突き進みます

3 : saga - 2016/10/11 03:13:46.94 wZbFQbAfo 3/872


また、彼女の夢を見た。

どこか苛つくのに放っておけなくて

いつもは頼りないのに、ここぞという時頼りになって

妬んで、憧れて、羨んで、追い掛けて――

色々な感情が混ざっていたせいで、結局、どんな関係だったのか、どう想っていたのかも分からない、彼女の夢。

分かる前に、私の前から消えてしまった。

もう1年も経つと言うのに、行き場のない感情だけが、ずうっと残り続けている。

まるで、主を失い空っぽになっても、次の主がやってこないこの下段ベッドのようだ。

代わりも現れず空っぽになったはずなのに、心の中の場所だけを取って邪魔くさいほどに居座っていた。

4 : 以下、名... - 2016/10/11 03:20:24.77 wZbFQbAfo 4/872


エリカ「……」

エリカ(結局……) ギシッ

エリカ(ここの下段は、新入部員にも割り振られなかった……) ギシッ

エリカ(それでも足りたから、というのはあるだろうけど……) ギシッ

エリカ(もしかしたら隊長は、まだあの子が戻ると期待しているんじゃ……) ギシッ

小梅「ん……」

小梅「あ、おはよう、逸見さん」

エリカ「ああ、ごめんなさい、起こしちゃったかしら」

小梅「んー……まあ、でも、練習休みだからってお昼まで寝るのも何だし、丁度よかったかも」

エリカ「丁度良くないときに起こさないためにも、そろそろベッドの梯子は取り替えて貰った方が良さそうね」 ギシッ

小梅「……いいの?」

エリカ「……何が?」

小梅「いや、てっきり、そういう部品一つとっても思い出があるから、ちょっと軋んでも敢えて換えてないのかなーって思ってたんだけど……」

エリカ「っ……馬鹿馬鹿しい」

エリカ「たかだか寝具に思い出なんてあるわけないでしょ」 ギシッ……トン

エリカ(そう、思い出なんてあるはずない)

エリカ(それこそ、あの子の寝ていた下段ベッドだって、私はなくなったって問題ないとすら思って――――)

エリカ「……」

5 : 以下、名... - 2016/10/11 03:27:02.53 wZbFQbAfo 5/872


エリカ「……」

エリカ「ちょっと」

小梅「?」

エリカ「なにこれ」

小梅「?」

エリカ「空っぽであるべき下段ベッドに、何故かサーキット会場が出来上がっているのだけど」

小梅「ああ、それ……」

小梅「逸見さんが昨日寝た後、明日は戦車道の練習も学校も休みだってことで、皆でちょっと夜更かしをしちゃって……」

小梅「それで直下さんの提案で、皆でミニ四駆をしようってなって」

エリカ「なんでまた……」

小梅「ミニ四駆は火砕流の中だってかっとべマグナムをするし、戦車道に通じるものがあるって直下さんが」

エリカ「正気?」

小梅「それでコースを組み立てたんだけど、普通に歩くのに邪魔だからってことで、一旦そこに置いておこうってなって……」

小梅「あ、でも近いうちに皆でやるミニ四駆大会が終わったら、きちんと片付けるから安心してね」

エリカ「もっと大事な大会があると思うのだけれど」

小梅「でも、ほら、息抜きって大事だし……」

小梅「直下さんも、『ミニ四駆はパーツの交換が死ぬほど楽だし軽くて泣ける』って言ってたし……」

エリカ「いや、まあ、そりゃあ、息抜きの範囲なら咎めはしないけど……」

6 : 以下、名... - 2016/10/11 03:29:29.33 wZbFQbAfo 6/872


小梅「……」

小梅「やっぱり、みほさんのベッドに物を置かれると、不満?」

エリカ「ハァ!?」

エリカ「何でそこであの子が出てくるのよ!」

小梅「だって、そりゃあ……」

エリカ「あの子は関係ない」

エリカ「ええ、関係ないわ」

エリカ「何も言わずに一人で抱えて、勝手に潰れて、戦車道から逃げ出した子なんか……!」

小梅「……」

7 : 以下、名... - 2016/10/11 03:43:00.66 wZbFQbAfo 7/872


小梅「でも、逃げちゃう気持ちも分かるかなあ……」

エリカ「はぁ!?」

小梅「私も……」

小梅「去年の大会以降、あんまり、戦車道の時間に居場所はなかったし」

エリカ「……」

エリカ「くだらない」

エリカ「誰にだってミスはあるし、それがたまたま大舞台で出ただけでしょ」

エリカ「それを大舞台に上がれもしない有象無象や普段のミスを棚上げしている奴らが好きに言ってるだけじゃない」

エリカ「もしも批難して許される人間がいるとすれば、それは一度もミスなんてしたことのない西住隊長だけよ」

エリカ「あの時がたまたまカバー出来るレベルを越えていただけ」

エリカ「敗戦は私も含めて全員が重く受け止めなくちゃいけないし、誰かのせいにだけすればいいわけじゃないわよ」

エリカ「だから、そんなくだらない罵倒や陰湿な嫌がらせなんて、気にもとめなければいいの」

エリカ「西住隊長だって、気にするなっておっしゃってたんだから」

小梅「……逸見さん、顔とか雰囲気に似合わず意外とちょっと優しいよね」

エリカ「当然のことを言ったまd……今しれっと小馬鹿にしなかった?」

小梅「気のせいだと思う」

エリカ「……まあ、いいわ」

エリカ「……そりゃあ確かに赤星はミスを、あの子は自分の選んだ選択肢と勝利を両立できなかったことを責められても仕方がないわよ」

エリカ「無責任で八つ当たりみたいな批判の言葉は無視していいけど、実力が足りなかったことは受け止めなくちゃいけない」

エリカ「……そのうえで、成長して黒森峰に恩返しをするのが、連覇の歴史に土をつけた者の責任でしょ」

小梅「……」

エリカ「なのにあの子は、逃げ出したのよ」

エリカ「一人で勝手に抱えて、潰れて……」

エリカ「逃げ出したのよ!」

8 : 以下、名... - 2016/10/11 03:50:13.36 wZbFQbAfo 8/872


小梅「……逸見さんは、強いよね」

エリカ「……はあ?」

エリカ「別に、強くは……」

小梅「私は……頭で分かってても、無理だった」

小梅「同じ車両に乗ってて一緒に戦犯扱いされた仲間と固まって、ずっと泣いてるだけだった」

小梅「……」

小梅「それで……ありがとうすら、言えなかった……」

小梅「同じ車両の人達からも責められてたみほさんは、きっと私よりも、孤独だったはずなのにね」

エリカ「……」

小梅「だから私は……みほさんを、責める気には、なれないかな……」

小梅「それにほら、私は何だかんだで成長できたなーって思うし、みほさんも、転校を切っ掛けに何か成長するかもだし……」

エリカ「そんなこと、あるわけないじゃない」

エリカ「……道っていうのは、前に向かう者にだけ開かれているのよ」

エリカ「あの子の気持ちなんて、理解できるわけないでしょ」

9 : 以下、名... - 2016/10/11 03:52:36.79 wZbFQbAfo 9/872


小梅「確かに、本人か、本人に近い存在にでもならなきゃ分からないのかも」

エリカ「……」

エリカ「ふん」

エリカ(何よ、それだとまるで私が近い存在じゃなかったみたいに……)

エリカ「……」

小梅「?」

小梅「あれ、どうかしたの?」

エリカ「……いいえ、なにかちょっと寝起きで思考が迷走しただけ」

エリカ「朝は弱いのよ」

小梅「でも夜もあんまり強くなかったような……」

小梅「一日通して最弱なんじゃない?」

エリカ「ちょっと」

小梅「強い時間帯とかあるの?」

エリカ「あるわよランチタイムとか」

10 : 以下、名... - 2016/10/11 03:58:44.34 wZbFQbAfo 10/872


エリカ「……っていうか、もしかして私のこと嫌いなの?」

小梅「そんなことないけど」

エリカ「どこか辛辣だし」

小梅「愛情表現だよ」

エリカ「……」

小梅「疑ってる?」

エリカ「……」

小梅「針の筵だった私達が戦車道の時間を何とかやれてたのは逸見さんのおかげなんだよ」

小梅「あの時から、逸見さんのことは大好き」

小梅「私、多分、逸見さんで、その……頑張ればヌけr」

エリカ「言わないで」

小梅「それに、証拠になるか分からないけど、味方についてもらった当時は逸見さんをオカz」

エリカ「聞きたくなかった!!」

小梅「何なら証拠としてこの場でヌk」

エリカ「そんな側面は知りたくなかったし出来ることなら夢であって欲しいほどなんだけれど」

11 : 以下、名... - 2016/10/11 04:04:40.40 wZbFQbAfo 11/872


小梅「まあ、それは冗談として……」

エリカ「その冗談は笑えないわよ」

小梅「逸見さんの恋愛遍歴ほどじゃないよ」

エリカ「……は?」

小梅「初恋の顛末とか」

エリカ「は?」

小梅「まあ、それは置いておくとして……」

小梅「実際、私は本当に逸見さんには感謝してるの」

エリカ「いや、ていうか恋愛遍……は?」

小梅「逸見さん、すごくひたむきで、だからこそ逃げるような子が駄目なんだろうけど……」

エリカ「っていうか恋愛トークとか黒森峰で誰かに話した覚えないんだけど誰から聞いたのそれ」

小梅「きっと、ゆっくり話し合えれば、みほさんとも、また昔みたいに仲良くなれると思う」

エリカ「いや今はその話はいいから」

小梅「いつか……みほさんの心も、分かるようになるといいね」

エリカ「今分かるべきはソレよりもどこから恋愛遍歴探ったのかと広めてる奴は誰なのかだからいやほんと教えなさい」

12 : 訂正 >>7のエリカの小梅の呼び方は『小梅』でなく『赤星』です - 2016/10/11 04:26:30.13 wZbFQbAfo 12/872


ピンポーン

小梅「あれ、誰だろ」 パタパタ

エリカ「ちょ、誤魔化s――」

小梅「あ、隊長」 ガチャ

エリカ「!?」

小梅「どうかされましたか?」

まほ「ああ、いや、エリカと約束がな」

エリカ「……」

エリカ「!?」

エリカ「ちょ、も、もうこんな時間……!?」

エリカ(し、しまった……赤星と戯れすぎた……!)

エリカ「す、すみません隊長、今急いで準備します!」

エリカ「化粧と着替えに20……いえ、10分だけ! 10分だけ頂けますか!?」

まほ「構わんが……」

小梅「あ、これ使う?」

小梅「化粧の手間が一気に削減できる――」

エリカ「えっ、何だか分からないけど助か――」

小梅「――目出し帽とサングラス」

エリカ「――らないわよ! いらないし、時間ないんだから冗談なら枕にでも言ってて!!」

13 : 以下、名... - 2016/10/11 04:35:06.37 wZbFQbAfo 13/872


エリカ「ええと、下着下着……」 バタバタ

エリカ(どうせ誰かに見せるでもないし……)

エリカ(とりあえず近くにあるやつを……!)

小梅「ねえ枕ちゃん、私ね、立派な車長になりたいの」

小梅「そうなんだ、じゃあ私操縦手やるから車長やってみなよ」 ウラゴエ

小梅「わあ、ありがとう」

小梅「ウィン」

小梅「なんで自動ドアなんだよ」 ウラゴエ

エリカ(本当に枕相手に冗談言ってるっ……!)

エリカ(っていうか枕と漫才やろうとしてる……!)

小梅「自動ドアだと弾飛んできたらウィンと開いて操縦席にダイレクトアタックするじゃねえかよ」 ウラゴエ

エリカ(突っ込んだら負け突っ込んだら負け……)

まほ「ふふっ、赤星はなかなかにユニークだな」

エリカ(嗚呼そいつを甘やかさないで下さいでもその優しさがマジキュートあんどリスペクトっ……!)

小梅「去年の大会の直後は、しばらく枕しか会話相手がいませんでしたから……」

エリカ「重ーーーーーーーーーいッ!」

エリカ(って、あの二人に意識を割いてる場合じゃあないッ!)

エリカ(とりあえず最低限の化粧だけでも……) バタバタ

14 : 以下、名... - 2016/10/11 04:44:29.75 wZbFQbAfo 14/872


エリカ「お待たせしました!」

まほ「ん、そんなに慌てなくてもよかったが……」

エリカ「いえ、隊長をお待たせすることなど……!」

まほ「赤星の枕との冗談のおかげであまり待たされたという気はしないがな」 フフ

エリカ「は、はあ……」

まほ「ちなみに最終的にあの枕は今日からシュトゥットガルトと名乗ることになった」

エリカ「……?????」

まほ「聖グロリアーナは紅茶の名前、アンツィオは料理の名前と、校風の元となった国にちなんだ名前を名乗る学校は少なくない」

まほ「そこで我々も見習って、ドイツにちなんだ単語をつけようという話になってな」

エリカ「いや、あの、本当にこんなこと言っていいか分からないし何なら恐れ多いんですけど、その」

エリカ「枕ですよ?」

小梅「名前がつくと愛着がわきやすいって聞くし……」

小梅「それに、物にだって魂はあると思うから」

小梅「心と心を通わせれば、ヒトとモノとの友情だって……」

エリカ「へえそうよかったわね、隊長行きましょうか」

小梅「ひどい」

15 : 以下、名... - 2016/10/11 04:52:36.13 wZbFQbAfo 15/872


<神社>

まほ「悪いな、付き合わせて」

エリカ「いえ!」

エリカ「お供をさせて頂けて、光栄です」

まほ「……」

まほ「戦車道にまぐれ無し」

まほ「とはいえ去年のような不幸な事態が起こることもある」

まほ「勿論、そうなってももう同じ轍を踏まぬよう努力はした」

まほ「……だが、それでも……」

まほ「怪我をしないためにも、あんなこと、もう起こらないに越したことはないからな」 チャリーン

まほ「……」 パンパン

まほ「……」

まほ「気休め程度の神頼みと、気持ちを高める必勝祈願だ」

まほ「……神などという不確定なものに逃げるなんて失望した、とエリカに言われてしまうかもしれながな」 フフ

エリカ「そ、そんなこと言いませんよ!」

エリカ「隊長が逃げるなんてこと、ありえないのは私が一番良く知ってますし!」

エリカ「隊長は強い方ですから!!」

まほ「…………ああ」

16 : 以下、名... - 2016/10/11 05:04:33.16 wZbFQbAfo 16/872


まほ「折角だ、エリカも何かを願ったらどうだ?」

エリカ「私の願いも、隊長と同じくですが……」

エリカ「そうですね、折角ですので、私も自分でお賽銭をして、黒森峰の必勝祈願をしたいと思います」

まほ「……いや……」

まほ「黒森峰の戦車道のことは一旦忘れて、自分自身のことを願ってほしい」

エリカ「え?」

まほ「エリカには……来年、本格的に黒森峰を背負ってもらうことになるだろう」

エリカ「はい。その器があると、判断して頂けたのなら、是非とも」

まほ「3年のときは、嫌でも黒森峰全体のことしか考えることが出来なくなる」

まほ「そうなる前、今の間は、自分のやりたいことをして、自分だけの戦車道を積み重ねてほしい」

まほ「長い目で見れば――きっとその方が、黒森峰のためになる」

エリカ「隊長……」

エリカ「わかりました!」

エリカ「では不肖逸見エリカ、進言頂いた通り、戦車道に関する個人的望みを――」 バリバリ

まほ「……」

エリカ「……」

まほ「……見事なまでに小銭がないな」

エリカ「……」

エリカ(すっかり忘れてた……)

エリカ(後でオシャレなカフェでも行くだろうと思って、そこで財布に小銭ジャラジャラしてると格好悪いからって全部出したんだ……)

17 : 以下、名... - 2016/10/11 05:16:12.05 wZbFQbAfo 17/872


エリカ「えーい、こうなったらもう奮発して1万円よ!」

まほ「!?」

ヒラッ

パンパン

エリカ「……」

エリカ(誰よりも『戦車』というものを身近に感じられる存在になりたい……)

エリカ(そして『生ける戦車道』なんて呼ばれるくらいの存在になって、隊長達に肩を並べたい……!)

シーン

???『その願い、叶えてしんぜよう』

エリカ「え?」

まほ「どうかしたのか?」

エリカ「いえ、何か今聞こえたような……」

まほ「何か……?」

▼筋力があがった! ピローン
▼技術があがった! ピローン
▼敏捷があがった! ピローン

エリカ「なんというか、こう、パワプロチックというか、ミートカーソル上げられそうというか……」

まほ「……???」

エリカ「いえ、すみません忘れて下さい多分疲れてるんです私」

18 : 以下、名... - 2016/10/11 05:24:16.03 wZbFQbAfo 18/872


<自室>

エリカ(……その後も散々すぎて、思い返すだけで泣けてくるわ)

エリカ(もう内容も思い出せない変な夢のせいで寝不足だったし……)

エリカ(喫茶店でもさほど会話を盛り上げられずに終わった)

エリカ「……」

エリカ(ああ、余計な会話なんてしなくても落ち着けるような人間関係が欲s……)

エリカ「……」

エリカ(だめだめ、そんな非現実的な夢ばっか見ててもしょうがないわ)

エリカ(とりあえずさっさと寝ないと……寝不足の不味さは、自ら証明してしまったし)

19 : 以下、名... - 2016/10/11 05:27:23.90 wZbFQbAfo 19/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

21 : 以下、名... - 2016/10/11 05:30:45.14 wZbFQbAfo 20/872


エリカ「……」 zz...

エリカ「……」 zz...

エリカ「……」 モゾモゾ

エリカ「んっ……」 ピクン

エリカ(やだ、誰かに触られ――――!?)

エリカ「……」

エリカ「……」

エリカ「……ん?」

エリカ(誰かしら、これ……)

エリカ(少なくとも、黒森峰の戦車道メンバーじゃあない……)

エリカ(っていうか、体も全然動かないし……)

エリカ「……」

エリカ「……夢?」

22 : 以下、名... - 2016/10/11 05:33:10.32 wZbFQbAfo 21/872


エリカ(明晰夢ってやつかしら……初めて見るわね……)

エリカ(それにしても……) ピクン

エリカ「んっ……」

エリカ「ちょ、なんでさっきから体を弄られっ……!」 ビビクン

エリカ(明晰夢でこんな夢を見るなんて、も、もしかして欲求不満だとでも言うの……?) カァァァァ

???「んー。奥までよく見てみないとなあ」

エリカ「!?」

エリカ(ちょ、いくら夢でもソレは――――)

???「鏡ー」

???「はいよー」

エリカ(鏡ねえ……)

エリカ「…………」

エリカ「!?」

23 : 以下、名... - 2016/10/11 05:35:47.60 wZbFQbAfo 22/872


エリカ「う、嘘……この姿……」

エリカ「わ、私――――」










1507565485-023












 

24 : 以下、名... - 2016/10/11 05:36:45.30 wZbFQbAfo 23/872







エリカ「私、IV号戦車になってる――――!?」






 

26 : 以下、名... - 2016/10/11 05:55:25.70 PIaa29brO 24/872

なるほど

27 : 以下、名... - 2016/10/11 07:13:45.12 /EkUCSQ0o 25/872

そこかい

33 : 以下、名... - 2016/10/11 11:37:02.06 f2gdQCN1o 26/872

確かに みほと入れ替わるとは書いてないけどww

39 : 以下、名... - 2016/10/11 18:37:06.23 wZbFQbAfo 27/872

再開します
戦車知識はガバガバなので、エリカIN大洗とかによくある本格戦車戦とかはないです

40 : 以下、名... - 2016/10/11 18:37:43.38 wZbFQbAfo 28/872


エリカ「……」 ポカーン

???「うん、この子は、これで大丈夫そうかな」

エリカ「……」 ポカーン

エリカ「……はっ!」

エリカ「そっか、私、戦車になって整備されてる夢を見てるのね……」

???「意外となんとかなりそうだね」

???「一晩で壊れた戦車五台修理って聞いた時はどうなることかと思ったけど」

エリカ「夢じゃなきゃ、そんなワタミも驚くブラック業務委託があるわけないものね……」

???「もうこんな時間か」

???「仮眠は終わってからにして、総仕上げにかかるか!」

エリカ「……」

エリカ「よく見たら、窓からうっすら陽が……」

エリカ「明け方まで作業して五台も直したのね……」

エリカ「私が人間としてこの夢を見ていたら、お疲れ様でご飯くらい奢るのだけど」

???「あー、さすがに授業休みたいなあ」

エリカ「!?」

エリカ「学生!?」

エリカ「このブラック労働従事者の娘達、若々しいと思ったら学生なの!?」

エリカ「労基は何をやっているのかしら……」

エリカ「いや夢にそんなこと言ってもしょうがないんだけど……」

42 : 以下、名... - 2016/10/11 18:45:31.90 wZbFQbAfo 29/872


???「よし、完璧!」

???「これなら生徒会も納得するよね」

エリカ「生徒会が依頼主なのね……」

エリカ「……下請けイジメ、みたいなもの?」

エリカ「別にウチの生徒会に不満はないはずなんだけど……深層心理じゃ生徒会ってものをこんな風に思っているのかしら……」

エリカ「私が動けたら、生徒会にドカンと一発ぶち込んでやるんだけど……」

エリカ「……」 グググ

エリカ「うーん……」 グググ

エリカ「駄目ね」

エリカ「やっぱりそもそも動けないわ……」

エリカ「そもそも体のどこに力を入れたら砲撃できるかも分からないし……」

エリカ「戦車は単独じゃ動けないってことね」

エリカ「喋っても誰にも通じてなかったし、戦車は会話出来ないとか、変なとこだけリアルな夢ね……」

43 : 以下、名... - 2016/10/11 18:47:59.47 wZbFQbAfo 30/872


<数時間後>

エリカ「……」

エリカ「ひ、暇ね……」

エリカ「倉庫の中の景色はさっぱり変わらないし、やることないし……」

エリカ「夢ならもうちょっと色々起きてくれるか、私が起きてくれたらいいのに……」

エリカ「時間をあまりに持て余すわ……」

エリカ「……」

エリカ「歌でも歌おうかしら」

エリカ「……」

エリカ「やーってやるやーってやーるやーってやるぜ」

エリカ「……」

エリカ「……やっぱり駄目ね」

エリカ「これじゃ、まるで……」

エリカ「……」

44 : 以下、名... - 2016/10/11 18:52:33.02 wZbFQbAfo 31/872


<さらに数時間後>

エリカ「……暇すぎる……」

エリカ「夢の中だからか眠るってことも出来ないし……」

エリカ「なんだかやることがなくて枕と喋っていた赤星の気持ちが少し分かってきたわ……」

エリカ「うろ覚えの歌を頭で再生してみるのも大分飽きたし……」

エリカ「結局デイドリームビリーバー、ラストどうやって終わるのか思い出せず頭の中で15分ぐらいずっと流れてたわ……」

エリカ「ずっと夢を見てるけどそろそろ覚めてくれないかしらほんと……」

エリカ「もしくはいっそ荒唐無稽な展開でもしてくれないと、夢の中で退屈に殺されそう……」

ガラガラガラガラガラ

エリカ「!?」

エリカ(誰か来た……?)

ワイワイガヤガヤ

エリカ「結構大所帯ね」

エリカ「まあ、五台あるっていうし、そりゃ大勢なんだろうけど」

エリカ「それにしても他の戦車って何なのかしら」

エリカ「首も振れないから確認できないわね……」

???「うーん、皆結構乗り気だねえ……」

???「初陣ですからねえ。むしろ武部殿のテンションの下がり具合がおかしいのでは……」

沙織「だってぇ! てっきり東京からイケメン高校生講師くらい来るかと思ってたのに!」

エリカ「うーん、この頭のネジも股も緩そうなのが私の車長なのかしら」

45 : 以下、名... - 2016/10/11 19:02:15.56 wZbFQbAfo 32/872


パンパン

エリカ「ん?」

エリカ「あれは確か……西住師範の元に何度か来ていた、西住流の1等陸尉……」

亜美「はい、皆乗り込んで!」

エリカ「あの人が率いるチームの夢を見る、ね……」

エリカ「師事でもしろってお告げかしら」

エリカ「それにしても、私に乗り込むのは誰なのかしら」

エリカ「さっき見かけたロングのゆるふわとショートのゆるふわとストレートの三人でやるには難しいんじゃあ……」

エリカ「……っと」

エリカ「重みが加わった……あの三人はまだ視界にいる……」

エリカ「どうやら死角にまだメンバーがいたようね」

エリカ「見た目のバランス的に、ショートのストレートかしら」

???「あの、これ、どうやって登るんでしょう……?」

沙織「えっ、分かんない、見てなかった……!」

沙織「あっ、生徒会の人達、踏み台を使ってる」

???「踏み台? でしたら次借り――」

???「どうやら踏み台と言っても人間踏み台みたいですねえ……」

沙織「でも華は私の親友だし、踏み台になんて出来ないよ……」

「そもそもやるとは言ってないんですけど……」

???「しかも自分が乗る方になる前提なんですね」

エリカ「何やってんのよこの子達……」

47 : 以下、名... - 2016/10/11 19:09:42.64 wZbFQbAfo 33/872


???「ええと、Ⅳ号の場合は、こちら側から足をかけて――」

エリカ「――――!?」

エリカ(この声……)

エリカ(気のせい!?)

エリカ(いや、そんな……)

エリカ(でも、あの子が戦車道をしてるはずなんて……)

沙織「あ、ほんとだ」

沙織「ここからだと登りやすいかも」

「スカートですので、どこからでも少し躊躇ってしまいますけどね」

エリカ「……」

エリカ「いや……」

エリカ「聞き間違えるはずがないわ……」

エリカ(ずっと隣で鎬を削ってきたのよ)

エリカ(夢に見るほどに)

エリカ(今回だって、夢に見てもおかしくない)

沙織「でも、さすがみぽりんだよね」

沙織「知識が豊富っていうか」

みほ「え、そ、そんなこと……」 アワアワ

エリカ「みほ――――!」

48 : 以下、名... - 2016/10/11 19:15:00.49 wZbFQbAfo 34/872


亜美「じゃ、各チーム役割を決めてくれる?」

亜美「3名のチームは、車長と砲手、操縦手」

亜美「4名はそれに加えて装填手、5名は通信手ね」

???「あの、うち6名なんですけど、どうすれば……」

亜美「あら? 貴女は――」

???「あ、ええと、澤梓です。1年の」

亜美「そう。6名チームもいるのね」

エリカ「6人で運用する戦車でも持って無きゃ、無駄な人員ね」

亜美「問題ないわ、役割は色々あるの」

亜美「囮とか」

「囮」

亜美「捕虜要員とか」

「捕虜要員」

亜美「南斗人間砲弾とか」

「ごめんなさいそれはよくわかりません」

エリカ「多分大人しく自分達の乗る戦車名と6人って単語でググった方が早いわよ」

エリカ「……いや聞こえてないでしょうけど」

49 : 以下、名... - 2016/10/11 19:24:46.91 wZbFQbAfo 35/872


沙織「何とかチョウとか何とかシュとか、何が何だか分かんないよお!」

「もっと私達にも分かりやすい呼び名だといいんですが……」

エリカ「そのくらい理解しなさいよ……」

沙織「だよねー。運転手とかさあ」

「隊長とか……」

沙織「狙撃手とか」

「会長とか……」

沙織「養命酒とか」

「モンシロチョウとか……」

エリカ「ふざけてないで早く決めなさいよ」

???「アレがオチも笑いどころもないのにダラダラ喋るガールズトークというやつなのでありましょうか?」

みほ「わ、私に聞かれても……」 アハハ・・・

50 : 以下、名... - 2016/10/11 19:27:34.73 wZbFQbAfo 36/872


沙織「でも実際どうしましょう?」

沙織「私達のチーム、四人しかいないですし……」

みほ「じゃあ、装填手は通信手と兼任ね」

???「勿論、西住殿がコマンダーですよね」

みほ「ええ!?」

エリカ「そうなるに決まってるじゃない」

みほ「無理無理!!」

エリカ「!?」

???「……」

エリカ「何よそれ……」

エリカ「昔っから自信なさそうで癇に障る所はあったけど……」

エリカ「他の連中に任せられないことくらい、分かるでしょう!?」

エリカ「渋々でもちゃんと適所に収まって働く程度の責任感はあったじゃない……!」

エリカ「それなのに……」

エリカ「こんな脳みそにカニ味噌詰め込まれてるみたいな脳みそゆるふわ女子に命を預けようって言うわけ!?」

沙織「なんだろう、どこかで見ず知らずの人にすっごく馬鹿にされてる気がする」

51 : 以下、名... - 2016/10/11 19:34:53.66 wZbFQbAfo 37/872


「では、秋山さんは……」

優花里「うーん、私は――」

エリカ「この子犬みたいな方のゆるふわは秋山、ねえ」

エリカ「夢の人物って、初見でも何故か名前を知ってるか、もしくはずっと名無しなものかと思ってたけど……」

エリカ「案外細かく設定されてるのね、この夢」

沙織「もお、くじ引きでいいよお」 ゴソッ

「私は……なんでしょうこれ……」

「あおてんあか……でしょうか?」

沙織「そうてんしゅ!」

沙織「さっきみぽりんが言ってたやつ!」

沙織「漢字はちょっと間違ってるかもしれないけど」

みほ「蒼天朱……」 ウワァ

優花里「また随分よりにもよってなチョイスをしましたね……」

エリカ「一昔前の魔法のiらんどか00ホームページで見かけたハンドルネームみたいね」

52 : 以下、名... - 2016/10/11 19:39:14.25 wZbFQbAfo 38/872


優花里「西住殿、お先にどうぞ!」

みほ「私は……っと」

みほ「……」

沙織「どれどれ……」

沙織「あ、どうしよう、みぽりんコマンドー引いちゃったんだ……!」

沙織「コマンドー嫌なんだったよね?」

優花里「私が言ったのはコマンドーじゃなくてコマンダーですよ」

沙織「似たようなもんじゃないの?」

優花里「いやでも、コマンドーって言うと、もっと全然別のものが頭に……」

みほ「そうだね……」

みほ「武器なんか……」

みほ「戦車なんていう武器なんか捨てて、かかっていきたかったのにね」

優花里「西住殿!?」

沙織「重い! 重いよみぽりん!?」

「お、およそ戦車道の試合直前にする発言と表情じゃないですけど大丈夫ですか!?」

エリカ「その諦めたような笑顔が怖いわ……」

53 : 以下、名... - 2016/10/11 19:52:18.84 wZbFQbAfo 39/872


優花里「ま、まあ、何にせよこれで二席は埋まったわけですし……」

優花里「では私はこれで」 ヒョイ

優花里「」

みほ「?」

「また変な誤字でも?」

優花里「南斗人間砲弾って書かれてるのですが」

沙織「あと1個なんだっけと思ってたら、さっき教官が言ってたのを思い出して」

エリカ「思い出さなくてよかったやつよそれ」

優花里「あの、南斗人間砲弾が何かご存知で?」

沙織「ううん」

優花里「人間を弾代わりに射出するんですよ」

沙織「!?」

「!?」

沙織「それ、死んじゃうんじゃあ……」

優花里「死ぬでしょうね」

沙織「ひえっ……」 サーッ

「なんて残酷な……」 サーッ

エリカ「実在しないからそんなポジション」

優花里「それに、装填手とは弾を文字通り装填する人のことなんです」

優花里「つまり……」

「私が……秋山さんを死地に追いやる……?」 トゥンク

優花里「あれ!? 何かちょっとトキメイてません!?」

エリカ「ちょ、ヤバイわよこの女!!」

54 : 以下、名... - 2016/10/11 20:02:14.52 wZbFQbAfo 40/872


「でも、これどうしましょう……」

エリカ「あの脳みそゆるふわの結果を見て、余った一個をそのストレートにやらせたらいいじゃない」

みほ「とりあえず、最後の一つが何なのかを見てみないことには……」

沙織「あ、そっか」

沙織「私のあまりものは――」

沙織「わっ、余り物に福がある!」

沙織「私社長だって!」

優花里「字が違いますよ……!」

沙織「そーなの?」

優花里「そんな移動に手間取ると貧乏神に取り憑かれそうな名前の役職はありません!」

エリカ「そのうえコマンダーとかぶってるわよ」

みほ「あ、あはは……くじ、私が作り直しますね……」

エリカ「よくよく考えれば、何とか長とか言ってた無知の人間にクジ作らせたらそりゃこうなるわ……」

56 : 以下、名... - 2016/10/11 20:08:06.33 wZbFQbAfo 41/872


沙織「じゃあ、改めて決まったことだし、乗り込もっか」

エリカ「……」

エリカ「ん?」

沙織「誰から入るとかあるの?」

エリカ「ちょ、待ちなさい!」

エリカ「あんたらから見ればただのⅣ号かもしれないけど、こっちは人間なのよ!?」

エリカ「人間の中に人間が入るって、出来るわけが――」

「それでは、お邪魔します」

エリカ「無理無理無理無理!」

エリカ「そんなに入らないから!」

エリカ「ああああああああっ、入ってる! 入ってきてるぅ!!」

エリカ「戦車の搭乗口ガバガバだから痛みとかはないけれども!!」

エリカ「でもっ……でもなんか確実に体の中に何かが入ってきてるぅぅぅぅぅぅ!!」

57 : 以下、名... - 2016/10/11 20:12:27.49 wZbFQbAfo 42/872


エリカ「……」 ビクンビクン

エリカ「は、早く起きなさいよ私……」

エリカ「こ、これ、人として大事な何かが失くなりそう……」 ビビクン

「……少し、鉄臭いです」

沙織「狭いうえに暑苦しい……」

エリカ「文句言うなら出ていきなさいよっ……!」

エリカ「最悪だわっ……!」

エリカ「おへそより下から体の中に固形物入れたことなんて座薬しかなかったのに……!」

エリカ「感覚的には完全に処女喪失じゃないっ……!」

エリカ「こんな感動もヘッタクレもない……!」

エリカ「……」

エリカ「私にもう少し才能があって、もっとゆとりがあれば、今頃恋人くらい作っていて既に終わらせていたのかしら……」

エリカ「鉄臭い血を股から流して、狭くてあったかいとか言われて……」

エリカ「……」

エリカ「考えたら気が滅入ってきたわ……」

エリカ「この最低な夢といい、欲求たまりまくってるのかしら……」

58 : 以下、名... - 2016/10/11 20:27:37.72 wZbFQbAfo 43/872


沙織「こんなんでドライブするの?」

亜美『それでは、全戦車、パンツァーフォー!』

優花里「へへ、いよいよ戦車を動かすときが……!」

エリカ「い、いよいよ動かされるのね……」 ゲッソリ

「あの~……どうやって動かせば……」

エリカ「本ッ当に何も知らないのね」

エリカ「……黒森峰にも多少はいたとは言え……」

エリカ「こうも素人集団とはね」

みほ「まず、イグニッションを入れて」

「これですか?」 ポチッ

エリカ「ひぎっ!?」 ブブブブブ

優花里「いやっほーう、最高だぜーーーっ!」

エリカ「け、痙攣っ痙攣しゅりゅっ!!」 ビクンビクン

沙織「ひ、人が変わった……」

エリカ「人から人よりっ……人から戦車に変わる方がやばっ……た、助けっ……」 ビクンビクンビクンビクン

みほ「パンツァーハイ……」

エリカ「たす……」 ビクンビクン

59 : 以下、名... - 2016/10/11 20:31:07.06 wZbFQbAfo 44/872


「あの~それからどうすれば……」

エリカ「もういいから!!」 ビクンビクン

エリカ「もうそのままじいっとしてなさい!!!」 ビクンビクン

みほ「アクセルを踏んだら前進」

みほ「前のレバーが操縦桿で、右がシフトレバー」

「ん……」

エリカ「ちょまっ……」

エリカ「人間として生きてるときは決して味わわない場所に触れるんじゃあないわよ!!」

「んんんん……」 ギギギギギ

エリカ「~~~~~~~~~~っ!?」

エリカ「だめだめだめだめだめ、そんな風に人の体は出来ては――」

「重いです……!」

エリカ「やめ――――――――――」

ガコン

エリカ「」 ビクッビク

60 : 以下、名... - 2016/10/11 20:33:03.72 wZbFQbAfo 45/872











みほ「よろしくお願いします」

エリカ「――――――――はっ!」

エリカ「あまりのことに何も考えられずにいたわ……」

エリカ「ならいっそ目が覚めるか、気絶でもしたらよかったのに……」

エリカ「……」

エリカ「さすが戦車……意識がほとんどなくても、操縦されたら動くのね……」

エリカ「自分の意志以外で体が動かされるのって気持ち悪いわ……」

61 : 以下、名... - 2016/10/11 20:58:39.84 wZbFQbAfo 46/872


優花里「いよいよ攻撃開始ですねえ」

優花里「とりあえず撃ってみます?」

みほ「闇蜘蛛に撃っても……」

エリカ「5台で演習ってことは、殲滅戦よね」

エリカ「下手にこちらの場所を知らせるだけの砲撃をする意味なんてないわね」

エリカ「どこかと組めれば作戦の幅が広がるけど、そもそも地形が……」

エリカ「……」

エリカ「って、会話も出来ないのに、たかが夢の戦車戦にマジになってどうするのかしら」

沙織「ねえ、真っ先に生徒会潰さない?」

エリカ「あ、それは賛成ね」

エリカ「粉微塵にして許される枠でしょアレは」

沙織「教官、女の人だったんだもん」

「まだ言ってるんですか?」

優花里「ある意味イケメンって言われて女子ウケしててもおかしくない人だったじゃないですか」

沙織「私にそっちのケはないの!」

「……」

エリカ「何でそんなちょっぴり残念そうなのよ……」

エリカ「私にしか見えないからってそういう表情されるとちょっとマジっぽくてツッコミにくいからやめなさいよ……」

62 : 以下、名... - 2016/10/11 21:03:46.23 wZbFQbAfo 47/872


沙織「私が決めていいんでしょ、車長なんだから!」

みほ「え、うん……」

エリカ「ちょっと、こんなのに本当に車長やらせる気!?」

沙織「じゃあ、生徒会チームがいる方へ、前進!」

沙織「……」

沙織「で、どっち?」

ズドーーーーーン

エリカ「!?」

沙織「何!?」

沙織「何が起こったの!?」

エリカ「……不思議な感覚だけど……」

エリカ「車内の状況も、見ることが出来る」

エリカ「戦車の体に馴染んできたってことかしら」

エリカ「外の景色と同時には見られないけど、任意で切り替えはできるのね」

エリカ「外の様子はどうなってるのかしら」

64 : 以下、名... - 2016/10/11 21:07:22.92 wZbFQbAfo 48/872


エリカ「……」

エリカ「なんだろう、どんどん戦車に馴染んでいくというか……」

エリカ「戦車としての生き方が分かってきたというか……」

エリカ「首を動かすと考えるから駄目だったのね」

エリカ「目玉をぐるりと回すイメージ」

エリカ「そうすれば目玉は360度自由に動く」

エリカ「正面部に目がついてるから180度回すと車内が見えるのね」

エリカ「後ろ側の外は死角だけど……」

沙織「怖い、逃げよう!!」

エリカ「そこは中の人間がどうにかしてくれるでしょう」

エリカ「……」

エリカ「やっぱり不思議な感じだし、良くはないけど……」

エリカ「運転されるのも、そういうもんだとちょっと慣れてきちゃったわね……」 ゲッソリ

65 : 以下、名... - 2016/10/11 21:10:26.80 wZbFQbAfo 49/872


沙織「挟まれた!」

エリカ「へえ、初心者軍団だと思ったけど、普通の作戦を立てる程度の能力がある者はいるのね」

沙織「あっちに逃げよう!」

「聞こえません!」

沙織「右斜前!!!」

ドグシャァ

エリカ「ちょっとこっちまで痛いからあまり叩き付けないでよ!」

みほ「っ!」

みほ「危ないっ!」

エリカ「え?」

キキィーーーーーーーーーッ

66 : 以下、名... - 2016/10/11 21:38:03.36 wZbFQbAfo 50/872


エリカ「あっっっっっぶなかったわ……」 プハー

エリカ「危うく人を轢き殺すところだったわ……」

エリカ「自分の肉体で人間轢き殺すとか、夢であっても最悪よ……」

エリカ「……」

エリカ(体をどう動かしたのかは分からない)

エリカ(でも……)

エリカ(気のせいじゃなければ、車体が少し言うことを聞いたような気がする……)

エリカ「よく考えると、動かすなと思ったときは操縦桿が硬かったようだし……」

エリカ「基本は操縦される存在だけど、全く介入できないわけじゃないのかしら」

エリカ「操縦手は手元の機械を使い小さな力で大きな戦車を動かす」

エリカ「逆に、戦車は大きな力を持ってすれば、逆に向こうに影響を及ぼせるのかしら」

エリカ「最初は操縦桿を固くしたように、今回は素人でも回避できるように回避行動がとりやすいように動いたみたいだし……」

67 : 以下、名... - 2016/10/11 21:41:07.97 wZbFQbAfo 51/872


エリカ「ということは、こちらの誘導次第でⅣ号の動きは劇的に変わるんじゃないかしら……」

エリカ「ただ、さっきのは無意識だったのよね」

エリカ「ボールが飛んできたらとっさに腕で顔をかばうのと同じ」

エリカ「戦車の体でつい反応したらああなった」

エリカ「……でも、ああなったということは、あの動きをどうにかすれば再現できるはず」

エリカ「アレをまたやれるかどうかで、この車輌の勝利の可能性が大きく変わるわね」

エリカ「……」

エリカ「まあ、夢なんだからどうだっていいと言えばどうだっていいんだけど……」

エリカ「……」

エリカ「でもまあ、例え夢でも戦車道」

エリカ「負けて終わるつもりなんてないわよ……!」

75 : 以下、名... - 2016/10/12 01:22:06.12 yE/aMg1po 52/872


ボガーーーン

沙織「っとと!?」

エリカ「止まってお喋りしてる場合じゃなさそうね」

「あの、人を保護したから中断してもらうよう頼むのは……」

沙織「やり方わからないよ!」

みほ「と、とりあえず中へ!」

エリカ「そうよ、さすがに人があんなの受けたら死ぬわよ!?」

沙織「ほら、麻子も!」

麻子「……」

エリカ「……」

エリカ「ん?」

エリカ「私、今、戦車だけど……」

エリカ「さっきから夢なのに痛みは妙にリアルにあるし……」

エリカ「これ、直撃されたら、下手すると痛みをモロに受けるんじゃ……」

エリカ「……」

エリカ「に、逃げるわよ! 全速前進っ!!」

76 : 以下、名... - 2016/10/12 01:52:46.74 yE/aMg1po 53/872


麻子「うっ……酸素が少ない……」

エリカ「文句言うと叩き出すわよ」

優花里「大丈夫ですか……?」

沙織「麻子は低血圧で……」

みほ「今朝も辛そうだったもんね」

エリカ「はぁ!? 今朝ァ!?」

エリカ「ちょ……あ、あんたらまさか……!」

沙織「え、麻子と会っ――」

ドゴーン

沙織「きゃあっ!」

「ど、どうしましょう、急に操縦桿が固く……!」

沙織「自動車部の整備は完璧だったんじゃないのお!?」

エリカ「あんたまさか、この女のためにまた戦車道始めたとか言うんじゃないでしょうね!!」

沙織「もうやだあ!」

77 : 以下、名... - 2016/10/12 02:01:42.48 yE/aMg1po 54/872


みほ「……」

みほ「停車してください!」

エリカ「はぁ!?」

「ぐっ……上手く止まらな……」

エリカ「ああもう、わかったわよ!」 ガクン

「止まった……!」

エリカ「ほら、止めたんだから、全員きっちりさっきの問題発言に言及しなさいよ」

みほ「……」 ガチャ

エリカ「ちょ、逃げるんじゃないわよ!」

優花里「い、今出たら危ないです!」

みほ「二発目までは多分時間があるから大丈夫!」

沙織「た、多分って……!」

エリカ「いや……」

エリカ「おそらく実際まだ来ないわ……」

エリカ「さっきまでの砲撃の感覚からいっても、外に出るならば今……」

エリカ「それにしても、戻り損ねて全滅しかねない行動だけど……」

エリカ「……」

エリカ「なによ、あんた……根っこのところ、全然変わってないじゃない」

エリカ「臆病なくせにどこか大胆で」

エリカ「そのくせ的確に勝利に結びつける」

エリカ「ほんと……腹立たしいわね……」

78 : 以下、名... - 2016/10/12 02:37:30.08 yE/aMg1po 55/872


みほ「ゆっくり前へ!」

エリカ「ふうん……ここを渡るってわけね」

エリカ「いいわ、協力してあげる」

エリカ「大分動き方が分かってきたし、踏み外さないよう手を貸してあげるわ」

エリカ「その代わり――絶対勝ちなさいよ」

ブチブチッ

沙織「きゃあ!?」

みほ「ひゃあ!?」

エリカ「ちょっ、ちゃんと真っ直ぐ進みなさいよ!」

エリカ「このままだと、川に――――」

みほ「……っ!」

エリカ「……」

エリカ「川に落ちそう、か……」

エリカ「やっぱり、深層心理では、まだあのこと、私も引きずってるのかしら……」

79 : 以下、名... - 2016/10/12 03:52:12.11 yE/aMg1po 56/872


ギャーギャー

ワー

エリカ「……ま、まずい!」

ズドーーーーーン

沙織「きゃあああああああああ!!」

エリカ「いっ……」

エリカ「だああああああああああああ!!!!!」

エリカ「な、何よコレいっっっっっっっったい!」

エリカ「か、体がっ! 体がバラバラになるっ!」

優花里「操縦手失神! 行動不能!!」

エリカ「わだっ……私もいっそ……気絶させて……」 ゼハー・・・ゼハー・・・

80 : 以下、名... - 2016/10/12 03:54:45.90 yE/aMg1po 57/872


みほ「……」

みほ「操縦は苦手だけど、私がやるしか……」

ブロロロロロロ

麻子「……」

沙織「麻子運転できたんだ!?」

エリカ「よ、よし、ヤバイくらい痛いし、次貰ったら本当にまずいし、さっさと終わらせるわよっ……!」

麻子「今覚えた」

優花里「今ァ!?」

沙織「さすが学年主席」

エリカ「ええい、どうせ夢、なんだっていいわ!」

エリカ「この際シロートでもなんでもいいから、早く勝つわよ!!!」

81 : 以下、名... - 2016/10/12 04:43:45.60 yE/aMg1po 58/872


そこからは、あんまり覚えてない。

酷い痛みの中、必死に動こうとしていたように思う。

結局自分の思い通りに動けていたのか、動かされていただけなのかは分からない。

けど――

あの子の声を、指示を、その耳に受けたことだけは、よく覚えている。

簡単な指示だったけど、それでも。

それでもそれは、あの頃の黒森峰にあった、そして今も未来もあり続けると思っていた、

頼りになる車長・西住みほの姿だった。

82 : 以下、名... - 2016/10/12 04:45:08.89 yE/aMg1po 59/872







 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

83 : 以下、名... - 2016/10/12 05:21:24.41 yE/aMg1po 60/872


エリカ「ん……」

エリカ「朝……」

エリカ「ここ……寮の部屋よね……」

エリカ(って、当たり前よね……)

エリカ「……」

エリカ(また、あの子の夢を……)

エリカ(それも、何だか変にリアルな……)

エリカ「……」

エリカ(夢だから、どんどん朧気になるけど……)

エリカ(でも、夢の中で、私、あの子の指揮で――――)

84 : 以下、名... - 2016/10/12 05:23:42.57 yE/aMg1po 61/872


小梅「あっ、逸見さん!」

小梅「おはよう、目をさましたの?」

エリカ「ん……」

エリカ「おはよう」

エリカ「早起きね」

小梅「あ、うん……」

小梅「その……」

エリカ「何よ、歯切れ悪いわね」

小梅「逸見さんが心配で……」

エリカ「……はあ?」

85 : 以下、名... - 2016/10/12 05:30:32.05 yE/aMg1po 62/872


エリカ「昨日って……」

エリカ「……」

エリカ「ああ、隊長に何か聞いたの?」

エリカ「確かに寝不足で少し変なことを隊長には言ったかもしれないけど……」

小梅「……」

小梅「そっか、逸見さん的には、それは“昨日”のことなんだ……」

エリカ「はあ?」

小梅「その……」 スッ

エリカ「そのスマホがどうしたのよ」

小梅「日付。よく見て」

エリカ「……」

エリカ「えっ……」

エリカ「一日、飛んでる……!?」

86 : 以下、名... - 2016/10/12 05:33:30.20 yE/aMg1po 63/872


エリカ「まさか、私……」

小梅「うん……一日中寝ていたの」

エリカ「うそ……」

小梅「本当だよ」

小梅「それも、息もして無くて……」

エリカ「待って」

小梅「試しに口元に紙切れ当ててみたら微塵も揺れないし……」

小梅「死んじゃってたらどうしようかと……」

エリカ「え、待って本当に」

小梅「動転して救急車を呼びそうになったけど、呼ばなくてよかったあ……」

小梅「直下さんが『救急車を呼ぶって重いんだぞ』って言ってくれてよかったよ」

エリカ「いや見捨てて死人を出すことの方が重いと思うのだけど」

87 : 以下、名... - 2016/10/12 05:38:12.46 yE/aMg1po 64/872


エリカ「いや、っていうかおかしいでしょ息してないって」

小梅「ほ、本当だよ!」

小梅「直下さんとか、同じ戦車のメンバーとか、色んな人に確認して貰ったもん!」

エリカ「だったらもうちょっと騒ぎになってても……」

小梅「ほら、エリカさんってストレス溜まってそうだし、睡眠時無呼吸症候群ってやつなのかなって」

エリカ「ストレス溜めてそうって思ってくれてるならもう少し手間をかけさせないでくれると有り難いんだけどね」

小梅「もう、そんなこと言わないでよお」

小梅「睡眠時無呼吸症候群って眠りが浅くて大変っていうし、たまにはゆっくり休ませてあげようと、先輩たちにもお願いしたんだから」

エリカ「それは……まあ、感謝しないこともないけど……」

小梅「安らかに眠れるようにって、お花も備えたし……」

エリカ「亡き者にしようとしてない?」

小梅「そんなことないよ、むしろニュー逸見さんに生まれてほしいと思ってるほどだよ!」

小梅「だから快眠できるよう、近所のフリマで買ってきた、赤ちゃん用のぐるぐる回るやつを天井に取り付けておいたし」

エリカ「はずせ」

88 : 以下、名... - 2016/10/12 05:43:30.40 yE/aMg1po 65/872


小梅「でも、本当に昨日の逸見さんはおかしかったんだよ」

エリカ「今現在進行形で頭上でぐるぐる周り続けてるおもちゃのせいでおかしなことになってるのだけど」

小梅「そんなの目じゃなかったっていうか……」

エリカ「……」

小梅「学校終わりに皆でミニ四駆を整備しようってなったの」

小梅「それで、どうせだから、ガチで戦車みたいなメンテやカラーリングをしようってなって……」

小梅「戦車メンテ用のワックスだったり塗装液だったり、いろんなものを用意したんだけど……」

小梅「そしたらその臭いが部屋に充満して……」

エリカ「だからこんなに臭いのねこの部屋……」

エリカ「まあ戦車道を嗜む者として、慣れてはいるし、別に不快ではないけど……」

小梅「そうだよね」

小梅「普通戦車道をしてる子なら、そういう反応だよね」

小梅「でもね、昨日の逸見さん、寝ていたはずなのに、臭いがした途端何だか幸せそうな笑顔になってたの」

エリカ「……はあ?」

89 : 以下、名... - 2016/10/12 05:50:29.92 yE/aMg1po 66/872


小梅「さらにね、直下さんがワックスをうっかり逸見さんにこぼしちゃって……」

エリカ「は?」

小梅「逸見さんがそれはもうローション相撲の大関みたいな風貌になっちゃったんだけど……」

エリカ「待って」

小梅「そしたら、本当にこの世の幸せ全てをその身に受けたみたいな表情になって……」

エリカ「本当に待って何一つ言ってることが理解できないのだけど」

小梅「ええとね、まず直下さんっていうのは」

エリカ「そこはさすがに分かるわよ!!」

エリカ「っていうか、冗談にも程があるでしょ?」

小梅「ほ、ほんとだよ!」

小梅「直下さん、写メに撮ってラインで拡散してたはずだから、多分頼めば証拠写真送ってくれるし……」

エリカ「あの野郎」

90 : 以下、名... - 2016/10/12 05:57:43.92 yE/aMg1po 67/872


小梅「それから――」

エリカ「まだ何かあるわけ!?」

ドンドン

エリカ「……?」

エリカ「こんな朝っぱらから、一体――」

「赤星、起きているか?」

エリカ「た、隊長!?」

「その声……エリカか?」

「目を覚ましたんだな!!」

エリカ「うっ……」

エリカ(隊長まで冗談を……?)

エリカ(いや、とてもそうとは思えない……!)

小梅「隊長、すごく心配してたんですよ」

小梅「ずっと『睡眠時無呼吸症候群、そういう病気ではないんじゃないか』って言い続けていたし」

エリカ「良心」

91 : 以下、名... - 2016/10/12 06:03:11.71 yE/aMg1po 68/872


エリカ(本当は化粧をしてからお会いしたいけど……)

エリカ(そこまで心配かけてしまったのならっ……!)

エリカ「隊長っ!」 ガチャ

まほ「」 ビクッ

まほ「エリカか……」

エリカ「はい」

エリカ「その……ご心配おかけしました」

まほ「……ああ」

まほ「心配した」

まほ「私が連れ回したせいだとしたら、すまないことをした」

エリカ「あ、頭を上げて下さい隊長!」

エリカ「あれ、本当に楽しかったですし、感謝してるんですから!」

エリカ「隊長のせいなんかじゃありませんし、仮に昨日のことが一昨日隊長と神社に行ったことが原因だとしても!」

エリカ「私は隊長に謝ってほしいなんて思いませんから」

まほ「そうか……そう言ってくれるなら、助かるよ」

92 : 以下、名... - 2016/10/12 06:09:47.27 yE/aMg1po 69/872


まほ「だが……隊長として少しだけお小言を言わせてもらえるなら……」

まほ「体調管理は大事だぞ」

まほ「別に、体調管理は出来てて当然なので甘えずに無理して出てこい、なんて無茶なことを言うつもりはない」

まほ「休むなとも言わない」

まほ「日頃からきちんと休めるときには休み、不調を感じたら回復に全力を注ぐ」

まほ「病気になれば病院を頼り時間をかけてでも完治させる」

まほ「健康的でなくては、戦車道なんて成し得ないんだ」

まほ「努力家なのはいいが、あまり無理だけはしないでくれ」

まほ「……お前まで、失うわけにはいかないんだ」

エリカ「隊長……」

小梅「隊長が……体調のことを……」

小梅(あ、やばい、ちょっとツボ……だめ、堪えないと……) プフッ

エリカ「ちょっと、隊長が素晴らしい話をしてくれてるのよ!」

まほ「ああ、いや、いい、いい、大丈夫だ」

まほ「それより、その、あと、なんだ、朝起きたら鏡を見る癖を……」

エリカ「はい?」

まほ「……」

まほ「いや、なんでもない」

まほ「それじゃあ。今日はちゃんと授業に出るんだぞ」

エリカ「は、はい! ありがとうございました!!」

93 : 以下、名... - 2016/10/12 06:16:34.09 yE/aMg1po 70/872


エリカ「ああ、なんて幸せ……」

エリカ「隊長が私を心配して下さって、しかも訪問してくれるなんて……!」

エリカ「でも鏡って……どういうことかしら」

エリカ「スッピンはよくないってことかしら……」

小梅「……」

小梅「とりあえず……」

小梅「洗面所に行って、アドバイス通り鏡に向かってみて顔でも洗うとか」

エリカ「……?」

エリカ「鏡って、何が――――」

『バカ』『犬』『誰だお前は』その他、諸々

エリカ「な、ななななによこの文字の数々は!?」

小梅「その、さっき話そうとしてたんだけど……」

小梅「色々あったのに全然起きないから、逸見さんの顔をキャンバスに落書き大会が始まって……」

エリカ「あ、あの馬鹿……!」 バタバタ

エリカ「いないっ……もうベッドが空っ……!」

エリカ「直下のバカはどこ!?」 ガルルルル

小梅「ええと、朝から学園艦の最北端までパウワウ捕まえに行きました」

エリカ「かえんほうしゃで焼き尽くしてやろうかしら」

100 : 以下、名... - 2016/10/12 23:46:20.30 yE/aMg1po 71/872


<夜>

エリカ「はあ……今日は散々だったわね……」

エリカ「何よ、オイル拭おうとしたら瞼開けちゃって、そのまま閉じずに眠り続けたって……」

エリカ「私がそんなことしてたっていうの……?」 グギギ

エリカ「それにしてもファラオって!!」

エリカ「ファラオって!!!!」

エリカ「悪口みたいなあだ名付けるなら本人の耳に届かないよう徹底しなさいよ!」

エリカ「はあ……」

エリカ「やっぱりボクササイズは落ち着くわね……」

エリカ「あとは布団でネットサーフィンでもしましょう」

101 : 以下、名... - 2016/10/13 00:28:02.66 bajvrIOgo 72/872


エリカ「……」

エリカ(やっぱり……)

エリカ(睡眠時無呼吸症候群って、そーいう病気じゃないわよね……)

エリカ(むしろイビキというか、変な音は出すみたいだし……)

エリカ(でも私はそういうのもなく、ずうっと静かだったっていうけど……)

エリカ(……)

エリカ(あれは本当になんだったのかしら……)

エリカ「……」

エリカ(あとは何ググろうかしら)

エリカ「……」

カコカコカコ

検索窓『西住みほ 現在』

エリカ「……」

エリカ「アホくさ」 カコカコカコ

エリカ「さっさと寝ましょ」

エリカ「きっと疲れがたまっているんだわ」

102 : 以下、名... - 2016/10/13 00:32:08.34 bajvrIOgo 73/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

103 : 以下、名... - 2016/10/13 00:34:33.15 bajvrIOgo 74/872


エリカ「ん……」

エリカ「はっ!」

エリカ「不味い、寝すぎt――――」

エリカ「……」

エリカ「これ……」

エリカ「起きた瞬間感覚で寝坊を理解するやつだと思ったけど……」

エリカ「この体の動かなさといい、この景色といい、まだ夢を見てるみたいね」

エリカ「前に見たのと、同じ夢だわ……」

104 : 以下、名... - 2016/10/13 00:38:41.62 bajvrIOgo 75/872


エリカ「意外と……」

エリカ「夢に入るとすんなり前の夢を思い出せるものね」

エリカ「……」

エリカ「確か、視界を変えるには目玉を動かす感覚だったわね」

エリカ「よいしょっと」 グリン

エリカ「……」

エリカ「!?」

エリカ「ちょ、何やってんのよこれ!?」

エリカ「こんな真っピン……うわっ、三突に旗生えてる……」

エリカ「え、何よあの悪趣味な成金みたいなゴールドは……秀吉でも乗ってるの……?」

エリカ「最悪だわ……戦車を何だと思ってるのかしら……」

105 : 以下、名... - 2016/10/13 01:15:46.66 bajvrIOgo 76/872


エリカ「ま、まさか私も……」

エリカ「……」

エリカ「うげっ、少なくとも中はガーリーに……」

エリカ「何よこのクッションやミラーは……」

エリカ「戦車道に不要でしょ……」

エリカ「大体こんなの転倒した時危ないでしょうに」

エリカ「私の体をこんなにしちゃって……」

エリカ「……」

エリカ「いや違う違う、私の体じゃない!」

エリカ「Ⅳ号をこんなにしちゃって、の言い間違いよ!」

エリカ「いくら夢とはいえ、Ⅳ号を自分と完全に認識するだなんてそんな」

106 : 以下、名... - 2016/10/13 01:33:36.35 bajvrIOgo 77/872


エリカ「……」

エリカ「しっかし暇ね……」

エリカ「戦車道の時間くらいさっさと来てくれればいいのに、夢なんだし」

エリカ「……」

ガラガラガラ

エリカ「!」

エリカ「誰か来――――」

みほ「……」 コツコツコツ

エリカ「あんた……」

107 : 以下、名... - 2016/10/13 01:42:35.32 bajvrIOgo 78/872


みほ「……」 カンカンカン

ガチャ

ストン

みほ「……」

みほ「ふう……」

エリカ「……」

エリカ「なんて顔してンのよアンタは」

みほ「……」

みほ「おかしいな……」

みほ「落ち着く……」

エリカ「ちょっ、何寄りかかってきてるのよ!!」

みほ「……」

みほ「そういえば……」

みほ「昔も、何かあったら、こうして戦車の中で過ごしてたっけ……」

108 : 以下、名... - 2016/10/13 02:22:55.81 bajvrIOgo 79/872


みほ「……」

みほ「私ね……」

エリカ「……なによ」

みほ「……」

みほ「戦車道、嫌いなんだ……」

エリカ「はぁ!?」

みほ「昔は、楽しくやってたような気はするのに……」

みほ「もう、それも思い出せなくて……」

みほ「……」

みほ「色々と、責任とかも、あったのに」

みほ「逃げ出してきちゃった……」

109 : 以下、名... - 2016/10/13 02:41:16.11 bajvrIOgo 80/872


エリカ「何よ……」

エリカ「アンタには才能もあって、環境もあって……」

エリカ「私には逆立ちしたって手に入らないものを持ってるくせに、逃げ出して……」

エリカ「なのに……」

みほ「なのに……」

エリカ「なのにアンタは……」

みほ「この前ね……」

みほ「楽しかったんだ……」

みほ「みんなで、下手くそだけど、頑張って……」

みほ「戦車道、嫌だったのに……」

エリカ「何よそれ……ッ」

みほ「みんな……優しいんだ……」

みほ「一緒に居ると、気楽で、すっごく楽しくて……」

エリカ「何よ……」

エリカ「私だって……あんたの……ッ」 ギリッ

110 : 以下、名... - 2016/10/13 02:50:36.20 bajvrIOgo 81/872


沙織「あれ、みぽりん早いねー」

みほ「あっ、ええと、ちょっと……」 アハハ

沙織「練習試合、近いもんねー」

「やっぱり、勝ちたいですものね」

優花里「確かに相手は超名門校!」

優花里「ですが、西住殿が率いてさえくれれば!」

麻子「……」

沙織「麻子も何か言いなよー」

麻子「眠い……」

みほ「ふふ……」 クスクス

エリカ「何よ……」

エリカ「戦車道嫌いです、なんて言っておいて……」

エリカ「楽しそうじゃないの……」

エリカ「アンタが嫌だったのは……戦車道じゃなかったんじゃない……」

エリカ「……」

エリカ「何でそれを……」

エリカ「黒森峰から居なくなる前に、言ってくれなかったのよっ……!」

エリカ「貴女のそういう所が、私はっ……」 ギリッ

111 : 以下、名... - 2016/10/13 03:06:56.97 bajvrIOgo 82/872


エリカ「……」

エリカ「楽しそうに、しちゃって……」

みほ「シュトリヒというのは――」

エリカ「……」

エリカ「こんなところで……」

エリカ「こんな素人に、初歩的なことを教えて……」

エリカ「貴女はもっと、レベルの高い所で、上を目指せる存在じゃないっ……」

エリカ「私は……」

エリカ「私は、まだ、アンタに勝ってないのに……」

エリカ「何で、こんなところで――ッ」

112 : 以下、名... - 2016/10/13 03:16:15.09 bajvrIOgo 83/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

113 : 以下、名... - 2016/10/13 03:31:50.97 bajvrIOgo 84/872


エリカ「……」 パチ

エリカ「……」

エリカ「最悪の目覚めだわ……」

エリカ「リアリティがあるし……」

エリカ「あれが夢で私の深層心理だとしたら、本当に最悪よ」

エリカ「……」

エリカ「確か……」

エリカ「くそやかましい片眼鏡が、我々大洗女子とか言ってたっけ……」

エリカ「……」

ポチポチポチ

検索窓『大洗女子 戦車道』

エリカ「……」

エリカ「戦車道廃止の記事ばかりね……」

エリカ「……」

エリカ「そりゃそうよね」

エリカ「あんな夢に影響を受けるなんて、とんだ間抜けだわ」

114 : 以下、名... - 2016/10/13 03:50:29.47 bajvrIOgo 85/872


エリカ「……」

小梅「あっ、い、逸見さん……!!」

小梅「その、だ、大丈夫!?」

エリカ「……は?」

小梅「その……」

小梅「昨日、また久しぶりに呼吸が止まってたっていうか……」

エリカ「えっ」

小梅「さすがにそれは睡眠時無呼吸症候群とは違うんじゃないかって、隊長前も言ってたから……」

小梅「隊長、必死で心臓マッサージをしようとして……」

エリカ(隊長ほんと良心すぎて有り難い……)

小梅「胸と胸の間を押した瞬間、逸見さんの口からハンバーグが」

エリカ「は?」

小梅「胸と胸の間を押した瞬間、逸見さんの口からハンバーグが」

エリカ「二度言われてもやっぱり理解できないんだけど」

115 : 以下、名... - 2016/10/13 04:35:06.67 bajvrIOgo 86/872


小梅「私達も何がなんだかよくわからなかったんだけどね……」

小梅「胸と胸の間を押すと、まるで砲撃のように、口から昨日食べてたハンバーグが発射されて……」

小梅「ほら、あの天井のシミ、昨日発射されたハンバーグが着弾したあとだよ」

エリカ「ええっと、うん、ちょっと待って」

エリカ「ハンバーグって着弾って単語を使うものじゃあないと思うのだけど」

エリカ「ようするに、その、口から吐いたっていうことなの?」

小梅「うん……」

小梅「でも吐瀉物って感じじゃなくて、ちゃんと固形だったよ」

小梅「あと、これ以上部屋が汚れると困るからって、途中で窓をあけて……」

小梅「外のゴミ捨て場に飛んでいくように、直下さんが上半身を持ち上げて調整したんだけどね」

小梅「なんていうか、こう、割りと性格に真っ直ぐハンバーグが飛んでいったの」

エリカ「頭が痛くなってきたわ……」

116 : 以下、名... - 2016/10/13 04:38:24.64 bajvrIOgo 87/872


小梅「とりあえず、隊長も含めて皆いっぱい心配してたんだよ」

エリカ「皆……って……」

エリカ「私のその痴態はどこまで広まったのかしら」

小梅「さあ……」

小梅「とりあえず、この前直下さんがラインで拡散してたけど」

エリカ「あの野郎、SNSに流出するってことはとっても重いのよっ!!」

117 : 以下、名... - 2016/10/13 04:43:11.96 bajvrIOgo 88/872


小梅「あと、隊長もやっぱりすごく心配していて……」

小梅「最初はこの部屋に泊まって看病するって言ってたんだけど……」

エリカ「ええ!?」

エリカ「そ、そんな恐れ多い……!」

小梅「うん」

小梅「その事実知ったら、息吹き替えした逸見さんがそのままハンバーグ喉につまらせて自害しそうだったから……」

小梅「ちゃんと止めておいたよ」

エリカ「ちょっと」

小梅「逸見さん、隊長の通り道に置いてある小石をどけることに命を賭けてるとこあるもんね」

エリカ「私を何だと」

小梅「そう言ったら隊長、何か微妙な苦笑いを浮かべて納得してくれたよ」

エリカ「なに、あんたは羞恥で私を死に追いやりたいの???」

118 : 以下、名... - 2016/10/13 04:54:33.89 bajvrIOgo 89/872


エリカ「……」

エリカ「ちゃんとお礼と謝罪に行ってこい、なんて言われなくても分かってるけど……」

エリカ「戦車道の授業、今日ないのよね……」

エリカ「まあ、居残り自主練はどうせ出るんだけど……」

エリカ「ああああああ気不味い……」

エリカ「何よハンバーグ射出って!」

エリカ「真っ直ぐ正面に射出って!!!」

エリカ「これじゃまるで……」

エリカ「……」

エリカ「まるで、人間戦車よね……」

119 : 以下、名... - 2016/10/13 05:16:32.76 bajvrIOgo 90/872


エリカ「……」

エリカ「……」 ギュッギュッ

エリカ「……うん、やっぱり射出なんてされないわね……」

まほ「今されても困るがな」

エリカ「わひゃあああああ?!」 ピョイン

まほ「どうやら少々愉快な動きを出来る程度には元に戻ったようだな」

エリカ「た、たたたたた隊長っ!」

まほ「心配したぞ」

エリカ「す、すみません! すみません!」

まほ「いや、いい。エリカが無事ならば、それで」

エリカ「隊長……」 ジュン

まほ「それにしても、変な嘔吐をもうしなくなったようで安心した」

まほ「今のトライで射出されていたら、ハンバーグが通行人に直撃していただろうからな」

エリカ「すみません、無思慮でした……」

まほ「ああ」

まほ「次からは気を付けてくれ」 ポン

エリカ「はい……」

エリカ「……」

エリカ(締める所は締める厳しさがあり、それでいて優しさも感じる……)

エリカ(少し、不器用な所はあるけど、それでも、私より……)

エリカ「……」

エリカ(私にも……これだけの器があれば……)

120 : 以下、名... - 2016/10/13 05:21:25.69 bajvrIOgo 91/872


まほ「……」

まほ「あの病気の症状だが……」

まほ「私でも分かる範囲で調べようとは思ったのだが……」

まほ「どうにも特殊すぎて、なかなかな……」

エリカ「そ、そんな! わざわざ隊長のお手を煩わせるようなことじゃあ……」

まほ「いいんだ、させてくれ」

まほ「エリカには、未来の黒森峰を背負って貰わなくちゃならないんだ」

まほ「……」

まほ「終わってからでは、何もしてやれないからな」

エリカ「隊長……」

121 : 以下、名... - 2016/10/13 05:25:06.44 bajvrIOgo 92/872


まほ「まあ、エリカは私と違ってインターネットを使いこなしているから」

まほ「エリカの方が、こういうのは早く調べられるのかもしれないが……」

エリカ「い、いえ、そんな使いこなしているわけじゃ……」

エリカ「……」

エリカ「それに……」

エリカ「……」

まほ「それに……なんだ?」

エリカ「あ、いえ……」

エリカ「……」

まほ「何かあるなら、言ってみてくれ」

まほ「言ってみて――その後後悔したなら、そう言ってくれれば、私はその内容を忘れることを約束しよう」

エリカ「隊長……」

エリカ「……」 ギュッ

エリカ「ネットでも、調べきれなかったことがあって、その……」

エリカ「私の病気とは、あんまり関係ないと言えばないのですが……」

まほ「?」

エリカ「その……」

エリカ「あの子の……転校先っていうのは……」

まほ「あの子……ああ、みほのことか……」

まほ「そういえば二人は、友人だったな」

エリカ「……」

エリカ(友人、か……)

エリカ(正直――本当にそうだったのか、大分怪しいけどね……)

122 : 以下、名... - 2016/10/13 05:36:20.89 bajvrIOgo 93/872


まほ「……そうだな」

まほ「エリカには教えておこう」

まほ「みほは――」

まほ「今、大洗女子にいる」

エリカ「――――――っ!」

まほ「……大洗女子は、遠い昔に戦車道をやめた学校だ」

まほ「みほとはもう、戦車道で見えることはないだろ」

エリカ(う、そ……)

まほ「……」

まほ「私は立場上、もう、みほの傍に居続けることは出来ない」

まほ「だから……」

エリカ(大洗って、あの夢の……)

まほ「エリカは、せめて……」

まほ「戦車道以外の道ででも、みほの傍にいてやってくれ」

エリカ(いや、でもまさか……)

まほ「……」

まほ「エリカ?」

エリカ「あ、はい!」

まほ「聞いているか?」

エリカ「も、勿論です!」

まほ「そうか、ならいいんだ」

123 : 以下、名... - 2016/10/13 05:40:13.54 bajvrIOgo 94/872


まほ「……それじゃ、私は授業があるから」

まほ「放課後の訓練には顔を出すか?」

まほ「今日は大事を取って休んでいても構わないが」

エリカ「……」

エリカ「そう、ですね」

エリカ「少しばかり気分が優れないので、今日も休めたらと」

まほ「わかった。伝えておこう」

まほ「……」

まほ「さっき、言ったこと……」

まほ「頼んだぞ、エリカ」

エリカ「はい!」 パァァァァァ

まほ「じゃあな、お大事に」 スタスタスタ

エリカ「ありがとうございました!!」 ペッコリン

エリカ「……」

エリカ「頼むと言われて思わず笑顔で応えたけど……」

エリカ「何を頼まれたのか、全く聞いていなかった……」 ズーン

124 : 以下、名... - 2016/10/13 05:51:06.20 bajvrIOgo 95/872


エリカ「今更聞けないし、どうしたら……」

エリカ「今日は休んでもいいって言ってたし、私の身を案じてくれていたし……」

エリカ「とりあえず、急がないとまずいような内容じゃないだろうけど……」

エリカ「ああ、どうしよう……」

エリカ「……」

エリカ「いや、どうしようは、それよりも……」

エリカ「昨日の夢と、記憶にない昨日の私のことよね……」

エリカ「ありえない……」

エリカ「ありえないはずだけど……」

エリカ「でも、でも……」

エリカ「あの子の転校先は当たっていたし……」

エリカ「ネットにない情報だから、どこかで無意識に目にしていたり耳にしていた情報じゃない……」

エリカ「それに、あの夢を見た日は、私の意識がなくて、まるで人間戦車みたいになっている……」

エリカ「た、多分、間違いない……」

エリカ「そんなの、信じられないけど……」

エリカ「でも、隊長すら知らない大洗戦車道復活が、本当のことだとしたら……」

エリカ「私はリアルな夢を見ていたんじゃあない……」

エリカ「Ⅳ号戦車に憑依していたんでもない……」

エリカ「私……私……Ⅳ号戦車と――――」

126 : 以下、名... - 2016/10/13 06:05:38.12 bajvrIOgo 96/872







エリカ「入れ替わってる……!?」






 

137 : 以下、名... - 2016/10/14 01:05:53.74 YYvzAT34o 97/872


(ここで2度目くらいのオープニング曲がスタート)

エリカ「……」 ポチポチポチポチ

メール『メモ』

メール『今まで起きた入れ替わりは二回』

メール『相手はいずれも大洗女子のⅣ号戦車』

メール『車長はあの西住みほ』

メール『操縦手や、みほと寝たというナルコレプシー』

エリカ「……何って名前だったかしら……」

エリカ「まあいいわ」

エリカ「夢のように記憶が薄れきる前に、メモを取らないと……」

メール『通信手は脳味噌ゆるふわタケベサオリ』

メール『装填手は小型犬ゆるふわアキヤマユカリ』

メール『砲手はトリガーハッピー黒髪ハナ』

エリカ「……」

エリカ「前、あれだけ練習してたのよね……」

エリカ「……」

エリカ「あの子が、大洗で戦車道を続けてるのは、やっぱり納得いかない……」

エリカ「私は……戦車として、どうしたら……」

エリカ「……」

エリカ「……」

エリカ「いやいやいや、何よ戦車としてって、落ち着きなさい私」



138 : 以下、名... - 2016/10/14 01:32:46.59 YYvzAT34o 98/872


エリカ「とにかく、情報がいるわね……」

エリカ「特に、入れ替わってた時の“私”の情報」

エリカ「……」

エリカ「今のところ、動き回ったって報告は聞いてないのよね」

エリカ「……赤星が言うとおり、物にも魂はあった」

エリカ「でも自我まではない、植物みたいなものってことかしら」

エリカ「問題は、胸の間を押したらハンバーグが射出されるやつよね……」

エリカ「おそらく砲撃スイッチってことなんだろうけど……」

エリカ「心臓マッサージ不要って皆に伝えるとはいえ、初見の人間にされたら押されるのは間違いない」

エリカ「……ハンバーグ以外吐いてたかきいて、ハンバーグだけなら夕飯以外は弾にならないってことかもしれないし……」

エリカ「これから毎日、夕食はウィダーインにでもしようかしら……」

139 : 以下、名... - 2016/10/14 01:42:05.58 YYvzAT34o 99/872


エリカ「赤星」

小梅「どうしたの、逸見さん」

小梅「ハンバーグ吐きそうなら、ポリバケツか的を用意するけど」

エリカ「水洗便所でもう一度水難遭ってみる?」

小梅「それで、どうしたの逸見さん」

エリカ「ちょっと、長文のメール送ったから」

小梅「メール?」

エリカ「……昨日とか、この前とか、おかしくなったことがあったでしょ」

エリカ「私なりに、そのときの情報をまとめて、対策を書いておいたわ」

エリカ「まあ基本は放置してってことなんだけど……」

エリカ「またああならないとは限らないし」

エリカ「またああなったら、その時どうだったか、貴女に観察と報告を頼みたいの」

小梅「ふえ、私でいいの?」

エリカ「……ま。ルームメイトだしね」

小梅「ルームメイトなら、直下さんもだけど」

エリカ「あの子は、まあ」

140 : 以下、名... - 2016/10/14 02:11:47.47 YYvzAT34o 100/872


エリカ(まあ、これで少しでも傷を浅くするとして……)

エリカ(実際これからどうするかよね)

エリカ(そんなに頻繁に入れ替わらないといいんだけど、でも……)

エリカ(この感じの頻度だと、きっと、また――)

エリカ(……)

エリカ(眠れないわね……) パカ

エリカ「……」 カチカチカチ

『西住みほ』

エリカ(……)

エリカ(載ってる情報は、どれを見ても、私も知ってるものばかりね)

エリカ(西住流の後継者である西住隊長の右腕として、最高のパフォーマンスをする、史上最強のナンバー2……)

エリカ(……)

エリカ(あの子は……)

エリカ(私がどうしても欲しかったソレを、欲してなんてなかったのね……)

エリカ(そんなこと書いてる記事、どこにもないけど……)

カチカチカチ

エリカ(あ、水着グラビア)

小梅「あ、ごめん逸見さんそういうことするならお手洗いを使ってほし――」

エリカ「わざわざベッドを登ってきてまで何出歯亀してるのかしら」

小梅「ぼ、ボクササイズでキレを身に着けた右ストレートで梯子から落とすの普通に危ないよ逸見さん」 イテテ

141 : 以下、名... - 2016/10/14 02:18:56.44 YYvzAT34o 101/872


直下「どうしたの、何かすごい音したけど」

エリカ「なんでもないわよ、アホがちょっと落下しただけ」

小梅「あのね、逸見さんが眠れぬ夜は君の名をググるよ的なロマンチックな行為を」

エリカ「赤星」

直下「え、誰の名前誰の名前?」

小梅「それがね、みほさんだったの」

エリカ「赤星!!!!」

直下「あー……やっぱり、逸見さんってそうなんだ」

小梅「さっき昔戦車道雑誌でいやいや撮ったっていうグラビア画像を……」

エリカ「バカ星!!!!!!!!!!!!!」

142 : 以下、名... - 2016/10/14 02:33:08.74 YYvzAT34o 102/872


直下「まあまあ、思春期ならそういうことも」

エリカ「ちょっと!」

小梅「ツンデレってやつだったんだね」

エリカ「ここぞとばかりに死ぬまでマウント取ろうとしてくるんじゃないわよ!」

直下「バイブもローターも持ち込み禁止だからないけど……」

直下「代わりにプラズマダッシュモーター使うか?」

エリカ「使うわけないでしょそんなもん!!」

直下「じゃあ、スタビライザーポール」

エリカ「使わないってーの!」

エリカ「大体実際使われたらアンタちょっと困るでしょうが!」

143 : 以下、名... - 2016/10/14 02:38:43.34 YYvzAT34o 103/872


エリカ「はあ……」

エリカ「まったく頭が痛いわ……」

エリカ(天下の黒森峰とはいえ、やはり所詮は女子高校生ね……)

エリカ(マリオカートに夢中でミーティングに来ないような子もいるし)

エリカ(やはり戦車道の授業程度だと、練度はあれど、意識の面で一流なのは極わずか、か)

小梅「あ、それと逸見さん」

エリカ「なによ、私はもう寝るわよ」

小梅「夕食、食べてなかったみたいだけど……」

小梅「食べても大丈夫だよ」

エリカ「……はあ?」

小梅「そりゃあ、また病気かなにかで発射されちゃうかもしれないけど……」

小梅「お部屋が汚れるだけなら、一緒に片付ければいいだけだから」

小梅「ご飯を抜いて、逸見さんが隊長崩しちゃう方が、その、嫌だなって」

144 : 以下、名... - 2016/10/14 02:58:40.00 YYvzAT34o 104/872


エリカ「……」

エリカ「ふん」

エリカ「私のこと気にかけてる暇があるなら、早く寝なさい」

エリカ「明日は朝早くから練習あるでしょ」

小梅「ふふ……そうだね」

小梅「おやすみ、逸見さん」

エリカ「……おやすみなさい」

直下「布団に潜って指挿れたあとはちゃんと洗ってから寝るんだよ」

エリカ「出来ればそのまま眠りから覚めてこないで」

145 : 以下、名... - 2016/10/14 03:07:02.59 YYvzAT34o 105/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 


146 : 以下、名... - 2016/10/14 03:39:01.09 YYvzAT34o 106/872


エリカ「ん……」

エリカ「くあ……」

エリカ「……」

エリカ「ああ、またこの景色」

エリカ「ということは……」

ガラガラガラ

みほ「……」

「いよいよですね」

みほ「うん……」

エリカ「やっぱり、今日はⅣ号になってるってことね」

147 : 以下、名... - 2016/10/14 03:42:01.79 YYvzAT34o 107/872


エリカ「……ん?」

エリカ「人数が少ないような……」

エリカ「秋山と武部、あとあのナルコレプシーはどこに……」

「本当に、大丈夫なのでしょうか」

みほ「うん」

みほ「冷泉さん、朝、思ったよりも弱いみたいで……」

みほ「迎えにいかないと……」

エリカ「……」

エリカ「はあ!?」

エリカ「あ、あの女を朝から私で迎えに行く気なわけ!?」

エリカ「さすがに甘やかしすぎというか、何、あんたアイツの寝起き知ってるくらい、その……!」

「あ、あら?」

みほ「どうか、しましたか?」

「いえ……なんだか、全然上手くエンジンがかからなくて……」

エリカ「そんな舐めた理由で戦車を動かそうなんてねぇ」 ガミガミクドクド

148 : 以下、名... - 2016/10/14 04:02:34.28 YYvzAT34o 108/872


みほ「ちょっと見せて下さい」

エリカ「あっ、ちょ、バカどこ触って……!」

みほ「朝早くからごめんね」

みほ「まだ眠いかもしれないけど……」

みほ「動いてくれると嬉しいかな、なんて」 サワッ

エリカ「ひゃうっ」

「……?」

「こういうときは、話しかけると効果が……?」

みほ「あ、ううん」

みほ「ええと、なんていうか……」

みほ「小さい頃、上手く動かないときは、こうしてたんだ」

みほ「訓練では、お姉ちゃんの補佐をするため車長に専念させられたけど……」

みほ「それでもよく、お姉ちゃんと一緒に戦車を動かすのが好きで」

みほ「でも上手く動かない度、こうしてお願いすると、不思議と、ちょっと動いたりしたんだ」 アハハ

エリカ「ばっかじゃないの」

エリカ「そんなオカルト、効果あるわけないでしょ」

エリカ「……まあ、今の私がオカルトの極みみたいなものではあるけどさ」

「ふふ……とても素敵だと思います」

「お花だって、言葉をかけて育てると綺麗になると言いますし」

「きっとそういう戦車への愛情が、上手く動かすコツなんですね」

エリカ「……」

エリカ「愛情、ね……」

149 : 以下、名... - 2016/10/14 04:05:19.22 YYvzAT34o 109/872


エリカ「まったく、特別に力を貸してあげるんだから感謝しなさいよ」 キュラキュラキュラ

「ええと、次右でしたっけ」

みほ「はい、そこで止めて下さい」

「空砲というのは……」

みほ「これを」

エリカ「……空砲ってまさか」

みほ「目覚まし作戦、開始します!」

「照準はどこに合わせればいいんでしょう」

「空砲ですし、あそこを歩いているおじいちゃんの頭とかでも……」

エリカ「ねえこの娘マジで砲手やらせて大丈夫? いつか人殺さない?」

150 : 以下、名... - 2016/10/14 04:08:12.62 YYvzAT34o 110/872


ズドン

「はぁ……」 ウットリ

エリカ「ううん……」

エリカ「やっぱり自分の体で砲撃されるって変な感じね……」

エリカ「人間ポンプってこんな感じなのかしら……」

おじさん「なんだ!?」

おばさん「どうしたの!?」

みほ「すみません、空砲です」

おじいさん「大変じゃあ、空襲警報だそうじゃ!」

みほ「あ、ええと、そうじゃなくて、その、音だけを出すための」 ワタワタ

おじいさん「防空壕じゃあ、防空壕に駆け込むんじゃあ!」

「どうしましょう、やはり撃っておきましょうか……?」

エリカ「やはり、じゃないわよ何狙いを定めてんのよ」

151 : 以下、名... - 2016/10/14 04:11:11.05 YYvzAT34o 111/872


優花里「予想より大事になってしまいましたねえ」

沙織「もうっ、麻子のせいだからね」

麻子「私じゃなくて、こんな時間に練習試合を組んだやつのせいだろう……」 グゥ

エリカ「まったく、朝っぱらから……」

エリカ「……」

エリカ「って、今日が練習試合だったのね」

エリカ「……」

おばさん「あらⅣ号、久しぶりに動いてるとこ見たわねえ」

エリカ「まあ、戦車道が注目されるのは、悪くないことではあるし……」

エリカ「大人しく動いてはあげようかしら」

エリカ「……それで素直に叩き潰されて、戦車道の奥深さと難しさを痛感したらいいんだわ」

152 : 以下、名... - 2016/10/14 04:17:41.99 YYvzAT34o 112/872


エリカ「しかしまあ……」 キュラキュラキュラ

エリカ「意外と声かけられるものなのねえ」 キュラキュラキュラ

エリカ「コンビニもあったし、ググったら関東って書いてあったし、てっきりもっと都会で冷たいみたいなのを想像してたけど……」 キュラキュラキュラ

エリカ「……」

優花里「歯ァ磨いて下さい」

麻子「……ん……」

「顔も洗ってくださいね」

エリカ「しかし本当に戦車の中とは思えないほど日用品持ち込んでやがるわね……」

エリカ「こんなにたくさんいらないでしょ……」

麻子「……」 シャコシャコシャコ

エリカ「歯ブラシとか、戦車に置きっぱなしにするものじゃないんだからね」

エリカ「聞いてる、そこの問題児」

麻子「……」 グチュグチュグチュ

エリカ「……って、聞こえてないのよね、私の声って」

麻子「ぶえっ」 ペッ

エリカ「ちょっ、おまっ、何口ゆすいだ水普通に吐き出してるのよ!!!!!!」

沙織「きゃあっ、ちょ、麻子!」

優花里「わわっ、外! 外に吐いて下さい!!」

麻子「……悪い、つい……」

エリカ「つい、じゃないわよ!!!!」

エリカ「あんた人の体の中を何だと思ってるわけ!?」

エリカ「ああもうやっぱりこの女大っ嫌いだわほんと!!!」

「あわわ、また上手く動かなく……」

みほ「ええ!?」

優花里「試合前なのに!?」

沙織「もう、精密機器っぽいのに水なんてかけるから!」

麻子「問題ない……あとでちゃんと操縦してやる……」

エリカ「あああああ……確かに心地よく動けるテクニックはあるけど、歯向かってやりたくなるわ……」

153 : 以下、名... - 2016/10/14 04:21:09.49 YYvzAT34o 113/872


『よっすー西住ちゃん』

みほ「おはようございます」

桂利奈『合流ー!』

『おはようございます』

エリカ「続々集まってるけど……」

エリカ「集まれば集まるほど異質になるというか……」

エリカ「やっぱりこのカラーリングはおかしいというか……」

エリカ「幼稚園児に塗り絵させました、みたいな目に悪いカラーリング、もうちょっと何とかならなかったのかしら……」

ボボォーーーッ

沙織「でかっ!」

「あれが聖グロリアーナの戦車ですか……」

エリカ「……」

エリカ「はあ!?」

エリカ「聖グロリアーナ!?」

エリカ「あんたらあの練度で聖グロリアーナに挑もうっていうわけ!?」

154 : 以下、名... - 2016/10/14 04:28:01.12 YYvzAT34o 114/872


エリカ「いや、馬鹿でしょ」

エリカ「勝てるわけないし、ボッコボコにされればいいわ」

エリカ「戦車道を舐めたら駄目ってことを痛感したらいいのよ」

沙織「強そう~……」

沙織「でも、絶対勝とうね、みぽりん!」

エリカ「あのねえ」

エリカ「貴女達程度がそう易易と勝てるほど、四強の壁っていうのは――」

優花里「西住殿が指揮を取ってくれるなら、百人力ですよ!」

エリカ「……」

みほ「あはは……頑張るね」

沙織「あんこう踊り、絶対回避しなくちゃだもんね!」

エリカ「……」

エリカ(確かに、どうしようもない素人集団だし、痛い目を見て然るべき連中)

エリカ(でも……)

エリカ(この子なら……もしかして、そんな連中を使ってでも勝てる……?)

エリカ(少なくとも隊長なら)

エリカ(隊長なら、たったお一人で、聖グロ5両に対して五角以上に立ち回れる)

エリカ(……)

エリカ「私だって、隊長の背中を追い掛けて、横に並ぼうと思ってきた身」

エリカ「そして……」

エリカ「ムカつくけど、その私より、隊長の近くにいたのが、この子なのよね……」

エリカ(……)

エリカ(聖グロ相手にどこまで通用するのか……)

エリカ(見たい気持ちがないわけじゃあない)

エリカ(痛い目見ろとは思うのに……)

エリカ(強い姿を、見たいとも思ってしまう……)

エリカ「はあ……」

エリカ「我ながら面倒臭いやつよね……」

155 : 以下、名... - 2016/10/14 04:38:35.45 YYvzAT34o 115/872


エリカ「ふむ……」

エリカ「車長が整列してるけど……」

エリカ「こうしてみると、Ⅳ号の狭い視界だと把握してなかった子がちらほらいるわね」

エリカ「よく分からない目立った軍服の金髪は嫌でも覚えるからまあいいとして……」

エリカ「あれが一年チームの車長で、そっちにいるのがバレー部ね……」

エリカ「生徒会の連中も比較的分かりやすいし、覚えるのはそこまで労せず行けそうね」

エリカ「まあ、覚えたからって何があるわけじゃないけど……」

エリカ「っと、来たようね」

ガチャ

スタッ

???「ふふ……」

エリカ「……相変わらず腹立たしツラねえ」

エリカ「ダージリン」

ダージリン「……」

エリカ「……」

エリカ(こいつ、優雅に飛び降りたはいいけど、存外痛くて足しびれてるわね……遠くを無言で見つめることで誤魔化そうとしてやがる……)

156 : 以下、名... - 2016/10/14 04:43:04.32 YYvzAT34o 116/872


「本日は急な申込みにも関わらず、試合を受けて頂き感謝する」

ダージリン「構いませんことよ?」

ダージリン「それにしても……」

ダージリン「個性的な戦車ですわねぇ」 ブフーッ

「うぐっ……」

ダージリン「ですが――」

ダージリン「私達はどんな相手でも全力を尽くしますの」 フフ

エリカ「ふん」

エリカ「そんなこと、戦車道を真剣にやる以上当然のことでしょ」

エリカ「さも自分達は特別みたいに語っちゃって」

ダージリン「サンダースやプラウダみたいに下品な戦い方はいたしませんわ」 ハン

ダージリン「騎士道精神でお互いがんばりましょう」

エリカ「……」 イラッ

エリカ「お得意の格言ジョークはどうしたのかしら、少々ディスが露骨じゃないかしら?」

エリカ「って煽っても、聞こえてないのよねえ……」 チッ

157 : 以下、名... - 2016/10/14 04:49:19.38 YYvzAT34o 117/872


エリカ「……」

エリカ「ダージリン……」

エリカ「聞こえてないからこそ、はっきりと言ってあげるわ」

エリカ「私はねェ、アンタのことが嫌いなのよ」

エリカ「黒森峰に勝ったこともないくせに、自分達は最強みたいに澄ましちゃって……」

エリカ「それに、毎回、いい所まで隊長を追い詰めるからって、終生のライバルみたいな顔をして!」

エリカ「車長として、西住まほのライバルはこのダージリン、みたいなことを思ってるんでしょうけど……」

エリカ「私はそんなの認めないッ」

審判「それではこれより、大洗女子学園と、聖グロリアーナ女学院との試合を始める!」

エリカ「アンタがどう思っていようと、私は知ってる」

エリカ「隊長を最も輝かせていたのは、腹立たしいけどあの子だってことを」

エリカ「そして隊長が、あの子の才を誰より認め、いつか越えられるだろうと嬉しそうに語っていたことを!」

審判「一同、例!」

エリカ「そんなあの子を、いつか越えるのよ、私は!」

エリカ「だから、隊長と肩を並べる役は、アンタじゃあないわ、ダージリン……!」

エリカ「私か、あの子ッ」

エリカ「それを証明してやるッ……!」

158 : 以下、名... - 2016/10/14 04:54:42.19 YYvzAT34o 118/872


エリカ「勿論ダージリンは強い……」

エリカ「あのやかましいスピードスターは留守番みたいだけど、甘く見れる相手は一両たりともいない」

エリカ「それでも」

『用意はいいか、隊長?』

みほ「あ、はい」

エリカ「こっちの指揮は、あの黒森峰最強と言われた西住姉妹の一角」

エリカ「それに、経験豊富で意思を持った戦車と化した私がいるッ」

『全ては貴様にかかっている』

『しっかり頼むぞ』

みほ「……っ」

エリカ「今までずうっと隊長との一騎打ちに持ち込まれていて直接やりあえてなかったんだもの」

エリカ「この機会に、私達二人なら、あのダージリンだろうが越えられることを証明するわよ!」

エリカ「あの人と肩を並べ、対等でいられるのは私だってこと、教えてあげるッ!」

『試合開始ッ!!』

エリカ「いくわよ――――」

エリカ「パンツァー・フォーッ!」

168 : 以下、名... - 2016/10/14 21:55:33.31 YYvzAT34o 119/872


優花里「いよいよ始まりましたねえ」

みほ「うん……」

エリカ「まったく、お遊び気分でいるんじゃあないわよ」

優季『あのお~、それでどうするんでしたっけえ~?』

みほ「先程説明したとおり、今回は殲滅戦ルールが適用されますので……」

みほ「どちらかが全部やられたら負けになります」

あや『そーなんだー』

エリカ「え、そのレベルなわけ?」

エリカ「いやよしんばそうだとしても、事前に頭に叩き込んだりしないの?」

エリカ「……相変わらず、ほのぼのお遊び同好会みたいなことしてるわねえ」

169 : 以下、名... - 2016/10/14 22:27:04.83 YYvzAT34o 120/872


みほ「まずは我々Aチームが偵察に向かいますので」

みほ「各チームは100メートルほど前進した所で待機して下さい」

『わかりました!』

『はーい』

『御意!』

『なんか作戦名とかないの?』

みほ「作戦名は……えーっと……」

みほ「こそこそ作戦です」

みほ「こそこそ隠れてこそこそ相手の様子を見て、こそこそ攻撃を仕掛けたいと思います」

エリカ「相変わらずセンスないわねえ……」

エリカ「黒森峰でもそう言われてたのに」

エリカ「もっとこう、サイレント・アサシン作戦とか、そういうセンスを磨きなさいよ」

エリカ「字面で書くと静かなる暗殺者的なやつを書いてカタカナで読む、これがネーミングのコツよ」 フフン

麻子「……なんだ……今日のエンジン音はどこか不快だ……」

171 : 以下、名... - 2016/10/14 23:09:18.26 YYvzAT34o 121/872


『姑息な作戦だな』

柚子『桃ちゃんが考えたんじゃない』

エリカ「はあ!?」

エリカ「アンタが隊長なんじゃないわけ?」

エリカ「仮にも隊長なのに、何であんな片眼鏡に指示仰いでるのよ!」

エリカ「アイツ絶対文句だけは一人前のタイプよ!?」

エリカ「調子乗ると高圧的になるし、ああいうタイプは図に乗らせたら駄目」

エリカ「一回ボッコボコにならないと学習しないタイプなんだから」

エリカ「絶対調子乗った挙句読みを外して無様な地団駄ダンスを踏みまくるはめになるわよああいうやつは」

175 : 以下、名... - 2016/10/15 00:38:19.77 cQohcwU/o 122/872


エリカ「……」

エリカ「暇ねえ……」

エリカ「偵察に出られないのが戦車の体の難点ね……」

エリカ「まあ普段は下級生とかに行かせるけど……」

「暇だねー待ってる間」

沙織「すぐ戻ってきて移動するみたいだから、外にも出られないしねー」

麻子「私達は囮だから後も暇はないけどな……」

典子「スクワットなら、すぐに中断も出来て体も鍛えられる!」

あや「誰か何か持ってきた?」

優季「トランプならあるけど、あとでやる?」

左衛門佐「近藤勇」

エルヴィン「ぶんぶん」

おりょう「14人」

カエサル「ぶんぶん」

おりょう「土方歳三」

左衛門佐「ぶんぶん」

エルヴィン「15人」

カエサル「ぶんぶん」

エルヴィン「五稜郭」

おりょう「ぶんぶん」

カエサル「五稜……え!?」

エルヴィン「ふっ、アウトー」

エリカ「うるさすぎるのよアンタら! ちょっとは黙って待てないわけ!?」

176 : 以下、名... - 2016/10/15 00:40:55.84 cQohcwU/o 123/872


エリカ「あ、戻ってきた」

みほ「麻子さん起きて」

みほ「エンジン音が響かないように注意しつつ、展開してください」

麻子「ん……」

エリカ「ったく、もっと迅速に戻って来られないわけ?」

麻子「……」

麻子「たまに、こちらが予期せぬ音をエンジンが出すのだが……」

みほ「まさか……」

麻子「今日がそれだ」

エリカ「何!? 私のせいって言いたいわけ!?」

177 : 以下、名... - 2016/10/15 00:59:35.29 cQohcwU/o 124/872


みほ「敵、前方より接近中!」

エリカ「はん、来たわね」

麻子「本当に今日のエンジンはうるさいな……」

みほ「砲撃準備」

優花里「装填完了ッ」

「ええと、チャーチルの幅が……」

みほ「3.5メートル」

「4シュトリヒだから……距離、810メートル……」 キリキリ

沙織「!」

沙織「待機中の車輌から通信!」

みほ「!?」

みほ「繋いで下さい!」

エルヴィン『あ、すまない隊長。今、いいか』

エリカ「電話じゃないんだから、今駄目なら改められるような内容ならかけてくるんじゃないわよ!」

みほ「どうかしましたか?」

エルヴィン『いや、ちょっとこちらで揉めていて……』

エルヴィン『他のチームに聞いても終息しないどころか悪化してきたから、ここはもう隊長にビシっと言ってもらおうかと……』

エリカ「はあ!? 何やってるのよ」

沙織「ええと……どうしよう、この通信」

「私は私で集中して調整しますから、その間に答えてあげてください」

「そういう些細な悩みに一緒に悩んで答えてあげるところが、みほさんのいいところですから」 フフ

エリカ「……」

エリカ「なによ、こんな短期間で信頼されちゃって」 ムゥ

みほ「それで、どうかしたんですか?」

エルヴィン『いや、五稜郭ってどう数えるのが正解なのかなと』

エリカ「あ゙?」

178 : 以下、名... - 2016/10/15 01:12:57.21 cQohcwU/o 125/872


エリカ「試合中に何アホな通信してきてんのよこのバカ!!」

みほ「五稜郭……」 ウーン

沙織「五稜郭って、あれだっけ、北海道の観光地」

優花里「あんまり数えるものではありませんよねえ」

(集中、集中……) キリキリキリキリ

エルヴィン『いや、さっき数取団をしていて揉めてな』

エルヴィン『こっちでも1箇所派とか色々いて……』

みほ「数取団……?」

優花里「ご存知、ないのですか?」

エリカ「まあ、小さい頃から厳格な家庭で戦車道ばかりさせられてたんだしね」

エリカ「……まあ私も、知ったのは最近赤星達に教えられてだけど」

優花里「直前に言った名前の物を、数える遊びなんですよ」

エリカ「説明下手か!」

優花里「手軽に友達と出来るので、小学校で流行ってたんですよねえ」

優花里「まあ私は一緒にやる友達なんていなくてやったことないんですけれど」

沙織(重っ……)

エリカ「ああ……ルール説明する機会もなかったのねこの子……」

179 : 以下、名... - 2016/10/15 01:28:53.96 cQohcwU/o 126/872


みほ「えーっと、分かったような……わからないような……」

エルヴィン『まあ、あれだ』

エルヴィン『例えば目の前に五稜郭が複数あるとして……』

エリカ「前提からして大分無茶なことを言ってる自覚ある?」

エルヴィン『それをどうやって数える?』

みほ「え?」

みほ「ええと……」

エルヴィン『例えば、それが6なら?』

みほ「え、ろ、六稜郭」

エルヴィン『ふふっ』

優花里「ぶふっ」

「ふふっ」 カチッ

「…………あっ」

ドーン

エリカ「ちょ、何勝手に発射して……し、しかも外れてるじゃないのよ!!」

180 : 以下、名... - 2016/10/15 01:35:34.96 cQohcwU/o 127/872


「す、すみません……」

みほ「だ、大丈夫、目的は撃破じゃないから」

エルヴィン『な、なんというか……』

エルヴィン『すまん……』

沙織「う、ううん」

沙織「とりあえず逃げるから切るね?」

エルヴィン『あ、ああ』

エルヴィン『他の班には、西住隊長によって五稜郭は○稜郭と数えるのが正解に決まったことをこちらで共有しておこう』

みほ「そ、それはやめてくださいっ!」

エリカ「ホラ、遊んでないで逃げるわよ!!」

198 : 以下、名... - 2016/10/18 01:23:19.95 XOPwATDMo 128/872


みほ「なるべくジグザグに走行して下さい!」

エリカ「訓練された黒森峰の操縦手ならともかく、素人がいきなりそんな……」

麻子「……」 グイッガキン

エリカ「……」

エリカ「やるじゃないの……」

みほ「こっちは装甲が薄いから、まともに喰らったら終わりです!」

エリカ「……」

エリカ「まともに食らって白旗飛び出す威力って、多分、前のより……」

エリカ「……」

エリカ「ま、まともに食らったら私の体が終わるじゃないのよ!」

エリカ「ほ、ほら、逃げるわよ!」

エリカ「どんなエグいジグザグだろうが、私も一緒に駆け抜けてあげるからっ!」

199 : 以下、名... - 2016/10/18 01:39:28.15 XOPwATDMo 129/872


エリカ「ああああああああっ」

エリカ「カーボンなしで聖グロ相手にするのがこんなに不安だなんてっ……」

エリカ「ひっ」 ズドン

エリカ「伊達に四強扱いされてないわね……結構射撃が正確だわ……」

エリカ「何とか、何とか逃げなくちゃ……」

エリカ「あのスピードバカがいなくて本当によかったわっ……!」

ダージリン「思っていたよりやるわね……」

ダージリン「追うわよ」

ダージリン「どんな走りをしようとも、我が校の戦車は一滴たりとも紅茶をこぼしたりしないわ」

エリカ「――とか言って調子こいてそうでムカつくけど、逃げしかまだ出来ないのよね……」

ヒュドンッ

エリカ「ああ、くそっ!」

エリカ「射撃訓練の時間を削ってでもロデオマシーンで紅茶を飲む練習をしてる奴らの砲撃なんて、食らってなんかやらないんだからっ!」

200 : 以下、名... - 2016/10/18 01:49:54.53 XOPwATDMo 130/872


ガチャ

みほ「ふう……」

沙織「みぽりん危ないって!!」

みほ「ふえ?」

エリカ「素人は黙ってなさいよ、今こっちは切羽詰まってるのよ!」

みほ「ああ、戦車の車内はカーボンでコーティングされてるから大丈夫だよ」

沙織「そういうんじゃなくて!!!」

沙織「そんなに身を乗り出して当たったらどうすんの!?」

みほ「まあ、めったに当たるものじゃないし……」

みほ「こうしていた方が、状況が分かりやすいから」

エリカ「一定以上のレベルの車長ならこんなの当然よ」

エリカ「……素人が車長をやるのが難しいとされる一因ではあるし、怯えるのも分からなくはないけど……」

エリカ「でも幼い頃から戦車道をしてきて、車長をしているものなら、こんなくらい、怯えるにも値しないわ」

沙織「でも、みぽりんにもしものことがあったら大変でしょ!?」

みほ「でも、そんなときのために死亡保険にはちゃんと入ってるし……」

エリカ「あんたらも入っておいた方がいいわよ、学校側で入るの以外にも保険入っておくと何かと安心だから」

みほ「それに、戦車道の時間に最初に書かれた誓約書で、死亡時や欠損事故の際のことはきっちり決められてたから……」

沙織「万が一が起きたときのことじゃなくて、万が一を起こさないことを考えようよ!?」

沙織「もっと中に入って!」

みほ「心配してくれてありがとね……」

エリカ「ちょ、人が必死に逃げてるのに、ナカにイれるとか何話してるのよ!?」

エリカ「何なの、この戦車はレズの淫売によるハーレムでも目指してるの!?」

麻子「うっ、急にコントロールが……」

ヒュドンッヒュドンッ

沙織「ほら、早く中に!」

みほ「え、ええと、じゃあお言葉に甘えて……」


201 : 以下、名... - 2016/10/18 02:11:47.66 XOPwATDMo 131/872


みほ「Aチーム、敵をひきつけつつ、待機地点にあと3分で到着します」

エリカ「……ここで上手くやれればいいんだけど……」

エリカ「話を聞く限り素人集団」

エリカ「しかもわずかな空き時間で遊び出すような連中」

エリカ「本当に大丈夫なのかしら……」

みほ「あと600メートルで、敵車輌射程内です!」

エリカ「自分じゃ動けないし、他の連中の情報が全然無いのが不安要素よね……」

エリカ「他の戦車と会話が出来れば違うんでしょうけど……」

エリカ「……」

エリカ「って、何を考えているのかしら私は……」

エリカ「大洗のことなんてどうでもいいし、そもそも戦車と会話とか阿呆極まる発想なのに」

エリカ「やっぱり戦車になると駄目ね、頭がドンドン悪くなるわ……」

エリカ「はあ……早く体に帰りたい……」

エリカ「黒森峰なら、もっと知的に立ち回れるし、周りのレベルだって高いのに……」

202 : 以下、名... - 2016/10/18 02:42:03.13 XOPwATDMo 132/872


直下「今日も持病で心臓止まってるんだ?」

小梅「うん」

小梅「心臓ってそうホイホイ止まっていいものじゃないと思うんだけどね」

直下「大変だよなあ……」

ギャンッ

小梅「ひゃ!?」

小梅「な、なに!?」

直下「うわっ、コースアウトしたサイクロンマグナム……」

ギャリギャリギャリ

小梅「ああっ、逸見さんの端正な顔がホイールで……!」

直下「やばいやばい!!」

小梅「ああっ、なんか逸見さんが変な風に振動してる!?」

直下「ど、どうしよう……」

直下「とりあえず、逆の方も同じことしたらバランス取れるかな……」

小梅「ええ!?」

ギャリギャリギャリ

直下「あ、収まった」

小梅「どうなってるんだろう、逸見さんの体……」

直下「副隊長がこれで大丈夫なのかな」

小梅「そ、それは言っちゃ駄目だよ……!」

直下「いや、でも、多分黒森峰の歴史で最も阿呆な副隊長なんじゃ……」

小梅「びょ、病気なんだからしょうがないよ! ハンバーグ発射したのもしょうがないんだよ!」

小梅「逸見さん、自分じゃ知的な補佐だと思ってるんだから、起きてるときに言ったら駄目だよ……?」

直下「実際は、歴代最高に恥的なのになあ……」

203 : 以下、名... - 2016/10/18 03:03:18.65 XOPwATDMo 133/872


「撃て撃てェェーーーーーーっ!!」

エリカ「はァァァーーーーーーーーーーーーーー!?」

ズドーン

ズドーン

みほ「あ、待って下さい……!」

ズドーン

ズドーン

エリカ「こんのバカども、私達よ!!」

麻子「ちっ……敵と味方の区別もつかないのか……」

「わ、私達ですよ皆さん!」

沙織「味方を撃ってどうすんのよぉ!?」

ズドーン

ズドーン

エリカ「ああ、もう! なんなのよこいつら!」

エリカ「黒森峰じゃ上下関係は絶対、隊長格にフレンドリーファイアーしようものなら処刑モンよ!?」

エリカ「尊敬とか厳格さとかが欠けすぎじゃないの!?」

エリカ「ああもう、やっぱりさっさと黒森峰の体に戻りたいわっ……!」

エリカ「黒森峰なら隊長や副隊長に手を上げるようなバカはいないのにっ……!」

204 : 以下、名... - 2016/10/18 03:40:59.25 XOPwATDMo 134/872


直下「たわわチャレーーーーンジ!」

ガチャン

脇にヘッツァーがいるぞ子「瞬時に落下した……」

直下「わ、私のブロッケンギガントが……!」

脇にヘッツァーがいるぞ子「ブロッケンに胸を整地されるから……」

小梅「悲しくなるから、そーいうのやらない方がいいんじゃ」

直下「ぐう……」

直下「……」

直下「そういえば……」

直下「露出を全然しない聖グロはさておき、アメリカンなサンダースはナイスバディの集団だよな」

小梅「確かに」

直下「にくきプラウダのブリザードやロシア人も、スタイルはいい」

直下「……あまり薄着をしてくれないが、うちの隊長や副隊長って、そこに食い込めるボディをしているのだろうか」

脇にヘッツァーがいるぞ子「そんなに大きいイメージはないけど」

小梅「でも、プールの時間とか、逸見さん結構あったような……」

直下「……盛ってるの?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「プライド高いし、あるかも……」

小梅「……」

直下「……」

直下「剥いて確かめてみようか」

小梅「!?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「確かにやるなら、病気で意識がないっぽい今かも……」

小梅「えええええ!?」

小梅「駄目だよそんな寝込みを襲うような真似!」

小梅「ちゃんと起きてるときに、面と向かっておっぱい見せてって言わなくちゃ!」

直下「それやる方がなんか変態的だし、普通にぶっ飛ばされそう」

脇にヘッツァーがいるぞ子「それじゃ、脱がすよー」

小梅「え、ええ~~~!?」

205 : 以下、名... - 2016/10/18 03:52:05.12 XOPwATDMo 135/872


「撃て撃て撃てェ!!」

ズドンズドンズドン

みほ「そ、そんなバラバラに攻撃しても……」

みほ「履帯を狙ってくださいっ」

エリカ「そもそもこんなバレバレな囮作戦が効いたら苦労しないわ」

エリカ「相手は脳味噌茹だりまくって頭蓋骨で紅茶を蒸らせるような連中とはいえ、腐っても超名門」

エリカ「戦車道の腕前だけは、ムカつくけど一級品なのよ!」

「もっと撃てェ!」

ドーンドーン

「くっ……なかなか当たらな……」

エリカ「予想より、連発されると反動で体が痛いわねっ……」

「次々撃てェ!!」

ドーンドーン

エリカ「あまり補正をかけてやれそうにないっ……」

「やはり動く相手だと、勝手が……!」

「見えるもの全て撃てェ!!」

ドーンドーン

沙織「見えるもの全て撃っていいんだって!!」

エリカ「へえ、丁度あの片眼鏡の乗った生徒会の金ピカ戦車が見えてるわね」

「……」 キリキリキリ

麻子「……なんだか良くない方向で意見がシンクロしようとしてないか?」

206 : 以下、名... - 2016/10/18 03:59:50.25 XOPwATDMo 136/872


ダージリン「攻撃」

ドーンドーン

典子「す、すごいアタック……!」

あや「ありえない……!」

みほ「落ち着いて下さい、砲撃やめないで……!」

エリカ「ちっ、まるで戦車道デビューしたての小学生ね……!」

あゆみ「無理ですう、もう嫌あ!」

「待って!」

エリカ「ちょ、バカ、あの子達外に――!」

「逃げちゃダメだってばあ!」

ズドン

シャコッ

エリカ「撃墜……は、もういいとして……」

エリカ「こんな激しい戦闘地帯で飛び出すなんて、何考えてるのあの子達は!」

エリカ「……」

エリカ「とりあえず木の上に避難できたみたいだけど……」

エリカ「戦車として広い視野を持つ私以外、気付けてもいない……」

エリカ「とにかく戦場を移さないと、シャレにならないわよ……!」

エリカ「勝利と天秤にかかってるならいざしらず、こんなアホみたいな負け戦で死人なんて出してたまるものですか!」

207 : 以下、名... - 2016/10/18 04:07:02.37 XOPwATDMo 137/872


ズドン

ズドーン

沙織「ど、どうしたらいいのみぽりん!」

「どの車輌を狙えばいいんですか!?」

麻子「どうするんだ。逃げるのか、このままなのか」

優花里「に、西住どのぉ!」

みほ「落ち着いてください、まずは冷静に――」

エリカ「無駄よ」

エリカ「パニックになってる連中に言葉は届かないわ」

エリカ「本当なら派手に一発ドカンとやって気付けにでもしたいのだけど」

エリカ「これだけメンバーの気持ちがバラバラだと、まともに射撃をするのは困難ね」

エリカ「でも――」

沙織「どうしよう、とりあえずやられちゃう前に生徒会に一矢報いる!?」

みほ「えっ」

「あまり動いてませんし、目立ってますから、それなりに狙えるとは思いますが……」

みほ「ちょ」

優花里「確かに気持ちはわかりますがそれは……」

優花里「いや、でもここは敢えて囮として負傷兵を……?」

みほ「あの」

エリカ「ふっ……」

エリカ「どうやら心を一つに出来る相手がいるみたいじゃない」

エリカ「安心しなさい、白旗が出ないよう調整はしてあげるわ!」

麻子「落ち着いて履帯を狙って撃て――と、さっき言っていたぞ」

「分かりました、履帯ですね!」

みほ「え、ええと……」

『いいから撃てェ! 目に見えるものは全て撃てェ!』

「了解!」

沙織「生徒会のお偉方からの指示だもんね!」

麻子「生徒会の戦車を視界に捉えたぞ」

優花里「さすがに目立ってますねぇ」

みほ「お、落ち着いて……」

エリカ「くたばりなさいッ!!!」

ズドーーーーーーーーーン


208 : 以下、名... - 2016/10/18 04:12:05.86 XOPwATDMo 138/872


「ごめんなさい外れましたっ……!」

みほ「いや、いいんですよ味方なんですから!」

みほ「皆落ち着いて!」

エリカ「ええ、敢えてああやって外したのよ……!」

エリカ「これなら!」

柚子「あれ?」

柚子「あれれ???」

「ああ、外れちゃったね履帯」

「38Tは外れやすいからなあ」

エリカ「さ、これで鬱憤も晴れて囮も出来たし、さっさと撤退するわよ」

エリカ「あんまりここでドンパチ続けると、生身で外に出た馬鹿に怪我人が出かねないわ」


211 : 以下、名... - 2016/10/19 01:36:59.00 AfBpQIboo 139/872


みほ「武部さん、各車状況を確認して下さい」

沙織「あ、うん」

沙織「えっと、Bチーム、どうですか?!」

妙子『何とか大丈夫です』

沙織「Cチーム!」

エルヴィン『言うに及ばず!』

沙織「Dチーム!」

エリカ「あいつらなら今木の上よ」

エリカ「さっさと戦場を移さないと不味いって」

沙織「Eチーム!」

「駄目っぽいねえ」

エリカ「まあこっちがやっといてなんだけど、ここは元から駄目っぽかったからいいでしょ」

「無事な車輌はとことん撃ち返せ!!」

エリカ「あの位置なら逃げたバカ達に当たる心配もないし、移動までの時間を稼ぐ砲台でもやっててくれないかしら」

212 : 以下、名... - 2016/10/19 01:49:12.78 AfBpQIboo 140/872


典子「私達どうしたら!?」

エルヴィン「隊長どの、指示を!」

「撃って撃って撃ちまくれぇ!」

エリカ「やっぱりもう指示できないよう通信機器まるっとぶち壊す勢いでぶつけたらよかったかしら」

みほ「このままいってもやられるだけ……」

エリカ「なによ」

エリカ「あんたは別に、隊長の指示を聞くしか出来ないカカシだったわけじゃないでしょ」

エリカ「あんたなら……ムカつくけど、この程度――」

「隊長は、西住さんです」

沙織「私達、みほの言う通りにする!」

麻子「どこへだって行ってやる」

優花里「西住殿、命令して下さい!」

みほ「……!」

エリカ「……」

エリカ「なによ」

エリカ「慕われてるじゃない」

エリカ「……」

エリカ「言っておくけど……」

エリカ「アンタのことを認めてない連中だけじゃなくて、アンタを認めていた奴らは、黒森峰にだって……」

エリカ「……」

213 : 以下、名... - 2016/10/19 02:09:17.84 AfBpQIboo 141/872


みほ「B・Cチーム、私達の後についてきてください」

みほ「移動します!」

典子「わかりました!」

エルヴィン「心得た!」

「何ぃ、許さんぞ!」

エリカ「許さん、とかじゃあないでしょうに」

エリカ「何なのよあの片眼鏡は」

エリカ「隊長の言うことは絶対」

エリカ「部隊というのは、しっかりとした隊長と、その指示を徹底できる部下あってこそ」

エリカ「隊長の言葉は絶対なのよ」

エリカ「……」

エリカ(絶対と言えば……)

エリカ(赤星は、私の言うとおり、きちんと体を管理していてくれてるかしら?)

エリカ(元々気が弱いうえに去年の負い目もあるし、副隊長である私の言うことなら素直に従ってくれてるとは思うけど……)

エリカ(どうにも胸騒ぎがするのよね……)

214 : 以下、名... - 2016/10/19 02:13:44.18 AfBpQIboo 142/872


直下「おお……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「意外とある……」

小梅「どちらかというと、サイズよりも形がすごいっていうか……」

小梅「ボクササイズしてるだけあって引き締まってるし、艶もいいよね」

直下「何だかんだで楽しそうだよね、小梅」

小梅「ええ!?」

小梅「そ、そんなことは……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「んじゃ、さっそくたわわチャレーンジ」

直下「上半身起こして」

小梅「もう……」 ヨッコラセ

直下(素直にやるのか……)

脇にヘッツァーがいるぞ子「で、どれ乗せる?」

直下「うっかり走らないやつ買っちゃったビークスパイダーでいいんじゃない」

脇にヘッツァーがいるぞ子「それじゃさっそく――」

小梅「ビーチクスパイダー……」 ボソ

直下「ブフッ」

脇にヘッツァーがいるぞ子「もお~~、普段そーいうの言わない子が急に言うのは反則だって」 ゲラゲラゲラゲラ

エリカ「ドゥルン」

直下「!?」

エリカ「ドゥルルルルルルルル」

小梅「わっ、ど、どうしよう、逸見さんが……」

小梅「逸見さんが何かすごい振動し出した!!」


215 : 以下、名... - 2016/10/19 02:28:29.04 AfBpQIboo 143/872


エリカ「もっとこそこそ作戦を開始します!」

エリカ「なんて言うから、どんな作戦かと思ったら」

エリカ「地の利を活かして待ち伏せ、ねえ」

エリカ「王者の戦いじゃあないけど……」

エリカ「ま、雑兵にはそれが妥当な戦い方じゃないの」

エルヴィン『こちらCチーム、1輌撃破!』

典子『Bチーム、1輌撃破!』

優花里「やりましたねえ!」

エリカ「地の利を取るのも、ま、基本戦術と言えば基本戦術だけど……」

エリカ「素人集団でも、ラッキーパンチは当たるものね」

エリカ「一度も紅茶こぼしたことがないって言いながら、予想外の自体で頻繁にカップを割ってるって噂だけど……」

エリカ「既に叩き割ってくれてたりしないかしら」 クク

麻子「何だか悪役のようなエンジン音がしている……」

沙織「?」

216 : 以下、名... - 2016/10/19 02:40:02.98 AfBpQIboo 144/872


ダージリン「おやりになるわね……」

オレンジペコ「あの……」

オレンジペコ「カップ……」

アッサム「オレンジペコ」

オレンジペコ「はい」

アッサム「あれはカップが割れたんです」

オレンジペコ「はあ」

アッサム「カップが割れてしまっただけのこと」

オレンジペコ「わかりますが……」

アッサム「こぼれたわけじゃないので、こぼしたとか広めないように」

オレンジペコ「えっ」

オレンジペコ「いいんですか、そんなガバガバ判定で」

アッサム「紅茶をこぼさない優雅さの強調が目的なのだから、負けた時や衝撃を受けたときにカップが割れるのはセーフなの」

オレンジペコ「いいんですね」

217 : 以下、名... - 2016/10/19 03:11:05.42 AfBpQIboo 145/872


エルヴィン『Cチーム、走行不能ッ!』

典子『Bチーム、敵撃破失敗!』

典子『及び走行不能、すみません!!』

みほ「……っ」

優花里「残ってるのは我々だけです……」

沙織「向こうは何輌!?」

「4輌です……」

エリカ「正念場ね」

エリカ「名門と言えど、優雅さだかに拘っているような連中」

エリカ「黒森峰で揉まれたのよ、目じゃないわ」

エリカ「とはいえ、数は絶対」

エリカ「真正面から4輌相手に1輌で挑むなんて愚行、西住隊長でもない限り生還は絶望的」

エリカ「ましてや相手には頭はアレでも戦術や車長の技量は一級品のダージリンがいる……」

エリカ「車長としての、アンタの腕の見せどころ」

エリカ「……」

エリカ「見せてみなさい」

エリカ「隊長抜きで、アンタがどこまでやれるのかを」

222 : 以下、名... - 2016/10/25 03:50:26.28 L44rNxVso 146/872


みほ「来た……」

みほ「囲まれたら不味い……」

麻子「どうする?」

みほ「とにかく敵を振り切って……!」

麻子「ほい」 ガシャコン

エリカ「……」

エリカ「この子、素人丸出しだったくせに、時間とともにどんどん上手くなっていくわね……」

エリカ「……」

エリカ「そして私もどんどん乗り物として動かされるのに慣れてきてるわね……」 ゲッソリ

223 : 以下、名... - 2016/10/25 04:04:27.48 L44rNxVso 147/872


小梅「ど、どうしよう」

小梅「逸見さん、さっきからすごく痙攣してるけど……」

直下「あんたのせいよ!?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「わ、私ぃ!?」

直下「だって、乳首にビークスパイダーを乗せたあたりで振動し始めたし……」

小梅「……」

小梅「それが事実だとすると……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「ちょ、赤星まで私のせいに――」

小梅「そうじゃありません」

直下「?」

小梅「もしかすると、ですけど……」

小梅「乳首が逸見さんの振動スイッチみたいなものだとしたら……」

小梅「もう一度、乳首を押せば止まるのかも」

小梅「それか、逆の乳首が停止ボタンとか……」

直下「ボタンて」

脇にヘッツァーがいるぞ子「そんな機械じゃないんだから……」

小梅「私もそう思うけど……」

小梅「でも、ほうっておくわけにはいかないし……」

直下「言いたいことは分かったし、確かにまあ駄目元で試してもいいかもしれない」

直下「でもさあ……」

直下「効果の保証もなく副隊長様の乳首をプッシュするなんて行為、誰がやるの?」

小梅「……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「……」

直下「……」

小梅「やっぱりみんな、したくないよね……」

直下「後が怖すぎるもん……」

224 : 以下、名... - 2016/10/25 04:18:30.28 L44rNxVso 148/872


エリカ「……」

エリカ(相変わらず指示は的確ね……)

エリカ(素人丸出しの連中だっていうのに、きちんと動けている……)

エリカ(誰がどこまで出来るのか、きちんと把握したうえで、キャパオーバーにならないように指示をする……)

エリカ「衰えてないわね……」

エリカ「やっぱり、アンタは……隊長の右腕であるべき存在だったのよ……」

エリカ「ムカつくけど……」

エリカ「それで……いつか私が抜くべき目標であってほしかったのに……」

エリカ「……」

エリカ「工事中、ね」

エリカ「これが、黒森峰や西住隊長を捨てて逃げ出した人間の限界、ってことかしら」


225 : 以下、名... - 2016/10/25 04:27:06.40 L44rNxVso 149/872


ダージリン「こんな格言を知ってる?」

ダージリン「イギリス人は恋愛と戦争では――」

ダージリン「手段を選ばない」 キリッ

「何がいいたいのでしょう……?」

エリカ「アンタ前それサンダースで言って戦車道と戦争は違うって言われたばかりでしょ」

沙織「えっ、お姉さん恋愛マスターなの!?」

麻子「そうは見えんな……」

優花里「聖グロ隊長の恋愛ともなればそれなりにスクープになりどうですけど、聞いたことはないですね」

麻子「手段は選ばないくせに相手はやたらと選んでいるんじゃないか?」

沙織「あー、そういう」

ダージリン「…………」

オレンジペコ「わ、私は今のダージリン様格好いいしその内いい人が現れると思ってますよっ!!」

226 : 以下、名... - 2016/10/25 04:38:22.57 L44rNxVso 150/872


アッサム「恋愛に手段を選ばない恋愛マスターことダージリン、指示を」

オレンジペコ「ちょ、駄目ですよこれ以上メンタルを傷つけちゃ!」

キュラキュラキュラ

「惨状~」

エリカ「まあ惨状だわね」

「生徒会チーム!」

優花里「履帯直したんですね……!」

エリカ「まだ生きてるなんてね」

エリカ「……私達がいい囮になったのかしら」

エリカ「それともトリガーハッピーが撃ってこなくなったから勘違いしてくれたのか……」

エリカ「いずれにせよ、大チャンスね」

エリカ「これで2輛は落としておきたいけど……」

「発射ッ!!」 ズドン

「あっ」

柚子「桃ちゃんここで外すぅ~~!?」

ズドドドドン

「やーらーれーたー」

エリカ「ちっ、片眼鏡のウスノロ野郎……」

エリカ「指示もお粗末だし、西住隊長を見習ってほしいものだわ」

エリカ「あの人の命令だったら、安心して動けるのに……」

227 : 以下、名... - 2016/10/25 04:51:54.03 L44rNxVso 151/872


直下「じゃあこうしない?」

直下「全員で同時に乳首を押す」

直下「そうすれば、誰が副隊長を起こしたのかは有耶無耶に……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「確かにそれなら罪悪感とか責任は分散される……」

小梅「そんな死刑執行じゃないんだから……」

小梅「大体両乳首を1人ずつ押すとしても、まだ1人押す場所がない人が出ちゃうんだけど……」

直下「そこは、ほら……股間とか……」

小梅「乳首がスイッチみたいって話だったのに!?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「いや、でも、ほら、ちょびっツって前例があるし……」

小梅「だとしても、寝てる間に股間に指突っ込みましたとか、バレたら本当に殺されるって」

直下「確かに……血とかついたら最悪だもんね……」

直下「と、なると……」

直下「そういうことやっても問題ない人間を連れてくる必要が」

小梅「ないと思う……」

小梅「連れてきても多分意味ないし、そもそも生理以外で股間から血を流されるとか、問題の塊だし……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「確かに、そこまでしてなお激怒されない人物なんて――」

コンコン

ガチャ

まほ「この部屋が騒がしいと苦情が入ったそうだが……」

直下「あっ」

小梅「……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「……」

小梅「絶対服従しそうな相手、いましたね……そういえば……」

まほ「?」

228 : 以下、名... - 2016/10/25 04:57:18.81 L44rNxVso 152/872


みほ「一撃で離脱して、路地左折!」

ドゴン

キュラキュラキュラ

エリカ「確かにやるにはやる」

エリカ「でも周囲のレベルがそこまで追いついていない」

エリカ「この環境にいたら、その内腐るわよ」

みほ「大通りに出て、先に路地を押さえます」

みほ「急いで下さいっ」

キュラキュラキュラ

みほ「右折したら、壁に沿って進んで急停止っ」

麻子「はい」

ズドン

キュポッ

エリカ「……」

エリカ「私を……いいえ、Ⅳ号を、随分理解してきたわね……」

エリカ「速度やらを理解してなきゃ出来ない動きだわ」

エリカ「さすが、腐りつつ会っても西住流の系譜」

エリカ「でもそれじゃあ、凄みある西住流の系譜たる西住隊長には勝てない」

エリカ「隊長だって、未知の戦車のことを理解するまでにかかる時間は非常に短い」

エリカ「あの人なら、もっと私を上手く乗りこなして的確な指示で相手を追い込んでるわ」

230 : 以下、名... - 2016/10/25 05:06:53.92 L44rNxVso 153/872


まほ「なるほど、そういうことか」

小梅「はい……」

まほ「わかった、引き受けよう」

直下「えっ!?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「まさか本当にそうなるとは……」

まほ「ただし触るのはこうなった原因という乳首からだ」

まほ「それに、船頭多くして登山することもない」

まほ「実際に触れるのは私が引き受ける」

小梅(かっこいい……) キュン

エリカ「ドゥルルルルルルルルン!」

脇にヘッツァーがいるぞ子「なっ!?」

小梅「逸見さんが……」

直下「え、エクソシストみたいに移動し始めた!?」

まほ「ふむ……」

まほ「うっかり胸を揉んだら移動し始めるとは……」

小梅「す、すごい!」

小梅「突然逸見さんが動き始めたのに、平然と覆いかぶさり続けてる……ッ」

直下「振り落とされてないのもすごいし、冷静でいられるのもまた凄いッ!」

まほ「何か法則性があるのか……?」

まほ「……」

まほ「試してみる価値はあるな」 モミモミ

231 : 以下、名... - 2016/10/25 05:10:45.07 L44rNxVso 154/872


キュポッ

エリカ「これで3体……」

エリカ「他のチームが倒したやつも入れれば、これで残るはダージリンのみ……」

みほ「……」

ズドン

エリカ「一発で仕留め損なった、か……」

みほ「後退して下さい、ジグザグに!」

エリカ「悪いけど、その複雑な動きに助力はしてやれないわよ」

エリカ「何せこっちは、間もなく来るであろう砲弾の痛みに耐えられるよう、覚悟を決めて全身に力込めてなきゃ駄目なのよっ……!!」

232 : 以下、名... - 2016/10/25 05:15:47.12 L44rNxVso 155/872


エリカ「あああああああ撃たれてる撃たれてる……」

エリカ「ぐっと堪えられる痛みなんでしょうねえ!?」

麻子「路地行く?」

みほ「いや……ここで決着をつけますっ!」

みほ「回り込んで下さい」

みほ「そのまま突撃します……っ!」

エリカ「なんでもいいから早くしなさいよっ」

エリカ「後ろ向きにジグザグされたりぐるぐる動かれたりで、ちょっと気分悪くなってきたじゃないの!」

エリカ「ああ、無駄にテクニカルなナルコレプシーのせいで酔ってくるわ……」 ゲッソリ

エリカ「後ろ向きにジグザグ走行なんて普通に生きてたらしないのもあって、体中が違和感を発してくる……」

233 : 以下、名... - 2016/10/25 05:24:45.58 L44rNxVso 156/872


まほ「なるほど」

まほ「どうやら両胸で移動方向をコントロール出来るらしい」

小梅「す、すごい!」

小梅「こんな短時間で逸見さんを理解するなんて……!」

直下「これが西住流……!」

脇にヘッツァーがいるぞ子「なんて綺麗なジグザグバック走……!」

まほ「いや、不思議な話なんだが、どうにもエリカの乗り心地が戦車みたいでな……」

小梅「は、はあ……」

まほ「さて……」

まほ「停止は、こうかな」 モミモミ

エリカ「ブォン!!」

直下「ゲェーッ、加速した!?」

脇にヘッツァーがいるぞ子「っていうか、勢い余って扉を破って廊下に出た!!!」

小梅「た、たたたたた隊長~~~~っ」

直下「弘法も筆の誤り、かあ……」

脇にヘッツァーがいるぞ子「筆の誤りというより、筆のない人間の性交渉みたいなドライビングだったよね」

小梅「確かにちょっとエッチだったけど……」

小梅「だからこそ、アレを外に出しちゃ不味いんじゃ……!」

直下「た、確かに!!」

脇にヘッツァーがいるぞ子「と、止めろーーーーーーっ!!」

234 : 以下、名... - 2016/10/25 05:30:16.18 L44rNxVso 157/872


みほ「……と、見せかけて、合図で敵の右側部に回り込みます」

エリカ「ちょ、待……」

エリカ「そんな無茶な動きに神経持って行かれた直後に砲撃なんて食らったら……」

キュラキュラキュラキュラキュラキュラ

エリカ「待ちなさいって!」

エリカ「あああああああ」

エリカ「絶対、絶対勝ちなさいよ!!!」

エリカ「っていうか、この際負けてもいいから、白旗出すレベルのダメージだけは許さないわよ!!」

エリカ「前のであれだけ痛かったのに、白旗飛び出すレベルの砲撃なんて受けたら――」

ギュララララ

エリカ「ひっ!」

エリカ「ちょ、これ、向こう気付いて――――」

ズドン

エリカ「あっ……」

エリカ「ぎゃあああああああああああああああああああ!?!?」

235 : 以下、名... - 2016/10/25 05:33:18.33 L44rNxVso 158/872


エリカ「あ、ぅ……」

エリカ(か、体がバラバラになる……)

エリカ(物凄く痛い、のに激痛じゃない……)

エリカ(ち、力が抜ける……)

キュポッ

エリカ(ああ……)

エリカ(しろはた、でてる……)

『大洗女子学園チーム、全車両、走行不能――』

エリカ(ああ……)

エリカ(やっぱり、まけ……)

エリカ(いしきが……)

エリカ(こ、これが……し……?)

エリカ(やだ……こわ……い…………)

236 : 以下、名... - 2016/10/25 05:34:23.02 L44rNxVso 159/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 


237 : 以下、名... - 2016/10/25 05:40:08.40 L44rNxVso 160/872


エリカ(ああ……) チョロチョロチョロ

エリカ(漏れ出てる……) チョロチョロチョロ

エリカ(オイルと一緒に、私の命が……) チョロチョロチョロ

エリカ(し、死にたく……)

エリカ「死にたくないッッ」 ガバッ

エリカ「……」 ハァ・・・ハァ・・・

エリカ「ゆ、夢……?」

エリカ「……」

エリカ(じゃ、ないわよね……)

エリカ(まだあの痛みが、リアルに記憶に刻まれてる……)

エリカ(やっぱり、入れ替わりが行われてる……)

エリカ「体の方にはダメージはなさそ……」

エリカ「……」

エリカ「…………うっ」 グッショリ

エリカ「う、嘘でしょ……」

エリカ「この歳で!? 寮暮らしで……!?」 サーーーーッ

238 : 以下、名... - 2016/10/25 05:44:19.56 L44rNxVso 161/872


小梅「ん……」

小梅「どうしたの逸見さん……こんな時間に騒いで……」

エリカ「な、ななななんでもないわよ!」

エリカ「いいから寝なさい!」

エリカ(一体いつから濡れてるのか分からないけど……)

エリカ(多分あの一撃で体に激痛が走って、全身弛緩したからよね……)

エリカ(何にせよ、バレないように布団とズボンとぱんつを乾かさないと……!)

小梅「……」

小梅「よくわかんないけど……」

小梅「よかった……いつもの逸見さんだ……」

エリカ「……」

小梅「心配したんだよ……」

小梅「昨日も、やっぱり変だったから……」

エリカ「……」

エリカ「心配かけて、悪かったわ」

エリカ「明日また……起きてから、報告、聞かせて頂戴」

239 : 以下、名... - 2016/10/25 05:47:31.80 L44rNxVso 162/872


小梅「うん……」

小梅「心配してたから、度々起きちゃってたし……」

小梅「今日は、ギリギリまで寝るね」

エリカ「ええ……」

エリカ「ちゃんと学校に間に合うようには起こしてあげるわ」

小梅「ありがとう……」

小梅「やっぱり……」

小梅「ちょっと厳しくて怖いけど、優しいよね、逸見さん」

エリカ「……馬鹿なこと言ってないで早く寝なさい」

小梅「……照れてる?」

エリカ「照れてないわよ」

小梅「そっか」

小梅「……」

小梅「本当に、実は優しいって思ってるんだ」

小梅「半裸でブリッジしながら校内駆け回る逸見さんより、そうやって素直じゃない逸見さんの方が、私、好きだよ」

エリカ「待って今サラッと凄いこと言った」

240 : 以下、名... - 2016/10/25 05:52:00.83 L44rNxVso 163/872


小梅「……?」

エリカ「え、ちょ、半裸って何」

エリカ「っていうか校内!? え?」

エリカ「あ、あんた止めてくれなかったっていうの!?」

小梅「眠いし、それは明日また話すね……」

エリカ「ちょ、気になるじゃないの!」

エリカ「っていうか、そんなこと言われたら気になって私が眠れないわよ!」

小梅「おやすみなさい……」

エリカ「お休むな!」

エリカ「何勝手に会話を打ち切ろうとしてるのよ!!」 ユサユサ

小梅「んん……」 スンスン

小梅「あれ……」

小梅「何かアンモニア臭くない……?」

エリカ「おやすみ赤星ゆっくり爆睡していいのよ」

小梅「どうしたの逸見さん笑顔が過去最高で普通に怖い」

249 : 以下、名... - 2016/10/26 03:47:23.22 mjXVeS9Bo 164/872


エリカ「……」

エリカ(それにしても……)

エリカ(普通に最悪ね……)

エリカ(赤星の残したメモのおかげで、Ⅳ号が私の体に入っているときの操縦方法は理解したけど……)

エリカ(既にどうしようもないくらい醜態を晒している……)

エリカ「はあああ…………」

エリカ(幸い目撃者はそこまで多くなかったみたいだし、隊長達がもみ消ししてくれてるみたいだけど……)

エリカ(普通に死にたい……)

エリカ(私、まだうら若き乙女なのに……) ズーン

251 : 以下、名... - 2016/10/26 03:56:57.96 mjXVeS9Bo 165/872


エリカ「……」

エリカ(まあ、でも……)

エリカ(へこんでてもしょうがないわよね……)

エリカ(それより、これからどうするか考えないと……)

エリカ「……」

エリカ「……どうにもならない過去を引きずって、耐えきれなくなって逃げるなんて、一番したくないもの」 ボソ

エリカ「……」

エリカ(とりあえず、右乳首がイグニッションだったわね)

エリカ(勝手に入れられないように、寝るときは常にブラをしておいた方がいいかしら)

エリカ(そのうえで、絶対に寝ている私の乳首をいじらないよう通達を……)

エリカ「……」

エリカ「寝てる人間の乳首を弄るなって通達、普通に考えて頭おかしいわよね……」

エリカ「っていうか、通達するまでもなく弄るなって話だわ……」


252 : 以下、名... - 2016/10/26 04:00:56.76 mjXVeS9Bo 166/872


まほ「エリカ」

エリカ「ひゃあっ!」

エリカ「た、隊長……」

まほ「……」

まほ「どうやら、今日は普通のようだな……」

エリカ「え、あ、はい……」

まほ「……」

まほ「どうやら、今までの流れからすると、あのおかしな症状は一日で治るらしいな……」

エリカ「何故か再発はしてますけどね……」 ハハ

まほ「……」

まほ「今日は、そのことで、少し話をしにきた」

エリカ「えっ」

253 : 以下、名... - 2016/10/26 04:08:54.36 mjXVeS9Bo 167/872


エリカ「わ、私何かしましたか……!?」

まほ「……」

まほ「まあ……してなくはないか……」

エリカ(本当だあ~~~~~~~~~~)

エリカ(半裸でブリッジ走行ってよく考えたら結構な“何かした”だったぁ~~~~~~!!)

エリカ(しかも隊長の貴重な練習時間を奪い、戦車の代わりに自分に乗せるだなんて……!!)

エリカ(かなりの重罪なんじゃあ……!?)

まほ「どうした、そんな頭を抱えて頭を振って」

エリカ「あああああ……いっそ殺してえ……!」

まほ「よくわからないが、死なれては困る」

まほ「例え持病持ちだとしても、決してエリカを追放しないし、副隊長から下ろす気もない」

エリカ「…………え?」

まほ「エリカ」

まほ「誰が何と言おうと、エリカがどう思っていようと――」

まほ「私の右腕はお前だからな、お前だからな」

エリカ「隊長……」 ジーン

254 : 以下、名... - 2016/10/26 04:34:43.55 mjXVeS9Bo 168/872


まほ「エリカは筋がいいし、西住流の教えも継いでいる」

まほ「今回も、来年も、必要な存在だ」

まほ「例え珍妙な病気を持っていたとしても、な」

エリカ「……」

まほ「……」

まほ「私は、西住流の後継者だ」

まほ「そのせいで、してやれないことは多い」

まほ「去年も……私では、何もできなかった」

まほ「西住流として、何かをすることなどできなかった」

まほ「出来ることがあったとしたら、やるべきことがあったとしたら、それは勝利することに他ならなかったのに」

まほ「……フラッグ車を守り抜けなかった」

まほ「あんな想いはもうたくさんだ」

まほ「我々は、同じ轍を踏まぬよう、努力してきた」

まほ「例えフラッグ車が孤立しようとも、予想外の事態に副隊長が戦線離脱したとしても、きちんと勝ち抜く」

まほ「それだけの努力をしてきたんだ」

まほ「……仮にエリカが持病で当日駄目だとしても、それだけが理由で負けることなどありえない」

255 : 以下、名... - 2016/10/26 04:49:12.77 mjXVeS9Bo 169/872


まほ「だから、エリカ」

まほ「大会でも、副隊長として、頼んだぞ」

エリカ「……っ」

エリカ「はい!」

まほ「それに――」

まほ「赤星達も、全員今大会に出てもらおうと思っている」

エリカ「赤星達も……」

まほ「去年のことを、誰より引きずっていたのは彼女達だ」

まほ「贖罪のためか自らをいじめ抜き、メキメキと技量を上げてきているからな」

まほ「もっとも、一部の人間は、いい顔をしていないがな」

エリカ「……」

まほ「だから……」

まほ「二人で、助け合ってくれ」

まほ「副隊長の立場から、客観的に赤星を評価し動かしてやってくれ」

まほ「そして――例の病気になったときは、赤星を頼っていい」

まほ「彼女の方から、エリカについてあれこれ聞いてきたほどだ、見捨てはしないだろう」

まほ「……今大会、お前達二人が万全で挑めるかどうかが鍵だ」

まほ「頼んだぞ」

エリカ「はいっ……!」

エリカ(よかったっ……クビとかじゃなくて本当によかった……!)

256 : 以下、名... - 2016/10/26 04:57:02.07 mjXVeS9Bo 170/872


まほ「勿論、こちらでも分かる範囲で色々調べてはおく」

まほ「……」

まほ「辛いだろうが――」

まほ「頑張ってくれ」

エリカ「はいっ!」

エリカ(ああ、嬉しい……)

エリカ(西住隊長に、そこまで言ってもらえるなんて……) キュン

エリカ(まあ……)

エリカ(病気というより、ただの入れ替わりだから、調べても簡単にはわからないだろうけ)

エリカ(でも、もう何も怖くない!)

エリカ「隊長を信じて――全国、とるわよ……っ!」

257 : 以下、名... - 2016/10/26 04:57:28.49 mjXVeS9Bo 171/872

 





 ☆  ★  ☆  ★  ☆





 

258 : 以下、名... - 2016/10/26 05:03:18.20 mjXVeS9Bo 172/872


エリカ「……」

エリカ「痛みには慣れないけど、この体にはいい加減慣れてきたわね……」

エリカ「自分の柔軟性に正直ちょっと引くわ」

みほ「かばさんチームの皆さんは――」

エリカ「……」

エリカ「それにしても、酷いネーミングセンスねえ」

エリカ「適当すぎるでしょ……」

エリカ「何かチームメンバーも適当に仲良しこよしで組んだみたいだし……」

エリカ「相変わらず戦車道ごっこねえ」

エリカ「そんな適当な組分けやネーミングで何とかなるほど、全国は甘くないわよ」

エリカ「……」

エリカ「ほんと、大会に縁がない弱小校は羨ましいわ」

エリカ「気軽にお遊びのように訓練してればいいものね」

エリカ「こっちは隊長が味方とはいえ、今後の身の振り方とか、色々考えなくちゃいけないっていうのに」

エリカ「……」

エリカ「実際、大事な試合で入れ替わる可能性も普通にあるのよね……」

エリカ「うーむ……どうすれば……」

259 : 以下、名... - 2016/10/26 05:11:17.77 mjXVeS9Bo 173/872


???「やあやあ、お招きありがとう」

まほ「ああ、よく来てくれた」

???「大会直前だと、なかなか試合をしてくれる所なんてないからな」

???「正直、助かってるよ」

まほ「何、気にするな」

まほ「こちらとしても得るものはある」

???「そうか、それならいいんだ」

まほ「……」

まほ「ひとつ、聞いてもいいか?」

???「ん?」

まほ「後輩との人間関係についてなんだが……」

???「へえ、意外だな……」

???「でもま、なんでも聞いてくれたら、分かる範囲で答えるぞ」

まほ「そうか……」

まほ「恩に着るぞ、安斎」

アンチョビ「アンチョビと呼べ!」


続き
エリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」【2】

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