1 : 以下、?... - 2019/01/01 02:31:05.171 OIr8Tp6u0 1/17

ハルヒ「早いものでもう12月も中旬かー。 色々あったわよねぇ」

キョン「なんだ、感慨にふけるなんてお前らしくないな」

ハルヒ「なによそれ! ……でも、そうね。 あたし、結構みんなに迷惑かけちゃったかなって」

キョン「おいおい、ほんとにどうした」

ハルヒ「あたしね、高校に入学してからの毎日、本当に楽しかった。なんていうか……、やっと生きてる充実感を得られたっていうか……。中学の頃はこうじゃなかったわ。 毎日が退屈で……、でも、今は違う。みんながいるから、それが凄く楽しいの」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「あんまり楽しいから、周りが見えなくなってキョンたちのこと振り回して……。自分のことしか考えてなかったわ……。 ごめんね」

古泉「そんな……」

ハルヒ「……今のこの瞬間って、大事にしないと、すぐに消えちゃうような気がするの。だから、言えるうちに言っておくわ。 みんな……、ありがとう」

みくる「涼宮さーん……」グスッ

キョン「まぁ、確かに迷惑な目にいっぱい遭わせられたなぁ」

みくる「キョ、キョンくん!」

元スレ
ハルヒ「なんなのよ! このおせち!!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1546277465/

2 : 以下、?... - 2019/01/01 02:32:19.279 OIr8Tp6u0 2/17

キョン「それじゃ、元旦はSOS団のみんなでゆっくり過ごすか」

長門「私の家を使って構わない」

ハルヒ「そうっ? じゃあ、有希の家におせちが届くようにしておくわ!」

キョン「悪いな、長門」

長門「いい」

ハルヒ「でもみんな! その前にクリスマスや忘年会や初詣があるんだからね! そっちも気合いれるわよー!」

キョン「ああ、これからもよろしくな、ハルヒ」

ハルヒ「うん!」

3 : 以下、?... - 2019/01/01 02:32:33.074 OIr8Tp6u0 3/17

そして、元旦


ハルヒ「あけましておめでとう!」

キョンたち「おめでとう」

ハルヒ「いやー、有希のマンションって、立派でいいわよねぇ」

キョン「あんまり大騒ぎするなよ」

ハルヒ「正月は無礼講よ!」

キョン「お前は一年中無礼講だろ……」


ハルヒ「そういえば、お腹すいたわね」

みくる「今、お雑煮を作ってるところですから」

古泉「長門さん、注文したおせちは?」

長門「昨日のうちに届く予定だったが、未だに来ない」

ハルヒ「おかしいわねぇ、そろそろ来るんじゃ――」

4 : 以下、?... - 2019/01/01 02:33:12.684 OIr8Tp6u0 4/17

ピンポーン

ハルヒ「あ、きたきたっ。 はい」

たったったっ がちゃ

キョン「……まるで我が家のような応対だな」


ハルヒ「みんな!、届いたわよ!」

キョン「腹減ったな、早く食おう」

古泉「……おや?」

キョン「どうした?」

古泉「あ、いえ、通常の配達物として送られたんですね。 こういうものはクール便だと思ってましたが」

みくる「確かにちょっと変ですねぇ……」

キョン「まぁいいじゃないか。 さすが豪華な箱だなぁ! こりゃ、中を見るのが楽しみだ」

みくる「そうですねっ! わたしも料理好きなので、おせちってすっごく興味あるんですよ?」

古泉「わくわくしますねぇ」

ハルヒ「なにせ、横浜の人気レストランの厳選食材をふんだんに使った33品・3段・7寸の立派なおせちだからね!」

6 : 以下、?... - 2019/01/01 02:34:13.303 OIr8Tp6u0 5/17

キョン「早く開けてくれっ」

ハルヒ「うふふ、それじゃ開けるわよ!」


ごそごそごそ ぱかっ


ハルヒ「じゃーん! 豪華謹製おせちの――――えっ…………?」


http://i.imgur.com/Gt6YXao.jpg



キョン「……ん?」

古泉「これは…………」

みくる「……ふぇ」

長門「…………」

ハルヒ「え、えっと…………」アタフタ

7 : 以下、?... - 2019/01/01 02:34:37.252 OIr8Tp6u0 6/17

ハルヒ「き、きっと2段目は凄いわよっ! ほらっ!」カパッ

http://i.imgur.com/VajN4Tu.jpg


キョンたち「…………」


ハルヒ「3段目ならきっと!!」カパッ


http://i.imgur.com/6EC1TlF.jpg



みくる「あ、6Pチーズだ……」


ハルヒ「な……、なんなのよこのおせち!! 写真と全然違うじゃない!!」

http://i.imgur.com/XBVczLA.jpg

8 : 以下、?... - 2019/01/01 02:35:05.344 OIr8Tp6u0 7/17

キョン「何かの間違いじゃないのか……? おせちというより、食い残しの弁当にしか見えないんだが……」

みくる「な、なんだか、酸っぱい匂いがしますぅ」

長門「……腐ってる。 食べるのは危険」

みくる「箱の中身……スッカスカですね……。 黒豆がえーっと……14粒かな」

長門「貝の中のアワビも1切れしかない」

古泉「この生ハム……、完全に乾いててカピカピですね」

キョン「この6Pチーズはなんだ……。 笑えばいいのか……?」

長門「違う、6Pではなく8Pチーズ」

キョン「どっちでもいいよ……」

みくる「4人前のおせちにハム2枚にチーズ1切れって…………」

古泉「スカスカだから配達の時に揺れて、中身が更に酷いことになってますね。 まるで残飯だ……」

10 : 以下、?... - 2019/01/01 02:35:29.961 OIr8Tp6u0 8/17

ハルヒ「…………」

キョン「あっ! い、いや……、ちょっと大袈裟に言いすぎたな!」

みくる「え、あっ! そ、そうですね! よく見たら美味しそうかも!」

古泉「え、ええ! おせちなのに重箱の底が見えるところなんて前衛的なデザインで――」

ハルヒ「……っ!」


キョン(ば、ばかやろう! お前のフォローは嫌味にしか聞こえないんだよ!)

古泉(も、申し訳ありません……、気が動転して……つい…………)


キョン「それじゃ、いただこうか! ハルヒが俺たちのために用意してくれた、心のこもったおせちだもんな!」

長門「いや、だから腐って――むぐっ」ギュ

みくる「いただきましょう!(長門さん、空気読んで!)」

ハルヒ「いいわよ……、無理しなくて……。 有希の言うとおりお腹壊すわ……」

11 : 以下、?... - 2019/01/01 02:35:59.805 OIr8Tp6u0 9/17

キョン「そ、そんなことないさ! うわぁ…この数の子おいしそうだなぁ!」

ひょい ぱくっ

キョン「うん! 味がしっかり染み込んで――――うっ! おげぇ!」

ぺっ!

キョン「げほっ! げほっ! な、なんだこの味……! 塩の塊を食ったみたいだ……」

みくる「こ、この数の子、塩抜きしてませんよ……。 皮がついたままだ…………」

古泉「い、いやぁ! これだけたくさん料理があったら外れもありますよ! なにせ33品目ですからねぇ!」

長門「いや、今数えたら25品目しかない」

キョン「こ、こまけぇこたぁいいんだよ!」

12 : 以下、?... - 2019/01/01 02:36:22.371 OIr8Tp6u0 10/17

古泉「じゃあ、僕はサトイモをいただきますね!」

ぱくっ がりっ

古泉「うっ、うわあ、おいしい……です…………」ウッ

古泉(硬い! サトイモなのに硬いですよこれ!)

キョン(吐くな! 飲み込め!)

ごくん

古泉「さ、さすが本格おせちのサトイモ! 普段食べてるものとは出来が違うなぁ!」


キョン(だから、その嫌味やめろ!)

古泉(す、すいません、そんなつもりじゃ……)

13 : 以下、?... - 2019/01/01 02:36:36.373 OIr8Tp6u0 11/17

ハルヒ「もういいわよ…………」

みくる「わ、わたしは、このローストビーフをいただきますね!」

ぱくっ

みくる「うぉ、おいしい……なぁ……アハハ…………」ウウッ

みくる(どうしよう、吐き出したい……。 半分生な上に、本当に腐ってるよこれ……)

キョン(朝比奈さん、後で胃腸薬を買ってあげますから、耐えてください!)

ごくん

みくる「お、お正月から幸せな気分です」アハハ…

キョン「そうでしょう! いや、楽しいなぁ!」アハハ…


ドンッ!


ハルヒ「もういいって言ってるでしょ!!!」


シーン……

14 : 以下、?... - 2019/01/01 02:36:53.024 OIr8Tp6u0 12/17

みくる「す、涼宮さん……」

ハルヒ「ごめんね……、せっかくのお正月に水を差しちゃって……」グスッ

キョン「お前は悪くないぞ! ハルヒ!」

みくる「涼宮さんのお気持ちはしっかり伝わりました!」

古泉「そ、そうですよ! 悪いのは、こんなクソったれなゴミ汚せちを送りつけてきたバード○フェですよ!」

ハルヒ「ゴミ汚せち…………」


キョン(古泉……、後で真剣な話がある…………)

古泉(えっ!? 僕、また何かまずいこと言いました!?)


ハルヒ「ごめんね……、ほんとゴメン…………」ポロポロポロ

キョン「ハルヒ…………」

17 : 以下、?... - 2019/01/01 02:37:25.559 OIr8Tp6u0 13/17

長門「……涼宮ハルヒ、気にしなくていい」

ハルヒ「……有希?」

ビリビリ ひょい ぱくっ

長門「この8Pチーズは中々イケる」モグモグ

ハルヒ「…………っ!?」

ハルヒ「うわああああああああああああああん!!!」ダッダッダッダッ

キョン「お、おいハルヒ! ハルヒイイイイイ!!!」


ガチャ バタンッ


キョン「長門おおおおおおおおおおお!!!!」

長門「……何かまずかった?」

みくる「8Pチーズしか、まともなものがなかったんですね…………」

19 : 以下、?... - 2019/01/01 02:37:46.589 OIr8Tp6u0 14/17

シーン……


キョン「……どうすんだ、このゴミおせち…………」

ぶるるる ぶるるる

古泉「すいません、機関からの呼び出しです……。 理由は言うまでもないと思いますが…………」

キョン「ああ、閉鎖空間だろ……。 行ってこい…………」

古泉「はい、失礼します…………」


ガチャ バタン


シーン……


長門「……マリオカートでもやる?」

キョン「いいよ……、俺も帰る…………」

みくる「う……、さっきのローストビーフのせいでお腹が…………」ゴロゴロ

21 : 以下、?... - 2019/01/01 02:38:10.572 OIr8Tp6u0 15/17

翌日 キョンの部屋


「あさー、朝だよキョンくん 起きろー」ユサユサ

キョン「ん……、休みなんだからゆっくり寝かせてくれ……」

「もう、寝ぼけてるな! 今日も学校あるでしょ 起きて!」

キョン「え……? 今日は1月2日だろ。 冬休みの真っ最中じゃないか……」

「何言ってるのキョンくん。 今日は12月14日だよ 学校に行くよ?」

キョン「えっ!? ちょ、ちょっと待て!」ガバッ

「ふぇ?」

キョン「ま、まさか……! テ、テレビ!!」

ぴっ

キョン「ほ、ほんとだ……。 12月14日だ……。 まさか、夏休みのエンドレスエイトのようにタイムスリップを……?」

ぷるるるる ぷるるぴっ

キョン「もしもし! 長門か!?」

長門『今起きている現象を説明する』

22 : 以下、?... - 2019/01/01 02:38:56.868 OIr8Tp6u0 16/17

長門から受けた説明を簡潔にまとめると、
やはり、ハルヒの世界改竄能力によって、時間が巻き戻ったらしい。
理由は言うまでもないだろう。 昨日のおせちが原因だ。

あのゴミ箱から拾ってきたかのような残飯おせちを、
自信満々に差し出したハルヒは、激しくショックを受け、
あの恥辱をなかったことにすべく、この現象を引き起こしたようだ。

しかし、誰がハルヒを責められようか。
俺がハルヒの立場なら、一週間は引篭もってるであろうレベルだ。
俺は、ハルヒのことが無性に心配になり、学校への足を急いだ。



教室


キョン「ハルヒ……、ハルヒはまだ来てないのか……?」キョロキョロ

ハルヒ「おっはよー! キョーン!」

キョン「あ! ああ、おはようハルヒ……」

ハルヒ「ん? 何よ、随分元気ないわねぇ?」

キョン「い、いや、何でもない……。 と、ところでハルヒ、お前、おせちを買おうとしてるか……?」

ハルヒ「えっ!? どうしてそのことを……?」

キョン「い、いやぁ! おせちを注文しようと思ったら、今がギリギリだろっ? ちょっと聞いてみただけだっ」

23 : 以下、?... - 2019/01/01 02:39:17.115 OIr8Tp6u0 17/17

ハルヒ「そっか。 うん、実はさ、みんなと一緒にゆっくりお正月を過ごしたいなと思って、選んでるところなんだっ」

キョン「そうか……、ひとつ言わせてくれ…………」

ハルヒ「なに?」

キョン「グル○ポンで買うのだけは絶対にやめとけ!!」


こうして、俺はあの呪われた運命を回避することに成功した…………はずだった。
しかし、俺はこの時、気付いていなかった。 また、新たな困難が待ち構えていることに…………。

ハルヒ「なんなのよ! 楽○で注文したおせち、いつまで経ってもこないじゃない!!」



おわり

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