1 : 以下、?... - 2018/12/23 17:31:00.798 FYLOWubE0 1/20

剣豪「ゆくぞ、魔王ッ!」

剣豪「どぅりゃああああああああっ!!!」

パキィンッ!

剣豪「な……!? 我が剣が――」

魔王「そんな攻撃は、我が鎧には通用せん」

魔王「燃え尽きるがいい!」

ゴォワァァァァァッ!!!

剣豪「うぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

元スレ
勇者「いかなる攻撃も受け付けない最強の鎧を装備した魔王を倒す方法」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1545553860/

9 : 以下、?... - 2018/12/23 17:34:32.469 FYLOWubE0 2/20

大賢者「受けなさい、魔王!」

大賢者「我が雷を! 我が竜巻を! 我が業火を!」

ズガァン! ビュオアッ! グオワァァッ!

魔王「ふん、どれも“かゆい”というほどにすら感じぬぞ」

大賢者「なんですって!?」

魔王「貴様は殴り殺してやろう!」

ドゴォッ!

大賢者「ぶげえぇえっ!」

11 : 以下、?... - 2018/12/23 17:36:52.369 FYLOWubE0 3/20

隊長「点火ァ!」シュボッ

シュボボボボボ…

隊長「発射ァ!!!」

ドゴォンッ!

ズガァァァァァンッ!!!

隊長「や、やった! この大砲を喰らったら、いかに魔王といえどひとたまりも……!」

魔王「大砲? 石ころでも飛んできたのかと思ったぞ」シュゥゥゥゥゥ…

隊長「う、うわああああああっ!!!」

14 : 以下、?... - 2018/12/23 17:39:20.523 FYLOWubE0 4/20

大臣「陛下……報告が入りました」

国王「聞くまでもない。また我が軍が敗北したのだろう」

大臣「はい……」

国王「くっ、これで我が国の優れた戦士や精鋭はほとんど失われてしまった……」

国王「どうすればいい!? どうすれば魔王を倒せるのだ!?」

国王「どうすれば魔王のあの強固な鎧を打ち砕けるのだ!?」

17 : 以下、?... - 2018/12/23 17:42:25.888 FYLOWubE0 5/20

大臣「陛下……」

国王「今度はなんだ?」

大臣「陛下と謁見したいという若者がおりまして……」

国王「謁見?」

大臣「なんでも“自分ならば魔王を倒せるかもしれない”と――」

国王「なんだと? どうせハッタリに――」

大臣「あながちハッタリともいえぬ雰囲気をまとっているそうで……」

国王「……よかろう。会うだけ会ってみよう」

19 : 以下、?... - 2018/12/23 17:45:08.387 FYLOWubE0 6/20

国王「大臣から話は聞いておる。おぬしは魔王を倒す自信があるようだな」

若者「はい」

国王「なぜだ? その自信はどこからくる?」

若者「私は先日、ある古文書を読み解くことに成功しました」

若者「その古文書に書かれていたことを生かせばもしかしたら……と思いまして」

国王「ふうむ……」

20 : 以下、?... - 2018/12/23 17:48:46.238 FYLOWubE0 7/20

国王「よかろう、おぬしに魔王討伐を託してみよう」

若者「ありがとうございます」

若者「しかし、そのためにはこの王国の大勢の人手をお借りしたいのですが」

若者「それと、多額のお金も必要です」

国王「……」

国王「ならば、おぬしには“勇者”の称号を与える」

国王「“勇者”の称号さえあれば、この国でできぬことはほとんどないはずだ」

勇者「この国のために力を尽くします!」

25 : 以下、?... - 2018/12/23 17:51:45.743 FYLOWubE0 8/20

大臣「陛下、よろしいので?」

大臣「あんな若者に“勇者”の称号など与えてしまって……」

国王「どのみち、今のままではこの国は遠からず魔王によって滅ぼされる」

国王「それに直接会ってみて、あの若者が単なる大ボラ吹きではないことは感じられた」

国王「彼が何をするつもりか知らんが、それに賭けてみたくなった」

大臣「彼が真の勇者ならば、よいのですが……」

国王「もちろん、彼の動きは逐一報告するように」

大臣「かしこまりました」

26 : 以下、?... - 2018/12/23 17:54:08.644 FYLOWubE0 9/20

――

国王「あの勇者は何をしている? そろそろ出発したか?」

大臣「それが……城下町に土地を購入したようで」

国王「土地を? そんなもの、どうするのだ? 冒険の拠点にでもするつもりか?」

大臣「さあ……それに人手を集めているようです」

国王「勇者の考えていることはさっぱり分からん……」

27 : 以下、?... - 2018/12/23 17:57:03.586 FYLOWubE0 10/20

大工「この通りに、建物を作ればいいんだな?」

勇者「はい」

勇者「中に置くものについても、どんどん発注していきます」

勇者「私は“勇者”です。他のどの仕事に優先しても、この工事を進めて下さい」

大工「おう、分かったぜ!」

トンテンカン… トンテンカン…

29 : 以下、?... - 2018/12/23 18:00:16.744 FYLOWubE0 11/20

ジャーン!



大工「ついにできたぜ!」

勇者「うん……私が描いた設計図通りです」

勇者「ありがとうございました。あなたを始め、力を貸してくれた人達には謝礼をたっぷりと」

大工「へへへ、毎度!」

勇者(さて、次は陛下のお力を借りなくてはな……)

30 : 以下、?... - 2018/12/23 18:03:12.832 FYLOWubE0 12/20

国王「おお、勇者よ。余になんの用かな」

勇者「陛下に、魔王に手紙を書いて欲しいのです」

国王「手紙?」

勇者「ええ、魔王をこの城に招待して頂きたいのです」

国王「魔王を招待しろだと?」

勇者「はい、理由は何でもかまいません」

国王「分かった……やってみよう」

32 : 以下、?... - 2018/12/23 18:06:34.171 FYLOWubE0 13/20

魔王「側近よ、人間の国王がワシに招待状を送ってきたが……これをどう見る」

側近「間違いなく罠です」

魔王「まあ、そうだろうな」

魔王「もはや正攻法ではワシに勝てぬと分かり、奇策に打って出たのであろう」

側近「ええ、もはや人間側に戦力といえる戦力はほとんど残っていないはず」

側近「しかし、魔王様さえ倒せば、一発逆転の可能性が出てきますからね」

33 : 以下、?... - 2018/12/23 18:08:15.261 FYLOWubE0 14/20

魔王「とはいえ、せっかく招待してくれているのだ」

魔王「労せずして敵の懐に入れる機会をむざむざ捨てることもあるまい」

魔王「この鎧ある限り、どうせ奴らにワシを倒すことは不可能なのだからな」

側近「たしかにその通りではありますが……」

魔王「決めたぞ、側近。ワシはこの誘いに乗ってやる」

魔王「奴らの企みを粉砕した上で、一気にあの王国を滅ぼしてやる!」

37 : 以下、?... - 2018/12/23 18:12:19.505 FYLOWubE0 15/20

大臣「魔王殿、よくぞ参られました」

魔王「うむ、トップ同士で会食をしたいと聞いている」

大臣「はい。ぜひとも、和解に向けてあなたとお話しを、と」

魔王「降伏の間違いじゃないのか?」

魔王「あるいは食事に毒でも盛るつもりなのかね?」

大臣「いえ、決してそんなことは……」

魔王「まぁいい、全ては明日になれば嫌でも分かる」

大臣「はい、今日のところは私どもが用意した宿にご宿泊下さい」

38 : 以下、?... - 2018/12/23 18:14:29.431 FYLOWubE0 16/20

魔王「ここか」

魔王「魔王の名で部屋を取ってあるはずなんだが」

従業員「427号室です。こちらがキーとなります」

従業員「お出かけの際は、フロントにキーをお預け下さい」

魔王「うむ」チャリ…

39 : 以下、?... - 2018/12/23 18:17:00.351 FYLOWubE0 17/20

魔王「これが、427号室か」

魔王「薄暗いし、質素なベッドが一つ、風呂と洗面所が一緒、あまりいい部屋とはいえんな」

魔王「こんな宿しか建てられぬほど、この国は衰退したというわけか。素晴らしいことだ」

魔王(しかし、なぜだろうか)

魔王(ある衝動がワシをかき立てる……!)

魔王「……」ウズウズ

40 : 以下、?... - 2018/12/23 18:19:11.652 FYLOWubE0 18/20

魔王「なぜか分からんが……」

魔王「脱ぎたくてたまらん!」ヌギヌギッ

魔王「脱がずにはおられないッ!」ヌギィッ





魔王「フハハハハハハッ! 全部脱いじゃったもんねーっ!!!」スッポンポーンッ

43 : 以下、?... - 2018/12/23 18:22:37.845 FYLOWubE0 19/20

勇者「今だあああああああああああっ!!!」バッ

魔王「え、なに!?」

兵士A「はいっ!」バッ

兵士B「うおりゃ!」バッ

兵士C「魔王、覚悟ォォォォォ!」バッ

魔王「しまった! 鎧を――」

勇者「427(死にな)……魔王ッ!」

ザシュッ ドシュッ ザクッ ザクッ ズバッ ザンッ ドスッ ザンッ ビシュッ ズバッ ザクッ …

45 : 以下、?... - 2018/12/23 18:25:24.028 FYLOWubE0 20/20

国王「よくやってくれた!」

国王「魔王が倒れたおかげで、魔王軍は総崩れとなり、我が軍が勝利することができた」

国王「ところで、おぬしが解読した古文書にはなんと書かれておったのだ?」

勇者「はい、建物の絵と共に、こう書かれておりました」

勇者「“ビジネスホテル……その部屋に足を踏み入れし者、必ずや全裸になるであろう”と」





おわり

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