1 : 以下、?... - 2018/12/03 21:42:03.857 l8PCfTNt0 1/32

<会社>

同僚「お、今日は愛妻弁当か。いいなぁ~」

「いいだろぉ~」パカッ

「……あれ」

(いつもはご飯に梅干し乗せてくれてるのに、今日は乗ってないな)


バシュッ!


「!」

(どこからともなく、ご飯の上に梅干しが飛んできた……)

元スレ
男「嫁がいつも狙撃銃で僕を狙ってる」 嫁「若い女の子と話してる……発射!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1543840923/

8 : 以下、?... - 2018/12/03 21:45:19.129 l8PCfTNt0 2/32

プーン…

「……ん」

「こんな季節にハエか……うっとうしいな」

プーン…

「シッ、シッ!」バッバッ


バシュッ!


「!」

(ハエが狙撃されて、砕け散った……)

10 : 以下、?... - 2018/12/03 21:48:31.571 l8PCfTNt0 3/32

新人女「せんぱ~い、これ分からないんで教えて下さぁい」

「ああ、これはね……」

新人女「あぁ~、そうなんですかぁ~。ありがとうございますぅ~」

「ちょ、近いって……(香水の匂いが……)」

ピシッ!

「いでっ!」

ピシッ! ピシッ!

「あうっ! はうっ!?」

新人女「?」

(柔らかい弾が、僕に向かって何発も……!)

11 : 以下、?... - 2018/12/03 21:52:20.089 l8PCfTNt0 4/32

<自宅>

「ただいまー」

「お帰り」

「……今日も僕のことを狙撃銃で狙ったろう」

「なんのことだ?」

「とぼけちゃって……」

「ああそれと……その迷彩柄のエプロン、よく似合ってるよ」

「! ……あ、ありがとう」

14 : 以下、?... - 2018/12/03 21:55:21.340 l8PCfTNt0 5/32

「夕食の支度をするから、少し待っててくれ」

「うん」

「スープの中に……砂糖を発射!」バシュッ

ポチャンッ…

「続いて、塩を発射!」バシュッ

ポチャンッ…

「狙撃銃使わずにフツーに作りなよ!」

「この方がおいしく出来上がるものでな……」

15 : 以下、?... - 2018/12/03 21:57:43.811 l8PCfTNt0 6/32

「どうだ?」

「…………」ズズッ…

「うん、おいしい!」

「本当か!」

「祝砲!」パンッ

「祝砲!」パパパパンッ

「ちょっ、やめて!」

17 : 以下、?... - 2018/12/03 22:00:45.035 l8PCfTNt0 7/32

「そろそろ寝ようか。電気消そう」

「ならば、狙撃で電気のスイッチをオフにしよう」パシュッ

(なんて便利なんだ……)

「君の狙撃銃は、何でも飛ばせるし、何でもできるんだね」

「ああ、昔は銃弾しか飛ばせなかったが、そのように改造したからな」ジャキッ

(どう改造したらそうなるんだか……)

23 : 以下、?... - 2018/12/03 22:04:35.205 l8PCfTNt0 8/32

朝――

「しまった、寝坊した~!」ドタバタ

「あれほど起こしたのに……!」

「今日は遅刻するとまずいんだよなぁ、会社の健康診断もあるし……」ドタバタ

「…………」

「だったら、あれしかないな」

「あれって?」

26 : 以下、?... - 2018/12/03 22:07:16.735 l8PCfTNt0 9/32

「この大砲で、あなたを会社に狙撃する」

「……え」

「さあ、砲の中に入れ」

「入れって……たしかドラえもんの道具でこんなのあったけどさ……」

「会社は……あっちの方角だったな」

「点火!」シュボッ…

「あの、まだ心の準備が……」

28 : 以下、?... - 2018/12/03 22:09:27.073 l8PCfTNt0 10/32

「発射!!!」


ドォンッ!!!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!

29 : 以下、?... - 2018/12/03 22:11:49.856 l8PCfTNt0 11/32

ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!

(おお……?)

(空気抵抗やらなにやらで、砲弾になってる僕がどんどん減速して……)ヒュルルルル…

ストンッ

「着いた」



課長「おはよう。今日はずいぶん早いねえ」

31 : 以下、?... - 2018/12/03 22:14:23.838 l8PCfTNt0 12/32

休みの日――

<街中>

「たまには二人でショッピングというのもいいものだな」ウキウキ

「うん、このところ忙しかったしね」

「どれ、洋服でも買うかい?」

「いいのか!? ならば、新しく出た迷彩色の――」



後輩「先輩!」

32 : 以下、?... - 2018/12/03 22:17:51.401 l8PCfTNt0 13/32

後輩「よかった、先輩が近くにいて助かりました!」

「なんの用だ?」

(この人は、特殊部隊時代の後輩か……)

後輩「実は、立てこもり事件が発生しているんです」

後輩「犯人は体にダイナマイトを巻いており、一触即発の状況で……」

後輩「どうしても先輩の力をお借りしたいんです!」

「私はすでに引退した身、しかもこの通りデート中なんだが……」

「いいじゃないか。手伝ってあげなよ」

「あなたがそういうなら……」

後輩「ありがとうございますっ!」

「詳しい状況や犯人の位置を話してもらおう」

後輩「はいっ!」

33 : 以下、?... - 2018/12/03 22:20:47.875 l8PCfTNt0 14/32

「じゃあ、狙撃銃貸して」

後輩「ど、どうぞ!」

「発射」ドギュンッ

「終わった。返す」サッ

後輩「え!?」

「え!?」

ザザッ…

後輩「!」

通信『立てこもり犯が、どこからか飛んできた弾に当たって失神した! すぐに確保する!』

「ほらな?」

後輩「あ……ありがとうございますっ!」

「せめて見て撃ってあげなよ……なんだか犯人が可哀想になる」

「すまん……」

37 : 以下、?... - 2018/12/03 22:25:05.614 l8PCfTNt0 15/32

<射撃場>

(嫁さんは、かつて所属してた特殊部隊に未だに頼られてて、狙撃の指導をすることもある)



後輩「はっ!」ドキューン…

後輩「くそっ、わずかに中心から外れた!」

「今外れたのは姿勢が悪かったせいだ。どれ、私が直してやろう」

後輩「お願いしますっ!」

38 : 以下、?... - 2018/12/03 22:28:19.462 l8PCfTNt0 16/32

「まず、もっと腰はこう……ギュッとして!」

後輩「こ、こうですか?」

「両眼でしっかりターゲットをビッと見て、腕はこうバーッとする!」

「そして、ガッと引き金を引くのだ! グワッと!」

後輩「は、はぁ……」

「コラ! もっと腰はグンッといったろう! グンッ!」

後輩「さっきはギュッていってましたけど……」

「そんなこといってないぞ! さあ、もっと腰をギュルッと曲げて……」



(教えるのはヘタクソなようだ……)

40 : 以下、?... - 2018/12/03 22:32:19.022 l8PCfTNt0 17/32

そんなある日――

<自宅>

「ふぅ……」

「どうした? 元気がないな」

「実は……この前の健康診断で再検査しなきゃいけないことになって……」

「再検査……!」

「まあ、何でもないと思うんだけど、ちょっと憂鬱でね」

「その通り! 絶対何でもない! 病気なんか私が狙撃してやる!」

「おかげで元気出たよ。ありがとう」クスッ

「それは何よりだ」

41 : 以下、?... - 2018/12/03 22:35:34.030 l8PCfTNt0 18/32

ところが――

<病院>

医者「精密検査の結果、ご主人の脳に腫瘍が見つかりました」

医者「手は尽くしますが、今の状態が続くと、余命はあまり長くないかもしれません……」

「…………」

「そんな……! 何とか、何とか取り除けないのか!?」

医者「手術では取り除けないデリケートな箇所に出来ており……外科的な措置はまず不可能です」

医者「しかし、投薬や他の治療法を試してみましょう。決して希望は捨てないで下さい」

「分かりました」

(くっ……!)

42 : 以下、?... - 2018/12/03 22:38:38.961 l8PCfTNt0 19/32

<自宅>

「…………」

「どうしたの? 今度は君が元気をなくしちゃって」

「夫が長く生きられないといわれて、元気をなくさない妻がどこにいる!」

「夫の遺産目当てで結婚した妻なら、あるいは」

「冗談をいってる場合か!」

「ごめんごめん」

「みんな、私を“狙撃手”と見る中、あなたははじめて私を“女”として見てくれた男だった」

「おじいさんおばあさんになるまで、ずっと一緒だと思ってた」

「それなのに……!」

43 : 以下、?... - 2018/12/03 22:40:14.146 l8PCfTNt0 20/32

「泣かないで」

「!」

「大丈夫……僕は死なないよ」

「お医者さんも言ってたろう? 希望を捨てるなって」

「絶対助かってみせるから……」

「……うん」

45 : 以下、?... - 2018/12/03 22:45:45.637 l8PCfTNt0 21/32

<病院>

医者「こちらがご主人の最新の脳の画像です」

医者「腫瘍の大きさは変わっていません。それどころか、より悪質なものに変性しています」

「そうですか……」

「…………」

医者「しかし、他にも治療法はあります。決して諦めず――」

「あ、あのっ!」

医者「なんでしょう?」

「もう一度、今の画像を見せてもらえるだろうか。出来れば色んな角度から」

医者「? かまいませんが……」

46 : 以下、?... - 2018/12/03 22:47:41.959 l8PCfTNt0 22/32

「…………」ジーッ

「どうしたの?」

「ドクター、頼みがある」

医者「なんでしょう?」

「この腫瘍の除去……私にやらせてもらえないだろうか」

医者「はい? おっしゃる意味が――」

「私が狙撃でこの腫瘍を取り除いてみせる!」

医者「は!?」

47 : 以下、?... - 2018/12/03 22:50:14.774 l8PCfTNt0 23/32

医者「なにいってんです!? 狙撃で……って」

医者「外科手術で取り除くのは無理だと、何度も説明したでしょう!」

「この画像を見ると、この角度から極めて小さい弾丸で腫瘍を狙えば」

「脳を傷つけずに腫瘍を取り除ける可能性がある」

医者「奥さん、落ち着いて下さい。ヤケになってはいけません」

医者「今すぐ死ぬわけではありませんし、他にも治療法はあるのですから――」

「……いいかもしれない」

医者「ちょっ!?」

48 : 以下、?... - 2018/12/03 22:54:10.914 l8PCfTNt0 24/32

医者「なにいってんの!?」

医者「狙撃で脳腫瘍を撃ち抜くなんて聞いたことがない!」

医者「一ミリでもずれたら、どころのレベルじゃないんですよ!? まず即死、最低でも脳死!」

医者「ただの自殺――いや殺人だ! 断じて認められるわけがない!」

「頼む、ドクター」

「お願いします、お医者さん」

医者「…………!」

医者(夫婦揃って、私を撃ち抜くような目つきしやがって……)

医者「……いいでしょう。ただし、くれぐれも自己責任でやって下さいよ」

「むろんだ」

「ありがとうございます」

医者(ああ……なんで許可しちゃったんだろ私)

49 : 以下、?... - 2018/12/03 22:57:41.728 l8PCfTNt0 25/32

<手術室>

医者「では、麻酔医を呼んできますので……」

「いや、麻酔はいりません。立ったままで狙撃を受けたいので」

医者「はぁ!?」

「うむ、私としても立ってくれてた方がやりやすい」

「現役時代も、標的は立っていることがほとんどだったからな」

「というわけです」

医者「もう好きなようにしてくれぇ!」

52 : 以下、?... - 2018/12/03 22:59:50.046 l8PCfTNt0 26/32

「では、始めよう」ジャキッ

「うん」


シーン…


医者(ううう……マジで始まってしまった。狙撃による手術が……)

医者(しかし、奥さん……すごい集中力だ。銃を構えて、完全に自分の世界に入っている……)

医者(旦那さんも旦那さんだ。頭に銃を向けられてるのに、至って平然としている……)

医者(なんなんだ、この夫婦……!?)

53 : 以下、?... - 2018/12/03 23:02:02.316 l8PCfTNt0 27/32

「いくぞ」

「いつでも」





医者「…………」ゴクッ…

56 : 以下、?... - 2018/12/03 23:04:07.476 l8PCfTNt0 28/32

ズキューン…


バシュッ!



………………

…………

……

58 : 以下、?... - 2018/12/03 23:07:53.200 l8PCfTNt0 29/32

医者「……改めて脳を撮影したところ、腫瘍は完全に消えています」

医者「手術は……成功です」

「や、やった!」

「……ありがとう」

医者「いやはや、すごいものを見せてもらいました」

医者「奥さんの狙撃の腕はもちろんですが、一切微動だにしなかった旦那さんもまたすごい」

医者「この手術は……まさにあなたがた“夫婦の手術”だったといえるでしょう」

「おだててもなにも出ないぞ」

「こちらこそ、無理を聞き入れて立ち会って下さってありがとうございます」

医者「今日のことは、私の一生の思い出となるでしょうね」

60 : 以下、?... - 2018/12/03 23:10:48.174 l8PCfTNt0 30/32

帰り道――

「今になって……両手が震えている」プルプル…

「我ながら恐ろしいことをしたものだ。脳腫瘍を狙撃だなんて……」

「本当にありがとう」

「いや……ドクターもいってたが、この手術の功績はむしろあなたにある」

「私の腕を信じて、微動だにしなかったんだからな」

「君の腕を信じる? 僕は別に、君の腕を信じてたから微動だにしなかったわけじゃないよ」

「えっ、どういうことだ?」

63 : 以下、?... - 2018/12/03 23:14:16.542 l8PCfTNt0 31/32

「だって……僕にとって、君に狙撃されることは“人生の一部”だから」

「だから、緊張せず普段通りの気持ちでいられたんだ。微動だにせずにいられたんだ」

「たとえどんな結果になっても、僕は納得できていたと思うよ」

「…………!」

「どうしたの? 顔が真っ赤だよ?」

(私としたことが、夫にハートを狙撃されてしまうなんて……まだまだ未熟だ……!)

「?」

「さ、さあ帰るぞ! ダッシュだ!」ダッ

「あのー、僕まだ病み上がりなんですけど……」

64 : 以下、?... - 2018/12/03 23:16:37.308 l8PCfTNt0 32/32

……

「うわぁ、遅刻遅刻!」

「行ってきまぁ~す!」タタタタタッ


「おいっ、定期を忘れてるぞ!」

「仕方ない……定期入れをあの人のカバンめがけて――発射!」ズキューン…







おわり

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