関連
地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」【前編】


254 : 以下、名... - 2018/11/08 20:48:44.18 nWRwErPCo 200/542

書きます


水の四天王「祝福の聖女よ、何かありましたの?」

255 : 以下、名... - 2018/11/08 20:52:12.13 nWRwErPCo 201/542

祝福の聖女(以下、聖女)「わ……わかりますか?」

水の四天王(以下、水王)「ええ、落ち着きがありませんもの」

聖女「じ、実は……勇者様に、キスしちゃいました///」

水王「まあ! とうとう、一歩踏み出したんですのね!」


聖女「はいっ!///」

聖女「なので……私達、結婚しますっ!///」


水王「大きな一歩すぎやしませんこと!?」

256 : 以下、名... - 2018/11/08 20:57:19.69 nWRwErPCo 202/542

聖女「えっ? 何か、おかしな事言いましたか?」

水王「ええと……キスしただけ、ですのよね?」

聖女「えっ? ええっ?」

水王「……祝福の聖女?」


聖女「私の――祝福の聖女がキスしたんですよ?」

聖女「ええと、これはもう……結婚しか無いんですけど……」


水王「どっ、どういう事ですの!?」

257 : 以下、名... - 2018/11/08 21:01:23.89 nWRwErPCo 203/542

聖女「正確には、結婚せざるを得ないと言うか……」

水王「キスしただけで!?」

聖女「愛の女神に使える私が、あ……愛を捧げたわけですから///」

水王「女神教の戒律……ではありませんのね」


聖女「結婚しなかった場合は……えへへ!///」

聖女「全身の、毛穴という毛穴から血が吹き出ちゃいますけどね!」


水王「笑い事じゃありませんわよ!!」

258 : 以下、名... - 2018/11/08 21:06:19.30 nWRwErPCo 204/542

聖女「えっ? 結婚すれば、大丈夫ですよ?」

水王「結婚しなければ、死んでしまうのでしょう!?」

聖女「だっ、大丈夫ですよ! 死にはしません!」

水王「けれど……無事では済みませんわよ!?」


聖女「地獄の苦しみで、精神が崩壊するらしいです!」

聖女「だから、何の問題もありませんよ!」


水王「廃人になってしまうだけでしょうに!!」

259 : 以下、名... - 2018/11/08 21:10:12.75 nWRwErPCo 205/542

水王「ひっ、光の勇者はこの事を知って!?」

聖女「あっ、ゆ……勇者様には言わないでください!」

水王「何故!?」

聖女「だ……だって……」


聖女「重い女だ……なんて、思われたくありませんし」

聖女「だから、勇者様には内緒にしてくださいね!」


水王「知らぬ間に、命を背負わせているのに!?」

260 : 以下、名... - 2018/11/08 21:17:20.35 nWRwErPCo 206/542

聖女「でも、大丈夫ですよ! 絶対に結婚しますから!」

水王「……随分と、自信があるんですのね」

聖女「だ、だって……勇者様の事……好きですから///」

水王「私も……貴女程素直になれたら」


水王「――友人の結婚式はとても素敵だった」

水王「――花嫁衣装には、とても憧れる」

水王「……と、遠回しな言い方をせずに済みましたのに」


聖女「あの……かなり、直接的だと思うんですけど」

261 : 以下、名... - 2018/11/08 21:24:31.07 nWRwErPCo 207/542

水王「あら、私達は何度も体を重ねましたのよ?」

聖女「……私達がまだキスだけって、からかってます?」

水王「ふふっ! さあ、それはどうでしょうね」

聖女「もーっ!……ふふふっ!」


水王「子供が出来やすい日を狙っていたのですけれど……」

水王「恋と言うのは、中々うまくいかないものですわね」


聖女「あ、あの! 私には……は、早すぎる話題です!」

262 : 以下、名... - 2018/11/08 21:33:47.54 nWRwErPCo 208/542

水王「避妊魔法は知っているでしょう?」

聖女「愛の無い魔法ですが……はい、知ってます……」

水王「けれど、時に奇跡が起き、子供を授かる事がある……」

聖女「そうです!! それこそ、愛の奇跡です!!」


水王「――大丈夫だから」

水王「こう言うと、殿方は勘違いしてしまうんですのよ」

水王「……魔法を使ったなどと、一言も言っていないのに」

水王「そして……奇跡が起こるのですわ」


聖女「……うぁ……ぁ、愛のなせる業ですね!!」

263 : 以下、名... - 2018/11/08 21:42:26.91 nWRwErPCo 209/542

水王「まあ……奇跡は、起きませんでしたけれどね」

聖女「まだ、戻って来てないんですか?」

水王「先日貴女に諭されましたし、気長に待ちますわ」

聖女「……早く、帰って来ると良いですね」


水王「ええ……耐えきれず、零れた涙が湖にならぬ内に」


聖女「……水の四天王さん」


水王「その湖の水が溢れ、津波となって街を飲み込まぬ内に」


聖女「水の四天王さん!?」

264 : 以下、名... - 2018/11/08 21:47:30.55 nWRwErPCo 210/542

水王「ああ……早く、帰ってきてくださいまし……!」

聖女「私も、祝福の聖女として、平和のために祈ります」

水王「今頃、どこで何をしているの……!」

聖女「あ、あのー……水の四天王さん?」


水王「愛しの、地の四天王……!」


聖女「……」

聖女「えっ?」

265 : 以下、名... - 2018/11/08 21:49:58.70 nWRwErPCo 211/542

聖女「みっ、水の四天王さん!?」

水王「……えっ?」

聖女「いっ、今の……今のって!?」

水王「す、すみません……自分の世界に入ってしまって……」


聖女「水の四天王さんの想い人って――地の四天王だったんですか!?」


水王「……」

水王「ちっ――違いましゅわにょ!?」

266 : 以下、名... - 2018/11/08 21:57:32.19 nWRwErPCo 212/542

聖女「同僚って……あー! あー、そういう事ですか!」

水王「ちっ、違……違いましてよ!」

聖女「確かに……はー! 職場恋愛って、はいはい!」

水王「……くううっ!/// 迂闊でしたわ!///」


水王「ぜ、絶対!/// 誰にも言わないでくださいまし!///」

水王「祝福の聖女よ、お願いしますわ!///」


聖女「……」

聖女「えー?」ニマニマ

267 : 以下、名... - 2018/11/08 22:02:07.49 nWRwErPCo 213/542

聖女「どうしてですか?」ニマニマ

水王「そ、それは……魔王様と、他の四天王の前では、ですね……」

聖女「はいはい?」ニマニマ

水王「……バレないように、振る舞っているのです」


水王「だって……ねえ?」

水王「水と、地の四天王がだなんて……うふふっ!///」


聖女「もーっ!/// も――っ!///」

268 : 以下、名... - 2018/11/08 22:10:51.98 nWRwErPCo 214/542

水王「絶対……絶対、内緒ですわよ?///」

聖女「ふふっ、勿論ですよ!///」

水王「やだもう、どうして貴女まで顔を赤くしてるの///」

聖女「わかりません/// なんか、うつっちゃいました///」


水王「……あの人が、帰ってきたら」

水王「私と貴女……そして、地の四天王と光の勇者の四人で――」


聖女「っ!?」ゴクリ…


水王「精霊の湖の側にある、別荘に遊びに行きません?///」


聖女「行きます!/// ぜ~ったい行きます!///」

269 : 以下、名... - 2018/11/08 22:17:33.04 nWRwErPCo 215/542

聖女「凄いです……なんか、世界が輝いて見えます!」

水王「うふふっ! 当然、貴女と勇者の部屋は一緒でしてよ!」

聖女「えっ……えー?/// ええ~っ?///」

水王「……ゴホンッ!」


水王「……祝福の聖女よ」

水王「私の想い人の事は、誰にも言わない」

水王「……誓って、頂けますか?」


聖女「……水の四天王」

聖女「私は、貴女の想い人の事は、決して口外しません」

聖女「愛の女神様と――」


聖女「――私達の、友情にかけて!!」

270 : 以下、名... - 2018/11/08 22:22:09.18 nWRwErPCo 216/542

  ・  ・  ・

闇の魔王(以下、魔王)「祝福の聖女よ、今日は機嫌が良いな」

聖女「……えへへっ、わかっちゃいますか?」

魔王「ああ、余と其方の仲では無いか」

聖女「……魔王さん」


魔王「例え、人間を全て滅ぼしたとしても……」

魔王「そ……其方だけは、生かしておこう」


聖女「えっ、あの……」

聖女「はあ……あ、ありがとう……ございます……?」

272 : 以下、名... - 2018/11/08 22:30:51.89 nWRwErPCo 217/542

魔王「ふむ……あまり、嬉しそうでは無いな」

聖女「いっ、いえ!」

魔王「何なりと申せ、其方は何が望みだ?」

聖女「えっ?」


魔王「其方の、今の上機嫌な様子」

魔王「それは……勇者と、誓いの口付けを交わしたから」

魔王「――だけはあるまい?」


聖女「それは……」

273 : 以下、名... - 2018/11/08 22:34:49.86 nWRwErPCo 218/542

聖女「その……内緒なんです」

魔王「何?」

聖女「ええ、と……内緒の話を聞いて……」

魔王「……ふむ」


魔王「秘密の共有、か」

魔王「確かに、それは互いの絆を深めるものだ」


聖女「だから……言えないんです」

聖女「……ごめんなさい」


魔王「……」

魔王「構わん、許す」

274 : 以下、名... - 2018/11/08 22:40:11.17 nWRwErPCo 219/542

魔王「だが、面白くは無いな」

聖女「えっ?」

魔王「どれ……余も、其方だけに秘密を明かそう」

聖女「ど、どうしてですか……?」


魔王「余が、闇の魔王だからだ」

魔王「そして、祝福の聖女……其方が――」


聖女「私が……?」


魔王「……いや、それは明かせぬ」

275 : 以下、名... - 2018/11/08 22:47:01.67 nWRwErPCo 220/542

魔王「――余が、明かす秘密」

聖女「……」

魔王「それは――余が恋をし、愛を育んでいる者の事だ」

聖女「えっ!? それって……」


魔王「その者の名を……其方に教えよう」

魔王「どうだ? 知りたくはないか?」


聖女「それは……知りたいです!!」

聖女「だって、ずっと『内緒だ』って言ってたんですもん!!」

277 : 以下、名... - 2018/11/08 22:51:25.85 nWRwErPCo 221/542

魔王「その者の所在は明かせぬが……」

聖女「構いません! ええ、構いませんとも!」

魔王「ふふっ……其方は、コイバナには食いつきが良いな」

聖女「はいっ!」


聖女「だって私は――祝福の聖女ですから!」

聖女「それに……私達が、こうして話すきっかけ」

聖女「それも――恋の話でしたからね!」ニコッ!


魔王「……ならば、聞くが良い」ニコリ

魔王「余の、愛する者とは……」


聖女「とは!? わぁ~っ!/// ドキドキします!///」ニコニコ!


魔王「地の四天王だ」



おわり

285 : 以下、名... - 2018/11/09 21:54:08.91 zozdBxOjo 222/542

書きます


火の四天王「剣の乙女よ、私はどうすれば良い?」

286 : 以下、名... - 2018/11/09 21:59:02.19 zozdBxOjo 223/542

剣の乙女(以下、乙女)「急に現れて、何?」

火の四天王(以下、火王)「私には……もう、わからない」

乙女「だから、何が?」

火王「奴に……婚約者に、何と言えばいいのだ!」


乙女「酔って、朝起きたら剣の乙女がベットに居た」

乙女「どっちも裸で、覚えてないけどヤっちゃったらしい」

乙女「……じゃない?」


火王「……うわあああ!!」

287 : 以下、名... - 2018/11/09 22:02:44.40 zozdBxOjo 224/542

乙女「大きな声を出さないで、うるさいわよ」

火王「私は! 私は、裏切ってしまった!」

乙女「ねえ、聞いてるの?」

火王「浮気……しかも、事もあろうに敵とだ!」


乙女「あのね、声を抑えてくれない?」

乙女「そんなだから、あの時も声が大きいのよ」


火王「どの時――」

火王「――……言うな! 頼む、言わないでくれ!」

288 : 以下、名... - 2018/11/09 22:05:48.46 zozdBxOjo 225/542

乙女「だったら、声を小さくして頂戴」

火王「……わかった」

乙女「そうそう、良い子ね」

火王「私は……どうすれば……!」


乙女「……あのね、火の四天王」

乙女「あまり、被害者ぶらないで貰えるかしら?」


火王「……」

火王「えっ?」

289 : 以下、名... - 2018/11/09 22:08:57.15 zozdBxOjo 226/542

乙女「覚えてないみたいだけど、貴女……ノリノリだったわよ?」

火王「ばっ、馬鹿な! 有り得ん!」

乙女「……何? 本当に、覚えてないの?」

火王「覚えていたら、正気を保てているものか!」


乙女「――んー、ちゅ~っ! ちゅ~う~っ!」

乙女「って、貴女――」


火王「わ――っ!?/// わ――っ!?///」

290 : 以下、名... - 2018/11/09 22:11:56.08 zozdBxOjo 227/542

火王「う……嘘だろう!?///」

乙女「良かったわね、火の四天王」

火王「! やはり嘘か! 驚かせる――」

乙女「いえ、そうじゃなくて」


乙女「結婚していなくても、ブレスは出なかったわよ」

乙女「もんのすごいディープなキッスをしても」


火王「ひああああ!?(ボワッ)/// ひああああ!?(ボワッ)///」

291 : 以下、名... - 2018/11/09 22:15:42.36 zozdBxOjo 228/542

火王「有り得ない!/// そんな、ふしだらな!///」

乙女「まあ、最初のキスは恐る恐る……チュッって感じだったわね」

火王「だろう!? そこから、無理矢理――」

乙女「ええ」


乙女「チュッとしたら、目を見開いてね」

乙女「そこからはもう、スリスリベタベタ……」

乙女「言葉遣いも、なんだか幼くなっちゃって、もう」


火王「おぶっふ!?(ボワァッ)///」

292 : 以下、名... - 2018/11/09 22:19:25.00 zozdBxOjo 229/542

乙女「それで、やっと会えただの……」

火王「そんな! そんなっ……!」

乙女「ずっと、探してただの……」

火王「探してなどいなかった……!」


乙女「――本当に、見せつけてくれたわ」

乙女「恋人の私が見てるっていうのに」


火王「……」

火王「えっ?」

293 : 以下、名... - 2018/11/09 22:24:32.30 zozdBxOjo 230/542

火王「私は、お前と……その、しっ、しちゃった訳では無いのか?」

乙女「当たり前でしょう?」

火王「なっ、何だと!?」

乙女「……はあ、本当に何も覚えてないのね」


乙女「……貴女としたのは、私の恋人」

乙女「大地の魔女のお姉様よ」


火王「おっ……お姉様……?」

294 : 以下、名... - 2018/11/09 22:30:56.36 zozdBxOjo 231/542

火王「だが、待て……待ってくれ……!」

乙女「一対一の決闘じゃなく、集団戦闘だったの」

火王「はっ……ほっ……!?」

乙女「まあ、結果は私達の惨敗だったけれど、ね」


乙女「交互でも、一対二でも……凄かったわ、お姉様///」

乙女「……ふふっ!」

乙女「今度は、二人がかりででも、一矢報いましょうね?」


火王「……すまない、少し時間をくれ」

火王「は、破廉恥すぎて……理解が追いつかない……!」

296 : 以下、名... - 2018/11/09 22:36:11.06 zozdBxOjo 232/542

乙女「あの夜、一番破廉恥だったのは貴女だけれどね」

火王「ういっ!?(ボワッ)///」

乙女「あと……一つ、お願いがあるんだけど」

火王「おっ、お願い……!?///」


乙女「貴女、盛り上がると龍の翼が出るみたいなの」

乙女「ただ、あまりパタパタされると邪魔なのよね」


火王「つっ……つつつ、翼まで出ていたのか!?(ボワァァッ)///」

297 : 以下、名... - 2018/11/09 22:45:15.96 zozdBxOjo 233/542

乙女「何? そんなに驚くこと?」

火王「わ……私の魔力の源は、喜びの感情なんだ……」

乙女「ふぅん、そうだったのね」

火王「強者と戦える喜びが溢れた時、龍の翼が出るんだが……」


乙女「性の喜びが溢れて、翼が出たのね」

乙女「戦闘狂かと思いきや、色情狂だったって事かしら」


火王「っ……!(ボワッ)/// っふぅっ……!(ボワァッ)///」

298 : 以下、名... - 2018/11/09 22:53:00.35 zozdBxOjo 234/542

火王「私が、そんなっ……!」

乙女「残念だけど、事実は変えられないわ」

火王「う……うあぁっ……!」

乙女「……ふふっ」


乙女「――ようこそ、火の四天王」

乙女「貴女はもう……私と同じ」

乙女「――お姉様の、妹なのよ」


火王「やめろ……! やめてくれぇっ……!」

299 : 以下、名... - 2018/11/09 22:57:08.57 zozdBxOjo 235/542

火王「私には――婚約者が居る!」

乙女「それは、運命の相手じゃなかったのよ」

火王「そんな……そんな事……!」

乙女「いいえ、貴女の体は知っていたわ」


乙女「貴女の運命の相手は――大地の魔女」

乙女「これは、何があろうと揺るがないわ」


火王「う……ううっ……!」

…ガクッ!

300 : 以下、名... - 2018/11/09 23:06:23.12 zozdBxOjo 236/542

乙女「……火の四天王」

火王「……」

乙女「私は、貴女のあの時の喜び様が忘れられないわ」

火王「……」


乙女「大地の魔女のお姉様と、唇が触れ合った時」

乙女「あの時の貴女は、とても嬉しそうな顔をしていたわ」


乙女「――まるで、探し求めていたものを見つけたみたいに」


乙女「……ね」


火王「……剣の乙女」

301 : 以下、名... - 2018/11/09 23:11:23.37 zozdBxOjo 237/542

乙女「認められないなら、お願いしてみなさいよ」

火王「お願い……?」

乙女「私も、貴女だから……許してあげるんだから」

火王「何をだ……?」


乙女「酔っていない状態で、大地の魔女のお姉様とキスをするの」

乙女「その時、貴女が感じた想いに……素直になれば良いわ」


火王「……少し」

火王「少しだけ……考えさせてくれ」

302 : 以下、名... - 2018/11/09 23:18:24.99 zozdBxOjo 238/542

  ・  ・  ・

乙女「……はぁ、本当に世話が焼けるんだから」

乙女「……」

乙女「――そこに居るのは、わかってるわよ」

乙女「隠れてないで、出てきなさい」


風の四天王(以下、風王)「……」


乙女「御機嫌よう、とは言わないのかしら?」


風王「……ああ、まあね」

303 : 以下、名... - 2018/11/09 23:28:34.47 zozdBxOjo 239/542

乙女「それで? 貴女の探しものは見つかったの?」

風王「……ああ、見つけるには見つけたよ」

乙女「あら、良かったじゃないの」

風王「だけど、まだ戻れないと……言われてしまったんだ」


風王「――女の僕を選ぶ、と」

風王「……そう、言ってくれはしたんだけどね」


乙女「……」

乙女「ん?」

304 : 以下、名... - 2018/11/09 23:41:44.24 zozdBxOjo 240/542

乙女「貴女の想い人って、男性よね?」

風王「ああ、そうだよ」

乙女「……そうよね、私の勘違いよね」

風王「勘違い?」


乙女「貴女の想い人が――」

乙女「――私の恋人、大地の魔女のわけないものね」


風王「……」

305 : 以下、名... - 2018/11/09 23:49:24.22 zozdBxOjo 241/542

風王「……少し、意地悪をしようかな」

乙女「何? 意地悪?」

風王「僕と君は、元々敵同士だからね」

乙女「……何を勿体ぶってるのかしら」


風王「――僕と、大地の魔女は……ある秘密を共有している」

風王「それも……とてもとても、重大な秘密を」


乙女「……何なの、それは」

306 : 以下、名... - 2018/11/09 23:56:10.26 zozdBxOjo 242/542

風王「ははっ、さあてね!」

フワッ…


乙女「っ、待ちなさい! 話は終わってないわ!」


風王「気になるなら、直接本人に聞いてみると良いさ」

風王「――私に、何か隠し事をしてませんか?」

風王「ってね! ははははっ!」


乙女「風の四天王! 待ちなさい!」

乙女「……」

乙女「……逃げ足の早い……!」

307 : 以下、名... - 2018/11/10 00:04:17.12 Dg3S28BXo 243/542

  ・  ・  ・

大地の魔女(以下、地女)「光の勇者よ、気付いているか?」

光の勇者(以下、勇者)「……ああ、二人の様子がおかしい」


地女「剣の乙女は――最近、剣筋に迷いが見られる」


勇者「祝福の聖女は――近頃、何か思い悩んでるみたいだ」


地女「どうするのだ、リーダー」


勇者「……」

308 : 以下、名... - 2018/11/10 00:10:10.47 Dg3S28BXo 244/542

地女「聖女の悩みとは、恐らく……」

勇者「……」


地女「光の勇者よ」

地女「お前との、恋の行方に関する事だろう」


勇者「……多分、そうなんだろうな」

勇者「そして、剣の乙女の迷いってのは……」


地女「……うむ」

地女「……サッパリわからんなぁ」


地女勇者「……」

309 : 以下、名... - 2018/11/10 00:18:29.69 Dg3S28BXo 245/542

地女「……よし! ここは任せて貰おう!」

勇者「何?」

地女「なぁに、お前には世話になっているからな!」

勇者「まあ……本当にそうだな」


地女「今の俺は、見た通り美少女だ!」

地女「つまり、ガールズトークすらお手の物よ!」


勇者「……今みたいな状況は、初めてなんだ」

勇者「だから……何だ、その……」


地女「ええい、皆まで言うな! 光の勇者よ!」

地女「大船に乗ったつもりで――」


地女「地の四天王に、全て任せておけ!」



おわり

318 : 以下、名... - 2018/11/10 21:06:14.05 Dg3S28BXo 246/542

書きます


地の四天王「光の勇者よ、お前は留守番だ!」

320 : 以下、名... - 2018/11/10 21:11:24.42 Dg3S28BXo 247/542

光の勇者(以下、勇者)「いやお前……その格好」


地の四天王「む? おお、そうだったそうだった!」

パァァ……ァァァ

大地の魔女(以下、地女)「――うむ! これで美少女だな!」


勇者「自分で言うんじゃねえ!」

勇者「っつーか、服くらい着ろ!」

321 : 以下、名... - 2018/11/10 21:16:00.83 Dg3S28BXo 248/542

地女「良いではないか、減るものでもなし」クネッ

勇者「色っぽいポーズ決めんな!」

地女「やれやれ、朝から元気だな」

勇者「……っていうか、なんで元の姿に戻ってたんだよ?」


地女「む? おお、昨晩は闇の魔王様がお忍びで来ていてな?」

地女「それで、まあ……なっ? わかるだろう?」


勇者「ああもう、お前本当何なの!?」

322 : 以下、名... - 2018/11/10 21:19:22.32 Dg3S28BXo 249/542

地女「今は、大地の魔女――お前達の仲間だ」

勇者「……本当に、頼むぞ」

地女「うむ、祝福の聖女と、剣の乙女の事は任せておけ」

勇者「……本当の、本当に頼むからな」


地女「光の勇者よ、お前には世話になっている」

地女「それに俺は、このパーティーが気に入っているのだ」

地女「俺に出来る事ならば、喜んでやろうではないか」


勇者「……四天王の言葉とは思えないよな、本当に」

323 : 以下、名... - 2018/11/10 21:22:32.62 Dg3S28BXo 250/542

  ・  ・  ・

祝福の聖女(以下、聖女)「あの……お話って、何ですか?」

地女「まあまあ! まずは、ケーキを食べるぞ!」

聖女「……」

地女「この店のケーキは、街でも評判なのだ!」


地女「――ケーキは、悩みごとを解決してはくれん」

地女「だが、食べれば幸せな気分になるだろう?」


聖女「……大地の魔女さん」

324 : 以下、名... - 2018/11/10 21:26:52.43 Dg3S28BXo 251/542

聖女「……私が悩んでるのに、気付いてたんですね」

地女「当たり前だろう?」

聖女「えっ?」

地女「加入して日が浅いが、もうパーティーの仲間なのだからな!」


地女「……ままっ、そんな事はどうでも良い!」

地女「ケーキはいくつ食べる? 二つか? 三つでも良いぞ!」


聖女「ひ、一つで十分です」

325 : 以下、名... - 2018/11/10 21:32:16.04 Dg3S28BXo 252/542

聖女「……すみません、ご迷惑をおかけして」

地女「むう?」

聖女「私のために、こんな事まで……」

地女「何を言っているのだ」


地女「今日は、ケーキを食べて女子トークをしに来ただけ」

地女「迷惑だとは、微塵も考えてはいないぞ」

地女「……食べ終わって、美味しかった、との礼は受け取るがな!」


聖女「……ふふっ」

聖女「……ありがとう、ございます」

326 : 以下、名... - 2018/11/10 21:36:47.63 Dg3S28BXo 253/542

地女「お前が話したいというなら、聞くのもやぶさかではない」

聖女「……」

地女「言えないというのなら、それもまた良し」

聖女「……大地の魔女さん」


地女「ただ、礼を言われる時は、笑っていて欲しいものだな!」

地女「最近の作り笑いでない……先程のような、自然な笑顔で」


聖女「……うふふっ」

聖女「美味しくてお礼を言うって、決まってるんですね!」

327 : 以下、名... - 2018/11/10 21:40:59.23 Dg3S28BXo 254/542

聖女「……少しだけ、相談しても良いですか?」

地女「うむ! かかってくるが良い!」

聖女「これは……私の友達二人の話なんですが」

地女「二人?」


聖女「私の友達二人が……悪い、一人の男に弄ばれてるんです」

聖女「けれど……二人共、その男を信じているんです」

聖女「私は……その事を告げるべきなんでしょうか?」


地女「……とんだ悪人が居たものだな!!」

328 : 以下、名... - 2018/11/10 21:44:31.22 Dg3S28BXo 255/542

地女「何処の痴れ者だ、その男は!」

聖女「それは……約束なので、言えないんです」

地女「ふむ……そうなのか」

聖女「二人共、私を信頼して……相手が誰か教えてくれたんです」


地女「……祝福の聖女」

地女「お前は、よっぽどその二人に信頼されているのだなぁ」


聖女「……はい」

329 : 以下、名... - 2018/11/10 21:46:30.98 Dg3S28BXo 256/542

聖女「お互い、立場があるけれど……とっても仲良しなんです」

地女「どちらも、得難い友人という訳か」

聖女「……はい」

地女「……ならば、答えは決まっている」


地女「祝福の聖女よ」

地女「その事で悩むのは、もうやめるのだ」


聖女「……」

聖女「えっ?」

330 : 以下、名... - 2018/11/10 21:56:12.48 Dg3S28BXo 257/542

地女「お前の悩みとは、そもそも他人の恋愛」

聖女「だ、だけどっ!」

地女「それにな? 祝福の聖女よ」

聖女「……何ですか」


地女「その二人が、男を信じ切っているのならば……」

地女「女同士の、壮絶な戦いが始まるかも知れんぞ?」


聖女「あり得……無いとも言い切れない!!」

331 : 以下、名... - 2018/11/10 21:59:24.16 Dg3S28BXo 258/542

地女「だから、放っておくのが一番なのだ」

聖女「でも……私は、どうしたら……」

地女「何を言っているのだ? そんなものは決まっている」

聖女「えっ?」


地女「まず、食べるケーキを選ぶ!」

地女「甘い物無くして、女子トークとは言えないからな!」


聖女「……」

聖女「あ……あはははっ!」

332 : 以下、名... - 2018/11/10 22:03:09.85 Dg3S28BXo 259/542

聖女「……何も解決してないけど、ちょっと気が楽になりました」

地女「うむ! それは良かった!」

聖女「でも……また、その事で悩むと思います」

地女「難儀な性格だな」


聖女「その時は……また、お話を聞いて貰えますか?」


地女「任せておけ!」ニコッ!


聖女「そ……それと、ですね……?」

聖女「あの……お姉ちゃん、って呼んでもいいですか……?」

333 : 以下、名... - 2018/11/10 22:06:28.00 Dg3S28BXo 260/542

  ・  ・  ・

剣の乙女(以下、乙女)「――ふっ!」

ブンッ!

乙女「……くっ」


「――剣の乙女よ、此処に居たのか」


乙女「……お姉様」


地女「うむ! 大地の魔女のお姉様なのだ!」

334 : 以下、名... - 2018/11/10 22:10:00.04 Dg3S28BXo 261/542

乙女「……どうして、此処に?」

地女「迷っていたら、辿り着いた……というのは、どうだ?」

乙女「……」

地女「まあ、それは冗談としてだ」


地女「剣を振るう時には、迷うな」

地女「お前の剣技には、迷いは似合わない」


乙女「……お姉様」

335 : 以下、名... - 2018/11/10 22:12:57.30 Dg3S28BXo 262/542

乙女「あ……あのっ!」

地女「む? 何だ?」


乙女「大地の魔女のお姉様……!」

乙女「お姉さまは、私に何か隠していませんか!?」


地女「うむ!」

地女「お前には、沢山の事を隠しているぞ!」


乙女「えっ、あ……いえ、あのっ!?」

乙女「そんなに開き直られると……え、ええっ!?」

336 : 以下、名... - 2018/11/10 22:17:53.80 Dg3S28BXo 263/542

地女「誰でも、隠し事の十や二十はあるものだろう?」

乙女「一つや二つ、ではなく!?」

地女「ふはは! 恐れ入ったか!」

乙女「多すぎます! 何を隠しているんですか!?」


地女「剣の乙女よ、とりあえず一つ教えよう!」

地女「隠し事のある女というのは、何故か魅力的なのだ!」


乙女「何か違います、お姉様!」

乙女「私の質問への答えとしては、何か違います!」

337 : 以下、名... - 2018/11/10 22:24:11.29 Dg3S28BXo 264/542

地女「違ったか?」

乙女「違うわよ! 私が聞いたのは、秘密! 秘訣じゃないわ!」

地女「おおっ、やはりお前は敬語よりそっちの方がいいな!」

乙女「きゅ、急に何を……」


地女「それで? この大地の魔女の何が知りたい?」

地女「遠慮せずに、何でも聞くが良い!」


乙女「な、何が……って……」

338 : 以下、名... - 2018/11/10 22:30:35.60 Dg3S28BXo 265/542

乙女「……」

地女「さあ、遠慮するな! 答えるとは限らんがな!」

乙女「……ふふっ、何よそれ?」

地女「年長者として、出来る限りは答えよう!」


乙女「……やめておくわ」

乙女「だって、隠し事が魅力なら……えっ!?」

乙女「まっ、待って!? 年長者って言った!?」


地女「む? 言っていなかったか?」

339 : 以下、名... - 2018/11/10 22:39:05.79 Dg3S28BXo 266/542

乙女「だって、どう見ても私より年下じゃないの!」

地女「魔法で姿を変えているのだ」

乙女「ま……待って……! えっ、ちょっと……!」

地女「どうした? 頭が痛いのか?」


乙女「あ、貴女は……一体、何者なの?」

乙女「どうして、此処に居るの?」


地女「大地の魔女は、迷う少女を助けに来た」

地女「仲間を助けるのは、当然の事だからな!」


乙女「しょ……少女って……!///」

340 : 以下、名... - 2018/11/10 22:44:34.30 Dg3S28BXo 267/542

地女「剣の乙女よ、お前に聞こう!」

乙女「……私に、何を?」

地女「そんなものは、決まっている!」

乙女「……」


地女「最近、お前の剣には迷いが見られる!」

地女「その理由、話して貰うぞ!」

地女「さあ……ガールズトークの始まりなのだ!」


乙女「……」

乙女「へっ?」

341 : 以下、名... - 2018/11/10 22:48:30.99 Dg3S28BXo 268/542

乙女「ねえ……全然、何もわかってなかったの?」

地女「ああ、サッパリな!」

乙女「……」

地女「わからない事は聞く! ふはは、素直だろう!」


乙女「……ふふっ」

乙女「あっ、あはははっ! 何よ、それ!」

乙女「ふふふっ、あはっ、あははははっ!」


地女「むう……?」

地女「どうして笑っているのだ……?」

342 : 以下、名... - 2018/11/10 22:57:46.51 Dg3S28BXo 269/542

  ・  ・  ・

地女「――と、言う訳だ! 二人共、元気になったぞ!」

勇者「……お前、凄いな」

地女「光の勇者よ、もっと褒め称えても構わんぞ!」

勇者「いや……素直に凄いと思った」


地女「――祝福の聖女の悩み」

地女「一瞬だけ、俺のことかとも思ったがな?」

地女「俺は、ヤっちゃった数は二人ではきかぬ!」

地女「それに、酔ってただけで、弄んだつもりはない!」

地女「――だから、どこかのクズの話なのだ!」


勇者「いや、お前の方がクズだろう!?」

343 : 以下、名... - 2018/11/10 23:05:44.52 Dg3S28BXo 270/542

地女「光の勇者よ、俺の事よりも、聖女に笑顔が戻った事を喜べ」

勇者「……俺が聞いても、大丈夫としか言ってくれなかったからな」

地女「愛する者に心配をかけまいと……健気ではないか」

勇者「あ、愛するって……う、うるせえよ!///」


地女「――剣の乙女の迷い」

地女「あれは恐らく……まあ、何だ」

地女「……年齢に関する事だな」

地女「ほら……今の俺の見た目は美少女だろう?」

地女「だから、まあ、色々とな? 気を付けていこうな?」


勇者「……ああ、そうだな」

344 : 以下、名... - 2018/11/10 23:14:54.95 Dg3S28BXo 271/542

地女「それに……安心ばかりもしてられん」

勇者「お前は、安心してる暇なんか全く無いと思うぞ」

地女「それを言うならば、お前もだぞ? 光の勇者よ」

勇者「……あん?」


地女「光の勇者よ!」

地女「祝福の聖女に、お前からキスをし――」

地女「――舌を入れるのだ!」


勇者「……」

勇者「…………」


勇者「はっ?」

345 : 以下、名... - 2018/11/10 23:21:33.31 Dg3S28BXo 272/542

勇者「まっ、待て! 待て待て待て待て! 何だそれ!?」

地女「いやぁ! 女子トークをしてたら、つい……な?」

勇者「つい!? 何でだ!? どうしてそうなった!?」

地女「うむ!」


地女「なんか、楽しくなっちゃってな?」

地女「――次は、勇者からキスをしてくると予言しよう!」

地女「――それも、とても熱いキスだ!」

地女「そう言って、盛り上がっちゃったのだ」


勇者「何してくれてんだよお前はよおおおおお!?」

346 : 以下、名... - 2018/11/10 23:32:01.48 Dg3S28BXo 273/542

地女「光の勇者よ、お前も男だろう!」

勇者「だけど、お前……!」

地女「祝福の聖女は、待ち望んでいるのだぞ! 物凄く!」

勇者「お前のせいでな! ってか、物凄くとか言うんじゃねえ!」


地女「ふはは! 観念するが良い、光の勇者よ!」

地女「お前は、決して逃れられぬ!」

地女「この新たな力――お姉ちゃんパワーからはな!」


勇者「めんどくせえ力をつけてんじゃねえええええ!!」



おわり

350 : 以下、名... - 2018/11/11 19:16:29.34 y970MzfQo 274/542

書きます


闇の魔王「地の四天王は、お前達の中でも最弱」

351 : 以下、名... - 2018/11/11 19:21:01.50 y970MzfQo 275/542

闇の魔王(以下、魔王)「お前達が居れば、問題あるまい」


火の四天王(以下、火王)「……」

水の四天王(以下、水王)「……」

風の四天王(以下、風王)「……」


魔王「――捨て置け」


魔王(……と、命じておけば良いだろう)

魔王(奴が戻っては、二人の時間が取りにくくなってしまう)

352 : 以下、名... - 2018/11/11 19:26:33.70 y970MzfQo 276/542

水王「――魔王様の仰る通りですわ」

水王「そもそも、私はあの男が四天王である事が疑問でしたの」

水王「あの男は……ねぇ?」


水王「――品位というものが、欠けていますでしょう?」


水王(いやあああああ!! いやあああああ!!)

水王(一刻も早く、彼を探したいのに!!)

水王(……ああっ、昔の私はなんて愚かだったのかしら!)

水王(職場では仲が悪いフリを続けよう、なんて……どうして!)

353 : 以下、名... - 2018/11/11 19:31:37.01 y970MzfQo 277/542

火王「――確かに、水の四天王の言う通りだ」

火王「奴は、四天王を名乗るには力も足りていなかった」

火王「ふん! 居なくなって、清々した!」


火王「――真の強者しか、私は認めん」


火王(うわあああああ!! うわあああああ!!)

火王(浮気をしてしまって気まずいからと、何て事を!!)

火王(ででででも! 強くなったら帰って来ると!)

火王(……どんな顔して会えば良いんだあああああ!!)

354 : 以下、名... - 2018/11/11 19:38:43.80 y970MzfQo 278/542

風王「――僕の意見も、似たようなものかな」

風王「彼は、美しくなかった」

風王「上に立つ者として、相応しい容貌とは言えなかったからね」


風王「――ブ男が居ては、気分が盛り下がるよ」


風王(――さあ、考えろ考えろ考えろ!!)

風王(如何に彼を――地の四天王を切り捨てさせるか!)

風王(戻るべき場所を失った彼は、僕の元へ来るしかなくなる!)

風王(いや、いっそ二人で何処か遠くへ……あっ、良い! それ良い!)

355 : 以下、名... - 2018/11/11 19:43:01.77 y970MzfQo 279/542

魔王「……ふむ」

魔王「お前達の意見がここまで揃うとは、珍しいな」


火王水王風王「……」


魔王「奴が戻っても席が無いのならば……ふふっ!」

魔王「――いっそ、余の小間使いでもさせるかな」


火王水王風王「……」

火王水王風王「えっ!?」

356 : 以下、名... - 2018/11/11 19:49:35.45 y970MzfQo 280/542

魔王「どうした? 何を驚く事がある」


魔王(……ふん、命拾いしたな)

魔王(余の前で、奴を侮辱するなど……到底許せるものではない)

魔王(――だが、今日の余は寛大だ)

魔王(昨晩、奴の所へ赴きイチャコラして来たばかり……)


魔王「奴でも、それ位は務まるであろう」


魔王(――そして!)

魔王(この案を通せば、二人の時間が増えると言うものよ!)

357 : 以下、名... - 2018/11/11 19:58:56.01 y970MzfQo 281/542

水王「――まあ、そんな!」

水王「……魔王様、恐れながら申し上げます」

水王「あんな野蛮人に、小間使いが務まるはずがありませんわ」


水王「――ふふっ、お戯れも程々になさってくださいな」


水王(小間使いなんて出来るはずないわ!)

水王(彼は、全然気が利かないし、器用でも無いし!)

水王(だからこそ、誰かが支えてあげないと……!)

水王(……おはようから、おやすみなさいまで!)

358 : 以下、名... - 2018/11/11 20:05:22.30 y970MzfQo 282/542

火王「――魔王様の側に仕えるなら、強くなくては」

火王「奴が、魔王様の戦いの邪魔になる事も有り得る」

火王「……例え、どこで何をしていようとも――」


火王「――奴が、その資格を持てるとは思えない」


火王(戻ってきたら、私と結婚するんだから!)

火王(強くなって帰ってきて、プロポーズを――)

火王(――された時……なんと言えば良い……?)

火王(お前以外の者に体を弄ばれ、喜んでしまっていたと!?)

359 : 以下、名... - 2018/11/11 20:14:22.67 y970MzfQo 283/542

風王「――!」

風王(これは……好機!)


風王「――闇の魔王様」

風王「地の四天王が戻ったら、僕に預けて貰えませんか?」


魔王「えっ?」

魔王(ほう?)


水王火王風王「えっ?」


魔王「……」

魔王「……ほう?」

362 : 以下、名... - 2018/11/11 20:21:34.23 y970MzfQo 284/542

魔王「風の四天王よ、其方は何を考えている?」

魔王「……申してみよ」


水王(今……魔王様、「えっ?」って素で仰ったわ)

火王(今……魔王様、「えっ?」と素で言われたぞ)

風王(今……魔王様、「えっ?」って素で言ったよね)


風王「……」

風王「僕が、彼を教育します」

風王「……魔王様の側に仕えるに相応しい者に」


風王(教育期間は……彼が、僕のものになるまで!)

363 : 以下、名... - 2018/11/11 20:28:13.87 y970MzfQo 285/542

魔王「……ふむ、成る程」

魔王「其方ならば、属性の相性も良い」

魔王「……躾をするには、適任という訳か」


魔王(だが! それでは、余との時間が今よりも減ってしまう!)

魔王(風の四天王の目を欺くのは、余とて容易ではない!)

魔王(――いっそ、皆に余と奴の関係を告げるか!?)

魔王(嗚呼、そうだ! そうすれば――)


火王水王「――お待ち下さい」


魔王「……む?」


風王「……!」

364 : 以下、名... - 2018/11/11 20:36:49.73 y970MzfQo 286/542

水王「――教育係ならば、私にお任せを」

水王「主に仕えるとは、どういう事か……」

水王「この、水の四天王が教えて差し上げますわ」


水王(凄い……凄いわ、風の四天王!)

水王(教育係になれば、彼と二人っきりになり放題じゃない!)

水王(二人でお買い物に行って、ふ、夫婦と間違われたり……!)

水王(嗚呼、駄目よ! 「うむ!」だなんて……もう! もうっ!)


魔王「……ふむ」

365 : 以下、名... - 2018/11/11 20:43:14.35 y970MzfQo 287/542

火王「――いや、私にお任せください」

火王「奴は、武人として私が鍛え直してくれる」

火王「魔王様、その任……この、火の四天王に」


火王(けっ、こっ、けこっ、結婚前に! 同棲期間が!)

火王(ぱ、パパ! 「孫の顔が見たい」なんて、そんな!)

火王(いや、しかし私は……ああっ、「うむ!」と、言われても!)

火王(だが……う、「生む!」なーんて……あ、出る! 翼出る!)


魔王「……ふむ」

366 : 以下、名... - 2018/11/11 20:49:43.05 y970MzfQo 288/542

風王「――何を言ってるんだい、君達」


水王風王「?」


風王「水の四天王」

風王「君は、属性的に彼を抑えられないだろう?」

水王「……確かに、そうですわね」

水王(相性は良いんですのよ! 何のとは言えませんけれど!)


風王「火の四天王」


火王「何だ?」

―バサァッ!


風王「……熱いから、翼をしまって貰えるかな?」

367 : 以下、名... - 2018/11/11 20:57:05.08 y970MzfQo 289/542

火王「む……これはすまなかった」

火王「魔王様のお役に立てる喜びに、我が身の抑えがきかなんだ」

火王(あわっ! わ、わっわわっ!?)


風王「――君は、なんだかんだで情に厚いからね」

風王「訓練ならばともかく、躾は向いていないと思うよ」

火王「……確かに、お前の言う通りかも知れん」

火王(子供が出来たら……し、叱れない! 甘やかしてしまう!)


風王「闇の魔王様」


魔王「……」


風王「地の四天王の教育係は、僕にお任せください」

風王(ふふふ……ははははっ! やった! やったぞ!)

368 : 以下、名... - 2018/11/11 21:10:16.86 y970MzfQo 290/542

風王「……」

風王(地の四天王……君は、僕の物になる!)

風王(当然だろう? 僕に、屈辱を味あわせたんだから!)

風王(ふふふ……! 楽しみでしょうがないよ……!)

風王(地の四天王、君が僕に直に与えてくれる――)


風王(――辱めの数々が!)


風王「……!」ゾクゾクッ!


水王火王「くっ……!」

水王火王(風の四天王め……!)


魔王「……」

369 : 以下、名... - 2018/11/11 21:19:00.29 y970MzfQo 291/542

魔王「――其方達の申し出はわかった」


水王火王「っ!」

風王「!」

風王「では――!」


魔王「が、決めるのは今ではない」

魔王「奴に――地の四天王に、選ばせようではないか」

魔王「……誰の元へ行くかをな」


水王火王風王「!」


魔王「……ふふっ、己の運命を選ばせてやると言うのだ」

魔王「これ程慈悲深い裁きはあるまい?」

371 : 以下、名... - 2018/11/11 21:32:58.74 y970MzfQo 292/542

水王「……成る程、さすがは魔王様」

水王(やりましたわ――っ! 私、とっても有利じゃないの!)


火王「……寛大なご処置を賜るとは、奴は幸せ者です」

火王(私も幸せです! 私達……幸せになります!)


風王「……それは、今から楽しみですね」

風王(彼は、僕を選んでくれる! ああっ、なんて待ち遠しいんだ!)


魔王「地の四天王が誰を選ぶのか……見物だな」

魔王(余を選ぶ事は、最早決まっているのだがな……うふふっ!)



魔王水王火王風王「――ふふふふふっ!」




おわり

379 : 以下、名... - 2018/11/12 20:23:41.50 bWcFzkNHo 293/542

書きます


地の四天王「光の勇者よ、いざ出陣の時!」

380 : 以下、名... - 2018/11/12 20:27:18.76 bWcFzkNHo 294/542

光の勇者(以下、勇者)「いや……お前、出陣とか言うなって……」

地の四天王(以下、地王)「ええい、なんだその腑抜けた顔は!」

勇者「いや、だからな……」

地王「気合を入れろ! 歯を食いしばれ!」


地王「祝福の聖女と、熱い口付けをしに行くのだろう!」

地王「この俺自ら、歯の磨き残しが無いかチェックしてくれるわ!」


勇者「余計な気を回してんじゃねえええええ!」

381 : 以下、名... - 2018/11/12 20:30:09.44 bWcFzkNHo 295/542

勇者「そもそも! なんでそう思うんだよ!?」

地王「ふん! わからぬと思ったか!」

勇者「だから、何でだっての!」

地王「知れたこと!」


地王「――今晩、大事な話があるんだ」

地王「……そう言われたと、祝福の聖女に相談されたからよ!」


勇者「筒抜けじゃねえか糞があああああ!」

382 : 以下、名... - 2018/11/12 20:34:27.21 bWcFzkNHo 296/542

地王「ふはは! 普段の俺は、大地の魔女だからな!」

勇者「ああ、そうだな! お姉ちゃんとか呼ばれてるもんな!」

地王「うむ! 色々アドバイスしておいたぞ!」

勇者「お前、本当余計な事ばっかしてくれるよな!」


地王「光の勇者よ、お前はもう逃げられぬ!」

地王「祝福の聖女の愛と――」

地王「――この俺の! お姉ちゃんパワーからはな!」ムキムキッ!


勇者「姉ぶるのは、せめて女の姿の時にしてくれ!」

383 : 以下、名... - 2018/11/12 20:38:58.01 bWcFzkNHo 297/542

勇者「そもそも! なんでその姿で居るんだよ!」

地王「何? わからんのか?」

勇者「……魔王が来てたんだな! ああ、そうだろうよ!」

地王「む? それは違うぞ、光の勇者よ」


地王「女の所へ行く男を見送るのに、女の姿では締まらんだろう」

地王「仲間として……男として、決戦に赴くお前を送り出すためだ」


勇者「……変な気遣いすんなよな」

384 : 以下、名... - 2018/11/12 20:43:48.41 bWcFzkNHo 298/542

地王「そもそも、何が不満なのだ」

勇者「あん?」

地王「宗教関連? 女神に見られている気がする?」

勇者「……」


地王「そんなもの、女神教を滅ぼしてしまえば良いだろう」

地王「女神には、まあ……なんだ」

地王「見せつけてやれば良いのだ! 余す所なくな!」


勇者「大雑把過ぎるアドバイスをありがとうよ!!」

385 : 以下、名... - 2018/11/12 20:48:16.51 bWcFzkNHo 299/542

地王「何か、他に気になることでもあるのか?」

勇者「……言いたくねえ」

地王「ふむ、ならば当ててやろう」

勇者「……」


地王「お前達――光の勇者、祝福の聖女、剣の乙女は三人」

地王「二人が付き合うと、残った一人が非常に気まずいから……だろう?」


勇者「……まあ、それはある」

386 : 以下、名... - 2018/11/12 20:51:40.80 bWcFzkNHo 300/542

地王「今は、俺が居るではないか」

勇者「お前は地の四天王で敵だけどな!」

地王「ええい! いい加減、腹をくくれ!」

勇者「お前には言われたくねえ台詞だよ!」


地王「祝福の聖女は、今日は薄化粧をしてくる!」

地王「照れていないで、褒めるのを忘れるなよ!」


勇者「お前……お前本当さあああああ!?」

387 : 以下、名... - 2018/11/12 20:57:35.23 bWcFzkNHo 301/542

勇者「なんでそこまで詳しいんだよ!?」

地王「無論! 俺が、聖女のお姉ちゃんだからだ!」

勇者「なんでそこまで親身になってんだよ!?」

地王「……ふっ」


地王「愛の女神の祝福とは……恐ろしいな」

地王「お姉ちゃん、と呼ばれるとな?」

地王「任せなさい! という気分になってしまうのだ」


勇者「祝福関係あんのかそれ!?」

388 : 以下、名... - 2018/11/12 21:03:20.44 bWcFzkNHo 302/542

  ・  ・  ・

闇の魔王(以下、魔王)「祝福の聖女よ、其方に力を授けよう」

祝福の聖女(以下、聖女)「!? な、何を言って……!?」

魔王「この宝石には、余の闇の魔力が込められている……」

聖女「闇の魔力が!? う、受け取れません!」


魔王「この宝石に、影よ、と念じるのだ」

魔王「さすれば……三時間は女神の目すら欺けるだろう」


聖女「さ、三時間!? それに……どんな意味が!?」

389 : 以下、名... - 2018/11/12 21:09:17.89 bWcFzkNHo 303/542

魔王「其方は、今宵……光の勇者と口付けを交わすのだろう?」

聖女「ふえっ!?/// ど、どうしてそれを!?///」

魔王「余の魔眼は、其方の考えなど全て見通している」

聖女「ま……まさか、心を!?」


魔王「普段は、男では気付かぬ……肌の色を整える程度」

魔王「だが、今日は――色付きのリップもしているのでな」


聖女「はいっ! 街で見かけた、唇がプルプルに見え――」

聖女「……心を読まれた方がマシな感じです!///」

390 : 以下、名... - 2018/11/12 21:15:22.68 bWcFzkNHo 304/542

聖女「だけど……どうして、そんな物を?」

魔王「……先日、余の発言が其方を不快にさせてしまったからな」

聖女「あ、あれは……魔王さんが悪いんじゃありません!」

魔王「ならば、ただの贈り物として受け取るが良い」


魔王「……次の機会には十四時間のものも用意しよう」

魔王「今後、必要になってくるだろうからな」


聖女「ですから、どうして女神様の目を欺く必要が!?」

391 : 以下、名... - 2018/11/12 21:20:19.32 bWcFzkNHo 305/542

聖女「私達は、女神様にやましい事はありません!」

魔王「……ふむ」

聖女「キスだって、その……神様の前で、誓いのキスもしますし!///」

魔王「……祝福の聖女よ」


魔王「其方は、甘いな」

魔王「光の勇者と言えども……奴は男なのだぞ?」


聖女「男だから何だって言う……」

聖女「……」

聖女「あっ」

392 : 以下、名... - 2018/11/12 21:32:07.83 bWcFzkNHo 306/542

聖女「いや……いやいやいや!/// えっ、ええっ!?///」

魔王「祝福の聖女よ、其方は……深い口付けを侮っている」

聖女「いやっ、でも!/// そんな……えー!?/// ええーっ!?///」

魔王「余とて、あれには抗う術を知らぬ」


魔王「闇の魔王の言葉が信じられぬか?」

魔王「ふふっ……どうする?」

魔王「――祝福の聖女よ」


聖女「……」

聖女「…………」


聖女「……わあっ、とっても素敵な宝石ですね!」

聖女「ありがとうございます、魔王さん!」

393 : 以下、名... - 2018/11/12 21:42:12.31 bWcFzkNHo 307/542

聖女「やましい事は……やましい事は、ありませんけど!」

魔王「見られながらと言うのも、な」

聖女「ほ、他に……何か、気をつける事ってありますか?」

魔王「……ふむ、そうだな」


魔王「祝福の聖女よ、流れに身を任せすぎるな」

魔王「――相手は、光の勇者」

魔王「――其方は、祝福の聖女」

魔王「今、愛の奇跡が起きては……困るであろう?」


聖女「きっ、気をつけます!」

聖女「その奇跡に関しては……二人で相談して……」

聖女「けっ、計画的に!/// 計画的にミラクルします!///」

394 : 以下、名... - 2018/11/12 21:53:18.72 bWcFzkNHo 308/542

  ・  ・  ・

地王「――ふはは! 思い通りに事が進んだわ!」

地王「光の勇者……そして、祝福の聖女!」

地王「――なんと、御しやすい!」

地王「今日のこの状況が――」


地王「この、地の四天王と!」

地王「闇の魔王様の狙い通りだとも知らずに!」

地王「……ふはははっ! ふっはははははっ!」


地王「……この旅が終わったら、なーんぞ認められるものか!」

地王「その時は、奴らか俺たちのどちらかが倒れているではないか!」


地王「光の勇者と、祝福の聖女に――幸あれ!」


地王「はっはっは! はぁっはははははっ!」

396 : 以下、名... - 2018/11/12 22:02:20.85 bWcFzkNHo 309/542

地王「……さて、今宵はもう何の予定も無い」

地王「魔王様も、城に戻り……静かに応援すると言っていたからな!」

地王「――むん!」


パァァ……ァァァ


大地の魔女(以下、地女)「――ならば、この大地の魔女は!」

地女「昼に買っておいた、菓子を食べるまでよ!」


地女「……いや、待つのだ」


地女「――今は、飲みに行くなという勇者が居ない」

地女「つまり……」


地女「……完全に自由だな?」

397 : 以下、名... - 2018/11/12 22:10:52.51 bWcFzkNHo 310/542

地女「……」

地女「――ぬうう! リーダー不在とは!」

地女「ええい! 光の勇者め、面倒をかけさせてくれる!」

地女「こうなったら、各々が判断し行動する他あるまい!」

地女「……ならば!」


地女「――いざ、酒場♪」

ぴょいんっ♪


ガチャッ!


火の四天王(以下、火王)「――大地の魔女よ」


地女「ぬおおおおっ!?」

398 : 以下、名... - 2018/11/12 22:15:44.48 bWcFzkNHo 311/542

火王「す……すまない、驚かせてしまったな」

地女「な、何なのだ!? 急に現れて……」

火王「それは……お前に、頼みがあって来た」

地女「頼み?」


火王「……理由は聞かず――」

火王「――私と、きっ、キスをして欲しい!」


地女「何故だ!?」


火王「いや、即座に聞き返さないでくれるか!?」

400 : 以下、名... - 2018/11/12 22:21:39.13 bWcFzkNHo 312/542

地女「しかしだな……突然現れて、キスをねだるなど……」

火王「いっ、言いたいことはわかっている!///」

地女「あまり……そのな? 良くないぞ? わかるか?」

火王「わかっていると言っているだろう!?///」


地女「……火の四天王よ」

地女「ストレスが溜まっているのなら、飲みに行くか?」

地女「奢るぞ? どうだ? 遠慮はするな?」


火王「優しさで畳み掛けて来ないでくれ、頼むから!///」

401 : 以下、名... - 2018/11/12 22:29:19.12 bWcFzkNHo 313/542

地女「悩みでもあるのか? ん?」

火王「そのっ! 飲んだあとの事が悩みだ!」

地女「飲んだ後?……あー……あーあーあー……」

火王「私は、未だに信じられん!」


火王「お前ときっ、キスしただけで翼が出たなど!」

火王「婚約者を差し置いて、体がお前を選んだなどと!」


地女「……まあ、なんだ」

地女「……体は正直だったと言うことで、一つ」

地女(何だ!? バレたのか!? バレているのか!?)

地女(キスして、俺が地の四天王だとバレるなど、あるのか!?)

402 : 以下、名... - 2018/11/12 22:33:45.78 bWcFzkNHo 314/542

火王「私の心は、奴のものだ!」

火王「私の精神は……肉体なんぞには負けない!」

火王「むしろ――心の力で!」

火王「この体を御し切ってみせる!」


地女「うむ! その心意気、天晴!」

地女「……それでは、もう行くな?」


火王「待て待て待て待て!」

火王「話を聞いていなかったのか!? 行くな!」

403 : 以下、名... - 2018/11/12 22:44:01.14 bWcFzkNHo 315/542

火王「行かせんぞ、大地の魔女!」

がしっ!

地女「ふん! そんな細腕で、止められると思ったか!」

火王「お前の方が腕は細いぞ!」

地女「ぬおお!? そうだったのだ!」


火王「暴れるな! 大人しくしろ!」

火王「チュッとするだけだ! それで済む!」


地女「それだけで済まぬかも知れんではないか!!」

404 : 以下、名... - 2018/11/12 22:48:53.82 bWcFzkNHo 316/542

火王「……ぬぐぐううっ!」

地女「……ふんぎぎぎっ!」


火王「……!」

火王(私に……私に力を貸してくれ!)

火王(お前への愛が、本物であると証明させてくれ!)


火王「――出るな、龍の翼よ!」

チュッ!

地女「んむっ!?」


火王「!」

―バッサァッ!

405 : 以下、名... - 2018/11/12 22:52:19.19 bWcFzkNHo 317/542

火王「……」バサバサッ!

地女「で、出たな! もう離せ! なっ!」

火王「……」タシンッ! タシンッ!

地女「し、尻尾も出ているな! なっ!」


地女「――火の四天王よ!」

地女「もう、大地の魔女に用は無いな!?」


火王「……ああ、無い」

火王「私が、話があるのは――」


火王「――地の四天王だ」


…タシンッ!



おわり

408 : 以下、名... - 2018/11/13 10:46:04.60 2zdbHm1Go 318/542

書きます


地の四天王「光の勇者よ、やり遂げたようだな!」

409 : 以下、名... - 2018/11/13 10:50:47.19 2zdbHm1Go 319/542

地の四天王(以下、地王)「良い面構えになっているぞ!」

光の勇者(以下、勇者)「その……変に察するのやめろって」

地王「いやぁ、めでたいめでたい!」

勇者「……なんか、妙に嬉しそうじゃねえか」


地王「いやな? お前がブチュッとしてる間に、火の四天王が来てな?」

地王「正体がバレたと思いきや、バレずに済んでいたのだ!」


勇者「命が助かったんなら、そりゃ喜ぶよな!」

410 : 以下、名... - 2018/11/13 10:56:05.77 2zdbHm1Go 320/542

地王「さすがの俺といえど、あの時は肝を冷やしたぞ!」

勇者「火の四天王に冷やされるなんて、皮肉っぽいな」

地王「奴め、唐突にあらわれてキスを迫ってきてだな……」

勇者「はぁ!? なんだ、火の四天王は女のお前に――」


地王「うむ! 大地の魔女に惚れているようなのだ!」

地王「チュッとしただけで翼と、さらに尻尾まで出てだな?」


地王「――地の四天王が戻ったら、婚約の解消を申し出る」


地王「……と、笑いながら言っていたぞ!」


勇者「それは……お前としては助かった、のか?」

411 : 以下、名... - 2018/11/13 11:03:34.70 2zdbHm1Go 321/542

地王「うむ! 当初の計画通りだな、光の勇者よ!」

勇者「火の四天王と婚約を解消して、時間稼ぎ……ってあれか」

地王「そうだ! ふはは、光の加護の効果は凄いな!」

勇者「敵のお前を守ってる形なのが癪だよ!」


地王「しかし……あの様な危機が訪れるとは」

地王「まるで、三時間程……光の加護が消失したようだった」

地王「光の勇者よ、今後はこのような事の無いように頼むぞ」


勇者「痴情のもつれで光の加護を頼るんじゃねえええええ!!」

412 : 以下、名... - 2018/11/13 11:09:36.95 2zdbHm1Go 322/542

地王「火の四天王に関しては、これでもう安心だな!」

勇者「婚約を解消したから、戻っても大丈夫だと?」

地王「うむ! いやー、助かった助かった!」

勇者「……」


地王「まさか、あちらから婚約を解消してくれるとは!」

地王「この俺の未来は、光で溢れているな!」

地王「はっはっはっはっは!」


勇者「……」

413 : 以下、名... - 2018/11/13 11:14:19.10 2zdbHm1Go 323/542

勇者「おい」

地王「む? 何だ?」

勇者「良いのか?」

地王「光の勇者よ、何を言っている」


地王「俺は――酔って、他の女達とヤっちゃってるのだぞ?」

地王「火の四天王も、そんな男が婚約者では……な?」


勇者「いや……そりゃまあ、本当にそうだけどよ」

414 : 以下、名... - 2018/11/13 11:21:44.88 2zdbHm1Go 324/542

地王「火の四天王は、大地の魔女に想いを寄せた」

地王「つまり、奴にとって――」


地王「――この、地の四天王は用済みなのだ!」


地王「あとは、大地の魔女の姿でな?」

地王「こう……良い感じに、新しい相手を探すのだ、と」

地王「その様な事を言って、スッと消え去れば完璧だ!」


勇者「……」

415 : 以下、名... - 2018/11/13 11:27:52.87 2zdbHm1Go 325/542

地王「水の四天王は、まあ、このまま放置で良いだろう」

勇者「……そうなのか?」

地王「うむ! 奴とは、しばらく会っていないのでな!」

勇者「……だから何だよ?」


地王「遠距離で、会えない期間が長ければ――」

地王「――なんとなく! 自然消滅するだろう!」


勇者「ああ……まあ、そうかも知れないな」

416 : 以下、名... - 2018/11/13 11:34:50.48 2zdbHm1Go 326/542

地王「闇の魔王様は……素面でヤっちゃっているのが、なぁ」

勇者「……」

地王「風の四天王も……何を考えているか、良くわからんからな!」

勇者「……」


勇者「――地の四天王、もう一度だけ聞く」

勇者「火の四天王に関して……本当に、これで良いんだな?」


地王「……うむ、これで良いのだ」


地王「俺の命が助かりつつ、火の四天王も前へ進める」


地王「……ふはは! これ以上の結末はあるまい!」

417 : 以下、名... - 2018/11/13 11:48:31.53 2zdbHm1Go 327/542

勇者「……お前がそう言うんなら、良いさ」

地王「うむ!」

勇者「まぁ……たまには、二人でメシでも行くか」

地王「ほう!」


地王「それは――」

パァァ……ァァァ

大地の魔女「――大丈夫か? 浮気と誤解されんか?」


勇者「まあ、街に繰り出すならその姿になるよな!」

勇者「っつーか、お前に浮気の心配なんかされたくねえよ!!」

418 : 以下、名... - 2018/11/13 11:52:27.66 2zdbHm1Go 328/542

  ・  ・  ・

火の四天王(以下、火王)「……ふぅ」

火王「……」

火王「もう……眠るか」

火王「……」


…ぼふっ!


火王「……」

火王(……起きていると、考えてしまうから)


火王(大地の魔女――地の四天王の事を)


火王「……」

419 : 以下、名... - 2018/11/13 11:59:01.87 2zdbHm1Go 329/542

火王「……奴め、私が気付いた事に……気付かないとは」


火王(私に正体を明かさなかった)

火王(それは……理由あっての事)

火王(その理由とは、恐らく……)


火王「剣の乙女は……美しいからな」


火王(この、醜い顔の私とは違う)

火王(男ならば、美しい者を選ぶのは当然の事だろう)

火王(それに……剣の乙女は、精神的にも素晴らしい奴だ)


火王「……っふ……うっ……!」

420 : 以下、名... - 2018/11/13 12:09:44.60 2zdbHm1Go 330/542

火王「うぅ……えっ……!」


火王(剣の乙女は、気付いているのだろうか?)

火王(大地の魔女の正体が、地の四天王という事に)

火王(……いや、私には関係無いか)

火王(もう、婚約者では無くなるのだから)


火王「っ、ふぅっう! ぐすっ! うっ、ううっ、えぇぇっ……!」


火王(奴らが、何処で何をしようと私には関係無い)

火王(むしろ……私は、邪魔者なんだ)

火王(あの二人の――地の四天王の、邪魔者)

火王(そう思われて居るなら……)


火王「……もう……会えないよぉっ……!」

421 : 以下、名... - 2018/11/13 12:18:20.66 2zdbHm1Go 331/542

  ・  ・  ・

剣の乙女(以下、乙女)「――出てきなさい、火の四天王」

火王「……よく気付いたな」

乙女「ええ、当然でしょう」

火王「……」


乙女「もう、この私――剣の乙女に迷いは無いもの」

乙女「今なら、斬れない物は無いんじゃないかしら?」


火王「……ふふっ、頼もしいな」

422 : 以下、名... - 2018/11/13 12:23:31.57 2zdbHm1Go 332/542

乙女「以前の私だったら、気付かなかったでしょうね」

火王「……」

乙女「……って、何かあったの!? その顔……」

火王「……」


火王「剣の乙女よ、最後に一つだけ聞かせて欲しい」

火王「関係無いと思いはしたが……」


火王「――私は、お前を友だと思っているから」


乙女「火の四天王……?」

423 : 以下、名... - 2018/11/13 12:28:00.20 2zdbHm1Go 333/542

乙女「最後って……何よ、それ?」

火王「剣の乙女」

乙女「……何、聞きたいことって」

火王「……」


火王「……剣の乙女よ」

火王「お前は、大地の魔女のあの姿が――」


乙女「――知ってるわ」

乙女「けれど、姿形なんて……些細な問題でしょう?」


火王「……やはり、知っていたのか」

424 : 以下、名... - 2018/11/13 12:35:07.84 2zdbHm1Go 334/542

乙女「聞きたいことって、それだけ?」

火王「ああ、それだけだ」

乙女「ねえ……貴女、様子が変よ?」

火王「……」


火王「……剣の乙女」

火王「奴と……幸せにな」


乙女「……火の四天王」

乙女「そんなの、言われるまでも無いわ」

425 : 以下、名... - 2018/11/13 12:46:54.44 2zdbHm1Go 335/542

  ・  ・  ・

水の四天王(以下、水王)「祝福の聖女よ、光の勇者とは?」

祝福の聖女(以下、聖女)「えっ……えー?/// それはぁ……///」

水王「もーう! 勿体ぶらないで、教えてくださいな!」

聖女「えっと……えっとですね……///」


聖女「チュッとされてぇ……/// しっ、しっ、しし舌が……///」

聖女「それでそれで……/// あぅあ、思い出すと……///」…ツーッ

聖女「――びばばべばびぼびべびば!///」タパパッ!


水王「聖女、鼻血!! 物凄く鼻血が吹き出してますわ!!」

426 : 以下、名... - 2018/11/13 12:52:46.93 2zdbHm1Go 336/542

水王「あああ服が! それに、顔が血だらけで!」

聖女「ぶうばばま゙……ぼべぼびょうべぶべびべ///」タパパッ!

水王「何を言っているか、全くわかりませんわ!」

聖女「あぶぁ?」タパパッ!


聖女「……」タパパパ…

聖女「」

…ドサッ!


水王「しゅ……祝福の聖女――っ!?」

427 : 以下、名... - 2018/11/13 12:58:33.18 2zdbHm1Go 337/542

  ・  ・  ・

聖女「……す、すみません……ご迷惑をおかけしました」

水王「もう! 興奮して鼻血を出すだなんて、ウブすぎますわ!」

聖女「その……後から冷静になって思い出すと……ですね///」…ツーッ

水王「!? 水よ!」


水王「――そんな事では、先が思いやられますわ!」

水王「この先、もっと凄いことをするんですから!」


聖女「は……はの……」

聖女「みふへ、はなへんは……」


水王「水で鼻栓をしないと、また倒れてしまうでしょうに!」

428 : 以下、名... - 2018/11/13 13:02:49.75 2zdbHm1Go 338/542

水王「結婚までに、何とかしないといけませんわね……」

聖女「……あい」

水王「けれど、私……しばらく来られそうにありませんの」

聖女「ほうはんへふは?」


水王「火の四天王が――」


聖女「?」


水王「――婚約を発表したんですのよ」


聖女「え――っ!?」

スポンッ!

429 : 以下、名... - 2018/11/13 13:09:15.40 2zdbHm1Go 339/542

聖女「それ、本当なんですか!?」

水王「以前より、結婚を申し込まれていた――」


水王「――赤龍王と」


水王「まあ……所謂、政略結婚ですわね」

水王「けれど、これで火の領地は一枚岩になりますわ」

水王「その、正式な発表の場に招待されましたの」


聖女「へええ……でも、結婚ですか!」

聖女「それは、とても素晴らしいことですね!」

430 : 以下、名... - 2018/11/13 13:17:45.64 2zdbHm1Go 340/542

水王「どうなんでしょうね?」

水王「噂によれば、火の四天王の魔力が急激に弱まり……」

水王「……その話を受けざるを得なかった、という事ですけれど」


聖女「えっ、どうしてですか?」


水王「龍族は、力を至上としていますもの」

水王「そのトップが弱いとなれば、抑えがきかなくなってしまうの」

水王「本当、野蛮で困りますわね!」

水王「私の水で、全て飲み込んでしまいたくなりますわ!」


聖女「あ……あはははは……」

431 : 以下、名... - 2018/11/13 13:22:37.95 2zdbHm1Go 341/542

水王「けれど……結婚、良いですわよねぇ」

聖女「はい……羨ましいです」

水王「ああっ! 地の四天王が戻ってくるのが、待ち遠しいですわ!」

聖女「…………そう、ですね」


水王「……祝福の聖女よ」

水王「式には、来てくださいましね!」ニコッ!


聖女「……」

聖女「は……はい……」


聖女(一体……なんの式になるんでしょうか……)



おわり

435 : 以下、名... - 2018/11/13 19:34:13.82 2zdbHm1Go 342/542

書きます


祝福の聖女「火の四天王が、婚約発表するそうです」

436 : 以下、名... - 2018/11/13 19:39:25.50 2zdbHm1Go 343/542

剣の乙女(以下、乙女)「えっ? それは本当なの?」

祝福の聖女(以下、聖女)「はい、確かな情報です」

乙女「成る程……だから……」

聖女「あ、あの……大丈夫ですか?」


大地の魔女(以下、地女)「なんっ、ななななんっ、何がだ!?」

地女「これは……ちょっと床板の触り心地を確かめてな! うむ!」


光の勇者(以下、勇者)「……触り心地はどうだよ?」

437 : 以下、名... - 2018/11/13 19:42:51.86 2zdbHm1Go 344/542

乙女「火の四天王の婚約者というのが、誰か知ってる?」

聖女「赤龍王……という方みたいです」

乙女「ふぅん? 聞いたこと無いわね」

聖女「あ、あの……大丈夫ですか?」


地女「うむ!! うむ!! 大丈夫だ!!」

地女「いやぁ! この床板は触り心地が最高だな!」


勇者「……そいつは良かったな」

438 : 以下、名... - 2018/11/13 19:46:50.91 2zdbHm1Go 345/542

  ・  ・  ・

地女「――焦った! 本当に肝が潰れるかと思ったぞ!」

勇者「二人は不審がってたけどな」

地女「だが! これで完璧に、火の四天王に関しては解決だ!」

勇者「……」


地女「いやぁ、大地の魔女の姿の――俺に惚れてると思いきや!」

地女「赤龍王と婚約発表など、想像以上に良い結果だぞ!」


勇者「……」

439 : 以下、名... - 2018/11/13 19:49:27.07 2zdbHm1Go 346/542

勇者「どうして、火の四天王の魔力は急激に弱まったんだろうな」

地女「恐らく……マリッジブルーというやつだな」

勇者「そうか?」

地女「うむ!」


地女「火の四天王の魔力の源は――喜びの感情」

地女「結婚を前に、不安になっているだけだろう」


勇者「……」

440 : 以下、名... - 2018/11/13 19:52:47.19 2zdbHm1Go 347/542

勇者「赤龍王ってのは、どんな奴なんだ?」

地女「出来た男だぞ! 顔も、性格も良い素晴らしい奴だ!」

勇者「そうなのか?」

地女「うむ!」


地女「火の領地は、火の四天王の父――火龍王」

地女「そして、赤龍王の大きな二つの勢力が存在していた!」

地女「その二つが一つになれば――繁栄は約束されたようなものだ!」


勇者「……そうか」

441 : 以下、名... - 2018/11/13 19:58:38.08 2zdbHm1Go 348/542

勇者「お前は、それに関してどう思う?」

地女「予想以上に、最高の結果だ!」

勇者「どうしてだ?」

地女「うむ!」


地女「まあ、火の四天王もな?」

地女「俺の様な男よりも、赤龍王と一緒になった方が幸せだと思うのだ」

地女「さらに、領地は栄える!」

地女「――これを最高と言わずして、何と言う!」


勇者「――‘らしく’無い事言ってんじゃねえええええ!!」


地女「ゆ……勇者?」

442 : 以下、名... - 2018/11/13 20:04:12.94 2zdbHm1Go 349/542

地女「ど、どうしたのだ? 男の子の日か?」

勇者「なんだそれ!? そんなもんねえよ!」

地女「ええい! ならば、一体何だと言うのだ!」

勇者「わかんねえなら言ってやるよ!」


勇者「俺の知っている、地の四天王は!」

勇者「自分の都合で女を振り回す、どうしようも無いクズだ!」

勇者「それが、何だ!? 何だ、今のお前は!」

勇者「今のお前は、最高に気持ち悪いんだよ!」


地女「ぬうう……! どう反応して良いかわからん……!」

443 : 以下、名... - 2018/11/13 20:11:18.07 2zdbHm1Go 350/542

地女「……しかしなぁ、今更どうも出来んぞ?」

勇者「糞が! 俺だって、こんな事言いたくねえんだよ!」

地女「では、この話は終わりということで……」

勇者「終わるな!」


勇者「――大地の魔女!」

勇者「お前の言葉が本当なら――」


勇者「――火の四天王と、赤龍王の結婚は認められない!」


勇者「俺達パーティーにとって、大きな障害になる可能性がある!」


地女「……光の勇者?」

444 : 以下、名... - 2018/11/13 20:17:30.39 2zdbHm1Go 351/542

地女「お前……何を言っているのだ?」

勇者「一枚岩になった火の領地は勢いを増す……そうだな?」

地女「うむ……まあ、そうだろうな」

勇者「だったら、決まってるだろうが!」


勇者「光の勇者は!」

勇者「魔王軍の勢力の一つが、勢いを増すのを止める!」

勇者「婚約発表だぁ? させるかよ、そんなもん!」


地女「光の勇者よ、正気か!?」

地女「お前それは……人として、かなり最低だぞ!?」

446 : 以下、名... - 2018/11/13 20:25:30.65 2zdbHm1Go 352/542

勇者「俺が、どうして気を遣わなきゃならねえんだ!」

地女「気遣いを覚える事が、大人への第一歩なのだ」

勇者「そういうこっちゃねえんだよ!」

地女「むう……?」


勇者「お前は……地の四天王はクズだ!」

勇者「そのくせ、変におせっかいを焼いてきやがって……!」

勇者「それで、大地の魔女はパーティーメンバーで……!」

勇者「ああもう! 俺にも、よくわかんねえんだよ!」

勇者「――わかれ!!」


地女「……」

447 : 以下、名... - 2018/11/13 20:35:02.14 2zdbHm1Go 353/542

地女「……光の勇者よ、相わかった」

勇者「……」


地女「お前は、俺を心配してくれているのだな」

地女「婚約者――火の四天王が、俺から離れていく」

地女「その事を聞き、俺の様子が普段とは違ったので、だ」

地女「うむ……確かに、少し前から‘らしく’無かったかも知れんな」

地女「そんな俺を――敵である俺を気遣ってくれた」

地女「敵ではあるが、旅の仲間として過ごしてきたのだ……」

地女「だが……それを素直に言うのは、気恥ずかしかったのだろう?」


勇者「……そこまでわかれとは言ってねえんだよおおおお!!」

451 : 以下、名... - 2018/11/13 20:42:54.34 2zdbHm1Go 354/542

勇者「何なんだよ! お前、本当さぁ!?」

地女「だがなぁ……それでもなぁ……」

勇者「……何だよ」

地女「うむ」


地女「せっかく、良い感じに出来たのにだな?」

地女「婚約発表を止めに行くとなると……な?」

地女「それに、光の加護があってもバレるかも知れん」

地女「そうなっては……俺の命が危ない!」


勇者「……」

452 : 以下、名... - 2018/11/13 20:47:37.55 2zdbHm1Go 355/542

勇者「……成る程、わかった」

地女「おお、わかってくれたか!」

勇者「お前は、今の時点から――」


勇者「俺の、パーティーメンバーじゃねえ」


地女「? 光の勇者よ、何を言って――」

地女「――っ!?」

地女「ぬうう! この身を包んでいた、聖なる力を感じぬ!?」


勇者「えっ……いや、マジで?」

勇者「光の加護って、こんなんでオフになるのか!?」

454 : 以下、名... - 2018/11/13 20:54:33.55 2zdbHm1Go 356/542

地女「光の勇者よ、助けてくれ!」

地女「光の加護が無いと、色々とバレてしまう!」

勇者「だったら、条件がある」

勇者「火の四天王に関して、お前の本音を聞かせろ」


地女「火の四天王は可愛い!」

地女「魔族の生は長いので、結婚なんぞ御免だが!」

地女「他にバレずにヤれるなら、ヤっちゃいたい所だ!」

地女「他の男にくれてやるなんぞ、勿体無い感が凄い!」

地女「――ほれ、パーティーに入れてくれ!」


勇者「予想以上にクズで入れたくねえええええ!!」

456 : 以下、名... - 2018/11/13 21:01:41.49 2zdbHm1Go 357/542

地女「早く! 早く入れてくれ! 早ーく!」

勇者「……駄目だ!」

地女「ひっ、ひどいではないか!? 騙したのか!?」

勇者「……入れて欲しきゃ、さっさと行ってこい!」


勇者「クズは、クズらしく!」

勇者「火の四天王の婚約発表をぶっ潰して来い!」


地女「ぬうう……ぜ、絶対だぞ!?」

地女「戻ったら、絶対入れてくれ!」


勇者「……ははは!」

勇者「光の加護が欲しいなら、急ぐんだな!」


勇者「……ま、たまには俺が振り回すのも悪くねえだろ?」

457 : 以下、名... - 2018/11/13 21:07:28.19 2zdbHm1Go 358/542

  ・  ・  ・

乙女「――逃げるなクズがあああああっ!」

聖女「――勇者様? どうして逃げるんですか?」


勇者「誤解だああああっ!!」


乙女「おっ、おおっ、お姉様に!」

乙女「入れてくれと……おっお、おねだりさせるるるるううるうるううう!?」

聖女「勇者様のあの時の誓いは嘘だったんですか?」

聖女「ねえ、答えてください……答えて、答エテ、こタエテ、コタエテ……?」


勇者「怖い怖い怖い怖い!!」

458 : 以下、名... - 2018/11/13 21:17:49.13 2zdbHm1Go 359/542

  ・  ・  ・

地女「……ふっ、光の勇者め」

地女「婚約発表の場を壊しに行けなど……」

地女「はっはっは! 勇者らしからぬ言葉よな!」

地女「……」


地女「やはり、俺が見込んだ通り……天晴な奴だ」

地女「まさか、この俺に使いっ走りをさせるとはな!」


――キランッ!


地女「流れ星……か」


地女「……光の勇者よ」

地女「お前の出した条件――見事果たして見せよう!」



おわり

460 : 以下、名... - 2018/11/13 21:56:45.74 2zdbHm1Go 360/542

書きます


火の四天王「……婚約発表は、三日後か」

461 : 以下、名... - 2018/11/13 22:00:08.81 2zdbHm1Go 361/542

火の四天王(以下、火王)「こんなにも……簡単だとは」

火王「私と奴の婚約は……ずっと、秘密だったと言うのに」

火王「……」

火王「……うっ……ふぅっ……うぅっ……!」ポロポロッ…


地の四天王(以下、地王)「火の四天王よ」

地王「何を泣いているのだ?」


火王「……」

火王「はいっ!?」

462 : 以下、名... - 2018/11/13 22:03:18.63 2zdbHm1Go 362/542

火王「ど、どうやって……私の部屋まで!?」

地王「石造りの建物など、俺の前では何も無いに等しい」

火王「ど、どうして……此処に来た!?」

地王「うむ!」


地王「まあ、大きな声では言いにくいんだがな?」

地王「ちょっと夜這いに来た」


火王「本当に大きな声では言えない理由だな!?」

463 : 以下、名... - 2018/11/13 22:07:12.88 2zdbHm1Go 363/542

地王「俺だって、色々と考えたのだぞ?」

火王「なっ、何を考えたと言うんだ!」

地王「お前の、婚約発表の場を潰す方法だ」

火王「……えっ?」


地王「正式に発表されるパーティーに颯爽と登場、とも考えた!」

地王「だが、水の四天王と風の四天王が前入りしていたのだ!」

地王「いくら俺でも、その状況では無理だ!」


火王「待て! 待て待て待て待て!」

464 : 以下、名... - 2018/11/13 22:10:20.76 2zdbHm1Go 364/542

火王「お前は、何を言ってるかわかっているのか!?」

地王「当たり前だろう」

火王「私は、婚約発表を三日後に控えているんだぞ!?」

地王「それならば、延期になるぞ」


地王「ちょっと赤龍王をボコボコにしてな」

地王「あれは恐らく、二ヶ月は静養が必要だろう」


火王「お前は何をやってるんだ!?」

465 : 以下、名... - 2018/11/13 22:17:28.67 2zdbHm1Go 365/542

地王「いや、最初は話し合いに行ったのだ!」

火王「何を話すことがある!?」

地王「無論、婚約発表を取りやめる事だ!」

火王「断られて、赤龍王を闇討ちしたのか!?」


地王「いやぁ……」


地王「――火の四天王は、顔こそ美しいとは言えない」

地王「――だが……」


地王「……まで聞いて、カッとなって手が出てしまったのだ」

地王「俺の魔力の源は怒りなので、奴が生き残れたのは奇跡だった」


火王「お前は……お前は、本当に何をしている!?」

468 : 以下、名... - 2018/11/13 22:26:49.44 2zdbHm1Go 366/542

地王「美しくない、なんて……なあ? 腹が立つではないか」

火王「だが! だが、と……内面を褒めようとしていただろう!」

地王「お前は、可愛い! 自信を持つのだ!」

火王「……うるさい!」


火王「お前は……私を捨てて、剣の乙女を選んだだろう!?」

火王「そんなお前が、どうして今更私の前に現れる!?」


地王「何を言う! 酔って、朝起きたらベッドに居ただけだ!」


火王「そんな訳があ――……」

火王「……」

火王「うん」

469 : 以下、名... - 2018/11/13 22:30:14.15 2zdbHm1Go 367/542

地王「それでな? お姉様と呼ばれていてな?」

火王「……ああ、呼んでいたな」

地王「そんなのは、なあ? 男と言い出しにくいだろう」

火王「……まあ……確かにそうだな」


地王「覚えてはいないが、ヤっちゃった時は女の姿だった」

地王「女同士ならセーフ! という事にならんか?」


火王「……な、何とも言えん!」

471 : 以下、名... - 2018/11/13 22:39:07.35 2zdbHm1Go 368/542

地王「まあ、とりあえず婚約発表の場は潰させて貰った」

火王「……そうみたいだな」

地王「うむ!」

火王「……剣の乙女は、どうする気だ?」


地王「……まあ、なんだ」

地王「火の四天王よ、お前に任せたい」

地王「ただならぬ関係ではあるわけだからな!」


火王「えっ!? わ、私が何とかしないといけないのか!?」

472 : 以下、名... - 2018/11/13 22:48:22.71 2zdbHm1Go 369/542

地王「……まあ、他の事は後で考えるとしよう!」

火王「いや、待て!」

地王「待たぬ!」

火王「おい! 勝手にベッドに寝転がるな!」


地王「それは違うぞ、火の四天王よ!」

地王「俺は、ひっくり返っているのだ!」

地王「それが、お前の可愛さを引き出すと知っているからな!」


火王「……お前……覚えていたのか?」

火王「あの……初めて会った時の事を……」

474 : 以下、名... - 2018/11/13 22:55:01.55 2zdbHm1Go 370/542

地王「? 何を言っている、当たり前だろう」

火王「……」

地王「あの後、火龍王に半殺しにされたのも良い思い出だ!」

火王「……」


地王「それに、翼と尻尾が出たらな? やりにくいと思うのだ」

地王「後ろからだと、可愛い顔が見えなくなってしまうだろう?」

地王「つまり――尻に敷かれに来たのだ!」


火王「そ……それって……」

475 : 以下、名... - 2018/11/13 23:02:18.62 2zdbHm1Go 371/542

火王「本当に……良いのか……?」

地王「この、鍛え抜かれた肉体を……ぬう、袖が引っかかって……!」

火王「あ……うん、脱ぐの手伝うぞ」

地王「おおっ、すまぬな!」


地王「――この、鍛え抜かれた肉体を見るが良い!」

地王「例え、相手が何者であろうとも!」

地王「最後まで――支えきってみせるわ!」


火王「……!」

―バサァッ! タシンッ!


地王「むしろな? 下から突き上げて――」


火王「――嬉しいっ……!」

477 : 以下、名... - 2018/11/13 23:11:09.45 2zdbHm1Go 372/542

  ・  ・  ・

大地の魔女(以下、地女)「……と、言うわけだ!」

光の勇者(以下、勇者)「お前、それ……」

地女「光の勇者よ、お前の出した条件は達成したぞ!」

勇者「いや、だが……」


勇者「お前……プロポーズした事になってないか?」


地女「なっていないだろう?」

地女「上に乗って、存分に腰を振れという意味でしかないぞ?」


勇者「そうか……いや、そうか!?」

478 : 以下、名... - 2018/11/13 23:16:29.92 2zdbHm1Go 373/542

地女「とりあえず、ほれ! パーティーに入れてくれ!」

勇者「あ、ああ……お前はパーティーメンバーだ」

地女「……おおっ! 聖なる力で覆われていく!」

勇者「とりあえず……後で、二人の誤解を解いてくれ」


地女「全く……お前は、いつも誤解されているな」

地女「もう少し、言動には慎重になった方がいいぞ?」


勇者「あのな!? 全部お前が原因だからな!?」

479 : 以下、名... - 2018/11/13 23:26:44.50 2zdbHm1Go 374/542

勇者「って言うか……お前、やっぱり強いんだな」

地女「赤龍王には……まあ、菓子折りでも贈っておこう」

勇者「それで良いのか!?」

地女「安心するのだ、正体はバレていないぞ!」


地女「ボコった時は、この美少女の姿だったからな!」

地女「だが、ボコった後……」

地女「――貴女のお名前は……?」

地女「と、妙に熱っぽい視線を送ってきていてな?」

地女「あれは……一体何だったのだろうか……?」


勇者「お前はどうしてそう……そう、ぬああああ!?」

481 : 以下、名... - 2018/11/13 23:31:42.01 2zdbHm1Go 375/542

勇者「火の四天王は……どうしたんだ?」

地女「とても、幸せそうな寝顔をしていてな……」

勇者「……それで?」

地女「……うむ」


地女「長居して、水の四天王と風の四天王にバレるとも限らんしな」

地女「起こさないよう、コッソリ抜け出して戻ってきた」

地女「こう……ちゃんと、肩まで布団をかけてだぞ」


勇者「それ大丈夫なのか!?」

勇者「っつーか、最後のくだり要るか!?」

483 : 以下、名... - 2018/11/13 23:37:25.53 2zdbHm1Go 376/542

地女「光の勇者よ、案ずるな!」

勇者「いや、だってお前!」

地女「ええい、俺を信じろ!」

勇者「お前の、どこを!?」


地女「火の四天王は、今回の事は誰にも言わん」

地女「火龍王の娘にして、誇り高き武人が、だ」

地女「夜這いされてお楽しんじゃいました……」

地女「……などと、言える筈が無いだろう?」


勇者「……本当クズだな、お前はよぉ!?」

484 : 以下、名... - 2018/11/13 23:43:37.59 2zdbHm1Go 377/542

地女「だが、祝福の聖女と剣の乙女の誤解を解けるのは?」

勇者「ああ、そうだな! お前だけだよクソッタレ!」

地女「ふっ……パーティーには、役割というものがあるからな!」

勇者「お前のせいで生まれた役割だよ!」


地女「ふむ……つまり――」

地女「――母なる大地、という事だな?」


勇者「お前、本当に言葉を考えてくれない!?」

勇者「それは今後使うなよ!? 絶対、誤解を招く!」

485 : 以下、名... - 2018/11/13 23:59:41.66 2zdbHm1Go 378/542

地女「誤解など、恐るるに足らんぞ」

勇者「少しは恐れてくれ、頼むから!」

地女「……光の勇者」

勇者「……何だよ」


地女「誤解があってもな?」

地女「こう、割と何とかなったりするものなのだ!」


勇者「だけど……どんどん、状況が悪くなって無いか?」


地女「なぁに、何とかなる!」

地女「光の勇者よ、明日を信じられぬ者に未来は無いぞ!」


勇者「四天王らしくないなぐさめすんじゃねえよ!!」



おわり

490 : 以下、名... - 2018/11/14 20:56:27.23 dDW5kg4Eo 379/542

書きます


大地の魔女「光の勇者よ、傍を離れるな!」

491 : 以下、名... - 2018/11/14 21:01:34.82 dDW5kg4Eo 380/542

光の勇者(以下、勇者)「くそっ、離しやがれ!」

大地の魔女(以下、地女)「ええい、離すものか!」

勇者「離せっつってんのがわかんねえのか!」

地女「離れるなと言っているのがわからんのか!」


風の四天王(以下、風王)「……僕は、二人まとめででも構わないよ」

風王「さあ、始めようか……!」


地女「! 来るぞ、勇者!」

地女「……――説教だ!」

勇者「だから、なんで俺を巻き込むんだよおおおおお!?」

492 : 以下、名... - 2018/11/14 21:05:36.76 dDW5kg4Eo 381/542

風王「僕が、どうして怒っているかわかるかい?」


地女「光の勇者よ、油断するな!」

地女「あれが、奴のいつもの手なのだ!」


勇者「お前、そんなに風の四天王に説教されてんのか!?」


地女「うむ! 領地が隣だからな!」

地女「……ああやって、ポロッと自白するのを誘っているのだ!」

地女「あの手に、何度してやられた事か!」


勇者「そりゃあ、心当たりが多ければしてやられるだろうよ!」


風王「……」

493 : 以下、名... - 2018/11/14 21:10:17.05 dDW5kg4Eo 382/542

風王「それじゃあ、単刀直入に聞くよ」

風王「火の四天王の婚約発表の場をぶち壊したのは――」


地女「光の勇者が指示した事だ!」

勇者「オイコラてめえええええ!?」

地女「俺は、最初は反対していたのだ!」

勇者「いや、そりゃしてたけど……!」

地女「ぬうう、光の勇者め! 人の幸せを妬むなど!」

勇者「違うからな!? いや、そうだけど……違うぞ!?」


風王「……」

494 : 以下、名... - 2018/11/14 21:14:30.46 dDW5kg4Eo 383/542

風王「方法は、勇者が決めたのかい?」


勇者「違う! コイツが決めた!」

地女「かぁっ! 一回、パス!」

勇者「……なんだよ、それ?」

地女「パスした事により、方法を決めたのはお前になったのだ」

勇者「ふっざけんなよ!? 一回って事は――」

地女「察しが良いな! 俺は、あと二回パスを残している!」

勇者「コイツだ! コイツが決めた!」


風王「……」

495 : 以下、名... - 2018/11/14 21:18:56.45 dDW5kg4Eo 384/542

風王「……じゃあ、方法を決めたのも勇者で良いさ」


勇者「はあっ!? おい、なんだよそれ!」

地女「むっ!? 裁定に文句をつけるつもりか!?」

勇者「ったりめえだろ!? 俺じゃねえからな!」

地女「ええい! 光の勇者よ、見苦しいぞ!」

勇者「風の四天王! 裁きは公平に行え!」

地女「風の四天王! 人生は平等では無い!」


風王「……」

風王「…………そろそろ、良いかな?」


地女勇者「……はい」

496 : 以下、名... - 2018/11/14 21:24:35.00 dDW5kg4Eo 385/542

風王「君達、バレないとでも思ったのかい?」

風王「僕が――風の四天王が、見逃すとでも?」


勇者「いや、だけど……」

地女「その……なあ?」


風王「事が公にならず、今も呑気にしてられるのは……」

風王「……一体、どこの四天王のおかげだい?」


地女「……」スッ…

勇者「っふ!……っくく、おい……手ぇ上げるなよ……!」


風王「この僕が! 風の四天王が、隠蔽工作をしたからだよ!」

497 : 以下、名... - 2018/11/14 21:29:35.53 dDW5kg4Eo 386/542

風王「方法は、他にいくらでもあっただろう!?」

風王「どうして、赤龍王を襲ったりしたんだ!」


地女「その、な?……つい、カッとなって」


風王「そもそも! 上手くいっていた筈だろう!」

風王「放っておけば、火の四天王は君から離れた!」

風王「――光の勇者、どうして彼を煽ったんだ!?」


勇者「いや、なんか……つい、と言うか」


風王「つい、じゃないんだよ! つい、じゃ!」

498 : 以下、名... - 2018/11/14 21:37:14.31 dDW5kg4Eo 387/542

風王「僕の苦労がわかるか!?」

風王「……ああ、言ってもわからないだろうね!」

風王「本当に……これだから、男ってやつは!」


地女「……」

勇者「……」

地女「……なっ、恐ろしいだろう?」ボソボソ

勇者「ああ……何も言い返せない」ボソボソ


風王「っ!」キッ!


地女勇者「……何でもありません」

499 : 以下、名... - 2018/11/14 21:42:27.25 dDW5kg4Eo 388/542

風王「……僕が、どうしてそこまでしたかわかるかい?」


地女勇者「……」


風王「……」


地女「……」

勇者「……おい」ボソッ

地女「……何だ」ボソッ

勇者「……何か言えって」ボソボソ


地女「――サッパリわからん!」


風王「君に、死んで欲しくないからだよ!」

風王「あのね、そのくらい分かって貰えるかな!?」

500 : 以下、名... - 2018/11/14 21:52:52.23 dDW5kg4Eo 389/542

風王「だから……死なれちゃ、困るんだ」

風王「そのためなら――何だってするさ」


地女「あー……つかぬ事を聞くがな?」

地女「……アレも見ていたのか?」


風王「……見たくなんてなかったさ!」

風王「けど、火の四天王の魔力があんなに高まったら……」

風王「……意識を集中せざるを得なかったんだよ!」


勇者「お前……凄いな」


風王「……うるさい、黙れ」

501 : 以下、名... - 2018/11/14 21:58:52.35 dDW5kg4Eo 390/542

風王「アレが露見――水の四天王にバレていたら」

風王「水の四天王の事だ……」

風王「……きっと、火の四天王を手にかけていただろうね」


地女勇者「……」


風王「そして――怒り狂った君は、水の四天王を殺しただろう」

風王「その怒りを鎮める事は……きっと不可能だ」

風王「それこそ……殺してしまわない限り」

風王「白羽の矢が立つのは……まあ、僕で間違いないかな」


地女勇者「……」

502 : 以下、名... - 2018/11/14 22:07:07.52 dDW5kg4Eo 391/542

風王「僕に……君は、殺せない」

風王「かと言って、殺されるのも御免だ」

風王「だって――僕は、君を手に入れたいんだから」


勇者「なあ……コイツが、何人に手を出してるか知ってんのか?」

地王「うむ!」

地王「俺が言うのも何だが……他に、良い男は居るぞ?」


風王「……かも知れない」

風王「いや……きっと、そうなんだろうね」


風王「――けど、僕は君が欲しいんだ」


地女「……風の四天王」


勇者「な、なあ……すまん、物凄く居辛いんだが……!?」

503 : 以下、名... - 2018/11/14 22:14:18.43 dDW5kg4Eo 392/542

風王「終わり良ければ全て良し、って言うだろう?」

風王「……魔族の生は長いんだ」

風王「意中の相手に、過去に別の相手が居たなんて当たり前の事」

風王「……今は、それが偶然近い時期なだけ」


風王「――最後に、僕を選んでくれればそれで良い」


地女「……むう」


勇者「……!」

勇者(なんで俺が居るのにこういう空気出すんだよおおおお!!)

505 : 以下、名... - 2018/11/14 22:22:11.04 dDW5kg4Eo 393/542

風王「……こんなに心の内を晒したのは、初めてだよ」

地女「あー……まあ、何だ」


地女「お前が、そこまで俺にこだわるのは……」

地女「――‘あの時’の事が、きっかけか?」


風王「……そうだね、‘あの時’からだよ」

風王「でなければ……体を許したりはしなかったさ」


地女「……むうう」


勇者「……!?」

勇者(‘あの時’って何だよ!?……なんて聞ける空気じゃねえ!)

506 : 以下、名... - 2018/11/14 22:32:58.81 dDW5kg4Eo 394/542

  ・  ・  ・

地女「……風の四天王め」

地女「……」

地女「まさか……‘あの時’の事をそこまで……」

地女「……むううっ!」


地女「――答えは、いつまででも待つ」

地女「……と言われても! 俺は、どうしたら良いのだ!」

地女「光の勇者よ、助けてくれ!」


勇者「‘あの時’って何なんだよおおおおお!?」

507 : 以下、名... - 2018/11/14 22:46:35.29 dDW5kg4Eo 395/542

  ・  ・  ・

風王「……」


風王(風を自在に操り、地に縛られた者達を蔑んでいた……あの時)

風王(僕は――君に破れた)

風王(気付いた時には……僕は地に転がり、君に見下されていた)

風王(敗北の屈辱を――恥辱を受けた)


風王「風が……地に負ける」


風王(有り得ないと信じられず……死を覚悟した)

風王(……いや、みっともなく……怯えた姿を見せた)

風王(そんな僕に……君は、手を差し伸べたんだ)


風王(――四天王として、俺と共に魔王様に仕えんか?)


風王(……なんて、満身創痍の姿で……笑いながら)

508 : 以下、名... - 2018/11/14 22:54:11.85 dDW5kg4Eo 396/542

  ・  ・  ・

地女「光の勇者よ、俺が教えたとは……絶対に言うなよ?」

勇者「良いから、さっさと教えろ!」

地女「良いか? 絶対に言うなよ!?」

勇者「良いから言え! 気になるだろうが!」


地女「四天王になっての最初の命令が、奴の討伐だったのだ」

地女「もう、本当に運良く勝ててな! あれは豪運だった!」

地女「そうしたら、奴め……殺されると思ったのか、な?」

地女「まあ、なんだ……オシッコちびっちゃってな?」


勇者「あっ! これ、聞かない方が良かったやつだな!?」

509 : 以下、名... - 2018/11/14 23:19:04.30 dDW5kg4Eo 397/542

  ・  ・  ・

風王「……!」ゾクッ!


風王(……ああっ、思い出すだけでも体が震える!)

風王(僕に、この感覚を与えてくれるのは君しか居ない!)

風王(……だから、絶対に君は死なせない)

風王(……生きて、僕に――)

  ・  ・  ・

地王『あー……なんだ……これで拭け、遠慮するな?』

  ・  ・  ・

風王「……!」ゾクゾクッ!


風王(――恥辱と、生の実感を与え続けてくれ!)

510 : 以下、名... - 2018/11/14 23:31:36.05 dDW5kg4Eo 398/542

  ・  ・  ・

地女「……変に真面目で、プライドが高かった分……な?」

勇者「……歪んだのか」

地女「趣味嗜好は自由だが、奴は特殊でなぁ」

勇者「……まともな奴だと思ったのに……!」


地女「だからな……いくら俺でも、ちょっと責任を感じるのだ」

地女「まあ……これ以上は、な?」

地女「プライバシーというものは、大切にしなければいかん」


勇者「……ああ、そうだな」

511 : 以下、名... - 2018/11/14 23:47:18.28 dDW5kg4Eo 399/542

地女「……だが、奴のお陰で助かったのだ!」

勇者「……まあ、今後は十分気をつけよう」

地女「うむ!」

勇者「風の四天王に関しては……まあ、頑張れ」


地女「……光の勇者よ」

地女「地属性の俺では……風属性の奴に、今はもう対抗出来ん」

地女「……いざという時は、頼むぞ」

地女「本当に責任は感じるが……ちょっと、本当に勘弁なのだ」


勇者「物凄くお似合いな気がしたが……」


勇者「……苦手属性は、しょうがねえよな」



おわり

520 : 以下、名... - 2018/11/15 15:51:32.76 ua+8PPg4o 400/542

書きます


水の四天王「祝福の聖女よ、式が中止になりましたわ」

521 : 以下、名... - 2018/11/15 15:54:58.37 ua+8PPg4o 401/542

祝福の聖女(以下、聖女)「えっ、婚約発表の式が……ですか?」

水の四天王(以下、水王)「ええ、何者かが侵入して……」

聖女「そ、それって一大事じゃないですか!?」

水王「……そうですわね」


水王「この私――水の四天王の顔も潰してくれましたの」

水王「犯人を捕らえたら……ふふっ、どうしてくれましょうね!」


聖女「と、とりあえず落ち着きましょう! ねっ!?」

522 : 以下、名... - 2018/11/15 15:58:42.55 ua+8PPg4o 402/542

水王「はぁ……全く、事後処理も大変でしたのよ」

聖女「水の四天王さん……お疲れ様です」

水王「うふふっ、貴女のその言葉だけでも癒やされますわ」

聖女「そ……そうですか?///」


水王「ええ、貴女のお陰でこれからも頑張れそうですわ」

水王「彼の――地の四天王の領地を侵略するのを!」グッ!


聖女「それは良かった……」

聖女「……って、侵略!?」

523 : 以下、名... - 2018/11/15 16:01:16.01 ua+8PPg4o 403/542

聖女「えっ!? 四天王同士で……戦争ですか!?」

水王「うふふっ、まあ……ある意味ではそうですわね」

聖女「だっ、大丈夫なんですか!? そんな事して!」

水王「勿論、抜かりはありませんわ」


水王「地の四天王の領地の民達も……ええ」

水王「とても、感謝してくれているんですのよ」


聖女「か……感謝……?」

524 : 以下、名... - 2018/11/15 16:04:33.89 ua+8PPg4o 404/542

聖女「し、侵略で……戦争なんですよね?」

水王「貴女は、私と地の四天王の領地が隣なのはご存知?」

聖女「はい……知っています」

水王「それで……彼は、今不在でしょう?」


水王「その隙を突いて、ね?」

水王「――水の四天王が居ると、地の領地はとても助かる」

水王「……と、地の領地の民達が思う様に行動してるんですの!」


聖女「それって……どういう事ですか?」

525 : 以下、名... - 2018/11/15 16:08:23.71 ua+8PPg4o 405/542

水王「具体的には、上下水道設備の充実ですわね」

聖女「は、はあ……」

水王「あとは、農耕に必要な河の流れを操作したり……」

聖女「……えっと、つまり」


水王「地の領地の民達に、感謝の言葉と共に聞かれますの」

水王「――水の四天王様は、地の領地のためにどうしてここまで……?」

水王「……うふふっ! なんてね!」


聖女「……外堀を埋めてるってことですか!?」

526 : 以下、名... - 2018/11/15 16:13:49.75 ua+8PPg4o 406/542

水王「私、聞かれたらこう答えるようにしてますの」

聖女「な、何て答えてるんですか……?」

水王「……うふふっ!」

聖女「……!」


水王「――貴方達は、彼の愛する領地の民達ですもの」

水王「――ならば、彼が不在の時に私が動くのは当然ですわ」

水王「……ってね! うふふっ!」


聖女「物凄く色んな憶測が飛び交いそうな返しですね!?」

527 : 以下、名... - 2018/11/15 16:20:36.19 ua+8PPg4o 407/542

水王「この間も、街を視察していたら言われましたの……」

聖女「なっ、何て!? 何て言われたんですか!?」

水王「小さな子供と言うのは、時に驚くような事を言いますわよね……」

聖女「えっ?」


水王「――地の四天王様と、水の四天王様っていつ結婚するの?」

水王「……ですって! うふふふっ!」

水王「私、驚いてしまって! もう! うふふっ!」


聖女「小さな子供まで、そういう風に思ってるんですか!?」

528 : 以下、名... - 2018/11/15 16:31:02.51 ua+8PPg4o 408/542

水王「周囲に居た大人達は、慌ててしまって……」

聖女「他の領地を収める四天王相手……ですもんね」

水王「けれど、小さな子どもに罪はありませんわ」

聖女「水の四天王さん……」


水王「だから、ね?」

水王「その子の頭を撫でながら――」

水王「――残念ですけど……水の四天王の私でも、わかりませんの」

水王「――地の四天王様に、聞いてくださいな」

水王「……と、微笑み、許してあげましたわ」


聖女「……想像しただけで和やかになります!」

529 : 以下、名... - 2018/11/15 16:38:42.87 ua+8PPg4o 409/542

水王「それを見ていた、伝統の職人の方が居ましてね?」

聖女「地の領地で、伝統と言うと……」

水王「石工や、彫刻ですわね」

聖女「そうでした! 本当に、見事な細工ですよね!」


水王「その……職人の方達がね?」

水王「広場に建っている、地の四天王の像の隣に……」

水王「私の――水の四天王様の像を立てる……と、盛り上がってしまって」

水王「……うふふっ! 困ってしまいましたわ!」


聖女「……」

聖女(すみません、魔王さん……今だけは……!)


聖女「……もおおおお! 困ってる顔じゃないですよー!」

530 : 以下、名... - 2018/11/15 16:47:45.56 ua+8PPg4o 410/542

水王「けれど、彼の像よりも大きく作ると言っていたんですの!」

聖女「えっ? それって……良い事じゃないんですか?」

水王「……いいえ、そんな事はありませんわ」

聖女「えっ?」


水王「――私は、支えに来たのです」

水王「――決して、あの方より目立とうとは思いません」

水王「……ねっ? わかるでしょう?」


聖女「すっ、凄いです! えっ、あっ、あっ、わっ!」

聖女「わ、私も……その台詞、どこかで使って良いですか!?」

531 : 以下、名... - 2018/11/15 16:57:53.53 ua+8PPg4o 411/542

水王「……結局、そのお話はお断りしましたわ」

聖女「えっ!? どうしてですか!?」

水王「……言い出した職人の方達が、ね?」

水王「地の四天王の像を作った方達だったみたいで……」

聖女「……どう断ったんですか?」


水王「――腕の悪い職人には、頼めませんわ」


聖女「ええっ!? そんな事言っちゃったんですか!?」


水王「――広場の、地の四天王の像を見れば……腕はわかります」

水王「――地の四天王は、もっと凛々しい顔立ちですわ」


聖女「うう――っ!?/// 聞いてるこっちが恥ずかしいです!///」

532 : 以下、名... - 2018/11/15 17:04:53.87 ua+8PPg4o 412/542

水王「なので、今は……地の四天王の像を作り直してますの」

聖女「えっ、と……出来はどうなんでしょう?」

水王「私も、その原因なので見に行きはするんですけれど……」

聖女「その言い方だと、見られてないんですか?」


水王「私の意見を全て聞いたら、別人になってしまう、って」

水王「……うふふっ! だから、出来てからのお楽しみなの!」


聖女「もーっ、水の四天王さんったら!///」

聖女「ふふっ……似てない様に見えても、怒っちゃ駄目ですよ?」

533 : 以下、名... - 2018/11/15 17:14:23.11 ua+8PPg4o 413/542

水王「けれど……彼の妹が問題なのです」

聖女「えっ? 地の四天王に……妹さんが居たんですか?」

水王「ええ、とても可愛らしい子ですのよ」

聖女「へええ……でも、問題って?」


水王「――義姉上、と」

水王「‘まだ’そう呼んではいけないと、何度も言うのに……うふふっ!」


聖女「もう、妹さんも攻略済みなんですか!?」

534 : 以下、名... - 2018/11/15 17:26:25.17 ua+8PPg4o 414/542

水王「彼の両親は、もう遠方でご隠居なさってますし」

聖女「えっ、それじゃあ……」

水王「彼が不在の今、留守を預かっているのは彼の妹ですの」

聖女「それは……大変そうですね」


水王「当然、不慣れな事もありましたわ……」

水王「けれど、水の四天王の私もフォローしましたもの」

水王「……あの兄には勿体無い――と、言われていますわ!」


聖女「……」

535 : 以下、名... - 2018/11/15 17:32:58.01 ua+8PPg4o 415/542

聖女「水の四天王さん、あのっ……!」

水王「? どうかしましたの?」

聖女「……!」


聖女「もし! もし……恋敵が出てきたら、どうしますか!?」


水王「……祝福の聖女?」


聖女「お願いします、答えてください!」


水王「……」

水王「――当然、戦いますわ」


聖女「……!」

536 : 以下、名... - 2018/11/15 17:40:46.96 ua+8PPg4o 416/542

聖女「ま……魔法の撃ち合いとか、ですか」

水王「えっ!? そ、そんな事しませんわよ!?」

聖女「えっ!? そ、そうなんですか!?」

水王「もうっ! 貴女は、とんだ勘違いをしていますわ!」


水王「――水の四天王の戦いは、とても静か」

水王「それは……恋の戦争と言えど、同じ事ですわ」

水王「……うふふっ!」

水王「陣地の形成は……もう、済んでいましてよ?」


聖女「……水の四天王さん」


水王「まあ、最悪の場合は武力行使をしますけれどね?」


聖女「やっぱり、勘違いじゃなかったじゃないですかー!」

537 : 以下、名... - 2018/11/15 17:46:29.37 ua+8PPg4o 417/542

  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「おい」

大地の魔女(以下、地女)「んー?」モグモグ

勇者「寝転がって菓子を食いながら返事をするな!」

勇者「お前……そういえば、自分の領地は良いのか?」


地女「うむ!」

地女「俺の配下の者達は、出来る者達が揃っているからな!」

地女「ふはは! それは、俺を見ればわかるだろう?」


勇者「ああ……お前が頭でも、うまく機能してたんだもんな」

538 : 以下、名... - 2018/11/15 17:53:27.72 ua+8PPg4o 418/542

勇者「気になったりはしないのかよ?」

地女「それは、まあ……多少はな?」

勇者「たまには、見に行かなくて良いのか?」

地女「大丈夫だろう」


地女「俺の――地の四天王の領地の民達」

地女「奴らは、心配せずとも大丈夫だ」

地女「ふっ……何せ、俺が帰るべき場所の者達だしな!」


勇者「……早く問題を片付けて、帰ってくれよな」

539 : 以下、名... - 2018/11/15 18:04:58.07 ua+8PPg4o 419/542

地女「ふむ……その時は、お前も遊びに来い!」

勇者「勇者を遊びに招く四天王が何処に居る!」

地女「ふはは! 罠の可能性を恐れているのか!」

勇者「罠の方が気分的にマシだよ!」


地女「俺の妹は、この姿の俺に似て美少女だぞ!」クネッ!

地女「お前が祝福の聖女にフラれたら、紹介してやろう!」


勇者「余計なお世話だ!」

勇者「地の四天王! 俺は、お前とは違う!」

勇者「……って、お前妹居たのかよ!?」


地女「……はっはっは!」


地女「何にせよ、領地に戻る時が楽しみだな!」



おわり

544 : 以下、名... - 2018/11/15 22:18:41.83 ua+8PPg4o 420/542

書きます


火の四天王「剣の乙女、お前に大事な話がある」

545 : 以下、名... - 2018/11/15 22:21:26.39 ua+8PPg4o 421/542

剣の乙女(以下、乙女)「あら、思ったよりも元気そうじゃない」

火の四天王(以下、火王)「……ああ、まあな。それで、話というのは――」

乙女「――待って」

火王「? 剣の乙女?」


乙女「……火の四天王」

乙女「随分と雰囲気が違うけれど……何があったの?」


火王「っ!? す、鋭いな……」

546 : 以下、名... - 2018/11/15 22:26:02.24 ua+8PPg4o 422/542

火王「それは……これからする話に関わりがある」

乙女「……ふぅん?」

火王「その……だな……!」

乙女「……随分と、言いにくそうね」


乙女「……当ててあげるわ」

乙女「火の四天王、貴女――‘女’になったわね?」


火王「っ!!?」

火王「すっ、鋭すぎないか!!?」

547 : 以下、名... - 2018/11/15 22:30:11.33 ua+8PPg4o 423/542

火王「なっ、何故それがわかった!?」

乙女「脚さばき、雰囲気、そして……魔力が増しているもの」

火王「……それでわかるのは、お前位なものだろうな」

乙女「もう、話はわかったわ」


乙女「貴女……私を笑いに来たんでしょう!?」

乙女「光の勇者は――光の加護」

乙女「祝福の聖女は――愛の祝福」

乙女「剣の乙女は――鉄の処女、って!」


火王「鈍い!!!」

549 : 以下、名... - 2018/11/15 22:35:24.29 ua+8PPg4o 424/542

火王「私が、そんな事でお前を笑う筈がないだろう!?」

乙女「良いのよ、わかってるわ」

火王「全然わかっていないぞ!?」

乙女「良いのよ、慣れてるもの」


乙女「男には――あれだけ美人で‘まだ’って……なんか怖くね?」

乙女「……とか!」

乙女「女には――剣の道を歩いてるのに、バージンロード歩いてるよね」

乙女「……とか!」

乙女「……陰で、散々言われてきたんだから!!」


火王「剣の乙女! おっ、落ち着いてくれ! 頼む!」

550 : 以下、名... - 2018/11/15 22:39:47.52 ua+8PPg4o 425/542

火王「私は、お前を笑ったりなどはしない!」

乙女「相手は誰? 中止になった、婚約発表の相手?」

火王「ち、違う! お……お前の……よく知る人物だ」

乙女「私の、よく知る人物……?」


乙女「……」

乙女「……光の勇者?」


火王「あああ、違う違う!」

火王「光の勇者ではない! 良いか!? 違うからな!?」

551 : 以下、名... - 2018/11/15 22:45:20.69 ua+8PPg4o 426/542

火王「ほら! い、居るだろう!?」

乙女「私のよく知る人物となると……ねえ、まさか……?」

火王「その……だ、大地の魔女だ……!」

乙女「……ねえ、待って頂戴」


乙女「それが本当なら……」

乙女「……大地の魔女のお姉様は――」


乙女「――おち○ちんが、生やせるって事?」


火王「ま、まあ……ある意味では」

火王「しかし、何というか……真剣な顔で、その単語はやめてくれるか?」

552 : 以下、名... - 2018/11/15 22:50:15.19 ua+8PPg4o 427/542

乙女「もしかして、婚約発表の場を壊したのも……お姉様?」

火王「……そう、だな」

乙女「そして、貴女を‘女’にした……と?」

火王「……ああ///」


乙女「――閃!」

ヒュッ―!


…ゴガァァンッ!


火王「っ!?」

火王(何という剣速だ! それに、離れた場所の岩を真っ二つに……!)


乙女「……」

553 : 以下、名... - 2018/11/15 22:54:00.57 ua+8PPg4o 428/542

乙女「……火の四天王、ここからは偽りは許さないわ」

火王「……ああ、無論だ」

乙女「少し、移動しましょう」

火王「私は……此処でも構わない」


乙女「? 何を言ってるの?」

乙女「あの、斬った岩の所まで行くわよ」


乙女「――それで、どんなだったか描いて教えて頂戴」


火王「……か」

火王「描いて教える!?」

554 : 以下、名... - 2018/11/15 22:58:44.13 ua+8PPg4o 429/542

乙女「貴女、絵は得意かしら?」

火王「まあ……苦手ではないが……」

乙女「だったら、早く……ん、この小石で良いわね」

火王「まっ、待て! 私に、何を描けと!?」


乙女「そんなの、決まってるでしょう」

乙女「大地の魔女のお姉様の――おち○ちんよ」


火王「剣の乙女!? お前、本気で言っているのか!?」

555 : 以下、名... - 2018/11/15 23:04:45.34 ua+8PPg4o 430/542

乙女「……敵を知り己を知れば、百戦危うからず」

火王「こ、小石を握らせないでくれ!」

乙女「? なら、どうやって描くつもり?」

火王「描くつもりは無い!」


乙女「良いじゃないの!! 描いて教えてよ!!」

乙女「もおおおおお!! もおおおおお!!」

乙女「ねえ、火の四天王!! あのね!!?」

乙女「私が!! 怒ってないと!! 思ってるの!!?」


火王「すっ、すまない! 描く! 描くから、落ち着いてくれ!」

556 : 以下、名... - 2018/11/15 23:09:53.43 ua+8PPg4o 431/542

乙女「出来るだけ、正確に描いて頂戴」

火王「……静と動が、ハッキリしているな」

乙女「ねえ、早くして」

火王「……どうしてこうなってしまったんだ……!?」


火王「た、確か……こんな感じ、で」

カリカリ…


乙女「……嘘でしょう?」


火王「こう……だったぞ(ボワッ)///」

カリカリ…


乙女「……絵が下手過ぎて、全然わからないわ!!」

557 : 以下、名... - 2018/11/15 23:17:02.09 ua+8PPg4o 432/542

乙女「ねえ、私は何を描いてと言ったか覚えてる?」

火王「お、おちん……お、覚えている!(ボワッ)///」

乙女「他の物を描いてとは、言ってないわよ?」

火王「わ……わかりやすいかと思ったんだ!」


乙女「火の四天王、貴女――……」

乙女「……」

乙女「口頭と……こう、手で教えて頂戴」


火王「可哀想な物を見る目を向けないでくれ!」

558 : 以下、名... - 2018/11/15 23:23:59.16 ua+8PPg4o 433/542

乙女「長さは?」

火王「な、長さは……こ、この位?」

乙女「!? ふ、太さは!?」

火王「確か……こ、この位だった気がする」


乙女「……」ジィッ


火王「どうした?」


乙女「いえ、そこに……こんなのが入ったのかと」ジィッ


火王「!?(ボワッ)///」

火王「そういう目を向けるのもやめてくれ!(ボワッ)///」

559 : 以下、名... - 2018/11/15 23:32:25.86 ua+8PPg4o 434/542

乙女「や、やっぱり痛かった?」

火王「喜びで、体の昂ぶりが凄くて……(ボワッ)///」

乙女「ど、どんな風に? ねえ、どうやって?」

火王「こう、私が上になって……(ボワッ)///」


乙女「うっ、上になって!?」

乙女「……うう、上になって!?」


火王「この話は、そろそろやめにしてくれないか!?(ボワッ)///」

560 : 以下、名... - 2018/11/15 23:41:10.60 ua+8PPg4o 435/542

火王「大事な話があると言っただろう!?」

乙女「そんな……ええっ……?/// う、上に……?///」

火王「剣の乙女、戻ってきてくれ!」

乙女「……え、な……何?」


火王「――剣の乙女」

火王「お前は人間で、敵だが……私にとって、大切な友人だ」

火王「だから――」


火王「――こちら側に、付く気は無いか?」


乙女「……」

561 : 以下、名... - 2018/11/15 23:48:47.80 ua+8PPg4o 436/542

乙女「……残念だけど、それは出来ないわ」

火王「……やはり、そうか」

乙女「ええ、私がこう答えると……わかってたでしょう?」

火王「……まあ、な」


火王「それd」


乙女「じゃあ、話を戻すわね」

乙女「上に乗って……あ、貴女が腰を振ったの?」ジィッ!


火王「~~~っ!(ボワッ)/// 剣の乙女!(ボワッ)///」

562 : 以下、名... - 2018/11/15 23:58:46.37 ua+8PPg4o 437/542

火王「お前は、どうしてそう……そっちに話を行かせたがる!?」

乙女「だ、だって……仕方ないじゃないの!」

火王「何が仕方ないんだ!?」

乙女「……だって!」


乙女「こんな事を聞けるの、貴女位なんだもの!」

乙女「他に、誰に聞けって言うの!?」


火王「つ、剣の乙女……」


乙女「世界を救う勇者パーティーの一員の――剣の乙女が!」

乙女「おち○ちんや、初体験の事を誰に聞けるって言うの!」


火王「す、すまない……確かに、お前の言う通りだ」

563 : 以下、名... - 2018/11/16 00:11:31.07 wp+PDzrqo 438/542

乙女「私だって……怖いものは、怖いの」

火王「……わかった」


火王「――この、火の四天王!」

火王「お前のために、出来うる限りの事はしよう!」


乙女「火の四天王……!」


火王「お前には……色々と借りもあるからな」


乙女「じゃ、じゃあ――」

乙女「私の時は、一緒に居てくれる!?」


火王「……」

火王「えっ!!?」

564 : 以下、名... - 2018/11/16 00:19:26.76 wp+PDzrqo 439/542

  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「おい」

大地の魔女(以下、地女)「んー?」パタパタ

勇者「寝転がって足パタパタさせて本読んでんじゃねえ!」

勇者「お前……火の四天王は、どうなったんだ?」


地女「うむ!」

地女「よくわからんが、時間が欲しいらしい」

地女「愛と友情と仕事と……とにかく、板挟みだそうなのだ」


勇者「……その点、お前は悩みがなさそうだな」

565 : 以下、名... - 2018/11/16 00:24:06.48 wp+PDzrqo 440/542

地女「何を言う、俺とて悩みの一つや二つはある」

勇者「お前の行動からすると、少なすぎるぞ?」

地女「悩んでいても、始まらんしな」

勇者「……で? その、悩みってのは何だよ?」


地女「いや、最近……剣の乙女がな?」

地女「――私も、覚悟しています」

地女「と言ってくるのだが……何の覚悟かわからんのだ」


勇者「……くれぐれも、これ以上ややこしくするなよ?」

566 : 以下、名... - 2018/11/16 00:39:21.29 wp+PDzrqo 441/542

地女「まあ……時が来れば、自ずと分かるか」

勇者「……お前、考えるのやめたな?」

地女「うむ! なるようにしかならんからな!」

勇者「どうしてそんなに楽観的になれるんだよ!」


地女「ふはは! それが俺の長所なのだ!」

地女「並大抵の輩には、真似出来んだろうがな!」


勇者「真似したいとも思わねえよ!」

勇者「地の四天王! 絶対に、パーティー内で揉めるなよ!?」

勇者「……最近、祝福の聖女も時々様子が変になるし……!」


地女「……はっはっは!」


地女「光の勇者よ、存分に思い悩むが良い!」



おわり

571 : 以下、名... - 2018/11/16 19:49:03.06 wp+PDzrqo 442/542

書きます


大地の魔女「祝福の聖女よ、相談とは何だ?」

572 : 以下、名... - 2018/11/16 19:52:35.62 wp+PDzrqo 443/542

祝福の聖女(以下、聖女)「……すみません、急に呼び出して」

大地の魔女(以下、地女)「なぁに、気にすることはない!」

聖女「……お姉ちゃん」

地女「うむ! お姉ちゃんに、何でも相談するが良い!」


聖女「……」

聖女「……奇跡が……起きちゃったんです」


地女「……」

地女「奇跡?」

573 : 以下、名... - 2018/11/16 19:56:50.78 wp+PDzrqo 444/542

地女「奇跡が起きたのなら、良い事では無いか?」

聖女「はい……そう、なんですけど……」

地女「祝福の聖女よ、何を暗い顔をしているのだ?」

聖女「……」


聖女「……」

聖女「……子供が……出来たんです」


地女「……」

地女「……何だと?」

574 : 以下、名... - 2018/11/16 19:59:15.33 wp+PDzrqo 445/542

地女「誰が?」

聖女「……私に」

地女「誰との?」

聖女「ゆ、勇者様とのです!」


地女「それは――」


聖女「っ……!」ビクッ!


地女「めでたいではないか!!」


聖女「……」

聖女「えっ?」

575 : 以下、名... - 2018/11/16 20:01:35.34 wp+PDzrqo 446/542

地女「光の勇者は、その事を知っているのか!?」

聖女「い、いえ……まだです……」

地女「ふはははははっ! 奴が、父親か!」

聖女「あ……あのっ!」


聖女「おっ……怒らないんですか!?」


地女「何故だ!?」


聖女「え……ええっ!?」

576 : 以下、名... - 2018/11/16 20:06:08.76 wp+PDzrqo 447/542

地女「怒る理由が、何処にあると言うのだ!?」

聖女「で、でもっ!」


聖女「私達は、世界を救う旅をしてる最中なんですよ!?」

聖女「そ、それなのに……妊娠だなんて……!」


地女「子を授かった事を喜ばぬ世界など滅びれば良いのだ!!」

地女「ええい! 何ならば、この手で直々に滅ぼしてくれる!!」


聖女「……!」

聖女「お……お姉ちゃん……!」ポロポロッ

577 : 以下、名... - 2018/11/16 20:13:02.00 wp+PDzrqo 448/542

地女「あああ……!? な、何故泣く……!?」

聖女「わ、わた……ふ、不安で……!」ポロポロッ

地女「……大丈夫だぞ、何も不安になる事など無い」

聖女「だ……誰にも、言えなくっ……て……!」ポロポロッ


地女「大地の魔女の――お姉ちゃんの胸で好きなだけ泣くのだ」

地女「……ほうれ、触り心地の良い美乳だぞ!」

ぎゅっ!

聖女「っ……! うっ、えええっ……!」ポロポロッ


地女「……」

地女(……ぬうう! どうしたものか!?)

578 : 以下、名... - 2018/11/16 20:19:24.63 wp+PDzrqo 449/542

  ・  ・  ・

聖女「……えへへ、いっぱい泣いちゃった///」

地女「うむ!」

聖女「……ありがとう、ちょっとスッキリした」

地女「はっはっは! おかげで、服がビショビショだ!」


聖女「……お願いがあるの」

聖女「この事は……誰にも言わないで」


地女「……」

地女「……むう」

579 : 以下、名... - 2018/11/16 20:26:17.74 wp+PDzrqo 450/542

地女「誰にも言わず、どうするつもりだ?」

聖女「……パーティーを抜けて、隠れて過ごすつもり」

地女「何だと?」

聖女「だって……子供が出来たって、バレたら――」


地女「うむ」

地女「お前は、確実に狙われるだろうな」

地女「光の勇者と、祝福の聖女の子など……生かしておく訳にはいかん」

地女「魔の者にとっては、天敵の様な存在だからな」


聖女「……うん」

580 : 以下、名... - 2018/11/16 20:28:36.83 wp+PDzrqo 451/542

地女「だがな? お前が抜けて、どうなる?」

聖女「えっ?」

地女「抜けた後のパーティーの事を考えてみるのだ」

聖女「それは……」


地女「うむ」

地女「祝福の聖女が不在のパーティーなど、取るに足らんな」

地女「最初の内は良いかもしれんが、次第に厳しくなるだろう」

地女「それ程までに、お前の存在は大きい」


聖女「……」

581 : 以下、名... - 2018/11/16 20:37:56.85 wp+PDzrqo 452/542

地女「まあ、お前もそれがわかっていたのだろう?」

聖女「うっ……ふぅっ……!」ポロポロッ

地女「あああ! 責めているのではないぞ!」

聖女「で……でもっ……!」


地女「一緒に、考えるのだ」

地女「なぁに、大抵の事はなんとかなるものだからな!」


聖女「……ふふっ」

聖女「お姉ちゃんが言うと……本当に、そんな気がしてくる」

582 : 以下、名... - 2018/11/16 20:48:17.79 wp+PDzrqo 453/542

  ・  ・  ・

地女「……」

地女(今日は、それぞれが考えて、明日……という事になったが)


地女「……どうしたものかなぁ」


地女「……」

地女(地の四天王として考えるならば――またと無い好機)

地女(聖女を庇いながら戦う勇者を仕留め……)

地女(後は、残った剣の乙女と祝福の聖女を殺す……と)


地女「光の加護も、愛の祝福も無くなり――」

地女「――多分、色々バレて俺も死んでしまうなぁ」


地女「……どうしたものかなぁ」

583 : 以下、名... - 2018/11/16 20:55:26.83 wp+PDzrqo 454/542

地女「むう……!」


地女(闇の魔王様は、祝福の聖女を友人と仰っているが……)

地女(むう……どう動かれるか、わからんな)


地女「むうう……!」


地女(他の四天王達も……どう動くかわからん)

地女(……ええい、女心は理解出来ぬ!)


地女「むううう……!」


地女(剣の乙女は? そもそも、光の勇者の加護はどうした!)

地女(この俺――地の四天王が、追い詰められているではないか!)


地女「……ええい! わから――んっ!!」

584 : 以下、名... - 2018/11/16 21:07:54.50 wp+PDzrqo 455/542

地女「俺は、こういった小賢しい事は考えられんのだ!」


地女「大地の魔女として生きようとも!」

地女「追い詰められていき……俺は死ぬ!」

地女「光の勇者、祝福の聖女、剣の乙女……」

地女「……誰が欠けても、俺は死ぬ!」

地女「そもそも!」


パァァ……ァァァ


地の四天王(以下、地王)「正体が、地の四天王とバレている!」

地王「そして、勇者達を全滅させたら……俺は死ぬ!」

地王「酔った勢いで、ヤっちゃったので……」

地王「……痴情のもつれで、俺は死ぬ!」


地王「……ぬあああん! どうすれば良いのだ――っ!?」

585 : 以下、名... - 2018/11/16 21:19:40.58 wp+PDzrqo 456/542

地王「何か……何か無いものか……!?」

地王「こう、良い感じに……」


地王「勇者達の旅が休止しつつ……」


地王「魔王様達も、動きを止め……」


地王「……俺が! 生き残る方法は!」


地王「……」


地王「ええい、駄目だ!」

地王「思いつく考えは、どれも最終的に俺が死ぬ!」

586 : 以下、名... - 2018/11/16 21:27:03.58 wp+PDzrqo 457/542

地王「ぬうう……! どうすれば良いのだ……!?」


―ガチャッ

勇者「おい、微妙に外に声が漏れて――」


地王「おっ、おのれぇ……光の勇者……!」

地王「この俺をここまで追い詰めるとは……!」


勇者「……はっ?」


地王「! 現れたな、このクズめ!」


勇者「はあっ!?」

587 : 以下、名... - 2018/11/16 21:32:53.48 wp+PDzrqo 458/542

勇者「……」


…バタンッ!


勇者「――おい! 誰がクズだ! 誰が!」

地王「ええい、お前以外に居らんだろうが!」

勇者「お前が言える台詞じゃねえよ!」

地王「何を言っているのだ!」


地王「父親になるとも知らず、のほほんとしおって!」

地王「……」

地王「今の無し!」


勇者「……」

勇者「はっ?」

588 : 以下、名... - 2018/11/16 21:38:44.15 wp+PDzrqo 459/542

地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「何だその一人称!? おい、もう一度言え!」

地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「そっちじゃねえよ! 父親とか言ったよな!?」


地王「……光の勇者よ」

地王「祝福の聖女には、誰にも言わないでと言われたのだ」

地王「だから……なっ? この通り、なっ?」


勇者「な……何で……! よ、よりによって……!」

勇者「お前の口から聞かされなきゃいけねえんだよおおおおお!?」

589 : 以下、名... - 2018/11/16 21:43:13.91 wp+PDzrqo 460/542

勇者「おい、何でお前がそれを知ってる!?」

地王「俺が、聖女のお姉ちゃんだからだ」

勇者「……聖女の所へ行ってくる!」

地王「っ!?」


地王「待て! 行って、どうするつもなのだ!?」


勇者「抱き締めるに決まってんだろうが!!」


地王「うむ!! 行け、光の勇者よ!!」

590 : 以下、名... - 2018/11/16 21:53:50.36 wp+PDzrqo 461/542

  ・  ・  ・

地王「いやぁ~……どうしたものかなぁ」

地王(勇者のあの様子なら……旅の休止は受け入れられるだろうな)


地王「……だがなぁ」

地王(腹が出てくれば、確実にバレるからなぁ)

地王(下級の魔族でも、数が多ければ凌ぎきれんだろうしなぁ)


地王「……むうう」

地王「どうしたものかなぁ」

591 : 以下、名... - 2018/11/16 22:00:59.05 wp+PDzrqo 462/542

地王「ぬうう……!」


闇の魔王(以下、魔王)「地の四天王よ、どうした?」


地王「!? ま、魔王様!」

魔王「魔王様、だと?」

地王「! も、申し訳ありません……!」


魔王「二人きりの時は……ハニー、と」

魔王「そう、呼ばないと拗ねると言った筈だが?」


地王「も、申し訳ありません……ハニー……!」

592 : 以下、名... - 2018/11/16 22:10:37.58 wp+PDzrqo 463/542

地王「し、しかし……恐れながら!」

魔王「どうした? 其方は、何を恐れる?」

地王「は……ハニー呼びは、流石に恥ずかしいのです!」

魔王「何を言う」


魔王「其方は――余の、彼ピッピであろう?」モジモジ

魔王「ハニーと呼ぶは、当然の義務と知れ」モジモジ


地王「は……はっ!」

593 : 以下、名... - 2018/11/16 22:15:24.24 wp+PDzrqo 464/542

魔王「だが……余の影に引き込まれても、気付かぬとは」

地王「い、いつの間に!?」


魔王「地の四天王よ、椅子になれ」


地王「……御意!」

…どすっ!

地王「……さ、どうぞ」


魔王「うむ」

…ぽすんっ


魔王「地の四天王の玉座は――城の玉座よりもほっこりするな」


地王「……勿体なきお言葉」

594 : 以下、名... - 2018/11/16 22:24:51.78 wp+PDzrqo 465/542

魔王「して……其方は、何を考えていた?」

地王「いえ……大した事ではありませぬ」

魔王「余の魔眼を欺けると思っているのか?」

地王「っ……!」


魔王「余ではない、他の女の事で思い悩むとは……」

魔王「……地の四天王よ、其方に罰を与える」


地王「ば、罰……ですか……!?」


魔王「――今日は、敬語を禁ずる」


地王「な、何と……!? 敬語を……!?」

595 : 以下、名... - 2018/11/16 22:33:42.69 wp+PDzrqo 466/542

魔王「余の命に、逆らうつもりか?」

地王「では、普通に話させて貰うぞ」

魔王「……ふふっ、それで良い」

地王「しかし、ハニーよ」


地王「毎回、このやり取りをする必要があるのか?」

地王「最近、ちょっとまどろっこしく思ってきたのだ」


魔王「……ある!」

魔王「これをやらぬと……その、上手く切り替えが出来ぬ!」

596 : 以下、名... - 2018/11/16 22:40:01.08 wp+PDzrqo 467/542

魔王「それで? 其方は、何を悩んでいた?」

地王「……それは、秘密なのだ」

魔王「何? 余にも言えぬ事なのか?」

地王「言えんなぁ……」


魔王「もしも、余以外の……他の女の事だった場合――」

魔王「――今、言わねば……」

魔王「誰のとは言わぬが、命は無いと思え?」


地王「祝福の聖女の事なのだ!」

597 : 以下、名... - 2018/11/16 22:50:35.65 wp+PDzrqo 468/542

魔王「そうか……祝福の聖女、か」

地王「うむ」

魔王「お姉ちゃんと呼ばれ、慕われているそうだな」プクー!

地王「……」


地王「うむ……お姉ちゃん、困っているのだ」

もにっ、もにもにっ

魔王「ぷふっ! んむむむっ……ん~っ」


地王「……はぁ、困ったのだ」

魔王「……頬のもにもにを続けよ」

598 : 以下、名... - 2018/11/16 23:03:15.60 wp+PDzrqo 469/542

魔王「祝福の聖女の事で、悩んでいる……と」

地王「うむ……こんなに悩むとは、思わなんだ」

魔王「……不愉快だな」

地王「?」


魔王「祝福の聖女は、余の……ゆ、友人」

魔王「だが、其方は余の事だけ考えて居れば良い」

魔王「……ふふっ、喜べ」


地王「ぬう……?」


魔王「地の四天王よ、祝福の聖女に関する悩み」

魔王「……闇の魔王が――滅してやろう」



おわり

603 : 以下、名... - 2018/11/17 10:06:16.13 CMkDw/X/o 470/542

書きます


闇の魔王「祝福の聖女よ、余の魔眼は欺けぬ」

604 : 以下、名... - 2018/11/17 10:12:25.53 CMkDw/X/o 471/542

祝福の聖女(以下、聖女)「っ……!」

闇の魔王(以下、魔王)「ふふっ、そう構えるな」

聖女「貴女は、私を……どうするつもりですか……!?」

魔王「何、少しばかり話をするだけだ」


魔王「その、子の――」

魔王「――名前は考えているのか?」


聖女「……き」

聖女「気が早すぎやしませんか!?」

605 : 以下、名... - 2018/11/17 10:19:35.49 CMkDw/X/o 472/542

聖女「それに……祝福の聖女と、光の勇者様の子なんですよ!?」

魔王「ああ、聖なる力を其方の内から今でも感じるぞ」

聖女「っ……!?」


魔王「さて、では――」

スッ―


聖女「影から……それは、魔導書!?」


魔王「――この書から、名付けの方法を学ぶが良い」


聖女「……」

聖女「えっ!?」

606 : 以下、名... - 2018/11/17 10:25:52.75 CMkDw/X/o 473/542

魔王「どうした? 祝福の聖女よ、受け取れ」

聖女「あ……ありがとう、ございます」

魔王「礼は要らぬ」


魔王「さて、では――」

スッ―


聖女「影から……無数の魔導書が!?」


魔王「――結婚の情報に関する書」

魔王「――妊娠、出産に関する書」

魔王「――育児に関する書」

魔王「ふふっ……余は、一通り揃えている」


聖女「か……数が多いので、とりあえずしまってください!」

607 : 以下、名... - 2018/11/17 10:32:13.94 CMkDw/X/o 474/542

聖女「え、ええと……!?」

魔王「この様な時、男は頼りにならぬと言うからな」

聖女「そ、それは……はい、よく聞きますね」

魔王「ならばこその、備えよ」


魔王「祝福の聖女よ」

魔王「何かあれば……何時でも余を頼れ」


聖女「……魔王さん……!」

608 : 以下、名... - 2018/11/17 10:39:08.94 CMkDw/X/o 475/542

聖女「本来、敵である私を……見逃してくれるんですか?」

魔王「其方は、何を言っている?」

聖女「えっ? だ、だって……」

魔王「……ふむ」


魔王「――闇の魔王に、敵など居らぬぞ」

魔王「何人足りとも、余の前では無力」

魔王「我が闇の魔力は――全てを呑み込むのだから」


聖女「ぜ、絶望的な台詞なのに……それが頼もしい!」

609 : 以下、名... - 2018/11/17 10:47:48.68 CMkDw/X/o 476/542

魔王「力の差を知り、まだ抗うと言うのなら……それも良かろう」

聖女「わ、私達は……人間は、負けません!」

魔王「ほう、面白い」

聖女「……!」


魔王「ならば――三年の時を与える」

魔王「それだけの時があれば、赤ちゃんに関しても落ち着……」


聖女「えっ!?」


魔王「……それだけの時があれば、余を楽しませるだけの」

魔王「――戦いになる程度には、力を付けられよう」


聖女「……」

聖女「……闇の魔王さんっ!」

610 : 以下、名... - 2018/11/17 11:00:18.11 CMkDw/X/o 477/542

  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「――クソッ! 一体、何を話してるんだ!?」

地の四天王(以下、地王)「光の勇者よ、心を鎮めるのだ」

勇者「だけど! 聖女と魔王が、二人きりなんだぞ!?」

地王「だが、今のお前に何が出来ると言うのだ」


地王「……光の勇者よ」

地王「俺は――既に、死を覚悟しているぞ」


勇者「地の四天王……まさか、お前……!?」

勇者(魔王を裏切って……こちら側について、戦うつもりか!?)


地王「……」

地王(酒を飲んで寝ている内に、全て解決しておらんかなぁ)

611 : 以下、名... - 2018/11/17 11:05:14.23 CMkDw/X/o 478/542

聖女「で、でも……他の魔族が、黙ってないと思うんです」

魔王「余の意に反し、其方を襲う者が出てくると?」

聖女「……はい」

魔王「ふむ……そうかも知れぬな」


魔王「ならば、全て滅ぼすか?」

魔王「余は、地の四天王が――」

魔王「――彼ピッピが居れば、それで良い」


聖女「そ、それは……暴君すぎませんか!?」

聖女「それとあと、教えたのは私だけど……彼ピッピ呼びはやめません!?」

612 : 以下、名... - 2018/11/17 11:08:31.05 CMkDw/X/o 479/542

  ・  ・  ・

勇者「地の四天王……お前、良いのか?」

地王「良いも何も、こうなっては仕方が無いのだ」

勇者「っ……!」

地王「心残りがあるとすれば……」


地王「光の勇者よ」

地王「お前と、心ゆくまで存分に酒を酌み交わしたかったぞ」


勇者「っ……地の四天王っ……!」

613 : 以下、名... - 2018/11/17 11:15:42.45 CMkDw/X/o 480/542

  ・  ・  ・

聖女「だ、だけど……もし、そうなっても……」

魔王「人間側が――其方が子を生む事を良しとせぬ、か」

聖女「はい、私が……しばらく、戦えなくなりますから」

魔王「ふむ……」


魔王「やはり、全て滅ぼすか」

魔王「そう……全てをな……!」


聖女「そ、それもちょっと!」

聖女「あのっ! 一度、滅ぼす所から離れませんか!?」

614 : 以下、名... - 2018/11/17 11:18:58.82 CMkDw/X/o 481/542

  ・  ・  ・

勇者「……馬鹿野郎、何言ってやがる」

地王「む?」

勇者「酒なんか、いくらでも飲めば良いじゃねえか」

地王「……光の勇者?」


勇者「最後まで、諦めるんじゃねえ」

勇者「お前は――光の勇者の仲間だろ?」


地王「っ……光の勇者……!」

615 : 以下、名... - 2018/11/17 11:36:50.65 CMkDw/X/o 482/542

  ・  ・  ・

魔王「だが、滅ぼさぬとなると……少し面倒だな」

聖女「……」


魔王「勇者の一行が、旅を中断せざるを得ず……」


魔王「そこに、迂闊に手を出せぬと思う状況……」


聖女「そんな状況……!」


魔王「――ある」


聖女「……」

聖女「えっ?」

616 : 以下、名... - 2018/11/17 11:46:57.78 CMkDw/X/o 483/542

  ・  ・  ・

勇者「……行こう、二人の所へ」

地王「……まあ、逃げられはせんだろうからな」


地王「――むん」

パァァ……ァァァ

大地の魔女(以下、地女)「はあ……どうしてこうなったのだ」

地女「……光の勇者よ」

地女「お前の光の加護を……頼りにしているぞ」


勇者「……ああ、任せとけ」

勇者「っと……こういう時は、やっぱり言っておくべきだよな」


地女「む?」


勇者「地の四天王よ、助けてくれ」

617 : 以下、名... - 2018/11/17 11:52:57.89 CMkDw/X/o 484/542

  ・  ・  ・

地女「――地の四天王よ、助けてくれ」キリッ!

勇者「お前! 本当もうマジでやめろってえええええ!!」

地女「はっはっは! 良いではないか、良いではないか!」

勇者「クソッ……チクショウ……!」


地女「さすがは、闇の魔王様だ!」

地女「まさか、あんな案を思いつくとはな!」

地女「やはり男は駄目だな、男は!」


勇者「お前も男だろうがよおおおおお!!」

618 : 以下、名... - 2018/11/17 12:00:08.05 CMkDw/X/o 485/542

勇者「っていうか、どうして聖女と魔王があんなに仲が良いんだよ……!」

地女「ぷくく! お前の顔、傑作だったぞ!」

勇者「っぐ……うおお……!」

地女「床に、正座させられ――」


地女「――考えの足りぬ男だな」

地女「――己が欲望を制御出来んとは」

地女「――其方は、それでも光の勇者か?」

地女「……と、魔王様に説教されているお前の顔はだ!」


勇者「ふっ……ぐうおお……!」

619 : 以下、名... - 2018/11/17 12:14:25.20 CMkDw/X/o 486/542

地女「うむ、だが……奇跡は仕方無いよな? うむ、奇跡は」

勇者「変ななぐさめすんなよ!」

地女「お前も、避妊魔法は使っていたのだろう?」

勇者「その……盛り上がって、雰囲気で……」


地女「――この、馬鹿者が!」

地女「男側が魔法を使うのがエチケットだと教えたではないか!」

地女「それに、女の言う――大丈夫――は、信用するなと!」

地女「お前の油断が、この事態を招いたのだ!」


勇者「言い返せないからって……ここぞとばかりに……!」

620 : 以下、名... - 2018/11/17 12:24:04.57 CMkDw/X/o 487/542

地女「だが――魔王様の智謀には恐れ入ったぞ!」

勇者「ああ……本当にな」

地女「うむ!」


地女「大地の魔女に――地の四天王が封印された事にする」

地女「こうなれば……魔族は、迂闊に手を出せぬ」

地女「何せ、この俺を封印する程の力があるのだからな!」

地女「この、地の四天王を!」


勇者「だが……それと引き換えに、大地の魔女も大量に魔力を失った」

勇者「それに気付かれないよう、一時的に身を隠す」

勇者「……地の四天王を封印する程の力の持ち主だ」

勇者「人間側としても、無理をさせて失うのは大きな痛手になる」


地女「うむ!!」

621 : 以下、名... - 2018/11/17 12:37:01.13 CMkDw/X/o 488/542

地女「主要な者達に、声をかけておく必要があるがな!」

勇者「……ああ、そうだな」

地女「と、言うわけで……ちょっと行ってくるのだ!」

勇者「いやお前、軽く言ってるけど大丈夫か!?」


地女「光の勇者よ、案ずるな!」

地女「俺から説明しないと、納得せぬ者も居るだろう」

地女「それにな? ほら……あれだ」

地女「色々と、バレちゃうかも知れんしな?」


勇者「俺は、そっちの心配をしてんだよ!」

622 : 以下、名... - 2018/11/17 12:46:48.80 CMkDw/X/o 489/542

地女「無論、わかっている」

勇者「本当にわかってんだろうな!?」

地女「うむ! 俺は、この計画の要だからな!」

勇者「……そうじゃねえよ」


勇者「……地の四天王」

勇者「お前は、俺と思いっきり酒を飲むんだろう?」

勇者「だから――必ず、生きて帰って来いよ」


地女「……ぬうっ……不覚!」

地女「この地の四天王をキュンとさせるとは……!」


勇者「キュンとか言うんじゃねえよ気持ち悪ぃな!!」

623 : 以下、名... - 2018/11/17 12:53:47.62 CMkDw/X/o 490/542

地女「浮気は――聖女のお姉ちゃんとして、許さんぞ?」

勇者「するわけねえだろ!」

地女「妊娠中に娼館に行くのはセーフか、話し合っておけよ?」

勇者「行くわけねえだろ!?」


地女「……うむ! それでこそ、俺が見込んだ男!」

地女「光の勇者よ、やはりお前は天晴な奴だ!」


勇者「ああもう、わかったら行ってこい!」


地女「だが、お前に……一つだけ忠告しておこう」

地女「――酒は、飲んでも呑まれるなよ?」


勇者「良いからさっさと行けってんだよおおおおお!!」



おわり

630 : 以下、名... - 2018/11/17 20:26:09.88 CMkDw/X/o 491/542

書きます


地の四天王「光の勇者よ、俺は無力だった」

631 : 以下、名... - 2018/11/17 20:30:17.36 CMkDw/X/o 492/542

光の勇者(以下、勇者)「地の四天王!? もう戻ってきたのか!?」

地の四天王(以下、地王)「……うむ」

勇者「無力だった、って……何があったんだ?」

地王「俺には……もう、何も出来ぬ状況だったのだ」


地王「……地の領地、水の領地、火の領地、風の領地」

地王「どこも、顔を出したら結婚せざるを得ない感じになっていたのだ!」


勇者「……」

勇者「はあっ!?」

632 : 以下、名... - 2018/11/17 20:32:39.34 CMkDw/X/o 493/542

勇者「待て待て! どうしてそうなった!?」

地王「俺は、まず自らの領地――地の領地に向かった」

勇者「ああ……妹さんに、留守を頼むって話だったな」

地王「……ところがな」


地王「俺の留守中に、水の四天王が妹を懐柔していたのだ!」

地王「俺の屋敷に、何故か水の四天王の部屋があったのだ!」


勇者「滅茶苦茶入り込まれてるじゃねえか!?」

633 : 以下、名... - 2018/11/17 20:36:31.75 CMkDw/X/o 494/542

勇者「それ、本当に水の四天王の部屋だったのか!?」

地王「間違いない! これを見るが良い!」

勇者「……ん? なんだコレ……?」

地王「うむ!」


地王「水の四天王の、お気に入りの下着なのだ!」

地王「見ろ! 水の魔力で編まれた、スケスケの下着だ!」


勇者「自宅で下着泥棒して帰ってきてんじゃねえええええ!!」

634 : 以下、名... - 2018/11/17 20:40:41.29 CMkDw/X/o 495/542

地王「水の四天王はナイスバディな上、この下着……そそるぞ~?」

勇者「あ、ああ……って、そういう話じゃねえだろ!?」

地王「加えて、広場の俺の像の隣に……水の四天王の像が建っていたのだ」

勇者「……えっ?」


地王「なのでな? 見つかったらマズイと思い、撤退した」

地王「すまぬ……成果は、この下着しか無い」


勇者「お前、本当にそれは心の底から謝ってくれ!!」

635 : 以下、名... - 2018/11/17 20:51:08.00 CMkDw/X/o 496/542

地王「そして、水の領地の――水の四天王だ」

勇者「!? 水の四天王に会ったのか!?」

地王「はっはっは! そんな訳が無かろう!」

勇者「そうだよな! 外堀埋められまくってるもんな!」


地王「色々と、仕事の引き継ぎをしているようだったな」

地王「水の四天王は――嫁に来る準備を着々と進めているようだ」


勇者「なんか……本当に、地に足ついた生き方してんな」

636 : 以下、名... - 2018/11/17 20:54:14.18 CMkDw/X/o 497/542

地王「まあ、なので……次に行ったのだ」

勇者「次って言うと――火の四天王だな」

地王「うむ」

勇者「火の四天王なら、割と話が簡単に行ったんじゃないか?」


地王「それがな? 火の領地に踏み入ったらな?」

地王「火龍王に決闘を申し込まれたのだ」


勇者「……」

勇者「はああっ!?」

637 : 以下、名... - 2018/11/17 20:59:40.43 CMkDw/X/o 498/542

勇者「火龍王って、火の四天王の父親にか!?」

地王「うむ! 先代の、火の四天王なのだ!」

勇者「それで……ど、どうなったんだ!?」

地王「うむ!」


地王「――我を倒さねば、娘には会わせぬ!」

地王「……と、言われてな」


勇者「お前……それ、よくある‘アレ’じゃねえか!!」

638 : 以下、名... - 2018/11/17 21:08:23.19 CMkDw/X/o 499/542

勇者「お前のような奴に娘はやれん、とか言われたんだろ!?」

地王「おおっ! 光の勇者よ、よくわかったな!」

勇者「やっぱり、プロポーズした事になってんじゃねえか!!」

地王「うむ……それには、俺も慌ててな」


地王「――ならば、帰る!」

地王「……と、一旦出直そうとしたのだ」

地王「火龍王には……幼き頃から、世話になっているからな」

地王「そんな、恩のある相手をボコる訳にもいくまい?」


勇者「いや……それ! それ、お前……!?」

639 : 以下、名... - 2018/11/17 21:12:43.37 CMkDw/X/o 500/542

地王「すると、火龍王は怒り狂ってな……」

勇者「そうだろうな! 父親の立場なら、怒るよな!」

地王「プロポーズは誤解だ、と言おうとしたのだがな?」

勇者「言ったのか!?」


地王「……言えなかったのだ」

地王「――火の四天王と、その母君が突然現れてな」


勇者「……陰で見てたんだろうな」

640 : 以下、名... - 2018/11/17 21:23:13.54 CMkDw/X/o 501/542

地王「もう怒る怒る……怒りに釣られて火山も噴火してな」

勇者「……妻と娘に怒られる父親、か」

地王「絶え間ない口撃に、火龍王も為す術が無かったぞ」

勇者「それで……お前は、どうしたんだよ?」


地王「――また今度、出直して来て!」

地王「……そう、二人に言われてな」

地王「助けを求めるような火龍王の視線を振り切り、撤退した」


勇者「その状況なら……まともに話も出来なさそうだしな」

642 : 以下、名... - 2018/11/17 21:32:02.07 CMkDw/X/o 502/542

地王「そして、俺は風の領地――風の四天王を訪ねたのだ」

勇者「流石に、風の四天王は話がスンナリ行ったよな!?」

地王「まあ……話すには、話したぞ!」

勇者「? 何か、ひっかかる言い方だな」


地王「身を隠す間、風の領地に留まる事を条件に出された」

地王「風の四天王の狙いは、恐らく――事実婚なのだ」


勇者「いや……えっ、そうなのか!?」

643 : 以下、名... - 2018/11/17 21:40:36.91 CMkDw/X/o 503/542

勇者「純粋に……善意とかじゃないのか?」

地王「残念だが、それは無いぞ」

勇者「いや、そんなのわからねえだろ!?」

地王「光の勇者よ、風の四天王を甘く見るな」


地王「奴は――風の結界を用意していた」

地王「地属性の俺では……その結界の出入りは出来ぬのだ」


勇者「……お前、さりげなく一番の危機だったのか!?」

644 : 以下、名... - 2018/11/17 21:49:29.15 CMkDw/X/o 504/542

地王「ふはは! だが、みすみすやられる俺では無い!」

勇者「まあ……此処に居るってことは、逃げられたんだもんな」

地王「うむ!」

勇者「お前……どうやって逃げたんだよ?」


地王「――お前は、良い嫁になりそうだな!」

地王「と、そう言って照れている間に颯爽と撤退した」

地王「……死中に活を見出したのだ!」


勇者「お前……邪推だったら、自分で自分の首を締めただけだぞ!?」

645 : 以下、名... - 2018/11/17 22:02:22.46 CMkDw/X/o 505/542

地王「しかし、まあ……風の四天王の協力は取り付けた……な?」

勇者「ああ、まあ……そうだな」

地王「水の四天王は顔を合わせられず……火の四天王は保留だ」

勇者「……それで、こんなにすぐ帰ってきたのか」


地王「……こんな成果では、おめおめと帰れなかった」

地王「己の無力を嘆いた俺は――酒場へと赴いたのだ」


勇者「……」

勇者「待て」

646 : 以下、名... - 2018/11/17 22:10:17.58 CMkDw/X/o 506/542

地王「久々の酒は美味かった! ああ、美味かった!」

勇者「お前……飲んで、どうした!?」

地王「銘酒『竜殺し』! スルリとした飲み口で、カパカパいけた!」

勇者「酒の感想なんか聞いちゃいねえんだよ!」


地王「朝起きたら見知らぬ女がベッドに居たのだ!」

地王「薄らぼんやりと、ヤっちゃった記憶があるのだ!」


勇者「なんでお前はそうなんだよおおおおお!?」

647 : 以下、名... - 2018/11/17 22:17:32.98 CMkDw/X/o 507/542

勇者「お前! それでどうしたんだ!?」

地王「うむ! その女が寝てる間に逃げてきたぞ!」

勇者「このクズ! んあああもう、このクズ!」

地王「大丈夫だ! 俺が、地の四天王とはバレていない! 多分!」


地王「それでな? 確か……」

地王「雷の――勇者だったか、女帝だったかと言っていたのだが……」

地王「光の勇者よ、どちらだと思う?」


勇者「俺に聞くんじゃねえよおおおおお!!」

648 : 以下、名... - 2018/11/17 22:26:47.51 CMkDw/X/o 508/542

勇者「お前って奴は……どうしてだよ!?」

地王「うむ……俺も、自分で自分が恐ろしい」

勇者「いっそ、全部話した方が早いんじゃねえか!?」

地王「光の勇者よ、何を言っている!」


地王「和平など、有り得ぬ!」

地王「――全滅か!」

地王「――先延ばしか!」

地王「既に……和解など出来ぬ状況なのだ!」


勇者「お前のせいでな!」

649 : 以下、名... - 2018/11/17 22:33:03.42 CMkDw/X/o 509/542

地王「それでな? 先延ばししている間に、なっ?」

地王「良い感じに、時が解決してくれると……俺は信じているのだ」


勇者「クソッ……どうして、こんなにややこしくなったんだ!」


地王「――光の勇者よ、すまぬな」

地王「俺が、酔ってヤっちゃったばかりに、迷惑をかけている」


勇者「本当にな!?」


地王「だが……そのおかげで、こうして気安く話せる仲になれた」

地王「その点に関しては、俺に感謝しても良いのではないか?」


勇者「うるせえよ!……うるせえよ!!」

650 : 以下、名... - 2018/11/17 22:45:30.57 CMkDw/X/o 510/542

地王「何にせよ、あまり時間は残されていない」

勇者「まあ……そうだな」

地王「祝福の聖女のお腹が目立つ前に、何とかせねばな!」

勇者「……本当にな!」


地王「さて……それでは」

パァァ……ァァァ

大地の魔女「――明日に備えて、今日はもう寝るか!」


勇者「くそっ……どうしてこうなったんだ……!」

651 : 以下、名... - 2018/11/17 22:53:21.75 CMkDw/X/o 511/542

  ・  ・  ・

祝福の聖女(以下、聖女)「……という訳なんです」

剣の乙女(以下、乙女)「……なるほどね」

聖女「すみません……迷惑をかけちゃいますよね」

乙女「何を言ってるのよ、水臭い」


乙女「――赤ちゃんと、光の勇者との結婚」

乙女「祝福の聖女……本当に、おめでとう」



聖女「ふふっ……ありがとうございます」

652 : 以下、名... - 2018/11/17 23:01:59.10 CMkDw/X/o 512/542

乙女「旅が中断している間……私達が、貴女も守るわ」

聖女「剣の乙女さん……」

乙女「光の勇者と、私と……大地の魔女のお姉様の三人で、ね」

聖女「本当に……ありがとうございます……!」


乙女「猶予は三年、でしょう?」

乙女「それだけあれば……私も、お姉様との子供を授かれると思うの」

乙女「だから、私も感謝してるわ」


聖女「……はい?」


乙女「ふふっ! きっと――奇跡が起きると思うのよね!」


聖女「……」

聖女「えっ!?」



おわり

656 : 以下、名... - 2018/11/18 19:52:02.73 CrfyuX0vo 513/542

書きます


地の四天王「光の勇者よ、世話になった!」

657 : 以下、名... - 2018/11/18 19:55:41.43 CrfyuX0vo 514/542

地の四天王(以下、地王)「俺とお前は、本来ならば敵同士!」

地王「だが、お前は……そんな俺を救ってくれた!」

地王「お前が居なければ、とうに俺の命は尽きていただろう!」

地王「……ふっ」


地王「光の勇者よ! 例え、敵同士であろうとも……」

地王「お前は……俺の――真の友だ!」


地王「友よ、本当に世話になった!」

658 : 以下、名... - 2018/11/18 19:58:47.02 CrfyuX0vo 515/542

  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「……まあ、そうだな」

勇者「だけどな? 地の四天王」

勇者「なんで……こんな朝っぱらから、そんな事を言うんだ?」

勇者「……と、いうか――」


地王『む、ちょっと待つのだ光の勇者よ』

地王『酔い止め? 何を言う!』

地王『この俺は、酒には酔うが船酔いなどせぬわ!』


勇者「――お前はどこに居んだよおおおおお!?」

659 : 以下、名... - 2018/11/18 20:03:10.16 CrfyuX0vo 516/542

勇者「起きたら、お前の痕跡は綺麗サッパリなくなってるし!」

勇者「大体、どっから思念波飛ばしてんだ!? 酔い止め!?」

勇者「地の四天王! まさかとは思うが……」

勇者「――全部放り出して、逃げる気じゃねえだろうな!?」


地王『光の勇者よ』

地王『大地の魔女として、お前達と……仲間と過ごした日々!』

地王『俺は、決して忘れる事はないぞ!』


勇者「待て! 待て待て待て待て! 待て!!」

661 : 以下、名... - 2018/11/18 20:08:26.72 CrfyuX0vo 517/542

勇者「お前、ふざっ……ふざけんなよ!?」

勇者「計画にしても、まだお前の仕事が残ってんだろうが!」

勇者「せめて、それを片付けてからにしろよ!」

勇者「やる事をやってからだろ!? なあ、おい!!」


地王『光の勇者よ、後は任せた!』

地王『……と、引き継ぎは果たされた!』

地王『お前ならば、見事やり遂げてみせるだろう!』


勇者「ふっざけんじゃねえぞこらあああああ!?」

663 : 以下、名... - 2018/11/18 20:14:09.00 CrfyuX0vo 518/542

勇者「お前は、真の友と言っておきながらそういう事するのか!?」

勇者「状況が状況なら、感動する台詞だよ!」

勇者「けどなぁ! この状況で言われても怒りしか湧かねえよ!」

勇者「さっさと戻って来い! 冗談じゃねえぞ!?」


地王『光の勇者よ、何を言っているのだ』

地王『――俺とお前は、本来ならば敵同士!』 

地王『……と、言う訳でな?』

地王『お前を困らせる事に、何の躊躇いもない!』


勇者「……こんのクズ野郎があああああ!!」

664 : 以下、名... - 2018/11/18 20:20:17.92 CrfyuX0vo 519/542

  ・  ・  ・

地王「まあ、俺とてこの決断をするのは躊躇った」

地王「……だが!」

地王「俺は、気付いた! 気付いちゃったのだ!」


地王「――あれ?」

地王「何がどう転んでも、俺が死ぬ状況になっているな?」

地王「……とな!」


勇者『俺がぶっ殺してやるから戻って来いやあああああ!!』

665 : 以下、名... - 2018/11/18 20:26:17.31 CrfyuX0vo 520/542

  ・  ・  ・

勇者「そもそも、お前が原因だろうが!」

勇者「勇者に尻拭いを頼む四天王が何処に居る!?」

勇者「っつーか、友とかいう発言はどうしたんだよ!」

勇者「お前、友に対する仕打ちがこれか!?」


地王『ほう! クラーケンが出るかも知れぬと!』

地王『ふはは! 酒のツマミにしてくれるわ!』


勇者「聞けよお前はよおおおおお!?」

666 : 以下、名... - 2018/11/18 20:35:37.78 CrfyuX0vo 521/542

勇者「……もうキレた」

勇者「ああ、上等だよ! 地の四天王!」

勇者「お前の所業を洗いざらいぶちまけてやるよ!」

勇者「そうすりゃ、魔王や四天王達がお前を追うだろうからな!」


地王『光の勇者よ、やめておくのだ』

地王『――何故、お前がそれを知っているのか?』

地王『と、いう流れになったらな? なっ? わかるだろう?』

地王『――俺の次に詰んでいるのは、お前なのだ』


勇者「……どチクショウがあああああ!!」

667 : 以下、名... - 2018/11/18 20:39:47.33 CrfyuX0vo 522/542

  ・  ・  ・

地王「それになぁ……嫌な予感がするのだ」

地王「こう、何と言うかな?」


地王「――今が、限界」


地王「――これ以上は、必ず誰かが不幸になる」


地王「……とな」

地王「まあ! その、誰か、の中に俺は確実に含まれているが!」


勇者『今は俺が不幸の真っ最中だよこらあああああ!!』

668 : 以下、名... - 2018/11/18 20:43:04.04 CrfyuX0vo 523/542

地王「――光の勇者よ!」

地王「お前は、この俺が見込んだ男!」

地王「どんな苦難にも負けず、未来を掴み取る!」

地王「――真の勇者だ!」


地王「それに……お前は、父親になるのだろう」

地王「へこたれている暇など……あるまい?」


勇者『余計なお世話だよくそったれえええええ!!』

669 : 以下、名... - 2018/11/18 20:50:10.80 CrfyuX0vo 524/542

  ・  ・  ・

勇者「あああもう! 何て言えば良いんだよ!?」

勇者「聖女は魔王と仲良くなってて……」

勇者「剣の乙女も、火の四天王と……」

勇者「それに! 他の四天王にも何て言えば!」


地王『光の勇者よ、案ずる事は無い!』

地王『お前が、良い感じに立ち回り……ほとぼりが冷めた頃!』

地王『――俺は、必ず戻ってくる!』

地王『お前と酒を酌み交わし……お前と聖女の子を見に、な』


勇者「まるっきり俺任せじゃねえかあああああ!!」

670 : 以下、名... - 2018/11/18 20:53:55.70 CrfyuX0vo 525/542

  ・  ・  ・

地王「ふはは! ならば、今一度言おう!」


地王「光の勇者よ、助けてくれ!」


地王「……と、言うわけで俺はもう船に乗り込む」

地王「なので、別れの挨拶はこれで終わりなのだ」


地王「――船に乗り遅れる訳にはいかんからな!」

地王「そして!」

地王「――もし出港が遅れでもしたら、気まずいのでな!」


勇者『なんでそういう所はまともなんだよお前はよぉ!?』

671 : 以下、名... - 2018/11/18 21:01:08.43 CrfyuX0vo 526/542

  ・  ・  ・

地王「まあ、なんだ」

地王「――待っていてくれ、必ず戻る」

地王「……とか言っておけば大丈夫なのだ! 多分!」

地王「それでは――光の勇者よ、さらばだ!」

地王「また、相まみえる日を楽しみにしているぞ!」


勇者『っ!? おい、ちょっとまっ』


地王「はい、終了……と」

地王「……さて」


地王「船室に行き、たらふく酒を飲んでくれるわ!」

地王「はっはっはっ! はぁ―――っはっはっはっ!!」

672 : 以下、名... - 2018/11/18 21:10:25.56 CrfyuX0vo 527/542

  ・  ・  ・

勇者「おい! ちょっ……おい、マジでか!?」

勇者「……」

勇者「マジでかぁ……!?」

勇者「……」


勇者「本当に……俺がやるしかねえのか……!?」

勇者「アイツの……超弩級の尻拭いを……!?」


勇者「……」


勇者「こんな事になるなら……!」


勇者「最初から、奴を倒しておくんだった……!」

673 : 以下、名... - 2018/11/18 21:17:14.70 CrfyuX0vo 528/542

  ・  ・  ・

地王「……う……むむ」

地王「……ふわぁぁあ……む」

地王「……」

地王「あー……たらふく飲んで、寝てしまったのだ」


地王「……む?」


地王「船室で飲んでいた筈なのだが……」


地王「……むうう?」



地王「俺は、どうして砂浜で寝ているのだ?」



おわり

677 : 以下、名... - 2018/11/19 20:13:14.66 t+7DveKTo 529/542

書きます


光の勇者「地の四天王、戻って来るなよ」

678 : 以下、名... - 2018/11/19 20:18:44.49 t+7DveKTo 530/542

光の勇者(以下、勇者)「……頼むぞ、本当に」

勇者「……」

勇者「顔も見たくない、ってのは正直ある」

勇者「……」


勇者「地の四天王、本当に頼むぞ」


勇者「……お前が戻って来たら――」


勇者「――地獄が始まる」

679 : 以下、名... - 2018/11/19 20:25:29.60 t+7DveKTo 531/542

  ・  ・  ・

祝福の聖女(以下、聖女)「ふんふん~ん♪」

聖女「……ふふっ!」


聖女(突然居なくなっちゃって……悲しかったけど)

聖女(でも――帰って、来るんだよね)

聖女(大地の魔女の……お姉ちゃん)

聖女(戻って来るの……楽しみだなぁ)


聖女「お姉ちゃん……闇の魔王さんとは、もう知り合いだから――」

聖女「――水の四天王さんも紹介したいな!」


聖女「それで、光の勇者様と、剣の乙女さんと……」

聖女「……私達の赤ちゃんと、皆で……えへへ///」

681 : 以下、名... - 2018/11/19 20:40:32.81 t+7DveKTo 532/542

  ・  ・  ・

闇の魔王(以下、魔王)「……ふふっ」

魔王「地の四天王よ……まさか、余をも欺くとは」


魔王(隠れ潜む間、余の側近として傍に置こうとしていたのだが)

魔王(計画が露見せぬ様、念には念を……という訳か)

魔王(ふっ……余は、きっと引き止めてしまっただろうな)

魔王(……地の四天王よ)


魔王「――其方は、今何処に居る?」

魔王「嗚呼、何故……余は、こんなにも苦しい思いをせねばならん」


魔王「……戻ったら、この苦しみの代償を支払って貰わねば」

魔王「ふふっ……地の四天王――其方自身で、な」

682 : 以下、名... - 2018/11/19 20:47:52.44 t+7DveKTo 533/542

  ・  ・  ・

水の四天王(以下、水王)「……ふぅ」

水王「地の四天王は……貴方は、まだ戻らないのね」


水王(けれど――待っていてくれ、必ず戻る)

水王(貴方がそう言ったらしいと……魔王様にお聞きしましたわ)

水王(皆の前では、戻ってこなくても良いと……虚勢を張るのが精一杯)

水王(けれど……次に貴方の顔を見た途端、涙が溢れてしまうでしょうね)


水王「――早く、戻ってきてくださいな」

水王「地の領地の民も、妹君も……祝福してくれますわ」


水王「……戻ったら、皆に二人で言いましょうね」

水王「私達が――愛し合っている、と」

683 : 以下、名... - 2018/11/19 20:54:42.83 t+7DveKTo 534/542

  ・  ・  ・

剣の乙女(以下、乙女)「――閃!」

乙女「……少し、休むか」


乙女(お姉様……あんまりよ)

乙女(恋人である私と、顔も合わせず行ってしまうなんて)

乙女(……けれど、もし面と向かって言われたら)

乙女(……私は、無理にでも貴女に着いて行ってしまったでしょうね)


乙女「……大地の魔女のお姉様」

乙女「貴女の思惑通り――戻るまで、私が聖女を守るわ」


乙女「その役目が終わったら……きっと」

乙女「私達にも――愛の奇跡が起きるわよね」

684 : 以下、名... - 2018/11/19 21:02:59.15 t+7DveKTo 535/542

  ・  ・  ・

火の四天王(以下、火王)「……はぁ」

火王「地の四天王……私の、愛しい人」


火王(パパは……ママと二人で叱り倒しておいたぞ)

火王(――言ってみたかった)

火王(……なんて、そんな理由だったんだからな)

火王(そもそも……婚約の話も、パパが最初に言い出したのに!)


火王「お前は……私を奪いに、単身乗り込んできてくれた」

火王「あの時の喜びが、今でも私に力を与えてくれる」


火王「……戻ったら皆に……剣の乙女に二人で言おう」

火王「地の四天王――大地の魔女は……火の四天王と結婚する、と」

685 : 以下、名... - 2018/11/19 21:18:15.00 t+7DveKTo 536/542

  ・  ・  ・

風の四天王(以下、風王)「どれ、少し味見……」

風王「……少し薄いけど、その方が良いかな」


風王(――お前は、良い嫁になりそうだな!)

風王(地の四天王……君は、恐ろしい男だよ)

風王(まさか、この僕が……料理の練習をするだなんて、ね)

風王(それもこれも……全部、君が悪いんだ)


風王「君を逃さないための風の結界に気づいていながら……」

風王「僕にあんな言葉をかけた意味が……わからない筈、ないだろ?」


風王「ははっ! エプロン姿は……気に入ってくれるかな?」

風王「君が戻ったら……誰を犠牲にしてでも、二人で居ようね」

686 : 以下、名... - 2018/11/19 21:22:20.43 t+7DveKTo 537/542

  ・  ・  ・

勇者「……お前がきっかけで、結ばれた友情もあった」

勇者「……」

勇者「それが無ければ、俺と聖女も……ただの仲間のままだった」

勇者「……ああ、驚いたよ」


勇者「――勇者様が浮気しても、私は怒りませんよ」

勇者「――全身の毛穴から血が吹き出し、激痛で発狂しますから」


勇者「……感謝はしてるさ!  ああ、凄くしてる!」

勇者「だけど……何か……! 何かなぁ!?」

687 : 以下、名... - 2018/11/19 21:26:22.54 t+7DveKTo 538/542

勇者「……だけど、地の四天王」

勇者「……」

勇者「お前が戻ってきたら……全部、終わるんだ」

勇者「……」


勇者「地の四天王よ」

勇者「頼むから……帰って来ないでくれ……!」


勇者「それが……俺の望みだ……!」

688 : 以下、名... - 2018/11/19 21:31:51.41 t+7DveKTo 539/542

  ・  ・  ・

地の四天王(以下、地王)「帰りたい! 今すぐにでも、帰りたい!」

地王「ええい、何なのだこの島は!」

地王「何故、溢れんばかりの聖なる力に包まれている!」

地王「おかげで、思念波も全く使えん!」


地王「伝説の、妖精達の楽園でもあるまいに!」


地王「泳いで離れようとしても、島の反対側についてしまう!」

地王「これでは、島から離れることすら出来ぬではないか!!」

689 : 以下、名... - 2018/11/19 21:38:09.67 t+7DveKTo 540/542

地王「何が楽園だ、図に乗るな!」

地王「まあ、確かに? 素晴らしい場所ではあるが?」

地王「俺は――」


地王「――肉が食いたい!」


地王「それに何より――酒が飲みたい!」


地王「どちらも無い島でなど、バカンスにならんわ!」

地王「……ええい!」


地王「魔法で、島を海の底に沈めてやろうか!」

690 : 以下、名... - 2018/11/19 21:45:10.91 t+7DveKTo 541/542

地王「そのためには……島の中央に行く必要があるな」

地王「あのでかい樹が……恐らく、島の中央か」

地王「……何とも見事な」

地王「もしもこの島が妖精達の楽園ならば……あれは世界樹か」


地王「まあ、だからどうしたという事も無いな!」

地王「俺は、一刻も早く酒が飲みたいのだ!」


地王「酒よ、待っていろ!」


地王「この地の四天王、すぐにでも舞い戻るぞ!」



第一部 おわり

693 : 以下、名... - 2018/11/19 22:01:30.48 t+7DveKTo 542/542

暇つぶしに蛇足書いてましたが、第二部の予定は一切ありません
全員の死亡フラグ立てての島流しENDです
続き書きたい人が居たら、書いちゃっておkです

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