キョン「へえ、よかったな」
古泉「是非あなたにプレイしていただきたいのですよ」
キョン「いや、俺はウィザードリィ派だから遠慮しとくわ」
古泉「あなたが主人公の恋愛ゲームなのですが…」
キョン「…何で俺が主人公なんだ、モデル顔のお前でいいじゃねーか」
古泉「お褒めに与り光栄ですが、僕では攻略出来るキャラが制限されてしまいますので」
キョン「オイ…その攻略するキャラってのはあれか?」
古泉「もちろん涼宮さんたちです」
元スレ
古泉「ゲームを作ってみたんですが」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1258548853/
キョン「決めた、絶対にやらん」
古泉「ムービーもかなり凝ってるんですよ?」
キョン「ゲームにそんなもんいらん、イベントの進行はテキストのみで十分だ」
古泉「例えば…これは涼宮さんルートのベストエンドですね」ピッ
キョン「だからムービーなんざゲームには…」
ハルヒ『あっ…ああっ!キョン!もっと突いて!!』
キョン「いや待てェェェェ!!」
古泉「?」
キョン「『?』じゃねーよ!なんだこのムービー!お子様への配慮ゼロじゃねーか!」
古泉「長門さん達のルートも見てみますか?」ピッ
キョン「いや、止め…」
長門『来て…んっ…あなたのを…中で…受け止めたい』
みくる『き、気持ちいいです…あたしはあなたの奴隷ですぅ…もっと激しく犯し』
キョン「ドクターストォォォォォップ!!」
古泉「こういうシーンで止めると空気読めって叩かれますよ?」
キョン「誰にだ!お前もっと自分のキャラ考えろよ!無敵なの?スターでも取ってんの?」
古泉「あとは…隠しルートも何パターンか」ピッ
キョン「ちょ…」
鶴屋『んっ…キョン…く…好き…ああっ!もっと…して…!』
朝倉『こ、これが…有機生命体の…!快感が押し寄せて…』
喜緑『すごいです…会長よりも奥まで届い…はぁ…ああっ!』
古泉『さすがに大きいですね…いいですよ、僕を壊してください』
キョン妹『キョンくーん、これすごく気持ちいいー!』
キョン「誰か警察呼んでェェ!不審者がいますよォォォ!?」
古泉「??」
キョン「『??』じゃねーよ!てか何で疑問符が増えてんの?」
キョン「今、絶対にいちゃいけないキャラがいたよね?明らかにダメなの混じってたよね?」
古泉「ああ、すみません…さすがに妹さんはやりすぎましたね」
キョン「いやそれもだけど!もっと大変な奴がいただろうが!」
古泉「そう怒らないでください、どうです?少しはやってみたく…」
キョン「なるわけねーだ…いや待て、ベストエンドがあるなら分岐もあるのか?」
古泉「ええ、分岐によってベスト、グッド、ノーマルとエンディングが変わります」
キョン「グッドエンドのオチはどうなってんだ?」
古泉「それは是非プレイして確かめてください」
キョン「…まあ話が進まねーしな、やってやるよ」
古泉「ではどうぞ、自分で言うのも恐縮ですがなかなか楽しめると思いますよ」
キョン「そうかい…んじゃスタート」ピッ
『(古泉一樹が贈る最高のラブストーリー)』
キョン「どっかで聞いたことあるんだが…」
古泉「気のせいでしょう…それよりどうぞ、早く進めてください」
キョン「へいへい…」ピッ
キョン『サンタクロースを…』
キョン「オイ、なんで俺のモノローグまで正確に再現してあるんだ?」
古泉「あなたのことは何でも知っていますから」
キョン「…ここはスキップと」ピッ
ハルヒ『この中に宇宙人、未来(ry』
キョン「懐かしいな…うん」ピッ
古泉「…さっきからスキップ多くないですか?」
ハルヒ『協力しなさい』
なぜだ
嫌だ
キョン「ここで選択肢か…『嫌だ』じゃ話が進まねーから『なぜだ』だよな」ピッ
キョン『なぜ俺がお前の思いつきに協力…』
キョン「やれやれここも長いな…スキップと」ピッ
ハルヒ『好きぃ…キョン…!もっと突い』
キョン「何でだァァァァァ!?」
古泉「?」
キョン「ちょっと待てよお前!今のスキップの間に何があったんだ!?」
古泉「それは飛ばすあなたが悪いのでは…」
キョン「いやそうかもしれないけども!これは絶対おかしいだろ!」
キョン「なんでちょっと協力しかけただけでベッドイン!?こんなのありえ…」
ハルヒ「やっほー!…ってあれ?二人ともパソコンで何やってるの?」
キョン「まずい」
古泉「おやおや」
キョン「ハ…ハル…いや!何もないぞ…」
ハルヒ「嘘、何か二人でやってたじゃない」
キョン「いや、何も…」
ハルヒ(ゲーム)『好き…好きなのぉ…もっとしてぇ!』
ハルヒ「……」
キョン「……」
古泉「サアミンナ!コノジョウキョウデモイケルカナ?ヤレルカナ?ポケモンイエルカナ!?」
ハルヒ「今の声…何?気のせいかあたしみたいだったけど?」
キョン「……今YouTubeでデスノートを見ててな、弥海砂が月に告白するところなんだ」
ハルヒ「へぇ…」
ハルヒ『ダメ…キョン…キョン!あたし…また…イっちゃう…イクゥー!!』
ハルヒ「……」
キョン「……」
古泉「ピカチューカイリューヤドランピジョンコダックコラッ……」
ハルヒ「デスノートにキョンなんてキャラいたんだ?ずいぶん愛されてるみたいだけど」
キョン「え?キョンなんて聞こえた?俺にはぜーんぜん……」
ハルヒ「……」
キョン「……すまん」
古泉「アーボイーブイウツドンエレブー……ランランランイエルカナ!キミハイエルカナ!ランランランイエルカナ!ポケモンノナマエー!!」
キョン「イマクニ、お前ちょっと黙ってろ」
ハルヒ「本当に今どこにいるのかしら、イマクニ」
ハルヒ「…で、何か申し開きをすることは?」
キョン「はい!はい!これ作ったの古泉です!」
キョン「…古泉くん、それ本当?」
古泉「それは確かに事実ですが…あのようなムービーを入れた覚えはありませんね」
古泉「おそらく…操作中に何らかのバグが発生してしまったのではないかと思います」
キョン『バカかてめえ!バグであんなクオリティ高いムービー流れるわけねーだろ!』
ハルヒ「つまり古泉くんは悪くないってわけね」
キョン『オ、オメーも簡単に信じてんじゃねーよ!』
どうでもいいけどマジでイマクニは何やってるんだろうか
ハルヒ「悪いのはバグを起こすようなプレイをした…このエロキョンってわけね?」
キョン「いや待ってェェ!ちょっと待ってェェェ!?」
ハルヒ「な、何よ…これ以上言い訳するなら罪は重くなるだけよ!」
ハルヒ「第一ああいうことしたいならあたしに直接言ってくれれば…」ゴニョゴニョ
キョン「だから誤解だ!俺めちゃめちゃ無実だからね!?」
古泉「もう諦めて素直に自供したほうがよろしいのでは…」
キョン「古泉、お前もう帰れ、夜空に輝く星になれよ」
古泉「これは失礼を…」
ハルヒ「と、とにかく団員がこんなもの持ってちゃダメなんだから!これは没収よ!」
キョン「いやいいよ!むしろ早く処分してほしい位なんだけど!」
古泉「そ、そんな…処分だなんて!」
キョ・ハ「え?」
古泉「い、いえ…さすがに処分というのはやりすぎではないかと思いまして…」
ハルヒ「でもこんなゲーム、何の役にも立たないただのゴミにしかならないわ!」
古泉「ゴミとは何ですか!人が一生懸命作ったものを!」
キョ・ハ「…え?」
古泉「ハッ…すみません、バグが合ったとはいえ作ったのは僕ですからつい…」
ハルヒ「ま、まあ古泉が作ったっていってもあの変態ムービーはバグのせいだから!」
ハルヒ「あたしが理解できないのはああいうのを見て欲情する奴らよ!」
古泉「……」
古泉『お前は俺を怒らせた』
ハルヒ「作る奴もどうかしてると思うけど…あんなので欲情するなんて信じられないわ」
古泉「お前ちょっと表出ろや」
キョ・ハ「……」
古泉「……実は僕、夢遊病とか白昼夢だとかそういった類の病が…」
キョン「古泉、それはさすがに苦しいぞ」
ハルヒ「あの…え、と…とにかくこれは没収だから…」
キョン「俺は一向に構わんが」
古泉「僕も…彼と同意見です、どうぞ涼宮さんが処分なさってください」
キョン『古泉…噛みしめた唇から血が流れてるぞ…』
ハルヒ「……」
キョン「……」
古泉「……」
ハルヒ「あ、あたし今日は帰るわ!今日の団活は中止ってみくるちゃんたちにも言っておいてね!」
キョン「ハルヒのやつ逃げたな…古泉」
古泉「…何も言わないでください、何を思うかは分かってますから」
古泉「でも…どうしても…僕には我慢できなかったんです」
キョン「ある意味男だよお前は」
古泉「巴姉が可愛いんです…妹よりも姉のほうが良いに決まってます」
古泉「たとえ僕は一人になったとしても姉萌えと叫び続けてみせます…」
キョン「あの…まあ頑張ってください」
ハルヒ宅
ハルヒ「没収したはいいけどこれどうしよう……ちょっとくらいならやってみても」ピッ
キョン『サンタクロースを…』
ハルヒ「こ、これ全部キョン視点なの!?何を考えてるかまで分かるなんて……最高じゃない!」
ハルヒ『宇宙人、未来(ry』
ハルヒ「…冷静に見直してみるとこれ、かなり恥ずかしいわね」
キョン『えらい美人がそこにいた』
ハルヒ「び、美人だなんて…うぅ、思ってるなら実際に口に出して言いなさいよぉ…」
ハルヒ『協力しなさい』
なぜだ
嫌だ
ハルヒ「確かキョンは…『なぜ俺がお前…』とか言ってたから、ここは『なぜだ』ね」ピッ
キョン『なぜ俺がお前の…』
ハルヒ「ほら、あたしこういうのはちゃんと覚えてるんだから!」
『(翌日)』
ハルヒ「えっと…確かこの次は…」
ハルヒ『キョン…ちょっと屋上に来なさい』
ハルヒ「…あたしこんなこと言ったっけ?」
キョン『何だ、今度は何を俺に押し付けようと言うのだ?』
ハルヒ『あたしね…こんな風に素直になれたこと初めてなの』
ハルヒ「…え?」
ハルヒ『だから…だからねキョン……』
ハルヒ「…え?え??」
ハルヒ『…あたしを抱いてほしいの』
ハルヒ「エエェェェェェ!?何言っちゃってんのあたし!バカ?ねえバカなの?」
ハルヒ「ちょっと話しただけで体許すなんて…あたしそんな軽い女じゃないわよ!?」
キョン『…ハルヒ、俺も実はお前が…』
ハルヒ「あんたも簡単にOK出すんじゃない!」
数時間後
ハルヒ「ハァ…ハァ…ゲ、ゲーム相手にあたしは何をしてるのよ」
ハルヒ「にしても…何でキョンとエッチシーンなんて入ってたのかしら」
ハルヒ「もしかして実際にキョンとあたしって…」
ハルヒ「……いやいや、ないわ、ゲームと現実がごっちゃになったらお終いよ」
ハルヒ「でももし……」
翌日、キョン宅
キョン「クー…クー…」
キョン妹「キョンく~ん、朝だよ~!」
キョン「クー…」
キョン妹「起~き~て~!」
キョン「……」
キョン妹「…あたし、もうイっちゃう!」
キョン「!?」
キョン妹「あ、起きた!ご飯だよキョンくん」
キョン「くそっ、耳元であんなこと叫ばれたら起きるに決まって……あれ、待てよ」
キョン「あいつあんな卑猥な起こし方してたっけか…?」
学校
キョン「ようハルヒ、ちゃんとあれ処分してくれたか?」
ハルヒ「えっ…あ、当たり前じゃない!即焼却処分したわ」
キョン「そうか、ならいいが…」
ハルヒ「……」
キョン「…オイ、本当に処分したんだろうな」
ハルヒ「し、ししし、したってさっきも言ったじゃないかっ!」
キョン「若干鶴屋さんが混じってるぞ」
長門『聞こえてる?』
キョン『長門…?え、何これ…テ、テレパシー?何でわざわざテレパシー?』
長門『今現在あなたがいる空間と私がいる空間は隔絶しているから』
キョン『…はい?』
長門『あなたと涼宮ハルヒは今から六時間十三分四十七秒前にこちらから消えている』
キョン『…また神様のハルヒがいなくなって世界の危機再来ってやつですか』
長門『それは違う、今回はこちらの世界に影響はない』
キョン『あれ、ねーの?』
長門『そこは涼宮ハルヒの願望を試験的に実現した世界』
キョン『…で、そいつはどんなトンデモ世界なんだ?』
長門『古泉一樹が作成したゲームの設定を再現した世界』
キョン『…いや意味分からんけど』
長門『涼宮ハルヒはあなたとより近い関係になることを望んでいた』
長門『だが…原作者の筆が止まっていることによりじり貧状態になっていた』
キョン『凄まじいメタ発言だなオイ、谷川流頑張ってくれ』
長門『そんな状態で彼女は昨日、古泉一樹のゲームを興味本位でプレイした』
長門『ゲームの中であなたと彼女は肉体関係を持っていた』
キョン『…』
長門『彼女は考えた、このゲームの設定なら自分もあなたと近い関係になれるのではと』
キョン『…で、いいないいな、エロゲーっていいなってなったのか?』
長門『残念ながらおいしいおやつもお風呂もない、その世界はある意味で危険』
キョン『何が?』
長門『設定上、現在あなたは少しの弾みで女性と肉体関係を持てる』
キョン『…』
長門『仮にほかの女性とあなたが性行為をしている場面を彼女が見たら…』
キョン『ああ、俺…絶対死ぬね』
長門『そういうこと…ちなみに、その世界が持続するのはおそらく三日程度だと思われる』
長門『あなたはその間、数々の誘惑やイベントを全て回避しなければならない』
キョン『ハルヒも含めてか?』
長門『仮に彼女がその空間であなたと交わったならば…』
ハルヒ『やったわ!この世界ならあたしの夢が叶う…ウフフ…アハハ』
長門『…となるおそれがある』
長門『最悪、彼女は夢の世界の住人になる可能性も予測される』
キョン『ああ…なるほどね』
長門『最後に朝比奈みくると古泉一樹から伝言がある』
長門『あ、あの…その…キョンくん、出来れば優しくしてください 朝比奈みくる』
キョン『いややましいことは何もしねーけど…』
長門『羨ましい…僕の夢の世界にあなたは今飛び立ち、大いな(ry…は僕の嫁ですよ 古泉一樹』
キョン「清々しいほどスパッと端折ったな」
長門『それと…ゲーム中の私は私ではない、行為の際は好きにしていい』
キョン『いや、だから何もしないって』
あれ…何でだろう、急に瞼が重くなってきた
長門『無事を祈る…また』
キョン「さて…フラグクラッシャーだのと呼ばれてる俺だが、何とか乗り切れるのか?」
昼休み
谷口「キョン、はやく飯食おうぜ」
キョン「すまん、今日はちょっと用事がある…」
谷口「そ、そうか…お前が…グスッ…そう言うなら…ヒック…仕方ねえよな…」
キョン「す…すまん」
キョン『何で飯断ったぐらいで号泣してんの!?え、俺のせい?俺のせいなの?』
部室
キョン「うっかり教室で飯なんぞ食ったらヤバい、ここなら誰も来ないはず…」
みくる「あーキョン君だー!」
キョン「…やっちまったぜ」
みくる「あたしも今からなんです、一緒に食べませんか?」
キョン「い、いや…ちょっと俺は遠慮して…」
みくる「うぅ…キョン君はあたしなんかとご飯食べたくないんですね…」
キョン「いや、決してそういうわけじゃないんですよ!ただ…」
みくる「じゃあいいんですね!やったぁー!キョン君とお昼ー!」カチャ
キョン「…旦那、何でさりげなくドアに鍵かけたんですか?」
みくる「いいからいいから、それよりはやく食べましょうよ!」
キョン『やべえ…早くもやっちまったのか?いや…飯だけ食って即逃げりゃ大丈夫だ!』
キョン「すいません、俺用事があるんで食事が終わったらすぐに行きますから…」
みくる「えへへ…良いですよ、キョン君とご飯食べられるだけで私は幸せですから」
キョン「は、はぁ…そういってもらえるのは嬉しいですね」
みくる「あ、あの!おかずの取り替えっことかしてみませんか?」
キョン「いいですよ?」
キョン『毒とか入ってねーよな……ない、それはねーよ』
みくる「じゃあ私、この唐揚げもらいますね♪」
キョン「じゃあ俺は…この厚焼き卵にしますよ」
みくる「…あの、どうですか?」
キョン「ええ、おいしいですよ」
キョン『毒もなんもねーみたいだし…まあセーフか』
書き溜め尽きた…しかも今から仕事っていうね…正直申し訳ない
もし落ちてもまた立てて完結はさせます
みくる「良かったぁ…おいしくないって言われたらどうしようかと思っちゃった」
キョン「いえいえそんな…」
みくる「嬉しいです…本当にそう言ってもらえて」
キョン「…はい?」
みくる「私、この時代の人とはあまり親しくなっちゃいけないんです…」
みくる「でも…キョン君はいつも優しくて、お茶もおいしいって言ってくれて…」
キョン『やばい、この流れ』
みくる「気がつかないうちに…もしかしたら、あたしキョン君のことが…」
キョン『…朝比奈さんが鍵をかけたから弁当を食った後で襲ってくるのかと思っていた』
キョン『だが違った…このイベントは弁当を食った時点で発動する誘発型だったのか!』
キョン『くそー、世界の半分をやろうとか言ってきたらすぐに対処できたのに!』
キョン『やべーよどうしよう、何か行動をとって回避しねーとゲームオーバーだよ』
みくる「キョン君が…」
キョン「危ない!朝比奈さん!」ドンッ
みくる「ぴゃぁっ!」
みくる「ど、どうしたんですか…?」
キョン「いまだれかがけんじゅーであさひなさんをねらってました」
みくる「ええっ!」
キョン「いぜんあさひなさんをゆーかいしたやつらかもしれません、おれがみてきます」
みくる「そんな…あ、危ないです!私も一緒に…」
キョン「いえ、おれはだいじょーぶですから」
みくる「あの…何で棒読みなんですか?」
キョン「…きんそくじこーです」
キョン「…完璧すぎる作戦だったぜ」
キョン「あれ、ていうかイベントが起こったら走ってその場から逃げりゃいいのか?」
長門『それは不可能、イベントが発生した場合はそれを解消しなければならない』
長門『たとえそれがさっきのような無理やりなこじつけであっても』
キョン「またテレパシーか…てか何で今更そんなことを?」
長門『作者の都合』
キョン「ああ…なら仕方ねーか」
長門『…さらにもう一つ付け加えることがあった』
キョン「は?」
長門『女性キャラの好感度を下げすぎた場合…バッドエンドになる』
キョン「もう一回聞くけどさ…何で今更?」
長門『作者の都合』
キョン「…いつかあのヤローぶん殴ってやる」
キョン「ちなみに…バッドエンドになったらどうなるのか知りたいんだが」
長門『見たい?』
キョン「まあ一応確認しておきたいよな」
長門『了解した…分かりやすいよう、コンタクトをとった朝比奈みくるで再現する』
キョン『や、止めてください…何故こんなことを!』
みくる『キョン君がいけないんです…私はこんなにあなたが好きなのに…なのに…!』
みくる『でも大丈夫ですよ…これからキョン君と私はずっと一緒になれますから』
みくる『このナイフで喉を切ったらキョンは私だけのお人形だから…あはははは!』
長門『…こうなる』
キョン「…これもあれか、作者の都合か?」
長門『そう』
キョン「生きて帰ったらアイツ、全裸にして逆立ちでサファリパーク回らせてやる」
長門『私はこれで…』
キョン「長門、それ以前にお前の力で何とかならんのか?それも作者の…」
長門『違う、作者は関係ない』
キョン「あ、そうなのか?」
長門『個人的に私はあなたが女性相手に四苦八苦しているのを観察したい』
キョン「…ごめん、何か耳腐ったっぽいわ、え?何て言った?」
長門『常に補正と言われているあなたが株を上げるチャンス、幸運を…では』
キョン「…な、長門はドSだったのかァァァ!?」
キョン「やべーよ、あんな事実聞いちまったらおいそれと軽はずみなことは出来ねーよ…」
キョン「バッドエンド朝比奈さんこえーし、長門はドSだし…作者はクソ馬鹿やろうだし」
キョン「昼休みの残りは屋上で大人しくしておくべきだな…」
屋上
キョン「よーし、ここなら誰もいやし…」
朝倉「あら、キョン君じゃない」
キョン「…」
朝倉「…黙っちゃって一体どうしたの?」
キョン「あのーすいませーん、チェンジお願いしまーす!」
朝倉「し、失礼ねっ!」
キョン「…で、お前がこんなとこにいやがるんですか」
朝倉「別に…たまにはいいじゃない、私だって気分転換くらいするわ」
キョン「……」
キョン『寂しいですオーラを全開で出してやがる…話に乗ったら終わりだな』
キョン「じゃーごゆっくりなさってく…」
朝倉「あたしね、どうしてもダメみたいなの」
キョン『ひ、一人語り始めたァァァ!先手打たれたァァァァァ!!』
朝倉「あたしは一生懸命やってる…なのに全然報われない気がして…」
キョン「いや、一生懸命にお前がやってるのって俺を殺そうとすることだよね!?」
キョン「残念ながら俺はまったく応援できないよ!?」
朝倉「フフ…それもそうね、でもそれだけじゃないわ。他にも色々やってるのよ?」
朝倉「それを上の人は理解してくれないの…私、長門さんといつも比較されて…グスッ」
キョン『…ダメだダメだァァァ!可哀想とか思ったら負ける!!』
朝倉「もう…あたし何をやればいいかも分からないの…」
キョン『だがゲームの設定上スルーは出来ない、何かしねーと……あれでいくか』
キョン「それでは…歌を聴いてください」
朝倉「…え?」
キョン『こういう場面で歌を歌って高評価になるのは歌が上手い奴だけだ』
キョン『加えて朝倉が興味なさそうな歌手ならなお引くはず…やばい、完璧すぎる…』
朝倉「ほ、本当に歌うの?」
キョン「心を込めて歌います…お前の体のその奥、流れているのさー愛さえ友情さえー!」
朝倉「……」
キョン「では二曲目……怠けて見えたかい、そう聞いたら頷くかい、死にたくなるよ…」
朝倉「……」
キョン「では最後の曲……誰にも見えない夢の形を、追いかけて追いかけてく…」
朝倉「……」
キョン『よし、完璧だ…ドン引きして声も出て…』
朝倉「か、感動…しました」
キョン『なん……だと?』
キョン『オイィィィィィ!!お前今のド下手な歌の何に感動をしたんだ!?』
キョン『普通はうわぁ…、って反応だろ!』
朝倉「…守ってあげたいっていうか、私くらいは最後まで聞いてあげなきゃっていうか」
キョン「誉めてんのか貶してんのかどっちだテメー!」
キョン『てかこの主人公補正凄すぎだろ!俺も元から補正言われてるけど比じゃねーよ!』
朝倉「ううん、ありがと…おかげで何だか元気になったわ」
キョン『元気になったら俺が困るんだけど』
朝倉「アハハ、やっぱり有機生命体って面白いのね…いや、キョン君だからなのかな」
キョン『やばい流れだ…どうする…ハッ!』
朝倉「そうだ!歌ってくれたお礼に何か…」
キョン「授業始まるアル、俺もう行くネ、じゃ」
朝倉「あっ…行っちゃった、でも嬉しかったな……何なのかしら、この気持ち…?」
キョン「とっさにキャラ変えて逃げてみたが…上手く行くもんだな」
キョン「いや…今のは逃げられたうちに入るのか?完全にイベントに消化したような…」
キョン「だが驚いた…意図的にフラグを潰そうとするのがこんなに大変だとは」
キョン「逆にどうやったら好感度が下がるのか知りたいんだけど…放課後が不安だ」
現実世界
古泉「彼の様子はどうですか?」
長門「危険ではあるが回避を続けている、今のところは問題ない」
みくる「そうですか…よかったぁ」
長門「だが、彼に対する補正が想定していたより強力だった」
長門「一般人がすれば確実に評価を下げることでも好意的に受け取られている」
古泉「…正直やりすぎたかもしれません、評価を下げるほうが難しいくらいですから」
みくる「ど、どれくらい難しいんですか?」
古泉「そうですね…天衣無縫の極みを使っている越前リョーマに錦織圭が勝つくらい…」
長門「あなたのメタファーは分かりにくい」
古泉「よく言われます」
異世界、放課後
キョン「はぁ…、今日の部活は大変そうだな」
古泉「おや…ずいぶんとお疲れのようですが、どうかなさ」
キョン「ホワチャァァァ!!」バキッ
古泉「あいたっ!え、ちょ…待ってくだ、何でいきなり飛び膝蹴…」
キョン「こんなめんどくせーことになってんのも元はテメーのせいだバッキャロー!!」
古泉「いや意味がよくわかりませんが…痛いですよっ!」
キョン「お前のせいでこっちはかくかくしかじか四角いムーヴなんだぞ」
古泉「…つまりこの世界はあなたが主人公のエロゲーだと言うことですか、何と羨ま…」
キョン「羨ましくねェェ!お前に何が分かるってんだ!!」
キョン「ドキドキイベントをわざわざ回避しなきゃならんこの苦しみをどうすりゃいい!」
古泉「すみません…困りました」
キョン「は…?」
古泉「何故かあなたを見ていると胸の奥がドキドキするんです」
キョン「」
キョン脳内
(キョン一号『みなさーん、今日はこのバカが何を言ってるのかの検証です』
二号『てか何なのこいつ、何で罵倒されてときめいちゃってんの?ドM?』
三号『第一俺、言うまでもなく男だしさ…めんどいからいっそのことどっかに埋めるか?』
四号『いいな、三号ナイスだ』
五号『じゃあどこに埋めるか決めよう』
十八号『あたしはやらないよ、金にならないんだろ?』
一号『みなさん論点がずれてますよ』
)
キョン「……」
古泉「あの…大丈夫ですか?」
キョン「ハッ…いや、ちょっと夢の世界へ雲を突き抜けてFLY AWAYしてた」
古泉「そうですか…そんなあなたも好きですよ」
キョン「いや意味分からん、大体お前……」
―― 古泉『さすがに大きいですね…いいですよ、僕を壊してください』
キョン「……」
キョン『か、隠しルートにコイツがいたことを忘れてたァァァ!!』
キョン『やべーよ、しかもこいつガチじゃなくてピュアなタイプだよ』
古泉「何故でしょう…あなたをずっと見つめていたいんです」
キョン『いや…このピュア状態をキープしてりゃ最悪の事態は…よし、普通に接しよう』
キョン「古泉、団活が始まるから早くいこう」
古泉「……」
キョン「…古泉?」
古泉「いえ…あなたに名前を読んでいただけた幸せを感じているんです」
キョン「気色ワリーなテメー!……じゃなかった、早く団活に行こう」
古泉「名前を…」
キョン「……」
古泉「……」
キョン「…古泉、団活に行こう」
古泉「ええっ!もちろんです!」
キョン『めんどくせっ!コイツめっさめんどくせェェェェ!』
部室
みくる「あっ、キョン君やっときましたね!」
キョン「どうも」
古泉「こんにちは」
みくる「あれ、古泉君…何だかすごく嬉しそうですね?」
古泉「いやぁわかりますか!今は実に機嫌が良いんですよ!」
キョン『ああ…ピュア状態だと色々ヤバい、疲労の蓄積が半端ねぇ』
長門「……」
長門「話がある、来て」
キョン「ん、ああ…すまん、ちょっと席を外すぞ」
キョン『来たか、次こそは絶対に…絶対に回避してみせる』
キョン「で、なんだ話というのは?」
長門「あなたは今、多角的な意味で危機的状況にある…そう?」
キョン「そ、そうだ!長門、お前はちゃんと分かってるのか!」
長門「ここは涼宮ハルヒが願望を実現させた世界、その影響があなたに現れている」
キョン「そう、まさにそれェェ!さすが長門だ!やっぱり頼りになるな!」
長門「…それは私に対して恋愛感情を抱いていると言う意味?」
キョン「はい…?」
長門「私があなたの役に立て、尚かつその言葉…嬉しい」
キョン『ま、また引っかかっただとォォォォ!?ブルートゥス、お前もか!!』
キョン『俺は最初の発言で長門はまともだと信じ切っていた…それ自体が罠!』
長門「この感情があなたに付加された能力によってもたらされたものだとは知っている」
長門「それでも…この感情は抑えられない」
キョン『どうしよう…誰か俺に知恵を…誰でもいいから…こんなときみんなならどうする』
(キョン脳内)
キョン『緊急会議です、みなさんどうしましょう!』
鶴屋『勘と運に任せてとりあえず思いついたことを言ってみるっさ!』
キョン『鶴屋さん…ちょいとそれは博打すぎます』
佐々木『冷静になってみることが肝要だよ、慌てず状況を…』
キョン『確認してる暇がねえんだなコレが…』
谷口『そうだな、俺なら…押し倒すな、紳士的に』
キョン『帰れ』
十八号「助けてほしけりゃ二千万ゼニーを私によこしな、アイツを黙らせてやるよ」
キョン『いや…金払えねーし、実力行使はちょっと困ります』
キョン『ダメだ…脳内会議でもまとまらんしオーディエンスも意見バラバラかよ!』
キョン『ダメだ…ひとっつもこの状況を打破する方法が思いつかん』
お天気お姉さん『三日後には雨も上がり、各地で晴れが…』
キョン『何で朝のお天気お姉さんが……三日後?ハッ!』
キョン「長門!」
長門「…?」
キョン「三日待っててくれ…俺からお前に言いたいことがある」
長門「言いたいこと?」
キョン「すごく大切なことだ、だから考える時間がほしい」
長門「…了解した、あなたがそれを望むなら」
キョン『この世界が続くのは三日間、つまり今日を含めて明後日までだ…計画通り』
部室
キョン「お、来てたのかハルヒ」
ハルヒ「キョン…、有希と二人でどこに行ってたのよ?」
キョン「いや、ただの野暮用だから気にしなくていいぞ」
ハルヒ「や…野暮用って何なのよ、ちゃんと言いなさい」
キョン「いや、マジで言うほどのことじゃないって、うん」
ハルヒ「何…言えないようなことなの?ま、まさかあんた有希と!」
キョン「いやないよ!?何もないからね」
みくる『どうしよう…と、止めたいけど私も気になるような…』
古泉『愛おしい、ああ愛おしい、愛おしい』
暖かい保守に感激してます、あまり書き溜めもありませんが…
長門「何もなかった、信じて」
ハルヒ「で…でも何もないにしてはずいぶん長く外にいたわよね」
長門「…少し議論をしていた」
ハルヒ「議論って…何の?」
キョン「ツガノガクの作品を認めるか認めないかについて」
ハルヒ「ああ…なら長くなっても仕方ないわね」
ハルヒ『いいなぁ有希…あたしだってキョンと二人っきりになりたいのに』
みくる「そういえばキョン君…私とお昼食べたあと、何か用事があったんですか?」
キョン「!」
ハルヒ「!?みくるちゃん、ちょっとその下り詳しく教えて!」
みくる「は、ええと…わ、私、今日はキョン君と一緒にご飯食べたんです」
ハルヒ「ふ、二人きりで…?」
みくる「は、はい…」
ハルヒ『な、何よ!みくるちゃんもキョンと二人きりでいたの?』
キョン『マズい、ヤバいこの流れ』
キョン「朝比奈さん、嫌な予感がするんで今の発言のフォローをお願いします」ボソボソ
みくる「は、はい…わ、わかりました」ボソッ
みくる「で、でもでも!あたしだけじゃなくて古泉君もさっきはキョンと一緒に…」
ハルヒ「!!?」
キョン『フォローの方向が違う!操気弾と元気玉くらい違うゥゥゥゥゥ!!』
古泉「おやおや…」
古泉『焦るあなたも美しい…』
ハルヒ「あ、あんた古泉君とも二人きりでいたの!?」
キョン「いや確かにいたけども!何も含むところはないからな!?」
ハルヒ「古泉君、キョンと何してたの?」
キョン『古泉、余計なことは言うんじゃねーぞマジで』
古泉「いえ、特には…」
キョン『よしっ、お前はなかなかいい働きをするじゃねーか!』
古泉「ただ彼と二人見つめ合って名前を呼び合っていただけです」
ハルヒ「」
長門「……」
みくる「そ…それって…?」
キョン『神様頼みます、どうかこの馬鹿を地獄に落としてください』
ハルヒ「あ、あたし帰るっ!もう今日の団活は中止!」バタン
古泉「…あの、もしかして僕何か誤解を招くようなこと言いました?」
キョン「いや狙ったよね、あれ完全に分かって狙ったよね?」
みくる「あの…キョン君は結局、古泉君と何があったんですか?」
キョン「ガチで何もないです、俺がただ部室に行こうってコイツを誘っただけです」
古泉「…そう僕は言ったつもりでしたが」
キョン「いやあれは絶対違うだろ!誰が聞いてももれなく誤解する言い方だったからね?」
古泉「す…すみません、以後は気を付けます」
みくる「…今日は帰りましょうか」
長門「私もそれを推奨する」
キョン「ああ…帰るか」
古泉『心で思ったことと口にした言葉が食い違うとは…まさか、これが…恋?』
帰り道
キョン「まさか…エロゲーがこんなに恐ろしい世界だとは…」
キョン「そして好感度を上げすぎず下げすぎずをキープするのがここまで辛いとは…」
キョン「あと二日…何とか持ちこたえられるか?」
キョン「今んとこイベント起こっちまったのは長門、朝比奈さん、古泉、朝倉…」
キョン「これ以上イベント起こったらさすがにヤバ…」
鶴屋「キョン君、なにを一人でブツブツ言ってんのさっ!」
キョン
たたかう
どうぐ
にげる←ピッ
キョン「Bダッシュゥゥゥゥゥ!!」
鶴屋「ちょっとキョン君!何で逃げんのさっ!」
キョン「すいません、マジで!悪気があるわけじゃないんですよォォォ!」
鶴屋「フッフッフ…このあたしから逃げ切れると思ってるのかい?」
キョン「は、速い!なんだあのスピードは!!え、ボルト?サンダーボルトなのか!?」
鶴屋「ほらっ、つっかまえたー!」
キョン『逃げ切れなかった…またイベントが起こっ…いや、これ自体がもう…?』
キョン「あの…鶴屋さん、100m何秒で走れますか?」
鶴屋「うーん、よく分かんないけど…いっつも10秒台に乗りそうで乗らないんだよね」
キョン『え…パカパカの靴を履いてる悟空と同じスピード?』
鶴屋「…で、何で急に逃げたりしたのさ、あたしのことがそんなに嫌いかい?」
キョン「いや…理由は言えないんです、でも鶴屋さんが嫌いってわけじゃないですよ」
鶴屋「ふーん…」
キョン「だからそんなに気にしないでく…」
鶴屋「うっ…けほっ、けほっ!」
キョン「…えーと、どうかしまし…た?」
鶴屋「な、なんでもないっさ…はぁっ…はぁっ…」
キョン『…何でもないとは思えないわけで』
鶴屋「はぁ…はぁ…あぅ…!」
キョン「あの…本当に大丈夫ですか?」
鶴屋「へ、平気へいき!これくらい何とも…けほっ!けほっ!」
キョン「…まさかのあれですか?何か病気でも?」
鶴屋「……キョン君にだから話すけどね、あたしには治んない病気があるのさ」
キョン『こ、こっち系のイベントかァァァ!これはちょっと予想外過ぎるぞォォォ!!』
鶴屋「みんなにはバレないようにいつも元気なフリをしてんだけどさ…ちょいと今は…」バタッ
キョン「つ、鶴屋さん!?い、医者ァァァァァ!!スタッフゥゥゥゥ!?」
キョン『オイィィィィ!倒れた、倒れたよ!?誰か…誰か助けてくださいィィィ!!』
キョン『いや待て、これがイベントだとすると…いくら呼んでも助けは来ない…?』
キョン『え、でもそしたら俺が鶴屋さんを助けるのか!?』
キョン『でもここで鶴屋さんを助けたらまたフラグが…』
キョン『フラグか鶴屋さんかフラグか鶴屋さんかフラグか鶴屋さんかフラグか鶴屋さん…』
キョン「ああもうフラグなんぞ知るかァァ!なるようなれってんだバッキャロー!」
キョン「とりあえず鶴屋さんを家まで運んでいかねーと!」
キョン『あれ、でも…鶴屋さんは今歩けないわけでつまり…おんぶかお姫様抱っこ!?』
キョン『もう四の五の言ってられん、おんぶは名前が昆布っぽいから却下だ!』
キョン「鶴屋さん!家どっちですか?」
鶴屋「え…ちょ、ちょっとキョン君…こんな格好…は、恥ずかしいよ」
キョン「言ってる場合じゃないです、家どっちですか?」
鶴屋「あ、あっちだけど…」
キョン「分かりました!ダッシュで行きますよ」
鶴屋宅
キョン「ハァ…ハァ…つ、着いた…!」
鶴屋「あ、あのさキョン君…ちょろーんと言いたいことがあるんだけど」
キョン「は、はい…何ですか?」
鶴屋「言いにくいんだけどさ…さっきの病気の下りは、その…ジョークだったんだけど」
キョン「」
キョン『待って、うん落ち着こう…よし、今何が起こってるか冷静に考えよう』
キョン「つまりあれですか…鶴屋さんは治らない病気なんかにはかかってないと?」
鶴屋「あっはは…うん、風邪一つ引いてないね」
キョン『な、何だってェェェェェ!!』
キョン『み、ミスったァァァ!余計なことするんじゃなかったァァァァァ!!』
キョン『てか卑怯だろコレ!目の前で苦しんでる人をスルーは出来ねーだろうよ!』
鶴屋「いやー……あの、ごめんよ?キョン君」
キョン「い、いや…もう何でもいいです、ただ…もうちょい早く言ってくれれば…」
鶴屋「悪気はなかったんだけど…夢だったからさ、さっきみたいなの」
キョン「さっきみたいな…?」
鶴屋「その…お姫様だっことか」
キョン「」
キョン『あ、焦ってたにしても不注意だった…何でお姫様抱っこなんかしちまった?』
キョン「いや、無我夢中でしたから…」
鶴屋「それでもねっ…嬉しかったよ、ありがとね!キョン君っ!」
キョン「…じゃ、じゃあ俺はもう行きます」
鶴屋「からかって本当にごめんよっ、キョン君があたしを嫌ってるのかと思ってさ…」
鶴屋「でも良かったよ、嫌われてなくって…キョン君のカッコいいとこも見れたしねっ」
キョン「いや…」
鶴屋「なんてねっ、冗談さ!じゃあまた明日学校でねっ!」
キョン「…はい」
キョン『終わった…完全終わった…またやっちまった……』
帰り道
キョン「くそっ…やれやれ、なんて言ってる余裕もねー」
佐々木「おや、キョンじゃないか」
橘「お久しぶりですね」
キョン「……」
キョン『古泉…お前、絶対にサファリパーク回らせるからな』
-現実世界
古泉「くしゅん!…誰かが噂しているのでしょうか、良い噂であることを願いましょう」
長門「……」
橘「あなたの家は逆方向だったって思いますけど…今日は何故ここに?」
キョン「……えーっと、君だれ?あ、みかんちゃんか?あらら…すっかり変わっちゃって」
キョン「まだ半魚人みたいなお母さんとか弟くんと仲良くやってんの?」
橘「誰の話をしてるんですか…?」
キョン「はっはっは、まあ気にするな!じゃあ俺はこれで…」
佐々木「くっくっ…キョンもなかなか冗談が上手くなったね、賞賛に値するよ」
キョン『くそっ…今度こそは普通にスルーしようとしたのに…』
佐々木「久しぶりにあったのも何かの縁だ、どうだい、少しくらいお茶でも…」
キョン『ここは曖昧な返事をしたら負ける…スパッと断ったほうが後腐れがない!』
キョン「すまん、今日は…」
橘「いいですね、こうしてあなたと親交を深めるのもなかなかない機会ですし」
キョン「ねえ聞いてる?耳聞こえてるよね?」
佐々木「心配ないさ、そんなに時間はとらせないよ…」
キョン「いや…だから」
キョン『あれ…そういや長門が…』
長門『女性キャラの好感度を下げすぎるとバッドエンドになる』
キョン『とか言ってたような…』
喫茶店
橘「この組み合わせでお茶というのもなかなかありませんね」
キョン『バッドエンドにビビって結局ついて来ちまった…』
佐々木「ふむ、キョン…君はさっきから落ち着かないね、何か不安なことがあると見える」
佐々木「どうかな、僕でよければ相談に乗らせてもらうが」
キョン「いや…まあ色々あってな、ちょっと疲れてるだけだ」
橘「涼宮さんに関することですか?」
キョン「まあそんなところだが」
佐々木「橘さん、今はどっちが神だとかそういう話は控えてくれないかな」
橘「ええ、分かってますよ」
キョン「まあ疲れてるってのは本当だ、それを見抜くあたりはさすがは佐々木…」
キョン『いや待て…誉め言葉がトリガーになる可能性もある、喋りすぎるな…』
キョン『けど、どう抵抗してもイベントを回避出来る気がしねーんだよな…』
佐々木「くっくっ…キョンにそう言ってもらえると嬉しいね」
キョン『いや…誰かが言ってたな、困った時は発想を逆転させるんだと…』
キョン『そして俺は今日星座占いも一位…』
キョン『…賭けになるがこの言葉と占いを信じてやってみるか!』
キョン「佐々木、橘…ちょっと聞いてくれ」
佐々木「聞こうじゃないか」
橘「私もですか?」
キョン「実はな…ここはエロゲーの世界なんだ」
佐々木「…」
橘「…」
キョン「…いや引くな、気持ちは分かるが引かないで、悲しくなる」
佐々木「…橘さん、どこかこの近くに病院はあったかな?」
橘「ありますよ、早く連れて行ってあげましょう」
キョン「いや待ってェェ!落ち着いてもうちょっと聞いてくれないか!?」
佐々木「いやキョン…僕は十分に落ち着いているよ、だから君を病院に連れて行こうと…」
キョン「じゃあちょっと取り乱して!?何でもいいから話を聞いてくれ!」
橘「大分めちゃくちゃなこと言ってますね…」
佐々木「…分かった、気の済むように話すといい…ただ、話を信じるかは僕達が決めるよ?」
キョン「つまりな…かくかくしかじか…しかくいムーヴ…二千万ゼニー…ってわけだ」
橘「…信じられないと言うより信じたくないです、私達がゲームの登場キャラだなんて…」
キョン「逆の立場なら俺も全く同じことを思ったろうな…」
佐々木「くっくっ…面白いね、僕は信じるよ、キョン」
橘「さ、佐々木さん?」
佐々木「ところでキョン、一つ聞いておきたいんだが」
キョン「な、何だ?」
佐々木「ここが君の言う世界なら僕達も君と共寝をするのだろう?」
キョン「そんなことが起こらないように四苦八苦してるんだけど!?」
佐々木「くっくっ…いいじゃないか、僕もそういうのに興味がないわけではないしね」
キョン「いや何言っちゃってんのお前!?デッドライン越えたらマズいだろ!」
橘「そ、そうですよ…別にあなたにされるのは嫌ではないですけど」
キョ・佐「え?」
橘「あ」
佐々木「…すまないが橘さん、今何と言ったのかな?」
橘「い、いや…何でもないです」
佐々木「ふむ…キョン、君は先に帰ってくれないか?僕は彼女と話があるからね」
キョン「あーそうか、なら俺はこの辺で…」
橘「う…うぅ…」
キョン『何で泣きそうになってんの?や、止めろ!そんな眼で俺を見るなァァァァ!!』
キョン『てか、この世界のこと話したのは逆効果だった?この状況って俺のせい!?』
キョン『明らかに発想の逆転は失敗したよね!?ち、千尋さんの嘘つきィィィィ!!』
佐々木「どうかしたかいキョン…まだ何か用事があるのかな?」
キョン「……佐々木、一緒に帰るか」
佐々木「ふ、二人でかい?それはもちろん構わないが…」
橘「いいな…私も二人きりで帰りたい…」
キョ・佐「…え?」
橘「あ…」
佐々木「やっぱりキョン…一人で帰ってくれたまえ、僕は彼女と決着をつける」
キョン『コ…コイツ絶対やる気だ、ブウと戦う前のベジータみたいな顔してやがる』
キョン「いや喧嘩は…」
佐々木「キョン…二度は言わないよ」
キョン「はい、あの…何て言うか修羅場にならないように…」
帰宅
キョン『やっと我が家か…つ、疲れた…だがこれでひとまずは…』
キョン「ただいま」
キョン『逃れられないイベント地獄から解放される…マイホームが天国に見えるぜ』
キョン妹「あーキョン君だぁ!おかえりー!」
キョン「……」
キョン『…こ、コイツの隠しルートもあるんだったァァァァ!!』
キョン妹「ところでキョン君、さっき誰かと会ってたー?」
キョン「…何で?」
キョン妹「服からいつもと違う女の子の匂いがするからー」
キョン「…は?」
キョン妹「人数は多分二人でー…どっちも髪は長くなくて…結構かわいい顔してるー」
キョン「」
キョン『え?ちょ…エエエェェェェ!?なにそのスキル!怖すぎるんだけどォォ!!』
キョン妹「一人は女の子なのに自分を僕って呼んでるんだー、変わってるねー!」
キョン『いや!お前のが百倍は奇特だからね?そこちゃんと自覚してる!?』
キョン妹「でもいいよ、何にもなかったみたいだしねー…でもねキョン君」
キョン「…何」
キョン妹「何かあっても…すぐに分かるからね?」
キョン『こ、古泉ィィィ!お前、俺の妹はこんなに怖くねえぞォォォォ!?』
ー現実世界
古泉「彼はどうですか、順調に進んでいればいいのですが…」
長門「彼が妹と接触した、その変容ぶりに驚いている」
古泉「ああ…確かにちょっとやりすぎたかもしれませんね」
長門「…何故あのような設定に?」
古泉「僕は姉萌えですから…ただそれだけです」
長門「理解に苦しむ」
みくる「古泉君…絶対に天罰下りますよ」
キョン「やべーよ、あれ下手したら即バッドエンドだよ」
キョン「てかもう軽くバッドエンドっぽいよね、危ないルート入ってる系だよね?」
キョン「明日から引きこもるのも手かと思ってたが…あれじゃ無理だな」
キョン「安息の場所は俺にはないのかよ…」
長門『聞こえる?』
キョン「テレパシー…パート3か」
長門『ゲームの設定が変更された』
キョン「…良い意味でか?」
長門「あなたにとっては悪い意味で」
キョン「…聞こうじゃねーか」
長門『その世界が続く日数が三日間から一週間に延長された』
キョン「……」
キョン「何で?」
長門『あなたは涼宮ハルヒとイベントを起こさなかった、それが原因』
キョン「いや…起こしたらダメなんだろ?」
長門『彼女は他の女性陣があなたと親しくなることに嫉妬した』
長門『そこで自分もあなたと親しくなる機会を増やすために期間を延長した』
キョン「ねえ…つまりさ、俺が苦労する期間が延びちまったの?」
長門『そう』
キョン「今日だけで長門、朝比奈さん、鶴屋さん、朝倉、佐々木、橘、妹……」
キョン「こんだけイベント起こってるんだけど?」
長門『私にはどうにもならない』
キョン「長門…俺、ポケモンマスターを目指す旅に出」
長門『現実逃避しないで』
キョン「あいつポケモンマスター目指して十年過ぎてるぞ、もう二十歳すぎてるよな?」
キョン「なのに働かないでポケモン育ててバトルして…どうやって生活してんの?あれ」
長門『私に聞かれても困る』
翌日、学校
キョン「全然眠れなかった…眠すぎる…」
ハルヒ「何やってんのよあんた、団員がへばってちゃダメなのよ!」
キョン「…ハルヒ、今日は一緒に昼飯食うか」
ハルヒ「えっ、あ…あんたがどうしてもって言うなら食べてあげてもいいわよ!」
キョン「食べてくださいお願いします…俺のためにも」
ハルヒ「し、しょうがないわね!今日は付き合ってあげるわ」
キョン『これでハルヒの評価は上がったか…これ以上ひっかき回されてたまるか』
昼休み
谷口「キョン!今日こそは一緒に飯を」
キョン「すまん…先にハルヒと約束しちまってな」
谷口「…グスッ」
キョン「す、すまん」
キョン『だから何で泣くの?ねえ、おかしいでしょこれ!?』
ハルヒ「たまにこうやって二人で食事を取るのもいいわね」
キョン「そうだな」
ハルヒ「ねぇ…聞きたいんだけどさ、あんた誰かと付き合ったりしてないでしょうね?」
キョン「ない、それはないから安心しろ!」
ハルヒ「そう…ならいいわ!」
キョン『今の答え方によっちゃ即バッドエンドだったな…』
ハルヒ「そういえば牛乳飲んでて思い出したんだけど…みくるちゃんって胸大きいわよね」
キョン「まあ…確かに否定は出来ないな」
キョン『イベントか…これはどう転ぶのか…何にしても慎重に行かねーとな』
ハルヒ「あたしだって負けてないと思ったのに…」
キョン『胸の大きさで張り合ってんのか…正直勝ち目は薄そうだがな』
キョン『これは慰めるべきか…いや止めとけ』
キョン「いや止めとけ、余計なことはしない方がいい…あ」
キョン『自分に対する心の呟きを口に出しちまったァァァァ!!』
ハルヒ「な…何よっ、失礼ね!」
キョン「違う!違うよ!?そう言う意味で言ったんじゃないからね?」
ハルヒ「うるさいっ!そんなに言うなら触って確かめてみなさいよ!」
キョン『そ、そんなバナナァァァァァ!!』
ハルヒ「ほら、今だけは怒らないであげるから!」
キョン「いやダメだろ!色んな意味で駄目だからな!?」
ハルヒ「何よっ!触る価値もないっていいたいの!?」
キョン「違うゥゥゥ!お前の辞書に恥じらいの二文字はないのか!?」
ハルヒ「これはあたしの誇りに関することよ!誇りだけは思い通りにならないわ!」
キョン「いや胸触らせといてプライドも何もないだろ!」
ハルヒ「もうごちゃごちゃとうるさいわね、早くしなさい!」
キョン「いい加減にしなさいよ、女の子がそう言うことを言うんじゃありません!」
キョン「そういうセリフは大事なときのために取っておくもんだ」
ハルヒ「…じゃあ今よ」
キョン「は?」
ハルヒ「あんたの言うあたしにとっての大切な時は…今よ」
えんだあああああああああ
キョン『ふざけんなァァァァ!こんな場面で名曲を垂れ流しにしてんじゃねェェェェ!』
キョン『それよかヤバい…かつてないピンチだ、どうする!』
キョン『こう考えるとTO LOVEるは都合よく胸に触れる実に良い漫画だった!』
キョン『どうする…胸に触らずにすむ…』
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「な、なによ!」
キョン「実は俺、今日一日は女の胸を触ったら死んでしまう病にかかっていて…」
ハルヒ「キョン…それはないわ」
キョン「ですよねー」
ハルヒ「…で、結局胸には触らないのね」
キョン「結局もなにも当たり前だよね!?胸触れって言われて触る奴なんざこの世に…」
キョン『あれ…結構いるかもしれない』
ハルヒ「この世に…?」
キョン「いるかもしれないけども少数だ!」
ハルヒ「フン、まあいいわ…言われてみれば、ホイホイ胸触る奴よりはマシね」
キョン『マズいな…これじゃ好感度を下げたまま終わる、何か一言つけくわえねーと』
キョン「お前が仲間として大切だから触らないんだからな」
ハルヒ「えっ…?」
キョン『こういっておけばそこそこの好感度はキープ出来るはずだ』
キョン『仲間、この単語が入ってるのがポイントだ…よし、完璧…』
ハルヒ「キョンが今…あたしと結婚しようって…」
キョン「」
キョン『いやいやいやァァァァ!え?おかしい、どこをどう聞いたらそうなんの!?』
ハルヒ「キョンが…うぅ…」バタッ
キョン「も、燃え尽きたァァァ!ノックアウトされた!?立て、立つんだジョー!!」
ハルヒ「……」
キョン脳内
キョン『ヤバいヤバいヤバい!どうしたら……誰か意見を!』
喜緑『そのままにしておいたらどうでしょうか?』
キョン『…それじゃ何も変わりませんから』
谷口『こういうときはだ、慌てずに上に覆い被さり…』
キョン『五百回くらい死んでくれ、一回ずつ死に方を変えて』
ドラ○もん『僕がお医者さんカバンで…』
キョン『お前はここにいちゃいけねえだろォォォ!』
キョン「ダメだ…とりあえず保健室にでも連れて行って寝かせて…寝かせて?」
キョン『ハルヒ寝ている→意識はない→夢…』
キョン「決めた、これでいこう」
保健室
ハルヒ「ん……ぁ?」
キョン「よう、起きたのか」
ハルヒ「あれ…あたし…?」
キョン「大丈夫かお前、飯食ってたら急にぶっ倒れて起きなくなったんだぞ?」
ハルヒ「ゆ、夢…か…この馬鹿キョン!」バシッ
キョン「い、いってぇ!な、殴ったな…」
ハルヒ「せっかく…すっごい良い夢見てたのに…もう!」バシッ
キョン「二度もぶったァァァァ!!何だお前!せっかく俺が運んでやったのに」
ハルヒ「え…あ、あんたが?」
キョン「そうだ、恩人に対して何だお前!」
ハルヒ「そ、そう…ごめん」
キョン「わかりゃいいんだよ…」
ハルヒ「……」
キョン「……」
キョン『あれ?ヤバい、なにこの空気?』
キョン「じゃあ気分が良くなったら出てこいよ、授業あるから俺はもう行くぞ?」
ハルヒ「う、うん…」
キョン「じゃあな」
ハルヒ「キョン!その……ありがとう」
キョン「あ、ああ…」
キョン『可愛いとか思ったら負けだ…流されるな!これでこのイベントは終わ…』
鶴屋「やっほー、ハルにゃん大丈夫かい?」
キョン「……」
キョン『らねえのかよォォォォォォ!』
ハルヒ「大丈夫、もうほとんど治ったみたい」
鶴屋「そうかいそうかい!そいつは良かったっ!うんうん、元気が何よりさっ!」
キョン『俺はこの人に昨日不治の病だと嘘をつかれたんだけど』
鶴屋「あれぇ、キョン君どうしたんだいっ?…まだ昨日のこと怒ってるのかな?」
キョン『マインドスキャンされたァァ!?鶴屋さん千年アイテム持ってんの!?』
ハルヒ「昨日のこと?」
鶴屋「いやー、ちょいとあたしが悪ふざけしちゃってね…キョン君にお姫様抱っ」
キョン「えんだああああああああ 嫌ああああああああ」
ハルヒ「な、何よ!急に叫ぶんじゃない!」
キョン「すまん…」
キョン『鶴屋さん、今ので察してください…今その話されたら俺が死にます』
鶴屋『なーるほど、恥ずかしいからこの話はされたくないってことかいっ!』
ハルヒ「で…鶴屋さん、昨日キョンが何か?」
鶴屋「えーっとね、何と!昨日キョン君が大声出してカラオケの練習をしてたのさっ!」
ハルヒ「カラオケ…?」
キョン『この人…勘が良すぎるぞ、まあここは話を合わせておくか』
キョン「そうそう、思いっきり歌ってて…それを鶴屋さんに聞かれちまったのさ」
ハルヒ「あっはは、馬鹿ねーキョン」
キョン「ははははは」
キョン『オッケーェェェェ!凌いだァァァ!』
ー保健室前
朝倉「………あれ、あたしを励まそうとしたんじゃなかったのね」
朝倉「落ち込んでるあたしの前で…カラオケしてたなんて…許せない…許せない…」
キョン『保健室でのピンチをしのいだと思いきや…今度はこれか』
(放課後、教室にいて)
キョン『この手紙…どっかで見たような気がするんだが』
キョン『多分朝倉に関するイベントだろうが…気のせいか嫌な予感がするな』
朝倉『そうよ…私は急進派だもん…キョン君を殺せば涼宮さんに変化を与えられる…』
朝倉『これでいいんだわ…うふふ…あははははは!』
放課後
キョン「誰もいない教室…か、まさか前みたいに戦闘になったりしないだろうな」
キョン「そしたら武器が必要だよな…ゲームらしく何か俺にも必殺技がありゃいいのに」
キョン「…そういやここってゲームの世界なんだよな、…今なら出来るかもしれない」
キョン「アーアー、オホン…か~め~は~め~波~ッ!」
朝倉「……」
キョン「ヤムチャにだって出来たんだ、俺にも出来る…もう一回だ…」
キョン「か~め~は~め~……」
朝倉「………」
キョン「………orz」
朝倉「あの…私なにも見てないから…ね?」
orz「誰もいなかったから…今なら全力で練習出来ると思って…」
朝倉「いや…その、何て言うか…ごめんね?」
orz「いやいい…俺は二度とヤムチャを馬鹿にしねえと誓う…あいつはすげえ」
朝倉「ほ、ほら!やらなくて後悔するよりやって後悔した方が良いって言うじゃない!」
orz「いやそれ嘘だった…やって全てを失って後悔してる奴ここにいるから」
朝倉「……」
朝倉『どうしよう、出鼻くじかれちゃった…』
キョン「それで…結局何だったんだ?」
朝倉「え…あ、ああ…その……何だったかしら」
キョン「はい?」
朝倉「ど、どうしよう…忘れちゃった」
キョン「忘れるようなことなら気にしなくて良いだろ、忘れとけ」
朝倉「…あ、思い出した!けど…もういいわ」
朝倉『すごく怒ってたのに落ち込んでるキョン君を見たら怒れなくなっちゃった…』
朝倉『冷静に考えたら保健室での話も色々事情があったみたいだしね…』
現実世界
みくる「キョン君…無事だといいんですけど…」
古泉「まあ彼ならば大丈夫でしょう…」
長門「そうでもない…今、彼は下手を打てば殺されていた」
みくる「ふ、ふえぇぇぇ?」
古泉「そ、そんな!一体誰にですか!?」
長門「朝倉涼子」
古泉「……ああ、なるほど」
みくる「ああ…って、古泉君は心当たりがあるんですか?」
古泉「朝倉さんってどことなくお姉さん、って感じがしませんか?」
みくる「その…まあ分からなくもないですね」
古泉「彼女には主人公に対する好感度が上がりやすくなる補正がかけてあります」
古泉「一方で、バッドエンドになる確率も高くなるように…」
長門「何故そのマイナス補正を?」
古泉「僕はお姉さんキャラに刺されて死ぬなら本望です」
長門「…理解不能」
みくる「古泉君…本当に色々と大丈夫ですか?」
長門『彼が死にかけたのは…朝倉涼子のせいというより…古泉一樹のせい?』
部室
キョン「すまん、遅れたな」
ハルヒ「キョン、誰を待ってたのよ?谷口とか国木田?」
キョン「いや…まあそんなところだ」
長門「朝倉涼子」
キョン「え?」
長門「あなたは朝倉涼子と接触していた…そう?」
キョン『いやそうだけれども!それここで言わなくてよくないか!?』
ハルヒ「朝倉と…何かあったの?」
キョン「いやあれだ、アイツクラス委員だからさ、色々と説教があったわけだ」
ハルヒ「アイツが説教するのなんて見たことないけど…あんたにだけ?」
キョン「いや違う!あれだ、古泉も前怒られてたもんな!な!?」
キョン『古泉…頼む、乗ってくれ…空気読んでくれ』
古泉「い、いえ…僕は一度もありませんが」
キョン『オイィィィィ!お前頭良いくせになんでこの空気が読めない!?』
キョン『お前、リーディングの勉強以前に空気を読む勉強をしろ!』
ハルヒ「やっぱりあんただけじゃない!アイツあんたのこと気にかけてるんじゃ…」
キョン「いや…それはないから大丈夫だ」
ハルヒ「…まあいいわ、じゃあSOS団の定例会議を始めます!」
ーーー
帰り道
キョン「ふぅ…二日目はそこまでキツくなくて良かったぜ…早く家に」
佐々木「やあ、また会ったね」
橘「こ…こんにちは」
キョン『あ…あっさり行き過ぎたと思ったぜ、ここでコイツらか』
佐々木「二度も続けて会うとは…これも何かの巡り合わせということだろうね」
キョン「いや…偶然じゃね?」
佐々木「確かに偶然と捉えるのも一つの見方だ、でも僕は運命的な何かを感じるね」
キョン「そうかい…じゃ、ごきげんよー」
佐々木「君はこの状況で帰るつもりかい?昨日と同じく今日も時間はあるのだろう?」
キョン「まあ…」
キョン『橘が黙りっぱなしだが…何かあったのか?』
橘「……」
喫茶店
キョン「で、何か話すことでもあるのか?」
佐々木「くっくっ、せっかちだなキョンは…それじゃ橘さん、本題に入ろうか」
キョン『イベントの回避にも慣れてきた…華麗に回避してやる』
橘「は、はい…あの、キョンさん…」
キョン「ん?」
橘「私…あなたが好きです」
キョン「」
キョン『何……だと?ち、直球すぎて回避出来なかったァァァァァ!』
キョン「あの…ごめん、何て?」
橘「私は…私はあなたのことが好きなんです!」
橘「だから…その、付き合ってもらえたらな…と」
キョン「」
キョン脳内
キョン『みなさん、エマージェンシーです!ヤバいです!どうしましょう?』
喜緑『そうですね…悩まずにスパッとお断りしたほうが相手は傷つきませんよ?』
キョン『やっぱりですか…』
谷口『オイキョン!まかせろ、恋愛の覇王の俺がその子を優しく受け止めて…』
キョン『帰れ、てか恋愛の覇王ってなに?どうやったらなれんの?免許あんの?』
朝倉『迷うことないわ、みんな刺したらいいじゃない♪』
キョン『いやそれは無理だ』
キョン「……」
佐々木「…フリーズしてしまったようだね」
橘「ううぅ…私も恥ずかしいのに…」
佐々木「キョン、気は確かかい?」
キョン「あ、ああ…」
キョン『これヤバい、ガチでヤバい、これはどうすりゃ正解なんだ?』
佐々木「では、次は僕だね」
キョン「…次?」
佐々木「キョン、僕は君が好きだ、友人ではなく異性として」
キョン「」
キョン『終わったァァァァァァ!人生終わったァァァァ!』
キョン「え、待って意味分からない…何て?」
佐々木「女性に何度も恥ずかしい告白をさせるものではないよ、キョン」
佐々木「でも言おう、僕は君が好きだ…付き合ってもらえないだろうか?」
キョン『いやいやいやァァ!何これ、一体俺にどうしろと!?』
佐々木「さてキョン…告白を受けたところで聞いておこう」
キョン「…」
佐々木「僕と橘さん…君はどちらをとるのかな?」
キョン『やべーよ、どっち選んでもバッドエンドが待ち受けてる感が半端ねぇ!』
佐々木「さあ…選ぶのは君だよ、キョン」
キョン『プレッシャーがァァァ!見えないプレッシャーに潰されるゥゥゥゥ!』
キョン「俺は…」
鶴屋「おやぁ、キョン君じゃないかっ!またまた会ったねっ」
キョン『す、救いの女神が降臨なさった…のか?』
佐々木「あなたは…」
鶴屋「おっと、こいつは失礼!あたしは鶴屋さんっていうキョン君の先輩さ!」
佐々木「佐々木と言います」
橘「橘です」
鶴屋「佐々木さんに橘さんね、ところで何のお話だい?あたしも混ぜとくれよ!」
佐々木「これは内密な話ですから…」
橘「彼が私と佐々木さんのどちらを選ぶかの瀬戸際なんです!」
鶴屋「え?」
佐々木「!」
橘「あ…ま、また私…」
キョン『あれ?何かきれいな川とお花畑が見える?』
鶴屋「こいつはどうあっても話に加わらせてもらわなくちゃね…」
佐々木「お願いです、三人で話をさせてください」
鶴屋「あたしも関係者だからね…そういうわけにはいかないっさ!」
橘「あの…関係ってどういう…?」
鶴屋「あたしも君らと同じ、キョン君にホの字なのさっ」
佐々木「え…?」
橘「そんな…」
キョン『誰かァァァァ!誰か助けてくださいィィィィ!!ヘルプ!ヘルプミーィィィィ!』
キョン『ていうか二日目全然楽じゃなかったァァァ!何この修羅場!』
鶴屋「キョン君…ここはあたしに任せてくれないかい?」ボソッ
キョン「い、いや…しかし…」ボソッ
鶴屋「大丈夫、キョン君を困らせることはしないからさっ」
キョン「は…はい」
キョン『鶴屋さんなら…鶴屋さんなら何とか…してくれる…はず』
鶴屋「で、キミらはどっちもキョン君が好きなのかい?」
佐々木「ええ」
橘「…本当に好きです」
鶴屋「そうかい…でもそれはあたしも同じさっ、ここで提案があるんだけどどうだい?」
佐々木「提案?」
鶴屋「キョン君も急なことでびっくりしてるはずさ、日を改めてはくれないっかな?」
橘「そ…そうですよね、私も賛成です」
佐々木「二人がそう言うなら…僕も賛成に回ろう、でもキョン」
佐々木「イエスでもノーでも…ちゃんとした返事は聞かせてほしいな」
橘「どんな結果になっても私たち…ちゃんと受け止めますから」
キョン『ヤバい…良い子だ、この子たちみんな良い子だよ』
帰り道
鶴屋「あんな感じでよかったかい?とりあえずは先延ばしにしようと思ってさ」
キョン「助かりました、色々と時間がほしかったので…」
鶴屋「いいって!照れくさいから…この前のお詫び、そういうことにしといとくれっ」
キョン「ありがとうございます…わざわざ芝居までしてくださって」
鶴屋「芝居か…ねえキョン君、さっきのってどこまでが芝居だと思う?」
キョン「…はい?」
鶴屋「あたしがキョン君にホの字ってのは…あながち嘘じゃないかもね!」
キョン「…」
鶴屋「…あっはは、なーんてね!冗談さっ、驚いたかい?」
キョン「冗談…なんですか?」
鶴屋「キョン君は…どっちが良かったかな?」
キョン『ねえパトラッシュ…天国のような地獄ってあると思うかい?』
帰宅
キョン『疲れた…もう寝よう、大至急寝よう…もうイベントなんざ起こるわけ…』
キョン妹「キョン君おかえりー」
キョン「」
キョン妹「おかえりーってば!キョン君」
キョン「あ、ああ…ただいま…」
キョン『わ、忘れてたァァァァ!この地雷の存在を忘れてたァァァァ!!』
キョン妹「…キョン君また女の子と会ってたの?」
キョン『鋭すぎる…ここは自然な感じで対処しよう』
キョン「ああ…友人と会ってな、優雅な会話をたしないんでいたよ、はっはっはっ」
キョン妹「キョン君が誰を選ぶかが優雅なのー?」
キョン「はっ…?」
キョン妹「良かったねーキョン君、鶴にゃんが助けてくれてー」
キョン「……」
キョン『こ、古泉!俺の妹が怖すぎるゥゥ!絶対ショッカーに改造されてるゥゥゥ!!』
キョン『改造されて神経がマロニエちゃんになってるゥゥゥゥ!!』
キョン妹「キョン君は誰を選ぶのー?」
キョン「…さあ」
キョン『こ、これは好奇心から聞いてるのか…それとも何か含みがあるのか…』
キョン妹「早く決めておいてねー」
キョン『選んだ相手を潰しに行くからー、が語尾に省略されてる気が…いやないか』
現実世界
古泉「どうですか…彼の調子は?」
みくる「け、怪我とかしていなければいいんですけど…」
長門「今のところは大丈夫、運が彼の味方についている…」
みくる「運…ですか」
長門「古泉一樹、質問がある」
古泉「おや…あなたが質問とは珍しい、答えられることでしたらお答えしましょう」
長門「なぜゲームの設定をあのように?」
古泉「あのように…とは?」
みくる「何でわざわざああいう修羅場になるような場面を設定したりしたんですか?」
古泉「思うんですよ…主人公は他の女性登場人物から一定以上の好意をもたれているわけです」
古泉「ですが…彼女達は平等には扱われない、攻略出来るキャラは一人だからです」
古泉「選ばれなかった人は画面に出ていなくとも、主人公が結ばれるのを見てるわけです」
古泉「そして…悔しさで涙を流しているに違いないのですよ」
古泉「…かわいそうだと思いませんか?」
長門「……」
みくる「ま、まあ…」
古泉「しかし…ゲームの展開上、最終的には一人のヒロインを選択しなければなりません」
古泉「ならばせめて…選ばれなかった相手にもきちんと告白をさせてあげたいのです」
古泉「告白して例え結果が否と出ても…彼女達にはプラスになるはずです」
長門「だから…あのようなに告白をさせて取捨選択するイベントを?」
古泉「ええ…恋愛とはある種の戦い、悲しい側面も持ち合わせているのですよ」
長門「…言っていることはあながち間違えてはいない、ただ」
みくる「古泉君が言ってる彼女達って…ゲームのキャラクターですよね」
古泉「もちろんです」
長門「……」
みくる「……」
翌日
キョン「…朝か、何とか今日も乗り切らねーと」
キョン『それ以前に…ハルヒに何とか元の世界に戻りたいと思わせねーとな』
学校
キョン「ようハルヒ」
ハルヒ「どうすんの…?今日は」
キョン「…どうすんのとは?」
ハルヒ「お昼に決まってんでしょ!」
キョン「ああ…じゃあハルヒ、食おうぜ」
谷口「……」
昼食
キョン『どうするか…さりげなーく切り出してみるか』
キョン「なあハルヒ、ドラクエとか好きか?」
ハルヒ「ドラクエ…ちょっとしかやったことないけどね、まあ嫌いじゃないわ」
キョン「…思うんだけどさ、テリーとククールとトランクスって似てないか?」
キョン「あとはミレーユと十八号が似てるように見えるんだが」
ハルヒ「まあ…確かに似てるかもね」
キョン「内容的には言えば、俺は天空の勇者が一番好きだな」
キョン『ビアンカ可愛いし』
ハルヒ「あたしはロトの勇者かしら」
キョン「やっぱターバンを頭に巻いてねーとダメだと思うんだがな」
ハルヒ「そう?あたしはそんなに気にならないけどね」
キョン『オッケーオッケーッ、とりあえずゲームの話には繋げた!』
キョン「ドラクエ以外には…最近恋愛ゲームとか流行ってるよな?」
ハルヒ「へ、へぇー…そうなんだ?」
キョン「ゲームもいいのかもしれんが…やっぱりそういうのは自力でやらないとな」
ハルヒ「えっ?」
キョン「ゲームの中でいくら恋人を作れようと…それは違うだろう」
キョン「俺たちは現実で四苦八苦しながらもやりぬいていくしかねーのさ」
キョン「人間ってのは…そういうもんだろ?」
ハルヒ「キョン…」
キョン『これでハルヒがどう反応するか…頼むぞ神様、俺に幸運を…』
ハルヒ「へぇ…キョンのくせになかなか良いこと言うじゃない!」
キョン『よっしゃあァァァァァァ!来ましたァ俺の時代!!』
キョン『これでハルヒは恋愛ゲームに興味をなくすはずだ…明日には帰れる!』
放課後
キョン『ヤバい…今ならバラモスだろうがゾーマだろうが倒せる気がするぜ』
キョン『天空の勇者様の時代が来てる…ははははは!』
喜緑「こんにちは、どことなく嬉しそうですね」
キョン「は……」
喜緑「どうかしましたか?」
キョン『で、デスピサロより怖そうな人現れたァァァ!ここで登場かァァァァ!!』
喜緑「その様子だと元の世界に帰れる見通しが立ったんですね?」
キョン『この人はゲームと現実がごっちゃになってる状況を理解しているらしいな』
キョン「まあ…確実ではないですけどね」
喜緑「そうですか、なら話は早いです」
キョン『これは…何もなく終了する一般的なイベントか?』
喜緑「元の世界に戻るの、止めてくれませんか?」
キョン「」
キョン『落ち着け…うん、落ち着け…よし大丈夫だ…え?何この状況!?』
喜緑「驚きましたか?すみません、私はあなたに帰られては困るんです」
キョン「いや、あの…何でですか」
喜緑「あなたが好きだからですよ」
キョン「……」
キョン『あれ、何か痛い?お腹痛くなってきた?」
キョン「すみません喜緑さん、今何と?」
喜緑「あなたが好きなんですよ…今までは遠くから見ているだけで幸せでした」
喜緑「でも涼宮さんや長門さん、朝倉さんたちまであなたを獲得しようと動いているなら…」
喜緑「私にも行動を起こす権利はあるはずです」
キョン『いや何その理屈?まともなこと言ってるようで実はそうでもないよ!?』
喜緑「ひとまず私への返事は保留しておいてください」
キョン「あれ…そういや俺たちが帰ったらこの世界はどうなるんですか?」
喜緑「涼宮さんが存在しなくなった時点でこの世界は崩壊を開始します」
喜緑「残された私達は消失したあなたを想い、悲しみながら消滅していくのです」
キョン「……」
キョン『な、何か帰りずらくなったァァァ!そんなこと言われてもォォォォ!!』
喜緑「後日、お返事を聞かせてくださいね」
キョン「…はい」
喜緑「ではまた…最後にもう一度だけ言っておきます」
喜緑「選択肢は二つ…一つは涼宮さん一人を取ってこの世界の人間全員を消し去る」
喜緑「もう一つは涼宮さんも含めた全員でこの世界を生きるか…そのどちらかです」
キョン「……」
キョン『エエエェェェェ!だからそんなこと言われましてもォォォォォ!』
放課後
キョン『終わった…俺の人生、何かが崩れ落ちた…こんな状況を誰が望んだ…』
みくる「あの、キョン君…部室に行く前に少しお話があります」
キョン「はい…?」
キョン『嫌な予感』
みくる「私たち…聞いちゃったんです、喜緑さんとキョン君の話」
キョン「」
キョン『死んだああああああああああ 嫌ああああああああ』
みくる「喜緑さんが告白してるのを見たときは本当にびっくりしました…」
キョン『しゅ、修羅場が…また修羅場が…』
みくる「でも…告白の件はいいんです、まだ時間があるみたいですから」
キョン『ん…?修羅場は回避したのか?』
みくる「問題なのは…ここが作られた世界、涼宮さんが作り上げた世界だということ」
キョン『そ、そっちかァァァァ!何かヤバい方向に話進んでる!!』
キョン「あれ…待ってください、さっき私『達』って言いましたよね?」
みくる「鶴屋さんも…私と一緒に同じことを聞きました」
キョン『す、救いの女神がァァァァ!!』
みくる「ショックを受けたみたいで…今日はもう帰ったみたいです」
みくる「それでキョン君…その、ほ…本当なんですか?」
キョン『え、これは正直に事実を告げるべきなの?いや結構危険だよね!?』
キョン「……」
みくる「否定しないってことはやっぱり…本当なんですね」
キョン『やばい、この展開…バッドエンドの予感』
みくる「私の…この気持ちも…ゲームが作り出した感情だなんて…い、嫌です」
キョン「いや…多分、意志や感情には関係してないのでは…」
みくる「キョン君を好きっていうこの気持ちは…嘘なんかじゃありません!本物です!」
キョン『しれっと告白されたァァァ!?流れるように自然と告白してきたァァァァ!!』
みくる「キョン君は…元の世界に帰りたいですか…?」
キョン「…正直、よく分かりません」
キョン『はい、帰りたいです!…なんて言える空気じゃねぇ…』
みくる「分かりました…、ごめんなさい、変なこと聞いちゃって」
キョン『オイィィィ!マジで俺はどうすりゃいいんだァァァァ!?』
帰り道
キョン『気が重い…精神の安定がヤバい』
鶴屋「キョン君…!」
キョン『今だけは…今だけはこの人に会いたくなかった…』
鶴屋「ちょろーんとさ…話でもどうだいっ?」
キョン『出来れば断りたい…ただ…鶴屋さんには前に助けてもらったしな…』
キョン「…ええ、いいですよ」
キョン『危ないことは分かってるが…今回だけは目をつぶるしかないか…』
鶴屋「……そっか、やっぱりさっきの話は本当だったんだね」
キョン「ええ…すみません」
鶴屋「何でキョン君が謝んのさっ?」
キョン「いえ…色々と責任を感じまして」
鶴屋「……」
キョン『沈黙が怖い…古泉さ、ホントにゲームの世界ってこんななの?殺伐としてんの?』
鶴屋「キョン君は…どうするつもりだい?」
キョン「俺は…」
キョン『帰りたいなんて言い出せないって…お前ら俺の立場になってみてくれよ』
鶴屋「あたしたちのことを気にしてんだったら…そいつは間違ってるっさ」
キョン「…は?」
鶴屋「他の人はどうだかしんないけどねっ、あたしはキョン君に無理をさせたくないよ?」
鶴屋「キョン君が帰りたいなら…あたしはそれを応援するっさ!」
キョン『ねえパトラッシュ…翼のない天使っていると思うかい?』
鶴屋「ところでさ、ついでだし一個だけ聞いていいかい?」
キョン「何ですか?」
鶴屋「そのキョン君がいた世界でも…あたしはキョン君と仲良くやってたかいっ?」
キョン「も、もちろんですよ?」
鶴屋「そっか、じゃあ…出来ればそのあたしとこれからも仲良くしてやっておくれっ!」
キョン『この人…良い人すぎる…涙出る…ダム的な感じで…』
鶴屋「それと…これは何て言うか予想だけどさ」
鶴屋「あたしが今…キョン君を好きになってんのはゲームのせいじゃないと思うなっ!」
キョン『生きててすいません…生まれ変わるなら海の底でものを言わぬ貝になりたい…』
帰宅
キョン『半端ねえ…ガチで泣きそうなんだけど…ちょっとこの世界に未練が…』
キョン妹「おかえりーキョン君」
キョン「……え?待って、何そのはさみ?」
キョン妹「キョン君知らないのー?はさみは斬るために使うんだよー」
キョン「……」
キョン『字が違うゥゥ!ごめん、やっぱない!未練ありませェェェェん!!』
キョン妹「おかえりキョン君、今日はお楽しみでしたね」
キョン『え…ドラクエの話をしたことも筒抜け?何で!?エスパー?エスパーなの?』
キョン妹「キョン君ったらまた告白されちゃったねー」
キョン「」
キョン『と、盗聴器なのか?盗聴されてんの!?何にしても怖ェェェェ!』
キョン『いやビビるな…堂々としていよう、ここはダンディーな大人っぽく行こう…』
キョン「はっはっは、人生には様々な出来事があるものだな!」
キョン妹「それで誰を選ぶのー?」
キョン「まだ早いぞ妹よ…そういうのは盆栽を趣味にし始めてからだな…」
キョン妹「それで誰を選ぶのー?」
キョン「だからな妹よ、そういうのはブリーチで藍染が倒されてから…」
キョン妹「それで誰を選ぶのー?」
キョン「……」
キョン妹「誰を選ぶのー?」
キョン『誰かァァァ!僕とポジション変わってくださいィィィィ!!』
キョン『腹に穴空く!色んな意味で腹に穴が空くゥゥゥゥ!!』
キョン妹「明日には決めておいてねー」
キョン「…」
キョン『コイツ…俺が明日には元の世界に戻れるかも、ってことは知らないのか?』
キョン『…黙っておいたほうがいいな』
キョン妹「あー!言い忘れてたー!キョン君は…ずっとここにいるよね?」
キョン「」
キョン『し、知ってたァァ!そんな甘いわけがなかったァァァァ!!』
翌日
キョン「今日で…今日で元の世界に戻れるかが決まる…」
キョン『天下ワカメの関ヶ原じゃあァァァァ!!』
学校
キョン「ようハルヒ、元気か?」
ハルヒ「ん…まあいつも通りかな」
キョン「そいつは何よりだ、平凡が一番大切なんだぞ?」
ハルヒ「ねえキョン…」
キョン「ん?」
ハルヒ「もしさ…現実世界がゲームと混ざっちゃったらどうする?」
キョン『来たな…これを上手くさばかなきゃその時点でアウトだ』
キョン「俺なら」
喜緑「あら、何のお話ですか?」
キョン「」
ハルヒ「あら喜緑さん」
キョン『え、エスターク降臨したァァァァ!何でこんな時にィィィィィィ!!』
ハルヒ「ゲームと現実が混ざっちゃったとしたらどうするかって話よ」
喜緑「フフ、面白そうな話ですね」
キョン『面白くない!この人の前じゃ全然面白くないィィィィ!!』
キョン『何でだァァ!何でこのタイミング!?天下ワカメとか言ったからか!?』
喜緑「それでキョン君…、あなたはどういった結論を?」
ハルヒ「そうそう、あんたならどうするの?」
キョン「Ah…I can not speak Japanese.」
喜緑「あら…なら話せるようにしてあげましょうか?」
キョン「はっはっは、ジョークで…」
喜緑「…」
キョン『笑顔がァァァ!ねえ!笑顔が怖すぎるんだけど!!』
朝倉「三人揃って何の話かしら、珍しい組み合わせね?」
キョン『こ、ここで朝倉だと…もう俺のライフはとっくにゼロなんだけどォォ!?』
朝倉「キョン君、ゲームがどうとか言ってたけど…何のことかしら?」
キョン『朝倉はこの世界がゲームだって知らないんだったな…このまま切り抜ける』
喜緑「朝倉さん…ちょっと私の目を見てくれるかしら?」
朝倉「…?」
喜緑「……」
朝倉「…そ、そんな…嘘……!」
キョン『…な、何かアイコンタクトで意志疎通してる!テレパシーってるゥゥゥゥ!!』
朝倉「…そういうことなのね」
喜緑「そういうことなんです」
朝倉「キョン君は…どっちを取るのかしら?」
ハルヒ「別にそんな重い質問じゃないんだからちゃっちゃと答えなさいよ」
キョン『人の気もしらねーでお前…俺、ガチで死の瀬戸際に立ってるからな?』
喜緑「そう…そんなに難しく考えることじゃありませんよ?」
朝倉「そうね、答えはもう決まってるもの…ね?キョン君」
キョン『アアァァァァ!死ぬ、帰りたいなんて言ったら殺されるゥゥゥゥ!』
長門「……」
ハルヒ「あっ、有希じゃない!」
朝倉「あら、長門さん」
喜緑「こんにちは」
キョン『ねえ…せめて誰か胃薬を持ってきてくれない?』
長門「彼と話がある、時間をもらいたい」
キョン『た、助かったァ!神が舞い降りたァァァ!!』
ハルヒ「まあ別に良いけど…キョン、なるべく早くしなさいよ」
キョン「ああ、分かってるって!」
ハルヒ「心なしか嬉しそうね…」
朝倉「じゃあキョン君…後でね?」
喜緑「フフ…ゆっくりお話しましょう」
キョン『この間に対策を練らねえと…大丈夫だ、時間はある』
廊下
キョン「長門、色々と助かったぜ…感謝する!」
キョン『さーて…今のうちに全員を上手く丸め込む方法を考えねーとな…』
長門「いい、それに私があなたに話があったのは事実」
キョン「ん?何だ?」
長門「今日は期日の三日目、あなたの言っていた大事な話を聞かせてもらいたい」
キョン「……」
キョン『そんな話あったなァァ!ヤバい忘れてた!これヤバいよ!?』
キョン『三日も待たせて中途半端に返事をしたら…確実に滅!』
キョン『てか、朝倉たちの対策考えてる余裕ねェェェェ!!』
キョン脳内
キョン『火急の事態です…皆さん!死ぬ気で知恵を出してください!』
国木田『何とか場を持たせることを優先すべきじゃない?』
キョン『いや…既に三日の時間を貰ってる、中途半端な答えは危険だ』
ミヨキチ『遊びに誘うって機嫌を取るとか…』
キョン『遊びに誘うだけで三日間はないな…てか何故にお前がここに!?』
谷口『俺なら…そのまま華麗に押し倒』
キョン『馬鹿と話す時間はない、てかお前髪型だけ見たらブリーチの藍染みたいだな』
コナン『真実はいつも一つ!』
キョン『…うん、だから?てか小五郎のおやっさん、声変わりしたな』
キョン「……」
長門「……情報凍結?」
キョン『もうこれしかない、MPは分からない状態だが…マダンテを使う!』
キョン「長門…俺、元の世界に帰ろうと思うんだ」
長門「……」
キョン『…あれ?長門の両腕が白く光って見える?いやーキレイ…』
キョン『…とか言ってるバヤイではない!あれ絶対刺そうとしてるよね!?』
長門「そのセリフを言うためだけに…三日間、私を放置していた?」
キョン『ごもっともなお怒りすぎてぐうの音も出ない…』
キョン『こうなったら、憑依合体…口先の魔術師!』
キョン「……」
キョン『やっぱ無理か…自力で説得するしかないな』
キョン「長門…おまえは怒ってるだろうな、三日間も待たされた挙げ句の答えがこれだ」
キョン「だが…これは俺なりに考えた結論、お前のための結論でもある」
長門「私のため…?」
キョン『腕の光が収まりつつある…よし、良い流れだ』
キョン「現実世界にもお前は存在している、ここに残るのはあの長門への裏切りだ」
長門「……」
キョン「だから…お前とはこの世界でもっと一緒にいたかったが…別れを決めたのさ」
長門「…そう」
キョン『光が完全に消えた…か、勝ったァァ!てか意外と依合体成功した!?』
長門「ただ…それでもやはり釈然としない」
キョン「…?」
長門「あなたの言っていることは分かる…でも、私のあなたに対する想いもまた事実」
キョン『もう一押しか…よし』
キョン「分かってる…だから三日間の時間を貰ったんだ」
長門「…?」
キョン「この長門の気持ちと現実の長門との約束…どっちを大切にするべきか…」
キョン「それをずっと考えてたんだ!」
キョン『おーおー、よくもまあ嘘をペラペラと喋れるな…はぁ』
長門「…了解した、私はあなたに協力する」
キョン『長門が仲間になりたそうに…違うか、だが長門が味方についたのは心強い!』
長門「問題は朝倉涼子たち…何か手は?」
キョン「よく聞いてくれましたお立ち会い…何もねえんだなこれが」
長門「彼女たちは一筋縄ではいかない…注意して」
キョン『説得か…賭にでるか、ぼちぼち負けそうな気もするが』
昼休みー屋上
キョン「朝倉…喜緑さんにも、少し話がある」
朝倉「あら…何かしら、とうとう答えが出せたのね?」
喜緑「フフ…聞かせてもらいましょうか?」
キョン『オ、オーラが半端ねぇ…スーパーサイヤ人と向かい合ってるみたいだ』
キョン『だが…コイツらを説き伏せれば勝てる…行くぞデスタムーアァァァァ!!』
キョン「ああ…俺は」
キョン妹「うん、俺はー?」
キョン「……」
キョン『ダ、ダークドレアム降臨したァァァァ!!何でここでェェェェ!?』
朝倉「ああ、あなたの妹さんね…可愛らしいじゃない」
キョン『いや、ハサミ持ってるし!あれヤバいよ!!下手したら色々と死ぬよ!?』
キョン妹「それでキョン君は誰を選ぶのー?」
キョン「……」
喜緑「やっぱり涼宮ですか?」
キョン妹「ハルにゃんかー、分かったよー…!」
キョン「……」
キョン『こ、コイツ殺る気だァァ!殺る気その気大好きってなってるゥゥゥゥ!!』
ハルヒ「あら妹ちゃん、学校に来てどうしたの?」
キョン『何でお前も来るだァァァ!?逃げてェェェ!ちょ、逃げてェェェェェ!!』
ハルヒ「キョン…あんたすごい表情してるけど大丈夫?」
キョン『いや!大丈夫なのか心配なのはお前だからね!?』
キョン『何でこうややこしくなるんだァァァ!俺は早く』
キョン「俺は早く元の世界に帰りたいのにィィィィィ!」
朝倉「…」
喜緑「…」
キョン妹「…てへっ!」
キョン「……あれ?」
キョン『く、口に出しちゃったァァァァ!心の叫び口に出したァァァァ!』
キョン『…あれ?目の錯覚かな、妹がハサミ振り上げて俺に向かってきてる?』
キョン「待って!うん、一回冷静に話し合おう!?落ち着いてネスカフェでも…」
キョン妹「キョン君、今助けてあげるー!」
キョン『助けるって何からァァ!?お前から助けて欲しいんだけどォォォォ!!』
キョン『うん、逃げよう!高校生の俺のほうが足は速い…!』
キョン妹「しっぷう突きー」
キョン『しっぷう突き!?確実に先制攻撃してきたァァァ!死ぬゥゥゥゥ!!』
長門「……」
朝倉「長門さん…邪魔をするの?」
長門「彼は元の世界へ返すべき、それがあるべき形…」
キョン『長門がハサミ素手で止めた…た、助かっ』
喜緑「フフ、じゃあ私が…」
キョン『ってねェェェェ!!』
喜緑「心配いりません、一瞬ですから」
キョン『いやあれ多分腕伸びてくるよね?確実刺し貫こうとしてるよね!?』
キョン『腕伸びるのは麦わら帽子の海賊王だけでいいのにィィィィ!!』
鶴屋「キョン君こっちだよ!早く来て!」
キョン「つ…、鶴屋さん!」
キョン『何このオールスター感謝祭!?どうやって収集つけんの!?』
キョン『これ打ち切り間際になった漫画みたいな状況になってるんだけどォォォ!』
俺たちの戦いはこれからだ!
キョン『…いやいやァァ!こんなんじゃ終われねーよ!?苦情のお手紙殺到するよ!?』
ハルヒ「……な、何なの?これ…」
キョン『ねえ!あそこに話の流れについていけずに呆然としてるヤツもいるんだけど!?』
ハルヒ「……」
キョン『は、ハルヒが魂抜けたみたいになって……あ、今がチャンスなのか?』
キョン「ハルヒ…元の世界に戻りたくないか?」
ハルヒ「え…?」
キョン「俺は戻りたい!戻って…お前と一緒に団活をしていたい」
ハルヒ「あ、あたしも…帰りたい」
キョン『いよっしゃァァァァ!その場の流れと勢いで勝ったァァァァ!!』
キョン『……あれ?えんだああああああ、が流れない?』
佐々木「……」
橘「……」
九曜「ーーー」
キョン「」
キョン『の、残り少ないのにテメーら何で出てきたァァァァ!!』
佐々木「そうか…キョン、それが君の答えか」
九曜「ーーー残ーー念ーーー」
キョン『なんで九曜までいるんだァァァァ!お前初登場だろ!』
橘「やっぱり…元の世界に帰りたいんですか」
キョン『帰りたーい、帰りたーい、あったかハイムが待っているー』
佐々木「橘さん、それを聞くのは野暮と言うものだよ…キョン」
キョン「ひゃい!」
キョン『落ち着け…何をすべきか考えろ…そうだ、旅に出よう』
キョン『僕らは時の旅人なんだ…優しい雨にうたれ、緑が蘇るように…涙のあとには…』
佐々木「キョン…気を確かに持ってくれたまえ、女性の話はしっかりと聞くものだ」
佐々木「君が帰りたいのならば…僕はそれを止めはしないよ」
キョン「…は?」
橘「言いましたよね、どんな結果になっても私達はそれを受け止めると」
橘「大好きなあなたが決めたことです…それを応援できないようじゃ…」
佐々木「キョンを好きになる資格はないからね」
キョン「……」
キョン『泣いてない…僕泣いてないよォォォォ!』
キョン『てか古泉…お前、佐々木と橘大好きだろ?』
佐々木「涼宮さん、キョンをよろしく頼みましたよ?」
ハルヒ「え、ええ…」
橘「お別れですね…元の世界の私とも仲良くしてあげてください」
キョン『元の世界の橘って結構あざといんだが…それは置いておこう』
佐々木「キョン、僕は…いや…もう君の前では素直になろう」
佐々木「私はキョンのことが好きだった、本当に心の底からね」
キョン『冷静に思うと……妹みたいなキャラがいて良かった』
キョン『全員こんな感じだったら元の世界に帰ろうなんて思わなかったかもしれん…』
キョン『しかしあれだな…何という素晴らしいハッピーエンド…』
キョン妹「えへへ、キョン君は帰らせないよー」
キョン「」
キョン『嘘!ゴメン、違った!地雷がまだあった!認識が甘かったァァァァ!!』
キョン「オイハルヒィィ!早く帰りたいと思ってェェェェ!!」
ハルヒ「あの…色々と起こりすぎて何がなんだか分からなくて…」
キョン「いやもう何でもいいからァァァァ!早くゥゥゥゥ!!」
キョン妹「キョン君待ってーよ!ねえ、鬼ごっこー?」
キョン『リ、リアル鬼ごっこォォ!捕まったら殺されるゥゥゥゥ!!』
キョン「ハルヒ!早くしないと俺が死ぬゥゥゥ!」
ハルヒ「あの…でもどうしたらいいのか…」
キョン『しまったァァ!ハルヒは自分の能力知らねーんだったァァァァ!』
古泉「涼宮さん…強く願えばいいんです」
みくる「キョン君を助けたい、元の世界に帰りたいと…」
キョン『空気になってた二人登場したァァ!おいしい場面で登場したァァァァ!!』
ハルヒ「あたしは…帰りたい、キョンと一緒に…一緒に帰りたい!」
キョン『おや…ハルヒの様子が…!?』
キョン『何か光り出した!きらめいてる、すごいまぶしくなってる!』
キョン「……あれ?」
朝倉「……」
喜緑「……」
鶴屋「は、ハルにゃんは帰れたみたいだけど…」
みくる「あの…キョン君は…何でまだここに?」
キョン「」
キョン『』
キョン『え?待って、何この状況?はっはっはっ…冗談が好きですなー、お大根様』
キョン『これはあれか…うん、パターンPXー1だよな?』
キョン『お、置いていかれたァァァァ!アイツふざけんなァァァァ!!』
古泉「いえ…、僅かなタイムラグが生じているだけでしょう」
古泉「あと一分もあればあなたも帰れます」
キョン「あー、そう…そりゃ良かった」
キョン妹「一分もあるんだーなら大丈夫だね!」
キョン「」
キョン『良くないィィィィ!あと一分逃げ切る自信ないィィィィ!!』
朝倉「妹ちゃん、もう止めて?」
キョン『ま、まさかの朝倉が止めた?何この状況!?』
朝倉「あーあ、残念…もうちょっとでキョン君とこの世界でずっといられたのに…」
キョン「いや!お前俺を殺そうとしてたよね!?」
朝倉「あら、私はあなたに直接攻撃はしなかったわよ?」
朝倉『ナイフで刺し殺そうとしたことはあったけど』
キョン「そういう問題!?直接攻撃とかじゃなくても精神はボロボロだからね!?」
鶴屋「まあ良かったじゃないかっ!終わりよければすべてよしってことさっ!」
キョン『いやそういう問題でもないんですけど!』
佐々木「何にしてもキョン…おめでとう」
朝倉「おめでとう」
古泉「おめでとうございます」
みくる「キョン君、おめでとう」
鶴屋「おめっとさん!」
橘「おめでとう」
長門「…おめでとう」
九曜「ーーおめーでーとうーー」
キョン妹「グスッ…お…おめでとう…」
キョン『見たことある!ねえ!これどっかで見たことあるよォォォォ!?』
現実世界
キョン「…はっ!」
古泉「大丈夫ですか…お疲れ様です」
みくる「ふぇ…キョン君~、無事で良かったぁ~」
キョン「た、助かった…戻ってきた……地球に生まれて良かったァァァァ!!」
長門「良かった、無傷で帰ってきたのが奇跡的なレベル」
キョン「…あ、そうそう古泉、お前に用事があったんだ」
古泉「おや…何でしょう?出来る限りのことはいたしましょう」
キョン「長門、頼む」
長門「了解した」
古泉「…?」
古泉「ねえちょっと!ライオン!ライオンいますって!」
古泉「加えてこの時期に全裸は死にますよ!」
古泉「お願いします長門さん、助けてくださいィィィィ!」
長門「自業自得…あなたへのペナルティーはあってしかるべき」
古泉「でも冷静に考えてください!僕がしたのはエロゲーを作っただけですよ!?」
ゴリラ『ウホッ!(いい男!)』
古泉「い、いやああああああああ…」
長門「……完」