1 : 以下、?... - 2018/10/11 20:00:05.764 Sltdq7ib0 1/20

(あのタクシー会社は……乗らなきゃ)サッ


ブロロロロ… キキッ

ガチャッ


運転手「どうぞ」

「……」スッ

運転手「お客さん、どちらまで?」

「あの世」

元スレ
タクシー運転手「お客さん、どちらまで?」客「あの世」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1539255605/

5 : 以下、?... - 2018/10/11 20:03:14.404 Sltdq7ib0 2/20

運転手「お客さん、からかっちゃ困りますよ」

運転手「私、今日が勤務初日でして、そういうジョークにどう対応していいか分からなくて……」

「……」

「悪かった、適当に走ってくれ」

運転手「適当にって……」

「もちろん、メーターが動いただけの金は払う」

運転手「……分かりました」

ブロロロロ…

6 : 以下、?... - 2018/10/11 20:06:22.026 Sltdq7ib0 3/20

運転手「ところで、さっきのあの世って言葉、冗談には思えませんでした」

運転手「もしかして自殺でもするつもりですか?」

「まあ……そんなとこだ」

「近い将来、俺は死ぬことになるだろう」

運転手「……」

「……」

8 : 以下、?... - 2018/10/11 20:08:36.244 Sltdq7ib0 4/20

運転手「差し支えなければ、理由をお聞かせ下さいませんか?」

「……変わってしまった」

運転手「え?」

「自分の人生が変わりまくってしまった」

「その変化に俺は耐えられない……ってところか」

9 : 以下、?... - 2018/10/11 20:11:14.550 Sltdq7ib0 5/20

運転手「お客さん、死ぬなんてよしましょうや」

「……」

運転手「私も色んなもんが変わっちまいまして、職まで変わって、今やタクシー運転手なんて身ですが」

運転手「こうやって生きてます」

運転手「生きてれば、きっといいことありますって」

「そうとも思えんがな」

11 : 以下、?... - 2018/10/11 20:14:03.915 Sltdq7ib0 6/20

運転手「きっとご家族だって悲しみますよ」

「いないよ」

運転手「え」

「父も母も死んでしまった」

運転手「そうですかい……」

「……」

運転手「……」

12 : 以下、?... - 2018/10/11 20:16:07.119 Sltdq7ib0 7/20

運転手「じゃあ恋人とか――」

「恋人か……婚約者がいた」

運転手「ほう!」

「だけど死んだ」

運転手「そうですかい……」

「……」

運転手「……」

14 : 以下、?... - 2018/10/11 20:19:35.390 Sltdq7ib0 8/20

運転手「なんで死んじまったんですか?」

「あれは婚約者との結婚式の日だった」

「結婚式が始まる寸前、大爆発に巻き込まれてね。その時、両親も死んだ」

運転手「爆発……」

「特に俺を突き飛ばして助けてくれた婚約者は、肉片すら残らなかったんだ」

運転手「……」

15 : 以下、?... - 2018/10/11 20:22:47.836 Sltdq7ib0 9/20

運転手「犯人は?」

「まだ捕まってない。恨まれる覚えもなかったし、おそらく愉快犯だろう」

運転手「手がかりはないんですか?」

「あるけど……誰にも話しちゃいない」

「あの事件に関しちゃ、あまり口に出したくなくってね」

運転手「そうですか……」

17 : 以下、?... - 2018/10/11 20:24:31.275 Sltdq7ib0 10/20

運転手「それにしても、災難でしたね……」

「ああ、あの結婚式場に届けられた美しい宝石が……まさか、あんなことになるとは……」

運転手「爆弾だったとはねえ……」

「……」

18 : 以下、?... - 2018/10/11 20:27:24.070 Sltdq7ib0 11/20

「だがね、俺はようやく犯人が分かったんだよ」

運転手「ほう! おめでとうございます!」

運転手「あなたの幸せを潰したのは、いったいどこのどいつです?」

「あんただよ」

運転手「へ?」

22 : 以下、?... - 2018/10/11 20:31:11.056 Sltdq7ib0 12/20

運転手「なんで、私が……」

「じゃあ聞くが、なんであんた、宝石を爆弾だと思ったんだ?」

「そもそもなんでいきなり“犯人は?”なんて聞いてきたんだ?」

運転手「!」

「俺は爆発に巻き込まれて、としか話してないのに……どうして?」

運転手「いや、それは……話の流れから、なんとなくですよ!」

「苦しい弁明だな。なんとなく、で宝石を爆弾だという奴はいないだろう」

「つまり、あんたはあの事件のことを知ってたんだ!」

運転手「ぐっ!」

23 : 以下、?... - 2018/10/11 20:33:53.431 Sltdq7ib0 13/20

「俺はあの事件の日、現場である式場のそばに不審なタクシーを見たんだよ」

「それがこの会社のものだった」

「だから俺は、この会社のタクシーを見るたび乗り込み、運転手と会話し――」

運転手「“現場にいる人間じゃなきゃ分からないこと”を漏らす奴が出るのを待ち続けたってことか……!」

「そういうことだ」

「そして……やっとあんたという犯人を見つけた」

「これで心おきなく死ねる……」

運転手「な、なにをするつもりだ!?」

27 : 以下、?... - 2018/10/11 20:36:57.895 Sltdq7ib0 14/20

「これだ」サッ

運転手「それは……爆弾!?」

「ああ、俺お手製の爆弾だ。この爆弾で……俺と一緒に死ね」

運転手「ま、待てっ!」

「これでやっと……俺も彼女のもとに逝ける……」

運転手「違うんだ! 私は犯人じゃない!」

「ウソつけぇ! さぁ、このスイッチを押せば……!」

運転手「あ~~~~もう! 仕方ない!」

29 : 以下、?... - 2018/10/11 20:40:17.898 Sltdq7ib0 15/20

運転手「私よ! 私!」

「!?」

運転手「しょうがないわね……顔も声も変わっちゃったから、分からない?」

「君は……君はまさか!?」

運転手「そう……お久しぶりね」

運転手「私はあなたの婚約者だった女よ」

「……!」

30 : 以下、?... - 2018/10/11 20:42:08.278 Sltdq7ib0 16/20

「ウソだ! 彼女は死んだはずだ!」

運転手「だったらなんでもいいから質問してみて……」

「初デートの場所は?」

運転手「○×公園……あなたがソフトクリーム買ってくれたけど、猛暑だったからすぐ溶けちゃったわね」

(間違いない! 彼女だ!)

32 : 以下、?... - 2018/10/11 20:45:38.637 Sltdq7ib0 17/20

「でも、なぜ!? なんで死んだふりをしてた!?」

運転手「私はあの爆発で、顔はズタズタになり、ノドは潰れてしまった……」

運転手「だからもう、あなたに相応しくない女になってしまったと思ったの」

運転手「それで、私は肉片も残さないで死んでしまったことにしたの……」

運転手「そして、手術で顔も声も別人のようにして、生きてきたの……」

「どんなに変わろうと、君は君だよ……!」

運転手「……ありがとう」

運転手「だけど、あなたのもとを去ったのはもう一つ理由があるの」

「それは、いったいどんな?」

35 : 以下、?... - 2018/10/11 20:48:52.431 Sltdq7ib0 18/20

運転手「私も……犯人探しをしてたのよ。あなたのようにね」

運転手「もちろん、見つけ出したら殺してやろうと思ってた」

「そうだったのか……それで?」

運転手「見つけたわ」

運転手「私たちの結婚式をメチャクチャにした悪魔は……タクシー会社の社長だったわ」

「それで君は、社長に復讐するため、タクシー運転手に……」

運転手「ええ、そういうことよ。そして、今日がまさに勤務初日ってわけ」

36 : 以下、?... - 2018/10/11 20:50:46.721 Sltdq7ib0 19/20

「だったら、このまま二人で復讐に行かないか?」

「俺たちには爆弾(こいつ)がある!」

運転手「ふふっ、それも面白いかも!」

「結婚式でやれなかった共同作業を今こそやってやろう!」

運転手「そうね!」

38 : 以下、?... - 2018/10/11 20:53:10.877 Sltdq7ib0 20/20

ドゴォォォン…


ブロロロロ…

運転手「終わったわね……」

「ああ、終わった」

運転手「これからどうする?」

「せっかくタクシー乗ってるし、教会にでも行こうか! 二人きりの結婚式だ!」

運転手「嬉しい!」





END

記事をツイートする 記事をはてブする