1 : 以下、?... - 2018/09/27 05:53:04.520 p8J+TDTsD 1/17

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    笹井美奈(33) 女優

    【万病の湯】

    ホーッホッホッホ……。」

元スレ
喪黒福造「この温泉で湯治をすれば、あなたの薬物中毒は確実に治りますよ」 女優「ここですか……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1537995184/

2 : 以下、?... - 2018/09/27 05:55:48.456 p8J+TDTsD 2/17

とある建築物。建物に仕組まれた時限爆弾が時を刻む。最上階で、人質の若い女性に銃を突き付ける凶悪犯。

凶悪犯に銃を向ける女刑事。女刑事が凶悪犯に向かって拳銃を撃つ。銃弾が命中し、倒れる凶悪犯。

人質の女性を連れて、急いで建物を出ようとする女刑事。時限爆弾が爆発するタイムリミットが迫る……。


撮影スタッフ「カーーーット!!お疲れさまでした!!」

手に汗を握る緊迫した展開は、ドラマの撮影だったようだ。リラックスした様子になる俳優たち。

女刑事役の女優が、ほっとしたような表情になる。

テロップ「笹井美奈(33) 女優」

トイレの中。便器に座った笹井美奈が、震える右手に注射器を持つ。左ひじに薬物を注射する美奈。

美奈「フーーーーッ……」


夜。とある居酒屋。店内にある液晶テレビを見つめる客たち。客の中には喪黒福造の姿がある。

液晶テレビの画面には、あの刑事ドラマが映し出されている。画面に、女刑事役の笹井美奈の顔が映る。

3 : 以下、?... - 2018/09/27 05:57:55.671 p8J+TDTsD 3/17

サラリーマンA「笹井美奈も、女優としてすっかり貫禄が付いてきたなぁ」

サラリーマンB「ああ。昔は女子高生の役でデビューしたのに、時間が経つのは早いもんだな」

手元にあるスポーツ紙を見つめる喪黒。スポーツ紙には、覚醒剤使用の疑いがある芸能人の記事が載っている。

記事の、黒いシルエットの女優は薬物疑惑がある人物だ。シルエットの女性の輪郭は、笹井美奈にどことなく似ている。


ある日の昼。歓楽街。路地裏には、私服姿の笹井美奈と半グレ風の男の姿がある。

会話をする2人。美奈は、半グレ風の男から白い粉の入った袋――覚醒剤を貰う。

遠くの物陰で、デジカメを持つ喪黒。喪黒は、美奈が薬物を受け取る瞬間を撮影する。


とある地方都市のホール。ステージの上で熱唱する笹井美奈。観客席で美奈を応援するファンたち。

歌い終わり、笑顔でファンに感謝をする美奈。歓声を上げるファンたち。

美奈「ありがとうございましたあああっ!!!」

ファンたち「ウオオオオオオオオッ!!!」

4 : 以下、?... - 2018/09/27 06:00:15.055 p8J+TDTsD 4/17

ライブを終え、廊下を歩く美奈。彼女は、汗だくで、だるそうな表情だ。

美奈「ハーーーーッ、疲れた……。控室に入ったら、あれをやって元気をつけよう……」

美奈が控室に入ると……。部屋の中には喪黒の姿がある。喪黒の手には何かの写真が握られている。

喪黒「こんにちは、笹井美奈さん」

美奈「あ、あなたは……!!」

喪黒「ちょっと気になることがありましてねぇ……。実は、これ……」

美奈に写真を見せる喪黒。写真には、美奈が半グレから覚醒剤を受け取る様子が写っている。

美奈「……それって、私に対する脅しのつもり!?まさか、この写真を高値で買えって言うの?」

喪黒「私が言いたいのは、そういうことじゃありません」

喪黒「薬物の使用は立派な犯罪ですし……。あなたの身体を間違いなく蝕むから、よくないってことですよ」

美奈「何!?私に説教する気なの!?」

喪黒「私なら、笹井さんの薬物中毒を治せるんですけどねぇ……。どこの医者よりも確実な形で……」

美奈「えっ!?」

5 : 以下、?... - 2018/09/27 06:02:27.743 p8J+TDTsD 5/17

喪黒「私はこういう者です」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

美奈「……ココロのスキマ、お埋めします!?」

喪黒「実はですねぇ……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」

喪黒「まあ、気が向いたら私の元を訪ねてください。私は例の店にいつもいますから……」

控室から立ち去る喪黒。喪黒から貰った名刺を見る美奈。

彼女が喪黒から貰った名刺の裏の白地には、BAR「魔の巣」の住所がボールペンで書かれている。


数日後。BAR「魔の巣」。喪黒と美奈が席に腰掛けている。

美奈「喪黒さん。あなた、私の薬物中毒を確実に治せるとおっしゃってましたよね……」

喪黒「はい。確かに私はそう言いましたよ」

美奈「そんなことは不可能です。芸能界にいる周りの人間を見れば、それがよく分かりますから……」

喪黒「無理もありません。覚醒剤や麻薬が怖いのは、依存性が強くて絶対にやめられないからですよ」

喪黒「薬物は身体から完全に抜けないし……。何よりも、脳に影響が出ているので、やめたくてもやめられない……」

6 : 以下、?... - 2018/09/27 06:04:27.952 p8J+TDTsD 6/17

美奈「その通りです。薬物依存の恐ろしさは、私が自分の身体で誰よりも実感しているのですから……」

喪黒「それだけではありません……。覚醒剤や麻薬というのは、禁断症状も深刻ですからねぇ」

美奈「そうですよ……。薬の『切れ目』になると、身体が辛くなり始めますから……」

喪黒「そんな生活を続けていたら、肉体が持ちませんよ。最悪の場合は、オーバードーズで早死にするか……」

喪黒「下手をすれば、日常生活さえも送れない廃人になってしまう可能性もあり得ますから……」

美奈「分かっていますよ……。分かっているけど、やめられないんですよ……」

喪黒「でも、もう大丈夫です。薬物中毒を100パーセント治療できる特別なものを、私は知っているのですから……」

美奈「一体、何ですか!?それは……」

喪黒「温泉ですよ」


ある日。新幹線に乗る喪黒と美奈。新幹線を降りた後、喪黒と美奈は高速バスに乗り換える。

高速バスは「温泉種駅」に到着する。駅前には、「ようこそ温泉種温泉へ」と書かれた大きな看板が見える。

テロップ「島根県石見市温泉種町、温泉種温泉街――」

美奈「おんせんたね、おんせん……?」

7 : 以下、?... - 2018/09/27 06:06:41.281 p8J+TDTsD 7/17

喪黒「『温泉種』と書いて『ゆのたね』と読みます。ここは温泉種(ゆのたね)温泉です」

美奈「そうなんですか……。変わった地名ですね」

喪黒と美奈は、温泉種温泉街を歩く。温泉施設、旅館、ホテルがいくつも見える。

喪黒「温泉種温泉は、素晴らしい薬効を持つことで有名なところです」

喪黒「ありとあらゆる病気を治すのに役に立ち、『万病の湯』の異名を持つほどの……」

美奈「じゃあ、その温泉が……」

喪黒「そうです。『万病の湯』は、間違いなく今のあなたの救い主となってくれるでしょう」


とある旅館。客室に荷物を置き、会話をする喪黒と美奈。

喪黒「さあ、笹井さん。この温泉で湯治をすれば、あなたの薬物中毒は確実に治りますよ」

美奈「ここですか……」

喪黒と美奈がいる客室の中に、幼い女の子・聡子が入る。聡子は5歳から6歳くらいの幼児で、可愛らしい顔をしている。

聡子「こんにちは」

喪黒と美奈に頭を下げる聡子。

8 : 以下、?... - 2018/09/27 06:08:52.813 p8J+TDTsD 8/17

喪黒「これはこれは……。聡子さん」

美奈「へぇ……。あなたたち、知り合いなんだ……」

聡子「そうだよ。喪黒さんは前にも、ここへ訪れたことがあるから」


浴場。男湯で入浴する喪黒。女湯では、美奈が源泉に入浴している。源泉は茶色く濁っている。

美奈(さすが、鉱泉だけあって他の温泉と肌触りが違う……。ピリピリして、間違いなく効いてる感じ……)

風呂に入りながら、顔から汗が大量に流れる美奈。


夕方。風呂からあがった喪黒と美奈が廊下を歩いている。2人は浴衣を着ている。

美奈「喪黒さん、何となく身体が重苦しいですよ……。本当にここ、健康にいいんですか?」

喪黒「この症状は瞑眩(めんげん)ですよ。温泉が効き目を発揮している証拠です」

美奈「めんげん?」

喪黒「治療の過程で一時的に辛い症状が出ますが、その後は快方に向かいます。いわゆる好転反応ですよ」

9 : 以下、?... - 2018/09/27 06:11:15.769 p8J+TDTsD 9/17

客室に入る美奈。

美奈「ううっ……。もう我慢できない……。やっぱり、あれを……」

美奈はスーツケースを開けたものの……。

美奈「な、ないっ!!」

美奈の側に現れる喪黒。

喪黒「おや、どうなさいましたか?笹井さん」

美奈「も、喪黒さん……!」

喪黒「もしかして、あなた覚醒剤を持ってきたんですか!?」

美奈「喪黒さん!あなた、あれを一体どこへ隠したの?」

喪黒「あなたは確か……。薬物中毒の治療のために、ここに訪れたはずですよねぇ?」

美奈「で、でも……。あれがないと私は……」

喪黒「いいえ、ダメです。我慢してください」

美奈の目に映る光景が徐々に異様なものになる。不自然に歪む天井、壁、喪黒の顔……。

11 : 以下、?... - 2018/09/27 06:14:00.986 p8J+TDTsD 10/17

美奈「ハア……、ハア……」

ふらついた足取りで、喪黒へにじり寄る美奈。彼女は鬼気迫る表情となっている。

美奈「ク……ス……リ……」

両手を叩く喪黒。パァン、パァン!!ふすまの戸が開き、仲居の女性が数人現れる。

美奈の身体を全力で押さえつける仲居の女性たち。大声で叫び声をあげる美奈。

美奈「ウオオオオオオッ!!!く、苦しいいいっ!!わ、私を殺してええええっ!!」

喪黒と聡子は、仲居たちに押さえつけられる美奈を見つめている。

聡子「前にもありましたね。こんなことが」

喪黒「はい。また、同じことが繰り返されるのでしょうねぇ……」


夜。布団に横たわる美奈を見つめる喪黒と聡子。仲居が白湯を持ってくる。

仲居「どうぞ……」

喪黒「白湯は身体にいいですよ。笹井さん」

湯呑みに入った白湯を飲む美奈。

12 : 以下、?... - 2018/09/27 06:16:40.346 p8J+TDTsD 11/17

あくる日。美奈は聡子とともに過ごす。温泉街を歩く美奈と聡子。神社で手を合わせる美奈と聡子。

客室の中で、聡子に絵本を読んで聞かせる美奈。2人で一緒に折り鶴を折る美奈と聡子。

女湯の入口の前に、美奈と聡子が立っている。

美奈「聡子ちゃん。お姉ちゃんと一緒にお風呂に入ろうね」

聡子「はぁい」


夜。和室の中で精進料理を食べる喪黒と美奈。

美奈「喪黒さん……。おかげで、身体の調子がずいぶん楽になりましたよ」

喪黒「それはそれは、笹井さん……。あと1週間ほど湯治をすれば、あなたの薬物中毒は完治するでしょう」

美奈「あと1週間ですか……。ここを離れるのは名残惜しいですね。この温泉は気持ちいいですから……」

喪黒「おやおや……。あなた、ここの温泉を気にいってしまったようですなぁ……」

美奈「ええ……。いずれ、もう1度ここへ訪れたいですよ」

喪黒「それは結構なことです。ただし、あなたには私と約束していただきたいことがあります」

美奈「約束!?」

13 : 以下、?... - 2018/09/27 06:18:59.931 p8J+TDTsD 12/17

喪黒「そうです。今回の湯治を終えた後は、違法薬物を2度とやってはいけません」

喪黒「薬物が抜けた綺麗な身体で、ここへ再び訪れてください。いいですね、約束ですよ!?」

美奈「は、はい……」

約1週間後。湯治を終え、喪黒と美奈は帰りにつく。高速バスや新幹線に乗る喪黒と美奈。

その後――。とある映画館。館内で上映される映画。スクリーンに、白衣を着た美奈の姿が映る。観客席にいる喪黒。


BAR「魔の巣」。喪黒と美奈が席に腰掛けている。

喪黒「笹井さん。『女医物語』でのあなたの演技、なかなかよかったですよ」

美奈「お褒めにあずかり、光栄です……」

喪黒「あの温泉で、薬物中毒を治したことにより……。あなたは、いい意味で変わったように見えますねぇ」

美奈「はい……。肉体は健康になりましたし、肌も若返りましたし、頭の働きもよくなりました」

喪黒「それはよかったですなぁ」

美奈「それだけではありません。薬物に依存しきり、禁断症状に脅える生活から解放されたのは……。本当によかったですね」

美奈「薬物を使ったことがない自然で当たり前の生活が……、また戻って来るなんて……。まさに幸せですよ」

14 : 以下、?... - 2018/09/27 06:21:43.988 p8J+TDTsD 13/17

喪黒「ですがねぇ……。もう1度薬物を使用したら、その幸せはたちまち消え失せることになりますよ」

美奈「ええ……。もちろん、承知していますよ……」


ある芸能事務所。執務室で机に向かう社長。社長、マネージャー、美奈が会話をしている。

マネージャー「2年後に放映されるJBCの大河ドラマ……。お前がヒロインの最有力候補となっているぞ」

美奈「私が最有力候補ですか……。何が何でも、ヒロインの座は勝ち取りたいですね……」

社長「美奈。そのためには……だ。お前は、JBCの幹部と枕営業を済ませておく必要があるな」


とあるホテル。客室には、美奈と公共放送・JBCの幹部がいる。白い粉の入った袋を取り出すJBC幹部。

美奈「こ、これは……」

JBC幹部「笹井さんの大好きなものですよ。私も、あなたの裏事情はいろいろ噂に聞いていますから……」

美奈「で、でも私は……」

JBC幹部「なぁに、遠慮はいりません。これをキめて一発をやれば、この世のものとは思えない気持ちよさを味わえますよ」

15 : 以下、?... - 2018/09/27 06:24:34.077 p8J+TDTsD 14/17

アルミホイルの上に置かれた白い粉に、ライターで火をつけるJBC幹部。彼は、ストローで白い粉を鼻へ吸い込む。

美奈(これは仕事のため……。やむを得ない……!)

美奈もまた、ストローで白い粉を鼻へと吸う。そして、2人は……。真っ暗になる画面。


東京駅。プラットフォームから新幹線が出発する。グリーン車に乗る美奈。さらに彼女は高速バスに乗り換える。

美奈(私には、『万病の湯』がある……!薬に溺れても、あの温泉に入れば薬物中毒は帳消し……!)

美奈(しかも、あの温泉で薬物中毒をいったん治せば……。薬剤耐性がない状態で、薬の快感を味わえる……!)

美奈(まさに、一石二鳥ね……!)


石見市、温泉種(ゆのたね)温泉街。美奈は例の旅館の前に立つ。美奈を出迎える聡子。

聡子「こんにちは。美奈さん」

女湯で、美奈は源泉に入浴する。風呂からあがり、浴衣姿となった美奈。彼女が客室の中に入ると、部屋には浴衣姿の喪黒がいる。

美奈「あ、喪黒さん……。あなたもこの温泉へ来たのですか。奇遇ですね……」

喪黒「笹井美奈さん……。あなた約束を破りましたね」

美奈「なっ……!?」

16 : 以下、?... - 2018/09/27 06:27:49.557 p8J+TDTsD 15/17

喪黒「私はあなたに言ったはずです。違法薬物は2度とやるな……と」

喪黒「薬物が抜けた綺麗な身体で、ここへ再び訪れる……。それがあなたと私との約束でしたよねぇ」

美奈「え、ええ……。私は喪黒さんとの約束をきちんと守って……」

喪黒「そうですか……。ならば、この人のことは全く知らないはずでしょう」

喪黒は、スマホの画面を美奈に見せる。スマホの画面は、とあるニュースサイトを映し出している。

ニュースサイト「JBC幹部が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕」

美奈「ええっ!!この間ホテルで会ったあの人が、こんなことになってたの……!?」

喪黒「ほう……、笹井さん。ホテルでJBCの幹部と会って、一体何をしていたんですかねぇ!?」

美奈「そ、それは……。その……」

喪黒「約束を破った以上……、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」

喪黒は美奈に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

美奈「キャアアアアアアアアアアア!!!」


翌日。客室の窓に朝日が差し込み、美奈は目を覚ます。美奈を見守る聡子と仲居。

17 : 以下、?... - 2018/09/27 06:30:57.283 p8J+TDTsD 16/17

聡子「どうやら、お目覚めのようね。美奈さん」

美奈が起きてみると……。何となく、部屋が大きくなったように感じる。それに、身体もどことなく小さくなった気がする。

仲居「あんまり動くと、浴衣がずり落ちますよ……」

美奈が着ている浴衣――というより大きな布を整え直す仲居。美奈は、仲居の身体も前より大きく感じるようだ。

美奈に手鏡を渡す聡子。美奈が手鏡を覗き込むと……。

美奈「!!!」

手鏡に映っているのは……。幼児となった美奈の顔だ。彼女の身体の年齢は、聡子とそっくりなものになっている。

聡子「私の苗字は島村……。私の名前は島村聡子」

美奈「島村聡子……。あっ!!30年前にアイドルとして活躍していたけど、突然失踪したあの……」

聡子「そうよ。私がその失踪したアイドルだよ。実はあのころの私も、あなたと同じように薬物中毒で苦しんでいたの」

聡子「そこで、喪黒さんに勧められてこの温泉に訪れたんだけどね……」

美奈「じゃあ、今のあなたは……」

聡子「その通り。笹井美奈さんと同じく、私も喪黒さんとの約束を破ってこうなったってわけ……」

聡子「仲居さん、あれをやってください!!」

18 : 以下、?... - 2018/09/27 06:34:17.052 p8J+TDTsD 17/17

仲居「はい!!」

聡子の合図に応じる仲居。仲居はナイフを手に持ち、聡子の身体をめった刺しにする。胸へ、腹へ、首へ、両腕へ、両足へ……。

血まみれになり、息絶えたかのように見える聡子。突然起きた残虐な光景を目にし、唖然とした表情となる美奈。

しばらくした後……。聡子の全身の傷は、みるみるふさがっていく。元通りの身体となり、むくりと起き上がる聡子。

聡子「私は幼児の身体になったまま、永遠に死ねない。もちろん、あなたもだよ。美奈さん……」

美奈「い……、嫌あああああああああ!!!」

客室の中に、幼児となった美奈の悲鳴が響き渡る。


美奈が宿泊している温泉旅館の前にいる喪黒。

喪黒「昔から、日本人は温泉の恵みととも生きてきましたし……。日本という国は、世界有数の温泉大国でもあります」

喪黒「そもそも、温泉は身体に様々な効能を与えてくれますし……。その上、精神的な癒しも与えてくれる貴重な宝です」

喪黒「ことに、心と身体に不調を抱く人たちが多い今の時代……。たまには、温泉の恵みに触れてみるのもいいかもしれません」

喪黒「なぜなら……。温泉が持つ不思議な力は、人間の中に宿る生命力を回復する効果にも、つながっているからです」

喪黒「子供のような清らかな肉体と、不老不死の命……。温泉の力でそれらが手に入った感想はどうですか?笹井美奈さん……」

喪黒「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―

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