ロック「おいおい、まだ昼間だぞ?」
レヴィ「へっへっへ! そんな細かい事は気にするなよ」
ロック「細かくないだろ……最近毎日の様に飲みに行ってるじゃないか」
レヴィ「そうだったか? まあ、それこそ“細かい事は気にするな”だ」
ロック「……やれやれ」
レヴィ「わかったら支度しな! 酒は待ってくれるかもしれないが、アタシは違うぜ」
ロック「わかったよ。支度の時間位は待ってくれるんだろうな?」
レヴィ「オーケー、その位は勘弁してやるよ」ニッコニッコ
元スレ
レヴィ「ヘイ、ロック! 飲みに行こうぜ!」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1232950821/
・ ・ ・
イエロー・フラッグ
レヴィ「ヘイ、ヘイヘイ! 何をそんなにチビチビ飲ンでんだ?」
ロック「良いじゃないか。まだ時間はたっぷりあるんだ」
レヴィ「まあな。“太陽が昇るまではまだまだかかる”」
ロック「そんなに飲むつもりなのか?」
レヴィ「……イヤか?」
ロック「あ、いや、そういう訳じゃないんだが……レヴィ、もう酔ったのか?」
レヴィ「あん? どうしてだよ?」
ロック「いつものお前なら、“銃で脅してでも付き合わせる”だろ」
レヴィ「……まあ、そういう気分なんだよ」
・ ・ ・
――その前日、教会にて
エダ「レヴィ。おまえはエテ公だとは思ってたが、ここまで“ひどい”とは思わなかった」
レヴィ「なんだとクソ尼。磔にされた野郎にケツ振ってるお前が言えた事かよ」
エダ「言えるさ。男一人落とせない間抜けなガンマンを相手にすりゃあな」
レヴィ「はっはっは、そりゃあイイ。……表出な。アタシはそんな趣味は無いが、天国に行かせてやるよ」
エダ「そいつは魅力的な提案だ。けど、外は暑いから御免こうむるねクソバカ」
レヴィ「チッ。……ったく、こんな退屈ならロックを誘って飲みに行けばよかったぜ」
エダ「アホ」
レヴィ「ここでイイか。なあ、エダ?」
エダ「そこまでやっといて、なんで“まだ”なんだよ二挺拳銃?」
レヴィ「……うるせえよ」
エダ「皆お前の事を陰で馬鹿にしてるぜ? “あの”二挺拳銃はオボコだってな」
レヴィ「オーケイ、とりあえずそいつらの名前を全員教えな。サービスで舌をスライスしに行ってやる」
エダ「そりゃあ怖い。アタシが名前を挙げたら、今日がロアナプラ最後の日になるな」
レヴィ「あん? そりゃどういうこった」
エダ「いいかいレヴィ。お前とロックがヤってないってのは――」
エダ「――ロアナプラ中の噂なんだよ。それこそ、“あえて話すまでもない程のな”」
レヴィ「……ファック。クソ溜めだとは思ってたが、アタシが思ってた以上にクソな街だったみたいだな」
エダ「ひっひっひ! 皆娯楽が好きなのさ。それこそ、二挺拳銃が“ヘタレてる”なんて最高のネタだ」
レヴィ「……クソッ!」
レヴィ「……だがよ、なんでアタシとロックの話がそこまで広がる?」
エダ「さあね」ニヤニヤ
レヴィ「はっは、全部把握したよビッチが。……今すぐ咥え込むための穴を一つこしらえてやるよ」
チャキッ!
エダ「おっと、アタシはこの件に関しちゃ何もしてないぜ。物騒なものをしまいな」ニヤニヤ
レヴィ「悪いけどな、今は何故かぶっ放したくて仕方ない気分なんだ。オーライ、エダ?」
エダ「そうかい。だけど、そんな事をしたら裏で笑ってる奴が誰なのかわからなくなるぜ」
レヴィ「……」
スッ…
エダ「オーケー、いい子だレヴィ」
レヴィ「で、どこの誰なんだその舐めたまねをしてるクソッタレは」
エダ「お前もよく知ってる奴さ。いや、この街じゃ知らない奴はいねえ」
レヴィ「そんなにイカれた奴が“ふいて”回ってんのか。そりゃ引き金が軽くなって良い」
エダ「いいや、あんたには荷が重い。“途中で潰されちまうのがオチさ”」
レヴィ「あん?」
エダ「火傷顔に、ミスター・張がこの件に関わってる」
レヴィ「……エダ、薬やってんのか? さばく品に手をつけたか?」
エダ「いいかい、こりゃマジだ。“神に誓っても良い”」
レヴィ「ハッ、そんなくだらないジョークに付き合ってられるかよ。
それがウケたら、コメディアンは全員くいっぱぐれちまう!」
エダ「レヴィ」
レヴィ「……マジでか?」
エダ「てめえが日本から帰って、アタシは聞いたよな。“ヤったか、ヤってないか”」
レヴィ「……そんな昔の事は忘れたな」
エダ「それだ。“その態度が恰好のネタになっちまったんだよ”」
レヴィ「なんだそりゃ」
エダ「お前がその事に関しては何故か口がジェリコの壁みたくなっちまう。その理由はなんだ?」
レヴィ「アタシに聞くんじゃねえよバカが。それこそ“気分の問題”だ」
エダ「かもしれねえがな。こいつは良い賭けの材料になる……って事は確実だ」
レヴィ「……まさか姉御と旦那が、アタシとロックのナニに関して賭けてるってのか?」
エダ「オーライ、そのまさかだ」
レヴィ「……」
エダ「あの二人は立場があるとはいえ、“どこまでいってもこの街の住人”だ。
“面白い事が好きってことに代わりは無い”」
レヴィ「……なんて迷惑な話だ、クソ」ガンッ…
エダ「ヘイ、あんたの石頭とキスしたらテーブルが壊れちまうだろうが」
レヴィ「うるせえよ。お前の似合わねえサングラスがぶっ壊れるよりゃマシだろ」
エダ「“あたるなよ”。それに、面白くなるのはこれからだぜ?」
レヴィ「アタシは面白くねえ」
エダ「聞いといて損は無いと思うぜ。“心構えの問題”だからな。特別に300ドルに負けてやる」
レヴィ「死ね。10ドル――」
ガチャッ
レヴィ・エダ「!?」
バラライカ「こんな所で油を売ってたのね」
バラライカ「全く、こんな事だから……」
エダ「……チッ、儲け時を逃したか」
レヴィ「姉御、ちょいとばかし聞きたい事があるんだけど良いか?」
バラライカ「こっちの質問が先よレヴィ」
レヴィ「悪いけどな、相手が姉御じゃなかったら“問答無用でぶっ放してるトコなんだよ”」
バラライカ「あら、なんだか機嫌が悪いわね。ロックは“相手をしてくれないのかしら”?」
レヴィ「……サンキュー。質問する手間が省けたぜ」
バラライカ「……あら、まさか本当に?」
レヴィ「……」
レヴィ「だ―――ッ!! どうして“どいつもこいつも”!!」ガンッ!
エダ「おいレヴィ、抑えろ! 後でテーブル代の500ドルを請求するからな!」
レヴィ「ボってんじゃねえ! こんなもん5ドルの価値もねえよ!」
バラライカ「あらあら」
バラライカ「その様子なら、話は伝わってるみたいね」
レヴィ「ああ、ドタマの触れちゃならない部分まで伝わってるよ」
バラライカ「話が早いわ。いいわレヴィ、私は――」
バラライカ「ヤってる方に賭けたの。“その意味がわかるわね”?」
レヴィ「……あん?」
エダ「ミス・バラライカ。悪いがそりゃ“分の悪い賭け”どころの騒ぎじゃない」
バラライカ「いいえ、“まだコールはかかってないの”。コールをかけるのは“三日後”」
エダ「……ははぁ、そういう事か」
バラライカ「そういう事よ。どう? 貴方も賭ける?」
エダ「いいや、まだ様子見。“お手並み拝見”させて貰いますよ」
レヴィ「……一体何の話をしてるんだ?」
エダ「ヘイ、ヘイレヴィ! ここまで言われてわからねえのか? その頭は飾りか?」
レヴィ「少なくとも、てめえよりゃ上等なもんが詰まってるよクソ尼」
エダ「いいか? こりゃ代理戦争だ。ホテル・モスクワと三合会のな」
バラライカ「そこまで大げさなものじゃないわ。ただ、“結果的にそうなってしまうかもしれないだけ”」
レヴィ「姉御、説明してくれよ。“訳が分らなくて”頭がどうかしちまいそうだ」
バラライカ「簡単よ」
バラライカ「三日以内に、貴方とロックをヤらせるって事」
レヴィ「……な……あ……!?」パクパク
エダ「間抜けな顔だな。そんだけ口が開けば、大抵の奴のはしゃぶれるぜ」
バラライカ「レヴィとロックに直接手を出すのは御法度。そうでないと“面白くない”」
エダ「さいでっか。なら、今は?」
バラライカ「“ただの激励よ”」
エダ「ギャーッハッハッハ! 良かったなぁオイ、レヴィ!
ホテル・モスクワはあんたとロックがヤるのを応援してるってよ!」
レヴィ「笑うんじゃねえ! こっちは笑い事じゃねえんだよ!」
バラライカ「そうよ。“そこのシスタ-も他人事じゃないんだから”」
エダ「へっ?」
バラライカ「“友人の助け”は必要だと思わない? 私は“そう”思うわ」
エダ「……あれ? アタシは今まで何をしてたんだ? 飲みすぎて頭がイカれちまったらしい」
バラライカ「シスター・エダ。“迷える子羊”を導いてくれるわよね?」
エダ「あ~……今、神さんは新しいトリックの開発に夢中で……」
バラライカ「それは良かった。それなら、“神とじゃれてる暇はない”から時間は空いてるわね」
エダ「……」
エダ「……チクショウ」
バラライカ「“そういう事だから、頑張ってちょうだいね”」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「それじゃあ、三日後を“楽しみにしてる”から」
ガチャッ…バタンッ!
エダ「……ファック! なんであたしがエテ公の下の面倒を見なくちゃならねえんだ!」
レヴィ「知った事かよクソビッチ! アタシはそんな事頼んじゃいねえよ!」
エダ「てめえより性質の悪い人間に“お願いされた”のを見てただろうが!」
レヴィ「はっ! そういう時こそ神頼みしてみたらどうだ? それともそれは“×印”か?」
エダ「それじゃあタダで祈ってやるよ、感謝しな! レヴィがヤりますように、アーメン!」
レヴィ・エダ「……」
レヴィ「……どうするよ。“このままじゃ、アタシらは鉛玉にファックされちまう”」
エダ「……やるしかねえだろ、クソッ」
・ ・ ・
戻って、イエロー・フラッグ
ロック「そういう気分、か。まあ、落ち着いて飲めるならいいかもな」
レヴィ「そ、そりゃあどういう意味だ?」
ロック「? “夜も休まず”飲むつもりじゃなかったのか?」
レヴィ「! お、おう! 言うまでもないだろ、なあロック」
エダ『いいかいレヴィ。いつもみたいに馬鹿やってちゃ話にならねえ』
レヴィ『ケンカ売ってんのか?』
エダ『アドバイスを売ってるんだよ。今なら特別無料サービスだ』
レヴィ『……で、どうしろってんだよ?』
エダ『簡単さ。ちょいとだけ“しおらしく”するだけで良い。
誘う時はお前じゃ無理だろうが、飲み始めの時ならロックも“コロリと”騙されるだろうさ』
レヴィ(……おいおい、マジでうまくいってるじゃねえか)
レヴィ「ヘイ、ロック。グラスが空になってるぜ」
ロック「あ、おお、なんだかやけに気がきくな」
レヴィ「こんな事は“晩飯前さ”。お前が抜けてるから今まで気付かなかっただけだ」
ロック「そうか。それならこれからは“もっとよく見ておくよ”」
レヴィ「お、おいおいロック、そりゃ口説いてるのか? 締まらねえ台詞だな」
ロック「なら、どんな台詞がお好みだ? 参考までに教えてもらいたいね」
レヴィ「!」
エダ『ロメオはかなりのモンだ。そういう事に関しちゃ、この街のポリ公よりスルーが上手い』
レヴィ『ああ、確かにそうだな。“ミサイルをぶちこまれても”、ケロリとしてやがった』
エダ『だけど、中々どうしてノリは良い。そこを上手くつついてみろよ』
レヴィ『そうしたら、どうなるってんだ』
エダ『ちったぁ自分で考えろ。ま、カゴの中の鳥よりも流暢にラブ・コールを囁きだすと思うぜ』
レヴィ(……これ……“きてる”んじゃねえのか!?)
レヴィ「……そうだな、まずここは口説くような雰囲気じゃねえな。店主のツラが悪すぎる」
バオ「聞こえてンぞレヴィ!」
レヴィ「聞いての通り声も悪い。ムードってもんがねえ」
ロック「まあ、そうかもしれないな。……マスターには悪いけど」
レヴィ「へっへへ、遠慮するこたあねえさ。そろそろテキスト・ブックにも乗りそうな事実だしよ」
バオ「うるせえぞ、クソッタレ!」
ロック「はは、確かにそうだな」
レヴィ「だからよ、場所を変える事をお勧めするね。アタシの場合なら、そうだな――」
ザワザワ……
レヴィ「こういうゴロツキが居る場所は駄目だな。その時点でセンスがねえ――」
ザワザワ……
レヴィ「もっと落ち着ける場所――」
張「そうか。それなら俺の店はどうだい二挺拳銃?」
レヴィ「でっ!?」
レヴィ「だ、旦那がどうしてここに?」
ロック「ミスター・張。珍しいですね」
張「たまにはこういう店で飲むのも悪くないと思ってな。“邪魔だったかな”?」
レヴィ「……いいや、そんな事はねえさ」
張「そうかい。そいつは良かった」
レヴィ「……」グイッ!
ロック「おいおいレヴィ。今日はゆっくり飲むんじゃなかったのか?」
張「ロック、野暮な事を言っちゃあいけない。“そういう時もあるのさ”」
ロック「はあ……?」
ダンッ!
レヴィ「バオ、バオ! 聞こえてンならとっとと返事をしやがれ! 酒だ酒!」
張「良い飲みっぷりだな。どうだ、良ければ酌をしてやろうか?」
レヴィ「……遠慮しとくよ。そんな事をされたら“どうにか”なっちまう」
ロック「ミスター・張。何の用があってここに?」
張「いや、気にする事じゃあない。用事だったら、“もう済んだ”」
ロック「……?」
張「レヴィ。そんなペースで“もつ”のかい?」
レヴィ「白々しいぜ旦那。こうでもしなきゃ……ゴク、ゴク……」
ダンッ!
レヴィ「……納得しねえんだろう?」
張「“何の事だかサッパリだ。だが、その飲みっぷりは嫌いじゃない”」
レヴィ「ヘイ、ロック! アタシ一人に飲ませる気か? ンな事はねえよな?」
ロック「いや、今はミスター・張も来てるし……」
張「気にするな。“浴びるほど飲め”」
ロック「わ、わかりました」
レヴィ「バオ! このクソッタレ! とっとと持ってこいってんだよチクショウが!」
バオ「うるせえよ! 黙って骨でもしゃぶりながら大人しく座って待ってろ!」
レヴィ「……ゴク……ゴク……プハーッ!」
ダンッ!
レヴィ「……ゲップ!」
張「はしたないぜ二挺拳銃。百年の恋も冷めちまう汚さだ」
レヴィ「……どっちがだよ、旦那」
張「さてね」
ロック「バオ! 追加で頼む!……ゲフゥ!」
レヴィ「……」
エダ『いいか、飲みすぎるのは絶対駄目だ。計画もションベンと一緒に便所に流れちまう』
レヴィ『あん? 飲みに誘って飲んじゃいけねえってか』
エダ『アホゥ。あんたらは一度飲み始めると、“飲むことしか考えなくなるだろうが”』
レヴィ『……いや、そうでもねえよ?』
エダ『ヤるのが目的だろ。飲みすぎると、ロックのモンが役立たずになるかもしれねえだろうが』
レヴィ『あ~……成る程な』
レヴィ「バオ! いいからとっとと死ね!」
バオ「出禁にするぞクソが!」
張「そうだ、“その調子で飲み続けろ”」
レヴィ「旦那、アタシらを“潰そう”ってのかい?」
張「いいや、お遊びの一環さ。最も、俺は遊びにも本気で取り組む性質でね」
レヴィ「……ああ、そうかい」
張「お前達が飲んでると“気分が良い”。ここで寝ちまっても構わんぞ。
サービスで表に車を回しておく」
ロック「ミスター・張、さすがにそれは……」
張「“遠慮するな”。一人一台、ゆったり座れる」
レヴィ「ロック、旦那もこう言ってるんだ。“素直に受け取っておかないと、えらい目に合わされちまう”」
ロック「レヴィ」
張「さすがにわかってるじゃねえか二挺拳銃」
レヴィ「……本当、白々しいぜ」
ロック「……?」
・ ・ ・
翌日
エダ「アホ、馬鹿、死ね」
レヴィ「黙れよクソが……クソッ、頭がいてえ……」
エダ「いいや、黙らないね。まさか、あんたがここまで救いようのないクソだとは思わなかった。
ウチの大将も逆立ちで丘をランニングしながら笑い出すような間抜けさだ」
レヴィ「黙れっつってんのがわからねえの――いちちち!?」
エダ「クソバカ、なんでイエロー・フラッグで飲んだんだ?
邪魔されるってことはわかりきってるじゃねえか」
レヴィ「……飲む時はいつもあそこなんだよ」
エダ「死ね。百回死ね。むしろ殺してやろうか? 今なら棺桶はアタシが贈ってやる」
レヴィ「あんまり虐めるなよ。イライラしてぶ放しちまいそうだ」
エダ「そりゃこっちの台詞だよ」
レヴィ・エダ「……はぁ」
エダ「もう一度聞くぞ。ミスターが帰るまで飲み続けて?」
レヴィ「……アタシもロックも、“ろれつ”が回らなくなっちまった」
エダ「で、駄目押しにミスター・張がオゴリであんたらにスピリタスを……か」
レヴィ「正直な、なんで朝起きたらココに居たのかがわからねえ」
エダ「アタシだって、夜中に叩き起こされてあんたの面倒を見るとは思わなかったよ」
レヴィ「床に転がしてただけじゃねえか」
エダ「外に放り出しても良かったんだぞ?
そうすりゃ、起きたらお前の穴前も後ろもユルユルになって海の底だったろうな」
レヴィ「その前に、そんな事しようとした奴のケツにぶち込んでやるよ」
エダ「先にロックにぶち込まれてからにしろよ。そうすりゃアタシは助かる」
レヴィ「薄情モン」
エダ「出すものだしたら、もっと親身になれるだろうさ」
レヴィ「オーケイ、何発くらいたいんだクソビッチ」
エダ「てめえの足りねえオツムが数を数えられるとは思えねえな」
ガチャッ
バラライカ「とりあえず、貴様ら黙れ」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「……」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「……」
レヴィ「な、なあ姉御、違うんだ」
エダ「そ、そうそう! 昨日はちょっとした手違いがあって……」
バラライカ「“黙れ”」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「私は、“お願い”して、“激励”もした。その意味がわかってなかったのかしらね?」
レヴィ・エダ「……」ブンブン!
バラライカ「良かったわ。伝わってないのかと思って、気が気じゃなかったの」ニッコリ
レヴィ「いや、昨日は――」
バラライカ「誰が喋って良いと言った。その使えない口を閉じていろ」
レヴィ「……」
エダ「ひっひっひ、言われちまったな」
バラライカ「貴様もだ」
エダ「……」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「……はぁ、どうやら任せっぱなしじゃ無理そうね」
エダ「あの~……」
バラライカ「何?」
エダ「直接手を出すのは御法度、っていうのは?」
バラライカ「何を言ってるのかわからないわ。だって、“ここには私とシスターしかいないもの”」
レヴィ「へっ? そりゃ一体どういう事だい姉御」
エダ「……そうですね。確かにここには間抜けなエテ公はいない」
レヴィ「おいコラ、アタシを無視して話を進めようってことか? そうなのか?」
ジャキッ!
レヴィ「!?」
バラライカ「なんだか銃を構えたくなっちゃったわ。突然」
エダ「奇遇ですね。これは神のお告げかもしれない」
レヴィ「……オーケイ、わかった。わかったから、ソイツを下ろしてくれ」
エダ「それで、これからどうしたら良いと思いますかね?」
バラライカ「そうね。人の多いところだと、まずチャイニーズが何か仕掛けてくるでしょうね」
エダ「“偶然”……ですか」
バラライカ「そう。私もここに居るのは、“偶然”だから。そこの所はわかってるわね?」
エダ「当たり前ですよ。そういう事に関しちゃ、神はとても寛容なんだ」
バラライカ「残り二日……ヤるとしたら自宅ね」
エダ「でも、レヴィはクソ使えない。“そこまで”もっていけると思えませんぜ」
バラライカ「二人きりではまず無理なのは分ってるわ」
レヴィ「……チクショウ、好き勝手言いやがって」
エダ「なら、どうするんですかい?」
バラライカ「あら、貴方が居るじゃない」
エダ「……へっ?」
レヴィ「ヘイ! ヘイヘイヘイ姉御! どういうつもりだ!?」
バラライカ「どう? レヴィだけならともかく、貴方がいれば何とかなるでしょう?」
エダ「んー、確かにそうかも」
レヴィ「正気か!? おいコラ、クソビッチ! その臭え口を閉じやがれ!
間抜けなお前に教えてやるよ、“汝ファックするなかれ”だ!」
バラライカ「悪い話じゃないと思うんだけど」
エダ「見返りは?」
レヴィ「姉御! アタシは御免だね、なんでコイツと一緒に――」
バラライカ「黙れ。……見返り? “朝日が拝めるというだけでは不服”?」
エダ「……チッ。相手がロメオじゃなかったら訴えてる所だ」
レヴィ「……マジかよ」
エダ「そういう事だレヴィ。今夜は“よろしく”頼むぜ」
レヴィ「御免だね。なんでアタシがお前のユルいもんを見なきゃいけないんだ」
エダ「そう言うなよ。それに、中々のもんだと思うぜ? ロックも満足するだろうよ」
レヴィ「知るか! なあ姉御、勘弁してくれよ、なっ?」
バラライカ「別にいいけど、条件があるわよ」
レヴィ「なんだい、そりゃ? 裏通りのクソ共のを咥えて来いってんならイヤだが」
バラライカ「貴方一人で、ロックと今日中にヤれるなら構わないわ」
レヴィ「……」
エダ「なあレヴィ。腹ぁ、くくれよ」
レヴィ「少し黙れよ、頼むから」
エダ「先は譲ってやるから安心しな」
エダ「最も、ロックがどっちを選ぶかは知らねえけどな」
レヴィ「黙れって言ってんだッろッうッがッ!!」
エダ「ギャーッハッハッハッハ! マジになってんじゃねえよ! ヒーッヒッヒッヒ!!」
・ ・ ・
ロックの部屋の前
コンコン!
レヴィ「……ロック~。いるなら返事をするな~、いねえならそのまま帰ってくんな~」
エダ「なんだそりゃ。やる気あんのかお前」
レヴィ「うるせえよ。アタシの隣で喋るなよクソビッチが」
エダ「オーケイ。だったらいつもの様に、ベッドの中でロックに話しかけてやるよエテ公」
レヴィ「“吹いて”んじゃねえぞ! 誰がてめえなんかと!」
ガゴンッ!
エダ「見苦しいぜレヴィ! 大体な、てめえが情けねえからアタシまで!」
ガゴンッ!
エダ「……やるか、コラ」
レヴィ「……いいから抜けよ」
…ガチャッ
ロック「……なあ、頼むから静かにしてくれないか? 二日酔いで死にそうなんだ……」
エダ「よう、ロメオ! シケたツラしてるが、相変わらず魅力的だな!」
ロック「エダ?……はは、ありがとう」
エダ「ちょっと邪魔しても良いかい? ま、ロメオが女の頼みを断るわきゃねえか」
ロック「あ~……レヴィ? こりゃ一体どういう事なんだ?」
レヴィ「……アタシに聞くな」
エダ「ヘイ、ヘイ。ロック、女が頼みごとをしてるってのに、他の女に色目を使うもんじゃないぜ」
ロック「い、色目?」
エダ「そうさ。いくらゴリラだって、そんな目で見られたら発情期を通り越して妊娠しちまう。なあ?」
レヴィ「そこでなんでアタシを見るんだ教会の犬っころ。お前は舌の口でも骨を咥えてんだろうが」
ロック「と、とりあえず入ってくれ。
あまり廊下でうるさくされると、明日から俺はここにいられなくなる」
エダ「それもそうだな。それじゃあ、邪魔するぜ」
レヴィ「……チッ」
エダ「へぇ、中々良い所に住んでるんだな」
ロック「まあね。レヴィが安くて良い、鉛玉が“比較的”飛んでこないココを紹介してくれたんだ」
エダ「ほー、随分と仲が良いんだな」
ロック「そういうのとは違うんじゃないか? 俺もロアナプラに来て、右も左もわからなかったから」
エダ「……レヴィ?」
レヴィ「な、なんだよ」
エダ「なんでもねえよ。とりあえず死ね」
ロック「おいおい、ここで“チークを踊る”のはやめてくれよ。まず、ホールがもたない」
エダ「ああ、わかってるさ! アタシらが踊るのはもっと刺激的なもんだからな」
ロック「?」
エダ「な、レヴィ?」
レヴィ「お、おう……」
ロック「とりあえず、その両手に抱えてる袋は何なんだ?」
エダ「こいつかい? こいつは爆弾の導火線さ。コイツがなくなる頃には、でっかい花火が見られる」
ロック「穏やかじゃないな」
エダ「当たり前だろロメオ。こんなに良い女が一人と、男が一緒の部屋にいるんだぜ?」
レヴィ「どうやら数の数え方を忘れちまったみてえだな。ああ、そうか、お前は“一匹”だからか」
ロック「とりあえず、中身は何なんだ?」
エダ「そりゃあ勿論――酒さ。それも、とびっきりのな」
ドンッ!
ロック「こいつは……どこでこんな良い物を仕入れたんだ?」
エダ「なに、“ちょいとしたツテ”でね」
レヴィ「……何がツテだ。姉御の差し入れじゃねえか」ボソッ
エダ「黙っとけ。ここでその名前を出しても意味がねえ」ボソッ
ロック「?」
ロック「せっかくだけど、俺は遠慮しておこうかな……」
レヴィ「何しみったれた事言ってんだ。迎え酒だ、ロック!」
ロック「……無茶言うなよ」
エダ「なあロック。とりあえず一杯だけでもどうだい? 無理にとは言わねえけどさ」
ロック「……まあ、一杯だけなら」
エダ「OH! YEAHH! それでこそ男ってもんだ!」
ロック「それじゃあグラスを……」
レヴィ「グラスはアタシが用意するから、とりあえず座ってろ、な!」
ロック「な、なんだなんだ? 明日は地球最後の日なのか?」
レヴィ「あん? アタシがせっかく持って来てやるってのに断るつもりか?」
ロック「ありがとうレヴィ」
レヴィ「良い子だロック。聞き分けは良い方が長生きできる」
エダ「……」チラッ
エダ(“しくじる”んじゃねえぞレヴィ。失敗したら、てめえをミンチにしてやる)
レヴィ「……」チラッ
レヴィ(こんなガキの使い以下の事を失敗する間抜けはこの街じゃ生きていけねえよクソが)
・ ・ ・
キッチン
レヴィ「……あとは、コイツをグラスにちょいと垂らしてやるだけか」
バラライカ『良い? これはとても強力な薬だから、使っていいのは少しだけ』
レヴィ『姉御、なんだいこりゃ?』
バラライカ『少しばかり“素直になる”薬よ』
エダ『そんなら、大量に使っちまってもいいだろうに』
バラライカ『コールの日に、ロックが廃人になってちゃ意味ないでしょう?』
レヴィ・エダ『……』
バラライカ『私は構わないけど、判定ができなくなるから駄目。気をつけなさい』
レヴィ『オーケイ、肝に銘じておくよ』
レヴィ「……素直にって、“あの”ロックがどうなるってんだよ」
レヴィ「……ゴクリ」ムフー
レヴィ「っとと、氷も忘れちゃいけねえよな」
・ ・ ・
リビング
ロック「それにしても珍しいな。レヴィはともかく、エダまで来るなんて」
エダ「やっぱりレヴィは金魚のフンみたいに、あんたの尻を追っかけまわしてるのかい?」
ロック「ははは……」
エダ「ま、ロメオの尻が魅力的だから仕方ないのかもな。あら、確かに良い尻だ」
さわさわ
ロック「え、エダ!?」
エダ「なぁ~んだよロック。ウブな女じゃあるまいし、尻を撫でられた位“屁でもねえ”だろ?」
ロック「確かにそうだけど! 右手! 右手!」
エダ「ん? アタシの右手がどうかしたかい? ちょいと得物の品定めをしてるだけだろ」
ロック「ちょっ、まずいってそれは! ああっ!?」
エダ「……あー、ヤバ。“色んな事”抜きにして“キ”ちまってきた。なあ、ロック……」
レヴィ「ヘイ! グラスを持ってき――」
ロック「や、やめ……くうっ!」
エダ「……よう、レヴィ!」
レヴィ「何してんだクソビッチがあああ―――ッ!!」
エダ「レヴィ、クールになれ! “せっかく”なんだからよ!」
レヴィ「だ、だだ、黙りなクソ尼……! ああ、アタシは今、かなりヤバいんだよ……!」
エダ「ロメオ! あんたからも何か言ってやってくれ! アイツ、相当“キ”ちまってる!」
ロック「お、落ち着けレヴィ!」
レヴィ「オーケイ、ロック。よ~くアタシを見てみな。さいっこうに“落ち着いてる”と思わねえか?」
ジャカッ!
ロック「……確かに、銃が二挺あったら同時に“おだぶつ”だな」
エダ「レヴィ! このクソバカ落ち着け! なんで“いまさら騒いでるんだ”!?」
レヴィ「……アタシが我慢ならねえのはな。ビッチがアホに手を出してることじゃねえんだよ」
ロック「なら……」
エダ「……なんでだ?」
レヴィ「そのアホが! 簡単にサオをおっ立ててるのがどうにも我慢ならねえんだ!!」
ロック「……仕方ないだろ、こればっかりは」
レヴィ「オーケー、ロック。お前の言いたい事はよくわかった」
ロック「なあ、本当にわかってるのか!?」
レヴィ「“触られちまったらおっ立つのは仕方ねえ”。“相手が誰でも変わらねえ”。
……そういうこったろ?」
エダ「アタシのテクってのは考慮にいれないのかい?」
ロック「お願いだから煽らないで!」
レヴィ「ヤー、アタシはそこまで気が回らなねえんだ。悪いな、エダ」
エダ「そうかい、それなら仕方ねえな」
ロック「諦めないで、お願いだから!」
レヴィ「ヘイ、ロック。こっちを見な」ニッコリ
ロック「……」
レヴィ「肝の据わった良い顔だ。それじゃ、最後の言葉でも聞い――」
エダ「おい、レヴィ。ぶっ放す前にロックのモンの具合を試してみちゃどうだ?」
ロック「……へっ?」
エダ「どうせ最後なんだ。“イイ思い”をさせてやってもバチはあたらねえぞ」
ロック「なっ、何を言ってるんだ!?」
レヴィ「……そ、そうだぜエダ。具合って、お前……ああもう、死ね!」
エダ「締まらねえな二挺拳銃。ああ! もしかしてアッチの具合も締まらねえからか! ヒャハハハ!」
レヴィ「状況がわかって言ってンのか?」
エダ「当たり前だろ。ここにはベッドがあって、男と女が居る。やる事は一つだ」
レヴィ「……」ジーッ
ロック「れ、レヴィ……?」
レヴィ「そこで待ってろ。何かしてたら殺す。逃げても殺す」
ロック「ど、どこへ行くんだ?」
レヴィ「シャワーだ馬鹿。“余計な汗”をかいちまったからな」
…バタンッ!
ロック「……」
エダ「ロメオ、そろそろ腹くくりなよ」
ロック「腹をくくる、って……」
エダ「いい加減誤魔化すのはやめようぜ? “グチを聞かされる”のは飽きてんだ」
ロック「いや、俺は……」
エダ「煮え切らねえようだから教えてやるよ。ロック、あんたはこれからレヴィのマンコにチンコ突っ込んで出し入れすりゃイイんだ。そうすりゃ皆ハッピー、万々歳の大団円だ。オーケー?」
ロック「……でなけりゃ?」
エダ「死ぬだけだな」
ロック「なあ」
エダ「なんだい? まさか、やり方まで聞こうってんじゃないだろうね」
ロック「いや、違う」
エダ「どうした」
ロック「……この状況で“元気になる”程、俺のアレは活発じゃないんだが」
エダ「……ヘイ、ヘイヘイヘイ! 何言ってんだ、今さら!?」
ロック「だってしょうがないだろ! いきなりすぎて俺だって訳がわからないんだから!」
コンコン
エダ「いいから立てろ! 気合で乗り切れ!」
ロック「そんな無茶な!」
エダ「……ロメオ、いくらなんでもそいつは駄目だ。ここにきて立たないって知ったらレヴィはどう思うよ?」
ロック「……」
エダ「ギー!……確実にアンタを生かしちゃおかないだろうな」
ロック「そんなの……仕方ないじゃないか! だって俺は――」
ガチャッ
ダッチ「邪魔するぜロック」
ロック「童貞なんだから!!」
ダッチ「……HOO。こいつは思っても無い奇襲攻撃だな。チビりそうだ」
ロック「だだっ、ダッチ!?」
ダッチ「よう、ロック。取り込み中のところ悪いんだがな、張からラブ・コールが来てるぜ」
ロック「ミスター・張から?」
エダ「チッ! このタイミングでかよ……」ボソッ
ダッチ「まあ、俺はお前さんがチェリーだろうが、誰とヨロシクやろうが構わんよ」
ロック「いや、ちょっと待ってくれ! 誤解なんだ!」
ダッチ「いいかロック、“本当の事はどうでも良いのさ”。それこそ腹の足しにならねえ」
ロック「……」
ダッチ「だがな。ビジネスの方はしっかりやってもらわなきゃ困る。
そっちがおろそかになるようだったら、お前さんは明日から“仕事抜き”だ」
ロック「……わかってる」
ダッチ「良い返事だ。後で張に連絡を入れておけよ。
……お、コイツは良い酒じゃねえか。ご丁寧にグラスまで用意してある」
エダ「待ちな! ソイツは――」
ダッチ「授業料代わりに、一杯貰うぜ。……ゴッ、ゴッ……」
エダ「……SHIT」
ドンッ
ダッチ「……ふう、美味い。まるで“理性もぶっ飛ぶ”美味さだ」
ロック「それは良かった。エダの差し入れなんだ」
エダ「ヘイ、ロック。逃げる準備をしな」
ロック「いや……逃げたらレヴィに殺されるだろ」
エダ「逃げなきゃ、あんたがチェリーでなくなる前にホモ・セクシャルになっちまうぞ」
ロック「へ?」
ガチャッ!
レヴィ「……シャワー、あがったぞ。って、ダッチ?」
エダ「レヴィ! ズラかるぞ!」
レヴィ「あん? 何言ってんだ。ダッチが帰った後にゆっくりすりゃ――」
ダッチ「……こりゃどういうこった。チンコがフル・マラソンをきめたいって騒ぎやがる」
レヴィ「――オーライ……逃げるぞ!」
ダッチ「なんだか笑えてくるな。笑った拍子に出ちまいそうだ、HAHA」
レヴィ「入り口は駄目だ! 窓へ!」
エダ「ロック! ぼやぼやしてんじゃないよ!」
ロック「待ってくれ! どういう事だ!? あの酒に何か入ってたのか!?」
レヴィ「話は後だ! ここで話し込んでたら、ダッチにビーフ・ペーストを入れらちまうぞ!」
エダ「先に行くぜ!」
ヒュッ――
レヴィ「ロック、次はお前だ! とっとと飛べ!」
ロック「飛べって……ここは何階だと思ってるんだ!?」
レヴィ「いいから行け!」
ゲシッ!
ロック「何、す、る、ん、だ、あ、あ、ああ――ッ!?」
ヒュウウウ――
ダッチ「おいおい、俺を置いてどこに行こうってんだ? 見ろよコイツを、ギンギンだ」
レヴィ「“アンタのいない所さ”ダッチ。あばよ!」
ヒュッ――
ダッチ「全く、アイツらはあれでもウチの従業員か?……まあいい。
――そうでなくちゃ“面白くねえ”。嫌がられると、楽しくなってきちまうじゃねえか」ニヤリ
コンコン
ダッチ「ん?」
ガチャッ
ベニー「ロック。ミスター・張から電話が何度も……って、ダッチだけかい? ロックは?」
ダッチ「ああ、ロックなら今さっきETみたいに窓から逃避行をしやがった」
ベニー「なんだいそれ」
ダッチ「そして俺はなベニ-・ボーイ。ウチの商会はもっとフレンドリーになっても良いと思ってる」
ベニー「十分そうだと思うけどね。何があったのさ?」
ダッチ「“何もなかった”。何もなかったんだよ、ベニー」ニヤリ
ベニー「……なあダッチ。どうしてどんどん近寄ってくるのかな?」
ダッチ「言っただろう? “フレンドリーに”……ってな」
ベニー「だ、ダッチ? なっ、何をする気……うわ、ちょっ!?」
ダッチ「“面白え”。“こういうのも、また面白え”」
・ ・ ・
飛び降りた下の路地
レヴィ「ちちち……ロック、生きてるか?」
ロック「……なんとかね。蹴られた所の方が痛むくらいだ」
レヴィ「バカヤロウ。その程度で済んで良かったと思え」
ロック「……とりあえず、俺のシャツを着てろ。それと、ちゃんと説明してもらうからな」
レヴィ「……お、おう」モゾモゾ
ロック・レヴィ「……」
エダ「あ~……いい雰囲気の所邪魔して悪いんだがな? どうやらお客さんみたいだぜ、ロック」
レヴィ「だっ、誰が良い雰囲気だコラ! エダ、飛び降りて頭を変な風にぶつけちまったんじゃねえのか!?」
ロック「俺に客?」
エダ「……」クイッ
張「電話をしても返ってこないから直接来たぜ」
レヴィ「だっ、旦那!?」
張「よう、二挺拳銃。丸腰を通り越してタオル一枚とは、らしくねえな」
レヴィ「……放っといてくれ」
張「で、“今回はどうだったんだ”?」
ロック「えっ? どう……とは?」
張「今日は、何かいつもと違う事はあったか、って聞いてるのさ」
ロック「えっ? ええと……」
レヴィ「ヘイ、旦那。さすがに言わして貰うぜ。“やりすぎ”だよ」
張「俺は何もしちゃいない。電話を数回かけただけだ」
エダ「……まあ、確かにそうだわな。こっちがヘタをうっただけだ」
張「500」
エダ「800」
張「650」
エダ「オーケー。“アンタの望まない事は起こらなかった”」
張「そうか。それなら良い」
エダ「へっへっへ、毎度あり」
レヴィ「エダ、てめえ!」
エダ「どうせ後で分る事だろ? なら、今のうちに小銭を稼いでもバチはあたらねえよ」
レヴィ「そんなんだからお前は小物なんだよ」
ロック「……一体、何の話なんだ」
張「とりあえず、今日の目的は達した。ここらで引き上げるが――」チラッ
レヴィ・エダ「……」
ロック「?」
張「“明日の結果、楽しみにしてるぜ”」
ロック「ミスター・張。何が起こってるんですか? 正直、分らない事だらけだ」
張「ロック、わからないならそれで良いのさ。誰だって黙っておきたい事の一つや二つはある」
ロック「それが……今の状況ってことですか」
張「その通り。まあ、さっきは“面白い”ことを聞かせて貰ったがね」
ロック「面白い事?」
張「俺は耳が良くてな。お前さんが、“まだ”だって事を聞いちまったのさ」
ロック「……聞こえてたんですか?」
張「当然だろう。あんなに大声で叫んじゃあ、ロアナプラ中に響き渡っちまう。なあ、二挺拳銃?」
レヴィ「……旦那、人が悪いぜ」
張「ああ、俺は悪党だからな」
・ ・ ・
教会
レヴィ「……へきしっ!」
エダ「汚ねえな。臭い汁を飛ばすんじゃねえよ」
レヴィ「お前の小便よりゃマシだ」
エダ「……まさかロックが泣き出すとはな」
レヴィ「チッ、情けねえ。チェリーが知れ渡ったからって何だってんだ」ニコニコ
エダ「エテ公、笑い事じゃねえだろ? “へこんで”お前んトコの船に引き篭もっちまったじゃねえか」
レヴィ「みてえだな。まあ、その道の専門家がウチにゃいるから平気だろ」
エダ「で、ベニーと連絡は取れたのか?」
レヴィ「いや、それが取れねえんだ。どっかでヨロシクやってのかね?」
エダ「お前がヤれよな……」
エダ「だけど、これでロックが奥手な理由がわかったな」
レヴィ「ああ、そうだな!」ニッコニッコ
エダ「その気持ち悪いツラはやめろ。思わずぶっ放したくなっちまう」
レヴィ「あん? アタシがどんなツラしてたってゆ~んだよ~エダ~?」
エダ「あああ、ウゼえ!!」
レヴィ「……しっかし、まさかロックが童貞とはな。とんだサプライズだ」
エダ「それを喜ぶお前は悪魔だな。ここに居ると気分が悪くならないかい?」
レヴィ「いいや、すこぶる調子が良いな。今なら15ラウンドをフルに戦えそうだ」
エダ「だったらとっとと行って来い。もうアタシは疲れたよ……」
ガチャッ
バラライカ「用件はわかっているな?」
レヴィ・エダ「……ヤー」
バラライカ「今日が最終日だけど、首尾は?」
レヴィ「姉御! 姉御! 聞いてくれよ!」
バラライカ「……何? やけに機嫌が良いけれど、良い報告?」
レヴィ「そうさ、とんでもないプレゼントだ! アタシもこんな事になるとは……!」ニヤニヤ
バラライカ「教えなさい」
エダ「……ったく、“しょうのねえ”奴だな」
レヴィ「なんとな! ロックは童貞だったんだよ!」
バラライカ「へえ……ジュルリ」
エダ「……ん?」
レヴィ「そいつがわかったらこっちのもんだろ! パン屋から釜を盗み出すより楽勝さ!」
バラライカ「そうね、詳しく聞かせてもらえるかしら?」
レヴィ「オーケイ、とりあえず昨日な――」
エダ「……なんだか雲行きがおかしくなってきやがった」
・ ・ ・
レヴィ「――って訳さ。な、楽勝だろ?」
バラライカ「甘いわね。“認識が甘すぎる”」
レヴィ「へっ?」
バラライカ「ロックはヤポンスキー。そして、この歳まで童貞だったのよ。“その意味がわかって”?」
レヴィ「そりゃあ……機会があったらヤりたいって思うんじゃねえか?」
バラライカ「やれやれだわ。レヴィ、貴方何もわかってないのね」
レヴィ「……それじゃあ、姉御はわかるってのか? アタシより、ロックのことが?」
バラライカ「吼えるな」
レヴィ「……」
バラライカ「残り一日、失敗は許されない」
レヴィ「わかっちゃいるさ」
バラライカ「良い、レヴィ。私は、貴方だけにも、そこのシスターにも任せられないと言っているの」
レヴィ・エダ「……」
バラライカ「――これより、本作戦の指揮は私が執る!」
レヴィ「おい、待ってくれよ姉御! そいつぁルール違反じゃねえのか!?」
バラライカ「黙れ。口答えは一切許さん」
レヴィ「……っ!?」
エダ「レヴィ、ここはとりあえず大人しくしといた方が身のためだぞ」ボソッ
レヴィ「ああ……そうだな。なんだか姉御は“どうかしちまってる”みたいだ」
バラライカ「本作戦――『童貞狩り』に失敗は許されない」
レヴィ「ヘイ、ヘイ姉御! まさか姉御も参加するつもりじゃねえだろうな?」
バラライカ「えっ? もちろんそのつもりだけど」
レヴィ「ちょいと待ってくれ! ロックの童貞はアタシが――」
バラライカ「口答えは許さんと警告したはずだ」
レヴィ「……」
バラライカ「前衛は私が引き受ける。貴様らは後ろを守れ」
レヴィ「姉御……」
バラライカ「何かしら?」
レヴィ「マジか?」
バラライカ「マジよ。私がロックの童貞を奇襲しつつ、貴方が残ったサオを殲滅。悪い作戦じゃないでしょう?」
レヴィ「……いや、さすがにそれはちょっと――」
ガチャッ
張「火傷顔、さすがに“おイタ”が過ぎるんじゃねえか?」
バラライカ「……人を探すのが上手いわね、チャイニーズ。それもお国柄かしら?」
レヴィ「旦那?」
エダ「……ドンパチなら、よそでやってくれよな」
張「二度目までは黙って見過ごしてたがな。さすがに三度目を許せるほど俺は大らかじゃあねえ」
バラライカ「あら、こちらの情報ではそちらも二人に接触していたはずだけど」
張「それは“偶然”さ。お前さんみたいに、“探し出すなんて事はしねえ”」
バラライカ「言いがかりはやめてもらえる? 私も、“偶然”ここに来たの」
張「そう、そうか。それなら、その偶然を記念して一杯やろうじゃあねえか」
バラライカ「生憎、私はこの後重要な予定が入ってるの。“ハンティング”っていうね」
張「そいつは面白そうだな。俺も一枚かませてもらえると嬉しいね」
バラライカ「もう席はいっぱいなの。“先着一名の、デッド・ラン”だから」
張「二挺拳銃。それにシスター、“どっちか俺とこの女に付き合え”。それで手を打ってやる」
バラライカ「……仕方ないわね。レヴィ、行きなさい。……“しっかりやるのよ”」
レヴィ「……あ、ああ」
エダ「……待ってくれ、アタシはあんた方と飲まなきゃいけないのかい?」
張・バラライカ「当然」
エダ「……胸焼けで大変な事になりそうだ。レヴィ、貸し一つだからな」
レヴィ「……ああ、さすがにアタシもそいつは飲んどくよ」
・ ・ ・
ブラック・ラグーン号、船室扉前
レヴィ「勢いでここまで来ちまったが……まあ、なんとかなるだろ」
ガンガン
レヴィ「ヘイ、ヘイベイブちゃん。レンガの家に引き篭もってないで出て来~い」
シーン――……
ガンガン!
レヴィ「ロック。とっととツラ出さねえと船から引き摺り下ろして、裸で放り出すぞ~」
シーン――……
ガンガンガンガンガン!
レヴィ「とっとと出て来いロック! いっちょまえに居留守使ってんじゃねえぞ童貞野郎!」
ギィィィ…
レヴィ「……なんだ、開いてたんじゃねえか」
ロック「……」ズーン
レヴィ「よう、ロック。どうしたよ、そんなシミったれたツラしやがって」
ロック「……そう見えるか? そう見えるなら、お前の視力は正常だよ。俺が保証する」
レヴィ「なんだいなんだい、たかがチェリーだってのが知れ渡った位で」
ロック「……」ズーン
レヴィ「いいか、ロック。世の中には、もっとクソみたいな事が知られちまってる奴だっている。
モーツァルトがスカトロ趣味だったってのは有名な話さ。それよりゃマシだろ?」
ロック「……まあ、確かにそうだけど」
レヴィ「ヘイ、ロック。ここはどこだ? そして、誰が居る?」
ロック「……?」
レヴィ「チッ! これだからお前は……!」ガリガリ
レヴィ「いいかいロック。これはチャンスなんだ。わかるか? わかったら頷け、わからないなら死ね」
ロック「チャンスって……っ!」
レヴィ「どーやらわかったみてえだな。……長かったぜ。それこそ、キリンの首も折れちまう位長かった」
レヴィ「ヘイ、ロック。“途中で気が変わるのは無しだからな”」
ロック「……なあ、レヴィ。“本気で言ってるのか”?」
レヴィ「ロック。それ以上アタシの決めた事に触れるのはいけねえな」
ロック「だけど……引き返せなくなるぞ?」
レヴィ「チェリーが何を言ってんだ。それとも、脳内トレーニングはしてたってか? ヒヒヒ!」
ロック「おい、ここで茶化すなよ!?」
レヴィ「いいや、茶化してなんかいねえさ。
だってよ、これからアタシはお前のトレーニングの成果を受けるんだぜ?」
ロック「……はぁ、全くお前って奴は」
レヴィ「“これがアタシさ”。文句あるかい? 今なら多少は受け付けてやるよ」
ロック「そうだな、文句を言っていいなら朝までかける事になるぞ?」
レヴィ「……ヘイ、ロック。ケンカ売ってんのか? それともサオを切り取られたいってことなのか? あ゙あ?」
ロック「それは勘弁だ。なにせ、“今から使うんだからな”」
レヴィ「あ~……丁度マットレスを持ってきてあるんだ。なんでだかは聞くな」
ロック「ああ、わかったよ。……しかし、まさかココでお前とする事になるとはな。“神様でもわからない結果だ”」
レヴィ「いや、考えてみりゃ、ココが一番“らしい”所なんじゃねえか? だってよ――」
ロック「確かにそうだな。何故なら、この船で起こった事がきっかけで俺とお前は――」
・ ・ ・
翌日、教会
レヴィ「言いたくねェな」
エダ「おい! おいおいおいおい! ここまできてそりゃあねえぜ!?」
レヴィ「良いじゃねえか。結局どっちも手を出しすぎって事でノー・コンテスト。
結果だけを見りゃどっちが勝ったか一目瞭然だが、過程が汚すぎたんだ」
エダ「賭けの結果なんて興味はねえよ! ヤったか? ヤったんだろ!?」
レヴィ「そりゃあ、おめえ――」
ガチャッ
ロック「レヴィ、ここに居たのか」
レヴィ「ロックか。仕事かい?」
ロック「……いや、ちょっと厄介事に巻き込まれてな」
レヴィ「またか? なあロック、何回言えばお前は“やって良い事とやっちゃいけない事の区別”がつくんだ?」
ロック「悪いなレヴィ。最近、お前の言う事がよく理解出来なくなってきたんだ」
レヴィ「……そりゃどういう意味だ?」
ロック「“お前の言う駄目ってのが、本当に駄目なのかわからなくなっちまった”……ってことさ」
エダ「……ワオ。レヴィお前……完全に“イカれちまってるのか”?」
レヴィ「……クソッ! だから、い、言いたくなかったンだよ! 悪いか!? ああ!?」
ロック「?……何の話をしてたんだ?」
・ ・ ・
同時刻、事務所
ベニー「今日は凄かったね、ダッチ。ペンタゴンのファイヤーウォールなんて目じゃない位だったよ」
ダッチ「……ああ、そうかい。そんなに褒めるな、死にたくなるじゃねえか」
ベニー「それにしても、あの二人はようやくくっついたようだね。うん、良い事だ」
ダッチ「俺は今、神を呪いたい気分でいっぱいだ。その前に、銃弾をありったけぶち込んでな」
ベニー「まあ、僕にぶち込む合間に頼むよ。なあ、まだ二人が戻ってくるまで時間がある」
ダッチ「……」
ダッチ「くそったれ」
おわり
445 : 以下、名... - 2009/01/26(月) 23:59:48.22 qjj6lVer0 59/62
こんなくだらねえもん最後まで読んでくれてありがとうよ、クソッタレ共
書き溜め? 面倒ですだよ
[おまけ レヴィ・エダ・ロック編]
レヴィ「はーはーふーん♪」ツヤツヤ
エダ「随分ゴキゲンじゃねえかレヴィ」
レヴィ「おうよ!!」ツヤツヤ
エダ「で、あっちで干からびてるのは誰だ? っていうか何だ?」
干物「……」カサカサ
レヴィ「ヘイ、ロック! 帰ったらヤるからな!」
干物「お……おあ……」
エダ「ロック!? レヴィお前、どんだけ搾り取ったんだ!?」
レヴィ「あん? 10から先は数えてねえな」
エダ「ロック……」
干物「た、助け……」
エダ「ガンバ!!」ビシイッ!
干物(エエ―――ッ!?)
レヴィ「しょうがねえな、今日は15回で許してやるよ!」
干物(エエエ―――ッ!!?)
[おまけ バラライカ・張編]
張「いい加減しつこいぞ火傷顔。勝負は無しってことになっただろうが」
バラライカ「そうはいかん。約束は守ってもらうぞ」
張「……チッ、仕方ねえな」
・ ・ ・
バラライカ「んっ……そう、そこだ……んんっ!」
張「おかしな声を出すな。ただの肩揉みだろう」
バラライカ「サービスよ。本編があまりに“アレ”だったから」
張「お前の喘ぎ声でサービスになると思わんよ。むしろ逆効果だ」
バラライカ「軍曹~、ちょっと殺して欲しいベイヴが居るんだけど~」
[おまけ ダッチ・ベニー編]
ベニー「ああっ! 凄いよダッチ! 天国に行っちゃいそうだ!」
ダッチ「そうか、奇遇だな。俺はそことは“逆の所”に行っちまいそうだ。むしろ、そこにサオを突っ込んでる」
ベニー「気持ち良いかい!? 僕のアヌスをファックして、気持ち良いかい!?」
ダッチ「最悪な事にな。このまま死んじまいたい位だよ、クソッタレ」
ベニー「激し、激しいよ!」
ダッチ「どれだけヤったらお前さんは“不幸な事故”が起こるのかね。それだけが望みだ」
ベニー「うぐふぅ! 僕……僕、もうううぅ!」
ダッチ「ベニー・ボーイ、そいつは報告しなくて良い。耳がポロリと取れちまいそうだ」
ベニー「あっ、あああっ、ああおおおおっ!!」ビクンッ!
ダッチ「HAHA、出る」ビュルッ、ビュッ、ビュルルウッ!
ベニー「……た、沢山入ってきてるのがわかるよ。僕のお腹が、ダッチのでいっぱいだ……」
ダッチ「そうかい。俺は今、なんとも言えない複雑な気分で胸がいっぱいだ」
ベニー「もう一度かい?……もう、ダッチはエッチだなぁ」
ダッチ「悪いがベニー。コイツから出るのは白いもんじゃあねえ」
ベニー「えっ?」
ダッチ「“残酷なまでに、黒いもんさ”」
――ドンッ!
今度こそおわり