男「ここで、ですか?」
女「他にどこがあるね」
男「いままで一人でのんでたんですか?」
女「そうだよ」
男「危ないですね」
女「なに、ふたりもいれば大丈夫さ」
男「じゃあお邪魔します」
女「やあ。ようこそ」
元スレ
女「のんでいかないかい?」
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男「どうも」
女「君はいけるほうかい?」
男「そんなに強くはないですよ」
女「じゃあ、ほどほどにしよう」
男「…っと。ありがとうございます」
女「乾杯」
男「あ、はい」
男「……ほぅ」
女「……ふぅ」
男「いいお酒ですね」
女「そうだねえ」
男「……」
女「……」
女「ん……」
男「あ、注ぎましょう」
女「いいよ。手酌でいこう」
男「わかりました」
女「のみたいだけのみたいからね」
男「ええ」
男「……」
女「……」
男「秋になりましたね」
女「ああ、そうだねえ」
男「虫もずいぶんでて」
女「うん。賑やかだ」
男「……」
女「……」
女「……」
男「……あれ」
女「ん?」
男「空です」
女「もうかい。二人だと早いね」
男「お開きですか?」
女「ベンチの裏のカバン、とってくれ」
男「わ、重い」
女「とりあえず同じのでいいかな?」
男「はい」
女「……」
男「……そういえば」
女「なんだい?」
男「ちゃんとした酒器ですね」
女「一升瓶に紙コップじゃあ、味気ないだろう?」
男「それも好きです」
女「気が合うね」
男「これ、持ってくるの重くありませんでした?」
女「なに、気持よく酔うためだもの」
男「そんなものですか」
女「ただ…」
男「ただ?」
女「帰りはちょっと不安だねえ」
男「手伝いましょう」
女「わるいね。なにせ酔ってるもの」
女「ま、帰るまでにできるだけ減らしておこうよ」
男「そうですね」
女「ささ、どうぞ」
男「手酌じゃないんですか?」
女「いやかい?」
男「いただきます」
女「……」
男「……」
女「……すまん、ちょっと失礼する」
男「まっすぐ歩けますか?」
女「まだそこまで酔っていないよ」
男「ごゆっくり」
男「……ふぅ」
女「や、失礼した」
男「いえ」
女「最近は公園のもきれいだね」
男「近所の方が掃除しているらしいですよ」
女「ありがたいことだ」
男「すみません。僕もいってきます」
女「うん」
女「……」
男「……どうも失礼しました」
女「ほら、これで手を拭くといい」
男「ありがとうございます」
女「ああね」
男「……」
女「……」
男「……」
女「そういえば、肴を忘れてた」
男「あるんですか?」
女「漬物か塩でよければね」
男「いただきましょうか」
女「カバンの……そう、それだ」
男「開けますね」
女「たのむ」
女「うん、いい塩梅だ」
男「自分で漬けてるんですか?」
女「田舎の出だからねえ」
男「そんなもんですか」
女「さあねえ」
男「……うん、おいしいですよ」
女「それはどうも。さ、のめ」
男「……」
女「……」
男「……はぁ」
女「どうしたね」
男「すこし、酔いました」
女「そうかい。水を飲むといい」
男「はい」
女「まて。いま用意するよ」
女「……」
男「……」
女「うん」
男「なんですか?」
女「いいね」
男「そうですね」
女「うん」
男「……」
女「……」
女「……」
男「ずいぶん冷えてきましたね」
女「寒いかい?」
男「まあ、少し」
女「毛布もあるけど」
男「そこまでではないですよ」
女「それともくっつこうか」
男「はい?」
女「ふふっ、冗談だよ」
男「ですか」
女「……」
男「……」
女「ああ、わたしも酔ったみたいだ」
男「水、飲んでくださいね」
女「そうだねえ」
女「よし」
男「お開きですか?」
女「歩けるうちにね」
男「じゃあ、片付けましょうか」
女「うん」
男「あ、それ。背負いますよ」
女「そうそう、手伝ってくれるんだった」
男「飲み代分は働きますよ」
女「つまらないこと言わない、言わない」
男「酔ってますね?」
女「まあねえ」
男「はい、これ持って。忘れ物はないですか?」
女「もう君にまかせたよ」
女「ほんとうに酔っているのかい?」
男「いつもこんなもんですよ」
女「ふむ」
男「お宅はどちらですか?」
女「一度、酔い潰してみたいねえ」
男「やめてください」
女「どれ、うちで飲み直していくかい?」
男「やめておきます」
女「ちぇっ」
男「で、どちらに?」
女「知らないのだっけ?」
男「ええ」
女「そうか。これからはたくさん来るといいよ」
男「はいはい」
女「さ、こっちだよ。ついておいで」
男「どのくらいですか?」
女「実を言うとすぐそこだよ」
男「ええと」
女「ほら、あそこの家だ。門灯のついていない」
男「ああ。一軒家なんですね」
女「一人にはすこし広いがね」
女「さ、ついた」
男「では、ここで…」
女「まあ少しあがっていきたまえな。お茶くらいだそう」
男「そうですか」
女「ああ。ちょっと待ってくれ、鍵がな…」
女「よし、いらっしゃい」
男「お邪魔します」
女「荷物はそこらに置いておいてくれ」
男「はい」
女「重かったろ。ありがとう」
男「いえ」
女「ささ、上がるといい」
男「では失礼して」
女「ほうじ茶、いかが?」
男「いただきます」
女「どうぞ」
男「……ほぉ」
女「……ふぅ」
男「落ち着きますね」
女「うん」
女「……」
男「……」
女「なんだい」
男「いえ。片付いてますね」
女「ここは客間だからねえ」
男「そうなんですか」
女「うん。いろいろ便利なのさ」
女「さ、ひと息入れたことだし」
男「なんですか?」
女「のみなおそうか」
男「いえ、そろそろ失礼します」
女「もう帰るのかい?」
男「ええ、もう遅いですから」
女「ふうむ」
女「じゃあ見送ろうね」
男「ああ、そこでいいですよ」
女「そういうわけにもいくまいよ」
男「はあ」
女「忘れ物はないね?」
男「散歩中でしたからね」
女「ああ、わたしが呼び止めたんだったねえ」
男「そこを忘れますか」
女「なにせ、酔っているからねえ」
女「じゃあ、またそのうち」
男「今日はごちそうになりました」
女「なに、おかげ様でおいしくのめた」
男「それは良かったです」
女「うん。またのもう」
男「はい。では」
女「おやすみ。気をつけて帰ってくれよ」
男「はい。おやすみなさい」
おやすみ