1 : 以下、?... - 2018/09/04 02:35:29.281 f99qovHdD 1/17

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    菅原礼二郎(63) 元暴力団組員

    【嫌われ者】

    ホーッホッホッホ……。」

元スレ
喪黒福造「NPO法人の代表になって、社会に貢献してみませんか?」 元暴力団組員「な、何だと!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1535996129/

2 : 以下、?... - 2018/09/04 02:37:26.623 f99qovHdD 2/17

テロップ「2013年――」

暴力団近藤組本部。ソファーに座り、会話をする中年組員と組長。ソファーの側には、高価な机がある。

テロップ「菅原礼二郎 指定暴力団住之江会・神龍組系近藤組組員」

組長「何……。お前もカタギになることを決意したのか……」

菅原「今のままでは、シノギをやっていくことができません。社会による、暴力団への締め付けが思った以上に厳しいですから……」

組長「若い衆や、インテリヤクザの連中はそれなりに稼いでいるんだぞ。お前も、少しは知恵を絞ったらどうだ……」

菅原「申し訳ないですが……、俺には、その知恵というものが足りないですからね……。俺にできることは、これしかありません」

ズボンのポケットから小型のナイフを取り出す菅原。菅原は、机の上で右手の小指をナイフで切断する。ドスッ!!

菅原「こ……、これが今の俺による精一杯の答えです……」

血に染まった小指を組長に差し出す菅原。菅原による突発的な行動を見て、思わず目を丸くする組長。


テロップ「2018年――」

マンション。台所で、机に向き合う菅原と妻・明菜。明菜は机の上に、ある紙切れを叩きつける。

テロップ「菅原明菜(60) スナック経営」

テロップ「菅原礼二郎(63) 元暴力団組員・無職」

4 : 以下、?... - 2018/09/04 02:39:48.257 f99qovHdD 3/17

菅原「この紙切れは一体何だ!?」

明菜「見ての通り……。離婚届に決まってるじゃない!!」

菅原「こ、これが一家の大黒柱に対してやることなのか!?」

明菜「だってあんた……。暴力団組員としても社会人としても、ダメ男で甲斐性なしじゃない」

明菜「若いころのあんたはかっこよかったけど、今のしょぼくれたあんたを養うのはごめんだね」

菅原「だ、だからと言って夫を追い出すのはあんまりだ!!」

明菜「今のあんたは、ヤクザをやめてもう5年……。つまり、社会的には完全にカタギと見なされるようになったってこと」

明菜「暴力団組員は組を抜けてから5年間は、アパートを借りることも、銀行口座を作ることもできないけれど……」

明菜「あんたは近藤組を抜けて5年経つからね……」

菅原「一体何が言いたいんだ……」

明菜「要するに、自分の力で生きてみろってこと。今なら、あんた名義でアパートを借りることも、銀行口座を作ることも可能だから……」

明菜「だからさ、あんたはあたしと離婚した後は、このマンションから出て行って貰うよ!!」

菅原「そ、そんな……」


夕方、コンビニの中でカップ麺をすする菅原。夜、インターネットカフェのベッドで睡眠をとる菅原。

翌朝、インターネットカフェを出る菅原。菅原は公園に入り、ベンチの上にそのまま座り込む。

5 : 以下、?... - 2018/09/04 02:41:50.256 f99qovHdD 4/17

昼。公園には一般人や子供が何人か訪れている。一方、ベンチの上には菅原が横になっている。

公園の中で、あの例の男――喪黒福造がベンチで横になる菅原を見つける。菅原に近づく喪黒。

喪黒「あのう、すみません……」

菅原「うわっ……!!な、何だ……、いきなり……!!」

喪黒「そういえば、あなた……。今朝からずっとこの公園にいますよね……」

菅原「俺のこと、見ていたんですか……」

喪黒「はい。どうも、あなたのことが気になったもので……」

菅原「動く元気がないんだよ……。何しろ、俺は今朝から飯を食っていないんだ。金がないからな……」

喪黒「それはいけませんなぁ……。よろしかったら、私があなたに食事をおごりますよ」


とあるうどん屋。店の中でうどんをすする喪黒と菅原。

菅原「いやぁ、本当にありがとう……。久しぶりに、人の温かさというものを実感したよ……」

喪黒「どういたしまして……。今のあなたは、いろいろな意味で八方ふさがりの状態にあるようですねぇ」

菅原「ああ……。お前さんの言う通りだよ。今の俺は……。社会的にはもう完全に何もかも失った状態……」

6 : 以下、?... - 2018/09/04 02:44:16.317 f99qovHdD 5/17

喪黒「どうやら、あなたにも何やら複雑な事情がおありのようですなぁ……」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

菅原「ココロのスキマ、お埋めします!?」

喪黒「実はですね……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」

菅原「そ、そうなのか……」

喪黒「何なら、相談に乗りましょうか?」


BAR「魔の巣」。喪黒と菅原が席に腰掛けている。

喪黒「ほう……。菅原さんは元暴力団組員なのですか……」

菅原「ああ……。俺は、若いころからずいぶんヤンチャや悪さを繰り返してきたし、刑務所にも2回入った……」

喪黒「その生きざまからして……。おそらく、あなたは武闘派のヤクザだったのでしょうなぁ」

菅原「その通りだ。だがな……。暴力団の世界も、今や金がものを言う時代。そんな時世じゃあ、武闘派のヤクザは何かと不利だ」

菅原「経済ヤクザやインテリヤクザの奴らの方が……。世渡りがうまいし、シノギができるからな……」

喪黒「それだけではなく、武闘派のヤクザが不利になった決定的な原因は……。法律や社会による暴力団への規制……」

菅原「そうだよ、何よりもそれだ。暴対法や暴排条例のせいで、ヤクザは昔と違って非常に生き辛くなった……」

菅原「ヤクザであるというだけで、社会から様々な制裁を食らい、シノギもろくにできない……」

7 : 以下、?... - 2018/09/04 02:46:24.943 f99qovHdD 6/17

喪黒「菅原さんもヤクザとして生活を送ることが苦しくなったから、カタギになったのでしょうねぇ」

菅原「そうだ。俺が組を抜けたのは2013年……。今から5年前だ」

喪黒「元ヤクザの人も……。組を抜けて5年経てば、アパートを借りたり、銀行口座を作ることができるそうですねぇ」

菅原「だから……。俺は妻に強制的に離婚をさせられた上、マンションを追い出された。これからは自分で生きろって……」

菅原「でも、生きていく当てがない。そのため……。さっきはこうやって公園のベンチで、ずーっと横になっていたんだ」

喪黒「そうですか。大変ですねぇ……」

菅原「だが、俺がこうなったのは元はと言えば……。俺の今までの生き方が招いた結果……」

菅原「俺はヤクザとして人生を選んだため、社会から除け者にされることになったってわけさ」

喪黒「世間一般でのヤクザのイメージは最悪ですからねぇ……。しかも、暴力団が様々な犯罪行為を行ってきたことも事実……」

菅原「そうだよ……。ヤクザ自体が反社会的な存在だから……。俺は元ヤクザというだけで、今も社会の嫌われ者ってことだ」

喪黒「よろしかったら、私があなたのために何とかしましょうか?」

菅原「えっ!?」

喪黒「元ヤクザのあなたが、まともに収入を稼げて、その上社会に貢献できる……。そんな仕事を紹介しますよ」

8 : 以下、?... - 2018/09/04 02:48:25.225 f99qovHdD 7/17

菅原「一体何ですか……、それは……?」

喪黒「例えば……。NPO法人に所属して、世のため人のために活動をすることとか……」

喪黒「これは、文句なしにいいことですからねぇ……」

菅原「確かに……」

喪黒「そこでです……。NPO法人の代表になって、社会に貢献してみませんか?」

菅原「な、何だと!?」

喪黒「あなたがNPOの代表になって、貧困層やホームレスの支援をするんですよ」

喪黒「私はとあるNPO組織とつながりがありますからねぇ……。それを菅原さんに紹介しますよ」

菅原「じゃ、じゃあ……」

喪黒「菅原さんはその団体の名目的な代表になり、組織の運営はメンバーの人たちが行います」

喪黒「それでもって、NPO活動で得た収入で生活を送る……。まさに、今後の菅原さんの仕事に向いています」

菅原「うーーーん……」

喪黒「『元ヤクザから立派に更生し、社会に貢献している』と世間の人々はあなたを見てくれるでしょう……」

菅原「そうか……。じゃあ、やる価値は大いにあるな……」

9 : 以下、?... - 2018/09/04 02:50:52.061 f99qovHdD 8/17

テロップ「NPO法人『いきいき会』」

『いきいき会』本部。建物の中には、『いきいき会』専用のTシャツを着た若者たちがいる。

『いきいき会』のメンバーたちを前に、菅原を紹介する喪黒。

喪黒「今日から、この団体の代表に就任することになった菅原礼二郎さんです」

菅原「よ、よろしくお願いします……」

一同を前に、頭を下げる菅原。メンバーたちは一斉に拍手をする。


道路を走るワンボックスカー。車に乗る喪黒、菅原、『いきいき会』メンバーたち。菅原も、同団体専用のTシャツを着ている。

喪黒「私たちはこれから、山谷の玉姫公園に行きます」

菅原「ドヤ街で有名な山谷か……。確か、玉姫公園はホームレスが多いことで知られる場所なんだよな……」

喪黒「そうです。私たちは、これからホームレスや貧困層向けの炊き出しを行います。菅原さん、あなた料理作れますか?」

菅原「もちろん……。離婚前の俺は、マンションに妻名義で住みながら料理担当をしていたんだ」

喪黒「それは、ちょうどよかったですねぇ」

12 : 以下、?... - 2018/09/04 02:53:15.512 f99qovHdD 9/17

山谷、玉姫公園。公園内にはホームレスが寝泊まりするテントがいくつもある。

『いきいき会』メンバーたちと一緒に、豚汁を作って炊き出しを行う喪黒と菅原。

豚汁の入った銀色の大型の鍋の前に、大勢のホームレスたちが列を作る。

発泡スチロールの容器に入った豚汁を、割り箸で勢いよくかき込むホームレス。

ホームレス「あ、ありがとう……。あんたたちのような、心の温かい人たちに出会えて……」

菅原(俺が……。心の温かい人だと……!?)

これまでの生い立ちを回想する菅原。

菅原(心の温かい人……。俺の人生で、そんな人間は今までいたのか!?それとも俺はそうだったのか!?いや、違う……)

小学生のころ――、飲んだくれの父親が母親と菅原を殴っている。10代のころ――、少年院の中で菅原は不良たちと喧嘩をしている。

若いころ――、組長から拳銃を渡される菅原。敵対する組の幹部に対し、菅原は拳銃を発砲する。刑務所内にいる菅原。

そして、あの日――。妻から離婚を言いつけられ、マンションから追い出される菅原。

13 : 以下、?... - 2018/09/04 02:55:21.172 f99qovHdD 10/17

場面は、玉姫公園に戻る。『いきいき会』メンバーたちとともに、ホームレスに炊き出しをする菅原。

菅原(心の温かい人……か……。誰かのためになることをやるのは、気持ちいいもんだな……)


『いきいき会』本部。建物の中にいる喪黒、菅原、『いきいき会』メンバーたち。

菅原「この団体は、炊き出し以外でどんな仕事をしているんだ?」

NPOメンバーA「そうですね……。ホームレスがまともな生活をできるように支援をするのが、『いきいき会』の活動の中心です」

菅原「それは一体、どういうことなんだ!?」

NPOメンバーB「ホームレスの人たちに、ちゃんとした住居を紹介したり、きちんとした手続きで生活保護を受給させるのが……」

NPOメンバーB「この団体の主な仕事なんです」

喪黒「住居の紹介や、生活保護申請のアドバイスによるサポート代によって、この団体は成り立っているのです」

喪黒「つまり、『いきいき会』は貧困層やホームレスを支援することで収入を得ているというわけですよ」

菅原「なるほど……。社会貢献を仕事にして、飯を食っているということか……」

喪黒「あなたは、社会貢献をするための団体の代表を務めているのですよ。菅原さん」

菅原「そうだったのか……。俺に課せられた責任はかなり重いようだな……」

14 : 以下、?... - 2018/09/04 02:57:42.480 f99qovHdD 11/17

ある日の夕方。とあるうどん屋。喪黒を含め、客たちが食事をしている。

店の中には、テレビが東京都内向けのニュースを放送している。

テレビ「今日の特集は……。ホームレスや貧困層の支援のあり方についてです……」

テレビの画面に、代表の菅原も含めた『いきいき会』のメンバーたちの姿が映る。

テレビ「ホームレスの支援を行うNPO団体『いきいき会』です……」

テレビを見つめる喪黒。


BAR「魔の巣」。喪黒と菅原が席に腰掛けている。

喪黒「菅原さん……。『いきいき会』の活動がテレビのニュースで扱われていましたよ」

菅原「いやぁ……。まさか、俺がこんな形でテレビで放送されるとは……。何だか、恥ずかしいな……」

喪黒「恥ずかしくなんかありません。これはむしろ、誇るべきことなのです」

喪黒「今のあなたは、立派な形で社会貢献を果たしているのですから……」

菅原「そ、そうなのか……」

喪黒「『元ヤクザから更生して、ちゃんとしたカタギの人間になることができた』……と」

喪黒「世間一般の人たちも、今のあなたを認めてくれるでしょうねぇ」

16 : 以下、?... - 2018/09/04 03:00:15.340 f99qovHdD 12/17

菅原「言われてみれば、そうかもしれんな……」

喪黒「菅原さん。あなたは、『反社会的な存在で嫌われ者』という今までの人生とは、もうおさらばしたのですよ」

喪黒「くれぐれも、このことを忘れないでください」

菅原「ああ……。言われなくても、承知しているよ」

喪黒「だから、菅原さん……。あなたには、私と約束していただきたいことがあります」

喪黒「NPO法人の代表である以上、社会貢献を行うための団体として『いきいき会』を運営してください」

喪黒「あなたの私利私欲や、反社会的な活動のために団体を悪用してはいけません。いいですね、約束ですよ!?」

菅原「わ、分かったよ……。喪黒さん」


暴力団近藤組本部。事務所の中で、組員たちを集める組長。

組長「どうやら、菅原の奴……。NPO法人の代表になったらしいな……」

組員A「はい……。菅原の兄貴が代表を務めるNPOは確か、ホームレスや貧困層の支援をしているそうです」

組員B「ヤクザをやめた菅原さんが、こんなことをやっているとは本当に意外でしたよ」

組員C「全く、ろくな金儲けにもならないのに……」

組長「いや……。菅原のNPOは、やり方次第ではいいシノギになるぞ……」

17 : 以下、?... - 2018/09/04 03:02:28.950 f99qovHdD 13/17

『いきいき会』本部。菅原やメンバーたちの前に、3人の中年男性がやってくる。

テロップ「竹内信 柳沢健一 哀川太一 元近藤組組員」

竹内柳沢哀川「俺たちも『いきいき会』に入れてくれ!菅原の兄貴の手助けがしたいんだ!」

菅原「……分かった」


暴力団近藤組本部。組員たちと話をする組長。

組長「実はな……。今度、『いきいき会』に入った3人の元ヤクザは、うちの組を偽装破門した人間なんだよ……」

組長「あいつらは俺の命令で、NPOに潜り込んだってわけさ」

組員A「なるほど……。組の息のかかった人間をNPOに送り込んで、組織を乗っ取るんですか……」

組長「そういうことだ。『いきいき会』のNPOの収入は、ある程度近藤組が分捕る……」

組長「しかも、ホームレス支援活動も近藤組の都合のいいものに変えてやるってことだよ」

組員B「さすがは組長(オヤジ)さんですね……。こんな手口を思いつくなんて……」

組長「今の時代、ヤクザの世界で生きていくために必要なものは……。やっぱり、『これ』なんだよ!『これ』!」

自分の頭を右手の人差し指で指差す組長。

18 : 以下、?... - 2018/09/04 03:04:46.925 f99qovHdD 14/17

数日後。『いきいき会』本部。竹内・柳沢・哀川の3人が、威嚇的な形相でNPOメンバーたちを恫喝する。

竹内「これからは、俺たちがNPOを好きなように運営してやるからよぉ!!分かったか!!」

柳沢「俺たちにはケツ持ちがあるんだよ!!だから、くれぐれも俺たちに逆らうんじゃねぇぞ!!」

哀川「もしも、お前らが俺たちに逆らったなら、夜道を安心して歩くこともできなくなるからなぁ!!」

3人の元ヤクザによる恫喝を前に、脅えて身体を震わせる『いきいき会』メンバーたち。


執務室。机に向かう菅原。彼は竹内・柳沢・哀川と話をする。

菅原「お前たち、何てことをしてくれたんだ!!」

竹内「俺は菅原の兄貴のためを思ってやったまでのことですよ」

柳沢「兄貴も、元は近藤組のヤクザでしょう?だから、『いきいき会』を近藤組のための組織にして何が悪いんですか?」

哀川「そうそう。俺たちはヤクザとして、いろいろシノギを行ってきたおかげで……。世間というものを知っていますから……」

哀川「だから、お人よしで偽善者のNPOメンバーたちと違って、しっかりした組織の運営がやれるし……」

哀川「今まで以上に収入も稼げるようになりますよ……。決して、悪い話じゃないでしょう……」

20 : 以下、?... - 2018/09/04 03:07:56.544 f99qovHdD 15/17

菅原「うーーーーん……」

竹内「だとしたら、やるべきことはこれしかないでしょう!!」

菅原「これというのは……」

柳沢「貧困ビジネスに決まってるじゃないですか!NPO活動は、やり方次第ではボロ儲けができますよ!」

菅原「なっ……!?」

哀川「ホームレスをタコ部屋に閉じ込めて、生活保護費をピンはねしてやるんですよ!!あと、それと……」

哀川「ホームレスの人間に精神科の診療を受けさせる。そうすることで、そいつはうつ病と診断され……」

哀川「医者から薬が処方される。で、その向精神薬はこっそり転売すりゃあいい……」


3か月後、東京、とある歓楽街。キャバクラにいる菅原・竹内・柳沢・哀川。彼らは、キャバ嬢に囲まれて談笑している。

店を出て、道を歩く4人。彼らは酒が入り、すっかりいい気分になっている。

竹内「貧困ビジネスに手を染めたおかげで、こうやって夜の街で遊ぶ金もできた!!貧困ビジネス万々歳だ!!」

菅原「さすがはお前たちだ……。俺にも、お前たちのような知恵があればヤクザを続けられたのかもしれんな……」

柳沢「なぁに、NPO代表は菅原の兄貴ですし、うちの組織のケツ持ちは今や近藤組ですから……」

路地裏を歩く菅原・竹内・柳沢・哀川。その時……、彼らの目の前に喪黒福造が現れる。

21 : 以下、?... - 2018/09/04 03:10:59.821 f99qovHdD 16/17

菅原「やぁ、喪黒さん……。久しぶりだな……」

喪黒「菅原礼二郎さん……。あなた約束を破りましたね」

菅原「なっ……!?」

喪黒「私はあなたに忠告したはずです。あなたの私利私欲や、反社会的な活動のためにNPOを悪用してはいけない……と」

喪黒「しかしながら、今の『いきいき会』は……。貧困ビジネスを行う詐欺団体になってしまったではないですか!」

竹内「おい、おっさん!俺たちは貧困ビジネスなんかやってねぇよ!!」

柳沢「そうだ!!くだらん言いがかりはよせ!!」

喪黒「確か……。あなたたちは生活保護のピンはねや、向精神薬の違法売買を行っていましたねぇ。証拠も私は掴んでいますよ」

菅原「くっ……!!」

哀川「そこまで知ってるのなら、おっさん……。近藤組の事務所まで、俺たちがお前を連れて行ってやるよ……」

喪黒「仕方ありません……。あなたたちにはそれ相応の罰を受けて貰いましょう!!」

喪黒は菅原たちに右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

菅原竹内柳沢哀川「ギャアアアアアアアアア!!!」

23 : 以下、?... - 2018/09/04 03:14:22.033 f99qovHdD 17/17

数日後。『いきいき会』本部。執務室の中で、テレビのニュースを見つめる菅原・竹内・柳沢・哀川。

テレビ「NPO法人『いきいき会』が、ホームレスの支援を利用して生活保護費を騙し取っていたことが明らかとなりました……」

菅原「全国のニュースで報道されている……。このままでは、俺たちは警察の捜査を受けるのも時間の問題だ……」

次の瞬間、執務室のドアが開く。10数人くらいのホームレスたちが部屋の中に入ってくる。

ホームレス「菅原さん……。あの炊き出しの日以来、俺はあんたのことをずっと信じていたんだ……。それなのにあんたは……」

金属バット・ビール瓶・包丁などを持ち、殺気立った雰囲気のホームレスたち。大勢のホームレスを前に、蒼白な表情になる菅原たち。

……しばらく時間が経った後、執務室の中からホームレスたちがいなくなる。書類や物がいくつも散乱した状態の部屋。

床には、ホームレスたちにリンチされた菅原・竹内・柳沢・哀川が変わり果てた姿で倒れている。頭から血を流して、こと切れている菅原。


『いきいき会』本部の前にいる喪黒。

喪黒「そもそも……。世の中には光の面だけでなく影の面もありますし、人間社会は常に矛盾を抱えているものです」

喪黒「世の中の片隅で苦しむ弱者に対し、どこかで手を差し伸べる人間がいなければ……。社会はまともに機能しません」

喪黒「なぜなら……。社会というものは、人間と人間による信頼関係があってこそ、初めて成り立つものだからです」

喪黒「だから……。いったん『信頼』を壊してしまうと、そう簡単には取り戻せません。ねぇ、そうでしょう。菅原さん」

喪黒「ホームレスたちとの信頼関係を壊していなければ、あなたは社会の嫌われ者として死なずに済んだのに……」

喪黒「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―

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