丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」【前編】


72 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:24:25.47 YDitP8hM0 72/120

第5話「ガラスの靴」


4時50分。太陽は西日をつくる。

永遠に感じるかのような光を灯す太陽も、天国間近の晴天だった青空を今、

オレンジ色とは程遠い真っ白に染めている。

今歩いている道路もビルも家もそして大きな川も白く光り、その顔を素直に直視することが困難であった。

待ち合わせ場所の石山駅から離れた俺達は分かれ道とは全然違う方向を進んだ。

なんでもない、どこにでもある殺風景な巨大な川沿いの道を二人で歩く。

自動車の走る音がけたたましいなかで、無言で。

初期の弱い、夕日と呼べない太陽の光に丹生谷の顔も少し白くなっている。

多数の赤とんぼが8月のくせに群れを成して飛んでいる。

あれだけうるさかったセミの鳴き声も一切聞こえず死骸がころころ転がっている。

暑さを感じるのに、ちょっと寂しい夏。


勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

なんだろう。丹生谷ともうすぐお別れだというのに。もっと喋って楽しむ。はずだったのに。

手を繋ぐ気にもなれない。だけど俺と一緒にいたくないというのも完全に間違いだと思う。なんなんだ。

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「なあ」

丹生谷「.......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「なんでもない......」

丹生谷「......」

重い。雰囲気が重い。大切に思う人が隣にいるのに、むしろ近づくほど離れていくような虚しい気持ちが身に纏う。

勇太「(なにかしなきゃ......)」

丹生谷「......」

勇太「(でも丹生谷を見るとなんだか愛おしく思える。そう思った瞬間胸がズキズキ痛い)」

丹生谷「......」

勇太「(手、繋ぎたい......。あのころを、もういちど)」

丹生谷「......」

勇太「(彼氏......なんだよな///)」

丹生谷「......」

勇太「(手、汗ばんでないか?また丹生谷を怒らせないか?......緊張する......)」フキフキ

丹生谷「......」

勇太「(誰も見ていないよな......。触りたい....../// 触りたい....../// ごめん神様!)」ギュ

丹生谷「きゃっ///」パシッ!!!

勇太「いたっ!あ、ごめん!」

丹生谷「いえ。ごめんなさい」

勇太「あ///」

丹生谷「あ///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......」

丹生谷「......///」小指ギュ

勇太「えっ///」

丹生谷「悪いですか?///」

勇太「いえ///」手ギュ

丹生谷「うふふ///」

勇太「あはは///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......」

勇太「...... (話したいのに、昔なら話せたのに)」

丹生谷「あの///」

勇太「はい!」

丹生谷「手、私の、濡れてませんか?」

勇太「いえ///」

73 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:27:17.94 YDitP8hM0 73/120

丹生谷「迷惑......///」

勇太「違います///」

丹生谷「......///」

勇太「あの!」

丹生谷「......」

勇太「......。僕!」

丹生谷「......///」

勇太「......」

丹生谷「......///」

勇太「何でもありません」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......///」恋人つなぎ

丹生谷「......///」

勇太「迷惑......ですか?」

丹生谷「いえ......」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「(手のつないだ指先がやけに気になる......)」ドキドキドキドキ

丹生谷「......///」

勇太「(なぜか鼓動が破れるぐらい高まっていく......)」ドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

丹生谷「......///」手ギュ!!

勇太「(......!!丹生谷の手もだんだん俺の手を強く掴む。

汗ばむ握り手をまるで隠すように強く握られていく。でも彼女はむしろ笑っている。

丹生谷の汗と混じっているんだと思うと、

体中がドキドキ唸って、胸が苦しくて、手が汗ばんで、体がほわほわになる。

重力が減ったように足が軽い)」

丹生谷「......///」

勇太「....../////////////////////////」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「富樫さん!」

勇太「はい///」

丹生谷「ちょっとあそこで、休みませんか?」


公園


恋人つなぎする俺達とは対照的に、見渡すと誰もいない。児童も親も誰もいない寂しい広い公園。

あれだけ夢につかりそうな楽しいブランコもすべり台もジャングルジムも光の影に落とされて寂しさの哀愁を匂わせる。

ただ動いているのは時計台だけ。時計台は5時きっかりを指している。

そして時計台から機械音声が報知で5回動いた。

反対側に自動車の道路もあり多数飛び交っているが騒音は聞こえない。

贅沢にも近くに大きな川があり、その対岸に、巨大な山を背に高そうな豪勢なマンションが立ち並んでいる。

その近くの橋に小さな車たちが橋を止まりそして歩いている。

この大きな川のその照らされた輝きが、まるであのときの真珠のようだ。

思えば、この公園は俺と丹生谷の思い出の地だ。

俺の部屋にあったマビノギオンを償却するためわざわざこの公園近くの広場で薪をした。

それからこの場所にはよく丹生谷も部活動の一環としてよく行っている。

そして部活と称して毎回皆と笑顔で過ごした。

俺は緊張のあまり太陽の方向を向くと、太陽の落ちる空が薄く黄色く染まっていくのが分かった。

さっきまで白かったのに。俺達の顔を少しだけ金色に変えていく。

5時か。


勇太「あの///」手ギュ

丹生谷「......」手ギュ

勇太「綺麗ですね。川の光」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「うん......」

勇太「ぷっ。もうやめよう///」

丹生谷「うん///」

勇太「きれいだよな///」

丹生谷「うん///」

勇太「......///」

丹生谷「......」

勇太「......(無言が辛い......)」

丹生谷「......///」手ギュ!

勇太「あ......///」

丹生谷「富樫君。なんで、さっきと違うんだろうね」

勇太「......」

丹生谷「すごく......分からないの///......分かる?」

勇太「(このときめき、胸のドキドキ......///)」

丹生谷「......」

勇太「(話せないよ。目を向いて、そしてくだらない話なんて、今の丹生谷の前では、できっこないよ)」


74 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:29:15.69 YDitP8hM0 74/120

丹生谷「ベンチに座ろう?」

勇太「そうだな......あ。」パンパン

丹生谷「......」

勇太「丹生谷、ベンチに砂があったから」パンパン

丹生谷「......///」

勇太「どうぞ」

丹生谷「ありがとう......///」

勇太「座れるな」

丹生谷「よいしょ」

勇太「ふぅ」

丹生谷「......」

勇太「......」ペットボトルごくごくごく

丹生谷「......///」じぃー

勇太「....../// (やっとここで分かったことがある。

人の飲み仕草をなぜ見るのか。胸の高まりがそう答えている)」

丹生谷「......///」

勇太「ぷはぁ! ふぅ///」

丹生谷「......」

勇太「......///」

丹生谷「......///」ごくごくごく

勇太「......///」じぃー

丹生谷「ぷはぁ!」

勇太「......///」

丹生谷「......///」ニヤッ

勇太「......///」ニヤニヤ

丹生谷「富樫君の飲み方、飲みやすいわね」

勇太「移った?」

丹生谷「かもね///」

勇太「ははは///」

丹生谷「ふふふ///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「ねえ、」

勇太「うん?」

丹生谷「富樫君、文系選ぶの?理系選ぶの?」

勇太「俺は物理も数学も苦手だから文系だな。

日本史もつまんなくて、仏像だらけだし。だから世界史にした」

丹生谷「一人?」

勇太「うん。日本史の中二病な美学に惹かれて六花と違う方になって残念だけど。丹生谷はどうだよ?」

丹生谷「私も富樫君と一緒///」

勇太「お前もか!?意外だな!」

丹生谷「数学が苦手なアホに向かないのよ。足手まとい。

でも日本史と世界史比べるとしたら世界史だなぁって」

勇太「一緒の席になるのかな?」

丹生谷「だといいね/// 知り合い誰もいないと怖い///」

勇太「このまま文系コースで行くと営業になるんだろうな」

丹生谷「弁護士にならないの?」

勇太「いや。なんで?」

丹生谷「金持ちじゃん」

勇太「そういう目!?」

丹生谷「最初富樫君、医学部入るって予想してたの」

勇太「お金好きだなぁ」

丹生谷「だって、将来結婚するときにお金いるでしょ?

新築も。それにお金なかったら人間関係築けないわよ?」

勇太「俺は好きな人と一緒にいられるなら、どんな場所でもいいな」

丹生谷「それはダメよ!」

勇太「でも好きな人がお金が好きだったら、頑張ろうかな」

丹生谷「誰を意識して言ってるの///」

勇太「それは......秘密!」

丹生谷「あはは///」

勇太「ははは///」

丹生谷「......///」

75 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:30:43.88 YDitP8hM0 75/120

勇太「今日いっぱいあったよな。告白だろ。イタリアンだろ。鍵だろ。ファッション」

丹生谷「全部!全部!楽しかった!」

勇太「友達とよく行ってるのか?」

丹生谷「そりゃ、誰かさんと違って行ってるわよ」

勇太「一言多い!」パシッ

丹生谷「きゃ/// いた~い」

勇太「イタリアンでちゅーしそうになって、正直怖かった」

丹生谷「あったわねー。寸前まで行こうとしてたわよね」

勇太「すまん/// でもあのとき丹生谷最後キスする覚悟してて、かわいいって思った」

丹生谷「えー!!してない/// ちゃんとマナーは守りなさいよね!」

勇太「個人的に印象に残っているのが、鍵ロック」

丹生谷「うん/// ドキドキした/// 将来何かが起こるのかと思った///」

勇太「ひょっとしたら今の状況もこのご利益があったり///」

丹生谷「ないない/// もっと大きいものよ」

勇太「でも告白の練習で俺の恥を楽しむのマジでやめろよな///」

丹生谷「えー!甘酸っぱくて嬉しかったわよ/// 富樫君をワンちゃんみたいにからかうの楽しいもん!」

勇太「はぁ!?もうそんなに言うなら本当に丹生谷の犬になってやるよ!

ほらほらご主人様エサをくれ!楽しいんだろ!?三回回ってワン!」お尻フリフリ

丹生谷「あはははははははは/// きしょい///」

勇太「見たかったんだろ!?/// 叶えてやったぞ褒めろ///」

丹生谷「むしろ見たくないわよ/// 誰が好むのよこの捨て犬///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「ああ。有田焼。地味なのに今でも思い出す」

丹生谷「あれよかったわよねー。食器並べてみたいって」

勇太「川沿いを挟んだあのマンション。何階建てだろうな?

いつかお金が溜まったから行ってみたいなー。そんな部屋で食器並べたらいいよなあ」

丹生谷「きれいよねー」

勇太「ああいうマンション。丹生谷、住んでみたい?」

丹生谷「えっ......//////////////」

勇太「......」

丹生谷「その。心の整理ができていない」

勇太「仮の話に心の整理もあるか!」

丹生谷「うん/// 住んで......みれたら....../// いいのにね......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「丹生谷」

丹生谷「ん?」

ベンチに座る丹生谷に体の擦れる音まで近づき、丹生谷の頭に俺の頭を傾ける。

勇太「......///」手ギュ

丹生谷「......///」手ギュ

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「(丹生谷の心臓の音が、俺の頭の中にも響いている。

彼女のほのかな頭と体の熱が俺の心にけたたましく響く)」

丹生谷「......///」

勇太「丹生谷の体、あったかいよ」

丹生谷「富樫君......」

勇太「あのな」

丹生谷「......。うん」

勇太「俺、丹生谷といて、悪くないと思ってる///」

丹生谷「......///」

勇太「ある意味、幸せの絶頂期かもしれない」

丹生谷「......///」

勇太「こんな思い、どんな友人にもなかった」

丹生谷「......///」

勇太「今日、色々とありがとな。丹生谷の色々な顔見れて楽しかった///」

丹生谷「うん......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

76 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:32:40.38 YDitP8hM0 76/120

丹生谷「私ね。あ、変な話していい?」

勇太「うん。誰にも言わない」

丹生谷「あのね、普通の恋愛って何なんでしょうね?

TVやドラマ、街中のカップルでよく見る典型例に憧れてた。

手を繋ぐこともキスもその......エッチも、結婚も子供も、知り合う男女はいずれ通る道。

だけど、その愛し方って本当は違うんじゃないかなって。

好きな人を子供みたいに慰めたり叱ったり、

些細なことで怒ったり笑われたりした変なやり取りの曇りの塊が猜疑心を呼ぶの。

TVやドラマの模範解答みたいな夫婦の喋りができないなら、

第一にその設定もなかったら、それって本当に恋愛と呼べるの?」

勇太「......」

丹生谷「いいわ。富樫君なら無理して答えてくれるでしょ。ありがとう。女の子ってね、愚痴を聞いてほしいだけなの」

勇太「......」

丹生谷「それでも、分からないわ......。自分がどこにいるのか......」

勇太「......」

丹生谷「例えばこういう恋愛も......。聞かないで」

勇太「…..」

丹生谷「そう......じゃないのかも」


77 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:37:03.17 YDitP8hM0 77/120

本当に俺も分からない。思考を停止し近くの太陽を見る。

俺は丹生谷と言って、強く手を握った。

俺はなぜ強く握るのか。なぜ胸がドキドキ痛むのか。

懐かしいのに、全然分からない。

あの夕日、そろそろ落ちるころだろうか。

太陽の暑さと丹生谷の体温と混じっていて、どっちのせいで暑いのか分からない。

横を見ると丹生谷の顔が金色に輝いていて、鼻筋に黒い影を落とし、その大人の女性っぷりに、胸の鼓動が早くなる。

俺達はお互いに一緒。ずっと一緒。

幸せすぎて、今日に起きた悩みも、すべて消えていく。


六花。いまごろ、どうしているんだろうな。


勇太「六花が呼んでる......。帰らなきゃ......」

丹生谷「えっ......」

勇太「今日樟葉いないから、六花が料理することになっているんだ」

丹生谷「料理できないの?」

勇太「あいついつもドラゴンや魔力に夢中だからな。勉強も家事もしないでさ」

丹生谷「一人で大丈夫なの?」

勇太「無理だろうな。誰かがいないとあいつは成長しない。俺がいないとダメなんだ」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「.......」

勇太「......」

丹生谷「ねえ」

勇太「うん?」

丹生谷「小鳥遊さんの中二病やめさせなさいよ」

勇太「えっ......」

丹生谷「......」

勇太「お前何言っているんだよ......」

丹生谷「中二病、中二病とか言って、できない言い訳を盾に富樫君を守ってもらってるんじゃないの?」

勇太「いや、あいつも少しずつ成長しているんだぞ!蛹から蝶が羽化するように少しずつ時間がたてば、

あいつも中二病であった自分を受け入れるかもしれないじゃないか!」

丹生谷「それがあだになるのよ」

勇太「えっ......」

丹生谷「あんたが中二病にかかった小鳥遊さんを愛そうが、卒業後でも愛そうが、それは構わない。あんたならできるでしょ。

でも、自分を磨くための時間はもう帰ってこないわよ!

肝心の大学入試試験も中二病に夢中になっているからと甘く判定する気?

高校卒業して専業主婦にしたところで今夜はブルームーンだからとほったらかす彼女の背中を見つめるの?」

勇太「ゆっくりやれば......できないことはないだろ!例え中二病でも!少しづつ!」

丹生谷「だから時間がなければできないつってんの!聞いてよ!

開花時間を遅くしたら小鳥遊さんどころかあんたの人生も終了するのよ!共倒れじゃない!」

勇太「だからって無理矢理やめさせることないだろ!......あいつは!あいつの中二病は人生そのもので!

自分以外解くこのできない呪いを必死に解消してるんだぞ!六花の悪口を言うな!」

丹生谷「死ぬわよあんた!」

勇太「死ぬか!絶対に間に合わせてやる!」

丹生谷「東大に行く力もないくせに威張るな!」

勇太「東大だけが全てじゃないだろ!」

丹生谷「時間はそこまで待ってくれないわよ!

私は今日明日の話じゃなくて1年3年後にかくまってやっと覚醒したそのタイムロスのこと言っているのよ!

来年受験なのよ!就職どうするの!?」

勇太「それは......」

丹生谷「なに!?小鳥遊さん世話するあまり、

将来大手企業の新入社員を大学経歴カットで受けれなくてハローワークに行くつもり!?あんた生きてて楽しい!?」

勇太「まだ決まったわけじゃないだろ!」

丹生谷「さっさとやめさせなさい!!」

勇太「......そういう丹生谷だってできてるのかよ」

丹生谷「は?」

勇太「自分だけできると思ってさ。人のことずかずか入るなよ!」

丹生谷「私は心配して言ってるのよ!心配してなきゃ言ってない!」

勇太「じゃなんでお前チア部やめた?

辞めなきゃ全国大会で有名人に引っ張りだこだったお前がなぜ夢を捨てたんだ!?」

丹生谷「やめてよ......」

勇太「演劇部に入った部外者のお前が、合わないとかすっぽかしてここに来る理由は一体何だよ!人間関係だろ」

丹生谷「ちが......違うわよ!何か私の目指してるものとは違ったからよ!」

78 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:39:42.98 YDitP8hM0 78/120

勇太「目指してるってなんだよ!金か?金、金、金か?」

丹生谷「違う!そんなの楽しくないじゃない!!もっと理想よ......」

勇太「理想ってなんだよ」

丹生谷「分からない......」

勇太「富か名声か権力か!!」

丹生谷「そんな目で見ないでよ!!!!!!最低!!!!

分からないわよ!!ええっ分からないわよ!!!だから何!?」

勇太「うぜ!目的もないのにふらついているのは実はお前の方だろ!

お前の辞めたすべて中途半端に止めた地点で何も手に入らないんだよ!!!!!

だったら六花の方が幾分賢いね!」

丹生谷「バカじゃない!?先に消えるのはそっちの方!

私の履歴書の部活の欄にチアガールと演劇部載せられるけど、

あんたは何?極東魔術なんちゃら結社!?それ面接官の前で説明できるの!?」

勇太「......確かにできないかもしれないけど、部活の欄見ないところだって」

丹生谷「悪いけど、くみん先輩も小鳥遊さんも中坊も七宮ちゃんも、全員バカだとしか思えないわ!あんたもね!

履歴書になんて説明すればいいの!?遊んでるだけじゃない!」

勇太「なんだよ!!履歴書だけが全てかよ!」

丹生谷「周囲を観なさい!皆誰誰が失敗したとか上からケラケラ笑って見ているのよ!

溺れている犬がいたら棒で叩いて殺す!これが現実よ!

人は皆お金を持っている限りお姫様でいられる!大事なものなの!怖いじゃないそんなの!」

勇太「お前だってあざ笑ったくせに!!!今日のデートでも散々迷惑振りまいたじゃないか!!!

覚えてるか!?殴られたり、叱ろうとすると俺のせいにしたり、

俺に似合わなかったからってバカにしてきたじゃないか!!!!!

俺から見たお前の印象良いを通り越して最悪だ!!!!」

丹生谷「なによ......。いいじゃない......。私が悪いって言うの!?私が悪いって言えば丸く収まるの!!!?

守ってくれるって言ったくせに全然守ってくれないじゃない!!!!!!!

ありがとうって全部嘘だったの!!?富樫君全然死んでもらって結構だから!!!

あんた見直したけれどやっぱダメね。そのセリフ一生覚えておくから!!!!!

あんたからもらった物も写真も全部ゴミ箱に消去して、一切合切なくしましょう。もう、見なかったことにしたい」

勇太「ああ、やっとけ!」

丹生谷「私、帰る」

勇太「あーあーそうかいそうかい。口も聞きたくない」

丹生谷「そうなの......。じゃ、いいわよ。富樫君。

そばにいるから言うけど。私、極東魔術なんちゃら結社辞めるわ」

勇太「おいっ......。どうするんだよ!?」

丹生谷「時間と評価の無駄」

勇太「凸守が悲しむだろ!」

丹生谷「別にー。あの部室来なくても、私の教室まで来れるんだから関係ないわ」

勇太「丹生谷がいなくなったら、どうするんだよ!!?みんな心配するぞ!」

丹生谷「このこと言いふらしちゃえばいいじゃん。私、独り、慣れてるから」

勇太「......」

丹生谷「じゃ、帰るわ」

勇太「......」

丹生谷「あ。 私の気持ちが分からないのに、小鳥遊さんの気持ちなんて理解できるはずがない。

さっさと止めさせなさいよねー」

勇太「......」

丹生谷「さようなら」

79 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:42:45.98 YDitP8hM0 79/120


待てよ。



おい待てよ!


本当に行くのか。

嘘だよな。

嘘だよな。

こんなのないんじゃないか。

望んでないだろ。

今まで部活のみんなと笑い合って喧嘩し合って、

そして困ったときに相談に乗ってくれた丹生谷の結末がこんな形で決まる。

一番辛いのは丹生谷のはずなのに!

丹生谷の言う理想の部活ってここであるはずなのに、

じゃなかったとしたら既に関わってもいないはずなのに!

手を伸ばしても、伸ばしきれない。

どうしたらいいんだよ俺!

どうしたら止められるんだよ!!!!



丹生谷はベンチから立ち、オレンジ色のすっかり老けた太陽の日差しを背に、少しだけ歩いて止まる。


止まる。



止まる。




俺は思わずベンチから立ってしまった。


ああ。

俺を待っているんだ。

最後のチャンスを待っているんだ。

俺に救いを求めているんだ。

きっと助けてほしいんだ。この現実から。

丹生谷が最後の優しさを俺に見せてくれる。

どんな言葉がいい?どんな言葉なら分かってくれる?

ぐずぐずしていると行ってしまう。

何だ?何がいい!?どんな言葉で引き留めてくれる!?

分からない。分からない!

あれか、あれを言えばいいか!?

「私は、あなたのことが、好きです」

言えばいいのか?解決するんじゃないか!?

違う!!!!そうじゃない!!!好きといって解決する問題じゃない!!

......それに六花の笑う顔を思い出す。

詰まってるんだよ現実が!潰されそうなんだよこの希望が!

あいつは、俺達は、何のために生きているんだよ......!


80 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:45:32.96 YDitP8hM0 80/120

何か万能な!!丹生谷の悩みを吹き飛ばしてくれる万能な答えはないのか!!!

その辺にあるはずなのに!!思い出せるはずなのに!!

お願いだ!丹生谷が動き出してしまう!

いやだよ!!

こんな別れ方!

もっといたいよ!

もっと笑っていたいよ!もっと叱られて撫でられたいよ!

悪いとは分かってるけど、でも楽しかったのは事実なんだ!

せめて友達としてでも別れたくはないんだ!

丹生谷もそれを知っているはずなんだ!

あってほしいのに、別れの日がやってくる!

引き留めたい......!

今日の楽しかった思い、そして丹生谷を慰められるような一致する何か!

この思いを、一文で伝えたい!!!

またこの世界で丹生谷に笑ってほしい!

丹生谷の笑う顔が、出会ってから今日が、

最高にかわいかった!

でも、

でも......!

......

......


明日が!

来るな!!!



丹生谷と笑い合えて、まるで夢みたいだったな......。



......!








勇太『俺はずっと君のことを覚えているよ!!!!!!!』






響いた。空に。強く。

俺の心臓は硬直した。言ってよいのかならないのか恐怖心で耳が凍る。世界が止まる。

その叫び声で、丹生谷の硬直している体と足に加え、かすかに動く手さえも微動だにしなくなった。


そして、ゆっくりと体が揺れ、手が震え、足が揺れ、何かを募らせていると背中が語る。

まるで何かを隠しているかのように。

そして振り返った。すらっとした髪のなびき方が彼女の感情を表していた。


オレンジ色の丹生谷が大好きといったきらきらの、光の夕日が丹生谷の正面を照らす。

夕日のオレンジ色を背景に丹生谷の体がよく見えるぐらい光色に反射する。


その姿は。


眉にしわを寄せ、敵意をつくる目で、瞳に涙を溜め、顔を真っ赤に染め、唇をかみしめ、体中の震える。

誰かを殴るような堅さの手に、握り拳をつくる。

夕日の光に同調するような体をしたー。

いわゆる悔しい顔だった。


その姿に俺は鼓動が止まり、真実の姿に目の前が真っ白になる。


丹生谷は俺を真っすぐに、じっと、ずっと見つめて何か言いたげな気持ちが心に伝わる。

一瞬だけその背中に、天国からやってきた、片鱗の折れた天使の羽のように見えた。

俺の動揺が止まらない中、丹生谷は足を出して急にまるで衝突するかのように走って駆け寄って、

走りながら飛んで行った弾ける多数の涙が夕日の空を舞い、きらきらと輝く。

顔を下に隠しながら俺の胸にめがけて。

体と体が近くなり。

そして、胸の衝動と共に、思いがぶつかる。

81 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:50:33.58 YDitP8hM0 81/120



丹生谷「バカーーーーーーーーー!!!!!!!!

バカバカバカバカバカーーー!!!!!!!!!!!

何で優しくするのよー!!!!!!

どうして断らなかったのよーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」


「どうして私じゃないの!

あれだけ富樫君笑ってくれたくせにどうして私を選んでくれなかったの!?!!!!

なんでよ!!!!どうしてよ!!!!!!!」


「結局小鳥遊さんにはかなわないの!?私が出遅れたから!?!!!??こんなに胸が苦しいのに!?!!!!!!!!

いやよ!!!!!いやなの!!!!!!!!!!!認めない!!!!!!!」


「伝えるだけなのに!ただ伝えたいだけなのに!あの一言が重いの!私言葉の重みに耐えられない!

あれを言うと罪悪感で死にそうなのにそれでも富樫君に期待しちゃうのよ!」


「女の名前を口にしないでよ!私じゃダメなの!?!!なんでデート中現実に戻そうとするの!!!!!

話のネタがなくなったら私のことひたすらかわいいかわいいって言っとけばそれで満足なのに!!!!!!」


「どうして好きじゃない女性にここまでしてくれるの!?!!!!

キモいとか言ってれば集団組んではぶってくるのに!!!!ただの他人なのに!!!!

でも富樫君は違う!ただの私をここまで温かく抱いてくれた!繋いでくれた!!!!

どんな願いもかなえてくれた!!!!エスコート泣くほど嬉しかった!!!

私にこんなことしてくれる人なんていなかった!!!!気づくのが遅すぎた!

別れたくない!!!!!もっとしてほしいよ......!

でも富樫君には小鳥遊さんがいるからああああああああ!!!!!!!!!」


「あなたの代わりなんてどこにもいない!!!!

他の男子とは違って前を真っすぐ見てるし夢とか希望とか温かくなるような優しさをたっぷり包んでいるの!!!!

そんなことされる小鳥遊さんがうらやましい!!!!!

泣いたときに慰めてくれるなんて想像できない!!!!

富樫君と抱きついた体温かくて最高だった!!!!!

でももうあの体は......小鳥遊さんのもの......」


「富樫君私分かったんだよ!!!!地位とかお金とかどうでもいい!

どんなに王冠持ってたって愛されなきゃ意味がないって!成長したよ!!!私いい人だよね!?!!!!!

貧乏でいいから......!!!!!!富樫君のためなら今死んでやる!

なんにもいらない!私は本気!やっと見つけた人......!!!!

また富樫君に一回でも抱いてくれたらなら私は!!!!!」


「結局、あの言葉言ってくれなかったけど、でもまだ心のどこかで期待している私がいる!!!!

富樫君のせい!!!!!

責任取ってよ!!!!!!!!!!!!!!!!

恋心は消えないんだからあああああああああ!!!!!!」


「こんなことなら知らなきゃよかった......。

胸が痛い。痛いよ。最初から何もかも。

全て消し去ってしまいたい。

生まれた中でも消えたい......」



「それでも富樫君は聞いてくれるんだよね。この体温大好き」



「富樫君......優しすぎ......」




「ごめんね......。」



82 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:54:55.38 YDitP8hM0 82/120

丹生谷......!

俺はそのぶちまけられた本音に声も出ず、

しがみついた胸の中で怒鳴って泣いている丹生谷を目の当たりに、腕に力も入らない。

初めて気づいた。その気持ち。

ああ、あのときそうだったな、と気付いた途端、彼女の罪悪感で心に剣が刺さり傷跡が赤く広がる。

本気の罵声を言い終わると疲れたのか丹生谷は俺の胸の中で嗚咽を漏らすだけで喋らなくなった。

丹生谷の顔と頭の真っ赤な熱と、涙で湿らせた胸が温度を分からなくさせる。

その異常事態に胸の鼓動が最高潮に鳴る。

丹生谷から落ちたしずくが地面に模様をつくり、服の上からも大粒を垂らしていく。

そんな丹生谷を抱きしめる。いや、抱きしめるだけしかできなかった。

愛なのか。怒りなのか。

俺のさっきのドキドキという意味の正体を丹生谷を見ることで確かめながら。

憐れみと罪悪感とそれと.......。裏切りは悪い。

俺がここまで連れてきたという罪悪感が、俺も薄々分かって六花を見捨てたことを思い出し、

今までの優しさの基底に反し、今の丹生谷を地面に突き放す、

そのような気の迷いを、愛の優しさの優先度で封じ込めた。

泣いて小刻みに震える丹生谷を胸に抱いて、でもどうしようもない気持ちに顔が虚ろになる。

憐れむしかできない俺に、撫でる勇気はない。

背徳心で鳴る俺の鼓動にいら立つ。このような残酷な気持ちに駆られていく。

俺は泣くこともできずただじっと見つめる。聖人君主であれば丹生谷を悲劇から戻せるのだろうか。

だからそのお詫びに俺の体温を、明日風邪ひくかもわからないぐらい代償を、熱を出して丹生谷の心の氷を溶かす。

丹生谷と付き合ってしまったという罪悪感と、

丹生谷と付き合っているという......そう。恋心によって。



その恋心は思っていたよりなにか寂しく冷たい。

うずくまっている胸の中から小さく声がした。

勇太「ごめん」

丹生谷「......///」ぽとぽと

勇太「気づいてやれなくて、ごめん」

丹生谷「......///」ぽとぽと

勇太「優しくして、ごめん」

丹生谷「......///」ぽとぽと

勇太「......///」

丹生谷「......///」ぐすっぐすっ ずーずー

勇太「......///」

丹生谷「......///」ぽとぽと

勇太「......///」

丹生谷「とがしくん......。ごめんね」

勇太「......」

丹生谷「ドン引きした......?」

勇太「ううん。ここまで辛い思いさせてゴメンな」

丹生谷「ワガママだよね。これが私だから......」

勇太「丹生谷の素直な気持ちが聞けて嬉しかった」

丹生谷「いやなの......。優しい。優しすぎる。でも、嬉しい」

勇太「すまん。俺こそ悪かった」

丹生谷「......」

勇太「六花には本当悪いと思ってる。処刑行きだよな俺。なんで彼女を裏切るまねをしたのか。

真面目にあいつがいるんだから、他の女性とこうするんじゃなかった。当たり前だよな。

いちゃいちゃしちゃいけないよな!!俺のせいだ。今度からやっぱり六花の人とは絶対」

丹生谷「やめて......!......なんとなく」

勇太「......。もっと優しくしなかったら、よかったはずなのに」

丹生谷「そうよ。富樫君バカよ。やってほしくなかった......」

勇太「ごめん......」

丹生谷「でも富樫君じゃないと、優しさってのが分からないの」

勇太「......」

丹生谷「つらかった」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「俺、あのとき丹生谷に言いすぎた。

丹生谷、俺の将来のことを思って言ってくれたんだよな。ごめん」

丹生谷「ううん私も。自分のわがままでたいした意味はなかったの。

あんなに焦らせる気もいらなかったにね。私のせいよ......全部。

小鳥遊さんの悪口言っちゃった。小鳥遊さんに......償えない......!」

勇太「ごめん。本当にごめん」

丹生谷「いいわよ。私の勝手なわがまま」

勇太「でも、悪いのは全部俺だから。

他の異性に抱かれるまで何の危機感も感じなかった俺が悪いんだ。

世界最大のバカだ。だから、俺の責任だから、何も悪くない」

丹生谷「富樫君。そういう優しさが......いや......」

勇太「......。ごめん。......俺も丹生谷の言い方に問題があると思った」

丹生谷「うん。私が悪いの。ごめんなさい」

83 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:56:38.92 YDitP8hM0 83/120

丹生谷「顔上げたい」

勇太「ハンカチ持っているか?」

丹生谷「ない」

勇太「うん。顔、離したくない?」

丹生谷「さすがにダメ......」

勇太「じゃあ、俺目を隠して離れて鞄から取ってくるから」

丹生谷「お願い......」

勇太「せーの。(視界が真っ暗だ。取り出して、この感触。ティッシュ)」

丹生谷「......」

勇太「(うわっ俺の服。リップは写ってないものの、涙と鼻水でびしょびしょだ)」

丹生谷「......」

勇太「はい」

丹生谷「ありがとう」フキフキ フキフキフキフキ

勇太「(うわっ。全く。美少女にあるまじき鼻水がこんなに粘ってるよ。

でも俺のこと大事に思ってくれた証。俺のために泣いてくれた。嬉しい......)」フキフキフキフキ

丹生谷「できたわ」

勇太「(目が腫れてるけど、言ったら酷だろうな) かわいいよ」

丹生谷「うん......///」

勇太「水でも飲む?」ペットボトル

丹生谷「うん。飲んでから、また話したい。ちょっとベンチに座りたい」


勇太「丹生谷......。あのときの気持ち。本当?」

丹生谷「......。どうしても......?後悔しない?」

勇太「......うん」

丹生谷「うん。ごめん弱い子で。やっぱ我慢できない」

勇太「......」

丹生谷「私、やっぱ悪い子なんだよ」

勇太「悪いのは俺のせいで、全然違うと思う」

丹生谷「私よ。私が富樫君に甘えすぎたから。好きになってわがままを見せちゃった。

私の性格、最悪ね。盗る人になるなんて。性格全部だめよ。全部」

勇太「違うだろ。それでも丹生谷は俺の憧れの人なんだよ」

丹生谷「どこが......?」

勇太「優しいし。怒れるし。美人だし。そんな勇気がほしい。

俺だったら、もし付き合うんならあんな風にわがまま言う勇気もなかった。

強引に付き合うか泣き寝入りするか二つしかない。丹生谷芯の太さ、いいと思ってる」

丹生谷「いいなってそれ......わがままになっちゃうよ。今の状況がいいって言うの?」

勇太「いや、もっと。真似するぐらいまで割り切れば。うん。丹生谷、尊敬する」

丹生谷「私は別に尊敬できる人間じゃないわよ!こんなふうに......。いい人生じゃなかった。

今の私が笑顔だと思う?私こそ、生まれ変わったら富樫君みたいな」

勇太「俺はダメだ。丹生谷よりダメ人間だ」

丹生谷「でも私は富樫君みたいな人になりたい/// ガチでなりたい!」

勇太「いや/// するな/// 俺は押しに弱いぞ」

丹生谷「そんな人間になりたい!!///」

勇太「俺も俺で大変だぞ。あと。ごめんな。デート中、六花って言って。怒らせてごめん」

丹生谷「うん。ごめんなさい。私だってわがままだった。

正当な彼女だったら散らせるんだけど。笑って。こんな私に価値ゼロよ」

勇太「やめろよ!!俺も色々すんごく悪かった。だからその分その発言撤回してほしい!

丹生谷だってきらめくところいっぱい持ってんだからな!」

丹生谷「富樫君....../// こんなことした私に価値なんてないのに......やっぱり優しいよ......」ぽとぽと

勇太「泣くなよ 俺が拭く」フキフキ

丹生谷「ありがとう......///」

勇太「辛いよな。別の話しよ」

丹生谷「富樫君と話しているとドキドキして辛いの......」ぽとぽと

勇太「......」

84 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 21:59:16.14 YDitP8hM0 84/120

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「俺達、あんなにいちゃいちゃしなきゃよかった」

丹生谷「うん......。悪かったって思ってる。

小鳥遊さんに指導している人なのに、私、顔を合わせられない」

勇太「俺達、恋が実るなんて思いもよらなかった。普通は難しいのに」

丹生谷「私も。でも心の中では期待していたのかもしれない。

最初は怒る存在だったのに、いつの間にか笑い合う存在になってた。分からないものね」

勇太「昨日から1日しか経っていないのに、まるで1年中過ごした結果みたいな」

丹生谷「会って最初はあなたを下に見ようと思ってたけど、でもあったかかった。

ノリが楽しくてその発展形なのか。とにかく忘れられなかった。

2万するスカートを本気で、私の要望で買うような人には見えなかったもん」

勇太「それは......恩返しだよ」

丹生谷「恩返し?」

勇太「丹生谷、告白の練習で、あんたに抱きついてくれたから。お礼」

丹生谷「2万も使われてびっくりする私の身にもなってよ。でもあれ練習よ?」

勇太「抱きつくってあり得ないだろ?」

丹生谷「......。そうね。内心、富樫君のこと狙ってたのかもしれない。

小鳥遊さんといつもかまってくれている姿が、

心に疎外感を感じてなにか羨ましかった......。あ~あ、私、嫌な子だ」

勇太「嫌な子じゃないよ」

丹生谷「......。甘えすぎちゃったな......」

勇太「丹生谷、やっぱ優しくされると情に弱いのか?」

丹生谷「そんなに安い女になった覚えはないわよ。

富樫君って周りに優しいの?今日の私みたいに」

勇太「うん......ううん」

丹生谷「どうして?」

勇太「異性と一人っきりになる機会って六花についで丹生谷が二番目だから。

優しくするときもあるが、たいてい響かない。友達でエンドだ。丹生谷も優しいだろ?」

丹生谷「......」

勇太「そうでもない?」

丹生谷「......わがままよ......世界一」

勇太「でも俺は、わがままな丹生谷がいいと思ってるよ。うん。十分素敵」

丹生谷「ありがと///」

勇太「......」

丹生谷「あの!!」

勇太「ん?」

丹生谷「富樫君もかっこいい男の子だよ!保証する♡♡♡」

勇太「俺がか///」


丹生谷「夕日、奇麗ね。川はどうしてあんなに綺麗なんでしょうね」

勇太「うん。魂取られちゃうよな」

丹生谷「はぁ.......。それに対して私は......」

勇太「一人で荷物背負んな」つんっ♡

丹生谷「きゃあ///」

勇太「手、握っていい?」

丹生谷「うん」

勇太「......///」手ギュ 恋人つなぎ

丹生谷「富樫君ってろくにデートできないと思ったけど、やるときにはやる男なのね」手ギュ

勇太「俺そんなにできない///」

丹生谷「でもエスコートできるとこはできるのよね。あんたが不思議でたまらないわ」

勇太「でもお約束条項つくられるみたいに気遣いできなかった」

丹生谷「ううん。いっぱいしてくれたよ。私に何もかも。

辛いときも助けてくれて、嬉しかったわ。この世界であんた一人」

勇太「そんなオーバーな/// 俺、この調子で人に嫌われないかな?」

丹生谷「ばっちりよ。心配しないで」

勇太「ありがとう///」


85 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:00:52.88 YDitP8hM0 85/120

勇太「丹生谷って料理得意?」

丹生谷「う~ん」

勇太「きれいな川と夕日見たら、お腹空いてきちゃって」

丹生谷「得意といえば得意よ」

勇太「ほんとか!?///」

丹生谷「な、何で喜ぶのよ!?」

勇太「いや、別に......」

丹生谷「肉じゃが作るの得意よ。基本的なことしかできないけど。

彼氏つくるために女磨きの修行に。

あのね、初めて作ったのに、その肉じゃがうまかったのよ!」

勇太「すごいなーーーーーーーーー!!!!!」

丹生谷「えへへへ/// そんなにすごい!?/// 違うわよ/// 全然うまくない///」

勇太「でも作れたんだろ!?すごいな!!!!」

丹生谷「じゃあ、今度食べる?」

勇太「えっ」

丹生谷「小鳥遊さんいるだろうけど、おすそ分けで。

感情抜きに食べさせてあげるから、それならできるでしょ?」

勇太「いいのか!!?」

丹生谷「ちょっとだけよ。弁当の汁こぼれやすいんだから」

勇太「あ~んってされるのか///」

丹生谷「ちょっと!!?/// それ小鳥遊さんの前で食べさせるのよ分かる!!?」

勇太「あ~んって弁当全部食べちゃう!!」

丹生谷「とらないで///」肩パシッ

勇太「いやん/// ははは///」

丹生谷「ぷっ。いやんってなによ/// ふふっ///」


丹生谷「富樫君......。私達、高校卒業したら離れ離れになる」

勇太「うん......。寂しくなる」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「あの.......富樫君、赤ちゃんの話覚えてる///?」

勇太「いや?」

丹生谷「はぁ......。よかった.......」

勇太「丹生谷が告白の練習の時に「富樫君の赤ちゃん産みたい」って舞い上がって話したことだろ?覚えてないよ」

丹生谷「とがしくん///!!!!!!!」

勇太「ははは///」

丹生谷「殺す!絶対殺す///」

勇太「黒歴史になっちゃったか?」

丹生谷「やめて/// 忘れて頂戴///」

勇太「もし俺が唱えたらどうする?」

丹生谷「永遠の魔法にかけてあげる」

勇太「殺される///」


丹生谷「私、太りすぎたのよ」

勇太「へえ。何キロぐらい?」

丹生谷「富樫君?」

勇太「冗談。ごめんな、乙女だもんな」

丹生谷「二キロよ。56キロ。はぁ~あ。2キロ増えたの。デブになっちゃう」

勇太「十分綺麗だよ?」

丹生谷「はいはいそうね。お菓子の食いすぎかしら?」

勇太「なんで女って数字の目減りだけで、あんなにワイワイできるんだ?」

丹生谷「そりゃ重大問題だからよ!!!分かる?太った?って社交辞令で言われる辛さ?」

勇太「あ~、デリカシーのないやつな」

丹生谷「富樫君みたいな人」

勇太「なにぃ!!!俺だって気遣ってるわ!!!」

丹生谷「私のこと辛いねって言ってくれないもん」

勇太「ダイエットしてる?」

丹生谷「朝ランニング。夜もランニング。野菜もりもり。受験しているのにもう体がへとへとで」

勇太「女の子って辛いんだな」

丹生谷「そうなのよ~」

勇太「丹生谷って本当に超人みたいに芯が強いな。俺なら走った後にすぐ食べる」

丹生谷「痩せなさい///」


86 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:05:56.43 YDitP8hM0 86/120

暫くして話が終わり頬の火照った俺達は夕日とその光に照らされるキラキラ輝く巨大な川を、

ベンチに座ってただ静かに手を繋がずぼーっと見ている。

あれだけ長く青空を白く飾っていた太陽も、西日に落ちかけ、

しかも光の力も弱くなり世界を黄金とオレンジ色に染めている。

夏の暑さはふだんうっとおしいけれど、なんだか見守られているような、勇気をくれているような、

ずっと見た何かに見慣れた色をしていて飽きず、その温かさに護られているような気がする。

やがては太陽は落ち、夜になり、そして明日が来る。

俺が例え死んでもずっと太陽は登る。ずっと同じように。


丹生谷「ねえ、」

勇太「ん?」

丹生谷「富樫君に出会えてよかった」

勇太「なんだよ///」

丹生谷「素直すぎるのよ/// なんかね、のんびりしていられる」

勇太「そりゃよかった」

丹生谷「ねえ、富樫君はこんなこと思ったことがある?」

勇太「ん?」

丹生谷「思えば昔は、大きくなったらこの世界の限りを知り尽くせるんだーって、

もっと楽しいことあるんだって思ってた」

勇太「うん」

丹生谷「高校生になったら、登校中イケメンとぶつかった後学校行ったらその人だった。

その人と運命の出会いを遂げて、靴箱を開けたらラブデターがあったり、最後結婚式で結ばれる。

なんてことないのにね。

今でもそうじゃないかって、転校生が来る話題を見て思うのよ。靴箱を開くたび虚しい気持ちになる」

勇太「うん」

丹生谷「あ~あ。小学校は楽しかったな。

授業中友達と笑い合いながら明日授業があることを期待してね、

放課後フラフープをしておにごっこではしゃいだ。

算数のドリルを両親に恥ずかしくもなく堂々と褒めてもらった。

その後、皆と一緒に食卓について今日の学校のことを誰誰が何かしたことをいちいち報告して喜んで。

そういう日がいつまでも続くと思ってた」

勇太「うん」

丹生谷「でも現実は親に褒められることもなくなったし、そもそも接点もなくなった。

それでもまだ若いんだからダメと言われるとムキになって早く家を出て大人になりたい」

勇太「うん」

丹生谷「だから友達に逃げたけど、○○がいいよね~とか、あれかわいいよね~とか、

それを否定すれば白い目で見られるのわかってるから偽善の笑顔振りまいて。

嬉しくもないのにうんうんって。遅れて教室入ったときの白い目が怖いみたいな。

いつの間にか人に頷かないと死ぬって暗い顔をしていた」

勇太「うん」

丹生谷「友達にひそひそ話されたくなかった。

それで経験不足な私の学力の分野ではうまくいきたいと思ったら大人にダメだしされた。

だから責任取ったらかっこいいと思っている。

何かがしたいからじゃなくて、なんとなく上に立てれば自由になる気がする。

これは中二病じゃないでしょ?」

勇太「うん」

丹生谷「どこもかしこもどこか閉鎖的で。夢を見た世界は実は地獄で。

私が学校にいるから皆を助けようと思ったけど委員長の代わりはいくらでもいる。

落ちたら好きでやってた自業自得だった。

皆が完璧超人に愚痴でさえも見えるのに、他の人でも成立する役割に自信も希望も湧いてこない。

私の代わりなんていくらでもいる」

勇太「うん」

丹生谷「大人になっても、人は生きるためではなくお金のために働いて。

意味のないことの当てのない旅。

たいしてもやりたいことはないし、やりたいことは他人がうまい。

家族に仕事についてない人がいると思われるのを恐れる就活の始まりが怖いの」

勇太「うん」

丹生谷「ねえ、夢を描かなかったら幸せなんでしょうかね。ただ喋りたい。人を助けたいだけなのに。

私が彼氏とデートした、だから褒めてよ。って自慢されて嬉しくないのに、私はお面をかぶって笑うことしかできない。

クラスの委員長も仕事も代わりはいくらでもなりたつ。私の入る場所がない。

今もつまらない勉強して、将来も生きるためではなく、金を稼ぐために生きて、そして死ぬ。

それに何の意味があるのでしょうね。

周囲の目を気にしてお面を被っても、報われなきゃ全然楽しくない。

勉強だって役に立つ機会もなければなにも意味はない。

でも他人の目をうかがわなきゃ生きていけない。

でもそのまま死んだら、何のために宿題済ませて生きてきたんでしょうね?

私は何がしたくて生きてるかわかんなくなっちゃった」

勇太「......」

丹生谷「いつの間にか、

彼氏がいることがまずステータスになって、持ったことがないのが異常扱いされる。

確かにそうだけど、何かが足りない」

勇太「......」

丹生谷「私ね。いっぱい持ってるの。

金も、友達も、成績もある。顔もいい、ルックスもいい。幸せなはずなのに」

勇太「......」

丹生谷「幸せに感じない。こんなの全然幸せじゃない」

87 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:08:50.88 YDitP8hM0 87/120

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「闇の炎に抱かれて消えろ......」ボソッ

丹生谷「......?」

勇太「意識のある今言っておくが、俺のする行動、俺でさえ分からないからな」

丹生谷「なに?」

勇太「うっ!!!あああああ!!うっ!!!!」

丹生谷「えっ!!!?」

勇太「右手が!!!右手が!!!!!!!???」

丹生谷「富樫君!?」

勇太「なんだか俺を呼んでいる!右手の力が覚醒する!!!うおおおおお!」立つ

丹生谷「あんたなにやってんの!バカにしてるの!?」

勇太「かかれーーーーーー!!!!!うああああああああああああああ!!!!」

丹生谷「はあ!?最低!!?」

勇太「(俺は漆黒の闇に疼いた右手を天空に伸ばし雲を吹き飛ばした!)」

丹生谷「何バカやってるのよ!!?」

勇太「ふっ。貴様如きに何もわかるまい。

これは選ばれし者しか認識できぬものだからな!」

丹生谷「偉そ!」

勇太「なぬっ!?刺客か!!?いいだろう、

我、闇の帝王、ダークフレイムマスターの領地を荒らしに来たことを公開させたげるわー!」

丹生谷「誰もいないわよ」

勇太「くらえっ。魔王炎閃波!!!はははは!!一撃で吹っ飛んでいったわ!!」

丹生谷「ダサっ。今頃ぶり返したの?」

勇太「貴様っ!俺の技を受け入れるとは何者だ!!なにー!俺のコピーロボット!!?」

丹生谷「なにくだらないことに本気使ってんの」

勇太「うわあああああああああ!どっかーん!や・ら・れ・た!!!!」

丹生谷「ははははははは!!!はははは!!」

勇太「」チラッ

丹生谷「今、見たでしょ?」

勇太「くそっ!!俺の姿はおろか、使った技を、ロボットの光速の手で動かしやがる!!!」

丹生谷「へぇ」

勇太「こんなに凄腕だとは......!待てよ!?俺の分身なら......」

丹生谷「ふ~ん」

勇太「こい!俺を殺しに来い!俺を殺したら最後お前のおしまいだ!」

丹生谷「悪役のセリフじゃない!」

勇太「ぐはーーーーーー!!!俺がやられた!!!!!!」

丹生谷「ははは!!」

勇太「いまだ!!!ダークフレイムマスターソード・カッター。ビュンビュンビュンバシュビュンビュンビュン」

丹生谷「これね。傍から見たら、

おっさんが何か愚痴めたことをぼそぼそと言いつつ、パンチやダッシュしているから狂気よ」

勇太「ふっ。敵ではなかったな。我の魔力が完全に覚醒した!!!

我、覚醒、来たり!暗炎龍よ俺を空まで連れていけ!!!魔王界最強の覇者はこの俺だー!!!!!!!」

丹生谷「......」

勇太「ふぅ......」

丹生谷「......」

勇太「はあああああああああああ!!!地面よ割れよ!!!!」

丹生谷「なにやってんの。割れないわよ!」

勇太「雑草よ!巨大化し足を持つモンスターになれ!」

丹生谷「持たないわよ」

勇太「丹生谷!」

丹生谷「なに!?」

勇太「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

丹生谷「......」

勇太「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

丹生谷「......」

勇太「はぁ......。はぁ......。お前に最強と呼ばれし真実の力を与えた!」

丹生谷「......くすっ」

勇太「戦争から帰還した......。ベンチに座る」

丹生谷「あははははははは/// ははははははははは///」

勇太「あ....../// はずかしいいいいいいいいいいいい!!!いやあああああああ!!!」

丹生谷「あははははははははははははははははははははははは///」

勇太「笑うな/// ごめん/// ごめん///」

丹生谷「もうウケる/// はははは/// 自爆!自爆!」

勇太「お願いだから///」

丹生谷「ははは......。ああ。うん、すっきりした」

勇太「俺でも分からん」

丹生谷「富樫君って中学時代中二病だったんでしょ!!マジでそうだったんだね!」

勇太「ああ....../// 悪いか!?しょうがないだろ!」

丹生谷「くすすっ/// へえ。本気で闇の炎に抱かれて消えろなんて言ってんだ」

勇太「まぁ。ゲームの受け入りだけどな」

丹生谷「富樫君、面白いね」

勇太「うれしかない/// そういえばさ、」


88 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:12:26.58 YDitP8hM0 88/120

丹生谷「なによ?」

勇太「俺たちの最初の出会いって、通学中の駅だったよな。

鏡見て髪を整えていると誰かとぶつかりそうになって」

丹生谷「あー!!!あったわね!」

勇太「そっから俺と丹生谷の出会いが始まった」

丹生谷「なんかロマンチックとは言えないけど、運命よね」

勇太「新学校に行ったら、黒歴史の塊といえるダークフレイムマスターとの痕跡を金輪際さらばして、

皆によく思われたくて髪型変な癖ついてないかなとか考えてた」

丹生谷「そうなんだ。私と似てるね」

勇太「丹生谷も!?」

丹生谷「高校入学前に架空の妖精がいると信仰したバカなモリサマーを演劇を恥じてね、

それで世界を救うとか考えることはなくなったわ。委員長になって皆を助けるんだって」

勇太「そうか。初めて聞いた」

丹生谷「当たり前でしょ!

富樫君の過去をべらべら喋る人なんか、一部を除いているわけないじゃない」

勇太「そこに丹生谷も含まれているよ」

丹生谷「あの中坊と小鳥遊さんのことだっつの!!」

勇太「思えばあの部活も、あってよかったなーって、六花に感謝してる。

何というか、嬉しいんだよな......。ごめん、上手く言語化できん」

丹生谷「言いたいことは分かるわ。なんか昔の私を見ているみたいで。

小学校の放課後の遊びが面白かったみたいに、何か若返るのよ。私も知らないけどね」

勇太「そういえば、あのときの丹生谷かわいかったな」

丹生谷「ふぇ///」

勇太「ほらっ。マビノギオンを丹生谷が取りに来るその約束した日、

夕方で、一面に広がる畑と山の中の通学路でさ、

茶髪の美人がなんもフラグもなしに俺にキスする距離まで近づかれて鼻をつんってされて、

俺に興味を示しているみたいと思うと、俺、ドキドキしたんだよ......」

丹生谷「ああ。あったわね。ドキドキしたの!?私で!?」

勇太「うん/// 一時は結婚の妄想ばっかりしてたのに、あの凶暴な仕草を見ると......な」

丹生谷「誰が狂暴よ/// たくっもう///」

勇太「丹生谷と会えたのも、元中二病という経験で会えたんだろうな。俺達、運命の赤い糸みたい」

丹生谷「こらこら誰かさんを泣かせないでよ」

勇太「でも中二病って、ただ学校に来て、友達におべっかかいて、

人の手伝いして、勉強して、家に帰るより。

そんなつまらない日常を送るよりよかったな。明日が昨日と違う、か」


俺はベンチから立って丹生谷の見上げる顔もさも思わず、

夕日に広がる人の手では掴みきれない広大な大空に向かって、

その声の振動を宇宙まで届けるべく愛を叫んだ。


勇太「俺は誰かに与えられた幸せに生かされるより、

存在すらしないドラゴンに乗る楽しい世界に創り変える人間になりたいーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」


丹生谷「ふふっ。バカね/// もう///」

勇太「丹生谷!?」


丹生谷「私も嫌なことは嫌だと言える大人になりたいーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」


勇太「丹生谷///」

丹生谷「私だって/// 似たもの同士じゃない///」

勇太「世の中嫌なことだらけだよな///」

丹生谷「あ~あ/// いい年して私何やってんだか/// 

なんで中二病ってそんな存在しない物に夢中になれるんだか。......。

そうね。懐かしいわね。解放したいわ」

勇太「丹生谷......?」

丹生谷「モリサマーのこと。聞く?///」

勇太「......いいのか?」

丹生谷「うん、いいわよ。座ろ。富樫君ならいいと思って。

でも誰かに喋ったら~呪い殺すわよ!」

勇太「いつにも増して迫力満点です」


89 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:16:23.10 YDitP8hM0 89/120

丹生谷「私ね、モリサマーになった経緯を自己解釈したんだけどね」

勇太「へえ」

丹生谷「あのとき、自分が何になればいいのか分からなかった。

中学時代、普通に大学入って、普通に会社に入って、普通に結婚して。

羨ましいけど、普通の方が難しいけど、でも嫌だった。そんなに枠に閉じ込められたくなかった。

私はのんきに退屈な毎日を過ごしているのに悩みのある人をほっといていいのかって。

それで、学校にいる人を、

世界中で戦争して人がなくなっている惨事がなくなればいいのになって、人の役に立ちたいからって」

勇太「お前......」

丹生谷「これは神が規定事項で起こしたことだから、

お金にまみれ非人道的な行為を絶えず企む汚い人間界にお怒りになられたこと。

その解釈で、天に祈りをささげることで、私が役に立っている世界中心の役割を手に入れようとした」

勇太「いろいろあるんだなぁ......」

丹生谷「それがモリサマー」

勇太「ごめん。色々勘違いしてた。ちゃんと根本持ってたんだな」

丹生谷「見上げないでよ/// 今で恥ずかしいすっかり黒歴史だわ/// そのせいで高校変えたし///」

勇太「俺と同格だな」

丹生谷「あんたと同じに思われたくない/// 急にきええええええ!って騒ぐ癖やめてよね!死ね!」

勇太「そんな///」

丹生谷「でも、感謝してるわ。何か思い出が帰った気がした。この石を見て」

勇太「(丹生谷がポーチから取り出す、指より小さなボールは......光ってる!!!)」

丹生谷「そんな驚かないで/// 小鳥遊さんか/// 暗炎龍は出ないわよ」

勇太「(なるほど。色が透明で透けて見える。赤、青、緑、ピンク、黄色) お祭りで取ったのか?」

丹生谷「ううん。びっくりするだろうけれど。これ自然で取ったの!!苦労したのよ!!」

勇太「すっげええええええええええ!!!」

丹生谷「普段人には見せないんだけどね。

私もね、きれいだからなんか恩恵もらえると思っていつも持っているの。

富樫君に喜んでもらえて嬉しいわ///」

勇太「山で取ったの?」

丹生谷「山と川。初め自然状態の原石を丸く磨いて、色のある場所を丸く重点的にして、

ネットで見て加工して、砕いて、また磨いて、やすりで。ボールにした」

勇太「持っていい?」

丹生谷「ダメ/// 恥ずかしい/// 長年触ってきた私の宝物///」

勇太「そうなのか......///」

丹生谷「それで、モリサマーの状態で、太陽の方角を風水と照らし合わせて、

あ、言っておくけど今の風水も占いもと中二病と関係ないからね!!」

勇太「それで?」

丹生谷「モリサマーの力で煌めく色々の水晶の中から、

困っている人の絵が映し出されて/// そのボールを持ち上げて撫でるのよ/// 静まるように/// 

その人が笑ったようになる世界が映し出されたら置くの/// 

最後にどうかこの人がうまくいきますようにって手を合わせてお辞儀をするのよ。笑ってちょうだい!!!」

勇太「くすくすくすくす///」

丹生谷「笑うなゲルゾニ!!」

勇太「どっちなんだよ/// それって効力あった?」

丹生谷「......。ダークフレイムマスターのことを思い出せばわかるんじゃない?」

勇太「やめろ///」

丹生谷「でも人に親切になることができたのは報酬だったな。

一緒に祈っていた七宮ちゃんはいい友達なんだけど、

言いふらさないでくれたら......。あいつ悪魔よ」

勇太「そうか。今はやってるのか?」

丹生谷「やってません///!!!!!!!!!!」

勇太「ごめんごめんごめん。だよな」

丹生谷「こうやって昔は人の役に立って喜んでいた。私の生きがいだった。

誰かにも代えられない、誰かの役に立てる、唯一の場所」

勇太「俺もなんだか、ただ楽しいだけじゃなくて、

中二病って本当は悪くないんじゃないかと思う」

丹生谷「チア部やるより、受験するより、話すより。とっても楽しかった」

勇太「丹生谷......」

丹生谷「二度と思い出したくなかったのにね。誰かさんのせいで」

勇太「ごめんな」

丹生谷「よし、じゃあ富樫君と小鳥遊さんの将来の恋仲を占ってあげようか?」

勇太「ええっ!?」

丹生谷「うん。なんだかモリサマーと富樫君の相性がいいみたい」

勇太「無料で。無性なら。まぁ」

丹生谷「じゃ、本人呼んでくるわね」

勇太「いや、性格変わるだけだろ」

丹生谷「私の頭では数百人の私がいるの!!」

勇太「(中二病じゃん......)」


90 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:17:57.66 YDitP8hM0 90/120

丹生谷「お願いだから/// 笑わないでね......///」

勇太「....../// うんっ///」ドキッ

丹生谷「闇聖典七色の写本 第3章1節 精霊の囁きと、

光と水の思いが私たちに届く白い世界は開かれるのです。

400年にもわたって世界を見続けてきた私にはわかります。

この世界に一番必要なのは......愛です」

勇太「(ほんものだーーー!)」

丹生谷「この世界に現存する本物の魔術師その私が記す。

精霊に導かれし物語。そう我が名はモリサマー」

勇太「すごい!!!!!丹生谷ですか?」

丹生谷「いいえ神のお使いモリサマーです」

勇太「ええと叶えたい願い事があるんですが、俺と六花の相性を見たいんです!」

丹生谷「はい。では選んでください」

勇太「好きなボール、ピンクにします」

丹生谷「分かりました......。あら、ふふふっ。

この水晶から富樫君と小鳥遊さんの笑う顔が出てますね。

......。少々待ってくださいね。......。......。」持ち上げ

勇太「(この悠長な動き、まさしくモリサマーだ!)」

丹生谷「では時空を観ます」

勇太「(......。なんかすっげえ!かっこいいいいいいい!!!)」

丹生谷「そうですね。ふふっ。分かりましたよ」

勇太「はい!」

丹生谷「あなたの将来は......」

勇太「はい!」

丹生谷「あなたの......あなた......」

勇太「......」

丹生谷「あなたの将来は、必ず小鳥遊さんと......、結ばれるわね......!」

勇太「(丹生谷......)」

91 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:22:19.30 YDitP8hM0 91/120

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「ごめん」

丹生谷「いいわよ。それでいいんだし」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「(なんとか、言えないか?......夕陽が落ちていく。きれいだけど......)」

丹生谷「ねえ、今日って8月30日?」

勇太「そうだけど?」

丹生谷「私の誕生日だ!!!」

勇太「ええええ!!!!」

丹生谷「あ、自分の誕生日なのに今思い出した!!」

勇太「そうなのか!?あ、そうだ!今日だ!」

丹生谷「ということは、親が待ってる!?私家族で食べるタイプだから!」

勇太「家族思いか。俺は今じゃ六花と一緒だな」

丹生谷「誕生日かー」

勇太「17歳?」

丹生谷「......。うん、17歳」

勇太「丹生谷、誕生日、おめでとう!ハッピーバースデートューユー!」

丹生谷「ありがと/// 富樫君とこうして話せるなんて/// プレゼントかしら!?」

勇太「めでたい! 俺がか!?似合わないな///」

丹生谷「あ、ごめんね富樫君。私、19時に産まれたの。

親から出産のこととかしつこく言われてて覚えてるの。だからまだ17歳だけど16歳よ」

勇太「俺はもう17だぞ。同い年だな」

丹生谷「......ねえ、富樫君。あと1年後で、18で大人になる。

大人ってこんなんでいいのかしら。

そんな器じゃない......。私、生きてきて、よくないことばかり......」

勇太「何言ってるんだよ!!俺は、お前が、生まれてきて......///」

丹生谷「富樫君......///」

勇太「本当によかった....../// なんか俺達って似てる///」

丹生谷「そういう素直な性格、私にもあったらな......今ごろ」

勇太「丹生谷だって、さっきのモリサマーとか」

丹生谷「言わないでえええ///!!!」

勇太「あ......。とにかく叱ったり慰めたり大人な行動できるお前の方こそ素直」

丹生谷「......///」

勇太「プレゼント......持ってきた」

丹生谷「え!!!?なになに!!!?」

勇太「お前に一番似合うやつ」

丹生谷「富樫君知ってたの!!?」

勇太「いや、今日のデートの感謝と思ったんだが、ここで渡すとは」

丹生谷「どんなの!!?ねえ富樫君!」

勇太「はいこれ、受け取ってほしい......///」パカッ

丹生谷「え......」

勇太「ダイヤモンドのような散らばった銀色のヘアクリップ。

丹生谷のヘアクリップにそっくりだから。買ってきた」

丹生谷「きれい......! 持っていい? これ......どこで買ってきたの?」

勇太「昼間の店。価格は4万」

丹生谷「きゃっ///」ぽと

勇太「......」

丹生谷「あ/// ごめんなさい......///」

勇太「似合うと思った。それと一目惚れ?」

丹生谷「富樫君。でも財布2万5千しかないって言ってたよ」

勇太「それだとゲームソフトが4枚しか買えないからな。バッグの中に非常用入っている」

丹生谷「ひょっとして......使い果たした?」

勇太「......」

丹生谷「ねえ......なんで使ったの!?私なんかのために!

小鳥遊さんに使いなさいよ喜ぶでしょ!!?

服ワンピース買ったからそれで満足だったのに!!!

富樫君だって贅沢できるじゃない!なんで私なんかを!!」

勇太「なんかじゃないだろ!

俺にとっての丹生谷はこれを買うよりも高いんだよ。綺麗な丹生谷が見たかった......」

丹生谷「......富樫君......私、そんな価値ないよ......」

勇太「ある」

丹生谷「ない!」

勇太「はい。......付けて」

丹生谷「......」

勇太「付けた君が最高にかわいいと思う///」

丹生谷「......。    どう?」パチッ

勇太「(夕日の光に照らされて、以前の丹生谷とデザインがほぼ変わりなく、

銀色に輝くヘアクリップの細かな宝石の反射部分が虹色に輝く)」

丹生谷「かわいい......かな?」

勇太「うん....../// お姫様......」

丹生谷「お姫様っていわれたーーーーーーーーーーー!!!!!きゃあああああああああああああああああああ!!!!」

勇太「待て待て興奮するほどか!?」

丹生谷「お姫様!お姫様!ありがとう!大事に保管しとくね!絶対になくさないから!」

勇太「うん......こんな結末になって、俺も嬉しいよ///」

丹生谷「富樫君......///」

勇太「丹生谷......///」


92 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:24:32.77 YDitP8hM0 92/120

勇太「...... (俺達は疲れたのでベンチで二人夕日と対岸の光景をじっと見ている)」

丹生谷「......」

勇太「あの対岸先の川沿いのマンション。誰が住んでいるんだろうな」

丹生谷「さあ、金持ちじゃない?」

勇太「......。丹生谷は大きくなったらどうする?」

丹生谷「......。大企業に就職しようかな?富樫君は普通のリーマンでしょ?」

勇太「まあ就職先で働いているかな」

丹生谷「ニートにならないんだ(笑) 富樫君らしい」

勇太「俺のこと見くびるな!!!」

丹生谷「でも働いているってことは、いずれ会うかもね。東京の部署で、あっ!って」

勇太「あるかもな!意外に世界って狭いし!

またそのときになったら、俺達があのころを振り返るだろうな。

このベンチに座って友達みたいに軽快に過去のことをあれこれ」

丹生谷「仲良くなって家におじゃまするかもね」

勇太「あの川沿いの豪華なマンションみたいなところに、俺か、丹生谷が住んでいてさ、格差を思い知ったりするかな」

丹生谷「でしょうね。有田焼の食器を並べられて、当時のことを振り返ったり」

勇太「あのころの無性ないちゃいちゃな話をして笑顔になったりするんだろうな///」

丹生谷「肉じゃが食べさせて、富樫君泣いちゃうかもね!」

勇太「仲良くなりすぎて、家のテーブルで夫婦みたいにブラックコーヒーを飲むときが来たりして!」

丹生谷「......」

勇太「にぶ?」

丹生谷「ないわよ......」

勇太「......」

丹生谷「ない」

勇太「......」

丹生谷「......会えるわけないでしょ......二度と......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「丹生谷......」

丹生谷「......」

勇太「あの......」

丹生谷「......」

勇太「あのさ///......」

丹生谷「......」

勇太「ぼく!///......」

丹生谷「......」

勇太「......ぼく!///」

丹生谷「......」

勇太「丹生谷のことが!!!」


丹生谷「それは言っちゃダメ!!!!!!!!!!!!」



丹生谷「私の思い、全部無駄になるじゃない......」



勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「.......うぐ......ひっぐ......ぐす......」

勇太「......」

丹生谷「.......」ぽとぽと

勇太「......(あっ......)」

丹生谷「......」ぽとぽと

勇太「丹生谷!」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」



勇太「まだ練習は終わってないよ」



丹生谷「  」

勇太「......」

丹生谷「富樫君......」

勇太「うん......」

丹生谷「......そうよね。そうよね!

まだ仮デート終わってないわよね!まだ会話できるんだから!」

勇太「うん!」


93 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:25:57.52 YDitP8hM0 93/120

丹生谷「何言おう?時間がなくなっちゃう」

勇太「俺は......」

丹生谷「富樫君、好き」

勇太「    」

丹生谷「......」

勇太「にぶ!?」

丹生谷「うそよ」

勇太「......」

丹生谷「練習でしょ?デートの」

勇太「......ぷっ。はははっ///」

丹生谷「......///」

勇太「まいった。こりゃまいった!!心臓に悪い!!!!」

丹生谷「くすすっ///」

勇太「じゃあ俺も」

丹生谷「     」

勇太「嘘だけど、」

丹生谷「        」

勇太「好き」

丹生谷「              」

勇太「......///」

丹生谷「         」

勇太「......丹生谷?」

丹生谷「はははは/// なにこれ!!!? ありえない!!!」

勇太「ははははは/// ははははははははは///」

丹生谷「ははは///」

勇太「あっははははは///」

丹生谷「あはははははは///」

勇太「丹生谷、」

丹生谷「......」

勇太「嘘だけど、」

丹生谷「......」

勇太「愛してる......///」

丹生谷「うん///」

勇太「恥ずかしい///」

丹生谷「富樫君、」

勇太「うん///」

丹生谷「大好き!」

勇太「....../// 嘘だけどが抜けてる!!」

丹生谷「違うわ///」

勇太「丹生谷、嘘だけど、好き!」

丹生谷「......。富樫君、嘘だけど、ずっと気になってた!!!」

勇太「丹生谷、嘘だけど、かわいい!!!」

丹生谷「富樫君、好きだけど、嘘い!」

勇太「にぶたに~///」

丹生谷「富樫君、嘘だけど、大好き!」

勇太「丹生谷、嘘だけど、愛してる!」

丹生谷「富樫君、嘘だけど、愛してる!」

勇太「丹生谷、嘘だけど、愛してる!愛してる!愛してる!」

丹生谷「富樫君、嘘だけど、愛してる!愛してる!愛してる!」

勇太「愛してるー!愛してるーー!愛してるーーー!愛してるーーーー!」

丹生谷「愛してるー!愛してるーー!愛してるーーー!愛してるーーーー!」

勇太「嘘だけど、愛してる!」

丹生谷「嘘だけど、愛してる!」

勇太「ははは/// きゃっきゃっ///」

丹生谷「あはは////」


94 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:27:30.15 YDitP8hM0 94/120

勇太「ふぅ///」

丹生谷「富樫君とコーヒーカップか....../// ねえねえ?」

勇太「うん?」

丹生谷「二人であのマンションに住まない///?」

勇太「いいね!お金持ちだろ?有田焼一杯集めて、皆から評価されて」

丹生谷「朝富樫君のかわいい寝顔をつんとついて起こすの」

勇太「....../// 寝ぼけて丹生谷のお着換え姿をちらっと見てしまった///」

丹生谷「何見てんのよー///」

勇太「すまない///」

丹生谷「私も、富樫君と私の、歯磨きコップの中にある二つのブラシを取る///」

勇太「朝パンとコーヒーを丹生谷が用意してくれて、二人で仕事?」

丹生谷「そうねえ/// 一緒の職場にしよ///」

勇太「それ職場恋愛になるぞ///」

丹生谷「んで~、二人であ~んする?」

勇太「さすがに夫婦じゃ恥ずかしいだろ///」

丹生谷「新婚なら誰でもやってるわよ///」

勇太「それで行ってきますのちゅーして///」

丹生谷「ラブラブじゃない/// 仕事で分からないところあったら、教えてね?」

勇太「うん、帰り際。今夜は離さないとか言って」

丹生谷「二人の家一緒でしょ!?」

勇太「そうじゃなくて、結婚記念日、告白記念日に、わざわざここまで飛行機で帰る」

丹生谷「あら優しい/// さすが富樫君ね大胆/// 私、高級料理店に行ってみたい!」

勇太「ええ......無理だよ」

丹生谷「なによ!富樫君ならできるわよ/// 自信もって、富樫君!」

勇太「うん/// 指輪もらったら......嬉しい?」

丹生谷「嬉しい!富樫君と一緒になれるのよ/// その証///」

勇太「そういう発言やめろよ///」

丹生谷「誘ったの富樫君じゃない///」

勇太「あ、子供何人にする?」

丹生谷「えっ///」

勇太「何人つくりたい?」

丹生谷「富樫君!?///」

勇太「あ/// すまん///」

丹生谷「私は......4人がいいな。少子高齢化の役に立っているから」

勇太「丹生谷......優しいな///」

丹生谷「富樫君のほうが///」

勇太「俺は2人だな」

丹生谷「なんで?」

勇太「現実的に頑張って......」

丹生谷「なによー!頑張りなさい!私、これでもかわいい女の子って自負しているのよ!

かわいい子にされて幸せなんじゃないの///」

勇太「そうだけど~。好きだけど~。でも......アンアン/// じゃなくて!!!!

いつまでも丹生谷と会話してる方が、大好き♡」

丹生谷「私も、こうやって笑ってる富樫君が、大好き♡」

勇太「見るな///」

丹生谷「見ちゃったもん///」

勇太「次からバリケードつくる///」

丹生谷「ドリルで開ける///」

勇太「壁で塞ぐ///」

丹生谷「富樫君に別れ話を切り出す///」

勇太「またそうやってー/// でも、会えるからいっか///」

丹生谷「富樫君、またこうやれて嬉しい!!!」

勇太「嘘だけど、ずっと好きだよ/// 丹生谷!!!」

丹生谷「嘘だけど、富樫君、永遠に愛してるからー!!!」

95 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:30:32.53 YDitP8hM0 95/120

燃え尽き合った二人はその熱愛を覚ますべくベンチの前で夕陽を見続ける。

でも今度はもうネタも尽きたので、

話す気力も失せたので、時が無駄に経つのを待つばかり。

この一瞬一瞬が特別で、もう二度とない女性との付き合いに、

悔しいのは分かっているが、その悔しさの気力も出せない。

時刻を見ればもう5時40分。あれだけ長い時間は、今はもうない。

でも当初と違い二人で無言の日々を過ごす時間に恐怖心も感じない。

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」


丹生谷「飽きちゃった…..」


勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」



......!



勇太「森夏姫!!!僕と手を握っていただけませんか?」



その言葉を聞いて、俺はまるで紳士のように地面に膝をつけ、最大の敬礼をするように深く跪き、

清潔な白い手袋をしているような手を差し伸べて、驚いた顔つきの丹生谷の前に、自分の仮の姿を見せた。


俺は不意に体が動いたのだ。

丹生谷のためにしてやれることを、もはや世界が狂ってもいい。

笑われてもいい。彼女のために、自分ですら制御不能な本能が、闇の炎を世界中に分散させる。

このまま帰したら、丹生谷も何か納得しないと思う。

感謝と愛の気持ちを表現した、理想と妄想が現実すらも覆った奇妙な世界がこの世に現出する。

この世界に常識はない。もう、丹生谷の心のためにある。


勇太「私は地球でも一人しかない甘美なお姫様に最高級のパートナーを要請されて飛んできた別の国の王子です。

お姫様、どうか私を受け入れる矜持を持ちなされば、どのような願いでも一つ叶え差し上げましょう」


丹生谷「えっ......。富樫君?」


勇太「森夏姫!どうかこの世の王子様にさせてください!」


丹生谷「え....../// あの、じゃあ、いい?」


勇太「はい」


丹生谷「私はもうすぐ17歳で、あと1年で大人になるの。

でもそれと同時に付き合っている人の恋さえも魔法で奪っていくような愛のないシンサマーと名乗る醜い人にもうすぐ私は変わってしまう。

今日しか、チャンスがないの。

お願い、助けて。

私、魔女にはなりたくない......」



ギュッ


勇太「分かりました。私が助けましょう」


勇太「さ、こちらへ。手を貸して。私が貴方をご案内しましょう」



96 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:34:50.00 YDitP8hM0 96/120

勇太『まっくろーなー世界でー!僕たちは進むー!』


勇太『当てのない夜の道に、救世主がやってくる!』

丹生谷「え!?なになに!?」


勇太『彼女の明るい顔を見れば、お姫様のプリンセス!ドレスは光り闇は消える!』


勇太『白色のドレスを身に纏った、眩しくて見れない銀のヘアクリップが特徴の、

煌めくガラスの靴を美しき足にした、超美人の王女様が来たからーーー!』

丹生谷「私、いつの間にお姫様///」


勇太『真っ暗な世界が包んでいた、木々は子供のように太く樹を成して、

動物たちは顔を出して遊び、とあるうさぎは森夏姫をお伺いしてキュン死する、

村人がいつも笑い召使も城でお辞儀して、花畑の花は僕らのために咲き、

光に照らされてきらきらする遠くの海が奇麗だー!』


勇太『吸い込まされた陰から出てきたお城と花畑―!ラ!ラン!ラララランラ!

リスは笑い!鹿は踊り!小鳥は舞い僕と歌うー!僕は森夏姫と過ごす!幸せな世界!!!』


勇太『さあ、森夏姫!僕たちと楽しいパーティーをしましょう!!!』


勇太『世界は、お城は、君のために待っているーーーーーーーー!!!!!』


勇太『はーっはっはっは!!!富樫め!!!!

闇の帝王ゲルゾニアンサスこそダークフレイムマスターが!お前の幸せを壊しにきたーーーーー!』

丹生谷「はあ///!!!?」

勇太『お前か!!お前など服従する余地はない!』


勇太『そうかー!そんなに地獄が見たければ見ればいい!!!俺の力よ吹き飛べー!!!!』

勇太『ああまずい!なんということだ!!!世界が!お城が!動物たちのお城が!!!

森夏姫を支えるお城の人達が、

ティーポットやカップやフォークに変えられてしまった!!!森夏姫、逃げるぞー!!!!!』手ギュ

丹生谷「ちょっとー//// 走るの本当に?///」手ギュ


勇太『俺達は邪悪な悪魔から逃げるためー!

熱い手を強く握り!決壊寸前の橋を超え!牛の群れを避け!森に迷い込んだ!!!』


勇太『ここはここはおどろおどろしい世界だ~。

暗すぎて前の見えない森の道。食べられても仕方ないぞ~。でも走らねば追いつかれる~』


勇太『昼間では木であったのに、樹木から化け顔を見せるのだ。

気づかれないようにのそのそと歩いた。だが森は僕らを追いかけ、ツタは僕らを捕まえるために伸び、

暗い森林に怯える僕たちを化け顔が大笑いする!

お前ら食ってしまうぞーーーーーーーー!!!あーっはっはっはっは!逃げろー!森夏姫―!』

丹生谷「えっ! ちょっと!早い!」


勇太『ここを走れば大丈夫―!ここに怖い大樹が!うわあ!左に逃げよう!ここにも大樹が!うわあ!

ここにも!ここにも!ここにもー!きゃあああ!!!』

丹生谷「きゃあああ///(棒)」


勇太『僕たちは疲れ果てるとラッキーなことに、

大樹の中に小さな穴を見つけた!リスの通り口だ!入ったら僕たちは助かるだろうー!』

丹生谷「でも小さいなら入れないんじゃない?」


勇太『その穴から出てきた、リスさんリスさん。リスさんが答えてくれるよ。

やあ、お友達かい!?どうしても入りたいなら左のキノコを食べると小さくなるよ!』


勇太『さあ、キノコを食べよう!』

丹生谷「頭おかしいんじゃないの!?」


勇太『パクッと僕も森夏姫も喜んで食べると、体が急に小さくなって、

木の中の穴の中にしゅるりと入ってまるで木の色をしたすべり台のジェットコースターのよう!!!

離すなよーーー!森夏姫―!僕たちは奈落の底まで落ちていくー!』


勇太『木の色をしたトンネルの抜けた先はー、

森夏姫に大丈夫?と言って見るとー、巨大な雑草と巨大な虫の中に囲まれた草原だった―!』

97 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:39:35.33 YDitP8hM0 97/120

勇太『その中で不思議な家を発見したー!

小さな家が僕らを待っていた―!らららららら!救済の宴―!』

丹生谷「ここのパートつまんないー」


勇太『おやおやー!誰もいないようだぞ!!!!中身は!煙突のある!暖炉のある!暖かな!小人の!おんぼろの!』

丹生谷「うさぎさんの家がいい!」


勇太『......。......。......。中身は!きれいな!うさぎの形の屋根の!ピンク一色のお家の!

時計台にうさぎの耳のついた!お皿の模様もうさぎの!豪華な家具のキャスティング~!』


勇太『しばらく留めてもらおう~。』

丹生谷「でも留守なら食器洗ってないんじゃない?」


勇太『そうだーーーー!!!お姫様からの盛大なアドバイスに皆が集まる!よし皆カモン!

犬も、猫も、リスも、鳩も、小鹿も、植物も二足歩行になって!僕たちを受け入れてくれるのさー!

食器を洗う~!美しい色のクジャクがほこりを飛ばし~!リスが片隅のどんぐりを内緒で持ち帰る~!

森夏姫も一緒に!ごしごしごしごし!』

丹生谷「ごしごしごしごし!」


勇太『うさぎの食器はぴっかぴか!床も天井もぴっかぴか!!うさぎランドは元の色ー!!!!!

ありがとうー!彼女の笑顔にありがとう!みんな森夏姫を愛してくれてありがとうー!!!

ぴかぴかに終わったら、遊びまわりたく、小鳥が森夏姫の隣で鳴き~!小鹿がステップを踏み~!

虫たちが机の上でフォークダンスを踊る~!!!』

丹生谷「まあ/// 楽しいわ///」


勇太『ランラン♪ランラン♪ララララン♪

小鹿たちは森夏姫に喜んでいるー!楽しすぎて愉快な時間~!次は何をしよう~!』

丹生谷「私、ドレスべとべとだから、風呂入ってくるわ」


勇太『ダメよ!ダメよ!ダメよ!ダメよ!そんなの歌にしたら教育上によろしくない~!

解説する身にもなって~~~~~~~~!!!!!!!

そんな森夏姫の発言を妄想してうさぎ耳の時計台さんが鼻からケチャップとカスタードをぶ~~~~~~!!!!』

丹生谷「あははははははは///」


勇太『この小さな城を何て名前付けようか!?』

丹生谷「うさぎの国だから、うさぎさん王国なんてどう?」

勇太『おおおーーーーー!!!感動する!!!!このセンスは神の賜物―!』


勇太『うさぎさんがやってきたぞ~~!7人のうさぎさんが炭鉱場から帰って来たぞ~!』

丹生谷「うさぎさんだ!かわいい!!!全部持って帰る!」


勇太『少し凶暴なうさぎもいるからやめようね~!なになに!ああ!森夏姫!

例の城を占拠した人がやってきているともふもふ言っているよ!!』

丹生谷「え、どうすんの?」


勇太『だけど、うさぎさんでは何もできないと~。僕たちどうしよう~。明日を待とうか~鍵が必要だと』

丹生谷「う~ん!私、考えた!!!えいっ!きらきらくるる~ん!!!

私はモリサマーです!精霊たちよ!!!この世界に結集し本来の力を思う存分に発揮するのです!

お家に光の粉を!飛び立てエルフ!囁け精霊!スピリチュアルカリカチュア!!!」


勇太『わわわわ~~~~~!!!台本にないー!これは何の魔法だろう!?』

丹生谷「きゃあああ。

どんどん私達、この家も、動物たちも、大きくなっていくわ!!!なんてことなの!!?」


勇太『なるほどー!なんということだ!!!!うさぎさんの家はお城になっちゃった!

その大きさは普通を超えて!あのポッドに変えた邪悪な城と接近するぐらい大きくなってしまったー!!!!』

丹生谷「ええ!!!?富樫君やっつけよーーー!!!!」


勇太『愛馬を呼んで!僕と白馬に乗ろう!森夏姫、さあこっちに来い!』

丹生谷「白馬!!?/// きゃあ///」


勇太『天候が途端に大嵐になったがー!僕と森夏姫は白馬に乗って!勇敢にもパカラパカラパカラ!

毒リンゴを届けに来たおばあさんを蹴とばしてー!お城に行く!』

丹生谷「私、富樫君と白馬に乗ってるー///」


勇太『僕たちを改造した邪悪な城からトランプの兵隊が槍と共にやってきたー!』

丹生谷「富樫君なら蹴散らせるもん!」


勇太『しっかり捕まってー!処刑が怖くてやってきたトランプの軍勢!

トランプ一枚を踏んずけたらー、ドミノ式に死ぬ』

丹生谷「あはははは///」

98 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:41:56.76 YDitP8hM0 98/120

勇太『白馬で城を乗り越えたらー!あいつがいた!』


勇太『はははは!!!!

我が名は闇の帝王ゲルゾニアンサスことダークフレイムマスター!

よくぞトランプ軍団を蹴散らした!!!』


勇太『森夏姫、逃げて!!!』


勇太『待ちたまえー!!!はははは!そこの美しいお嬢さん!

僕と世界を半分にする代わりに結婚しようじゃないか!!!』


丹生谷「誰があんたとするの!!いやよ!」


勇太『森夏姫!僕が時間を稼ぐから逃げて!僕一人で大丈夫だ!』


丹生谷「でも」


勇太『キンキンキンキン。闇の帝王め!剣の戦いが劣勢だー!

うわっ!さらにパワーアップしている!これでは勝てない!何か方法は!』


勇太『あはははは!!!貴様はもう死ぬのだー!遊び疲れたぞー!』


勇太『森夏姫―!僕だけじゃ!僕だけじゃ!』


丹生谷「富樫君!!!負けないで!!ずっと私がいるじゃないー!」


勇太『あ!!!!!思い出したぞー!二つの心が重なったときこの世界に奇跡が起こる!大事なのは愛!!

僕は、森夏姫ともう一度会話したいと思ってるー!森夏姫、手を!』


丹生谷「富樫君!」手ギュ


勇太『僕一人じゃダメなんだー!僕と一つになってくれーーー!』

丹生谷「はい。誓います///!!!!!!」


勇太『バニッシュメント・ハードワールド♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!』

丹生谷『バニッシュメント・ハードワールド♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡!』


勇太『はあああああああああああああああああああああ!!!』

丹生谷『はあああああああああああああああああああああ!!!』


勇太『ぐおおーーー!やられたーーーー!!!』バタッ


勇太『やったー!倒した~ありがとう~!

闇の帝王にかけられていた邪悪な魔法が溶け城の人も村人も元通りー!

僕たちのいる宮廷も美の色に帰るー!

また美しい青空が広がることができたー!!!

ありがとう!!!森夏姫バンザイー!!!君の思いが世界を変えたーー!!!!

君がいるだけで世界は華やかになったー!

どうか永遠に続いてほしいー!』ダキッ

丹生谷「きゃはははは/// 富樫君......///」ダキッ


勇太『ともに~~~~~~~~~~すもう~~~~~~!!!!!!!!!!!!』ダキッ

丹生谷「......///」ダキッ

99 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:45:13.65 YDitP8hM0 99/120

勇太「......///」ダキッ

丹生谷「......///」ダキッ

勇太「......」

丹生谷「終わっちゃったね......」

勇太「踊ろ?」

丹生谷「踊る!?」

勇太「ハッピーエンドだから踊るものだろ?」

丹生谷「分かった///」


丹生谷「ちょっと待ってね」


丹生谷「はあああああああ!」

そのとき、丹生谷が城の天井に向けて右腕を伸ばし、

ぐーの手から2本のピースの指を空に突き出すと、

その先と同じ方向に後ろから巨大な時計台が新たに伸びてきてお城の面積が巨大化し、

隣にあったうさぎさん王国と一つになった。

その力は、11億キロメートルの高さのある時計台を出すほどで、その衝撃波に北半球は衝撃を受け改変され、

町や人や社会すらも巨大な動物や花畑や塔や村に代わり、その大きさは大層圏をとうに超えるほど。

地球が一瞬でお姫様のための世界に創りかえられた。

家具も道具も城もみーんなうさぎの耳を持っているか、かわいさを象徴するピンク一色に染まっていた。


勇太「すごいな/// 世界中に迷惑だ///」

丹生谷「いいの/// 私が好き///」

お城の踊り場が急に真っ暗になり、二人にスポットライトの光が当たる。

勇太「踊ろう/// 俺踊ったことないんだけど分かる?」

丹生谷「分かんない///」


金管楽器の幻想的に鳴る華やかな演出と、

こうしている自分たちを客観的に見てしまうと、俺達の頬は強く染まった。笑い合いながら微笑み合う。

俺はぎこちない手で、

ダイヤよりも貴重な森夏姫の腰に手を置き、手と手を握って王国界を変えるダンスを踊る。

勇太「これでいい?」

丹生谷「うん/// 私もやったことない////」

勇太「こうか?」

丹生谷「もっと下///」

勇太「あ!足痛かった?」

丹生谷「ふふふ///」

勇太「......///」


演奏に流されるように、頬の赤く染まった二人の笑顔を共に近距離で見ながら、ダンスを踊る。

後ろ足を下げると丹生谷もつられて下がる。でもそのたびに手の思いがギュッと強くなる。

その瞳がやけにきれいで。思わず手の力が抜けてしまう。

くるりとゆっくり体を回転すると丹生谷も回って、

そのうまくいったという眩しい笑顔ににやけて、世界の回転はひとつだ。


勇太「こう/// ステップか?//」

丹生谷「あ!いった!」

勇太「ごめん!」

丹生谷「頑張って///」

勇太「......///」


俺が失敗し愚痴をこぼすと、頑張って、と天使のような笑顔の掛け声で答えてくれる。

だからその笑顔にまたダンスの足が動こうとする。

スポットライトの光が眩しいけれど、その光に照らされて丹生谷の笑う姿のよく見える方が、とても見ていられない。

でも、じっと見てしまう。励まし合いながらの二人の求愛。

そんなお城ラブストーリー。


金管楽器の演奏が終了を迎えると同時に周囲は明るくなり人々が拍手を送る。

その瞬間に俺達はハグをした。かっこつけなのか、純粋な思いなのかは分からない。

心に見たような感動的な思いに抱きしめが強くなる。俺達は子供のように微笑んでいた。


丹生谷「......ありがとう///」

勇太「うん///」

丹生谷「素敵ね/// 何もかも///」

勇太「嬉しいよ///」

丹生谷「楽しい/// .......」

勇太「......」

丹生谷「.......」

勇太「ベンチに戻る?」

丹生谷「そうね///」

100 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:49:25.35 YDitP8hM0 100/120

白いドレスを着た素敵なお姫様と、紳士に応対するこの新しい世界の王子様の衣装。

そんな丹生谷に歩かせるのも酷なのできらめく靴が落ちないようにお姫様抱っこする。

丹生谷「きゃ///」

勇太「いい?」

丹生谷「いいけど/// 恥ずかしいわよ///」

勇太「君はいつだって素敵さ/// ぷっ!恥ずかしい///」

丹生谷「もう!うれしい......富樫君///」


俺の腕に抱きかかえられて動揺の止まらない瞳を見る丹生谷の顔が、

まるで成長した赤ちゃんみたいな感じで、

夢の国の二人みたいな世界だからついおかしくて、ニコッと丹生谷に笑うと、彼女も返してくれた。

だけど恥ずかしいのか丹生谷は俺を見つつもそらすことを繰り返す。


その歩きと共に世界は幕を閉じ、

きらきらとしたひし形の星が多数現れて、夢の世界は視界から揺れて消えて行った。

ベンチに帰った俺達は火照りが帰らない。

夕日のオレンジ茶色のような光が丹生谷の周りにきらきらと、顔の周りにダイヤが光るような、

世界で一番どこにも買えない高級な光景を見ているみたいだ。

きらきらとした顔を二人でじっと何かを語るように見つめ合う。


丹生谷「本物も偽物もない~」

丹生谷「だって本物は死んでしまったのだから~」

丹生谷「でもそばには彼がいた~」

丹生谷「私と彼だけの最果ての夢~」

丹生谷「明日が来ようと抱きしめたい~」

丹生谷「偽りの国で、真実の愛を叫ぶよ~」

丹生谷「ああ、私の王子様~。秘密の花園へ連れてって~」

勇太「なにそれ///」

丹生谷「移った//」

勇太「そうなのか///」

丹生谷「富樫君。あれもっとやってほしい。私も富樫君のこと下の名前で呼びたい」

勇太「ああ/// 何度でもな///」

丹生谷「ゆうた......ん。ゆうたん」

勇太「ゆうたんか。ぬいぐるみみたいだな///」

丹生谷「ゆうたん。ゆうたん。大好きなゆうたん///」

勇太「くすぐったい///」

丹生谷「ゆうたん。私の国の王子様?」

勇太「恥ずかしい/// やっぱこういうのは/// 森夏姫の夫///」

丹生谷「ふふっ/// ふふふふっ/// うれしいゆうたん///」

勇太「この世界は、この城は俺達だけのもの。もう誰にも干渉されない///」

丹生谷「もうどこにも行っちゃダメ///」

勇太「ああ、分かったよ///」

丹生谷「いつまでもゆうたんと一緒」

勇太「リスさんが見てるぞ~///」

丹生谷「見てない/// 見てないもん///」

勇太「動物たちがいっぱいいるの?」

丹生谷「うさぎさん王国だもん/// ゆうたんもうさぎさんになる///」

勇太「そんなー/// どうやって暮らそう///」

丹生谷「学校も会社もみんな行きたくない/// あんなところ嫌い///」

勇太「そうか。じゃ消そうか///」

丹生谷「ゆうたんと二人で過ごす///」

勇太「恥ずかしい///」

丹生谷「朝はゆうたんが起こしてくれる。毎日告白してキスじゃないと嫌だ///」

勇太「え~俺かよ///」

丹生谷「マンネリもいや///」

勇太「難しいだろう///」なでなで

丹生谷「ふへへっ/// んでね~朝起きたらフランス料理食べるん///」

勇太「贅沢だなあ~///」

丹生谷「ゆうたんにあ~んしてもらう」

勇太「ラブラブカップルか///」

丹生谷「してほしい///」

勇太「ああ。じゃ食べ終わるまであ~んな」

丹生谷「それ嫌~///」

勇太「ちゃんと食べろ」

丹生谷「私デブになっちゃうよ?」

勇太「......じゃ、やめるか///」

丹生谷「ふひひっ/// 今のゆうたんは私のドツボの中///」

勇太「こらっ///」ぐりぐり


101 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:51:08.00 YDitP8hM0 101/120

丹生谷「うう~/// それでね、食べ終わったらね、お外で遊ぶの///」

勇太「俺も森夏姫と一緒に花園かけぬけたい///」

丹生谷「花畑でおにごっこ。お花の中でもふりたい。捕まえられたら愛の告白///」

勇太「俺毎回おにになるのかな///」

丹生谷「ゆうたんは私の王子様だよ!......誰にも渡さない///」

勇太「恥ずかしい///」

丹生谷「でね~、お昼になったら、うさぎさんと遊ぶの。かわいいから。

うさぎさんの国でピョンピョン跳ねるん。でね、遊び終わったら。

お花畑でゆうたんと花を植えるん。そのときにゆうたんの顔でときめくん///」

勇太「うん/// うん///」

丹生谷「お家帰るときゆうたんと手を繋いで、夜になったら、ご飯食べておいしいって言うん。

一緒にお風呂入って今日のこと話して、一緒に歯磨きして、

お歌聞かせてもらって、絵本読んでもらって、最高の気分で寝る///」

勇太「俺休む暇ない///」

丹生谷「ゆうたんはずっといるの!!!」

勇太「ああ///」

丹生谷「ゆうたんは絶対いるの!目を離しちゃダメ!ゆうたん私のこと嫌いなの///」

勇太「はいはい。大好きだよ」

丹生谷「目を反らしちゃダメ/// ぶーっていうよ///」

勇太「俺は離れないからな/// ずっと一緒だぞ///」

丹生谷「うん/// それが普通だもん/// 一緒に手を握って、一緒に笑う/// でもゆうたんは無理しないでほしい」

勇太「ありがとな///」

丹生谷「う~ん/// う~~~ん/// この国の村の人達呼んで、毎日お城の上でキスして歓声もらう///」

勇太「恥ずかしすぎるだろ///」

丹生谷「恥ずかしくないもん/// 浮気されたらいやだもん///」

勇太「ごめんな/// ずっと見てるもんな///」

丹生谷「赤ちゃんつくりたいー!」

勇太「こらっ///」

丹生谷「富樫君の赤ちゃんつくりたいー!」

勇太「....../// 俺は2人がいいな」

丹生谷「なんで?」

勇太「森夏姫と一緒にいられるから///」

丹生谷「......一万人」

勇太「そんなに/// 頑張れないよ///」

丹生谷「だってゆうたんと一緒だもん///」

勇太「エッチ楽しいけどな、ひたすら性行為しなきゃ終わらない///」

丹生谷「私達は無限に生きる/// 楽しく会話して忘れられないほど楽しかったら夜するの///」

勇太「大変だな///死にそう///」

丹生谷「死んじゃダメ/// でね赤ちゃんの世話して、私達親になって、フランス料理を食べさせたい///」

勇太「一万人を机の上に並べられるか///」

丹生谷「ゆうたんはずっと私と一緒/// う~~~~~/// この体好き///」ダキッ ガブッ

勇太「こら腕噛むな///」

丹生谷「すきー/// 筋肉のこぶ好きー///」ガブッ

勇太「いたいいたい!」

丹生谷「逆らっちゃダメ/// 泣いちゃうよ///」

勇太「歯形がつくぞ///」

丹生谷「ううううーーーー///」ガブガブガブ!

勇太「こらっ///」立つ

丹生谷「ああ///」

勇太「いたいぞ///」

丹生谷「ゆうたんの腕にぶら下がるー///」

勇太「ダメだぞ///」

丹生谷「するの///」

勇太「......ほらっ」

丹生谷「すごーい!!!」ぶらーん

勇太「上げることもできる///」

丹生谷「きゃっきゃっ///」

勇太「もっと高く///」

丹生谷「きゃっきゃっきゃっ///」

勇太「まあチビな森夏姫には無理だけどな///」

丹生谷「ゆうたんが悪口言った―///」

勇太「誰かさんがおバカだからだよ///」

丹生谷「ひどーい///」

勇太「へへっ///」

丹生谷「ゆうたんの方がバカ///」

勇太「なんだとっ!///」

丹生谷「やーい!ここまでおいでー!!!」

勇太「待てー!」

丹生谷「きゃきゃっ!」

勇太「こらー!待ってー!森夏姫―!」

丹生谷「待たないー!」

勇太「待ってー!!!!」

丹生谷「やだーーー!」

勇太「捕まえた///」ダキッ

丹生谷「きゃっ!」ダキッ

勇太「......捕まっちゃったね///」

丹生谷「うん///」

勇太「あったかい....../// 俺これ好きだよ///」

丹生谷「ゆうたんもあったかい///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「さあ、ベンチに戻ろうか?」

丹生谷「うん///」

102 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:53:28.58 YDitP8hM0 102/120

ベンチに戻ってから俺達はその熱が冷めないまま和気あいあいとした雰囲気で、

何もかもが許せるような幸福に満ちている。言葉を喋らないで、

お互いの顔を、恍惚とした愛らしい顔を、

今日の出来事は今日でおしまいだから、愛くるしいように見続ける。

いつまでも記憶していたい思いが俺達の中で渦巻いて。

丹生谷の中から真剣な表情と、それとは対照的な瞳の動く可愛らしい顔が記憶に残り続ける。

あの夕日もオレンジの光が濃くなっており、残酷さと、

今日会ってよかったという一瞬の奇跡に漬かっている。


だから俺も丹生谷も同時に抱きついた。

ハグした愛の温かさが、肩も背中も柔らかく、彼女の香りがする、もう二度とない体験。

そんな今が嬉しいし、寂しくて胸が痛い。

彼女特有の香りと柔らかさに俺の体は飲み込まれ、

そんな肩と首筋を贅沢だと思いながら、しっかり抱いた。忘れないように。

だからもっと欲しかった。欲しくなった。もっと繋がっていたい。


じっと、俺達は、その顔を見続ける。



目が、



奇麗だ。




丹生谷「......///」ギュッ じっ

勇太「.......///」ギュッ じっ

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「(瞳がかわいい)」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「(キスしたい......!)」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「目キス......?」

勇太「...... ...... ......」


103 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:55:49.64 YDitP8hM0 103/120

思わずこぼれた俺のはいと言う言葉が、

俺の心が素直に望んでいるのだろうと理解して、運命の行方を後押しする。

抱き合いながら、

その瞳が好きで好きでドキドキと鳴る胸の鼓動が止まらなく、もっと近づいていたい。

丹生谷の鼻がくっきり見える距離で、

二人で目を閉じてわずかな時間を愛おしいと噛みしめて、そしてゆっくりと目を開けた。

同時だったので少しびっくりしていたが顔は崩れていない。

認識した彼女の瞳が宝石のようにきれいだった。

だけど、少しうるうるしていた。

近距離で見続ける。

ただでさえ怖くて赤いのに、彼女の頬が赤面すると俺も恥ずかしくなる。

彼女のその目がほしい。

できればもっと近づいていたい。イタズラしてみたい。

今までの彼女にはなかった、純粋すぎる目。

できればずっと見ていたい。

うるうるとした瞳の中に、俺がいる。

頬を赤くした俺がいる。

104 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 22:57:51.34 YDitP8hM0 104/120

.......。やがては飽きて、目を見開けなくなったのを機にハグをやめる。

でも丹生谷のその瞳がいつまでもきれいだから、その映像が脳に焼き付いた。

嬉しすぎて頭がぼーっとする。

それと同時に、丹生谷と別れの時がやってくると思うと寂しすぎて胸に手を当てた。


勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......///」

丹生谷「......///」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「(何かやり残したことをしたい......。

何か記念になるようなものを残したい。ものじゃなくて、もっと記憶に残るような何かを)」

丹生谷「......」

勇太「(かわいい姿。誰にもないかわいい顔。聖母のような柔らかい肩。ふっくらとした禁断の果実のような胸。

それとは対照的なすっきりとした腹、柔らかそうなスカート、

柔らかそうな太もも、俺のところにやってくるための愛くるしい足)」

丹生谷「......」

勇太「(その中でもとりわけ気になるのが、胸。ふくよかな姿に惹かれる。でもどんな丹生谷も奇麗だ)」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「おっぱい揉んでいい?」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「あっ!いや、そうじゃなくて!」

丹生谷「......」

勇太「丹生谷との......」

丹生谷「......」

勇太「えっと......」

丹生谷「......」

勇太「違う......その......いやらしい意味じゃなくて......記念......」

丹生谷「いいわよ」

勇太「......。......。」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「はい。」

勇太「(丹生谷は両腕を大きく高く広げて、見せるように、俺にあげるように広げる)」

丹生谷「......///」

勇太「丹生谷......」

丹生谷「信じてるから」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「(やって......いいんだよな......。やっていいんだよな。俺触っていいんだよな。

胸揉むの初めてでその言葉の実感が湧かない。

いいのか!!!いいのか!!?

じゃあ/// 俺/// やる/// やってやる/// 

今までやってみたいと思ったことが叶う/// 

ガチで嬉しい!!!)」

丹生谷「......」

105 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:00:20.20 YDitP8hM0 105/120

ベンチの上で、俺は好奇心旺盛で鼻息の荒く止まらない様相で、

ロケットパンチを繰り出すロボットのように、両手で掴むように、

一つたりとも逃さないと指をしびれるほど大きく広げ、息が乱れていく。

したい......したい......したい!したい!したい!したい!

俺は、風を生み出すスピードで両手を伸ばし、聖母の果実を奪いに行く。


......だが、途端に手が動かない。

いざ揉んでいいと言われると、硬直して手が......手が.......動かない。

手が震える。震えが落ち着かない。

俺はそのチキンハートならではの性格に怯え、その位置で固定されたまま、ずっと震わし続ける。


勇太「......」ぶるぶる

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」







丹生谷「はぁ......」



......!



その疲れた声を掛け声に、なぜだか助けたい思いが溢れ俺の手が急発進する。

全力で俺の腕が伸びていき、捕獲キャッチャーのように指が限界まで大きく開いた。

着陸するスピードを弱められず、包含するように、

その柔らかそうなおっぱいを理想と共に、

ギュッと揉んだ。

全力で動いたスピードの反動で丹生谷の胸の中に受け止められる。

柔らかいクッションを思いっきり掴んだような女性特有の柔らかさを指で感じる。

そして胸はふっくらしていく。

大きく開いた指の間に乳肉が溢れる。そして俺の爪が深くまで食い込み、

その先は揉み切れないほど固い底板が底になっており、

丹生谷の両方の胸は、風船のような小さく太い胸に変形する。

その揉みように丹生谷は顔を赤くし、はしたない舌を上げて、「きゃあ///!」と女の子な悲鳴を上げる。

体が近場にいるので丹生谷のいい香りが俺の脳内に届いて。

本当に丹生谷で揉んでいるのだと理解した。この声が一層嬉しかった。

......俺は恥じて揉んだ感触を理解したのちすぐに手を離した。

106 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:01:23.84 YDitP8hM0 106/120

俺って......。

俺って揉んだんだよな。

丹生谷の、魅了するような、一度は掴んでみたい大きな胸を......。

俺は大きく開いた指の大きさを、思い出補正でよみがえらし、

はちきれんばかりの大きな胸を揉んだそれのサイズを確認する。

顔を下にして。おっぱいの触った手の皮膚と、脈と、指の大きさを見つめながら喜びと共に呆然する......。


勇太「......」じっ......

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「へへ......」

丹生谷「......」

勇太「へへへへへ///」

丹生谷「うれしいん?」

勇太「......///」

丹生谷「うれしいのお~///」 

勇太「......///」

丹生谷「初めて?」

勇太「」コクッ

丹生谷「よかったね~!!!」なでなで

勇太「......//////」

107 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:05:51.11 YDitP8hM0 107/120

勇太「さて、今何時だ?」

丹生谷「今、あ、もう5時55分......」

勇太「俺達、お別れだね。仮デートの終わり」

丹生谷「そうよね......」

勇太「あの!俺楽しかった!!!

丹生谷からデートの作法とか、ハプニングとか、今の禁断の愛とか!色々あった!」

丹生谷「私も~、たこ焼き食べた富樫君とか、

一緒にもぐらたたきしたとか、パスタで恥をかいたけど、今じゃ、いい思い出になってる......。あっ」

勇太「丹生谷!?」

丹生谷「大丈夫よ!泣かない!」

勇太「ごめんな。俺......丹生谷のこと......。ううん。言わない」

丹生谷「そう。家で待っているんでしょ。でも、ありがとう。分かる......」

勇太「うん......。

ダークフレイムマスターとモリサマーの上位世界で繋がっているから、胸に痛いほどズキズキ来てる......!」

丹生谷「......。ねえ、私、今日よかった。大丈夫よ。私、泣かないから」

勇太「俺もだ。最高に」

丹生谷「私ね。人って常に無関心で、常にマスクしてるものと思ってた。

自分が排斥されたくないから他人に同調して、そうじゃないやつは淘汰される。

自分が将来プロ選手やお姫様になれると思ってたのに気づいたらそれはさら地で怖かったの。

叶えたい望みを持つ、それは罪だって。そんな怖い人たちと一緒にいたくないけど、そうじゃないと生きられない。

私、無理して生きてきたのかもね。

でも富樫君は夢を見せてくれた。私をお姫様に仕立て上げてくれた!!!嬉しかった!!!!!!

子供のころ思った幸せに帰った気分で、童話の世界に帰ったみたいで、嬉しかった。

これが私の理想......。お金だけじゃなかったのね。

私、この世界が間違っていると思う。

彼氏ってこんなに笑って愛されて奇跡に近いものなのに、

いつの間にか経験人数とか道具みたいに扱われて、私、そんな世界、いやよ!

富樫君は富樫君だもん!!!富樫君の代わりはいないの!!!もっと一緒にいたい!その気持ちは誰にも取られたくない!!!

今日デートで何回笑いあえて、何回怒れたのか。過去を思い出すだけで辛い気持ちに苛まれる。

でも幸せだった。まるで幻のよう。これが恋なんだね。

奇跡に近い現実なんだね。足が浮くほど軽いの。私って今いないんじゃないかしら......。

もう夕日が落ちて夜になる。私達の時間が幻に変わる。

だけど富樫君の頬の温かみ、一生忘れられないから!こんなに好きなってしまって!!

富樫君は私を照らす希望の光。私の王子様にふさわしい人。

私、後悔しない。

遠く離れてどこか行ったってこんなに素敵な人がいること、おそらく死ぬまで覚えられる!

私は大人になったら、お金とか地位とか性欲のために生きる汚い人間になると思う!

だけど今日があったから!希望があるとまた信じられるようになった!

この世界、この夕日、このベンチ、大人になっても大好きだった証拠になる。

こんなに愛してくれて、ありがとう!ありがとう富樫君。最高のプレゼントになった!

望みをかなえてくれてありがとう......!私の大好きな王子様!!!!!!!!!!」

勇太「......」

丹生谷「ありがとね///」

勇太「......」

丹生谷「.......」

勇太「俺......つくづく悪いことしちゃった。誘わなかったら」

丹生谷「いいのよ」

勇太「俺も!」

丹生谷「うん」

勇太「丹生谷がかわいいと思う!茶髪の髪がかわいいだろ!目がくりくりしてかわいいだろ!

触ったらすっとしそうな高そうな鼻がかっこいいだろ!そのくせすぐ赤くなるほっぺがかわいいだろ!

だ液すらもかわいいと思えるぷるんとする唇が大人っぽいだろ!肩も柔らかくてかわいいし、胸は大好きで!」

丹生谷「くすっ///」

勇太「すらっとした腰つき見惚れるほど好きで!

お尻とふとももがむっちりでかわいくて!足はすらっとしてるほどかわいい!」

丹生谷「あはは/// うん///」

勇太「怒った顔もかわいい!情に流されて釣られて怒った顔もかわいい!

泣いた顔もお姫様みたいで超かわいい!!!!

かわいいっていったらほんとうにかわいい!!!大好きなほどかわいい!!!

恥をかいている姿もじっと見ていたいほどで!

宝石にきらきら目を輝かせる丹生谷も!公園の土の上で踊る丹生谷も!

鍵をロックしたときのかわいさを例えられないほどかわいい!

何もかも全部全部全部かわいいーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

地球上で一番かわいい!!!!!!!!!!!!!」

丹生谷「くすすっ///」

勇太「でも何よりも」

丹生谷「......」

勇太「俺を誘ってくれるような、子供のように許して慰めてくれる優しい丹生谷が、嬉しかった......」

丹生谷「うん......。ちょっと目が」くしくし

勇太「はぁ......。はぁ......。はぁ......」

丹生谷「私のことずっとかわいいって言ってほしいって言葉、覚えてくれたんだ......。

なんだ、記憶力いいじゃない......。ごめん見ないで」

勇太「......(俺は泣かない。泣きたくない......)」

108 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:09:58.33 YDitP8hM0 108/120

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「ねえ、言っておくけど辞めるって話、あれ嘘だから」

勇太「ほんとか!?」

丹生谷「うん。心配かけてごめんね。くみんもみんな大好き。富樫君に焼いてただけ......///」

勇太「そこまでか/// 六花に悪い......。なんて謝ればいいか」

丹生谷「......忘れちゃえばいいのよ。今日のこと.......全部」

勇太「丹生谷!!?」

丹生谷「ううん。富樫君のこととっても楽しかった!

貴方は小鳥遊さんといちゃいちゃしてそのうち忘れるだろうけれど、いいの」

勇太「俺は忘れないぞ!!絶対!!」

丹生谷「あなたには小鳥遊さんがいるもの......。

私じゃ手に負えない。あの子みたいに純粋だったら......。ううん、なかったことにしましょ」

勇太「......。分かった。今日のこと忘れる。

でもな!絶対だぞ!誰が何と言おうと今日の出来事は!丹生谷のこと忘れないからな!!!!!」

丹生谷「はいっ。あげる」

勇太「これっ......。丹生谷の付けていたピンク色のヘアクリップ......」

丹生谷「人間だもの。すべて忘れちゃうわよ......。あんた、かっこつけすぎ......」

勇太「......。いいのか?登校日困らないか!!?」

丹生谷「大丈夫よ。まだ1個予備あるの。

ありがとね、銀色のヘアクリップ。

一生机の中で保管しとく!!!こんな大事なもの、捨てられない......!」

勇太「丹生谷......!」ギュッ

丹生谷「富樫君!!あのね......!あのね!!!気をつけなさいね!

デートで気遣いできるようにもっとフォローするの忘れないでね!

ヒール履く女性がいたらちゃんと小幅合わせてね!食事のマナー守ろうね!

困っている人がいたら頼んでないとか言わないで助けてあげようね!でも他人を裏切るまねはしないでね!

彼女困ることがあったら察して肩を撫でてあげてね!言葉の表面だけに囚われないでね!

辛いものは常に隠すものだから助けてあげてね!

......デートのお約束条項直していいデートしなさいよ!幸せになって!!!」

勇太「丹生谷だって!皆がいいって言うからって押されず反論してほしい!

嫌なときに猫かぶりされると余計辛いの分かってくれよな!

デート中にわがまま言わないように気をつけような!

ちゃんと謝れる人間になろうな!相手分かってくれるから!

俺は丹生谷よりデートの知識はないけど、でも丹生谷の心が傷つくの耐えられないからな!

遠く離れてもずっと守るからな!

ありがとう!丹生谷のおかげで俺、いいこととか、悪いこととかいっぱい、いっぱい教えてもらった!

絶対にいい男と丹生谷に呼ばれるぐらい男らしい男に成長するからな!!」

丹生谷「うん......。うん......。ありがとね......」

勇太「ありがとう......。ずっと覚えてる」

丹生谷「今日はありがとう......富樫君!」

勇太「今日の出来事、これまで生きた中で最高に楽しかったぞ!!」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」


109 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:12:57.09 YDitP8hM0 109/120


勇太「......」

丹生谷「......」


夕日が落ちる。

だんだん蒼い夜空が数えられないほどの星々を照らすようになって、

残されたのは夕日の薄く光るオレンジだ。

その色を見ただけで俺の隣の人を思い出し、辛くなる。

ベンチ越しに見る夕日と、見守られたような太陽の温かさも、

そして大きな川の太陽によるきらきらとした反射もなくなりかけていて、憂鬱感と辛さで胸が痛い。

公園の中に街灯が光っていく。

でも、丹生谷にその姿を見せてさらに辛い思いはさせたくない。

丹生谷の香水の香り、すっかり俺の体に馴染んでしまった。

対照に俺の獣臭い匂いなのに隣の丹生谷から漂ってくる。

限りなく嬉しいし、あの夕日を見れば限りなく悲しい。


俺達は来るべき時が怖くて、いよいよ目をそらして地面をただ見つめるだけになってしまった。

時間は非常にも過ぎていく。あれだけ時が経つのが楽しかったのに、今じゃもう。

だから俺は丹生谷の姿を目に焼き付けた。

肉眼が破裂してもいいぐらい、いつまでも記憶に残らせるようじっと見た。

丹生谷の髪の匂いに最初ドキッときた。あのときが懐かしい。

辛すぎて、時間を巻き戻せられたらいいのに。

丹生谷の体、髪も顔も肩も腰も柔らかくて本当に愛おしい。でも感触も忘れてしまうのだろう。

ふと、この色と、鼻筋を見ると、

あのころ、俺の部屋にあるマビノギオンを取ろうと猫を被った丹生谷が畑の広がる広い道路で、

俺の鼻をつんとついて「誰かさんが鈍いからだよ♡」と言われたあの頃を思い出す。

あのとき恋愛するんじゃないかと胸騒ぎした。

今思えば今回のデートも、怒られてもからわれたり、

犬や子供を見る目で慰められたり、とにかくいろいろあった。好きすぎてあげられない。

俺が見ていると丹生谷も俺の顔を見て、その瞳が愛おしいという意味を目の輝きで表していた。

俺達は無為に少ない時間を過ごした。

今日で終わる。この夏。奇跡の時間。


110 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:14:28.47 YDitP8hM0 110/120

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」



丹生谷......。


富樫君......。



心が通じ合う。

でもより一層心が段々苦しくなる。

こんな瞳を見る時間なんて、

今日がこれで最後だろう。

それでも二人の顔があるから喜びに満ちている。


勇太「......」

丹生谷「......」

丹生谷「最後のわがまま言っていい?」

勇太「うん......」

勇太「......」

丹生谷「一分間、眠っていい?」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「うん......」

111 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:16:33.30 YDitP8hM0 111/120

オレンジ色の小さくなった夕日の光が、丹生谷の髪の色とほぼ同じになっている。

俺も丹生谷も互いに手が動いて、

最初はプルプル震える手だったのに、丹生谷の体をそっと優しく、これ以上にないほど優しく、

今日のデートをオーバーするぐらいの優しさで、抱きしめる。優しく。強く。瞳を閉じながら彼女を感じる。

丹生谷も手を強く、今日のように優しく、温かく抱きしめる。

丹生谷も、俺も、互いに目を閉じて安らかに眠る。今日のことが夢であるように。

互いに温もりを感じる、この感触と温度を永遠に覚え続けたい......。

そのうち丹生谷の髪を、

左らへんを持ち上げてはそっと落とし、

右を持ち上げて柔らかな感触を堪能した後、そっと落とした。

うさぎさんの......形にして。

112 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:18:04.56 YDitP8hM0 112/120

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「帰りたくない......!」

勇太「......」

丹生谷「うえええええええええん!」

勇太「......」

丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええん!」

勇太「......」

丹生谷「うえええええええええええええええん!」

勇太「......」

丹生谷「うええええええええん!」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

勇太「......」なでなで

丹生谷「やだああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うええええええええええええええええええええええええん」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うえええええええええええええええええええん......」

勇太「......」なでなで

丹生谷「うええええん......」

勇太「......」

丹生谷「うええん......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

丹生谷「......」

勇太「......」

113 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:22:37.31 YDitP8hM0 113/120

丹生谷「......もう。大丈夫......」

勇太「ちょっと。顔拭く」

丹生谷「うん」


丹生谷「なんかさっぱりした!!!」

勇太「なにも後悔がないって感じで!なんか万能だな!!」

丹生谷「富樫君、銀色のヘアクリップありがとね」

勇太「大切にな!......俺達友達に戻るんだよな。できるかな......」

丹生谷「あ~ら。何言っちゃってんの!今の涙で今日の出来事全て吹っ飛んだ!」

勇太「それはないだろー!」

丹生谷「なら、恋心はここでおしまい。全ておしまいね。小鳥遊さんが家に待っているんでしょ!早くいきなさい!」

勇太「......。うん。丹生谷を見ても何にも感じない」

丹生谷「本当に?......ねえ、富樫君。私と一緒にカフェに行かない♡」グイッ

勇太「......。本当だ。何にも感じてない」

丹生谷「えっ!?あんたも恋冷めやすいのね!よかった!」

勇太「今日のこと、必ず役立てるからな!!!」

丹生谷「今日は楽しかった。まるで夢みたい」

勇太「明日になったら普通の友達になるんだろ?信じられない!」

丹生谷「そうよね。まるで夢みたい......。いい夢だったわ」

勇太「そっか。よかった!卒業しても、遠く離れた場所でも友達でいような!」

丹生谷「富樫君こそ小鳥遊さんを泣かせないでよー!いつまでも元気でいてね!!!富樫君!!!」

勇太「8月30日、誕生日おめでとう!」

丹生谷「私あと1歳で大人になれる!」

勇太「じゃあな。俺、ちょっと用事でここに残る」

丹生谷「そうなの!?じゃ、先行ってるね!」

勇太「にぶたにーーーーーーーーーーーーーー!!!!!さよならーーーーー!!!!」

丹生谷「とがしくーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」

勇太「にぶたにーー!!!じゃあなーーーーーーー!!!」

丹生谷「とがしくんーーーーーーーーーー!今日会えてよかったわよ!!!!」

勇太「にぶたにーーーーーーーーー!!!!!」


俺達は恋心を浄化して友達に戻ってさよならの挨拶をして、

少し丹生谷が下がったらと思ったらその名前を無性に叫びたくなって、また大きく挨拶する。

丹生谷が小さくなるまで手を振り続ける。

そして、丹生谷は顔も見れないぐらい小さくなって、指

に遠くの丹生谷の姿がすっぽり入るぐらい、小さくなった。

丹生谷を慰められた。俺はお詫びとして聖人君主でいられたかな。

終わった。今日の全てが。


114 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:25:52.11 YDitP8hM0 114/120

......。


かなり遠くにいる丹生谷が足を止め俺の方にじっと見続けている。

だからさよならを言った。

だけど、なにか。じっと俺を見続けているようで。


6時00分の時刻を確認する。

ぽーん、ぽーん、ぽーん、

という時計台の機械音声が3回なる。


目を離した隙に、丹生谷は極小から俺に少しずつ近づいて、走って駆け寄って来た。


乙女のように走り、段々俺のいる場所まで近づく。


時計台の音が2回鳴っていく。


丹生谷の髪が揺れているのが分かって、

彼女の足音が空に響いて、

少し荒い息をした音が聞こえて、

甘い匂いが漂ってきて、

とうとう顔がくっきり見えるところまで来て、

俺の体の近くまで来て、

手を握れる範囲まで来ると、俺に向かって飛んできて、






......そして俺のほっぺに、ほのかな甘い感触がー伝わった。




キスだ。







丹生谷「友キス......」




丹生谷「」ダッ


潤った瞳で、その言葉を伝えると一瞬で、まるで逃げるように公園から、俺から遠ざかった。

丹生谷の周りから弾けて飛んでいく涙を、夕日のかすかな光できらきらと映していた。


丹生谷......



......本当に......丹生谷......俺のことが......



......好きだったんだ......



俺はその意味に立ち尽くすしかなかった。

言葉が出なかった。

ゴマ粒みたいになる彼女をただ見つめて、そして消えていく......。

俺の後ろで機械時計の最後のぽーんという音が、虚しく公園中に響いた。


115 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:28:13.52 YDitP8hM0 115/120

力が起きない。

なにもやる気がない。

歩く気もない。

ただ公園のベンチの上に座って、地面の模様を見続ける。


丹生谷の訴えに、俺ではどうしようもないから聖人君主でいようとした。

だからせめてでも喜ばせようとお姫様にした。喜んでもらってよかった。

よかったのに......。

丹生谷の思い。伝えたかったこと。

ようやく分かった。愛がこんなにつらいなんて。

罪悪感で死にそうだ。



ふと、空を見上げる。

夜空に染まって星が光る。

あの夕日の下でデートをしたんだよな。



少し寒くなった夜の世界で、


消えそうな夕日のかすかなオレンジ色の光が俺の体に当たって慰めてくれて、


その温かさに心が壊れそうだった。




今日のデート、




楽しかったな......。





あの日の夕日は、もう来ないんだ。




116 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:31:53.75 YDitP8hM0 116/120



もし、



もし、



夕日の畑の広がる場所で、



丹生谷と二人っきりになった場所で、



恋心を抱いたあのときに、



強引に丹生谷の手を引っ張って、



告白できていたら......






勇太「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」



勇太「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



勇太「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



勇太「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




勇太「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」









虚しい声はもう誰にも響かない。

大粒の涙がベンチと地面に水玉模様をつくり、

涙が一生枯れるぐらい、

地面に水たまりのできるぐらいの、

現実の地面に何も残らないほどの、

頭が割れるような、

後悔の雨を降らし続けた。



117 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:34:19.97 YDitP8hM0 117/120

第6話「                      」


教室


勇太「丹生谷!大丈夫か!!」

丹生谷「あら!富樫君!宿題ならバッチしよ!」

勇太「そうじゃなくて、あれだよ!」

丹生谷「大丈夫よ。今じゃ元気よ。少々家荒れちゃったけど」

勇太「ああ、よかった。借りてたハンカチ」

丹生谷「ありがとう。私達友達なんだから、あまりいちゃつかないでよね」

勇太「......。六花はまだだ。先に来た」

丹生谷「ねえ、弁当に肉じゃが作って来たんだけど、食べる?」

勇太「 えっ...... 」

丹生谷「食べる?」

勇太「友達としてなら、うん」

丹生谷「本当は富樫君のために作ってきた愛妻弁当なんだけどね」

勇太「やめろよ違う///」

丹生谷「顔がマジになってた。 えっ......って、なに!!!!不倫!不倫!」

勇太「違うだろ/// またそうやって人をからかう! 何も変わってないな!」

丹生谷「富樫君が私の弁当を食べたいってーーーーーーーーーーーーーー言うんだけどーーーー!!!!!

ねえみんなこれって!!!!!!!」

勇太「しー!このっ!」

丹生谷「きゃ! やだ!触らないで!!!この不倫ですー!!!!不倫!!」

勇太「違うって!」

丹生谷「こーこまでおいでー!!!おバカさん! この人ねー!!!知ってるー!!!?」

勇太「待てよ!」

丹生谷「きゃ! きゃ!」

勇太「丹生谷、待ってー!」

丹生谷「やーーーーー!」

勇太「待って――――――!」

丹生谷「やーー!」

勇太「おいっあいつの姿が見えただろ!やめろ!!!」

丹生谷「やーーーーーー!」

勇太「おいっ。待ってー!!」

丹生谷「富樫君来てー!」

勇太「待ってーーーーーーーーー!」

丹生谷「いやーーーーーーーーー!」

勇太「あはは」

丹生谷「ははは」

勇太「あはは」

丹生谷「ははは」


第6話「二人はいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ」


END



118 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:37:49.59 YDitP8hM0 118/120

あとがき
作品の雰囲気をぶち壊されたくない人はブラウザバッグで。
お読みいただき大変ありがとうございました!!!
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」を読んでくださり本当に嬉しいです!!!
ありがとうございます!
泣けてもらえたら最高に嬉しいです。
この話は前半はらき☆すたみたいにあるある話を想定して、
それから恋でキュンキュン、最後泣けるように作りました。
本当に大変でした!!!私もあんな純粋な恋がしていたいなー。
ちょっと言っていい?
センテンススプリング!!!ぷーーーーーーーー!!!あははは!(以下自粛)
いや、浮気はダメだけど悲しいからだけど、片思いみたいな恋の結末で終わる純愛の浮気なら私はありと思います。
でも本当に本妻を泣かしたら絶対アウトだと思います。
それと生の感想として。やっと終わったああああああああああああああああ!!!!!
眠たい!!!!!!やっほおおおおおお!!!
できて長年の夢が果たせてすごく嬉しい激熱ファンタスティックエブリデー!!!!
やっと寝られる!間に合ってよかったー!嬉しい!
数年前からの夢がとうとう実現できて泣きたいですほんと!!!
感想ね、もう悲しい!私、何度も泣きました。シンデレラみたいに映したくて......あ、感想後ろで話します。
え?あとがきに作者のコメント入れんな寒いって?
あとがきで作者の自分を褒められない奴は作家なんかやるんじゃない!!!ってネットで見て、
はっとして以来どう思われようが大作限定で付けてます。そういうポリシー。
それと、ごめんなさい!改行のないせいで見にくいと気分を大いに害したと思います!
申し訳ございませんでした!
本当は自分も改行したほうがいいと思ったのですが、
3年前コメントで「100レスいくなら次スレ立てて続編したほうがいいよ」とのアドバイスを受けたのですが
一つのスレにその話を完結させてまとめたい強い思いから、
あえて数百レスをとうに超える話も雑多に改行を圧縮しまとめ上げようと決めました。
誠に申し訳ございませんでした!!!
これから先2018年からの約10年間、
短編でないこのような大作をアップすることは絶対にないので、改行面に関して、ご安心ください!
今回2018中二恋映画記念ということで私的に記念になろうと
六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」の2作品を掲載いたしました!
あと残り一つ作りたいと思ってます!
中二恋SSの中で今まで誰もやった事のない楽しい!最高に楽しい!
改行は登場人物が多いためひたすら会話だからしてる!そんなSSをまた作ろうと思います!
これ含め、3部作で私のお祝い超大作SSは終息します!ぜひご期待ください!
過去の作品の反省会をしたいと思います。
まず、ごめんなさい!六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」で大いに邪王「心」眼と誤表記いたしました!!!!!
肝心なところをゲシュタルト崩壊してどうすんの!!へたこいたー!
正しくは邪王真眼です。ごめんなさい。
それと前作(森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」)の最後の大団円で、
凸守登場させられなかったの本当に悔しかった!
別に凸守嫌いじゃなかったんだけど、私がバカだったせいでこの子の喋り方が当時マスターできなかった。
さんざん「マスター!」「サーヴァント!」と連呼していたから、
私てっきりフェイト(セイバーのあれ)からパロディ引用してきたのかなと、でも京アニがやるなんて、って誤解してたら、
ただ単にジャンプとかのバトル漫画からセリフを現実に当てはめてただけなんだ......ってことありました。
あー、悔しいな。時間が巻き戻せたらあの汚点は。今では凸守の動機とセリフ自由に創れるようになって、
私の扱いやすい中二恋キャラ上位に入ってます。成長しました!
でも私、凸守と丹生谷が二人一緒にいるシーン見ると、
勇太じゃないからきぃー!ってやきもち焼いて嫉妬しちゃうんだよね。凸守も好きだよ。
でも丹生谷は勇太と笑ってほしい。
凸守といえば虎虎先生、中二恋3巻で凸守を編集者の指示されたのか分からないけど雑に入れたところネットでこの原作者がバッシング受けて、
それで4巻、あとがきに作者のコメントを息殺して、
凸守口調でひたすら話す悲しいことになったのかなぁ。って思います。
あとがきを素直に虎虎先生の話の締めくくりで聞きたかったな。
オルガネタやけもフレネタ入れた人だったから、ネットのバッシング見たのかな。
丹生谷「勇太をなんとしてでも独占したい!2」について。
感想の話をする前に、なんでこれ続編じゃないのに、「2」を入れてるのか気になる方いると思います。
実はこれリメイク作品(作り直し作品)です。
森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」が没作品(親作品)となっております。
前回は虎虎先生の丹生谷を森様、表記にツンデレ書いて勇太といちゃいちゃさせようと思っていたんです。
それが今回アニメ版丹生谷をモチーフに話を進めて行こうと思い丹生谷「~」と表記しました。
森様はわざとやりました。六花は辞書登録云々でああいう結果になりましたがあの話以降標準に戻しております。
今回ここしばらくゆうたゆうたと書いていたから括弧前の表記に違和感なく慣れてしまったから苗字読みでなくなったんです。
よかったら出来酷いですがぜひ前回も。

119 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:40:45.21 YDitP8hM0 119/120

シンデレラ!

シンデレラ!

シンデレラ!丹生谷をシンデレラみたいに映したいって夢本当に叶えて嬉しいんです!!!!!
感動!泣ける!もう丹生谷がかわいそう!ドレスを着た丹生谷見て見たい!
丹生谷かわいいよね!全部!take on meで六花がお嬢様みたいにラストされてたじゃないですか。ちょーかわいいやつ!
あれを丹生谷にもさせてみたいなって思いました。それで本物のシンデレラに。
中二病と絡めて、宿題をして遊んだあのころに帰って(ノスタルジー)、
大きくなったらシンデレラになるー!という夢をこの作品で表現できて光栄です!
そうそう。前回の、六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」の舞台が夜だったので中二病な空と対する
現代チックな夕日を舞台に丹生谷を輝かせたいと思って夕日を選んだんです。
それにしてもシンデレラ扱いされるって憧れるわー!
それと、今回結末があれじゃないですか悲しい話で終わる。
だから、後悔しないようにいっぱい午後恋心を楽しんでもらったんです。
そうじゃないと、もう浄化が悲劇と釣り合わないというか罪悪感で溺れそう(笑)。
あ、別の話でおっぱいのことなんですが、
勇太をあの描写なしで返すと聖人君主でただの罪悪感で丹生谷を見送ったことになるから何か報酬をさせたいと思ってあれしたんです。
それと......揉んだら柔らかそう()。
丹生谷がかわいいからっていう理由でこんなSSを創れるとは思いませんでした!
子供みたいな、誰にも叱れず、何一つ縛られない世界に行きたいなー。
あんな悲劇、悲しいけど、なんか温かくて好き!貴方はどうですか?やっぱ浮気じみてたから嫌い?
3年前私悲劇書くの恐れてたんですがここまで成長したんだなーと思います。

実は前作(森様「勇太をなんとしてでも独占したい!」)で、
今作のようにバッドエンドで終わるはずが。私、逃げてたんです。
こんな非情な展開で終わらしたくないって、現実見たくないって、逃げたんです。
だから、前作で二人が無駄に対立してあんな風に......。
だから今回リベンジして無事に悲劇を書き終えることができました!!!
悲劇を描きたくない前回の自分に勝った!!!!!悲しかったけど、本当嬉しかった!!!!
アイスキュロス(悲劇作家)の右頬をぶってやったぜ!やったーーーーー!!!
うん......、この丹生谷のSSを書くためにわざわざ人生刷って遠回りでここまで来て。
丹生谷にとっての最高の作品が完成できた......。もう思い残すことはない。
勇太と丹生谷のいちゃいちゃのストーリーを書くことができて、
こんなことはもう二度とできないだろうと思って、
それで最高傑作ができた。こんな力ができた。......私は今、最高に幸せだ。

丹生谷って顔もかわいいし、胸も大きくて、性格も猫被っている割に裏の顔みせて楽しいし
でも困ったら助けてくれる母性愛......そんな丹生谷を私、本当に愛しています!!!
それと、私が中二恋を3話で切らずに見続けたってのが、
丹生谷のかわいさと愛くるしさ、
特に1話の勇太と丹生谷が鏡で一緒になるシーンで運命の出会いって私ドキドキしたんです!!
そのおかげで映画まで見ることができました。1話見てこいつら結ばれるのかなと思って。
その後むしろ勇太×丹生谷結ばれてほしい!!!!って
熱気に包まれながらフラグ折られてああっ......ってなったのを覚えています。
take on meのときも勇太にムッとした丹生谷が近距離で話しかけて視聴した私がドキッってなりました!
どうしても結ばれなかったのか!!!?
六花もいいけど丹生谷と結ばれて二人のいちゃいちゃが見たかった!!!
1期の夕日に映る丹生谷と勇太の姿に惚れちゃったよー!
だから私は補完したいなって思ってる。車のサファリゾーンで驚く二人をみれたり、
お祭りでぶーぶー文句垂れる丹生谷をみれたり、二人でサッカー観戦して喜びを共鳴し合う。
くだらないお笑い番組......最近TVつまらないっていうけど、
カップルで笑い合い、ツッコむ二人を想像すると、楽しそうだなあ。そういうの夢見てる。
中二恋はもう映画で終わっちゃったけど、二人の新しい物語をもっともっと見ていたい。
笑う、丹生谷。困る勇太。二人ともいつまでも見ていたいな。
いーい!教えるけどね!「たのしい!」「悪かった!」「ありがとう!」っていかにもテンプレな表記に見えるけど!
テンプレじゃなくてその人がその言葉を言ったから重要なの!!誰かが「笑った」じゃ務まらないの!
丹生谷が笑ったから世界は楽しいの!だから愛してれば、別に......テンプレでもいい......。

120 : ◆pkD6GEA.uY - 2018/08/29 23:43:33.86 YDitP8hM0 120/120

私的なことなんですが、「世界の中心で、愛を叫ぶ」って恋愛映画あったじゃないですか。
あれのロケ地(香川県の庵治町)に行きました!!!最高だったよ!
ロケ地が80年代の建物の港町でかなり古臭くてすごくよくって、
巨大なロケ地の看板にここは○○が~したシーンの場所ってのがあって、
その14か所のシーンが、私はまだ映画未視聴で見たいと思ってますが、
まるで映画と変わってなくてガチで感動しました!言葉出ませんでした!
青い海洋と小さな場所を巡るたびにふと「誰にも知られないような小さな町で、
好きな人をただ一筋に追いかけていく。私にはできないや」と青春の意味と度胸を再確認できて、
私も作品も成長できて本当によかったと思います。
観光交流館には、映画のクイズや写真館、
セカチューファンのための黒板(東京からから来たーなどのメッセージ)本当にすごかったです!
それとマジですっごーいのが!純愛の聖地、純愛ロードと言われる、
城岬公園(しろみさきでなく、しろばなと読む)がとってもきれいだった!!!
目の前に広大な透けた青空と巨大な海洋、そして島、それを一人を背景に贅沢に一望できるベンチと広場。
また行ってみたいぐらい綺麗でした。
そしてその公園には、石を掘ってできた愛のメッセージ(告白文コンクールの)文集を見てドキッてときめきました。
横に見たこともないようなすべすべになるほど丸いハート型の石像やベンチもあって、
思わす「あ、ここやばい///」みたいになりました。あ、話しすぎた(笑)。
行きたい方は天気のいい日にぜひ!

さて、最後になりました。私のこのSSに費やした30日間もとうとう終わりかぁ。
名残惜しいなぁ。ううん。二人を幸せにできてよかったなって満足感でいっぱいです!
さて告知を。例の3部作をもし終えたら私の生きる意義がなくなっちゃいます。
なので2028年の1月6日にまた超長文SSを投稿して(虎虎先生に憧れて作りますので改行面は誠に申し訳ございません)、
その内容が!勇太と丹生谷が結ばれる!っていう華やかで、
いじめとかなしで楽しい話を作ろうと思ってます!もう構想はできています。
もしかして丹生谷俺のことを......っていうのやりたいです!!!私が生きてたらお楽しみに!
そしてまだまだ!!!私、決めました。やっぱり丹生谷と勇太じゃないと、人生がつまらないんです。
二人が結婚するかしないかでも、イチャイチャする短編SSを書きたいと思います!!!
私が好きだから!絶対批判くると思いますが私は勇太と丹生谷の二人が大好きなんです!くっつけます!


その名も「ゆうにぶSS」と称します!勇太×丹生谷メインのSSを指すことを示します!!!

平成30年8月30日、ゆうにぶSSの創立を宣言する!

うん....../// これからバシバシ、は無理か、1か月か1年か10年に一回投稿したいです。
勇太と丹生谷の結ばれるifルートのラブラブっぷりを見ていきたいと思います!
さあ、最後に、締めましょうか!
あとがきの最後までお読みいただきありがとうございました!!!
中二恋好きの皆さん!丹生谷好きの皆さん!そして皆さん!
またお会いしましょう!


にぶたに!


ずっと!


あいしてるよ!



ここで見ている皆と、勇太と丹生谷で、
また一緒に冒険がしたいな






じゃあね!





恋人の聖地 その101
勇太と丹生谷のイチャイチャぶりでニヤニヤできた方は
将来必ず、素敵な人に出会って結婚できます




♡ モリサマー ラブ ♡




NO END 中二病でも恋がしたい!

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