女忍者「やぁっ!!」
先輩「おー、いいな。手裏剣の扱いはもう完璧といってもいいな」
女忍者「そ、そうでござるか?ならば全ては先輩のおかげでござる」
先輩「謙遜するな。お前は我が忍者学園の次世代を担うエースなんだからな」
女忍者「そ、そんな……照れるでござる……」
先輩「そういえば、そろそろ昇級試験だな。まあ、お前のことだからなんの心配もないだろうが」
女忍者「はっ!拙者、必ず昇級してみせるでござる」
先輩「よし、がんばれよ」
女忍者「がんばるでござる」
元スレ
女忍者「拙者、えっちな事は苦手でござる。やめて」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1319418689/
―――翌日 教室―――
女忍者「……」
学園長「えーでは、昇級試験の内容だが、各人それぞれとある任務についてもらう」
学園長「その任務を遂行できた者を合格とする。いいな」
「「はい!!」」
女忍者(全員合格も可能ということでござるな……よし、がんばるでござるよ)
学園長「では、一人ずつ前にこい」
――――
学園長「―――次!!」
女忍者「はっ!!」
学園長「お前の任務だ。頑張れよ」
女忍者「はっ!がんばるでござる!!」
女忍者「……さて、肝心の内容は?」
女忍者「……!?」
―――女子寮―――
女忍者「……」
友忍者「ねえねえ、試験内容はどんなだったの?」
女忍者「う、うむ……」
友忍者「私は、駅前のケーキ屋の売り上げをどんな手を使ってでもいいから年商1億にするって任務だったよ」
女忍者「それは中々の長期任務でござるな」
友忍者「でも1億になった時点で終了だから、まあ半年ぐらいでやり遂げてみる」
女忍者「が、がんばってくれでござる」
友忍者「で、あんたは?」
女忍者「……こ、これでござる」
友忍者「……県立高校に潜入して、男を一人寝とれ……?」
女忍者「拙者、そういうことは苦手でござる……」
友忍者「あー、そっか、あんた床下手だもんね」
女忍者「ござる……」
友忍者「まあ、忍者はそっちもできないといけないからね」
女忍者「そうでござるな」
友忍者「がんばれ」
女忍者「……」
友忍者「不安?」
女忍者「昇級は難しいかもしれんでござるなぁ……」
友忍者「大丈夫だって」
女忍者「……」
女忍者(寝取れということはやはり、えっちなこともしないといけないのでござるな……)
女忍者(初めては先輩にって決めていたのに……)
女忍者(忍者、やめようかな……で、ござる)
―――数日後 高校―――
担任「えー転校してきたのはこの子だ」
女忍者「よろしくおねがいしますでござる」
「ござるだってー」
「かわいいー」
「うひょー」
担任「おらおら、騒ぐな。じゃあ、君の席はあの空いてるところだから」
女忍者「承知した」
女忍者(潜入は成功……あとは彼女のいる男子学生を見つけるだけでござるな)
女忍者(早く学園に帰りたい……で、ござる)
女「よろしく」
女忍者「あ、うむ。よろしくでござるよ」
女「ござるってなに?」
女忍者「変でござるか?」
女「うん……まあ、個性があっていいとおもうけど」
―――昼休み 教室―――
女「ねえねえ、ご飯食べよう」
女忍者「承知した」
「私たちもまぜてー」
女忍者「うむ」
女「前はどこにいたの?」
女忍者「前は伊賀の方でござる」
「伊賀?」
女「三重県のことかな?」
女忍者「多分」
女「へえ、前の学校ってどんなところだったの?」
女忍者「こことさしてかわらんでござるよ」
「三重かぁ。いったことないなぁ」
女忍者「いいところでござるよ?一度、来てみるといいでござる」
女「――ごちそうさま」
女忍者「ごちそうさま」
女「あ、学校案内してあげようか?」
女忍者「おお、それはすばらしい。是非ともお願いするでござる」
女「うん、いいよ。いこっか」
女忍者「うむ」
――――
女「―――ここがトイレ」
女忍者「なるほど(メモメモ」
女「なにしてるの?」
女忍者「見取り図でござる」
女「見取り図って……」
女忍者「折角、丁寧に教授していただいているのでござるからして、見取り図は完成させねば」
女(真面目な子……かわいい)
女忍者「ふむふむ……便器は10でござるな……なるほど」
―――体育館前―――
女「―――ここが体育館。体育館へはこの渡り廊下を通るのが教室からの近道だね」
女忍者「はっ!了解したでござる!!」
女「あはは、変なの」
女忍者「そうでござるか?」
女「見取り図できたの?見せて」
女忍者「見せるほど立派なものでは……」
女「いーから」
女忍者「う、うむ……」
女「へえ……すごい細かい……この黒い点はなに?色んなところにあるけど」
女忍者「それは隠れやすそうなところを記したのでござるよ」
女「隠れやすそうな……?」
女忍者「うむ。隠れるポイントは重要でござるからな」
女「そ、そうなんだ……」
女(隠れて何するんだろう……?)
―――放課後―――
女「ねえねえ、一緒にかえろ」
女忍者「すまぬ。今日は用事があるの……でござる」
女「そうなんだ……じゃあ、また明日ね!」
女忍者「うむ。バイバイでござる」
女忍者「さて……」
―――男子トイレ 個室―――
女忍者「……」
女忍者(誰も来ないでござるな……ここで男子の会話を聞いて誰に彼女がいるのか調べようと思ったのに……)
女忍者「………」
女忍者「……………」
女忍者「………………」
女忍者「………………ぐぅ……すぅ……」
―――夜 男子トイレ―――
女忍者「は……!?」
女忍者「今は……もう8時でござる……」
女忍者「早くでないと……」
―――廊下―――
女忍者(誰もいない学び舎は不気味極まりないよ……で、ござる)
女忍者(は、はやく外へ……)
担任「―――誰だ!?」
女忍者「うわきゃぁ!?」
担任「なんだ、お前か。こんな時間まで何をしていたんだ?」
女忍者「あ、えっと……」
担任「早く帰れよ」
女忍者「は、はい……すいません……で、ござる」
女忍者(これからは気を付けないと……)
―――自宅―――
女忍者「はぁ……つかれたー」
女忍者「早くブラウス1枚になろっと」
女忍者「―――今日は何をつくろうかなー♪」
ピリリリリ!
女忍者「あ、携帯……はい?」
友忍者「やっほー!初日の任務どうだった?」
女忍者「いや、中々厳しいでござるな」
友忍者「そっか」
女忍者「そっちはどうでござるか?」
友忍者「店長がいやなやつでさぁ。もう何回おしりを触られたことか。こんどやってきたら忍法くらわしてやる」
女忍者「ほどほどがいいでござるよ?」
友忍者「わかってるって。あ、絶対にケーキ買いに来てよ?待ってるからね?」
女忍者「うむ、必ず行くでござるよ」
―――翌日 高校―――
女「おっはよー」
女忍者「うむ。おはようでござる」
女「今日もがんばろうね?」
女忍者「そうでござるな」
―――教室―――
女「そういえば今日の体育、体力測定なんだって」
女忍者「ほお。それは面白いでござるな」
女「そうかな……?地味なことは嫌なんだけどなー」
女忍者「拙者はそういうの大好物でこざるが」
女「好物……あ、ねえ、好きな物ってある?」
女忍者「唐突でござるな……好きな物……あ、ジョギングは好きでござるな」
女「えっと……趣味とかは?」
女忍者「ランニングでござるな」
女「もういい……ごめん」
―――グラウンド―――
教師「じゃあ、50メートルのタイムを計るからな」
「「はーい」」
教師「出席番号順に二人ずつだ。―――ピッ!」
ダダダダダダッ
女「はぁ……私、足が遅いからなぁ……」
女忍者(みな彼氏の話もしてないでござるな……このクラスには交際している女子がいないのか……?)
女「どうかしたの?」
女忍者「いや。それよりも足が遅いことは別に恥ずかしいことではないでござるよ?」
女「そうかな……」
女忍者「うむ。拙者もそんなに早い方ではないでござるから―――」
教師「次!」
女忍者「拙者の番でござるな」
女「がんばって」
教師「―――よーい、ピッ!」
―――教室―――
「ねえねえ、すごかったよね!!」
女忍者「な、なにが……?」
「さっきのタイム走!4秒フラットだったじゃん!」
女忍者「たまたまでござるよ……」
「たまたまであんなタイムはでないって」
女忍者「そ、そうでござるか……?」
「そうだよ、ねー?」
女「あ、う、うん……そうだね」
女忍者「そう言われると照れるでござるな」
「ねえねえ、どんな練習したらあんなに速くなれるの?」
女忍者「それは……企業秘密でござる」
「えーケチー」
女忍者「あはは」
女「……」
―――昼休み 教室―――
女「ごはん食べよ!」
女忍者「うむ。あ、その前にちょっとお手洗いに」
女「うん」
―――トイレ前 廊下―――
女忍者「といれー、といれー♪」
「フヒヒ、これみてくれよ」
「おお、かわいいなー」
「俺の嫁だ」
女忍者「……!?」
女忍者(今、男子便所から聞き逃せない単語が……嫁……!?)
「今年のクリスマスはこれで安泰だ、フヒヒ」
「いいな。まあ、俺にもこの子がいるけど」
女忍者(これはチャンス……どんな人物か確認せねば……よし、出てくるまで待ってみよう……でござる)
女忍者「……」
男子「フヒヒ。今度、買いにいこうぜ」
眼鏡男子「いいのお。いこういこう!!」
女忍者(……なるほど)
女忍者(彼らには嫁……つまり恋人がいるのでござるな)
女忍者(どこのクラスかつけてみよう)
―――――
男子「フヒヒヒ。イカ娘かわいいよな」
眼鏡男子「今期の嫁は豊作ですなぁ」
女忍者(婚期の嫁……方策……よくわからん単語でござるが、恋人がいることは確定でござるな)
女忍者(にしても……)
男子「フヒヒヒ」
眼鏡男子「ウィヒヒヒ」
女忍者(あの殿方たちを相手にしなければいけないのでござるか……)
女忍者(い、いや。早く任務を終わらすためでござる。それにあの殿方たちなら組み易そうだし……やれるだけやってみよう……でござる)
―――教室―――
女「あ、お帰り」
女忍者「ただいま」
女「さ、はやくたべよ」
女忍者「うむ」
女忍者(さて……今日から早速実行に移さなくてはならんでござるな)
女忍者(どうやって接近しようか……)
女「どうしたの?」
女忍者「え?」
女「悩んでるみたいだけど?」
女忍者「……一つ、訊いてもいいでござるか?」
女「うん、なにかな?」
女忍者「男性を誘う時、第一声はどのようにすればいいのでござるか?」
女「え……」
女「ど、どういうこと、かな?」
女忍者「あ、えっと、気になる男性がいたので声をかけてみようと思うのでござるが、拙者、そういうことは苦手で……」
女「気になる男性……この学校の子?」
女忍者「そうでござる」
女「……」
女忍者「どうしたでござる?」
女「あ、いや……なんでもない」
女忍者「で、どうすればいいでござるか?」
女「うーん……」
女忍者「……」
女「どこかのお店に誘ってみればいいんじゃないかな?喫茶店とか」
女忍者「ほうほう(メモメモ」
女「そこから色々と話してみたり……したらいいんじゃない?」
女忍者「なるほどなるほど。分かったでござる!!感謝感謝。―――あ、この昆布巻きあげるでござるよ」
女「あ、うん……ありがとう」
―――放課後 教室―――
女忍者「よし!!」
女「……」
女忍者「あ、バイバイでござる」
女「う、うん……がんばってね……」
―――廊下―――
女忍者(確か、このクラスに……)
DQN「おい、糞デブ。お前の所為で床が汚れたんだから、独りで掃除しとけよ」
DQN女「ぷー、クスクス」
男子「……」
DQN「返事は?」
男子「わ、わかったよ……」
DQN「じゃあ、かえろうぜ」
DQN女「ねえ、今日はどこいくー?」
男子「くそ……くそが……」
女忍者(昼間にいたもう一人の眼鏡の人はいないでござるな。別のクラスだったのかな……でござる)
男子「なんで俺が……一人で……」
女忍者(このクラスは一人で掃除をやることになっているのかな……でござる)
男子「……(ゴシゴシ」
女忍者「―――あの」
男子「え……だ、だれ?」
女忍者「えっと、一人だと大変じゃないでござるか?」
男子(ござるって……ネットの言葉使う女初めてみた……)
女忍者「……?」
男子「た、大変じゃないよ……別に……」
女忍者「でも、時間がかかるとおもうでござるが」
男子「それは……」
女忍者(長引かれても退屈でござるし……)
女忍者「拙者が助太刀するでござるよ!!掃除は得意でござる!」
男子「え……な、なんで……?」
女忍者「よいしょ……よいしょ……で、ござる」
男子「あ、ねえ、えっと、誰なの?」
女忍者「まぁ、気にしなくてもいいでござるよ」
男子「気になるよ」
女忍者「んー、確かに目的がなくて近づいたわけじゃないでござる」
男子「な、なにが目的なの……?」
女忍者「掃除を手伝うかわりに私と一緒に下校してほしいんでござるよ」
男子「ど、どど、どういうこと?!」
女忍者「どういうことも言葉通りの意味でござる」
男子「……だ、騙されないぞ」
女忍者「え?」
男子「ど、どうせ罰ゲームとかなんだろ……もういいよ、そんなの。散々、やられてきたし……」
女忍者「罰ゲーム……?」
男子「俺をからかわないでよ……」
女忍者「意味がわからんでござるな」
男子「一人で掃除するから……もう帰ってくれよ」
女忍者「それはできん」
男子「なんで……」
女忍者「拙者はおぬしと決めたのでござる!」
男子「もういいだろ……ばれてるんだから……」
女忍者(まさか……忍者であることに感づいているのでござるか……侮りがたし!!)
女忍者(だが、それを隠し通すも忍びの運命……押してまいる!!)
男子「ったく……こんな可愛い子が僕のところに来るわけないんだ……」
女忍者「何を疑っているのかは知らんが、拙者はおぬしがなんと言おうとも一緒に下校するでござるからな!!」
男子「な、なんでだよ!!」
女忍者「さあ、掃除を終わらせるでござるよー」
男子「あ、おい……」
女忍者「よいしょ……うんしょ……で、ござる」
男子(この子、もしかしてすごい虐められてるか……こんなに明るくていい子なのに……)
女忍者「花瓶の水もかえておかなくてはならんでござる」
―――30分後―――
女忍者「よし!これでいいでござるな!!」
男子「あ、うん……」
女忍者「さあ、一緒に帰るでござるよ!!」
男子「ちょ……手を引っ張るなよ」
女忍者「あ……ここには嫁とやらはいないでござるか?」
男子「よ、嫁……?」
女忍者「うむ。同じ学校ではないでござるか?」
男子「そ、そんなのいないよ」
女忍者「おお!それは好都合―――っとと、そんなことを言ってはいかんでござるな」
男子「……何をいってるの?」
女忍者「ど、どうでもいいでござるよ!――さ、一緒に下校でござる!!」
男子「あ、ちょ……」
女忍者「駅前にいい感じのケーキ屋さんがあるでござるから、そちらにいこうよ……でござる」
男子「ケーキ屋……?」
―――駅前 ケーキ屋―――
友忍者「いらっしゃいませー」
女忍者「失礼するでござる」
友忍者「お」
女忍者「……」
男子「……こ、ここは……?」
友忍者(ええー!?こんな子にしたのー!?)
友忍者「こ、こちらのテーブルにどうぞ……」
女忍者「うむ」
友忍者「(ちょっと、もうちょっとマシな人にしなさいよ)」
女忍者「(この殿方しかいなかったでござる!!)」
友忍者「(そんなバカな!?)」
男子「ど、どど、どうかしたの?」
女忍者「なんでもないでござる。さ、こちらに座るでござる」
友忍者「……」
友忍者「ご注文は?」
女忍者「んー……」
男子「……」
女忍者「この、もんぶらんというのを」
男子「俺はコ、コーヒーで」
友忍者「かしこまりましたー」
女忍者「どうでござるか?」
男子「え……な、なにが?」
女忍者「店の雰囲気でござるよ」
男子「あ、えと……・女の人ばかりで居心地わるい……かな」
女忍者「そ、そうでござるか……すまぬ……すまぬ……」
男子「あ、いや……」
女忍者「デートなど初めてで、拙者にはどこにいけばいいばよくわからんでござる」
男子「そ、そうなの?」
女忍者「できればおぬしの行きたい場所を教えてほしいでござるな」
男子「行きたいところか……」
店員「いらっしゃいませー」
女「ここ、おすすめなんだー」
「へー」
女忍者(あれ……?)
女「あ、奇遇だね!」
女忍者「おお」
「あれーどうしたの?」
男子「……」
女「その子が……気になってたって子?」
女忍者「そうでござる」
「ちょっと趣味悪くない……?」
「う、うん……」
男子「……」
女「お邪魔したら悪いし、私たちは向こうにいくね」
友忍者「お待たせしましたー」
女忍者「すまんでござる」
男子「……あの」
女忍者「なんでござろう?」
男子「やっぱり俺と一緒にいると……」
女忍者「どうしたでござる?」
男子「き、きみにはもっといい人が合ってるよ……そ、それじゃあ」
女忍者「あ、ちょっと!」
男子「は、はなして……腕……」
女忍者「離さない」
男子「な、なんでだよ……」
女忍者「拙者はおぬしに決めたと言ったでござろう?」
男子「……で、でも……」
女忍者「まだ拙者はこの栗まんじゅうを食していないでござる。すこし待ってよ……で、ござる」
男子「う、うん……」
女「……」
「あの子、あんな陰キャラっぽいのが好みなのかな?」
「変わってるね」
女「……」
「どうかしたの?」
女「え、ううん。なんでも」
――――
女忍者「うむ。甘くておいしいでござるなぁ」
男子「……」
女忍者「あ、すまぬ。ここはおぬしにとって居心地が悪いのでござるな。早く食べるでござるよ」
男子「あ、ああ」
女忍者「はむはむ……」
男子「……」
女忍者「うまうま♪」
男子「ケーキ、すきなんだ……」
友忍者「ご注文は?」
「えっと……シュートケーキ」
「私は―――」
女「……」
友忍者「……」
女「なんですか?」
友忍者「いえ、別に……」
――――
女忍者「さあ、腹ごしらえも済んだし、どこにいくでござるか?」
男子「……今日はもう帰るよ、俺」
女忍者「え……そ、そうでござるか?」
男子「うん」
女忍者(やはり嫁のことが気になるのでござるね……焦ってはいけない)
男子(これ以上一緒にいたら、きっと彼女が変な目で見られる……)
男子「そ、それじゃあ……これで」
女忍者「では、また明日学校で」
男子「う、うん」
女忍者「バイバイでござるー」
――――
女「……」
「あ、別れた」
「あの子、振られたのかな?」
「まさかー」
女「―――ねえねえ、こっちにこない?」
女忍者「え、いいのでござるか?」
女「いいよ。おいで」
女忍者「では」
「ねえ、あんな子のどこがいいわけ?」
女忍者「うーん……どこがいいか……」
女「目的もなくデートしたの?」
女忍者「拙者は色恋沙汰は苦手でござるからなぁ」
「だからってあんな子を選ばなくても」
「ねー」
女「そうだよ。あなたならもっといい人が見つかると思うけど」
女忍者「ま、いいではござらんか?」
「貴女の好みにとやかく言うつもりはないけど……」
「うん」
女「……」
女忍者「なんでござる?」
女「ねえ、この後暇かな?一緒に遊ばない?」
女忍者「え……まあ、かまわぬが……」
女「やった♪」
友忍者「おまたせしましたー」
「どうもでーす」
女「じゃあ、ちょっと待っててね?」
―――ゲームセンター―――
女「こっちこっち」
女忍者「なんでござるか?この奇怪な機械は!!」
女「あはは、おもしろーい」
女忍者「いや、冗談を言ったつもりはないでござる!!!」
女「これプリクラっていうの。一緒に撮ろうよ」
女忍者「ぷりくら……?」
女「ほらほら、入って入って」
女忍者「う、うむ」
女「ここに立って。画面を見て」
女忍者「こ、こうでござるか?」
女「で、少し体と顔を私のほうに向けて」
女忍者「こう……?」
女「……ん」
女忍者「んんっ!?!?」
―――カシャ!!
女「……ふふ」
女忍者「な、なにをしてるのよ!?」
女「なにってプリクラを撮る時はこうしてキスをするのが普通だよ?」
女忍者「え……そ、そうなの……?」
女「うん♪」
女忍者「し、知らなかった……」
女「もう1枚、撮る?」
女忍者「も、もういいです!!!」
女「そう?」
女忍者「う、うん」
女「ならいっか」
女忍者「……びっくりした……でござる」
女「あ、出てきたよ。はい、はんぶんこ」
女忍者「こ、こんなものどうしろと……?」
女「じゃあねー」
女忍者「あ、ああ」
女忍者(これ……シールか……)
女忍者(どうすればいいでござるか……)
――――
「たのしかったねー」
「うん」
女(ふふ……)
女(組み易そうな女の子で良かった……)
女(これなら簡単に落とせる……)
―――――
友忍者「……」
友忍者「あの女……どっかでみたことあるんだよね……」
友忍者「だれだっけ……?」
―――翌日 高校―――
女「おっはよー」
女忍者「……!?」
女「どうしたの?」
女忍者「な、なんでもないでござる……おはよう……」
女「うん」
―――教室―――
女「昨日はたのしかったねー?」
女忍者「そ、そうでござるな……」
女「うん」
女忍者(なんか昨日からちょっと怖く見えてくるでござる……)
女(ふふ……今のうちに警戒しときなさい……すぐに蕩けさせてあげる……)
女忍者「……」
女「どうかした?」
女忍者「な、なんでも……・ない、でござる」
―――授業中―――
教師「ここにはこの公式をつかって―――」
女忍者(あ、ここ忍者学園で習ったところでござる)
女「(ねえねえ)」
女忍者「(え?)」
女「(これ、読んで)」
女忍者「……?」
女忍者(なになに……?)
女忍者「……!?」
女「ふふ」
―――昼休み―――
「一緒にたべよー」
女「あ、ごめん。今日は少し用事があるの」
「そうなの?」
女「ごめんね?」
―――空き教室―――
女「おまたせ」
女忍者「おぬし……」
女「なにかしら?」
女忍者「私の秘密とはなんでござるか……?」
女「50メートルを4秒で走り抜ける女の子なんて、忍者以外にありえないでしょ?」
女忍者「貴様……何者!?」
女「そんなことどうでもいいの……私はあなたが欲しいだけ……」
女忍者「ちょ……おぬし……変なところを……ぁ……」
女「ずっと観察してたわ……アナタのこと……可愛い耳ね……はむはむ」
女忍者「はぁぁ……♪」
女「伊賀の忍者さん……私のものになりなさい」
女忍者「お、おまえ……んぁ……」
女「気持ちよくしてあげるって……この胸も……もちろん、あそこも……ね?」
女忍者「や、めて……えっちな、ことは……にがて……なの……」
―――教室―――
眼鏡男子「これさいこーでござらぬか!!」
男子「え、ああ、うん……」
眼鏡男子「どうかした?」
男子「えっと……実は……」
―――
眼鏡男子「そんなことが……?」
男子「う、うん……」
眼鏡男子「いいなー。羨ましいなー」
男子「そ、そうかな……?」
眼鏡男子「じゃあ、会いに行ってみよう」
男子「え……今から?!?」
眼鏡男子「あったりまえ。俺も見たいし、その子」
男子「あ、でも……どこのクラスかな」
眼鏡男子「ござるって語尾につける女の子なんてすぐに見つかるって、さあ、行こうぜ!!」
―――ケーキ屋―――
友忍者「……」
店長「ぺろん」
友忍者「きゃぁ!!?」
店長「いいケツだ。安産型ね」
友忍者「やめてください!!!」
店長「いいじゃないかー、あっはっはっは」
友忍者「全く……」
友忍者「……にしてもあの女、誰だっけ……?」
友忍者(私達の仲間じゃないし……試験官の忍者でもないし……)
友忍者(甲賀……?)
友忍者「―――あーーーーーーーー!!!!!!」
店長「どしたの?」
友忍者「店長、スイマセン!!!ちょっと出かけてきます!!!」
店長「あ、三時には戻ってきてよー」
―――廊下―――
男子「いない……?」
「うん」
男子「そ、そうなんだ」
眼鏡男子「どこにいったか分かる?」
「さあ……気が付いたら居なくなってたから」
眼鏡男子「……なるほど」
男子「諦めて戻ろう」
眼鏡男子「―――先に戻ってて。俺はトイレにいくから」
男子「え、うん」
男子(どうしたんだろう……)
眼鏡男子「……いそぐか」
眼鏡男子「甲賀の色魔め……」
―――空き教室―――
女「はぁ……はぁ……どうしたの?」
女忍者「くっ……ぁ……」
女「ほら……しっかり立って……それとも、もう立てないのかしら?」
女忍者「んぉ……♪だ、め……さ、さわら、ないで……ひぁ!?」
女「気持ちいい癖に……ほら……こんなに糸をひいてるじゃない……♪」
女忍者「あ……ん……」
女「もう下着もびしょびしょ……ほら、脱がないと風邪をひいちゃうわ」
女忍者「やめ……て……」
女「……ん」
女忍者「んん……♪」
女「ふう……さあ、下着を脱ぎましょう……?」
女忍者「だ、だれかがきちゃう……」
女「大丈夫……この教室は私以外には開けられないように細工してあるから……安心でしょ?」
女忍者「んひぃ……♪」
―――廊下―――
眼鏡男子「どこにいるんだ……?」
DQN「―――1階にいませんでした」
DQN女「2階もです」
眼鏡男子「御苦労。3階もいなかった」
DQN女「となれば空き教室の多い旧校舎でしょうか?」
眼鏡男子「だろうな」
DQN「ですが甲賀の女が動いたとすれば、やはりそれなりの細工も施しているでしょう。部屋を見つけてもそう簡単には」
眼鏡男子「奴が一般人を籠絡させぬように見張っていたというのに……まさか後輩が狙われるとはな……失態だ」
DQN「甲賀の色魔と異名を持つくの一……」
DQN女「ですが、ここで捕えれば奴も言い逃れはできません」
眼鏡男子「ああ、なんとしても捕えねば」
友忍者「―――はっ!!」
眼鏡男子「お前は……!?」
友忍者「話は聞かせてもらいました。私も参加させてください!」
眼鏡男子「お前は自分の任務を……」
友忍者「親友のピンチなんです。お願いします!!」
DQN「しかし、危険だぞ?」
友忍者「奴の顔を見たとき、すぐに思い出せなかった自分が憎いんです」
DQN女「あなた……」
友忍者「お願いします。この捜索に参加させてください!!」
眼鏡男子「わかった……いいだろう」
友忍者「ありがとうございます!!!」
DQN「では、旧校舎の方へ」
DQN女「急いだ方がいいですね。あの色魔に捕まった女は骨抜きにされるといわれています」
眼鏡男子「ああ、伊賀の情報をも抜くつもりだろう」
友忍者「今行くからね……!!」
眼鏡男子「いくぞ!!」
「「ははっ!!」」
―――教室―――
男子「……あいつ、遅いな」
「ねえねえ、さっき変なウェイトレスさんいたよね?」
男子「……?」
「いたいた。うちのクラスのやつも一緒だったぜ?」
「あのウェイトレスさん、あの駅前のケーキ屋っぽいよね?」
「バイトの知り合いでもいたんじゃねーの?」
男子(……駅前のケーキ屋……?)
「あの眼鏡の陰キャラもいたよな」
「ああ、そうだったな。しかもあのDQNもいたし」
「仲良いって噂あるよな、あいつら」
「何の繋がりなんだか。旧校舎にいってぼこられてんじゃねーの?」
男子(旧校舎……!!)
男子「……い、行ってみよう……」
男子「虐められてるかもしれないし……」
―――空き教室―――
女「ふふ……ほら、どうしたの?だらしなく股がひらいちゃってるけどぉ?」
女忍者「はぁー……はぁー……」
女「まだ、足りないの?」
女忍者「ちが、う……も、うやめて……」
女「こんなに淫らに涎を垂らしておいて……可愛い……ん」
女忍者「んん……♪」
女「ふぅ……こっちも……ん……チュル……」
女忍者「ふぁぁぁ……♪」
女「気持ちいいでしょ?……イッたあとに責められると」
女忍者「ひぃ……ふ……はぁ……♪」
女「さあ、もっとよくしてあげるわね……」
女忍者「も、もう……やめ……」
女「―――む?」
女「ちっ。無粋な連中ね。乙女の時間を邪魔する気?」
―――旧校舎 廊下―――
先輩「ここだな」
忍者「ええ。ですが特殊な施錠が」
先輩「ちっ……」
忍者女「―――天井もだめです」
友忍者「これはもう鉄の牢獄と同じですね」
先輩「そうか……」
忍者「どうされますか?」
先輩「……解錠するにはどれくらい時間がかかる?」
忍者女「数十分は」
先輩「そんなには待てないな」
友忍者「どうしたら……!!」
先輩「―――仕方あるまい強行突破といこう」
忍者「はっ!!」
友忍者「では、火薬を……」
―――空き教室―――
女「……無理矢理侵入してくる気ね……?」
女忍者(だ、だれが……?)
女「まあ、いいわ。こっちに来て」
女忍者「あ……」
女「あなたの作った見取り図、便利ね」
女忍者「え……?」
女「隠れるところがいっぱいあるわね。盲点だったところまで記してくれてる。助かるわ」
女忍者「……」
女「さあ、行きましょう。今日中にあなたは私のものにしてあげるわ……」
女忍者「……」
女「ふふふふ」
女忍者(だれか……たすけて……だれかぁ……)
ドォォォォン!!!
忍者「―――む!?」
友忍者「いない……?!」
先輩「馬鹿な……!?」
忍者女「気付かれたのでしょうか?」
先輩「逃げるにしても俺たちは外にいた。逃げる術などあるはずが……!!」
忍者「では一体……」
先輩「中にいるはずだ!!探せ!!」
―――廊下―――
男子「な、なんだ……すごい音がしたけど……」
男子「……何が……」
男子「あ、誰かでてきた」
女「奴らが中を捜索している今のうちに……」
女忍者「うぅ……」
男子「彼女は……?!」
女「……だれ!?」
女忍者(あ……あの人は……)
男子「な、なにしてるの……?」
女「ちっ……!!邪魔するなら、不慮の事故で死んでもらうわ」
男子「え、え?!」
女「手裏剣はあまり得意じゃないの……急所から外れたらごめんなさいね?」
男子「え―――」
女「はっ!!!」
女忍者「――だめぇ!!」
女「なっ!?」
ストトトト……!!
男子「うわぁ!?壁に何かが刺さった……?!」
女「あなた……邪魔したわね……」
女忍者「あ、あの人は関係ない……」
女「お仕置きが必要ね……覚悟しておいてよ?」
女忍者「ひ……」
忍者「―――そこまでだ」
女「!?」
先輩「逃げるまでに時間を使いすぎたな」
友忍者「大丈夫!?」
女忍者「先輩……どうして……」
先輩「我々は元々、この学校に潜入していた。お前の試験官としての役割もあったが。それよりもこやつの監視に重視していた」
女「伊賀の忍者……!!」
忍者女「甲賀の色魔。我が同胞に手を出したこと、万死に値します」
女忍者「甲賀の色魔……あの有名な……」
友忍者「うん。あなたは狙われたの」
女忍者「先輩……すいません……」
先輩「お前が無事ならそれでいい」
女忍者「先輩……」
男子「あ、あの……これはどういう……?」
先輩「あ……君は……」
忍者「あ」
忍者女「……」
男子「え?な、なに……?」
忍者「(やばい……いつもいじめてる子だ)」
忍者女「(だからそういうキャラはやめようっていったじゃない)」
忍者「(だって……)」
女「―――ふっ!!」
友忍者「あ!!」
先輩「しまっ?!」
男子「あぐ……!?」
女「動くな。動くと、真っ赤な噴水が見れちゃうわよ?」
女忍者「あ、あなた……!!」
女「私が逃げるまでそこにいなさい、伊賀の忍者さん」
先輩「貴様……!!」
男子「……」
女「どこかで見たと思ったら、貴女が唾をつけていた子ね?」
女忍者「やめて……その人は関係ないでしょ?」
女「この場にいることがこの子の不運よ」
友忍者「外道め……」
女「さあ、ボウヤ?一緒に来てもらうわよ?」
男子「……いやだ」
女「……なんですって?」
先輩「いけない!!刺激はするな!!」
男子「いやだ……よくわかんないけど……お前はきっと悪い奴だ」
女「な……に……?」
男子「あの子が苦しそうにしていた。それだけで十分だ。―――お前は、悪い奴だ」
女忍者「……!?」
女「そう……気が変わったわ……ここで殺してあげる」
男子「……っ」
先輩「貴様ぁぁぁ!!!」
女「死ね」
忍者「やめ―――」
男子「―――今だ!!」
女忍者「―――やぁあ!!!!」
シュルル!!―――グサッ!!
女「あがぁああああ!?!!?手にぃぃ!?!!」
女忍者「ごめんね。私、手裏剣は自信があるの」
女「くそ……くそアマぁぁ!!!」
先輩「捕えろ!!」
忍者女「はっ!!」
女「お前だけでもぉぉぉ!!!」
男子「―――こっちくんな!!」
女「ごふ!?」
友忍者「すご……この状況で蹴りを……」
忍者「――では、私達はこれで」
先輩「護送のほう頼む」
忍者女「はい」
女「くそ……こんなところでしくじるなんて……」
友忍者「大丈夫?」
女忍者「う、うん……平気でござるよ……」
男子「……」
先輩「ここは俺に任せてお前はもう店に戻れ」
友忍者「あ、はい……では―――」
先輩「それと……君」
男子「……君とは失礼だな」
先輩「は……?」
男子「……いや。なんでも。このことは他言無用だろ?わかってるよ」
先輩「あ、ああ……」
女忍者「え……?」
―――教室―――
眼鏡男子「あ、ごめん。遅くなって」
男子「いいよ。おつかれさま」
眼鏡男子「……」
男子「明日からもう来なくなるんだよね?」
眼鏡男子「……ええ、任務が終わりましたからね」
男子「では、彼女の試験官は俺が引き受ける」
眼鏡男子「いいのですか?」
男子「構わない。彼女とのデートは中々楽しみだったからね」
眼鏡男子「にしてもいつから……まったく気がつきませんでした」
男子「当たり前だ。お前らの上に立つ者が見破られては示しがつかないだろ?」
眼鏡男子「下の者にいじめられて、大変でしたでしょう?」
男子「なぁに。昔に戻った気分だったよ。あっはっはっは」
眼鏡男子「では、私はこれにて失礼します。―――学園長殿」
男子「今日はゆっくり休め」
―――放課後―――
男子「あ……」
女忍者「あ、あの……今日も一緒に帰ってもいいでござるか?」
男子「あ、うん……でも、僕でいいの?」
女忍者「うむ。おぬしと決めたから……だから一緒に帰って欲しいでござる」
男子「わかった。じゃあ、帰ろうか」
女忍者「今日はどこにいくでござるか?」
男子「そうだね……どこに行こうか」
女忍者「じゃあ……」
男子「また、ケーキ屋に、する?」
女忍者「お、おぬしがいいのであれば……」
男子「じゃあ、行こうか」
女忍者「うむ……お供するでござるよ」
男子「ああ、たとえまやかしでも……今を大事にしたいな」
おしまい