少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を探しにいくことになりました」【#1】
少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を探しにいくことになりました」【#2】
少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を探しにいくことになりました」【#3】

696 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:35:59.27 8BQYAXYO0 612/838

#33 キノコ男、公民館襲撃す!

697 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:38:20.18 8BQYAXYO0 613/838

○竹の里・公民館

村人「どうぞ名物のタケノコごはんです」

女兵士「わーいおにぎりおにぎり」

村人「あれ? お連れの方は?」

女兵士「男子君は外の見回りしてます」

村人「あれ 女の子もですか?」

女兵士「あれ? 友ちゃん?」



男子「友 どこへ行くつもりだ危ないぞ」

ギク

娘友「えっと ちょっとそこまで」

男子「魔物を見に行くつもりだろう」

娘友「ばれてた? まぁちょっとだけ撮影しておきたくて」

男子「……(例の新聞か)わかった俺も一緒にいく」

娘友「助かるわ 男子君もかっこよく撮ってあげるから」

男子「……俺はいい」

698 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:41:48.38 8BQYAXYO0 614/838

○キノコの山・ふもと

娘友「暗くなってきたわね」

男子「山あいだからな……(王女無茶してなければいいが)」

娘友「さーて件のモンスターはいずこ」

男子「居なかったら戻るぞ あまり公民館から離れられないからな」

娘友「いないかなー カモンカモーン」

ボフッ

お化けキノコ「……」

娘友のすぐ隣にお化けキノコが生えてきた。

娘友「きゃあああ」パシャパシャ

お化けキノコ「!?」

699 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:44:51.46 8BQYAXYO0 615/838


男子「下がれ! 危ない」

男子は娘友をかばった、お化けキノコのしかかり攻撃!

娘友「きゃああ男子君!」パシャパシャ

ボフッボフッ

お化けキノコは胞子をまき散らしている。

男子「ゲホゲホ この野郎!」

男子はお化けキノコを投げ飛ばした。

ドシン

男子「よし逃げるぞ」

娘友「はいはい」

タタタタタ

男子と娘友は公民館へ走りだした。

700 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:48:20.61 8BQYAXYO0 616/838

○竹林

男子「……よし振り切ったようだ」

娘友「びっくりしたわね キノコが襲ってくるなんて」

男子「まったくだ」

娘友「でも男子君カッコよかったわよ いい写真になったと思う」

男子「……そうか?(いいとこなかったと思うが) 」

娘友「男子君? 顔色悪いわよ大丈夫?」

男子「そういえば気分が悪いな……さっきの粉は毒だったか?」

娘友「タイヘン! 早く戻りましょう」


○公民館

娘友「女兵士さん手伝って 男子君が!」

村人「うわあああ キノコ!」

娘友「え?」

女兵士「うわーどうしたのそれ キノコ生えてるよ」

男子(キノコ)「……なに?」

男子の頭からキノコが生えていた。

701 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:51:11.44 8BQYAXYO0 617/838

○キノコ山

若人「早く! 日が暮れたら逃げれませんよ」

少年エルフ達は暮れかけの山中を走っている。

ボフンボフン

地面からお化けキノコが次々と生えてきた。

第七王女「おのれ次から次へと」

「パパ あれは?」

少年エルフ「キノコだよ 鼓動がない」

「じゃ遠慮なく! ”電撃”」

バリバリバリ

お化けキノコ達「!?」

702 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:53:33.21 8BQYAXYO0 618/838


お化けキノコは黒こげになったが、しかし。

ボボボン ボフンボフン

少年エルフ「うわぁ!? 増えた」

焦げたお化けキノコの周りから更に増えたお化けキノコが生えてきた。

若人「落雷あとにはキノコがよく生えるんですよ」

「だったら燃やすわ ”閃熱”」

ヒュゴオオ

お化けキノコ「ッ!!」

お化けキノコが燃えてのたうち回る。

第七王女「おうわ こやつら!?」

枯草に火が燃え移り行く手が火の海になった。

若人「ああ近道が!? 仕方ありません山道を下りますよこっちです」

第七王女「山火事にならんかのう?」

「こいつら思ったよりやっかいね」

少年エルフ「とりあえず公民館に」

ダダダ

少年エルフたちは公民館へ向かう。

703 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 19:58:18.68 8BQYAXYO0 619/838

○竹林

若人「ここまでくればもう少しです」

少年エルフ「なんとか戻ってこれたね」

「キノコもここまでは来ないみたいね」

第七王女「しかしこやつが暴れてかなわんぞ」

バタバタ

ちびキノコが袋の中で暴れている。

少年エルフ「……山に帰りたいのかな?」

「仕方ないわよ ほら着いたわ」

704 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/23 20:00:22.29 8BQYAXYO0 620/838

○竹の里・公民館

娘友「――それはキノコというにはあまりにも大きすぎた

大きく分厚く重くそして御立派すぎた

それはまさにキノコヘッドだった」

男子(キノコ)「行ってる場合か!? なんとかしてくれ」

女兵士「うわー 男子君のキノコおっきい」

男子(キノコ)「……」

娘友「……天然とは才能よね」

男子(キノコ)「とにかく助けてください」

女兵士「え?」

村人「ひいい もうだめじゃおしまいじゃー」

娘友「そんな大げさなちょっと御立派になっただけで」

男子(キノコ)「ぐわ うぐ ぐむむむ」

男子の全身にキノコが生え出して体をを覆っていく。


707 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:22:52.83 15N82mpP0 621/838

#34 キノコ男、公民館襲撃す!(2)

708 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:24:56.84 15N82mpP0 622/838

○竹の里・公民館前

\わー/ \ひえー/

第七王女「何事じゃ!?」

若人「まさかここまで!?」

バタン

娘友「オタスケ―」

娘友と村人の何人か公民館から飛び出してきた。

少年エルフ「どうしたの!?」

娘友「あ エルフさん じつはコレコレシカジカ……」

若人「そんなここまで来るなんて……今までなかったのに」

女兵士「ひゃー 無理っぽいわー」

女兵士も公民館から出てきた。

709 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:26:34.21 15N82mpP0 623/838


第七王女「女兵士! 無事か」

女兵士「王女 あたしは大丈夫だけど男子君と何人かキノコに……」

第七王女「なんじゃと男子が」

第七王女が公民館の中をのぞき込む。

キノコ人間達「ふぉふぉふぉ……」

ノロノロ

第七王女「なんということじゃ男子があの中に」

少年エルフ「そんな男子くん……」

「とにかく体制を整えないと……どこかに隠れましょう」

村人「だったら竹林に 作業小屋があります」

710 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:29:37.78 15N82mpP0 624/838

○竹林・作業小屋

若人「ここです」

逃げ延びた村人と少年エルフ達は小さな作業小屋にたどり着いた。

「……ここはまだ安全のようね」

第七王女「さてどうするかのう」

若人「これでは村を捨てるしか……」

女兵士「えー 男子君あのままなの?」

少年エルフ「それは……」

第七王女「弱点とかはないのか?」

ガヤガヤガヤ

娘友「落ち着いて! 状況を整理しましょうよ」


711 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:37:51.09 15N82mpP0 625/838



「まず杉の村の報告ね 王女」

第七王女「村はキノコどもに占領されており村人もキノコ人間にされておった」

若人「この村の男衆もキノコにされてました」

\うおぉ/ \せがれー/

女兵士「人をキノコにするなんて…… おいしくなさそう

少年エルフ「食べる気だったの!?」

娘友「それで男子君もキノコ男に…… あたしをかばったから」

「かばったってどこで襲われたの? 里までは来ないはずでしょ?」

娘友「えーと見回りしてたら 急にいたのよ ホントホント」

「……(若干ウソくさい)」

712 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 19:39:41.25 15N82mpP0 626/838


女兵士「そもそもあのキノコは一体どこから来たの?」

少年エルフ「うーん 今までいなかったんだよね?」

若人「そうですね…… 数か月くらいまえから山に変なものが出る噂はありました」

第七王女「わらわの国でも急に魔物が出るようになったしの…… それにしても数か月前になにか変わったことはなかったかえ?」

若人「変わったこと…… そういえば季節外れの嵐がありましたね その後に山でキノコが大量に発生して総出で収穫しましたよ」

娘友「収穫されたキノコの怨念が魔物になったのかしら?」

女兵士「まさかー?」

「どこから来たより これからどうするかを考えない?」

第七王女「そうじゃな このまま放っておけば被害が増えるじゃろう」

娘友「魔法でバーっと退治できないの?」

「それはね……」

娘はお化けキノコに魔法を使ったあらましを説明した。

713 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/10/30 20:00:13.75 15N82mpP0 627/838


娘友「雷効かないの!? ヤヴァイじゃない」

「効かないわけじゃないけど……増えるのよ」

若人「あれには参りましたね」

娘友「でも火の魔法は効くのよね?」

第七王女「確かに火は効くが火事になってしまうの」

若人「村人ごと焼き払うというのも…… 本当に助ける手段はないのでしょうか?」

少年エルフ「うん…… そう思ってサンプルを捕まえてきてるんだけど」

バタバタ

ちびキノコが入った袋が暴れている。

娘友「下手に開けないほうがいいかも」

少年エルフ「そう思ってた所 あれを調べれば特効薬とか駆除剤がとか作れるかもしれないけど」

若人「でもそんな都合よく駆除できるものですか? あれに襲われたものは大抵キノコにされてるんですよ 恐るべき増殖力です」

718 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/01 19:07:39.04 VYsdXsAm0 628/838


「増殖力ねぇ でも今まで山にしかいなかったのよね もしくは山にしか居れなかったか」

少年エルフ「うーん そこだよね……どうしてこの里は今まで襲われなかったのかな?」

娘友「うーん たまたま?」

第七王女「縄張り意識があるのじゃろうか?」

「普通縄張り意識ある動物は群れないわよ」

第七王女「そうじゃったな」

娘友「というかアレが動物かどうかも不明よね」

少年エルフ「それに僕たちがここに来た時にも襲われてないよね?」

女兵士「そういえば襲われなかったね」

少年エルフ「それにさっきも…… どうして若人さんや女兵士さんは無事だったの?」

女兵士「え?」

若人「確かに私もキノコになっていてもおかしくなかったですね」

少年エルフ「なにか意外なものが弱点なんじゃない? そのあたりにあるような……」

719 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/01 19:12:38.17 VYsdXsAm0 629/838



「男子はキノコにされたのに女兵士さんは無事 この差って?」

女兵士「えーと? 性別が違う?」

第七王女「それだと若人殿がキノコにならなかった道理が通らぬ」

少年エルフ「なにか変わったことした? なにか薬を飲んだとか塗ったとか?」

若人「いえ特に変わったとこは何も……」

女兵士「あ!?」

第七王女「なんじゃ!? なんぞ気づいたのか」

女兵士「でもまさか」

第七王女「なんでもかまわん言ってみるのじゃ」

女兵士「おにぎり…… タケノコご飯のおにぎり食べました」

720 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/01 19:14:24.23 VYsdXsAm0 630/838


若人「まさか……タケノコ?」

娘友「調べればわかるわ」

「どうやって?」

娘友「ここに村人のご厚意いただいたおにぎりがあります」

女兵士「タケノコご飯ー♪」

娘友「ここからタケノコの欠片をとりだして チェスト―っ!」

娘友はちびキノコが閉じ込められている袋にタケノコの欠片を放り込んだ。

ちびキノコ「!!??」

バッタンバッタン

少年エルフ「うわ!? すごい暴れてる」

バタ……シーン

第七王女「動かなくなったのう」

娘友「どうなった?」

少年エルフ「えっと…… うわ ドロドロに溶けてる」

少年エルフは袋を閉じながらいった。


724 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:17:54.92 RL+vpOF80 631/838

#35 仁義なきキノコタケノコ戦争

725 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:20:03.42 RL+vpOF80 632/838

○竹の里・公民館

若人「まさかタケノコが特効薬とは」

少年エルフ「だから竹林は安全だったんだね」

娘友「というわけで公民館のキノコを駆除しました」

男子「うう? なんだこれは」ドロドロ

男子は溶けたキノコの中から起き上がった。

「あーもう 汚いわね 早く洗ってきなさい!」

男子「お おう」

少年エルフ「娘ー もうちょっと言い方ないの?」

「いいのよ 心配ばっかりかけるんだから」

少年エルフ「……(一応心配してるんだよねえ)」

726 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:21:53.22 RL+vpOF80 633/838


第七王女「とりあえずこれでここは何とかなったのう」

若人「そうですね 村人も戻ったようです あとは竹の村を取り戻せれば」

村人「今動ける者がタケノコを採りにいっとるけ お前さんらは今のうちに休みんしゃい」

第七王女「あいわかった ご厚意感謝なのじゃ」


○翌朝

第七王女「皆の者 タケノコは持ったか!」

\オウ!/

少年エルフと村人がそれぞれタケノコやタケノコご飯をもっている。

第七王女「よーし 出発じゃ」

727 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:23:42.82 RL+vpOF80 634/838

○杉の村

\うおお/

タケノコを持った村人たちとお化けキノコが戦い始めた。

男子「おりゃ」ドス

キノコ人間「フォオオ!?」

キノコが溶けてキノコ人間はもとに戻った。

村人「はっ 俺は一体何を?」

女兵士「すごい 効果抜群ねー」

第七王女「ほれおぬし これを食べるのじゃキノコ耐性がつくのじゃ」

第七王女はタケノコの欠片を村人に食べさせた。

728 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:25:40.73 RL+vpOF80 635/838


杉の村の村人が次々とキノコから解放されていく。

娘友「えいっ」バシッ

お化けキノコ「ッ!!」

お化けキノコがタケノコで叩かれたところから溶けていく。

娘友「感染しなきゃこいつら楽勝ね アタシでも勝てる」

「ほら油断しないで あと相手を間違わないでよ」

娘友「大丈夫だって とう」バコン

キノコ人間「ふぉごご!? イてぇ」

娘友「あ ヤバ」

村人「」バタッ

キノコから戻った村人はそのまま倒れてしまった。

729 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:27:28.82 RL+vpOF80 636/838


「いわんこっちゃない」

娘友「えーと 死ななきゃオーライよ」

「そんな適当な」

若人「まぁ タケノコで殴られたくらいなら……柔らかいですし」

娘友「ですよねー よっしゃどんどん行くわよー」

「もう…… 珍しく戦えるからってはりきり過ぎよ」

少年エルフ「あまり無茶しないでね…… あ? みんな山から新手だよ」

お化けキノコ達「……」ぞろぞろ

娘友「このタケノコがある限り負けはしない!」

第七王女「そうじゃ おぬしら全部駆逐してくれるわ」

730 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:29:36.90 RL+vpOF80 637/838



娘友「ぜぇぜぇ とかいったけど ぜぇぜぇ」

第七王女「こ……こやつらどれだけおるんじゃ? ハァハァ」

おばけキノコ達「……」ゾロゾロ

「どれだけっていうより……」

ボン

娘の隣にお化けキノコが生えて来た。

「シャアッ!」バシュン

娘はタケノコでお化けキノコを薙ぎ払う。

ベシャア……ボボン

溶けたキノコが杉の木に当たるとそこから新たなお化けキノコが生えてきた。

「これじゃあキリがないわ」

731 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:30:46.16 RL+vpOF80 638/838


男子「どうするんだコレ 体力がもたないぞ」

女兵士「それよりも もうタケノコが壊れちゃいました 助けて―」

男子「女兵士さん! せいっ」バシュン

男子が女兵士を襲っていたお化けキノコを薙ぎ払う。

男子「大丈夫ですか」

女兵士「ありがと あ?」

男子「怪我しましたか?」

女兵士「えっと 上――」

ドスン

男子「ぐわ!?」

女兵士「――からキノコが」

男子「早くいってくださいよ うぐ!? ぐわわ」

男子に飛び乗ったお化けキノコが胞子をまくと男子がキノコに覆われていく。

732 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:32:03.73 RL+vpOF80 639/838


女兵士「きゃああ 男子くん」

少年エルフ「タケノコの効果が弱ってるんだ!? 早く新しいタケノコを」

「もうこれしかないわ ほら食べなさい」ぐいっ

男子「それ殴ったやつじゃ ぐげっ!?」

娘は生タケノコを男子の口につっこむ。

男子「ぐおおお にげええええ……」

ドロドロ

男子の体からキノコが溶けていく。

「アンタも邪魔よ」パコン

お化けキノコ「」ベシャア

娘が残りのタケノコで殴るとお化けキノコも溶けたがタケノコも壊れてしまった。

733 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:33:24.69 RL+vpOF80 640/838


「ああもう 男子のせいよ まったく」

男子「うげげ(俺がなにをした!?)」

男子は生タケノコの灰汁で舌がマヒしている。

若人「まずいです もうタケノコがありません またキノコにされたものまで」

第七王女「うむむ 撤退じゃ 里まで戻って体制を整えるのじゃ」

女兵士「はーい みなさん里まで避難してくださーい」

第七王女と女兵士が村人を誘導していく。

お化けキノコ達「……」ノロノロ

少年エルフ「あっちいって ”風弾”」ビュオオオ

少年エルフは魔法の風でお化けキノコ達を吹き飛ばした。

「パパの魔法が一番無難ね」

少年エルフ「ただの時間稼ぎだけど…… でも里に戻ってからどうするの?」

「それは戻ってから考えましょ」

少年エルフ達は追ってくるお化けキノコを吹き飛ばしながら竹の里まで撤退した。

734 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:35:44.10 RL+vpOF80 641/838

○竹の里・公民館

女兵士「どうしますー? 皆さんが集めてくれたタケノコももうこれだけです」

第七王女「少ないのう」

若人「こうなったら山ごと焼いてしまいますか」

娘友「それで倒せるのかな? 残ったらまた増えるでしょうし」

「それに竹林が焼けたらどうしようもないわ」

少年エルフ「そうだね すっかり囲まれてるみたいだし」

第七王女「ならば白竜を呼んで一旦脱出じゃ 脱出先でタケノコを手に入れたらよいじゃろう」

男子「なるほどその手があったか」

女兵士「そうだった白竜さんが来たら解決ねー」

第七王女「よしならば合図を送るのじゃ 男子も 皆も一緒にじゃ」

735 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:36:55.09 RL+vpOF80 642/838


男子「俺もですか!?」

女兵士「わーいやるやる」

「私はやめとくわ……(恥ずかしい)」

くねくね

若人「なにしてるんですか?」

娘友「えーと一応召喚の儀式ね」

第七王女達が不思議な踊りを踊ってポーズを決める。

ビシッ

第七王女女兵士男子「「ホワイトドラゴン カモォーン!」」

736 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:38:22.74 RL+vpOF80 643/838


若人「……」

「……」

少年エルフ「……? 来ないね」

娘友「うっ頭が!? 『お掛けになった番号は電源が入っていないか電波の届かない場所にあります もう一度……』 はっ 今のなに?」

少年エルフ「大丈夫!? どうしたの」

「何を受信してるのよアナタ」

737 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/06 20:39:44.77 RL+vpOF80 644/838


第七王女「ううむ どうやらここでは呼べないようじゃな」

女兵士「そうですねー」

少年エルフ「そうなの?」

若人「そうですね ここは谷合ですから峠を越えないと無線もつかえませんね」

男子「無線…… 無線機があるのか?」

若人「ええ緊急用に…… 杉の村にですが」

娘友「また? もうアソコ行きたくないわよ」

男子「この里にはないのか?」

若人「ここの人が救助を求めに出たときに一緒にもっていったのでありません」

第七王女「ならば方法は…… 杉の村の無線機で助けをよぶしかないの」


741 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:13:57.53 BB1ogzf/0 645/838

#36 マタンゴ・アタック!

742 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:15:04.28 BB1ogzf/0 646/838

○竹林の出口

少年エルフ「いくよ ”風弾”」

ビュオオオオオ

竹林の外にいたお化けキノコの群れの真ん中が開ける。

第七王女「今じゃ 走るのじゃ」

ダダダダ

娘と第七王女を先頭に 若人と少年エルフ 男子と女兵士が走る。

娘友「がんばってねー」

娘友は竹林の中から見送った。

743 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:16:27.23 BB1ogzf/0 647/838


ボン ボボン

一団の前後からお化けキノコが発生する。

「本当にどこからでも よけるわよ」

お化けキノコ「……」ブンブン

娘たちはお化けキノコを避けながら進む。

若人「うわわ」

男子「危ない」ズバッ

男子がお化けキノコを切り払う。

男子「ここは俺にまかせて先に……」

スタタタタ

娘たちは振り返らずに走り去った。

男子「せめて振り返って~」

744 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:17:31.52 BB1ogzf/0 648/838

○杉の村への近道・断崖

第七王女「よし 登るのじゃ」

「行くわよ」

少年エルフ「男子くん大丈夫かな?」

「またキノコになってるわよ しんがりなんだし仕方ないわ」

女兵士「救助を絶対に呼ばないといけませんねー」

娘たちは断崖を登り始める。

ブォン バシン

第七王女「なんじゃ!?」

ちびキノコが下から飛んできた。

「なにあいつ」

745 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:18:37.84 BB1ogzf/0 649/838


キノコ人間「ふぉふぉふぉ……」

大きなキノコ人間が近くのちびキノコを掴むと投げつけてきた。

バシン

少年エルフ「うわぁ! どうしよう」

女兵士「う~ん 王女ぜったい助けてくださいよ えーい」

女兵士がキノコ人間の上へ飛び降りる。

第七王女「女兵士!」

どしーん

キノコ人間「ふぉ!!」

女兵士のヒッププレス! キノコ人間からキノコがはがれ落ちる。

746 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:19:31.31 BB1ogzf/0 650/838


女兵士「あいたたー あれ? 男子くん?」

キノコ人間は男子だった。

若人「あーあ」

「……まったく 自業自得ね」

少年エルフ「そうなの?」

第七王女「とにかく男子と女兵士の犠牲を無駄には出来んのじゃ」

747 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:21:25.05 BB1ogzf/0 651/838

○杉の村

第七王女「よし また近道から登ってこれたの」

少年エルフ「男子くんと女兵士さんのためにも絶対救助をよばなきゃ」

「それで無線機はどこに?」

若人「村長の家ですね 広場近くの大きな家です」


○広場

ドンドコドコドコ

広場ではお化けキノコ達が踊っている。

少年エルフ「また踊ってる 踊るのすきなんだねぇ」

若人「しかし手拍子だけでよく踊りますね 歌ぐらい歌えばいいのに」

第七王女「あやつらに口はないからのう」

748 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:23:21.30 BB1ogzf/0 652/838


「広場からは無理ね 裏からこっそりいきましょう」

第七王女「賛成じゃ」


○村長の家

少年エルフ達は家の裏口から室内にはいった。

若人「ええとこの辺に……」コソコソ

少年エルフ「うわー 窓の外キノコでいっぱいだ」ボソボソ

第七王女「バレたらやっかいじゃのう」ボソボソ

「大きな音を出さなければ大丈夫でしょ」

ピーッガガ――ッ!!

無線機から大音量が鳴り響く。

若人「しまった! 音量最大だった」

749 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:24:48.57 BB1ogzf/0 653/838


ドンドンドン

少年エルフ「うわぁ!? こっちに気づいた」

お化けキノコ達が家に向かって突進してきた。

第七王女「脱出じゃ 峠まで走るのじゃ」

ボボン

第七王女「なに!?」

第七王女が通ろうとした裏口にお化けキノコが生えてきた。

お化けキノコ「!」

お化けキノコはのしかかってきた。

少年エルフ「王女あぶない ”風弾”」

ビュオオ

お化けキノコは吹き飛ばされた。

第七王女「おう 助かったのじゃエルフ」

「王女タケノコを構えて! こうなったら突破するわよ」

第七王女「うむ 押し通る」

750 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:27:16.17 BB1ogzf/0 654/838

○キノコ山・中腹

少年エルフ達は魔法とタケノコでお化けキノコを蹴散らしながら峠を目指す。

第七王女「ふぅふぅ まだか?」

若人「だめですまだ通じません」

若人が無線機を確認するが通じない。

少年エルフ「はぁはぁ…… まだ追ってくる」

「パパ大丈夫? 王女も疲れてない?」

第七王女「疲れておるが…… 言ってる場合ではなかろう」

お化けキノコの大群がゆっくりと追ってきているのが見えた。

「ここなら……”双閃熱”」ヒュボボボ

お化けキノコ達「「ッーー!!??」」

751 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:28:17.01 BB1ogzf/0 655/838


お化けキノコ達が燃え上がる。

第七王女「おお一網打尽じゃな」

若人「ああ!? なんてことをこちらが上手なんですよ!」

メラメラメラ モクモク

炎と煙が少年エルフたちのほうへ流れて来た。

少年エルフ「ゲホゲホ 危ない逃げなきゃ」

「まさかこんな…… ごめんなさい」

752 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:38:13.27 BB1ogzf/0 656/838

○峠

第七王女「ふぅ やっと煙を抜けたのう」

「あれパパは?」

第七王女「む! 若人殿もおらんぞ」


○煙の中

モクモク

\パパ―/ \若人殿―/

少年エルフ「ゲホゲホ…… あっちかな?」

少年エルフは煙に巻かれてはぐれてしまっていた。

\ゲホゲホ/

少年エルフ「あ 若人さんこっちですよ」

753 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:38:57.93 BB1ogzf/0 657/838


スタスタ

少年エルフは音を頼りに若人を見つけた。

若人「ゲホ よかったエルフさん……これを」

少年エルフ「若人さん 危ない!」

若人の近くにいたお化けキノコを少年エルフが突き飛ばした。

お化けキノコ「!」ボフンボフン

お化けキノコは胞子をまき散らしながら転げ落ちていった。

少年エルフ「ゲホゲホ(吸い込んじゃったかな?)…… 若人さん大丈夫?」

若人「なんてことを 私はもう手遅れだったのに……」

754 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:39:50.32 BB1ogzf/0 658/838

○峠

「パパ― どこー」

\ここだよー/

少年エルフと若人が煙の中から現れた。

「ああよかった はぐれてごめんなさい」

少年エルフ「ダメ 来ちゃダメ」

少年エルフは駆け寄ろうとした娘を制止した。

「エルフ?」

第七王女「エルフ…… 若人殿まで」

少年エルフと若人の頭からはキノコが生えていた。

「そんな!!」

755 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:40:52.06 BB1ogzf/0 659/838


若人「コレを峠を越えたあたりで使ってください」

若人は無線機を投げてよこした。

パシッ

第七王女「あいわかった」

少年エルフ「早くいって キノコが追いついてきてるから」

「そんな! パパはどうする気なの」

少年エルフ「……まだ意識があるうちにキノコを足止めするから」

「イヤよ! パパがキノコになるなら私もキノコになるわ」

少年エルフ「ダメだって! それにタケノコがあれば戻るんだから」

若人「そうです救助を呼んできてください 早く!」

756 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:41:49.80 BB1ogzf/0 660/838


「でもっ」

第七王女「行くのじゃ娘 わらわ達までキノコになってはエルフも村の者も戻せなくなるのじゃぞ」

「……わかったわ パパすぐ戻るからね」

少年エルフ「わかってる いってらっしゃい」



第七王女と娘が峠を駆け出すと背後からすさまじい暴風が吹き始めた。

ダダダダ

「……(エルフ)」

第七王女「おのれキノコがもうこんなところまで」

行く手にお化けキノコ達がうごめいている。

757 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:44:44.94 BB1ogzf/0 661/838


「しかたないわね……(王女の前で使うなって言われたけど) 光よ」ポワァ

娘の持つ剣が光をまとう。

「せいッ」

お化けキノコ「?」シュワアアア

お化けキノコは切られたところから消えていく。

「よし……効くわね」

第七王女「なんじゃそれは? 魔法剣?」

「そんな感じよ…… それより無線機は? 峠は越えてるはずよ」

第七王女「わからん ウンともスンともいわぬ」

「どうしたら…… あ! あそこよ」

娘は大岩を指さした。

758 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:45:56.89 BB1ogzf/0 662/838

○大岩の上

「よいしょ…… ここならしばらくはあいつらもこれないはず」

第七王女「うむよい眺めじゃ あれが魔法都市かのう」

「ここなら大丈夫でしょ 通じる?」

カチャカチャ

第七王女「うむ? むぅ?」

ザザー ピー……

第七王女は無線機の使い方がわからない。

第七王女「応答願う応答願う…… 通じておらんのか?」

「なによこれ どうしたらいいの?」

カチャカチャ

759 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:47:26.54 BB1ogzf/0 663/838


\こちらは……/

第七王女「通じた! 応答せよこちらは……」

第七王女は話かけるがこちらに反応する様子がない。

「王女違うわ コレはラジオよ」

\今日も荒野のラジオからゴキゲンな一曲を……/

第七王女「なんじゃと!? 無線機ではないのか?」

「まさか……」

無線機はラジオを受信している。

お化けキノコ達「」バフ

「きゃあ もうここまで」

お化けキノコが大岩をよじ登ってきた。

760 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:49:39.65 BB1ogzf/0 664/838


第七王女「うぬぬ 万事休すか」

「ダメよ パパを迎えにいくんだから」

娘が剣を構えるとお化けキノコ達が襲いかかって来た。


○荒野のラジオ局

DJ「最初のリクエストは 放送直後から問合せ殺到人気炸裂の謎のガールズバンド! クラシカルな曲を透明感のある歌唱とファンキーな曲調でカバーした実力は本物…… それじゃいこう ビリビリシスターズの『ヘイホーヘイホー』」


761 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:51:02.69 BB1ogzf/0 665/838

○キノコ山・大岩の上

無線機から音楽が流れてきた。

お化けキノコ達「ッ!!」

\ヘイホーヘイホー/

第七王女「む この曲はこないだの」

「キノコの様子が変ね?」

お化けキノコ達は身もだえている。

\ヘイヘイホー/

お化けキノコ達「ッッ」

シュパァン

「きゃ!?」

762 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:52:10.05 BB1ogzf/0 666/838


お化けキノコ達が次々とはじけていく、残りは背を向けて逃げ出した。

パァンパァン……

第七王女「一体なにが起こったのじゃ?」

「まさか……歌?」

娘が無線機の音量を大きくする。

\ヘイヘイホー/

パパァン

逃げようとしていたお化けキノコもはじけ飛んでしまった。

第七王女「ふむ 意外なものが弱点だったというわけじゃな」

「あいつら音には敏感だったしね」

763 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:52:49.07 BB1ogzf/0 667/838


第七王女「よしこのまま村にもどって……」

第七王女が大岩から降りると無線機は通じなくなった。

第七王女「これは困ったのう」

「なにいってるの さっきの誰の歌?」

第七王女「おう そうじゃったな…… して声はまだでるかの?」

「ま 歌うくらいの体力は残ってるわよ」

第七王女「よし ここからなら山中に響くであろう」

「そうね それじゃ……」

第七王女「「せーの」」

764 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:53:48.62 BB1ogzf/0 668/838

○竹の里

娘友「というわけで 娘と王女のデュエットによってお化けキノコは駆逐されました ちゃんちゃん」

「誰に言ってるの?」

娘友「気にしないで」

村長「このたびの尽力 誠にありがとうございます」

第七王女「なにこれも勇者としての勤めじゃて」

村人「これはせめてものお礼です」

男子「っていってもコレ」

女兵士「わー キノコがいっぱい」

村長「なにしろ長いこと山に入っていませんでしたから」

「キノコの魔物に襲われたっていうのにのん気というかたくましいというか……」

765 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:55:24.19 BB1ogzf/0 669/838


娘友「いいじゃない 山を越えたら市場で売るわよ ほら持てるだけもって」

第七王女「友もたくましいのう」


○長距離バスの中

白竜と合流した娘たちは魔法都市へ向かうバスに乗っている。

白竜(人型)「あらそんなことがあったの大変だったのね」

第七王女「うむ 大変であったがこれも二代目勇者としての試練じゃて かっかっか」

娘友「そーね これで次回の新聞のネタも決まりね またまた売れるわよ~」

男子「売れてるのかあの新聞?」

少年エルフ「若い女性に人気なんだって」

男子「へぇ」

766 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:56:21.04 BB1ogzf/0 670/838


白竜(人型)「で? 王女の前でアレ使ったの?」ボソボソ

「仕方ないじゃない 誰かさんは呼んでも来ないし あの時は必死だったのよ」ボソボソ

白竜(人型)「まー あの子のことだから何も気づかないわけはないけど……」ボソボソ

「まだ何も?」ボソボソ

白竜(人型)「今のところわね」ボソボソ

767 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:57:05.18 BB1ogzf/0 671/838


第七王女「おおー!」

「なに!?」

少年エルフ「すごいあんなに塔がたくさん」

娘友「かつての魔法国の流れをくむ魔法都市よ 今でも魔法に関しては世界一の都市よ」

第七王女「ここに魔王の本拠地があったのじゃな よし突撃じゃー」

女兵士「わーいとつげき―」

男子「座ってください揺れますよ」

少年エルフ達を乗せたバスは光り輝く塔が無数に立ち並ぶ魔法都市へと進んでいく。

768 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/11/13 19:59:20.49 BB1ogzf/0 672/838

○畑

お化けかぼちゃ「……(次は俺たちの番だなウケケ)」

農夫が鼻歌を歌いながら歩いてきた。

農夫「れりごー♪ れりごー♪」

お化けかぼちゃ「(ぬわー この音は ぐわー)」

お化けかぼちゃは元のかぼちゃに戻った。

772 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:39:20.36 KDv4+I7I0 673/838

#37 エルフ・イン・ワンダーワンド ~マヨナカテレビショウ~

773 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:40:40.36 KDv4+I7I0 674/838

○魔法都市

少年エルフ達は魔法都市に到着した。

少年エルフ「わー すごい大きな塔がいっぱい」

男子「すごいな塔というか砦じゃないか?」

女兵士「でもこんな町中に?」

第七王女「建物の様式がずいぶん違うようじゃのう」

娘友「あれはビルヂングっていうのよ 近代的建築ね」

少年エルフ「へー」

「それでこれからどうするの?」

白竜(人型)「アタシはさっさとホテルでゆっくり寝たいわ」

「貴方寝てばっかりじゃない」

774 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:44:21.69 KDv4+I7I0 675/838


白竜(人型)「寝不足はお肌の大敵よ」

「炎も雷もはじく皮のくせに それくらいが敵になるわけないでしょ」

白竜(人型)「やーん ドイヒー」

娘友「でも確かにまずはホテルを決めない? 今後のことも決めなきゃだし」

男子「……そうだな魔法都市には来たけど 具体的には何をするんだ?」

第七王女「ムロン 魔王城に乗り込むのじゃ」

男子「それはどこなんだ?」

第七王女「……」

少年エルフ「知らないの?」

第七王女「何しろわらわの知る文献は古くてのう」

娘友「じゃ とりまホテルね」

775 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:46:15.24 KDv4+I7I0 676/838

○魔法都市・大通り

娘友「このガイドブックによるとこの先のホテルがコスパがいいわ」

「コスパって…… それ信用できるの?」

娘友「大丈夫よ商隊の人からもらったんだし」

第七王女「それに魔王城については……」

娘友「残念 のってないわ」

白竜(人型)「そりゃそうだわ」

少年エルフ「前みたいに観光名所になってたらよかったのにね」

第七王女「そうじゃのう」

娘達がホテルに向かっていると少年エルフが何かに気づいた。

ガヤガヤガヤ

少年エルフ「あれなんだろう?」

少年エルフの視線の先に人だかりができている。

娘友「あああれ? ちょっと見てく?」

776 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:50:33.23 KDv4+I7I0 677/838

○街頭テレビ

\なんだぁ夢か? ちくしょうヒヤでやりゃあよかった/

\はっはっはっ/

男子「なんだあれ!?」

女兵士「あんな箱に映画が映ってる!?」

娘友「あれは放送よ…… そしてあれが魔法都市が誇る最新マシーン『テレビジョン』よ」

\おめえ本当は何が怖いんだ そうだな熱いお茶がコワい/

\はっはっは/

少年エルフ「すごい…… あんなのあったら映画館行かなくていいね」

少年エルフは感動している。

「そう? あんな小さいのじゃ迫力がないじゃない」

白竜(人型)「ま それは人それぞれね」

第七王女「すごいのう わらわもひとつ買おうかの」

娘友「買っても王国じゃ映らないわよ」

第七王女「ううむ そうかおしいのう……」

777 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:53:27.15 KDv4+I7I0 678/838

○小一時間後

\ふと顔を上げるとふるいつきたくなるようなイイ女 タンメーだろう!/

\あっはっはっは/

「ちょっとちょっと みんないつまで見てるつもり」

第七王女「おう!? そんなに観ておったか」

「いいかげんにしないと日が暮れるわよ」

少年エルフ「うん……ごめん なんだか見終えるタイミングがなくって」

「まったくもー ほら男子もシャキッとしなさい」

男子「おう すまん」

女兵士「つい見続けちゃいましたねー」

「ほら白竜が待ちくたびれたから先にホテルに行ったわよ」

第七王女「いつの間に!? 急がねば」

778 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:57:51.63 KDv4+I7I0 679/838

○ホテル・娘たちの部屋

娘友「さてと明日からどうしようかしら」

第七王女「まずは情報収集じゃな」

男子「何を調べればいいんだ?」

第七王女「魔王について…… と言いたいところじゃがまずはなんでもいいの」

女兵士「えっと? なんでもって?」

「仮に復活した魔王がこの都にいるとしたら何か異変が起こってるはずよ」

少年エルフ「そっか 魔物が発生してたりするんだよね」

第七王女「そうじゃな ただここは大都市じゃからの表沙汰には出てないかもしれん」

娘友「だからヘンな噂や情報がないか調べるのね それならアタシの十八番よ」

第七王女「任せるのじゃ ……しかしこんなことより魔王城跡が直接特定できればのう」

779 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 20:59:10.34 KDv4+I7I0 680/838

少年エルフ「本は?」

第七王女「うーむ わらわの持っておるのでは正確な場所まではのう……」

少年エルフ「そうじゃなくて…… ここにも本あるよね?」

第七王女「うむ?」

少年エルフ「えっと本がたくさんあるところ えっと……」

娘友「本屋?」

男子「古文書とか売ってるのか?」

少年エルフ「本屋じゃなくて…… なんていうんだっけ?」

「図書館のこと?」

少年エルフ「うんそれ! 図書館」ニコニコ

780 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:01:08.80 KDv4+I7I0 681/838

○翌日・図書館へ向かう道

第七王女と少年エルフが道を歩いていく。

第七王女「いやまったく わらわとしたことが失念しておったわ かっかっか」

少年エルフ「ふふ でもこんな大きな街の図書館ってやっぱり大きいのかな?」

第七王女「ムロンじゃ 魔法都市の図書館といえば有名じゃぞ そもそも勇者の供だった魔法使いが……」

少年エルフ達に続いて白竜と娘が歩く。

白竜(人型)「アタシは留守番でもよかったのになー」

「じゃあ友と一緒に行ったほうがよかった?」

白竜(人型)「それもいいかもー男子君もいっしょだったし」

「それは友が断ったでしょうよ」

781 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:02:35.86 KDv4+I7I0 682/838


―― 娘友「むりむり これ以上フラグが立ったらどうするの!? 回収できないっていうかさせないわよ」

白竜(人型)「え? アタシ嫌われてる?」

「それはないわ…… でも(一応男子のことあきらめてないのね……友)」

白竜(人型)「でも?」

「人間にもいろいろあるってことよ」

どん

娘は立ち止まっていた少年エルフにぶつかった。

「パパ?」

少年エルフ「あ ごめん」

「またテレビ?」

782 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:03:52.64 KDv4+I7I0 683/838


\今日のお天気は……/

少年エルフ「ほらすごい 天気予報やってるすごいわかりやすいね」

少年エルフは興奮している。

「もー ただの天気でしょ 前を向いてないと危ないわよ」

少年エルフ「うんごめん 注意する」

\このあとのドラマは……/

少年エルフ「……」じー

少年エルフはまたテレビに見入っている。

「むー(パパにテレビは危険だわ)」

783 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:05:21.79 KDv4+I7I0 684/838

○図書館・ホール

第七王女「おお さすがに立派じゃのう」

少年エルフ「本当すごーい あ! それにテレビまで」

図書館のホールには大型テレビが備え付けられ観衆が大勢いた。

\本日の相談は……/

「ちょっと ここには本を調べに来たのでしょ」

少年エルフ「あ ごめんごめんつい……」

???「コラァ――ッ!」

少年エルフ「!?」ビクッ

784 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:06:39.27 KDv4+I7I0 685/838



図書館館長が現れた。

館長「お前ら図書館に何をしにきとるんじゃ! テレビなんぞ見るんじゃないバカモノ!」

どよどよ

大型テレビの観衆がざわめく。

\なに? あのおじいちゃん/

\また始まったよ/

\だったらテレビ置いとくんじゃねぇって/

館長「おのれー! やはり『てれびじょん』なんぞ置くべきではなかった! 今日こそぶっ壊してや……」

ズゴン

館長「はふっ」

図書館館長は背後から分厚い本で殴られ気絶した。

785 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:08:31.16 KDv4+I7I0 686/838


司書「すいません 祖父が騒がしくて…… どうぞごゆっくり」おほほ

司書は愛想を振りまきながら図書館館長をひきづっていった。

ざわざわ

\やっと静かになった/

\毎日あきねー爺さんだな/

「……さてと 調べものしましょうか」

少年エルフ「……うん」




少年エルフ「すごい本がいっぱい」

第七王女「さすが大図書館といわれるだけあるのう 手分けして調べるのじゃ」

786 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/04 21:10:09.92 KDv4+I7I0 687/838


「そうね でもどこから調べたらいいのかしら」

第七王女「わらわは伝記・伝説のあたりを調べるのじゃ エルフは郷土の資料を」

少年エルフ「わかった」

第七王女「白竜は……」

白竜(人型)「ごめんなさい あたし美容と健康の本以外の興味ないの」

「貴方ねぇ 何しに来たのか自覚ある!?」

白竜(人型)「だって興味ないの読んでると眠くなるんだもの」

「まだ寝足りないっていうの!?」

白竜(人型)「だってー 現代語難しいしー」

第七王女「よし ならば白竜と娘は最近の雑誌や記事を調べておくれ」

白竜(人型)「それくらいなら」

「わかったわ」

第七王女「では調査開始じゃ」


790 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:22:17.12 1yDc4rrP0 688/838

#38 調べども調べども

791 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:25:20.60 1yDc4rrP0 689/838

○図書館・受付カウンター

第七王女は閉架図書の目録を見せてもらっている。

第七王女「これとこれ……あとこれも読みたいのじゃが」

図書館員A「はいお持ちしますのでしばらくお待ちください」


○図書館・ロビー

ペラペラ

「ねぇ白竜」

白竜(人型)「なに?」

「こんなことしなくても貴方ほんとうは知ってるんじゃないの?」

白竜(人型)「何を? 美容と健康の秘訣?」

「そうじゃなくて…… 魔王とか……勇者とか」

白竜(人型)「そうね教えてもいい頃かもね」

「だったら……」

792 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:26:30.01 1yDc4rrP0 690/838


白竜(人型)「やっぱり十分な睡眠とバランスの取れた食事 あとは適度な運動がぁあだだだ!」

ギリギリギリ

娘のアイアンクローが白竜の顔を締め上げる。

「いい加減にしなさいよ! 怒るわよ!!」

白竜(人型)「あだだだ 既に怒ってるじゃない」

ギリギリギリ

「怒ってないわよ~ だから怒る前に……」

図書館員B「貴方たち図書館ではお静かに!」

娘達は図書館員に叱られた。

「あ……すいません」

白竜(人型)「ふー 助かった」

793 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:28:57.16 1yDc4rrP0 691/838

○図書館・受付カウンター

ペララララララ パタン

第七王女「ふむ……(目新しいものはなかったの)」

貸し出された図書を瞬く間に読破した第七王女は次の図書を目録から探す。

第七王女「次はコレとコレ……あと『魔法使いの手記』じゃが 原書を読むことは出来んか? あるじゃろう」

図書館員A「原書ですか? ……それは一般公開はしていませんので」

第七王女「ならば写本かこの現代語訳版の初版はないかの」

図書館員A「そうですね 調べますのでもう少しお待ちください」

794 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:30:52.50 1yDc4rrP0 692/838

○図書館・郷土コーナー

ペラペラ

少年エルフ「うーんと これは……」

少年エルフは次の本を本棚から抜き出す。

少年エルフ「歴史かな……」

ペラペラ

ページをめくる少年エルフに『エルフ族との戦争』の文字が目に入る。

少年エルフ「戦争! ……(そういえば魔法国はエルフ族との戦争で滅んだって話があったっけ)」

少年エルフ「えーと『戦いにおいてエルフ族は凶悪な魔法と弓術でもって暴れまわり兵の顔の皮を剥い』」

少年エルフ「……(顔? 皮?)」

少年エルフ「『残虐非道で頭蓋骨から作った杯で酒を』……」

パタン スッ

少年エルフは本を閉じて棚に戻した。

795 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:32:55.04 1yDc4rrP0 693/838

○夕方 ホテル・少年エルフ達の部屋

女兵士「あー 疲れたー」

第七王女「お疲れなのじゃ」

「何かわかった?」

娘友「えーと 行方不明 お化け騒動 都市伝説 ただのヘンタイ ……予想してたけどいろいろありすぎよ」

第七王女「そうかやはりのう」

娘友「そっちはどうだった?」

少年エルフ「んっとねエルフ族の話があったけど……なんか僕の知ってるエルフ族とちがうんだけど」

「大丈夫パパ? 顔色悪いわよ」

少年エルフ「うん……ちょっと気持ち悪い」

男子「他には?」

白竜(人型)「そうね 最新の美顔器とかあるらしくってぇ」

796 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:34:05.32 1yDc4rrP0 694/838


「コレのいうことは無視して」

白竜(人型)「ああ!? なんかどんどん冷たい扱いになってない?」

「だーれーのせいで図書館を追い出されたと思ってるの!」

白竜(人型)「それは大声だした娘ちゃんのせいよ」

「あんたが真面目に調べないからでしょーが!!」

白竜(人型)「やん 乙女心はお天気なのよん」

「黙れオッサン」

\ドイヒー/ \ギャーギャー/

女兵士「娘ちゃんと白竜さん仲良くなったねー それで王女サマは?」

第七王女「うむ…… いろいろ…… 特に魔法使いの手記について調べたのじゃがのう」

少年エルフ「どうだったの?」

797 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:35:49.92 1yDc4rrP0 695/838


第七王女「勇者の伴の魔法使いが旅の経緯について詳細に綴られたものじゃが…… 魔王城の件になると急に大雑把になるし内容が少ないのじゃ いきなり戦後になるしの」

男子「なんだそりゃ? 魔法使いは魔王城にいってなかったのか?」

第七王女「それは考えにくい むしろ考えられるのは落丁…… もしかしたら検閲があったのかもしれぬ」

少年エルフ「らくちょう?」

「本のページ抜けよ」

女兵士「けんえつって?」

娘友「まぁ ざっくりいって表現規制ね こうムフフな内容が」

「なんでそっちなのよ むしろ政治的に公になるのが不都合な情報のことでしょ」

娘友「ま そーね」

少年エルフ「えっと? 元のままの内容じゃなかったってこと?」

798 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:37:02.26 1yDc4rrP0 696/838


第七王女「おそらく それで原書の閲覧を申し込んだのじゃが」

「まぁ 無理でしょ…… そもそも本物が残ってるの?」

第七王女「そのはずなんじゃがのう あー原書をよみたいのじゃ」

ジタバタ

「ジタバタしても始まらないわ それより他の手段で調べないと」

男子「そうだな とりあえず噂を精査したほうがよくないか」

娘友「そーね とりあえず起こっていることだし」

\あーだこーだ/

第七王女「むー」

少年エルフ「……王女 むくれてないで寝たら? 疲れたでしょ」

第七王女「あいわかった ならばエルフもわらわと一緒に寝るのじゃ 弟成分で癒してたもれ」

少年エルフ「イヤです」キッパリ

799 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:38:14.57 1yDc4rrP0 697/838

○真夜中・図書館裏の路地

少年エルフ「うん?」

少年エルフは第七王女の背中で目覚めた。

第七王女「エルフ起きたか」

少年エルフ「え!? なに? どこここ?」

辺りは真っ暗で大きな建物の裏手にいるようだ。

第七王女「静かに 騒ぐでない」

少年エルフ「王女何してるの? 僕はどうしてここに?」

第七王女「ムロン 図書館に忍びこむのをエルフに手伝ってほしいからじゃ」

少年エルフ「えっ……ふが」

 第七王女は驚いた少年エルフの口元をふさぐ。

800 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:39:30.84 1yDc4rrP0 698/838


第七王女「言うたであろう魔法使いの手記の原書を読みたいと 直接調べに行こうと思ってな」

少年エルフ「図書館に忍びこむの?」

第七王女「左様 地下の閉架書庫にあるじゃろう 昼間調べた限りでは魔力式の警備ゴーレムがあったのでなそれでエルフを連れてきたのじゃ」

少年エルフ「そんな……」

第七王女「ここまで来て帰るとはいわんじゃろう?」

少年エルフ「ここまでって…… もう仕方ないなぁその本を読んだらすぐに帰るんだよ」

第七王女「わかっておるわかっておる」

少年エルフ「もー わがままなんだから」

第七王女「ふふふ」

ガチャ

第七王女は余裕の笑みで裏口の扉を開錠した。

801 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:40:43.15 1yDc4rrP0 699/838

○図書館・ロビー

第七王女「さて警備は……」

少年エルフ「……ねぇ あれ」

少年エルフは壊れた警備ゴーレムと開いた閉架書庫への扉を指さす。

第七王女「なんじゃ!? 強盗か! ケシカラン奴めわらわが成敗してくれるわ!」

ダダッ

第七王女は閉架書庫へ駆け出した。

少年エルフ「ケシカランって…… 自分はいいの?」

802 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:42:01.22 1yDc4rrP0 700/838

○図書館地下・閉架書庫

ドン バタン

閉架書庫では図書館館長と何者かが揉めている。

図書館館長「貴様 何が目的だ!」

テレビ頭「さー 何が目的でしょうか? 当ててみてください制限時間は30秒ハイスタート! チッチッチ……」

スーツ姿に頭部がテレビになった男が制限時間を刻み始めた。

図書館館長「ふざけおって そもそもなんじゃその被り物は! テレビごと叩き割ってやるわ!」

図書館館長はもっていた魔導書を開いて効果を発動しようとするが。

テレビ頭「ブーッ 時間切れ不正解失格ペナルティデース」

ビカッ

テレビ頭の画面が明滅すると発動しかけていた魔導書の魔力が吸い取られた。

図書館館長「なんじゃと!? ぬう!」

803 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:45:38.36 1yDc4rrP0 701/838


テレビ頭「暴力は反対ですよ これだから古い人間は正直嫌いヘイトヘイトです」

テレビ頭は図書館館長に詰め寄ると明滅する画面で覗き込みながら言う。

テレビ頭「それに本なんて古いです 本なんて5年もすれば誰も見ませんよ」

図書館館長「きっさまぁ! 何をいうか」

テレビ頭「これからはテレビの時代ですよ 書物なんてかび臭いだけです…… それにホラ」

テレビ頭は手近の本を手にして自身の画面へ近づけると呑み込むかのように消えた。

テレビ頭「ザザッ 『昔々ある所にお爺さんとお婆さんとお婆さんがいました』 どうですいい映りでしょう?」

図書館館長「なんということを……それになんだその内容は婆が増えておるではないか!」

テレビ頭「このほうが面白いじゃありませんか どうです滅びゆく図書館なんて辞めてここをテレビ図書館にしてみてわ」

図書館館長「なにをバカな! 第一情報を捻じ曲げて伝えるなんぞ先人への侮辱じゃぞ!」

テレビ頭「貴方は本当にうるさいですね真空管が割れそうです…… そろそろ要件に入りましょうか」

図書館館長「要件じゃと!?」

804 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:47:33.08 1yDc4rrP0 702/838


テレビ頭「……『断片集』はどこですか?」

図書館館長「なに!? おぬしまさか…… そんなものは無」

ドスン

図書館館長「ぐわ」

テレビ頭は図書館館長を壁に投げつけて再び詰め寄る。

テレビ頭「……お判りでしょう『魔法使いの手記』の『断片』ですよ これ以上手間を取らせないでいただきたい」

図書館館長「おのれ……化け物に貸し出す図書なぞここにはないわ!」

テレビ頭「ならば貴方の頭に直接お伺いしましょうかね」

図書館館長「なに!?」

テレビ頭は図書館館長の胸倉を掴み高々を持ち上げ……。

第七王女「まてぇーい 狼藉はそこまでじゃ!」ビシッ

少年エルフ「うわぁ! ちょっとあの人人間じゃないよ」わたわた

第七王女と少年エルフが現れた。

805 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:48:43.08 1yDc4rrP0 703/838


テレビ頭「なんですか 貴方達は?」

図書館館長「逃げろこいつは化け物じゃ」

第七王女「それは承知済みじゃ せいっ!」

シュッ

第七王女はテレビ頭にナイフを投げつける。

フッ

突然テレビ頭の姿が消えた。

ドサッ

図書館館長「ぐわ」

第七王女「どこじゃ!?」

テレビ頭「……危ないですね モニターが割れたら悲劇ですよ」

別の方向にテレビ頭が現れた。

806 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:49:39.30 1yDc4rrP0 704/838


第七王女「そこか!」

シュッ…… カキン

第七王女は別のナイフを投げるがナイフは壁にあたって落ちた。

第七王女「おおう分身の術か!?」

図書館館長「ゲホゲホ…… 妙な魔法を使いおって」

室内なのにあたりに霧が立ち込めはじめた。

少年エルフ「幻術みたい…… だったら本体は」

少年エルフが集中して本体を探り出そうとすると……。

スッ

テレビ頭「おっと 貴方からご招待しましょう」

ピカッ

807 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:53:20.97 1yDc4rrP0 705/838


少年エルフ「うわ!?」

少年エルフは背後から現れたテレビ頭の画面に吸い込まれた。

図書館館長「なんじゃ! 坊主に何をした!」

第七王女「エルフ! おのれ!」

スッ

テレビ頭「二名様ご招待接待ウェルカーム」

第七王女「ぬぅ!」

ピカッ

第七王女もテレビ頭の画面に吸い込まれた。

図書館館長「貴様 あの子らをどこへ……」

テレビ頭「ご安心を楽しい悲しい良いところですよ」

図書館館長「ふざけるな!」

テレビ頭「ふふふ イッツァテレビショ~ウ」

ピカッ

808 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/11 20:56:00.25 1yDc4rrP0 706/838

○図書館・ロビー

テレビ頭「やれやれ 予想外のお客様でしたが……しばらく退屈しなくて済みそうですね」

テレビ頭は大型テレビの画面に手を触れるとそのまま画面へ入っていく。

テレビ頭「それにしても先ほどは驚きましたね当ててくるとは 次は気を付けましょうそうしましょう」

カラン

テレビ頭の姿が画面に吸い込まれると第七王女のナイフが音を立てて床に落ちた。


812 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:44:56.69 EtWIIiM10 707/838

#39 厄災テレビマン

813 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:47:07.75 EtWIIiM10 708/838

○翌朝・ホテル

「パパがいない!」

女兵士「王女サマもいないよ?」

娘友「まーたどこかに飛び出していったんじゃないの?」

「だだだ大丈夫よパパには発信機があるから」

男子「そそそうだな 多分一緒だな だよな?」

娘友「落ち着きなさいよあんたら」

娘は荷物から探知機を取り出し電源を入れた。

カチッ ツーツーツー

探知機には反応が見られない。

「んな!?」ガクッ

男子「しっかりしろ娘」

娘は衝撃のあまりその場に座り込む。

814 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:48:55.75 EtWIIiM10 709/838

「まさかバレてたの どどどどうしよう」ガクガク

男子「そうと決まったわけじゃ」あたふた

娘友「一応悪いとは思ってたのね」

白竜(人型)「まー どうせいつもの王女のわがままにエルフちゃんが巻き込まれてるんでしょ 多分」

男子「だとしても王女は何かしら行先を伝えてから行っているんだ それが無いということは……」

「すぐに戻るつもりだったのね…… だとするとますます何かトラブルに巻き込まれたに違いないわ」

娘友「だったら探さないと 探知機が役にたたないなら地道に探すしかないわね」

女兵士「すごく遠くにいったってことはないの?」

白竜(人型)「今回はわたしが残ってるからそれは考えにくいわよね」

「とりあえず王女とパパが行きそうな場所を探しに行きましょう」

男子「おう」

娘友「娘…… アタシもいろいろ調べるから落ち着いて行動するのよ」

「……分かってるわ」

815 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:50:53.27 EtWIIiM10 710/838

○???

少年エルフ「ここは?」

少年エルフは暗くて狭い所で目を覚ました。

パカッ

少年エルフ「!?」

\おやまあ/

\こんなところから子供が/

突如暗闇が割れて声が聞こえる。

816 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:52:33.37 EtWIIiM10 711/838

○『オーガ退治』

お爺さん「というわけでお前は住民を苦しめているオーガを退治しにいきなさい」

少年エルフ「え? え?」

お婆さん「これは食べた者を虜にできるチート団子ですよ持ってお行きなさい」

少年エルフ「それって違法なもの入ってない?」

お爺さん「大丈夫じゃ わしは毎日くっておるぞ」

お婆さん「おほほ」

少年エルフ「……(いいのかな)」

こうして少年エルフはオーガ退治に旅立たされた。

少年エルフ「あれ……(何か探してた気がするけど なんだっけ?)」

817 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:55:12.75 EtWIIiM10 712/838

○大通り

娘は少年エルフを探しながら大通りを足早に歩いている。

「まさかまたエルフ族ってことがばれて誘拐されたんじゃ……」ブツブツ

男子「王女も一緒なんだそこまでは……多分大丈夫だ……」ブツブツ

「イヤな予感がするの 一刻も早くみつけなきゃ!」

男子「お前がそれいうなよ お前の感は当たるんだから!」

白竜(人型)「二人とも落ち着いてよ 焦っても駄目よ」

ピコ―ンピコ―ン

「は! 反応が出た!」

娘の持つ探知機が反応を示した。

男子「本当か! どっちだ」

「あっちよ!」

白竜(人型)「なんで急に?」

バタバタバタ

818 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:57:06.11 EtWIIiM10 713/838

○街頭テレビ前

ガヤガヤ

テレビの前では今日も人だかりができている。

「近いわ まさかまたテレビ見てるの?」

男子「そんなまさか……」

\これがほしいの? 食べる?/

「エルフ! エルフの声が……どこ!?」

男子「おい見ろ!? エルフさんがテレビに映ってるぞ!」

なんと少年エルフがテレビに映っている、犬に何かを食べさせているようだ。

「なんで!? それにどうして探知機が……」

ピコ―ンピコ―ン

男子「どうなってるんだコレ?」

819 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 21:58:57.79 EtWIIiM10 714/838


「そうか! だったら」

ダダッ

男子「おい!」

娘は駆け出してテレビ画面に向かって突進する!

ギュオン

\ザワッ/

男子「娘!?」

なんと娘の上半身がテレビの中に入ってしまった。


○テレビの中・『オーガ退治』

「居た! エルフー」

テレビから上半身だけ乗り出した娘は、はるか先にエルフが居るのを見つけた。

「この空間普通じゃない…… はやくエルフを連れ出さなきゃ」

娘は画面を抜けようとするが下半身がつっかえて通り抜けれない。

820 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:00:26.95 EtWIIiM10 715/838

○テレビの外・街頭テレビ前

\なんだこれ/ \マジックか?/

男子「娘大丈夫か! どうなってるんだコレ!? ウゲ」

男子は娘の足を掴んで引き戻そうとするが逆に蹴られている。

白竜(人型)「あらもー 年頃のコがそんなカッコしてはしたない ほら見せられないわよ~」

白竜は下半身だけで暴れる娘をかばっている。

821 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:01:49.59 EtWIIiM10 716/838

○テレビの中・『オーガ退治』

「んっくう 狭い……」

テレビ頭「おやおやおやこれは驚きました しかし御用急用無用に願います」

テレビ頭が娘の前に現れた。

「貴方…… 魔族ね」

テレビ頭「ピンポンパンポン大成かーい 景品はタワシ一年ブーン」

「ふざけないで エルフをどうする気! 王女もいるんでしょ」

テレビ頭「んー 残念ながら今は放送中ですので テレビは明るい所でなるべくたくさん離れて見てくだサーイ ェア!」

「な!?」

ドン

テレビ頭が手を振ると娘は弾き飛ばされた。

822 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:03:02.13 EtWIIiM10 717/838

○テレビの外・街頭テレビ前

「いったー あのふざけたテレビ魔人…… やってくれるわね」

白竜(人型)「なにがあったの? とりあえず男子君から降りたら」

娘は男子の頭に尻餅をついていた。

男子「」チーン

「あーもう 何気絶してるのさっさと起きなさい」ゲシッ

娘は男子を蹴り起こす。

男子「ぐはっ…… なにがあった?」

「行くわよ 居場所がわかったわ」

男子「なんだって どこだ?」

「テレビよ」

823 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:04:36.57 EtWIIiM10 718/838

○大図書館前

娘友「あら娘? 何かわかったの?」

司書「お連れ様ですか?」

大図書館の前までくると娘友と女兵士が司書と話していた。

「まあね 友はどうしてここに?」

娘友「情報によると昨日の夜に図書館の裏手でエルフさんと王女っぽいコを見かけたって話があって」

「いったいどんな情報網もってるの貴方…… それで図書館はどうしたの? 休館日?」

司書「あの実はお爺ちゃんが……館長が行方不明なんです それに蔵書が荒らされていていま調べてるので今日はお引き取りを……」

「……館長さんの行方に心当たりがあると言ったら?」

司書「え!?」

824 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:05:54.01 EtWIIiM10 719/838

○大図書館ロビー・大型テレビ

ギュルン

「やっぱり異空間につながってるわ」

娘は大型テレビの画面から戻ってきて言った。

司書「そんな!? こんな……こんな機能まであるなんて」

「いやそうじゃなくて…… 魔族が絡んでるわ」

娘は目にした魔族について説明した。

女兵士「すごいテレビの魔物だってハイカラだね」

男子「そんな奴いるのか?」

司書「たしか……新しいもの好きの魔族の伝承もありますね」

娘友「居るんだ」

825 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:07:06.89 EtWIIiM10 720/838


「おそらく館長さんはあの魔族に襲われて…… その場面に王女とエルフが遭遇したのね」

司書「遭遇ってすごい偶然ですね」

「そうね偶然ね ほほほ」

娘友「ほほほ……(多分忍び込んでたのね)」

男子「しかし王女まで連れ去られたかどうかは確証が」

娘友「はいこれ テレビの前に落ちてたって」

娘友は第七王女の投げナイフを示す。

男子「それじゃあ王女も……」

白竜(人型)「それでどうするの? テレビの中へ探しにいくの?」

「当然 このテレビなら通れるわ」

女兵士「でも一体中はどうなってるんでしょうね?」

826 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:08:55.64 EtWIIiM10 721/838


「そうね 多分あの魔族の空間ね 何があるかわからないわよ」

男子「そんなこと関係ない はやく探しに行かないと」

司書「あの…… 私も同行しても? 館長もおそろく中に……」

「多分ね…… でも危険よ?」

司書「大丈夫です これでも魔導書取扱者甲種です 自分の身は守れます」ブンブン

司書は分厚い魔導書を軽々と振り回す。

娘友「魔導書ってそういうものだっけ?」

司書「ちゃんと使えますよ ほら」

司書は魔導書を開くと魔力を発し始める。

「これは頼もしいわね…… こちらからもお願いするわ きっとあなたの知識が必要になるわ」

司書「そうですね図書の事ならお任せください」

男子「よし じゃあ行くぞ」

男子を先頭に大型テレビをくぐっていく。

白竜(人型)「はい いってらっしゃーい」

「アンタも来なさい!」

白竜(人型)「やーん」

白竜も娘に引きずり込まれた。

827 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:11:12.59 EtWIIiM10 722/838

○テレビの中・『???』

テレビの中にはいると辺りは霧が立ち込めている。

娘友「これ外からテレビの電源消されたら出れなくならない?」

司書「そうですね 図書館員さんにお願いしてきます」

ぎゅおん

しばらくして司書が戻ってきた。

司書「頼んできました 行きましょう」

娘たちはテレビの中を歩きだす。

男子「それにしても妙なところだな 暗いような明るいような」

娘友「それになんだか声がするようなしないような」

司書「そうですね 書庫みたいですね魔導書のささやきみたいな」

828 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:12:26.10 EtWIIiM10 723/838


「そういえば本もなくなってたとか言ってなかった?」

司書「そうですね 閉架書庫の本がずいぶんと」

「どんな本がなくなったの?」

司書「ほとんど古文書や魔導書…… ジャンルを問わずに発行の古いものがほとんどです」

ザーッ ザザーッ

「何!? 今のは」

男子「何かあるぞ……テレビだ」

前方にテレビが雑多に積まれており画面は砂嵐になっていた。

女兵士「テレビの中にテレビがあるなんて不思議ですね 何が映るのかな?」

女兵士がテレビに近づくとなんとテレビが襲い掛かってきた。

829 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:13:56.01 EtWIIiM10 724/838


男子「危ない!」

ドン

女兵士「きゃ!」

ガシャン

男子は女兵士をかばってテレビに呑み込まれた。

「男子!」

司書「他のも動いてますよ!」

ガシャンガシャン

テレビが襲い掛かる。

女兵士「きゃあ!」

ガシャン

830 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:15:14.04 EtWIIiM10 725/838


女兵士もテレビに呑み込まれた。

「男子! 女兵士! ”雷撃”」

バリバリ ボボン

娘が魔法でテレビを破壊するが二人の姿は見当たらない。

白竜(人型)「気配もないわ 転送されたのね」

娘友「まずいわ分断して各個撃破するわけね きゃあ!」

ガシャン

娘友も飛んできたテレビに呑み込まれた。

「友! 白竜あなた本気だしなさい」

白竜(人型)「えー でも司書ちゃんもいるしー 恥ずかしいわ」

「いいから! はやく!!」

831 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:16:37.81 EtWIIiM10 726/838


白竜(人型)「もー 娘ちゃん怖い― えい」

白竜は変身を解いて元のドラゴンの姿にもどる。

白竜「がおー なんちゃって」

「いいからさっさと焼き払って」

白竜「はいはい」

ボオオオオオオオオオオオ

白竜が火炎をはいてテレビを一掃した。

司書「すごい ドラゴンに変身できるんですか」

「まー そんな感じね」

白竜「すごいでしょー ん?」

ひゅるるる ガシャーン

832 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/18 22:18:05.40 EtWIIiM10 727/838


司書「きゃあ!」

上方から大型スクリーンが降ってきて白竜を呑み込んだ。

「白竜! もうなんでもアリってわけ!」

テレビ頭「イエスここはマイルームマイワールド イッツアスモールワールド」

テレビ頭が現れた。

「貴方! 一体何が目的なの」シャキン

娘は剣を抜いてテレビ頭との間合いを詰める。

テレビ頭「おっと暗いので足元に御注意ください」

「な!? きゃあ!」

娘は足元に現れたテレビ画面に呑み込まれた。

テレビ頭「はい没収となりマス」

司書「そんな!? 皆さん」

テレビ頭「そこのお嬢さんちょうどよかったインタビューに伺おうと思っていたところです」


836 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:38:09.10 YDxcYUpC0 728/838

#40 プレイ インタビュー

837 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:39:53.03 YDxcYUpC0 729/838

○???

テレビ頭「はい という訳で『テレ子の部屋』の時間です」パチン

テレビ頭が指を鳴らすと辺りの景色は落ち着いた色調の部屋に変わった。

司書「これは一体!?」

テレビ頭「今日のゲストは大図書館で働いてらっしゃる司書さんですどうぞおかけください」

悠々とソファに腰掛けて話始めた。

司書「……そんな事より お爺ちゃんと皆さんはどうなったんですか」

テレビ頭「んー こちらが聞きたいことがあるのですが…… こうしましょう一つ教えていただいたらこちらも一つお教えしましょう 質問ゲームです」

司書「……いいでしょう」

司書はソファに腰掛けた。

838 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:41:47.88 YDxcYUpC0 730/838

○『侵略者』

「……ここは?」

娘は真っ暗な部屋に立っていた。 よく見ると壁のような物が等間隔に並んでいる。

「なによコレ? イヤな予感がするわね」

ピロピロピロビビーン

部屋の反対側から突如大音量とともにやたら角ばった魔物が大量に現れた。

「来たわね! ……なに隊列?」

ザッザッザッザッザ……

娘が壁に隠れて様子を伺っていると魔物達は横移動して壁に当たると一歩全身し、魔法弾を撃ってきた。

バシン バシュン

飛んできた弾に当たって壁が崩れていく。

「だったらこっちも迎撃よ”雷撃”」

バリバリバリ ドドン

娘の魔法によって次々と角ばった魔物が消えていく。

「動きが単調ね…… とは言ってもあの数はやっかいね」

ザッザッザッザッザ……

魔物達は仲間が吹き飛ぼうとも隊列を崩さずに横歩きを繰り返している。

839 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:43:25.49 YDxcYUpC0 731/838

○『テレ子の部屋』

テレビ頭「それでは最初のご質問をどうぞ」

司書「……(私から?) ……お爺ちゃんをどうしたのですか?」

テレビ頭「それは見ていただいた方がいいですね 中継先のテレビ頭サーン」

司書「え!?」

どこからかテレビが出てきた。

テレビ「ザザー ドドド ドカンドカン ガガガ」

中継テレビ頭「えーこちらは激しい戦闘が続いております」

\やらせはせんやらせはせんぞぉ!/

司書「お爺ちゃん!?」

テレビでは図書館館長が魔導書を使ってゴーレムを操りテレビ頭達と戦闘を繰り広げていた。

840 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:46:44.60 YDxcYUpC0 732/838


\ドンドン ドカァン/

中継テレビ頭「えー犯人の要求はすべてのテレビの破壊とのことでこちらとの交渉は決裂してそれ以後このような激しい戦闘となっております」

中継先のテレビ頭が真剣な声でいうものの後ろに映っている戦闘中のテレビ頭達はバナナやトマトを投げつけたりとかなりふざけている。

中継テレビ頭「現場からは以上です」

テレビ頭「はいありがとうございます この後も気を付けて中継してくださいね」

パカァン

中継の映像が消える寸前に中継先のテレビ頭のテレビが吹き飛ぶのが見えた、と同時に映していたテレビも吹き飛んだ。

バァン

司書「うわぁ!?」

テレビ頭「注意がちょっと遅かったでしょうかね」

司書「お爺ちゃん……」

841 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:49:27.85 YDxcYUpC0 733/838


テレビ頭「御覧のように大変お元気ですよ…… 今のところは」

司書「……」

テレビ頭「それではこちらの番ですね…… 『断片集』はご存知ですね?」

司書「……えい!」

司書は急に立ち上がり逃げ出そうとした。

テレビ頭「おやおや 急にどうしました?」

テレビ頭は慌てる様子もなく座っている。

バタバタバタ……バタバタバタ

司書「うそ…… 出口がない」

司書は出口を探して走り回るが窓も扉も見当たらない。

テレビ頭「まだ答えを聞いていませんよ お座りください」パチン

テレビ頭が指を鳴らすとソファが飛んできて司書を無理やり座らせた上で逃げれないようにソファの生地が手足をぐるぐる巻きにした。

842 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:51:49.11 YDxcYUpC0 734/838


司書「うう……」

テレビ頭「貴方は『断片集』をご存じですね そうですね」

司書「……はい」

司書はしぶしぶ答えた。

テレビ頭「素晴らしい では次はあなたの番ですよ」

司書「さっきの場所は…… お爺ちゃんはどこなんです!」

テレビ頭「さて? この世界は世界ごとあちこち動きまわりますのでわかりませんね」

司書「なによそれ!」

テレビ頭「では私の番ですね 『断片集』は図書館の何処に保管されていましたか?」

司書「ちょっと さっきので答えたことになるの!?」

テレビ頭「そりゃあまぁ わからないものはわかりませんから」

843 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:53:37.14 YDxcYUpC0 735/838


司書「ふぅん……(まともに答える気はないのね だったら)『断片集』の保管場所なんて知らないわ……痛たたたたた!?」

司書が適当に答えるとソファが噛みついてきた。

司書「おっと 言い忘れてましたがそのソファはウソが嫌いですのでウソを言うと噛みつかれますよ」

司書「っう……(どうしたら)」

テレビ頭「さてもう一度お聞きします 『断片集』は何処に隠されていましたか?」

844 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:55:03.05 YDxcYUpC0 736/838

○『オーガ退治』

犬を仲間にした少年エルフは歩いていると何処からか声がかかった。

\おーいここだここ/

大岩の下敷きになっている猿が話しかけてきた。

「おらぁ腹へって力がでねぇ 何か食いもんねぇかい?」

少年エルフ「このお団子しかないけど……」

「おお! 食わしてくれ」

少年エルフはチート団子を猿の口に放り込んだ。

もぐもぐ

「うめぇなぁ おりゃあ」

ドドォン

猿は食べ終えると大岩を投げ飛ばして出てきた。

「久々に自由の身だ おめえについてけばもっとコレ食えるかい」

少年エルフ「うん でも今からオーガ退治に行くんだけど」

「構わねぇオラ強ぇ奴は大好きだ いっちょいってみっか」

猿が仲間に加わった。

「強そうな猿で戦力になりそうですね」

少年エルフ「うん」

845 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 21:59:23.23 YDxcYUpC0 737/838

○『テレ子の部屋』

司書「……閉鎖図書よ」

テレビ頭「ブラボー! 貴方はお爺様と違って柔軟で素晴らしいですね…… それで閉鎖図書の何処に?」

司書「待ちなさいそれは二つ目でしょう 先に私の質問に一つ答えなさい」

テレビ頭「フームム そうですね では質問をどうぞ」

司書は手にしていた魔導書を握りしめる。

司書「……(本は無事ね)さっきの娘さんはどうなったの?」

テレビ頭「んんー どうでしょうね」

パチン

テレビ頭が指を鳴らすと床からテレビ付きのテーブルがせりあがってきた。

テレビ頭「んんー そうですねまだ頑張ってるようですね ほお7面ですかどこまでいけますかね」

\いつまで続くのよ/ \バリバリバリバリ/

テレビ画面の中では高速で移動する魔物の群れを娘が雷光で迎撃している。

846 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 22:02:38.00 YDxcYUpC0 738/838


司書「娘さん……」

テレビ頭「このような具合ですね ではあなたの答えをお聞きしましょうか」

司書「……そうね 『断片集』はその名の通りそれぞれ分けられて閉架図書の中に隠されているわ」

テレビ頭「なるほど木を隠すなら森 ページを隠すのは本ですか」

司書「だからそれを見つけるには私たちの使う”調査”や”探索”といった図書管理魔法が無ければ見つけられないわよ」シュン

テレビ頭「おや? 貴方今なにを?」

司書「それは次の質問かしら? 残念だけど質問ゲームは終わりよ ”分類”」

バシュシュン

司書を拘束していたソファが材質ごとに分類分解されてしまった。

テレビ頭「おおっと!?」

司書は自由になるとテレビ付きテーブルの画面へ飛び込む!

司書「娘さん!」

847 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 22:03:59.97 YDxcYUpC0 739/838

○『侵略者』

どさっ

頭上から司書が落ちてきた。

「司書!? どこから」

司書「いたた それは後で娘さん下です 床を壊してください」

「床? わかったわ”重雷撃”」

ドンガラガシャーン

バリバリ…… バリンッ

娘の雷撃が床を破壊すると同時に高速横移動する魔物も消えた。

「やったわ ……ってあれは?」

底の方から強烈な光が伸びている。

司書「あそこが出口です 飛び込みますよ急いで!」

「迷ってる場合じゃなさそうね」

娘と司書が光に飛び込むと光は消えた。

848 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2016/12/25 22:08:32.88 YDxcYUpC0 740/838



テレビ頭「おーやおやおや 私としたことが逃げられてしまいました」

テレビ頭は天を仰いて大げさに嘆くがすぐに立ち直る。

テレビ頭「でもまぁ『断片集』の在りかはわかりましたからそこからここからしらみつぶしですから」

パチン

テレビ頭が指を鳴らすと部屋の様子が変わり雑多に積まれた図書の山が現れた。

テレビ頭「わお この量は確かにこれは骨が折れますね でもこうすれば」

ぽいぽいぽい シュンシュンシュン

手にした本を次々と呼び出したテレビの画面に放り込んでいく。

テレビ頭「さて今度は宝探しゲームですよ」

メキメキ

テレビ頭はそう言うと自身のテレビ画面に手足をねじ込み始めた。

メキメキ

体も折り込んで頭部、テレビだけになってしまった。

テレビ頭「おっとこの辺りですかね?」

ガチャガチャ

画面内から手を伸ばしてチャンネルのダイヤルを調整する。

テレビ頭「ではこの辺で チャオ」

メキメキ……メキャ

最後に自らの画面も裏返して消えてしまった。


852 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:21:27.58 u64TfYYm0 741/838

#41 失われたセカイ?

853 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:24:20.58 u64TfYYm0 742/838

○『実物投影百科辞典』

延々と続く本棚の間を司書と娘が歩いている。

「ここは一体なんなの? 図書館に戻ってきたの?」

司書「いいえここは辞典の中ですね」

「辞典?」

司書「あの魔族は取り込んだものから影像の世界を造れるようです」

「ふぅん つまりここはあいつのテレビで映した辞典なのね」

司書「そうなりますね 先ほどこれらの世界を調べたら出入りにはテレビを通るのが必要です」

「でもさっきのは?」

司書「あれは照射点で影像の根源です この世界を破壊するのと同じなのでかなり危険です」

「以外と度胸あるのね」

854 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:33:23.41 u64TfYYm0 743/838


司書「ふふ それにこの辞典の世界にこれたのは幸運です ”検索”」シュン

司書が魔導書を操ると一冊の本が棚から飛んできた。

司書「ありました これでなんとかなるでしょう”転写”」パララララ

飛んできた本と魔導書の間でページが飛び交う、内容を写しているようだ。

「それは何を?」

司書「これは閉鎖図書の辞典なんです…… だからこんな事も可能ですよ”投影”」

ポン

司書が魔導書の中からテレビを現出させた。

「本からテレビって…… 洒落た事ができるのね」

司書「この辞典は実物を投影するのが売りです まぁそれで色々問題があったので発禁処分になりましたが」

「でしょうね」

855 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:37:53.55 u64TfYYm0 744/838


司書「さて『テレビ』の項目を転写したのでいつでもテレビを出せますよ これで移動には困りません」

ガチャガチャ

司書は出てきたテレビのチャンネルを回す。

「そうね エルフもみんなも閉じ込められてるのよね」

司書「そうですねお爺ちゃんも助けないといけないですし 回収しなきゃいけないものもあるので」

「……『断片集』ね」

司書「なぜそれを!?」

「実はね……」

娘は第七王女の目的とこれまでのいきさつを説明した。

司書「そうでしたか わざわざ王国から」

「ごめんなさいね こんな事になっちゃって」

司書「いえ むしろあなた方が居なければ祖父を探しにここまで来れなかったかもしれません」

「そういってもらえると嬉しいわ はやく見つけないと」

司書「はい」

856 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:40:16.50 u64TfYYm0 745/838



ガチャガチャ

「これチャンネルが多すぎよ 盗まれた図書はどれくらいだったの?」

司書「ざっと千冊ほどですかね」

「気が遠くなるわね 人を検索とかできないの?」

司書「検索は本に対してでしかできませんので」

「本ね…… だったら断片集の検索は?」

司書「うーん…… 番組にされた本に対して出来るかどうか」

「とりあえずやってみてよ」

司書「そうですね ”検索”」

司書はテレビに向かって魔法を唱えた。

ガチャガチャガチャ……

高速でチャンネルのダイヤルが回りある番組が映る。

\きゃああああ/ \ガオオ グオオ/

娘友が何かに追われている。

「友が! 行くわよ!」

司書「はい」

娘と司書はテレビ画面に飛び込んだ。

857 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:42:21.69 u64TfYYm0 746/838

○『ドラゴニック・パーク』

ダダダダ

娘友「助けて――ッ!!」

ドスンドスン

ドラゴン「グオオ」

娘友はドラゴンに追われている。

ひゅーん

「チェスト―」

ドスッ

上方から落ちて来た娘がドラゴンの脳天を剣で貫く。

ドラゴン「グギャアア」

ザザ―― プツン

ドラゴンは砂嵐のように明滅したかと思うと消えてしまった。

司書「やはり全て影像なんですね」

「そうね…… 大丈夫だった 友?」

858 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:44:20.11 u64TfYYm0 747/838


娘友「娘゛ぇー ありがとう死ぬかと思ったわよ~」ぐしぐし

「はいはい 無事でよかったわ他に誰かみてない?」

娘友「ん…… 見たけど見間違いだったと思いたい…」

「え?」


○『ドラゴニック・パーク』 原始の湖畔

白竜「グオオオオオオオオオン」

ドラゴン達「グオオオオオオオオオオオオオオン」

ドラゴンの群れにホワイトゴラゴンが君臨している、群れのリーダーになっているようだ。

ダダダ

「なにやってんのアンタわーッ ”落雷”」

ガラガラガッシャーン バリバリバリ

娘の雷が白竜めがけて落ちる。

白竜「グギャアア」

859 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:46:44.09 u64TfYYm0 748/838


雷を浴びた白竜が暴れ出す。

「アンタ私がわからないの!?」



白竜の攻撃をかわす娘を遠くから司書と娘友が眺める。

娘友「やっぱりアレ白竜さんだったか」

司書「スゴイですね 野生のドラゴンとあんなになじむなんて 白竜さんって何者ですか?」

娘友「まー 見た通りよ」



白竜「グオオオオオオオ」

「本当にもうっ! 貴方ねぇ この炎天下にそんなことしてていいの? シミになるわよ!」

娘はそう言うと日焼け止めクリームを高々と掲げた!

白竜「グオ…… やっばい 塗りなおさなきゃ!!」

白竜は正気にもどった。

860 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:48:38.21 u64TfYYm0 749/838



白竜(人型)「やだわー つい若い頃に戻ったような気分だったわ」ぬりぬり

再び人間に変身した白竜は日焼け止めを塗りながら言う。

「若い頃って何百年前なのよ」

白竜(人型)「やーん それを聞かないでよー」

娘友「でもこれで他のドラゴンも怖くないわね 白竜がいるから」

白竜(人型)「ホント 若い子がいるっていいわ ここに住んじゃおうかしら」

司書「ここはテレビ番組の中で現実じゃありませんよ」

白竜(人型)「判ってるわ それが残念ねー」ふー

司書「それで…… 貴方から”検索”の結果が検知されてるのですが本とか紙片をもってませんか?」

白竜(人型)「あら? それだったらコレかしら」

861 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:50:54.06 u64TfYYm0 750/838


白竜は若干湿った紙片を差し出した、古語でなにかがびっしり書かれている。

「これが断片集?」

司書「そうですね この反応は間違いありません」

娘友「……読めない」

司書「古語でしかも暗号化を掛けてますので…… 白竜さんこれをどこで?」

白竜(人型)「んー 人に戻った時に口からねー あんまり覚えてないけど若い子を食べちゃった時にひっかかったのかしらね」

「食べたって貴方」

白竜(人型)「あ 食事的な意味で」

娘友「よりコワイ」

「菜食主義っていってなかったかしら?」

白竜(人型)「……若いころは肉食系女子だったから ほら最近でも流行りじゃなあい?」

「アンタのような肉食系女子が居てたまるか」

白竜(人型)「やーん いけずー」くねくね

司書「とりあえず次いきますね」

司書はテレビを投射して検索魔法をかける。


862 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:53:12.90 u64TfYYm0 751/838

○『オーガ退治』

少年エルフはその後も雉を仲間にして海辺まで歩いてきた。

少年エルフ「うわー 海だ」

「オーガ島は沖にありますよ どうします?」

少年エルフ「そういえばそうだね どうしよう」

\わいわい/

「あっちがなんだか騒がしいですよ」

少年エルフ「なんだろ?」

863 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:54:20.87 u64TfYYm0 752/838



子供A「よーしこいつは売って金にしよーぜ」

子供B「いや合体経験値用に飼おうぜ」

海亀「ひいい」

少年エルフ「あ ひどい」

子供達が海亀をいじめている。

864 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:55:45.53 u64TfYYm0 753/838


「こらこら おめぇら弱いモンいじめしてんのか?」

子供A「うわ 猿だ」ビク

子供B「目ぇ合わせるな 襲われるぞ」ビクビク

「なんだってぇ!?」

\うわあ/

少年エルフ「そんな怖い顔しちゃ…… 君たちダメだよこんなことしちゃ」

子供A「うっせ チービ」

子供B「バーカ」

少年エルフ「ぅ……」

「なめられてますよ」

「やっぱ ここはガツンといかねーと」

865 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/01 21:57:07.06 u64TfYYm0 754/838


少年エルフ「うーん そうだコレを上げるからこの亀を頂戴」

少年エルフはチート団子を一袋差し出した。

「あ もったいねぇ」

「まだ大量にあるでしょ いいじゃない」

子供A「……うまそうだな」

子供B「仕方ねーな 交換してやらぁ」

子供達は団子をひったくると走っていった。

少年エルフ「やれやれ……」

子供たちが去ると海亀がお礼をいう。

海亀「ありがとうございます お礼に竜宮城へ……」

少年エルフ「それよりあの島に行きたいんだけど 乗せてってくれない?」

海亀「えー? いやでも乙姫さまとかタイやヒラメが……」

「つべこべ言わずに乗せなさい」キッ

海亀「あ ハイ」


868 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:34:38.93 qG0Fs51R0 755/838

#42 フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン

869 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:35:35.97 qG0Fs51R0 756/838

○『???』・コクピット

ゴゴゴゴゴ

「いやぁ 家族旅行なんて久しぶりだな」

男子「そうですね父上」

ドドドドド

女騎士「それにしてもまさか月に行ける時代が来るとはな」

「まったくだな はっはっは」

\耐衝撃姿勢をとって下さい/

男子「ほらもうすぐですよ 横にならないと」

「よしきた」

女騎士「緊張するな……」

870 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:37:24.91 qG0Fs51R0 757/838

○『月世界家族旅行』・見晴台

シュイン

テレビ画面から娘たちが降り立つ。

「今度は何のほ」

ドドドドオオオオオオオオン!!

轟音と共に巨大大砲から巨大砲弾が打ち上げられた!

\おおおお/

「何が起こったの!?」

司書「ああっ!? 今のに検索反応がありましたよ」

娘友「今の? アレに? 仕方ないわね落ちてくるまで待ちましょうか」

司書「無理ですよ ここは『月世界家族旅行』の話です あれは月まで行ってしまいます」

娘友「つきぃ!?」

871 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:39:09.88 qG0Fs51R0 758/838


白竜(人型)「あんなところ行ってどうするの?」

「そんな大砲で月までって…… 無茶苦茶ね」

司書「まぁ空想のお話ですから しかしどうしましょう…… 原作通りなら無事に戻ってきますが」

「このエセ番組の世界じゃ どうかしらね」

娘友「でも追いかけようにもねえ……」

司書「いえ 方法はありますよ」

「あるの?」

司書「ええ ちょっとまっててください」

司書はテレビ画面へ戻っていった。

白竜(人型)「どうするのかしら?」

娘友「さあ?」

872 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:41:01.65 qG0Fs51R0 759/838



ぎゅぬぬぬぬ

娘友「きゃあ!?」

「今度は何!?」

テレビから巨大な何かが押し出されてきた。 大きな球体のようだ。

白竜(人型)「まさか宇宙船?」

バシュン

司書「うまくいきましたか」

娘友「何これ?」

司書「もう一つの月へ行く本『月世界最初の人』をこちらに影像化しました」

「これで月まで追いかけるの?」

司書「そうです 行きますよ」

司書はボール型宇宙船のハッチを開けて乗り込んでいく。

娘友「でもこの作品がこっちに来た影響ってないの?」

司書「それはなんとも…… 似た作品ですから大きく破たんはしないと思いますよ」

873 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:43:07.12 qG0Fs51R0 760/838

○ボール型宇宙船

娘達はボール型宇宙船に乗り込んだ。

白竜(人型)「で この宇宙船はどういう理屈で月まで行くの?」

娘友「これも大砲?」

司書「いえ これは反重力物質を利用しています」

白竜(人型)「反重力…… まさに夢の乗り物ね」

「操縦できるの?」

司書「もちろんです 何度か読み直してますから」

ガチャン ガチャン パチパチ

司書はレバーはボタンを操作している。

「……いざとなったら白竜 頼むわよ」

白竜(人型)「無茶いわないで 月は管轄外よ」

ヒュルルルルル

機械が音を立てて動き出す。

娘友「大丈夫よね お話の世界だもん ご都合的に――」

ビュー―――――――――――――ン!!

ボール型宇宙船は空へ向かって飛び出した。

\\きゃあああああああああああああ//

874 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:45:25.89 qG0Fs51R0 761/838

○『オーガ退治』・オーガが島

ザザーン

少年エルフとお供は海亀に乗ってオーガの住むオーガが島に上陸した。

少年エルフ「うわー岩だらけ」

「いよいよ本拠地ですね」

「オラわくわくしてきたぞ」

「この脳筋に正面突破させましょうか」

海亀「あのもう帰っていいですか?」

「お待ち 帰る足がなくなるじゃない」

雉は海亀に乗ってけん制する。

海亀「はい」

「あたしゃこいつを見張っておくから 坊ちゃん達は安心していってきてください」

少年エルフ「えっと うん任せたよ」

「……(うまいこと逃げたな)」

「ようしいくぞー」

875 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:46:59.67 qG0Fs51R0 762/838

○オーガ城・大門

少年エルフ「大きいねー どうやって開けよう」

「というか正面からでいいんですか?」

少年エルフ「他に道もないし…… うーん」

トントン

少年エルフ「ごめんくださーい!」

「マジか!?」

シーン

返事はない。

少年エルフ「居ないのかな?」

「……よかった これで出てきたらどうしようかと」

876 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:48:06.93 qG0Fs51R0 763/838


「ちょいと偵察にいきますわ きんとぅーん」

ギュイーン

少年エルフ「うわ 雲が勝手に」

「」

「じゃ ちょっと見てくっから」

ギューン

猿は雲に乗って飛んで行った。

少年エルフ「猿すごいねー」

「雉いらねーなー」

877 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:49:31.50 qG0Fs51R0 764/838

○オーガ城・大広間

青オーガ「誰かきたのか?」

赤オーガが監視カメラで確認する。

赤オーガ「……なんか子供と犬がいるぞ 迷子か?」

青オーガ「こんな島に迷子がくるか? ……めぼしいものも持ってなさそうだしほっとけ」

「おめーらヒデーな居留守かよ」

赤オーガ「なんだこの猿!?」

青オーガ「どっから入った!? まあいい小腹が減ってたところだ」

「お? なんだ飯にするのかオラにも食わせてくれよ」

赤オーガ「馬鹿め貴様がおやつだ!」

オーガ達が猿に襲い掛かる。

「なんだそういうことか じゃ仕方ねーな」

878 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:50:33.22 qG0Fs51R0 765/838

○オーガ城・大門

少年エルフ「……猿おそいねー」

「さすがに無謀でしたかね?」

\はぁーー/

どどどーん

\ウギャー/ \ヒイーー/

ひゅるるる どどん

少年エルフ「うわあ!?」 犬「!?」

少年エルフ達の目の前にオーガ達が落ちて来た。

ギュイーン

「大将 こいつらオラのこと食おうとしたから先に退治しちまった」

少年エルフ「そうなの? 怪我ない?」

「全然」

879 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:55:03.83 qG0Fs51R0 766/838


「つうかオーガがボロ雑巾ですよ 一体何をしたらこんな」

赤オーガ「うおお…… 猿ヤベェ 金色の猿ヤベェ」

「お まだ生きてたよかったな大将 とどめを」

青オーガ「ヒイイッ! 命ばかりはお助けうおー」

ペコペコ

オーガ達は必死に謝り始めた。

「どうします?」

少年エルフ「うーん(なんだかかわいそう)」

「ほっといたらまた悪さするぞ こいつら」

少年エルフ「そうなの?」

\もうしません/ \許してクダサイ/

少年エルフ「……うーん」

880 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 21:56:43.96 qG0Fs51R0 767/838


「大将 それより腹へっちまった 団子くれよ」

「お前はそればっかりだね」

少年エルフ「団子…… そっか団子だね はい猿」

少年エルフは猿にチート団子を渡す。

「やったぁ」

少年エルフ「はい犬も」

「ありがとうございます」

少年エルフ 「はいオーガさんたちも」

赤オーガ青オーガ「へ?」

「ええ!?」

少年エルフ「この団子を食べてお供になってよ」にっこり

881 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:00:12.99 qG0Fs51R0 768/838

○『月世界家族旅行』・月面の砲弾型宇宙船

「ここが月かなんにもないな」

男は砲弾型宇宙船の窓から月面を眺める。

男子「岩と氷ばかりですね」

女騎士「とりあえず出てみようか……」

「待て待て 危険って表示が出てるだろう外は有毒な『しんくう』でいっぱいだぞ」

男子「有毒ですか?」

女騎士「せっかく来たのに眺めるだけか…… おや日の出だ」

しゅーしゅー にょきにょき

月面に昼が来ると氷が解けて酸素やらなんやら空気が出来て植物が生えてきた。

882 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:01:57.81 qG0Fs51R0 769/838


「おおー」

女騎士「素晴らしいな」

男子「みろ外に出ても安全になったようだ ほら蝶もとんでる月面蝶だ」

女騎士「ああ すごい数だ」

「探検にいきましょう」

男たちはすっかり緑の生い茂った月面へ探検に出かけた。

883 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:03:09.15 qG0Fs51R0 770/838

○少し後・月面のボール型宇宙船

ビービー

娘友「うーんうーん」

「ほら起きて 月についてるわよ」

娘友「月? えっと?」

司書「大丈夫ですか? 発射のショックで気を失っていたのですよ」

娘友「そっか…… でここが月?」

にょきにょき

\ぎえーぎえー/ \ほっほー ほっほー/

娘友「どう見てもジャングルじゃない」

白竜(人型)「そうよね わたしの知ってる月と違うわ」

884 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:05:31.98 qG0Fs51R0 771/838


司書「この話の月では昼の間だけ植物が生い茂るのです 夜になるとまた岩と氷だけの世界になります」

「じゃあ 今のうちに砲弾型宇宙船を探さないとね」

司書「もちろんです”検索”」しゅいん

司書は魔法を唱えた。

司書「あれ?」

「どうしたの?」

司書「反応が移動してますね」

娘友「ページが歩いてるの? どゆこと?」

司書「……おそらく登場人物の中に断片集が」

885 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:06:37.65 qG0Fs51R0 772/838

○月面・ジャングル

男子「父上母上 あそこの洞窟キノコがいっぱい生えてますよ すごい」

男子は興奮してどんどん先へ歩いていく。

女騎士「こら そんなに先に行くと危ないぞ」

「いいじゃないか そんなに心配するな」

女騎士「しかし」

「大丈夫大丈夫 多分あいつなりに気を使ってくれたんだろう」

女騎士「気を使って?」

「まぁ ゆっくり二人で歩くとしようや ゆっくりと」

女騎士「……」カアア

女騎士「まてまて お前何を考えてるんだこんなところで!?」

「いや ただの散歩じゃないか 一体なにを考えるというんだ? ん?」

女騎士「いや 違ういまのは言葉のあやで」カアア

???「……」じー

886 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:08:04.56 qG0Fs51R0 773/838


「なんだよ 何があやなんだ? 言ってみろよ」にやにや

???「……」じ――

女騎士「いやそんな まて落ち着け それより誰かに見られてるような」

???「……」じ―――

「お? ごまかすのか? だったらますます……」

???「……」じ――――

女騎士「いや 本当にアレ誰だ」

「何?」

???「……?」

男と女騎士は至近距離まで来ていた月面人と目があった。


○月面・洞窟内

\きゃああああああ/ \うおわああああああ/

男子「母上!? 父上!?」

月面人「シャッ!!」

忍びよっていた月面人が振り返った男子を襲った!

887 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:10:23.42 qG0Fs51R0 774/838

○洞窟前

ダダダダ

反応を追って娘たちがジャングルを駆け抜けていく。

司書「近いですよ」

「まって 月面人だわそれに……」

白竜(人型)「男!?」

娘友「女騎士さんも!? なんでここに!?」

マスクをした月面人に捕まった男と女騎士が洞窟へ連れられて行くのが見えた。

司書「知り合いですか? しかしこの世界の登場人物はすべて影像のはず……」

「……原因がわかったわ 男子が居るわ あのバカ」

洞窟の奥で男子が縛られているのが見えた。

司書「なるほどあの方が『主人公』にされているのですね」

「どこまでいっても世話をかけさせるんだから」

888 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/08 22:11:50.98 qG0Fs51R0 775/838

○月の地下宮殿

テクテク

女騎士「不覚 不意を突かれて捕まるとは」

「しかしスゲーな地下にこんな宮殿があるなんて」

男子「それにしてもこの月面人 俺たちをどうするつもりでしょう」

月面人「とまれ」

\女王様のおなーりー/

ドンドコドコドコ

「なんだなんだ? 女王」

男子「……」ごくり

ゆっくりと奥の扉から現れたのは……。

第七王女「かーっかっか 侵入者というのはお前たちか」

女兵士「洞窟の入り口をうろついていたんだって」

月面女王の第七王女と従者の女兵士が現れた。

「オンナ?」

女騎士「それに子供?」

男子「……?(どこかで見たような 思い出せない?)」


891 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/15 21:14:48.46 cBAyvFWF0 776/838

○#43 アマゾーン

892 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/15 21:16:18.78 cBAyvFWF0 777/838

○月の地下宮殿・女王の間

第七王女「そなたたちには不法侵入の罪が問われておる…… が条件によっては不問にいたす」

「おお 寛大だな それで条件とは?」

第七王女「それはな…… 我々は見ての通り女性ばかりの女系の一族ゆえに古来より外部から夫となる者を招きいれて来た。 条件とは他でもないお前はこの中の誰かと結婚するのじゃ」

「おおッ!? マジでかそれなら是非と」

ズドン

女騎士の膝が男の横っ腹に刺さった。

女騎士「貴様はぁ~」ゴゴゴ

「ゴフッゴフッ」

男子「……」

893 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/15 21:18:10.32 cBAyvFWF0 778/838

○月の地下宮殿・物陰

追跡してきた娘たちが様子を伺っている。

娘友「どゆこと?」

司書「本来は昆虫型月面人なのですが…… おそらく『女系戦闘民族』の話が混ざってますね」

「オトコが生まれると殺されてオンナは戦士として育てられるという伝説の民族ね 他民族から婿をとって子供が生まれたら婿は頭から食べられるとか」

司書「……大方あってます」

娘友「マジで」

「それにしても男子は王女と女兵士を見てもなにも気づいてないようね」

司書「『配役』されているので役にあった記憶に操作されているのでしょう 自力での解除は難しいかと」

「それで王女も女兵士も役にされてるので 性格はそのままみたいだけど」

娘友「だったらそう面倒な事には…… まてよ」

894 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/15 21:19:22.95 cBAyvFWF0 779/838

○月の地下宮殿・女王の間

女騎士「月の女王よそれはご容赦ください そのコイツは私の…… 夫ゆえ」カアア

第七王女「ふむ そうであったか それは仕方がないの」

女兵士「えー あたしのお父さんにしたかったな……」

第七王女「ふむ…… ならばそこのお主! この者の息子か?」

第七王女は男子に問いかける。

男子「はい? 俺は息子の男子といいます」

第七王女「よし ならば男子よ女兵士と結婚するのじゃ」

男子「ええ!?」

女兵士「あの子と?」

第七王女は女兵士に耳打ちする。

第七王女「何をいうとる あの者はあのオトコの息子ならば結婚すれば自動的にアヤツも自動的にお父さんにできるであろう 」ボソボソ

女兵士「……そっかでも」ボソボソ

「よかったな 姉さん女房が向こうから来てくれるぞ」

女騎士「お前は~ 本人同士の気持ちってものがあるだろうが」

男子「ふーむ……(まぁいくらなんでも年の差があるし断られるだろう……)」

895 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/15 21:20:43.85 cBAyvFWF0 780/838



女兵士「うーん……」

第七王女「そう悩むか? ならばあの者たちと家族になった時を想像してみい」

女兵士「んーと」

――たいちょうがお父さんで 女騎士さんはお母さん

――それで男子君は年下のダンナさん

――あたしはお姉さん的なお嫁さん

女兵士「……?(名前なんで知ってるんだろう?)」

第七王女「どうじゃ?」

女兵士「……アリかな♪」ニコ

女騎士「マジか!?」

「っしゃあ 無罪放免」

女騎士「お前は息子の結婚をなんだと思っとる!」ゲシッ

「ゲハッ」

女騎士のつま先が男のみぞおちに刺さった。

男子「ええ? 初対面なのに?」

女兵士は男子に歩み寄る。

女兵士「なんだろ 初対面って感じしないんだよね~? 君は?」

男子「え? そういわれるとなんとなく……」

第七王女「よーしならば 式の準備じゃ」

男子「ええ!? すぐにか!?」

娘友「まてーーいッ!!」

娘友が物陰から飛び出した。


898 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:19:19.94 muqzq6p/0 781/838

#44 ネバーハッピーエンディングストーリー

899 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:20:31.02 muqzq6p/0 782/838

○月の地下宮殿

第七王女「なんじゃ曲者か!?」

男子「誰だ?」

女兵士「一族のコではないですよね?」

娘友「まてまてまてーい 男子君とは娘の次に付き合い長いハズなのになんでアタシにはフラグが立たないのよ! 責任者でてこーい!!」

第七王女「……」

男子「……」

女兵士「……」

女騎士「何を言っている?」

「……ムッ 頭が!?『それは仕様です』 俺は今何を?」

娘友「ムキ―ッ!!」

白竜(人型)「……(憐れな)」

900 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:23:04.45 muqzq6p/0 783/838


第七王女「ええい何しておる 取り押さえろ!」

第七王女の号令で女性戦士たちが娘友に押し寄せる。

娘友「うわわ 頼むわよ白竜」

娘友は白竜の背中にしがみつく。

白竜(人型)「はいはい いくわよ」

白竜は変化を解いてドラゴンに戻った。

\うわあああ/ \ドラゴンだー/

白竜「さーてそれじゃこのコは貰っちゃうわよー」

白竜は女性戦士を蹴散らしながら首を伸ばして男子を咥えた。

パク

男子「んぐわー」バタバタ

901 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:24:02.12 muqzq6p/0 784/838


娘友「……ほんとに食べないのよね?」

白竜「ひゃいひょうふよ(大丈夫よ)」

男子「はなせー」バタバタ

白竜「ふぁ(クシャミが出そう……) ふぁっひょい」

ボボフッ

白竜はクシャミと共に炎を吹いてしまった。

男子「」チーン

白竜「……」

娘友「まぁ 吹き飛ばさなかっただけマシかしら」

白竜「ほうね」

902 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:25:32.74 muqzq6p/0 785/838



第七王女「おのれー 竜を打ち取ったものには勇者の称号を……ゆうしゃ?」

\わーわー/

第七王女の号令で女性戦士たちが白竜にむかっていく。

第七王女「ゆうしゃ…… わらわは……」うーむ

女兵士「どうしました?」

司書「今です」

回り込んできた娘と司書が飛び出してきた。

「”睡眠”」シュワン

第七王女「ハヒッ」カクン

女兵士「ひゃ!?」カクン

娘の睡眠魔法が第七王女と女兵士を眠らす。

「うまくいったわ 王女をお願い」

司書「よいしょっと 行けますよ」

「白竜 はやく」

白竜「はいはい」

白竜が首を伸ばして第七王女を抱えた司書と女兵士を負ぶさった娘を迎える。

女性戦士「大変 女王サマがサラワレタ―!」

903 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:27:02.57 muqzq6p/0 786/838

○月面

女性戦士を蹴散らしながら白竜たちは地下から出て来た。

ドシンドシン

「日没が近いようね」

月面に出ると日が傾き植物が枯れ始めている。

司書「筋書どおりですよ これで砲弾型宇宙船が探せます」

娘友「ホントだ あっちにある」

遠くの崖の上に砲弾型宇宙船が刺さっているのが見えた。

白竜「いひょぐわよ」もごもご

男子「」

男子は白竜に咥えられたままである。

「……男子を落とさないでよ」

白竜「はひふぁひ」

バサッ

白竜は翼を広げると宇宙船めがけて飛び立った。

904 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:28:16.83 muqzq6p/0 787/838

○崖の上・砲弾型宇宙船

娘友「すごいところに刺さってるわね?」

「とりあえず乗って」

砲弾型宇宙船に着いた娘たちは乗り込んでいく。

司書「断片集も…… やはりココですね 宇宙船ごと帰らないと」

第七王女「すーすー」

司書は近くの席に第七王女を座らせる。

905 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:29:37.61 muqzq6p/0 788/838


「はやくしないと月面人が追いかけてくるわよ」

女兵士「むにゃむにゃ」

娘も女兵士を席に座らせた。

白竜(人型)「というよりもう来てるわ」

男子「」

ベチャ

「男子べたべたじゃない…… 気持ち悪いから端にしてよ」

ゲシッゲシッ

娘はベタベタの男子を端へ蹴とばした。

白竜(人型)「むごい……」

「貴方のよだれでしょうが」

白竜(人型)「そんなこといったってー」

娘友「……(両方ムゴイ)」

906 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:30:40.86 muqzq6p/0 789/838


司書「とか言ってる間に追いつかれちゃいましたよ」

\わーわー/

砲弾型宇宙船は女性戦士達に囲まれた。

「この宇宙船も操縦できる?」

司書「どうでしょう…… これかな?」

ボボン

宇宙船は噴射をして崖から飛び出し――

ヒュ――ン

落ち始めた。

娘友「きゃあああー!?」

「落ちてるわよ!?」

司書「仕方ないですね ”投影”」シュン

907 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:31:23.81 muqzq6p/0 790/838


落ちる宇宙船の先に大型テレビを投影した。

ヒュ――ン

娘友「一緒に落ちてたらテレビをくぐれないじゃない」

司書「大丈夫ですよ こちらの方が重いから速く落ちます」

娘友「そんなバカな」

バシュン

砲弾型宇宙船は落下するテレビに追いついて画面の中へ吸い込まれた。

ガシャーン!!

直後にテレビは地面に激突した。

908 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:32:10.14 muqzq6p/0 791/838

○『実物投影百科事典』

ドサッ

司書「ほらこの通り」

娘友「マジで……」

白竜(人型)「常識は時代によって変わるものね……」

「みんな無事? 王女と女兵士は?」

第七王女「うーん なんじゃ? 何が起こった?」

女兵士「あれー 王女サマ…… みんなもどうしたの?」

「よかった無事ね ……一応男子は」

男子「うう……何だベタベタする?」ベタベタ

娘友「『役』にされていた間の記憶はないようね」

「とりあえずアンタ汚いから洗いなさい ねえ司書お風呂とか投影できる?」

司書「できますよ いろいろ投影しますから休憩しましょう」

娘友「さんせー」

909 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:33:27.15 muqzq6p/0 792/838

○『???』

テレビ頭「どうしましょうどうしましょう どんどん集めらてる」

テレビ頭がテレビ越しに娘たちの様子を伺っている。

テレビ頭「困った困ったコマドリシスター このままでは先を越されてしまう」

ウロウロ

テレビ頭「あの手この手いい手はないものか 頭を切り替えるんだ」

ウロウロ

テレビ頭「だめだ尺が足りない 思いつかない―ッ」

ボボン

テレビ頭のテレビが爆発してテレビ頭は止まってしまった。

テレビ頭「」モクモク

910 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:34:33.75 muqzq6p/0 793/838


\うわー大変だー/

どこからか小さなテレビ頭が大勢現れる。

\大変だ―/ \タイヘンだ―/ \新しいのモッテこーい/

何人かで新しいテレビを持ってくると壊れたテレビ頭めがけて投げつけた。

ガシャン…… ブブゥン

テレビ頭「んッんー! 電波ビンビン僕満足」

テレビ頭のテレビが新品と入れ替わって再び動き出した。

\やったー/ \わーい/

テレビ頭「頭が切り替わったらいい考えが浮かびましたよ ……やはりタタミとテレビは新品に限りますな」

ガチャガチャ

テレビ頭は自身のテレビのチャンネルを切り替える。

テレビ頭「どこに行きましたかね? ……いたいた」

911 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:35:46.64 muqzq6p/0 794/838

○『オーガ退治』

赤オーガと青オーガをお供にした少年エルフはお宝と共にお爺さんとお婆さんの家に戻って来た。

お婆さん「よくやりましたね」

お爺さん「ホントにのう 友達もたくさん増えたようじゃの」

少年エルフ「友達…… うん! いっぱい友達できたよ」ニコニコ

赤オーガ「友達ねぇ」

青オーガ「まぁいいか」

「これからどうします?」

少年エルフ「みんなでここに住もうよ 大きな家立ててさ」

「それもいいかもしれませんね」

「ようしお城を造ろう」

少年エルフとお供たちは力を合わせてお城を立てました。

912 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/22 22:37:13.66 muqzq6p/0 795/838



「おおきなお城ができましたね」

少年エルフ「これでみんな一緒に住めるね」

お爺さん「よかったのう あとは幸せにくらすだけじゃの」

少年エルフ「うん」

お婆さん「エルフや川にこんな生き物がいたんだが知り合いかい?」

お婆さんは海亀を拾ってきた。

少年エルフ「あ 海亀さん」

海亀「お久しぶりです やはり助けていただいたお礼をちゃんとしたくて持ってきました」

少年エルフ「別にいいのに 何をもってきたの?」

海亀は大きなつづらと小さなつづらを差し出した。

少年エルフ「プレゼント?」

海亀「はい 貴方様の願いをかなえるつづらです」

少年エルフ「僕のねがい?」


916 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:13:11.92 +BbMebmM0 796/838

#45 大図書館戦争

917 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:14:57.08 +BbMebmM0 797/838

○『海亀の恩返し』

少年エルフの前には大きなつづらと小さなつづらがある。

少年エルフ「願い事って具体的には?」

海亀「大きいつづらは貴方を大きくしてくれますよ」

少年エルフ「本当!? じゃあ小さい方は?」

海亀「小さい方は小さくしますよ…… これはまぁ保険ですね」

少年エルフ「じゃあ開けるよ……(180センチ180センチ)」ドキドキ

海亀「どうぞ」

カパッ

ブシュ―ッ モクモクモクモク………

大きいつづらから大量の煙が噴き出した。

918 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:16:11.02 +BbMebmM0 798/838



ゲホゲホ

青年エルフ「なにこれすごい煙…… すごい大人になってる!!」

少年エルフは青年エルフになっていた。

老海亀「よ……よかったですねぇ」

青年エルフ「海亀さん!? どうしたのシワシワだよ」

老海亀「いやぁ私も煙に巻かれましたし まぁ他の方よりはましですの」

青年エルフ「他のって……」

青年エルフは辺り見渡す。

犬の骨「」

猿の骨「」

雉の骨「」

お爺さんの墓「」

お婆さんの墓「」

青オーガのミイラ「」

赤オーガのミイラ「」

青年エルフ「うわああああああッ!?」

919 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:17:16.50 +BbMebmM0 799/838


老海亀「ざっと500歳程年をとりましたのでな…… あらから死んでしまいましたね」

青年エルフ「うわああ みんなゴメン!」

老海亀「わ……私もそろそろ寿命のよう……で」プルプル

青年エルフ「まって 死なないで独りにしないでよ」

老海亀「なら小さいつづらを……」プルプル

青年エルフ「わかった! せめて海亀さんだけでもっ」

カパッ

青年エルフは小さなつづらを開けた。

ボワン モクモクモクモク

920 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:18:36.42 +BbMebmM0 800/838



少年エルフ「……元に戻った? 海亀さん?」

子供に戻った少年エルフは海亀を探す。

少年エルフ「海亀さん うみがめさーん」

コロン

「」

少年エルフ「え!? まさか……」

少年エルフは海亀の卵を見つけた。

少年エルフ「うみがめさーん!?」

921 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:20:38.19 +BbMebmM0 801/838

○『大図書館戦争』

第七王女「なるほど…… それで残る『断片集』は図書館館長殿が持っておるというわけじゃな」

娘友「そういうこと…… でもあれじゃあねぇ」

図書館館長「騙されんぞ貴様らぁ! わしの本は1ページたりとも見せんわい!!」

キュドンキュドン ズドドドドド

本棚の向こうから怒号と大量の魔力弾が間断なく射出されている。

男子「どうなってるんだアレ うわっと」

キュン ドン!

「頭下げてなさい 窓から流れ弾が飛んでくるわよ」

娘たちは司書が投影したトーチカへ避難している。

第七王女「なんちゅう砲撃じゃ」

女兵士「お爺さん1人じゃないの?」

922 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:22:26.94 +BbMebmM0 802/838


司書「お爺ちゃんは魔導書の著作・編集もできますからね たぶん陣地防衛の魔導書を大量配置してるのでしょう」

「魔導書の要塞ってところね」

娘友「アタシ達もテレビ頭の一味と思われてるみたいね…… 正気じゃないみたいね」

司書「そうね…… 最近ボケも来てるから『配役』か『素』かわからないわね」

第七王女「それにしても件のテレビ頭はどうしたのじゃ?」

白竜(人型)「そこらの壊れたテレビがそれじゃない? あの剣幕と弾幕にやられちゃったんじゃない?」

辺りには壊れたテレビのようなものが大量に散乱している。

第七王女「そうかもしれんのう」

「……そうだといいけど」

男子「娘? ……エルフさんか?」

「うん…… 王女も無事だったからパパも無事よね」

第七王女「ならば迅速にあの要塞を攻略するのじゃ 図書館長殿の協力があればエルフを探すのも容易かろう」

「そうね でもどうやって攻略する?」

司書「私がお爺ちゃんの近くまで行けたら確実に止めれます」

男子「その間合いまでどうやって行くかだな……」

第七王女「まずは……」

923 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:24:07.70 +BbMebmM0 803/838



第七王女「シンプルイズベスト 正面突破じゃ」

白竜「うーん 気乗りしないけど仕方ないか」

「あれだけの攻撃に耐えれるのは貴方だけよ 頑張って」

白竜「約束は守ってよ…… 最新エステ全身フルコース」

娘友「エステで済むなら安いものよ」

司書「じゃあ白竜さんお願いします」

白竜「いくわよ」

第七王女と娘と司書を乗せた白竜が本棚の陣地へ突撃する。

ドシンドシンドシン

924 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:25:07.55 +BbMebmM0 804/838


魔導書A「索敵殺害」キュイィ

魔導書B「サーチアンドデストローイ」キュンキュン

魔導書C「見敵必殺」キュオオオオ

ズドドドドドド キュドンキュドン

魔導書の猛攻が白竜を襲う。

白竜「あいたたた」

第七王女「大丈夫か?」

白竜「まーイタ気持ちいいくらい? いたた」

「なにそれマッサージ感覚? 余裕ね」

司書「もうすぐ本陣ですよ」

白竜「突撃―!」

ドシンドシンドシン

白竜は本陣めがけて疾走する。

925 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:26:20.11 +BbMebmM0 805/838


図書館館長「”防衛配列”」

シュタタタタ

魔導書が積み上がり防壁を構築した。

白竜「こんな本の壁くらい」

べシンッ!! ドドン

本の壁は白竜の突進を跳ね返した。

第七王女「うわぁ」

「ちょっと」

司書「きゃああ」

白竜「痛ったー もう怒ったわよ!」

ブオオオオオッ

白竜は燃え盛る炎を吹き出した。

926 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/01/29 22:27:22.78 +BbMebmM0 806/838


第七王女「ああ 本が燃えるではないか!」

「まって……」

魔導書の防壁は炎を受け付けない。

白竜「うっそー!?」

司書「お爺ちゃんの本への守護装丁はおそらく世界一ですよ」フフン

白竜「いってる場合じゃないわ 反撃くるわ!」

ペラペラペラ キュイイイイ

壁になった魔導書がページを開いて反撃してくる。

キュドドドド

白竜「あたたたた 痛いってば」

第七王女「退却 一時退却じゃー」


929 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:18:35.36 xXjdGOEl0 807/838

#46 大図書館戦争2

930 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:20:57.50 xXjdGOEl0 808/838



白竜(人型)「もーいやーもう絶対行かないわよ」

白竜はふて寝している。

娘友「というわけでプラン2よ」

女兵士「工作とか懐かしーい」

ペタペタ

男子「おい これで本当に大丈夫なんだろうな?」

男子は魔導書の扮装をさせられている。

「人が駄目なら本で潜入ね うまく行くかしら?」

第七王女「大丈夫じゃどこから見てもお主は本じゃ」

大判書(男子)「こんなデカい本とか怪しまれないか?」

931 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:22:01.50 xXjdGOEl0 809/838


娘友「世界最大の本に比べればこれくらい普通よ」

司書「守護装丁も効きましたしちゃんと図書として認識されてますよ」

大判書(男子)「本当かよ……」

「ほらさっさと行きなさい」

ゲシッ

大判書(男子)「うおっ蹴るな! 倒れたら起き上がれないぞ」



のしのし

大判書(男子)「……(足元が見えない)」

大判書に扮装した男子は図書館館長のいる魔導書の陣地へ近づいていく。

魔導書「!」フワフワ

大判書(男子)「むっ!?」

魔導書が男子の前に現れた。

魔導書「サーチ…… クリア」

大判書(男子)「あ…… どうも」ペコ

魔導書「……」ペコ

932 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:23:11.70 xXjdGOEl0 810/838



娘たちは投影した望遠鏡で様子を伺っている。

第七王女「やったのじゃ 第一関門突破じゃ」

「本当にアレでいいのね」

司書「あとはお爺ちゃんですね」



図書館館長「なんじゃお前は…… 本か?」

男子は図書館館長に詰問されている。

大判書(男子)「ええっと(ばれてないのか?) ……そうです」

図書館館長「むぅ魔力を感じるの…… 自律型魔導書か?」

大判書(男子)「……(もう少し)」じりじり

男子は少しづつ図書館館長と距離を縮める。

図書館館長「ふぅむ……貴様の表題を言ってみよ」

大判書(男子)「へ? ひょうだい」

933 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:25:07.64 xXjdGOEl0 811/838


図書館館長「タイトルじゃ 老眼でのうよくみえんのでな貴様のタイトルを教えてくれんか」

大判書(男子)「はい……(タイトル!? この本のか……そういや何の本になるんだコレ)」ダラダラ

図書館館長「どうした早く言え」

大判書(男子)「ええっと(なんかそれっぽい事……) ええっと『辞典に載ってなって無い虫』です」



\ウソつけボケがー/

ドドーン

\ぎょわー/

娘友「バレタ」

「あのバカ」

女兵士「やっぱり無理があったよね」

第七王女「ぬぅ」

司書「じゃ回収しますね”抜出”」

\うわあああああ/

大判書(男子)が司書の魔法で飛んできた。

ドタッ ズサーッ

「バカ アンタのタイトルは『今日の小鉢料理百選』よ」

焼け焦げた大判書(男子)「それは先に言っておいてくれよ」

女兵士「どうします ほかに作戦は?」

第七王女「うーむ仕方ないのう」

934 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:30:26.07 xXjdGOEl0 812/838



第七王女「稀覯本作戦じゃな」

娘友「アレを使うのね 今だすわ」

ゴソゴソ

娘友は鞄の中を手探る。

第七王女「せっかく見つけてくれたものなのにのう……惜しいのう」

女兵士「何を探してるんです?」

第七王女「以前に古文書の類を探してもらった時に見つけた稀覯本 というより手紙じゃ」

「手紙?」

司書「希少な古文書や手紙なんかもうち(大図書館)にありますが一体どんな?」

娘友「あったわこれ 激レアなんだから」

娘友は古びた巻物を第七王女に渡した。

935 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:32:28.08 xXjdGOEl0 813/838


第七王女「なにせ未発表の伝説の魔法使いの手紙…… それも恋文じゃからな」

司書「な!? 魔法使いの未発見のラブレターーッ!!」

「司書 声大きい…… それにしても有名人も大変ねこんなのが残ってるなんて」

娘友「有名人のプライバシーはいいゴールドになるのよ」へっへっへ

「友…… 顔がヤバいわよ」

娘友「あら オホホ」

ドドドドドドド……

女兵士「あれ誰か来」

図書館館長「未発表のラブレターじゃとーーーッ!?」

バッ

図書館館長が駆け寄ってきて手紙を奪いとる。

図書館館長「うおおおおお 間違いない本物じゃ!? 何ということじゃああああ」

司書「お爺ちゃんうるさい」

バコン

図書館館長「へベッ!」

図書館館長は司書の魔導書で殴られて気絶した。

936 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/05 22:33:47.75 xXjdGOEl0 814/838


娘友「効果は抜群ね」

第七王女「おおう…… 手間が省けたの」

「それじゃあこれで『断片集』は回収できたわけね」

第七王女「やったのじゃ 後はこれを解読できれば……」

パチパチパチパチ

テレビ頭「いやぁ おめでとうございます やっと全部集めてもらえましたね」

いつの間にかテレビ頭が現れた。

第七王女「おのれテレビの化け物め」

司書「貴方に『断片集』は渡しませんよ」

テレビ頭「それは結構ケッコウ しかしそれは決行できますかねこれを観ても」

ガチャガチャ

テレビ頭は自身のチャンネルを回すと……。

\マッチ……マッチはいりませんか/

「パパッ!?」

テレビ頭の画面にマッチを売る少年エルフが映っている。


940 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:19:58.09 SGnIuTOS0 815/838

#47 テレビの時間

941 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:24:06.27 SGnIuTOS0 816/838

○『マッチ売り』

雪の中、路地で少年エルフはマッチ売りをしていた。

少年エルフ「マッチいりませんかー」

スタスタスタ

人々は足早に通り過ぎるばかり。少年エルフは孤児院に入れられたがそこは悪徳孤児院で品物を売り切らないと罰が与えられるのだった。

少年エルフ「帰りたい…… 帰れない……」

はぁー

少年エルフ「……寒い そうだマッチの火で少し暖めれば」

少年エルフは品物のマッチをひと箱あけてマッチ棒をとりだした。


○大図書館戦争跡

「パパー ダメ―!!」

第七王女「点けてはならんー!!」

男子「落ち着け二人とも」

男子が飛び出そうとする娘と第七王女を引き留めている。

テレビ頭「フフフ…… もうすこしでクライマックスですよ 高視聴率の予感」

「司書! あの番組に割り込めない?」

司書「検索かけても反応しません なんで!?」

司書が投影したテレビに検索魔法をかけるが画面は砂嵐である。

娘友「さては…… 放送してないのね」

テレビ頭「ピンポンピンポンメガネガール正解! 実はこの番組は収録に切り替えました割り込みは御容赦ください」

第七王女「アヤツからしか入れんというわけか」

テレビ頭「そうですよ さてお時間も迫ってますので集めていただいた『断片集』を頂きましょうか」

「……妨害が無いと思ってたけどそういうことね」

第七王女「人質とは卑怯な」

テレビ頭「ンフフ~ いいのですか? バットでデッドなエンドはこの後スグ」

第七王女「「ウヌヌ」」

942 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:25:33.50 SGnIuTOS0 817/838



「……できた?」

司書「はい 多分」

第七王女「よしコレを丸めて」クルクル

第七王女は『断片集』を丸めて紐で縛った。

「さあ 渡すからエルフを先に解放しなさい!」

テレビ頭「フフー いいところなんですよね 先に『断片集』をいただけますか」

\消えちゃった……/

テレビ画面では一本目のマッチが燃え尽きたところだ。

第七王女「むぅ 仕方ない先に渡すのじゃ」ポイ

第七王女が『断片集』を投げる。

パシッ

テレビ頭「結構結構 ご苦労様です…… ふむこれが『断片集』ですか」

「さぁ 早くパパを解放して」

テレビ頭「おや? そうですか? しかしそのような約束はした覚えはありませんな」

第七王女「貴様ァ!」

テレビ頭「フフフ 全ては視聴率のために…… 特別に悲しい楽しいバットエンドを先行上映しますよ」

\オババに会いたい……/

シュボッ

テレビ画面の少年エルフがマッチに火をつけ場面が変わる。

「パパッ!」

943 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:27:29.75 SGnIuTOS0 818/838

○『夕飯前』

パープー パープー

豆腐屋のラッパが外から聞こえる。

少年エルフ「あれ? ここは?」

少年エルフはちゃぶ台のある居間に座っている。

バタバタ

女薬師「エルフ 豆腐買ってきたわ オババはまだ?」

女薬師が豆腐を入れた桶をもって入ってきた。

少年エルフ「えっと…… (そうだオババはすき焼きの肉を買いにいったんだっけ)」

少年エルフは設定を思いださせられた。

少年エルフ「まだ戻ってないよ」

女薬師「オババまだかな~♪ スキ焼スキ焼き」

ガラガラガラ

オババが肉屋から帰って来た。

女薬師「オババお帰り~ 遅かったね」

オババ「ああ 肉屋の帰りに見合いの話を持ち掛けられてね…… それで遅くなっちまった」

女薬師「またそんな でイケメン?」キラキラ

オババ「ほら」

女薬師「どれどれ」

オババ「ほらエルフ お前にも」

少年エルフ「僕にも!?」

944 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:29:33.57 SGnIuTOS0 819/838


オババ「お前も見た目はともかくいい年だろう 見るだけ見てみな」

少年エルフ「ふ ふーん」ドキドキ

ペラ

少年エルフ「え゛!?」

オババ「どうだい? いいコだろう」

オババは肉の包みをもって台所へ向かう。

少年エルフ「えっと…… あのオトコの人だけど」

オババ「んん?」

女薬師「オババあたしも いくら美人でもさすがに同性は……」

オババ「おっと逆だ」

ポイ

オババは女薬師から見合い写真を受け取ると少年エルフに向かって放り投げる、

少年エルフ「うわっ」

オババ「でアッチがアンタだ」

女薬師「もー オババは雑なんだから」

少年エルフ「……見合いってそんな」ドキドキ

オババ「いいから見てみな」

少年エルフ「うん」ドキドキ

ペラ

少年エルフ「……えっと この子……」

見合い写真には娘が写っている。

少年エルフ「娘…… そうだ僕は王女と図書館に行って」

オババ「そうだほら しっかりしてちゃちゃっと行きな」

オババは少年エルフを立たせて背中を押すと周りの景色は暗転して少年エルフだけになった。

少年エルフ「オババ? オババ!?」

\パパー/

少年エルフ「娘の声 行かなきゃ……」

タッタッタ

少年エルフが声の方へ走ると光に包まれた。

945 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:31:28.74 SGnIuTOS0 820/838



バリバリバリ

少年エルフ「娘ーッ」

「パパー!」

テレビ頭「何ですと!?」

少年エルフがテレビ頭の画面から這い出てくると娘に抱きしめられた。

ぎゅう

「あー よかった大丈夫? 怪我ない?」むぎゅうむぎゅう

少年エルフ「ちょっと放して何が起きてるの!?」

第七王女「よかったのじゃ危うく悲劇のヒロインになるところじゃったんじゃぞ」むぎゅうむぎゅう

少年エルフは娘と第七王女に挟まれもみくちゃにされる。

少年エルフ「ヒロインって 僕はオトコだって」

テレビ頭「ば…… バカな自力で『配役』から抜け出すなんて」

白竜(人型)「親子の絆の奇跡ね」ホロリ

娘友「そうなの?」

男子「とにかく 茶番は終わりだ」

女兵士「そうよ なんだだっけ……『だんぺんしゅー』を返しなさい」

テレビ頭「ムム」

第七王女「いや おぬしのような悪者はわらわが退治してやるのじゃ」

「そうね…… エルフに悲しい思いさせたのは許せないわ絶対」ゴゴゴ

テレビ頭「ムムム」

司書「そうです お爺ちゃんの仇をとらせていただきます」

図書館館長「」チーン

娘友「いや死んでないし 気絶させたのアンタでしょ」

司書「……覚悟してください」

娘友「スルーっすか」

テレビ頭「ムムムム」

946 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:34:13.92 SGnIuTOS0 821/838

テレビ頭「かくなる上は『断片集』だけでも」

ずぽっ

テレビ頭は断片集を自身の画面に突っ込む。

第七王女「させるかっ」シュッ

バリン ドカン!

第七王女の投げナイフがテレビ頭の画面を破壊する。

ドサッ バチバチバチ

第七王女「うぬ 遅かったか?」

ガシャガシャ

「……無いわね 何処かに転送されたのかしら」

女兵士「何処かって?」

「そうね 本体とか?」

???「「ピンポンピンポンピンポンポン」」

少年エルフ「うわぁ!? いっぱいいる」

娘友「またこのパターン!?」

テレビ頭の群れ「「テンプレ天丼様式美 いっぱいいるのはいいことだ」」

テレビ頭の群れが現れた。


○『テレビ局前』

テレビ頭「みてください 悲劇のエルフを救出した勇者一向に出待ちの群衆がおしよせます」

辺りは一変して夜の街となるテレビ局がそびえ立っている。

\インタビューにお答えください/ \不正はなかったんですかー/ \今ならこの羽毛布団がもう一枚/

ドドドドド

様々な扮装をしたテレビ頭が群れがテレビ局から飛び出してきた。

947 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:36:53.44 SGnIuTOS0 822/838


娘友「出待ちって……逆でしょ」

「それより物量で攻めて来たわね」

第七王女「エルフは取り戻したのじゃ遠慮はせぬぞ 娘!」

「そうねお礼をしなくちゃね」バチバチバチ

第七王女「白竜!」

白竜(人型)「え~あたしも? はいはい」

第七王女「懲らしめてやるのじゃ!」

「いくわよ”重雷撃”」

ガラガラガラガッシャーン

テレビ頭の群れ「「ビビビビッ」」バリンバリンバリン

白竜(人型)「もう竜使いが荒いんだから」

白竜は本来の姿にもどって燃え盛る火炎を吹き出した。

ゴオオオオオオオオオオオオオ

テレビ頭の群れ「「溶ける― ウボアアアアア」メラメラ

白竜「エステに美白パックもつけてよね」



司書「スゴイ…… まるで伝説の魔法使いのよう」

娘友「ま あのコらは特殊だから」

ドドドドド

テレビ頭「アチチ 上も火事下も火事これなーんだ?」

テレビ頭が燃えながら突進してきた。

少年エルフ「うわあ!? こっちきた」

第七王女「むぅ!」

男子「危ない」

ザシュ

テレビ頭「アチャーッ そうです燃えるテレビさんでした」ガシャン

男子が燃えるテレビ頭を切り捨てた。

948 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/12 22:39:32.73 SGnIuTOS0 823/838


男子「あっつ こいつら何も感じないのか?」

女兵士「そうかも 頭カラッポだし」

ドシュ

女兵士も襲ってくるテレビ頭を倒しながら答える。

司書「いくらでも沸いてるように見えますよ」

白竜と娘がテレビ頭の群れをなぎ倒しているが後から次々とテレビ頭がテレビ局から出てくる。

第七王女「ならば白竜 テレビ局を狙うのじゃ!」

白竜「はいはーい」

ゴオオオオオオオオオオオオオオッ

???「電磁波バリヤーッ!」

グニュア

白竜の炎を曲げられて拡散する。

第七王女「むっ さてはテレビ局が本体じゃな!」

???「ピンポーンピンポーン」

ズゴゴゴゴ

テレビ局に手足が生えて動き出した。

テレビ局男「そうです私が本体ですよ」ゴゴゴ

少年エルフ「うわ でっかい」

娘友「なるほど テレビは媒体で放送元が大元ってわけ」

「どうせ図体が大きいだけでしょ ”重雷撃”」

ガラガラガッシャーン

テレビ局男「おっとヒライシ―ン」

バリバリバリ

娘の雷は避雷針に吸い込まれてしまった。

テレビ局男「電波塔に落雷対策は基本ですよ基本」

「へぇ やるじゃない」

第七王女「うぬぬ おのれ」

テレビ局男「貴方たちを番組にすれば高視聴率まちがいない さぁスタジオに入ってもらいましょうか」

テレビ局男とテレビ頭の群れが襲い掛かってきた。


952 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 16:48:16.85 akxCKG8N0 824/838

#48 パイレーツ・オブ・テレビジョン ワンダーエンド

953 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 16:50:13.02 akxCKG8N0 825/838


ドドドドド

インタビューテレビ頭「すいませーんテレビ局の者ですがお時間ありますかー」

男子「せいっ」ズバッ

レポーターテレビ頭「みてくださいこのおっきなカニ」

「邪魔ッ」ズバッ

女兵士「あ もったいない」

司会テレビ頭「さぁ制限時間は30秒お答えください」

白竜「知らないわよ」ゴオオオ

娘たちは押し寄せるテレビ頭を倒していくが尽きるようすがない。

娘友「防戦一方じゃない またこのパターン?」

第七王女「親玉を何とかできんのか?」

白竜「アタシ達は対策されてるしあの巨体じゃ……」

954 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 16:51:17.43 akxCKG8N0 826/838


テレビ局男は次々とテレビ頭を生み出している。

少年エルフ「あれだけの魔力を一体どこから補給してるんだろう」

司書「調べてみますね "調査"」ヒィーン

少年エルフ「どう?」

司書「これは…… そんなまさか街じゅうから!?」

第七王女「どういうことじゃ?」

テレビ局男「はっはっはっは お教えしましょう私の魔力は53万の視聴者です」

第七王女「なんじゃと!?」

テレビ局男「あなたの声と受信で最強放送 視聴率こそ我がパワー我が魔力!」

娘友「そんなバカな」

955 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:03:34.80 +iahmhVK0 827/838


少年エルフ「でも確かに電波があの塔で魔力に変換されてる すごい量!」

「じゃあ 視聴者がいる限り魔力が供給されるってこと!?」

テレビ局男「そのとおり 全ては視聴率のために 視聴率は正義!! これぞ視聴率パワー!!」

ドドォン

テレビ局男が大量のテレビを塊にして投げつけて来た。

少年エルフ「”風防波”」ぎゅるるる

バシンバシン ガチャンガチャン

少年エルフが風の障壁で降り注ぐテレビを防いだ。

少年エルフ「うっ…… すごい圧力」

「パパ大丈夫? あいつの魔力供給をと止めることができれば」

男子「電波をとめれないのか!?」

956 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:04:50.02 +iahmhVK0 828/838


司書「それなら電波を反射する金属片を大量にまけば……」

娘友「なるほど 司書さんその金属を投影できる?」

司書「無理ですよ あの巨体を覆うほどの量なんて」

男子「あぶないっ 伏せろ!」

バキンッ

障壁を抜けてきたテレビを男子が剣で薙ぎ払った。

パラパラ

女兵士「きゃっ 破片が顔に」

司書「擦らない方がいいですよ ブラウン管にはアルミ粉末が蒸着してますから」

第七王女「アルミ…… それじゃ!」

「そうよ エルフなら」

少年エルフ「え なに?」

娘は少年エルフに作戦を伝える。

957 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:06:07.55 +iahmhVK0 829/838


少年エルフ「わかったよ…… でもその間の防御は」

男子「俺にまかせてくれ エルフさんは魔法に集中を」

少年エルフ「わかった 行くよ”旋風”」ゴオッ

少年エルフが魔法の風を生み出す。

テレビ頭「おや風が騒がしいですね……」

少年エルフ「まだまだ”突風”」ビュオオオ

テレビ頭「でもこの風少し…… うわあああああああ」ヒュゴッ

旋風が突風を吸収して竜巻になった。

ゴゴゴゴゴ

\うわああああ/ \ぎゃあああ/

テレビ男たちが次々と竜巻に呑み込まれていく。

テレビ局男「む? 今度は竜巻ですか? しかしこの電波塔はタイフーン対策もバッチリです」

竜巻は巨大化してテレビ局男を襲う。

ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

958 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:07:50.85 +iahmhVK0 830/838


テレビ局男「はっはっは この程度なら耐えれますぞ」

「パパ頑張って」

少年エルフ「うん”旋風”」

少年エルフはいくつもの竜巻を発生させて竜巻をさらに巨大化させていく。

ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴッ

テレビ局男「災害震災タイフーン中継も視聴率が取れるかっこうの番組ますます魔力が……」

\ぎゃー/ バチバチ \ガシャン バリン/ バチバチバチ

テレビ局男「なんだ魔力が減るなぜだ!?」

テレビ局男は自身が徐々に縮んでいくのに気付いた。

「うまくいってるようね」

テレビ局男「まさか電波が届かない…… 視聴率パワーが届かない!?」

第七王女「そうじゃ お主はお主のテレビのブラウン管のアルミによって電波を遮断されたのじゃ!」

娘友「身からでたチャフね」

テレビ局男「なるほど 考えましたなしかし私の魔力が尽きるまで耐えれますかな?」

少年エルフ「ううっ……うわっ!?」

ぶわっ

959 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:09:30.40 +iahmhVK0 831/838


「パパっ危ない」ガシッ

竜巻に吸い込まれそうになった少年エルフを娘が捕まえる。

「うそ!?」

フワッ

第七王女「エルフッ!」ガシッ

男子「娘!」ガシッ

第七王女と男子が娘たちを引き留めた。

娘友「あっぶなー ってアタシも!?」ふわっ

司書「友さん! きゃっ」ふわっ

ガシッ

白竜「みんな捕まって こうなりゃ我慢くらべよ」

白竜が竜巻に引き込まれそうになった娘友たちと少年エルフ達を抱き寄せて竜巻に耐える。

960 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:10:11.18 +iahmhVK0 832/838


テレビ局男「ぐぐぐ(動けない…… しかしそれはあちらも同じ耐えれば……)」

第七王女「耐えるのじゃ白竜! エルフ!」

少年エルフ「うう……」

ヒュゴゴゴゴゴッ

テレビ局男「ぐおおお 視聴率…… 私の視聴率が」ボロボロ

テレエ局男はさらに小さくなり崩れていく。

女兵士「まだ……ッ?」

少年エルフ「もう少し……」

ズズッ ズズッ

白竜「みんな離しちゃだめよ……」

白竜ごと竜巻に引き寄せられていく少年エルフ達。

「パパっ」ぎゅうううう

少年エルフ「んぐぐぐぐ」

961 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:11:26.73 +iahmhVK0 833/838

ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴッ

テレビ局男「す 全ては視聴率のためにッ!」ヒュゴッ

テレビ局男がとうとう竜巻に巻き上げられた!

\ぐわああああああああああああああサヨナラ/ ガシャーン

テレビ局男は上空で砕け爆発四散! 空の描かれた天井にヒビが入った。

第七王女「やった やったのじゃ!」

少年エルフ「……お おわった」ヒュッ

ぶわっ どさーっ

少年エルフは竜巻を解除すると白竜ごと床に転がる、さらに巻き上げられていた様々な破片が降ってくる。

ザザザザーッ ガチャガチャガチャン

白竜「あいたた やだもーアザができちゃう」

白竜が翼を広げ降りそぞぐ破片から少年エルフ達を守った。

962 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:12:31.05 +iahmhVK0 834/838


「できるわけないでしょアンタが…… パパ大丈夫? 怪我ない?」

少年エルフ「ないから…… 放して」むぎゅむぎゅ

「あーよかったー」ぎゅううう

少年エルフ「はな……」ぎゅぎゅー

第七王女「よしこれにて一件落着じゃな かっかっか……」

パリン

男子「王女まて 様子が変だ」

司書「この空間が壊れますよ」

バキバキバキ パリン ガチャン

頭上のテレビ局頭が砕けた天井のヒビが広がり崩れてくる。

第七王女「なに!? しかし『断片集』を探さねば」

バリバリバリ ピキピキ

白竜「そんな時間はないわよ ここから出なきゃ!」

第七王女「ぬうう 仕方ない撤収じゃ!」

「走って! 行くわよパパ」

ダダダダ

少年エルフ「走るから放して……んぎゅ」

娘達は走りだした。

963 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:13:27.11 +iahmhVK0 835/838

○翌日・大図書館

図書館館長「テレビ魔の討伐、閉架書庫の蔵書の数々の奪還と王女様の御一行の皆さまには大変感謝しております」

第七王女「これも勇者の勤め して館長殿『断片集』についてじゃが」

図書館館長「原本は未だ見つかっておりません おそらくあの魔物に食われてしまったかと……」

第七王女「やはりそうか…… ならば写本のほうは?」

司書「目下解析中ですよ 解読した冒頭ならここに写してきました」

第七王女「是非読みたいのじゃ」

第七王女は司書の魔導書を覗き込む。

娘友「『断片集』とっさに司書さんの魔導書に転写したけど手掛かりになるのかな?」

「さあどうかしら」

図書館館長「伝説の魔法使いは几帳面な性格で旅の行程を詳細に残してます」

女兵士「そもそもどうしてバラバラのだんぺんしゅーになってたのですか?」

白竜(人型)「……誰かにバラバラにされたか 自身でバラバラにしたのか」

図書館館長「それでも残しておきたかったようですな 代々の館長にその存在だけは伝えられておりました」

娘友「歴史の謎ね~ あ王女何かわかった?」

第七王女がメモを控えて戻って来た。

第七王女「うむ魔王城にたどり着く記述を写したこれを元に捜索再開じゃ」

「そうね 行ってみましょう」

964 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:14:16.53 +iahmhVK0 836/838

○街はずれ

テクテクテク

第七王女「ふむふむ……旧教会を起点にたどるとあっちに門があるはずじゃ」

第七王女を先頭にして娘たちは街はずれまで歩いてきた。

男子「けっこう歩いたぞ合ってるのか?」

女兵士「建物も減ってきましたね」

少年エルフ「でもあっちにたくさん人がいるみたいだよ」

「あれは…… 何かの学校があるみたいねあれは校舎よ」

娘友「学校ねー アタシたちの学校もそろそろ修復されたかしら?」

965 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:15:03.37 +iahmhVK0 837/838


「……そういえば私たちの学校が崩壊したのって確か」

男子「ゾンビだろ?」

「そうだけどゾンビが襲撃したのは確か……」

少年エルフ「中庭に埋まってた手を魔物が持って行ったよね」

「そうよだから――」

第七王女「うむ 間違いないここじゃ!」ピタ

第七王女が立ち止まり校門を指し示す。

「ここは――」

第七王女が校門に刻まれた学校名を指さして言う。

第七王女「魔王が潜んでおるのはこの『超魔力学園』じゃ!」


966 : ◆VEKixXsFvlSQ - 2017/02/18 17:21:44.50 +iahmhVK0 838/838

※更新終了 今回はここまで

次回以降は別スレを3月半ばに作成して続きを書きます、3月25日には再開したいです。

保守に毎週一回は確認します、ここまでお読みいただきありがとうございました。


続き
少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を倒すことになりました」

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