※2018年7月17日(火)の22時頃まで公開していた記事にミスがありチャプター2および3が正しくまとめられていませんでした。申し訳ございませんでした。現在は修正されております。

関連
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」『ダンガンロンパV3』(ch.1)
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.2)
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.3-1)
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.3-2)
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.4-1)
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.4-2)

1 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:41:30.43 cVaVeu030 1390/2029

注意点
・このSSはダンガンロンパV3の二次創作です。ネタバレを含みます。
・原作に対して独自に解釈・未判明部分に対して独自に設定した部分などを含みます。
・シリーズ更新です。チャプターごとにまとめた投下をしていく予定です。

・続き物になります。チャプター1・2・3・4を読んでいない方はこちらを先にどうぞ。


・チャプター1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491659924/

・チャプター2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495890004/

・チャプター3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503323228/

・チャプター4
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515761438/


・pixivでも同時更新して行きます。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9511987


・時間が開いたので、チャプター1、2、3、4のあらすじをまとめてからチャプター5を開始します。1、2、3、4を読んでない方はネタバレに注意を。












元スレ
夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」ch.5『ダンガンロンパV3』
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524382890/

2 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:42:41.77 cVaVeu030 1391/2029


チャプター1 あらすじ




コロシアイを生き残り学園を脱出した夢野は、次の瞬間コロシアイの最初に戻されていることに気づく。




同様の現象は生き残りの最原、春川にも起こっており、三人はコロシアイを生き残った記憶を使ってコロシアイを止めることを誓う。




しかし第一の動機モノクマのタイムリミットを撤回出来ず、コロシアイの阻止は難航。




そんな中記憶にないRを名乗る謎の人物からの手紙が発見される。




天海の才能が生存者ではなく冒険家になっていることから、記憶と違う行動を取るRではないかと疑うが否定。




誰がRなのか分からないままタイムリミット直前を迎え、コロシアイ促進BGMが鳴る中、前周回の首謀者白銀の死体が発見される。




死体発見現場で一緒に倒れていた最原は怪しまれて、クロではないかと疑われる。




その後の裁判で最原は一度クロではないと判断されるも、嘘がバレてクロだと判明。全会一致で投票される。




だが、それも最原の予定通り。




最原の狙いはクロと指摘され、そのおしおきにモノクマを巻き込んで破壊すること。首謀者が死んだ今、新たなモノクマを生み出せないことから、コロシアイを終わらせる狙いだった。




しかしこの周回での首謀者は白銀ではなかった。新たな首謀者の手によってモノクマは無慈悲に復活を遂げる。




そして夢野たちがコロシアイを生き残った生存者だという事実が告げられる。




全部モノクマの手のひらで転がされていたことに気づき絶望しかけるが、夢野は最原の思いに応えるために奮起。コロシアイを止めることを宣言する。




こうして新たなコロシアイ生活は幕を開けた。


3 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:43:17.08 cVaVeu030 1392/2029


チャプター2 あらすじ




才囚学園の新たなフロアの開放。




それに伴い、春川の超高校級の暗殺者の研究教室も開放される。前周回では自分の才能を隠していた春川だが今回はそれを皆に打ち明け、受け入れられる。




そんな中モノクマに提示された新たな動機。『動機ビデオ』




夢野と春川はどうにか対処しようと画策するが、今周回では生き残った赤松がバラバラに配られたビデオをみんなで見ようと提案する。




そして始まった動機ビデオ鑑賞会。




東条と星の動機ビデオで問題が起きるも、みんなで解決。このまま無事に終わるかと思った矢先に、前周回では不発だった真宮寺の動機ビデオ『姉の友達を作るために女性を殺している』という内容が暴露される。




しかし真宮寺が思い出しライトで今思い出したという嘘を付いたのと、赤松が許したことでどうにかその場は収まった。




その後夢野がアンジーの信者にならなかったため、代わりにキーボのロボットショーが開かれる。




ショーの最中に超高校級の昆虫学者、獄原ゴン太の死体が発見。




捜査・裁判を経て、超高校級の発明家、入間美兎が夜時間にプールの水に触れてはいけないという校則を用いて殺されたことが判明。言いがかりをつけるもおしおきされる。




夢野はその言いがかりの中の不可解な言葉から、入間に今回の殺害計画を渡した『提案者』がいることを突き止める。




提案者の存在、最原の蘇りを夢想してしまう赤松。




コロシアイ学園生活はさらに混迷を極めていく。


4 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:43:50.03 cVaVeu030 1393/2029


チャプター3 あらすじ




第三の動機、これまでに死んだ生徒から一人を蘇らせて転校生として迎えるというもの。




夢野と春川はこれによる争いを阻止するために、そして蘇り方法からこの世界の秘密に迫るために屍者の書の使用を決意。




その結果、最原が前周回の記憶を持ったまま蘇る。




再び今周回のコロシアイを止めるために動き出す三人。




生徒たちをおびやかす脅威は大きく分けて二つ。




一つは入間にゴン太を殺す計画を教えた『提案者』。夢野はその候補である前周回と外れた行動を取り始めた王馬に探りを入れるが煙に巻かれる。




そして二つ目、モノクマの関わらない動機を持った真宮寺を警戒していたが、それも空しく彼は最原と東条の死体が転がる美術室で自分が二人を殺したと主張する。




捜査時間を経て始まった学級裁判。




残った証拠から、東条が『提案者』であり、最原を殺そうとしていたことが判明する。東条は自身から疑いを逸らすために、入間にゴン太を殺させ、新たな動機を発表させる狙いだったのだ。




しかし東条も最原を殺していないこと分かり、二転三転した裁判の結果、最原を殺したクロは赤松だと分かった。




赤松は復活した最原の様子が生前と微妙に違うことに気づいており、そこから自分が絆を結んだ最原と別人であとを突き止め拒絶してしまう。




それを受けた最原の暴走から逃げるために、無我夢中で殺してしまったというわけだった。




赤松がおしおきを受けた裁判後、夢野と春川は蘇りが思い出しライトと白銀のコスプレイヤーの才能によって成り立っていたことを見破る。




何もかも自分でさえも嘘であるかもしれない状況に、しかし夢野と春川はそれも現実と割り切り、これ以上大切な仲間を失わせないことを誓う。




今回の事件を裏で操っていた真宮寺、咳込む百田、最原に提案者の提案者でありコロシアイを止めるため裏で画策していると言われた王馬。




全てを孕んでコロシアイは進む。


5 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:44:19.05 cVaVeu030 1394/2029


チャプター4 あらすじ



第四の動機カードキー。



前周回の王馬がこの世界の秘密を手に入れたそれを、夢野たちは必要ないと判断して使用前に破壊する。



そしてもう一つのコロシアイを引き起こす存在、真宮寺も行動させないように拘束する。



順調にコロシアイ対策を進めた夢野たちは、次に百田の病気をどうにかしようとする。



医学を学び正攻法で対処しようとする春川だが、それでは無理だと判断した夢野はモノクマに百田の病気を治すように交渉。



結果、モノクマボール――ゲーム世界にて七つ集めた場合に一つだけ何でも望みを叶える、という追加動機が発表された。



『コロシアイを終わらせる』望みを持った夢野と『百田の病気を治す』望みを持った春川は一時的に道を別れる。



コロシアイを誘発する意図が盛り込まれたゲーム世界にてモノクマボールを集め、コロシアイを終わらせようとする夢野。



しかしその望みも空しくゲーム世界にて超高校級の美術部、夜長アンジーの死体が発見される。



そして四度開かれた学級裁判。



自分がアンジーを殺したと勘違いして、捜査に非協力的な態度を取る春川。



しかし裁判にて夢野はその間違いを指摘。真のクロである星を言い当てる。



モノクマボールを集めていた星は、その権利を使い『最期にみんなでテニスをする』望みを叶え、惜しまれながら死亡。



その後、真宮寺が事件の裏で暗躍していたことが判明。星は真宮寺のせいでアンジーを殺してしまったことが明らかになる。



ターゲットは残り二人。逸る気持ちを抑えられない真宮寺に対して、モノクマはまだ殺人行為禁止宣言が続いていることを告げる。



残った7人で協力するべきと考える夢野だが、そこに真宮寺以外の7人の中に爆弾を仕掛けたものがいることを王馬が指摘する。



各々考えるように言ってその場は解散。疲れた者も多く部屋に戻るなり眠る者がほとんどだった。



この夜が明けたときに――ダンガンロンパV4最後のコロシアイが幕を開けることになる。




6 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:44:48.45 cVaVeu030 1395/2029






それではチャプター5の開始です。






7 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:45:35.72 cVaVeu030 1396/2029








そして喪失と終幕を告げる知らせが鳴る。







『死体が発見されました。オマエラ、エグイサル格納庫に集合してください!!』








8 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:46:08.62 cVaVeu030 1397/2029




C H A P T E R 5



喪 失 と 終 幕 の 旅 路



(非) 日 常 編




9 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:46:50.00 cVaVeu030 1398/2029


<裁判・翌朝>

<夢野の部屋>



夢野「…………ん」

夢野「よく寝たぞ……」



夢野(被害者のアンジーにクロの星)

夢野(二人の仲間を失った二周目四回目の裁判から一夜明けた)

夢野(一昨日は徹夜でアンジーを捜索していて、昨日は捜査に裁判、テニスと疲れておったため、昨夜は部屋に帰ってすぐに寝てしまった)



夢野(そのせいか少し早く起きてしまったな。朝食会まで少し時間がある)

夢野(現在コロシアイはモノクマの殺人行為禁止宣言によって一時的に停止している。じゃが、それも今日の朝食会のときに解除されるという話じゃ)

夢野(殺意を見せている者もいるし……朝食会ですぐに事態が動くかもしれんな)



夢野「よし、なら今の内に一人で一周目について振り返っておくか」


10 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:47:17.74 cVaVeu030 1399/2029


夢野(一周目、第五の事件は……百田が王馬を殺したんじゃったな)

夢野(じゃがそれはクロとして卒業するためではなく、コロシアイを終わらせるためであった)

夢野(被害者不明の事件でモノクマを惑わせるのが目的)

夢野(色々な思惑が重なった結果……百田と王馬、クロと被害者である二人が奇妙な共犯者となったんじゃな)



夢野(王馬と百田はこの二周目でも生き残っておる)

夢野(じゃが、同じ事件が起きる可能性はほとんど無いじゃろう)

夢野(事件の前、一周目では王馬が首謀者を乗っ取り、ウチらから卒業する意志を失わせることでコロシアイを終わらせようとしていた)

夢野(じゃが、二周目では首謀者の存在がみんなに明らかにされていないため、同じ手段は使えない)

夢野(仮に使えたとしてもコロシアイを止めることは出来ないじゃろう)

夢野(この二周目では……真宮寺が生き残っておるから)


11 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:47:51.13 cVaVeu030 1400/2029


夢野(死んだ姉の友達を作るために、目に適った女性を殺す)

夢野(真宮寺の狂った思想に、この二周目のコロシアイ学園生活は振り回されている)

夢野(三回目の事件も四回目の事件もやつが裏で一枚噛んでおったのじゃから)

夢野(そんなやつの思惑も達成は間近じゃ)

夢野(ウチと転子……残ったのは二人)

夢野(今まで校則で封じられていた直接の殺人も解禁となる)

夢野(ますます厄介じゃが……やつをどうにかしなければ、コロシアイを止めることは出来ない)


12 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:48:20.79 cVaVeu030 1401/2029


夢野(他にはそうじゃな……一周目ではみんなで団結してモノクマを倒そうという話になったが)

夢野(真宮寺以外で団結しようにも、ゲーム世界の教会に爆弾を仕掛けた爆弾魔の存在が気になる……どうなるじゃろうか)



夢野(デスロードの攻略も、入間が早々に脱落した結果、その発明品であるエレクトハンマーもエレクトボムも無いし無理じゃろうな……)

夢野(まあ攻略したところで脱出できないから意味ないのじゃが)



夢野(入間の発明品……そういえば二回目の事件で使われた、音や衝撃を緩和する『アブソーブフィールド』はどこにいったんじゃ?)

夢野(事件の証拠品……一周目では王馬が集めていたし、この二周目でも王馬が持っておるんじゃろうか?)



夢野(そうじゃ、王馬の動向も気になるな)

夢野(蘇った最原も言っておった。首謀者乗っ取りによるコロシアイを終わらせる策が取れなくてもその人の考え方が変わるわけでは無い以上、王馬はこの二周目でもコロシアイを終わらせようとするはず)

夢野(なら……一体どんな企みを持っているというのか?)


13 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:48:52.39 cVaVeu030 1402/2029


夢野「分からんことだらけじゃな」



夢野(一周目の記憶が生かせないとなるとウチにはお手上げじゃ)

夢野(とりあえず分かるのは真宮寺には気を付けなければならんということじゃな)

夢野(やつがコロシアイの中心にいるのは間違いないし、ウチの命はやつに狙われておるのじゃから)



夢野「うむ、いい感じに振り返れたな」

夢野「朝食会までは後どれくらいじゃ…………っと、あれ?」

夢野(電子生徒手帳を操作していると、タッチミスで校則の画面を呼び出してしまう)


14 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:49:20.08 cVaVeu030 1403/2029


校則


・才囚学園での共同生活に期限はありません。


・学園内で殺人が起きた場合、全員参加による学級裁判が行われます。


・学級裁判で正しいクロが指摘できれば、殺人を犯したクロだけがおしおきされます。


・学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロ以外の生徒であるシロが全員おしおきされます。


・クロが勝利した場合は才囚学園から卒業し、外の世界に出ることができます。


・シロが勝ち続けた場合は、最後の2人になった時点でコロシアイは終了です。


・夜10時から朝8時までの「夜時間」は、食堂と体育館が封鎖されます。


・才囚学園の学園長であるモノクマへの暴力は固く禁じられています。


・モノクマが殺人に関与する事はありません。


・モノパッドは貴重品なので壊さないでください。


・「死体発見アナウンス」は3人以上の生徒が死体を発見すると流れます。


・才囚学園について調べるのは自由です。行動に制限は課せられません。


・校則違反を犯した生徒はエグイサルによって処分されます。


・別の犯人による別の殺人が起きた場合先に死体発見された方のクロのみが投票対象となります。


・死体発見アナウンスが鳴るまでに殺された者は、アナウンスが鳴るための三人のカウントから除外されます。


・裁判対象外である二人目に発見された被害者の事件も殺人として扱われます。


・一度の裁判が開かれるまでに殺せるのは二人までです。これは同一でないクロも含みます。


・死体が発見された場合学園長の都合により、裁判が終わるまでそれ以上の殺人行為を禁止することがあります。その際学園側が直接介入することもあります


・なお、学園長の都合により校則は順次増えていく場合があります。



15 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:49:47.76 cVaVeu030 1404/2029


夢野「今でもこれだけあるのか……」

夢野(コロシアイの基本となるルールから、この二周目でのみ追加されたルールまである)

夢野(校則が増えるを除いた後ろの五つがそうじゃったか……)



夢野「ふむふむ……って、あ!?」

夢野「そんなことしている間に時間ではないか!?」

夢野「急いで食堂に向かわないと」



夢野(ウチは慌てた足取りで寄宿舎の部屋を出た)


16 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:50:14.29 cVaVeu030 1405/2029


<食堂>

モノクマ「おはようございまーす!!」

モノクマーズ「「「「「おはっくまー!!」」」」」



夢野(朝食会の後、食堂にウチら生徒全員とモノクマ、モノクマーズが集まる)



モノクマ「じゃ、早速だけどお待ちかねのアイテム配布といこうかな」

モノクマ「オマエたち、あれを渡して!!」



モノタロウ「はーい。『事実上最後の鍵』と『本当に最後の鍵』だよ!!」



夢野「アイテムはウチがもらうからな」

夢野(ウチはモノタロウから二つの鍵をもらう)


17 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:50:43.59 cVaVeu030 1406/2029


王馬「鍵が二つね……どこの鍵なんだろう」

百田「早速探索と行くか?」

モノクマ「あ、ちょっと待って。今日はこれで終わりじゃないんだ」

夢野「ん? 何かあるのか?」





モノクマ「そうだよ。うぷぷっ、アイテム配布なんて前座も前座」

モノクマ「本命の……動機発表といこうかな!」





夢野「なっ……!?」

茶柱「動機ですか……?」

天海「あんまり厄介なのじゃないといいっすけど……」



夢野(モノクマが発表した動機)

夢野(一周目では王馬が首謀者乗っ取りでヘイトを集めていたからか、このタイミングでは動機を発表しなかったはず)

夢野(この二周目では既に状況が全く違っておるから、モノクマがイレギュラーな行動に出てもおかしくはないが……一体どんな動機が発表されるのか……?)


18 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:51:36.21 cVaVeu030 1407/2029


モノクマ「じゃあオマエたち、あれを配って」

夢野(モノクマが指示すると、モノクマーズがウチら生徒全員に一つずつ腕輪を配っていく)



モノクマ「じゃあ早速だけど、みんなその腕輪を付けてくださーい」

モノクマ「みんなが付けた時点で次の説明に行くよ」



夢野「これは……」

夢野(配られた腕輪は機械が埋め込まれていて少々の重量がある)

夢野(一体何に使うのか……悪い予感もするが、モノクマに逆らえるならそもそもコロシアイ学園生活など成り立っていない。付けるしかないか……)


19 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:52:04.65 cVaVeu030 1408/2029


モノクマ「うぷぷっ、みんな付けたね。じゃあ……ポチッとな」



ガシャン!!

生徒たちに付けられた全ての腕輪から音が鳴ってロックがかかった。



夢野「んあっ!? 何かやばそうな音がしたぞ!? 大丈夫なのか、これ!?」

キーボ「……!? 腕輪が外せません!」

天海「そうっすね……痛くはないっすけど」



モノクマ「はーい、ということでみんなの腕輪がロックされました。次の捜査時間が始まるまでその腕輪を外すことは出来ません!!」



百田「次の捜査時間って……誰かが殺されるまで外せねーってことか!?」

茶柱「お風呂の時はどうすればいいんですか!?」

モノクマ「耐衝撃性・防水完備だからね。ちょっとやそっとのことじゃ壊れないから安心してよ」

春川「逆に壊して外すことも出来ないんだね」



夢野(ますます物騒な説明が為される。一体何が起きるのか……)


20 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:52:34.80 cVaVeu030 1409/2029


王馬「それで? もったいぶってないで、この腕輪がどういうものなのか説明してよ」



モノクマ「うぷぷっ、それもそうだね」

モノクマ「ああ、そうそう。安心してよ。そんなヤバいものじゃないんだ」

モノクマ「この腕輪は日々みんなを悩ましているもの……人間関係のしがらみから解放してくれる物なんだよ」



夢野「人間関係……?」



モノクマ「ほら。みんなにだって一人くらいはいるでしょ。話したくない、触りたくない、視界にも入れたくない……」

モノクマ「そんな風に嫌っている人が」

モノクマ「この腕輪はその人を設定して、近づけさせなくすることが出来るんだよ」


21 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:53:17.37 cVaVeu030 1410/2029


モノクマ「実演してみるね。ほら、モノタロウこれ付けて」

モノタロウ「え、オイラ?」



夢野(モノクマとモノタロウは腕輪を付ける。モノクマはモノタロウから距離を取った)



モノクマ「で、この腕輪の設定をモノタロウにして……よし」

モノクマ「モノタロウ! オマエはいつも頑張っているね!」

モノタロウ「え、いきなり何なの?」

モノクマ「父ちゃんは感激しているよ!! ほら、久しぶりに抱っこしてあげるから、この胸に飛び込んできなさい!」

モノタロウ「よく分からないけど……お父ちゃーん!!」



夢野(突然褒めだしたモノクマに駆け寄っていくモノタロウ)

夢野(しかし……)



モノタロウ「あれ、近づけない……? どうして?」



夢野(モノタロウは、モノクマとの距離が5mほどになったところで、見えない壁に当たったかのように進めなくなった)


22 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:53:47.20 cVaVeu030 1411/2029


モノクマ「うぷぷっ、これで分かったかな」

夢野「なるほど、説明通りじゃな。設定した相手を近づけさせなくするということか。どういう仕組みなんじゃ?」

モノクマ「詳しい説明は省くけど、腕輪は生体反応で個人を識別していてね。その人と設定した対象の腕輪同士が反発して、5mより近寄れなくなるんだよ。だからこうやって腕輪を外すと……」

モノタロウ「あ、動ける。お父ちゃーん!!」

モノクマ「おおっ、我が子よ!!」

夢野(モノクマが腕輪を外すと、モノタロウがその胸に飛び込む)



モノクマ「こういうわけ。まあでも君たちの腕輪はロックされているから外すことは出来ないけどね」

モノクマ「あ、ちなみに設定できる人は一人まで。決定後は取り消しも変更も不可能だからよく考えて決めてね」


23 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:54:14.38 cVaVeu030 1412/2029


夢野「うーむ…………」



夢野(誰かを近づけさせなくする腕輪……か)

夢野(確かに物騒な物ではない。動機というより便利アイテムみたいな物じゃが……)



夢野(――いや、逆じゃ)

夢野(どうしてこの便利アイテムのような物をモノクマは動機として配ったんじゃ?)

夢野(動機というからにはコロシアイを促進する面があるはずじゃ)

夢野(なのにこの腕輪ではどうやってもそんな使い方が出来るとは思えん)

夢野(なら……コロシアイを引き起こすトリガーは他にあるのか?)

夢野(それは――)


24 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:54:57.57 cVaVeu030 1413/2029






モノクマ「じゃあ、動機の発表も終わったし……」





モノクマ「殺人行為禁止宣言も解除するよ。みんなコロシアイを頑張ってね」






25 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:55:24.66 cVaVeu030 1414/2029




――その瞬間、二つの動きがあった。





「…………!」

音もなく真宮寺に忍び寄る春川。




「設定、春川魔姫」

しかし、真宮寺が腕輪をいじると。



「っ……!!」

春川は弾き飛ばされる。




26 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:55:51.70 cVaVeu030 1415/2029


夢野「………………んあ? 何が起きたんじゃ?」



王馬「なるほど。春川ちゃんは真宮寺ちゃんを殺すつもりだったってことかな?」

夢野「んあっ!? 殺すつもりじゃと!?」



春川「……違う。嘘言わないで、王馬」

春川「私は真宮寺を気絶させて一分の隙も無く拘束」

春川「今度こそコロシアイを起こさせないようにしようとしただけ」



キーボ「殺しまでは行かなくても十分に過激なことだと思いますけど……」

天海「殺人行為禁止宣言が解除されてから襲ったのは、どこから殺人行為とみなされて邪魔されるか分からなかったからということっすかね?」

茶柱「ですが、上手く行かなかったのは……」


27 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:56:19.29 cVaVeu030 1416/2029




真宮寺「くくっ、その通り。僕は腕輪の設定を春川さんにさせてもらったヨ」

真宮寺「流石に5mより近寄れない相手を殺すならともかく、拘束するのは難しいんじゃないかナ」



夢野「早速モノクマの動機を使ったのか……」

百田「上手くかわされたな」

王馬「いや……元々このつもりでモノクマもこの動機を設定したんだよ」

夢野「どういうことじゃ?」



王馬「モノクマは今回も真宮寺ちゃんの存在でコロシアイを起こさせようとしているんだよ」

王馬「でもそうなると問題になるのは、この前までやっていたように真宮寺ちゃんの動きを封じられること」

王馬「だからそうさせないためにこの腕輪を用意した」

王馬「一人、春川ちゃんさえ近づけさせなければ、真宮寺ちゃんの拘束は難しいとの判断だろうね」


28 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:56:56.46 cVaVeu030 1417/2029


茶柱「なら、転子が行きます!」

茶柱「ネオ合気道なら相手の制圧くらい楽勝です!!」



夢野「待つんじゃ、転子! お主はターゲットじゃぞ! 迂闊に近づいては殺されるかもしれん!!」

天海「そうっすね。そうやって茶柱さんが近寄ってくることを狙っているかもしれないっす」

茶柱「だとしてもそんな企みより前に先に制圧出来ます!!」

キーボ「ですが……」

茶柱「野放しに出来る相手じゃありません!! 夢野さんは転子の命よりも大事な人です!! もし殺されたりしたら、後悔してもしきれないと思うんです!!」



真宮寺「くくっ……素晴らしい愛だネ」



夢野「……大丈夫じゃ、転子。ウチは殺されん」

茶柱「夢野さん……?」

夢野「この腕輪が味方するのは、真宮寺だけではないということじゃ」


29 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:57:24.39 cVaVeu030 1418/2029




夢野「設定、真宮寺是清」



夢野「これでやつはウチの5m以内に近寄れん」



真宮寺「へえ……」



天海「腕輪は動機でみんなの手に渡ったので、夢野さんも真宮寺君を近づけさせなく出来るっす」

キーボ「完全では無いですけど……殺しにくくなったのは確かです」

百田「動機のせいで面倒になったが、動機のおかげで助かったな」



王馬「それもモノクマの狙いだと思うけどね」

王馬「真宮寺ちゃんが拘束されてコロシアイが封じられるのも困るし、真宮寺ちゃんが目的のため二人をすぐに殺すのも盛り上がりに欠ける」

王馬「だからこうして膠着状態を生む動機を設定した……ってところじゃないの?」



モノクマ「うぷぷっ……さあどうだろうね?」

モノクマ「さて、盛り上がってきたしお邪魔虫は退場しようかな。ほら、オマエたちも」

モノクマーズ「「「「「ばーいくまー!!」」」」」

夢野(モノクマとモノクマーズたちが姿を消す)


30 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/22 16:57:50.63 cVaVeu030 1419/2029




真宮寺「………………」



夢野(さて、どうなるか……真宮寺は黙っておる)

夢野(やつがウチに近づけなくなり殺しにくくはなったはずじゃが、キーボも言っていた通り完全に危機が去ったわけではない)

夢野(5mより外から殺す手段など色々あるからな)

夢野(もちろん真宮寺も承知のはず)

夢野(じゃから強引に殺しに来るのなら……徹底的に争うしか無くなるが……)





真宮寺「盛り上がってきたと言っていたモノクマには悪いけど……一旦ここは退いておくかナ」

真宮寺「じゃあネ、みんな」

夢野(真宮寺は後ろ手を振って食堂を出て行く)





夢野「……そうか」

夢野(胸の内は分からんが……退くようじゃな)

夢野(ふう……一安心じゃ)


41 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:19:21.52 QXDxQYHZ0 1420/2029


夢野(真宮寺が食堂を出て行く)



キーボ「当面の危機は去りましたね」

茶柱「油断は出来ませんが」

百田「どうする、真宮寺の見張りのために後を追っておくか?」

天海「それも良い案っすけど……先にみんなで真宮寺君をどうするか話し合いたいっすね」

春川「そうだね、みんなで話し合えばいい知恵も出るかもしれないし、情報も共有しておきたいし」

王馬「反対する人はいない?」

夢野(王馬の呼びかけにみんなを見回すが、反対はいなかった)



夢野「よし。では第二回真宮寺対策会議の開始ということじゃな」




42 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:19:47.47 QXDxQYHZ0 1421/2029




王馬「じゃあまずはオレから……状況の整理をしておこうか」

王馬「今このコロシアイ学園生活を最も脅かしている真宮寺ちゃんがどういう行動原理を取っているか分かる?」



茶柱「行動原理ですか?」

キーボ「そんなの分かっているとも分かっていないとも言えますね」

キーボ「死んだ姉の友達を作るために目に適った女性を全員殺す……ですが、どうしてそのような思考回路になるのか理解できません」

百田「確かにな」



王馬「いやいや、そこさえ分かっていればいいんだよ」

夢野「んあ? どういうことじゃ?」


43 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:21:00.44 QXDxQYHZ0 1422/2029


天海「真宮寺君はこのコロシアイ学園生活で自分の目に適った女性」

天海「赤松さん、東条さん、アンジーさん、夢野さん、茶柱さん」

天海「この五人を全員殺すのが目的だということは既に分かっているっす」



王馬「そして残りは既に夢野ちゃんと茶柱ちゃんだけ」

王馬「だからこれまで『一度の裁判が開かれるまでに殺せるのは二人までです。これは同一でないクロも含みます』の校則により封じられていた、真宮寺ちゃんが直接殺しに来ることが解禁されたってことだけど……」

夢野「じゃがさっき真宮寺は大人しく引いたではないか」



春川「当然だよ。例えばあの状況で夢野を何らかの遠隔手段で殺したとする」

春川「その瞬間死体発見アナウンスが鳴って……続けて茶柱を殺しに行く前に私が殺していただろうね。殺すだけなら近づけなくても簡単だし」

春川「それで裁判の対象になるのは先に発見された死体だけだから、この場合夢野を殺したクロの真宮寺がおしおきの対象になり、後に発見される真宮寺を殺した私はおしおきされない」



王馬「このカウンターが存在する限り、夢野ちゃんと茶柱ちゃんどちらか一方を先に殺すことは出来ない」

王馬「可能な限り、二人を同時に殺す方法を取らないといけないんだよ」

王馬「まあ、真宮寺ちゃんのことだからそれも用意していただろうけど、そう簡単な方法ではない。夢野ちゃんに腕輪の効果で近づけなくなって台無しになるくらいには繊細な策だと思う」

夢野「だから一度引いて立て直そうとしたわけか」


44 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:22:26.80 QXDxQYHZ0 1423/2029


王馬「そして二人を同時に殺すのが目的ってことを踏まえると取れる対策が一つ上がる」

王馬「単純に夢野ちゃんと茶柱ちゃんが一カ所に集まらなければいいんだよ」

天海「それで同時に殺すのは難しくなるはずっす」

天海「完璧とは言えないっすけど……それで真宮寺君が犯行に走る可能性を減らせる」

夢野(ウチと転子がバラバラの場所に……ということはつまり……)



茶柱「ちょっと待ってください!」

茶柱「それは転子に夢野さんと一緒に居るな……と、そう言っているんですか!?」



百田「あーつまりそういうことか」

茶柱「だ、駄目ですよ! 転子は反対です!!」

茶柱「転子は夢野さんの側を離れません!! 転子が夢野さんを守るんです!!」



春川「気持ちは買うけど……夢野を守るために一番いいのは茶柱、あんたが近くにいないことなんだよ」

天海「皮肉な状況っすね……」


45 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:22:52.92 QXDxQYHZ0 1424/2029


王馬「まあまあ、今日一日の辛抱だと思って我慢してよ、茶柱ちゃん」

茶柱「そうは言っても……! って、今日一日ですか?」

夢野「どういうことじゃ、王馬?」



王馬「さっきの対策は一応ってことだよ」

王馬「真宮寺ちゃんは自分で二人を同時に殺さなくても、これまでのようにおしおき逃れの殺しや他の人に殺させて一人ずつ削る方法も取れるからね」

夢野「それもあったか」

春川「まあ一人ずつといっても夢野は腕輪のおかげで真宮寺が近づけないし、茶柱も遅れを取らないとは思うけど」

百田「でもそれヤバいぞ。王馬がさっき膠着状態って言ってたが、今すぐにでも真宮寺が動いてもおかしくなくねえか?」



王馬「あれは嘘だよ。少しでも真宮寺ちゃんを油断させるためのね」

キーボ「嘘ですか?」



天海「なるほど……だから茶柱さんに今日一日の辛抱と言ったんすか」

天海「真宮寺君から取れる手段が多い以上、受ける側に回ってはジリ貧」

天海「なのでこちらから仕掛ける……と」



王馬「そう。今夜……真宮寺ちゃんの寝込みを襲って、今度こそ完全な拘束をするんだよ」




46 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:23:18.18 QXDxQYHZ0 1425/2029


夢野「襲う……といってもハルマキは真宮寺に近づけないし、転子が近づいては危ないぞ?」

王馬「だからその二人と、ターゲットの夢野ちゃんを除いた四人で襲撃する……まあここにいる男子全員だね」

王馬「みんな武術はからっきしでも、四人がかりでさらに無防備な寝込みを襲えば拘束するのも出来るはずでしょ」

百田「そうか……俺らがするのか」

天海「一度失敗すれば真宮寺君に警戒されて難しくなる。だから確実に一回で決めるために、寝込みを襲うってことっすね」

キーボ「責任重大ですね」




夢野「真宮寺を拘束……結局今回もそうするのか」

王馬「もちろんこの前と一緒では無いよ」

王馬「手も足も口も目も……鼻は呼吸のため残しておこうかな」

王馬「全てを拘束して、同じ部屋で二十四時間目も離さずに監視する」

王馬「真宮寺ちゃんに許される自由は呼吸だけ」

王馬「それに反対する人は……もういないよね?」


47 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:23:50.44 QXDxQYHZ0 1426/2029


キーボ「そう……ですね。この前は真宮寺君に情けをかけて中途半端な拘束をしたせいでアンジーさんが殺されたんです。監視にしても油断するつもりはありません!」

春川「反対はないよ」

茶柱「転子も異論はありません!」

百田「仲間を守るためだ……仕方ねえな」

天海「真宮寺君にこれ以上殺されるわけには行かないっす」



夢野「ウチも……賛成じゃ」

夢野(真宮寺の完全な拘束。それに反対をする人は誰もいなかった)

夢野(これまでの事件を通じて、みんなも身に染みたのじゃろう)

夢野(真宮寺を封じるにはこれくらい必要じゃと)

夢野(そしてやつはそんな仕打ちを受けても仕方ないのじゃと)


48 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:24:18.54 QXDxQYHZ0 1427/2029


王馬「じゃあ決まりだね」

王馬「決行は深夜……オレを含めた四人の実行係は夜時間になったらオレの部屋に集合ね」

キーボ「分かりました」

百田「ああ」

天海「了解っす」



王馬「それとさっきも言った通り、茶柱ちゃんと夢野ちゃんは真宮寺ちゃんを拘束するまで一緒の場所にいないこと」

茶柱「くっ……夢野さんと離ればなれになるなんて……!!」

夢野「今日一日の辛抱じゃ。無事に行ったら、明日は一日付き合ってやるからな」

茶柱「絶対ですからね!! 夢野さん、約束ですよ!!」

夢野「ああ」


49 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:24:52.59 QXDxQYHZ0 1428/2029


夢野(話が纏まった)

夢野(真宮寺は狂人じゃ。その思考の異常性にここまで振り回されてきた)

夢野(じゃがここに来て理解も進み、どのような行動をするかが分かってきた)

夢野(それを元に立てた対策……抜かりはないはず)

夢野(じゃから予想外があるとしたら……)



王馬「そうだ、改めてみんなに言っておくけど」

王馬「不測の事態が起きる可能性が常にあるから、気を引き締めてね」



夢野「そうじゃな……」


50 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:25:19.24 QXDxQYHZ0 1429/2029


夢野(王馬の注意は……真宮寺以外の悩みの種を指しておる)

夢野(四回目の事件に際して、ゲーム世界の教会に爆弾を仕掛けた者の存在じゃ)

夢野(大規模の爆発……下手すればウチら全員死んでおったかもしれん事態)

夢野(それは真宮寺以外の誰かが仕掛けたものと分かっており……)



夢野(つまり今この食堂で話し合っている7人の中にいるということ)



夢野(みんな気にはなっておるのじゃろうが……それには触れていない)

夢野(ここで犯人探しをしては疑心暗鬼に陥るだけ。それなら見ない振りをした方がマシ……という判断なのじゃろう)



夢野(爆弾魔……何を企んでいるのかは分からない……せめて真宮寺対策の邪魔をするでないぞ)


51 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:25:49.20 QXDxQYHZ0 1430/2029


百田「話し合いはここまでか?」

百田「なら、とりあえず探索に行かねーか?」

夢野「探索……ああ、そうか。アイテムを受け取ったのを忘れておったわい」

夢野(百田の提案にウチらは探索に乗り出す)





<超高校級の宇宙飛行士の研究教室>

王馬「あれだけ長い階段登らせておいてこれだけなの?」

百田「これだけとは何だ! 俺の研究教室だぞ! どう考えてもメインだろうが!」

夢野「疲れた……誰かウチをおぶってくれもいいんじゃぞ?」

茶柱「分かりました!! 転子がおぶります!!」

キーボ「それにしてもゴフェル計画……ですか」

天海「気になるっすね」

春川「…………」



夢野(『事実上最後の鍵』で超高校級の宇宙飛行士の研究教室を解放したウチらはそこでゴフェル計画の説明書を見つける)


52 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:26:18.49 QXDxQYHZ0 1431/2029


夢野(次に『本当に最後の鍵』で解放されたサイバーな中庭をウチらは進む)



<サイバーパンクな中庭>

モノクマ「このシャッターに近づくとセンサー感知式の警報装置が作動するんだよ。あれを解除するにはこのリモコンキーを使わないといけないんだ」

モノクマ「そして電子バリアを解除するには操作パネルに59桁の数字を打ち込まないといけないんだ。今から言うから覚えてね」

モノクマ「503934857857362940569285811037959390029298778848――」

キーボ「ちょっと待ってください! 503――何でしたっけ!?」

王馬「ぷぷっ、たった3桁じゃん! ロボットならもう少し覚えてよ!」

キーボ「な、何ですか!? だいたいこんなのロボットじゃなくてもそう覚えられるはずが――」





王馬「503934857857362940569285811037959390029298778848――」

王馬「でしょ。こんなの簡単じゃん」

キーボ「………………」


53 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:26:58.99 QXDxQYHZ0 1432/2029


百田「にしても厳重なセキュリティだな」

モノクマ「そりゃまあね。ここはとても重要な場所だから」

モノクマ「まあでも……今回は特別に入れてあげようかな」

夢野(モノクマはリモコンキーで警報装置を解除して、操作パネルに数字を打ち込んでいく。シャッターが開き、ウチらは中に進んだ)



<エグイサル格納庫>

夢野(エグイサル格納庫……一周目ではこのタイミングでモノクマーズが全員破壊されていて意味のない施設なっておったがこの二周目では全員生きておる。注意した方がいいか)



キーボ「プレス機ですか……」

百田「キーボ、何か気になるのか?」

キーボ「安全装置のことです。間違って人がプレスされることがないようにセンサーが付いているとのことですが……ボクの場合はどうなるでしょうか?」

王馬「なら試してみればいいじゃん」

キーボ「そうですね……お願いします!!」

百田「いやいやプレス機に横たわって危ねえだろ、キーボ。それにもし止まらなかったらどうする――」

王馬「ポチッとな!」

百田「って王馬、おまえは少しくらい躊躇え!!」



夢野(キーボがプレス機の下に入って、王馬がプレス機を始動させる)

夢野(しかしプレス機は止まらず間一髪でキーボは逃げだし、その後緊急停止のボタンを押さなかった王馬としばらく争っておった)





夢野(そしてまた食堂に戻ってきて……今回思い出しライトが無いのは一周目と同じようじゃな)

夢野(なのでウチらはそのまま解散した)


54 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/23 19:27:41.65 QXDxQYHZ0 1433/2029


………………。

…………。

……。





――ここで時を少しだけ遡る。





<昨夜>

<?????の部屋>



モノクマ「もう、裁判が終わったばかりだってのに、こんな深夜に呼び出してクマ遣いが荒いよ」



モノクマ「それで用件は何なの――爆弾魔さん?」



モノクマ「……もちろん知っているよ、ゲーム世界の教会に爆弾を仕掛けたのが君だって事くらい」

モノクマ「だってボクは学園長なんだからね!」

モノクマ「……え、御託はいいって。もう最近の若い人は怖いなあ」



モノクマ「それで用件は何なの?」

モノクマ「……ふむふむ」

モノクマ「つまり……現実世界の爆弾が欲しいと」

モノクマ「二回目の事件の時、ロボットショーのために頼んで爆弾を貰えた。ならば、今だってくれたっていいじゃないかって?」

モノクマ「うーんそれを言われるとなあ……あのときはあくまでショーのためであって……今の君は悪用する気満々でしょ?」

モノクマ「爆弾の悪用なんて……そんなの人殺ししかないじゃん」

モノクマ「……って、あ。それならいいのか」



モノクマ「うぷぷっ、分かったよ。用意しておくからね!!」




57 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:22:56.36 qon5dinU0 1434/2029


<一階廊下>

夢野(朝食会からモノクマの動機発表、真宮寺との対立、第二回真宮寺対策会議、学園の探索と朝から濃い時間が続いた)

夢野(しかしまだ時刻は午前)

夢野(真宮寺の対策は今夜の奇襲にかかっておる)

夢野(じゃがウチはそれに参加せんし、出来ることはない)

夢野(まとめると……暇じゃな)

夢野(転子とも一緒にいないように言われているし……何をするか)



王馬「ん、これ……通れない……どうして?」

夢野「あれは王馬か?」

夢野(一階廊下、図書室に通じる道で王馬が立ち止まっている)


58 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:23:22.72 qon5dinU0 1435/2029


夢野「そんなところでどうしたんじゃ、王馬?」

王馬「あ、夢野ちゃん。それがさ、調べ物があって図書室に行こうと思ったんだけど……何故かここから先に進めなくて」

夢野「進めない?」

王馬「ほら」

夢野(王馬が図書室に向かって進むと……そこには見えない壁があるかのように先に進めないでいる。まるでパントマイムじゃな)



夢野「んー……どういうことじゃ?」

夢野(不思議に思ったウチも王馬の隣を通って図書室に向かって……そのまま通りぬけた)



夢野「何じゃ、通れるではないか? 王馬、お主嘘を吐いておったのか?」

王馬「違うって。にしてもオレだけってことは……ああ、そっか。そこの教室が原因か」


59 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:25:55.07 qon5dinU0 1436/2029


夢野「教室?」

夢野(確かに王馬が通り抜けられない場所はちょうど教室の前じゃが……どういうことじゃ)



王馬「おっ!? ……わっ!? っと……!」

夢野「こ、今度は何じゃ!?」

夢野(首をひねっていると、今度は王馬がおぼつかない足取りでバックステップを踏む。まるで何かに押し出されるようじゃが……)

夢野(突然の異常事態に驚いていると)



キーボ「話し声が聞こえましたけど……どうしたんですか、夢野さん、王馬君?」



夢野(ちょうど教室からキーボが出てきた)


60 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:26:35.67 qon5dinU0 1437/2029


夢野「ああ、キーボか。それがじゃな、王馬が突然変な動きをして……」

キーボ「変な動き? それっていつものことじゃないですか?」

夢野「いや、それがいつにも増して変な動きなんじゃ」



王馬「何か勝手に変人扱いされてるけど……」

王馬「ああもう、これで分かったよ」

王馬「キー坊! 腕輪の設定オレにしたんじゃないの!?」



夢野(腕輪……というと、動機の人を近づけさせない腕輪か)



キーボ「ええ。先ほど設定しましたよ」


61 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:27:03.12 qon5dinU0 1438/2029


夢野「腕輪……そうか、つまり教室の中に王馬を近づけさせないキーボがおったから、王馬は図書室に進めなかったんじゃな」

王馬「この腕輪壁越しでもちゃんと反応するんだね。キー坊から5mの範囲が廊下にまでかかる位置だったってわけか」



夢野「そして今のおぼつかない足取りは……廊下の様子を見ようと、キーボの方から王馬に近づいてきたから弾かれるように王馬は下がったということか?」

王馬「そうだね。同じ極の磁石を思い浮かべればいいんじゃない。S極とS極同士は反発して近づけないでしょ」

王馬「設定した腕輪と設定された腕輪の関係はそれに似ている」

王馬「それで設定した側の磁力が強いから、近づこうとすると設定された側の人間が押し出される……って感じじゃない?」

王馬「モノクマとモノタロウの時でもそうだったね。モノタロウが近づこうとしたとき、設定した側のモノクマはピクりとも動かなかった」

王馬「逆にモノクマからモノタロウに近づこうとしたら、モノタロウがどんどん押しやられていたんじゃないかな? 今みたいにね」

夢野「なるほどな」


62 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:27:30.50 qon5dinU0 1439/2029


王馬「ていうかどうしてキー坊はオレを腕輪に設定したの?」

王馬「そんなことしたらオレがキー坊で遊ぶことが出来ないじゃん」

夢野(5m先のキーボに話しかける王馬)



キーボ「ボクを助けてくれない王馬クンなんて近づける必要ありません」

夢野(キーボが若干拗ねておる……まだエグイサル格納庫のプレス機のことを根に持っておるのか)



キーボ「それに今は王馬君の相手をしている余裕は無いんです」

キーボ「ただでさえいっぱいいっぱいだと言うのに……」



夢野(一転、陰がにじむキーボの声)

夢野(その理由は……おそらくアンジーが殺されたことの整理がまだ付いてないのじゃろう)

夢野(この二周目ではずっとキーボはアンジーと一緒にいたからな)

夢野(しかも布教活動の一環とはいえ、ずっと自分を肯定してくれた相手じゃ)

夢野(一周目での入間相手より深い関係を築いていて……それを奪われて心苦しいのじゃろう)

夢野(会議中は普通にしておったが……無理していたんじゃな)

夢野(これには王馬も流石に空気を読んで…………)



王馬「え、おっぱいおっぱい?」

王馬「キー坊そんなこと考えてたの?」



夢野「」


63 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:27:57.79 qon5dinU0 1440/2029


夢野(まるで小学生のような聞き間違い……)

夢野(いや、キーボと王馬には5mの距離がある。なら聞き違えてもしょうがないのか……?)



王馬「もう、ロボなのにHだなあ」

王馬「ていうかロボットなのにそんなこと考えて……」



夢野「お、王馬そこまでにするんじゃ!」

王馬「えーどうして? キー坊から言い出したんだよ」

夢野「それが勘違いなんじゃ!」

夢野(いつキーボが怒り出すか分からないと、ウチは仲裁に入るが……)





キーボ「……いいですよ、夢野さん」

キーボ「ああ、そういえば図書室に行くんでしたね」

キーボ「どうぞ、ボクは自分の研究教室に行きますので」


64 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:28:25.25 qon5dinU0 1441/2029


王馬「わっ……っと」

夢野(その場を去り正面玄関に向かうキーボ。その際5mの範囲に入ったのか、王馬がバランスを崩しそうになりながら下がる)



夢野「キーボ……」

王馬「うーん……何も言い返さなかったね。結構ひどい聞き間違いだったと思うけどなあ」

夢野「王馬……その反応、分かっててあんなこと言ったのか?」

王馬「まあね。どう、面白かったでしょ?」



夢野「………………」

夢野(王馬らしい人のヘイトを買う言動)

夢野(正直カチンと来た)

夢野(人が落ち込んでいるというのにあんなことを言うなんて)

夢野(落ち込んでいるキーボを怒らせることで元気を出させようとしている……という事情を差し引いてもじゃ)


65 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:28:53.40 qon5dinU0 1442/2029


夢野「しかし……それでもキーボは特に言い返さずに去っていったな……」

王馬「結構煽ったのにね。重傷だなー」

夢野「ちゃんと後で謝るんじゃぞ」

王馬「いいけど、あの様子じゃ謝罪も受け流しちゃうんじゃない?」

夢野「それもそうじゃが……」



夢野(アンジーを失ったキーボ)

夢野(何も起きなければいいんじゃが……)


66 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:29:22.18 qon5dinU0 1443/2029


王馬「あ、そうだ。さっきも言ったとおり、オレ図書室に行く途中だったんだけど、夢野ちゃんも来ない?」

夢野「図書室か……まあすることも無いしいいぞ」



<図書室>

夢野(調べ物をするという王馬はペンを片手に本を読んでいる)

王馬「ふむふむ……」

夢野「王馬、おぬし本に直接書き込んでないか?」

王馬「あれ、駄目だった?」

夢野「図書室の本はみんなの物じゃぞ。書き込むのは駄目に決まっておる」

王馬「えー? 推理小説の登場人物紹介で『こいつが犯人だ!』とか書くの面白くない?」

夢野「最悪の行為じゃな」


67 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:29:48.79 qon5dinU0 1444/2029


王馬「夢野ちゃんも書く側の人間だと思ってたのになあ……っと、よし」

王馬「そうだ。これちょっと読んでみない? 面白いよ」

夢野「面白い……って、調べ物をしていたんじゃないのか? 小説ではないか」

王馬「まあまあいいから。ほら」

夢野「全く……」



夢野(王馬に押しつけられた本をパラパラとめくる)

夢野(ざっと見た感じ純文学か?)



夢野「いかんいかん、ウチはこういうのを読むと眠くなるんじゃ」

王馬「えーだったら、オレが印を付けたところだけでも読んでよ」


68 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:30:14.22 qon5dinU0 1445/2029


夢野「印……?」



夢野(そういえば小説に何を書き込んでおったんじゃ?)

夢野(ところどころの文字が丸で囲まれておるが……)

夢野(えーっと最初のページから順に囲まれた文字を追って……)



夢野(『と殺で大字菜離死が有る毛度物苦まの缶しっ手木に酢る筆酔う亜る野?』)



夢野(何じゃこれは……まるで怪文書……いや――)


69 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:30:44.40 qon5dinU0 1446/2029




『と殺で大字菜離死が有る毛度物苦まの缶しっ手木に酢る筆酔う亜る野?』



『ところで大事な話があるけどモノクマの監視って気にする必要あるの?』





夢野「……っ!?」

夢野(これは……もしかして……)





王馬「どう、夢野ちゃん?」

夢野「……大丈夫じゃ。モノクマは知っておる。それでいてウチらに自由にするように言っておる」

王馬「そう? なら、こんな監視の目を縫うような方法取る必要なかったね」

夢野「………………」

夢野(王馬の反応は……まさか……)



王馬「じゃあ質問なんだけどさ――」




70 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/24 16:31:13.86 qon5dinU0 1447/2029








王馬「前のコロシアイでオレってどんな感じに死んだの?」

王馬「やっぱり悪の総統にふさわしい感じ?」








93 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:34:15.26 AgtDCqL70 1448/2029




一方その頃。



<春川の研究教室>



そこにはかなづちを振り上げる春川の姿があった。



春川「じゃあ……今からやるからね」

百田「お、おおおうっ! だ、だだ大丈夫だ! ししし、信じてるからな、ハルマキ!!」



確認する春川に、ビビる百田。

そしてかなづちが振り下ろされ――。

ガキン! と、腕輪と衝突した金属音が部屋中に響く。



百田「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」

茶柱「そこの男死!! もう少し静かに出来ないんですか!?」

百田「そうは言ってもビビるだろうが!? 少しでもずれたら俺の腕を強打するんだぞ!!」

百田「つうか直接当たらなくても少し衝撃が来たな……くっ」

春川「大丈夫、百田?」

百田「ああ、大丈夫だ」

94 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:34:53.64 AgtDCqL70 1449/2029


天海「それで腕輪の方はどうなってるっすかね? これまで以上の強さで叩いたと思うっすけど……」

春川「……駄目。傷一つ付いてないね」

茶柱「転子も百田さんに近づけないままですね。機能に何ら影響は無いようです」

百田「くそ、骨折り損のくたびれもうけか」



四人がやっていることは今回の動機、腕輪についての検証だった。

一周目に無かった動機のため春川も情報がない。

モノクマに一通り説明は受けたが、実際のところは試すのが一番だ。

機能の実験のために百田が茶柱を腕輪に設定して、近づけないか逐次確認している。



天海「水に長時間浸けても駄目……かなづちで叩いても駄目……後は熱とかっすかね?」

茶柱「ですが機械が狂うレベルの熱を与えるのは難しいですよ」

百田「ていうかあんまり危険なことをさせるなよ。腕輪が外せない以上、俺も巻き込まれるんだからな」

春川「腕輪の無効化さえ出来れば、私が真宮寺に近づける。そうすれば寝込んで油断するのを待つことなく、正面から拘束することが出来るのに……」


95 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:35:55.60 AgtDCqL70 1450/2029


天海「腕輪のロックは鍵穴も見当たらない遠隔操作式みたいで、モノクマしか外せなさそうっすね」

茶柱「となると……腕輪の無効化のためには壊すしか無いってことですか」

天海「そうっすけど……ここまで頑丈だと難しいっすね」



春川「じゃあ次はノコギリで削れないか試してみようか」

百田「ハ、ハルマキ……? それってもし上手くいったら俺の腕まですっぱり行きそうじゃねえか?」

春川「大丈夫だって。そのときはちゃんと腕に届く前に止めるから。ほら行くよ」

百田「いや、ちょっ、待っ……!?」

ギコギコギコギコ……。

百田「ひ、ひぃぃぃぃっ……!!」

春川「………………駄目だね、刃が通っていない」

百田「そ、そうか……全く寿命が縮む思いだぞ」



天海「とりあえず実験台にならなくて良かったっす」

茶柱「そうですね、転子もあんなマネは怖いです」


96 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:36:23.89 AgtDCqL70 1451/2029


<図書室>



王馬『前のコロシアイでオレってどんな感じに死んだの?』

王馬『やっぱり悪の総統にふさわしい感じ?』



夢野(王馬の発言に含まれた明確な言葉)

夢野(前のコロシアイ)

夢野(これはウチらが二周目じゃということに気付いてなければ出てこない発言のはず)



王馬「えっと説明がいる感じ?」

夢野「……そうじゃな、どうして気づいたんじゃ?」


97 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:36:50.18 AgtDCqL70 1452/2029


王馬「きっかけはこの前の裁判だよ」

王馬「夢野ちゃんはアンジーちゃんの死体にフィードバックが起きていなかったことを指摘したけど」

王馬「フィードバックなんてモノクマが言葉で説明しただけだったのに、夢野ちゃんはやけに実感がある感じで語っていた」

王馬「それでふと思ったんだよ、同じ状況を前に体験したんじゃないかなって」

夢野「鋭いな……」



王馬「そこに気づけば後は簡単だった」

王馬「妙にオレたちコロシアイ参加者について知っていた行動」

王馬「茶柱ちゃんが生きていたことに夢野ちゃんが泣いたこと」

王馬「最原ちゃん、夢野ちゃん、春川ちゃんの固い絆」

王馬「コロシアイに通じているのに、運営側では無さそうなこと」

王馬「など今まで疑問に思っていたことに説明が付く……付いてしまう」



王馬「荒唐無稽なことだけど……夢野ちゃんたちは一度このコロシアイを体験して生き残り、また参加しているってね」



王馬「今それが正解だと認められたってことだよ」


98 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:37:17.35 AgtDCqL70 1453/2029


夢野「………………」

夢野(以前に王馬なら二周目であると話しても信じてもらえるかもしれないと思ったが……)

夢野(まさか自分で辿り着くとはな……)



王馬「いやあ良かったよ」

王馬「正直この可能性は微レ存だと思ってたから当たってて逆に驚いているくらいだから」

夢野「驚く? 微レ存?」

王馬「微粒子レベルで存在しているって意味」

夢野「ということは……ほとんど鎌かけみたいなものではないか!!」

王馬「そうだね、あっさり認めてくれて助かったよ」



夢野(全く感心していたのに……まあでもそれほど小さな可能性でも思い付いただけ凄いのか?)


99 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:37:45.58 AgtDCqL70 1454/2029


夢野「………………」

夢野(勢い二周目であることを認めてしまったが……ここからどうするべきか)

夢野(最原や春川と話し合った時は……ああ、そうじゃ)

夢野(ウチらが二周目だと明かせないのは、それが誰にも信じられるはずがないからという結論じゃった)



夢野(しかし、ここにウチらが二周目じゃと自ら疑い鎌をかけた者がいる)

夢野(それならば……いっそのこと情報を共有した方がいいのではないか?)

夢野(別の観点から意見をもらうことで、新たに判明することも……)

夢野(……いや、それは後付けの理由じゃ)



夢野(ウチは単純に一周目のことを誰かに話したかった)



夢野(だから――)


100 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:38:14.26 AgtDCqL70 1455/2029




夢野「王馬、ウチが知っていることを全て話そうか?」



王馬「いいの? まあ、それを期待してこうやって話を持ち掛けたわけだけどさ」



夢野「そうか、利害が一致しておったんじゃな」



王馬「……?」



夢野「長い話になるけどいいか?」



王馬「いいよ、どうせ夜まで暇だしね」




101 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:38:41.85 AgtDCqL70 1456/2029




夢野(そしてウチは語った)



夢野(一周目のコロシアイの経過やその顛末)



夢野(そして二周目になってからウチらが見たこと聞いたこと)



夢野(夢中になったウチは昼食も食べないまま話し続けた)



夢野(王馬も時折相づちを打って聞き入っている)



夢野(そして夕方になった頃……ウチは全てを話し終えた)




102 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:39:09.29 AgtDCqL70 1457/2029


夢野「……以上じゃ。何か質問はあるか、王馬?」

王馬「うん、話ありがとね。とりあえず気になったのは――」



王馬「前周回のオレの死に方怖くない?」



夢野「それは……」

王馬「だって生きたままプレスされるんだよ!?」

王馬「ゆっくりプレス機が降りてきて……寝転がった状態だから鼻か足からか接触……そこから全身に力が掛かってきて……骨や内蔵がみちみちと潰されて……」

王馬「想像しただけで鳥肌立ってくるって!!」

夢野「あ、あんまり具体的に言うな……ウチも想像して鳥肌が立ってきたではないか……」


103 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:39:37.90 AgtDCqL70 1458/2029


王馬「まあそれは置いといて……なるほどね」

王馬「前周回のコロシアイはそんなこんなで進んで……」

王馬「思い出しライトの正体は記憶を思い出すためではなく記憶を書き込むための物で」

王馬「前の周回は白銀ちゃんが首謀者で、このコロシアイは外の視聴者に見せるために行われていたってことか」

王馬「まあゲームなわけだし……モノクマがやけに校則に拘っていたことから、誰かに見せているだろうとは思ったけど……」

王馬「でも白銀ちゃんの言葉も怪しいね。所詮運営に首謀者役を押しつけられていただけだし、本当のことを話していたのかは分からない」

夢野「なるほど……そういう考え方もあるのか」



王馬「そして最後の裁判も終わって外の世界に出ようとして……この周回のコロシアイの最初に戻ったってわけか」

夢野「突然みんな生き返ったように見えたからびっくりしたわい。認識したのはウチが転子が生きていると気づいて泣き出したあのときじゃ」

王馬「なるほどね」


104 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:40:08.07 AgtDCqL70 1459/2029


王馬「この周回の一回目の事件。最原ちゃんが白銀ちゃんを殺したのは……オレは首謀者がコロシアイのスターターのために殺したと思ってたけど、そんな事情があったんだね」

夢野「首謀者を殺し、モノクマを壊すことでコロシアイを終わらせる」

夢野「モノクマ側に二周目じゃとバレていなければ成功していたかもしれんが……この通りコロシアイは続いている」

王馬「この周回では白銀ちゃん以外が首謀者なのか」



王馬「で、屍者の書による復活は、白銀ちゃんの才能で姿を、思い出しライトによって記憶を再現した他人というわけか」

夢野「屍者の書だけでなく、この周回で生き返った生徒全員同じじゃと思うがな」

王馬「姿や言動が同じなのに、別人なオレが前周回にいたってわけか……あの最原ちゃんを見る限り本当にそっくりなんだろうね」

夢野「そうじゃな」


105 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:40:36.11 AgtDCqL70 1460/2029


王馬「うーん……なるほどねー……」

王馬「ループするコロシアイ……話を聞いた今も信じられないけど……辻褄は合うし……何より夢野ちゃんに嘘を吐いている様子はない」

夢野「何じゃ、疑っていたのか?」

王馬「まあ、嘘吐きの習性みたいなものだよ」



王馬「うん、ありがとね。何よりこれで一つ疑問に思っていたことに片が付いた」

夢野「疑問?」



王馬「そう――赤松ちゃんのことだよ」




106 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:41:03.40 AgtDCqL70 1461/2029


夢野「赤松? ……えっと一周目の話か、二周目の話か?」

王馬「この周回の話だよ」

夢野「ふむ……」

夢野(赤松は一周目の生き残りではない。なのに、どうして一周目の話をしたことで、二周目の赤松に話が及ぶんじゃ?)





王馬「ちょっと引っかかってはいたけど、夢野ちゃんの話でよく分かったよ」

王馬「ほら、この周回の三回目の事件を思い出して」

王馬「赤松ちゃんは最原ちゃんが偽物だって気づいていたでしょ?」

夢野「そうじゃな、思い出しライトで同じ記憶を書き込まれた他人だったわけじゃ」



王馬「それに気づいた理由が『小さな違和感』『大きな違い』『あれを見て』だった」

王馬「『小さな違和感』がキー坊の指摘した身体のサイズの違いから来るもの」

王馬「『あれを見て』が真宮寺ちゃんからの手紙で」

王馬「『大きな違い』ってのが分からないままだったでしょ?」

夢野「そうじゃな……ウチらも分からなかった」


107 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:41:30.70 AgtDCqL70 1462/2029




王馬「それを解明するためのヒントは……直後赤松ちゃん自身が言っていたんだよ」



<回想>

赤松『私は……最原君の言うことなら……何だって信じるのに』

赤松『信じて……待つのに』



夢野「確かにそんなことを言っていたが……これの何がおかしいんじゃ?」

王馬「分からない?」

王馬「夢野ちゃんが今話したんだよ。最原ちゃんがこの周回の一回目の事件を起こすに至った経緯を」

王馬「最原ちゃんはモノクマの動機『タイムリミット』をどうにかするって赤松ちゃんに言ったのに……赤松ちゃんはそれを信じないで自ら何か行動を起こそうとしていた」

王馬「だから最原ちゃんは赤松ちゃんの暴走を止めるためにも、Rを名乗って計画を実行し始めるんだけど……おかしいでしょ」


108 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:41:59.69 AgtDCqL70 1463/2029






王馬「赤松ちゃんは最原ちゃんのことなら何でも信じると言っているのに……」

王馬「最原ちゃんの話では……いや、最原ちゃんの記憶では赤松ちゃんは最原ちゃんを信じていない」

王馬「この齟齬が……赤松ちゃんの言う『大きな違い』なんじゃない?」






109 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/25 21:42:27.07 AgtDCqL70 1464/2029


夢野「それは……」

夢野(一体どういうこと何じゃ?)



王馬「分かることは……この周回の一回目の事件にはまだ裏がありそうってことだね」

王馬「夢野ちゃんが話してくれた前の周回の一回目の事件――」

王馬「赤松ちゃんの砲丸が当たって無くて、白銀ちゃんが天海ちゃんを殺していたようにね」



夢野「………………」

夢野(最原がコロシアイを終わらせるために白銀を殺した……これ以上の裏とは一体……?)


115 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:29:29.46 BxccgqLM0 1465/2029


夢野(ウチと王馬の話は続く)



王馬「この周回の一回目の事件……気にはなるけど、これ以上は分からないし、他の話に移ろうか」

夢野「ならこちらから質問じゃ、王馬」

夢野「今話したとおり、一周目の王馬は首謀者を乗っ取ることでコロシアイを終わらせようとしていた」

夢野「この二周目では首謀者の存在が明らかにされていないから、同じ方法は取れなかったが」

夢野「人の根っこは変わらない」



夢野「王馬。何度も聞いたが、やはりおぬしはこの周回でもコロシアイを終わらせようとしているんじゃないのか?」



王馬「……そうだね、夢野ちゃんはどう思う?」

夢野「最原からの受け売りじゃがな」

夢野「三回目の動機発表前にモノクマに連続殺人について質問した件」

夢野「あの一周目と違う行動が、コロシアイを終わらせることに繋がるんじゃないかと見ている」


116 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:29:55.66 BxccgqLM0 1466/2029


王馬「なるほどね……でもそれは見当違いだよ」

夢野「嘘じゃな」

王馬「大体、連続殺人について質問することが」

夢野「嘘じゃな」

王馬「コロシアイを終わらせることに繋がるわけないじゃん」

夢野「嘘じゃな」

王馬「あれは気になったから聞いただけ」

夢野「嘘じゃな」





王馬「……って、夢野ちゃん真面目に聞いてないよね?」

夢野「それを言うなら、王馬。おぬしこそ真面目に話して無いじゃろう?」


117 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:30:24.27 BxccgqLM0 1467/2029


王馬「えーオレはいつだって真面目に……」



夢野「じゃから……その程度の嘘に今さらウチが騙されると思っているのか?」



王馬「………………」



夢野「どうしてウチに話してくれんのじゃ」

王馬「………………」

夢野「何か不都合があるのか?」

王馬「………………」

夢野「もしかして危ない策なのか?」

王馬「………………」



夢野「本当のことを話してくれんのか?」




118 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:30:53.28 BxccgqLM0 1468/2029




王馬「――だから、オレはこのコロシアイを純粋に楽しんでるんだよ」



王馬「その思いからあの質問をした」



王馬「ただ、それだけだって」



夢野「……そうか」



夢野(それも……嘘じゃな)



夢野(話す気は無いということか)




119 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:31:21.00 BxccgqLM0 1469/2029


夢野「…………」

王馬「…………」





ぐぅぅぅぅぅ。





夢野「…………」

王馬「…………?」

夢野「…………///」

王馬「ずいぶんと大きなお腹の音が聞こえたけど?」

夢野「お、王馬! おぬしお腹が減ってるんじゃな!!」

王馬「いや、今のは夢野ちゃんの……」

夢野「よし、話も終わりじゃ!! 食堂に行くぞ!!」

王馬「いやだから……まあいいけど」


120 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:31:48.45 BxccgqLM0 1470/2029


夢野(ウチらは図書室を出て行こうとする)



夢野「しかし話せて良かったわい」

夢野「一周目のコロシアイについてずっと隠しているようなものじゃったからな」

夢野「これで少しはすっきりした」



王馬「なるほど。だから利害の一致なんて言ったんだね」

王馬「まあ秘密を抱えるってのは負担にもなることだし」

王馬「オレもその一周目のコロシアイの話ってのを聞けて…………」

王馬「………………」

王馬「…………」

王馬「……」


121 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:32:14.26 BxccgqLM0 1471/2029








王馬「一周目のコロシアイ……?」







夢野「王馬?」

夢野(突然立ち止まった王馬を振り返る)


122 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:32:42.00 BxccgqLM0 1472/2029




王馬「さっきからちょっと気になってたんだけどさ……」



王馬「夢野ちゃんたちの認識……間違ってない?」



夢野「ウチらの認識?」



王馬「そう、このコロシアイってループしているんでしょ?」



夢野「そうじゃが……何じゃ、まだ疑っているのか? ウチらが一周目のコロシアイを生き残って、この二周目のコロシアイに参加しているということを」



王馬「そう、そこだよ。おかしいのは」




123 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:33:10.80 BxccgqLM0 1473/2029




夢野「……? 何かおかしなことを言ったか?」



王馬「夢野ちゃんの話からして、この才囚学園のコロシアイは」



王馬「生き残った者が生存者となり、記憶を保持したまま次の周回に」



王馬「その際他の人も生き返るけど、前の周回の記憶が無くなっている……ってことだよね?」



夢野「そうじゃな」



王馬「確かに夢野ちゃんは一回コロシアイを生き残って、二回目のコロシアイに参加している。だから夢野ちゃんにとっての一周目、二周目のコロシアイって言葉は正しいんだけど」



王馬「コロシアイ自体を一周目、二周目って表現するのは……間違ってない?」



夢野「……? どういうことじゃ」



王馬「だって……夢野ちゃんの話だと、前の周回にも天海ちゃんが生存者としてコロシアイに参加していたんでしょ?」



夢野「それが何を…………………………え?」



夢野(まさか……王馬が言いたいことは――――)




124 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:33:39.02 BxccgqLM0 1474/2029




王馬「だったら前周回の天海ちゃんも今の夢野ちゃんたちと同じ状況だったんじゃないの?」



王馬「この才囚学園でオレたち16人で行われたコロシアイを生き残った……二周目だったってこと」



王馬「夢野ちゃんが一周目だと思っていた……さらにその前にもこのコロシアイは行われていて」



王馬「そこではオレも夢野ちゃんも死んじゃったんだろうね。生存者じゃなかったってことは」



王馬「つまり現在の才囚学園のコロシアイは二周目じゃなくて三周目……」



王馬「いやそれ以上の周回数である可能性も否定できないか。ループしてるんだからね」



夢野「………………」




125 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:34:05.32 BxccgqLM0 1475/2029




<夢野の部屋>



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」



夢野「………………」




126 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:34:39.98 BxccgqLM0 1476/2029


夢野(あの後――)

夢野(王馬の言葉に、すっかり食欲を失ってしまったウチはそのまま自分の部屋に戻っていた)

夢野(おそらく顔が青ざめていたのだろう。王馬もウチを気遣う言葉をかけていた気がするが……正直覚えていない)

夢野(今までの認識がひっくり返る……とは正にこのことじゃった)



夢野(今参加しているのは、ウチにとって二周目のコロシアイ……それは間違いない)

夢野(じゃが、この世界自体は……二周目ではない?)

夢野(そんなことあるはずが…………)

夢野「いや、そうじゃ……ウチらが『一周目』『二周目』と呼んでいたのは最原が最初に定義したからじゃ」



<回想>

最原『その記憶の中のコロシアイ学園生活を一周目、今巻き込まれている方を二周目って呼ぶことにするね』



夢野「だから……それが正しいと決まったわけではない」

夢野「思い出してみれば、王馬も話を聞いてからずっと前周回、今周回と表現していたではないか」

127 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:35:05.39 BxccgqLM0 1477/2029




夢野「ならば王馬の言葉通り……」

夢野「才囚学園でのコロシアイは……二回以上行われている?」

夢野「その言葉は何を意味するんじゃ?」



夢野(一周目じゃと今まで思っていた世界で天海は生存者じゃった)

夢野(つまり現在のウチらと同じ立場だったというわけで……)



夢野(じゃが天海は前のコロシアイのことは何も覚えていなくて…………いや、ウチらと同様にみんなには隠していただけなのか?)

夢野(それとも……ウチらが記憶を持っている方がイレギュラーなのか?)



夢野(そしてこの周回の最原……やつが蘇って死ぬ間際の言葉)

夢野(『やっと最原終一になれたのに』……その真意)



夢野(生存者特典……疑心暗鬼にさせて、コロシアイを不利に進めさせるもの)

夢野(モノクマが生存者をさっさと殺したかったその理由)



夢野(これらのピース……)

夢野(もう少しで繋がりそうじゃ。そして……その先には――――)




128 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:35:34.22 BxccgqLM0 1478/2029




コン、コン。



そのとき、夢野の部屋がノックされた。



夢野「………………」



しかし、思考に没頭している夢野はその音に気づけない。



ガチャ。



夢野「…………………………ん?」



ドアが開く音がしてようやく鈍く反応する。



部屋に入るときは茫然自失していて、鍵を閉めるのを忘れていたようだ。



そして訪問した者を見て。



夢野「………………え?」



思考が中断された。




129 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:36:07.14 BxccgqLM0 1479/2029




夢野「………………」



夢野(ああ、そうか……)



夢野(ウチは……いや、みんな油断していたというわけか)



夢野(王馬とした一周目の話は有意義な時間じゃった)



夢野(だが、今にしてみれば……何と悠長なことをしていたというのか)



夢野(そうじゃ、過去のことを気にしている場合ではなかったのじゃ)



夢野(今、存在する危機から……目を離してはいけなかった)




130 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:36:43.04 BxccgqLM0 1480/2029






真宮寺「やあ、夢野さん。元気かナ?」





夢野(部屋を訪れたのは……否、侵入してきたのは真宮寺)



夢野(やつは腕輪の効果……5mより接近禁止を無視してウチに迫ってくる)



夢野(どうして? 腕輪が壊れたのか?)



夢野(違う。ウチが課した設定は――自分の腕輪と対象の腕輪が干渉して近づけない効果は有効なはずじゃ)



夢野(だからこの事態は……単純なこと)




131 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:37:11.13 BxccgqLM0 1481/2029




夢野(現在真宮寺は……腕輪を付けていない)



夢野(だからウチに近づくことが出来る)



夢野(壊せず、外すことも出来ない腕輪がどうして無いのか?)



夢野(赤く滲んだ生々しい包帯がその答えじゃった)





夢野(やつの左腕の――肘より先が存在しない)





夢野(真宮寺は……自分の腕を切り落とすことで、腕ごと腕輪を外したのじゃろう)




132 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:37:38.48 BxccgqLM0 1482/2029




真宮寺「くくっ……どうやらこれは予想外だったみたいだネ」



夢野「……ああ、そうじゃな」



夢野(ウチらは分かってなかったんじゃ)



<回想>

夢野『真宮寺は狂人じゃ。その思考の異常性にここまで振り回されてきた』

夢野『じゃがここに来て理解も進み、どのような行動をするかが分かってきた』



夢野(――そんなことはない)



夢野(ウチらはやつの狂気を少しも理解できていなかった)



夢野(その証拠にやつは目の前に立ち……ウチに向かって手を伸ばして――――)




133 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:38:08.08 BxccgqLM0 1483/2029








―――――――――――――――――。








134 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:38:39.39 BxccgqLM0 1484/2029




ガチャ。



春川「夢野? あんた夕食食べてないんだって?」



春川「もうすぐ夜時間で食堂も閉まるけど……大丈夫なの?」



春川「……って、あれ夢野?」



春川「返事がないけど……寝ているの? えっと電気は……これか」



春川「………………?」



春川「部屋にいない……?」



春川「王馬の話じゃ……部屋に戻ったはずなのに」



春川「…………」



春川「あれ? これって――」




135 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/26 21:39:05.43 BxccgqLM0 1485/2029






春川「血痕?」






141 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:55:28.45 8/nIbonl0 1486/2029


<夜>

<寄宿舎・ホール>

春川「どう、百田?」

百田「見つからねえな……とりあえず寄宿舎には夢野も真宮寺もいないみてえだ」

春川「やっぱり……でも、どうして……」

百田「それなら真宮寺の部屋から……っと、みんな集まったみたいだな」



春川(時刻はもう夜時間に入っている)

春川(予定ではこれから真宮寺への奇襲だったけど、緊急事態によりそれは中止)

春川(食堂が閉まっているため、寄宿舎のホールに生徒6人が集まっていた)


142 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:55:55.59 8/nIbonl0 1487/2029


天海「まさか……そう来るとは」

キーボ「想定違いでしたね……」

王馬「でも……この手段は……」

茶柱「夢野さんは……夢野さんは一体どこに行ったんですか!?」



春川「その様子だと……誰も夢野は見つけられなかったみたいだね」



春川(夜時間直前、夢野がいなくなっていることに気づいて私はすぐみんなに呼びかけた)

春川(とりあえず寄宿舎を手分けして探したけど……夢野は見つからない)


143 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:56:26.88 8/nIbonl0 1488/2029


茶柱「一体どういうことですか、春川さん!!」

春川「ちょっと……気持ちは分かるけど落ち着いて、茶柱」

茶柱「落ち着くどころではありません!!」

茶柱「夢野さんが部屋にいないどころか……その部屋に残されていた血痕……」

茶柱「まさか……夢野さんは……」

茶柱「いえ、そんなことはありえません……。ありえるはずがないんです……!!」



春川(一番平静を失っているのは茶柱)

春川(それもそのはず。茶柱が夢野のことを大事に思っているのは私も分かっている)


144 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:56:58.23 8/nIbonl0 1489/2029


春川「でも……実際どういうことなの?」

春川「夢野の部屋の血痕……その姿は見当たらないし……それに腕輪で真宮寺は夢野に近づけないはずで……」



天海「それなら見当が付いてるっす」

百田「俺もだ。真宮寺の部屋で……やばいものを見つけたんだ」

春川「やばいもの?」



百田「真宮寺の腕だ。それに腕輪も付いていた」



春川「腕……って、まさか!?」



キーボ「真宮寺君は腕輪の効果を無効にするために……自分の腕を切り落としたんです」


145 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:57:47.61 8/nIbonl0 1490/2029


春川「っ……!」

春川「それだけのために……そこまでするの!?」

百田「想定より真宮寺は狂ってるみてえだ」

キーボ「それで真宮寺クンは夢野さんに近づけるようになって……殺した、ということなんですかね?」

茶柱「そ、そんな……夢野さんは…………」



天海「いえ、まだ真宮寺君は夢野さんを殺していないはずっす」



茶柱「……え?」


146 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:58:16.04 8/nIbonl0 1491/2029


春川「そうだね……冷静に考えてみればそうだよ」

春川「夢野を殺していたなら、その死体が部屋に残っているはず。わざわざ移動させる意味もないはずだし」

百田「だったら夢野の部屋に残っていたっていう血痕は何なんだよ!?」

天海「それは真宮寺くんの物じゃないっすか?」

天海「満足な医療設備もないこの学園で腕を切り落としたなら、止血もままならないはずっす」

天海「おそらく包帯か何かで押さえているんでしょうっすけど、それでも簡単に血は止まらず滴り落ちた……」

天海「それが夢野さんの部屋に残っていた血痕の正体っす」

春川「だろうね」


147 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:58:45.04 8/nIbonl0 1492/2029


春川「ということで……夢野はまだ生きているはず」

春川「部屋にいないのは……おそらく真宮寺が夢野を連れさったから」

春川「その理由は……」



百田「理由は……何なんだ、ハルマキ?」



春川「……とにかく生きているなら、探し出して確保するのが先」

春川「この学園のどこかにいるのは間違いないはずだし……手分けして探そう」


148 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:59:14.56 8/nIbonl0 1493/2029


キーボ「分かりました」

天海「そうっすね、この学園も広いので手分けして探す方がいいっすね」

百田「で、二人を見つけたやつはみんなに知らせるってところか」

春川「うん。そこの二人もいい?」

王馬「…………ん、ああ。いいよ」

茶柱「分かり……ました」



春川(二人の反応が鈍い……どうしたんだろう)


149 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 22:59:56.47 8/nIbonl0 1494/2029


春川(散開して夢野と真宮寺の行方を探す私たち)

春川(私は百田に一つ指示を出して、その後王馬を捕まえて話を聞く)



春川「王馬。様子が変だけど……どういうわけ?」

王馬「あ、春川ちゃん」

王馬「いや、ちょっとだけ責任を感じてね」

春川「責任?」

王馬「ほら、真宮寺ちゃんより先手を打つって言っておきながら、実際は先に相手に動かれているわけでしょ?」

春川「それは……真宮寺がこんな行動に出るって想像できなかったわけだし、仕方ないって」

王馬「……そうだね。だから……これは……」

春川「…………」

春川(また考え込む王馬。何が気になってるんだろう?)



王馬「……ああ、そうだ。夢野ちゃんの捜索だったね」

王馬「オレも開始するよ」

春川(そして王馬は寄宿舎を出て行った)


150 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:00:23.87 8/nIbonl0 1495/2029


<外>

春川(王馬と別れた私は百田に合流する)

百田「おう、ハルマキ。言いつけ通り茶柱を尾行しているけど……どういうことなんだ?」



茶柱「…………」



春川(視線の先には茶柱の姿。散開直後、私が百田に出した指示は茶柱を尾行することだった)

春川(きょろきょろとする視線は夢野を探すためか……それとも誰かに見られることを恐れているからか)



春川「……説明は追いながらするよ」


151 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:00:50.71 8/nIbonl0 1496/2029


<校舎>

春川(茶柱を追って後から校舎に入る私たち)

春川(茶柱に気づかれないように気を付けながら、私は隣の百田に事情を説明する)



百田「それでどうして俺たちは茶柱を追っているんだ?」

春川「その説明の前に……百田、あんたはどうして真宮寺が夢野を殺さずに連れ去ったのか分かる?」

百田「そういえばその理由も分からないままだったな」

春川「どっちも繋がっているんだよ」



春川「おそらく真宮寺の狙いは……夢野を人質に茶柱を呼び出して二人とも殺すこと……なんだと思う」



百田「っ……!?」


152 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:01:41.59 8/nIbonl0 1497/2029


春川「対策会議で話し合ったように、真宮寺は夢野と茶柱二人とも殺すことを目的としている」

春川「私たちの想定外の方法で夢野に接近することに成功した真宮寺だけど……そのまま殺したら茶柱を殺すのは難しくなるでしょ?」

百田「ああ……そうだな」

春川「だから真宮寺は夢野を殺さずどこかに連れ出して人質にした」

春川「そしてみんなには内緒で茶柱だけをその場所に呼び出して……二人とも殺す。それが私の予想」



百田「呼び出す……って、でも茶柱はいつその場所を知ったっていうんだ?」

春川「おそらく先にメモか何かで知ったんじゃない?」

春川「最初はいたずらだと思っていたけど、私たちと話し合って夢野がいなくなったことを実感して……そのメモの信憑性が沸いてきたとか」



百田「なるほど……でも、そこまで分かっているなら茶柱はその場所に行くのがマズいと思わないのか?」

百田「人質にされてるとしても、真宮寺は茶柱を同時に殺せないなら、夢野を殺せないわけだ」

百田「呼び出しを無視されたら困るのは真宮寺の方だろ」

春川「……茶柱も冷静ならその判断が出来たんだろうね」

百田「ああ、そうか……茶柱は夢野を自分の手で守るって張り切ってたもんな」

百田「だから罠だと気づかずに誘い出されていると」


153 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:02:09.53 8/nIbonl0 1498/2029


春川「今茶柱が向かっている先に真宮寺と夢野がいるはず」

春川「でも茶柱に直接その場所を聞きだしても、素直に教えてくれない」

春川「一人で向かっていることからして他言するなって真宮寺に脅されているだろうから」

春川「だからこうして茶柱の後を追っているってわけ」



春川「そして真宮寺と夢野のところまで辿り着いたら……私たちの出番だよ」

春川「真宮寺は夢野に接近するために腕輪を外した」

春川「私を近づけさせないように設定したそれをね」



百田「そうか……今ならハルマキが真宮寺に近づくことが出来る」

春川「何もさせない。今度こそ真宮寺を拘束する」

百田「俺はそれを手伝えばいいってことだな。任せとけ」


154 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:02:54.22 8/nIbonl0 1499/2029


<一階階段>



茶柱「……………」



百田「上に行くのか」

春川「……後を追うよ」



春川(説明を終え私たちは、気づかれないように十分に距離を取って茶柱を追う)

春川(百田への説明は全部私の推測に基づくもの)

春川(でも真宮寺の目的と、茶柱の現在の行動からして……ほとんど当たっているはず)

春川(多少外れても対応すればいい)

春川(私たちなら出来る)



春川(そして……夢野を助け出す)

春川(この二周目で夢野には何回も救われた)

春川(今度は……私が助ける番だ)



警戒十分、気力充溢、準備万端。

どんな事態になろうとも対応出来る。

そこまでの万能感を持つ春川だったが――しかし。


155 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:03:20.22 8/nIbonl0 1500/2029




百田「…………?」



百田「茶柱は……どこに行ったんだ?」



春川「これは…………」




156 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:03:46.93 8/nIbonl0 1501/2029


春川(何が起きてもいいように想定していた、その外で起きた事態)

春川(茶柱の後を追って校舎二階に来た私たちは……そこで茶柱の姿を見失った)

春川(どこに行ったの……? 気配がまるで感じられない)

春川(まさか……尾行に気づかれて撒かれた?)

春川(いや、話し声が聞こえないように気を付けていたし……それに茶柱もこっちに気づいた素振りは無かった)

春川(なら、どうして……)



百田「どうする、ハルマキ?」



春川「……」

春川(分からないけど……考えている時間も惜しい)



春川「……もっと先に行っているのかもしれない。とりあえず五階まで行ってみよう」

百田「了解!」


157 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:04:21.79 8/nIbonl0 1502/2029


<一時間後>

<校舎外>



百田「見つからなかったな……茶柱はどこに行ったんだ?」

春川「……分からない」



春川(あの後私たちはそのまま校舎五階まで隅々を探したが、茶柱の姿を見つけることは叶わなかった)

春川(本来の目的である夢野と真宮寺の姿も見当たらない)

春川(一体、どういうことなのか……?)



春川(捜索を仕切り直すため校舎の外に出た――そのときだった)




158 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:04:53.00 8/nIbonl0 1503/2029






遠くから腹の底に響くような――爆発音が聞こえてきたのは。






159 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:05:21.98 8/nIbonl0 1504/2029


百田「っ……何だ今の音は!?」

春川「方角は寄宿舎の方向……でも音からして距離はさらに向こうかな」

百田「となると……キーボや入間の研究教室、エグイサル格納庫とかがある辺りか!?」

春川「だと思うけど……爆発……?」



春川(これも真宮寺が引き起こした事態なのか……)

春川(いや、それとも……そうだ、爆発といえば心当たりが一つ)



春川(私たちの中にいるという……爆弾魔が動き出した……?)



春川(あのときはゲーム世界での爆弾だったけど……モノクマにでも言って、現実世界でも爆弾を手にしたのかもしれない)

春川(だとしたら……一体何の目的で動いているのか? 何を爆破したのか?)


160 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/27 23:06:01.73 8/nIbonl0 1505/2029


春川「………………」



春川(さっきから分からないことばかり)

春川(後手後手に回っている感が否めない)

春川(何かが進んでいるのに、それに端もかからない場所にいる)



春川「……ああもうっ!!」

百田「うおっ!? いきなり叫んでどうしたんだ、ハルマキ?」

春川「爆発音がした方に向かう!! 何かが起きているのは間違いないはずだから!!」

百田「……おうっ!! それもそうだな!!」



春川(だったら危ないとしても渦中に身を投げるしかない)

春川(それで少なくとも何が起きているかは分かるはず)



春川(私たちは爆発音の聞こえた方に駆けだした)


165 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 22:52:06.86 4Z1wa9Rg0 1506/2029


<キーボの研究教室前>

春川(私たちは爆発音の聞こえた方角までやってきていた)



百田「キーボや入間の研究教室に変わりは無い……。となるとやっぱりこの中か」

春川「煙も出ているし間違いないね」



春川(私たちは『本当に最後の鍵』を使って開けた扉を見る)

春川(この先にあるのはサイバーパンクな中庭、そしてエグイサル格納庫)

春川(エグイサル格納庫は一周目でも五回目の事件の舞台になったけど……まさか……)



春川「……いや、今はそれより何が起きているのかを見極めないと」

百田「でも中は爆発のせいか煙が充満してるぜ。このままじゃ入れねーぞ」

春川「煙が晴れるまで待つしかないね……一刻も早く状況を確かめたいのに」


166 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 22:54:35.46 4Z1wa9Rg0 1507/2029


春川(充満していた煙は私たちが開けた扉、また空調設備もあるようで徐々に晴れていく)

春川(二十分ほどして、ようやく視界がクリアになったところで私たちは中に突入した)

春川(サイバーパンクな中庭を隅々まで確認していくが変わったところは無い。私たちは最奥のエグイサル格納庫に辿り着く)



<エグイサル格納庫前>

春川「爆発による損傷が一番酷い……狙いはここだったのかな?」

百田「ここまで来たら中も調べてえけど……警報装置も作動しているみたいだし、電子ロックもかかっているな」

春川「警報装置はリモコンキーで、電子ロックは59桁の番号で解除出来るはずだけど……」

百田「リモコンキーはモノクマが持ってるはずだし、あんな長い番号も覚えてねーぞ」

春川「そうだね、私も覚えてないし……」

百田「くそっ、中に入る方法が無いってことか」



春川(あとはこの二周目でモノクマは説明していないから百田は知らなくて当然だけど、エグイサルを奪えば警報もロックも無視して中に入れる)

春川(でも今回は王馬が電子機器を操るリモコンを使ってないからエグイサルは格納庫の中だし、エレクトハンマーも無いからロックを解除して乗り込むことも出来ない)

春川(となると……やっぱりこの中に入る方法が無いということに…………)



百田「……ん? なあ、ハルマキ。あそこから中に入れねえか?」

春川(百田がエグイサル格納庫の壁の一部分を指す。そこには爆発で壊れたのか、亀裂が入っていた)


167 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 22:56:05.19 4Z1wa9Rg0 1508/2029


春川「そうだね……人が入れる大きさに見えるし行けると思うよ。ちょうど入り口のセンサーにもかからない場所だし」

春川「ただ亀裂の場所が問題だね」

百田「結構高いな」

春川(普通の建物なら二階くらいの位置にあるその亀裂。もちろんだが壁にはしごが付いてたりもしない)



春川「これだと百田は無理なんじゃない?」

百田「ああ、他の方法を考えて……『は』?」

春川「私なら行けるよ」

百田「マジか……すげえな」

春川「あの亀裂から私が中に入ってロックを外せば、百田も正面扉から入れる。これで行こうか」

百田「おうっ、そうだな。頼んだぞハルマキ!!」



春川「分かった。だから……とりあえずあっち向いててくれる?」

百田「………………? ああ、そうか。ハルマキはスカートだから、壁登るときに中が……」

春川「言わなくていい!!」


168 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 22:57:47.35 4Z1wa9Rg0 1509/2029


春川(百田が後ろを向いたのを確認して、私は目の前の壁を改めて見る)



春川「これくらい……!!」



春川(持ち前の筋力、跳躍力、壁のパイプ、全てを駆使して壁を登る)

春川(そして亀裂に足をかけて……うん、中も見える。これなら中に入れそうだ)



春川「上手く行ったよ。じゃあ中からロックを外してみるから」

百田「よろしくな」



春川(後ろを向いたままの百田の返事を聞いて、私は格納庫に侵入する)


169 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 22:58:59.77 4Z1wa9Rg0 1510/2029




<エグイサル格納庫>



春川(登りと違って降りるのは楽だ。飛び降りればいい)



春川(ただ爆発の影響か、格納庫内部も瓦礫や壊れた機械などが地面に散乱して荒れている)



春川(なので着地位置を慎重に見極めてから飛び降りた)



春川「……よし。さて、ロックの解除を……」



春川(百田を内部に入れるため、解除装置探しに格納庫を見回した私の視界に)



春川「………………え?」



春川(予想外の物が映った)



春川(それは――――――)




170 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:00:40.55 4Z1wa9Rg0 1511/2029










血に塗れた姿で壁にもたれかかっている。



超高校級のマジシャン、夢野秘密子。










171 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:03:02.71 4Z1wa9Rg0 1512/2029




春川「夢野!?」

春川「み、見間違いだよね…………?」



その瞬間春川の思考は全て吹き飛び、ただただそれに駆け寄る。



春川「嘘……」



春川(近くまで来て見えたのは……間違いない)



春川(私の一周目からの仲間、夢野秘密子が血塗れで倒れている姿だ)



春川「どうして……どうしてこんなことに……」




172 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:17:39.14 4Z1wa9Rg0 1513/2029




春川(現実が受け止めきれない)



春川(そんな……夢野が死んでいるなんて嘘だ)



春川(その顔はただ寝ているかのようで)



春川(壁にもたれかかった様子は今にも立ち上がりそうで)



春川(胸が上下している姿は呼吸しているように見えるのに)



春川(どうして………………)






春川「…………………………………………ん?」


173 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:18:12.93 4Z1wa9Rg0 1514/2029




春川「呼吸している?」



春川(それは……つまりどういうこと?)



春川(もちろん死体が呼吸をするはずがない)



春川(なら……生きている?)



春川(そうだ、血塗れの姿を見て死んでしまったと早合点したけど……)



春川(落ち着いて見れば……ああ、そうだ。夢野は生きている)




174 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:18:47.36 4Z1wa9Rg0 1515/2029




春川「夢野!! 起きて!!」



春川(私は夢野の肩を掴んで揺さぶる)



春川(事件現場で気絶……)



春川(二周目、一回目の事件……最原が気絶したフリをしていたのを思い出したが、どうやら今回夢野は本当に気を失っているようだ)



春川(とはいえそれは浅いようで、呼びかけながら体を揺すること少し)



夢野「ん……」



夢野「ハルマキ…………どうして、ここに?」



春川「夢野!」




175 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:19:15.18 4Z1wa9Rg0 1516/2029


春川(私は感極まって夢野に抱きつく)

夢野「んあっ!? どうしたんじゃ、ハルマキ。抱きついたりして……ちょっと力が強……」

春川「良かった……夢野が生きてて、本当に良かった!!」

夢野「……そうか、すまんな。心配かけて」

春川(夢野も軽く抱き返してくる)

春川(一度死んだのではないかと思った分だけ、私の中で安堵の気持ちが沸き起こる)



春川「本当に良かった。でも――」



春川(いつまでもそうしていたいくらいだったがその誘惑を断ち切る)

春川(夢野と体を離し、エグイサル格納庫のある一点を指して私は聞いた)



春川「ここで一体何が起きたの? あれは何?」




176 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:19:41.04 4Z1wa9Rg0 1517/2029


春川(そう)

春川(この騒動は夢野が本当は生きていてハッピーエンド――と終わってくれない)

春川(そもそも私が勘違いした理由……夢野が血で汚れている時点で何かが起きているのは明らかだし)

春川(私と夢野の視界には……それ以上の証拠が存在している)



夢野「……んあ? 何じゃあれは……?」



春川(私が指した方向を見て、夢野が素の声で驚く。夢野も知らない……?)




177 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:20:09.55 4Z1wa9Rg0 1518/2029




ビィィィィィィィィッ!!!!!!!

そのとき格納庫の外から耳をつんざくような警報が鳴る。



夢野「んあっ!? 次から次に何なんじゃ!?」

春川「警報……ああそうか。百田かも」

夢野「百田?」

春川「ちょっと待ってて」

春川(私は格納庫の入り口付近に行って、扉のロックを解除する)

春川(そして扉が開いた瞬間、中に百田が入ってきた)



百田「だ、大丈夫か、ハルマキ!!」

春川「大丈夫だって」

百田「本当か!? ……ったく、先に中に入ってロックを解除するって言ったのに、いつまで経っても扉が開かないから心配したんだぞ!!」

春川「ごめん。ちょっとそれどころじゃない光景が広がってて」

百田「それどころじゃないって……あっ、夢野じゃねえか!! ここにいたんだな!!」

百田「そして…………え?」



春川(夢野の姿に気づいた百田は、続けて先ほどまで私たちが注目していたものを――――)



春川(見つけてしまった)




178 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:20:58.37 4Z1wa9Rg0 1519/2029








そして喪失と終幕を告げる知らせが鳴る。







『死体が発見されました。オマエラ、エグイサル格納庫に集合してください!!』








179 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:21:39.60 4Z1wa9Rg0 1520/2029




春川(私、夢野、百田)



春川(三人がそれを見つけたことで死体発見アナウンスが鳴る)



春川(その場所は……奇しくも一周目、第五の事件と一緒だった)



春川(エグイサル格納庫のプレス機)



春川(降りきったそのプレス面から……血がにじみ出ている)



春川(人体が圧倒的な力で押し潰されたのだろう……想像してしまい起こった本能的な悪寒をどうにか御して観察を続けると)



春川(一周目をなぞるように、そのプレス面から服の袖がはみ出ているのを見つけた)



春川(それは――)




180 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:22:31.33 4Z1wa9Rg0 1521/2029










超高校級の民俗学者。



真宮寺是清の服だ。










181 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:22:58.89 4Z1wa9Rg0 1522/2029




百田「まさか……真宮寺が死んだっていうのか!?」



春川(百田も同じ物に気づく)

春川(夥しい血に死体発見アナウンス。そこに服があればその持ち主の死体だと思うのが普通)

春川(だけど……本当に真宮寺の死体なの?)

春川(一周目と同じように入れ替わっているという可能性も否定出来ないはず)



春川(考えているとアナウンスを聞いたのか、生徒たちがその場に集まり始めた)

春川(そうだ、アナウンスが鳴った以上死体が一つあるのは確定)

春川(なら、ここに真宮寺以外の全員が集まればあの死体は真宮寺で確定する)

春川(ということで待つ私だったが……)


182 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:23:28.33 4Z1wa9Rg0 1523/2029




春川「っ……!?」



春川(集まった生徒は6人だった)



春川(それ以上は待っても増えない)



春川(今朝の時点で生き残っていた生徒は8人)



春川(つまり……真宮寺ともう一人姿を見せない生徒がいる)




183 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:23:57.41 4Z1wa9Rg0 1524/2029




春川「どうして……?」



春川(その生徒が姿を見せないのは何故か?)

春川(何らかの私が想像し得ない理由があるのか?)

春川(それとも……やはり真宮寺と入れ替わって死んでいるのか?)

春川(頭を悩ませる私に……)





百田「なあ……プレス機からトイレの扉にまで血痕が続いてるんだが……何なんだ?」





春川(百田が新たな証拠に気づいた)


184 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:24:24.37 4Z1wa9Rg0 1525/2029


春川(私たちは急いでそのトイレの扉に向かう)



春川「この扉……鍵がかかっている」

春川「まだ中に誰かがいるかもしれない……ってこと?」



春川(エグイサル格納庫のトイレ……)

春川(確かこの中にもスピーカーとモニターはあったはずだ)

春川(つまり中でも死体発見アナウンスは鳴っているのに……出てこないのは……)



春川「この扉を破る! みんな手伝って!」



春川(みんな同じ想像に至ったのか、人が入っているトイレだというのに侵入することに異を唱える人はいなかった)

春川(協力すること少し……扉を破壊して私たちは中に雪崩れ込む)



春川(そして――)


185 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:24:53.47 4Z1wa9Rg0 1526/2029










『死体が発見されました。オマエラ、エグイサル格納庫に集合してください!!』










186 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:25:22.45 4Z1wa9Rg0 1527/2029




春川(再び鳴った死体発見アナウンス)



春川(それが示す通りトイレの中は異様な状況になっていた)



春川(その中心たる物が――)





春川(首無しの死体)





春川(このコロシアイ学園生活に慣れてしまった私たちでも目を背けたくなる殺され方)



春川(その死体の主は……)




187 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:25:50.07 4Z1wa9Rg0 1528/2029




百田「首無し死体かよ……やべえな」



茶柱「残酷すぎます……」



夢野「にしても一体、誰の死体なんじゃろうな、王馬」



王馬「………………」



夢野「っと、考え事か。すまん」



天海「……。まあ、どうしてそんな殺し方をしないといけなかったのか……気になるっすね」



キーボ「ですが発見された死体はプレス機のが先で、こちらは後です。なら裁判の対象にならないはずです」




188 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:26:21.70 4Z1wa9Rg0 1529/2029




春川(聞こえてきた6人の会話)



春川(しかし、それは計算が合わない)



春川(私と2つの死体と6人の会話)



春川(合わせると9になって……今朝の生存人数の8を超えてしまう)



春川(この事態の理由は……考えるまでもなく明らかだった)



春川(私はそれを指摘する)




189 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:26:47.07 4Z1wa9Rg0 1530/2029








春川「ねえ、夢野?」



夢野「何じゃ? あ、もしかしてこの死体が誰なのか分かったのか?」



夢野「それならウチとこっちの王馬にも教えて――」








190 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:27:13.90 4Z1wa9Rg0 1531/2029











春川「さっきからどうしてその抱え込んだ王馬の死体の首に話しかけてるの?」











191 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:27:40.70 4Z1wa9Rg0 1532/2029




春川(トイレに入ってから夢野の様子はおかしかった)



春川(落ちていた王馬の首……首無し死体の欠損部分を拾い上げると)



春川(まるでそれが生きているかのように話しかけているのだ)



百田「………………」

茶柱「………………」

天海「………………」

キーボ「………………」



春川(異様な雰囲気に指摘できなかった他の四人も、夢野の答えを待つ)




192 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:28:07.26 4Z1wa9Rg0 1533/2029




夢野「王馬の死体の首?」



夢野「何を言ってるんじゃハルマキ。冗談も上手くなったな」



夢野「王馬が死んでいるわけ無いじゃろう」



夢野「王馬はこのように笑っておるんじゃ」



夢野「なのに死んでいるなんて……そんなこと……」



夢野「そんな…………」



夢野「…………」



夢野「……」




193 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:28:35.71 4Z1wa9Rg0 1534/2029




春川「夢野……」



夢野「……違う」



夢野「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う……っ!!!」



夢野「そんなことあるはず無いんじゃ……!!」



夢野「あるはず…………無いのに……」



夢野「………………」



夢野「あぁ…………」




194 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:29:02.64 4Z1wa9Rg0 1535/2029










夢野「王馬…………どうして…………?」










195 : ◆YySYGxxFkU - 2018/04/28 23:29:28.73 4Z1wa9Rg0 1536/2029




C H A P T E R 5



喪 失 と 終 幕 の 旅 路



非 日 常 編





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夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」(ch.5-2)

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