― スケート場 ―
カーリングのゴシゴシする人「おはよう!」
選手A「おはようございます!」
選手B「おはよー!」
キャプテン「さっそく練習を始めるぞ!」
カーリングのゴシゴシする人「よーし、今日もいっぱいゴシゴシするぞぉ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
元スレ
カーリングのゴシゴシする人「今日もいっぱいゴシゴシするぞぉ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1527620811/
キャプテン「午前の練習、終了!」ピピーッ
カーリングのゴシゴシする人(ふぅ、たっぷりゴシゴシしたぞ)
キャプテン「なかなかいいスイーピングだったぞ!」
カーリングのゴシゴシする人「ありがとうございます、キャプテン!」
カーリングのゴシゴシする人「ところで、今日はこれで早退を……」
キャプテン「そういえば、病院に行くんだったな。気をつけて帰宅するように!」
― 町 ―
カーリングのゴシゴシする人(やっぱり午前中だけだと、ゴシゴシし足りないなぁ……)
カーリングのゴシゴシする人(もっとゴシゴシしたい……)
カーリングのゴシゴシする人「ん?」
ペンキ職人「しまったぁ~!」
カーリングのゴシゴシする人「どうしました?」
ペンキ職人「オイラはペンキ塗りなんだが、間違えて塗っちゃいけないとこに塗っちまったんだ」
ペンキ職人「どうすりゃいいんだ……」
カーリングのゴシゴシする人「僕に任せて下さい!」
ペンキ職人「そのブラシ……あんたカーリング選手か!」
カーリングのゴシゴシする人「はい」
ペンキ職人「ペンキを落とそうってんだろうが、無茶だ! このペンキは特別落ちにくい――」
カーリングのゴシゴシする人「はあああっ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
ピカピカ… キラキラ…
ペンキ職人「す、すげえ……あっという間にキレイにしちまった」
ペンキ職人「ありがとう! 助かったよ!」
カーリングのゴシゴシする人「困った時はお互い様ですよ」
カーリングのゴシゴシする人(いいことすると気持ちいいな……)
カーリングのゴシゴシする人(それにゴシゴシすることもできたし……)
幼女「わーい!」キャッキャッ
ブロロロロロ…
通行人A「あの子、トラックの前に飛び出しちゃったぞ!」
通行人B「キャーッ!」
カーリングのゴシゴシする人「まずい!」ババッ
カーリングのゴシゴシする人「うおおおっ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
ブロロロロロ…
ギュルルルッ!!!
通行人A「す、すげえ!」
通行人B「道路をゴシゴシして、トラックのタイヤを滑らせ、走る方向を変化させたわ!」
通行人A「それも事故らないように安全な方向に! さすがだぜ!」
カーリングのゴシゴシする人(我ながら、いいゴシゴシができた……)
カーリングのゴシゴシする人「君、大丈夫かい?」
幼女「う、うん……怖かったよぉ……」
カーリングのゴシゴシする人「これからはもう、急に道路に飛び出しちゃダメだよ」
幼女「分かった……ありがとう……」
カーリングのゴシゴシする人「よしよし」ゴシゴシ
カーリングのゴシゴシする人「おや?」
女子大生「遅刻遅刻~!」タタタッ
カーリングのゴシゴシする人「食パンをくわえながら走る女子大生とは珍しい」
女子大生「今日遅刻したら、必修の単位を落としちゃう~!」タタタッ
カーリングのゴシゴシする人「そりゃ大変だ」
カーリングのゴシゴシする人「珍しいものを見れたお礼に、君のスピードを上げてあげよう!」ゴシゴシゴシ
女子大生「あら!?」ギュンッ
女子大生「この人が磨いたところを走ると、どんどん加速してくわ!」ギュゥゥゥンッ
カーリングのゴシゴシする人「まだまだ磨くよ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
女子大生「まるでウサイン・ボルトになった気分!」ギュンギュゥゥゥゥンッ
女子大生「間に合ったわ……」
女子大生「カーリングのゴシゴシする人さん、どうもありがとう」
カーリングのゴシゴシする人「どういたしまして」
カーリングのゴシゴシする人「これからはもっと早めに家を出るようにね!」
女子大生「はい!」
かき氷屋「う~ん……」
カーリングのゴシゴシする人「どうしました?」
かき氷屋「今日仕入れた氷が全然ダメなんだよ。こんな氷じゃ、うまいかき氷はできねえ!」
かき氷屋「今日は商売できねえな……」
カーリングのゴシゴシする人「だったら僕に任せて下さい!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
かき氷屋「氷をこすり始めた!?」
カーリングのゴシゴシする人「これぐらいでいいでしょう。さぁ、どうぞ」
かき氷屋「どれどれ……」パクッ
シャクシャク…
かき氷屋「う、うまい!」
かき氷屋「あのまずかった氷が、希少な天然水を氷にしたような上品な美味になった!」
かき氷屋「あんたは氷の滑りだけでなく、味まで磨くことができるのか!」
カーリングのゴシゴシする人「カーリングをやる上で、必須のテクニックですからね」
かき氷屋「あんた、ぜひ従業員にならねえか?」
カーリングのゴシゴシする人「あいにく僕はカーリング選手なので……」
キャァァァァァッ!!!
強盗A「よし、警察が来ないうちにズラかるぞ!」タタタッ
強盗B「おう!」タタタッ
強盗C「へい!」タタタッ
カーリングのゴシゴシする人「あれは……強盗!? スーパーマーケットがやられたのか!」
カーリングのゴシゴシする人「逃がすものか!」
カーリングのゴシゴシする人「てりゃああああ!」ゴシゴシゴシゴシゴシ
強盗B「うわっ!」ツルッ ドテッ
強盗C「地面が滑る!」ツルッ ドテッ
強盗A「……てめえ、何者だ!」
カーリングのゴシゴシする人「通りすがりのカーリング選手だ」
強盗A「ふ~ん、どうせ平昌をきっかけにカーリング始めたクチだろうが!」
カーリングのゴシゴシする人「いやその前からやってたから!」
強盗A「まぁいい、邪魔するなら――」ジャキッ
カーリングのゴシゴシする人(拳銃!)
強盗A「くたばれ!」パンッ
カーリングのゴシゴシする人「はあっ!」ゴシゴシッ
ボシュッ…
強盗A「なにぃ!? 弾丸が蒸発した!?」
強盗A「このっ! このっ!」パンッ パンッ
カーリングのゴシゴシする人「いくらやっても無駄だ!」ゴシゴシッ
ボシュッ… ボシュッ…
強盗A「えええ!? なんでぇぇぇ!?」
学生「教授、これはどういうことですか?」
教授「説明しよう!」
教授「あのカーリング選手は、空気をものすごい勢いでこすったんだ」
教授「すると、摩擦熱で凄まじい高温の≪熱の壁≫が出来上がる」
教授「この熱の壁が銃弾を蒸発させて、カーリング選手を守ったというわけさ」
教授「分かったかね?」
学生「よく分からないけどすごい!」
強盗A「ちっくしょう! 拳銃がダメならナイフだ!」ダッ
カーリングのゴシゴシする人「あ、そこさっきこすったから危ないよ」
強盗A「うわっ!」ツルッ ドテッ
カーリングのゴシゴシする人「トドメ」ブンッ
ゴンッ!
強盗A「う~ん……」ドサッ
カーリングのゴシゴシする人「だいぶ時間を食っちゃった。病院に急がないと」
ワァァァァァッ!!! キャァァァァァッ!!! タスケテェェェェェッ!!!
カーリングのゴシゴシする人「今までで一番大きな悲鳴だ……」
カーリングのゴシゴシする人「まるで、今日地球が終わってしまうかのような……」
ゴゴゴゴゴゴ……!
「隕石だ!」 「小惑星が降ってきたぞ!」 「でかい!」
カーリングのゴシゴシする人「なんだってぇ!?」
カーリングのゴシゴシする人(あれが直撃したら、地球はオシマイだ……!)
「逃げろぉ!」 「逃げるったってどこへ!?」 「死ぬ前に結婚したかったぁぁぁ!」
カーリングのゴシゴシする人「皆さん、落ち着いて下さい!」
カーリングのゴシゴシする人「僕が何とかします!」
カーリングのゴシゴシする人(冷静になるんだ……)
カーリングのゴシゴシする人(隕石といえど、ストーン……)
カーリングのゴシゴシする人(カーリング選手である僕に、どうにかできない道理はない!)
ゴゴゴゴゴ……!
カーリングのゴシゴシする人「だああああああああああっ!!!!!」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
ゴゴゴゴゴゴ……!
ツルッ
ギュゥゥゥゥゥゥン…
カーリングのゴシゴシする人「ふぅ……うまくいった」
「すげえ!」 「地球を磨いて、隕石を滑らせたんだ!」 「助かったぁぁぁぁぁ!」
「ありがとう!」 「あんたは英雄だ!」 「カーリングってすげえ!」
カーリングのゴシゴシする人「こちらこそ、日頃の練習の成果が出せてよかったです!」
カーリングのゴシゴシする人「今までの人生で一番のゴシゴシをすることができました!」
カーリングのゴシゴシする人(さて、思いがけず地球を救っちゃったけど……病院に行こう!)
― 病院 ―
カーリングのゴシゴシする人「……どうでしたか?」
医者「ふ~む……小さい尿路結石ができてますね」
医者「ま、これくらいならすぐ排出できるでしょう。お薬出しておきます」
カーリングのゴシゴシする人(やれやれ、いくら僕でもこのストーンだけはどうにもできない……)
― 完 ―