【サタニキア邸】
サターニャ「んっふっふっふ、ようこそサタニキア城へ……」
サターニャ「この館に一歩踏み入れたからには恐怖と絶望のエンターテイメントを味わってもらうわ」
サターニャ「さあ、まずは漆黒の飲料でお前たちをもてなしてあげる」
サターニャ「感謝しなさい!」ドン
ヴィーネ「……いや、これウーロン茶でしょ。ありがたいけど」
ラフィエル「言うほど漆黒でも無いですよねー」
ガヴリール「ていうか城なのか館なのかはっきりしろよ」
サターニャ「うるさいわね細かいことはいいのよ。雰囲気が大事なんだから雰囲気が!」
元スレ
ラフィエル「気づいちゃったガヴちゃんもかわいいですよね~」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1527405226/
ヴィーネ「それじゃ、さっそく宿題を始めましょうか」
ガヴリール「……」むっすー
ヴィーネ「なんでむくれてんのよ。前から約束してたでしょ」
ガヴリール「なんで私がこんなものやらなきゃいけないんだよ」
ヴィーネ「提出しないと成績に響くわよ。今回はすぐ終わりそうだし頑張りましょ?」
ラフィエル「補習は嫌でしょう? ガヴちゃん」
ガヴリール「くそっ……私をここまで不快にさせた人間どもの罪は大きい……」
ガヴリール「神の怒りを下してやるからな……!」
ヴィーネ「それあんたの怒りでしょ」
ヴィーネ「終わったらお菓子作ってあげるから。ね?」
ガヴリール「ヴィーネのお菓子なんかでやる気出るわけないじゃん……まあ、お腹空いてるから今回は仕方なくやってあげるけど」
ヴィーネ「もう、しっかり釣られてるじゃない」
サターニャ「ふふふ……ガヴリールもまだまだね。嫌ならやらなければいいのよ」
ガヴリール「んぁ?」
サターニャ「宿題? 笑わせてくれるわ。この大悪魔様が人間ども下等生物の言いなりになる訳ないじゃない」
サターニャ「私はこんな紙っぺら無視してくれるわ! あーっはっはっは!」
ヴィーネ「ほら、83ページから開いて」
ガヴリール「むー……」
サターニャ「無視するなー!!」
サターニャ「ええい! 今回は奥の手があるんだから。聴きなさい!」ポチ
テッテレッテ-♪
ガヴリール「なっ、このBGMは!?」
サターニャ「宿題してるガヴリールの横でマリオカートをやってやるわ! どう? 集中できないでしょ?」
ガヴリール「くっ、この悪魔め……! その曲を聴くと身体が勝手にコントローラーを……ああ、だめだ誘惑に乗ってしまう! 私ヨッシーにしよ!」ススス
ヴィーネ「おいこら」
サターニャ「ほらガヴリール、こっちにきて一緒に遊びましょうよー」ニヤニヤ
ガヴリール「ううう……」
ヴィーネ「ちょっとダメよガヴ! ここでちゃんとやらないと留年しちゃうわよ! 誘惑に負けないで!」
ガヴリール「ぐぐぐ……」
サターニャ「ガヴリールぅ~」
ヴィーネ「ガヴリール!」
ガヴリール「どっちを選べば……はっ!? こ、これがリアル天使と悪魔のささやき!?」
ラフィエル「ささやいてるのどっちも悪魔ですよ」
サターニャ「ラフィエル邪魔しないでよ! あともうちょっとだったのに!」
ラフィエル「……サターニャさんは宿題しなくていいんですか?」
サターニャ「ふん、今回は悪魔の恐ろしさを知らしめるためにストライキしてやるんだからいいのよ」
サターニャ「悪魔は悪いことするのが仕事だもの」フフ-ン
ラフィエル「なるほど。悪魔学校で優秀な成績を残すためなら下界の学校で留年しても構わないと。流石サターニャさんですね!」
サターニャ「へぁ?」
ヴィーネ「サターニャ、分かってると思うけど魔界と人間界の成績は一緒じゃないからね……」
サターニャ「えっ、えっ」
ガヴリール「ガヴリール先輩って呼んでみろよほら」
サターニャ「んなぁ!?」
サターニャ「ゔぃ、ヴィネット写させて!!」
ヴィーネ「自力で解く姿勢ぐらいは見せなさい」
…………
ガヴリール「えっと、アルミニウムに希硫酸を加えた時の反応式……こうかなっと」
ヴィーネ「うん、正解!」
ガヴリール「ふー、やっと終わった……」グテ-
サターニャ「え! ガヴリールもう終わったの!?」
ヴィーネ「ガヴもやればできるじゃない。えらいえらい」ナデナデ
ガヴリール「……なんで撫でてるの」
ヴィーネ「えへへ、ご褒美」
ラフィエル「では私も♪」ナデナデ
ガヴリール「こ……こらっ!」
ヴィーネ「ガヴの髪、ふわふわで柔らかくてとっても気持ちいい~」ナデナデ
ラフィエル「癒されますねー。いいこいいこ」ナデナデ
ガヴリール「私は犬か!」
サターニャ「……ん、んん」ウズウズ
ラフィエル(サターニャさん、撫でたくて仕方ないって顔してますね)
ヴィーネ(もっと素直になればいいのに)
ガヴリール「なんだよ」
サターニャ「べつにっ」プイ
ラフィエル「ほらサターニャさん、まだ半分も終わってませんよ。 集中集中」
サターニャ「んああー! もう宿題やだー!」
ガヴリール「……ねえヴィーネ。さっきから気になってたんだけど、そのカバンからはみ出てる黒い封筒なに?」
ヴィーネ「ん、これ? 魔界からの手紙よ。家を出る時にポストに入ってたから持ってきたの」
ヴィーネ「実はまだ内容を確認してないのよね」ペラ
ヴィーネ「えーっと……定期課題を送付します。より悪い悪魔を目指すため、悪事を100個考えなさい……」
ヴィーネ「え」
ヴィーネ「え!?」
ガヴリール「へぇ、悪魔の課題ってそんなんなんだ」
ヴィーネ「どどどどうしよ悪いこと100個なんて考えられるわけないじゃない!? 助けてガヴ!!」
ガヴリール「なんで私に助けを求めるんだよ」
ヴィーネ「こういうの得意そうじゃない!」
ガヴリール「どういう意味だこら」
ガヴリール「とりあえず地球を滅ぼすとかでいいんじゃない?」
ヴィーネ「1個目からスケールでかくない!?」
ガヴリール「それぐらいの方が思い切ってていいでしょ」
ヴィーネ「次は?」
ガヴリール「火星を滅ぼす」
ヴィーネ「……次は?」
ガヴリール「木星を滅ぼす」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「土星を滅ぼす」
ヴィーネ「星になんの恨みがあるのよ」
ガヴリール「銀河系の星をあげれば100個なんてすぐだ」
ヴィーネ「もっと真面目に考えてよ!」
サターニャ「まったくヴィネットはダメダメね。悪いことなんて簡単に思いつくわよ?」
ヴィーネ「え、例えば?」
サターニャ「ガヴリールのほっぺにラクガキするとか、ガヴリールをくすぐるとか、ガヴリールのお昼寝を邪魔するとか沢山あるでしょ?」
ヴィーネ「なるほど……」メモメモ
ガヴリール「なんで対象が全部私なんだよ!」
ヴィーネ「うぅ~~~…………だめ、他に出てこない。どうやったら悪いことを考えられるのかしら……」
ラフィエル「んー……ヴィーネさんがふだん罪悪感を感じてしまう事などヒントになりませんか?」
ヴィーネ「罪悪感を感じる、悪いことかぁ……」
ラフィエル「ついついやってしまって後悔する事とか!」
ヴィーネ「あ、塩分の多いもの取る!」ピ-ン
サターニャ「それ身体に悪いことでしょ! ダメージ食らってんのあんただし!」
ヴィーネ「えーと、えーっと……じゃあそれをガヴに食べさせる!」
サターニャ「それは極悪ね……!」ゴクリ
ガヴリール「おい」
ヴィーネ「やっぱりだめ! ガヴにそんなもの食べさせられないかわいそう!」
ガヴリール「まあ私は味濃い方が好きだけどね。基本塩分多めでいいよ」
ヴィーネ「だめよ! あんた気を抜くとカップラーメンとか食べてるでしょ! ガヴに作る料理は塩分気にして考えてるんだから!」
ガヴリール「お前はできた嫁か」
ラフィエル「ところでガヴちゃん。私たちも課題出ているんですけど、覚えてます?」
ガヴリール「え、しらん。どんなの?」
ラフィエル「もー、生きとし生けるものを幸福に導くため取り組んでいることを書きなさいって内容ですよ」
ラフィエル「ちなみに期限は今週です」
ガヴリール「今週!?」
ラフィエル「下界はまだしも、天界の課題はやらないとまたゼルエルさんに怒られちゃいますよ」
ガヴリール「うわーん! どうしよヴィーネ! 何にもやってない助けて!」
ヴィーネ「えぇ、悪魔にきかないでよ……」
ガヴリール「実質天使のヴィーネならこういうのポンポン浮かぶでしょ!?」
ヴィーネ「私は純粋な悪魔だってば!」
ガヴリール「ぐぐぐぐ……まずい。姉さんに目をつけられている分、嘘書いたら絶対バレる」
ラフィエル「あんまりぐーたらしすぎると天界から追い出されちゃいますよ?」
ヴィーネ「あんた人間界で仕送りなしじゃ暮らしていけないでしょ」
ガヴリール「多分3日で死ぬ」
サターニャ「くくく、情けないわねガヴリール。もしほんとに天界から追放されたら私が飼ってあげてもいいわよ?」
サターニャ「ペットとして首輪を付けて遊んでやるけどね!」
ガヴリール「え、まじ? 助かるわ」
サターニャ「えっ」
ガヴリール「サターニャならゲームやってても怒らないだろうし。少なくとも暇な時間はなさそうじゃん」
ガヴリール「住む場所とご飯くれるなら構って欲しい時に対戦ぐらいしてやるぞ?」
サターニャ「ぐぬぬぬ……」
ラフィエル「思いがけず肯定的な意見でリアクションを決めかねてますね」
ヴィーネ「嬉しいんだか悔しいんだかわかんない顔になってるわよサターニャ」
ガヴリール「ま、課題こなせば仕送りは貰えるんだしやる以外ないんだけどさー」ハァ
ガヴリール「ラフィ、どうしたらいいと思う?」
ラフィエル「そうですねー……」
ラフィエル「例えば、誰かを幸せにするためには、まずその誰かを知る必要があると思うんです」
ラフィエル「そういった意味では、ガヴちゃんのゲームは下界の文化を知るために有用な取り組みですよね」
ガヴリール「なるほど、それなら課題にも書けるな……」
ラフィエル「視点を変えてみればどんな事でも手がかりになるはずですよ」
ガヴリール「さすがラフィエル!」
ラフィエル「ふふ、どういたしまして」
ヴィーネ「ラフィってやっぱりすごいわね。勉強も運動もできるし」
ヴィーネ「ガヴはあんまり運動得意じゃないけど、どうしてラフィは次席だったのかしら……」
サターニャ「……」
ガヴリール「……」
サターニャ「人間性じゃない?」
ヴィーネ「……」
ラフィエル「こらサターニャさん、そんな冗談を言ってはいけませんよっ」
ラフィエル「まったくもう、ガヴちゃんからも何か言ってください」
ガヴリール「ラフィ、次なんだけどさー」
ラフィエル「あれ? ちょっと否定してくださいよガヴちゃん。ガヴちゃーん?」
…………
ガヴリール「……やばいな。これだけじゃ足りない」
ラフィエル「確かに課題としてはいまひとつですね……」
ガヴリール「定期的に下界を見回ってるって書けばそこそこ評価にはなりそうなんだけど」
ラフィエル「今から探しにいってみます?」
ガヴリール「しかたない善行積んでくるか。ラフィも一緒に来てよ」
ラフィエル「もちろんです」
ヴィーネ「二人とも外行くの?」
サターニャ「面白そう! 私も行くー」
ガヴリール「サターニャ絶対邪魔してくるだろ。ていうかお前まだ下界の宿題終わってないじゃん」
サターニャ「あぅぅ、そうだった……」
ラフィエル「というわけで、お二人には申し訳ないですが、二人きりで天使デートしてきますね」ニコニコ
サターニャ「二人きりで……」
ヴィーネ「デート……」
ラフィエル「ガヴちゃん、待った? いま来たところ。という流れをやってみたいので駅で待ち合わせしましょうかっ」
ガヴリール「めんどくさいわ」
【お外】
ラフィエル「さてと、天使のお仕事と言うことなので格好もそれらしくしましょう」パァァ
ガヴリール「え、変身する必要ある? まあいいけど」パァァ
ラフィエル「……ガヴちゃんの輪っか大丈夫ですか? 前よりいっそう黒いんですけど」
ガヴリール「最近神への感謝とか信仰とかサボってるからなー。まだギリいけるだろ」
通行人「うお!?」ビク
ラフィエル「あ、これ天使のコスプレなので気になさらないでください」
通行人「え、えぇ?」
ガヴリール「はぁー、どこかに都合よく死にかけのやつとかいないかな。天に召したら高評価だろ」テクテク
ラフィエル「ガヴちゃん、天に召す前にまず助けてあげなきゃだめですよ」テクテク
ガヴリール「お、自販機に新しいジュース入ってる。飲んでみよっと」チャリンチャリン
ラフィエル「もー、もう少し真面目に探してくださいってば」
ラフィエル「あ、ほら耳を傾けると、どこかで助けを求める声が聴こえてきますよ」
『……たすけてー……』
ガヴリール「んー?」ゴクゴク
ラフィエル「あそこみたいですね」
ミミズ『た……たす、けて……』ピクッピクッ
ガヴリール「……カラカラに乾いたミミズじゃん」
ラフィエル「生きとし生けるもの、みな天使が救うべき存在に変わりはありません」
ミミズ『すいぶん……すいぶん、欲しい……!』ピクピク
ガヴリール「お前。水が欲しいのか?」
ミミズ『みずっ? みず……! みずをくれぇ!』ビックンビックン
ガヴリール「ちょ、気持ちわるいから暴れまわんなよ……」
ミミズ『水分であればなんでもいい! 今すぐカサカサお肌に潤いを!』
ラフィエル「なんだか乾燥肌が気になる50代みたいですね」
ガヴリール「たまたま私がジュース買っててよかったな。今かけてやるからちょっと待ってろ」
ミミズ『あ、ありがてぇ……!』
ガヴリール「一生恩にきるんだぞ」
じょばばばばば
ミミズ『ごあああ!? なんだこれシュワシュワする!!?』ビチビチビチビチ
ガヴリール「……あ、ごめん。これ炭酸だったわ」
ミミズ『天使さまありがとぉ~』ニョロニョロ
ラフィエル「ひとまずこれで一つ善行を積めましたね」
ガヴリール「こんなのでいいのか」
『きゅーん……きゅーん……』
ガヴリール「ん、なんだ?」
ラフィエル「何か小さな動物の声が……? この茂みから聞こえてきますね」
ガヴリール「なんだろ?」ヒョコ
子犬『くすんくすん……』
ガヴリール「……犬の子どもだ」
ラフィエル「まあ、どうしたんでしょうか?」
子犬『うくっ……えっぐ……ひ、ふぇ……ふぐぅぅ』
ガヴリール「おいそこのお前」
子犬『……ひっ、』ビクッ
子犬『びええええええええええええん!!』
ガヴリール「え、なんだよ急に」ビク
ラフィエル「あー、泣き出しちゃいましたね」
ラフィエル「おいでおいで。私が抱っこしてあげますねー」ぎゅー
子犬『びええええええええ! あーんあーん!!』
ラフィエル「大丈夫ですよー、こわくないですからねー」ナデナデ
子犬『ふぇぇ、ぐすっ、ぐすっ』
ラフィエル「いいこいいこ」ポンポン
子犬『ずびっ……ZZ……ぐすっ、ZZZ……』
子犬『……ZZZ』
ガヴリール「えぇー、寝ちゃったじゃん……」
ラフィエル「ずっと泣いてたみたいですし、緊張が解けたんでしょう。ふふ、可愛いですね」
ラフィエル「それにしても、この子は一体どうしてこんなところにいたんでしょうか」
ガヴリール「ん、ラフィ、あれみて」
ラフィエル「迷子犬の張り紙ですね」
ガヴリール「住所は……めちゃくちゃ近いじゃん。茂みに隠れてたから見つけられなかったのかな」
ラフィエル「送り届けてあげましょうか」
…………
ガヴリール「飼い主も子犬も喜んでたな」
ラフィエル「これで善行二つ目ですね。小さな幸福を守ることができましたっ」
ガヴリール「うん」
ラフィエル「?」
ラフィエル「どうしたんですかガヴちゃん。じーっとこちらを見て」
ガヴリール「ん、天使の姿のラフィエルってやっぱ綺麗だなって」
ラフィエル「へっ?」
ガヴリール「さっきの犬の時もそうだったけど、ぐずってる子供をあやすの上手いしさ。優しいし、落ち着くし、包容力あるよな」
ガヴリール「イメージ通りの天使っていうか、同じ天使の私でもふとした時に見とれるよ」
ラフィエル「え~……そこまで言われるとなんだか照れてしまうんですけど」テレテレ
ガヴリール「そういう安心感は私にはない魅力だよな。おっぱいもでかいし」ハァ
ラフィエル「胸は関係あるんでしょうか……」
ラフィエル「ふふ、ガヴちゃんがぐずってる時も優しくあやしてあげますよ」
ガヴリール「ぐずらんわ」
ラフィエル「私はガヴちゃんの天使の姿、とっても好きですよ? 見とれてしまうぐらい可愛いですから」
ガヴリール「なんだよ見とれる可愛さって……天使としては全然嬉しくないぞ」
ラフィエル「いえいえ、天使的にとっても癒されますって」
ラフィエル「ガヴちゃん私を癒してくださーい」ぎゅー
ガヴリール「お前天使なんだから癒す側だろ!」
ラフィエル「ガヴちゃんも私の包容力で癒されれば一石二鳥じゃないですか」ニコニコ
ラフィエル「はっ、私がガヴちゃんで癒されガヴちゃんが私で癒される……これって究極のサイクルじゃないですか!?」
ガヴリール「サイクルの輪が小さい」
ラフィエル「はぁー、ガヴちゃんを抱きしめると和みますねー……魂が浄化されちゃいます」ぎゅー
ガヴリール「天使が浄化されていいのか……」
ガヴリール「……」
ガヴリール「……」ナデナデ
ラフィエル「っ?」
ラフィエル「な、なんで撫でてるんですか」
ガヴリール「んー、たまには天使っぽくちゃんと癒してみようかなって」
ガヴリール「どう? 癒される?」ナデナデ
ラフィエル「どうって……」
ラフィエル「もはや昇天しそうです……」
ガヴリール「ラフィはあれなの? ゾンビ系なの?」
ガヴリール「ラフィエル、変わったよな」
ラフィエル「え?」
ガヴリール「毎日楽しそうじゃん。天界にいた頃は愛想笑いが多かったけど、今はちゃんと笑ってる」
ラフィエル「えぇ? 天界にいた頃もちゃんと笑ってましたって」
ガヴリール「嘘つけ。お前の作り笑いを一番横で見てたのは私だぞ」
ラフィエル「うふふふふふ」
ガヴリール「まさにその笑いだ。その笑い」
ラフィエル「……ガヴちゃんは変わったところはないんですか?」
ガヴリール「私? 全部変わったろ」
ラフィエル「いやー……まあ、そうなんですけど……」
ラフィエル「下界に来て楽しい事とか、嬉しい事とか、夢中になれる事とか、いっぱいあったんじゃないですか?」
ラフィエル「例えば~……恋とか♪」
ガヴリール「は? 恋? 一番縁遠いだろ。私に限ってそれはないわ」
ラフィエル「そうですかー……」
ガヴリール「……」
ガヴリール「え、ラフィはしてんの? 恋とか」
ラフィエル「どうでしょうね?」
ガヴリール「えっ、してんの!?」
ラフィエル「どうでしょうね♪」
ガヴリール「えっ? いや、ちょっと……だ、誰と!」
ラフィエル「ふふ、私が恋してたらガヴちゃん焦っちゃいます?」
ガヴリール「は、はぁぁ? あ、あせるわけないだろなにいってんの! だいたいラフィが恋したらなんで私が焦る必要があるんだよ! 意味分からんわっ!」
ガヴリール「べべべ、べつにラフィが誰と付き合おうと私は全然気にならないし? 好きにすればいいだろ!」プイッ
ラフィエル(……ここまで動揺してくれると素直に嬉しいですねー)
ラフィエル「私だけでなく、ヴィーネさんもサターニャさんも恋をする可能性はあるんですよ」
ガヴリール「……!!」
ガヴリール「……い、いやいやいや、いやいやいや、ヴィーネとサターニャが? な、無いだろ……ないない」
ラフィエル「そうですかね? お二人とも可愛らしいですし、もしかすると気になる人がいたりするんじゃないですか?」
ラフィエル「なんてったって思春期ですから♪」
ガヴリール「し、思春期って……! いや、いやいやいや……」
ラフィエル「……あ、もうこんな時間ですね。そろそろ戻りましょうか」
ガヴリール「うそだろ、そんな……いや無いって……」
ラフィエル「あの……ガヴちゃん? 冗談ですからあまり気にしないで下さいね?」
ガヴリール「へっ、あ、うん」
ガヴリール「じょうだん……」
ラフィエル「ほら、手を繋いで帰りましょう♪」ニギ
ガヴリール「……」ニギ
ガヴリール(……なんか、モヤモヤする)
【サタニキア邸】
ヴィーネ「えーっとえーっと、サターニャとお揃いの黒いワイシャツを着る!」
サターニャ「なんでそれが悪いことになるのよ!」
ガヴリール「うわ、まだやってる……」
ラフィエル「お二人ともお疲れ様です」
ヴィーネ「あ、おかえりなさい!」
ガヴリール「あー、だるかった。ちょっと横になるわ。サターニャクッション貸して」
サターニャ「ほら」ボスッ
ガヴリール「さんきゅ」
ヴィーネ「成果はどうだったの? 上手く書けそう?」
ラフィエル「ええ、素晴らしいデートでしたよ。ガヴちゃんとのいちゃいちゃ日記のネタが増えましたっ」
ヴィーネ「そっちは聞いてない」
ヴィーネ「ガヴも少し休んだら忘れないうちに課題を……って」
ガヴリール「すー……すー……ZZZ」
ヴィーネ「あれ、寝ちゃった」
ラフィエル「お外に出て少し疲れたんでしょうね」
サターニャ「もう、相変わらず体力無いわねー」
ラフィエル「……」
ラフィエル「第9回、ガヴちゃんかわいい会議~」
ヴィーネ「唐突に始まったわね……」
ガヴリール「ZZZ」
サターニャ「えっ、えっ? 本人の前でやるの!?」
ラフィエル「実はですね、私さっきガヴちゃんにナデナデして貰っちゃったんです!」
ヴィーネ「え、ガヴから!? どんな経緯で?」
サターニャ「あんた洗脳でもしたんじゃないでしょうね!?」
ラフィエル「洗脳なんてサターニャさんにしかしませんよぅ」
サターニャ「え、してるの? 私に? ねえちょっと」
ラフィエル「ガヴちゃんのナデナデ、意外にも手つきが優しくてドキドキしちゃいました。あのちいさな手がまたとっても可愛くて可愛くて!」
ヴィーネ「羨ましいなぁ、私ガヴをよくなでるけど、なでてもらったことはあんまりないもの」
ラフィエル「ヴィーネさんなら頼めばやってくれそうじゃないですか?」
ヴィーネ「頼んでやってもらうのと自然にやってもらうのは違うもん。ガヴからナデナデしてほしいんだもん」プク-
ヴィーネ「私もなでてよガヴ~……」
ガヴリール「ZZZ……」
サターニャ「ガヴリールってこうしてたまに寝ちゃうわよね」
ラフィエル「夜中にゲームしているから、お昼はどうしても眠くなっちゃうんでしょうね」
ヴィーネ「無防備な所がまた可愛いわよね~」
サターニャ「くふふ、いたずら心をくすぐるわ」
ラフィエル「実は前に、寝てるガヴちゃんのお腹を枕にしてみた事があるんですけど」
サターニャ「なにしてんのよあんた」
ラフィエル「すっっっごく気持ちよかったんです」
サターニャ「え、なにお腹を枕にするって」
ラフィエル「ですから仰向けになったガヴちゃんのお腹にこう頭を乗せて……」
サターニャ「わかるわよ!」
ヴィーネ「よく起きなかったわね……」
ラフィエル「ガヴちゃん一度寝ちゃうとなかなか起きませんからね」
ラフィエル「ガヴちゃん枕、柔らかくてほのかに暖かくて最高の寝心地なんです。さらにガヴちゃんの寝息をBGMとして楽しめるんですよ」
ラフィエル「おススメです☆」
サターニャ「楽しみかたがちょっと怖いんだけど」
ヴィーネ「あ、ほんとだガヴのお腹柔らかい」ムニムニ
ガヴリール「ZZ……んひゅひゅ、くしゅぐったい……ZZZ……」
ヴィーネ「ラフィは……胸が柔らかそうね」
ラフィエル「あ、やります? おっぱい枕」ニコニコ
ヴィーネ「いらない」キッパリ
サターニャ「ヴィネットがラフィエル枕で寝ても敗北感しか味わえなさそうね」プフ-
ヴィーネ「サターニャ、あとでお説教ね」
ガヴリール「ん~……っ」ゴロン
ヴィーネ「あれ、なんか眉間にしわ寄ってる」
ラフィエル「床だとうまく眠れないんでしょうか?」
ヴィーネ「が、ガヴ? 寝づらいなら私が膝枕してあげるわよ」ボソボソ
ラフィエル「あ、ずるいです! ガヴちゃん私が抱っこしてあげますよー」
サターニャ「こ、こら。何やってんのよ」
ヴィーネ「ふふ、寝てるガヴ可愛いなぁ」ナデナデ
ラフィエル「天使のような愛らしさですよね~。まさに天使そのものですが」ナデナデ
サターニャ「あんたたちガヴリールにベタベタ触りすぎでしょ!」
ヴィーネ「だってかわいいんだもん」
ラフィエル「嫉妬ですか? サターニャさん」
サターニャ「し、嫉妬してない!」
ラフィエル「ガヴちゃんガヴちゃーん♪」ナデナデ
サターニャ「ぐぐぐぐ……」ウズウズ
ヴィーネ「サターニャも触ってみれば?」
サターニャ「えっ」
ヴィーネ「いつも触れたがってたでしょ? ガヴが寝てる時だけでも素直になればいいじゃない。ほら」
サターニャ「はぁ!? べべべべつに触れたいとか思ってないし!」
ラフィエル「眠っている今がチャンスですよ、サターニャさん」
サターニャ「うぅぅ……」
ガヴリール「むにゃ……ZZZ……」
サターニャ「さ、さわるっ」
ヴィーネ「どうぞどうぞ」
ラフィエル「やさしくしてあげてくださいね」
サターニャ「……」ナデ
ふわ
サターニャ「……!」
サターニャ「すっごく気持ちいいい……!」ナデナデ
ヴィーネ「でしょ?」ニコニコ
ガヴリール「……ZZZ……」
サターニャ「ヴィネットもラフィエルもいつもいつもガヴリールをなでてズルい! 私も可愛がりたいのに!」ナデナデナデ
ラフィエル「サターニャさんも意地はらずになでてあげればいいじゃないですかー」
サターニャ「ライバルの私がいきなりガヴリールをなでたらおかしいでしょうが!」ナデナデナデ
ラフィエル「なでたいと言う感情をライバルに抱く時点でおかしいと思いますけど」
サターニャ「ガヴリール……! がゔりーるぅ……!」ワシワシワシワシ
ガヴリール「んぐ、んむぐぐ……っ」
ヴィーネ「ちょ、ちょっとサターニャ。そんな荒っぽいなで方じゃガヴ起きちゃうわよっ?」
ガヴリール「ん」パチ
サターニャ「ひゃっ」ビク
サターニャ「……」
ガヴリール「……」
サターニャ「えっと……これはあの……」
ガヴリール「なんでお前が私の頭撫でてんだよ」
ガヴリール「私寝てたのか。ふぁぁ、ねむ……」
サターニャ(あ、あれ? あんまり嫌がってない……)
ヴィーネ(お?)
ラフィエル(ほう)
ガヴリール「サターニャひまー。なんかないの?」
ラフィエル「あ、それならサターニャさんのおもちゃで遊びましょうか。ほらここにしまってありますよ」
サターニャ「なんであんたが場所知ってんのよ!」
ガヴリール「サターニャの家って変なおもちゃいっぱいあるよな」
サターニャ「おもちゃじゃなくて対天使用兵器! このアイテムを使ってあんたたち天使を恐怖におとしいれてやるんだから」
ラフィエル「あ、これ前にサターニャさんが持ってきた笑いが止まらなくなる銃ですね」
ヴィーネ「あれ? ガヴに没収されたんじゃなかったっけ?」
サターニャ「ふっふっふ、それは新たに仕入れたショートデビルパイソンよ。今回のは10分間じゃなくて5分間笑いが止まらなくなるの!」
ヴィーネ「ガヴにやり返された時を考えて短くしたの?」ニヤニヤ
サターニャ「う、うるさいわね」
ラフィエル「なるほどなるほど」
ラフィエル「では」スチャ
サターニャ「なんでこっちに向けるのよ!?」
ラフィエル「私、サターニャさんの楽しそうな笑顔を見たいんです」
サターニャ「無理やり笑顔にさせんじゃないわよ!か、返しなさいこら」グイ
ラフィエル「えー、ちょっとぐらい良いじゃないですか」グイ
サターニャ「あんたが持ってるとろくなことにならないのよ!」グイグイ
ヴィーネ「ちょ、ちょっと二人とも、そんな引っ張りあったらあぶな……」
パァン
ヴィーネ「ぐふぅ!」
サターニャ「え」
ラフィエル「あ」
ヴィーネ「ふふ……ふふふふふ、あははは……」
ヴィーネ「あっはっはっはっはっは!!」
ヴィーネ「サターニャぁ……! あとで覚悟しておきなさいよぉ……! んふふふふふふ……!!」
ラフィエル「ゔぃ、ヴィーネさん、怖いです」
サターニャ「なんで私だけなのよー!」
サターニャ「あんたのせいでしょラフィエル!」
ラフィエル「まあまあ、ここはガムでも食べて落ち着いて」
サターニャ「ガムなんか食べてられるか!」バシッ
パッチーン
サターニャ「いったぁ!! これパッチンガム!?」
ラフィエル「ぷくくくくく……!」
ヴィーネ「あはっ、あははははは!」
サターニャ「あんたたち笑ってんじゃないわよ!」キ-!
ガヴリール「いやヴィーネは笑いが止まらないだけだろ」
サターニャ「大人しくしてなさいってば!」
ラフィエル「あ、これなんですかね? サターニャさんに試してみましょう」
サターニャ「勝手にあさるなー!」
ガヴリール「あーあ……もうめちゃくちゃだよ」
ガヴリール「ん、なんだこれ……」
メガネ『』
《使用方法》
当製品を装着した状態で人物を見ると、その人の好感度が色により判定されます。
赤 :最高値。生涯を共にしたい
ピンク :一緒にいて心地良い関係。告白に対し即OKが出るライン
オレンジ :特別な存在。または大切な親友
黄色 :仲の良い友人
黄緑 :顔見知り
青 :特に何も思われていない
藍 :冷めた関係。あるいは険悪
ガヴリール「……いやなにこの説明書うさんくさ。こんなメガネで好感度が測れるわけないだろ」
ガヴリール「悪魔の作るおもちゃってほんとろくでもないな」ハァ
ガヴリール「……」
ラフィエル『私だけでなく、ヴィーネさんもサターニャさんも恋をする可能性はあるんですよ』
ラフィエル『なんてったって思春期ですから♪』
ガヴリール「いや、いやいやいや……ははは……」
ガヴリール「」チラ
メガネ『』
ガヴリール「うっ……」
ガヴリール(別に、誰が誰を好きだろうが私には関係ないし……)
ガヴリール(ない、けど)
ガヴリール「………………」
ガヴリール(なんで、見るのが怖いんだ……)
ガヴリール「ぐぅぅぅ~~~~…………」
ガヴリール「くそっ、上等だ! あいつらのこと全部見てやる!」
ガヴリール「気に入らない結果だったらめちゃくちゃにしてやるからな! 覚悟しとけ!」
スチャ
…………
ヴィーネ「……はー、笑い疲れた……ん、ガヴ? 突っ伏してどうしたの?」
ラフィエル「もしかして具合悪いですか……?」
サターニャ「ベッドで寝る? 熱は? ちょっとおでこ出しなさい」ナデ
サターニャ「……あ、なにニヤニヤしてんのよあんた」
ガヴリール「やめろ、みるなバカ」
サターニャ「どうしたのよー」グイグイ
ガヴリール「なんでもないって」
ラフィエル「ガヴちゃん? ふふっ」ニコニコ
ヴィーネ「何かいいことでもあった?」
ガヴリール「別に」プイ
ガヴリール「ちょっと嬉しいことがあっただけ」
終