文化祭
結衣「ゆきのん、風邪引いた時は大丈夫か心配だったけど、ちょっと元気になったよね」
八幡「そうだな…ちょっと聞いていいか?」
結衣「ん、なに?」
八幡「雪ノ下の家に行った時、何か話したのか」
結衣「…なーんにも」
八幡「は?」
結衣「ヒッキーの知りたいことは何にも聞いてないよ」
八幡「いや、別に知りたいこととかねぇよ」
結衣「そう?あたしは知りたかったけどね」
結衣「…あたしね、ゆきのんの事は待つ事にしたの」
結衣「ゆきのんは多分、話そう、近付こうってしてるから。だから、待つの」
元スレ
結衣「待たないで、こっちから行くの」 ブルゾンちえみ「じゃあ質問です!」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1525434419/
八幡「…」
結衣「でも待っててもどうしようもない人は待たない」
八幡「ん?まぁどうしようもない奴待ってても仕方がないよな」
結衣「ちがうよ。待たないで、こっちから行くの」
八幡「・・・そうか」
結衣「うん、そう「待ちなさい!」
結衣・八幡「!?」
スタスタスタ
ブルゾンちえみ「あー女に生まれてよかった♡」
八幡「…誰だこいつ」
結衣「さ、さぁ?」
ブルゾン「どうも、効率的な仕事ぶり、充実した私生活。キャリアウーマンです」
結衣「なんでキャリアウーマンがここに・・・」
ブルゾン「独り身でさみしい働きウーマンのみんな!」
八幡(高校で誰に向かって言ってんだよ。誰一人いないだろそんな奴)
(…待てよ、平塚先生の事か?平塚先生の事なのか?)
ブルゾン「自分から「狩り」に出ないと、男なんてできないと思ってない?」
結衣「え・・・?」
ブルゾン「じゃあ質問です!」
ブルゾン「花は自分からミツバチを探しに行きますか?」
ブルゾン「・・・探さない、待つの」
結衣「・・・!」キュピーン
ブルゾン「撒いてごらん!自然と男は寄ってくるから!」
スタスタスタ
八幡「なんだったんだあいつ・・・由比ヶ浜?」
結衣「・・・」
後日
結衣「ふんふんふふふーん」
ガララララ
八幡「うす」
結衣「ヒッキーやっはろー!」
八幡(・・・ん?なんだこれ)
結衣「ふふ~ん」
八幡「なんだこの・・・植木鉢は」
結衣「花!育てようと思って!」
八幡「唐突だな」
結衣「いいじゃん!なんかこの部室って殺風景だったし!なんか彩が欲しいなーって思ってたの」
八幡「・・・ちなみに、どんな花を植えたんだ?」
結衣「ふふふ・・・教えてあげない!」
八幡「あっそ」
八幡(まぁどうでもいいんだが)
結衣「ちなみに今私が着てる制服の匂い・・・これと同じだよ」
八幡「お、おう」
八幡(なにいってだこいつ、それこそどうでも)
結衣「当ててくれたら、なんでも言うこと1つ聞いたげる」
八幡(なん・・・だと・・・?)
結衣「はぁ・・・はぁ・・・ん」
八幡(どうしてこうなった)
結衣「ほら・・・もっと顔、近付けないと匂いわかんないよ」
八幡「いや・・・これ以上は」
結衣「もっとこっちきて・・・」
八幡(いつもの席で匂いを気にしつついつも通り文庫本を読んでいたと思ったら
いつの間にか誘導されて今、由比ヶ浜を壁まで追い込んで匂いを嗅いでる変態の構図が出来上がっていた)
結衣「ヒッキー・・・わかった?」
八幡「いや・・・」
八幡(いい匂いってことだけは分かるんだが、いかんせん花の香りなんてよくマンションや住宅地の周りに咲いてる濃いピンクのアレくらいしかわからん)
八幡(そういえば小さい頃は謎の義務感に駆られてあの花の蜜をひたすら吸ってたな。なんだ俺はあの頃働きバチか何かだったのか?道理で今一切労働意欲が湧かないわけだ)
結衣「しょうがないなぁ・・・じゃあ大ヒントあげる」ギュ
結衣「ヒッキーが答え出すまで待つから・・・それまでちゃんと確かめて・・・」
八幡(更に密着してきた。アカン、これ以上は・・・)ハァハァ
バターーーン
平塚「比企谷ああああああああああああああ!!!!!!」
バッ
結衣「ひっ!?」
八幡「うお!?」
文化祭
平塚「ふう・・・どうやらどのクラスも問題無く運営出来てるようだな」
平塚「しかし見回りを頼まれるとは・・・他の顧問の先生や担任は担当クラスの生徒と楽しんでると言うのに・・・悲しい」
ブルゾンちえみ「くみちゃん!仕事仕事!」
平塚「ん?なんだ?」
平塚(不審者か?というかくみちゃんらしき人は周りにどこにもいないのだが…誰に対して言っているんだこいつは)
ブルゾン「え?合コンの事が忘れられなくて仕事に集中出来ない?」
平塚(なっ!何故そのことを・・・)
ブルゾン「ダメウーマン」
平塚(うぐっ)
ブルゾン「じゃあ質問です!」
「味のしなくなったガムをいつまでも、いつまでも、噛み続けますか?」
平塚(・・・?)
ブルゾン「・・・新しいガム、食べたくない?男はガムと一緒!」
ブルゾン「味がしなくなったら、また新しいガムを食べればいい!」
平塚「・・・!」キュピーン
「・・・だって、地球上に男は何人いると思っているの?」
「・・・35億。」
平塚(・・・これだ!)ダッ
「・・・あと5000万人。」スタスタスタ
~~~~~~~~~~~~~~
平塚「比企谷ァ!!!!!!」
八幡「な、なんすか」
結衣(うう、良いところだったのに)
平塚「お前は私の新しいガムだ!!!」
八幡(何それどこの木の葉の抜け忍?)
平塚「そういうわけだから今日の放課後、ラーメンを食べに行こう!」
八幡「いや意味わかんないんですけど」
平塚「頼む!この間の合コンで失敗してから辛くて辛くて堪らないんだ!」
八幡(よくもまぁ恥ずかしげも無く言えるなこの人は・・・つかいい加減誰か貰ってやれよ)
平塚「そういうわけだから!また後でな!」ドヒューン
八幡「なんだったんだ・・・」
結衣「さ、さぁ・・・あ、さ、さっきの続き・・・」
八幡「い、いやよく考えたらお前にそんな近づかなくても制服脱いでくれれば「きて・・・?」
八幡「さっきみたいに誰か入ってきたらやば「きて・・・?」はい・・・」
バァァァァァァァァァァァァァァン
雪乃「こんにちは」
結衣「ひえ!?」
八幡「!?」
文化祭
雪乃「D組の代表は誰かしら?」
代表「は、はい・・・」
雪乃「出し物はお化け屋敷ということだけれど、教室内に割いてる人手が多すぎるのではないでしょうか?列の整理も立派な仕事の1つよ」
代表「すいません・・・」
雪乃「以後気をつけるように」
ワイワイ
結衣「・・・ゆきのん、風邪引いてた時は心配だったけど、元気になってよかった」
八幡「そうだな…ちょっと聞いていいか?」
結衣「ん、なに?」
雪乃(あ、比企谷くんと由比ヶ浜さん・・・)チラ
雪乃(二人共、何を話してるのかしら)
ワイワイ
雪乃(・・・私には関係の無い話ね。それより自分のやるべき仕事に集中しないと)
ブルゾンちえみ「素直じゃない女は!」
雪乃「!?」
ブルゾン「・・・嫌いですか?」
雪乃(な、何かの出し物かしら?廊下で始まるパフォーマンスなんて見た覚えないけれど…)
ブルゾン「どうも!素直になれない系・・・女子です」
雪乃「ちょっと貴方達、その出し物の許可は」
ブルゾン「特に気になってる相手、好きになっている相手には、とうていムリ」
雪乃「!」
ブルゾン「だから、やけに冷たい態度をとってみたり、そっけない態度をとってみたり・・・」
ブルゾン「それで相手に誤解されて、私何してんだろうって・・・思う」
雪乃「・・・」
ブルゾン「だけど、男子、これだけは覚えててほしい!」
「・・・女のイヤは、イヤじゃない」
・・・ソウナノカ?
ナニガヨ・・・ッテチョッナニスンノヨ!
マダアシナオラナイノカ?
ホケンシツマデツレテッテヤルヨ
イヤ!ハナシテヨ!
イヤナノカ?
イヤニキマッテルジャナイ!
メンドクセーナ、イイカラオレニツカマットケヨ
チョ!・・・バカ
雪乃「・・・!」キュピーン
~~~~~~~~~~~~~~~~
雪乃「こんにちは」
八幡「っと・・・よう」
結衣「わわっ、ゆきのんやっはろー!」
雪乃「二人共何をしてたのかしら」
結衣「べ、別に大した事じゃないよ!」
八幡「・・・」
雪乃「貴方も何か言いなさい・・・あら?これは」
結衣「あ、こ、これ?花を育てようと思って!ほら、うちの部室ってなんだか殺風景だし!」
雪乃「そう」
結衣「だ、ダメだったかな、勝手にこんな事・・・」
雪乃「これくらいなら問題無いと思うわ。幸い日のあたりも良いしよく育つでしょう」
結衣「・・・ゆきのんありがとっ!」
雪乃「ちょっと由比ヶ浜さん・・・」
八幡(まーた始まった)
雪乃「!」
『・・・女のイヤは、イヤじゃない』
雪乃「・・・嫌よ、由比ヶ浜さん、話して頂戴」
結衣「ゆきのんっ!?」ガーン
八幡「なんだ、嫌だったのか。てっきり照れてるだけだと思ってたが」
雪乃「黙りなさい」
結衣「ゆきのん・・・」
雪乃「い、嫌なものは嫌なのよ。中々言い出せなかったけれど・・・」
結衣「そうなんだ・・・ごめんねゆきのん・・・」
雪乃「え・・・いや、本当は嫌ってわけじゃ・・・」
結衣「ゆきのん・・・」
八幡(なにこいつツンデレに目覚めたの?)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
雪乃「今日はここまでにしましょうか」
結衣「ごめんねー今日は用事があって早めに帰らないといけなくって」
雪乃「そう、それじゃ私は鍵を返却してくるから」
八幡「じゃあな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
駐輪場
八幡「ったくなんだこれ・・・誰だよこんな適当に自転車置いた奴」
八幡(後から来た奴が自転車を無理矢理隙間に詰め込むよう置いたせいで、俺の自転車までの道のりが塞がれてやがる)
八幡(くそっ、ふざけんなよ・・・)
雪乃「・・・あら」
八幡「・・・おう」
雪乃「まだ帰ってなかったのかしら」
八幡「駐輪場が無法地帯になっててな。周りの自転車退かすのに随分かかっちまった」
雪乃「てっきり私の帰るタイミングに合わせて来たのだと思っていたわ。気持ち悪い」
八幡「ちゃんと正当な理由説明したのに気持ち悪いって言うのやめろ」
雪乃「貴方と一緒に帰るなんて、嫌な事この上ないわね」
八幡「へーへー、じゃあ俺は先に自転車で帰ってますよ」
八幡(そもそも一緒に帰ろうなんてこれっぽっちも思ってないしな)
雪乃「・・・きゃっ」
八幡「ん・・・?おい、大丈夫か」
雪乃「だ、大丈夫よ」
八幡「足怪我してんじゃねえか」
雪乃「平気よ・・・これくらいなんて事ないわ」
八幡「・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~
雪乃「・・・自転車の二人乗りは犯罪よ」
八幡「じゃあ今すぐ降りるか?」
雪乃「別にいいわよそれで」
八幡「・・・残念だが今は生憎坂道なんでな」
八幡「今止まっても自転車が不安定だから一緒に倒れてしまうまである」
雪乃「何を言ってるのかしらこの男は・・・」
八幡「・・・方向、こっちでよかったか」
雪乃「ええ」
八幡「お前は嫌かもしれんけどな、俺だって嫌なんだよ、普段こんなお節介みたいなこと小町以外にしない」
雪乃「そう」
雪乃「ねえ」
八幡「・・・」
雪乃「・・・私も嫌だったわ」
八幡「あ?」
雪乃「本当に、今日一番嫌な出来事だった」
八幡「そうかよ」
雪乃「・・・ふふ」
八幡(雪ノ下にほんの少し触れている俺の背中から、彼女の小刻みな揺れが感じ取れた)
八幡(なんでこんなに嬉しそうにしてるんだ、こいつは)
その頃
ガララララララ
平塚「比企谷ラーメン行くぞ!!!・・・あれ?」
おしまい