朝 教室
ヴィーネ「ねえねえ、今朝、掲示板の貼り紙みた?」
ガヴリール「ああなんだっけ、学食が工事で使えなくなるとかそういうやつ」
ヴィーネ「そうなの!それで、許可を貰えば近所のお店でお昼を食べてもいいことになったんだって」
ガヴリール「へえ。でも、ヴィーネはいつも弁当じゃん」
ヴィーネ「それがね、学食が使えなくなる期間だけ悪魔界からお昼ご飯代がでることになったの!」ワクワク
ヴィーネ「ね、せっかくだから今日あたりどこか行ってみない?」
ガヴリール「……ま、いいけど。それじゃあホームルームの前に許可だけもらいにいきますか」
ヴィーネ「うん!」テカテカ
元スレ
ガヴリール「今日の昼飯どうしよう」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1525080404/
お昼 学校の外
ガヴリール「外に出る生徒、思ったよりも少ないみたいだな」
ヴィーネ「引き続き弁当って人もいるだろうし、ほとんどの人はコンビニでおにぎりを買ったりするんじゃない?私みたいにお金が出るわけでもないだろうし」
ヴィーネ「ていうか、ガヴはお金大丈夫なの?誘っておいてなんだけど」
ガヴリール「うちの天使学校からも金が出ることになったんだよ。領収書出して後で振込っていうクソめんどくさい方式だけど」
ヴィーネ「へえ。でもいいじゃない、いくら使ってもいいんでしょ?」
ガヴリール「んー、まあ一応はそれなりの学校ってことになってるしな。そういう手当はちゃんとやるんでしょ」
ヴィーネ「ああ……(忘れてたけど、元は相当な優等生なのよね)」
ガヴリール「そっちみたいに定額でるんならお昼削ってたくさん課金できたんだけどなー」
ヴィーネ「そんなことだろうと思ったわよ……」ハァ
ヴィーネ「それで、どこに行こうかしら。私実は学校の回りってあんまり歩いたことないのよね」
ガヴリール「私も。てっきりヴィーネが決めてるもんだと思ってた」
ヴィーネ「そうしようかと思ったんだけど、ガヴに嫌だって言われるのもあれだし……」
ガヴリール「ヴィーネちゃんは律儀ですなあ……」
ヴィーネ「で、ガヴは何食べたい?和食?洋食?」
ガヴリール「んー……。あ、あそこどうだ。ほら、あそこの赤い店」
ヴィーネ「赤い店?……えっと、ラーメン屋さんかしら?」
ヴィーネ「お腹すいてるし、確かにいいかも。それじゃああそこにしましょっか」
ガヴリール「お昼時だからやっぱり結構並んでるな。まあ一蘭だしすぐだろうけど」
ヴィーネ「ここ、一蘭っていうお店なのね」
ガヴリール「ああ、久々の一蘭だ。なんかテンション上がってきた」ソワソワ
ヴィーネ「ガヴ、前にも来たことあるの?」
ガヴリール「ラーメン結構好きだしな。それにここは個室で食えるから気が楽なんだよ」
ヴィーネ「へえ~。でも、それじゃあ一緒に食べられないじゃない」
ガヴリール「何を言うか!」
ヴィーネ「え?」ビク
ガヴリール「逆に問いたい。なぜラーメンを一緒に食べるのか。特に家族で来てるやつら、しょーじきほんとに意味わかんない」
ガヴリール「一蘭はもっと殺伐としているべきなんだよ……。女子供はすっこんでろ」
ヴィーネ「そういうお店なの……?」
ガヴリール「というわけで、並んでいる間一蘭について簡単に説明していくぞ」
ヴィーネ「うん?……うん」
ガヴリール「一蘭ではまず券売機で注文を決めるんだ。トッピングとか替え玉とかは店に入ってからでも出来るが、可能なら先に済ませておいたほうがいい」
ヴィーネ「学食と同じシステムなのね」
ガヴリール「そう。ちなみに私のおすすめは『ラーメン+替え玉』、『チャーシュー追加4枚』、『ネギ追加』、『のり』だ。もちろん『半熟茹で卵』も食べる」
ヴィーネ「トッピングはまあわかるけど、替え玉ってのはなんなのよ?」
ガヴリール「よくぞ聞いてくれました!!!!!」
ヴィーネ「えっ」ビク
ガヴリール「この替え玉こそ、一蘭の一蘭たるゆえんなんだ」ドヤ
ガヴリール「替え玉っていうのは昔魚市場でな……」カタリカタリ
ガラガラ
店員さん「次の方~」
ヴィーネ「あ、私たちの番みたいよ」
ガヴリール「おあ、説明しようと思ったら順番がきちゃったみたいだな。替え玉についてはあとで実際に試してみてくれ」
ヴィーネ「なんか渡されたけど。この紙は?」
ガヴリール「それは注文用紙。麺の硬さとかネギの種類とか、にんにくとか辛さなんかを選べるんだよ」
ヴィーネ「へえ~。だいたい5段階から選べるのね」
ガヴリール「ブラックカレーみたいで面白いだろ」フフン
ヴィーネ「ごめんね、よくわかんない」
ガヴリール「包丁人味平は必修だろ……。まあいいや、注文用紙についてだけど」
ガヴリール「私のおすすめは『こい味』、『こってり』、『にんにく1/2片分』、『白ねぎ』、チャーシュー『あり』、秘伝のたれ『基本』、麺は『硬め』だ」
ガヴリール「よくわかんなかったら初めは真ん中の基本ってやつを選んどけばいいよ」
ヴィーネ「ふーん?それじゃあ麺のかたさだけ硬めにしておこうかしら」カキカキ
ガヴリール「いいぞ。それは席に座ったとき、店員さんに見せるんだ」
ヴィーネ「そういうシステムなのね。一人じゃちょっと入りづらかったかも」
ガヴリール「そんなに難しく考える必要ないけどね」
ガヴリール「さてと、それじゃあ後は店の中で待つだけだ」
店員さん「あのう」
ヴィーネ「はい?」
店員さん「すみません、ただいま席が混みあってまして、お客様別々であればいますぐご案内出来るんですが……」
ガヴリール「あ、じゃあ別々で大丈夫です」
ヴィーネ「え」
店員さん「かしこまりました。それではお席へご案内します」
ヴィーネ「(ちょっと!わざわざ別にならなくたっていいじゃない)」ゴニョゴニョ
ガヴリール「(まあ元々そういう店だし、昼休みだって長くはないだろ。とりあえず何かわかんない事とかあったらスマホで訊いてくれ)」ボソ
ヴィーネ「(あ、ちょっと……!)」
ラーメン一蘭 12番席
ヴィーネ「はあ……。せっかくガヴと一緒にお昼食べようと思ったのに」シュン
ヴィーネ「……それにしても、個室ってこういうことだったのね。なんだか映画に出てくる電話ボックスみたい」
ヴィーネ「ガヴが気に入るのもわかるかも」
店員さん「お待たせしました。食券をお預かりします」
ヴィーネ「あ、はい」
ヴィーネ「(これ全部だせばいいのかしら……?)」
店員「ありがとうございます。これ、ゆで卵ですね」コト
ヴィーネ「あ、ありがとうございます……」
ヴィーネ「……ふう。なんとか注文出来たわね……ん?」
ヴィーネスマホ「……」ヴヴヴ
ヴィーネ「ガヴリール?なにかしら」
ガヴリール『そうそう、言い忘れてたけど』
ガヴリール『ゆで卵は替え玉する直前に食べるんだぞ』
ガヴリール『まあ最初に食べてもいいんだが』
ガヴリール『私はそうしてる』
ヴィーネ「(なるほど……)」
ヴィーネ「(あ、り、が、……と、う。……っと)」タプタプ
数分後
店員さん「お待たせしました。こちらラーメン、替え玉と」
ヴィーネ「(ん?変な器?プレート?みたいなやつがでてきたわ)」
店員さん「追加のチャーシュー、ネギ、それからのりになります」
ヴィーネ「(あ、全部別のお皿で出てくるのね……)」
店員さん「それでは、ごゆっくりどうぞ」ガラガラ
ヴィーネ「ありがとうございます……」
ヴィーネ「(そこ、すだれで閉まるのね……)」
ヴィーネ「さて、とりあえずラーメンが来たわけだけど」
ヴィーネ「見た目はそんなに変じゃないわね。普通のとんこつラーメンって感じ」
ヴィーネ「強いて言えば具が少ないかな?チャーシュー二枚とネギがちょっとだけ。トッピングとして分かれてるからこうなんだろうけど」
ヴィーネ「……でも、良い匂い。これは食欲をそそられるわ」ゴクリ
ヴィーネ「追加の具材は替え玉した後にとっておくのかな」
ヴィーネ「(……ガヴに聞いてみよう)」
ラーメン一蘭 4番席 そのころのガヴリール
ガヴリール「キタキタw 久しぶりの一蘭ラーメンですよ~。写真アップしてTwitterのオタクたちにメシテロしちゃろ」ウキウキ
ガヴリール「……んー。ここの席、ライティングが微妙だな……。どう撮っても影になる」
ガヴリール「ヴィーネにも撮ってもらおうかな?いや流石にもう食べてるか」
ガヴリールスマホ「……」ヴヴヴのヴ
ガヴリール「ん?」
ヴィーネ『替え玉って具もついてくる?あとなんかへんなプレートもらった』
ガヴリール「ふふふ。しっかりと一蘭の洗礼を受けてるな……」ニヤニヤ
ガヴリール「しょーがない。天使さまが直々に教えてやりますかね~」タプタプ
ラーメン一蘭 12番席
ガヴリール『ついてこないから追加の具は替え玉用にとっておいたほうがいいよ』
ガヴリール『プレートは替え玉につかう。そこらへんにやりかた書いてあるから読んでみ』
ヴィーネ「(やり方……?)」
ヴィーネ「あーなるほど、このプレートをここに置くと替え玉が来るってことなのね」ズルズル
ヴィーネ「女性のお客様が声を出さずに替え玉を注文できるように……へえ」
ヴィーネ「ガヴには必要のない気遣いね」クスクス
ズルズル…… ハフ…モチャ… ごくっ ごくっ
ヴィーネ「……っぷはあ」
ヴィーネ「(閉じた空間だから、ラーメンを食べる以外にすることもないわね)」
ヴィーネ「(味に集中するってこういうことなのかしら……)」モグモグ
ヴィーネ「っと。そろそろ替え玉を頼んでおこうかしら」コト
チャルメーラ チャルメエェーラー
ヴィーネ「こういう感じなのね。そうだ、スープは残しておかなくちゃ」
ヴィーネ「こってりしたスープ好きだから、油断してると結構減っちゃうなあ」
ヴィーネ「(スープのおかわりとかできるのかしら……)」タプタプ
ヴィーネ『ガヴ、ここってスープのおかわりとかできる?』
ヴィーネ「たぶんできないだろうけど、いちおう……」
ガヴリール『ラーメンの中でスープが一番原価高いらしい。たぶん無理』
ヴィーネ「そうなのね……。ちょっと少ないけど、大丈夫かな?」
店員さん「失礼します。麺硬め、替え玉でございます。ごゆっくりどうぞ」ガラガラ
ヴィーネ「ありがとうございます……」
ヴィーネ「(店員さんの顔も見えないし、こっちの顔もみられないし……)」
ヴィーネ「(これは確かにいいかもね)」
ヴィーネ「さて。ちょうど麺もなくなってきたわ。早速替え玉を入れてみましょう」ドバ
ヴィーネ「……かなり量あるわね。半替え玉ってやつにしとけば良かったかしら……」
ラーメン一蘭 4番席 そのころのガヴリール
ガヴリール「替え玉キタw ここに追加の具材乗せるときが一番テンションあがるよな~」
ガヴリール「ぬるくなってきたスープに熱々の麺を入れて、スープになじませて……」モチモチ
ガヴリール「チャーシューとネギを載せていくぞ……ふふふ……」ノセノセ
ガヴリール「……よし。一蘭は二杯目こそが本番なのだ。隙を生じぬ二段構え。おお、うまそうだ~」
ガヴリール「………………」
ガヴリール「Twitterのオタクたちにでも報告するか」パシャパシャ
ガヴリール「……うーん、やっぱ暗いなあ」
ガヴリール「ま、加工すれば大丈夫か」
ヴィーネ「追加の具は結構な量あるし、二杯目の方が豪華になったわ」
ヴィーネ「あ、そういえばゆで卵もあったわね。麺が馴染むまでにこっちを食べちゃおう」コンコン
ヴィーネ「結構ちゃんとしたゆで卵だなあ。剥きやすいし、塩つけて食べるの美味しそう……」
ヴィーネ「一杯目を食べてる間に読んだけど、店側としては一番初めに食べるものって考えてるみたいね」パリパリ
ヴィーネ「口の中をリセット、か。でもまあガヴは何回も来てるみたいだし、このタイミングのがいいのかも」ムキムキ
ヴィーネ「飽きが来ないとか……。二杯目がもっとおいしくなるとか……」チョンチョン
ヴィーネ「……まあ、わかんないけど」モグモグ
ヴィーネ「……………………」
ふー ふー
ヴィーネ「………ん」ズルズル
ヴィーネ「(………おいしいわ……………。………)」
ずるずるっ…… ごく…… ごく……
ヴィーネ「っぷはあ」
ヴィーネ「はあ。ご馳走様」
ヴィーネ「あら?スープの下に何か文字が……」
ヴィーネ「……ふふふ。なるほどね」ニヤ
ヴィーネ「(今度、一人でも食べてみようかしら………)」
数分後 店の外
ガヴリール「はあー、食った食った。お腹いっぱいだし、もー家帰りてえ」ノビノビ
ヴィーネ「あんたねえ。まあ、気持ちはわからなくもないけど」
ガヴリール「お?ヴィーネちゃん、今日こそデビルズアクションかましちゃう?このままおサボり突入しちゃう?」
ヴィーネ「しないわよ。そんなことしたら明日から外出許可もらえなくなっちゃうじゃない」
ガヴリール「ちぇ」
ガヴリール「まいいや、それはそれとして、どうだった?」
ヴィーネ「結構おいしかったわ。替え玉も、多いかなって思ったけど意外とすんなり食べちゃった」
ガヴリール「ふふふ。そうだろそうだろ~」ニコニコ
ヴィーネ「でも次は、もっと普通のところがいいな。やっぱりガヴと一緒に食べたいし」
ガヴリール「そう?じゃあ明日もどっか行きますか」
ヴィーネ「どうせならおしゃれなところがいいなあ。なんか、サンドイッチみたいなの食べたり」
ガヴリール「あー、いいかもね。帰りにそこらへん歩いてみよっか?駅近いから探せば結構ありそうだ」
ヴィーネ「明後日はガヴの好きなとこ行きましょうよ。それでその次は私の行きたいところってどう?」
ガヴリール「賛成賛成。じゃあ明日はヴィーネの番ってことで」
ヴィーネ「うんうん♪」
ガヴリール「しかし、今日あっちいなあ。ラーメン食べたし、なんか冷たいものが飲みたくなってきた」
ヴィーネ「そこにタリーズあるわよ。時間もまだまだだし、何か飲んでいく?」
ガヴリール「タリーズか……。あ、マンゴータンゴスワークル飲みたい」
ヴィーネ「……なにそれ?マンゴージュース?」
ガヴリール「ふふ、飲んでみりゃわかるよ。いこ!」
ヴィーネ「あ、ちょっと!」
タリーズ前
ガヴリール「それでさ~」
ヴィーネ「(………)」
ヴィーネ「(なんだか、いいな、こういうの)」
ヴィーネ「(いまだけ、学食が止まっている間だけだけど……)」
ヴィーネ「(ガヴと二人で学校の外に出て、一緒にお店を選んで、食べて……)」
ガヴリール「歩きながら飲みますかね~」
ヴィーネ「(いつかこういう日々が懐かしく思えたりするのかな)」
ガヴリール「……ヴィーネ?」
ヴィーネ「(ガヴリールとは、いつまでも一緒な気もするけど)」フフ
帰り道
ガヴリール「ヴィーネ?大丈夫か?」
ヴィーネ「ごめんごめん、ちょっと考え事してただけ」
ガヴリール「ああわかるわ。一蘭食べると宇宙的な思考始まるよな」
ヴィーネ「……ん?そういうわけじゃないんだけど……」
ガヴリール「なんだ。それにしても一蘭の後のマンゴータンゴスワークルうめ-な。サウナでいうとこの”整う”ってやつ?」チルアウト
ヴィーネ「身体が火照ってるから、サーティワンとかも美味しそうね。カロリーの方は……あんまり考えたくないけど」
ガヴリール「そこらへんは問題ないでしょ。私たちはここに来るまで結構歩いてるし」
ヴィーネ「そんな都合よく消費出来てるものかしら……?」
ガヴリール「まあ、なんでもいいでしょ。明日も一緒に食べるわけだし、難しいことはあんまり考えない方向で」
ヴィーネ「(明日も……。明日もか……ふふ)」
ヴィーネ「……そうね。それがいいかもねっ」ニコ
34 : 以下、5... - 2018/04/30(月) 20:04:57.32 4xwm9z4Q0 25/25おしまいです。見てくれたひとはありがとう