1 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:25:21.95 Qm7T31wH0 1/24

「四兄弟に好きなことをやって、のびのび生きなさいと育てたら……」

「見事に文系ニートと理系ニートと体育会系ニートと芸術系ニートが出来上がったわ」


長男「今日も小説を読みながら、作者の気持ちを考えるとするか!」

次男「ずっと欲しかった薬品が手に入りましたよ」クイッ

三男「うおっしゃあっ! 今日もスポーツ中継見るぜ!」

四男「ン~、平日昼間の美術館(ミュージアム)は空いていて実に最高だね」


「ハァ~……」

「育て方間違えたね~」

元スレ
母「文系ニートと理系ニートと体育会系ニートと芸術系ニートが出来上がった」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1524680721/

4 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:28:10.76 Qm7T31wH0 2/24

「あんたたち!」

長男「なんだい、母さん?」

次男「なんですか、母上?」

三男「なんだ、母ちゃん?」

四男「なんだね? マミー」

「わざわざ呼び方まで四者四様にしてくれてご苦労様」

9 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:29:43.91 Qm7T31wH0 3/24

「なんで働かないの!」

長男「有名な作家というのはニート同然の生活をしてた人も多いんだよ。たとえば……」

次男「綿密な計算の結果ですよ。我が家の経済力と、私どもの支出を計算した結果……」

三男「母ちゃん、難しい質問はやめろよ~! 俺頭使うの苦手なんだ! ガハハハハッ!」

四男「実に美しくない質問だ……まるで、パトロンの好みに合わせて作品を描かせるような……」

「~~~~!」

11 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:31:04.91 Qm7T31wH0 4/24

「一言でどうぞ」

長男「働くの嫌いだから」

次男「働くの嫌いだから」

三男「働くの嫌いだから」

四男「働くの嫌いだから」

「こいつらぁ……!」

12 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:33:40.74 Qm7T31wH0 5/24

長男「一言で済んでよかった。これ以上の説明は文学的に蛇足になるから」スタスタ

次男「母上ももっと理論的に考える癖を身につけるべきですね」クイッ

三男「終わったァ! ゲームセット!」

四男「いやぁ、今日の我が言い訳も実に芸術的で先鋭的で美しかった……」

スタスタ…



「ああっ、ちょっと待ちなさい! 話は終わってないわよ!」

14 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:35:27.65 Qm7T31wH0 6/24

「ああもみんな方向性がバラバラだと、やりにくくてしょうがないわ……」

「四方向に逃げた兎を捕まえるようなもんよ……」

「だけど、働かないって方向だけは一致してるのがタチ悪いよね~」

「ホントよ……近所の人からは≪ニート四天王≫だなんて笑われてるし、もう疲れたわ……」

「肩揉んであげる」モミモミ…

「ありがと、まともなのは末っ子のアンタだけよぉ~」

「あたしはちゃんと就職して、いい男つかまえて、お母さんに楽させてあげるからね」

19 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:38:13.63 Qm7T31wH0 7/24

「ねえ、あなた!」

「ん?」

「息子たちに、あなたからもいってやってよ」

「なにを?」

「決まってるでしょ! 就職しろってことをよ!」

「う~ん、だけど俺はそういうのはどうも……叱るってのが苦手で……母さん頼むよ」

「~~~~!」

21 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:40:35.53 Qm7T31wH0 8/24

「だいたいね、あなたがいけないのよ!」

「一般サラリーマンのくせに、無駄にホワイト企業に勤めてるせいで給料やたら高いから」

「あの四バカも甘えちゃって『自分が稼がなきゃ』って気持ちにならないのよ!」

「この高月給亭主が! 少しは家計を困らせたらどうなの!」

「す、すまん」

「実は……また出世して、給料上がることになりそうで……」

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

22 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:42:15.36 Qm7T31wH0 9/24

「……とお父さんに八つ当たりしてもしょうがないわ。私が何とかしなきゃ!」

(といっても、どうすれば……)

(そもそも私、あの子たちが普段何してるのかをよく知らないのよね……知りたくもないし)

(敵の力を知るのは兵法の基本……)

(あの子たちがいつも何やってるのかチェックしましょう)

(ミッションスタート!)コソッ

25 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:45:19.03 Qm7T31wH0 10/24

「……」コソコソ…


長男「……」カリカリ…


(あら、勉強してるのかしら? ニートのくせに?)


長男「『たかしは誰もいなくなった部屋で、一人りんごを数え続けていた』……」カリカリ…

長男「『しかし、あまりに膨大なりんごの数に、たかしの精神は次第に蝕まれていったのである』……」カリカリ…


(なるほど、小説を書いてるのね! さすが文系ニート!)

26 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:47:13.65 Qm7T31wH0 11/24

「……」コソコソ…


次男「ふむ……なるほど」コポコポ…

次男「この素材は、この薬品にはこう反応するのですか」

次男「好奇心をそそられるいいデータが取れましたよ」クイッ


(次男は白衣を着て、なにやら怪しい実験をやってる……理系なだけあるわ)

28 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:48:24.43 Qm7T31wH0 12/24

「……」コソコソ…


三男「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…

三男「トレーニング終了!」

三男「ハッハーッ! 上腕二頭筋がいい具合に仕上がったぜ!」ムキッ


(体育会系ニートの三男は筋トレ……ま、予想通りね)

29 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:49:34.72 Qm7T31wH0 13/24

「……」コソコソ…


四男「むむむ……こうか、こうか!?」バババババッ

四男「おおっ、美しい! なんと美しいのだ! 我が前衛芸術!」


(……!?)

(なんだかわけ分からないものを作ってるわ……)

(芸術系の四男が一番苦労するかも……)

31 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:53:01.41 Qm7T31wH0 14/24

「とりあえず、それぞれ何かしらやってるってのは分かったけど……」

「次の手が思い浮かばないわね……」

「ねえ、お母さん。今この本読んでたんだけど」

「『バカな男の操縦法』ってあんた、なんつう本読んでるのよ」

「人がやる気を出すのって、やっぱり何かしらの成功体験を経た時なんだってよ」

「だからさ、あの四人にも成功体験を味わわせてやれば、何か変わるんじゃない?」

「なるほどね……やってみようかしら!」

32 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:55:09.84 Qm7T31wH0 15/24

「ねえ、あんたの書いた小説、勝手に読ませてもらったけど」

長男「えええ!? なに勝手なことしてんだよ、母さん!」

「面白いわよ、この小説!」

長男「え……」

「文章は読みやすいのに展開は読めないし、あんた、才能あるわよ!」

「特に、たかしがりんごを数えるのを諦めて、みかんを数え始めたところなんか……」

長男「あ、ありがとう……!」

33 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:57:03.82 Qm7T31wH0 16/24

「まぁ~、素敵な研究室ね」

次男「! ……勝手に入らないで下さい、母上!」

「まぁいいじゃない。どんな研究してるの?」

次男「新しい素材を開発しようとしてまして……」

「まぁ、すごい! あなたは頭がいいから、きっとうまくいくわ!」

次男「もちろん、やり遂げてみせますよ」クイッ

34 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 03:59:15.59 Qm7T31wH0 17/24

三男「今日も俺の筋肉は……」ムキッ

「すごい筋肉じゃない!」

三男「母ちゃん!?」ギョッ

「まるで、シュワちゃんみたいよ! シュワちゃん!」

三男「そ、そうかぁ? 俺がシュワちゃん……?」

「もっと鍛えれば、きっとターミネーターにだって勝てるようになるわ!」

三男「マジで!? ならもっとプロテイン飲まねえとな……!」

36 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:01:17.40 Qm7T31wH0 18/24

「う~ん、素晴らしい芸術ね」

四男「おお……マミー! やはり、あなたは分かってくれるか!」

四男「我が前衛芸術を……!」

「ええ、あなたの芸術はまさに21世紀の最先端! いえ、23世紀ぐらいいっちゃってるわ!」

「現代アートならぬ未来アートよ! 私たち現代人にはとても理解できないわ!」

四男「なんたる幸せ……!」ドバァァァァァ

38 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:04:06.78 Qm7T31wH0 19/24

長男「よし……本格的に小説を書いてみよう!」


次男「私の行った実験成果を、他の研究者にレポートとして提出してみるとしましょう」


三男「もっと大勢に俺の筋肉を自慢したくなってきたァ!」


四男「いつも通ってる美術館の館長に、我がアートを披露するのもいいかもしれぬ」



「うふふ、ブタもおだてりゃ木に登る作戦、大成功!」

「みんな、大失敗しそうだけどね~」

「いいのよ、失敗しても。こうして積極的に行動してくれることが大事なのよ」

「少なくとも、家でずっとニートしてるよりだいぶ進歩したわ」

「やったね、お母さん!」

39 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:06:10.42 Qm7T31wH0 20/24

ピンポーン…

「……誰かしら?」

「はーい!」


ザワザワ…


(なんだか色んな人が来てるわね……なにかしら?)

40 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:10:28.61 Qm7T31wH0 21/24

編集者「素晴らしい小説を読ませてもらいました! ぜひ、長男さんを我が社の専属作家に!」


研究者「あの素材は大発明だ! 次男氏には研究所の重要ポストについていただきたいのです!」


トレーナー「三男君の筋肉はボディビルダーにうってつけ! 今すぐにも世界を狙える逸材だ!」


美術館館長「ぜひとも、四男の彼には個展を開いて頂きたい……。あれは必ず価値が出る……」





「まぁっ……!」

(動く粗大ゴミだとばかり思ってたあの子たちが、人様から認められるなんて……!)

(ゴミがリサイクル出来るように、どんな人間にも利用価値というものはあるんだわ……)

42 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:12:17.53 Qm7T31wH0 22/24

「よかったわね、あんたたち! 自分たちのやってきたことが認められて!」

「しかも、仕事ももらえて……一石二鳥じゃない!」

長男「……」

次男「……」

三男「……」

四男「……」

43 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:15:14.43 Qm7T31wH0 23/24

長男「いや、実は俺たちみんな……話を断ったんだ」

「へ、なんで!?」

長男「なんでって……ねえ……?」

次男「ええ、まぁ」

三男「だよなぁ?」

四男「ン~……そういうことです」

「なによ、はっきりいいなさいよ!」

「文系、理系、体育会系、芸術系のあんたたちにとって、どれもいい話だったじゃない!」

長男「だって俺たち……」

44 : 以下、5... - 2018/04/26(木) 04:17:38.43 Qm7T31wH0 24/24

長男「働くの嫌いだから」

次男「働くの嫌いだから」

三男「働くの嫌いだから」

四男「働くの嫌いだから」

「この……“とっととはたら系”どもがァァァァァ!!!」

「おっ、お母さん座布団一枚っ!」







END

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