先輩「このままでは同好会への格下げ、それに伴う部室差し押さえ、部費の消滅、放課後の校内活動時間の減少……どうにかしなくてはマズい」
男「そうですね」
先輩「一刻も早く新たな部員を見つけなくては!」
男「無理だと思いますよ」
先輩「なぜだ!」
男「……温泉部なんて、意味不明な部活入る人なんていませんよ」
先輩「な!?いいだろう温泉!」
元スレ
先輩「我が部も廃部寸前だ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1321998304/
男「そりゃ、本来のようにたまの休みにぶらっと温泉行ければいいですよ」
先輩「うむ、それが我が部の醍醐味だからな」
男「でも部員少ないから部費もあまり出ておらず結果……」
カツーン!カツーン!
先輩「結果なんだ?言ってみなさい。ツルハシの音でよく聞こえない」
男「温泉掘り当てる部活になってるじゃないですか……しかも部室の真下て、あるわけないでしょ」
男「文化部にカテゴライズされてるのにこんな肉体労働する人いませんよ」
先輩「む……たしかに、ならどうするか……」
男「やっぱり部員が入って部費が出るのが一番いいんですけどね……しかし現状何もない部活に入る人なんていませんし」
先輩「よし!」
男「なんか思いつきましたか?」
先輩「男、放課後付き合え」
男「は?」
……
先輩「着いたな」
男「先輩、ここって……」
先輩「銭湯だ」
男「いや、『銭湯だ』じゃないですよ。僕たち温泉部でしょう?銭湯はまた違うんじゃ……」
先輩「これより我が部活は湯部だ」
男「語呂悪っ!?湯部?」
先輩「うむ、ある程度のランクダウンは仕方ないが活動がないよりましだろう?温泉にもいくが基本活動は銭湯ということにしよう」
男「あー結構いい考えですね、銭湯なら放課後とか気軽に行けますし」
先輩「休日は隣町の銭湯に足を伸ばしてもよい、少々の遠出で軽く汗を流し、それを銭湯で気持ちよく洗い流す」
男「部室に着替え置き場つくって、学校終わった後汗流して気持ちよく帰宅か……うん、いいんじゃないですか先輩」
先輩「ふふふ、これで部費……もとい部員をゲットすれば温泉にも行ける」
男「じゃ、早速入りましょうか」
先輩「ああ」
男「……先輩?」
先輩「なんだ?」
男「失礼ですが先輩は女性ですよね?」
先輩「ああ、雌だ」
男「ですよねー……こっち男湯ですよ?」
先輩「ん?ああ、PR用の活動記録撮るから、君の入浴シーンを見なければいけない、つまり男湯に入るしかないんだ」
男「……他の人の迷惑に」
先輩「この時間帯は人いないし、ここら一帯私のテリトリーだ、顔馴染みしかいない。番台の竹じいにも許可はもらった」
竹じい「嬢ちゃんが最近来ないからババアが寂しがって儂に当たるんじゃよーなんとかしてくれ」
先輩「ははは、わかった説得しておくよ。と、いうわけだ」
男「先輩の入浴シーンのが人来そうですけど」
先輩「常識を考えようか」
男「……はぁ」
先輩「ではこれより温泉部……改め湯部、第一回学校外部活動を撮影する。これは同時に学校への活動報告とする。」
先輩「よし、撮影は始まっているぞ男君」
男「マジですか」
先輩「マジだ。とりあえず上脱いじゃおっか☆」
男「騙された底辺アイドルの気分だね……言っても聞かないだろうし、諦めよう」ヌギッ
先輩「おぉ、いい筋肉だな……なんかやっているのか?」ペタペタ
男「触らないでください。温泉発掘のせいですよ」
先輩「ふむ……湯部になってもあれは続けよう」
男「なんで!?」
……
先輩「さあ、残るはパンツ一枚だ――まるで賭けに負けたダメ男のようだな」
男「いや、というか脱ぐシーンいりますか?」
先輩「当たり前だろう!君は可愛い子が一枚一枚恥ずかしがりながら生まれた姿になるのが興奮しないのか!?うっわめっちゃ興奮してきた!竹じいティーッシュ!」
竹じい「座敷のとこにあるよ」
先輩「ありがとーう」
男「僕に何を求めているんですか!」
先輩「……あれ?パンツは?腰にタオルなんて巻いて」
男「もう脱ぎましたよ……流石にタオルは着けないとマズいでしょう」
先輩「んー?なくてもいいんじゃないか?」
男「さっき常識を考えろと言った人は誰だ」
……
男「先輩遅いな、『防水機能付きカメラにするから待っててくれ』って最初からそれ使えよ」
ガラッ
男「遅いですよ先ぱ……い?」
先輩「すまんすまん、脱ぐのに時間がかかった」
男「なんで全裸なんですか!?」
先輩「君は風呂に入るのに服を着て入るのか?」
男「そういうことじゃなくて!」
先輩「ああ、大丈夫だ。今回撮影するのは君だけだから私は映らない」
男「そういうことでもなくて……」
先輩「いいから撮影始めるぞ、風邪を引いてしまう」
男(……一刻も早く撮影を終わらせなくては)
……
先輩「洗髪シーン、よーいスタート!」
男(とにかく無心で洗い続けろ!意識したら負けだ!)ワシャワシャワシャワシャ
先輩「……おいおい男君」
男「え、なんですか?」
先輩「どうしたんだ君は下を見てそんな必死に頭を洗って」
男「だって洗髪って」
先輩「あのね、普段ならそれでもいいが――さっき言ったろう?これはPR用の撮影なんだ、言うなれば入るであろう部員に楽しんでもらうものだ」
男「はあ」
先輩「それを主役がうつむいてちゃ話にならないだろう?きちんとしなさい」
男「きちんとって……」
先輩「決まってるだろう?カメラ目線だ」
男「!!で、でもそれって……」
男(先輩のを見ることに……)
先輩「よーし、テイク2スタート!」
……
男「ニコッ」
先輩「む、いい笑顔だ」
男(満面の笑みなら目を瞑ってても不自然じゃない!これで乗り切れる)
先輩「……よし!OKだ!」
男(た、たすかっ)
ふよ
男(……なんだ今の感触、顔にふにゅっとなにかが)
先輩「ああ、すまん当たってしまったか。髪を洗い流してやろうと思ったんだ」
男(洗い流す?ああ、シャワーをとろうとしたのか。そして腕を伸ばして……え、じゃあ)
先輩「まあ君も私の胸の感触を味わえたんだ、むしろ感謝してもらいたいぐらいだな」
男「アウトォオオオオオオオオ!!」
……
男(無心になれ無心になれ無心になれ無心になれ無心になれ無心になれ無心になれ無心になれ)
先輩「よーし、次は身体を洗うシーンだ。このスポンジで洗ってくれ」
男「うわっヘチマスポンジだ懐かしい」
先輩「背中を見せつけるようにしてくれ、よーいスタート」
男(よし、今回は背後から撮られてるからなんも問題はない)
先輩「……よし、OKだ。この後入浴の撮影もあるから隅々まで洗っておいてくれ、私も髪を洗う」
男「了解でーす」
男(楽勝楽勝)ゴシゴシ
男「いやーしかしこのヘチマスポンジ気持ちいいですね」
先輩「だろう?」ワシャワシャ
男「備え付けのものにしちゃいいもの使ってるなー」
先輩「ん?備え付けのものなんかじゃないぞ」ジャバー
男「え?」
先輩「私の物だよ、お気に入りなんだ。さて、私も身体を洗うから返してくれないかい?」
男「思わぬ角度!!」
男(あとは入浴シーンだけだ……それさえ終われば)
先輩「よーし、では湯船に入ってくれ」
男「はーい」チャプ
先輩「あ、待った待ったきちんとタオルとって」
男「え、でも」
先輩「大丈夫さ、流石に電源切ってるからね」
男「……はい」
男(無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心)
男「ニコッ」
先輩「あ、男君。もう笑顔はいいぞ」
男「え」
先輩「終始笑顔っていうのもなかなかゾッとしないぞ、カメラ目線で我々湯部の説明を頼む」
男「……い」
先輩「説明を頼む」
男「……はい」
先輩「ジーッ」
男「我々湯部はー……」
男(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)
男「放課後は銭湯をめぐり……」
男(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)
男「たまには秘境の温泉や……」
男(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)
男「そうしてみなさんとおっ…………いえ、いっぱいの思い出をつくっていきたいと考えてます」
男(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)
先輩「OK!」
男「終わった……終わった……」
先輩「よし、じゃあ……」
先輩「後は普通に入浴するか」チャプ
男「え」
先輩「いやーずっと裸だったから寒かった寒かった、しかしお疲れ様男君。最後は鬼気迫る表情が味を出していてよかったよ、般若みたいだった」
男(危機は去ってねぇえええええ!!むしろ近づいたぁあああああああああああああああああああ!!)
男「せせせ、先輩僕上がりますね!」
ガシッ
男「先輩、肩から手を」
先輩「私との風呂が楽しめないというのか?」
男「あの、そうでは」
先輩「私との風呂が楽しめないというのか?」
男「あの」
先輩「楽しめないというのか?」
男「……楽しいです、楽しませていただいてます」
先輩「よろしい」
先輩「思えば、我々も少なからず温泉巡りをしたものだが混浴というのはなかったな」
男「そうですネ」
先輩「やはり私も女性として抵抗がまあ、人並みにはあるものだが――いざやってみると混浴というものはいいものだな」
男「そうですネ」
先輩「……愛おしい人がこんなにもそばにいる」
男「……」
先輩「私が素で裸を見せつける天然だと思ったかい?……違うんだよ、必死なのさ君の気を引くことに」
男「……」
先輩「なかなか襲ってくれないから結局自分の口で言うことになってしまったけどね……」
男「……」
先輩「この部活はもうお終いだ……湯部に改名して銭湯行くだけで人が来るなら苦労しないよ。それだけなら、一人でもできる――部活じゃなくたっていいんだから」
先輩「部活が無くなれば、部費が無くなって……君が来なくなると思ってね」
男「……」
先輩「だからこその強行手段だったが、返事が無いところを見ると失敗みたいだね」
男「……」
先輩「私は駄目な先輩だな……ははは」
バシャーン
男「……」ブクブクブク
先輩「ってのぼせてたー!?竹じいぃいいいいいい!!」
竹じい「ほらよ、嬢ちゃん。コーヒー牛乳だ」
先輩「ありがとう、竹じい」
竹じい「あの調子なら心配ねぇよ、10分もすりゃピンピンになる」
先輩「そうか……よかったよ」
竹じい「まったく、急に貸し切りにしてくれなんて言うからついに決心ついたと思えば……まだまだ初だねぇ」
先輩「そうだな、私は未熟だ……廃部寸前の部活一つをどうすることもできないくらいには」
竹じい「……様子見てきてやりな、そろそろ目が覚めるだろうよ」
先輩「ああ」
男「……う~ん」
先輩「気がついたかい?男君」
男「先輩……ここは?」
先輩「銭湯の奥にある竹じいの居住スペースさ。いやーまったく大変だったよ、私が混浴の素晴らしさを語ろうと思った矢先、倒れるもんだから私の熱意の矛先はどこへ向かえばいいのやら……
そうだ、コーヒー牛乳飲むかい?それとも君はフルーツ牛乳派かな?いやー銭湯のいい所はビンの牛乳があるということに集約されるよね。さあ、気がついたなら早く帰ろう!撮ったビデオも編集しないといけないし、忙しくなるぞー!」
男「……編集なんてしなくてもいいですよ」
先輩「え、でもモザイクを」
男「あんた何撮った」
男「そういうことじゃなくて……先輩が無理だと言うなら多分無理ですよ、部員集め」
先輩「……なんだ気づいてたのかい?」
男「ええ、意識は朦朧としてましたけど」
先輩「そうだな、無駄なことしても仕方ないよな……これにて温泉部、もとい湯部はお終いか」
男「別にいいじゃないですか」
先輩「……君にとってはそうかもしれないね、けど……私に、どっては……大切な時間だっだんだ…………大好きな君との」ポロポロ
男「だから、いいじゃないですか……同好会でも」
先輩「……え?」
男「2人で自腹切っていきましょうよ、温泉」
男「計画は部室の代わりにお洒落なカフェで建てて」
男「駅弁食べながら楽しく話して、のんびり同好会しましょうよ」
男「なんだったら僕が全額出したっていいですよ、だって」
先輩「男……」ポロポロ
男「大好きな人とのデートなんだ、いい格好させてくださいよ」
先輩「うん!けど私だっていい格好見せたいぞ、部長……いや会長命令!仲良く折半だ」
男「わかりました、会長。それなら僕気になる温泉があるんですよ」
先輩「どこだ?」
ナガノノゲロオンセンッテイウー
キミハムードヲカンガエタマエ
竹じい「チッ!流れでヤッちまえばいいものを……」
竹ばあ「まあまあおじいさん、後は若さがなんとかしてくれますよ」
数日後
男「……なんだこれ」
女1「あのー湯部ってここですよねー?」
女2「あ、あの子が例の……」
女3「かわいいー!!」
ガチムチ「はぁはぁ」
先輩「あ、男!」
男「先輩!これはどうしたんですか?もしかして全員……」
先輩「ああ、入部希望者だ……あのビデオ、やっぱりもったいなかったから編集して提出したら――思いの他そっち方面にウケて」
男「そっち方面?」
女1「あれが男君!?うわ本当にちっちゃーい!」
女2「あの子と混浴できるなんて……///」
女3「じゅるり……おっと涎が」
ガチムチ「んふっ///」
男「……ゾッとしないね」
先輩「どうしよう男!?」
男「しっかりしてくださいよ……部長さん。安心してください、僕はあなただけのものですから」
先輩「!……うん!私もだ!」
男「だけどガチムチさんだけはちょっと……」
先輩「ああ、うんそうだよね……」
完