1 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:12:42.30 fvpv9DZ+0 1/12

幼馴染「…すじこだよね」

「……うん、珍しいね」

幼馴染「…まって」

「何?」

幼馴染「ここ山の中」

「うん」

幼馴染「なんですじこがあるの?」

「なんでって、そりゃあ……」

幼馴染「…うん」

「…………なんで?」

幼馴染「まだ腐ってない、新鮮だ」

「なんで腐ってないってわかるの?」

幼馴染「色とか…?」

「匂いとか嗅がないとわからなくない?」

幼馴染「えぇ…嫌だよ」

「じゃあ食べてみる?」

すじこ「タベナイデ!」

幼馴染「「!?!?」」

元スレ
幼馴染「あ」男「ん?」幼馴染「あれ」男「…ん?」幼馴染「すじこだ」男「……ほんとだ」
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1520251962/

6 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:20:17.18 fvpv9DZ+0 2/12

幼馴染「すじこが…」

すじこ「タベナイデ!」プルプル

「しゃべった」

幼馴染「こわわ」

「話せるすじこは新鮮だよね」

幼馴染「しらないよ」

「生すじこってことでしょ」

幼馴染「とれたてのすじこでもしゃべらないよ」

「マジ?」

幼馴染「マジ」

「じゃあアレ何?」

幼馴染「もしかしたらすじこじゃないかも…」

「えぇ…」

幼馴染「調べたい」

「やめてよ」

幼馴染「大丈夫、すじこは噛みつかない」

「しゃべるけど」

幼馴染「きっと歯は無い」

「針とか持ってるんじゃない?」

幼馴染「……たしかに」

9 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:25:57.22 fvpv9DZ+0 3/12

幼馴染「待って、魚の卵だよ?針なんて持ってないよ」

「そんなこと言ったら魚の卵はしゃべらないよ」

幼馴染「……たしかに」

すじこ「キィィィィィ」

幼馴染「「!?」」ビクッ

「…鳴いた?」

幼馴染「今鳴いたね」

「なんで鳴いたんだろ」

幼馴染「仲間を呼んでるとか?」

「仲間?卵なのに?」

幼馴染「わからん」

「一度帰っておじいちゃん呼んでこようよ」

幼馴染「え…でも…」

「すじこは歩かないよ」

幼馴染「鳴くじゃん」

「鳴くくらいしかできないよ」

すじこ「キュイァァァァ!」ズサササササ

「うお!?」

幼馴染「ひゃ!」

すじこ「キィィィィィ」

幼馴染「すじこが…」

「走った…」

14 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:31:41.73 fvpv9DZ+0 4/12

幼馴染「ねぇどうしよう」

「どうしようって言っても…」

幼馴染「きっとこのすじこは宇宙に帰りたいんだよ」

「えぇ…海じゃないの?」

幼馴染「鳴いて走るすじこなんて海で見たことないもん」

「新種かもよ?」

幼馴染「だからきっと宇宙から来たんだよ!」

「話し聞く気ないな」

幼馴染「近くに宇宙船とかあるかも」

「すじこの?」

幼馴染「すじこの」

「………マジで言ってる?」

幼馴染「…半分冗談」

「半分本気だったのか」

幼馴染「でも本当に、どうしよう…目を離した隙にいなくなっちゃうかも」

「じゃあ僕がおじいちゃん呼んでくるよ」

幼馴染「待って!」

「何?」

幼馴染「私を一人にするの?」

「仕方ないよ」

幼馴染「すじこと二人きりにするの?」

「さっきは何もしてこないって言ってたじゃん」

幼馴染「でも動くじゃん!」

「見てるだけだって」

すじこ「グォォオォォォォォ!」

幼馴染「「ひぃ!?」」

「……なに……いまの……」

幼馴染「………」ガタガタガタ

17 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:39:21.64 fvpv9DZ+0 5/12

「ねぇ…」

幼馴染「やっぱ私がおじいちゃんに伝えてくる」

「ねぇってば」

幼馴染「男なんだから女を守ってよ」

「ねえってば!!」

幼馴染「なによ」

「アレ…アレみてよ」

幼馴染「みたくない、みたくないよ」

「いいから見ろよ!」

幼馴染「やめてよ!…………はっ?!」

「すじこが……」

幼馴染「増えてる…」

すじこ「キィィィィ」
すじこ「ギゴゴゴゴゴゴゴ」

幼馴染「な、なんで?」

「増えてる…よね?」

幼馴染「2つに切れただけじゃないの?」

「いや、よくみてよ…色が少し違う」

幼馴染「本当だ…」

「形も…最初の奴とは少し違う」

幼馴染「なんで……なんでぇ」

「家に帰ろう」

幼馴染「……うん」

「少し下ればすぐに国道に出…………っ!…」

幼馴染「どうしたの?」

「幼馴染」ガシッ

幼馴染「な、なに?」

「いいから、深呼吸して」

幼馴染「な、なによ」

「絶対に、絶対に後ろは向くな」

幼馴染「な、なによぉ…なんなのぉ」

21 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:46:01.28 fvpv9DZ+0 6/12

「俺が目隠しするから…ゆっくり後ろ向きで歩こうな」

幼馴染「な、なにをみたの?」ガタガタ

「しずかに、ゆっくり歩いて」

幼馴染「なにがいたの?私たちの後ろになにがいるの?」

「いいから…ゆっくり、ゆっくりと」

すじこ「キィィィィィ」
すじこ「タベナイデ!タベナイデ!」

幼馴染「ひぅ!」

「しーっ」

幼馴染「もうやだぁ…帰りたいよぉ…」

「俺が先導するから、ゆっくりな」

幼馴染「うん…うん…」

「なにが聞こえても慌てないで」

幼馴染「……なにがいるの?」

「いいから……っ!?茂みに隠れるぞ」ガシッ

幼馴染「え?…えっ?!」ガササ

「じっとしてて」

幼馴染「…うぅ…」

???「グフォォォ……クココココココ……キキィ……キキィ…キキィ」

「……っ…」

幼馴染「……っ!?」

???「キキィ……キキィ」

24 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 21:53:07.53 fvpv9DZ+0 7/12

「…通り過ぎたか?」

幼馴染「……なによあれ……なによあれ」ガタガタガタ

「異様に長い手足、白い肌…2mくらいで四つん這いで歩いてた……人の顔が付いて……っ…」

幼馴染「いやっ……いやぁ…」

「早く逃げよう」

幼馴染「もうやだ」

「幼馴染が言ったみたいに、やっぱり宇宙人だったのかも」

幼馴染「あんな怖いの…知らないよぉ」

「僕も…」

幼馴染「すじこだと思ってたのに」

「ほらもう少しで国道だ」

幼馴染「うん」

「…あ」

幼馴染「……ん?………ひゅ!」

???「クココココココ……キキィ…」ニタァ

「うわあああああ!」

幼馴染「きゃぁぁぁあぁ!」

27 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 22:02:08.97 fvpv9DZ+0 8/12

「おじいちゃん!おじいちゃん!!!」バンバン

幼馴染「開けて!早く!!開けて!!」バンバン

「んお?どうした?」

「早く扉閉めて!」

幼馴染「…」ガタガタガタ

「なんだぁ?…熊でも出たか?」

「熊なんて…」

幼馴染「そんな可愛いもんじゃないよ!!」

「落ち着けって」

「おぉ…どうしたどうした…とりあえず家は安心だから大丈夫だ」

幼馴染「…ほんとぉ?」

「ああ、本当だ…とりあえず幼馴染のご両親に連絡してくる、お前は幼馴染ちゃんと一緒に居ろ」

「…はい」

───数時間後


「幼馴染ちゃんは落ち着いたか?」

「はい、なんとか」

「詳しく話してみなさい…覚えている限りでいい」

「山にすじこがあって」

「すじこ?」

「そのすじこしゃべったんだ、『食べないで』って」

「…食べないで…?」

「それで、すじこが走ったり…鳴いたり」

「すじこみたいな形をしてたんだよな?」

「うん」

「もしかして、増えたりしなかったか?」

「爺ちゃん…知ってるの?」

「あー、あぁ…知ってるっちゃあ…知ってるかなぁ」

「アレなんなの?」

「お前の話が終わってからでいい、それで?どうなった?」

29 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 22:09:28.19 fvpv9DZ+0 9/12

「増えたと思ったら…僕たちの後ろに…化け物が…」

「化け物?」

「白くて…四つん這いで、2mくらいの高さがあって…人の顔が付いてた」

「人の顔…」

「あいつ…最後に笑ったんだ……僕らに」

「あー、そうか……そういえば今年はうるう年だったな」

「なんなの?あの化け物…この村に住み着いて…」

「いや、ありゃ化け物じゃない」

「アレが?化け物じゃない?…なら…」

「アレは昔々に、この村へ住み着いた神さま…みたいなもんだ」

「あれで…神さま?」

「正確には村というより、山に住んでるんかなぁ」

「あんな小さな山に?」

「昔はもっと大きかった、今じゃちんけな山だがな」

「僕…怖かったんだ、あれを見たとき…心から震え上がったような…身体の芯が一気に冷えた」

「神さまってのはそんなもんだ」

31 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 22:18:18.22 fvpv9DZ+0 10/12

「ありゃ道神さまって言ってな…昔から山で迷う人間を助けてきた神様だった」

「道の神様?」

「昔はすんごい美人な女神様でなぁ…見かけた奴はその年の運気が上がるなんて言われてた」

「アレが?女神…!?」

「昔からああだった訳じゃねぇ、昔は人のようだった」

「あんな…あんなのが…」

「いつからかなぁ…この村も開拓やら地方創生の波に乗っかってな、あの山禿げさせてマンションやらビルやらが立つようになった」

「…うん」

「その頃からかなぁ…道の神様がお怒りになってなぁ、山に入った人を迷わすようになっちまった」

「迷わす…?」

「遭難者がたくさん出て、開発の計画はおしゃかになった」

「…」

「でもあの女神さまの姿形は戻らんかった…祠が壊されちまったせいだな」

「祠…?」

「ちょうどお前らがよく遊んでた辺り、あそこは昔祠があったんだよ」

33 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 22:28:24.77 fvpv9DZ+0 11/12

「小さいけど、昔から村のみんなが大切にしてきた祠だった」

「あったんだ…祠なんて」

「詳しい理由まではわからんがな、うるう年になるとよう出てくるんだ…道神さまは」

「そう…」

「開発の計画が消えてから遭難者はぱったり無くなった、というより本来の道神さまの役割を果たして下さってる…祠が消えて醜くなっても、人を導いてくれる優しい神だ」

「そうだったの…?」

「笑いかけてきたのは、道神さまは子供好きだったからかも知れんの」

「…なら、あのすじこはいったい…」

「『道筋』という言葉があるだろう。物事の道理、筋道なんて意味がある」

「知ってる」

「あの筋子は神さまの残滓かも知れんな…あの女神さまは、醜い姿なりに後の世までこの山を守ろうとしてくださったのかもしれん」

「……」

「少なくとも、俺はそう考えとる」

「…うん」

39 : 以下、5... - 2018/03/05(月) 22:39:11.15 fvpv9DZ+0 12/12

「もうこんな時間だ…明日帰るんだろう、もう寝なさい」

「わかった、おやすみなさいおじいちゃん」

「おやすみ」

「そうか…まだ許しては下さらないのか……」


────数日後


幼馴染「え?じゃあアレは良い女神様だってこと?!」

「そうみたい」

幼馴染「なんだぁ…呪われると思って心配しちゃったよ」

「悪霊とかじゃなくて良かったね」

幼馴染「ほんとにね」

「じゃあ、僕の家こっちだから」

幼馴染「また明日ね~」


「ただいまー」

「……ん?母さんは買い物でも行ってるのかな?」

「まぁいいや、お腹すいたー………ん?」

「…すじこ?」

???「キキィ……キキキィ…キィ……キキキキィィ」


~おわり~

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