※『とある神父と禁書目録』シリーズ
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最初から:
ステイル「最大主教ゥゥーーーッ!!!」【1】
1つ前:
ステイル「まずはその、ふざけた幻想を――――――」【1】
241 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:28:38.38 nQZwt5Do0 1584/2388
どうも>>1ですよ
勢いだけで書いたこの予告ですが、いま見ると胸より顔が熱くなってきますね
絶賛黒歴史量産中の>>1が本日お送りするのは人物紹介+小ネタ一本です↓
242 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:29:30.13 nQZwt5Do0 1585/2388
インデックス=ライブロラム=プロヒビットラム(26歳)
顔良し、スタイル良し、頭脳明晰、人気絶大、セレブと五拍子揃った正真正銘のチートスペック。
だってのに色々といらん悩みを抱え過ぎている不幸属性。ちょっとねらー入ってる。
とっくにデレてるのに不穏なフラグをオンパレードしすぎたような気がする。
誰も彼も、地の文でさえシスターシスターと呼ぶが、正確には司教(ビショップ)である。
最近妹萌えに目覚めたらしい。私の妹(スール)がこんなにビリデレなわけがない。
上条当麻(26歳)
学園都市統括理事会の一員で、外交担当。学園都市が世界に誇る英雄。
親船と雲川に三顧の礼で迎えられたものの、
人脈と広告塔としての役割しか期待されていない事は承知の上である。
名前に実力が追いつくように精進中。
後ろから刺される事もなく才色兼備の妻と可愛い娘に恵まれた幸せ者。どこが不幸だ。
インデックスを除くフラグについては本当に気が付いていないのでオール放置である。
…………そのせいで四次大戦まで起こってるのに。
バトルからハブられたのは勿論パワーバランスが崩壊するから。
ぶっちゃけ『神の右席』とかいまなら楽勝、かも知れない。
その一方でちょっと屈強な一般人数人に囲まれたら大苦戦なわけですが。
打ち止め(10歳 外見20歳)
MNWの管理人にして、御坂家の末娘。普通の大学に通うごく普通の大学生として日々を平和に過ごす。
婚約者とすることはとっくに済ませている。つまり非処わっふるわっふる
戸籍上の御坂○○という名前も持っているが学友以外には呼ばれない。
専業主婦に憧れる一方で姉の研究を手伝えないかと思案中。
どのみち未来はバラ色の人生が約束されているようなもの。
前半生で散々苦労したから仕方ないね、でも爆発しろ。
物理的にも心理的にも対一方通行最終兵器として君臨。ある意味学園都市最強。
『妹達』からMNWで日々やっかみを向けられてはm9(^Д^)で返す勝ち組。
243 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:30:23.26 nQZwt5Do0 1586/2388
結標淡希(20代後半)
霧が丘大学に所属する研究員……という事に表向きはなっている。
その正体は(別に隠してないけど)学園都市第八位の超能力者、『座標移動』。
暗部解体後の能力測定でレベル5認定を受けた。
ショタコンじゃないよ! 仮にショタコンだとしても淑女と言う名の(ry
浜面仕上(20代後半)
『アイテム』総務課長。要するに雑用。一応重役なのに。
みんな大好き世紀末帝王HAMADURA。永遠にもげててくれ浜面。
ハーレム形成せずに奥さん一筋で通した事は評価されるべきだと思う。
職場には生意気な妹分二人、顔だけは良い上司、家に帰れば天然系巨乳嫁が待っている。
…………やっぱりもげるべきかもしれない。
浜面理后(20代後半)
兼業主婦。そして学園都市第九位の超能力者、『能力剥奪』。
体晶の副作用なしで能力を封じるも強化するも他者に付与するも思いのまま。
普通に一方通行にも垣根にも勝てちゃったりするが、
市場利益を生むタイプの能力ではないのでこの順位に留まっているのだが本人は別にどうでもよさそう。
浜面裏篤(5歳)
浜面家の長男。幼稚園の年中さん。
既に幼なじみとの「大きくなったらお嫁さんにしてね」イベントを通過済みというリア充。もげろ。
『アイテム』の面々(プラスフレメアお姉さん)からもなんだかんだで愛されている。もげろ。
244 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:31:10.16 nQZwt5Do0 1587/2388
絹旗最愛(23歳)
一方通行の戸籍上の妹で託児所職員兼、『アイテム』非正規社員。
子供は好きだが長年親しんだコミュニティも捨てがたく、現在の生活スタイルを選んだ。
『アイテム』は裏で人に言えない仕事も請け負っているが、彼女と黒夜には知らされていなかった。
黒夜海鳥(22歳)
絹旗最愛の戸籍上の妹で『アイテム』副社長。
繰り上がり的に今の地位に就いたが、先輩のはずなのに部下にされた浜面は不満タラタラである。
なにげに絹旗より料理が上手く普通に家庭的な女性。彼氏持ちで面食い。
青髪ピアス(26歳)
DM社営業部主任。ちょっと偉くしすぎたかも。
学園都市が世界に誇る、あらゆる属性を受け入れるHENTAI紳士。
心理定規とは別ベクトルで底が知れない。全く見えない。
布束砥信(28歳)
DM社企画開発部所属。会社ではゴスロリの上から白衣。
一方さんと過去に云々はおそらくお得意のハッタリ。多分ハッタリ。
初春飾理(23歳)
DM社システム開発部主任。生ける伝説を創ったコンピュータ技術を見込まれ現在の地位に。
発言の60%が黒い。どす黒い。これが対ていとくんとなると99%黒。
バリバリのキャリアウーマン人生を歩みすぎて結婚できるかどうか今から不安になっているらしい。
245 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:32:15.04 nQZwt5Do0 1588/2388
親船最中(60代中盤)
三年前、アレイスター=クロウリーの失踪を受けて学園都市統括理事長に就任。
柔和な笑みと温和な言動は絶やさぬままに交渉の主導権を握る辣腕政治家。
最近の趣味は雲川弄りと一方通行弄り。大変な上司を持ってしまったものである。
雲川芹亜(28歳)
学園都市統括理事会の一員で、行政全般担当。
裏で相当に汚い仕事にも手を染めている。時の為政者の側に必ず一人はいるタイプの策謀家。
…………の筈なのに気が付けば>>1によって弄られキャラにされていた。
孔明ポジションも親船さんに奪られて踏んだり蹴ったり。内縁の夫にベタ惚れ。
食蜂操祈(25歳)
長点上機大学で心理学教授を務める才女。そして学園都市第五位、『心理掌握』。
ドラマとかでありがちなドロドロの派閥抗争を心の底から楽しんでいる人格破綻者。
でもごくごく普通のガール(?)ズトークにも憧れているそうな。
結標、理后、雲川あたりとは茶飲み友達。美琴や白井も誘いたいが避けられている。
芳川桔梗(30代)
ニィィィィィィトッ説明不要!!! 無職歴11年! 月収ゼロ!!
厳密には就活してるのでニートではない。通行止めの結婚を陰で一番喜んでた人。
黄泉川愛穂(30代)
警備員本部所属の結構偉い警備員。普段は高校教師で担当教科は体育。
結婚できていない方がおかしいスペック。だから既婚。
それでも常に一方通行たちを気に掛ける面倒見の良さ。結婚してくれ。
246 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:33:31.42 nQZwt5Do0 1589/2388
御坂旅掛(40代後半)
自称『統合コンサルタント』で御坂家の大黒柱。
『実験』について全てを知ったのち、9971人全員を娘として正式に迎え入れる。
彼女らの生活費については、親として責任を持ちたい旅掛に対して、
『加害者』である一方通行が賠償責任を果たしたいと真っ向から対立。
激論を交わした結果、しぶしぶ折半する事とした。
御坂美鈴(40代)
専業主婦。十年前通っていた大学は卒業済み。
どう色眼鏡をかけても20代にしか見えない外見で、娘たちと並んでも完全に姉妹。
しかしご近所に上条詩菜という規格外がいるのでイマイチ自信が持てない。
ミサカ10032号(10歳 外見24歳)
第七学区のとある病院に勤める看護師。あだ名はくーるびゅーてぃー(インデックス専用)。
十年前時点で学園都市在住だった『妹達』は全員が看護士となっている。
その中では比較的表情の変化に乏しい方である。くーるびゅーてぃーにキャラが引きずられたのかも。
番外個体(10歳 外見20代後半)
第七学区のとある病院に勤める看護師。対一方通行専用ツンデレ兼ヤンデレ。
一歩描写を間違えればビッチルートまっしぐらだったお人。
ヤンデレを悪化させずにすくすく育った結果、あっけらかんとした人好きのする性格に。
そのため番外個体を愛でるのが最近のMNWの流行となっている。
もしかしたら一生独身かもなー、と実年齢10歳にして軽く悟りを開きかけてるらしい。
誰か貰ってやれよ! お前らの嫁だろ!!
カエル顔の医者(年齢不詳)
第七学区のとある病院の医者で通称『冥土返し』。
禁書界における元凶のそのまた元凶であると同時に、>>1的に禁書一カッコイイ大人。
後進への指導は行っていないが、彼のオペをすぐ近くで見たいという若者を拒む事もしない。
医師としてのスタンスは「そこに患者がいるなら救う」。
七月十六日 午後五時 浜面家
フレメア「おじゃましまーす…………」キョロキョロ
理后「いらっしゃい」ニコニコ
仕上「何してんだ? さっさと上がれよ」
フレ「いやぁ。浜面の癖にセレブな暮らしぶりだなー、って」
仕上「お前はアレか、俺が甲斐性なしだって言いたいのか?」
フレ「え? まさか浜面の稼ぎだけでこんな高級マンションに入居できてるの?」
仕上「………………」
理后「大丈夫、兼業主婦の月収に敵わないしあげの年収でも私は応援してる」つ通帳
フレ「oh……」
仕上「丸が綺麗に並んでるだろ? それ、月収なんだぜ?」
フレ「oh……oh…………強く生きてね、浜面」ポンポン
仕上「レベル5に腕っ節で勝ててもなぁ、関係ないんだよ!
カァンケイねえんだよぉぉぉぉ!!!!」ウワアアアアアン
フレ(女の子に慰められてガチ泣きしちゃう男の人って…………)
理后「そう、関係ないよ?」
フレ「え?」
仕上「り、理后?」
理后「いくらしあげの稼ぎが私の研究協力費と較べて
おトイレの鼠の糞程度の価値しかなかったとしても、関係ないの。
だってしあげは私とりとくに、お金で買えないプライスレスをくれるから……」ポッ
仕上「り、理后……」
理后「しあげ…………」
仕上「理后!」
理后「しあげぇ」
イチャイチャ イチャイチャ
フレ(どうみてもヒモです、本当にありがとうございました………………あ)
裏篤「………………おかえり、父さん」ボー
フレ「あ…………も、もしかして、君」
理后「りとく。この人はお父さんの友達のフレメアお姉さん、って言うの。挨拶して?」
裏篤「……浜面裏篤です、はじめまして」ペコリ
フレ「ん、んっ! 私は、フレメア=セイヴェルン。よろしくね、裏篤?」ニッコリ
仕上「…………理后」
理后「?」
仕上「夕飯の用意、はじめてくれ」
理后「え、まだちょっと早いよ?」
仕上「いいから。フレメアの為に、ちょっと手間かけてやってくれよ」
理后「…………ん」コクリ パタパタ
裏篤「……フィンランドって、どんな国?」
フレ「そうだねー。大体フィンランド人は他の国の軟弱な連中と違って寒さに強いのよ。
-273℃で『くそっ、今日はずいぶん寒いじゃないか!』とか文句言いはじめる感じね」
仕上「それ絶対零度じゃね!? …………おい、フレメア」
フレ「なによ浜面、いま裏篤と楽しくお喋りしてるんだから」
仕上「会社に大事な書類忘れてきたの思い出してさ。理后は飯作ってるから、裏篤の相手頼むわ」
フレ「…………!」
仕上「七時ぐらいには帰るから、よろしくな」
ガチャ イッテキマース
フレ「………………あ。さ、さあ裏篤! なにして遊ぶ?
こう見えてもおねーさんは日本文化に精通してるから、かくれんぼでもなんでも」
裏篤「……フレメアさん、ききたいことがあるんだ」
フレ「なになに? スリーサイズ? ちなみに彼氏イナイ歴はにじゅ」
裏篤「………………『こまばりとく』って人、しってる?」
フレ「!!!」
裏篤「……しってるんだ、やっぱり」
フレ「誰から聞いて…………って、一人しかいないか」
裏篤「……父さんが、ねものがたりに一回だけはなしてたことがあるんだ」
フレ(難しい言葉知ってるなぁ、じゃなくて! 浜面、バカじゃないの!?)
裏篤「……父さんのそんけいしてる人で、おれのなまえもその人からもらったって」
フレ「な、なんで、私がその人の事を知ってるって思ったのかにゃあ?」
裏篤「……………………なんでだろ、わかんない」ボー
フレ(お母さんに似て電p…………感受性が強いのかな? 顔はお父さん似なのにね)クス
裏篤「……なあ」
フレ「……なに?」
裏篤「……こまばさんは、フレメアさんのたいせつなひとなのか?」
フレ「そうだよ。そう“だった”」
裏篤「イケメン?」
フレ「どう“だった”かなぁ。大体、その頃私まだ十歳だったし。
ああでも、顔は厳つかったけど、優しくて強い人“だった”事だけははっきり覚えてるよ」
裏篤「…………じゃあ、おれににてる?」
フレ「…………裏篤はお利口さんだね。こんな小さいのに、お姉さんを心配してくれて」
裏篤「!!」
フレ「裏篤。自分のお名前、言ってみて?」
裏篤「…………“浜面裏篤”」
フレ「そう。私みたいな未練タラタラの大人がどんな目で君を見たとしても、
裏篤は“駒場利徳”じゃなくて“浜面裏篤”なの。
お父さんとお母さんに愛されて生まれてきた、この世にたった一人しかいない人間なの。
だからね、胸を張ってごらん? 誰かのまねっこじゃなくて、裏篤らしくすればいいんだよ?」
裏篤「…………」
フレ「あはは、子供相手になに言ってんだろ私! そういうわけだから、ね?
裏篤には、駒場さんの事とは関係なしで、お姉さんとお友だちになってほしいにゃあ!」
裏篤「……うん、わかった。でも、こまばさんのことは聞かせてほしいな」
フレ「どうしてかな?」
裏篤「……………………だれにも言わないでくれるか?」
フレ「大体、友達は約束を守るものだにゃあ」
裏篤「……父さんのそんけいしてる人だから」
フレ「…………?? どういう意味?」
裏篤「……だ、だから。父さんのそんけいしてる人がどんな人なのかわかったら、
お、おれも、父さんみたいに好きな子をまもれる、つよい男になれるかな、って」マッカ
フレ「……ほうほう。好きな子がいるんだ? 最近のお子ちゃまはませてるなぁ!」ニヤニヤ
裏篤「……むっ」イラッ
フレ「お母さんが大好きで、そのお母さんを守れるぐらい強いお父さんを尊敬してて。
結局は一周してその女の子が大好きだ、ってところに戻ってくるんでしょ?
照れない照れない! お子ちゃまの癖に生意気だなもー!!」ニヨニヨ
裏篤「……かれしイナイれき二十年のフレメアさんとはちげーし」
フレ「え」
裏篤「……きすだってしたことあるし」
フレ「え、え」
裏篤「……おれとまことはけっこんのやくそくだってしてるし」
フレ「え、え、え」
裏篤「……図に乗んなよヴァージン」プークスクス
フレ「なんですってえええええええええええええええ!!!!?
そっちこそ調子に乗ってんじゃにゃいわよクソガキいいい!!
ブービートラップでバラバラに引き裂いてやろうか!?」
~~~~~~一時間後~~~~~~
仕上「ただいまー…………何やってんだアイツら」
理后「ふふふ」ニコニコ
裏篤「……はくらいさんまじぱねぇっす……二十歳にもなって『にゃあ』とか……ちょ……ww」
フレ「おい、やめろ馬鹿。私の『にゃあ』はフィンランドのとある大学で
ミスコンを獲る切り札になった神聖なるジャパニーズMOEの結晶体であって」
裏篤「……かれしイナイれき二十年のミスコンとか聞いたことないんで^^」
フレ「だってだってーーーーっ!!! 折角優勝したのに集まってくるのが
ジャパニーズコスプレ目当てのオタクばっかりなんだもん!! 私悪くないもん!!」
裏篤「……だったらアンタはオタク票を狙ってなかったっていうのかよ」
フレ「ぐ、ぐはあああああっ!!!」グサグサッ!
裏篤「……見ろ、みごとなカウンターで返した。ちょうしに乗ってるからこうやっていたい目にあう」
フレ「う、うええええええええんんんん!!!!!
ちょっとした出来心だったんだもん! 普段は猫かぶってるもん!!」
理后「あんなにイキイキしてるりとく、まことで……まことと遊んでる時ぐらいだよね」ニコニコ
浜面「いま“で”っつった!? ねえいま真理“で”って言ったよね!?」
理后「お友だちが増えたよ。やったねりとくん」ニコニコ
浜面(…………イイハナシナノカナー)
オワリ
256 : >>1 ◆weh0ormOQI - 2011/10/28 22:42:35.16 nQZwt5Do0 1599/2388
無駄にイイハナシ()にしようとするからキレがいまいちなのかもしれませんね
それではまた来週お会いしましょう
とある日 第七学区のとある病院
お爺ちゃん「ミサカちゃんや、ご飯はまだかの?」
番外個体「はいはい、さっき食べたでしょおじいちゃん」
少年「ミサカねえちゃん、お、おれ、注射こわい…………」
番外「もう、男なんだからシャキっとしなよ!
そりゃあミサカだってはじめての静脈注射は怖かったけどさ……」
男「ナースさんナースさん、『はじめては怖かった』ってとこ、おどおどした感じでリピートプリーズ」
番外「死ねば?」ギロ
男「ありがとうございます、ありがとうございます!」ゾクゾク
お爺ちゃん「ご飯はまだかの?」
番外「さっき食べたでしょおじいちゃん」
医者「おーい御坂くん、302号室の患者さんだけど」
番外「あ、はい! いま行きまーす」
お爺ちゃん「ご飯マダー?」(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
番外「さっき食べたでしょ」
ナースステーション
番外「ふぅ………………」クター
ベテラン看護師「御坂さん、最近ちょっと根詰め過ぎじゃないの?」
番外「あっはは! 私が新米だった頃は散々働け働けってお尻叩かれましたよ。
看護師の仕事なんてこんなもんでしょ?」
ベテラン「…………それにしても、ちょっとねぇ」
10032「番外個体の言うとおりです、とミサカは書類の山を積み上げます」ヌッ
ベテラン「ちょ、あなたたち!?」
19090「統括理事会から『輸出用医薬品製造届』が来ていますが」
番外「ああ、神父さんに送るヤツか。そのへん置いといて」
10039「私たちはこれでシフト終了ですので、とミサカはパパッと帰り支度を済ませます」ノシ
番外「さよーならー」ノシ
チョットキイテヨムギノンッタラマタゴウコンドタキャンシタノヨ トミサカハ
エーマジーチョーアリエナーイ トミサカハ
カエリニマックヨッテカナイー? トミサカハ
ベテラン「…………この頃、妹さんたち冷たくない?」
番外「いやぁ、ウチのは常日頃からあんなもんですよー」グデー
ビーッ! ビーッ!
番外「あ、ナースコール鳴ってる」ガタ
ベテラン「……私が行くからちょっと休んでなさい!」
番外「むぅ……はーい」
スタスタ
番外「………………」
(休めって言われてもなぁ…………)ハァ
(正直、仕事で頭埋め尽くさないと身動き取れなくなりそうなんだよね)
(油断すると、あの二人の事考えちゃいそうで)
「………………一方通行」
(カッコ悪ゥ。満面の笑顔で送り出したってのに、ミサカってばこんなにも未練タラタラじゃん)
(っつーかさ、私、あんなもやし野郎のどこが良かったんだろ?)
(外見は…………悪くはないけど、良くもないよね、アレ。
整ってて、女が嫉妬するぐらい綺麗な白い肌してるけどさ。
学園都市よりエルム街が似合いそうな、悪夢に出演してそうな凶悪なツラで全部台無しだし)ププ
(性格………………なんてもっとアレじゃん。
人肉抉ってほぼイキかけちゃうような異常快楽者。
そーいえば、最終信号(ねえさん)とくんずほぐれつする時とかどうして)
「ってもおおおおお!! 結局アイツの事考えてるじゃんミサカのバカバカバカァ!!!」
「うわあああっ!?」スッテンコロリン
番外「へ?」キョトン
青年「あ…………ど、どうもお久しぶりです」ペコ
番外「えっと、アナタどこかで…………ああ! 513号室にこないだまで骨折で入院してた!」
青年「覚えててくれたんですか!」パアッ
番外「患者さんの顔と名前を一致させるのは看護師としての嗜みだからねー」ケラケラ
青年「………………そ、そうですか」ガックシ
番外「ん? それで、今日はどうされたんですか? 外来なら一階ですよ」
青年「きょ、今日はそういうのじゃないんです。
入院中お世話になった御坂さんに、せめてもの気持ちというか」つ花束
番外「んえ? こ、これはご丁寧にどうも」ペコリ
青年「……………………」ガチガチ
番外「どうかした? 震えてるけど、やっぱどこか具合が」
青年「み、御坂さん!」ガバッ
番外「は、はい? そんな身を乗り出さなくても」
青年「今日は僕の、心からの気持ちを御坂さんに伝えたくて……」
ガラガラガラガラガラガラ・・・・・・
番外(? 何か音が……)
青年「僕は、御坂さんの事が」
10032「はいはいちょっと通りますよー」
青年「ウボァーーーーーッ!!!!」ドグシャァッ!!
番外「轢いたぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」ガビーン!
青年「」ピクピク
10039「19090号、脚を持ってください。私は上半身を」
19090「いっ、せー、のー、せ!」ヨイショ
番外「あの、アンタら何やってんの?」
10032「川´_ゝ`) なに、気にすることはない。少しこの青年をお借りしますよ番外個体」
番外「……その人、私に言うことあったみたいなんだけど」
19090「事が済めばお返ししますよ」
10039「まあ、“済んだ”後で同じ台詞を吐く気概があれば、の話ですが」クフフ
番外(意味分からん)(´・ω・`)
ガラガラガラガラガラ
番外「…………行っちゃったよ」ポカーン
番外「…………あ、この花良い匂いする」ポワーン
--------------------------------------------------------------------
とある病院 霊安室
青年「………………ん? ここは……?」
10032「お目覚めですか」
青年「御坂さん! …………じゃないや、妹さん?」
10039「その覚え方は没個性的で少々気に食わないですね」
19090「一応、ミサカたちも『御坂』なんですけどね」ションボリ
青年「あ、すいません…………それで、僕はどうしてこんな場所に、ってええ!?
ちょっと、どうして手足縛られてるんですか僕!?」
10032「地下の霊安室ですよ、とミサカは親切ににこやかに情報提供を行います」
青年「このシチュエーションで微笑みながらそんな事教えられても!
なんなんですかいったい!? 僕ナニカサレちゃうんですかぁ!?」
10039「どうどう、どうか落ち着いてください」
青年「だったらこの手枷足枷外してください!!」
19090「……10032号、10039号。私にもこの方を拘束する意味がイマイチわかりかねるのですが」
10032「相変わらず悪だくみとなるとノリが悪いですねぇ19090号は」カチャカチャ
青年(この一番スレンダーな人は、まだ話が通じそうだ)ホッ
ガチャン
青年「は、外れた……」
19090「さて、貴方」ズイッ
青年「うわぁっ! か、顔が近いですよ!///」
10039「ふむ。惚れた女と同じ顔に迫られて、やはり悪い気はしませんか?」
青年「なっ! どどどどど、どうしてそれを!?」カァァ
19090「私は番外個体の行動範囲には全て盗さ……監視カメラとマイクを仕掛けていますので。
先ほどの告白未遂もばっちり記録に収めました。ああ番外個体可愛いよ番外個体」ハァハァ
青年(へ、変態だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!! 比較的まともだと思ったのにぃ!!)
10039「今は自重しなさい19090号。
私たちがあなたをこの場にお呼びしたのは、その告白未遂の件なのです」
青年「…………それって、いわゆるアレですか。『可愛い妹をどこの馬の骨~』的な」
10032「察しが良くて助かります」
青年「助けが欲しいのは僕です! ぷりーずへるぷみー!」
19090「お黙りなさい!! 現在の可愛いくぁいい
デレ番外個体を獲得するまでに私がどれだけ苦労したのかも知らずにぃっ!!」
青年「なに言ってんのこの人!?」
10039(おい、こいつさも自分一人の手柄のように騙る気じゃねーか、とミサカは(ry)
10032(…………ま、別にいいんじゃね? マンドクセ、とミサカは(ry)
19090「果てはビッチかヤンデレか、と将来の危ぶまれた時期もあったのです!
それをミサカネットワークの総力を挙げて時に猫可愛がりし、
時に突き離して、時にこちらから甘え、だからこそ今の番外個体があるのです!」
青年「はぁ」
19090「それをどこの馬の骨とも知れぬ男に、そう安々と渡せますかってんだ、とミサカは(ry」
青年「そ、そんなの、御坂さんの自由意思を無視してるじゃないか!」
10032「心外ですね。私たちは友人レベルのお付き合いにまで口出しする気はありません。
しかしその先にある幾つかの線を踏み越えようというなら、
ちょっとした関門を潜っていただきたい、というだけの話です」
青年「…………関門?」
19090「なにもミサカは、問答無用で番外個体に近づくなと言っているのではありません。
半端な覚悟であの子を弄ぶことは許さない、と忠告しているのです。
…………お気付きですか? あの子はつい最近、決定的に失恋したばかりなんですよ」
青年「!!」
19090「番外個体はああ見えてなかなか初心です。十年越しの初恋が破れたあの子の心はズタズタ。
そこを吐き気を催すようなチャラ男につけ込まれて、傷口に広げられたらたまりません」
青年「僕はそんなことしません! 心の底から、そう、け、けけ、結婚を前提に御坂さんと」カァ
10039「お付き合いしたい、と。ハイ、では恋人になるにあたっての第一関門を発表します」パチン
青年「へ?」
ダラダラダラダラダラ(ドラムロール音)
10032「…………ジャーン。
『チキチキ! 九九七一人のミサカ大集合! 番外個体の恋人候補に集団面接!!』
…………です」トミサカハ
青年「……………………あの、すみません。よく意味がわかりません」
10039「我々が番外個体から見て戸籍上の妹である事実はご存知ですね?」
青年「二〇〇〇三人姉妹、なんですよね。にわかには信じ難かったですけど」
19090「そのうちの九九七一人で一斉に、あなたが番外個体に相応しい男かどうかを審査します」
青年「何その物理的圧迫面接!?」
10032「ああいえ、説明すると長いのですが……平たく言うとネット上での面談です、ご安心を」
青年「ほっ…………」
19090「某大型掲示板形式で>>1になってもらって、
それに九九七一人がやんわりと誹謗中傷を投げかけますので。
見事千スレ目まで心折れず全レス返しを成し遂げれば合格となります」
青年「それタダの集団イジメじゃないですかァァァァァーーーーーッッッ!!!!」
10039「こんなのは序の口ですよ? 第二関門では接吻許可を得るため、お父様とお母様に……」
青年「第二関門でもうご両親お出でになっちゃうんですか!?
そういうのって普通は『娘さんを僕にください』的な場面じゃあ」
10032「どうしても最終関門だけは、と言って譲らない頑固な方々がいまして」ヤレヤレ
青年「そ、それはいったいどこのどちら様ですか………………?」オソルオソル
19090「『超電磁砲』って言葉、知ってますか?」
青年「知ってるもなにも、学園都市屈指の有名人で、
御坂さんの実のお姉さん……………………あの、まさか」
10039「そのまさかです」
10032「第三位、『超電磁砲』上条美琴とガチでタイマンを張っていただきます」
青年「」( ゚д゚)
10032「善戦して男意気を見せる、とかじゃ駄目ですよ。
バルバ○ス(1)みたいなイベント戦でももちろんありません。
ラスボス戦ですから普通に勝ってください」
青年「」( ゚д゚)
10032「ちなみにお姉様を倒せたら、次は第一位『一方通行』がEXボスとして控えていますので」
「」( ゚д゚)
「」( ゚д゚ )
「」(゜д゜)
「」( ゚д゚ )
青年「あの」
10039「諦めますか?」
青年「すいません、少し考えさせて下さい」
19090「ほう…………別に構いませんよ」
青年「…………迷うぐらいなら止めろ、とは言わないんですね」
10032「言いませんよ。ごくごく一部の例外を除けば、
こういう場面で即決するような男ほどいざという時頼りにならない、
とこの十年でミサカたちも学習しましたので」
(……まあ、その『例外』に命を救われたミサカの台詞ではありませんが)
青年「わかりました……今日のところは帰るので、
御坂さんによろしく言っておいてください……」
10039「それは自分で言いなさいこのチキン野郎、とミサカは養豚場のブタを見る目で蔑みます」
青年「うう…………」スゴスゴ
ガチャ
10039「…………どうなりますかね、あれは」
10032「私は見込みがあると思うのですが」
19090「いいえ、裏にどんな本性を隠しているか知れたものではありません」フン
10032「相変わらず19090号は番外個体絡みとなると豹変しますね。……おや、誰か来たようだ」
10039「死亡フラグおt」
ガチャ
番外「やっほう。半殺しに来たよ馬鹿姉ども」
妹達「「「!?!?!?!?」」」
十分後 ナースステーション
番外「まったく、何してるのかと思ったら……」ブツブツ
19090「ごごご、ごめんなさい番外個体! お願いだから嫌いにならないで!」(´;ω;`)ブワッ
番外「いや、別にそういうんじゃないけどさぁ」
10032「……おや、怒らないのですか」
番外「怒られるような事してるって自覚はあったんだ?」
10039「ぐぬぅ」グサ
番外「………………まあ、ねぇ?
世間一般的に見れば、時代錯誤もいいところの余計なお世話なんだろうけどさ。
生憎ミサカってば世間知らずの箱入り娘だしー?」キャハハ
19090「番外個体…………」
番外「それにさ、こんな事言ったらあの患者さんには失礼だけど」
妹達「「「?」」」
番外「こんな女を好きになってくれる男の人がいて、
こんなにも大事に想ってくれる家族がいて」
「わたしいま、すっごくしあわせだよ」
オワリ
八月某日 学園都市 上条家
ピンポーン
美琴「はいはーい、いま開けまーす」
当麻「真理、じいちゃんとばあちゃんが来たぞ」
真理「じーじとばーば?」
美琴「え、えっと、寝ぐせとかついてないわよね……」ソワソワ
当麻「あのなぁ、ウチの親はそんなこと気にしないって」
美琴「上条家の嫁としてはそうかもしんないけど、
御坂家の娘としてはお義父さまとお義母さまに失礼なことはできないの!」
ピンポーン ピンポーン
当麻「言ってる暇あったら開けてやれよ……もういい、俺が」
美琴「お出迎えは嫁である私がするのー!」タッタッ
当麻「よくわかんねえこだわりだなー。な、真理?」
真理「?」
ガチャ
美琴「お、お待たせしましたお義父さまお義母さま!
遠いところをはるばるよくいらっしゃいました!」
刀夜「やあ美琴ちゃん、元気そうでなにより。
遠いと言っても東京と神奈川だからね、大したことはないよ」
美琴「お義父さま、お疲れでしょうからお荷物お持ちしますね。
お茶の用意ができてますから、どうぞ居間でくつろいでください」イソイソ
刀夜「…………つくづく、当麻は良い嫁を貰ったなぁ」シミジミ
詩菜「まあまあ、実は刀夜さん的には
美琴さんみたいな甲斐甲斐しい子が奥さんに欲しかったのかしら?」ウフフ
刀夜「…………か、母さん? まさか息子の嫁をちょっと褒めたぐらいで」
詩菜「美琴さんは一段と綺麗になったわねぇ。
お母さんになった強さ、みたいなものがひしひしと伝わってくるわ」
美琴「お、お義母さまこそ相変わらず、とてもお若くて羨ましいです」テレテレ
詩菜「あらあら、美琴さんこそとってもとっても可愛いらしくて、羨ましいわ私」
美琴「そんな、お義母さまだって」
詩菜「もう、美琴さんこそ」
キャピキャピ
刀夜(…………さ、さっきのあれは不問とされたようだ……)ホッ
詩菜「刀夜さん」
刀夜「はいぃぃぃぃ!? ななな、なんでございましょう?」
詩菜「今晩、二人きりでゆっくりお話ししましょうね。主に人生の儚さについて」
刀夜「それならたったいま感じてる真っ最中です…………」ブルブル
詩菜「あらあらまあまあ」ウフフ
美琴「上条家の嫁として、いつか私もあれくらいできるようにならないと……!」グッ
当麻「いや『グッ』じゃねえよ頼むから勘弁してくれしてくださいお願いします」
美琴「あ、当麻」
当麻「三人ともいつまで玄関先で立ち話してるんだよ」
詩菜「当麻さん、お久しぶり。当麻さんも元気そうでなによりね」
当麻「母さんもいつも通り妙に若々しい…………っつうか俺が歳とった分、
相対的に若返って見えるんですが。今年でいくつだった、うおおおおお!!??」
ズッドーン!! キュピーン
美琴「デリカシーが足りてないところはほんっと成長しないわねアンタは!
女性に年齢を尋ねるとかどういう神経してんの!?」プンプン
当麻「だからって家の中で『超電磁砲』ぶっぱなすんじゃねえ!!
だいたい実の親に対してデリカシーもクソもある、あひいいいい!!!!??」
バチバチバチッ!! キュピーン
美琴「………………」
当麻「………………すんませんでした」
美琴「よろしい」ニッコリ
詩菜「あらあら」ウフフ
刀夜「当麻、お互い強く生きていこうな」ポンポン
当麻「ああ父さん……これも上条家の男に課せられた天命だと思うさ、
思わなきゃやってられないさ」
刀夜「…………」
当麻「…………」
上条親子「「不幸だ…………」」
美琴「じゃあお二人とも、上がってください」
当麻「真理が待ちくたびれて、おもちゃ片手に突撃してくる前にな」
刀夜「では、お邪魔するよ」
詩菜「うふふ、おじゃまします」
美鈴「おっじゃまっしまーす!」
旅掛「お邪魔しますよ美琴ちゅわああああん!!」
美琴「ふふ、どうぞどうぞー………………」
美琴「ってちょっと待たんか後ろ二人ぃぃぃぃ!!」
美鈴「? どうかした?」キョロキョロ
旅掛「不審者でも見たのか!?」キョロキョロ
美琴「実の娘に不審者呼ばわりされたいんかいアホ親ども!」
当麻「み、美鈴さん、旅掛さん!? どうして!?」
美鈴「やだわ当麻君、美鈴さんなんてた・に・ん・ぎょ・う・ぎ♪
遠慮なくお義母さんって呼んでちょうだい?」
美琴「娘の旦那に色目使ってんじゃないわよ馬鹿母ァ!」
旅掛「いやー、上条さんが真理ちゃんを
愛でに学園都市行くっていうから。つい、着いてきちゃった☆」テヘペロ
美琴「我が親ながらキモいから止めてくんない?」
旅掛「!?」
当麻「…………二人とも、先月も先々月も来ましたよね?」
美鈴「六月は恒例のアーくんしばきだったし、七月は二人の結婚式だったし、
真理ちゃんを主役に据えてたわけじゃないじゃない」
旅掛「今回は一日中、心行くまでマイラブリーセラフィム真理ちゃんを堪能したくてな!」
当麻「いやいや、毎回毎回真理と半日ぐらい子供部屋にこもってる気がするんですが」
美琴「爺バカ婆バカもいい加減にして欲しいわよね」ハァ
当麻「………………」
美琴「当麻?」
当麻(ああなるほど…………遺伝だったんだな、美琴の親バカ)ナットク
刀夜「ふふふ、御坂さん。いくら御坂さんといえどもこれは譲れませんね」
詩菜「お二人とも、二か月連続で真理ちゃん分は補充なさってるんでしょう?
だったら今回は私たちこそが優先権を行使するべきだと思いますの」ウフフ
当麻「いや、別に四人でかまってやればいいじゃん」
美鈴「もう、詩菜さんってば冗談がお上手なんだからぁ!
奇々怪々なのは妖怪じみたお肌の張りだけにしてくださいな!」
旅掛「これは異なことをおっしゃる。真理たんの殺人的愛らしさの前では
ターンチェンジもフェイズ進行もちっぽけな問題ですよ上条さん。真理ちゃんペロペロ」
美琴「あんまり不穏当な発言が目立つようだとジャッジキルするわよボケ父」
四人「むむむ……………………」
当麻「…………ジャンケンしてください」ハァ
美琴「普段は仲良いのに、どうして真理を挟むとこうなっちゃうのかしら」ハァ
五分後
旅掛「っしゃあああああああ!!!! やった、やったぞ美鈴!!
ねんがん の はつまご(と先に遊ぶ権利)を てにいれたぞ!!」
刀夜「たのむ ゆずってくれ!」
当麻「二年前から持ってましたよねそれ」
美琴「ころしてでもうばいとられないように精々気を付けてね」
美鈴「あなた……私いま、心の底からあなたに着いてきたよかったって、そう思えるわ」ホロリ
美琴「こんなシーンで夫婦の絆再確認されても娘として情けないだけなんだけど」
詩菜「………………」ニコニコ
刀夜「か、母さんスマン!! どうか、どうかSEKKANだけはご勘弁をぉぉ!!!」ガクブル
詩菜「…………しょうがないわ刀夜さん、勝負は時の運だもの。
順番は御坂さんたちの次でも、真理ちゃんへの愛情に貴賎なんてないでしょう?」ウフフ
刀夜「あ、ああ…………ああぁぁあああ!!
ありがとうございます! ありがとうございます!」ペコペコ
当麻(…………これ、俺の未来の縮図とかじゃねえよな)チラ
美琴「?」キョトン
旅掛「では行くぞ美鈴っ!」
美鈴「真理ちゃあーん、美鈴ばーばですよー♪」
ドタドタドタ
美琴「頼むからハメ外しすぎないでよ孫狂いども! ……はぁ」
クルッ
美琴「それじゃあお義父さまお義母さま、テーブルにどうぞ。
すぐにお茶とお菓子を用意しますから、少々お待ちくださいね」ニッコリ
スタスタ
当麻(あの変わり身の速さはさすが、本家本元ツンデレベル5だよな)
詩菜「本当、美琴さんは気配りの行き届いた良い娘ねえ」フフ
刀夜「ご両親には少しつっけんどんだが、やはり親御さんの教育が良いんだろうなぁ」ハハ
当麻「当のご両親に対して教育の成果が発揮されないのはどうなんでせうか……」
上条家 子供部屋
ガチャ ソー
美鈴「……真理ちゃーん、いまちゅかー?」^^
旅掛「じーじとばーばでちゅよー」^^
デデンデンデデン デデンデンデデン
ターミネーター「I've been backed.」
----------------------------------------------
「そのネタまだ引っ張るんかいッ!!」
「す、ステイル? 急にどうしたの?」
「…………いや、なんか義務感にかられたというか」
----------------------------------------------
旅掛「ぬおおおおおおおおおおっっっ!?」ドキッ!
美鈴「…………三回目だってのに慣れそうにないわねこのオモチャ。心臓に悪いわ」ドキドキ
真理「あ、みすずばーば!!」
美鈴「真理ちゃん久しぶりー! 元気でちたかー?」ダキッ
真理「ばーば、ばーば!」キャッキャッ
旅掛「ま、真理真理! おじいちゃんの名前も呼んでごらん?」ワクワク
真理「たび、たびが、たびぎゃけじーじ!」キャッキャッ
旅掛「」
美鈴「プッwww」
旅掛「笑うな! も、もう一回言ってみようね? おじいちゃんのお名前は、せーの」
「たびがけ!」
「たびぎゃけ!」
旅掛「…………『みさかじーじ』でいいです」(´;ω;`)
美鈴「wwwwwww」
真理「ごめんね、じーじ」ショボン
旅掛「いいんだよ真理ちゃあああんん!!! そんな細かいこと俺は気にしてないからね!」
美鈴「(ウソつけ)……ささ、じじばばと遊びましょ真理ちゃん。
なにしたい? かくれんぼ? 鬼ごっこ? おままごと?」
真理「おままごと! まことがママで、みすずばーばがまこと!」
美鈴「あらー、真理ちゃんがばーばのお母さん役?
私の肌年齢もまだまだ捨てたもんじゃないわね」フフン
旅掛「ファンデーションで隠しきれてないシミは正直だぞ、五十路間近の婆さん」クク
美鈴「んですって」ギロ
旅掛「~~~♪ じゃあ俺は、余った真理たんの旦那ポジションってわけだな!!」
美鈴「はあ!? そっちこそ歳考えなさいよアナタで真理ちゃんに釣りあう訳ないでしょうが!!
アナタに渡すくらいだったら私が真理ちゃんを嫁にもらうわ!」
旅掛「なにを!?」
美鈴「なによ!?」
真理「じーじ、ばーば、どっかしたの?」キョトン
旅掛「真理たん! 真理タンはみさかじーじと結婚したいよな!」クワッ
真理「え?」
美鈴「はっ、誰が! 真理ちゃんを真に愛し愛されるのは、
『名前を間違えずに呼んでもらった』このみすずばーばこそが相応しいのよ!」フンス
真理「え、ええ?」
旅掛「ガハッ!! こ、細かい点をいつまでもぐちぐちと! 器が知れるぞ美鈴ぅ!」
美鈴「メンタル弱すぎで吐血しちゃう男の人って(笑)」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
真理「だ、ダメェっ!! ダメダメダメなの!
まことは、じーじともばーばともけっこんできないの!!」
御坂夫婦「「へ?」」
旅掛「ど、どういうことだ真理?」
美鈴「お、おままごとの話だからね? 本当のお話じゃあないのよ?」
真理「でも……でもぉ…………」
御坂夫婦「「でも?」」
真理「まことは、まことは、もうおよめさんになる『ゆびきり』しちゃったの」
旅掛「…………ゆび?」
美鈴「…………きり?」
真理「うん、そうだよ。
ゆびきりげーんまん、ウソついたら『ぼんばーらんす』せんぼんのーます♪ ゆびきった!
…………って。もあいせんせーからおしえてもらったの!」
御坂夫婦「「…………」」
「「 ! ? 」」
二時間後
ガチャ
刀夜「…………御坂さーん、そろそろ交代してもらえませんかね?」ソーット
詩菜「美琴さんの淹れてくれた玉露、とっても美味しかったですよー。お二人もぜひ……」ソーット
真理「それでねそれでねー、りとくんったらそのふれめあおねーちゃんに、『まことはおれのよめ』せんげんしちゃったんだって! きゃー、きゃー! ………………あ、かかか、かんちがいしにゃいでよね!! これはわたしのびぼーがつみぶかすぎるってだけのはにゃしで、べつにキモづらに『かんぱくせんげん』されたのがうれしいってわけじゃにゃいんだからね!!! ……あとね、あとねー」
旅掛「…………あー」ゲッソリ
美鈴「うん…………」ゲンナリ
刀夜「み、御坂さん!? いったいなにがあったんですか!」
旅掛「き、気を付けろ上条さん……あの五歳児め…………
おそろしいほど順調にデレ調教を進めてやがるっ……!!」ワナワナ
美鈴「待望の初孫が齢二にして男を知ってるだなんて…………胸にくるものがあるわ」ヨヨヨ
詩菜「まあまあ、大丈夫ですか美鈴さん?」
真理「あ! とーやじーじだ!」キャッキャッ
刀夜「そうですよー、とーやじーじですよー」デレッ
真理「とーやじーじがいるってことはぁ……」
旅掛「くっそいいなぁ、俺ももっと呼びやすい名前に戸籍いじくろうかなぁ……」イジイジ
美鈴「バカなこと言ってんじゃないの。それじゃあ交代しましょ上条さん。
…………詩菜さん、くれぐれもお隣のお子さんの話題は口にしないように」
詩菜「あらあら、真理ちゃんがどんな男の子とラブラブなのか、私も知りたか」
真理「………………やっぱりー! しーなおねーちゃんだー!!」キャッキャッ
美鈴「」ピシッ
刀夜「へ」
詩菜「あらあら」
旅掛「………………wwwwwwwwwwwww」
十分後 居間
美鈴「」
美琴「ママ、ねえママ? ちょっと、お茶冷めちゃうわよ?」
美鈴「」
美琴「…………ダメだこりゃ」
当麻「…………あの、お義父さん。お義母さんはどうしたんですか?」
旅掛「くっ、くっくっく…………くくくくくくく!
なに、肌年齢の神秘と、世の無情と、子供の純粋さに打ちのめされているだけさ」
上琴「は?」
美鈴「」
オワリ
一方「………………」
垣根「………………」
美琴「………………」
麦野「………………」
食蜂「………………」
削板「………………」
美琴「え、なにこの空気」
一方「つうかココどこだ」
麦野「だいたいなによ↑の(旧)って。まるで私たちが使い古しの劣化能力者みたいじゃない」
垣根「テメエに関しちゃ大正解じゃねえか第四位」
麦野「ああん!? 粗大ゴミが図に乗ってんじゃねえぞ!!」
削板「両者落ち着け!! いきなり喧嘩腰とは感心しないぞ!!!」
食蜂「まあまあ皆さん落ち着いてくださるぅ?」
一方「なンでオマエが仕切ってンだよ」
食蜂「それはもちろぉん、私がレベル5の中でも飛びきり社交性に長けた人格力の持ち主だからよぉ」
美琴「はぁ? どの口が人格者とかほざいてんのよ、唯我独尊の女王様?」
食蜂「美琴さぁん、今回私はこの場の取り仕切りを上から委託されてるのぉ。
逆らったらどうなるかわかってるぅ?」
垣根「おもしれえ、第五位ごときが俺の『未元物質』に“どうする”のか見せてもらおうじゃ」
食蜂「…………ごめんなさぁい、あなた誰? 私の手元の資料だと、第二位の顔写真には
○芝のV○GETAがアへ顔ダブルピースしてる奇跡的な一枚が採用されてるんだけどぉ」
垣根「!?」
一方「ちょwwwこれwwマジぱねェwwww」
削板「やや、なかなか根性溢れるショットだな!!」
麦野「ぷ…………っ…………っ………………!!!」←呼吸困難に陥るほど爆笑中
美琴「これ、かなりよくできた合成写真ね。
よほど技術力がないとこうも自然にはならないわよ」カンシン
垣根「花頭ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 帰ったら頭上のお花畑に
枯葉剤まいてやるから覚悟しとけよおおおおおお!!!!!!!」
食蜂「それではオチがついたところで仕切り直しといきましょうかぁ」
垣根「ふざけんなクソアマ!」
麦野「結局あんた、どうしてまた人間ボディに脳味噌移したのよ」
垣根「超能力者が集まる円卓に一機だけ冷蔵庫が鎮座ましましてたら
シュールってレベルじゃねえだろうが!! 俺なりの気遣いだよ!」
一方「余計な心配すンな、羽が生えてなくてもオマエ現時点でプカプカ浮きまくってるから」
垣根「誰が上手いことを言えと!」
美琴「話がぜんぜん前進しないわ……もう食蜂さんが司会でいいから、さっさと進めてくれる?」
食蜂「今回は学園都市から外部に向けた広報の一環として、
レベル5座談会と題した会合を開かせていただきましたぁ…………っていう、建前よぉ」
削板「建前?」
食蜂「ぶっちゃけ私たちって横の繋がりが割と希薄でしょお?
全員を一か所に集めるシチュエーション設定を>>1が面倒くさがったのよぉ。
ついでにこれだけいると自然に会話をつなぐのも大変だから、
適当なお題を設定して、それに対するテキトーなトークに興じてもらいまぁす」
美琴「メッタメタね……」ハァ
一方「適当の上にテキトーを重ねるとかイヤな予感しかしねぇ…………」ハァ
食蜂「時間も押してるしぃ、>>1のやる気の問題もあるからお題一個で終わっちゃいそうねぇ。
じゃあ『各々の面識と関係性を整理』してみましょうかぁ。はい一方通行さんから」
一方「俺ェ? めんどくせェな……」ポリポリ
食蜂「今後も秩序だった会話を継続するため、基本的に発言は序列順になりまぁす」
削板「なにっ、じゃあ俺は毎回最後なのか!!」ガーン!
麦野「この面子で『秩序だった会話』とか成立すんのかしらね」
垣根「無理だろうな、特に第七位の根性バカ」
美琴「…………なにを言ってもブーメランになりそうな気がするからノーコメントで」
食蜂「ほらもうそうやって脱線するぅ! ほら一方通行さん、早く早く」
一方「ちっ……第二位と第三位とは昔ドンパチ殺し合いました、
第四位と第七位とはちっとばかし顔合わせたことあります、
第五位とは一応職場の同僚ですゥ…………これで満足か」
垣根「早っ!」
削板「なにやら一行目に不穏当な文字が踊ってるが、きっと気のせいだな!!」
麦野「やる気ないわねー」
美琴(ま、新婚だもんね…………早く帰りたいかそりゃ)ニヨニヨ
一方「ンだオリジナル、その顔はよ」ギロ
美琴「べっつにー?」
食蜂「はい、それじゃあ次は第二位さん」
削板「進行のほうにも淀みがないな!! 素晴らしい根性だ!!!」
垣根「それが良いか悪いかは分かんねえがな。
……第一位にはその昔ぶっ殺された恨みがあるからな、いずれは同じ目に遭わせてやるよ」
一方「はン。やれるもンならやってみろや」
麦野「その理屈でいくと、私もアンタには隻眼隻腕になってもらわないといけないんだけどね」
垣根「…………」
食蜂「みんな殺伐としてるわねぇ」
美琴「…………この話題、止めにしない? 私もあっちこっちで複雑な事情抱えてるし、
ここを掘り下げるといくら時間があっても足りないわよ」
削板「せっかく平和な時代を生きてるんだから、今を楽しもうじゃねえか!!!」
一方「……それが建設的だな」
麦野「……大人になるって嫌よね。処世術なんてものを自分が身に付ける日が来るなんて、
これっぽっちも思ってなかったし」
垣根「……水には流さねえぞ」
食蜂「はいはぁい、それじゃあほのぼのトークさいかぁい☆」
垣根「第三位とは……………………特になにも接点がねえな」
美琴「あれ? でもあのDMの会長さんってことは、初春さんの上司なんでしょ?」
垣根「ああ、そんなプログラマー雇ってたかもな」シレッ
美琴(会長直々にヘッドハンティングされたって聞いたんだけどな……)
垣根「第四位とは、あー……」
麦野「はいはい、そこもカットカット。また空気悪くなるわよ」
垣根「お前、意外と割り切ってんのな」
麦野「最近、思うところが色々あってね」
垣根「第五位ねぇ。こいつとも当然何もなしだ」
食蜂「…………あなた、もしかして友達少ない?」
垣根「ああん!?」
プッww
垣根「クソセラレータと麦野だってのは分かってんぞ後で覚えとけやコラァ!!」
削板「その二人とは仲が良さそうだな!!!」
垣根「誰がじゃ!」
食蜂(結構的を射てると思うけどぉ)
垣根「第七位。こないだ飲み屋で一緒になった。以上」
削板「おいおい水臭ぇな、酔い潰れるまで飲み比べた仲じゃn」
食蜂「言いたいことがあるならご自分の番にお願いしまぁす。じゃあ次美琴さぁん」
美琴「一方通行は…………ま、義理の弟ね。それ以上のコメントは差し控えるわ」
一方「…………」
美琴「やだもーそんな暗い顔しないの! お義姉さんって呼びたいならいつでも……
あ、どっちかって言うと当麻をお義兄さんって呼びたい?」
一方「誰が呼ぶか!! オマエ最近母親に似てきたンじゃないですかァ!?」
美琴「とまあ、私たちはこんな感じよ」アハハ
一方「……年下の女に振り回され(ry」
美琴「垣根さんは右に同じで面識なし。初春さんの上司だっていうのも最近知ったわ。
初春さんも何も言ってくれなかったし、彼女も知らなかったのかしら」
垣根「…………当然だろ。まともな奴なら俺の事情には首突っ込んじゃこねえし、
そもそも俺のほうから関わり合いにはなんねえよ」
美琴「そ。こんなこと言ったら垣根さんには失礼だけど、ちょっと安心したわ」
垣根(ぐ…………なけなしの良心が痛むぜ)チクチク
美琴「麦野さんとも、出会いはあれだったけど今ではいいお友だちね。
お隣の浜面さんの友人だった、っていうのにはちょっと縁を感じるかも」
麦野「私はあくまで滝壺……じゃなかった、理后とお茶しに行ってるんであって、
第三位と仲良し小良しになった覚えはないっての」
美琴「そのわりにはウチによって真理の相手してくれるじゃない。
こないだ『カナミンR4なりきり変身セット』贈ってくれたけど、あれ麦野さんの趣味?」
麦野「実は喧嘩売ってるでしょアンタ」
美琴「…………」
食蜂「やだもー美琴さんったらぁ、人の顔ジロジロ見てぇ」ポッ
美琴「パスで」
食蜂「んもぉ、しょうがないなぁ。こうなったら
私の番で美琴さんに対する熱いパトスを思う存分ぶちまけて」
美琴「お断りします」( ゚ω゚ )
一方(あの第三位に毛嫌いされるって、結構な偉業じゃねェか)
垣根(お前が言うな)
美琴「削板さんとはこのあいだの事件で共闘した仲ね」
削板「……ん、そうだな…………稀に見る強敵だったな」
美琴「うん……」
麦野「らしくもなくテンション低いわね」
食蜂「ローテンションの第七位とか絶滅危惧種だと思ってたわぁ」
垣根「その方がこっちとしちゃやりやすいがな」
美琴「よく考えなくても黒子の現上司だし。
さらに言うと十年ぐらい前に二人で一戦交えてるのよね」
削板「…………む、むむむ! 確かにあれもまた、血沸き肉躍る好勝負だった!!!
どうだ第三位、また機会があったらあの公園で一汗流さねえか!!!!」
美琴「お断り(ry」
一方「あーうるせェうるせェ、音量下げてェから誰かリモコン貸してくれよ」
食蜂「ドゾー」つリモコン
美琴「それ食蜂さんの自己暗示用でしょ」
食蜂「さくさく行きましょお、続いて第四位さぁん」
麦野「これって後半行くにつれて喋ること減ってかない?」
削板「なにいっ!? じゃあ俺は一言も喋らせてもらえないのか!!!???
ちっくしょおおおおおお!!!! 夕陽が今だけは目に染みるぜぇえええええ!!!!」
食蜂「…………つまり、そういうことだから。お察し下さぁい」
四人((((ああ、そういう…………))))
麦野「じゃ、やかましい第七位は放置プレイの方向で。
まずは第一位ね。こないだの結婚式でハブられました」
一方「仕方ねェだろォが終わったことをグチグチ蒸し返してンじゃねェぞ年増ァ!」
麦野「…………あんたとはいずれ決着つけなきゃならないとは思ってたけど。
今がその時ってことでいいんだな貧弱殺すもやし野郎ぉぉぉぉぉ!!!!」
ワーワーギャーギャー
削板「この二人も『意外に仲良い』枠なんだな!!」
食蜂「統括理事会の調査によると数年前、絹旗最愛さんと黒夜海鳥さんの
法定代理人の座を賭けて、裁判沙汰になる寸前までいってるわぁ」
垣根「…………そりゃ、刑事裁判か?」
・・
食蜂「一応、民事止まりよぉ」
美琴「二人とも、『出るとこ出』たら後ろ暗すぎる身の上だもんね……」
一方「きょ、今日のところはこの辺にしといてやらァ」ゼェゼェ
美琴「素が虚弱体質の癖に無理してんじゃないわよ」
削板「お前には根性根性根性根性根性根性根性根性、そしてなにより根性が足りねえ!!!!」
一方「根性根性うっせええええ!!!! ちょっとコイツ誰か黙らせろ!!」
麦野「ぜぇはぁ、つ、次は第二位のクソ野郎ね……」ゲホゲホ
垣根「そのコンディションでどうして俺に喧嘩売るの!? バカなの死ぬの!?」
麦野「にっくきライバル会社のトップ。以上」
垣根「喧嘩売った上にガンスルーとかマジ勘弁しろ名誉棄損で賠償請求すっぞコラ」
食蜂「はい次いってみましょー」
垣根「どいつもこいつもおおおお!!!」
麦野「第三位か……いつかの研究所の借りを返したいって気持ちも、ないでもないんだけどね」
美琴「あの頃は私も色々と立てこんでて必死だったから……
その、今にして考えれば失礼だったと思うわ、ごめんなさい」ペコリ
麦野「こいつがこの調子だから、そういう感情も薄れちゃったのよね」
美琴「そんなこんなで今ではいいお友だちです」ニッコリ
麦野「いや、そこは認めてないから。……ほんと、調子狂うわね」ハァ
削板「……あれが巷で言う、ツンデレってやつか?」
食蜂「ちょっと素直力足りてない人を指してなんでもかんでもツンデレって呼ぶ風潮、
わたしはいかがなものかと思うのよねぇ」
垣根「禿同。やっぱりツンデレは黄金比率9:1を守ってこそ至高だな」
一方「超電磁砲で言うとどの時期になンのかねェ。
俺と三下がやりあった後だと8:2から7:3ぐらいに見えンだよな」
美琴「……あの、全部聞こえてるんだけど。っていうかその事件以降原作で一度も
私と邂逅してないアンタがどうしてその時期の私のツンデレ比知ってんのよ」
麦野「第五位、食蜂操祈だっけ?」
食蜂「はじめまして、麦野沈利さぁん。今後ともよろしくぅ」
麦野「ハジメマシテショクホウサン。じゃあ次いきましょ」
食蜂「ひっどおい。独り身同士もうちょっと腹の内を見せあいっこしましょうよぉ」
麦野「互いの傷口に塩塗りこむ未来しか視えないわよ!」
食蜂「ちぇー。お茶友だち一人確保かと思ったのにぃ」ブーブー
麦野(暗部時代から『心理掌握』の悪評はそれとなく
伝わってきてたからね…………関わり合いにならないに越したことないわ)
食蜂「んもう、ますます失礼力全開なこと考えてるしぃ」
麦野「…………だから嫌なんだよ。んで、第七位か」
削板「…………」ワクワク
麦野「ハジメマシテサヨウナラ」
削板「おい!! そりゃねえだろ!!!」
麦野「いやだって。アンタとは本気でなんの接点もなきゃ共通の話題もないし」
削板「そんなものは根性で補えばいいだろう!!!!」
麦野「司会、さっさと進行お願い」
削板「くっ、これも俺の根性が不足していたが故の結末かっ……!!!
まだまだ精進が必要だ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」
麦野(マジうっせえ)
食蜂「はぁい、ではいよいよお待ちかね!学園都市二三〇万人が待ち望んだスーパーアイドル!
『心理掌握』こと食蜂操祈が、あなたのハートも操っちゃうゾ☆」キラッ☆
一方「うわァ」
垣根「カメラも入ってないのにこのカメラ目線である」
削板「素晴らしいプロ意識じゃねえか!!」
一方「いや何のプロだよ」
美琴「…………オフレコにしとくからさ、この際ここでぶっちゃけちゃわない?
正直、二十代半ばにもなってそのキャラ辛いでしょ。ゆうこ○んじゃあるまいし」
食蜂「………………」
麦野「そのゆ○こりんもとっくにカミングアウトしちゃったしね」
食蜂「……………………」
「…………ペルソナ被ってないとね、やってらんないこともあるのよ」ハン
四人「「「「…………」」」」
削板(ぺるそなってなんだ? 根性の亜種か?)
食蜂「それじゃあみさきちのフリートーク開始でぇす☆ 皆楽しんでいってねぇ♪」キラッ☆
一方「……あれが、アイツの生き方なのかもな」
麦野「よく考えれば若くして名門大学の教授なんてやってんのよね。
風当たりは私たちの中でも一番の所にいるかもしれないわ」ウンウン
美琴(ちょっとほだされてしまった自分を殴りたい…………
でも、これからはもうちょっと仲良くしようかな……)ウーム
垣根「プロ意識ってのもあながち間違ってなかったのかもな。
根性バカの直感も侮れねえもんだ」
削板「???」
食蜂「第一位、一方通行さんとは出向先の理事会ビルでときどきお会いするわぁ」
美琴「一方通行は親船理事長のSPで、食蜂さんは諮問機関の一員だっけ」
一方「会議室でよく顔会わせるけどよ、その物理的眩しさどうにかなンねェのか。
おかげで最近サングラスが手放せないンですけどォ」
食蜂「? なんのお話かしらぁ?」キラキラ
一方「……なンでもねェ、もういいわ」
食蜂「第二位、垣根帝督さんとは今日初めてお会いしたわぁ。
学園都市の中枢に曲がりなりにも携わる者として、前々からお写真だけは拝見してたけど」
垣根「…………その写真ってのは、さっきのアレみたいなアレじゃあねえだろうな」オソルオソル
食蜂「うふふ、まっさかぁ。十年前のものとはいえ、れっきとした人間ボディだったわぁ」
垣根「ほっ」
食蜂「某C県東京ディ○ニ○○ン○上空を六枚羽で滑空してる合成写真だったけどぉ」
垣根「メルヘェェェェェンンン!? 自覚はあるんだからそろそろ誰か許してくれよおお!!」
一方「イヤでェす」
麦野「イヤよ」
食蜂「イヤねぇ」
削板「イヤだ!!!」
垣根「ちっくしょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
救いは第三位だけか! オイこの薄情者どもになんか言ってやってくれ!!」
美琴「出遅れた………………」(´・ω・`)ショボーン
垣根「おいぃぃいぃぃぃぃぃいいい!?」ガビーン!
食蜂「美琴さんとは常盤台中学の先輩後輩の仲よぉ。
もうちょっと仲良し力アップできると私としては嬉しいんだけど、
残念ながら美琴さんには嫌われちゃってるみたいでぇ……」
美琴「……あの、食蜂先輩」
食蜂「…………へ?」
美琴「今度、よかったらお食事でも一緒にどうですか?」ヒキツリワライ
食蜂「 ! ? 」コウチョク
五分後
食蜂「…………はっ!! い、いま確かに五分ほど時が飛んだわぁっ!!」
一方「キングクリムゾン凄いですねェ」
削板「だ、第三位のお誘いにはそんな能力が!?」
美琴「そんなにショック受けるほど私の態度ってアレだったのね……」ズーン
食蜂「つつつ、次行きましょうか次ぃ!!」アセアセ
麦野(面白いぐらい動揺してるわねこの性悪女)ニヤニヤ
垣根(弱み一つ握ったぜ)ニヤニヤ
食蜂「お、お次は第四位、麦野沈利さんねぇ。えっとお……」
麦野「特に話すことないわね」
垣根「テメエこそダチ少ないんじゃねえか」
食蜂「ぼっちじゃありませぇん!
第八位さんと第九位さんとは週一でスイーツ食べに行ってますぅ!
たまたまこのメンバーだったから少なく見えるだけですぅ!!」
一方「スイーツ(笑)」
食蜂「第七位、削板軍覇さん…………この度は結婚おめでとうございまぁす」ペコリ
削板「……あれ? 第五位には教えたんだっけ?」キョトン
麦野「!?」
御坂「え、マジマジ!? 削板さん彼女いたの!?」
垣根「そういやこないだ飲み屋でんなこと言ってたな」
一方「酒席の戯言じゃなかったのか……今年一番のサプライズだわ」
麦野(……え、ウソ? ウソでしょ? あんなのですら結婚すんのに私って私って)ブツブツ
美琴「麦野さん? 顔色悪いわよ?」
麦野「」ブツブツブツ
一方「ほっといてやれよ。オマエに同情されたら余計にミジメだろ」
美琴「はぁ」
食蜂「それでは私の手番も終了ということで、そろそろ」
削板「よおおおおおおおおおおおし!!! とうとう俺の出番というわけだな!!!!
男削板軍覇がレベル5の面々を熱く語る『熱血!! 軍覇塾!!!』を」
食蜂「の、はずでしたがぁ」
削板「へ?」
食蜂「脱線や与太話で予定された誌面を使い切ってしまったので、座談会を打ち切りまぁす」
削板「」
美琴「ちょっと待ってよ、これ雑誌に載るの!?」アセ
食蜂「最初っから広報活動の一環だって言ってるじゃない」
垣根「建前じゃなかったのかよ」
食蜂「予想外に面白いことになったから、
最後に私が軽ぅく検閲を加えて出版する運びになると思いまぁす」
麦野「で、出たー! 自分に都合の悪い所だけカットしようとする職権濫用!!」
一方「だいたい検閲とか憲法違反だと思いまァす」
食蜂「嫌だわぁ。ここは事実上の独立国、学園都市なのよぉ。
日本国憲法の括りなんてこの塀の中では些細なことだわぁ」
一方「日本中の憲法学者に録音して聞かせてやりてェわ、今の台詞」
削板「おいおいおいおいおいおい!!!! ちょっと待ってくれ!!!」
美琴「どうかした、削板さん? 血相変え……いや、いつも通りか」
削板「俺のターンだけカットなんてそんな不公平なことが許されるのか!?」
麦野「いいんじゃない別に?」
垣根「俺ら五人で一回ずつお前に言及してるしよ、問題ねえだろ」
削板「ぬ、ぬぬぅ…………そ、そうなのか……」
食蜂「大丈夫よ削板さぁん、カットした分は根性で補うから」
削板「おお!! 根性だったら仕方がねえな!!!」
一方(嫁さンともども削板くンの将来が心配でならねェわ)
ガチャ
削板「ははは、なんだかスッキリしたぞ!! そんじゃ帰るか!!!」
垣根「最初っから最後まで字面のうぜえ奴だな。じゃあ俺も」
一方「こンな茶番これっきりにして欲しいぜマジで」
美琴「あ、時間あったら皆でハンバーガーでも食べに行かない?」
麦野「高級マンションの入居者にあるまじき発言ね」
食蜂「それじゃあ皆さん、さようなら~」
パタン
オワリ
――約束の名前――
妹同然の少女が住まいとするリノリウム造りの館を、勝手知ったる顔で闊歩している時だった。
『……なんですか、これ』
『おやぁ? アステカの魔術師さんは俺が思っているほど日本語には明るくなかったのかにゃー』
『そういうことではなくてですね』
人様の家に図太い顔で転がり込む野良猫のような気軽さで、
突如としてかつての同僚が姿を現し、一通の封書を押し付けてきたのは。
『連中の「御用件」なら、ちゃぁんと一番上等な一枚に書いてあるぜよ』
「謹啓」。
差出人の片割れが醸す印象とはまるで不釣り合いな、堅苦しく丹念な書き出し。
眼球を左から右へ、右端へ辿りついたら下段へ、丁寧に丁寧に動かしていく。
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謹啓
紫陽花が雨に映えるこの季節
皆様には益々ご健勝のことと心よりお慶び申し上げます
このたび私たちは結婚式をあげることになりました
つきましては日頃のご厚情に改めてお礼を申し上げますとともに
あらためて末永いご厚誼をお願いしたく
心ばかりの披露宴をご用意いたしました
ご多忙中誠に恐縮でございますが
ぜひご出席賜りますよう お願い申し上げます 敬具
上条当麻
御坂美琴
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『………………表の名前は、自分のものではありませんよ』
深々と溜め息をつきたい気持ちをこらえて、そうひねり出すのが精いっぱいだった。
『んー、おっかしいなぁ? 俺の目の前にいる男の顔は、確かに「海原光貴」のなんだが。
「書庫」にクラッキングかけて確かめてもいいぜい』
頬に手を触れる。
黄色人種の肌の色も、ここ七、八年で随分と慣れたものだと思う。
しかしどれだけ身体に、心に馴染もうともこれは、仮初の借り物だ。
かぶりを振って苦笑した男――――エツァリのものではなかった。
『で、受けとる気はあるのか?』
『どうして、貴方がこれを自分に?』
『質問を質問で返すとキラさんに怒られるぜよ……ま、いい。親友に頼まれたんでな。
「住所も本当の名前も知らないが、招待したい奴がいる」ってな』
『…………貴方は、それにどう返事したんです』
わずかに、エツァリは声を強張らせる。
それに対する元同僚は、チェシャ猫のような笑みをさらににんまりと深めた。
『心配しなくても、余計なことは言ってない。
「難しいかもしれないが、一応やってみよう」……そんな感じだったかにゃー』
安堵の息を隠し通せるだけの気力はなかった。
『……お気遣い、感謝します』
『お気になさらず、だぜい。それで結局どうするんだ? 出席する気があるんなら、
昔の仕事仲間の誼で返事の仕方から当日のマナーまでレクチャーしてやりますたい』
歩み寄ってきた男が、封筒から返信用の葉書を抜きだして裏面を見せてきた。
右上に記された文字を、土御門が諳んじる。
『「御出席、または御欠席。どちらか一方に丸をおつけください」。
…………俺が引き受けた仕事は宛先に封筒を渡して、この葉書を持ちかえることのみ』
親の仇を見たような目で、その一文を睨みつける。
押し黙ったエツァリに、土御門元春は最後通牒を叩きつけてきた。
『決めるのはお前だ、アステカの魔術師エツァリ』
手を伸ばす。
『…………自分、は……』
声と身体を震わせながら、エツァリは“選択肢”を指差した。
それが、いまから三年前の六月の事だった。
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土御門元春とはまた別の元同僚――より正確にはその奥方――に招待されて、
エツァリはここ、学園都市は第一二学区の小さな教会を訪れていた。
早朝から二人の司式者が予行演習を行っていた中央聖堂には、いまは誰もいない。
長椅子に腰かけてなんとなしに祭壇を眺めていると、背後から声。
「海原、か?」
【すいません、日本語わからないんです】
褐色の肌の男は母国語でそう返すと、そそくさと席を立った。
大扉の前で声をかけてきたツンツン頭の男性とすれ違おうとして、
「――――――」
目を見開き、足を止めた。
立ち塞がった男性が、見覚えのある葉書を一葉、掲げていたからだった。
「やっぱり海原だよな、偽海原。他にどう呼んでいいかわからないけどさ」
「…………よくもまあ、“そんなもの”を後生大事に保管していましたね」
わずかにでも反応を示してしまった以上、もはや取り繕うことはできなかった。
エツァリの心臓を強く打った紙切れを、男性は懐かしそうに人指し指の腹で撫ぜる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「そりゃあそうだろ。“こっち”に丸付けときながら顔を見せなかった
失礼な奴のこと、忘れるわけにはいかなかったからな」
『御出席』の『御』と『御欠席』に引かれた二重線は、
三年前に『海原光貴』が返した答えを如実に示している。
「そのことについては…………申し訳ありませんでした、としか」
『出席』を丸で囲んだはずの男は、しかし披露宴会場に顔を見せなかった男は、
深々と頭を下げる。
詰ったはずの相手のほうが、焦って手を振る始末である。
「お、おいおい。本気で怒ったわけじゃあ」
「…………ふふふ」
「え?」
「いや、失礼しました。話には聞いていましたが、貴方は本当にお変わりないようで」
「…………謝罪したいのか怒らせたいのか、どっちなんだよお前」
白眼視されたが、エツァリのくつくつという低い笑いは止まらなかった。
「さあ、どうなんでしょうね――――――上条当麻さん」
たった一度邂逅しただけの魔術師からの、無責任な『約束』を見事果たした主人公。
上条当麻に対して、エツァリは十一年ぶりに向き合った。
男が二人、一つの長椅子の端と端に腰を下ろす。
「三年前、どうして来てくれなかったんだ?」
「…………実を言うとですね、あの会場に居たことは居たんですよ、自分」
「マジか? 俺はあの日、お前の姿が見当たらないかって結構必死で探して……あ、そうか」
「ええ、御推察の通りでしょう。式場のスタッフに紛れこんで、お二人の晴れ姿をこっそり、
眺めさせていただきました」
「……俺らの挙式は見たかった。でも、顔は合わせたくなかった。そういうことか?」
「歯に衣着せず、はっきり言ってくれますね」
「悪い、性分なんだ」
「存じ上げております」
「正解、ってことで良いんだな」
「…………ええ。きっとそうなのでしょう。とっくの昔に割り切ったつもりだったのに、
あの招待状を見た瞬間、情けないことに身体が竦み上がってしまいまして。気が付けば、
貴方たちに顔を合わせずに済む方法を模索していました」
「それで、後悔しなかったのかよ」
軽く、目をつむった。
「大なり小なり、人間は後悔して生きる生き物です」
「したんだな」
「……ええ」
「今でも、か?」
「………………己が心だというのに、計りかねています」
「だったら俺が代わりに言ってやる。お前は少なくとも今日、
俺たちに会いたかったんだ。俺は、そう思うぞ」
「自分はつい先ほど、逃げ出そうとした男ですよ?」
「だったらその“顔”はなんだよ」
「十一年前に一度出くわしたきりの魔術師のことなど、とうに記憶の彼方だろうと、
そう思ったんですよ。貴方の人生はその後も波瀾万丈であったようですし」
エツァリは褐色の素顔に笑顔の仮面を付けて、上条に見せつける。
「嘘だな」
「…………ほう、その心は?」
「本気で俺から隠れたいならそれこそ三年前みたいに、まったくの別人の仮面を付けてくれば
よかったんだ。見つけてほしくはないけど、見つけてくれたら嬉しいな、みたいな……
そんな心境だったんじゃないのか、お前」
「複雑なオトコゴコロ、というやつですか……ふぅむ」
まるで他人事のように、エツァリは呟いた。
「ふふふ。貴方にそんな心の機敏を見抜く観察眼があったとは、上条勢力の監視者だった
自分もついぞ知りませんでしたよ」
「十年の研鑽の賜物、ってやつさ」
「奥様相手にしっかりそれを発揮しているようなら、自分としても言うことはないのですが」
「ちぇっ。どいつもこいつも俺に対する評価が、十年前から更新されてないんだよなぁ」
「ご自分の日頃の生活態度を顧みてはいかがでしょう」
「…………いーさいーさ、だったらこれから」
ふて腐れていた上条が突然にやりと口角を吊り上げた。
同時に立ち上がるとエツァリに背を見せ、大扉に向かって歩き出す。
エツァリはそれを、目を丸くして見送った。
「上条さん流の空気の読み方ってやつを、アステカの魔術師殿にご覧にいれてやりませう」
言うが早いか、上条は取っ手を握ってぐいと引っ張った。
ゆっくりと大扉が開くと、ほどよくまぶしい斜光が聖堂に差し込みそこかしこを跳ねる。
幻想的な光景だったが、エツァリが目を奪われたのはそんな光の精のいたずらではなかった。
「海原さん……じゃあ、おかしいわよね。とにかく、お久しぶりです」
女神が、薄汚い魔術師に向かって、どういうわけだか頭を下げた。
少なくともエツァリは、二流脚本家でも書かないであろう馬鹿げたワンシーンが、
なんの手違いか実際に現世で起きてしまったのだと、束の間本気でそう信じた。
「みさか、さん?」
妻と入れ替わりに扉をくぐろうとする男に向かって、エツァリは声を張り上げていた。
「いつ、奥様に連絡を?」
いまとなっては無意味な質問だったが、聞いておかずにはいられなかった。
この実直で、お人好しの代名詞のような青年にまんまと嵌められたのかと思うと、
怒りなどより先に一スパイとしての矜持が揺らいで仕方がない。
一番には、眼前の女性との会話を少しでも先送りにしたいという、打算だったのだが。
「教会に入ってったお前の後ろ姿を見たそのときに、さ。背中見ただけで確信持てる程度には、
お前は俺の中で大きな存在だったってこと、これで証明できたんじゃないか?」
人懐っこい表情で、男はしてやったりとばかりに笑う。
「…………それはさておき、お前の目の前でケータイ取り出したら、断固阻止されそうな
予感がしたんだよ。だから前もって美琴に連絡したら、十分ぐらい足止めしてほしい
って言うからさ」
エツァリは、美琴に視線を移した。
この女性(ひと)が、自分と話をしたがっていた?
「じゃ、今度こそ俺は行くぜ」
エツァリが呆然としていると、上条は気楽に言った。
止める暇もなく、上条当麻は――――上条美琴のただ一人の伴侶は、妻と男を同じ空間に
残して、あっさりと立ち去ってしまった。
重苦しい沈黙。
「…………ふっ」
「海原……さん?」
この期に及んでどう誤魔化そうかなどと考えている自分に気が付いて、
エツァリは自嘲気味に肩を震わせた。
「貴方に、この顔をご覧に入れた覚えはないのですが」
エツァリは、彼女の前ではいつでも『海原光貴』だった。
行く先々にしつこくつきまとうだけの、ストーカーじみた優男だった。
にもかかわらず自分を追い求めてこの場に来た、ということは。
「……ごめんなさい。これは、当麻にも恋人になった後で打ち明けたことなんだけど」
「八月三十一日、『約束』。…………聞いて、いらっしゃったんですね」
――いつでもどこでも駆けつけて、彼女を守ってくれると約束してくれますか?――
「ふっ、ふふ…………自分としたことが、これは痛恨のミスでしたね」
美琴は、いまにも泣きそうな顔をしていた。
「自分などのために流しては勿体ないものですよ、それは」
「そんな、そんな…………っ!」
歯を食いしばって、何度も何度も首を振って、固く目をつぶって。
やがて落ち着いた女は、一度天井を見上げてから、眦をわずかに上げてこう言った。
「…………私、謝りません」
「ふむ?」
「インデックスに、あなたの今の上司にも言ったんです。私は謝らない、って。
沢山の女の子の、純粋な行為を踏みにじって、私はあの人と結ばれた。
だからせめて、いまこの場所にいる事実を誇るためにも、私は絶対に謝らないって、そう」
強い決意の言葉とは裏腹に、美琴の口調は途切れ途切れだった。
「…………それが良い事なのか悪い事なのか、自分の口からは言及しかねます」
美琴がそう出るなら、自分も下手な言葉は吐けない。
そう思ってエツァリも、丁寧に次の文句を探る。
「ただ……………………らしい、と思いますよ」
「…………え?」
「辛くとも苦しくとも、自らの意志で選択した道だけは、決して否定しない。
実に貴女らしい――――“貴方たち”らしい、信念だ」
美琴は、目をぱちくりとしてしばし呆然とした。
エツァリの言わんとするところを理解したのか、その表情が花開いたようにほころぶ。
「当然、ですよ。だって私――――――上条当麻そっくりの、独善者ですもん」
十一年前の、八月三十一日。
突拍子もない『約束』を強要した魔術師に、にかりと笑って頷いた少年。
(貴方たちは、まったくもって似た物夫婦だ)
記憶の中と眼前。
二つの笑顔を重ねながら、エツァリは心の底からそう思った。
「だから私が贈る言葉は、もっと別の…………ああ、そうだった」
ポン、と女が手を合わせる。
「名前。まだ、聞かせてもらってませんよね」
「ここまできて、教えてくれない、なんて事はないですよね」
「…………エツァリと、そうお呼びください。メキシコの出身で、現在はイギリス清教に
籍を置く身です」
「エツァリさん、エツァリさん……ちょっと言いにくい名前ね」
「歯に衣着せぬ物言いまで、夫婦で似なくとも良いと思うんですがねぇ」
「エツァリさんは、その…………いま、恋人とかは」
「常人では聞きにくいであろうこともズバリと尋ねる。いやはや清々しい」
「……ご、ごめんなさい」
「おや、謝らないのではなかったんですか?」
「…………エツァリさんって、Sだったんですね」
「貴女が十年前に会ったのは、あくまで『海原光貴』ですからね」
「はぁ。それで、質問の答えは」
「いますよ」
「本当ですか!?」
「みさ……美琴さんにウソなどつきません」
「じゃ、じゃあ。その人のこと、世界一好きですか?」
エツァリは、ほんの刹那の間だけ口を閉じて思慮した。
「……ええ。自分の人生に、“二つ目”の、極めて大きな転機をもたらした、かけがえのない、
妹のような――――――しかし、気が付けば」
心臓に手を当てて、『原典』の鼓動を確かめながら、素顔のまま微笑む。
「誰よりも愛しい女性になっていた………………………………貴女、よりも」
「…………わかりました」
最後の一言を絞り出すのに途轍もない時間と気力を消費した事実は、
ご愛敬で見逃してもらいたかったが。
「だったら。これを、受けとってほしいんです」
そう言って美琴は、手に持っていたセカンドバッグから二つ、取り出した。
なんの変哲もない郵便はがきと、先の細い筆ペン。
良く観察せずとも聖堂に入ってきた時から浮かんでいた玉のような汗を、女は誇らしげに拭う。
「夫から聞いて、ひとっ走り探してきました」
この炎天下を、自分のために。
目頭が熱くなって、視界が軽くぼやける。
その間にも美琴はすらすらと、なんとも流麗に葉書に文字を書きつけていく。
最後に裏返すと、それまでより大きく筆先を動かして、シュッと真下に滑らせた。
「どうぞ」
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謹啓
梅雨も明け夏の太陽がまぶしいこの季節
皆様には益々ご健勝のことと心よりお慶び申し上げます
このたび私たちは結婚式をあげることになりました
つきましては日頃のご厚情に改めてお礼を申し上げますとともに
あらためて末永いご厚誼をお願いしたく
心ばかりの披露宴をご用意いたしました
ご多忙中誠に恐縮でございますが
ぜひご出席賜りますよう お願い申し上げます 敬具
上条当麻
御坂美琴
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「これ、は?」
「時候の挨拶以外は、三年前の文面を再現できたとは思うんですけど…………
それよりも裏を見てくださいね。ちょっと結婚式のマナーからは外れるけど、
正式なものじゃあないし、いいでしょ」
言われるがままに裏返して――――
「――――――ッ」
途端に瞼に降りる露が、土砂降りに変わった。
----------------------------------------
エ
ツ
ァ
リ
様
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駄目だ。
「やっと、渡せた」
止まらない。
「もしこれを受け取ってくれて、その上でもう一度、『出席』に丸をつけてもらえるなら」
次から次へと、眼球の奥からせりあがってくる大粒が、噴水のように。
「私はこの教会で、生涯でもう一度だけ、ウエディングドレスに袖を通そうと思います」
もしかしたら、我慢をしなくても、いいのだろうか。
「だから、そのときは」
心おきなく、泣いてもいいのか。
「あなたの大切な人と一緒に、私の花嫁姿を」
心ゆくまで、喜んでもいいのか。
「今度こそ、素顔で祝ってくれませんか?」
「喜んで、ご招待をお受けします」
震える手で、エツァリはペンを受け取った。
三年前に土御門に教わった通りに、筆を走らせて。
二重線を二度引いて。
覚束ない指先で、小さくいびつな円弧を描いて。
三年前は、人に託してしまった『選択肢』の答えを。
今度こそ、素顔で、ありのままの自分で。
「ああ――――――」
直接、手渡した。
「貴女を好きになって、良かった」
約束の名前――――END
七月二十一日 一方通行宅
黄泉川「さーて、全員グラスもったじゃん?」
打ち止め「準備完了! ってミサカはミサカはフライング気味に、むぎゅ」
一方通行「こらえ性のねェところはいつまで経ってもガキのまンまだな、オマエはよ。
音頭のときくらい空気を読んでくださァい」
番外個体「へー、そういう第一位は随分と協調性あふれるイイコちゃんになったじゃん」
一方「うっせェ」
芳川「はいはいあなたたち、喧嘩しないの。それでは、一方通行と打ち止めの式が
無事終わった事を祝って。乾杯」
女三人「「「カンパーイ!」」」
男一人「…………カンパァイ」ボソッ
一方「っつーかここ俺ンちなンですけどォ。どうしてクソニートが仕切ってンだおい」グビ
芳川「失礼ね。求職活動中の人間は定義上ニートからは外れるのよ」チビチビ
一方「どっちみち完全無欠の無職だろォがゴク潰し」
芳川「やだ、無職ってなんだかニートより言葉の響きが重いじゃない。呼称改正を要求するわ」
一方「だったら就職さっさと決めるか就活止めるかにしろ」ケッ
芳川「これからも末永くよろしくね、一方通行」ゴクゴク
一方「俺が養うのは打ち止めと妹達(のうちの半分)だけだクソアマァァァ!!!」
番外「二人ってさ、よくも飽きずに毎度毎度同じ話題で喧嘩できるね」グイ
黄泉「十年経っても変わらぬ黄泉川家の日常風景じゃん」ゴキュッゴキュッ プハー
番外「いや、ここ一方通行の家だし」
打止「や、やだもうアナタったら…………
一万人の連れ子ごとまとめてミサカを食べさせてくれるなんて……」テレテレ
番外「誰がコブじゃい元幼女。しっかし昔ならこれも妄想乙、で済ませられたのにねぇ。
…………っていうか姉さん、酔っぱらうの早くない?」
黄泉「乾杯と同時に大ジョッキでビールイッキだったじゃん」
一方「見てたなら止めろやアホ警備員!!」
打止「続けて二杯目、いっきまーす!!」グビッグビッグビッ
一方「そしててめェは何をしでかしてンだクソガキィィ!!」
番外「おお、やれやれー」ヤンヤヤンヤ
芳川「あら、心なしか顔が青いわね打ち止め」
一方「打ち止めァァァァァァァーーーーーッッッッ!!!??」
五分後
一方「…………アルコール分解完了ォ」
黄泉「ベクトル操作ってつくづく便利な能力じゃん」
芳川「私にもソレがあれば今頃は悠々自適のニート暮らしが送れたのかしら」
一方「仮に能力と序列を誰かに譲れたとしてもオマエだけには渡さねェよ自堕落の化身が」
番外「そりゃロクなことにならないねきっと。主に物凄くくだらないベクトルに」
芳川「失礼ね。せいぜいテレビのリモコンに手が届かないとき、気流操作で手元に持ってくるぐらいよ」
番外「想像以上にくだらなかった!?」
一方(俺らからすりゃあ)
黄泉(想定の範囲内じゃん)
打止「ちぇー。せっかく良い気分で酔っぱらってたのにー、ってミサカはミサカは猛抗議!」
一方「そのまま良い気分に浸ってたらあの世行きだったンだよクソガキ!!」
番外「……ねーねー、義兄さんってさ」
一方「…………その呼び方ヤメロ」
番外「姉さんのこと、この歳になってまで“クソガキ”って言ってるよねー」
黄泉「そういやそうじゃんよ。十年前に較べりゃ頻度的にマシになったとはいえ、
打ち止めもいまや立派なレディー。嫁にまでしといてクソガキ呼ばわり
ってのはどうかと思うじゃん」
一方「実年齢は十歳だ。なンも間違ってねェだろ」
芳川「あらまあ。ここにきてロリコンのカミングアウトかしら」
番外「ぎゃっはは、そういう事になっちゃうね!」
一方「ふざけンなこンなン誘導尋問だろォが! ハメやがったな番外個体ォォォ!!!」
黄泉「打ち止めはこんな旦那に対して思うところはないのか?」
打止「照れ隠しだと思えばカワイイものなのよ、ってミサカはミサカは経験則から呟いてみる」
一方「捏造ォ! 捏造反対ィ!!」
芳川「お酒ぐらいもう少し静かに飲ませてくれないかしら」チビチビ
一方「てめェの酒代を十年間立て替え続けてる相手に向かってよくンな口が聞けるよなオマエ」
芳川「図太さには自信があるって、面接でも何回もアピールしたのだけど」フゥ
番外「照れ隠しと言えばさー」
一方「なにその方向で話まとめようとしてンだオイ」
打止「MNW内ではその方角に向かってとっくに舵を切ってるのよ、ってミサ」
番外「姉さんのツンデレ時代、見てて飽きなかったよねー」グデー
打止「カはミサーカはぁぁっ!!?」ブホォ
一方(なンか一瞬聞き捨てならねェ単語が聞こえたような)
芳川「あったわね、そんな時代も……」シミジミ
黄泉「ま、スキルアウトどもに較べれば可愛い反抗期だったじゃん」シミジミ
一方「中学上がってしばらくした頃だったか……
ちょうどオリジナルのツンデレ史と時期が重なンだよな」シミジミ
打止「っ、ちょ、ま」
番外「とある朝、自室から出てきた第一位に向かって姉さんが開口一番」
『い、今までのミサカのデレはあくまで命の恩人に対するものなんだからね!!
ミサカはアナタに心と体を許しちゃったことあるけど、そ、そういう意図は
ないんだから、かか、勘違いしないでよね!!』
番外「…………だもんねぇ」シミジミ
打止「」パクパク
芳川「その後の一方通行の返しがまた傑作だったわね」
黄泉「冷静だったよなぁ、お前。真っ赤な顔の打ち止めをスルーして、
トースト焼いてコーヒー淹れて、一口ずつ口に入れたところでボソッと」
『通行許可もらったのは脳内だけですゥ』
一方「ツンデレテンプレの中に『デレ』なんてワード混ぜてくるもンだからよ、
あまりに斬新かつ革新的すぎて逆に頭が冷えたわァ」
番外「ぷっ、ぷぷ、確かに! 自分がデレてたこと自覚してるツンデレとかww」
打止「もうやめてェェェェーーーーッッッ!!!!
ミサカ史上最大最強の黒歴史をそれ以上ほじくり返さないでーーーっ!!!」
一方「むしろそれまでの、『ミサカはミサカは~』とか恥ずかしげもなくのたまってた
あの時代のほうが黒歴史だと思ってたンだがな、俺は」
芳川「最終的には二年ぐらいで収まったんだったかしら」
黄泉「よくぞまあ、純真で天真爛漫なデレ期に回帰してくれたじゃん」ホロリ
打止「うわぁぁぁぁああああぁぁぁあああ」
番外「精神的負荷がかかりすぎて鯖が落ちかけてるねー、こりゃ大変大変」ケケケ
黄泉(鯖?)
打止「」プスプス
番外「黒歴史と言えばさ」
一方「オマエの『言えばさ』、さっきからロクな結果生ンでないンですけどォ」
番外「昨日の二次会で上映されたスペシャルビデオ、姉さんたちは見てないよね」
一方「ビデオだァ?」
打止「ちょちょちょ、番外個体! アレのことはこの人には内緒だって言ったでしょ!
そのためにも昨日はいち早く帰ったのに……」コソコソ
番外「(一番の理由は新婚初夜を楽しむためでしょ)……いやー、実はさ。
姉さんに無断で、MNWの総力を挙げて再編集したんだよね、直前に」
打止「!? ………………ま……さか…………」ガクブル
黄泉「ああ、昨日のアレのことか? 懐かしき打ち止めの中学時代を心行くまで堪能できたじゃん」
芳川「会場中爆笑の嵐だったわね」
打止「やっぱりぃぃぃ!?」
番外「あ、そうそう。あんまり好評だったからブルーレイに焼いて皆に配っちゃった☆」テヘペロ
打止「色々終わったァァァーーーーーッッッッ!!! ってミサカはミサカはぁぁぁ!!!」
番外(もやもやしてたのがちょっとスッキリしたわー)フゥ
一方(結局なンの話してンだ…………べ、別に蚊帳の外で寂しいわけじゃ(ry)
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黄泉「そういや二人とも、ハネムーンに出発するのは明日の午後だったか?」
一方「ああ」
番外「ひゃっほーい! だったら今日は夜更けまで飲み明かせるんじゃん!」ウキウキ
芳川「でもいいのかしら、新婚ホヤホヤ夫婦の愛の巣にいつまでも居座るなんて」
打止「…………その台詞、間違ってもヨシカワだけは言っちゃいけないと思う」
芳川「あら?」キョトン
番外「いーじゃんいーじゃん、どうせ昨日の夜さんざん乳繰りあったんでしょお?
今日ぐらいミサカたちに付き合いなよお!」キャハハ
黄泉&芳川(………………)
一方「そうだな、今日ぐらいはいいか」
番外「え? ちょ、ちょっと、そんなマジにとられるとミサカ困っちゃうんだけど☆
邪魔なら邪魔って言ってくれればいつでも出てくし」
打止「…………そうだ番外個体。昨日、返事し忘れてたよね」
番外「返事? なんの?」
打止「だから、昨日の“アレ”」
番外「…………あ」
――――二人とも、だいすき。幸せになってね――――
番外「べべべ別にあんなの、ミサカが勝手にぶつけた言葉なんだから、気にしなくても」ワタワタ
一方「ああそォですか、だったらクソガキも手前勝手に喋くるだけだ。なァ?」ククク
打止「そうそう! 心して聞きなさい番外個体、ってミサカはミサカは演説ポーズ!」ガタッ
番外「いや、その」
黄泉「おっ! いいぞ打ち止め、なかなかサマになってるじゃん!」
芳川「理想的なアジテーターの姿勢ね、ヒトラーあたりでも参考に」
一方「やめろ馬鹿」
番外「やめてほしいのはコッチなんだけどー!?」
打止「私の大切な妹、番外個体」
番外「……な、なんだよ」カァ
打止「私もこの人……一方通行も、アナタのことが大好きよ。だからアナタも、
いつの日かちゃあんと幸せを掴まないと承知しないんだからね!
ってミサカはミサカはお姉さんぶってみたり」ウフフ
番外「…………」
一方「だ、そうだぜ」グビ
打止「なに他人事みたいに言ってるのー!
ミサカはあなたの内心も一緒に代弁してあげたのよ、って(ry」
一方「そりゃオマエの言い分だろ。俺はノーコメントですゥ」
黄泉「はっはは、相変わらず第一位サマは素直じゃないじゃん! 打ち止めたちに負けて
ばかりいられないぞ、桔梗! 私たちも親として愛してるじゃん、番外個体ー!」
番外「…………んっ、く、ば、馬鹿じゃないの、どいつもこいつもぉっ……!」フルフル
打止「おめめが真っ赤だよ、番外個体」フフ
番外「違いますぅ! 慢性的寝不足だから充血してるだけですぅ!!」プイッ
一方「教科書に載ってそうな古典的言い訳だなオイ。…………ン?」
芳川「………………」ウーム
一方「どうした芳川、明日の面接の脳内シミュレートか?」
芳川「そんなの一度もしたことないわ」キリッ
黄泉「…………頼むから一回はやっといてほしかったところじゃん、そこは」
一方「確かに履歴書に書いていいレベルの図太さだわオマエ」
打止「それで、どうかしたのヨシカワ?」
芳川「別に大したことじゃないのよ? ただ、さっき打ち止めが言った『返事』って……」
『本当は姉さんのぷりぷりした唇の感触を貪りたいって私利私欲も働きました、ハイ』
芳川「姉妹が開きかけた禁断の花園行きチケットに対する返事だとばっかり思ってたわ、私」
一方「」
黄泉「」
打止「ちょおおおおおおお!!! なんでその話蒸し返しちゃうのおおおお!?」
番外「ああそっか、それもあったっけ……」チラッ
打止「その流し目こころなしかマジに見えるからやめてぇぇぇ!!!」
ネーサンネーサンマタイッキノミシテー?
ナンカメノイロガアヤシインダケド!?
キャピキャピ
一方「…………こンな『卒業』はイヤだなァ」
黄泉「ま、こういうオチが付くあたりが、ヨミカワさンちらしいんじゃん」つコップ
芳川「なにかあったら、たまには“こっちの”家族も頼ってちょうだいね、一方通行」つコップ
一方「……………………おう」つコップ
コツン♪
オワリ
続き
ステイル「まずはその、ふざけた幻想を――――――」【3】